(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】ホバーの検出を増加させるため送信機の最小限駆動
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20231114BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
G06F3/041 512
G06F3/041 580
G06F3/044 120
(21)【出願番号】P 2020520565
(86)(22)【出願日】2018-10-13
(86)【国際出願番号】 US2018055770
(87)【国際公開番号】W WO2019075436
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-10-08
(32)【優先日】2017-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518033495
【氏名又は名称】タクチュアル ラブズ シーオー.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】モズリー,ブラオン
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-022635(JP,A)
【文献】特表2016-517098(JP,A)
【文献】特開2013-143152(JP,A)
【文献】特開2015-166921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチセンサーであって、前記タッチセンサーは、
少なくとも第1のモードおよび第2のモードで送信するのに適合した、複数の送信導体と、
前記複数の送信導体に動作可能に接続された信号発生器であって、前記信号発生器は、複数の周波数直交信号を生成し、前記複数の送信導体のセットに含まれる送信
導体のそれぞれに前記複数の周波数直交信号の少なくとも1つを送信するように構成されている、信号発生器と、
受信機に動作可能に接続された、複数の受信導体と、
前記受信機に動作可能に接続された信号プロセッサであって、複数の積分周期の間、前記複数の受信導体のそれぞれで受信された信号を処理するように、及び、前記複数の積分周期のそれぞれと前記複数の受信導体のそれぞれに対し、タッチイベントを決定するために測定値を決定するように構成される信号プロセッサと、
を含み、
ここで、前記第1モード中には、前記複数の送信導体のセットは前記複数の送信
導体のうち前記第2モード中よりも多くの送信
導体を含み、該第2モード中には、前記第1モード中に比べて、前記タッチイベントは前記タッチセンサーからより離れて決定されることができる
ことを特徴とするタッチセンサー。
【請求項2】
前記第2モード中には、前記第1モード中の半分の前記送信導体が、周波数直交信号を送信することを特徴とする請求項1に記載のタッチセンサー。
【請求項3】
第3のモードをさらに含み、前記第1モードあるいは、前記第2モード中とは異なる数の送信導体が、周波数直交信号を送信することを特徴とする請求項1のタッチセンサー。
【請求項4】
前記第2モード中には、前記第1モード中の四分の1の前記送信導体が、周波数直交信号を送信することを特徴とする請求項1に記載のタッチセンサー。
【請求項5】
前記第2モード中には、周波数直交信号を送信する前記送信導体は互いから等距離であることを特徴とする請求項1に記載のタッチセンサー。
【請求項6】
前記第2モード中には、周波数直交信号を送信する前記送信導体は互いから等距離でないことを特徴とする請求項1に記載のタッチセンサー。
【請求項7】
前記第2モード中には、前記第1モード中の四分の三の前記送信導体が、周波数直交信号を送信することを特徴とする請求項1に記載のタッチセンサー。
【請求項8】
タッチセンサーであって、前記タッチセンサーは、
第1のモードで信号を送信するのに適合した、第1の複数の導体と、
第2のモードで信号を送信するのに適合した、第2の複数の導体と、
前記第1のモード及び前記第2のモードで信号を受信するのに適合した、第3の複数の導体と、
前記第1の複数の導体及び前記第2の複数の導体に動作可能に接続された信号発生器であって、前記信号発生器は、複数の周波数直交信号を生成し、前記第1の複数の導体及び前記第2の複数の導体のそれぞれに前記複数の周波数直交信号の少なくとも1つを送信するように構成されている、信号発生器と、
前記第3の複数の導体に動作可能に接続された信号プロセッサであって、複数の積分周期の間、前記第3の複数の導体のそれぞれで受信された信号を処理するように、及び、前記複数の積分周期のそれぞれと前記
第3の複数の導体のそれぞれに対し、タッチイベントを決定するために測定値を決定するように構成された信号プロセッサと、
を含み、
前記第1の複数の導体における導体の数は、前記第2の複数の導体における導体の数より多く、前記第2モード中には、前記第1モード中に比べて、タッチイベントは前記タッチセンサーからより離れて決定されることができる
ことを特徴とするタッチセンサー。
【請求項9】
前記第2の複数の導体における導体の数は、前記第1の複数の導体における導体の数の半分であることを特徴とする請求項8に記載のタッチセンサー。
【請求項10】
第3のモードで信号を送信することに適合した前記第3の複数の導体をさらに含み、前記第3の複数の導体における導体の数は、前記第1の複数の導体における導体の数及び前記第2の複数の導体における導体の数とは異なっていることを特徴とする請求項8に記載のタッチセンサー。
【請求項11】
前記第2の複数の導体における導体の数は、前記第1の複数の導体における導体の数の四分の一であることを特徴とする請求項8に記載のタッチセンサー。
【請求項12】
前記第2の複数の導体における導体は互いから等距離であることを特徴とする請求項8に記載のタッチセンサー。
【請求項13】
前記第2の複数の導体は互いから等距離ではないことを特徴とする請求項8に記載のタッチセンサー。
【請求項14】
前記第2の複数の導体における導体の数は、前記第1の複数の導体における導体の四分の三であることを特徴とする請求項8に記載のタッチセンサー。
【請求項15】
複数の送信導体、信号発生器、複数の受信導体、受信機及び信号プロセッサを用いてタッチイベントを検知する方法であって、
第1モードにおいて、前記信号発生器であって、複数の周波数直交信号を生成し、前記複数の送信導体のセットの中のそれぞれの送信導体に前記複数の周波数直交信号の少なくとも1つを送信するよう構成されてなる、前記信号発生器から、前記信号発生器と動作可能に接続された前記複数の送信導体に沿って信号を送信する工程と、
前記受信機であって、該受信機には前記信号プロセッサが動作可能に接続され、該信号プロセッサは複数の積分周期の間、前記複数の受信導体のそれぞれで受信信号を処理し、且つ、前記複数の積分周期のそれぞれと前記複数の受信導体のそれぞれに対し、タッチイベントを決定するための測定値を決定するよう構成されてなり、前記受信機に、動作可能に接続された前記複数の受信導体で信号を受信する工程と、
前記第1モードで生じる第1のタッチイベントを決定する工程と、
第2モードで信号を送信する工程であって、該
第2モードでは、前記第1モードより少ない前記複数の送信導体のセットの中の送信導体が信号を送信する、第2モードで信号を送信する工程と、
前記第2モード中に起きる第2のタッチイベントを決定する工程であって、該第2のタッチイベントは、前記第1モード中より
、タッチセンサーから離れて生じる、第2のタッチイベントを決定する工程と、
から成る方法。
【請求項16】
前記第2モード中には、前記第1モード中の半分の前記送信導体が、周波数直交信号を送信することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第3のモードで信号を送信する工程をさらに含み、前記第1モードあるいは前記第2モードとは異なる数の前記送信導体が信号を送信することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第2モード中には、前記第1モード中の四分の一の前記送信導体が、周波数直交信号を送信することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第2モード中には、信号を送信する前記送信導体は互いから等距離であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第2モード中には、信号を送信する前記送信導体は互いから等距離でないことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示されたシステムは、概して、ユーザー入力の分野、特に各種入力スタイラスおよび接触の使用に敏感に反応するデバイスに関する。
【0002】
これは非仮特許出願であり、且つ2017年10月13日に出願された「High Proximity Minimal Transmit Sensor Driver」という標題の米国仮特許出願第62/572,005号の利益を要求する。それらの内容は参照によって本明細書に組込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本開示の前述および他の目的、特徴、および利点は、添付の図面で例証されるような実施形態の以下のより詳細な記載から明白になるであろう。図中、参照文字は図面全体にわたって同一の部分を指す。図面は必ずしも同一縮尺である必要はなく、その代わりに開示された実施形態を例示することに重点が置かれている。
【
図2】
図2はセンサーための動作モードを説明するダイヤグラムである。
【
図3】
図3はセンサーのための別の動作モードを説明するダイヤグラムである。
【
図4】
図4はセンサーのための別の動作モードを説明するダイヤグラムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第9,019,224号
【文献】米国特許第9,529,476号
【文献】米国特許第9,811,214号
【文献】米国特許第9,158,411号
【文献】米国特許第9,933,880号
【文献】米国特許第9,804,721号
【文献】米国特許第9,710,113号
【文献】米国特許出願第15/162,240号
【文献】米国特許出願第15/690,234号
【文献】米国特許出願第15/195,675号
【文献】米国特許出願第15/200,642号
【文献】米国特許出願第15/821,677号
【文献】米国特許出願第15/904,953号
【文献】米国特許出願第15/905,465号
【文献】米国特許出願第15/943,221号
【文献】米国特許出願第62/540,458号
【文献】米国特許出願第62/575,005号
【文献】米国特許出願第62/621,117号
【文献】米国特許出願第62/619,656号
【文献】PCT公開PCT/US2017/050547号
【発明を実施するための形態】
【0005】
様々な実施形態では、本開示は、ホバー、接触、圧力に敏感なシステム(例えば物体、パネルあるいはキーボード)及び、現実世界、人工現実、仮想現実及び、拡張現実の設定におけるそれらの適用に関する。本明細書での開示は、一般的に、ホバー、接触、圧力を検知するために高速マルチタッチを使用するすべてのタイプのシステムに適用することを、当業者によって理解されるだろう。ある実施形態では、本システムと方法は、スマートボード、スマートパッドと対話型のディスプレーを含むが、これらに限定されない、パネルとディスプレー面に適用することができる。
【0006】
本開示全体にわたって、用語「タッチする(touch)」、「タッチする(touches)」、「タッチイベント(touch event)」、「接触する(contact)」、「接触する(contacts)」、「ホバーする(hover)」、「ホバーする(hovers)」もしくは他の記述は、キー、キースイッチ、ユーザーの指、スタイラス、物体、または体の部分がセンサーによって検出されるイベント又は時間を記載するために使用されてもよい。幾つかのセンサーにおいて、ユーザーが、センサー、又はセンサーが埋め込まれる装置と物理的に接触した場合にのみ、検出が生じる。いくつかの実施形態の中で、また、語句「接触」によって通常は表示されるように、これらの検出が、センサー又はセンサーが埋め込まれる装置との物理的な接触の結果として生じる。他の実施形態の中で、そして「ホバーする」という言葉によって時々参照されるように、センサーは、タッチ面に距離を置いてホバーしている、あるいは、むしろセンサデバイスから離れた「タッチ」の検出を可能にするように調整されうる。また、センサーは、例えば、スタイラスあるいはペンなどの、導電性物体か静電容量物体が、表面と実際に物理的接触していないという事実にもかかわらず、認識可能な変化を引き起こす。したがって、感知された物理的接触への依存を示唆する本説明内の言葉の使用は、記載された技術がそれらの実施形態にのみ適用されることを意味すると解釈されるべきではなく;実際に、本明細書に記載されるものの全てではないが、ほぼ全てが、「接触する」および「ホバーする」に等しく適用され、これらは各々タッチである。通常は、本明細書に使用されるように、「ホバーする」という語句は、非接触タッチイベントまたはタッチを指す。また、本明細書で使用されるように、「ホバーする」という用語は、「タッチ」が本明細書に意図されるという意味で、「タッチ」の一種である。従って、本明細書で使用されるように、語句「タッチイベント」及び語句「タッチ」は、名詞として使用される場合、タッチに近いもの、及びタッチイベントに近いもの、又はセンサーを使用して識別され得る他のあらゆるジェスチャを含む。「圧力」は、物体の表面に対するユーザー接触(例えばユーザーの指または手による圧迫)によって及ぼされた単位面積あたりの力を指す。「圧力」の量は、同様に「接触」(つまり「タッチ」)の尺度である。「タッチ」は「ホバーする」、「接触する」、「圧力」、あるいは、「把持する」状態を指す。一方、「タッチ」の不足は、センサーによる正確な測定値のための閾値以下の信号によって通常は識別される。一実施形態に従い、タッチイベントは、非常に低いレイテンシ(例えば、約10ミリ秒以下、又は約1ミリ秒未満のオーダー)で、検出され、処理され、そして、ダウンストリームの計算プロセスに供給される場合がある。
【0007】
本開示において、特に特許請求の範囲内において使用されるように、第1の(first)、および第2の(second)などの順序の用語は、それら自体で、順番、時間、または一意性を示唆することは意図されず、むしろ1つの請求された構成を別のものと区別するために使用される。文脈が規定するいくつかの使用において、これらの用語は、第1の(first)と第2の(second)が一意的な物であることを示唆することもある。例えば、イベントが第1の時刻で生じて、別の出来事が第2の時に生じた場合、1回目が、2回目の前に、2回目の後に、あるいは2回目と同時に生じるという意図された含意はない。しかしながら、2回目が1回目の後であるという更なる限定が、請求項で提示される場合、文脈は、1回目と2回目が一意的な回であると読みとることを要求するだろう。同様に、内容がそのように規定するか許容する場合には、順序を示した用語は、特定された2つの請求項の構成が同じ特性、または異なる特性でありえるように、広く解釈されるように意図される。このように、例えば第1のおよび第2の周波数は、限定されないが、同じ周波数であり、例えば、第1の周波数が10Mhzであり、および第2の周波数が10Mhzであり、或いは異なる周波数であり、例えば、第1の周波数が10Mhzであり、および第2の周波数が11Mhzである。文脈は、例えば、第1および第2の周波数が互いに周波数直交であると、さらに限定される場合、あるいは、その場合にはそれらは同じ周波数ではないことを指示する場合がある。
【0008】
本出願は、タッチイベントの検知のために設計されたセンサーの様々な実施形態を考慮する。センサー構成は、周波数直交信号手法(例えば特許文献1、2及び3を参照。それらのすべては参照によってこれによって本明細書に組込まれる。)の用途に適している。本明細書に議論されたセンサー構成は、走査あるいは時分割手法、および/または符号分割手法を含む、他の信号手法と共に使用されてもよい。本明細書に記載された、または説明されたセンサーは、信号浸剤(さらに信号注入と呼ばれた)手法および装置に関わる使用にも適していると言及することが適切である。
【0009】
本明細書に開示されているシステムおよび方法は、静電容量タッチセンサー、特に、とりわけ限定されないが、周波数分割多重化(FDM)、符号分割多重化(CDM)、またはFDM法とCDM法の両方を組み合わせたハイブリッド変調技術などの、直交信号方式に基づく多重化方式を用いる静電容量タッチセンサーを、設計、製造および使用することに関連した、及びそれらのための原則を含む。本明細書における周波数への言及は、他の直交信号ベースも指す場合がある。そのように、この出願は、引用により、「Low-Latency Touch Sensitive Device」という標題の本出願人の先の特許文献1、および「Fast Multi-Touch Post Processing」という標題の特許文献4を組み入れる。これらの出願は、本開示のセンサーと関連して使用されてもよいFDM、CDM、またはFDM/CDMのハイブリッドタッチセンサーを考慮する。そのようなセンサーにおいて、行からの信号が、列に結合(増大)され、分断(低減)され、結果がその列の上で受信されたとき、相互作用が感知される。連続して行を励起し、列における励起信号の結合を計測することによって、静電容量変化を反映したヒートマップは変化し、故に近接して生み出されうる。
【0010】
この出願は、さらに次の文献の中で開示された高速マルチタッチ・センサーおよび他のインターフェースに使用される原理を使用する:特許文献5、特許文献1、特許文献3、特許文献6、特許文献7、特許文献4。これらの特許内の開示、概念と命名法についての熟知が推定される。それらの特許の全開示および、参照によって中に組み込まれるそれらの特許及び特許出願の全開示は、参照によって本明細書に組込まれる。この出願は、下記文献の中で開示された高速マルチタッチ・センサーおよび他のインターフェースに使用される原理を使用する:特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20。これらの特許内の開示、概念と命名法についての熟知が推定される。それらの特許の全開示および、参照によって中に組み込まれるそれらの特許及び特許出願の全開示は、参照によって本明細書に組込まれる。
【0011】
図1は、一実施形態に従った高速マルチタッチセンサー(100)の特定の原理を示している。トランスミッタ(200)は、信号発生器(202)によって発生された異なる信号を、パネル(400)の送信導体(201)のそれぞれに送る。信号は、「直交」(すなわち互いに分離可能および区別可能)となるように設計される。受信機(300)は、各受信導体(301)に取り付けられており、信号プロセッサ302が動作可能に接続されている。送信導体(201)および受信導体(301)は、信号を送信することができ及び/または、受信する導体(さらにアンテナと呼ばれる)である。受信機(300)は、他の信号および/または雑音を含んで、又は、それらを含むことなく、送信された信号のいずれか、またはそれらの任意の組み合わせを受信するように、及び例えばその受信導体(301)に存在する直交の送信信号の各々に対する量のような基準を個別に判定するように設計される。センサーのパネル(400)は、一連の送信導体(201)と受信導体(301)(全て図示されず)を含み、それに沿って直交信号は伝搬することができる。ある実施形態では、タッチイベントが、送信導体(201)の少なくとも1個と受信導体(301)の少なくとも1個の間での連結の変化を引き起こすように、送信導体(201)および受信導体(301)は配置される。ある実施形態では、タッチイベントは、受信導体(301)に検知される、送信導体(201)上で送信された信号の量(例えば規模)の変化を引き起こすであろう。ある実施形態では、タッチイベントは、受信導体(301)で検知される、送信導体(201)上で送信された信号の位相の変化を引き起こすであろう。センサー(100)が連結の変動により根本的にタッチイベントを検知するので、特定の実施形態、タッチによってタッチ関連の連結にもたらされる変化のタイプに対して明らかかもしれない理由を除いて、あまり重要ではない。上記で議論されたように、タッチ、又はタッチイベントは、物理的なタッチではなく、むしろ、結合された信号に影響を及ぼすイベントを要求する。ある実施形態では、タッチまたはタッチイベントは、物理的なタッチではなく、むしろ反復可能か予測可能なやり方で結合された信号に影響与えるイベントを要求する。
【0012】
図1を続けて参照すると、ある実施形態の中で、通常は、送信導体(201)および受信導体(301)の両方の近傍でのタッチイベントの結果は、それが受信導体(301)上で検知されると、送信導体(201)で送信される信号の変化を引き起こす。ある実施形態では、結合の変化は、受信導体(301)上の連続の測定値の比較により検知されることもある。ある実施形態では、結合の変化は、受信導体(301)上でなされた測定と、送信導体(201)上で送信された信号の特徴とを比較することにより検知されることもある。ある実施形態では、結合の変化は、受信導体(301)上の連続の測定を比較することおよび、受信導体(301)上でなされた測定と、送信導体(201)上で送信された信号の既知の特徴を比較することの両方により測定されることもある。より一般的には、タッチイベントは、受信導体(301)上での信号の測定を生じさせ、故に、これに対応する。導体(201)上の信号が直交であるため、多数の行信号が、受信導体(301)に結合され、受信機(300)によって区別され得る。同様に、各送信導体(201)の信号は、複数の受信導体(301)に結合することができる。ある送信導体(201)につながれた、各受信導体(301)のために(どのようにタッチが行と列の間のカップリングに影響するかにかかわらず)、受信導体(301)上で測定された信号は、どの送信導体(201)がその受信導体(301)と同時にタッチされているか示す情報を含んでいる。受信された各信号の規模または位相変化は、一般に、対応する信号を運ぶ列(301)と行(201)の間の結合の量に関連し、および故に、タッチ物体のタッチ面までの距離、タッチによって覆われるタッチ面の領域及び/又はタッチの圧力を示し得る。
【0013】
タッチデバイスの様々な実装において、行(201)及び/又は列(301)と指または他のタッチオブジェクトとの間に保護バリアが存在し得るため、送信導体(201)及び/又は受信導体(301)との物理的タッチは起こりそうもない又は、不可能である。さらに、通常は、送信導体(201)および受信導体(301)自体は、互いに物理的なタッチしておらず、むしろ、信号がそれらの間で結合されることを可能とし、且つ結合は、タッチによって変化する近接位置に置かれる。通常、行-列の結合は、それらの間の実際の接触によるものでも、指または他のタッチオブジェクトからの実際のタッチによるものでもなく、むしろ、指(または他のオブジェクト)を近傍に移動させる効果によるものである。近接は結合の変化をもたらす。この効果は、タッチとして本明細書で言及される。
【0014】
ある実施形態では、送信導体(201)のおよび受信導体(301)の配向は、物理的なプロセスの結果として変動することもある。そして、互いに対する送信導体(201)および/または受信導体(301)の配向(例えば動作)の変化は、結合の変化を引き起こすこともある。ある実施形態では、物理的なプロセスの結果として、送信導体(201)と受信導体(301)の配向は変化することもある。そして、送信導体(201)と受信導体(301)の間の配向の範囲は、オーム接触を含んでおり、故に、ある範囲内のいくつかの配向において、送信導体(201)および受信導体(301)は物理的にタッチしていることもある。一方、その範囲の他の配向において、送信導体(201)および受信導体(301)は物理的に接触しておらず、それらの結合を変動することもある。ある実施形態の中で、行(201)および列(301)が物理的に接触していない場合、それらの結合は、共に接近する又は遠ざかる結果として変動することもある。ある実施形態の中で、送信導体(201)および受信導体(301)が物理的に接触していない場合、それらの結合は接地の結果として変動することもある。ある実施形態の中で、送信導体(201)および受信導体(301)が物理的な接触中でない場合、それらの結合は、結合された場の中で材料が変換された結果として変動することもある。ある実施形態の中で、送信導体(201)および受信導体(301)が物理的に接触していない場合、それらの結合は、送信導体(201)あるいは受信導体(301)の変形、あるいは行または列に関連したアンテナの結果として、変動することもある。
【0015】
送信導体(201)および受信導体(301)の性質は任意であり、また、特別な配向可能である。実際、送信導体(201)と受信導体(301)は、単に正方形グリッドを指すことを意図せず、むしろ、信号が送信される導体のセット(行)及び、信号が結合されるであろう導体のセット(列)を指すように意図される。信号が行上で送信される及び、列それ自体の上で受信される概念は任意であり、信号は、任意に列と指定された導体上に容易に送信され得る、且つ任意に行と命名された導体上で受信され得、あるいは両方とも任意に他の何かと命名され得る。さらに、行および列が格子状である必要はない。タッチイベントが行-列結合に影響を与える限り、他の形状も可能である。例えば、「行」は同心円であり、「列」は中心から外に放射するスポーク(spokes)であり得る。および「行」と「列」はいずれも幾何学的または空間的なパターンに従う必要はなく、したがって例えば、キーボード上のキーは、行と列を形成するために無作為に接続され得る(それらの相対的な位置に関連し、または関連せず)。さらに、アンテナまたは導体は、例えばITOから作られた行など簡易な導体ワイヤよりも定義された形がある行として使用されてもよい。例えば、アンテナまたは導体は、円形、あるいは長方形であり得る、あるいは、ほぼあらゆる形状、変化する形状であってもよい。行として使用されるアンテナまたは導体は、1つ以上の導体またはアンテナ、あるいは、列として働く1つ以上のアンテナまたは導体の近傍に配向していてもよい。ある実施形態では、アンテナまたは導体は信号送信に使用され、信号を受信するために使用される1つ以上の導体、あるいは1つ以上の他のアンテナの近傍に配向されることもある。タッチは、信号送信に使用されたアンテナまたは導体と、信号を受信するために使用されるアンテナまたは導体との間の結合を変化させるだろう。
【0016】
信号の伝搬チャネルが2種類のみである必要はない:送信導体(201)と受信導体(301)の代わりに、ある実施形態において、チャネル「A」、「B」、及び「C」を設けてもよく、そこでは、「A」上で送信された信号は「B」上及び「C」上で受信され、又は、ある実施形態において、「A」上及び「B」上で送信された信号は「C」上で受信され得る。信号の伝搬チャネルが機能を交代させること、時に送信機を支援し且つ時に受信機を支援し得ることも可能である。送信される信号が直交であり、したがって受信される信号から分離可能である場合、信号の伝播チャネルは送信機と受信機を同時に支援することができることが、さらに検討される。3つ以上のタイプのアンテナあるいは導体は、単なる「行」および「列」として使用されてもよい。多くの代替的な実施形態が可能であり、これらは本開示を考慮した後において、当業者に明白であるであろう。同様に、各送媒体において、唯一の送信される信号が存在する必要はない。ある実施形態では、多重直交信号は各行あるいはアンテナ上で送信される。
【0017】
手短に
図1に戻り、前述されるように、ある実施形態では、タッチ面であるパネル(400)は一連の送信導体(201)および受信導体(301)を含み、信号はそれに沿って伝播することができる。上に議論されるように、送信導体(201)および受信導体(301)は、それらがタッチされない場合には、それらがタッチされる場合とは異なって信号が連結されるように、配向される。それらの間で結合される信号における変化は、概してタッチが漸次的変化として測定されるようなタッチに対し比例または反比例しても良く(必ずしも線形比例ではない)、その結果、強いタッチ(つまり、より近いまたはしっかりとした)とより弱いタッチ(つまり、より遠いまたはより柔らかい)、および非タッチさえの区別も可能にする。
【0018】
受信機(300)は、信号プロセッサ(302)が動作可能に接続されている各受信導体(301)に取り付けられている。受信機(300)は、受信導体(301)上に存在する信号を受信するように設計され、直交信号、直交信号の無作為な組み合わせ、および存在する雑音または他の信号のいずれかを含む。通常は、受信機は、受信導体(301)上に存在する信号のフレームを受信するように、および信号を提供する列を識別するように設計されている。信号のフレームは積分周期またはサンプリング周期の間に受信される。ある実施形態では、受信機のデータに関連付けられた信号プロセッサ(302)は、信号のフレームが捕捉された時間の間に、その受信導体(301)上に存在する直交の送信信号それぞれの量に関連付けられた尺度を決定し得る。このように、各受信導体(301)とタッチ状態にある送信導体(201)の識別に加えて、受信機は、タッチに関する付加的な(例えば、質的な)情報を提供することができる。概して、タッチイベントは、導体(301)上の受信された信号に対応し得る(または反比例して対応し得る)。各受信導体(301)のために、その上に受信された様々な信号は、どの対応する送信導体(201)が、受信導体(301)と同時にタッチされているかを示す。ある実施形態では、対応する送信導体(201)と受信導体(301)の間の結合量は、例えば、タッチによって覆われたタッチ面の面積、タッチの圧力などを示し得る。ある実施形態では、対応する送信導体(201)と受信導体(301)の間の、経時的な結合における変化は、2つの導体の交点でのタッチにおける変化を示す。
【0019】
ある実施形態では、混合信号集積回路は、信号発生器、送信機、受信機と信号プロセッサを含む。ある実施形態では、混合信号集積回路は、1つ以上の信号を生成し、かつ送信アンテナ信号を送るように適合される。ある実施形態では、混合信号集積回路は、複数の周波数直交信号を生成し、かつ送信アンテナに複数の周波数直交信号を送るように適合される。ある実施形態では、混合信号集積回路は、複数の周波数直交信号を生成し、かつ複数の行の各々に、複数の周波数直交信号の1つ以上を送るように適合される。ある実施形態では、周波数直交信号はDCから約2.5GHzまでの範囲にある。ある実施形態では、周波数直交信号はDCから約1.6MHzまでの範囲にある。ある実施形態では、周波数直交信号は50kHzから200kHzまでの範囲にある。周波数直交信号間の周波数間隔は、積分周期(つまりサンプリング周期)の逆数以上でなければならない。
【0020】
ある実施形態では、混合信号集積回路(あるいは下流の構成部またはソフトウェア)の信号プロセッサは、行に送信された各周波数直交信号を表わす少なくとも1つの値を断定するように適合される。ある実施形態では、混合信号集積回路(あるいは下流の構成部またはソフトウェア)の信号プロセッサは、受信信号へのフーリエ変換を行なう。ある実施形態では、混合信号集積回路は受信信号をデジタル化するように適合される。ある実施形態では、混合信号集積回路(あるいは下流の構成部またはソフトウェア)は、受信信号をデジタル化し、かつデジタル化された情報の上で離散的フーリエ変換(DFT)を行なうように適合される。ある実施形態では、混合信号集積回路(あるいは下流の構成部またはソフトウェア)は、受信信号をデジタル化し、かつデジタル化された情報の上で高速フーリエ変換(FFT)を行なうのに適している--FFTは離散的フーリエ変換の一種である。
【0021】
本質的には、DFTが、それが繰り返されるようなサンプリング周期中(例えば積分周期)に得られた、デジタルサンプル(例えばウィンドウ)の配列を処理することは、この開示を考慮して当業者に明白だろう。結果として、中心周波数(つまり積分周期の逆数の整数倍数ではない(逆数が最小限の周波数間隔を規定する))でない信号は、比較的名目上であるが、他のDFTビンへ小さな値を寄与する意図しない結果を持っていることもある。このように、我々が本明細書中の語句「直交」を使用するので、がそのような小さな寄与によって「破られない」ことは、この開示を考慮して当業者に明白だろう。言いかえれば、我々が語句「周波数直交」を本明細書に使用するとともに、一方の信号のDFTビンへの寄与のほぼすべてが、他の信号の寄与の全てとは異なるDFTビンになされる場合、2つの信号が周波数直交と考えられる。
【0022】
ある実施形態では、受信信号は少なくとも1MHzでサンプリングされる。ある実施形態では、受信信号は少なくとも2MHzでサンプリングされる。ある実施形態では、受信信号は4Mhzでサンプリングされる。ある実施形態では、受信信号は4.096Mhzでサンプリングされる。ある実施形態では、受信信号は4MHzより上でサンプリングされる。
【0023】
例えば、kHzサンプリングを達成するために、4096のサンプルが4.096MHzで得られることもある。そのような実施形態では、積分周期は1ミリセカンドである。周波数間隔が積分周期の逆数以上でなければならないという制限により、1kHzの最小の周波数間隔が得られる。(例えば、4MHzで4096のサンプルを得ることは、1ミリセカンドよりわずかに長い積分周期をもたらし、kHzサンプリングを達成せず、また976.5625Hzの最小の周波数間隔をもたらすことは、この開示を考慮して当業者に明白だろう。)ある実施形態では、周波数間隔は積分周期の逆数と等しい。そのような実施形態では、周波数直交信号範囲の最大周波数は2MHz未満でなければならない。そのような実施形態では、周波数直交信号範囲の実際的な最大周波数は、サンプリングレートの約40%未満、あるいは約1.6MHzでなければならない。ある実施形態では、DFT(FFTでありうる)は、デジタル化された受信信号を情報のビンに転換するために使用され、その各々は、送信アンテナ130により送信された周波数直交送信信号の周波数を反映している。ある実施形態では、2048のビンが1kHzから約2MHzまでの周波数に相当する。これらの例が典型的に、単に例示的なものであることは、この開示を考慮して当業者に明白だろう。システムの必要性に依存して、そして上に記載された拘束に従って、サンプリングレートは増加、あるいは減少し、積分周期は調節され、周波数範囲は調節されてもよい。
【0024】
ある実施形態では、DFT(FFTでありえる)出力は、送信される各周波数直交信号のビンを含む。ある実施形態では、それぞれのDFT(FFTでありえる)ビンは、同位相(I)と直角位相(Q)成分を含む。ある実施形態では、IとQの成分の二乗和は、そのビンに対する信号強度に対応する基準として使用される。ある実施形態では、IとQの成分の二乗和の平方根は、そのビンに対する信号強度に対応する基準として使用される。ビンに対する信号強度に対応する基準は、タッチと関係する基準として使用されることができることは、この開示を考慮して当業者に明白だろう。言いかえれば、あるビンの信号強度に対応する基準は、タッチイベントの結果として変化するだろう。
【0025】
図2はセンサーの動作モードを説明するダイヤグラムである。
図2に示されるものは、送信導体(201)および受信導体(301)のサンプリングである。
図2に説明された動作モードでは、受信導体(301)だけが操作される。送信導体(201)は、単に受信導体(301)を動作させたままにするために、ハイインピーダンスpチャネル電界効果トランジスタに接続されるか、あるいは分離されることもある。この動作モードは、主として信号が本体を介して注入されているか、送信導体(201)以外の異なる送信アンテナまたは導体によって送信された場合、使用される。
図2では、受信導体(301)のすべてが、接続された状態で示され、送信された信号を受信することができる。しかし、ある実施形態では、すべての受信導体(301)より少数が接続されることもある。ある実施形態では、送信導体(201)および受信導体(301)の機能が、互いの間で切り替え可能になるように、スイッチは受信導体(301)と送信導体(201)の間に接続される。ある実施形態では、送信導体(201)および受信導体(301)の両方は、信号を受信するために動作することができる。
【0026】
図3はセンサー用の別の動作モードを説明するダイヤグラムである。このモードも、
図1を参照して上記のように述べられている。このモードにおいて、送信導体(201)は信号を送信、受信導体(301)は信号を受信する。センサーとの相互作用は、タッチイベントを確認し判定するために使用されるヒートマップを作成するために使用される。このモードは、接触および「接近している」タッチイベントなどのタッチイベントを検知するのに優れている。接近したタッチイベントによって、センサーの表面の数センチメートル内にあるのはタッチイベントであることが意味される。しかしながら、これよりさらに離れた距離で生じるタッチイベントが、さらに検知されることが理解されるに違いない。実際に、近接したタッチイベントを参照することによって、タッチイベントは、センサーの表面上の位置で生じるか、あるいは他の動作モードを使用して生じるタッチイベントよりもセンサーの表面に近接して生じることが意味される。
【0027】
図4はセンサーの別の動作モードを説明するダイヤグラムである。このモードの中で、アクティブな送信導体(201)の数は、
図3に説明されたモードにおける送信導体(201)と比較して減らされている。
図3に説明されたモードは、参照を容易にするために、本明細書では第1モードと呼ぶ。即ち、パネルは、典型的に、送信導体(201)のすべてが信号を送信している、第1モードを持っている。別の第2モードにおいて、送信導体(201)が、第1モードほども信号を送信しない。ある実施形態では、第1モードで動作した送信導体(201)と比較して、送信導体(201)の半分はアクティブである。ある実施形態では、第1モードで動作した送信導体(201)と比較して、送信導体(201)4分の3はアクティブである。ある実施形態では、第1モードで動作した送信導体(201)と比較して、送信導体(201)の4分の1はアクティブである。ある実施形態では、第1モードで動作した送信導体(201)と比較して、送信導体(201)の3分の1はアクティブである。ある実施形態では、第1モードで動作した送信導体(201)と比較して、送信導体(201)の8分の1はアクティブである。ある実施形態では、第1モードで動作した送信導体(201)と比較して、送信導体(201)の6分の1はアクティブである。ある実施形態では、第1モードで動作した送信導体(201)と比較して、送信導体(201)の9分の1はアクティブである。ある実施形態では、第1モードで動作した送信導体(201)と比較して、送信導体(201)の10分の1はアクティブである。ある実施形態では、第1モードで動作していたもの未満の、所定数の送信導体(201)が使用される。ある実施形態では、アクティブである送信導体(201)は、アクティブな送信導体(201)から互いに等距離である。ある実施形態では、アクティブである送信導体(201)は、互いから等距離ではない。ある実施形態では、送信導体(201)は第1モードに加えて複数の追加のモードで動作することができ、そこで、複数の追加のモードの各々が、第1モードの異なる数の送信導体(201)(例えば1/2のアクティブの送信導体(201)の第2のモードおよび、1/4のアクティブ送信導体(201)の第3のモード)を動作させる。
【0028】
タッチイベントの検出の範囲が増加させられることを可能とする、送信導体(201)の信号の規模は高い。送信導体(201)の減少は、さらにセンサー領域の小信号接地の数を減らす。送信導体(201)の信号の規模は、隣接した送信導体(201)間の増加した距離により増加可能である。受信導体(301)で増幅された信号を受信することによって、第1モードでの動作中に生じるタッチイベントに比べ、タッチパネルの表面からさらに遠くで生じるタッチイベントが、検知され得る。これは、タッチパネルを1つ以上のモードで動作させることを可能にし、そこでは、ユーザーの必要性あるいは感度の所望のレベルに依存して、タッチイベントへの感度を変えることができる。
【0029】
図5を参照すると、タッチ面の近くで低インピーダンス導体がより多く使用されるほど、検出可能なタッチ面の距離は短くなり、より多くのシステムは近くのタッチイベントにしか反応しない。送信導体の高インピーダンスを不能にすることによって、その領域の低インピーダンス導体の数は減少し、ホバーイベントをよく検知できるように、電磁力線が、タッチセンサーの表面からさらに遠くに達することを可能にする。ある実施形態では、時分割多重通信の方法における接近タッチイベントとホバーイベントに関するデータを集めるために、送信導体は、ソフトウェア制御下で高インピーダンス・モードに移ることができる。
図5では、―vgsは、使用されるpfetのVthを超えていることもある。制御信号がアクティブである場合、Dの信号は最小限の(つまり1桁オーム)インピーダンスを備えたSにおける信号に移動することを可能にされることもある。制御信号が不活性の場合、―vgsは0ボルトか、あるいは、ほぼ0ボルトであり得る。また、DからSまでの経路は高インピーダンス経路になる。ある実施形態では、単一のpfetは効率的な多重送信および速いスイッチングのために使用されてもよい。
【0030】
ある実施形態では、タッチセンサーであって、前記タッチセンサーは:少なくとも第1のモードおよび第2のモードで送信するのに適合した、複数の送信導体;前記複数の送信導体に動作可能に接続された信号発生器であって、前記複数の送信導体のそれぞれに周波数直交信号を送信するように構成されている、信号発生器;受信機に動作可能に接続された、複数の受信導体;前記受信機に動作可能に接続された信号プロセッサであって、複数の積分周期の間、前記複数の受信導体のそれぞれで受信された受信信号を処理するように、及び、前記複数の積分周期のそれぞれと前記複数の受信導体のそれぞれに対し、タッチイベントを決定するために測定値を決定するように構成される信号プロセッサ;を含み、ここで、第1モード中には、第2モード中に比べて、より多くの前記複数の送信導体が周波数直交信号を送信し、第2モード中には、第1モード中に比べて、前記タッチイベントは前記タッチセンサーからより離れて決定されることができる。
【0031】
開示の別の態様はタッチセンサーであって、前記タッチセンサーは、第1のモードで信号を送信するのに適合した、第1の複数の導体;第2のモードで信号を送信するのに適合した、第2の複数の導体;第1のモード及び第2のモードで信号を受信するのに適合した、第3の複数の導体;前記第1の複数の導体及び前記第2の複数の導体に動作可能に接続された前記信号発生器であって、前記第1の複数の導体及び前記第2の複数の導体のそれぞれに信号を送信するように構成されている、信号発生器;前記第3の複数の導体に動作可能に接続された信号プロセッサであって、複数の積分周期の間、前記第3の複数の導体のそれぞれで受信された受信信号を処理するように、及び、前記複数の積分周期のそれぞれと前記複数の受信導体のそれぞれに対し、タッチイベントを決定するために測定値を決定するように構成される信号プロセッサ;を含み、前記第1の複数の導体における導体の数は、前記第2の複数の導体における導体の数より多く、第2モード中には、第1モード中に比べて、タッチイベントは前記タッチセンサーからより離れて決定されることができる。
【0032】
本開示のさらに別の態様はタッチイベントを検知する方法であって、タッチイベントを検知する方法は、第1のモードにおいて複数の送信導体に沿って信号を送信する工程であって、送信導体は動作可能に信号発生器と接続され、信号発生器は、前記複数の送信導体のそれぞれで周波数直交信号を送信するように構成されている、工程;複数の受信導体で信号を受信する工程であって、前記複数の受信導体は受信機に動作可能に接続され、信号プロセッサは、前記受信機に動作可能に接続され、前記信号プロセッサは、複数の積分周期の間、前記複数の受信導体のそれぞれで受信信号を処理するように、及び、前記複数の積分周期のそれぞれと前記複数の受信導体のそれぞれに対し、タッチイベントを決定するために測定値を決定するように構成される、工程、第1モードで生じる第1のタッチイベントの決定する工程;第2モードで信号を送信する工程であって、前記第2モードでは、より少ない前記送信導体が信号を送信する、工程;第2モード中に起きる第2のタッチイベントを決定する工程であって、前記第2のタッチイベントは、第1モード中より、前記タッチセンサーからより離れて生じる、工程を含む。
【0033】
本発明はその好ましい実施形態に関して具体的に示され、記載されてきた一方で、形態と詳細の様々な変化は本発明の精神と範囲から逸脱することなくなされ得るということが当業者に理解されよう。