(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】画像表示装置、及び画像表示方法
(51)【国際特許分類】
G02B 30/31 20200101AFI20231114BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20231114BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20231114BHJP
H04N 13/315 20180101ALI20231114BHJP
H04N 13/312 20180101ALI20231114BHJP
H04N 13/373 20180101ALI20231114BHJP
H04N 13/32 20180101ALI20231114BHJP
H04N 13/398 20180101ALI20231114BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20231114BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
G02B30/31
G09G3/20 660X
G09G3/36
H04N13/315
H04N13/312
H04N13/373
H04N13/32
H04N13/398
G09G5/00 550C
G09G5/36 500
(21)【出願番号】P 2020553231
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(86)【国際出願番号】 JP2019040669
(87)【国際公開番号】W WO2020080403
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2018194917
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】掛谷 英紀
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-092103(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0007348(US,A1)
【文献】特開2015-125407(JP,A)
【文献】特開2016-218453(JP,A)
【文献】特開2013-015619(JP,A)
【文献】特開2002-305759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/00 - 30/60
G03B 35/24
G09G 3/20
G09G 3/36
H04N 13/30 - 13/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時分割によるパララックスバリア方式によって立体視画像を表示する画像表示装置であって、
透過型の画像表示面にマトリクス状に配置された複数の表示素子と、
前記画像表示面の背面から前記画像表示面に対して光源部によって照射される照明光の前記画像表示面に対する配置を可変に制御する面であって、前記光源部と前記画像表示面との間に配置される面である照明配置面にマトリクス状に配置された複数の照明配置制御素子と、
左眼用画像データ及び右眼用画像データに基づいて前記表示素子を制御するとともに、前記画像表示面に表示される画像と、前記画像表示面の位置及び当該画像表示面を観察する観察者の位置の相対的な位置関係とに基づいて、前記照明配置制御素子を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記観察者の両眼のうちの少なくとも一方の眼と前記画像表示面との間の距離である観察者距離を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部により取得された位置情報が示す前記観察者距離に基づいて、前記画像表示面のうち前記左眼用画像データの画像が表示される左画像領域と、前記画像表示面のうち前記右眼用画像データの画像が表示される右画像領域との、それぞれの領域の
前記時分割の分割数の更新後の値である更新後分割数を算出する分割数算出部と、
前記分割数を前記分割数算出部により算出された前記更新後分割数に基づいて変化させる画像表示面制御部と、
前記照明配置面のうち前記照明光が生じるスリット領域の幅を前記分割数の変化前の幅に保持しつつ、前記分割数算出部により算出された前記更新後分割数に基づいて、前記照明配置面のうち前記照明光が生じないバリア領域と、前記スリット領域との、それぞれの領域の配置パターンを
前記時分割で変化させる照明配置面制御部と、を備え、
前記分割数算出部は、前記距離が相対的に長いときに前記更新後分割数を相対的に少なくし、前記距離が相対的に短いときに前記更新後分割数を相対的に多くし、
前記画像表示面における複数の前記左画像領域全てと複数の前記右画像領域全てとを合わせた領域の幅と、前記照明配置面における複数の前記スリット領域全てと複数の前記バリア領域全てとを合わせた領域の幅とは等しい
画像表示装置。
【請求項2】
前記画像表示面と前記照明配置面との距離は、前記画像表示面の視域角と、前記照明配置面に配置された前記照明配置制御素子の幅とに基づく距離である
請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記光源部は、前記分割数に応じて前記画像表示面に照射する前記照明光の強度を変化させる
請求項1
または請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記照明配置面に配置された前記照明配置制御素子には前記照明光の周波数帯域に応じた複数の種類があり、
前記画像表示面に配置された前記表示素子には前記照明光の周波数帯域に応じた前記複数の種類と同じ数の種類があり、
前記複数の種類の前記照明配置制御素子が前記照明配置面に配置される順番と、前記複数の種類と同じ数の種類の前記表示素子が前記画像表示面に配置される順番とは、前記照明配置面から前記画像表示面の背面
へと向う向きにみたときに逆の順番である
請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項5】
時分割によるパララックスバリア方式によって立体視画像を表示する画像表示装置であって、
透過型の画像表示面にマトリクス状に配置された複数の表示素子と、
前記画像表示面の背面から前記画像表示面に対して光源部によって照射される照明光の前記画像表示面に対する配置を可変に制御する面であって、前記光源部と前記画像表示面との間に配置される面である照明配置面にマトリクス状に配置された複数の照明配置制御素子と、
左眼用画像データ及び右眼用画像データに基づいて前記表示素子を制御するとともに、前記画像表示面に表示される画像と、前記画像表示面の位置及び当該画像表示面を観察する観察者の位置の相対的な位置関係とに基づいて、前記照明配置制御素子を制御する制御部と、
を備える前記画像表示装置の画像表示方法であって、
前記観察者の両眼のうちの少なくとも一方の眼と前記画像表示面との間の距離である観察者距離を示す位置情報を取得する位置情報取得過程と、
前記位置情報取得過程により取得された位置情報が示す前記観察者距離に基づいて、前記画像表示面のうち前記左眼用画像データの画像が表示される左画像領域と、前記画像表示面のうち前記右眼用画像データの画像が表示される右画像領域との、それぞれの領域の
前記時分割の分割数の更新後の値である更新後分割数を算出する分割数算出過程と、
前記分割数を前記分割数算出過程により算出された前記更新後分割数に基づいて変化させる画像表示面制御過程と、
前記照明配置面のうち前記照明光が生じるスリット領域の幅を前記分割数の変化前の幅に保持しつつ、前記分割数算出過程において算出された前記更新後分割数に基づいて、前記照明配置面のうち前記照明光が生じないバリア領域と、前記スリット領域との、それぞれの領域の配置パターンを
前記時分割で変化させる照明配置面制御過程と、を有し、
前記分割数算出過程において、前記距離が相対的に長いときに前記更新後分割数を相対的に少なくし、前記距離が相対的に短いときに前記更新後分割数を相対的に多くし、
前記画像表示面における複数の前記左画像領域全てと複数の前記右画像領域全てとを合わせた領域の幅と、前記照明配置面における複数の前記スリット領域全てと複数の前記バリア領域全てとを合わせた領域の幅とは等しい
画像表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、及び画像表示方法に関する。
本願は、2018年10月16日に、日本に出願された特願2018-194917号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、眼鏡を使用せずに画像を立体視させる画像表示装置についての研究や開発が行われている。眼鏡を使用せずに画像を立体視させる画像表示装置として、例えば、時分割によるパララックスバリア式の裸眼立体映像表示装置が知られている(特許文献1)。
特許文献1に記載の裸眼立体映像表示装置では、所定の視線方向を観察する観察者の左右の眼に、複数の立体表示画像が周期4以上の時系列で所定の順で順次提示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の裸眼立体映像表示装置では、観察者の画面表示面に向う画面表示面の垂直方向の移動が考慮されておらず、立体視ができる視域が奥行き方向に狭かった。以下、画面表示面に向う画面表示面の垂直方向を奥行き方向と言う。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、立体視ができる奥行方向の視域を広げる画像表示装置、及び画像表示方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、時分割によるパララックスバリア方式によって立体視画像を表示する画像表示装置であって、透過型の画像表示面にマトリクス状に配置された複数の表示素子と、前記画像表示面の背面から前記画像表示面に対して光源部によって照射される照明光の前記画像表示面に対する配置を可変に制御する面であって、前記光源部と前記画像表示面との間に配置される面である照明配置面にマトリクス状に配置された複数の照明配置制御素子と、左眼用画像データ及び右眼用画像データに基づいて前記表示素子を制御するとともに、前記画像表示面に表示される画像と、前記画像表示面の位置及び当該画像表示面を観察する観察者の位置の相対的な位置関係とに基づいて、前記照明配置制御素子を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記観察者の両眼のうちの少なくとも一方の眼と前記画像表示面との間の距離である観察者距離を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報取得部により取得された位置情報が示す前記観察者距離に基づいて、前記画像表示面のうち前記左眼用画像データの画像が表示される左画像領域と、前記画像表示面のうち前記右眼用画像データの画像が表示される右画像領域との、それぞれの領域の前記時分割の分割数の更新後の値である更新後分割数を算出する分割数算出部と、前記分割数を前記分割数算出部により算出された前記更新後分割数に基づいて変化させる画像表示面制御部と、前記照明配置面のうち前記照明光が生じるスリット領域の幅を前記分割数の変化前の幅に保持しつつ、前記分割数算出部により算出された前記更新後分割数に基づいて、前記照明配置面のうち前記照明光が生じないバリア領域と、前記スリット領域との、それぞれの領域の配置パターンを前記時分割で変化させる照明配置面制御部と、を備え、前記分割数算出部は、前記距離が相対的に長いときに前記更新後分割数を相対的に少なくし、前記距離が相対的に短いときに前記更新後分割数を相対的に多くし、前記画像表示面における複数の前記左画像領域全てと複数の前記右画像領域全てとを合わせた領域の幅と、前記照明配置面における複数の前記スリット領域全てと複数の前記バリア領域全てとを合わせた領域の幅とは等しい画像表示装置である。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の画像表示装置において、前記画像表示面と前記照明配置面との距離は、前記画像表示面の視域角と、前記照明配置面に配置された前記照明配置制御素子の幅とに基づく距離である。
また、本発明の一態様は、上記の画像表示装置において、前記光源部は、前記分割数に応じて前記画像表示面に照射する前記照明光の強度を変化させる。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の画像表示装置において、前記照明配置面に配置された前記照明配置制御素子には前記照明光の周波数帯域に応じた複数の種類があり、前記画像表示面に配置された前記表示素子には前記照明光の周波数帯域に応じた前記複数の種類と同じ数の種類があり、前記複数の種類の前記照明配置制御素子が前記照明配置面に配置される順番と、前記複数の種類と同じ数の種類の前記表示素子が前記画像表示面に配置される順番とは、前記照明配置面から前記画像表示面の背面へと向う向きにみたときに逆の順番である。
【0011】
また、本発明の一態様は、時分割によるパララックスバリア方式によって立体視画像を表示する画像表示装置であって、透過型の画像表示面にマトリクス状に配置された複数の表示素子と、前記画像表示面の背面から前記画像表示面に対して光源部によって照射される照明光の前記画像表示面に対する配置を可変に制御する面であって、前記光源部と前記画像表示面との間に配置される面である照明配置面にマトリクス状に配置された複数の照明配置制御素子と、左眼用画像データ及び右眼用画像データに基づいて前記表示素子を制御するとともに、前記画像表示面に表示される画像と、前記画像表示面の位置及び当該画像表示面を観察する観察者の位置の相対的な位置関係とに基づいて、前記照明配置制御素子を制御する制御部と、を備える前記画像表示装置の画像表示方法であって、前記観察者の両眼のうちの少なくとも一方の眼と前記画像表示面との間の距離である観察者距離を示す位置情報を取得する位置情報取得過程と、前記位置情報取得過程により取得された位置情報が示す前記観察者距離に基づいて前記画像表示面のうち前記左眼用画像データの画像が表示される左画像領域と、前記画像表示面のうち前記右眼用画像データの画像が表示される右画像領域との、それぞれの領域の前記時分割の分割数の更新後の値である更新後分割数を算出する分割数算出過程と、前記分割数を前記分割数算出過程により算出された前記更新後分割数に基づいて変化させる画像表示面制御過程と、前記照明配置面のうち前記照明光が生じるスリット領域の幅を前記分割数の変化前の幅に保持しつつ、前記分割数算出過程において算出された前記更新後分割数に基づいて、前記照明配置面のうち前記照明光が生じないバリア領域と、前記スリット領域との、それぞれの領域の配置パターンを前記時分割で変化させる照明配置面制御過程と、を有し、前記分割数算出過程において、前記距離が相対的に長いときに前記更新後分割数を相対的に少なくし、前記距離が相対的に短いときに前記更新後分割数を相対的に多くし、前記画像表示面における複数の前記左画像領域全てと複数の前記右画像領域全てとを合わせた領域の幅と、前記照明配置面における複数の前記スリット領域全てと複数の前記バリア領域全てとを合わせた領域の幅とは等しい画像表示方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、立体視ができる奥行方向の視域を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る画像表示システムの一例を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る分割数が4の場合の時分割によるパララックスバリア方式の立体視の一例を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る分割数が5の場合の時分割によるパララックスバリア方式の立体視の一例を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るあるタイミングにおいて第2表示面にバリアパターンが表示されている場合における第1表示面の状態と第2表示面の状態とのそれぞれの一例を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係るあるタイミングにおいて第2表示面にバリアパターンが表示されている場合における第1表示面の状態と第2表示面の状態とのそれぞれの一例を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る画像を表示させる処理の一例を示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る画像表示システムの一例を示す図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係る超多眼表示の一例を示す図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係る時分割によるパララックスバリア式の超多眼立体映像の表示方法の一例を示す図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態に係る光の進む角度の一例を示す図である。
【
図12】本発明の第2の実施形態に係る時分割によるパララックスバリア式の超多眼立体映像の表示方法の第2例を示す図である。
【
図13】本発明の第2の実施形態に係る時分割によるパララックスバリア式の超多眼立体映像の表示方法の第3例を示す図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態に係る時分割によるパララックスバリア式の超多眼立体映像の表示方法の第4例を示す図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態に係る時分割によるパララックスバリア式の超多眼立体映像の表示方法の第5例を示す図である。
【
図16】本発明の第2の実施形態に係る時分割によるパララックスバリア式の超多眼立体映像の表示方法の第
6例を示す図である。
【
図17】本発明の第2の実施形態に対する比較例の光の進む角度の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る画像表示システム1の一例を示す図である。
なお、以下では、説明の便宜上、
図1に示した矢印A1が示す方向を上方向又は上と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、上方向と逆の方向を下方向又は下と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、
図1に示した矢印A2が示す方向であって上方向と直交する方向を左方向又は左と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、左方向と逆の方向を右方向又は右と称して説明する。
また、以下では、一例として、下方向が重力方向と一致しており、左右方向が、水平方向と一致している場合について説明する。なお、この方向は一例であって、下方向が、重力方向と一致していない構成であってもよい。
【0015】
画像表示システム1は、画像表示装置10と、距離検出部20とを備える。
画像表示装置10は、第1表示部11と、照射部12と、拡散板13と、制御装置14とを備える。
【0016】
第1表示部11は、第1表示面D1を有する透過型の液晶パネルである。第1表示面D1には、画像を表示する複数の第1サブピクセルがマトリクス状に配置される。ここで第1サブピクセルとは、第1表示部11が有するサブピクセルのことである。
【0017】
サブピクセルとは、画像表示システム1において表示される画像を構成している各ピクセルを上下方向に沿ってm(mは、2以上の整数。)等分した部分ピクセル(すなわち、各ピクセルにおいて左右方向に並ぶn個の部分ピクセル)それぞれのことである。
なお、サブピクセルは、画像表示システム1において表示される画像を構成している各ピクセルを上下方向と異なる方向に沿ってm等分した部分ピクセルそれぞれのことであってもよい。
【0018】
本実施形態では、画像を表示する各ピクセルが互いに同じ大きさである場合について説明する。以下では、一例として、サブピクセルが、各ピクセルを上下方向に沿って3等分した部分ピクセルである場合について説明する。すなわち、本実施形態では、1つのピクセルの幅と、3つのサブピクセルの幅との合計とが一致する。
【0019】
第1表示部11は、カラー画像を表示可能な液晶パネル(すなわち、カラー液晶パネル)であってもよく、白黒画像のみを表示可能な液晶パネル(すなわち、モノクロ液晶パネル)であってもよい。以下では、一例として、第1表示部11が、赤色・緑色・青色の3色のピクセルによってカラー画像を表示可能なカラー液晶パネルである場合について説明する。第1表示部11が、カラー液晶パネルである場合に、第1表示部11が有する各ピクセルには、左方向(又は右方向)から順に赤色の第1サブピクセル、緑色の第1サブピクセル、青色の第1サブピクセルの3種類の第1サブピクセルが配置されている。
なお、第1表示部11は、透過型の第1表示面D1を有していればよく、液晶パネルに代えて、他の表示方式による表示パネルであってもよい。
【0020】
照射部12は、第1表示面D1に光を照射する照射装置である。具体的には、照射部12は、制御装置14からの要求に応じて、第1表示面D1に配置された複数の第1サブピクセルのそれぞれに光を照射する照射装置である。
照射部12は、第2表示部121と、光源部122とを備える。
【0021】
第2表示部121は、第2表示面D2を有する透過型の液晶パネルである。第2表示面D2には、第2サブピクセルがマトリクス状に配置される。ここで第2サブピクセルとは、液晶シャッターとして機能するサブピクセルであり、光源部122から照射される白色光を透過させる透過状態と、透過させない遮光状態とを有する。
【0022】
以下では、一例として、第2表示部121のピクセル配置が、第1表示部11のピクセル配置の構成と同一の構成を有する場合について説明する。
なお、以下の説明において、第2表示部121は、透過型の第2表示面D2を有しているとして説明するがこれに限られず、例えば、自発光型の表示パネルを有しているものであってもよい。
【0023】
光源部122は、第2表示面D2に光を照射する。ここで光源部122は、第2表示面D2に配置された複数の第2サブピクセルのそれぞれに対して白色光を照射する。光源部122は、例えば、LED(Light Emitting Diode)を備えており、第2表示部121のバックライトとして機能する。
なお、光源部122は、LEDに代えて、他の光源を用いたものであってもよい。
【0024】
ここで、本実施形態では、上述したように、第2表示部121のピクセル配置は、第1表示部11のピクセル配置の構成と同一の構成を有する。
この一例では、第2表示部121は、第1表示部11と同様のピクセル配置構成を有しており、赤色・緑色・青色の3色のピクセルによってカラー画像を表示可能なカラー液晶パネルである。なお、第2表示部121は、第1表示部11がモノクロ液晶パネルである場合には、モノクロ画像を表示可能なモノクロ液晶パネルである。
【0025】
第2表示部121が有する各ピクセルには、透過させる光の周波数帯域に応じた3種類の第2サブピクセルが配置されている。ここで第2表示面D2には、左方向(又は右方向)から順に赤色の第2サブピクセル、緑色の第2サブピクセル、青色の第2サブピクセルの3種類の第2サブピクセルが配置されている。
【0026】
上述したように第2サブピクセルは液晶シャッターとして機能し、光源部122から照射される白色光を透過させる透過状態と、透過させない遮光状態とを有する。透過状態の第2サブピクセルに光源部122から白色光が照射されると、照射された白色光の周波数成分のうち、第2サブピクセルの透過波長の種類に応じた周波数帯域の周波数成分が透過する。赤色の第2サブピクセルに白色光が照射されると、赤色の周波数帯域の光が当該第2サブピクセルを透過する。緑色の第2サブピクセルに白色光が照射されると、緑色の光が当該第2サブピクセルを透過する。青色の第2サブピクセルに白色光が照射されると、青色の光が当該第2サブピクセルを透過する。
【0027】
第2表示面D2の第2サブピクセルを透過した赤色・緑色・青色のいずれかの光は、第1表示面D1に到達し、第1表示面D1の第1サブピクセルに入射する。
つまり、第2サブピクセルを介して光源部122から第1サブピクセルに照射される光の色は、赤色、緑色、青色のいずれかである。
【0028】
上述したように、第2表示面D2に配置された第2サブピクセルには第1表示面D1に対して照射される照明光の周波数帯域に応じた複数の種類がある。また、第1表示面D1に配置された第1サブピクセルには第1表示面D1に対して照射される照明光の周波数帯域に応じた第2サブピクセルの複数の種類と同じ数の種類がある。
【0029】
第2表示面D2は、第1表示面D1の背面から第1表示面D1に対して照射される照明光の第1表示面D1に対する配置を可変に制御する制御面である。
【0030】
拡散板13は、第2表示部121を介して光源部122から第1表示部11に照射された光を混合することにより白色光に変換する。画像表示装置10では、拡散板13は、第1表示部11と第2表示部121との間に配置される。
ここで第1サブピクセルは、第1サブピクセルの赤色、緑色、青色の種類に応じて、光源部122が第1サブピクセルに照射した光を透過せずに吸収してしまう場合がある。拡散板13は、第1サブピクセルに照射された光が透過せずに第1サブピクセルに吸収されてしまう問題を解決する。
【0031】
なお、画像表示装置10は、拡散板13を備えない構成であってもよい。例えば、第2表示部121が白黒のサブピクセルを第2サブピクセルとして有していた場合には、画像表示装置10は、拡散板13を備えない構成であってもよい。
【0032】
制御装置14は、画像表示装置10の全体を制御する。制御装置14は、第1表示面D1に画像を表示するとともに、第2表示面D2にバリアパターンを表示する。
ここでバリアパターンとは、第2表示面D2上の領域における複数のスリットと、バリアとの配置のことである。スリットとは、第2表示面D2上の領域のうち光を透過させる透過状態の第2サブピクセルを含む領域である。バリアとは、第2表示面D2上の領域のうち光を透過させない遮光状態の第2サブピクセルを含む領域である。
【0033】
ここで、第1表示部11には、静止画や動画等の画像がフレームごとに表示される。第1表示部11には左眼用の画像と右眼用の画像とが領域を分けて同一フレーム中に表示される。この同一フレーム中の左眼用の画像の領域と、右眼用の画像の領域との配置を画像配置パターンと称する。
【0034】
第2表示部121は、第1表示部11に表示される左眼用の画像が観察者Hの左眼に、右眼用の画像が観察者Hの右眼にそれぞれ視認されるように、第1表示部11を照明する位置を定めて、第1表示部11を照明する。この第2表示部121が第1表示部11を照明する位置の配置をバリアパターンと称する。
【0035】
より具体的には、制御装置14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に記録された画像データである第1画像データを読み出す。第1画像データは、視差情報を含む画像の画像データである。また、第1画像データは、動画像の画像データであってもよく、静止画像の画像データであってもよい。
【0036】
以下では、一例として、第1画像データが動画像の画像データである場合について説明する。また、制御装置14は、ユーザーから受け付けた操作、又は記録媒体に記録されたプログラム等に基づいて、第1画像データを生成する構成であってもよい。
【0037】
制御装置14は、上記の記録媒体から読み出した第1画像データに基づいて、第1画像データのフレーム毎に、第1表示面D1を観察する観察者Hの左眼用の画像データである左画像データと、観察者Hの右眼用の画像データである右画像データを生成する。
【0038】
なお、制御装置14は、第1画像データに基づいて左画像データと右画像データを生成する構成に代えて、左画像データと右画像データとのそれぞれが上記の記録媒体に予め記憶されており、記録媒体に記憶された左画像データと右画像データとのそれぞれを記録媒体から読み出す構成であってもよい。
【0039】
また、制御装置14は、前述のスリットの幅であるスリット幅を示すスリット幅情報と、スリットの傾きを示すスリット傾き情報とのそれぞれを予め記憶する。以下では、一例として、スリット幅が、左右方向におけるサブピクセルの幅を長さの単位として、サブピクセルの数によって表される場合について説明する。
【0040】
なお、スリット幅は、サブピクセルの数に代えて、他の値によって表される構成であってもよい。また、制御装置14は、スリット幅情報と、スリット傾き情報とのうちの一部又は全部が、予め記憶されている構成であってもよい。
【0041】
[画像配置パターンの決定]
制御装置14は、第1表示部11に表示される画像のうち、左眼用画像の領域と、右眼用画像の領域との配置のパターン、すなわち画像配置パターンを決定する。
本実施形態の制御装置14は、後述する時分割数情報が示す時分割の分割数と、スリット幅情報が示すスリット幅と、スリット傾き情報が示すスリットの傾きとに基づいて、画像配置パターンを決定する。ここで、スリットの配置パターン(すなわち、バリアパターン)のパターン数は、時分割の分割数に応じている。画像配置パターンのパターン数は、バリアパターンのパターン数に応じている。つまり、画像配置パターンのパターン数は、時分割の分割数に応じている。制御装置14は、時分割の分割数に応じたパターン数の画像配置パターンの画像を、第1表示面D1に表示させる。
以下では、時分割の分割数を、単に分割数という場合がある。
【0042】
また、制御装置14は、複数のパターン数の画像配置パターンを、予め決められた順に周期的変化させる。
例えば、当該分割数が3の場合、制御装置14は、パターンX1~X3の3つのパターンの画像配置パターンを決定する。制御装置14は、パターンX1~X3の画像配置パターンを、第1表示面D1に表示される画像のフレーム毎に、例えば、パターンX1、パターンX2、パターンX3、パターンX1、…、の順に周期的変化させる。
【0043】
ここで、予め決められた順に並べられた画像配置パターンであって当該分割数に応じたパターン数の画像配置パターンのうちのあるパターンの画像配置パターンは、当該パターンの画像配置パターンの次の順のパターンの画像配置パターンに対して、左にスリット幅分ずれた配置となっている。
この一例の場合、画像配置パターンは、パターンX1、パターンX2、パターンX3、パターンX1、…、の順に時間軸に沿って並べられている。これらの画像配置パターンのうち、隣り合う画像配置パターンは、互いに左(又は右)方向にスリット幅分ずれた位置にして画像が配置される。
例えば、分割数が3の場合、パターンX1とパターンX2、パターンX2とパターンX3、パターンX3とパターンX1とはそれぞれ、スリット幅分ずれた配置にされる。画像配置パターンの各パターンは、画像表示面のうち左画像データの画像が表示される左画像領域と、画像表示面のうち右画像データの画像が表示される右画像領域との、それぞれの領域の配置パターンの一例である。
【0044】
ここで、制御装置14は、あるフレームの画像を表示させる場合、当該フレームの左画像データが示す画像と、当該フレームの右画像データが示す画像と、第1表示面D1における画像配置パターンとに応じて、左眼用の画像と右眼用の画像とを1つの画像にまとめた画像を当該フレームの画像として第1表示面D1に表示させる。
つまり、制御装置14は、左画像データ及び右画像データに基づいて第1サブピクセルを制御する。
【0045】
当該1つの画像が表示された第1表示面D1では、画像配置パターンにおける左画像領域には、当該フレームの左画像データが示す画像のうち左画像領域に対応する一部が表示されている。また、当該1つの画像が表示された第1表示面D1では、画像配置パターンにおける右画像領域には、当該フレームの右画像データが示す画像のうち右画像領域に対応する一部が表示されている。
【0046】
[バリアパターンの決定]
また、制御装置14は、時分割数情報が示す分割数と、スリット幅情報が示すスリット幅と、スリット傾き情報が示すスリットの傾きとに基づいて、当該分割数に応じたパターン数の、互いに異なるバリアパターンを決定する。ここで制御装置14は、分割数を、距離検出部20によって検出された距離に基づいて算出する。距離検出部20によって検出された距離とは、第1表示面D1と観察者Hの位置との相対的な位置関係を示す距離である。
バリアパターンは、前述した通り、第2表示面D2上の領域のうち透過状態の第2サブピクセルを含む領域である複数のスリットと、遮光状態の第2サブピクセルを含む領域であるバリアとの配置のことである。
【0047】
制御装置14は、分割数に応じたパターン数のバリアパターンを、第2表示面D2に表示させる。また、制御装置14は、バリアパターンを、予め決められた順に周期的に変化させる。例えば、当該分割数が3の場合、制御装置14は、パターンY1~Y3の3つのパターンのバリアパターンを決定する。この一例では、パターンY1のスリットの位置は、パターンY2のスリットの位置に対して、左にスリット幅分ずれた位置に配置されている。また、パターンY2のスリットの位置は、パターンY3のスリットの位置に対して、左にスリット幅分ずれた位置に配置されている。
【0048】
制御装置14は、パターンY1~Y3のバリアパターンを、第1表示面D1に表示される画像のフレーム毎に、例えば、パターンY1、パターンY2、パターンY3、パターンY1、…、の順に周期的に変化させる。すなわち、制御装置14は、第1表示面D1の画像配置パターンの周期的な変化と、第2表示面D2のバリアパターンの周期的な変化とを、第1表示面D1に表示される画像のフレーム毎に同期させる。
【0049】
上述したように、制御装置14は、第1表示面D1に表示する画像の画像配置パターンのパターンに対応するバリアパターンを第2表示面D2に表示する。ある画像配置パターンに対応するバリアパターンでは、当該バリアパターンの各スリットにおいて、当該画像配置パターンにおける左画像領域と当該画像配置パターンにおける右画像領域との両方が予め決められた配置で並ぶ。
【0050】
当該予め決められた配置は、観察者Hの眼の位置に基づいて定められており、例えば、あるスリットにおける左半分が左画像領域であり、当該スリットにおける右半分が右画像領域であるような配置である。制御装置14は、スリットに配置された左画像領域の画像を観察者Hの左眼にのみ視認させるとともに、スリットに配置された右画像領域の画像を観察者Hの右眼にのみ視認させることができる。
【0051】
制御装置14が第1表示面D1にあるフレームに対応する画像配置パターンの画像を表示し、第2表示面D2に当該画像配置パターンに対応するバリアパターンを表示させた場合、観察者Hは、当該画像のうちのスリットと重なる部分のみを観測する。制御装置14は、画像配置パターンとともにバリアパターンを周期的に変化させる。
【0052】
上述したように、バリアパターンは、スリット幅分だけ各パターンのスリットの位置が互いに異なっている。従って、例えば、分割数が3の場合、パターンY1~Y3のバリアパターンを順次切り替えることにより、第1表示面D1の全面に光が透過することになる。第1表示面D1の全面に光が透過することにより、制御装置14は、観察者Hに対して、第1表示面D1に表示された画像の全体を視認させることができる。
【0053】
また、上述したように、制御装置14は、第1表示面D1に表示される画像と、第1表示面D1の位置及び第1表示面D1を観察する観察者Hの位置の相対的な位置関係とに基づいて、第2サブピクセルを制御する。
【0054】
以上のような構成により、画像表示装置10は、この一例において、時分割によるパララックスバリア方式において第1表示面D1に表示された画像を観察者Hに立体視させることができる。つまり、画像表示装置10は、時分割によるパララックスバリア方式によって立体視画像を表示する。
【0055】
距離検出部20は、距離情報を検出する。距離情報は、観察者距離HDを示す。観察者距離HDとは、例えば、観察者Hの両眼に応じた位置(例えば、左眼と右眼との中間の位置等)と第1表示面D1との間の距離のうち第1表示面D1と直交する方向における距離を示す。つまり、距離情報とは、観察者Hの眼の第1表示面D1に対する相対的な位置に応じた情報である。
距離検出部20は、検出した距離情報を制御装置14に出力する。
【0056】
なお、本実施形態では、画像表示システム1において、画像表示装置10と距離検出部20とが画像表示装置10と別体に備えられる場合について説明するが、これに限らない。画像表示システム1において、画像表示装置10と、距離検出部20とは一体に構成されてもよい。
【0057】
[時分割の分割数と観察者距離との対応関係について]
図2、及び
図3を参照し、画像表示システム1では、距離情報が示す観察者距離HDに応じて、時分割の分割数が変更されることを説明する。画像表示システム1では、距離情報が示す観察者距離HDが相対的に長いときに分割数を相対的に少なくし、距離情報が示す観察者距離HDが相対的に短いときに分割数を相対的に多くする。
【0058】
[分割数が4である場合]
図2は、本実施形態に係る分割数が4の場合の時分割によるパララックスバリア方式の立体視の一例を示す図である。
図2に示す例では、観察者距離HDを距離DS1とする。
また、
図2に示す例では、第2表示部121の第2表示面D2と、第1表示部11の第1表示面D1との距離である表示面間距離DDを、距離ds1とする。
【0059】
図2に示す例では、第2表示面D2における分割数が4の場合のバリアパターンとして、第2表示面領域C1と、第2表示面領域C2とが示されている。第2表示面領域C1と、第2表示面領域C2とは、それぞれ8ピクセルぶんの幅をもつ。
【0060】
第2表示面領域C1は、バリアBR1と、スリットSL1とを含む。スリットSL1は、第2表示面D2において2ピクセルぶんの幅をもつ。スリットSL1の位置は、第2表示面領域C1において周期的に変化する。
【0061】
バリアBR1は、第2表示面領域C1のうちスリットSL1を除く残りの領域に含まれる。バリアBR1は、第2表示面D2において6ピクセルぶんの幅をもつ。バリアBR1は、時間ごとのスリットSL1の第2表示面領域C1における位置に応じて、連続している領域である場合と、連続していない2つの領域である場合とがある。
【0062】
バリアBR1が連続している領域である場合、スリットSL1は、第2表示面領域C1の端に位置する。一方、バリアBR1が連続していない領域である場合、バリアBR1の2つの領域は、第2表示面領域C1の両端にそれぞれ位置し、第2表示面領域C1においてスリットSL1は、バリアBR1の2つの領域の間に挟まれる。
【0063】
バリアBR2は、第2表示面領域C2のうちスリットSL2を除く残りの領域に含まれる。バリアBR2は、第2表示面D2において6ピクセルぶんの幅をもつ。バリアBR2は、時間ごとのスリットSL2の第2表示面領域C2における位置に応じて、連続している領域である場合と、連続していない2つの領域である場合とがある。
【0064】
図2には、分割数が4の場合における、第2表示面D2のバリアパターンと、第1表示面D1の画像配置パターン(左画像領域PL1~PL3及び右画像領域PR1~PR3)とを示す。左画像領域PL1~PL3と、右画像領域PR1~PR3とのぞれぞれは、第1表示面D1において4ピクセルぶんの幅をもつ。
【0065】
第2表示面D2のスリットSL1を透過した光が、第1表示面D1の左画像領域PL2に入射し、左画像領域PL2を透過している。左画像領域PL2を透過した光(線E1と線E3との間の範囲により図示されている)は、観察者Hの左目に入射している。また、第2表示面D2のスリットSL1を透過した光が、第1表示面D1の右画像領域PR2に入射し、右画像領域PR2を透過している。右画像領域PR2を透過した光(線E2と線E4との間の範囲により図示されている)は、観察者Hの右目に入射している。線E2と線E3との間の範囲は、右画像と左画像とが混合する領域である。
【0066】
観察者Hの両眼に応じた位置における線E1と線E2との間の距離ΔL、及び観察者Hの両眼に応じた位置における線E3と線E4との間の距離ΔRは、三角形の相似に基づいて、
4p(D+d)/dと表される。ここでpはピクセル幅paの値であり、Dは距離DS1の値であり、dは距離ds1の値である。また、観察者Hの両眼に応じた位置における線E2と線E3との間の距離ΔEyeは、三角形の相似に基づいて、2pD/dと表される。
観察者Hの左目と右目との間隔は、距離ΔEyeより大きく、距離ΔLと距離ΔRと距離ΔEyeとの和よりも小さいため、
図2に示す例では立体視が可能となる。
【0067】
[分割数が5である場合]
図3は、本実施形態に係る分割数が5の場合の時分割によるパララックスバリア方式の立体視の一例を示す図である。
図3に示す例では、観察者距離HDが、距離DS2である。ここで距離DS2は、
図2に示した距離DS1よりも短い。距離DS2が観察者距離Dよりも短い。上述した
図2における分割数は4である。
図3における分割数は5である。
つまり、観察者距離HDが短いほど、分割数が多い。
【0068】
図3には分割数が5の場合において、第2表示面D2のバリアパターンと、第1表示面D1の画像配置パターンとを示す。この一例のバリアパターンには、第2表示面領域C3と、第2表示面領域C4とが含まれる。第2表示面領域C3と、第2表示面領域C4とは、それぞれ10ピクセルぶんの幅をもつ。
【0069】
図3では、第2表示面領域C3は、バリアBR3と、スリットSL3とを含む。スリットSL3は、第2表示面D2において2ピクセルぶんの幅をもつ。スリットSL3の位置は、第2表示面領域C3において周期的に変化する。
【0070】
バリアBR3は、第2表示面領域C3のうちスリットSL3を除く残りの領域に含まれる。バリアBR3は、第2表示面D2において6ピクセルぶんの幅をもつ。バリアBR3は、時間ごとのスリットSL3の第2表示面領域C3における位置に応じて、連続している領域である場合と、連続していない2つの領域である場合とがある。
【0071】
バリアBR3が連続している領域である場合、スリットSL3は、第2表示面領域C3の端に位置する。一方、バリアBR3が連続していない領域である場合、バリアBR3の2つの領域は、第2表示面領域C3の両端にそれぞれ位置し、第2表示面領域C3においてスリットSL3は、バリアBR3の2つの領域の間に挟まれる。
【0072】
バリアBR4は、第2表示面領域C4のうちスリットSL4を除く残りの領域に含まれる。バリアBR4は、第2表示面D2において6ピクセルぶんの幅をもつ。バリアBR4は、時間ごとのスリットSL4の第2表示面領域C4における位置に応じて、連続している領域である場合と、連続していない2つの領域である場合とがある。
【0073】
図3に示す例では、第2表示面D2における分割数が5の場合のバリアパターンとして、左画像領域PL4~PL6と、右画像領域PR4~PR6とが示されている。左画像領域PL4~PL6と、右画像領域PR4~PR6とのぞれぞれは、第1表示面D1において5ピクセルぶんの幅をもつ。
【0074】
図3に示す例では、第1表示面D1の左画像領域PL5が、第2表示面D2のスリットSL3を透過した光により照射されている。照射された左画像領域PL5を透過した光は、観察者Hの左目に入射している。また、第1表示面D1の右画像領域PR5が、第2表示面D2のスリットSL3を透過した光により照射されている。照射された右画像領域PR5を透過した光は、観察者Hの右目に入射している。
【0075】
観察者Hの両眼に応じた位置における線E5と線E6との間の距離ΔL′、及び観察者Hの両眼に応じた位置における線E7と線E8との間の距離ΔR′は、三角形の相似に基づいて、
5p(D′+d)/dと表される。ここでpはピクセル幅paの値であり、D′は距離DS2の値であり、dは距離ds1の値である。また、観察者Hの両眼に応じた位置における線E6と線E7との間の距離ΔEye′は、三角形の相似に基づいて、2pD′/dと表される。
観察者Hの左目と右目との間隔は、距離ΔEye′より大きく、距離ΔL′と距離ΔR′と距離ΔEye′との和よりも小さいため、
図3に示す例では立体視が可能となる。
【0076】
ここでスリットSL3及びスリットSL4の幅は、それぞれ第2表示面D2において2ピクセルぶんであり、
図2のスリットSL1及びスリットSL2の幅から変化していない。
画像表示システム1では、バリアパターンにおけるスリットの幅を変化させずに、分割数を変化させる。画像表示システム1では、スリットの幅は変化させずに、分割数を変化させることにより、分割数の変化に応じてバリアの幅が変化する。画像表示システム1では、分割数の変化に応じてバリアの幅が変化することにより、分割数の変化に応じて複数のスリットの間の間隔が変化する。
【0077】
図2と
図3とを比較すると、例えば、
図2のスリットSL1とスリットSL2との間隔は、バリアBR2の幅である6ピクセルぶんであるのに対して、
図3のスリットSL3とスリットSL4との間隔は、バリアBR4の幅である8ピクセルぶんである。
図3のスリットSL3とスリットSL4との間隔は、分割数が4から5に変化してことに応じて、
図2のスリットSL1とスリットSL2との間隔よりも大きくなっている。
【0078】
本実施形態の画像表示システム1によれば、観察者距離HDに応じて分割数を変更させ、複数のスリットどうしの間隔が変化させることにより、観察者Hが立体視のできる視域を、観察者距離HDに応じて変化させることができる。具体的には、画像表示システム1は、分割数を増加させて複数のスリットの間の間隔を大きくさせることにより、相対的に画像表示装置10から近い地点に観察者Hが立体視ができる視域を生成する。また、画像表示システム1は、分割数を減少させて複数のスリットの間の間隔を小さくさせることにより、相対的に遠い地点に観察者Hが立体視ができる視域を生成する。
【0079】
なお、分割数が4から5に変化する場合、第1表示面D1に表示される画像の表示輝度は低くなる。分割数が変化しても、第1表示面D1に表示される画像の表示輝度を一定に保つため、光源部122は、分割数に応じて第2表示面D2に照射する光の強度を変化させてよい。例えば、光源部122は、分割数が相対的に多くなった場合、第2表示面D2に照射する光の強度を相対的に強くし、分割数が相対的に少なくなった場合、第2表示面D2に照射する光の強度を相対的に弱くしてよい。
【0080】
あるいは、分割数が変化しても、第1表示面D1に表示される画像の表示輝度を一定に保つため、第1表示部11は、分割数に応じて第1表示面D1に表示される画像の表示輝度を変化させてもよい。例えば、第1表示部11は、分割数が相対的に多い場合に第1表示面D1に表示される画像の表示輝度を、液晶パネルにより減光させてもよい。例えば、第1表示部11は、分割数が4のときには、画像の表示輝度を液晶パネルにより減光させておき、分割数が5のときには、液晶パネルによる減光を中止してよい。
【0081】
<第2表示部に表示されるバリアパターン>
以下、第2表示部121の第2表示面D2にあるパターンのバリアパターンが表示されている場合における第1表示面D1の状態と、第2表示面D2の状態とのそれぞれについて説明する。
【0082】
制御装置14が第2表示面D2に表示させるバリアパターンは、前述の分割数と、スリット幅と、スリットの傾きとによって特徴付けられる。以下では、分割数と、スリット幅と、スリットの傾きとを合わせてパラメーターセットPSということがある。
【0083】
ここで、バリアパターンにおける各スリットは、帯状の形をしている。バリアパターンにおけるスリット幅は、このような帯状の形をしているスリットの幅を示す。また、バリアパターンにおける各スリットの傾きは、各スリットの左側に形成されている複数の頂点(角)の全部に接する接線と、上下方向との間の角度θによって表される傾きである。
なお、角度θはゼロであってもよい。
【0084】
<第2表示面に形成されるバリアパターンの具体例1>
以下、
図4を参照し、上述のパラメーターセットPSに基づいて第2表示面D2に表示されるバリアパターンの一例として、分割数が4であり、バリアパターンにおけるスリット幅が2サブピクセルであり、バリアパターンの角度θがtan-1(1サブピクセル/6サブピクセル)である場合に、制御装置14によって第2表示面D2に表示されるバリアパターンであるバリアパターンP1について説明する。
【0085】
ここで、第2表示面D2の各ピクセルは縦横比が1:1である正方ピクセルであり、各サブピクセルは縦横比が3:1である場合について説明する。なお、各ピクセルの縦横比、及び各サブピクセルの縦横比は、これに限られない。
なお、第1表示面D1及び第2表示面D2はいずれも、各ピクセルが赤色、緑色、青色の各サブピクセルを有する、いわゆるカラー液晶パネルであるものとして説明する。
【0086】
図4は、本実施形態に係るあるタイミングT1において第2表示面D2にバリアパターンP1が表示されている場合における第1表示面D1の状態と第2表示面D2の状態とのそれぞれの一例を示す図である。第1表示面D1上における各長方形は、第1表示面D1に配置された複数の第1サブピクセルのそれぞれを示す。すなわち、第1表示面D1には、第1サブピクセルがマトリクス状に配置されている。
【0087】
ここで第1表示面D1は、上述したように、透過型のパネルである。したがって、第1サブピクセルとは、透過型の第1表示面D1にマトリクス状に配置された複数の表示素子である。
【0088】
また、第1表示面D1において「L」と記載された第1サブピクセルを含む領域は、前述の左画像領域を示す。また、第1表示面D1において「R」と記載された第1サブピクセルを含む領域は、前述の右画像領域を示す。
【0089】
分割数が4であり、バリアパターンにおけるスリット幅が2サブピクセルであり、バリアパターンの角度θがtan-1(1サブピクセル/6サブピクセル)である場合、タイミングT1において、例えば、前述の左画像領域と右画像領域とは、配置MX1のように配置される。配置MX1は、第1表示面D1における画像配置パターンの一例である。
【0090】
配置MX1では、第1表示面D1上において、第1サブピクセルによって形成された行列の行毎に、連続して並んだ4個の第1サブピクセルを含む左画像領域と、連続して並んだ4個の第1サブピクセルを含む右画像領域とが、左右方向に周期的に並んでいる。また、このような周期的な並びは、当該行列において、2行毎に左に1サブピクセルずつずれている。
【0091】
一方、
図4に示した第2表示面D2上における各長方形は、第2表示面D2に配置された複数の第2サブピクセルのそれぞれを示す。すなわち、
図4に示したように、第2表示面D2には、第2サブピクセルがマトリクス状に配置されている。つまり、第2サブピクセルは、第2表示面D2にマトリクス状に配置された複数の照明配置制御素子である。
【0092】
また、
図4に示した第2表示面D2においてハッチングされた第2サブピクセルのそれぞれは、光を透過する第2サブピクセルを示す。また、
図4に示した第2表示面D2においてハッチングされていない第2サブピクセルのそれぞれは、遮光状態の第2サブピクセルを示す。
【0093】
分割数が4であり、バリアパターンにおけるスリット幅が2サブピクセルであり、バリアパターンの角度θがtan-1(1サブピクセル/6サブピクセル)である場合、タイミングT1において、例えば、バリアパターンは、配置MX2のようになる。配置MX2は、第2表示面D2に表示されたバリアパターンの一例である。
【0094】
配置MX2では、第2表示面D2上において、第2サブピクセルによって形成された行列の行毎に、光を透過する2個の第2サブピクセルが連続して並んだ領域と、光を透過しない6個の第2サブピクセルが連続して並んだ領域とが、左右方向に周期的に並んでいる。また、このような周期的な並びは、当該行列において、2行毎に左に1サブピクセルずつずれている。
【0095】
図4に示した例では、タイミングT1において、観察者Hから見て、各スリットの左半分に左画像領域が配置されており、各スリットの右半分に右画像領域が配置されている。
また、制御装置14は、第1表示面D1における画像配置パターンと、第2表示面D2におけるバリアパターンとのそれぞれを周期的に変化させた場合に、各スリットに配置された左画像領域の画像を観察者Hの左眼にのみ視認させるとともに、各スリットに配置された右画像領域の画像を観察者Hの右眼にのみ視認させることができるように、各スリットの左半分に左画像領域が配置され、各スリットの右半分に右画像領域が配置される。
【0096】
すなわち、画像表示装置10は、スリット幅が2サブピクセルであり、スリットの角度θがtan-1(1サブピクセル/6サブピクセル)である場合の4時分割によるパララックスバリア方式によって、観察者Hに立体視画像を表示することができる。
【0097】
図5は、本実施形態に係るあるタイミングT2において第2表示面D2にバリアパターンP2が表示されている場合における第1表示面D1の状態と第2表示面D2の状態とのそれぞれの一例を示す図である。
【0098】
分割数が5であり、バリアパターンにおけるスリット幅が2サブピクセルであり、バリアパターンの角度θがtan-1(1サブピクセル/6サブピクセル)である場合、タイミングT2において、例えば、前述の左画像領域と右画像領域とは、配置MX3のように配置される。配置MX3は、第1表示面D1における画像配置パターンの一例である。
【0099】
配置MX3では、第1表示面D1上において、第1サブピクセルによって形成された行列の行毎に、連続して並んだ5個の第1サブピクセルを含む左画像領域と、連続して並んだ5個の第1サブピクセルを含む右画像領域とが、左右方向に周期的に並んでいる。また、このような周期的な並びは、当該行列において、2行毎に左に1サブピクセルずつずれている。
【0100】
一方、
図5に示した第2表示面D2上における各長方形は、第2表示面D2に配置された複数の第2サブピクセルのそれぞれを示す。
分割数が5であり、バリアパターンにおけるスリット幅が2サブピクセルであり、バリアパターンの角度θがtan-1(1サブピクセル/6サブピクセル)である場合、タイミング
T2において、例えば、バリアパターンは、配置MX4のようになる。配置MX4は、第2表示面D2に表示されたバリアパターンの一例である。
【0101】
配置MX4では、第2表示面D2上において、第2サブピクセルによって形成された行列の行毎に、光を透過する2個の第2サブピクセルが連続して並んだ領域と、光を透過しない8個の第2サブピクセルが連続して並んだ領域とが、左右方向に周期的に並んでいる。また、このような周期的な並びは、当該行列において、2行毎に左に1サブピクセルずつずれている。
【0102】
画像表示装置10は、スリット幅が2サブピクセルであり、スリットの角度θがtan-1(1サブピクセル/6サブピクセル)である場合の5時分割によるパララックスバリア方式によって、観察者Hに立体視画像を表示することができる。
【0103】
図4及び
図5に示したバリアパターンの具体例では、スリットが上方向に対して斜めになっている(つまり角度θがゼロになっていない)。スリットが斜めになっているため、第1表示面D1に表示される画像において、画像配置パターンは、スリットが斜めになっていない場合に比べて目立ちにくい。
なお、バリアパターンにおいて、スリットは上方向に対して斜めになっていなくてもよい(つまり角度θがゼロになっていてもよい)。
【0104】
<制御装置の機能構成>
以下、
図6を参照し、制御装置14の機能構成について説明する。
図6は、本実施形態に係る制御装置14の機能構成の一例を示す図である。制御装置14は、制御部140と、記憶部150とを備える。
【0105】
制御部140は、制御装置14の全体を制御する。制御部140は、読出部141と、位置情報取得部142と、分割数算出部143と、画像生成部144と、第1駆動制御部145と、第2駆動制御部146とを備える。
【0106】
制御部140が備えるこれらの機能部は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)が、後述する記憶部150に記憶された各種のプログラムを実行することにより実現される。また、当該機能部のうちの一部又は全部は、ASSP(Application Specific Standard Product)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0107】
読出部141は、記憶部150に予め記憶された各種の情報を読み出す。各種の情報には、第1画像データやパラメーターセットPSが含まれる。
【0108】
位置情報取得部142は、距離検出部20が検出した観察者距離を示す距離情報を距離検出部20から取得する。つまり、位置情報取得部142は、観察者Hの両眼のうちの少なくとも一方の眼と第1表示面D1との間の距離である観察者距離HDを示す距離情報を取得する。
【0109】
分割数算出部143は、位置情報取得部142が取得した距離情報が示す観察者距離に基づいて、時分割の分割数を算出する。
【0110】
画像生成部144は、読出部141により記憶部150から読み出された第1画像データと、算出された時分割数とに基づいて、左画像データ及び右画像データを生成する。
【0111】
第1駆動制御部145は、第1表示部11の第1表示面D1に画像を表示させる。ここで第1駆動制御部145は、パラメーターセットPSと、画像生成部144により生成された左画像データ及び右画像データとに基づいて画像を表示させる。
第2駆動制御部146は、第2表示部121の第2表示面D2にバリアパターンを表示させる。ここで第2駆動制御部146は、パラメーターセットPSに基づいてバリアパターンを表示させる。
【0112】
<画像を表示させる処理>
図7を参照し、制御装置14が第2表示面D2にバリアパターンを表示させる処理、及び第1表示面に画像を表示させる処理について説明する。
図7は、本実施形態に係る画像を表示させる処理の一例を示す図である。なお、ステップS130~S140の各処理と、ステップS150~S170の各処理とは、フレーム毎に同期されて並列して実行される。
【0113】
ステップS100:位置情報取得部142は、距離情報を距離検出部20から取得する。
ここで距離情報は、距離検出部20が検出した観察者距離を示す。位置情報取得部142は、取得した距離情報を分割数算出部143に供給する。
【0114】
ステップS110:分割数算出部143は、観察者距離HDが変化したか否かを判定する。前回の判定時の距離情報が示す観察者距離と、位置情報取得部142から供給される距離情報が示す観察者距離とを比較する。ここで分割数算出部143は、前回の判定時の距離情報を、記憶部150から読出部141を介して読み出す。
【0115】
分割数算出部143は、記憶部150から読みだした距離情報が示す観察者距離と、位置情報取得部142から供給される距離情報が示す観察者距離との差が所定の値より大きい場合、観察者距離HDが変化したと判定する(ステップS110:YES)。分割数算出部143は、観察者距離HDが変化したと判定する場合、位置情報取得部142から取得した距離情報を記憶部150に記憶させる。その後、分割数算出部143は、ステップS120の処理を実行する。
【0116】
一方、分割数算出部143は、記憶部150から読みだした距離情報が示す観察者距離と、位置情報取得部142から供給される距離情報が示す観察者距離との差が所定の値より大きくない場合、観察者距離HDが変化していないと判定する(ステップS110:NO)。分割数算出部143が、観察者距離HDが変化していないと判定する場合、制御部140は、ステップS130及びステップS150の処理を実行する。
【0117】
ステップS120:分割数算出部143は、距離情報が示す観察者距離に基づいて分割数を算出する。ここで分割数算出部143が算出する分割数とは、時分割の分割数の更新後の値である更新後分割数である。
分割数算出部143は、パラメーターセットPSに含まれる分割数の値を、算出した更新後分割数の値により更新する。
【0118】
したがって、分割数算出部143は、位置情報取得部142により取得された距離情報が示す観察者距離HDに基づいて時分割の分割数の更新後の値である更新後分割数を算出する。
ここで、分割数算出部143は、観察者距離HDが相対的に長いときに更新後分割数を相対的に少なくし、観察者距離HDが相対的に短いときに更新後分割数を相対的に多くする。
【0119】
ステップS130:第2駆動制御部146は、第2表示面D2に表示させるバリアパターンを決定する。ここで第2駆動制御部146は、記憶部150に記憶されるパラメーターセットPSに基づいてバリアパターンを決定する。
【0120】
ステップS140:第2駆動制御部146は、ステップS130において決定したバリアパターンに基づいて第2表示部121を駆動する。ここで第2駆動制御部146は、ステップS130において決定したバリアパターンを第2表示面D2に表示させることにより第2表示部121を駆動する。
【0121】
つまり、第2駆動制御部146は、第2表示面D2のうち照明光が生じるスリット領域(スリット)の幅を分割数の変化前の幅に保持しつつ、分割数算出部143により算出された更新後分割数に基づいて、第2表示面D2のうち照明光が生じないバリア領域(バリア)と、第2表示面D2のうち照明光が生じるスリット領域(スリット)との、それぞれの領域のバリアパターンを変化させる。
【0122】
ステップS150:読出部141は、記録媒体に記憶された第1画像データを記録媒体から読み出す。読出部141が読み出す第1画像データは、上述したように、視差情報を含む画像の画像データである。ここで、読出部141は、制御装置14に内蔵された記録媒体、制御装置14に内蔵された記録媒体からの情報読出装置、制御装置14に外付けされた情報読出装置等から記録媒体に記憶された第1画像データを読み出す。
読出部141は、読みだした第1画像データを画像生成部144に供給する。
【0123】
ステップS160:画像生成部144は、読出部141から供給される第1画像データに基づいて、左画像データ及び右画像データを生成する。画像生成部144は、生成した左画像データ及び右画像データを第1駆動制御部145に供給する。
【0124】
ステップS170:第1駆動制御部145は、第1表示部11を駆動する。ここで第1駆動制御部145は、記憶部150に記憶されたパラメーターセットPSに基づいて、画像配置パターンを決定する。第1駆動制御部145は、決定したパターンの画像配置パターンと、画像生成部144から供給される左画像データ及び右画像データとに基づいて、画像を第1表示面D1に表示させることにより、第1表示部11を駆動する。
【0125】
つまり、第2駆動制御部146は、第1表示面D1のうち左画像データの画像が表示される左画像領域と、第1表示面D1のうち右画像データの画像が表示される右画像領域との、それぞれの領域の時分割の分割数を、分割数算出部143により算出された更新後分割数に基づいて変化させる。
【0126】
なお、
図7に示した処理において、ステップS110の処理は省略されてよい。ステップS110の処理が省略される場合、分割数算出部143は、観察者距離HDが変化したか否かによらず、ステップS120の分割数を算出する処理を実行する。
【0127】
以上に説明したように、本実施形態に係る画像表示装置10は、時分割によるパララックスバリア方式によって立体視画像を表示する画像表示装置であって、複数の表示素子(第1サブピクセル)と、複数の照明配置制御素子(第2サブピクセル)と、制御部(制御装置14)とを備える。
複数の表示素子(第1サブピクセル)は、透過型の画像表示面(第1表示部11)にマトリクス状に配置される。
複数の照明配置制御素子(第2サブピクセル)は、画像表示面(第1表示部11)の背面から画像表示面(第1表示部11)に対して照射される照明光の画像表示面(第1表示部11)に対する配置を可変に制御する照明配置面(第2表示面D2)にマトリクス状に配置される。
【0128】
制御部(制御装置14)は、位置情報取得部142と、分割数算出部143と、画像表示面制御部(第1駆動制御部145)と、照明配置面制御部(第2駆動制御部146)とを備える。
位置情報取得部142は、観察者Hの両眼のうちの少なくとも一方の眼と画像表示面(第1表示部11)との間の距離である観察者距離HDを示す位置情報(距離情報)を取得する。
分割数算出部143は、位置情報取得部142により取得された位置情報(距離情報)が示す観察者距離HDに基づいて時分割の分割数の更新後の値である更新後分割数を算出する。
【0129】
画像表示面制御部(第1駆動制御部145)は、画像表示面(第1表示部11)のうち左眼用画像データ(左画像データ)の画像が表示される左画像領域と、画像表示面(第1表示部11)のうち右眼用画像データ(右画像データ)の画像が表示される右画像領域との、それぞれの領域の時分割の分割数を、分割数算出部143により算出された更新後分割数に基づいて変化させる。
【0130】
照明配置面制御部(第2駆動制御部146)は、照明配置面(第2表示面D2)のうち照明光が生じるスリット領域(スリット)の幅を分割数の変化前の幅に保持しつつ、分割数算出部143により算出された更新後分割数に基づいて、照明配置面(第2表示面D2)のうち照明光が生じないバリア領域(バリア)と、照明配置面(第2表示面D2)のうち照明光が生じるスリット領域(スリット)との、それぞれの領域の配置パターン(バリアパターン)を変化させる。
【0131】
この構成により、本実施形態に係る画像表示装置10では、観察者Hの両眼のうちの少なくとも一方の眼と画像表示面(第1表示部11)との間の距離に応じて、スリット領域(スリット)の間隔を変化させることができるため、立体視ができる奥行方向の視域を広げることができる。
ここで本実施形態に係る画像表示装置10では、特許文献1に記載されるような従来の裸眼立体映像表示装置に比べて、画面輝度の消費電力に対する比が大きくでき産業上の利点がある。本実施形態に係る画像表示装置10では、例えば、特許文献1に記載の裸眼立体映像表示装置に比べて、画面輝度の消費電力に対する比が、Lumen/Wattの単位にして3分の4倍程度大きくなる。
【0132】
本実施形態に係る画像表示装置10では、スリット領域(スリット)の幅を分割数の変化前の幅から変化させないため、例えば、奥行方向の視域を広げるためにスリット領域の幅を大きくする場合に比べて、画像表示面における画像のちらつきが目立ってしまうことを抑制できる。したがって、本実施形態に係る画像表示装置10では、画質を劣化させることなく立体視ができる奥行方向の視域を広げることができる。
【0133】
また、本実施形態に係る画像表示装置10では、分割数算出部143は、観察者距離HDが相対的に長いときに更新後分割数を相対的に少なくし、観察者距離HDが相対的に短いときに更新後分割数を相対的に多くする。
この構成により、本実施形態に係る画像表示装置10では、観察者距離HDに応じて更新後分割数を立体視ができる奥行方向の視域を広げるために適した値に変更できる。
【0134】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。
上記第1の実施形態では、画像表示装置は、時分割によるパララックスバリア式の裸眼立体映像を表示する場合について説明をした。本実施形態では、画像表示装置が、時分割によるパララックスバリア式の超多眼立体映像を表示する場合について説明をする。
本実施形態に係る画像表示システムを画像表示システム1aといい、画像表示装置を画像表示装置10aという。
【0135】
図8は、本実施形態に係る画像表示システム1aの一例を示す図である。画像表示システム1aは、画像表示装置10aと、距離検出部20(不図示)とを備える。
画像表示装置10aは、第1表示部11aと、照射部12aと、拡散板13aと、制御装置14(不図示)とを備える。
ここで、制御装置14(不図示)と、距離検出部20(不図示)とが持つ機能は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同じ機能の説明は省略し、第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0136】
第1表示部11aは、第1表示面D1aを有する透過型の液晶パネルである。第2表示部121aは、第2表示面D2aを有する透過型の液晶パネルである。第1表示面D1aは矢印A3が示す方向を向いており、第2表示面D2aは矢印A4が示す方向を向いている。ここで矢印A3と矢印A4は、互いに反対の方向を示している。画像表示装置10aでは、第1表示部11aと、第2表示部121aとは、互いに反対の向きに向かい合って備えられる。
【0137】
つまり、複数の種類の第2ピクセルが第2表示面D2aに配置される順番と、複数の種類と同じ数の種類の第1ピクセルが第1表示面D1aに配置される順番とは、第2表示面D2aから第1表示面D1aの背面をみたときに逆の順番である。
【0138】
第1表示部11aと、第2表示部121aとが互いに反対の向きに向かい合って備えられることにより、第1表示部11aを透過する赤、緑、青の3色の光が進む角度が互いに異なる。第1表示部11aを透過する赤、緑、青の3色の光が互いに異なる角度に進むことについては後述する。
【0139】
第1表示部11aのサブピクセルの幅と、第2表示部121aのサブピクセルの幅とは、ともにピクセル幅paである。ピクセル幅paは、一例として、0.092ミリメートルである。
【0140】
画像表示装置10aでは、第1表示部11aと第2表示部121aとの距離である表示面間距離DDaが距離dsaである。距離dsaは、
図2の画像表示装置10における表示面間距離DDである距離dsに比べて長い。距離dsaは、一例として、30ミリメートルである。
【0141】
第1表示面D1aと、観察者Hとの距離である観察者距離HDaは、距離DS1aである。距離DS1aは、一例として、約750ミリメートルである。
観察者Hの1視点の視域の幅である1視点視域幅WVZは、距離dsaと、観察者距離HDaと、ピクセル幅paとが決まると、三角形の相似に基づいて算出される。本実施形態では、算出される1視点視域幅WVZは、約2.3ミリメートルである。
【0142】
1視点視域幅WVZは、距離dsaと、観察者距離HDaと、ピクセル幅paとが決まると、三角形の相似に基づいて算出されるため、同様に三角形の相似に基づくと、表示面間距離DDaは、観察者距離HDaと、ピクセル幅paと、1視点視域幅WVZとから決まる。つまり、表示面間距離DDaは、観察者距離HDaと、ピクセル幅paと、1視点視域幅WVZとに基づく距離である。ここで観察者距離HDaと、1視点視域幅WVZとから第1表示面D1aの視域角が決まるため、表示面間距離DDaは、第1表示面D1aの視域角と、ピクセル幅paとに基づく距離である。
つまり、第1表示面D1aと第2表示面D2aとの表示面間距離DDaは、第1表示面D1aの視域角と、第2表示面D2aに配置された第2ピクセルのピクセル幅paとに基づく距離である。
【0143】
拡散板13aは拡散板である。拡散板13aは、第2表示面D2aのバリアパターンを構成する各色のサブピクセルを若干広げることにより、モアレの発生を抑制する。モアレが発生しない条件下では、拡散板13aは備えられなくてもよい。
【0144】
ここで
図9及び
図10を参照し、時分割によるパララックスバリア式の超多眼立体映像の表示について説明する。
図9は、本実施形態に係る超多眼表示の一例を示す図である。視域VZは、観察者Hの視域である。
【0145】
視域VZは、第1左視域VZL1と、第1右視域VZR1と、第1左視域VZL2と、第1右視域VZR2とを含む。第1左視域VZL1、及び第1左視域VZL2は、それぞれ観察者Hの左目の1視点分の視域を9個含む。第1右視域VZR1、及び第1右視域VZR2は、それぞれ観察者Hの右目の1視点分の視域を9個含む。
つまり、本実施形態に係る超多眼表示では、観察者Hの右目、及び左目のそれぞれの周辺に9視点ずつの画像が提示される。
【0146】
第1左視域VZL1と、第1右視域VZR1と、第1左視域VZL2と、第1右視域VZR2とのそれぞれの幅は、視域幅DPである。視域幅DPは、一例として、20.7ミリメートルである。
観察者Hの両目の間隔は、目間隔DEである。目間隔DEは、一例として、63ミリメートルである。観察者Hの左目及び右目それぞれの瞳孔の直径は、一例として、4ミリメートルである。本実施形態に係る超多眼表示では、観察者Hの左目及び右目それぞれの瞳孔に、第1表示面D1aの第1サブピクセルを透過する少なくとも2本の光線を入射させる。
【0147】
図10は、本実施形態に係る時分割によるパララックスバリア式の超多眼立体映像の表示方法の一例を示す図である。上述したように、本実施形態に係る超多眼表示では、観察者Hの右目、及び左目のそれぞれの周辺に9視点ずつの画像が提示される。
【0148】
画像表示装置10では、時分割の分割数は6である。第2表示面D2は、第2表示面領域C1aを含む。第2表示面領域C1aは、バリアBR1aと、スリットSL1aとを左方向からこの順に隣り合わせて含む。バリアBR1aは、15ピクセルぶんの幅をもつ。
スリットSL1aは、3ピクセルぶんの幅をもつ。
【0149】
スリットSL1aは、青色第2サブピクセルB0と、緑色第2サブピクセルG0と、赤色第2サブピクセルR0とを含む。青色第2サブピクセルB0と、緑色第2サブピクセルG0と、赤色第2サブピクセルR0とは、スリットSL1において左方向からこの順に並んでいる。
【0150】
青色第2サブピクセルB0を透過した青色の光は、第1表示面D1aの青色に対応する第1サブピクセルを透過する。緑色第2サブピクセルG0を透過した緑色の光は、第1表示面D1aの緑色に対応する第1サブピクセルを透過する。赤色第2サブピクセルR0を透過した赤色の光は、第1表示面D1aの赤色に対応する第1サブピクセルを透過する。
【0151】
ここで、上述したように、第1表示面D1aと第2表示面D2aとは互いに反対の向きに向かい合って備えられる。第1表示面D1aと第2表示面D2aとが互いに反対の向きに向かい合って備えられるため、画像表示装置10aでは、第1表示面D1aを透過する異なる色の光が互いに異なる角度に進む。
【0152】
ここで
図11を参照し、第1表示面D1aを透過する光の進む角度ついて説明する。
図11は、本実施形態に係る光の進む角度の一例を示す図である。ここで光の進む角度とは、光が進む方向と、紙面において矢印A2が示す方向と直交する方向との間の角度である。青色第2サブピクセルB0、緑色第2サブピクセルG0、及び赤色第2サブピクセルR0は、第2表示面D2aにおいて左方向からこの順に隣り合って並んでいる。
【0153】
赤色第1サブピクセルR1、緑色第1サブピクセルG1、及び青色第1サブピクセルB1は、第1表示面D1aにおいて左方向からこの順に隣り合って並んでいる。赤色第1サブピクセルR2、緑色第1サブピクセルG2、及び青色第1サブピクセルB2は、第1表示面D1aにおいて左方向からこの順に隣り合って並んでいる。赤色第1サブピクセルR3、緑色第1サブピクセルG3、及び青色第1サブピクセルB3は、第1表示面D1aにおいて左方向からこの順に隣り合って並んでいる。
【0154】
青色第2サブピクセルB0を透過した青色の光は、青色第1サブピクセルB1~B3にそれぞれ照射される。緑色第2サブピクセルG0を透過した緑色の光は、緑色第1サブピクセルG1~G3にそれぞれ照射される。赤色第2サブピクセルR0を透過した赤色の光は、赤色第1サブピクセルR1~R3にそれぞれ照射される。
【0155】
赤色第1サブピクセルR1を透過する赤色の光の進む角度、緑色第1サブピクセルG1を透過する緑色の光の進む角度、及び青色第1サブピクセルB1を透過する青色の光の進む角度は、それぞれ異なる。赤色第1サブピクセルR2を透過する赤色の光の進む角度、緑色第1サブピクセルG2を透過する緑色の光の進む角度、及び青色第1サブピクセルB2を透過する青色の光の進む角度は、それぞれ異なる。赤色第1サブピクセルR3を透過する赤色の光の進む角度、緑色第1サブピクセルG3を透過する緑色の光の進む角度、及び青色第1サブピクセルB3を透過する青色の光の進む角度は、それぞれ異なる。
【0156】
ここで比較のために、
図17を参照し比較例の第1表示面D10(不図示)と第2表示面D20(不図示)とが互いに同じ向きに備えられる場合の第1表示面D10を透過する光の進む角度について説明する。
図17は、本実施形態に対する比較例の光の進む角度の一例を示す図である。赤色第2サブピクセルR10、緑色第2サブピクセルG10、及び青色第2サブピクセルB10は、比較例の第2表示面D20において左方向からこの順に隣り合って並んでいる。
【0157】
赤色第1サブピクセルR11、緑色第1サブピクセルG11、及び青色第1サブピクセルB11は、比較例の第1表示面D10において左方向からこの順に隣り合って並んでいる。赤色第1サブピクセルR12、緑色第1サブピクセルG12、及び青色第1サブピクセルB12は、第1表示面D10において左方向からこの順に隣り合って並んでいる。赤色第1サブピクセルR13、緑色第1サブピクセルG13、及び青色第1サブピクセルB13は、第1表示面D10において左方向からこの順に隣り合って並んでいる。
【0158】
青色第2サブピクセルB10を透過した青色の光は、青色第1サブピクセルB11~B13にそれぞれ照射される。緑色第2サブピクセルG10を透過した緑色の光は、緑色第1サブピクセルG11~G13にそれぞれ照射される。赤色第2サブピクセルR10を透過した赤色の光は、赤色第1サブピクセルR11~R13にそれぞれ照射される。
【0159】
赤色第1サブピクセルR11を透過する赤色の光の進む角度、緑色第1サブピクセルG11を透過する緑色の光の進む角度、及び青色第1サブピクセルB11を透過する青色の光の進む角度は、それぞれ同じである。赤色第1サブピクセルR12を透過する赤色の光の進む角度、緑色第1サブピクセルG12を透過する緑色の光の進む角度、及び青色第1サブピクセルB12を透過する青色の光の進む角度は、それぞれ同じである。赤色第1サブピクセルR13を透過する赤色の光の進む角度、緑色第1サブピクセルG13を透過する緑色の光の進む角度、及び青色第1サブピクセルB13を透過する青色の光の進む角度は、それぞれ同じである。
【0160】
図11に示した1組のサブピクセル(例えば、赤色第1サブピクセルR1、緑色第1サブピクセルG1、及び青色第1サブピクセルB1)をそれぞれ透過する光の進む角度は、それぞれ異なっているのに対して、
図17に示す1組のサブピクセル(例えば、赤色第1サブピクセルR11、緑色第1サブピクセルG11、及び青色第1サブピクセルB11)をそれぞれ透過する光の進む角度は、それぞれ同じである。つまり、第1表示面D1aを透過する光の進む角度は、第1表示面D1aと第2表示面D2aとが互いに反対の向きに向かい合って備えられる場合と、第1表示面D1aと第2表示面D2aとが互いに同じ向きに備えられる場合とにおいて異なる。
【0161】
次に
図12~
図16を参照し、第2表示面D2aにおけるバリアパターンの周期的な変化について説明する。第2表示面D2aにおけるバリアパターンは、
図10において示したバリアパターン、及び
図12~
図16にそれぞれ示すバリアパターンへとこの順に周期的に変化する。
【0162】
図12は、本実施形態に係る時分割によるパララックスバリア式の超多眼立体映像の表示方法の第2例を示す図である。第2表示面領域C1aは、バリアBR2a-1と、スリットSL2aと、バリアBR2a-2とを左方向からこの順に隣り合わせて含む。バリアBR2a-1は、6ピクセルぶんの幅をもつ。スリットSL2aは、3ピクセルぶんの幅をもつ。バリアBR2a-2は、9ピクセルぶんの幅をもつ。
【0163】
図13は、本実施形態に係る時分割によるパララックスバリア式の超多眼立体映像の表示方法の第3例を示す図である。第2表示面領域C1aは、バリアBR3a-1と、スリットSL3aと、バリアBR3a-2とを左方向からこの順に隣り合わせて含む。バリアBR3a-1は、12ピクセルぶんの幅をもつ。スリットSL3aは、3ピクセルぶんの幅をもつ。バリアBR3a-2は、3ピクセルぶんの幅をもつ。
【0164】
図14は、本実施形態に係る時分割によるパララックスバリア式の超多眼立体映像の表示方法の第4例を示す図である。第2表示面領域C1aは、バリアBR4a-1と、スリットSL4aと、バリアBR4a-2とを左方向からこの順に隣り合わせて含む。バリアBR4a-1は、3ピクセルぶんの幅をもつ。スリットSL4aは、3ピクセルぶんの幅をもつ。バリアBR4a-2は、12ピクセルぶんの幅をもつ。
【0165】
図15は、本実施形態に係る時分割によるパララックスバリア式の超多眼立体映像の表示方法の第5例を示す図である。第2表示面領域C1aは、バリアBR5a-1と、スリットSL5aと、バリアBR5a-2とを左方向からこの順に隣り合わせて含む。バリアBR5a-1は、9ピクセルぶんの幅をもつ。スリットSL5aは、3ピクセルぶんの幅をもつ。バリアBR5a-2は、6ピクセルぶんの幅をもつ。
【0166】
図16は、本実施形態に係る時分割によるパララックスバリア式の超多眼立体映像の表示方法の第
6例を示す図である。第2表示面領域C1aは、スリットSL6aと、バリアBR6aとを左方向からこの順に隣り合わせて含む。バリアBR6aは、15ピクセルぶんの幅をもつ。スリットSL6aは、3ピクセルぶんの幅をもつ。
【0167】
なお、本実施形態では、分割数が6の場合の時分割によるパララックスバリア式の超多眼立体映像の表示方法について説明したが、制御装置14は、観察者距離HDaに応じて分割数を変化させる。
【0168】
観察者距離HDaが、約750ミリメートルから遠くなり、例えば、約900ミリメートルへと変化した場合、制御装置14は、分割数を6から5へと変化させる。分割数が6である場合、本実施形態に係る超多眼表示では、観察者Hの右目の周辺に8視点、左目の周辺に7視点の画像がそれぞれ提示される。
観察者距離HDaが約900ミリメートルである場合、1視点視域幅WVZは、約2.8ミリメートルである。
【0169】
観察者距離HDaが、約900ミリメートルから遠くなり、例えば、約1200ミリメートルへと変化した場合、制御装置14は、分割数を5から4へと変化させる。分割数が4である場合、本実施形態に係る超多眼表示では、観察者Hの右目、及び左目のそれぞれの周辺に6視点ずつの画像が提示される。
観察者距離HDaが約1200ミリメートルである場合、1視点視域幅WVZは、約3.7ミリメートルである。
【0170】
また、本実施形態に係る画像表示装置10では、画像表示面(第1表示部11a)と照明配置面(第2表示面D2a)との距離(表示面間距離DD)は、画像表示面(第1表示部11a)の視域角と、照明配置面(第2表示面D2a)に配置された照明配置制御素子(第2サブピクセル)の幅(ピクセル幅pa)とに基づく距離である。
この構成により、本実施形態に係る画像表示装置10では、画像表示面(第1表示部11a)と照明配置面(第2表示面D2a)との距離(表示面間距離DD)を、超多眼立体映像を表示する場合の観察者距離HDa及び視域幅DPに応じた距離に設定できるため、超多眼立体映像を表示できる。
【0171】
また、本実施形態に係る画像表示装置10では、照明配置面(第2表示面D2a)に配置された照明配置制御素子(第2サブピクセル)には照明光の周波数帯域に応じた複数の種類があり、画像表示面(第1表示部11a)に配置された表示素子(第1サブピクセル)には照明光の周波数帯域に応じた複数の種類と同じ数の種類があり、複数の種類の照明配置制御素子(第2サブピクセル)が照明配置面(第2表示面D2a)に配置される順番と、複数の種類と同じ数の種類の表示素子(第1サブピクセル)が画像表示面(第1表示部11a)に配置される順番とは、照明配置面(第2表示面D2a)から画像表示面(第1表示部11a)の背面をみたときに逆の順番である。
【0172】
この構成により、本実施形態に係る画像表示装置10では、第1表示面D1aを透過する光の広がりを、画像表示面(第1表示部11a)と照明配置面(第2表示面D2a)とが互いに同じ向きに備えられる場合に比べて大きくできるため、観察者Hの左目及び右目それぞれの瞳孔に入射する光線の本数を、画像表示面(第1表示部11a)と照明配置面(第2表示面D2a)とが互いに同じ向きに備えられる場合に比べて多くできる。
【0173】
上述した各実施形態においては、画像配置パターンのパターン数、及びバリアパターンのパターン数は、それぞれ時分割の分割数に等しい場合の一例について説明したが、これに限らない。画像配置パターンのパターン数、及びバリアパターンのパターン数は、それぞれ時分割の分割数より少なくてもよい。
【0174】
例えば、分割数が4である場合に、制御装置は、バリアパターンを、パターンY1b、パターンY2b、パターンY3b、パターンY4bの順に周期的に変化させる代わりに、パターンY2bとパターンY4bとを用いずに、バリアパターンをパターンY1b、パターンY3bの順に周期的に変化させる。なおここで、パターンY1bのスリットの位置は、パターンY2bのスリットの位置に対して、左にスリット幅分ずれた位置に配置されている。また、パターンY2bのスリットの位置は、パターンY3bのスリットの位置に対して、左にスリット幅分ずれた位置に配置されている。また、パターンY3bのスリットの位置は、パターンY4bのスリットの位置に対して、左にスリット幅分ずれた位置に配置されている。
画像配置パターンについては、制御装置は、バリアパターンとしてパターンY1b、及びパターンY3bを用いることに応じて、画像配置パターンを、パターンX1b、パターンX2b、パターンX3b、パターンX4bの順に周期的に変化させる代わりに、パターンX2bとパターンX4bとを用いずに、バリアパターンをパターンX1b、パターンX3bの順に周期的に変化させる。
【0175】
また、上述した各実施形態においては、画像表示装置10及び画像表示装置10aが時分割によるパララックスバリア方式によって立体視画像を表示する場合の一例について説明した。時分割によるパララックスバリア方式では、画像表示面の解像度を所定の解像度以上に保つために、観察者の左右の眼に視認させる立体視画像を高いフレームレートにおいて表示する。
【0176】
画像表示装置は、時分割をしないパララックスバリア方式によって立体視画像を表示してもよい。時分割をしないパララックスバリア方式とは、換言すれば、分割数の値が1である時分割によるパララックスバリア方式である。つまり、時分割によるパララックスバリア方式では、分割数の値として1が含まれてもよい。
分割数が1である場合、分割数算出部は更新後分割数の値として1を算出する。分割数算出部が更新後分割数の値として1を算出する場合、画像表示面制御部は、画像表示面のうち左画像領域と、右画像領域との、それぞれの領域の分割数を1から変化させない。また、分割数算出部が更新後分割数の値として1を算出する場合、照明配置面制御部は、バリア領域と、スリット領域との、それぞれの領域の配置パターンを変化させない。
【0177】
時分割をしないパララックスバリア方式によって立体視画像を表示する場合、立体視画像の解像度は、時分割を行う場合のパララックスバリア方式に比べて低くなる。
時分割をしないパララックスバリア方式であっても、画像表示面の解像度が十分に高い場合には、画像表示面に表示される立体視画像は、時分割によるパララックスバリア方式の場合の立体視画像と、観察者には区別がつかない。そのため、画像表示面の解像度が十分に高い場合には、時分割をしないパララックスバリア方式であっても、画像表示装置は、立体視ができる奥行方向の視域を、解像度を損なうことなく広げることができる。
【0178】
以上に説明したように、上述した各実施形態に係る画像表示装置は、パララックスバリア方式によって立体視画像を表示する画像表示装置であって、透過型の画像表示面にマトリクス状に配置された複数の表示素子と、画像表示面の背面から画像表示面に対して照射される照明光の画像表示面に対する配置を可変に制御する照明配置面にマトリクス状に配置された複数の照明配置制御素子と、左眼用画像データ及び右眼用画像データに基づいて表示素子を制御するとともに、画像表示面に表示される画像と、画像表示面の位置及び当該画像表示面を観察する観察者の位置の相対的な位置関係とに基づいて、照明配置制御素子を制御する制御部とを備える。
制御部は、位置情報取得部と、分割数算出部と、画像表示面制御部と、照明配置面制御部と、を備える。
位置情報取得部は、観察者の両眼のうちの少なくとも一方の眼と画像表示面との間の距離である観察者距離を示す位置情報を取得する。
分割数算出部は、位置情報取得部により取得された位置情報が示す観察者距離に基づいて、画像表示面のうち左眼用画像データの画像が表示される左画像領域と、画像表示面のうち右眼用画像データの画像が表示される右画像領域との、それぞれの領域の分割数の更新後の値である更新後分割数を算出する。
画像表示面制御部は、分割数を分割数算出部により算出された更新後分割数に基づいて変化させる。
照明配置面制御部は、照明配置面のうち照明光が生じるスリット領域の幅を分割数の変化前の幅に保持しつつ、分割数算出部により算出された更新後分割数に基づいて、照明配置面のうち照明光が生じないバリア領域と、スリット領域との、それぞれの領域の配置パターンを変化させる。
【0179】
なお、上述した実施形態における画像表示装置10及び画像表示装置10aの一部、例えば、制御部140をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、画像表示装置10及び画像表示装置10aに内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
また、上述した実施形態における画像表示装置10及び画像表示装置10aの一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。画像表示装置10及び画像表示装置10aの各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。
また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0180】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0181】
1、1a…画像表示システム、10、10a…画像表示装置、11、11a…第1表示部、12、12a…照射部、13、13a…拡散板、14、14a…制御装置、20…距離検出部、121、121a…第2表示部、122…光源部、D1…第1表示面、D2…第2表示面、140…制御部、141…読出部、142…位置情報取得部、143…分割数算出部、144…画像生成部、145…第1駆動制御部、146…第2駆動制御部、150…記憶部、B0…青色第2サブピクセル、G0…緑色第2サブピクセル、R0…赤色第2サブピクセル、B1…青色第1サブピクセル、G1…緑色第1サブピクセル、R1…赤色第1サブピクセル、H…観察者