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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】蓋体及び蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 45/20 20060101AFI20231114BHJP
   B65D 43/06 20060101ALI20231114BHJP
   B65D 43/03 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
B65D45/20
B65D43/06 200
B65D43/03
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019200820
(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公開番号】P2021075284
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 香奈
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-211945(JP,A)
【文献】特開平09-255011(JP,A)
【文献】実開平06-010158(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0105684(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 45/20
B65D 43/06
B65D 43/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋本体の外縁部にロック部材を回動可能に支持して備える蓋体であって、
前記ロック部材の先端部が、容器の上面開口を閉塞した状態の前記蓋本体の下端より下方に位置して、前記容器の上端部の係止部に係止した第1位置と、その係止を解除した第2位置との間を移動する蓋体において、
前記ロック部材は、それらの先端部が前記蓋本体の下端より上方に位置する特別回動位置まで回動可能になっていて、
前記ロック部材の回動支持部は、前記蓋本体の上面外縁部に配置されると共に、前記蓋本体のうち前記回動支持部より外側位置から前記容器に嵌合するスカート部が垂下され、
前記スカート部には、蓋体同士を重ねたときに下側の蓋体の前記ロック部材と上側の蓋体の前記スカート部との干渉を回避するための切欠部が形成されている蓋体。
【請求項2】
前記ロック部材を前記特別回動位置に保持する保持部を備える請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
容器と、蓋本体の外縁部にロック部材を回動可能に支持して備える蓋体と、を備える蓋付き容器であって、
前記ロック部材の先端部が、前記容器の上面開口を閉塞した状態の前記蓋本体の下端より下方に位置して、前記容器の上端部の係止部に係止した第1位置と、その係止を解除した第2位置との間を移動する蓋付き容器において、
前記ロック部材は、それらの先端部が前記蓋本体の下端より上方に位置する特別回動位置まで回動可能になっていて、
前記係止部は、前記容器の全周に亘って、かつ平面視円形に設けられ、
前記容器には、前記係止部の下部に隣接して外方へ突出する1対の突出部の間に把持部を有する持ち手部が備えられ、
前記ロック部材の先端部には、前記ロック部材が前記突出部を跨ぐ位置で前記係止部に係止したときに、前記突出部を受容する受容凹部が形成されている蓋付き容器。
【請求項4】
容器と、蓋本体の外縁部にロック部材を回動可能に支持して備える蓋体と、を備える蓋付き容器であって、
前記ロック部材の先端部が、前記容器の上面開口を閉塞した状態の前記蓋本体の下端より下方に位置して、前記容器の上端部の係止部に係止した第1位置と、その係止を解除した第2位置との間を移動する蓋付き容器において、
前記ロック部材は、それらの先端部が前記蓋本体の下端より上方に位置する特別回動位置まで回動可能になっていて、
前記容器には、前記係止部の下部に隣接して外方へ突出する1対の突出部の間に把持部を有する持ち手部が備えられ、
前記ロック部材は、前記1対の突出部の間に配された状態で前記第1位置まで回動可能であり、
前記ロック部材が前記1対の突出部の間で前記第1位置に配された状態で、前記把持部と前記ロック部材との間に空間を有し、
前記ロック部材の先端部には、前記係止部に係止する1対の係止爪が設けられ、前記係止爪同士の間は凹部になっている蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器に係止可能な蓋体及びその蓋体を有する蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の蓋体として、容器の開口を塞ぐ蓋本体の外縁部に、容器に係止するロック部材を回動可能に備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-301789号公報(図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の蓋体においては、ロック部材の破損の抑制が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、蓋本体の外縁部にロック部材を回動可能に支持して備える蓋体であって、前記ロック部材の先端部が、容器の上面開口を閉塞した状態の前記蓋本体の下端より下方に位置して、前記容器の上端部の係止部に係止した第1位置と、その係止を解除した第2位置との間を移動する蓋体において、前記ロック部材は、それらの先端部が前記蓋本体の下端より上方に位置する特別回動位置まで回動可能になっていて、前記ロック部材の回動支持部は、前記蓋本体の上面外縁部に配置されると共に、前記蓋本体のうち前記回動支持部より外側位置から前記容器に嵌合するスカート部が垂下され、前記スカート部には、蓋体同士を重ねたときに下側の蓋体の前記ロック部材と上側の蓋体の前記スカート部との干渉を回避するための切欠部が形成されている蓋体である。
【0006】
請求項2の発明は、前記ロック部材を前記特別回動位置に保持する保持部を備える請求項1に記載の蓋体である。
【0009】
請求項の発明は、容器と、蓋本体の外縁部にロック部材を回動可能に支持して備える蓋体と、を備える蓋付き容器であって、前記ロック部材の先端部が、前記容器の上面開口を閉塞した状態の前記蓋本体の下端より下方に位置して、前記容器の上端部の係止部に係止した第1位置と、その係止を解除した第2位置との間を移動する蓋付き容器において、前記ロック部材は、それらの先端部が前記蓋本体の下端より上方に位置する特別回動位置まで回動可能になっていて、前記係止部は、前記容器の全周に亘って、かつ平面視円形に設けられ、前記容器には、前記係止部の下部に隣接して外方へ突出する1対の突出部の間に把持部を有する持ち手部が備えられ、前記ロック部材の先端部には、前記ロック部材が前記突出部を跨ぐ位置で前記係止部に係止したときに、前記突出部を受容する受容凹部が形成されている蓋付き容器である。
【0010】
請求項の発明は、容器と、蓋本体の外縁部にロック部材を回動可能に支持して備える蓋体と、を備える蓋付き容器であって、前記ロック部材の先端部が、前記容器の上面開口を閉塞した状態の前記蓋本体の下端より下方に位置して、前記容器の上端部の係止部に係止した第1位置と、その係止を解除した第2位置との間を移動する蓋付き容器において、前記ロック部材は、それらの先端部が前記蓋本体の下端より上方に位置する特別回動位置まで回動可能になっていて、前記容器には、前記係止部の下部に隣接して外方へ突出する1対の突出部の間に把持部を有する持ち手部が備えられ、前記ロック部材は、前記1対の突出部の間に配された状態で前記第1位置まで回動可能であり、前記ロック部材が前記1対の突出部の間で前記第1位置に配された状態で、前記把持部と前記ロック部材との間に空間を有し、前記ロック部材の先端部には、前記係止部に係止する1対の係止爪が設けられ、前記係止爪同士の間は凹部になっている蓋付き容器である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の蓋体及び請求項3,4の蓋付き容器では、ロック部材が、それらの先端部が蓋本体の下端より上方に位置する特別回動位置まで回動可能になっているので、蓋体を設置面に載置するときに、ロック部材を特別回動位置まで回動して載置することで、ロック部材に負荷がかかることを防ぐことができ、ロック部材の破損が抑制される。
また、請求項1の蓋体によれば、ロック部材同士の位置を合わせて蓋体同士を重ねると、上側の蓋体のスカート部の切欠部に下側の蓋体のロック部材が受容されるので、蓋体同士を積み重ねたときの段積み高さを低くすることができる。
【0012】
請求項2の蓋体によれば、蓋体を設置面に載置する際に、あらかじめロック部材を特別回動位置に保持しておくことが可能なので、作業が容易となる。さらに、蓋体を設置面に載置した後も、ロック部材が特別回動位置に保持されるので、ロック部材の破損がさらに抑制される。
【0014】
請求項の蓋付き容器によれば、係止部が、容器の全周に亘ってかつ平面視円形に設けられているので、ロック部材を配する配置可能な範囲が広く、蓋体の取り付け位置の自由度が高まり、作業が容易になる。また、請求項3によれば、ロック部材の先端部に、受容凹部が形成されていて、持ち手部の突出部を跨ぐ位置にもロック部材を配置可能であるので、持ち手部を設けつつ又は持ち手部の強度を高めつつ、蓋体の取り付け位置の自由度を高めることができる。
【0015】
請求項の蓋付き容器によれば、容器に持ち手部が設けられていても、その持ち手部の位置(1対の突出部の間)にもロック部材を係止させることが可能であるので、蓋体の取り付け位置の自由度が高まり、作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の蓋付き容器の斜視図
図2】容器の斜視図
図3】ロック部材近傍の断面図
図4】蓋付き容器の裏側の斜視図
図5】蓋体の斜視図
図6】蓋付き容器の外縁部の拡大図
図7】ロック部材受容部近傍の斜視図
図8】蓋体の裏側斜視図
図9】(A)蓋体を積み重ねた状態の突起部を通る位置での断面図、(B)蓋体を積み重ねた状態の突起部より中央側にずれた位置での断面図
図10】ロック部材の斜視図
図11】ロック部材の斜視図
図12】ロック部材近傍の断面図
図13】ロック部材近傍の断面図
図14】ロック部材近傍の断面図
図15】ロック部材近傍の断面図
図16】ロック部材近傍の断面図
図17】蓋付き容器の上端部の拡大図
図18】ロック部材近傍の断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1には、例えば、ゴミ箱として用いられる蓋付き容器10が示されている。蓋付き容器10は、容器11と、容器11の上面開口11K(図2参照)を密閉又は閉塞する蓋体20と、からなる。容器11及び蓋体20は、何れも例えば樹脂の射出品である。
【0018】
容器11は、円板状の底壁12と、上方へ向かうにつれて少しずつ広がる側壁13と、を有している。図2及び図3に示すように、側壁13は、上端部を外方へ折り返した形状をなしている。詳細には、側壁13は、側壁本体部13Aと、側壁本体部13Aの上端から側方へ張り出した天井部13Bと、天井部13Bの外縁から垂下した容器側スカート部13Cと、を有している。側壁本体部13Aの上下方向の中間部分は、強度を高めるため、周方向で凹部13A1と突部13A2とが並んだ形状をなし、側壁本体部13Aの上部は突部13A2と、下部は凹部13A1とそれぞれ連絡している。なお、図4等に示すように、側壁本体部13Aと、天井部13Bと、容器側スカート部13Cと、の間を連結する複数の補強リブ13Lが設けられている。
【0019】
図2及び図3に示すように、側壁本体部13Aの上端部は、段付き状に拡径していて、その段差面13Dに袋止め19が回動可能に取り付けられている。なお、図2には、袋止め19は示されておらず、袋止め19を軸支する軸孔13Jが示されている。また、側壁本体部13Aの内面には、内容量の目安となる目盛13Mが形成されている。また、図2及び図3に示すように、天井部13Bには、全周に亘って延びた円環状の突条13Tが突出形成されている。
【0020】
容器11の側壁13の上端部には、180度離れた2位置に持ち手部14が設けられている(図2には、手前側の持ち手部14のみが示されている)。持ち手部14は、1対の対向板15(特許請求の範囲における「突出部」に相当する)と、対向板15同士の間を連絡する把持部16と、を有している。図3及び図4に示すように、対向板15は、天井部13Bから、側壁本体部13Aと容器側スカート部13Cとの間を連絡しながら下方へ延びている。対向板15の外縁は、容器側スカート部13Cの下端に隣接し、容器側スカート部13Cの下端を超えたところから外方へ斜めに延びた第1外縁部15Aと、第1外縁部15Aの下端部から下方へ延びた第2外縁部15Bと、第2外縁部15Bの下端から側壁本体部13Aの外面まで略水平に延びた第3外縁部15Cと、を有している。なお、第3外縁部15Cは途中で斜め下方に屈曲している。
【0021】
把持部16は、1対の対向板15の間のうち、外方下端の隅部を連絡している。つまり、把持部16は、側壁本体部13Aの外面及び容器側スカート部13Cの下端部から離間して配されている。詳細には、把持部16は断面が上方開放のU字状をなし、1対の対向部16A,16Bのうち外側の対向部16Aが、対向板15の第2外縁部15B同士の間を連絡している。なお、外側の対向部16Aと対向板15との間は湾曲している。また、内側の対向部16Bは、容器側スカート部13Cの延長線上より僅かに外側の位置に配されている。1対の対向部16A,16Bの下端同士を連絡する下壁16Cは、第3外縁部15Cの外端部に連なっている。図4に示すように、把持部16の外側面には、複数の凹部16Uが形成され、指を掛けやすくなっている。また、把持部16の下壁16Cには、両端部に1つずつ水抜き穴16Mが形成されている。
【0022】
図1に示すように、蓋体20は、容器11の開口を塞ぐ蓋本体21に、容器11に係止するロック部材40を回動可能に取り付けてなる。蓋本体21は、容器11と同様、平面形状が円形になっていて、外縁に、容器11に嵌合するための蓋スカート部23(特許請求の範囲の「スカート部」に相当する)を有している。図1及び図4に示すように、この蓋スカート部23が、容器11の上端部の容器側スカート部13Cに外側から重なることで、蓋体20が容器11に嵌合する。蓋本体21は、上面に、段付き状に盛り上がった外縁の内側にドーム状に膨出した膨出部27を有してなる。詳細には、図5及び図6に示すように、蓋本体21は、外縁に、蓋スカート部23の上端から内側に張り出した外縁部24と、外縁部24の内縁から起立した起立部25と、起立部25の上端から内側に張り出した中段部26と、を備える。そして、中段部26の内縁から膨出部27のドーム側部28が起立し、その内側が全体的に上方へ膨出したドーム天井部29により覆われている。なお、図3に示すように、中段部26の裏側には、起立部25に内側から対向する環状リブ26Lが設けられ、起立部25と環状リブ26Lとの間にはパッキン26Pが取り付けられている。蓋体20を容器11に嵌合させた際には、このパッキン26Pが容器11の上端の突条13Tに押しつぶされることで密閉性が高まる。
【0023】
図5に示すように、蓋本体21の外縁のうち周方向で180度離れた2位置には、ロック部材40を取り付けるためのロック部材受容部30が形成されている。図7に示すように、ロック部材受容部30は、膨出部27の外縁部を直方体状に陥没させて形成されていて、中段部26の延長線上に延びた底部30Aと、底部30Aの径方向中央側の辺から起立してドーム天井部29に連絡する奥壁30Bと、底部30Aの周方向の2辺から起立して奥壁30Bと略直交する1対の対向壁30Cと、を有している。1対の対向壁30Cには、互いに近づくように突出した軸30Jがそれぞれ形成されている。なお、ロック部材受容部30の周方向の長さは、径方向の長さの5~10倍程になっている。
【0024】
また、同図に示すように、蓋スカート部23のうち、ロック部材受容部30の下方に位置する部分には、下端から上方へ向けて切り欠かれた切欠部23Kが形成されている。切欠部23Kの上下方向の長さは、蓋スカート部23の半分程であり、切欠部23Kの周方向の長さは、ロック部材受容部30の周方向の長さと略同一か僅かに大きくなっている。
【0025】
図5に示すように、蓋本体21の上面中央には、取っ手32が設けられている。詳細には、膨出部27の外縁部のうち2つのロック部材受容部30の近傍には、ロック部材受容部30の両隣から膨出部27の中央側へ、互いに近づきながら延び、膨出部27の中央よりも手前で合流した平面視V字状の隆起部31がそれぞれ形成されている。各隆起部31は、蓋体20の外縁から中央側へ向かうにつれて膨出部27全体からの突出量が大きくなっていて、上方に向かうにつれて窄まるように側面が傾斜している。そして、これら2つの隆起部31の上端部同士を連絡するようにして取っ手32が形成されている。取っ手32は、蓋本体21の中央部が最も高くなるように僅かに湾曲した帯板状をなし、その上面には、帯板の長手方向全体に亘って形成され、僅かに陥没した陥没部32Uが形成されている。
【0026】
蓋本体21の膨出部27のうち、取っ手32の下方部分は、平面視長方形状に膨出した中央膨出部33となっている。また、図8に示すように、隆起部31及び中央膨出部33の裏側は、それぞれに対応した側部陥没部34及び中央陥没部35となっていて、図9に示すように、蓋体20同士を重ねると、下側の蓋体20の取っ手32が上側の蓋体20の中央陥没部35に受容される。このとき、下側の蓋体20の取っ手32の上面が上側の蓋体20の中央陥没部35の天井面に当接して、段積みが安定する。
【0027】
さて、図10及び図11には、ロック部材40が示されている。ロック部材40は、断面略「く」の字状をなしてロック部材受容部30(図7参照)の長手方向に延びている。詳細には、図3に示すように、蓋体20を容器11に係止した状態でロック部材受容部30の底部30Aに対向する第1帯部41と、第1帯部41から湾曲して下方へ延び、蓋スカート部23に重なる第2帯部42と、を有していて、第1帯部41のうち第2帯部42と反対側の端部に設けられた軸孔40J(図10参照)に、ロック部材受容部30の軸30J(図7参照)を挿入することで、ロック部材40が蓋本体21に対して回動可能となっている。なお、これら軸孔40J及び軸30Jが特許請求の範囲の「回動支持部」に相当する。
【0028】
図3及び図11に示すように、第2帯部42における第1帯部41と反対側の端部のうち長手方向の両端には、容器11側に向かって突出し、容器11の容器側スカート部13Cの下端部に係止する係止爪43が設けられている。この係止爪43が、蓋スカート部23の下端より下方に配され、容器側スカート部13Cの下端に係止することによって、蓋体20が容器11に係止される。このときのロック部材40の位置を、適宜、「第1位置」という。また、容器側スカート部13Cの下端が、特許請求の範囲の「係止部」に相当する。また、第2帯部42における係止爪43同士の間は、特許請求の範囲における「受容凹部44」となっている(図11参照)。なお、図1等に示すように、ロック部材40が持ち手部14の1対の対向板15間に係止しても、ロック部材40と把持部16との間に空間があるため、把持部16を把持することが可能である。
【0029】
図10に示すように、ロック部材40の第1帯部41には、長手方向で対向する短辺部と、第2帯部42と反対側の長辺部と、からそれぞれ起立した起立部45が形成されている。短辺側の起立部45のうち第2帯部42と反対側の端部は肉厚になっていて、この端部に、上述した軸孔40Jが配されている。また、図3及び図12に示すように、長辺側の起立部45は、ロック部材受容部30の奥壁30Bと対向する。ロック部材40は、短辺側の起立部45がロック部材受容部30の奥壁30Bに当接する位置(以降、適宜、「第2位置」という)まで回動可能となっている(図13参照)。
【0030】
ここで、図11に示すように、本実施形態のロック部材40には、第1帯部41における長手方向の両端部のうち軸孔40Jの下方に、下方に突出した突起部50が設けられている。突起部50は、軸孔40Jの軸方向から見て三角形状をなし、ロック部材40における軸孔40Jの中心から突起部50の下端部までの距離は、ロック部材受容部30における軸30Jの中心から底部30Aまでの距離よりも大きくなっている。これにより、図14に示すように、ロック部材40を第2位置から第1位置まで回動させる途中で、突起部50がロック部材受容部30の底部30Aに当接し、ロック部材40が保持される。この位置が特許請求の範囲の「特別回動位置」に相当する。この特別回動位置では、ロック部材40の先端(係止爪43)が、蓋スカート部23の下端より上方に位置している(図16参照)。そして、ロック部材40がさらに下方へ回動し、突起部50がロック部材受容部30の底部30Aを乗り越えたのちに、係止爪43が容器側スカート部13Cの下端に係止することによって、蓋体20が容器11に係止される。なお、突起部50及びロック部材受容部30の底部30Aが、特許請求の範囲の「保持部」に相当する。
【0031】
本実施形態の蓋付き容器10の構成は以上である。次に、蓋付き容器10の作用効果について説明する。蓋付き容器10の搬送時や蓋体20の着脱作業時には、蓋体20のみが設置面(例えば、地面や、パレット上面等)に載置されることがある。このとき、本実施形態の蓋体20によれば、ロック部材40の突起部50がロック部材受容部30の底部30Aに当接することで、ロック部材40の先端(係止爪43)が、蓋スカート部23の下端より上方に位置する特別回動位置にロック部材40が保持されるので、ロック部材40の先端(係止爪43)を設置面に当接させることなく、蓋体20を載置することができ、ロック部材40の破損を防ぐことができる。これにより、蓋体20の容器11に対する係止を安定させることができ、例えば、蓋付き容器10が倒れた場合にも、蓋体20が外れにくくなる。
【0032】
また、蓋付き容器10の搬送時には、容器11と蓋体20とを別々に積み重ねて搬送することが考えられる。図9に示すように、蓋体20同士を積み重ねると、下側の蓋体20の取っ手32の上面が上側の蓋体20の中央陥没部35の天井面に当接することで安定して段積みされる。ここで、蓋体20の蓋スカート部23には、切欠部23Kが形成されているので、ロック部材40同士が上下で重なるように蓋体20同士を積み重ねると、上側の蓋体20の切欠部23Kに下側の蓋体20のロック部材40が受容される。これにより、ロック部材40が特別回動位置に保持された状態でも蓋体20の段積みが可能であるとともに、蓋体20の段積み高さを低くすることができ、搬送や保管の効率が向上する。また、切欠部23Kの高さが蓋スカート部23の高さの半分程に抑えられているため、蓋スカート部23の強度低下や、密閉性の低下を抑えることができる。
【0033】
次に、蓋体20の着脱について説明する。まず、蓋体20を容器11から外すときは、2つのロック部材40の受容凹部44又は係止爪43に指を掛け、ロック部材40を上方へ回動することで、ロック部材40の係止を解除する(図15参照)。そして、蓋体20を持ち上げることで、蓋体20が容器11から外される(図16参照)。このとき、ロック部材40を特別回動位置まで回動させておくと、ロック部材40の先端(係止爪43)が、蓋スカート部23の下端より上方に位置した状態に保持されるので、蓋体20を持ち上げるときにロック部材40が容器11に引っ掛かることなくスムーズに持ち上げることができる。
【0034】
蓋体20を容器11に取り付けるときは、逆の手順で作業を行う。即ち、ロック部材40が特別回動位置に保持された状態で、蓋体20を容器11に嵌合させる。そして、ロック部材40を下方へ回動させ、突起部50又はロック部材受容部30の底部30Aを弾性変形させて、突起部50にロック部材受容部30の底部30Aを乗り越えさせたのちに、係止爪43を容器側スカート部13Cの下端に係止させる。これによって、蓋体20が容器11に係止される。
【0035】
ここで、本実施形態では、ロック部材40の係止爪43が係止する箇所が、容器11の全周に設けられた容器側スカート部13Cの下端であるので、ロック部材40を配置可能な範囲が広く、蓋体20の取り付けの自由度が高い(図1等には、ロック部材40が持ち手部14の1対の対向板15間に配された例が示されている。また、図4には、ロック部材40が2位置の持ち手部14間に配された例が示されている)。しかも、ロック部材40には、2つの係止爪43の間に受容凹部44が設けられていて、図17及び図18に示すように、ロック部材40が、持ち手部14の対向板15を跨ぐように配置しても、受容凹部44が対向板15を受容して、係止爪43をその両側方(周方向における両側方)に係止させることが可能なので、対向板15と係止爪43が重なる向き以外であれば、どの向きでも蓋体20を取り付けることが可能である。
【0036】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、ロック部材40が特別回動位置に保持される構成であったが、保持されない構成であってもよい。この場合、ロック部材40を特別回動位置まで回動させた状態で蓋体20を設置面に載置することで、蓋スカート部23の下端とロック部材40の先端との両方が当接する。この場合であっても、ロック部材40の先端のみに負荷がかかることが防がれ、ロック部材40の破損が防がれる。
【0037】
(2)上記実施形態の蓋付き容器10は平面視円形であったが、これに限られるものではなく、四角形等であってもよい。
【0038】
(3)上記実施形態では、ロック部材40の特別回動位置での保持が、ロック部材40の突起部50がロック部材受容部30の底部30Aに当接することにより行われていたが、例えば、ロック部材40の自重により保持される構成であってもよいし、ロック部材受容部30に係止片が設けられる構成であってもよい。
【0039】
(4)上記実施形態では、ロック部材40の係止爪43が容器側スカート部13Cの下端に係止する状態が、突起部50又はロック部材受容部30の底部30Aを弾性変形させて、突起部50にロック部材受容部30の底部30Aを乗り越えさせたのちの状態であったが、突起部50又はロック部材受容部30の底部30Aが弾性変形している状態であってもよい。
【0040】
(5)上記実施形態では、特別回動位置がロック部材40の回動範囲の途中に配されていたが、特別回動位置がロック部材40の回動範囲の一端(第2位置)であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 蓋付き容器
11 容器
13C 容器側スカート部(係止部)
14 持ち手部
15 対向板(突出部)
16 把持部
20 蓋体
21 蓋本体
23 蓋スカート部(スカート部)
23K 切欠部
30 ロック部材受容部
40 ロック部材
41 第1帯部
42 第2帯部
43 係止爪
44 受容凹部
50 突起部(保持部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18