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特許7384382ペット用の歩行支援装置および車輪支持構造
<図1>
  • 特許-ペット用の歩行支援装置および車輪支持構造 図1
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  • 特許-ペット用の歩行支援装置および車輪支持構造 図31
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  • 特許-ペット用の歩行支援装置および車輪支持構造 図34
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】ペット用の歩行支援装置および車輪支持構造
(51)【国際特許分類】
   A01K 15/02 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
A01K15/02
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019187193
(22)【出願日】2019-10-10
(65)【公開番号】P2021052729
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2018192336
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019181073
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】515081132
【氏名又は名称】旭工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】中村 仁
(72)【発明者】
【氏名】根岸 桃子
(72)【発明者】
【氏名】橋本 明秀
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-135929(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0104813(US,A1)
【文献】登録実用新案第3208757(JP,U)
【文献】特開2018-000167(JP,A)
【文献】特開2008-178332(JP,A)
【文献】登録実用新案第3181679(JP,U)
【文献】特開2008-035708(JP,A)
【文献】特開2007-275002(JP,A)
【文献】実開昭55-128524(JP,U)
【文献】実開平05-000020(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のようにして、ベース具およびジャケットを構成したことを特徴とするペットの歩行支援装置。
1.以下のようにしてベース具を構成した。
(1) 適用するペットの少なくとも腹部の一部を覆うことができる屈曲板状の基本部材を構成し、前記基本部材は、前記ペットの軸方向で、前側に腹部当接片を形成し、前記腹部当接片から後ろ側向けて、並列する第一基本部材片および第2基本部材片を形成した。
(2) 前記第一基本部材片および第2基本部材片は、前記ペットの軸方向で、背中部と両側面部の境界付近に位置させ、前記第一基本部材片と前記第2基本部材片の間に前記ペットの後ろ脚を位置させることができ、かつ前記ペットの排泄器官に対応した排出開口を含む大開口を形成した。
(2) 前記基本部材の腹部当接片の下面で、軸方向に直交する方向で、略水平方向の回転軸を備えた車軸受け手段を設けた。
(3) 前記回転軸の両端に、車輪支持部材の基端側を、前記回転軸に対して取り付け角度調整自在となるよう角度調整機構を介して取り付けた。
(4) 前記車輪支持部材の先端部を前記ペットから離れる側に位置させ、前記車輪支持部材の下端部に車輪を取り付けた。
2.以下のようにジャケットを構成した。
(5) 前記基本部材の上面および下面を覆う柔軟材料からなる後ろジャケットと、前記後ろジャケットの前側に連続した前ジャケットとからジャケットを構成した。
(6) 前記後ろジャケットは、前記第一基本部材片を覆う第一カバー部と、前記第2基本部材片を覆う第二カバー部とを備え、前記第一カバー部の後ろ側の端部と前記第二カバー部の後ろ側の端部とを連結できる連結部を形成した。
(7) 前記第一カバー部と前記第二カバー部との間に中央開口を形成し、かつ前記後ろジャケットの下面に、前記車軸受け手段および前記車支持部材を露出させることができる下面開口を形成した。
【請求項2】
以下のように構成したことを特徴とする請求項1に記載のペットの歩行支援装置。
(1) 後ろジャケットに第一の構造または第二の構造により、第一U字状ベルトおよび第二U字状ベルトを取り付けた。
第一の構造では、「第一U字状ベルトの基端側および第二U字状ベルトの基端側を前記後ろジャケットに固定し、ペットの後ろ脚を位置させる中央開口内で、前記第一U字状ベルトと前記第二U字状ベルトとが交差した状態で、前記第一U字状ベルトの先端側および前記第二U字状ベルトの先端側を着脱自在に前記後ろジャケットに取り付けた。」あるいは
第二の構造では、
「U字状の間にペットの後ろ脚を挿入できる前記第一U字状ベルトおよび第二U字状ベルトを前記後ろジャケットに取り付けし、前記第一U字状ベルトおよび第二U字状ベルトの屈曲部をベルト連結片で連結した。」
(2) 第一カバー部の後ろ側の端部と前記第二カバー部の後ろ側の端部とを連結部で連結した状態で、前記連結部を覆うことができる補強部材を前記後ジャケットに設けた。
(3) 前記後ろジャケットの前側に前記ペットの上面側の一部を覆うことができる後ろ側固定ベルトを着脱自在に設けた。
(4) 前記前ジャケットに前記ペットの上面側の一部を覆うことができる前側固定ベルトを着脱自在に設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬など四脚歩行するペットが装着して使用するペット用の歩行支援装置およびこれに使用する車輪支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脚の弱ったペット用の車椅子や歩行補助具として、後ろ脚付近に車輪を設けた棒状のフレームを組んで、これにペットの胴体を支える構造であった(特許文献2~5)を載せ、さらにペットの後足もささせる脚部保持部をもうける場合もあった(特許文献3)。あるいは、車輪を設けた板にペットを載せる構造のものもあった(特許文献1)。また、ペットの後ろ脚と胴部を下から包む補助具を装着して、ペットが補助具を地面に擦りながら前脚で歩行する構造のものも提案されている(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-187937号公報
【文献】特開2005-22号公報
【文献】特開2006-314226号公報
【文献】特開2009-219477号公報
【文献】特開2017-209093号公報
【文献】特開2017-205076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のペット用車椅子や歩行補助具では、金属などからなる棒状のフレームが露出して、ペットがフレームに囲まれてあるいは板に載せられて、機械的にペットを歩かせている雰囲気があり、ペットのオーナーや他の人がそのペットに近寄り難く(特許文献1~5)、またペットが補助具を地面に擦りながら前脚で歩く構造のものでは、ペットに苦痛も与えていた(特許文献6)。また、ペットが走行時、休憩時など様々な行動に合わせて、ストレスないような提案はなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ペットを支える硬質材料からなるベースと、ペース覆う柔軟材料からなるジャケットとから歩行支援装置を構成し、また、車軸支持構造を構成したので、前記問題点を解決した。
【0008】
この発明(主に軽度疾患のペット用)は、以下のようにして、ベース具およびジャケットを構成したことを特徴とするペットの歩行支援装置である。
1.以下のようにしてベース具を構成した。
(1) 適用するペットの少なくとも腹部の一部を覆うことができる屈曲板状の基本部材を構成し、前記基本部材は、前記ペットの軸方向で、前側に腹部当接片を形成し、前記腹部当接片から後ろ側向けて、並列する第一基本部材片および第2基本部材片を形成した。
(2) 前記第一基本部材片および第2基本部材片は、前記ペットの軸方向で、背中部と両側面部の境界付近に位置させ、前記第一基本部材片と前記第2基本部材片の間に前記ペットの後ろ脚を位置させることができ、かつ前記ペットの排泄器官に対応した排出開口を含む大開口を形成した。
(2) 前記基本部材の腹部当接片の下面で、軸方向に直交する方向で、略水平方向の回転軸を備えた車軸受け手段を設けた。
(3) 前記回転軸の両端に、車輪支持部材の基端側を、前記回転軸に対して取り付け角度調整自在となるよう角度調整機構を介して取り付けた。
(4) 前記車輪支持部材の先端部を前記ペットから離れる側に位置させ、前記車輪支持部材の下端部に車輪を取り付けた。
2.以下のようにジャケットを構成した。
(5) 前記基本部材の上面および下面を覆う柔軟材料からなる後ろジャケットと、前記後ろジャケットの前側に連続した前ジャケットとからジャケットを構成した。
(6) 前記後ろジャケットは、前記第一基本部材片を覆う第一カバー部と、前記第2基本部材片を覆う第二カバー部とを備え、前記第一カバー部の後ろ側の端部と前記第二カバー部の後ろ側の端部とを連結できる連結部を形成した。
(7) 前記第一カバー部と前記第二カバー部との間に中央開口を形成し、かつ前記後ろジャケットの下面に、前記車軸受け手段および前記車支持部材を露出させることができる下面開口を形成した。
【0009】
また、前記発明において、以下のように構成したことを特徴とするペットの歩行支援装置である。
(1) 後ろジャケットに第一の構造または第二の構造により、第一U字状ベルトおよび第二U字状ベルトを取り付けた。
第一の構造では、「第一U字状ベルトの基端側および第二U字状ベルトの基端側を前記後ろジャケットに固定し、ペットの後ろ脚を位置させる中央開口内で、前記第一U字状ベルトと前記第二U字状ベルトとが交差した状態で、前記第一U字状ベルトの先端側および前記第二U字状ベルトの先端側を着脱自在に前記後ろジャケットに取り付けた。」あるいは
第二の構造では、
「U字状の間にペットの後ろ脚を挿入できる前記第一U字状ベルトおよび第二U字状ベルトを前記後ろジャケットに取り付けし、前記第一U字状ベルトおよび第二U字状ベルトの屈曲部をベルト連結片で連結した。」
(2) 第一カバー部の後ろ側の端部と前記第二カバー部の後ろ側の端部とを連結部で連結した状態で、前記連結部を覆うことができる補強部材を前記後ジャケットに設けた。
(3) 前記後ろジャケットの前側に前記ペットの上面側の一部を覆うことができる後ろ側固定ベルトを着脱自在に設けた。
(4) 前記前ジャケットに前記ペットの上面側の一部を覆うことができる前側固定ベルトを着脱自在に設けた。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、硬い材料のべース部材を柔軟な材料のジャケット部材で覆ったので、犬体がベース部材に直接接触することがなく、通常のジャケットと同様のジャケット部材を装着した感覚に近く、犬体が歩行支援装置を装着したことによるストレスが軽減できる。また、ベース部材の機械的な構造部分が車輪周辺を除きジャケット部材に覆われ、露出しないので、健常な犬体に較べても周囲の観察者の違和感も軽減できる。
また、ベース部材およびジャケット部材に排泄開口を形成したので、犬体の排泄器官は排泄開口から露出し、歩行支援装置を装着中に、犬体が排泄した場合にも、犬体にストレスは無く、歩行支援装置が汚れるおそれも軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の軽度疾患タイプの第1の実施態様の斜視図を表す。
図2】この発明の軽度疾患タイプの第1の実施態様で、(a)は左側面図、(b)は平面図、(c)は正面図、をそれぞれ表す。
図3】この発明の軽度疾患タイプの第1の実施態様で、犬体に装着した状態を表す斜視図を表す。
図4】この発明の軽度疾患タイプの第1の実施態様の第一タイプで、犬体に装着した状態を表し、(a)は左側面図、(b)は平面図、(c)は正面図、をそれぞれ表す。
図5】この発明の軽度疾患タイプの第1の実施態様に使用するベース具の斜視図を表す。
図6】この発明の軽度疾患タイプの第1の実施態様に使用するベース具で、(a)は左側面図、(b)は平面図、(c)は正面図、をそれぞれ表す。
図7】この発明の軽度疾患タイプの第1の実施態様に使用するベース具で、犬体との関係を表す斜視図を表す。
図8】この発明の軽度疾患タイプの第1の実施態様に使用するベース具で、犬体との関係を表し、(a)は正面図、(b)は平面図(回転)、(c)は右側面図、である。
図9】この発明の重度疾患タイプの第1の実施態様の斜視図を表す。
図10】この発明の重度疾患タイプの第1の実施態様で、(a)は左側面図、(b)は平面図、(c)は正面図、をそれぞれ表す。
図11】この発明の重度疾患タイプの第1の実施態様の第一タイプで、犬体に装着した状態を表す斜視図を表す。
図12】この発明の重度疾患タイプの第1の実施態様の第一タイプで、犬体に装着した状態を表し、(a)は左側面図、(b)は平面図、(c)は正面図、をそれぞれ表す。
図13】この発明の重度疾患タイプの第1の実施態様の第一タイプで、(a)は底面図、(b)はジャケットの底面図、をそれぞれ表す。
図14】この発明の重度疾患タイプの第1の実施態様に使用するベース具の斜視図を表す。
図15】この発明の重度疾患タイプの第1の実施態様に使用するベース具で、(a)は左側面図、(b)は平面図、(c)は正面図、をそれぞれ表す。
図16】この発明の重度疾患タイプの第1の実施態様に使用するベース具で、犬体との関係を表す斜視図を表す。
図17】この発明の重度疾患タイプの第1の実施態様に使用するベース具で、犬体との関係を表し、(a)は左側面図、(b)は平面図、(c)は正面図、をそれぞれ表す。
図18】この発明の重度疾患タイプの第1の実施態様に使用するベース具の車輪支持構造で、(a)は第一調整機構の斜視図、(b)は第二調整機構の斜視図、(c)~(e)は接合面の可動を表す概略した断面図を表す。
図19】この発明の重度疾患タイプの第1の実施態様に使用するベース具の車輪支持構造で、(a)は第一調整機構の接合面の正面図、(b)は第二調整機構の接合面の正面図、(c)は第二調整機構の接合面の正面図斜視図、をそれぞれ表す。
図20】この発明の重度疾患タイプの第1の実施態様に使用するベース具の車輪支持構造の全体を表す写真で、(a)は正面図、(b)は斜視図 をそれぞれ表す。
図21】この発明を適用する犬体で、(a)は左側面図、(b)は平面図、(c)は正面図をそれぞれ表す。
図22】この発明の重度疾患タイプの第2の実施態様で、犬体に装着した状態を表す斜視図を表す。
図23】この発明の重度疾患タイプの第2の実施態様で、(a)は左側面図、(b)は平面図、(c)は正面図、を表す。
図24】この発明の軽度疾患タイプの第2の実施形態で、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、を表す。
図25】この発明の軽度疾患タイプの第2の実施形態で、(a)は右側面図、(b)は排泄物収容袋の斜視図、(c)は組み立て途中の平面図、(d)は排泄物収容袋を取り付けた状態の平面図、を表す。
図26】この発明の軽度疾患タイプの第2の実施形態で使用するベース具で、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、を表す。
図27】この発明の軽度疾患タイプの第2の実施形態で使用するベース具で、(a)は左側面図、(b)は犬体を合わせた状態の斜視図、を表す。
図28】この発明の軽度疾患タイプの第2の実施形態で使用するジャケットで、(a)は平面図、(b)はU字状ベルトを変形させた平面図、(c)は底面図、を表す。
図29】この発明の軽度疾患タイプの第2の実施形態で、(a)は犬体に装着した状態の正面図、(b)は犬体に装着した状態の斜視図、を表す。
図30】この発明の軽度疾患タイプの第2の実施形態のベース具および重度疾患タイプの第3の実施形態のベース具に使用する車軸支持手段で、(a)は一部を透視した状態の拡大左側面図、(b)は機構軸付近の一部を透視した拡大正面図、を表す。
図31】この発明の軽度疾患タイプの第2の実施形態のベース具および重度疾患タイプの第3の実施形態のベース具に使用する角度調整機構で、(a)は一側の車軸支持部材側で透視した分解図、(b)は他側の向きの分解図、を表す。
図32】この発明の軽度疾患タイプの第2の実施形態のベース具および重度疾患タイプの第3の実施形態のベース具に使用する車輪支持部材で、(a)は一部を透過させた車軸支持部材の拡大右側面図、(b)は車軸支持部材の拡大左側面図、を表す。
図33】この発明の重度疾患タイプの第3の実施形態で、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は犬体に装着した状態の斜視図、を表す。
図34】この発明の重度疾患タイプの第3の実施形態で、(a)はベース具の底面図、(b)はベース具の左側面図、(c)はジャケットの平面図、(d)はジャケットの底面図、を表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面に基づきこの発明の実施態様を説明する。
【0017】
A.この発明を適用する犬体(ペット)について(図21
【0018】
犬体100は、頭部101、前脚102、102、後ろ脚103、103、尾104とし、前脚102と後ろ脚103の方向(頭部101と尾104の方向)を軸方向120とする。
頭部101と前脚102の間で、正面側を前胸部105とする。また、前脚102と後ろ脚103の間で、下側(地面側)を腹部106、上側を背中部107、腹部106と背中部10
7との間で中間高さを側面部108a、108bとする。
また、後ろ脚の付け根周辺(側面の後ろ側の端)を腰部109とする。また、大便、小便の排出器官110、110とする。
また、軸方向120で犬体100の頭部101側を前側、尾104側を尾後ろ側とする。また、尾104を除いて、一番後ろ側を後ろ端111とする。
なお、この発明は、後ろ脚103が不自由となった犬体100に適した発明であり、犬体100は主に、胴腰の疾患(椎間板ヘルニアなど)を発症しやすいダックスフンド系の犬種を想定しているが、交通事故などで胴腰を損傷する場合もあり、当然、他の犬種または四脚歩行の他の動物のペットに適用することもできる(図示していない)。
また、以下において、犬体100後ろ脚103.103の疾患の程度により、軽度疾患、重度疾患とする。軽度疾患ではまだ後ろ脚103の機能が残り、後ろ脚103を地面に置くことができる場合などをさし、重度疾患では後ろ脚103を地面に置くことができない場合などをさす。
【0019】
B.軽度疾患タイプの第一の実施態様
【0020】
図1図8図21に基づきこの発明の第一の実施態様について説明する。このペットの歩行支援具60は、ベース具30とジャケット40とを備えて構成する(図1図4)。
【0021】
B-1.ベース具30の構成
【0022】
(1) この発明の装置を装着する犬体(ペット)の軸方向120で、背中部107と一方の側面部108aとの境界付近の高さ位置に配置できるように、第一基本部材1を形成し、背中部107と他方の側面部108bとの境界付近の高さ位置に配置できるように、第二基本部材11を形成する。第一基本部材1および第二基本部材11は、棒状の板材(縦長長方形状の断面)から構成したが(図5図8)、断面円形の棒材あるいは中空のパイプ材など任意であり、犬体の体重を支える程度の剛性を備えた硬質材料(各種金属や各種樹脂など)であれば良い。
第一基本部材1および第二基本部材11を並列して、第一基本部材1の前側2の端部3と第二基本部材11の前側12の端部13とを、犬体100の前胸部105付近に位置させることができる胸部支持部材20で連結する。胸部支持部材20は、犬体100の前胸部105に添って配置される程度の柔軟性とある程度の保形性を備える材料で構成される。また、胸部支持部材20は中間部21が両端部(第一基本部材1側、第二基本部材11側)よりやや下がった位置となるように形成されている。
また、第一基本部材1の後ろ側4の端部5と第二基本部材11の後ろ側14の端部15には、犬体や他のペットや人に触れてもけがが無いように、端部保護材6、16をそれぞれ取り付ける。また、第一基本部材1の後ろ側4の端部5と、第二基本部材11の後ろ側14の端部15は、犬体の後ろ端111から軸方向120で後ろ側に若干突出させたが(図1図4)、犬体100の後ろ脚103周辺あるいは犬体100の後ろ端111から多少後ろ側に突出した位置の間に収めることが望ましい。
【0023】
(2) 第一基本部材1および第二基本部材11の中間部で、犬体100の後ろ脚103より軸方向120で若干前側に、それぞれ車輪取付部7、17を設け、車輪取付部7、17は、それぞれ、第一基本部材1および第二基本部材11の断面の全部または一部を覆う構造の樹脂材料などからなる。車輪取付部7、17(または、直接、第一基本部材1、第二基本部材11)に、棒状の板材(縦長長方形状の断面)からなる車輪支持部材24の上端部を、それぞれ連結して、それぞれの車輪支持部材24の下端部に車輪25の車軸25aを回転自在に取り付ける。車輪支持部材24は、上端部はほぼ鉛直で、中間部が犬体100から離れる側に屈曲され、下端部は略鉛直で、車輪支持部材24の下端部の車軸25aは略水平に配置されている。
また、各車軸25a、25aは、軸120方向で、前側(腹部支持部材22側)から見て、内側の端(すなわち、犬体100に近い側)が低く、外側の端(すなわち、犬体100から離れる側)が高くなるように若干傾斜して形成され、両車輪25、25が若干「ハ」字状に配置されている(図2(a)、図4(a)、図6(a))。これは安定走行のためである。
車輪25は、犬体100の後ろ脚103の可動範囲より軸方向120で、十分に前側に位置して、使用時に車輪25と犬体100の後ろ脚103とが接触しないように、車輪取付部7、17、車輪支持部材24および車輪25が構成される。
また、車輪取付部7、17は、第一基本部材1、第二基本部材11の長さ方向(軸120方向)で、摺動自在に取り付けられ、かつ特定した位置で確実に固定され、通常の使用状態で位置がずれないように構成されているが、位置を固定することもできる。
【0024】
(3) 犬体100の腹部106を支えるベルト状の形状の腹部支持部材22の両端部を、それぞれ第一基本部材1および第二基本部材11に取り付けた。腹部支持部材22は(ジャケット40を介して)犬体100にある程度の圧力で触れるので、犬体100に影響が無いような柔軟性と強度を併せ持つ材料で構成される。また、腹部支持部材22をベルト状の形状としたが、形状は任意である。
【0025】
(4) 以上のようにして、ベース具30が構成される(図5図8)。なお、第一基本部材1は、「車輪取付部7の前側2」および/または「車輪取付部7の後ろ側4」を伸縮可能(長さ調整自在)に構成することもできる(図示していない)。第二基本部材11も同様である。
なお、この構造のベース具30では、第1基本部材1と第2基本部材11とが後ろ側4、14で十分に離れており、空間があいているので、排泄開口を構成できるが、第1基本部材1の後ろ側4と第2基本部材11の後ろ側14に連結する部材を設けた場合には、連結する部材に排泄開口を形成する必要がある(図示していない)。
【0026】
(5) なお、腹部支持部材22は、胸部支持部材20とともに第1基本部材1と第2基本部材11とを連結して間隔を保ち、またこれにより車輪取付部7、17を所定位置に保つ役割などを担うが、胸部支持部材20で第1基本部材1と第2基本部材11とを保形できれば、省略することもできる(図示していない)。また、この場合、腹部支持部材22は、適用する犬体100の腹部106が下方に下がらないよう支える機能も有するが、腹部支持部材22を省略した場合には、あるは省略しない場合でも、後述するジャケット40に犬体100の腹部106を支える機能を付与することもできる。
また、第1基本部材1と第2基本部材11とを連結して間隔を保ち、車輪取付部7、17を所定位置に保つ役割など担うために、車輪取付部7、17とを連結する補強部材27を設けることもできる(図6(a)(b))。とりわけ、腹部支持部材22と胸部支持部材20とで、第1基本部材1と第2基本部材11とを保形する作用が弱い場合に有効であり、腹部支持部材22と胸部支持部材20の一方または両方を省略することもできる(図示していない)。
【0027】
B-2.ジャケット40の構成
【0028】
(1) 犬体100の前脚102、102側(周辺)に位置する前ジャケット41と、後ろ脚103側(周辺)に位置する後ろジャケット51とからジャケット40を構成する。前ジャケット41と後ろジャケット51とは、犬体100が直接触れるので、犬体100の皮膚に影響が無いように、布などの柔軟な材料または、接触面が滑らかな材料で構成される。
前ジャケット41は、犬体100の下側(地面側。すなわち前胸部105および腹部106の前側)に当接する(覆う)ことができる形状で、かつ犬体100の前脚102、102を挿入できる前脚開口42、42を備えた柔軟材料からなる。また、前ジャケット41の上部周縁部には、第一基本部材1の前側2、第二基本部材11の前側12および腹部支持部材22に着脱自在に装着するために、開閉できる折り返し袋状部43を形成してある。第一基本部材1側の折り返し袋状部43の中間位置43aと、第二基本部材11側の折り返し部43の中間位置43bとを結び、かつ犬体100の背中部107の前側に位置する柔軟な材料からなる背中連結片45を取り付けてある。背中連結片45は、中間部46で分離可能に形成してあるが(図1図4)、第一基本部材1側の折り返し袋状部43の中間位置43aあるいは、第二基本部材11側の折り返し袋状部43の中間位置43bで、着脱自在に形成することもできる(図示していない)。
【0029】
(2) 後ろジャケット51は、ベース具30の第一基本部材1に取り付ける第一U字状ベルト52と、ベース具30の第一基本部材1に取り付ける第二U字状ベルト53と、両ベルト52、55を連結するベルト連結片58とから構成する(図2(b))。
第一U字状ベルト52は、ベース具30の第一基本部材1の後ろ側4に巻き付けられる取付部材52aに、下に凸のU字状の基部53の上端部(略平行な縦の2本)を取り付けて形成される。すなわち、第一U字状ベルト52は、前側の端53a、後ろ側の端53bをそれぞれ取付部材52aに固定されるが、ここでは前側の端53aは取り外し不可に固定し、後ろ側の端53bは、取り外し容易に、かつ複数位置に取り付けられるようになっている。例えば、後ろ側の端53bにフックを設け、取付部材52aの複数位置に、フックを係止できるフック受けを設けて構成する(図示していない)。
また、取付部材52aはベース具30の第一基本部材1の後ろ側4を覆い(すなわち、端部保護材6と車輪取付部7との間に配置される)、第一基本部材1に対して着脱自在となっている。基部53のU字状の間が犬体100の後ろ脚103を挿入する後ろ脚開口54となっている。
同様に、第二U字状ベルト55は、ベース具30の第二基本部材11の後ろ側14に巻き付けられる取付部材55aに、下に凸のU字状の基部56の上端部(略平行な縦の2本)を取り付けて形成される。すなわち、第二U字状ベルト55は、(第一U字状ベルト52と同様に)前側の端56a、後ろ側の端56bをそれぞれ取付部材55aに固定されるが(図2(b)(c))、ここでは前側の端56aは取り外し不可に固定し、後ろ側の端56bは、取り外し容易に、かつ複数位置に取り付けられるようになっている(図2(b)(c))。例えば、後ろ側の端56bにフックを設け、取付部材55aの複数位置に、フックを係止できるフック受けを設けて構成する(図示していない)。
また、取付部材56aはベース具30の第二基本部材11の後ろ側14を覆い(すなわち、端部保護材16と車輪取付部17との間に配置される)、第二基本部材11に対して着脱自在となっている。基部55のU字状の間が犬体100の後ろ脚103を挿入する後ろ脚開口57となっている。
ベルト連結片58は、第一U字状ベルト52の基部53の下端部(下に凸の屈曲部)と、第二U字状ベルト55の基部56の下端部(下に凸の屈曲部)とを連結している。
第一U字状ベルト52、第二U字状ベルト55およびベルト連結片58は、犬体100に触れるので柔軟な材料で、かつベース具30とともに犬体100の体重を支える強度を備える。また、第一U字状ベルト52の後ろ側と第二U字状ベルト55の後ろ側とベルト連結片58の後ろ側と、第一U字状ベルト52の前側と第二U字状ベルト55の前側とベルト連結片58の後ろ側とが、犬体100の尾104および犬体の排泄部110、110を露出させる開口59、59を構成する。
【0030】
B-3.ペットの歩行補助装置60の構成と使用
【0031】
(1) 第一基本部材1の前側2、第二基本部材11の前側12、および胸部支持部材20に、前ジャケット41の折り返し袋状部43を、巻き付けるように装着する。また、第一基本部材1の後ろ側4、第二基本部材11の後ろ側14に、後ろジャケットの両U字状ベルト52、55の上端部53、56を取り付ける。
以上のようにして、歩行支援装置60を構成する(図1図4)。
【0032】
(2) この歩行支援装置60を使用する犬体100は、椎間板ヘルニアなどを疾患して、後ろ脚103、103で自ら十分に歩行することができない状態にある。
前ジャケット41の背中連結片45の中間部46を開いた状態で、歩行支援具60の上方から、犬体100を降下して、前脚102、102、後ろ脚103、103、腹部106を歩行支援具に近づける。犬体100の前脚102を、前ジャケット41の前脚開口42、42から挿入し、後ろ脚103、103を後ろジャケット51の第一U字状ベルト52の後ろ脚開口54、第二U字状ベルト55の後ろ脚開口57に挿入する。これにより、前ジャケット41が犬体100の前胸部105および腹部106の前側に装着されるので、背中連結片45の中間部46を連結して、歩行支援装置60の装着が完了する。
【0033】
(3) 犬体100は、健全な前脚102、102と車輪25、25で接地して、体重を支えるので、後ろ脚103、103を接地することなく、容易に歩行することができる。この際。車輪25、25は「ハ」字状に配置されているので、犬体100とともに歩行支援装置60が倒れることを防止して、安定した走行ができる。また、歩行支援装置60を装着した状態で、排出器官110、110がジャケット40の開口59などから露出するので、犬体100はストレスが無く、また歩行支援装置60が汚れることがない。
また、犬体100の障害の程度や能力に合わせて、後ろジャケット51(U字状ベルト52、55)などを調整して、犬体100のリハビリを行うこともできる。
また、犬体100は、ベース具30が直接接触することがなく、通常のジャケットと同様のジャケット40を装着した感覚に近く、歩行支援装置60を装着したことによるストレスが軽減できる。また、ベース具30の機械的な構造部分が車輪25周辺しか露出しないので、健常な犬体に較べて、周囲の観察者の違和感も軽減できる。
また、歩行支援装置60が汚れた場合、ベース具30からジャケット40を取り外して、ジャケット40のみを洗濯をすることができる。
また、装着した犬体100に多少後ろ脚103、103の機能が残存する場合、後ろ脚103、103に車輪25が触れることが無く、また、後ろ脚103、103の接地付近にジャケット40、ベース具30などもなく、犬体100にストレスを生じさせることが無い。
【0034】
C.重度疾患タイプの第一の実施態様
【0035】
図9図21に基づきこの発明の第2の実施態様について説明する。このペットの歩行支援具60は、ベース具70とジャケット90とを備えて構成する(図9図12)。
【0036】
C-1.ベース具70の構成
【0037】
(1) 犬体100の軸方向120で、前脚102からやや後ろ側から後ろ側の全体(腹部の後ろ側を含み。後ろ脚103、103も含む。)を載せることができる屈曲板状の基本部材71を構成する。基本部材71は、軸方向120に直角の方向で、下に凸の断面半円弧の板状で、前側73の上縁72は、犬体100の側面部108の上方、背中部107付近に至って、犬体100が通常の動きをしても脱落や転倒をしないような形状となっている。後ろ側74の上縁72は、後ろ側に向けて下がって、基本部材71の後ろ端74aは、平面視で円弧状に形成してある。
また、基本部材71で、犬体100の排出器官110、110の位置に合わせて、楕円形状(開口縁が曲線)の開口76を形成してある。
【0038】
(2) 基本部材71の前側73の前端73a付近の下面に、車輪支持部材81を受ける回転軸79(略水平方向で、先端をやや上方に向けてある)を有する軸受け部78、78を形成する。各軸受け部78に、先端部に車輪83を有する車輪支持部材81の基端部を回転自在に取り付ける。車軸支持部材81は、軸受け部78の回転軸79に斜め下向きで後ろ側に車輪83を向けて取り付けてあり、ラチェットギアのような角度調整機構84が内蔵されている。また、車輪支持部材81、81は安定走行できるように、車輪83が外側に向けて傾斜して配置されている。
したがって、車輪支持部材81は、角度調整機構84により使用モードで通常、水平から下方30°程度を基準位置として、上下に所定角度(5~15°程度)毎に傾斜角度を変更できるようになっている。
回転軸79、79は、前側73の前端73a側(基本部材71の前側。犬体100頭部側)から見た状態で、内側が低く、外側が高くなるように若干傾斜して形成されている。
また、車軸支持部材81の基端部に外径半球型のキャップ部78aが形成され、各回転軸79は外形半球型のキャップ部78a内に形成され、さらに両回転軸79、79を結ぶ屈曲円柱状のカバー78bが形成され、略水平に配置した屈曲円柱の中間部が下方に下がった形状であり、かつ、基本部材の外面の曲面に沿って切り欠いた形状となっている。
【0039】
(3) 軸受け部78、78は、屈曲円柱体状の軸受け基部135の両端部に位置し、軸受け基部135は回転軸79、79が所定の角度を形成できるように、屈曲して形成してある。また、基部135は、ベース具70の基本部材71の前側73の外面75aに密着するために、外面75aの形状に合わせて、基体78aの中間部に外面75aの形状に合わせた屈曲切り欠き136、および軸受け基部135の上側に保形部137、137が形成されている(図20)。なお、当然に、保形部137の内面と屈曲切欠の内面は、基体78aの中間部に外面75aの形状に合わせて面一に形成されている(図20(a))。
なお、軸受け基部135の両端に軸受け部78、78(回転軸79,79)を有する構造としたが、軸受け基部135を2つに分離して、基本部材71の外面75aに、軸受け部78、78を別々に形成することもできる(図示していない)。また、回転軸79を基本部材71に対して所定角度で形成できれば、軸受け部78の構造は任意である(図示していない)。
【0040】
(4) 角度調整機構84は、回転軸79と同軸の機構軸82を有し、かつ回転軸79に連結された第一調整機構84aと、車軸支持部材81の軸方向に対して略直角に設定した機構軸82を共通にする第二調整機構84bとを備える。第一調整機構84aの接合面85aと第二調整機構84bの接合面85bとは、ほぼ同じ構造、同じ大きさで、機構軸82周りに円周方向にギザギザ面(谷・山が連続する)を構成する斜面(傾斜面)86a、86a(86b、86b)が形成され、ギザギザ面は機構軸82周りに斜面86a、86a(86b、86b)が連続する構造で、先端側に山、基端側に谷88a(88b)が形成されている。各山の頂点部分には傾斜が直角に近く突出した頂部87a(87b)が形成されている。なお、両接合面85a、85bは、機構軸82の円周方向にギザギザ(山・谷)が形成されるので、機構軸82から放射方向で同じ高さの面で形成される。
第一調整機構84aの接合面85aと第二調整機構84bの接合面85bとを機構軸82を一致させて、機構軸82周りに回転自在で、かつ山の頂部87aと谷88bとを、谷88aと山の頂部87bとを嵌合係止して、取り付ける(図18(c))。また、機構軸82にスプリングバネ89が介装され(図18(a))、第一調整機構84aの接合面85aと第二調整機構84bの接合面85bとが密着する方向に付勢されている(図18(c))。したがって、通常位置で、第一調整機構84aの接合面85aの山の頂部87a、87aが、第二調整機構84bの接合面85bの谷88b、88bに位置し、かつ第二調整機構84bの接合面85bの山の頂部87b、87bが、第一調整機構84aの接合面85aの谷88a、88aに位置して、スプリングバネ89によりその位置を維持する(図18(c))。
また、スプリングバネ89に抗して機構軸82を回転させるような若干の外力が作用すると、第二調整機構84aの接合面85bの山の頂部87bが、第一調整機構84aの接合面85aの谷88aを離れ、接合面85aの斜面86aに沿って移動し、第一調整機構84aの接合面85aの頂部87aに接触するまでの範囲で移動が可能となる(図18(d)。第一調整機構84aの接合面85aの頂部87aも同様の動きをする)。したがって、車輪支持部材81が機構軸82周りに回転しようする場合に相当し、車輪支持部材81(車輪83)のサスペンション効果(クッション効果)を生むことができる。この外力は、犬体100の自重と歩行中に生じる各種の衝撃程度となる。
さらに、スプリングバネ89に抗して機構軸82を回転させるような大きな外力を作用させると、第二調整機構84aの接合面85bの山の頂部87bが、第一調整機構84aの接合面85aの頂部87aを越え(図18(e))、第一調整機構84aの接合面85aと第二調整機構84bの接合面85bとのかみ合わせを変え、すなわち、回転軸79に対する車輪支持部材81の取付角度を変えることができる。この外力は操作者(人間)の力による。
また、スプリングバネ89の作用を調整することにより、上記車輪支持部材81(車輪83)のサスペンション効果(クッション効果)の強弱、回転軸79に対する車輪支持部材81の取付角度を変えるための外力の強弱を設定することができる。
なお、スプリングバネ89に代えて同様の機能を備えた他の弾性材料(弾性ゴムや板バネなど)を使用することもでききる(図示していない)。
【0041】
(5) また、前記における第一調整機構84aの接合面85aは、機構軸82の中心側に凹平坦面131を形成し、凹平坦面131の外周側に斜面86a、頂部87a、谷88aが形成されている(図19(a))。
また、第二調整機構84bの接合面85bは、機構軸82の中心側に凸平坦面132(凹平坦面131に対応する位置、形状)を形成し、凹平坦面132の外周側に斜面86b、頂部87b、谷88bが形成されている(図19(b)(c))。また、凹平坦面132の外周側に機構軸82と同心の内環状溝133が形成され、斜面86b、86b(頂部87b、谷88b)内にも機構軸82と同心の外環状溝134が形成されている(図19(b)(c))。
なお、前記接合面85a、85bのギザギザ面の構成は、前記の構造が望ましいが、互いに係止嵌合する「斜面86a、86a、谷88a」と「斜面86b、86b、谷88b」を有すれば、他の構造とすることもできる(図示していない)。さらに、車軸支持部材81の取付角度を変形できれば、他の構造とすることもできる(図示していない)。
【0042】
(6) 車軸支持部材81の先端で、外側に略水平の車軸83aを介して車輪83を取り付けてある。車軸83aは、軸方向で、開口76の後ろ側部分から開口76よりやや後ろ側に位置している。なお、前側73(基本部材71の前側73。犬体100頭部101側)から見た状態で、両車軸83a。83aはほぼ水平に形成されているので、両車輪25、25は地面に対してほぼ垂直に接地する。
なお、前記第1の実施態様のように、各車軸83a、83aを前側73(基本部材71の前側73。犬体100頭部101側)から見て、内側が低く、外側が高くなるように若干傾斜して形成して、両車輪25、25を「ハ」字状に配置させることもできる((図示していない。参考、図2(a)、図4(a)、図6(a))。
また、車軸支持部材81は、長さ方向に伸縮可能に形成することもできる。この場合には、使用中に不慮に長さが変わらないように、設定した長さで容易に移動できないようなストッパー機能を設けてある。
【0043】
(7) 車軸支持部材81は、ラチェットギアのかみ合わせを解除して、収納モードに切り替えると、車軸支持部材81は、水平状態よりも上方に移動し、回転軸79が斜めに配置されているので、車輪83が、基本部材71の外面に沿って位置するように車輪83を収納できる(図15鎖線図示81、83)。
【0044】
(8)以上のようにして、ベース具70を構成する(図14図17)。
【0045】
C-2.ジャケット90の構成
【0046】
(1) ジャケット90は、概略すれば上面91と下面92とからベース具70を覆う形状で、かつベース具70を覆う後ろ側94と、ベース具70から突出する前側93とからなる。ジャケット90は、犬体100に直接に触れるので、少なくとも上面91側は、ストレスを生じさせない柔らかい材質(例えば、柔軟な布)で構成される。
【0047】
(2) ジャケットの後ろ側94は、ベース具70の上面の全体を覆い、かつベース具70の下面で少なくともベース具70の周縁部を覆う形状で形成され、開口76に対応した上面開口95が形成されている(図10(b))。また下面92には、ベース具70の開口76に連続して軸受け部78、78(軸受け基部135の全体)も露出できる下面開口96が形成されている(図13(a)(b)、図10(b))。
また、ジャケット90の前側93(上面91と下面92)は、ベース具70の前端73aより前側に突出して、犬体100の前胸部105までも覆う形状で、犬体100の前脚102を挿入する前脚開口97を形成してある。前脚開口97は上縁からU字状に切り欠いて形成してある。
また、ジャケット90の前側93で、U字状の前脚開口97、97の上縁側をゆったりと塞ぐように、前脚開口97の前側の縁部と前脚開口97の後ろ側の縁部との間に、それぞれ、連結片98を着脱可能に取り付ける。また、犬体100の背中部107に掛ける固定ベルト98aを連結片98、97間に取り付ける。固定ベルト98aの中間部に設けられた金具で、二つに分離できるようになっている。したがって、固定ベルト98aは、軸方向で、前脚開口97、97付近に位置している。
また、ベース具70とジャケット90とがずれないように、下面92の下面開口96の前側の縁部に帯状のストッパー片99の基端部を固定し、ストッパー片99の先端部を上面91の上面開口95の前側の縁部に着脱自在に係止することもできる(図13(b))。
以上のように構成した上面91側の布と、下面92側の布とを外周縁で縫製して、一体のジャケット90を構成する。上面91側の上面開口95と下面92側の下面開口96とは重なり、すなわち、上部開口95が、下面開口96の一部分に含まれることなる。
【0048】
C-3.ペットの歩行補助装置60の構成と使用
【0049】
(1) ジャケット90の下面開口96からベース具70(基本部材71)の後ろ側74を挿入して、ベース具70にジャケット90を装着する。この状態で、重なった上面91側の上面開口95と下面92側の下面開口96に、ベース具70の開口76が重なり連通する。
また、この際、帯状のストッパー99を設けた場合には、取り付けた帯状のストッパー片99を後ろ側に向けて、帯状のストッパー片99をベース具70の開口76(上面91の上面開口95の前側の縁部)で折り返して、上面91の上面開口95の縁部に止めることもできる(図13(a)(b))。
以上のようにして、この発明の歩行支援装置60を構成する(図9図10)。なお、この歩行支援装置60では、ジャケット90の下面92側に大きな下面開口96を設けたので、下面開口96からベース具70に容易にジャケット90を着脱でき、ジャケット90が汚れた場合には交換して、あるいはジャケット90のみを洗濯することもできる。
【0050】
(2) この歩行支援装置60を使用する犬体100は、椎間板ヘルニアなどを疾患して、後ろ脚103、103で自ら十分に歩行することができない状態にある。第1の実施形態の場合より、後ろ脚103、103の機能が低下して、後ろ脚103、103を地面につくことができない場合を想定している。
固定ベルト98aの金具を連結せずに、両連結片98、98(両前脚開口97、97)側に分離させておき、歩行支援装置60の上面91側に、犬体100を横たえ、前脚開口97、97から前脚102、102を下方に突出させ、後ろ脚103、103を後ろ側94の端に位置させる。なお、後ろ脚103、103は、歩行支援装置60の上面91から後ろ側(軸方向120で)に突出させることもできる(図11図12)。続いて、固定ベルト98aの金具を結合して、固定ベルト98aを犬体100の背中107で頭部101に近い側に位置している。この状態の歩行支援装置60を歩行モードとする。
また、犬体100は、ベース具70が直接接触することがなく、通常のジャケットと同様のジャケット90を装着した感覚に近く、歩行支援装置60を装着したことによるストレスが軽減できる。また、ベース具70の機械的な構造部分が車輪25周辺しか露出しないので、健常な犬体100に較べて、周囲の観察者の違和感も軽減できる。
【0051】
(3) 歩行支援装置60を装着した犬体100を地面130に置くと、地面130に位置にあり(図12(a)(c))、前脚102、102と車輪25、25が地面130に当たる。
この状態で、角度調整機構84は、第1調整機構84aの頭部87a、谷88aが、第2調整機構84bの谷88b、頂部87bに位置するように(図18(c))、スプリングバネ89を調整してある。
【0052】
(4) この状態で、犬体100は、前脚102、102と車輪25、25で自由に歩行できる。また、犬体100が急激な歩行開始や、急激な歩行停止や、地面108の段差や障害物により、歩行支援装置60に外力(加速度)が生じた場合には、角度調整機構84で、第1調整機構84aの頭部87aが第2調整機構84bの谷88bから離れ、斜面86bに上がり(第2調整機構84bの頭部87bが第1調整機構84aの谷88aから離れ、斜面86aに上がり)、クッションとして外力(衝撃)を吸収でき、犬体100に付加を軽減できる。この状態は地面130a、車輪25の位置にある(図12(a)(c))。
この際のクッションの量、すなわち、第1調整機構84aの頭部87aが第2調整機構84bの斜面86bを上がりきり、頂部86bを越えないように(第2調整機構84bの頭部87bが第1調整機構84aの斜面86aを上がりきり、頂部86aを越えないように)(図18(e))、スプリングバネ89を予め調整しておく。
【0053】
(5) また、犬体100(前脚102、102)が疲労した場合には、歩行支援装置60を装着した犬体100をいったん、地面130から上げ、人が車軸支持部材81、81のそれぞれをやや力を入れて上側に(ジャケット90の下面92に近づくように)回転させれば、第1調整機構84aの頭部87aが第2調整機構84bの斜面86bを上がりきり、頂部86bを越える(第2調整機構84bの頭部87bが第1調整機構84aの斜面86aを上がりきり、頂部86aを越える)(図18(e))。したがって、車軸支持部材82、車輪25がベース具70の下面よりも上方に格納され、歩行支援装置60が地面130bに着き((図12(a)(c))、献体100が前脚102、102を畳めば、犬体100はいわゆる「伏せ」のポーズを取ることができる。休憩中の犬体100のストレスを軽減できる。
また、歩行支援装置60を走行モードに戻す場合には、逆に、人が車軸支持部材81、81のそれぞれをやや力を入れて下側に(ジャケット90の下面92から離れるように)回転させる。
【0054】
(6) また、歩行支援装置60を装着中に、犬体100が排泄した場合にも、排泄器官110、110はジャケット90の上面開口95、下面開口96、ベース具70の開口76から露出しているので、犬体100にストレスは無く、歩行支援装置60が汚れるおそれも軽減できる。
【0055】
D.重度疾患タイプの第二の実施態様
【0056】
(1) 図22図23に基づきこの発明の第2の実施態様の第2タイプについて説明する。このペットの歩行支援具60も、ベース具70とジャケット90とを備えて構成する。ベース具70は第1タイプと同一である(図9図12)。
【0057】
(2) ジャケット90は、第1タイプでは、前脚開口97を上端から下方にU字状の切り欠きを形成して構成したが、この第2タイプでは、楕円状の前脚開口97、97を形成する(図22、22)。すなわち、第1タイプでは、前脚開口97の上方に連結片98を設けたが、この第2タイプでは連結片98に代わり、残余片97aが形成され、残余片97a、97a間、あるいは前脚開口97、97の周辺、に固定ベルト98aが取り付けられる(図22、22)。
他の構成は、前記重度疾患タイプの第1の実施形態と同様である。
【0058】
E.軽度疾患タイプの第二の実施形態
【0059】
図24図32に基づきこの発明の軽度疾患タイプの第2の実施態様について説明する。このペットの歩行支援具60も、ベース具70とジャケット90とを備えて構成する。
【0060】
E-1.ベース具70の構成(図26図27図30図32
【0061】
(1) 犬体100の軸方向120で、前脚102の後ろ側の腹部106から後ろ側の全体の範囲に位置することができる屈曲板状の基本部材71を構成する。基本部材71は、軸方向120に直角の方向で、下に凸の断面半円弧の板状で、前側73の上縁72は、犬体100の側面部108の上方、背中部107付近に至って、犬体100が通常の動きをしても脱落や転倒をしないような形状に重心が設定されている(図26図27)。
基本部材71は、軸方向120で、後ろ端74aから切り込み、前側に向けて、軸方向120に直角な方向で中央部に切り欠きを形成して、前側73の残部を腹部当接片141として、腹部当接片141に連続して軸方向120で後ろ側に位置し(犬体100側面部108a、108bに位置する)第一基本部材片143、第二基本部材片146とする。第一基本部材片143と第二基本部材片146との間の大開口151が形成され、大開口151は、犬体100の後ろ脚103、103を位置させることができ、かつ排泄開口153を含む(図26図27)。
【0062】
(2) 基本部材71の腹部当接片141の前側の下面(前側73の前端73a付近の下面)に、帯状で硬質で撓みの少ない保形部137を形成する。なお、腹部当接片141の全体、第一基本部材片143、第二基本部材片146は撓みのある柔軟な材料で形成されている。
保形部137の下面に軸受け部78、78を設けて、車輪支持部材81を受ける回転軸79(略水平方向で、先端をやや上方に向けてある)を支持する。各軸受け部78に、先端部に車輪83を有する車輪支持部材81の基端部を回転自在に取り付ける。車軸支持部材81は、軸受け部78の回転軸79に斜め下向きで後ろ側に車輪83を向けて取り付けてあり、軸受け部78および車輪支持部81の基端側に角度調整機構84が内蔵されている。また、車輪支持部材81、81は安定走行できるように、車輪83が外側に向けて傾斜して配置されている(図32)。
したがって、車輪支持部材81は、角度調整機構84により使用モードで通常、水平から下方に所定角度(30°程度を想定しているが、任意)の範囲で傾斜角度を変更できるようになっている。
回転軸79、79は、前側73の前端73a側(基本部材71の前側。犬体100頭部側)から見た状態で、内側が低く、外側が高くなるように若干傾斜して形成されている(図30)。
また、車軸支持部81の基端側に外形半球型のキャップ部78aが形成され、軸受け部78とキャップ部78a内が角度調整機構84となっている(図27(a))。
【0063】
(3) キャップ部78a内に、回転軸79と同軸の機構軸82が配置され、機構軸82はキャップ部82aの頂点付近の押しボタン155により軸方向に移動可能となっており、機構軸の先端側に平板状の調整ギア156を軸支してある。軸受け部78には、調整ギア156を収容して調整ギア156が自由に回転できるギア収容部161を形成してあり、ギア収容部161の先端部(キャップ部78a側)の内周には、調整ギア156と噛み合わせできる内係止部162を形成してある(図31)。
また、キャップ部78内にもギア収容部157が形成してあり、ギア収容部157の内周には、調整ギア156と噛み合わせできる内係止部158(内係止部172と略同一形状)を形成してある。また、機構軸82には、通常時に、機構軸82とともに調整ギア156を内係止部158側に付勢するばね169を嵌装してある(図31)。
したがって、押しボタン155を操作しない通常には、調整ギア156は両内係止部158、162に噛み合い係止して、回転軸79に対して機構軸82(軸受け部78に対して車軸支持部材81の回動を規制する。また、ばね159に抗して押しボタン155を押すと、調整ギア156は、内係止部158、162から外れ、ギア収納部161内に至り回転軸79に対して、機構軸82(調整ギア156)の回転を許容し、車軸支持部材81を任意の角度で傾斜させることができる。この状態で押しボタン155を戻すとばね159により機構軸82および調整ギア156は当初位置に戻り、調整ギア156が内係止部158、162に係止して車軸支持部材81はその角度を保つ。また、調整ギア156には長孔156aが形成され、キャップ部78aの内側には長孔156aに挿入でき、機構軸82と平行な調整棒164が形成されており、この長孔156aと調整棒174により、車軸支持部材81の傾斜角度(機構軸82の回動角度)を水平から所定角度(30度程度)に設定してある(図31)。また、車軸支持部材81は長さ方向(軸方向)で軸の長さを調整(例えば3段階)可能となるように形成されている。
(4) また、車軸支持部材81の先端部には、車輪83の車軸83aには、車輪83を下方に押圧するばね166が配置され、車軸83の外側(すなわち車輪83側)が上下動するように車輪83にクッションと車軸83aの外側が10度程度の回動する変形を与えている(図32(b))。
【0064】
(5)以上のようにして、ベース具70を構成する(図26図27図30図32)。
図中166は車軸83aの角度(10°程度)変えることができ、一側に付勢させたバネである。また、図中167はバネキャップである(図32(a))。
【0065】
(6) また、前記車軸支持部材81の角度調整構造において、軸受け部78の内係止部161とキャップ部78aの内係止部162、158の両方に調整ギア156を噛み合合わせたが他の構成とすることもできる。例えば、機構軸82を軸受け部78に対して(回転軸79に対して)回転を規制し、軸受け部78の内係止部161を省略して、調整ギア156をキャップ部78aの内係止部158にのみ係止させることもできる。また、機構軸82をキャップ部78a8に対して回転を規制し、キャップ部78aの内係止部167を省略して、調整ギア156を軸受け部78の内係止部161にのみ係止させることもできる(いずれも図示していない)。
さらに、前記車軸支持部材81の角度調整構造において、車軸支持部材81の回動の許容または規制を選択的に調整できれば、調整ギア156と内係止部158、161以外の構成とすることもできる(図示していない)。
【0066】
E-2.ジャケット90の構成(図28
【0067】
(1) ジャケット90は、概略すれば上面91と下面92とからベース具70を覆う形状で、かつベース具70を覆う後ろ側94と、ベース具70から突出する前側93とからなる。ジャケット90は、犬体100に直接に触れるので、上面91および下面92(少なくとも上面91)は柔軟な布などストレスを生じさせない柔らかい材質で構成される。
【0068】
(2) ジャケット90の後ろ側94は、ベース具70の第一基本部材片143を挟んでその上下面を覆う第一カバー部171と、第二基本部材片143を挟んでその上下面2を覆う第二カバー部172と、腹部当接片141の上面を覆う腹部カバー部173とを備え、腹部カバー部173の下面側は、両軸受け部78、78を露出させる下面開口175を形成してある。また、第一カバー部171と第二カバー部172との間は中央開口174を構成している。
また、第一カバー部171の先端部と第二カバー部172の先端部(後ろ側)には、両先端部を重ねて着脱自在に連結できる面テープ片176、176aを形成してある。また、面テープ片176、176aを係合して、第一カバー部171の先端部と第二カバー部172の先端部とを結合した際に、その連結部(第一カバー部171の先端部と第二カバー部172の先端部を重ねた部分)に巻いて補強する帯状の補強ベルト(同様な柔軟な布製)177を形成し、第一カバー部171の先端部(またはと第二カバー部172の先端部)に、補強ベルト177の先端部を固定する。補強ベルト177は、連結部(第一カバー部171の先端部と第二カバー部172の先端部を重ねた部分)に1周半(少なくとも1周)を巻ける長さで形成されている。この場合、補強ベルト177の中間部と先端部とに互いに係止して長さを保持できる面テープやホックなどを取り付けてある。
また、腹部カバー部173の外側両端部(第一カバー部171の基端側、第二カバー部172の基端側)に、固定ベルト178、178の基端側をそれぞれ固定する。固定ベルト178、178の先端部には着脱自在の連結金物(樹脂製)が固定されており、犬体100の背中107側で固定ベルト178、178を連結して環状に形成できる。
また、第一カバー部171の中央開口174に第一U字状ベルト52の基端部を固定し、第二カバー部172の中央開口174側に第二U字状ベルト55の基端側を固定する。第一U字状ベルト52は、中央開口174を横断して、その先端部を第二カバー部172(第二基本部材片146)に巻いて、着脱自在に取付られるようになっている。同様に、第二U字状ベルト55は、中央開口174を横断して、その先端部を第一カバー部171(第一基本部材片143)に巻いて、着脱自在に取付られるようになっている。この際、第一U字状ベルト52と第二U字状ベルト55とが中央開口174内で交差して、中央開口174を軸方向120で、前側、中央右、中央左、後ろ側の4つに区分する。交差した第一U字状ベルト52と第二U字状ベルト55により、犬体100の腹部109の後ろ側(後ろ脚103の周辺、排出器官110周辺を含む)を支えることができる(図28(a)(c))。第一U字状ベルト52と第二U字状ベルト55は布などの柔軟な材料から形成される(図28(a)(b))。また、第一U字状ベルト52(第二U字状ベルト55)は先端部と中間部とに互いに係止して、第一カバー部171などへの係止を保持して、かつ長さを保持できるように、面テープやホックなどを取り付けてある。
また、中央開口174の後ろ側に、排泄物(大便など)を収容する排泄物収容袋184を取り付けることができる(図25(b)(d))。
【0069】
(3) また、腹部カバー部173(ジャケット90の後ろ側94)の中央部で、軸120方向の前側に連続して、ジャケット90の前側93を連設する。前側93は、ベース具70の前端73aより前側(軸方向120)に突出して、犬体100の前胸部105を覆う形状で、犬体100の前脚102を挿入する前脚開口97、97を形成してある。前脚開口97はU字状に切り欠いて形成してある。
また、ジャケット90の前側93の両外側端部に、それぞれ、犬体100の背中部107に掛ける固定ベルト98a、98aの基端部を連設する。固定ベルト98a、98aの先端部には、着脱可能に連結できるように連結金具(樹脂製)が取り付けられている。
また、ジャケット90の下面91で、中央開口174と下面開口175とは連続しているが、中央開口174と下面開口175との間付近に、開口を横断するゴムベルト183が取り付けられている。
以上のように構成できる上面91側の布と、下面92側の布とを外周縁で縫製して、一体のジャケット90を構成する。上面91側は、犬体100に直接に触れるため、クッション材が埋め込まれている。なお、図24図25図28図29では、ジャケット90の布材はストライプ模様に形成されているが、模様に機能はなく任意の模様または自由な色の無地を選択できる。
【0070】
E-3.ペットの歩行補助装置60の構成と使用(図24図25図29
【0071】
(1) ジャケット90の第一カバー部171の上面91と下面92の間に、ベース具70の第一基本部材143を挿入し、第二カバー部172の上面91と下面92の間に、ベース具70の第二基本部材146を挿入し、ベース具70の胸部当接片141をジャケット90の腹部カバー部173の下面側に位置させ、胸部当接片141の軸受け部78、78を下面開口175から露出させて、ベース具70にジャケット90を装着する(図25(c))。続いて、 第一カバー部171(第一基本部材片143)の先端部と第二カバー部172(第二基本部材片146)の先端部重ねて、面テープ片176、176aで係合して環状に形成する。続いて、重ねた部分に補強ベルト177を巻いて補強する(図25(d))。
続いて、第一U字状ベルト52と第二第二U字状ベルト55を中央開口174内で交差させ、、第一U字状ベルト52の先端部を第二カバー部172(第二基本部材片146)に巻き固定し、第二U字状ベルト55の先端部を第一カバー部171(第一基本部材片143)に巻き固定する。また、中央開口174の後ろ側(装着する犬体100の排泄器官110付近でも可)に、排泄物収容袋181の上端部を取り付け、排泄物収容袋181の下部を中央開口174の下方に位置させる(図26(b)(d))。
排泄物収容袋181は開口縁に長い帯、短い帯を設けてあり、短い帯で高さ方向の長さ(深さ)を調整し、長い帯で、第二カバー部172(第二基本部材片146)または第一カバー部171(第一基本部材片143)に巻き付けて取付できる。また排泄物収容袋は、通常、内面に樹脂製などの内袋を装着して使用する(図示していない)。
【0072】
(2) 以上のようにして、この発明の歩行支援装置60を構成する(図24図25(a))。なお、この歩行支援装置60では、ジャケット90の下面92側に大きな下面開口96を設けたので、下面開口96からベース具70に容易にジャケット90を着脱でき、ジャケット90が汚れた場合には交換して、あるいはジャケット90のみを洗濯することもできる。
【0073】
(3) この歩行支援装置60を使用する際には、前記軽度疾患の第一の実施形態と同様に、上方から犬体100を下ろし、後ろ脚103、103を中央開口174の中央右、中央左から、前脚102、102を前脚開口97、97から降ろして乗せ、固定ベルト178、178、固定ベルト98a、98aを犬体100の背中部107で連結する(図24図25)。、固定ベルト178、178、の連結部、固定ベルト98a、98aの連結部には、連結金具が犬体100に触れないように覆いで被覆することもできる(図示していない)。
【0074】
(4) また、キャップ部78a、78aの押しボタン155、155を押して、犬体100が丁度立つように。車軸支持部材81、81を適切な角度に調整して、押しボタン155を戻し、その角度を保持して完了する。犬体100は、前脚102、102と、接地した車輪83、83の支援を得た後ろ脚103、103とでストレス無く歩行できる。その他は、前記前記軽度疾患の第一の実施形態と同様である。
【0075】
F.重度疾患タイプの第三の実施形態(図33図34
【0076】
図33図34に基づきこの発明の重度疾患タイプの第3の実施態様について説明する。このペットの歩行支援具60も、ベース具70とジャケット90とを備えて構成する。
【0077】
(1) ベース具70は図14図16で記載した基本部材71から開口76(排泄用)を省略して塞いだ基本部材71に、前記軽度疾患用の第二の実施形態の帯状の保持部137(図26図27(a))、軸受け部78、車軸支持部材81、機構軸82、車輪83などの角度調整機構84(図30図32)を設けた構成である。
【0078】
(2) すなわち、ベース具70については、犬体100の軸方向120で、前脚102からやや後ろ側から後ろ側の全体(腹部の後ろ側を含み。後ろ脚103、103も含む。)を載せることができる屈曲板状の基本部材71を構成する。基本部材71は、軸方向120に直角の方向で、下に凸の断面半円弧の板状で、前側73の上縁72は、犬体100の側面部108の上方、背中部107付近に至って、犬体100が通常の動きをしても脱落や転倒をしないような形状となっている。後ろ側74の上縁72は、後ろ側に向けて下がって、基本部材71の後ろ端74aは、平面視で円弧状に形成してある(図34(a)(b)。図14図16参照)。
また、基本部材71の軸方向120の前側の端に、保形部137を連設して、保形部137の下面に、回転軸79(略水平方向で、先端をやや上方に向けてある)を有する軸受け部78、78を形成する。各軸受け部78に、角度調整手段84を介して、車軸支持部材81を取り付けて(図30図32)、ベース具70を構成する(図34(a)(b))。
【0079】
(3) また、ジャケット90は、後ろ側94で、前記重度疾患の第一の実施形態の後ろ側94の構成(図13)から上面開口95を省略して塞ぎ、下面92で前側93を前記軽度疾患の第二の実施形態と同様に中央開口174、下面開口175、固定ベルト178を設けた。また、上記のような後ろ側94に、前記軽度疾患の第二の実施形態と同様の構成とした前側93を連設した構成である(図34(c)(d)。図28参照)。
なお、図33図34で、ジャケット90は、水玉模様に形成されているが、模様に機能はなく任意の模様または自由な色の無地を選択できる。
【0080】
(4) すなわち、ジャケット90については、概略すれば上面91と下面92とからベース具70を覆う形状で、かつベース具70を覆う後ろ側94と、ベース具70から突出する前側93とからなる。ジャケット90は、犬体100に直接に触れるので、少なくとも上面91側は、ストレスを生じさせない柔らかい材質(例えば、柔軟な布)で構成される。
ジャケットの後ろ側94は、ベース具70の上面の全体を覆い、かつベース具70の下面で少なくともベース具70の周縁部を覆う形状で形成されて、上面91は略U字状の外形となっており、下面92は、軸受け部78、78を露出できる下面開口175と着脱用の中央開口174を形成する(図34(c)(d)。図13(a)(b)、図10(b)参照)。また、後ろ側94の前側(軸方向120)の端で、外側両端部に、固定ベルト178、178の基端側をそれぞれ固定する。固定ベルト178、178の先端部には着脱自在の連結金物(樹脂製)が固定されており、犬体100の背中107側で固定ベルト178、178を連結して環状に形成できるようになっている(図34(b)(c))。図28参照)。
また、ジャケット90の前側93は、ベース具70の前端73aより前側(軸方向120)に突出して、犬体100の前胸部105を覆う形状で、犬体100の前脚102を挿入する前脚開口97、97を形成してある。前脚開口97はU字状に切り欠いて形成してある。
また、ジャケット90の前側93の両外側端部に、それぞれ、犬体100の背中部107に掛ける固定ベルト98a、98aの基端部を連設する。固定ベルト98a、98aの先端部には、着脱可能に連結できるように連結金具(樹脂製)が取り付けられている。
また、ジャケット90の下面91で、中央開口174と下面開口175とは連続しているが、中央開口174と下面開口175との間付近に、開口を横断するゴムベルト183が取り付けられている。
【0081】
(5) 前記軽度疾患の第二の実施形態と同様にベース具70に、ジャケット90を装着して、歩行支援具60を構成する。前記軽度疾患の第二の実施形態と同様に車軸支持部材81など調整して、前記重度疾患の第一の実施形態と同様に歩行支援具60から前脚102、102を出し、後ろ脚103、103をジャケット90の後ろ側94(ベース具70)に乗せて使用する(図11、、図12図22図23など参照)。
【符号の説明】
【0082】
1 第一基本部材
2 第一基本部材の前側
4 第一基本部材の後ろ側
6 端部保護材(第一基本部材)
7 車輪取付部(第一基本部材)
11 第二基本部材
12 第二基本部材の前側
14 第二基本部材の後ろ側
16 端部保護材(第二基本部材)
17 車輪取付部(第二基本部材)
20 胸部支持部材
22 腹部支持部材
24 車輪支持部材
25 車輪
30 ベース具
40 ジャケット
41 前ジャケット
42 前脚開口
43 折り返し袋状部
45 背中連結片
51 後ろジャケット
52 第一U字状ベルト(第一保持帯)
52a 第一U字状ベルトの取付部材
53 第一U字状ベルトの基部
54 第一U字状ベルトの後ろ脚開口
55 第二U字状ベルト(第二保持帯)
55a 第二U字状ベルトの取付部材
56 第二U字状ベルトの基部
57 第二U字状ベルトの後ろ脚開口
58 ベルト連結片
59 開口(排泄開口)
60 歩行支援装置
70 ベース具
71 基本部材
73 基本部材の前側
73a 基本部材の前側の前端
74 基本部材の後ろ側
76 基本部材の開口(排泄開口)
78 軸受け部
78a キャップ部
79 回転軸
81 車軸支持部材
82 機構軸
84 角度調整機構
84a 第1調整機構
84b 第2調整機構
85a 接合面(第1調整機構)
85b 接合面(第2調整機構)
89 スプリングバネ
90 ジャケット
91 ジャケットの上面
92 ジャケットの下面
93 ジャケットの前側
94 ジャケットの後ろ側
95 ジャケットの上面開口(排泄開口)
96 ジャケットの下面開口(排泄開口)
97 ジャケットの前脚開口
98a 固定ベルト(前側固定ベルト)
100 犬体(ペット)
101 犬体の頭部
102 犬体の前脚
103 犬体の後ろ脚
105 犬体の前胸部
106 犬体の腹部
107 犬体の背中部
108 犬体の側面部
109 犬体の腰部
110 犬体の排泄器官
111 献体の後ろ端
120 軸方向
130、130a、130b 地面
137 保形部
141 腹部当接片
143 第一基本部材片
146 第二基本部材片
151 大開口
153 排泄開口
155 押しボタン(解除手段)
156 調整ギア(角度調整機構)
157 ギア収容部(キャップ部78a)(角度調整機構)
158 ギア収容部の内係止部(角度調整機構)
159 ばね(角度調整機構)
161 ギア収納部(軸受け部78)(角度調整機構)
162 ギア収容部の内係止部(角度調整機構)
171 第一カバー部(ジャケット)
172 第二カバー部(ジャケット)
173 腹部カバー部(ジャケット)
174 中央開口
175 下面開口
177 補強ベルト
178 固定ベルト(後ろ側固定ベルト)
181 排泄物収容袋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34