(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】ステーターユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 5/08 20060101AFI20231114BHJP
F16K 31/04 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H02K5/08 A
F16K31/04 A
(21)【出願番号】P 2020164879
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】弁理士法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 竜也
(72)【発明者】
【氏名】松原 悠太
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-229994(JP,A)
【文献】特開2019-082206(JP,A)
【文献】特開2000-297873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K31/00-31/05
H02K5/00-5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステーターと、前記ステーターを収容する樹脂製のハウジングと、前記ハウジングと接合される樹脂製のケースと、を有するステーターユニット
の製造方法であって、
前記ハウジングが、周壁部と、前記周壁部に連設された上壁部と、前記上壁部から上方に突出したドーム部と、横方向に延在する四角筒形状の連結部と、を一体的に有し、
前記連結部は、前記周壁部から前記横方向に突出し、前記ケースが接合される先端部と、前記上壁部から上方に突出した平板形状の天板部と、を有し、
前記天板部の上面の幅方向の中央部には、前記ドーム部から前記先端部まで延在する凸条部が設けられ
、
前記天板部の幅方向の中央部の厚さが、前記天板部の幅方向の両端部の厚さよりも大きく、
前記ハウジングを射出成形する際に用いる型において、前記天板部の幅方向の中央部に対応する部分に先に樹脂が流れ、その後に樹脂が前記天板部の幅方向の両端部に対応する部分に広がって流れるように樹脂を流動させることを特徴とするステーターユニット
の製造方法。
【請求項2】
前記上壁部と前記連結部との連設箇所には、前記横方向に延在する凹面が設けられている、請求項1に記載のステーターユニット
の製造方法。
【請求項3】
前記連結部の前記先端部が、四角枠形状のハウジング側接合面と、前記ハウジング側接合面を囲むように配置された四角枠形状のハウジング側基準面と、を有し、
前記ケースが、前記ハウジング側接合面と接合される四角枠形状のケース側接合面と、前記ケース側接合面を囲むように配置された、前記ハウジング側基準面と接するケース側基準面と、を有し、
前記ケース側基準面の上辺の中央部および下辺の中央部には、切り欠きが設けられている、請求項1または請求項2に記載のステーターユニット
の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステーターユニットおよび電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動弁の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の電動弁は、マグネットローターと、マグネットローターとともに回転される永久磁石と、を有している。マグネットローターと永久磁石とは、キャンの内側に配置されている。キャンの外側には、磁気センサーが配置されている。この電動弁は、磁気センサーによって永久磁石の磁気を検知して、マグネットローターの回転角度を取得している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図16、
図17に従来の他の電動弁901を示す。電動弁901は、特許文献1の電動弁と同様にマグネットローターの回転角度を取得する構成を有する。電動弁901は、弁本体910と、ステーター960と、ハウジング970と、ケース980と、を有している。ハウジング970は、周壁部971と、上壁部972と、ドーム部973と、連結部975と、を有している。連結部975は、横方向(X方向)に延在する四角筒形状を有している。連結部975の先端部976は、周壁部971から横方向に突出している。先端部976には、ケース980が接合される。連結部975の天板部977は、平板形状を有しており、上壁部972から上方(Z方向)に突出している。
【0005】
ハウジング970は、合成樹脂製である。ハウジング970は、射出成形によって形成されている。そして、ハウジング970を射出成形する際に、連結部975の天板部977の幅方向(Y方向)の中央部に比較的大きなウェルドラインが生じてしまうことがあった。そのため、ウェルドラインに沿って亀裂が生じてしまうおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、ウェルドラインの発生を抑制できるステーターユニットおよびそのステーターユニットを有する電動弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るステーターユニットは、ステーターと、前記ステーターを収容する樹脂製のハウジングと、前記ハウジングと接合される樹脂製のケースと、を有するステーターユニットであって、前記ハウジングが、周壁部と、前記周壁部に連設された上壁部と、前記上壁部から上方に突出したドーム部と、横方向に延在する四角筒形状の連結部と、を一体的に有し、前記連結部は、前記周壁部から前記横方向に突出し、前記ケースが接合される先端部と、前記上壁部から上方に突出した平板形状の天板部と、を有し、前記天板部の上面の幅方向の中央部には、前記ドーム部から前記先端部まで延在する凸条部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ハウジングが、横方向に延在する四角筒形状の連結部を有している。連結部の先端部は、ハウジングの周壁部から横方向に突出している。連結部の天板部は、平板形状を有しており、ハウジングの上壁部から上方に突出している。そして、天板部の上面の幅方向(連結部の延在方向と直交する方向)の中央部には、上壁部に設けられたドーム部から連結部の先端部まで延在する凸条部が設けられている。このようにしたことから、天板部の幅方向の中央部の厚さが、天板部の幅方向の両端部の厚さより大きくなり、ハウジングを射出成形する際に、天板部の幅方向の中央部に樹脂が流れやすい。そのため、天板部の幅方向の中央部に先に樹脂が流れ、その後に樹脂が天板部の幅方向の両端部に広がるように流れて、中央部にウェルドラインが生じることを抑制できる。
【0009】
本発明において、前記上壁部と前記連結部との連設箇所には、前記横方向に延在する凹面が設けられていることが好ましい。このようにすることで、ハウジングの上壁部と連結部との連設箇所が盛り上がっている構成に比べて、当該連設箇所の厚さが小さくなり、樹脂のひけを抑制できる。
【0010】
本発明において、前記連結部の前記先端部が、四角枠形状のハウジング側接合面と、前記ハウジング側接合面を囲むように配置された四角枠形状のハウジング側基準面と、を有し、前記ケースが、前記ハウジング側接合面と接合される四角枠形状のケース側接合面と、前記ケース側接合面を囲むように配置された、前記ハウジング側基準面と接するケース側基準面と、を有し、前記ケース側基準面の上辺の中央部および下辺の中央部には、切り欠きが設けられていることが好ましい。連結部の先端部は、その幅方向の中央部にウェルドラインが生じやすい。そのため、ケース側基準面の上辺の中央部および下辺の中央部に切り欠きを設けることで、ハウジング側基準面の上辺の中央部および下辺の中央部にウェルドラインによって盛り上がりが生じた場合でも、当該盛り上がりがケース側基準面に接することを避けることができる。そのため、ハウジング側基準面とケース側基準面とが正しく接して、ハウジングとケースとを適切に接合できる。
【0011】
本発明において、前記天板部の下面が、前記上壁部の上面より上方に配置されていることが好ましい。このようにすることで、連結部が上下方向に大きくなり、連結部の先端部を大きくすることができる。そのため、ハウジング側接合面およびケース側接合面を大きくすることができ、ハウジングとケースとをより強固に接合できる。
【0012】
本発明において、前記ケースが、箱形状のケース本体と、筒形状のコネクタと、を一体的に有し、前記ケース本体の一の壁部には、前記ケース側接合面と、前記ケース側基準面と、が設けられ、前記ケース本体の前記一の壁部に連設された他の壁部には、前記コネクタが立設され、前記一の壁部の外面には、前記ケース側基準面から前記他の壁部との連設箇所まで延在する第1のリブが設けられ、前記他の壁部の外面と前記コネクタの外周面との間には、第2のリブが設けられ、前記コネクタの軸方向から見たとき、前記第1のリブと前記第2のリブとが前記コネクタを挟んで対向するように配置されていることが好ましい。このようにすることで、ケースを射出成形する際に樹脂の硬化に伴ってコネクタがケース本体に対して傾いてしまうことを抑制できる。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の他の一態様に係る電動弁は、弁本体と、前記弁本体に接合されたキャンと、前記キャンを内側に収容するステーターユニットと、を有する電動弁であって、前記ステーターユニットが、上記ステーターユニットである。このようにしたことから、ステーターユニットが有するハウジングにウェルドラインが生じることを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ステーターユニットのハウジングにおけるウェルドラインの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施例に係る電動弁の正面図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII線に沿う断面図である。
【
図9】
図1の電動弁の正面右上方から見た斜視図である。
【
図10】
図1の電動弁の正面左下方から見た斜視図である。
【
図11】
図1の電動弁の背面左上方から見た斜視図である。
【
図12】
図1の電動弁の背面左下方から見た斜視図である。
【
図13】
図1の電動弁のステーターユニットが有するステーターおよびハウジングの斜視図である。
【
図14】
図1の電動弁のステーターユニットが有するステーターの斜視図である。
【
図15】
図1の電動弁のステーターユニットが有するケース本体およびコネクタの斜視図である。
【
図17】
図16の電動弁のステーターユニットが有するステーターおよびハウジングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施例に係る電動弁について、
図1~
図15を参照して説明する。
【0017】
図1~
図6は、本発明の一実施例に係る電動弁の正面図、右側面図、背面図、左側面図、平面図および底面図である。
図7は、
図1の電動弁の軸線Lに沿う断面図(縦断面図)である。
図8は、
図7のVIII-VIII線に沿う断面図である。
図8において、キャンの内側の構成については記載を省略している。
図9は、
図1の電動弁の正面右上方から見た斜視図である。
図10は、
図1の電動弁の正面左下方から見た斜視図である。
図11は、
図1の電動弁の背面左上方から見た斜視図である。
図12は、
図1の電動弁の背面左下方から見た斜視図である。
図13は、
図1の電動弁のステーターユニットが有するステーターおよびハウジングの斜視図である。
図14は、
図1の電動弁のステーターユニットが有するステーターの斜視図である。
図15は、
図1の電動弁のステーターユニットが有するケース本体およびコネクタの斜視図である。各図において、X方向が左右方向(横方向)であり、Y方向が正面-背面方向であり、Z方向が上下方向(軸線L方向)である。
【0018】
各図に示すように、電動弁1は、弁本体10と、キャン20と、駆動機構30と、弁体40と、ステーターユニット50と、を有している。
【0019】
弁本体10は、例えば、アルミニウム合金などの金属製である。弁本体10は、本体部11と、円筒部12と、鍔部13と、を有している。本体部11は、直方体形状を有している。円筒部12は、本体部11の上面から突出するように配置されている。円筒部12は、本体部11にねじ構造により取り付けられている。本体部11には、弁室14と、流路15、16と、が設けられている。流路15は、弁室14に接続されている。流路16は、ポート17を介して弁室14に接続されている。鍔部13は、円環板形状を有している。鍔部13の内周縁は、円筒部12の上端に接合されている。
【0020】
キャン20は、例えば、ステンレスなどの金属製である。キャン20は、上端部が塞がれた円筒形状を有している。キャン20の下端部は、鍔部13の外周縁に接合されている。
【0021】
駆動機構30は、弁体40を上下方向に移動させる。駆動機構30は、マグネットローター31と、弁軸ホルダー32と、ガイドブッシュ33と、弁軸34と、を有している。
【0022】
マグネットローター31は、円筒形状を有している。マグネットローター31の外径は、キャン20の内径より若干小さい。マグネットローター31の外周面には、複数のN極および複数のS極が設けられている。複数のN極および複数のS極は、上下方向に延在しており、周方向に等間隔でかつ交互に配置されている。
【0023】
弁軸ホルダー32は、上端が塞がれた円筒形状を有している。弁軸ホルダー32の上端部には支持リング35が固定されている。支持リング35を介して、マグネットローター31と弁軸ホルダー32とが一体的に結合されている。弁軸ホルダー32の内周面には、雌ねじ32cが設けられている。
【0024】
ガイドブッシュ33は、第1円筒部33aと、第2円筒部33bと、を一体的に有している。第2円筒部33bの外径は、第1円筒部33aの外径より小さい。第2円筒部33bは、第1円筒部33aの上端部に同軸に連設されている。第2円筒部33bの外周面には、弁軸ホルダー32の雌ねじ32cと螺合される雄ねじ33cが設けられている。第1円筒部33aは、弁本体10の円筒部12に設けられた嵌合孔12aに圧入されている。ガイドブッシュ33は、弁本体10と結合されている。
【0025】
弁軸34は、円柱形状を有している。弁軸34の上端部34aは、弁軸ホルダー32を貫通している。弁軸34の上端部34aには、抜け止め用のプッシュナット36が取り付けられている。弁軸34は、ガイドブッシュ33および円筒部12を通り、その下端部が弁室14に配置されている。弁軸ホルダー32と弁軸34の段部34bとの間には、閉弁ばね37が配置されている。閉弁ばね37は、圧縮コイルばねである。閉弁ばね37は、弁軸34を下方に向けて押している。
【0026】
弁体40は、弁軸34の下端部に一体的に設けられている。弁体40は、弁室14に配置されている。弁体40は、駆動機構30によって上下方向に移動される。弁体40の移動によってポート17が開閉される。
【0027】
ステーターユニット50は、ステーター60と、ハウジング70と、ケース80と、を有している。
【0028】
ステーター60は、円筒形状を有している。ステーター60は、マグネットローター31とともにステッピングモーターを構成している。ステーター60は、上段ステーター61と、下段ステーター62と、合成樹脂製のモールド63と、を有している。
【0029】
上段ステーター61と下段ステーター62とは、上下に重ねて配置されている。上段ステーター61は、周方向に等間隔に並んで配置された複数のクローポール型の極歯61aを有している。下段ステーター62は、周方向に等間隔に並んで配置された複数のクローポール型の極歯62aを有している。モールド63は、上段ステーター61および下段ステーター62内に充填されている。モールド63は、複数の極歯61a、62aとともにステーター60の内周面60aを構成している。モールド63は、端子支持部64を有している。
【0030】
端子支持部64は、上段ステーター61および下段ステーター62から横方向(X方向)に延びるように配置されている。端子支持部64は、複数の端子65を支持している。複数の端子65は、端子支持部64の先端から横方向に突出している。複数の端子65は、上段ステーター61および下段ステーター62が有するコイルに接続されている。
【0031】
ハウジング70は、合成樹脂製である。ハウジング70は、射出成形によって形成されている。ハウジング70は、軸線Lを含みかつXZ平面と平行となる平面について鏡像対称となる形状を有している。ハウジング70は、ステーター60を収容している。ハウジング70は、周壁部71と、上壁部72と、ドーム部73と、筒状部74と、連結部75と、を一体的に有している。
【0032】
周壁部71は、円筒形状を有している。上壁部72は、周壁部71の上端に連設されている。ドーム部73は、上壁部72の中央部から上方に突出している。ステーター60およびドーム部73にキャン20が挿入される。筒状部74は、周壁部71より小径の円筒形状を有している。筒状部74は、周壁部71から下方に突出している。筒状部74は、弁本体10の円筒部12を囲むように配置されている。筒状部74と円筒部12との間には、円環形状の封止部材79が配置されている。封止部材79は、ゴム材などの弾性材料で構成されている。
【0033】
連結部75は、横方向(X方向)に延在する四角筒形状を有している。連結部75の先端部76は、周壁部71から横方向に突出している。先端部76には、ハウジング側開口76aと、ハウジング側接合面76bと、ハウジング側基準面76cと、が設けられている。ハウジング側開口76aは、横方向(X方向、右向き)を向く四角形状の開口である。ハウジング側接合面76bは、ハウジング側開口76aと同一方向を向く四角枠形状の平面である。ハウジング側接合面76bは、ハウジング側開口76aを囲むように配置されている。ハウジング側基準面76cは、ハウジング側接合面76bと同一方向を向く四角枠形状の平面である。ハウジング側基準面76cは、ハウジング側接合面76bを囲むように配置されている。ハウジング側基準面76cは、ハウジング側接合面76bよりも周壁部71の近くに配置されている。ハウジング側開口76aからステーター60の端子支持部64および複数の端子65が突出している。
【0034】
連結部75の天板部77は、平板形状を有している。天板部77は、上壁部72から上方に突出している。天板部77の上面77aには、凸条部78が設けられている。凸条部78は、ドーム部73から先端部76まで延在している。凸条部78は、上面77aの幅方向(Y方向)の中央部に配置されている。天板部77の下面77bは、全体が平面である。下面77bは、上壁部72の上面72aより上方に配置されている。天板部77の幅方向の中央部(凸条部78が配置された箇所)の厚さは、天板部77の幅方向の両端部の厚さよりも大きい。
【0035】
上壁部72と連結部75との連設箇所には、凹面75aが設けられている。凹面75aを設けることによって、上壁部72と連結部75との連設箇所が盛り上がることを回避している。
【0036】
ケース80は、合成樹脂製である。ケース80は、射出成形によって形成されている。ケース80は、軸線Lを含みかつXZ平面と平行となる平面について鏡像対称となる形状を有している。ケース80は、ケース本体81と、蓋体82と、コネクタ83と、を有している。ケース本体81は、1つの側面が開口した直方体箱形状を有している。蓋体82は、平板形状を有しており、ケース本体81の側面の開口を塞ぐように配置されている。コネクタ83は、横断面が楕円形状となる筒形状を有している。コネクタ83は、ケース本体81から上方に延びるように配置されている。ケース本体81とコネクタ83とは、一体的に形成されている。
【0037】
ケース本体81は、基板86を収容している。基板86は、電子部品が実装されるプリント基板である。基板86には、磁気センサー87a、87bが実装されている。基板86には、磁気センサー87a、87b以外に、マイクロコンピューターなどが実装されていてもよい。マイクロコンピューターを、磁気センサー87a、87bの出力信号に基づいて、マグネットローター31の回転角度や弁開度(ポート17の開度)を演算する装置として機能させてもよい。基板86には、ステーター60の複数の端子65が接続されている。
【0038】
ケース本体81の側壁部84(一の壁部)は、蓋体82と対向している。側壁部84には、ケース側開口84aと、ケース側接合面84bと、ケース側基準面84cと、が設けられている。ケース側開口84aは、横方向(X方向、左向き)を向く四角形状の開口である。ケース側開口84aは、ハウジング側開口76aと接続される。ケース側接合面84bは、ケース側開口84aと同一方向を向く四角枠形状の平面である。ケース側接合面84bは、ケース側開口84aを囲むように配置されている。ケース側接合面84bは、例えば、赤外線溶着や超音波溶着、接着剤などによって、ハウジング側接合面76bと接合される。ケース側基準面84cは、ケース側接合面84bと同一方向を向く四角枠形状の平面である。ケース側基準面84cは、ケース側接合面84bを囲むように配置されている。ケース側基準面84cは、ケース側接合面84bよりも周壁部71の近くに配置されている。ケース側基準面84cの上辺の中央部および下辺の中央部には、切り欠き84d、84eが設けられている。ケース側基準面84cは、ハウジング側基準面76cと接する。
【0039】
ケース本体81の上壁部85(他の壁部)は、側壁部84の上端に連設されている。上壁部85には、コネクタ83が上方に向けて立設している。コネクタ83の軸方向は、軸線Lと平行である。側壁部84の外面84fには、第1のリブ88が設けられている。第1のリブ88は、ケース側基準面84cの上辺の切り欠き84dから側壁部84と上壁部85との連設箇所まで延在している。上壁部85の外面85aとコネクタ83の外周面83aとの間に第2のリブ89が設けられている。第2のリブ89は、正面から見たときに直角三角形となる板形状を有している。第1のリブ88と第2のリブ89とは、上方から見たときに、コネクタ83を間に挟んで横方向に対向するように配置されている。
【0040】
また、ステーターユニット50は、磁気伝達部材51a、51bを有している。磁気伝達部材51a、51bは、帯板形状を有している。磁気伝達部材51a、51bは、ハウジング側開口76aおよびケース側開口84aを通るように配置されている。磁気伝達部材51a、51bの一端が、キャン20の外周面に対向するように配置されている。磁気伝達部材51a、51bの他端が、磁気センサー87a、87bの磁気検知面に対向するように配置されている。磁気伝達部材51a、51bは、マグネットローター31のN極およびS極の磁気を、磁気センサー87a、87bに伝える。
【0041】
電動弁1において、弁本体10の円筒部12、ポート17、キャン20、マグネットローター31、弁軸ホルダー32、ガイドブッシュ33、弁軸34、弁体40、ステーター60(上段ステーター61、下段ステーター62)およびハウジング70(ドーム部73、筒状部74)は、それぞれの軸が軸線Lに一致する。
【0042】
次に、電動弁1の動作について説明する。
【0043】
電動弁1において、マグネットローター31が一方向に回転するように、上段ステーター61および下段ステーター62に通電する。マグネットローター31とともに弁軸ホルダー32が回転する。弁軸ホルダー32の雌ねじ32cとガイドブッシュ33の雄ねじ33cとのねじ送り作用により、弁軸ホルダー32が下方に移動する。弁軸ホルダー32とともに弁軸34も下方に移動して弁体40がポート17を閉じる(閉弁状態)。
【0044】
電動弁1において、マグネットローター31が他方向に回転するように、上段ステーター61および下段ステーター62に通電する。マグネットローター31とともに弁軸ホルダー32が回転する。弁軸ホルダー32の雌ねじ32cとガイドブッシュ33の雄ねじ33cとのねじ送り作用により、弁軸ホルダー32が上方に移動する。弁軸ホルダー32とともに弁軸34も上方に移動して弁体40がポート17を開く(開弁状態)。
【0045】
以上説明したように、本実施例の電動弁1は、ステーターユニット50を有している。ステーターユニット50は、ステーター60と、ステーター60を収容するハウジング70と、ハウジング70と接合されるケース80と、を有している。ハウジング70は、周壁部71と、周壁部71に連設された上壁部72と、上壁部72から上方に突出したドーム部73と、横方向に延在する四角筒形状の連結部75と、を一体的に有している。連結部75は、先端部76と天板部77とを有している。先端部76は、周壁部71から横方向に突出している。先端部76には、ケース80が接合される。天板部77は、平板形状を有している。天板部77は、上壁部72から上方に突出している。天板部77の上面77aの幅方向の中央部には、ドーム部73から先端部76まで延在する凸条部78が設けられている。
【0046】
電動弁1によれば、天板部77の幅方向の中央部の厚さが、天板部77の幅方向の両端部の厚さより大きい。そのため、ハウジング70を射出成形する際に、天板部77の幅方向の中央部に樹脂が流れやすい。これにより、天板部77の幅方向の中央部に先に樹脂が流れ、その後に樹脂が天板部77の幅方向の両端部に広がるように流れて、中央部にウェルドラインが生じることを抑制できる。
【0047】
また、ハウジング70の上壁部72と連結部75との連設箇所には、横方向に延在する凹面75aが設けられている。このようにすることで、上壁部72と連結部75との連設箇所が盛り上がっている構成に比べて、当該連設箇所の厚さが小さくなり、樹脂のひけを抑制できる。
【0048】
また、連結部75の先端部76が、四角枠形状のハウジング側接合面76bと、ハウジング側接合面76bを囲むように配置された四角枠形状のハウジング側基準面76cと、を有している。ケース80が、四角枠形状のケース側接合面84bと、ケース側接合面84bを囲むように配置されたケース側基準面84cと、を有している。ケース側接合面84bは、ハウジング側接合面76bと接合される。ケース側基準面84cは、ハウジング側基準面76cと接する。そして、ケース側基準面84cの上辺の中央部および下辺の中央部には、切り欠き84d、84eが設けられている。連結部75の先端部76は、その幅方向(Y方向)の中央部にウェルドラインが生じやすい。そのため、ケース側基準面84cの上辺の中央部および下辺の中央部に切り欠きを設けることで、ハウジング側基準面76cの上辺の中央部および下辺の中央部にウェルドラインによって盛り上がりが生じた場合でも、当該盛り上がりがケース側基準面84cに接することを避けることができる。そのため、ハウジング側基準面76cとケース側基準面84cとが正しく接して、ハウジング70とケース80とを適切に接合できる。
【0049】
また、天板部77の下面77bが、上壁部72の上面72aより上方に配置されている。このようにすることで、連結部75が上下方向に大きくなり、連結部75の先端部76を大きくすることができる。これにより、ハウジング側接合面76bおよびケース側接合面84bを大きくすることができ、ハウジング70とケース80とをより強固に接合できる。
【0050】
また、ケース80が、直方体箱形状のケース本体81と、楕円筒形状のコネクタ83と、を一体的に有している。ケース本体81の側壁部84には、ケース側接合面84bと、ケース側基準面84cと、が設けられている。側壁部84に連設された上壁部85には、コネクタ83が立設されている。側壁部84の外面84fには、ケース側基準面84cから側壁部84と上壁部85との連設箇所まで延在する第1のリブ88が設けられている。上壁部85の外面85aとコネクタ83の外周面83aとの間には、第2のリブ89が設けられている。そして、上方(コネクタ83の軸方向)から見たとき、第1のリブ88と第2のリブ89とがコネクタ83を挟んで横方向に対向するように配置されている。このようにすることで、ケース80を射出成形する際に樹脂の硬化に伴ってコネクタ83がケース本体81に対して傾いてしまうことを抑制できる。
【0051】
上記に本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。前述の実施例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施例の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の趣旨に反しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1…電動弁、10…弁本体、11…本体部、12…円筒部、12a…嵌合孔、13…鍔部、14…弁室、15、16…流路、17…ポート、20…キャン、30…駆動機構、31…マグネットローター、32…弁軸ホルダー、32c…雌ねじ、33…ガイドブッシュ、33a…第1円筒部、33b…第2円筒部、33c…雄ねじ、34…弁軸、34a…上端部、34b…段部、35…支持リング、36…プッシュナット、37…閉弁ばね、40…弁体、50…ステーターユニット、51a、51b…磁気伝達部材、60…ステーター、60a…内周面、61…上段ステーター、61a…極歯、62…下段ステーター、62a…極歯、63…モールド、64…端子支持部、65…端子、70…ハウジング、71…周壁部、72…上壁部、72a…上面、73…ドーム部、74…筒状部、75…連結部、75a…凹面、76…先端部、76a…ハウジング側開口、76b…ハウジング側接合面、76c…ハウジング側基準面、77…天板部、77a…上面、77b…下面、78…凸条部、79…封止部材、80…ケース、81…ケース本体、82…蓋体、83…コネクタ、83a…外周面、84…側壁部、84a…ケース側開口、84b…ケース側接合面、84c…ケース側基準面、84d、84e…切り欠き、84f…外面、85…上壁部、85a…外面、86…基板、87a、87b…磁気センサー、88…第1のリブ、89…第2のリブ