(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】ゲーム機
(51)【国際特許分類】
A63F 9/00 20060101AFI20231114BHJP
A63F 9/30 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
A63F9/00 508H
A63F9/30 501Z
(21)【出願番号】P 2019176976
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000169477
【氏名又は名称】株式会社コナミアミューズメント
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100161090
【氏名又は名称】小田原 敬一
(72)【発明者】
【氏名】中山 翔太
(72)【発明者】
【氏名】西野 雄人
【審査官】三田村 陽平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/135416(WO,A2)
【文献】特開2016-052466(JP,A)
【文献】特開2006-175039(JP,A)
【文献】特開2004-248741(JP,A)
【文献】米国特許第05445376(US,A)
【文献】ito,"[JAEPO2019]コナミがプライズ機器「トレジャーロード」を発表。ベルトコンベア上の景品をルーレット形式,4gamer.net,日本,Aetas株式会社,2019年01月25日,全文,全図(p.1-4),https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20190125067/,[2020.6.16検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/00- 9/22
A63F 9/26-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体が置かれるべき搬送面を有し、前記搬送面上の前記遊技媒体を遊技空間外に通じる排出口に向けて搬送できるようにして前記遊技空間内に設けられた搬送体、及び当該搬送体を駆動する駆動手段を含む搬送装置と、
ゲームと関連付けて前記搬送装置を制御する制御装置と、
複数の遊技媒体を収容可能であり、各遊技媒体を前記搬送面上に供給するための開口部が前記搬送面を向くようにして設けられたストッカと、を備え、
前記ストッカは、前記遊技媒体の供給に関する状態が、前記搬送面上の前記遊技媒体が支えとなって前記開口部からの前記遊技媒体の供給が制限される制限状態と、前記搬送面上の前記遊技媒体の搬送に伴って前記支えが取れて前記開口部から少なくとも一つの遊技媒体が供給される開放状態との間で変化するように設けられているゲーム機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技空間内に設けられた搬送装置を駆動してその搬送面上の遊技媒体を遊技空間外に排出させる構成を備えたゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体の遊技空間内に設けられた搬送装置を駆動することにより、その搬送面に置かれた遊技媒体を遊技空間外に向けて搬送するゲーム機が知られている。例えば、固定テーブルに対してスライドテーブルを往復運動させることにより、スライドテーブル上の搬送面に置かれた遊技媒体の一例としての景品を景品払出口に向けて搬送するようにしたゲーム機が知られている(特許文献1参照)。この種のゲーム機では、景品が遊技空間外に取り出されるため、遊技空間内に景品を適宜に補充しないとゲームの続行がいずれは不可能となる。景品の補充は店舗スタッフの手作業に委ねられていることが一般的であるが、その負担を軽減するために景品の補充装置をゲーム機に設けることも検討されている。例えば特許文献1のゲーム機では、遊技空間内に景品の補充装置を設置し、景品載置台上の景品が減少すると補充装置の景品ストッパを駆動して補充装置内に保管されている景品を景品載置台上に排出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のゲーム機の景品補充装置は、景品を保管する容器の開口部にストッパ等の可動部材を設け、景品の補充状況に応じて可動部材を開閉駆動して景品の補充又は補充の禁止を切り替えている。したがって、景品の補充状態を判別するためのセンサ類、可動部材を駆動する駆動装置が必須であり、さらにはセンサ類の検出結果に応じて駆動装置を制御する処理も必要である。制御処理を介することなく遊技媒体を補充するには、ゲーム機のオペレータの手作業が必須である。
【0005】
そこで、本発明は、比較的簡素な構成で遊技媒体を逐次的に供給することが可能なゲーム機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るゲーム機は、遊技媒体が置かれるべき搬送面を有し、前記搬送面上の前記遊技媒体を遊技空間外に通じる排出口に向けて搬送できるようにして前記遊技空間内に設けられた搬送体、及び当該搬送体を駆動する駆動手段を含む搬送装置と、ゲームと関連付けて前記搬送装置を制御する制御装置と、複数の遊技媒体を収容可能であり、各遊技媒体を前記搬送面上に供給するための開口部が前記搬送面を向くようにして設けられたストッカと、を備え、前記ストッカは、前記遊技媒体の供給に関する状態が、前記搬送面上の前記遊技媒体が支えとなって前記開口部からの前記遊技媒体の供給が制限される制限状態と、前記搬送面上の前記遊技媒体の搬送に伴って前記支えが取れて前記開口部から少なくとも一つの遊技媒体が供給される開放状態との間で変化するように設けられたものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一形態に係るゲーム機の全体構成を示す斜視図。
【
図2】
図1のゲーム機の隔壁部を透かして内部のゲーム空間を示した斜視図。
【
図3】
図2に示すゲーム機構にて提供されるゲームの一例を説明するための図。
【
図4】ゲーム空間に設けられるゲーム機構の一例を示す斜視図。
【
図5】
図4のゲーム機構において一部のコンベアを取り外した状態を示す斜視図。
【
図6】
図4のゲーム機構の垂直方向に沿った部分断面図。
【
図11】ストッカを取り付けるための突張機構の一例を示す図。
【
図12】ストッカの傾斜壁の長さを調整可能とした構造の一例を示す図。
【
図13】ストッカが制限状態にあるときの一例を示す図。
【
図14】ストッカが開放状態にあるときの一例を示す図。
【
図15】ゲーム機の制御系の構成の一例を示す機能ブロック図。
【
図16】
図15のゲーム処理部にて実行されるゲーム処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図17】
図15のゲーム管理部にて実行されるペイアウト率監視処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図18】
図15のゲーム管理部にて実行されるペイアウト率提示処理の手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の一形態に係るゲーム機を説明する。本形態のゲーム機は、所定のプレイ料金の支払いと引き換えに、ユーザに景品の獲得を目的とするゲームをプレイさせる業務用のゲーム機として構成されている。
図1及び
図2に示すように、ゲーム機1は筐体2を備えている。筐体2は、概ね直方体形状であって、本体部3、隔壁部4及び天井部5を含んでいる。本体部3は、ゲーム機1に設けられるべき制御ユニット、コインセレクタといった各種の装置類を収容し、あるいは取り付ける基礎となるべき構造体である。
図2に示すように、本体部3の上方には遊技空間の一例としてのゲーム空間GSが設定されている。ゲーム空間GSには、一対のゲーム機構20が並べて設けられるとともに、ゲーム機構20のそれぞれの上方に位置するようにして一対のストッカ50が設けられている。隔壁部4及び天井部5はゲーム空間GSをゲーム機1の外部に対して隔離するように設けられている。隔壁部4の正面壁4a及び側壁4bは、ゲーム機1の外部からゲーム空間GSを観察することができるように透明な壁として構成されている。一方、隔壁部4の背面壁4cは不透明な壁である。さらに、ゲーム機構20間には、ゲーム空間GSをゲーム機構20ごとに区切る中間壁4dが設けられている。中間壁4dもまた透明な壁として構成されている。
【0009】
ゲーム空間GSはユーザの操作に応じたゲームが行われるべき領域であり、各ゲーム機構20はそのゲームを提供するために設けられた物理的な機構である。各ゲーム機構20は、一例として、景品の獲得を目的としたゲームをユーザに提供するように構成されている。景品は遊技媒体の一例である。ゲーム機構20の具体例は後述する。ストッカ50は、ゲーム機構20に対して景品を補充するために設けられている。ストッカ50の詳細についても後述する。なお、ゲーム空間GSにて行われるゲームは景品を獲得する例に限らない。ゲーム空間GSでは、ユーザの操作に応じて進行し、かつそのゲームと関連付けて遊技媒体をゲーム空間GS外に通じる排出口に向けて搬送する内容を含んだ各種のゲームが行われてよい。この点についても後述する。
【0010】
図1に示すように、本体部3の上部には一対の操作部6が設けられている。操作部6は、ゲーム機構20の並び方向と同一方向に並べられている。以下では、筐体2の操作部6が設けられた側を筐体2の正面側とし、操作部6に位置するユーザがゲーム空間GSと向かい合った状態を基準状態として、筐体2の前後方向、左右方向及び上下方向を定義する。例えば、操作部6及びゲーム機構20の並び方向は左右方向に相当する。左側の操作部6は左側のゲーム機構20を操作するために設けられ、右側の操作部6は右側のゲーム機構20を操作するために設けられている。それにより、ゲーム機1では、二人のユーザが同時にゲームをプレイすることが可能である。ただし、ゲーム機構20の数は一例であり、ゲーム機1は少なくとも一つのゲーム機構20を有するように構成されていればよい。
【0011】
各操作部6には、ゲームに関するユーザの操作を検出する操作検出装置の一例として、例えば押し釦スイッチ7等の入力装置が適宜に設けられている。本体部3には、左右のゲーム機構20と1対1に対応付けて景品落下口8が設けられ、各操作部6の下方には景品取出口9が設けられている。景品落下口8はゲーム空間GSから景品PRを排出するための排出口の一例であって、景品落下口8と景品取出口9とは本体部3の内部で互いに通じている。ゲーム機構20は、押し釦スイッチ7の操作に応じて景品を景品落下口8に向けて奥側から手前側に向けて搬送するように制御され、景品落下口8に到達した景品はその景品落下口8に落下して景品取出口9から取り出される。景品落下口8は景品の搬送に関する目標位置の一例に相当する。
【0012】
操作部6同士の間にはモニタユニット10が設けられている。モニタユニット10は、フラットパネルディスプレイ等の表示装置11と、その表示装置11の画面上におけるユーザの接触位置を検出する位置検出装置12とを組み合わせたタッチパネル型の入力装置として構成されている(
図15も参照。)。その他にも、ユーザがプレイ料金を支払うためのコイン投入口、ユーザ認証を行うためのカードリーダといった装置類が本体部3に設けられてよい。
【0013】
次に、
図2~
図8を参照して、ゲーム機構20の一例を説明する。
図2に示すように、ゲーム機構20は、本体部3の各景品落下口8に対して前後方向奥側に隣接するように設けられている。各ゲーム機構20の構成は互いに等しい。ゲーム機構20には搬送装置の一例としてのコンベアユニット21が設けられている。コンベアユニット21には、搬送体の一例としての複数のコンベア22が、それぞれの上面側の搬送面22aによる搬送方向(矢印F方向)を景品落下口8に向けた状態で左右に並べて設けられている。コンベア22の本数は適宜に変更されてよい。コンベア22は、互いに独立して前後方向に駆動可能である。コンベアユニット21の前方には、コンベア22と1対1に対応付けてインジケータ23が設けられている。
【0014】
インジケータ23は、押し釦スイッチ7の操作に応答して駆動されるべきコンベア22をユーザに案内する目的で設けられている。インジケータ23は、一例として複数のLED等の発光素子をマトリクス状に並べて形成されている。例えば、一つのコンベア22に対応するインジケータ23において、発光素子が上下方向に5行、左右方向に3列のマトリクス状に並べられている。インジケータ23は図示例に限らず、コンベア22の前方又は後方の少なくともいずれか一方の側に設けられてよい。コンベア22を透光性の素材にて構成し、コンベア22の内部に発光装置を設けることにより、コンベア22そのものを発光させてインジケータとして機能させることも可能である。
【0015】
図3は、ゲーム機構20によって提供されるゲームの一例を示している。コンベア22の搬送面22aには多数の景品PRが配置される。一例として、袋詰めされた菓子類が景品PRとして用いられる。景品PRは少なくとも一つのコンベア22によって支持される大きさである。複数本のコンベア22の搬送面22aに跨るようにして支持される大きさの景品PRが用いられてもよい。景品PRを支持するコンベア22を、その搬送面22aがユーザからみて奥側から手前側に向かって走行するように駆動することにより、景品PRを前方に向けて徐々に搬送し、ひいては景品PRを景品落下口8に落下させて景品取出口9から取り出すことができる。
【0016】
景品PRの獲得に関して遊技性を生じさせるため、各コンベア22の駆動は、インジケータ23の表示と、操作部6における操作、例えば押し釦スイッチ7の操作とに関連付けて制御される。例えば、インジケータ23は、ゲーム機1の制御ユニットによって選択的に点灯又は消灯が切り替えられる。一例として、インジケータ23の点灯位置が左右方向に往復するように各インジケータ23の点灯又は消灯が順次切り替えられる。
図4では、右から4本目のインジケータ23の中央の列が選択的に点灯している様子をハッチングで示している。ユーザが押し釦スイッチ7を押し込み操作すると、その操作時点で点灯しているインジケータ23と同列上のコンベア22が駆動対象として選択されてそのコンベア22が所定量だけ前方に向けて走行するように駆動される。
【0017】
押し釦スイッチ7の一回の操作に対応するコンベア22の駆動量は一定であってもよいし、ユーザが押し釦スイッチ7を操作したタイミングに応じて動的に変更されてもよい。例えば、ユーザが押し釦スイッチ7を操作したタイミングとインジケータ23が点灯したタイミングとのずれ量が小さいほど駆動量が増加するようにコンベア22の駆動量が調整されてもよい。例えば、一つのコンベア22に対応したインジケータ23には、左右方向に3列の発光素子列が設けられているため、中央の発光素子列が点灯したタイミングで押し釦スイッチ7が操作された場合は、左右端の発光素子列が点灯したタイミングで押し釦スイッチ7が操作された場合よりも駆動量が大きくなるように発光素子列ごとに駆動量が設定されてもよい。ただし、発光素子列間で駆動量が等しく設定されてもよい。
【0018】
ユーザが景品PRを獲得するためには、景品PRを支持しているコンベア22を見極め、そのコンベア22に対応するインジケータ23が点灯するタイミングに合わせて押し釦スイッチ7を操作する必要がある。各コンベア22上における景品PRの配置には適宜に差が生じ、それに伴って景品PRの獲得し易さにもコンベア22間で差が生じる。したがって、ユーザは獲得が比較的容易である景品PRを判別し、その景品PRを支持しているコンベア22に対応する押し釦スイッチ7をインジケータ23の点灯に合わせたタイミングで操作する必要がある。これにより、景品PRの獲得に遊技性が生じる。
【0019】
図4~
図6はコンベアユニット21の詳細を示している。コンベア22は、搬送方向に沿って周回可能なループ状で、かつ景品PRが置かれるべき外周側の搬送面22aに複数の歯部22bが搬送方向に沿って一定間隔で設けられた歯付きの帯状体として構成されている。歯部22bは搬送面22aにおける景品PRの掛かり易さを高めることにより、景品PRの滑りを防止し、又は抑制する滑り止め部の一例として機能する。
図5及び
図6に示すように、コンベアユニット21には、コンベア22に加えて、各コンベア22を互いに独立して搬送方向に駆動する駆動手段の一例としての駆動装置25が設けられている。駆動装置25は、前後一対の回転軸26、27と、それらの回転軸26、27に対して相対回転可能なプーリ28、29とを含む。プーリ28、29はコンベア22ごとに設けられ、各コンベア22はそれらのプーリ28、29間に架け渡されている。
【0020】
図7及び
図8に示すように、コンベア22は、多数のシュー30をピン31にて帯状につなぎ合わせたいわゆる無限軌道の履帯である。各シュー30には3枚の歯部22bが設けられている。歯部22bがコンベア22の外側を向くようにしてシュー30が相互に連結されることにより、コンベア22の外周側に歯付きの搬送面22aが形成される。
図6に示すように、コンベアユニット21の下部には、コンベア22の歯部22bと噛み合うスプロケット32が設けられている。スプロケット32が駆動源の一例としての電動のモータ33から供給される駆動力で回転駆動されることによりコンベア22が駆動される。スプロケット32はコンベア22ごとに設けられている。モータ33はスプロケット32ごとにスプロケット32と同軸的に配置されてスプロケット32を個別に駆動するように設けられている。したがって、モータ33を選択的に動作させることにより、コンベア22を互いに独立して駆動することが可能である。なお、
図6ではモータ33を想像線にて示している。
【0021】
図4及び
図6に示すように、コンベア22の搬送面22aには複数の爪部品40が設けられている。爪部品40も歯部22bと同様に搬送面22aにおける景品PRの滑りを防止し、又は抑制する滑り止め部の一例として機能する。ただし、
図4に示した爪部品40の配置は一例である。
図2、
図3及び
図5では爪部品40の図示が省略されている。
図7及び
図8に示すように、爪部品40には、形状及び大きさが異なる2種類の爪部品40A、40Bが存在するが、
図4及び
図6ではそれらを区別せずに描いている。以下、爪部品40A、40Bを区別せずに説明する場合には爪部品40と表記し、それらを区別して説明する場合には爪部品40A、40Bと表記することがある。
【0022】
爪部品40は、景品PRの掛かり易さに関する特性を搬送面22aに固有の特性から変更する特性変更部品の一例としても機能する。景品PRの掛かり易さに関して、コンベア22の搬送面22aはその材質及び形状に応じた固有の特性を有している。図示例では、搬送面22aを平面状に構成した場合と比較して、歯部22bが設けられることにより景品PRの掛かり易さが高められている。しかしながら、歯部22bは搬送面22aに固有の要素であり、搬送面22aに固有の掛かり易さの特性は歯部22bによる効果を含むようにして特定されるべきものである。これに対して、爪部品40はコンベア22とは別部品として構成されてコンベア22の搬送面22aに取り付けられる。爪部品40は搬送面22aから突出するように設けられており、爪部品40が未装着の状態と比較して、爪部品40が取り付けられることにより、景品PRの掛かり易さが高まる。つまり、爪部品40を取り付けることにより、景品PRの掛かり易さに関する特性を、搬送面22aの固有の特性との比較において、より掛かり易い方向へと変更し、それにより景品PRの払い出しに関する難易度、言い換えれば景品落下口8への景品PRの到達に関する難易度を低下させることができる。難易度は爪部品40の個数、及び配置に応じて適宜に調整可能である。
【0023】
爪部品40はコンベア22の搬送面22aに対して着脱可能なアタッチメント部品として設けられている。
図7及び
図8から明らかなように、コンベア22のシュー30に設けられた3枚の歯部22bのうち、中間の歯部22bは、両端の歯部22bと比較してシュー30の幅方向(ゲーム機構20の左右方向に相当する。)の全長が短くなるように形成されている。その中間の歯部22bの長さは、スプロケット32の歯幅(軸線方向の長さ)と略同一に設定されている。シュー30の両端の歯部22bは、シュー30の幅方向全長に亘って延ばされており、それらの歯部22b同士の間隙部22cの底側には溝部34が形成されている。溝部34はコンベア22の外周側及び幅方向の端面側に開口する。溝部34は、コンベア22の歯部22bのうち、スプロケット32と噛み合う中央部分の領域、すなわち中間の歯部22bが存在する領域を避けてシュー30の幅方向両側に設けられている。溝部34が設けられた間隙部22cが爪部品40の取付部の一例に相当する。溝部34は全てのシュー30に設けられている。したがって、図示例では、搬送面22aのスプロケット32と噛み合う領域に対する左右方向の両側に、コンベア22の搬送方向に沿って一定間隔で爪部品40の取付部が存在する。
【0024】
爪部品40は、その内部がくり抜かれた中空の枠状に形成されている。それにより、爪部品40が軽量化され、搬送面22aに爪部品40を取り付けたときのコンベア22の慣性モーメント、及びモータ33の負荷の増加を抑えることができる。爪部品40の下部には、間隙部22cに嵌り合う嵌合部41が設けられている。嵌合部41は、間隙部22cと、これを挟んで隣接する一対の歯部22b、すなわちシュー30の両端の歯部22bのそれぞれに対して相補的に嵌り合うようにその形状及び大きさが定められている。言い換えれば、嵌合部41は間隙部22c及びこれを挟んで隣接する一対の歯部22bとほぼ隙間なく密着するように設けられている。嵌合部41が間隙部22c及びこれに隣接する一対の歯部22bに跨るようにして密着することにより、爪部品40の搬送面22a上における安定性を高めることができる。
【0025】
嵌合部41の下端には、溝部34に嵌め合わせることが可能な突起部42が形成されている。突起部42は爪部品40の幅方向全長に亘って延ばされている。ただし、突起部42は爪部品40の全長に亘って延ばされる例に限らず、爪部品40の一部に限定的に設けられてもよい。溝部34は、間隙部22cに対して開口する口元部分よりも内部が拡大された形状に形成されている。突起部42は、その溝部34と相補的な形状であって、かつ幾らかの弾性変形が可能である。その突起部42を弾性変形させつつシュー30の側方から溝部34内に挿入することにより、突起部42と溝部34とが噛み合って、搬送面22aから離れる方向(上方)への爪部品40の変位が阻止される。また、シュー30の側方への爪部品40の脱落も阻止される。コンベア22に装着された爪部品40をコンベア22から取り外すことも可能である。取り外した爪部品40はコンベア22の適宜のシュー30の間隙部22cに再び装着することができる。なお、コンベア22側に突起部を、爪部品40側に溝部を設けて両者を噛み合わせるようにしてもよい。
【0026】
爪部品40の上部には互いに逆方向を向くようにして第1掛止部43及び第2掛止部44が設けられている。第1掛止部43は突起部42の長手方向、つまり爪部品40のコンベア22に対する着脱方向と直交する方向に鋭角的に突出するエッジ状に形成されている。一方、第2掛止部44は適度な丸みを帯びた広角的な角部を呈するように形成されている。したがって、景品PRの掛かり易さに関して、第1掛止部43と第2掛止部44との間では特性が相違し、第1掛止部43の掛かり易さは第2掛止部44のそれよりも高い。
【0027】
爪部品40の嵌合部41及び突起部42は掛止部43、44の並び方向における爪部品40の中心位置を挟んで前後に対照的に形成されている。したがって、搬送面22aへの取り付け方向に関して、爪部品40は、第1掛止部43を景品落下口8(
図8において右方に位置する。)に向けた状態と、第2掛止部44を景品落下口8に向けた状態のいずれの向きでも搬送面22aに取り付けることが可能である。
図7及び
図8の例では、搬送方向(矢印F方向)の前端に位置する爪部品40は第2掛止部44を景品落下口8に向けた状態で搬送面22aに取り付けられ、他の爪部品40はいずれも第1掛止部43を景品落下口8に向けた状態で搬送面22aに取り付けられている。
【0028】
したがって、爪部品40の取り付け方向を選択することにより、各爪部品40が景品PRの掛かり易さの特性に与える影響を変化させることができる。さらに、爪部品40Aと爪部品40Bとでは搬送面22aからの突出高さが相違し、かつ第1掛止部43及び第2掛止部44の形状も相違する。したがって、第1掛止部43を景品落下口8に向けた場合、第2掛止部44を景品落下口8に向けた場合のいずれにおいても、爪部品40Aと爪部品40Bとでは景品PRの掛かり易さの特性に与える影響が異なる。これらの相違を難易度の調整に利用することが可能である。なお、第1掛止部43及び第2掛止部44の形状、構成は一例であり、両掛止部43、44は景品PRの掛かり易さが異なる限りにおいて、適宜の変形が可能である。例えば、第1掛止部43と第2掛止部44との間で摩擦係数を変化させて景品PRの掛かり易さを差別化してもよい。高さが異なる複数種類の爪部品40を設けることは必ずしも必要ではない。例えば、単一種類の爪部品40を搬送面22aの適宜の位置に取り付けて難易度を調整するようにしてもよい。
【0029】
以上のように、コンベア22の適宜の位置に適宜の向きで爪部品40A、40Bを装着することにより、搬送面22aに対する景品PRの掛かり易さを搬送面22aの固有の特定から適宜に変化させることができる。それにより、コンベア22が駆動されたときの景品PRの挙動を適宜に変化させて景品PRの獲得に関する難易度を調整することができる。
【0030】
図6に示すように、コンベアユニット21には、コンベア22の搬送方向前方に位置するようにして概略L字状の落下調整部品46がさらに取り付け可能である。落下調整部品46はコンベア22にて搬送された景品PRの景品落下口8への落ち易さに関する特性を調整する落下特性調整手段の一例として設けられている。また、落下調整部品46は、景品PRの落下に対して抵抗を付与することにより、搬送面22a上で後続する景品PRの滑りを防止し、又は抑制する滑り止め部の一例としても機能する。落下調整部品46の幅(
図6の紙面と直交する方向の寸法)は、全てのコンベア22に跨って延びる程度の幅を最大値として適宜に設定されてよい。例えば、落下調整部品46は、単一のコンベア22の幅と同程度の幅に形成されてよい。複数の落下調整部品46がコンベアユニット21の左右方向に適宜の間隔で並べて設けられてもよいし、全てのコンベア22に亘って延びるように単一の落下調整部品46が設けられてもよい。落下調整部品46はコンベアユニット21に対して着脱可能とされてよい。落下調整部品46は、コンベアユニット21の前側のインジケータ23の上端付近に取り付けられ、その上端46aはコンベア22の搬送方向前端と景品落下口8との間に突き出るように延ばされている。一例として、落下調整部品46の上端46aは搬送面22aと同程度か又は搬送面22aよりも幾らか上方に延ばされている。上端46aの位置は、
図6に破線で例示したように調整可能とされてもよい。例えば、高さが異なる複数種類の落下調整部品46を用意し、適切な高さの落下調整部品46を選択してコンベアユニット21に装着してもよい。あるいは、落下調整部品46を高さ調整可能な状態でコンベアユニット21に取り付けるようにしてもよい。
【0031】
落下調整部品46を設けた場合には、景品落下口8に向けて搬送される景品PRに対して落下調整部品46により適度の抵抗を与え、景品PRの景品落下口8への落ち易さを調整することができる。これにより、景品PRの払い出しに関する難易度をさらに柔軟に調整することができる。多数の景品PRが搬送面22aに配置される場合には、落下調整部品46の手前に景品PRを適度に集積させ、それにより大量の景品PRを一度に獲得できるチャンスを生じさせるといったように、ゲームの遊技性を落下調整部品46にて調整することも可能である。
【0032】
次に、
図2及び
図9~
図14を参照してストッカ50の一例を説明する。なお、
図9~
図14は一方のゲーム機構20に対応するストッカ50を示すが、他方のゲーム機構20に対応するストッカ50も同一構成である。
【0033】
図2及び
図9に示すように、ストッカ50は、ゲーム機構20の搬送面22aの上方に配置される傾斜壁51を備えている。傾斜壁51は概ね平板状であって、その左右方向の幅は一方の側壁4bと中間壁4dとの間の距離にほぼ等しい程度に設定されている。したがって、筐体2の側壁4b、背面壁4c、中間壁4d及び傾斜壁51により、それらの内側に景品PRを収容する空間が形成される(
図13及び
図14参照)。それにより、側壁4b、背面壁4c、中間壁4dは、傾斜壁51とともにストッカ50の内部空間を区画する壁部材として機能する。ただし、
図9に想像線で示したように、傾斜壁51の左右方向の端部から背面壁4cに向かって側壁52が設けられてもよい。また、傾斜壁51は、ストッカ50に収容される景品PRをユーザがゲーム機1の外部から視認できるように、その全体が透明な材料にて構成されている。したがって、傾斜壁51のほぼ全体が透過部である。ただし、傾斜壁51の一部に限って透過部が設けられてもよい。
【0034】
図10から明らかなように、傾斜壁51は、その下端51aが搬送面22aから上方に離れ、かつ背面壁4cから搬送方向前方に離れるようにして配置される。ストッカ50の底部には壁部材が存在しない。したがって、ストッカ50の底部はその全面に亘って開口部53として構成されている。開口部53は、コンベア22の搬送方向に関して最後端(ユーザからみて最も奥側)の位置で搬送面22aに向けて開口する。ストッカ50に収容された景品PRは開口部53から搬送面22aに向けて落下するようにして搬送面22aに供給される。傾斜壁51は開口部53から搬送方向前方に向かって斜めに立ち上がるように斜めに傾けて配置されている。言い換えれば、ゲームをプレイするユーザからみて、傾斜壁51は、開口部53からユーザ側に向かって斜め上方に延びるように設けられている。そのような傾きを与えることにより、傾斜壁51に沿って景品PRが滑り落ちて搬送面22aに円滑に供給される。
【0035】
搬送面22aから傾斜壁51の下端51aまでの上下方向(鉛直方向)の距離Hを開口部53の高さ、背面壁4cから下端51aまでの搬送方向の距離Wを開口部53の幅としたとき、高さH及び幅Wは傾斜壁51の左右方向全長に亘って一定に設定される。高さH及び幅Wは景品PRに応じてその適正範囲が異なる。したがって、高さH及び幅Wはそれぞれ調整可能とされている。さらに、傾斜壁51の水平面(搬送面22aと平行な面)に対する傾きθを傾斜壁51の傾斜角としたとき、その傾斜角θもまた調整可能である。傾斜角θはストッカ50からの景品PRの落ち易さに影響し、その適正範囲もまた景品PRによって変化する。なお、
図10では、歯部22bの上面を結ぶ一点鎖線Lpの位置を搬送面22aの位置として高さHを示している。
【0036】
傾斜壁51の高さH、幅W及び傾斜角θの調整は適宜の構成により実現されてよい。一例として、
図11に示すように、傾斜壁51の四隅に突張機構55が設けられてもよい。突張機構55は、傾斜壁51の四隅に設けられたフランジ56にボルト状の押圧部材57のねじ軸57aが挿通されてナット58で固定された構成を備えている。ナット58に代えて、フランジ56にめねじが設けられてもよい。このような突張機構55によれば、押圧部材57の頭部57bが側壁4b又は中間壁4dに対して適度な力で押し付けられるように押圧部材57を軸線方向に位置決めしてフランジ56に固定することにより、頭部57bと側壁4b又は中間壁4dとの間に適度な摩擦力を生じさせ、その摩擦力を利用して傾斜壁51を側壁4bと中間壁4dとの間に固定することができる。押圧部材57を緩めることにより、側壁4b及び中間壁4dに対する傾斜壁51の固定位置を適宜に変更し、それにより、高さH、幅W及び傾斜角θを変化させることが可能である。
【0037】
傾斜壁51の取り付け構造は突張機構55に限られない。例えば、突張機構55に代えて、又は加えて、筐体2の天井部5から傾斜壁51を吊り下げ支持する支持機構を設け、その支持機構により傾斜壁51の支持位置を変化させることにより開口部53の高さH、あるいは幅Wを変更できるようにしてもよい。
【0038】
傾斜壁51の傾斜角θを変化させた場合には、それに伴ってストッカ50の全高も変化する。例えば、傾斜壁51の下端51aを基準としたときに、傾斜壁51の上端は傾斜角θに応じて上下方向及び前後方向に移動する。それにより、ストッカ50の全高さを調整する必要が生じる可能性がある。この場合には、傾斜壁51の傾斜方向に沿った長さを調整可能としてもよい。例えば、
図12に示すように、傾斜壁51を少なくとも2枚の壁板51bに分割し、それらの壁板51bを傾斜方向に沿ってスライド可能に組み合わせて結合機構60にて相互に結合してもよい。結合機構60は、一例として、一方の壁板51bに傾斜方向に沿った長穴61を形成し、他方の壁板51bからその長穴61にボルト62を挿入してナット63を締め付けるといった構成が採用されてよい。その他にもスライド可能な壁板51b同士を適宜の構成の結合機構にて相互に結合できるようにしてよい。
【0039】
次に、
図13及び
図14を参照して、ストッカ50から搬送面22aへの景品PRの供給について説明する。
図13に示すように、ストッカ50の内部には多数の景品PRが相互に積み重なるようにして収容される。ストッカ50内に収容された景品PRは傾斜壁51に沿って滑り落ちて開口部53から搬送面22aに落下するが、
図13に示すように搬送面22a上に適度の個数の景品PRが積み重なると、それらの景品PRが支えとなって開口部53が塞がる。それにより、ストッカ50は、その開口部53から搬送面22aへの景品PRの供給が制限された制限状態となる。一方、コンベア22の駆動に伴って搬送面22a上の景品PRが前方に移動すると、開口部53の支えが取れる。それにより、
図14に矢印で例示したように、開口部53から搬送面22aに少なくとも一つの景品PRが落下可能となる。つまり、ストッカ50は開放状態に変化する。
【0040】
上述した景品PRの供給を可能とするため、開口部53の幅Wは、少なくとも一つの景品PRが開口部53を通過して搬送面22aに落下するように調整される。開口部53の高さHは、搬送面22aに落下した景品PRが傾斜壁51の下方を通過して搬送方向前方に移動できるように調整される。高さHは複数の景品PRが積み重なった状態で通過できる程度に設定されてもよい。このように高さHを設定すれば、複数の景品PRが積み重なった状態で搬送することができる。それにより、一度の多くの景品PRを獲得できる機会を生じさせ、ユーザの期待感を高めることが可能である。幅Wも複数の景品PRが一度に落下できるような大きさに設定されてよい。その場合も多くの景品PRを搬送面22aに供給し、ユーザの期待感を高めることができる。傾斜角θも景品PRの落ち易さに応じて適宜に調整されてよい。例えば、ストッカ50内で景品PRが引っかかり易い場合には、傾斜角θを増加させるといった調整が行われてよい。このように、開口部53の高さH、幅W及び傾斜壁51の傾斜角θは景品PRの取り易さに影響する。したがって、それらの高さH、幅W及び傾斜角θの調整してゲーム機1の難易度、ひいてはペイアウト率を調整することも可能である。なお、ペイアウト率は、ユーザがゲームをプレイするにあたって消費した遊技価値の量に対する払い出された景品の価値量の比率として知られている値である。
【0041】
以上に説明したストッカ50によれば、搬送面22aに沿った景品PRの移動を利用してストッカ50を制限状態と開放状態との間で適宜に変化させて景品PRを搬送面22aへと逐次供給することができる。その供給に関してゲーム機1のオペレータによる手作業は不要である。搬送面22a上の景品PRの状態を検出して開口部53を開閉駆動するような制御に頼らずとも景品PRを途切れなく逐次的に補充することが可能である。ストッカ50の開口部53からの景品PRの落下、及びその落下に伴うストッカ50内の景品PRの移動はいずれも重力を利用したものであるため、景品PRを移動させる力を与える駆動源、あるいはばね等の弾性体を設けることを要しない。そのため、ストッカ50を極めて簡素に構成することができる。
【0042】
ストッカ50の少なくも傾斜壁51の全体又は一部が透過部として構成されているため、ストッカ50内に多数の景品PRが用意されている様子をゲーム機1の周囲のユーザに対してアピールすることができる。それにより、ゲーム機1のアイキャッチ効果を高めるとともに、ゲームをプレイする動機付けをユーザに与えることが可能である。搬送面22aの上方はゲーム機1によって空きスペースとなっており、そのスペースを景品PRのアピールの場所として有効に活用することができる。さらに、傾斜壁51はゲームをプレイするユーザからみて手前側に斜めに立ち上がっているので、搬送面22aをユーザが観察する際に傾斜壁51がユーザの視界を遮るおそれがない。それにより、ゲームのプレイ中におけるユーザの視認性を損なうことなくゲーム空間GS内に多数の景品PRを保管することができる。
【0043】
搬送面22aには、景品PRの滑りを防止し、又は抑制する掛止部の一例として機能する歯部22b、及び爪部品40が設けられている。また、コンベア22の前方には落下調整部品46を滑り止め部の一例として設けることも可能である。したがって、開口部53から搬送面22aに落下した景品PRが搬送面22aを滑るように無秩序に広がって多量の景品PRが一度に搬送面22aに供給されるおそれがない。そのため、コンベア22による景品PRの搬送と、その搬送に伴う景品PRの供給とが規則的に繰り返されるようになる。これにより、意図しない大量の景品PRが供給されてゲームの難易度が過度に低下し、あるいはペイアウト率が顕著に悪化するといった不都合の発生を防止し、あるいは抑制することが可能である。
【0044】
爪部品40は、コンベア22ごとにその位置や個数を調整できるので、コンベア22ごとに区別して滑り止め効果を適宜に変化させることが可能である。ストッカ50の開口部53の高さH、幅W及び傾斜壁51の傾斜角θはコンベア22を問わず一律に設定されるため、開口部53からの景品PRの供給の特性(例えばコンベア22の単位駆動量あたりの供給個数等)をコンベア22間で差別化することはストッカ50側の調整では実現が困難である。これに対して、爪部品40の位置、あるいは個数をコンベア22間で差別化すれば、結果としてストッカ50からの景品PRの供給の特性をコンベア22間で差別化することも可能である。さらに、落下調整部品46の有無、あるいはその設定高さをコンベア22ごとに区別して設定すれば、落下調整部品46を利用して景品PRの供給の特性をコンベア22間で差別化することができる。あるいは、開口部53の高さH及び幅Wがコンベア22間で一律であっても、ストッカ50内における景品PRの挙動等に起因して景品PRの供給の特性がコンベア22間でばらつくこともあり得る。そのようなばらつきを爪部品40あるいは落下調整部品46によって解消し、あるいは抑えることも可能である。
【0045】
なお、ストッカ50への景品PRの供給、あるいは補充に関しては、例えば傾斜壁51と天井部5との間に隙間を設け、筐体2の正面壁4aを開いてその隙間からストッカ50内に景品PRを投入できるようにしてもよい。あるいは、背面壁4cに開閉扉を設けて景品PRをストッカ50内に投入可能としてもよい。傾斜壁51の上部に開閉扉を筐体2の正面側に開閉できるようにして設け、その開閉扉を開いて景品PRを供給又は補充する構造としてもよい。その他にも適宜の構造でストッカ50に景品PRを投入可能としてよい。
【0046】
次に、ゲーム機1の制御系の構成の一例を
図15を参照して説明する。
図15に示すように、ゲーム機1には、制御ユニット71及び記憶ユニット72が設けられている。制御ユニット71は、マイクロプロセッサ及びその動作に必要な内部メモリ等を含んだコンピュータユニットとして構成されている。制御ユニット71は、ゲームと関連付けてコンベアユニット21を制御することにより、制御装置の一例として機能する。記憶ユニット72は、磁気記憶媒体、フラッシュROMといった記憶保持が可能な不揮発性媒体を備えた記憶装置であって、制御ユニット71に対する外部記憶装置として機能する。記憶ユニット72にはコンピュータプログラムPGとゲームデータGDとが記録されている。制御ユニット71には、制御対象として、コンベアユニット21のインジケータ23、駆動装置25のモータ33、モニタユニット10の表示装置11が接続される。また、制御ユニット71には、制御に必要な情報を提供する入力装置として、押し釦スイッチ7、モニタユニット10の位置検出装置12が接続される。さらに、制御ユニット71には、入力装置として、コンベアユニット21の回転量センサ35、コインセレクタ36及び景品センサ37が接続される。
【0047】
回転量センサ35は、コンベア22の駆動量を判別するために必要な情報を取得する手段の一例として設けられている。例えば、コンベア22を駆動するスプロケット32又はモータ33、あるいはコンベア22が巻き掛けられたプーリ28、29の回転量に応じたパルス数のパルス信号を出力するロータリーエンコーダ等のセンサが回転量センサ35として利用される。コンベア22の駆動量は、回転量センサ35が検出した回転量をコンベア22の搬送方向における移動量に換算することによって求められてもよいし、回転量センサ35が検出した回転量それ自体をコンベア22の駆動量として扱ってもよい。回転量センサ35はコンベア22ごとに設けられており、したがって制御ユニット71は全てのコンベア22の駆動量を互いに独立して検出することが可能である。
【0048】
コインセレクタ36は、ユーザがゲームをプレイするために消費した遊技価値の量を判別するために必要な情報を取得する手段の一例として設けられている。コインセレクタ36は、ユーザが通貨としての硬貨、又は通貨を代替するメダル等の物理的媒体(以下、硬貨等と呼ぶ。)をゲーム機1に投入することにより遊技価値を消費する場合に設けられるものであって、ユーザが投入した硬貨等の真偽を判別し、真正な硬貨等であれば、支払額の判別に必要な投入枚数、種類等を示す信号を出力する公知の装置である。景品センサ37は、ユーザに対する景品の払い出しを検出する手段の一例として設けられている。景品センサ37は、景品落下口8からの景品の落下を検出して所定の検出信号を出力する。例えば、景品落下口8を横切るように検出領域が設定された光電センサ等が景品センサ37として設けられる。ただし、景品センサ37に代えて、又は加えて、景品落下口8をカメラ等の撮像手段で撮像し、得られた画像を解析して景品落下口8への景品PRの到達を検出するようにしてもよい。景品PRにICタグ等の情報記憶媒体を装着し、その情報記憶媒体に記録された情報を景品落下口8の周囲に配置した読取装置で読み取って景品PRの景品落下口8への到達を検出してもよい。なお、画像解析、あるいは読取装置による情報読み取りの手法を用いる場合には、景品PRの種類等を併せて検出することも可能である。
【0049】
制御ユニット71には、コンピュータハードウエアとソフトウエアとしてのコンピュータプログラムPGとの組み合わせによって実現される論理的装置として、ゲーム処理部73及びゲーム管理部74が設けられる。ゲーム処理部73は、景品PRの獲得を目的とするゲームをユーザに提供するために、コンベアユニット21等の動作を制御する。ゲーム管理部74は、ゲーム処理部73による制御を管理するために必要な各種の処理を担当する。例えばゲーム管理部74は、コインセレクタ36からゲームに必要な硬貨等の投入を示す信号が出力されると、ゲーム処理部73に対してゲームの開始を指示する。これを受けてゲーム処理部73はインジケータ23の点灯及び消灯を制御するとともに、押し釦スイッチ7の操作に応じてコンベアユニット21のモータ33を動作させる。
【0050】
図16は、ゲーム管理部74からの指示に応答してゲーム処理部73が実行するゲーム処理の手順の一例を示している。なお、
図16の処理は、ゲーム機構20ごとに独立して行われる処理である。
図16の処理は、ゲームに必要な量の遊技価値の消費に対して一回に限って実行されてもよいし、複数回に亘って実行されてよい。ゲームの開始が指示されると、ゲーム処理部73はインジケータ23の表示制御を開始する(ステップS101)。インジケータ23の表示は、例えば左端のコンベア22に対応するインジケータ23から右端のコンベア22に対応するインジケータ23へと順次点灯位置を変更し、点灯位置が右端のインジケータ23に達した後は左端のインジケータ23に向けて点灯位置を順次変更するといった態様で行われてよい。つまり、点灯位置が所定の速度で左右に順次移動するようにインジケータ23の点灯及び消灯が制御される。インジケータ23が点灯する範囲は、左端と右端との間に限らず、適宜の範囲に限定されてもよい。例えば、景品PRが乗っているコンベア22の範囲に限定してインジケータ23の点灯範囲が定められてよい。
【0051】
続いて、ゲーム処理部73は、所定の停止操作、すなわち押し釦スイッチ7を押し込む操作が検出されたか否かを判別し(ステップS102)、操作が検出されるまでその判断を繰り返す。停止操作が検出されると、ゲーム処理部73はインジケータ23の点灯位置の切り替えを中止して、その時点で点灯しているインジケータ23を点灯状態に維持することにより、点灯位置を固定する(ステップS103)。その後、ゲーム処理部73は、インジケータ23が点灯している位置を判別し(ステップS104)、その点灯位置に対応するコンベア22を駆動対象として決定する(ステップS105)。さらに、ゲーム処理部73は、インジケータ23の点灯位置に基づいてコンベア22の駆動量を決定し(ステップS106)、その決定された駆動量に従って駆動対象のコンベア22が駆動されるように、回転量センサ35の出力を参照しつつ駆動対象のコンベア22に対応するモータ33を駆動する(ステップS107)。ステップS107にてモータ33が駆動されると、
図16のルーチンが終了する。
【0052】
インジケータ23の点灯位置とコンベア22の駆動量との対応関係については、適宜の設定が可能である。例えば、一つのコンベア22に対応するインジケータ23には3列に亘って発光素子が設けられており、いずれの列が点灯しているかに応じて駆動量が決定されてよい。一例として、中央の列が点灯しているときは、左右の列が点灯しているときよりも駆動量が相対的に大きくなるように駆動量が決定されてよい。
【0053】
インジケータ23の点灯位置の移動速度は、ゲーム機1の管理者の指示に応じてゲーム管理部74により予め設定されてよい。インジケータ23の点灯位置とコンベア22の駆動量との対応関係についても、同様に、ゲーム機1の管理者の指示に応じてゲーム管理部74により予め設定されてよい。例えば、ゲーム管理部74はモニタユニット10に対する所定の操作をトリガとして設定モードを開始し、表示装置11に設定画面を表示して管理者の指示を位置検出装置12を介して読み取り、その指示に応じてインジケータ23の点灯位置の移動速度、あるいはインジケータ23の点灯位置とコンベア22の駆動量との対応関係を設定してもよい。
【0054】
点灯位置の移動速度は、景品PRの獲得に関する難易度に影響する。すなわち、ユーザは、景品PRの状態に応じてどのコンベア22を駆動対象とすべきかを判断し、その駆動対象のコンベア22に対応する位置のインジケータ23が点灯したタイミングで押し釦スイッチ7を操作する必要がある。そのため、移動速度が増加すれば、押し釦スイッチ7を適切なタイミングで操作することが困難となり、難易度が高まる。また、インジケータ23の点灯位置とコンベア22の駆動量との対応関係については、押し釦スイッチ7が適切なタイミングで操作されたときの駆動量が小さいほど景品PRの獲得には不利となり、難易度が高まる。したがって、これらの設定状態をゲーム機1の管理者が適宜に変化させることにより、爪部品40等による難易度設定と相俟って、景品PRの払い出しに関する難易度を柔軟に調整することが可能である。
【0055】
ゲーム管理部74は、爪部品40等による難易度調整、ゲーム機構20の動作の設定による難易度調整、さらには、ストッカ50における高さH、幅W及び傾斜角θの調整の便宜を図るため、ゲーム機1におけるペイアウト率を監視し、これを管理者に提示する処理も担当する。
図17は、ペイアウト率を監視するためのゲーム管理部74が所定の周期で繰り返し実行するペイアウト率監視処理の一例を示している。なお、
図17の処理は、ゲーム機1の全体を制御対象として行われてもよいし、ゲーム機構20ごとに区別して行われてもよい。以下では、ゲーム機構20ごとに分けて処理が行われるものとして説明する。
【0056】
図17のペイアウト率監視処理を開始すると、ゲーム管理部74はコインセレクタ36からの信号に基づいて、ユーザによる遊技価値の消費が検出されたか否かを判別し(ステップS121)、消費が検出された場合にはその消費量をコインセレクタ36からの信号に基づいて判別し、得られた消費量を所定の消費量データに記述された現在値に加算する(ステップS122)。消費量データは一例としてゲームデータGDの一部として記憶ユニット72に保持されてよい。消費量は、一例として通貨単位に従って定量的に表現されてもよいし、メダル等の代替的な媒体の枚数等で定量的に表現されてもよい。いずれにしても適宜の単位に従って消費量が計量されてよい。
【0057】
次に、ゲーム管理部74は、景品センサ37の信号に基づいて、景品PRの払い出しが検出されたか否かを判別する(ステップS123)。検出された場合、ゲーム管理部74は、その払い出された景品PRの価値を定量化した報酬量を所定の報酬量データに記述された現在値に加算する(ステップS124)。報酬量データは一例としてゲームデータGDの一部として記憶ユニット72に保持されてよい。報酬量は、遊技価値の消費量と同一の単位で計量される。例えば、遊技価値の消費量が通貨単位に従って計量される場合、景品PRの価値も通貨単位に従って定量化される。景品センサ37は、景品PRの落下の有無、あるいは景品PRの落下個数の情報をゲーム管理部74に提供するため、その情報から景品PRの報酬量を求めるには景品PRを報酬量に換算するための換算値が必要である。したがって、ゲーム管理部74には予め換算値が与えられる。例えば、報酬量を通貨単位に従って計量する場合、景品PRの単価が換算値として与えられる。換算値は一例としてモニタユニット10を介して入力されてよい。換算値は、例えば上述したインジケータ23の点灯位置の移動速度等を設定するための設定モードにおいて、入力可能な項目の一つとして設定されてよい。
【0058】
報酬量が加算されると、次いでゲーム管理部74は、消費量データの現在値に対する報酬量データの現在値の比率をおペイアウト率として演算する(ステップS125)。その後、ゲーム管理部74は演算されたペイアウト率をゲームデータGDに記録し(ステップS126)、その後に今回のルーチンを終える。なお、ステップS121にて遊技価値の消費が検出されていないと判断された場合にはステップS122がスキップされてステップS123へと処理が進められ、ステップS123にて景品PRの払い出しが検出されていないと判断された場合にはステップS124がスキップされてステップS125へと処理が進められる。
【0059】
ゲームデータGDに記録されたペイアウト率の値は、ゲーム機1の管理者の適宜の操作に応答して管理者に提示される。例えば、ゲーム管理部74は、上述した設定モードを開始する際に
図18のペイアウト率提示処理を実行し、ゲームデータGDに記録されたペイアウト率の値を読み出し(ステップS141)、得られた値をモニタユニット10の表示装置11に表示させる(ステップS142)。これにより、ゲーム機1の管理者は、表示されたペイアウト率を参考にして爪部品40や落下調整部品46を配置し、あるいはゲーム機構20の設定状態、例えばインジケータ23の点灯位置の移動速度、コンベア22の駆動量に関する設定を変更することができる。さらに、ペイアウト率を、ストッカ50の開口部53の高さH、幅W、あるいは傾斜壁51の傾斜角θの調整の参考とすることも可能である。なお、ペイアウト率の調整を実施した効果を確認するため、消費量データ及び報酬量データの現在値をゲーム機1の管理者の適宜の操作によって初期化可能としてもよい。初期化することにより、難易度の設定を変更した場合、その変更後のペイアウト率を参照することにより、設定変更の効果を確認することができる。
【0060】
図17の処理では、ゲーム機構20を少なくとも単位としてペイアウト率を求めるようにしたが、コンベア22を単位としてペイアウト率を求めることも可能である。例えば、コンベア22ごとに景品センサ37を設けていずれのコンベア22から景品PRが落下したかを記録し、コンベア22ごとにペイアウト率を算出するように
図17の処理を変更してもよい。それにより、コンベア22単位で難易度調整の効果を確認することが可能である。
【0061】
以上の形態では、コインセレクタ36とゲーム管理部74による
図17のステップS121、S122の処理との組み合わせによって消費量検出手段の一例が実現され、景品センサ37とゲーム管理部74による
図17のステップS123、S124の処理との組み合わせによって報酬量検出手段の一例が実現される。また、ゲーム管理部74は
図17のステップS125、S126、
図18のステップS141、及びS142の処理を実行することによりペイアウト率提示手段の一例として機能する。
【0062】
本発明は上述した形態に限定されることなく、適宜の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。例えば、上記の形態では、ゲーム空間GSに傾斜壁51を設けることにより、筐体2の側壁4b、背面壁4c、中間壁4d及び傾斜壁51にて囲まれるようにしてストッカ50を構成したが、ストッカはそのような例に限らない。例えば、
図19及び
図20に示すように、傾斜壁51の下端に、搬送面22aと概略平行な底壁81が追加され、さらに底壁81の傾斜壁51とは反対側の側縁に傾斜壁51よりも高さが低い止壁82が上方に向けて延ばされた形状の保管体80を用いてストッカ50Aが構成されてもよい。このようなストッカ50Aによれば、多数の景品PRを底壁81及び止壁82にて受け止めつつ傾斜壁51に沿って貯留することができる。背面壁4cをストッカ50Aの壁部材として利用することを必ずしも必要とせず、保管体80を背面壁4cから離して配置することも可能である。そして、底壁81の適宜の位置に少なくとも一つの開口部83を設けることにより、コンベア22による景品の搬送に連携して景品を開口部83から搬送面22aへと落下させることができる。なお、保管体80は、
図11と同様の構成で側壁4bと中間壁4dとの間に配置されてよい。傾斜壁51の左右方向の端部に側壁84が追加されてもよい。保管体80の開口部83の高さは、ストッカ50の例と同様に調整可能である。開口部83に可動式の開閉部材を設けて開口部83の幅Wを調整可能としてもよい。
【0063】
ストッカは、さらに異なる形態にて設けられてもよい。例えば、周囲が囲まれた円筒状、角筒状等の筒状、あるいは箱状のストッカを搬送面上に配置し、その底部に適宜の開口部を設けるようにしてもよい。ストッカは、その全体が遊技空間の搬送面上に配置されることを必ずしも要しない。例えば、ストッカの全体又は一部を背面壁4cの背後に配置し、そのストッカから搬送面22aに向けて案内経路を設けてその先端に搬送面22aに向けた開口部を設けてもよい。ストッカは、重力を利用して景品を搬送面上に落下させる例に限らない。例えば、景品を搬送面に向けて押し出すばね等の付勢手段を設け、景品の搬送に伴って生じた搬送面上の空スペースに景品を供給するものとしてもよい。この場合でも、搬送面に既に供給された景品が支えとなって開口部が塞がる制限状態と、その支えが取れて開口部から景品が供給される開放状態との間でストッカの状態を変化させることが可能である。
【0064】
搬送装置による搬送対象の遊技媒体は、ユーザにゲームの報酬として付与される景品PRに限らない。例えば、メダル、ボールといった媒体が遊技媒体として利用されてもよい。その場合、例えば、遊技媒体が所定の目標位置に到達したことをセンサ等で検出し、その検出に応答して、遊技媒体とは異なる報酬をユーザに払い出すといったように、ゲーム機の内部における遊技媒体の搬送に関わる構成と、ゲーム機の外部における報酬の払い出しに関わる構成とを区分してもよい。目標位置に達した遊技媒体をストッカに戻すようにすれば、搬送面上に逐次遊技媒体を供給することが可能である。
【0065】
ストッカ50、50Aには、開口部53、83を開閉し、あるいはその開口面積等を変化させる調整機構が設けられてもよい。その調整機構はさらに電動モータ、電磁アクチュエータ等の駆動源を利用して制御装置によりその動作を制御可能としてもよい。例えば、ゲーム機1が通常の状態で稼働しているときは調整機構を動作させることなく、開口部53、83からの自由落下を利用して景品PRを搬送面22aに供給し、ゲームにて何らかの都合が生じた場合に開口部53、83を閉鎖し、あるいは狭めるといった制御が適用されてもよい。
【0066】
上記の形態では、コンベア22を無限履帯として構成したが、コンベア22は一体成形された帯状体として構成されてもよい。コンベア22の搬送面22aは歯部22bを有する例に限らず、平面的に構成されてもよい。その場合でも、搬送面22aに複数の取付部を設け、爪部品40を選択的に取り付けることにより、搬送面22a上の適宜の位置に滑り止め部を設けることが可能である。
【0067】
搬送体は、ループ状のコンベア22に限らない。例えば、搬送方向の前方及び後方のそれぞれに巻取りローラを設け、それらのローラに搬送体の両端部を巻き付けて一方のローラから搬送体を繰り出し、他方のローラで搬送体を巻き取ることにより搬送面を移動させて景品を搬送するようにしてもよい。さらに、搬送体は、互いに平行に並べて設けられることを必ずしも要しない。例えば、目標位置を中心として複数の搬送体が放射状に並べられてもよいし、目標位置を挟んで複数の搬送体が対称的に並べられてもよい。搬送体のレイアウトとの関係でストッカの開口部も適宜の位置に配置されてよい。
【0068】
搬送体の駆動は、ユーザの操作に対応して制御されることを必ずしも要しない。例えば、ゲームにて所定の条件が満たされた場合に搬送体が駆動されてもよい。要するに搬送体はゲームと関連付けて駆動されるものであればよい。
【0069】
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する構成要素を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0070】
本発明の一態様に係るゲーム機は、遊技媒体(PR)が置かれるべき搬送面(22a)を有し、前記搬送面上の前記遊技媒体を遊技空間(GS)外に通じる排出口(8)に向けて搬送できるようにして前記遊技空間内に設けられた搬送体(22)、及び当該搬送体を駆動する駆動手段(25)を含む搬送装置(21)と、ゲームと関連付けて前記搬送装置を制御する制御装置(71)と、複数の遊技媒体を収容可能であり、各遊技媒体を前記搬送面上に供給するための開口部(53;83)が前記搬送面を向くようにして設けられたストッカ(50;50A)と、を備え、前記ストッカは、前記遊技媒体の供給に関する状態が、前記搬送面上の前記遊技媒体が支えとなって前記開口部からの前記遊技媒体の供給が制限される制限状態(一例として
図13の状態)と、前記搬送面上の前記遊技媒体の搬送に伴って前記支えが取れて前記開口部から少なくとも一つの遊技媒体が供給される開放状態(一例として
図14の状態)との間で変化するように設けられたものである。
【0071】
上記態様によれば、ストッカの開口部から搬送面に遊技媒体が供給されると、その遊技媒体が支えとなって開口部が塞がって制限状態となり、ストッカからの遊技媒体の供給が絶たれる。搬送体が駆動されて遊技媒体が移動するとその遊技媒体による支えが取れた開放状態となり、開口部から新たな遊技媒体が供給される。このように搬送体による遊技媒体の移動を利用してストッカを制限状態と開放状態との間で変化させるため、開口部を開閉する開閉駆動機構やその制御を必須とすることなく、遊技媒体を搬送面上に逐次供給することができる。それにより、ストッカの構成も比較的簡素なものとすることが可能である。
【0072】
上記態様において、前記ストッカが前記遊技空間の内部であってかつ前記搬送面よりも上方に配置され、前記開口部は前記保管体内の遊技媒体を前記搬送面に向けて落下させるように設けられてもよい。これによれば、重力を利用して遊技媒体をストッカから搬送面に供給することが可能である。したがって、ストッカの構成をさらに簡素化することができる。
【0073】
前記開口部の前記搬送面に対する高さ(H)、及び前記搬送面の搬送方向における幅(W)の少なくともいずれか一方が調整可能とされてもよい。高さ、又は幅を調整することにより、ストッカから搬送面への遊技媒体の供給の特性を適宜に変化させることができる。遊技媒体の大きさ、形状等の属性に合わせて開口部を適切に配置し、あるいは高さや幅の調整により遊技媒体の供給の特性を変化させ、それによりゲームの難易度等を調整することもできる。
【0074】
前記ストッカは、前記開口部から斜め上方に向かって延びるように設けられた傾斜壁(51)を備えてもよい。傾斜壁を設けることにより、ストッカ内の遊技媒体を傾斜壁に沿って開口部側に円滑に案内することが可能である。
【0075】
前記開口部の前記搬送面に対する高さ(H)、及び前記搬送面の搬送方向における幅(W)の少なくともいずれか一方が変化するように、前記傾斜壁の鉛直方向の位置、及び前記搬送方向の位置の少なくともいずれか一方が調整可能とされてもよい。傾斜壁の位置を調整することにより、開口部の高さや幅を変化させてストッカから搬送面への遊技媒体の供給の特性を適宜に調整することができる。
【0076】
前記傾斜壁の傾き(θ)が調整可能であってもよい。傾斜壁の傾きに応じて開口部からの遊技媒体の供給の特性を変化させることが可能である。
【0077】
さらに、前記傾斜壁の傾斜方向に沿った長さが調整可能であってもよい。傾斜壁の傾きを変化させると、それに伴って傾斜壁の鉛直方向の全高が変化する。それにより、ストッカの高さが不足し、あるいは余剰となる場合に、傾斜壁の長さを調整すれば、ストッカを適切な高さに設定することができる。
【0078】
前記搬送体は、前記ゲームをプレイするユーザからみて前記排出口よりも奥側から当該排出口に向けて前記遊技媒体を搬送するように設けられ、前記傾斜壁は、前記ゲームをプレイするユーザからみて、前記開口部から前記ユーザ側に向かって斜め上方に延びるように設けられてもよい。これによれば、ユーザからみて傾斜壁が手前側に向けて斜めに立ち上がるので、搬送面を観察するユーザの視界を傾斜壁が遮るおそれを解消し、あるいは抑制することができる。したがって、ゲームのプレイ中におけるユーザの視認性を損なうおそれがない。
【0079】
前記傾斜壁の少なくとも一部が、前記ストッカの内部の遊技媒体を外部から視認できる透過部として形成されてもよい。これによれば、ストッカ内部の遊技媒体をユーザがゲーム機の外部から視認できるので、多数の遊技媒体が保管されている様子をユーザに対してアピールすることができる。それにより、ゲーム機のアイキャッチ効果を高めるとともに、ゲームをプレイする動機付けをユーザに与えることが可能である。
【0080】
前記搬送面における前記遊技媒体の滑りを防止し、又は抑制する滑り止め部(22b、40A、40B、46)がさらに設けられてもよい。滑り止め部にて遊技媒体の滑りを防止し、あるいは抑制することにより、開口部から搬送面供給された遊技媒体が搬送面を滑るように無秩序に広がって多量の遊技媒体が一度に搬送面に供給されるおそれを排除し、あるいは抑制することができる。
【0081】
前記搬送装置には複数の搬送体が設けられ、前記開口部は前記複数の搬送体の搬送面のそれぞれに遊技媒体を供給できるように設けられ、前記滑り止め部は前記搬送体ごとに区別して滑り止め効果を調整できるように設けられてもよい。これによれば、搬送体ごとに遊技媒体の供給の特性を調整することが可能となる。したがって、搬送体間で供給の特性を意図的に差別化し、あるいは搬送体間における供給の特性のばらつきを解消又は抑制することができる。
【0082】
前記制御装置は、前記ユーザによる遊技価値の消費と引き換えに前記搬送装置が前記ユーザの操作に応じて駆動されるように前記駆動手段を制御し、前記ユーザが消費した前記遊技価値を定量化した消費量を検出する消費量検出手段(36、74、S121、S122)と、前記ユーザに払い出された報酬を定量化した報酬量を検出する報酬量検出手段(37、74、S123、S124)と、がゲーム機にさらに設けられ、前記制御装置には、前記消費量に対する前記消費量の比率として与えられるペイアウト率を演算してゲーム機の管理者に提示するペイアウト率提示手段(74、S125、S126、S141、S142)が設けられてもよい。これによれば、ストッカの開口部の高さ、幅、傾斜壁の傾き、あるいは滑り止め部の滑り止め効果を変化させて難易度を調整した場合、その調整の効果をペイアウト率の提示によって確認することが可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 ゲーム機
8 景品落下口(排出口)
20 ゲーム機構
21 コンベアユニット(搬送装置)
22 コンベア(搬送体)
22a 搬送面
22b 歯部(滑り止め部)
25 駆動装置(駆動手段)
36 コインセレクタ(消費量検出手段)
37 景品センサ(報酬量検出手段)
40、40A、40B 爪部品(滑り止め部)
46 落下調整部品(滑り止め部)
50、50A ストッカ
51 傾斜壁
53、83 開口部
71 制御ユニット(制御装置)
74 ゲーム管理部(消費量検出手段、報酬量検出手段、ペイアウト率提示手段)
80 保管体
81 底壁
82 止壁