(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2021135194
(22)【出願日】2021-08-20
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【氏名又は名称】右田 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100217984
【氏名又は名称】川條 英明
(72)【発明者】
【氏名】逵井 真嘉
(72)【発明者】
【氏名】杉崎 正範
(72)【発明者】
【氏名】切替 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】堀池 勇太
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-188832(JP,A)
【文献】特開2020-188826(JP,A)
【文献】特開2023-029096(JP,A)
【文献】特開2023-029099(JP,A)
【文献】特開2023-029101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を発射可能であり、入賞口への遊技球の入賞に基づいて賞球が得られ、電源投入時にRAMクリア処理を実行可能である遊技機であって、
遊技に用いられる複数の遊技デバイスと、
遊技の実行が可能である遊技可能状態及び複数の遊技デバイスのうち第一の遊技デバイスについて検査が可能である検査可能状態を設定する状態管理手段と、
を備え、
前記検査可能状態は、前記RAMクリア処理を伴う電源投入後に設定可能となる状態であり、
前記検査可能状態が設定されている期間において第一報知が実行され、
前記遊技可能状態は、前記検査可能状態が開始された以後に設定可能となる状態であり、前記検査可能状態が開始された以後に設定されるとき第二報知が実行され、
前記第一報知及び前記第二報知には、前記第一の遊技デバイスとは異なる第二の遊技デバイスが用いられ、
前記検査可能状態において行われ得る前記第一の遊技デバイスに係る検査には、前記第一の遊技デバイスを第一の作動態様で変化させるものが含まれ、
前記第一報知の報知期間において、前記第一の遊技デバイスが前記第一の作動態様で変化しても、前記第二の遊技デバイスの作動態様は維持される、
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、パチンコ遊技機は、遊技の実行及び遊技に関する演出等に用いるための多数のデバイスを備えており、それらのデバイスを検査する為の専用の状態が設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような遊技機において、検査可能である状態におけるデバイスの挙動と、遊技可能である状態におけるデバイスの挙動と、は意味合いが異なるものであり、いずれの状態であるのかを、明確に識別可能とすることが好ましい。
【0005】
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、検査可能である状態と遊技可能である状態とのいずれにあるのかを把握しやすい遊技機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、遊技球を発射可能であり、入賞口への遊技球の入賞に基づいて賞球が得られ、電源投入時にRAMクリア処理を実行可能である遊技機であって、遊技に用いられる複数の遊技デバイスと、遊技の実行が可能である遊技可能状態及び複数の遊技デバイスのうち第一の遊技デバイスについて検査が可能である検査可能状態を設定する状態管理手段と、を備え、前記検査可能状態は、前記RAMクリア処理を伴う電源投入後に設定可能となる状態であり、前記検査可能状態が設定されている期間において第一報知が実行され、前記遊技可能状態は、前記検査可能状態が開始された以後に設定可能となる状態であり、前記検査可能状態が開始された以後に設定されるとき第二報知が実行され、前記第一報知及び前記第二報知には、前記第一の遊技デバイスとは異なる第二の遊技デバイスが用いられ、前記検査可能状態において行われ得る前記第一の遊技デバイスに係る検査には、前記第一の遊技デバイスを第一の作動態様で変化させるものが含まれ、前記第一報知の報知期間において、前記第一の遊技デバイスが前記第一の作動態様で変化しても、前記第二の遊技デバイスの作動態様は維持される、ことを特徴とする遊技機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、検査可能である状態と遊技可能である状態とのいずれにあるのかを把握しやすい遊技機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1に示す領域IIに配設される図柄表示装置を示す図である。
【
図3】
図1に示す領域IIIに配設される操作ボタン群及びその周辺を示す鳥瞰図である。
【
図4】遊技機内に設置される遊技盤を示す図である。
【
図6】遊技機が備える制御構成を示すブロック図である。
【
図7】遊技機が備える機能構成を示すブロック図である。
【
図8】主制御基板における抽選で用いられる抽選テーブルを模式的に示す図である。
【
図9】復電復帰処理の処理フローを示すフローチャートである。
【
図10】復電処理実行手段によって実行される各報知に対応する演出表示装置の表示態様を示す図である。
【
図11】復電復帰処理において検査可能状態が設定された後に遊技可能状態が設定される場合に、各遊技デバイスの作動態様が変化する様子を示すタイムチャートである。
【
図12】復電復帰処理において検査可能状態を経ずに遊技可能状態が設定される場合に、各遊技デバイスの作動態様が変化する様子を示すタイムチャートである。
【
図13】復電復帰処理において検査可能状態が設定された後に遊技可能状態が設定される場合であって、ソレノイドの動作確認中にRAMクリアスイッチ43が操作された場合に、各遊技デバイスの作動態様が変化する様子を示すタイムチャートである。
【
図14】復電復帰処理において検査可能状態が設定された後に遊技可能状態が設定される場合であって、検査可能状態においてエラー検知された場合に、各遊技デバイスの作動態様が変化する様子を示すタイムチャートである。
【
図15】復電復帰処理において検査可能状態を経ずに遊技可能状態が設定される場合であって、遊技可能状態においてエラー検知された場合に、各遊技デバイスの作動態様が変化する様子を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。また、以下の説明では、「前」「後」「左」「右」「上」「下」とは、特に断りのない限り、
図1に示すように遊技機10を正面側(遊技者側)から見た状態で指称するものとする。
なお、以降の説明における「有利」とは、遊技者に対して有利であることを指し、さらに、特に断りがない限り、いわゆるプレミア画像等の演出上の特典を除き、賞球又はメダルの獲得量(遊技球又はメダルの払い出し)に関して有利であることを指す。
【0010】
<概要>
本実施形態に係る遊技機10の詳細を説明する前に、本実施形態の特徴の概要を説明する。
遊技機10は、いわゆるパチンコ遊技機であり、遊技球を発射可能であり、入賞口への遊技球の入賞に基づいて賞球が得られ、電源投入時にRAMクリア処理を実行可能である。遊技機10は、複数の遊技デバイスと、状態管理手段と、を備える。
【0011】
上記の遊技デバイスは、遊技に用いられる各種デバイス(装置)の総称である。本実施形態では、少なくとも可動体22、スピーカ33、演出ランプ35、盤面装飾ランプ30、普通電動役物ソレノイド62、特別電動役物ソレノイド66、演出表示装置80、及び図柄表示装置90並びにこれらに内包される構成要素が遊技デバイスに相当するものとして説明するが、本発明の実施において遊技デバイスはこれらに限られるものではない。
【0012】
上記の状態管理手段は、遊技可能状態及び検査可能状態を設定する。本実施形態における状態管理手段は、主制御基板100により実現される機能であり、具体的には復電処理実行手段180が相当する。ただし、本発明の実施において、必ずしも状態管理手段を実現する基板は主制御基板である必要はなく、別の基板によって実現されてもよい。
【0013】
上記の検査可能状態は、複数の遊技デバイスのうち第一の遊技デバイスについて検査が可能であり、RAMクリア処理を伴う電源投入後に設定可能となる状態であり、検査可能状態の滞在期間において第一報知が実行される。
上記の遊技可能状態は、遊技の実行が可能である状態であり、検査可能状態が開始された以後に設定可能となる状態であり、検査可能状態が開始された以後に設定されるとき第二報知が実行される。本実施形態における遊技可能状態は、図柄変動の実行期間、大当り遊技の実行期間、小当り遊技の実行期間、及びこれらを停止又は待機している期間等が相当する。
上記の第一報知及び第二報知には、上記の第一の遊技デバイスとは異なる第二の遊技デバイスが用いられる。
【0014】
第一の遊技デバイスは検査可能状態において検査対象となる遊技デバイスであり、第二の遊技デバイスは検査可能状態において検査対象とならない遊技デバイスである。第一の遊技デバイス及び第二の遊技デバイスに相当する遊技デバイスの数は特に制限されず、いずれについても単一であってもよいし複数であってもよい。
本実施形態における第一の遊技デバイスは、普通電動役物ソレノイド62、特別電動役物ソレノイド66、及び図柄表示装置90が相当するものとして以下説明する。
本実施形態における第二の遊技デバイスは、スピーカ33、演出ランプ35、及び演出表示装置80が相当するものとして以下説明する。
本実施形態では、盤面装飾ランプ30が、第一の遊技デバイス及び第二の遊技デバイスのいずれにも相当しない遊技デバイス(第三の遊技デバイス)であるものとして以下説明する。
なお、上記の遊技デバイスの区分(第一の遊技デバイス、第二の遊技デバイス、第三の遊技デバイスの別)は、一具体例に過ぎず、本発明の目的を達成する範囲において適宜変更可能である。
【0015】
遊技機10は、検査可能状態において行われ得る第一の遊技デバイスに係る検査に、第一の遊技デバイスを第一の作動態様で変化させるものが含まれ、第一報知の報知期間において、第一の遊技デバイスが第一の作動態様で変化しても、第二の遊技デバイスの作動態様は維持される、ことを特徴とする。
ここで「第一の遊技デバイスが第一の作動態様で変化する」とは、第一の遊技デバイスに係る検査に対応する作動態様(第一の作動態様)で変化することをいう。
また、「第二の遊技デバイスの作動態様は維持される」とは、第二の遊技デバイスの作動態様が一定であることをいい、第一の遊技デバイスの変化に依存しない作動態様で継続的に変化すること(例えば、第二の遊技デバイスがランプである場合には、所定の点灯パターンを繰り返すこと)も含まれる。
【0016】
遊技機10は、上記のような特徴を有しているので、検査可能状態及び遊技可能状態を明確に区別して報知することができ、ホール店員等に遊技機10の状態を確実に認識させることができる。
以下、本実施形態に係る遊技機10についてより具体的に説明する。
【0017】
<遊技機10の構造について>
まず、
図1から
図5を用いて、遊技機10の構造について説明する。
図1は、遊技機10の正面図であり、
図2は、
図1に示す領域IIに配設される図柄表示装置90を示す図であり、
図3は、
図1に示す領域IIIに配設される操作ボタン群及びその周辺を示す鳥瞰図であり、
図4は、遊技機10内に設置される遊技盤50を示す図であり、
図5は、遊技機10の背面図である。
なお、
図1から
図5に図示される各構成は、本実施形態の遊技機10を説明する上で必要なものを挙げたに過ぎず、ここに図示しない構成及び機能を遊技機10に追加してもよい。また、遊技機10はここに図示する構成の全部を必ずしも備えなくてもよく、本発明の効果を阻害しない範囲で一部の構成又は機能が省かれても良い。
【0018】
本実施形態の遊技機10は、いわゆるパチンコ機であり、多数の遊技釘(図示省略)が立設された遊技盤50の前面領域(以下、「遊技領域50a」と表記)に遊技球を発射し、遊技球が入賞口(例えば、大入賞口55等)に入球すると賞球が得られる遊技を行うものである。なお、以下の説明では、入賞口に遊技球が入球することを、単に「(入賞口に)入賞する」と表現する場合がある。
【0019】
従って、遊技機10は、遊技球を発射可能であり、入賞口への遊技球の入賞に基づいて賞球が得られるものである、と言える。
【0020】
遊技機10は、前後に開口する矩形枠状の外枠15と、外枠15の開口前面側に遊技盤50を着脱可能に保持する中枠17と、遊技盤50の前面側を覆うよう構成された前枠20と、を備える。
【0021】
中枠17は、ヒンジ機構21と同一側にあるヒンジ機構(図示省略)により左端側を中心に回動自在に支持され、外枠15の前側に開閉可能となっている。なお、中枠17は、シリンダ錠23により、施錠及び解錠(シリンダ錠23に扉キーを差し込み、扉キーを前枠の解錠方向とは逆の方向(本実施形態では、右)に回す)が可能となっている。
本実施形態では、中枠17が開放状態であるか否かを検知するための中枠開扉センサ76を備えている。なお、中枠開扉センサ76は、中枠17が開放状態である場合にはONとなり、中枠17が閉鎖状態である場合にはOFFとなる。
【0022】
前枠20は、ヒンジ機構21により左端側を中心に回動自在に支持され、中枠17に対して開閉可能となっている。なお、前枠20は、シリンダ錠23により施錠及び解錠(シリンダ錠23に扉キーを差し込み、扉キーを中枠17の解錠方向とは逆の方向(本実施形態では、左)に回す)が可能となっている。
また、前枠20は、遊技領域50aを覆うように配置された透明部材25を備え、透明部材25によって遊技領域50a及び遊技盤50を透視保護している。
また、前枠20は、遊技球を貯留する上球受け皿28及び下球受け皿29を備え、上球受け皿28と下球受け皿29は上下に離間して前枠20と一体的に設けられている。
また、前枠20は、下球受け皿29の右側方に操作ハンドル31を備え、操作ハンドル31の回動操作によって、上球受け皿28に貯留された遊技球が遊技領域50aに向けて発射されるようになっている。
【0023】
図3に示すように、上球受け皿28の上面には、遊技者に操作される操作ボタン群が配置されている。この操作ボタン群には、後述する主制御基板100に電気的に接続されているメイン操作部39として、玉貸ボタン39a、及びプリペイドカードの返却操作を受け付ける返却ボタン39bが設けられ、後述する第1副制御基板200に電気的に接続されている操作部として、遊技中に発生する演出を切り替える又は遊技機10に関わる種々の情報を得るために行う遊技者の操作を受け付けることができる演出ボタン37、及びそれぞれ上、下、左、右への操作を指示するためのカーソルボタン38(38a、38b、38c、38d)等が含まれる。なお、各操作部には、操作を検知するためのセンサが設けられており、接続対象の制御基板は、当該センサの検知状態の変化によって各操作部の操作を検知している。なお、これらの操作部は、遊技盤50の前面側に設けられている。
また、上カーソルボタン38a及び下カーソルボタン38bは、後述するスピーカ33から出力される音声の音量を調整するために、左カーソルボタン38c及び右カーソルボタン38dは、後述する演出ランプ35及び演出表示装置80の輝度を調整するために操作される。
【0024】
下球受け皿29の下部には、下球受け皿29に貯留された遊技球を下方へ排出する球抜き機構36が設けられている。この球抜き機構36を操作することにより、下球受け皿29の底面に形成された底面口(図示省略)が開口して、当該底面口から遊技球が自然落下して排出される。
なお、図示は省略するが、上球受け皿28には、球抜き機構36と同様に、操作することで貯留している球を下球受け皿29へ移動させる機構が設けられ、この機構と球抜き機構36の双方を操作することで、貯留している球を排出することが可能となる。
【0025】
図1に示すように、前枠20の上枠部32の左側と右側にそれぞれ一対のスピーカ33(33a、33b)が配設されている。また、前枠20の上枠部32と左右側枠部34a、34bは光透過性のカバーにより形成されており、その内部にはそれぞれ演出ランプ35(35a、35b、35c)が配設されている。スピーカ33や演出ランプ35は、遊技中に発生する演出やエラー演出等と連動して音声出力又は点灯若しくは消灯することができる。
【0026】
演出表示装置80は、遊技盤50の略中央に配設された液晶表示装置であり、後述する第1特別図柄表示装置91又は第2特別図柄表示装置92における変動表示に連動して行われる装飾図柄の変動表示を表示することができ、更に、他の各種の演出も表示することができる。
【0027】
演出表示装置80に表示される装飾図柄の変動表示において、表示される装飾図柄は、3つの図柄列をなす。各図柄列の変動表示の方向は特に制限されず、例えば、上下方向、左右方向、奥行き方向、又はこれらの組合せ(斜め方向)のいずれであってもよい。
ここで、奥行き方向とは、実際には演出表示装置80の表示画面上の平面的な変動表示であるにも関わらず、演出表示装置80の奧方から手前方向又はその逆方向に装飾図柄が変動表示しているかのように認識させる手法(例えば、遠近法)を用いた表示態様において、遊技者が認識する仮想的な方向をいう。
また、本実施形態における装飾図柄には、数字の「1」を模した「1図柄」、数字の「2」を模した「2図柄」、数字の「3」を模した「3図柄」、数字の「4」を模した「4図柄」、数字の「5」を模した「5図柄」、数字の「6」を模した「6図柄」、数字の「7」を模した「7図柄」、数字の「8」を模した「8図柄」、および数字の「9」を模した「9図柄」があり、これらの図柄は、各図柄列に設けられている。以降の説明では、「1図柄」、「3図柄」、「5図柄」、「7図柄」、および「9図柄」を総称して「奇数図柄」と称し、「2図柄」、「4図柄」、「6図柄」、「8図柄」を総称して「偶数図柄」と称する場合がある。
【0028】
なお、本実施形態における演出表示装置80には、液晶表示装置が採用されているが、本発明の実施はこれに限るものではない。例えば、ドラム式やドットマトリックス式等、多様な方式の表示装置を演出表示装置80として採用することができる。
【0029】
演出表示装置80の右下側には、複数の発光ダイオード(light emitting diode、以下、「LED」と略称する)が配設されており、これらのLEDによって図柄表示装置90の表示領域が構成されており、図柄表示装置90には、特別図柄及び普通図柄が表示される。
また、図柄表示装置90は、演出表示装置80よりも遊技者が視認しにくい位置に配設され、図柄表示装置90の表示領域は、演出表示装置80の表示領域よりも小さい面積になっている。
なお、本実施形態における図柄表示装置90に係るLEDの配置や数は
図2に示すとおりであるが、これは一例であって、図柄表示装置90に係るLEDの配置や数はこの例に制限されるものではない。
【0030】
特別図柄は、特別電動役物(例えば、特別電動役物65)を作動させるか否かを決定する図柄変動の結果として停止表示される図柄である。本実施形態における特別図柄には、第1特別図柄表示装置91に表示される第1特別図柄と第2特別図柄表示装置92に表示される第2特別図柄とが含まれる。
なお、特別図柄は「特図」、第1特別図柄は「特
図1」、第2特別図柄は「特
図2」と略称される場合がある。
【0031】
普通図柄は、普通電動役物(例えば、普通電動役物61)を作動させるか否かを決定する図柄変動の結果として停止表示される図柄である。本実施形態における普通図柄は、普通図柄表示装置93に表示される。
なお、普通図柄は、「普図」と略称される場合があり、普通電動役物は「電チュー」と称される場合がある。
【0032】
また、図柄表示装置90には、上述の表示装置以外に、第1特別図柄保留ランプ94、第2特別図柄保留ランプ95、普通図柄保留ランプ96が設けられている。
第1特別図柄保留ランプ94は、保留されている特
図1の図柄変動の数を特定可能とし、第2特別図柄保留ランプ95は、保留されている特
図2の図柄変動の数を特定可能とし、普通図柄保留ランプ96は、保留されている普図の図柄変動の数を特定可能とし、いずれも、2つのLEDの点灯態様(本実施形態では、右常時点灯のみ=1、左右常時点灯=2、右側点滅+左側常時点灯=3、左右点滅=4)によって対応する図柄変動の数を特定可能とするものである。
【0033】
以下の説明では、第1特別図柄表示装置91又は第2特別図柄表示装置92で特図を変動表示させた後に特図を停止表示させる図柄変動を「特図の図柄変動」と称し、以下の説明では、普通図柄表示装置93を変動表示させた後に普図を停止表示させる図柄変動を「普図の図柄変動」と称する場合がある。
また、以下の説明では、上述の演出表示装置80に表示される装飾図柄の変動表示は、「特図の図柄変動」や「普図の図柄変動」と区別して「装飾図柄の図柄変動」と称する場合がある。
なお、以下の説明では、単に「図柄変動」と称した場合には、特に断りがない限り特図の図柄変動を意味する。
【0034】
遊技盤50の前面には、
図4に示すように、多数の遊技釘(図示省略)や風車52、装飾部材といった障害物が配置されていることにより、打ち出された遊技球が転動するように遊技領域50aが画成されている。
また、遊技領域50aの左側及び上側には、操作ハンドル31の回転操作により発射された遊技球を遊技領域50aの上部に案内するために設けられた湾曲形状の外レール51及び内レール53が配置されている。なお、外レール51は、遊技領域50a中央を基準として内レール53より外側に位置している。ここで、風車52とは、遊技球の落下の方向に変化を与えるための機構であって、くぎ状のものをいう。
【0035】
遊技機10は操作ハンドル31の回転操作量(例えば回転角度)の大小によって遊技球の打ち出しの強弱をつけることが可能になっており、より弱く打ち出された遊技球が転動する第1流路X(いわゆる左打ち)、より強く打ち出された遊技球が転動する第2流路Y(いわゆる右打ち)、のいずれか一方を遊技球が転動するように各種障害物が遊技領域50aに配置されている。
【0036】
図4には、主要な入賞口として、大入賞口55、第1始動口57、第2始動口59、ゲート63、一般入賞口67を図示しているが、図示されている入賞口の数や配置は一例であり、以降で説明される役割を満たす限りにおいて、その数や配置は適宜変更しても構わない。
【0037】
大入賞口55は遊技領域50aの右下部に配置されている。大入賞口55には大入賞口センサ72が付設されており、大入賞口センサ72の検知結果によって大入賞口55への入賞が判定されて、大入賞口55に対応付けられた数(15球)の賞球が付与される。
なお、本実施形態において、第1流路Xから転動する場合と比較して、第2流路Yから転動する場合に多くの遊技球が大入賞口55に向けて転動するように各障害物が配置されている。
【0038】
大入賞口55の上方には特別電動役物65が配設されている。特別電動役物65は、大入賞口55への入賞が容易である開放状態又は入球が困難である閉鎖状態に可換に遷移する部材であり、特別電動役物ソレノイド66により開放状態または閉鎖状態のいずれかに遷移する。
【0039】
特別電動役物65は、後述する特図当否判定によって大当りが導出されたことに起因して設定される大当り遊技の少なくとも一部において開放状態になり、これに伴って大入賞口55への入賞が許容される。このように、特別電動役物65が開放状態である場合には、大入賞口55への入賞が容易となり賞球を獲得できる機会が大幅に増大する大当り遊技は、有利な遊技状態であると言える。
更に、大当り遊技では、特別電動役物65の開放状態と閉鎖状態が交互に設定され、1回の開放状態(「ラウンド」と表記する場合があり、1回の大当りで発生するラウンドの総数を「ラウンド数」と表記する場合がある)は、予め定められた数(本実施形態では、10)の遊技球が大入賞口55に入賞したことに基づいて終了し、特別電動役物65が閉鎖状態となる。なお、1回の開放状態は、予め定められた数の遊技球が大入賞口55に入賞するのに十分な時間(本実施形態では、30s(秒))が経過したことに基づいても終了する。ここで、1回のラウンドにおいて、10球の遊技球が入賞したことに基づいて特別電動役物65が開放状態から閉鎖状態に設定される場合に、すぐに閉鎖状態となることはできない。そのため、1回のラウンドにおいて、10球を超える遊技球が大入賞口55に入賞する場合が発生し、当該入賞をオーバー入賞と称する場合がある。
【0040】
本実施形態では、大入賞口55内に特定領域(図示せず)が設けられており、その特定領域には検知センサ(図示せず)が設けられている。この検知センサにより、遊技球が特定領域を通過したことが検知される。以降、その特定領域をV入賞領域と表記し、遊技球のV入賞領域の通過をV入賞と表記する場合がある。
【0041】
また、特図当否判定によって小当りが導出されたことに起因する小当り遊技の少なくとも一部においても特別電動役物65が開放状態となる。本実施形態では、上記の大当り遊技と比較して当該開放状態となる時間は短く設定されている。このため、小当り遊技は、大当り遊技よりも不利な遊技状態と言える。
【0042】
第1始動口57は、遊技領域50aの中央下部に配置されている。第1始動口57には第1始動口センサ70が付設されており、第1始動口センサ70の検知結果によって第1始動口57への入賞が判定されて、第1始動口57に対応付けられた数(本実施形態では、4)の賞球が付与される。第1始動口57への入賞が判定された場合の少なくとも一部において、特
図1の図柄変動が行われることとなる。
なお、本実施形態に係る遊技領域50aは、第2流路Yから転動した場合に比べて、第1流路Xから転動した場合に多くの遊技球が第1始動口57に向けて転動するように、遊技釘等の障害物が配置されているものとする。
【0043】
第2始動口59は、遊技領域50aの右下部に配置されている。第2始動口59には第2始動口センサ71が付設されており、第2始動口センサ71の検知結果によって第2始動口59への入賞が判定されて、第2始動口59に対応付けられた数(本実施形態では、1)の賞球が付与される。
第2始動口59への入賞が判定された場合の少なくとも一部において、特
図2の図柄変動が行われることとなる。
なお、本実施形態に係る遊技領域50aは、第1流路Xから転動した場合に比べて、第2流路Yから転動した場合に多くの遊技球が第2始動口59に向けて転動するように、遊技釘等の障害物が配置されているものとする。
【0044】
第2始動口59に繋がる流路には普通電動役物61が配設されている。普通電動役物61は、第2始動口59に遊技球への入球が容易である開放状態又は入球が困難である閉鎖状態に可換に遷移する部材であり、普通電動役物ソレノイド62により開放状態又は閉鎖状態のいずれかに遷移する。
より具体的には、普通電動役物61は、普図の図柄変動で当選して行われる普図当り遊技の少なくとも一部において開放状態になり、これに伴って第2始動口59への入賞が許容される。このように、普通電動役物61が開放状態である場合には、第2始動口59への入賞が容易となるため、賞球により遊技球の減少を抑えつつ、特
図2の図柄変動が実行される機会を大幅に増大しうる。
ここで、
図4に示す通り、特別電動役物65は、第2流路Yにおいて、普通電動役物61よりも下流側にある。
【0045】
ゲート63は、遊技領域50aの右中央部に配置されている。ゲート63には、ゲートセンサ74が付設されており、ゲートセンサ74の検知結果によってゲート63への遊技球の通過(この場合も入賞と表記される場合がある)が判定される。ゲート63への入賞が判定された場合の少なくとも一部において、普図の図柄変動が行われることとなる。本実施形態では、ゲート63への入賞が判定されても賞球は付与されない。
また、本実施形態において、第1流路Xから転動する場合と比較して、第2流路Yから転動する場合に多くの遊技球がゲート63に向けて転動するように各障害物が配置されている。
【0046】
一般入賞口67(67a、67b)は、遊技領域50aの左下部に配置されている。一般入賞口67には、一般入賞口センサ73が付設されており、一般入賞口センサ73の検知結果によって一般入賞口67への入賞が判定されて、一般入賞口67への入賞に対して決められた数(本実施形態では、4)の賞球が付与される。より具体的には、一般入賞口67aには一般入賞口センサ73a(図示せず)が付設されており、一般入賞口67bには一般入賞口センサ73b(図示せず)が付設されている。
また、本実施形態において、第2流路Yから転動する場合と比較して、第1流路Xから転動する場合に多くの遊技球が一般入賞口67に向けて転動するように各障害物が配置されているが、第2流路Yから転動する場合に多くの遊技球が一般入賞口67に向けて転動するように各障害物が配置されるようにしてもよい。
【0047】
アウト口69は、遊技領域50aの最下部に配置されている。遊技領域50aに打ち込まれ、上述した各入賞口に入球しなかった遊技球はアウト口69に落入し、アウト球として処理される。
【0048】
遊技盤の前面には、
図4に示すように、複数の可動体22が設けられており、演出表示装置80に表示される演出画像やスピーカ33から出力される音声データとともに、演出に用いられる。
本実施形態では、遊技盤に設けた演出表示装置80の上方に上部可動体22aを、演出表示装置80の左右に左右可動体22bを設け、詳細は後述する特図変動パターンに基づき、所定の位置に駆動制御される。
【0049】
上部可動体22aの内部には、上部可動体内ランプ24aが、左右可動体22bの内部には左右可動体内ランプ24bが設けられる。上部可動体内ランプ24aおよび左右可動体内ランプ24bは、フルカラーLEDを用いる。
また、遊技盤50の前面には.
図4に示すように、演出表示装置80に表示される演出画像やスピーカ33から出力される音声データとともに、演出に用いられる、盤面装飾ランプ30(30a、30b)も設けられる。盤面装飾ランプ30は、フルカラーLEDを用いる。
【0050】
遊技盤50の背面には、
図5に示すように、主制御基板100が格納された主制御基板ケース109、第1副制御基板200が格納された第1副制御基板ケース209、第2副制御基板300が格納された第2副制御基板ケース309、電源制御基板500が格納された電源制御基板ケース509、及び払出制御基板400が格納された払出制御基板ケース409が装着され、第1副制御基板ケース209及び第2副制御基板ケース309の背面に加え、主制御基板ケース109の背面の一部を覆う開閉カバー45が着脱自在に装着されている。
なお、各基板を覆う基板ケース及びカバーは、透明性を有する部材によって構成されており、各ケース及びカバーを通して対応する基板が視認可能となっている。
【0051】
電源制御基板500には、遊技島の電源設備から供給される一次電源を遊技機10に供給するために操作される電源スイッチ40及びRAMクリアスイッチ43が設けられている。
RAMクリアスイッチ43は、後述するRAMクリア処理を指示する場合に操作されるスイッチである共に、本発明に係る検査可能状態を終了させる場合に操作されるスイッチである。RAMクリアスイッチ43は、RAMクリアスイッチ回路504に電気的に接続されている。
遊技島に設置された状態では、中枠17を開放状態としなければ、遊技盤50の背面側に設けられた各操作部(電源スイッチ40、RAMクリアスイッチ43等)の操作が困難となっている。
【0052】
また、遊技盤50の背面には、開閉カバー45の上部に、遊技島の球供給設備から供給される遊技球が貯留される遊技球タンク46が配置されている。遊技球タンク46は、更に、タンクレール47及び払出ユニット48を介して、上球受け皿28に繋がる払出通路49と接続されており、払出ユニット48によって払い出された球は、払出通路49を通って上球受け皿28に払い出される。
【0053】
ここまで、本実施形態における遊技機10の構造について説明してきたが、これらは一具体例であって、別の構成によって本発明を実施することもできる。
【0054】
<遊技機10の制御構成について>
次に、
図6を用いて、本実施形態に係る遊技機10が備える制御構成を説明する。
図6は、遊技機10が備える制御構成を示すブロック図である。なお、
図6に示す制御構成は、本実施形態の遊技機10を説明する上で必要となるものであり、遊技機10は、
図6で図示しない制御構成を備えていてもよい。
【0055】
主制御基板100は、遊技に関する各種の演算処理を行うCPU101と、制御プログラムや各種抽選テーブル等のデータ等を記憶したROM102と、一時記憶領域となるワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM103と、周辺基板や各デバイスとの間の信号を入出力するI/Oポート104と、CPU101によるプログラム処理とは別系統で動作して乱数(ハード乱数)を生成する乱数回路105と、を備えており、これらが内部バスを介して相互に接続されている。
【0056】
CPU101は、ROM102に格納された各種の制御プログラムを読み出して演算処理を行うことで、遊技の主制御に係る各種処理を実行する。
RAM103は、後述するバックアップ電源回路502において生成されるバックアップ電源によってバックアップがなされる。具体的には、RAM103に格納される情報のうち、電断が生じた後の復電時にそのデータを用いて電断直前の状態で遊技機10が復帰できるような各種情報がバックアップされるように構成されている。例えば、電断が生じた際に保持されていたスタックポインタや各レジスタ等のデータに加え、そのときの遊技機10の状態、現在の特図抽選状態、現在の普図抽選状態、大当り遊技中であるか否か、特
図1及び特
図2の停止図柄、図柄変動の保留情報、大当り遊技におけるラウンド遊技の回数などといった遊技に係る情報がバックアップ対象とされる。
【0057】
本実施形態では、少なくとも、そのような遊技に係る情報が格納される領域(RAM103の遊技に係る領域と表記される場合がある)と、RAM103の遊技に係る領域に関するチェックサムの補数及びバックアップフラグが格納される領域(RAM103の遊技に係るバックアップ情報領域と表記される場合がある)とがバックアップされる。
そして、遊技機10は、復電時に、そのバックアップされた、RAM103の遊技に係る領域とRAM103の遊技に係るバックアップ情報領域とに格納される各種情報を用いて復帰する。
【0058】
本実施形態におけるバックアップの具体的手法については何ら制限されない。例えば、RAM103のうちバックアップ対象とされる領域は、電断状態においても不揮発的にデータを保持可能な構成で実現されてもよい。他の例としては、RAM103の中でも、電断状態においても不揮発的にデータを保持可能に構成される第一メモリと、遊技機10が動作時に参照される第二メモリとで異なるハードウェアが設けられていてもよく、その場合には、遊技機10は、電断時に第二メモリから第一メモリにバックアップ対象となる情報を退避し、その退避された情報を復電時に第一メモリから第二メモリへリカバリすればよい。
【0059】
また、主制御基板100は、第1始動口センサ70、第2始動口センサ71、大入賞口センサ72、一般入賞口センサ73、ゲートセンサ74、アウト球センサ75、中枠開扉センサ76等と電気的に接続されており、I/Oポート104を介して、これらのセンサからの検出信号をCPU101に入力可能に構成されている。
【0060】
また、主制御基板100は、第1特別図柄表示装置91、第2特別図柄表示装置92、普通図柄表示装置93、第1特別図柄保留ランプ94、第2特別図柄保留ランプ95、普通図柄保留ランプ96、普通電動役物ソレノイド62及び特別電動役物ソレノイド66に電気的に接続されており、I/Oポート104を介してこれらを制御可能に構成されている。
同様に、主制御基板100は、メイン操作部39に電気的に接続されており、メイン操作部39の操作を検知可能に構成されている。
【0061】
主制御基板100と第1副制御基板200との間は、8本のパラレル信号線及び1本のストローブ線で接続されており、主制御基板100から第1副制御基板200へと向かう単一方向のみで通信可能に接続され、主制御基板100から第1副制御基板200へ各種の制御コマンドが送信される。
なお、第1副制御基板200から主制御基板100へデータを送信することはできず、また、第1副制御基板200は、主制御基板100に対してデータの送信を要求することはできないように構成されている。
また、本実施形態では、主制御基板100から第1副制御基板200へのデータ送信にパラレル伝送方式を採用しているが、シリアル伝送方式を採用してもよい。
【0062】
遊技機10は、第一制御基板(主制御基板100)と、第一制御基板からの信号を一方向に受信可能に構成されている第二制御基板(第1副制御基板200)と、を備える、ものと言える。
なお、本実施形態では、本発明に係る第一制御基板及び第二制御基板に相当する構成として、主制御基板100及び第1副制御基板200をそれぞれ例示するが、上記の要件を充足する他の基板の組合せによって第一制御基板及び第二制御基板が実現されてもよい。
【0063】
第1副制御基板200は、主制御基板100からの演出制御コマンドに基づき遊技演出に関する各種の演算処理を行うCPU201、演出制御プログラムや各種抽選テーブル等のデータ等を記憶したROM202、一時記憶領域となるワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM203と、周辺基板や各デバイスとの間の信号を入出力するI/Oポート204と、を備え、これらが内部バスを介して相互に接続され、CPU201がROM202に記憶された制御プログラムに従って遊技演出に係る主要な制御を実行するように構成されている。
なお、第1副制御基板200は、演出ボタン37及びカーソルボタン38(正確には、演出ボタン37及びカーソルボタン38の操作を検知する不図示の操作検知スイッチ)と電気的に接続されており、これらに対する操作を検知可能に構成されている。
【0064】
また、第1副制御基板200は、主制御基板100からの演出制御コマンド又は復電復帰コマンドに基づく制御処理にて、第2副制御基板300へ画像や音声を指示する画像制御コマンド及び音声制御コマンド、上部可動体内ランプ24a、左右可動体内ランプ24b、盤面装飾ランプ30(30a、30b)、演出ランプ35等の各種ランプの点灯を制御するためのランプ制御データ、上部可動体22a、左右可動体22b等の可動を制御するための可動制御データ等を生成する。
ここで、第1副制御基板200は、第2副制御基板300と双方向通信が可能に接続されており、各種コマンドが第1副制御基板200から第2副制御基板300へ送信される一方、その応答として、当該コマンドを正常に受信できた旨を示す応答コマンド(ACKコマンド)が第2副制御基板300から第1副制御基板200へ送信される。
【0065】
また、第1副制御基板200は、上部可動体内ランプ24a、左右可動体内ランプ24b、盤面装飾ランプ30(30a、30b)、演出ランプ35と電気接続されており、I/Oポート204を介して、ランプ制御データを送信する。そして、上部可動体内ランプ24a、左右可動体内ランプ24b、盤面装飾ランプ30(30a、30b)、演出ランプ35は、第1副制御基板200から送信されるランプ制御データによって点灯が制御されるように構成されている。
【0066】
第2副制御基板300は、第1副制御基板200からの制御コマンドに基づき画像演出及び音声演出に関する各種の演算処理を行うCPU301と、画像及び音声を制御する制御プログラムや各種データ等を記憶したROM302と、一時記憶領域となるワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM303と、周辺基板や各デバイスとの間の信号を入出力するI/Oポート304とを備えており、CPU301がROM302に記憶された制御プログラムに従って各種演出に係る主要な制御を実行するように構成されている。
その他、第2副制御基板300には、図示省略するが、CPU301から受信した制御信号に基づき後述する演出内容決定手段225によって決定された演出の内容に沿った画像データを生成するVDPと、CPU301から受信した制御信号に基づき音声データを生成する音源ICとを搭載している。VDPは、いわゆる画像プロセッサであり、CPU301からの指示に応じて画像ROMに記憶された画像データを読み込み、これを画像処理して生成した画像データを演出表示装置80へ送信する。このVDPには、画像ROMから読み出された画像データの展開・加工に使用される高速のVRAMが接続されている。音源ICは、CPU301からの指示に応じて音声ROMに記憶された音声データを読み込み、読み込んだ音声データを合成処理して生成した最終的な音声データを増幅器を介してスピーカ33に出力する。
【0067】
より具体的には、第2副制御基板300は、複数の音声チャネルに対応する音声制御を実行可能である。第2副制御基板300は、第1副制御基板200から音声制御コマンドを受信すると、その音声制御コマンドに基づいて、指示された音声が指示された音量でスピーカ33から出力されるように制御する。
ここで、音声制御コマンドは、複数の音声チャネルの各々についての音声制御データを含む。各音声制御データは、対応する音声チャネルに関して、音声データの有無を特定するデータ、再生させる音声データを指示するデータ、音量を指示する音量指示データ等をそれぞれ含んでいる。
音声制御コマンドを受信した第2副制御基板300では、その音声制御コマンドに基づいて、指示された音声が指示された音量でスピーカ33から出力されるように制御される。音声制御コマンドで複数の音声チャネルの音声データが指定されている場合には、音声チャネルごとに、指示された音声データを、指示された音量にしたがって合成され得る。
本実施形態は、音声と音声チャネルとの対応関係を何ら限定するものではないため、以降の説明では、音声チャネルに関する記載を割愛する場合がある。
【0068】
払出制御基板400は、CPU401、ROM402及びRAM403(いずれも図示省略)を主体として構成されている。
また、払出制御基板400は、主制御基板100と双方向通信可能に接続されており、主制御基板100からの払出制御コマンドに基づいて払出ユニット48を駆動させて遊技球を払い出すための制御を実行するとともに、操作ハンドル31の操作量に基づき球送り機構と発射機構とを同期的に駆動させて遊技球の発射を制御する。
【0069】
電源制御基板500は、遊技島の電源設備から供給される一次電源を基に、上述の制御基板等の電子部品や電気部品に供給する通常電源を生成する通常電源回路501、バックアップ電源を生成するバックアップ電源回路502、電断(通常電源による供給電圧が所定の電圧低下となること)を検出する電断検出回路503、及びRAMクリアスイッチ回路504等で構成されている。
電源制御基板500には、電源スイッチ40が接続されており、遊技島の電源設備から1次電源が供給されていることを前提として、電源スイッチ40がONになると、電源制御基板500の通常電源回路501で通常電源が生成され、上述の制御基板(主制御基板100、第1副制御基板200、第2副制御基板300、及び払出制御基板400)を含む電子部品や電気部品に電源が供給される。
また、電源制御基板500には、RAMクリアスイッチ43が接続されており、本実施形態では、RAMクリアスイッチ43がONにされた状態で電源スイッチ40がONにされた場合に、RAMクリアスイッチ回路504が初期化信号を主制御基板100及び払出制御基板400へそれぞれ送信する。この初期化信号の受信により、主制御基板100では後述するRAMクリア処理が実行される。なお、RAMクリアスイッチ回路504が初期化信号を送信する契機は、本実施形態のような例のみに制限されない。
【0070】
従って、遊技機10は、電源投入時にRAMクリア処理を実行可能である、ものと言える。
【0071】
また、電源制御基板500は、電断検出回路503によって電断が検出された場合には、電断信号(NMI信号)を主制御基板100、第1副制御基板200、払出制御基板400のそれぞれに送信する。
バックアップ電源回路502は、遊技島の電源設備から遊技機10に電源が供給されているときに充電される仕組みとなっている。
なお、バックアップ電源回路502を払出制御基板400上に設けるようにしてもよく、電断検出回路503を電源制御基板500に設けず、主制御基板100、第1副制御基板200、及び払出制御基板400のそれぞれに設けるようにしてもよい。また、RAMクリアスイッチ回路504は主制御基板100に設けるようにし、RAMクリアスイッチ43も主制御基板100に接続されていてもよい。
【0072】
<遊技機10の機能構成について>
次に、
図7を用いて、本実施形態に係る遊技機10が備える機能構成を説明する。
図7は、遊技機10が備える機能構成を示すブロック図である。なお、
図7に示す機能構成は、本実施形態の遊技機10を説明する上で必要となるものであり、遊技機10は、
図7で図示しない機能構成を備えていてもよい。また、機能構成を説明する際に、
図8~
図10を参照する場合がある。
【0073】
主制御基板100は、
図7に示すように、入球判定手段110、メイン乱数発生手段115、メイン保留制御手段120、事前判定手段125、特図抽選手段130、普図抽選手段135、大当り遊技制御手段140、図柄表示制御手段145、電動役物制御手段150、遊技状態制御手段155、メイン情報記憶手段160、メインエラー制御手段165、メインコマンド管理手段170、電断処理実行手段175、及び復電処理実行手段180を備えており、これらの手段は、
図6を用いて説明した主制御基板100上の各制御構成によって実現されるものを機能的に表したものである。
【0074】
なお、メイン情報記憶手段160は、主制御基板100が備える手段によって読み出されたデータや、当該手段における演算によって導出されたデータ等を各々に対応する格納領域に一時的に記憶する手段である。特に、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶されたデータ(演出制御コマンド等)は、記憶された後にコマンド送信手段によって後述する第1副制御基板200のサブコマンド管理手段275に向けて送信される。
【0075】
入球判定手段110は、各入賞口に設けられたセンサの検知結果に基づいて各入賞口への入賞を判定する。
【0076】
メイン乱数発生手段115は、乱数回路105によって更新範囲が異なる複数種類の乱数を生成可能であり、入賞口への入賞が判定されたタイミングで乱数回路105から当該入賞口に対応する一又は複数の乱数を取得(ラッチ)する。
より具体的には、メイン乱数発生手段115は、第1始動口57又は第2始動口59への入賞が判定された場合には、後述する、特図当否判定用の乱数、特図停止図柄抽選用の乱数、及び特図変動パターン抽選用の乱数を取得する。ゲート63への入賞が判定された場合には、後述する普図当否判定用の乱数、普図図柄抽選用の乱数、及び普図変動パターン抽選用の乱数をメイン情報記憶手段160の対応する格納領域に格納する。
【0077】
メイン保留制御手段120は、特図の図柄変動の保留、及び普図の図柄変動の保留に関する制御を行う。特
図1に関しては、第1始動口57への入賞を契機として取得された、特図当否判定用の乱数、特図停止図柄抽選用の乱数、及び特図変動パターン抽選用の乱数を、特
図1の作動保留情報として保留する(記憶させる)。
より具体的には、メイン保留制御手段120は、特
図1の作動保留情報が保留されるごとに1加算され、特
図1の作動保留情報が使用される(特図抽選手段130の抽選で用いられる)ごとに1減算される保留カウンタ(以下、「特
図1保留カウンタ」と称する)を備え、特
図1保留カウンタの値が上限値(本実施形態では、4)となるまで、当該作動保留情報をメイン情報記憶手段160の現在の特
図1保留カウンタに対応する格納領域に記憶させ、作動保留情報が使用されるごとに、使用された作動保留情報をクリアし、残りの作動保留情報を、特
図1保留カウンタの小さいものから順に、現在の格納領域から現在の特
図1保留カウンタよりも1少ない特
図1保留カウンタに対応する格納領域に移動(シフト)させる制御を行う。
また、メイン保留制御手段120は、特
図2及び普図に関しても、特
図1とは別に上述の制御と同様の制御を行い、特
図2の保留カウンタを特
図2保留カウンタと称する。
以降の説明では、「特
図1の作動保留情報の保留」及び「特
図2の作動保留情報の保留」の双方を「図柄変動の保留」と表記する場合がある。
【0078】
また、メイン保留制御手段120は、特
図1又は特
図2の作動保留情報(保留カウンタ)を更新(加算又は減算)した際に、特
図1保留カウンタ及び特
図2保留カウンタを含む演出制御コマンド(保留コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。
なお、本実施形態では、特
図1に対応する作動保留情報及び特
図2に対応する作動保留情報の双方が保留されている場合には、特
図2に対応する作動保留情報が優先的に使用される優先変動が行われる。
また、大当り遊技中に保留されている特図の作動保留情報であって、当該大当り遊技の終了後に使用される特図の作動保留情報(本実施形態のように優先変動を採用している場合には、特
図2の保留に限る)を使用した場合の特図当否判定の結果が大当り(後述する確変大当りであることが好ましい)となることを、「保留連」と称する場合がある。
【0079】
事前判定手段125は、所定の事前判定のタイミングにおいて特図の作動保留情報が保留された場合の少なくとも一部で、当該作動保留情報を対象とした先読み演出のための事前判定を実行する。
より具体的には、事前判定手段125は、今回保留した作動保留情報の各乱数を読み出し、後述する、特図当否判定、特図停止図柄抽選、及び特図変動パターン抽選のそれぞれに対する事前判定を実行する。各事前判定では、各事前判定に対応する抽選に用いられる抽選テーブルと同一又は同等の抽選テーブル(図示省略)が用いられる。そのため、これらの事前判定の結果は、後に実行される抽選の結果と同一の結果となる。
また、事前判定手段125は、導出された事前判定の結果を含む演出制御コマンド(事前判定コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。
なお、上述の通り、事前判定コマンドは、所定の事前判定のタイミングにおいて特図の作動保留情報が保留された場合の少なくとも一部で送信される(生成され、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶される)ものであるため、上述の保留コマンドに続いて送信されることとなる。ここで、所定の事前判定のタイミングとは、大当り遊技中ではないことを指し、更に、本実施形態では、普図高確中の特
図1の作動保留情報が保留された場合には、事前判定コマンドの送信を規制している。
【0080】
特図抽選手段130は、特図当否判定手段131、特図停止図柄抽選手段132、及び特図変動パターン導出手段133を備え、特図当否判定手段131、特図停止図柄抽選手段132、特図変動パターン導出手段133の順に各手段による処理を実行する。特図抽選手段130は、特図の変動開始条件が充足された際に、メイン情報記憶手段160に保留されている作動保留情報のうちの最先の作動保留情報を読み出す。
なお、「特図の変動開始条件が充足される」とは、その一例として、大当り中ではないこと、特
図1及び特
図2のいずれも図柄変動中でないこと、特
図1及び特
図2のうちの少なくともいずれか一方に作動保留情報が存在することのすべての条件が充足されたことである。
【0081】
ここで、
図8は、主制御基板100における抽選で用いられる抽選テーブルを模式的に示す図である。
図8で示す抽選テーブル以外の抽選テーブルを含め、抽選テーブルを用いた抽選では、読み出した乱数に対して抽選テーブルに記憶された抽選値をあらかじめ定められた順序に従って順次加算(対象となる抽選値が一つである場合には、一回加算)され、キャリー(桁あふれ)が発生した抽選値に対応する結果が当該抽選の結果として導出される。同様に、抽選テーブルに関する説明では、説明の便宜上、抽選テーブルに名前を付しているが、名前に対応する抽選テーブルに含まれる抽選値等のデータが各ROMに識別可能に記憶されていればよく、これらの名前は、当該データが記憶される領域を特定するものではない。同様に、以降で図示される抽選テーブルには、説明の便宜上記載された項目や、抽選値として「-」や「0」が記載されている場合があるが、これらは必ずしも各ROMに記憶されたデータを示すものではない。抽選に使用される乱数範囲(当該範囲で取得され得る乱数の数)と同一の抽選値が抽選テーブルに記載されている場合には、当該結果が100%導出されるため、必ずしも抽選を行う必要はない。また、一回の抽選に用いられる抽選値の合計値が、抽選に使用される乱数範囲と一致した場合には、最後の抽選値の加算で必ずキャリーが発生するため、当該加算を行わなくてよく、その場合には、当該加算に用いられる抽選値自体も不要となる。
【0082】
特図当否判定手段131は、特図当否判定用の乱数を読み出し、読み出した乱数と現在の設定値に対応する特図当否判定用の抽選テーブルを用いて大当り、小当り、はずれのいずれに該当するかを抽選によって決定する。
図8(a)は、特
図1当否判定用の抽選テーブルを示したものであり、当該抽選で用いられる乱数の範囲は、0~65535である。そのため、特
図1において特図抽選状態が低確率の場合(以下、「特図低確」と略称する場合がある)には、200/65536の確率で大当り、300/65536の確率で小当り、残りの65036/65536の確率ではずれとなり、特
図1において特図抽選状態が高確率の場合(以下、「特図高確」と略称する場合がある)には、500/65536の確率で大当り、300/65536の確率で小当り、残りの64736/65536の確率ではずれとなる。
【0083】
図8(b)は、特
図2当否判定用の抽選テーブルを示したものであり、当該抽選で用いられる乱数の範囲は、特
図1当否判定の場合と同様に、0~65535である。そのため、特
図2の特図低確では、200/65536の確率で大当り、残りの65336/65536の確率ではずれとなり、特
図2の特図高確では、500/65536の確率で大当り、残りの65036/65536の確率ではずれとなる。特
図2の当否判定では、特
図1の当否判定とは異なり、小当りは導出されない。
【0084】
このように、特図高確は、特図低確よりも大当りが導出される確率が高く、特図低確よりも有利度が高い状態であると言える。また、本実施形態における特
図2当否判定では、小当りが導出されないようになっている。
【0085】
特図停止図柄抽選手段132は、特図当否判定手段131によって大当りが導出された場合に、特図停止図柄抽選用の乱数を読み出し、読み出した乱数と特図停止図柄抽選用の抽選テーブルを用いて特図の停止図柄を抽選によって決定する。
図8(c)は、特
図1停止図柄抽選用の抽選テーブルを示したものであり、当該抽選で用いられる乱数の範囲は、0~99である。そのため、特
図1では、大当りが導出された際に、50/100の確率で図柄A、50/100の確率で図柄Bが停止図柄として決定される。
ここで、図柄Aは、ラウンド数(R数)が9であり、大当り遊技終了後に特図高確且つ普図高確となり得る図柄(以下、「確変図柄」と称する場合があり、当該図柄に係る大当りを「確変大当り」と称する場合がある)である。上述したとおり、本実施形態では、V入賞(遊技球のV入賞領域の通過)が検知センサにより検知されることを条件として大当り遊技終了後に特図高確とされるため、確変大当りに係る大当り遊技には、V入賞ラウンド(本実施形態では9ラウンド目)が設けられている。
一方、図柄Bは、ラウンド数(R数)が8であり、大当り遊技終了後に特図低確且つ普図高確となる図柄(以下、「通常図柄」と称する場合があり、当該図柄に係る大当りを「通常大当り」と称する場合がある)である。通常大当りに係る大当り遊技にはV入賞ラウンドは設けられていない。
このように、図柄Aは、ラウンド数及びその後の特図抽選状態の双方において、図柄Bよりも有利な図柄である。
【0086】
図8(d)は、特
図2停止図柄抽選用の抽選テーブルを示したものであり、当該抽選で用いられる乱数の範囲は、特
図1停止図柄抽選と同様に、0~99である。そのため、特
図2では、大当りが導出された際に、65/100の確率で図柄a、35/100の確率で図柄bとなる。
ここで、図柄aは、ラウンド数(R数)が16であり、大当り遊技終了後に特図高確且つ普図高確となり得る確変図柄である。図柄aが決定された場合の確変大当りに係る大当り遊技においても9ラウンド目がV入賞ラウンドとされる。
一方で、図柄bは、ラウンド数(R数)が8であり、大当り遊技終了後に特図低確且つ普図高確となる通常図柄である。図柄bが決定された場合の通常大当りに係る大当り遊技にはV入賞ラウンドは設けられていない。
このように、図柄bよりも図柄aの方が有利度が高いと言える。
【0087】
また、特図停止図柄抽選手段132は、特図当否判定手段によって大当りが導出されなかった場合には、特
図1の小当り時は図柄C、特
図1のはずれ時は図柄D、特
図2のはずれ時は図柄cを停止図柄として一律に決定する。
【0088】
特図変動パターン導出手段133は、特図変動パターン(変動時間)を決定する際に参照する特図変動パターン抽選テーブルを複数種類備え、現在の特図変動パターン導出状態(詳細は後述)と今回の特図当否判定手段131の抽選結果とに基づいて、今回の特図変動パターンを決定するための一つの特図変動パターン抽選テーブルを選択し、選択した特図変動パターン抽選テーブルと特図変動パターン抽選用の乱数とを用いて一つの特図変動パターンを決定する。
特図変動パターン導出手段133は、決定された特図変動パターンを含む演出制御コマンド(変動開始コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。
【0089】
普図抽選手段135は、特図抽選手段130と同様に、普図の図柄変動中でない場合に、メイン情報記憶手段160に保留されている作動保留情報のうちの最先の作動保留情報を読み出し、読み出した乱数を用いて、普図の当否を判定する普図当否判定を実行し、普図当否判定の結果及び現在の普図抽選状態に基づいて普図の停止図柄を決定し、かつ現在の普図抽選状態に基づいて普図の変動パターン(変動時間)を決定する。
より具体的には、普図当否判定では、普図抽選状態が高確率の状態(「普図高確」と略称する場合がある)と、普図抽選状態が低確率の状態(「普図低確」と略称する場合がある)とがある。抽選テーブルの図示は省略するが、本実施形態では、普図高確では、65535/65536の確率で普図当りとなり、残りの1/65536の確率ではずれとなる一方、普図低確では、1/65536の確率で普図当りとなり、残りの65535/65536の確率ではずれとなる。なお、普図低確では、普図当りとならない(65536/65536ではずれとなる)ようにしてもよい。
【0090】
普図停止図柄抽選では、特図停止図柄抽選と同様に、普通電動役物61の開放状態となるパターンが異なる複数種類の停止図柄から、普図停止図柄抽選用の抽選テーブル(図示省略)を用いた抽選によって一つの停止図柄が決定される。なお、普図当否判定ではずれとなった場合には、特
図1及び2と同様に、停止図柄が一律に決定される。
また、普図変動パターン抽選では、特図変動パターン抽選と同様に、複数種類の普図変動パターンから、普図変動パターン抽選用の抽選テーブル(図示省略)を用いた抽選によって一つの普図変動パターンが決定される。
このように、普図高確は、普図低確よりも普図当りが導出される確率が高く、普図低確よりも有利度が高い状態であると言える。
【0091】
大当り遊技制御手段140は、大当りに当選した図柄変動の終了後に大当り遊技を開始させると共に、当該大当りに係る特図の停止図柄に応じて、大当り開始デモに係るデモ時間、及び大当り終了デモに係るデモ時間を決定する。
また、大当り遊技制御手段140は、大当り遊技開始時には、大当り開始デモに係るデモ時間を含む演出制御コマンド(大当り開始コマンド)を生成し、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させ、大当り終了時には、大当り終了デモに係るデモ時間を含む演出制御コマンド(大当り終了コマンド)を生成し、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。
また、大当り遊技制御手段140は、特図当否抽選の結果が小当りの場合も同様に、小当り開始デモに係る時間、及び小当り終了デモに係るデモ時間を決定し、小当り開始時には、小当り開始デモに係るデモ時間を含む演出制御コマンド(小当り開始コマンド)を生成し、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させ、小当り終了時には、小当り終了デモに係るデモ時間を含む演出制御コマンド(小当り終了コマンド)を生成し、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。
【0092】
図柄表示制御手段145は、特
図1の特図変動パターンに基づく変動時間に従って、特
図1を第1特別図柄表示装置91に変動表示させるとともに、変動時間の経過後に特図停止図柄抽選によって決定された停止図柄で特
図1を停止表示させる。同様に、第2特別図柄の特図変動パターンに基づく変動時間に従って、特
図2を第2特別図柄表示装置92に変動表示させるとともに、変動時間の経過後に特図停止図柄抽選によって決定された停止図柄で特
図2を停止表示させる。
なお、図柄表示制御手段145は、特
図1及び特
図2の表示に係る時間(変動時間、停止表示時間)を管理するための特図遊技タイマを有し、特図を停止表示させる際に(特図遊技タイマの値が「0」となるタイミングで)、装飾図柄の確定停止(確定表示)を要求するための演出制御コマンド(変動停止コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に格納する。
【0093】
また、図柄表示制御手段145は、普図の普図変動パターンに基づく変動時間に従って、普図を普通図柄表示装置93に変動表示させるとともに、変動時間の経過後に普図の停止図柄で普図を停止表示させる。
なお、図柄表示制御手段145は、普図の表示に係る時間(変動時間、停止表示時間)を管理するための普図遊技タイマを有する。
【0094】
電動役物制御手段150は、大当り遊技が開始された後に、特別電動役物ソレノイド66に制御信号を出力し、特別電動役物65を特図の停止図柄に対応する開放パターンに従って開放させる。大当り遊技は、特別電動役物65の1回の開閉動作を1回のラウンド遊技とし、当該ラウンド遊技を規定ラウンド数(本例では、16R、9R、8R)だけ連続して実行する遊技状態である。本実施形態では、V入賞ラウンド(本実施形態では9ラウンド目)において特別電動役物65が開放状態とされて大入賞口55内のV入賞領域を遊技球が通過したことが検知されると、その大当り遊技終了後に特図高確とされる。
また、電動役物制御手段150は、小当り遊技が開始された後に、特別電動役物ソレノイド66に制御信号を出力し、特別電動役物65を短期間(0.05秒)だけ開放させる。
【0095】
更に、電動役物制御手段150は、普図当否抽選において普図当りに当選した場合の普図当り遊技において、普通電動役物ソレノイド62に制御信号を出力して、普通電動役物61を停止された普図の停止図柄に対応する開放パターンに従って開放させる。
【0096】
遊技状態制御手段155は、特図抽選状態を制御する。具体的には、遊技状態制御手段155は、上述の通り、大当り遊技の開始時に、大当りに係る図柄に関わらず、特図低確とし、通常大当りに係る大当り遊技の終了時には特図低確を維持し、確変大当りに係る大当り遊技におけるV入賞を条件にその大当り遊技の終了時に規定回数(本実施形態では100回)の図柄変動が行われるまで特図高確とし、その規定回数の図柄変動(本実施形態では100回目の図柄変動)の終了時に特図低確とする。
但し、特図高確から特図低確に遷移する条件は、本実施形態のような図柄変動の回数に制限されることはなく、転落当否抽選の結果など他の条件とされてもよい。
また、確変大当りに係る大当り遊技終了時に特図高確とする条件は、V入賞に制限されることはなく、特図の停止図柄の種別のみとされてもよい。
【0097】
加えて、遊技状態制御手段155は、普図抽選状態を制御する。具体的には、遊技状態制御手段155は、大当り遊技の開始時に大当りに係る図柄に関わらず普図低確とし、通常大当りに係る大当り遊技の終了時に規定回数(本実施形態では100回)の図柄変動が行われるまで普図高確とし、その規定回数の図柄変動(本実施形態では100回目の図柄変動)の終了時に普図低確とし、確変大当りに係る大当り遊技におけるV入賞を条件にその大当りの終了時に規定回数(本実施形態では100回)の図柄変動が行われるまで普図高確とし、その規定回数の図柄変動(本実施形態では100回目の図柄変動)の終了時に普図低確とする。
【0098】
ここで、本実施形態では、上述したとおり、第2流路Yから遊技球が転動した場合に、第2始動口59及び大入賞口55に入賞し易いため、普図高確の状態及び大当り遊技中では、左打ちよりも右打ちのほうが有利な操作といえる。
以降、左打ちよりも右打ちのほうが有利な当該所定の状態を右打ち推奨状態と表記する。なお、右打ち推奨状態は、大当り遊技中及び普図高確状態に限定されず、普図低確状態で小当りによる特別電動役物の開放時における大入賞口への入賞により出球が増えるいわゆる小当りラッシュ状態等、他の状態を含んでもよい。
【0099】
更に、遊技状態制御手段155は、上述の特図変動パターン導出状態を制御する。具体的には、特図変動パターン導出状態を大別すると、特図低確且つ普図低確に対応する特図変動パターン導出状態A、特図低確且つ普図高確に対応する特図変動パターン導出状態B、及び特図高確且つ普図高確に対応する特図変動パターン導出状態Cがあり、大当り遊技中を除いて特図抽選状態及び普図抽選状態に応じた特図変動パターン導出状態が設定される。
【0100】
また、遊技状態制御手段155は、特図抽選状態、普図抽選状態、及び特図変動パターン導出状態の更新が発生した場合に、更新後の各状態を含む演出制御コマンド(遊技状態指定コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。
【0101】
メイン情報記憶手段160は、上述の通り、各手段によって読み出されたデータや、各手段による演算等によって導出されたデータ等を各々に対応する格納領域に一時的に記憶する手段である。
【0102】
メインエラー制御手段165は、I/Oポート104の入力情報を監視し、遊技機10がエラー状態であるか否かを判定する。エラー状態であると判定された場合には、当該エラー情報を含むエラーコマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に格納する。
本実施形態において、メインエラー制御手段165によって判定されるエラー状態には、例えば、磁気検知センサ(図示せず)による磁気検知に基づく磁気エラー、ゲートセンサ74による遊技球の検知に基づく右打ちエラー、満タン検知センサ(図示せず)による遊技球の検知に基づく満タンエラーなどがある。
例えば、磁気エラーは、磁気検知センサによる磁気検知が500ms連続で発生した場合に発生するエラー状態である。右打ちエラーは、特図低確且つ普図低確の状態でゲートセンサ74が遊技球を所定回数(例えば3回)検知した場合(当該検知回数は、最後の検知から1000ms経過でリセットされる)に発生するエラー状態であり、満タンエラーは、満タン検知センサによって遊技球が検知されている場合に発生するエラー状態である。
【0103】
メインエラー制御手段165は、判定されるエラー状態のうち、磁気エラーのような重要度が高いエラー状態が発生した場合には、セキュリティ信号をONにする処理に加え、払出制御基板400に遊技球の発射を規制させる等、エラーコマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に格納する以外の処理も実行可能である。
ここで、セキュリティ信号とは、遊技機10外の機器(データ表示機やホールコンピュータ)に向けて遊技機10に設けられた外部端子盤(図示省略)から出力される信号の一種である。
一方、メインエラー制御手段165は、判定されるエラー状態のうち、右打ちエラーや満タンエラー等のような相対的に重要度が低いエラー状態が発生した場合には、遊技球の発射を規制せず、遊技の進行が可能な状態を維持することが可能である。
詳細は後述するが、エラーコマンドを受信した第1副制御基板200又は第2副制御基板300では、エラー状態の発生を報知するエラー報知演出が実行される。
メインエラー制御手段165によって判定されるエラー状態は、上述の例に限定されず、中枠17が開放状態となったこと(中枠開扉センサ76がON)や前枠20が開放状態となったことで発生するいわゆる扉開放エラーや、大当り遊技中の大入賞口55が閉鎖状態となってから所定の時間が経過した以降に大入賞口センサ72によって遊技球が検知された場合に発生する異常入賞エラー等、他のエラー状態も判定可能である。
【0104】
なお、上述したメインエラー制御手段165によって判定される各種エラー状態は、遊技可能状態において検知され得るものであり、検査可能状態においては検知されなくてもよい。検査可能状態では遊技が実行不能であるため、エラー状態を報知する必要性が低いからである。
ただし、本実施形態では、相対的に重要度が高い磁気エラーに限って、検査可能状態においても検知可能であるものとして以下説明する。
【0105】
メインコマンド管理手段170は、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に制御コマンドが記憶されている場合に、記憶されているコマンドを第1副制御基板200に向けて送信する。
なお、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に格納される各制御コマンドは、原則として、その送信コマンド格納領域に記憶された順番に従って送信される。
本明細書では、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域にコマンドを格納させることを含めて、当該コマンドを第1副制御基板200へ送信すると表記する場合がある。
【0106】
電断処理実行手段175は、電源制御基板500からの電断信号を受信したことに基づいて電断処理を実行する。
具体的には、RAM103のうちの遊技に係る領域に対しては、当該領域のチェックサムを導出し、当該チェックサムの補数をRAM103の遊技に係るバックアップ情報領域に記憶させる処理、及び当該領域に対する電断処理が実行されたことを示すバックアップフラグをONにする(RAM103の遊技に係るバックアップ情報領域にバックアップフラグを記憶させる)処理を実行する。
【0107】
復電処理実行手段180は、電源投入(復電)に伴って、復電復帰処理を実行する。復電復帰処理の詳細について
図9を用いて説明する。ここで、
図9は、復電復帰処理の処理フローを示すフローチャートである。
【0108】
ステップS1001において、復電処理実行手段180は、RAM103の遊技に係る領域に対してRAM異常に係る判定をする。具体的には、復電処理実行手段180は、RAM103の遊技に係るバックアップ情報領域にバックアップフラグが記憶されているか否か(バックアップフラグがONであるか否か)が判定され、当該バックアップフラグが記憶されている場合(当該バックアップフラグがONである場合)には、当該遊技に係る領域のチェックサムが導出され、そのチェックサムの補数とその領域に係るバックアップ情報領域に記憶されているチェックサムの補数とが一致しているか否かを判定し、一致していれば、当該チェック結果が正常と判定し、一致しない場合には異常と判定する。
ステップS1001の判定が肯定されるとき、ステップS1005に進み、ステップS1001の判定が否定されるとき、ステップS1002に進む。
【0109】
ステップS1002において、復電処理実行手段180は、電源投入時に電源制御基板500からの初期化信号が入力されたか否かを判定する。
ステップS1002の判定が肯定されるとき、ステップS1005に進み、ステップS1002の判定が否定されるとき、ステップS1003に進む。
【0110】
ステップS1003において、復電処理実行手段180は、バックアップされていたRAM103の遊技に係る領域の各種情報を用いて遊技可能状態を設定する。遊技可能状態の設定とは、具体的には、RAM103の遊技に係る領域に格納されている電断時における状態を示す情報(特図抽選状態、普図抽選状態、大当り遊技中であるか否か、特
図1及び特
図2の停止図柄、図柄変動の保留情報、大当り遊技におけるラウンド遊技の回数等)に基づいて、主制御基板100の状態を電断時の状態に復旧させる処理である。なお、復電処理実行手段180によって遊技可能状態が設定されるとき、各入賞口に設けられたセンサの検知が有効となり、当該センサの検知に応じて賞球が付与されるようになる。
【0111】
ステップS1004において、復電処理実行手段180は復旧中報知処理を実行し、ステップS1005に進む。このとき、復電処理実行手段180は、復旧中コマンドを生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。なお、復旧中コマンドには、ステップS1003で説明した各種情報が含まれる。
ステップ1004の処理を終えると、復電復帰処理は終了となる。
【0112】
ステップS1005において、復電処理実行手段180は、RAM103の遊技に係る領域及びバックアップ情報領域の情報を初期化する処理(いわゆるRAMクリア処理)を実行し、ステップS1006に進む。この初期化により、電断時にバックアップされていたRAM103の遊技に係る領域及びバックアップ情報領域の情報がクリアされ、初期値が設定されることになる。これにより、電断直前における主制御基板100の各種状態が初期化される。
【0113】
ステップS1006において、復電処理実行手段180は、電源投入時に電源制御基板500からの初期化信号が入力されたか否かを判定する。
なお、ステップS1006の判定は、ステップS1002の判定と同じである。すなわち、ステップS1006の判定は、RAM103が異常であるとき(ステップS1001の判定が肯定されるとき)に、否定され得るものである。一方、ステップS1006の判定は、RAM103が正常であって(ステップS1001の判定が否定されるとき)且つ電源投入時に初期化信号が入力されたとき(ステップS1002の判定が肯定されるとき)には、肯定される。
ステップS1006の判定が肯定されるとき、ステップS1007に進み、ステップS1006の判定が否定されるとき、ステップS1011に進む。
【0114】
ステップS1007において、復電処理実行手段180は、検査可能状態を設定し、ステップS1008に進む。検査可能状態の設定とは、具体的には、検査可能状態において検査対象となる各遊技デバイスに関する検査を開始可能とする処理である。なお、復電処理実行手段180によって検査可能状態が設定されるとき、電源投入してから当該処理が行われるまで有効となる機会がないので、各入賞口に設けられたセンサの検知は無効とされており、当該センサの検知に応じて賞球が付与されない。
【0115】
従って、遊技機10は、検査可能状態において遊技球が入球しても賞球が得られない入賞口が存在する、ものと言える。
【0116】
なお、本実施形態において、検査可能状態における検査対象となり得る遊技デバイスは、普通電動役物ソレノイド62、特別電動役物ソレノイド66、及び図柄表示装置90である。これらの遊技デバイスに係る検査の詳細については、後述する。
【0117】
ステップS1008において、復電処理実行手段180は、検査中報知処理を実行し、ステップS1009に進む。このとき、復電処理実行手段180は、検査開始コマンドを生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。
【0118】
ステップS1009において、復電処理実行手段180は、RAMクリアスイッチ43の操作が有効であるか否かを判定する。具体的には、復電処理実行手段180は、電源投入時にRAMクリアスイッチ43が操作された(RAMクリアスイッチ43がONとなった)後にRAMクリアスイッチ43の操作が解除された(RAMクリアスイッチ43がOFFになった)場合には、RAMクリアスイッチ43の操作が有効になったものと判定する。また、復電処理実行手段180は、電源投入時に操作されたRAMクリアスイッチ43が操作されたままである(RAMクリアスイッチ43がONであることが維持されている)場合には、RAMクリアスイッチ43の操作が有効ではないものと判定する。本実施形態では、ステップS1009の判定を行うことにより、RAMクリア処理の実行の為に行われたRAMクリアスイッチ43の操作が、当該RAMクリア処理の後に設定される検査可能状態の終了条件になること(ホール店員等の意図に反して検査可能状態が解除されること)を防いでいる。
ステップS1009の判定が否定されるとき、再びステップS1009の判定が行われ、ステップS1009の判定が肯定されるとき、ステップS1010に進む。
【0119】
なお、本実施形態では、電源投入時にRAMクリアスイッチ43が操作された後にRAMクリアスイッチ43の操作が解除されたことを持って、ステップS1009の判定が肯定されることを例示したが、上記の目的を達成する範囲において、その条件は変更されてもよい。
例えば、上記の条件に代えて又は加えて、RAMクリアスイッチ43の操作を伴う電源投入をしてから所定時間を経過するまで、RAMクリアスイッチ43の操作を有効としないものとしてもよい(ただし、この条件において、RAMクリア処理を実行するためには、その契機となる電源投入時のRAMクリアスイッチ43の操作自体は有効に受け付ける必要がある)。この変形例における所定時間は、少なくとも電源投入してから検査中報知が開始されるまでの時間を超えることが好ましい。検査可能状態を終了させるためのRAMクリアスイッチ43の操作は、検査中報知をする前に行われるとは考えがたいからである。
【0120】
ステップS1010において、復電処理実行手段180は、復電処理実行手段180は、RAMクリアスイッチ43が操作されているか否かを判定する。
ステップS1010の判定が否定されるとき、再びステップS1009の判定が行われ、ステップS1010の判定が肯定されるとき、ステップS1011に進む。
【0121】
ステップS1011において、復電処理実行手段180は、初期化されたRAM103の遊技に係る領域の各種情報を用いて遊技可能状態を設定し、ステップS1012に進む。このとき、主制御基板100は、例えば、特図抽選状態が特図低確とされ、普図抽選状態が普図低確とされ、特図変動パターン導出状態が特図低確且つ普図低確に対応する特図変動パターン導出状態Aとされる。なお、ステップS1011において遊技可能状態が設定されるとき、各入賞口に設けられたセンサの検知が有効となり、当該センサの検知に応じて賞球が付与されるようになる点については、ステップS1003と同様である。
【0122】
ステップS1012において、復電処理実行手段180は、初期化報知処理を実行する。このとき、復電処理実行手段180は、初期化コマンドを生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。なお、初期化コマンドには、ステップS1011で設定された各状態に関する情報が含まれる。
ステップ1012の処理を終えると、復電復帰処理は終了となる。
【0123】
図9に図示したフローチャートに従って処理されることを前提とすると、RAMクリア処理を伴う電源投入後において、検査可能状態が設定されている期間と遊技可能状態が設定されている期間とは重複することがない。
しかしながら、このような実施形態は一具体例に過ぎず、本発明の実施において、RAMクリア処理を伴う電源投入後において、少なくとも検査可能状態が開始された以後に遊技可能状態が設定可能であれば、双方の状態が設定されている期間が重複する実施形態及び双方の状態が同時に設定される実施態様も許容される。
【0124】
従って、遊技機10は、遊技可能状態及び検査可能状態を設定する状態管理手段(復電処理実行手段180)を備え、検査可能状態は、複数の遊技デバイスのうち第一の遊技デバイス(普通電動役物ソレノイド62、特別電動役物ソレノイド66、及び図柄表示装置90)について検査が可能であり、RAMクリア処理を伴う電源投入後に(ステップS1007の処理で)設定可能となる状態であり、遊技可能状態は、検査可能状態が開始された以後に(ステップS1011の処理で)設定される状態である、ものと言える。
更に、遊技機10(復電処理実行手段180)は、RAMクリア処理を伴わない電源投入後に(ステップS1003の処理で)、検査可能状態を経ずに遊技可能状態を設定可能である、ものと言える。
【0125】
また、遊技機10は、所定の操作手段(RAMクリアスイッチ43)を備え、検査可能状態を開始した以後に遊技可能状態を設定する条件(ステップS1010の判定が肯定される条件)には、所定の操作手段に対する操作が含まれる、ものと言える。
なお、ここで所定の操作手段とは、本実施形態のようにRAMクリアスイッチ43に限られないが、好ましくは状態管理手段(主制御基板100)の制御下にある操作手段であることが望ましい。
【0126】
第1副制御基板200は、
図7に示すように、サブ乱数発生手段210、通常演出制御手段220、サブエラー制御手段230、音声制御手段235、ランプ制御手段240、可動役物制御手段245、復電処理実行手段260、サブ情報記憶手段270、及びサブコマンド管理手段275を備えており、これらの手段は、
図5を用いて説明した第1副制御基板200上の各制御構成によって実現されるものを機能的に表したものである。
【0127】
サブ情報記憶手段270は、第1副制御基板200が備える手段によって読み出されたデータや、当該手段における演算によって導出されたデータ等を各々に対応する格納領域に一時的に記憶する手段である。
【0128】
サブコマンド管理手段275は、主制御基板100から送信された各種コマンド(演出制御コマンドや復電復帰コマンド等)を受信し、受信したコマンドをサブ情報記憶手段270の受信コマンド格納領域に記憶させ、サブ情報記憶手段270の送信コマンド格納領域に各種コマンド(画像制御コマンドや音声制御コマンド等)が記憶されている場合には、それらコマンドを第2副制御基板300に向けて送信する。なお、各コマンドは、原則として、サブ情報記憶手段270の送信コマンド格納領域に記憶された順番に従って送信される。
本明細書において、主制御基板100から送信された各種コマンドが、サブコマンド管理手段275によって受信され、サブ情報記憶手段270の受信コマンド格納領域に記憶されることまで含めて、コマンドの受信と表記する場合がある。また、第1副制御基板200の各種手段がサブ情報記憶手段270の送信コマンド格納領域に各種コマンドを格納させて、サブコマンド管理手段275によってそれらコマンドが第2副制御基板300に向けて送信されることまで含めて、コマンドを第2副制御基板300へ送信すると表記する場合がある。
【0129】
サブ乱数発生手段210は、CPU201によってプログラム処理で更新される乱数(ソフトウェア乱数)を生成可能であり、通常演出制御手段220による各抽選(詳細は後述)が実行されるタイミングで乱数を取得する。
【0130】
通常演出制御手段220は、演出モード制御手段221、演出ルート決定手段222、サブ保留制御手段223、先読み演出制御手段224、演出内容決定手段225、装飾図柄制御手段226、及び大当り演出制御手段227を備える。
【0131】
演出モード制御手段221は、遊技状態指定コマンド(演出制御コマンド)が送信された場合に、主制御基板100側で管理された特図変動パターン導出状態との整合性をとるかたちで、演出モードの遷移を制御する。
本実施形態における演出モードには、通常モード、低確時短モード及び確変モードが含まれ、特図変動パターン導出状態Aには通常モード、特図変動パターン導出状態Bには低確時短モード、特図変動パターン導出状態Cには確変モードが対応付けられる。
【0132】
演出ルート決定手段222は、事前判定コマンド(演出制御コマンド)が送信された場合に、当該コマンドに含まれる事前判定の結果(例えば特図変動パターン)や上述の演出モード等に基づいて、今回保留された図柄変動に対応する演出ルートを決定(設定)する。なお、演出ルート決定手段222は、事前判定コマンドが送信された場合であっても、その事前判定コマンドに含まれる特図変動パターン等によっては演出ルートを決定しない場合があってもよい。この場合には、図柄変動の開始時に、変動開始コマンドに含まれる特図変動パターンに基づいて演出ルートが決定されればよい。
ここで、演出ルートとは、図柄変動の開始から終了までの演出であって、当該図柄変動における特図当否判定の結果を報知する演出の過程を規定するものであり、当該図柄変動で実行される演出の内容は、後述する演出内容決定手段225によって当該図柄変動に対応する演出ルートに従って決定されることとなる。
【0133】
サブ保留制御手段223は、保留コマンド(演出制御コマンド)の受信があった場合に、当該コマンドに含まれる特
図1保留カウンタと特
図2保留カウンタの情報に基づいて、演出表示装置80の保留表示領域(図示省略)に、特
図1保留カウンタに対応する数の保留画像と、特
図2保留カウンタに対応する数の保留画像とを表示させるための演出データを設定する。
なお、保留画像とは、大当り遊技の期待度等の有利度を示唆する種々の態様に変化する保留先読み演出の対象となる画像である。
【0134】
先読み演出制御手段224は、事前判定コマンドが送信された場合に、当該コマンドに含まれる事前判定の結果に基づいて先読み演出の内容を決定する。
先読み演出とは、先読み対象の図柄変動が開始される前の一又は複数回の図柄変動に亘って、先読み対象の図柄変動における特図当否判定の結果に対する期待度や、先読み対象の図柄変動において実行される演出の内容を示唆する演出である。
【0135】
演出内容決定手段225は、変動開始コマンド(演出制御コマンド)が送信された場合に、演出ルート決定手段222によって既に決定された演出ルートに従って今回の図柄変動において実行する演出の内容を決定する。
より具体的には、演出内容決定手段225は、図柄変動における演出タイミングごとの演出の内容(演出パターン)を演出ルート決定手段222によって決定された演出ルートに対応する演出パターン抽選テーブルを用いた抽選等によって決定する。このようにすることで、決定された演出ルートに係る(に従って実行される)演出の内容を変えることができるとともに、一つの図柄変動における演出に繋がりを持たせることができる。また、同一の演出ルートが決定された場合であっても、実行される演出を多彩にすることもできる。
【0136】
装飾図柄制御手段226は、変動開始コマンド(演出制御コマンド)が送信された場合に、決定された特図の停止図柄に基づいて、装飾図柄の最終的な停止図柄の組合せ(左図柄・中図柄・右図柄)を決定する。具体的には、図柄Aと図柄aには、奇数図柄揃い(例えば、「1図柄」-「1図柄」-「1図柄」)を対応させ、図柄Bと図柄aには、偶数図柄揃い(例えば、「2図柄」-「2図柄」-「2図柄」)を対応させ、図柄Cと図柄Dと図柄cにはバラケ目(いずれの図柄揃いもない図柄の組合せ)を対応させている。
なお、本実施形態における装飾図柄については上述したとおりである。また、停止させる装飾図柄の組合せを特図の停止図柄に対応させるにあたっては、必ずしも上述の対応関係とする必要はなく、例えば、図柄Aに偶数図柄揃いを対応させる等、上述の対応関係に対して停止させる装飾図柄の組合せの期待度が高くならない組合せであれば、一部の場合(上述の対応関係となる割合よりも低い割合)で上述の対応関係とは異なる装飾図柄の組合せを採用してもよく、このような場合であっても、停止させる装飾図柄の組合せが特図の停止図柄と対応していると言える。
【0137】
大当り演出制御手段227は、大当り開始コマンド(演出制御コマンド)が送信された場合に、当該コマンドに含まれる情報等に基づいて、大当り遊技中であることを報知する大当り演出の内容を決定する。なお、大当り演出には、大当り遊技の開始を報知する開始デモ演出、ラウンド遊技中であることを報知するラウンド演出、及び大当り遊技の終了を報知する終了デモ演出が存在する。
【0138】
通常演出制御手段220は、第1副制御基板200が備える上述の手段によって決定された演出内容に従って、各演出の実行タイミングで当該演出に対応する各デバイスの演出データを読み出す。
読み出された演出データに画像に係る演出データが含まれる場合には、その演出データに基づいて画像制御コマンドが生成され、その画像制御コマンドがサブ情報記憶手段270の送信コマンド格納領域に格納される。また、読み出された演出データに音声に係る演出データが含まれる場合には、後述する音声制御手段235により、その演出データに基づいて音声制御コマンドが生成され、その音声制御コマンドがサブ情報記憶手段270の送信コマンド格納領域に格納される。
【0139】
サブエラー制御手段230は、エラーコマンドを受信した場合に、エラー報知演出を実行するためのエラー報知用演出データを読み出す。例えば、右打ちエラーに係るエラーコマンドを受信した場合に読み出されるエラー報知用演出データには、「左打ちに戻してください」との文字画像に係る演出データ及び「左打ちに戻してください」との音声に係る演出データが含まれ、それら演出データに基づいて画像制御コマンド及び音声制御コマンドが生成され、当該コマンドがサブ情報記憶手段270の送信コマンド格納領域に格納される。
本実施形態では、メインエラー制御手段165によってすべてのエラー状態の判定が行われるが、セキュリティ信号の出力を伴う重要度が高いエラー状態以外のエラー状態(例えば、右打ちエラー等)については、サブエラー制御手段230が判定するようにしてもよい。この場合、サブエラー制御手段230は、当該エラー状態の判定に係るセンサの状態を含むコマンドを主制御基板100から受信するようにすればよい。
【0140】
音声制御手段235は、読み出された演出データに音声に係る演出データがある場合には、当該演出データに基づいて音声制御コマンドを生成し、その音声制御コマンドをサブ情報記憶手段270の送信コマンド格納領域に格納させる。
【0141】
ランプ制御手段240は、上部可動体内ランプ24a、左右可動体内ランプ24b、盤面装飾ランプ30、及び、演出ランプ35の点灯を制御するためのランプ制御データを保持しており、通常演出制御手段220によって読み出された演出データに上部可動体内ランプ24a、左右可動体内ランプ24b、盤面装飾ランプ30、及び、演出ランプ35に対応する演出データ(以降、ランプ制御データと表記され得る)がある場合には、当該ランプ演出データに基づいてランプ制御データを読み出し、読み出したランプ制御データを対応するランプへ送信する。
ランプ制御手段240は、読み出された演出データが、RAMクリア時復電復帰処理に伴う動作確認処理のデータである場合には、予め決められた点灯パターンで各ランプの点灯制御を行うよう、各ランプへランプ制御データを送信する。なお、予め決められた点灯パターンについては、後述することとする。
【0142】
可動役物制御手段245は、上部可動体22a、及び、左右可動体22bの可動を制御するための可動制御データを保持しており、通常演出制御手段220によって読み出された演出データに可動体22に対応する演出データがある場合には、当該演出データに基づいて可動制御データを読み出し、読み出した可動制御データを上部可動体22a、及び、左右可動体22bの各コントローラへ送信する。
可動役物制御手段245は、読み出された演出データが、RAMクリア時復電復帰処理に伴う動作確認処理のデータである場合には、予め決められた可動パターンで各可動体の可動制御を行うよう、各可動体へ可動制御データを送信する。なお、予め決められた可動パターンについては、後述することとする。
【0143】
復電処理実行手段260は、復電処理実行手段180によって実行される復電復帰処理において送信される各種制御コマンドに基づいて、各遊技デバイスを用いて以下のような報知を行う。
なお、復電処理実行手段260による報知の説明には
図10を用いる。
図10は、復電処理実行手段260によって実行される各報知に対応する演出表示装置80の表示態様を示す図である。
【0144】
復電処理実行手段260は、検査開始コマンド(ステップS1008の処理で主制御基板100から送信される制御コマンド)に応じて、検査中報知を実行する。
検査中報知の報知態様は、動作検査中であることを表す文字情報と、再度のRAMクリアスイッチ43の操作によって遊技可能となることを表す文字情報と、を演出表示装置80に表示し(
図10(a)参照)、動作検査中であることを表す音声がスピーカ33によってリピート再生され、当該報知に対応する点灯パターン(例えば、赤色に点灯)で演出ランプ35を点灯させるものである。
【0145】
復電処理実行手段260は、復旧中コマンド(ステップS1004の処理で主制御基板100から送信される制御コマンド)に応じて、復旧中報知を実行する。
復旧中報知の報知態様は、復旧中であることを表す文字情報を演出表示装置80に表示し(
図10(b)参照)、復旧中であることを表す音声がスピーカ33によって繰り返し再生され、当該報知に対応する点灯パターン(例えば、白色に点灯)で演出ランプ35を点灯させるものである。
なお、復旧中コマンドに応じて実行される復旧中報知は、当該復旧中コマンドに含まれる情報が電断直前の状態が大当り遊技中であったことを示す場合には、大当り遊技に復旧する旨を示す報知態様のものに代えられてもよい。
【0146】
復電処理実行手段260は、初期化コマンド(ステップS1012の処理で主制御基板100から送信される制御コマンド)に応じて、初期化報知を実行する。
初期化報知の報知態様は、初期化されたことを表す文字情報を演出表示装置80に表示し(
図10(c)参照)、初期化されたことを表す音声がスピーカ33によって繰り返し再生され、当該報知に対応する点灯パターン(例えば、青色→赤色→黄色→白色(青色と赤色と黄色の混色)の順に点灯)で演出ランプ35を点灯させるものである。
【0147】
従って、遊技機10は、検査可能状態の滞在期間において第一報知(検査中報知)を実行するものと言える。また、遊技機10は、検査可能状態が開始された以後に遊技可能状態を設定するとき第二報知(初期化報知)を実行するものと言える。
また、遊技機10は、検査可能状態を経ずに設定された遊技可能状態において、第一報知及び第二報知のいずれとも異なる第三報知(復旧中報知)を実行する、ものと言える。
【0148】
更に、第一報知(検査中報知)、第二報知(初期化報知)及び第三報知(復旧中報知)には、第一の遊技デバイス(普通電動役物ソレノイド62、特別電動役物ソレノイド66、及び図柄表示装置90)とは異なる第二の遊技デバイス(演出表示装置80、スピーカ33、及び演出ランプ35)が用いられる、ものと言える。
そして、第一の遊技デバイス(普通電動役物ソレノイド62、特別電動役物ソレノイド66、及び図柄表示装置90)は、第一制御基板(主制御基板100)によって制御される遊技デバイスであり、第二の遊技デバイス(演出表示装置80、スピーカ33、及び演出ランプ35)は、第二制御基板(第1副制御基板200)によって制御される遊技デバイスである、ものと言える。
【0149】
更に、第一報知(検査中報知)、第二報知(初期化報知)及び第三報知(復旧中報知)は、いずれも報知態様が異なるものと言える。
【0150】
更に、遊技機10が備える複数の遊技デバイスには、検査可能状態における検査の対象にならず、且つ、第一報知又は第二報知の少なくとも一方で用いられない第三の遊技デバイス(例えば、盤面装飾ランプ30)が含まれる、ものと言える。
【0151】
上述したように、本実施形態に係る遊技機10は、RAMクリアスイッチ43の操作によって、検査可能状態から遊技可能状態に切り替わる構成となっている。検査対象となる遊技デバイス(普通電動役物ソレノイド62、特別電動役物ソレノイド66、及び図柄表示装置90)は検査時に所定の作動態様で作動する一方で、検査可能状態及び遊技可能状態を区別するための報知に用いられる遊技デバイス(演出表示装置80、スピーカ33、及び演出ランプ35)も所定の作動態様で作動するため、検査可能状態の滞在期間や検査可能状態から遊技可能状態に切り替わる前後において、各遊技デバイスの作動の意味合いを理解しがたくなることが懸念される。
そこで、本実施形態に係る遊技機10は、検査可能状態及び遊技可能状態における各遊技デバイスの作動を工夫することによって、上記のような懸念を解消している。この点について、以下詳細に説明する。
【0152】
<検査可能状態及び遊技可能状態における遊技デバイスの作動態様について>
続いて、上述した、検査可能状態及び遊技可能状態における、遊技デバイスの作動態様について、
図11~
図15を用いて説明する。
図11は、復電復帰処理において検査可能状態が設定された後に遊技可能状態が設定される場合に、各遊技デバイスの作動態様が変化する様子を示すタイムチャートである。
図12は、復電復帰処理において検査可能状態を経ずに遊技可能状態が設定される場合に、各遊技デバイスの作動態様が変化する様子を示すタイムチャートである。
図13は、復電復帰処理において検査可能状態が設定された後に遊技可能状態が設定される場合であって、ソレノイドの動作確認中にRAMクリアスイッチ43が操作された場合に、各遊技デバイスの作動態様が変化する様子を示すタイムチャートである。
図14は、復電復帰処理において検査可能状態が設定された後に遊技可能状態が設定される場合であって、検査可能状態においてエラー検知された場合に、各遊技デバイスの作動態様が変化する様子を示すタイムチャートである。
図15は、復電復帰処理において検査可能状態を経ずに遊技可能状態が設定される場合であって、遊技可能状態においてエラー検知された場合に、各遊技デバイスの作動態様が変化する様子を示すタイムチャートである。
なお、これらのタイムチャートは横軸が時系列の先後(左側が先で右側が後)を示している。また、これらのタイムチャートにおいて表される矩形波は、上側がONであること又は作動していることを表しており、下側がOFFであること又は非作動であることを表している。
【0153】
先ず、復電復帰処理において検査可能状態が設定された後に遊技可能状態が設定される場合における各遊技デバイスの作動態様の変化について、
図11を参照して説明する。
タイミングt1は、遊技機10の電源投入時(電源スイッチ40が操作された時)を表している。
タイミングt2は、主制御基板100が正常に起動したタイミング(RAMクリア処理が終了したタイミング)を表している。
タイミングt3は、検査開始コマンドの送信が主制御基板100から第1副制御基板200に対してなされたタイミング(検査中報知の開始タイミング)を表している。
図11に図示するように、厳密にはタイミングt1、タイミングt2、タイミングt3の順に到来するが、他のタイミングとの関係と比べてこれらのタイミングの間隔は十分に小さく、略同一と見做すことも可能である。
【0154】
タイミングt2から、主制御基板100に対して検査可能状態の設定がなされる。当該設定に伴ってセキュリティ信号の出力が開始され、設定された検査可能状態が終了するまでその出力が維持される。ホールコンピュータ等に検査可能状態であることを通知するためである。
【0155】
従って、遊技機10は、検査可能状態においてセキュリティ信号を出力する出力手段を備える、ものと言える。
【0156】
また、タイミングt2における検査可能状態の設定に伴って、図柄表示装置90に設けられている全てのランプが点灯する(
図11では「全点灯」と表記する)。
図柄表示装置90のランプが全点灯となる点灯パターンは、図柄表示装置90が正常であるか否かを確認するためのものであり、検査可能状態においてのみ生じ得る。従って、当該点灯パターンは、遊技可能状態において生じることはない。図柄表示装置90のランプが全点灯となることをもって正常であることが視認でき、一つでも点灯していないランプが存在する場合には異常であることが視認できる。
【0157】
タイミングt3から、演出表示装置80、スピーカ33、演出ランプ35は、検査中報知の報知態様となる。ここで検査中報知の報知態様とは、上述したように、演出表示装置80については
図10(a)に図示する表示態様であり、スピーカ33については動作検査中であることを表す音声がリピート再生されることであり、演出ランプ35については赤色に点灯することである。
【0158】
タイミングt5は、電源投入時(タイミングt1)から継続的にONであったRAMクリアスイッチ43がOFFになったタイミング、すなわちRAMクリアスイッチ43の操作を止めたタイミングを表している。
ここでタイミングt1からタイミングt5までの期間T1は、上述した復電復帰処理(ステップS1009の判定)においてRAMクリアスイッチ43の操作を有効ではないと判定している期間を表している。すなわち、期間T1においてRAMクリアスイッチ43がONに操作されていたとしても、その操作は検査可能状態の終了条件にならず、遊技可能状態が設定されることはない。
また、
図11に図示されているとおり、期間T1においてRAMクリアスイッチ43の操作が継続されていても、検査対象となる第一の遊技デバイス(特別電動役物ソレノイド66や図柄表示装置90)の作動態様に影響を与えることはなく、その作動を視認することによってそれぞれの遊技デバイスが正常であるか否かを確認することができる。
【0159】
タイミングt4は特別電動役物ソレノイド66を作動させるタイミングを表しており、タイミングt6は普通電動役物ソレノイド62を作動させるタイミングを表している。
検査可能状態における特別電動役物ソレノイド66及び普通電動役物ソレノイド62の作動は、特別電動役物65及び普通電動役物61が正常に開放するか否かを確認する為に行われるものである。なお、
図11では、特別電動役物ソレノイド66の作動期間を期間T2と表記し、普通電動役物ソレノイド62の作動期間を期間T3と表記する。
特別電動役物ソレノイド66の作動開始時であるタイミングt4と普通電動役物ソレノイド62の作動開始時であるタイミングt6は、操作手段(例えば、演出ボタン37やカーソルボタン38)の操作によって到来するものであってもよいし、操作手段の操作がなくても到来するもの(例えば、遊技可能状態が設定されたタイミングt2から所定時間が経過することによって到来するもの)であってもよいし、それらの組合せ(例えば、タイミングt4は操作手段の操作によって到来し、タイミングt6はタイミングt4から所定時間が経過することによって到来するもの)として実現されてもよい。
【0160】
仮に、上記の特別電動役物ソレノイド66と普通電動役物ソレノイド62の作動確認について操作手段の操作を必要とする実施形態を採用する場合には、図柄表示装置90の全点灯については遊技可能状態と共に自動的に行われ、操作手段を必要としないものであるから、当該実施形態においては、検査可能状態の検査対象となる遊技デバイスの中に、その検査の為に操作手段の操作が必要なものとそうでないものとが混在することになる。
言い換えれば、第一の遊技デバイスに係る検査には、検査可能状態における操作手段に対する操作を必要とするもの(特別電動役物ソレノイド66と普通電動役物ソレノイド62)と、検査可能状態における操作手段に対する操作を必要としないもの(図柄表示装置90)と、が含まれる、ものと言える。
このように、一瞥して正常か否かを確認可能な図柄表示装置90のランプについては自動で確認可能とし、それぞれ作動を注視することによって正常か否かを確認すべき特別電動役物ソレノイド66や普通電動役物ソレノイド62については手動で確認可能とすることによって、動作確認の精度を上げることができる。
なお、検査可能状態における操作手段に対する操作を必要とするものと操作を必要としないものの分別については、上記の例に限られず、本発明の目的を達成する範囲において適宜変更可能である。
【0161】
また、上記の特別電動役物ソレノイド66と普通電動役物ソレノイド62の作動確認について操作手段の操作を必要とする実施形態を採用する場合には、一方の作動確認をしている期間において他方の作動確認ができない構成とすることが好ましい。すなわち、特別電動役物ソレノイド66の作動期間T2と普通電動役物ソレノイド62の作動期間T3とが重複しないことが好ましい。それぞれの作動確認を確実に行うためである。
その一方で、図柄表示装置90と特別電動役物ソレノイド66の関係及び特別電動役物ソレノイド66と普通電動役物ソレノイド62の関係においては、一方の作動期間と他方の作動期間が重複しても、その確認作業の精度は下がらない。
従って、上記の実施形態において、第一の遊技デバイスには、検査の並行処理が可能な遊技デバイス(図柄表示装置90と他の遊技デバイス)と、検査の並行処理が不能である遊技デバイス(特別電動役物ソレノイド66と普通電動役物ソレノイド62)と、が含まれる、ものと言える。
なお、本実施形態において、特別電動役物ソレノイド66の作動期間T2と普通電動役物ソレノイド62の作動期間T3は、予め定められた時間長さ(例えば、1秒)であり、不変である。
【0162】
タイミングt7は、RAMクリアスイッチ43の操作を有効であるとき(期間T1の後)にRAMクリアスイッチ43がONになったタイミング、すなわちRAMクリアスイッチ43が操作されたタイミングを表している。
上述したように、本実施形態において、検査可能状態におけるRAMクリアスイッチ43の操作は、当該検査可能状態の終了条件である。従って、タイミングt7と略同一のタイミングで、主制御基板100は検査可能状態が終了し、直ちに遊技可能状態となる。
また、当該検査可能状態の終了に伴って、セキュリティ信号の出力が一旦停止となる。
【0163】
タイミングt7で遊技可能状態が設定されると、図柄表示装置90はそのタイミングにおける主制御基板100の状態(
図11に図示される場合には初期化された状態)に応じた点灯パターンとなる。当該点灯パターンについて、
図11では「通常点灯」と表記する。
また、タイミングt7で開始される遊技可能状態は、RAMクリア処理を伴う電源投入後に設定されたものであるため、演出表示装置80及びスピーカ33は、その滞在期間において初期化報知の報知態様となる。ここで初期化報知の報知態様とは、演出表示装置80については
図10(c)に図示する表示態様であり、スピーカ33については初期化されたことを表す音声が繰り返し再生されることである。
【0164】
上記の初期化報知が行われている期間において、セキュリティ信号が出力され、当該初期化報知が終了するまでその出力が維持される。
なお、
図11では、検査可能状態の終了時に一旦セキュリティ信号の出力が停止してから、初期化報知の開始に伴って再びセキュリティ信号が出力される様子が図示されているが、停止している間隔はごく僅かであり、その間隔が無くてもよい(検査可能状態と遊技可能状態に跨がってセキュリティ信号の出力が維持されてもよい)。
【0165】
また、当該遊技可能状態の滞在期間において、演出ランプ35は、青色→赤色→黄色→白色(青色と赤色と黄色の混色)の順に点灯する(
図11では、当該点灯パターンについて「順次点灯」と表記する)。当該点灯パターンは、演出ランプ35に内包されるフルカラーLEDが正常に点灯するか否かを確認する為に行われるものである。演出ランプ35に内包されるLEDの全てが正常である場合には上記の順序で変色する。一方で、演出ランプ35に内包されるLEDの一部に異常が生じている場合には、そのLEDが周囲のLEDとは違う色で点灯するので、それを視認することをもって異常が生じているLEDを確認できる。
【0166】
また、当該遊技可能状態の滞在期間において、可動体22が作動する。本実施形態では、遊技可能状態が設定されるタイミングt7と略同じタイミングで上部可動体22aの作動が開始し、上部可動体22aの作動が終了した後のタイミングt8に左右可動体22bの作動が開始する。上部可動体22a及び左右可動体22bは、それぞれの作動期間(
図11に図示する期間T4と期間T5)において、原位置から演出表示装置80の一部領域を覆う位置まで移動し、その後に原位置まで退避する。このように動作させることによって、上部可動体22a及び左右可動体22bが正常に動作可能であるか否かを視認することができる。
なお、上部可動体22a及び左右可動体22bは、それぞれの移動範囲の一部が重複し、互いの衝突を避けるために期間T4と期間T5とが重複しないように制御される。そして、上部可動体22a及び左右可動体22bは、遊技可能状態の設定時(タイミングt7)を起点として所定パターンで自動的に行われるものであり、操作手段に対する操作を必要としないものである。
【0167】
タイミングt9は、タイミングt7から所定期間(例えば、30秒)が経過したタイミングを表している。タイミングt7において開始された初期化報知は、タイミングt9において終了となる。すなわち、本実施形態における初期化報知の終了条件は、所定期間経過することである。
初期化報知が終了すると、演出表示装置80はデモ画面が表示され、スピーカ33は消音(ミュート)となり、演出ランプ35は待ち状態における点灯態様(
図11では「通常点灯」と表記する)となり、セキュリティ信号の出力が停止となる。
【0168】
図11を用いて説明したように、検査可能状態において行われ得る第一の遊技デバイス(普通電動役物ソレノイド62及び特別電動役物ソレノイド66)に係る検査には、第一の遊技デバイスを第一の作動態様で変化させるもの(普通電動役物ソレノイド62及び特別電動役物ソレノイド66を予め定められた時間にわたって作動させるもの)が含まれる。
ここで、第一報知(検査中報知)の報知期間において、第一の遊技デバイスが第一の作動態様で変化しても、第二の遊技デバイス(演出表示装置80、スピーカ33、演出ランプ35)の作動態様は維持され、第一の遊技デバイスの変化の影響を受けない。
これにより、第一報知の報知期間において、動作検査を目的として作動している第一の遊技デバイスと、第一報知を目的として作動している第二の遊技デバイスと、を区別して認識することができ、動作検査の精度を高めることができる。
【0169】
また、
図11を用いて説明したように、第二報知(初期化報知)の報知期間において、第二の遊技デバイスの少なくとも一部(演出ランプ35)が第二の作動態様(青色→赤色→黄色→白色の順)で変化し、当該第二の遊技デバイスが第二の作動態様で変化しても、第一の遊技デバイス(普通電動役物ソレノイド62及び特別電動役物ソレノイド66)の作動態様は維持され、第二の遊技デバイスの変化の影響を受けない。
これにより、第二報知の報知期間において、動作検査を目的として作動している第二の遊技デバイスと、その時点における遊技(主制御基板100)の状態に応じて作動している第一の遊技デバイス(普通電動役物ソレノイド62及び特別電動役物ソレノイド66)と、を区別して認識することができ、動作検査の精度を高めることができる。
【0170】
次に、復電復帰処理において検査可能状態を経ずに遊技可能状態が設定される場合における各遊技デバイスの作動態様の変化について、
図12を参照して説明する。
図12に図示されているタイミングt11、タイミングt12、及びタイミングt13は、それぞれ
図11に図示されているタイミングt1、タイミングt2、及びタイミングt3と同様のものであり、ここでの詳細な説明は省く。
【0171】
タイミングt12から、主制御基板100に対して遊技可能状態の設定がなされる。このとき、当該設定に伴ってセキュリティ信号が出力されることはない点について、
図11に図示した状況とは相違する。
【0172】
また、タイミングt12における遊技可能状態の設定に伴って、図柄表示装置90に設けられているランプが、その時点における主制御基板100の状態(
図12では電源投入前にRAM103にバックアップされていた状態)に応じて点灯する。当該点灯パターンについて、
図12でも「通常点灯」と表記する。
【0173】
タイミングt13から、演出表示装置80、スピーカ33、演出ランプ35は、復旧中報知の報知態様となる。ここで復旧中報知の報知態様とは、上述したように、演出表示装置80については
図10(b)に図示する表示態様であり、スピーカ33については復旧中であることを表す音声がリピート再生されることであり、演出ランプ35については白色に点灯することである。
【0174】
タイミングt14は、RAMクリアスイッチ43がONになったタイミング、すなわちRAMクリアスイッチ43が操作されたタイミングを表している。本実施形態では、遊技可能状態においてRAMクリアスイッチ43の操作が有効になることはない。従って、タイミングt14における43の操作は、他の遊技デバイスの作動態様に影響を与えることがない。この点について、
図11に図示した状況とは相違する。
【0175】
タイミングt15は、タイミングt13から所定期間(例えば、30秒)が経過したタイミングを表している。タイミングt13において開始された復旧中報知は、タイミングt15において終了となる。すなわち、本実施形態における復旧中報知の終了条件は、所定期間経過することである。
なお、本実施形態では、初期化報知が実行される所定期間の長さと、復旧中報知が実行される所定期間の長さと、が同じであることを例示したが、互いの長さが異なる態様によって、本発明が実施されてもよい。
【0176】
なお、
図11を用いて説明したような正常か否かを確認するための各遊技デバイスを作動は、
図12に示す状況において行われない。RAMクリア処理を伴わない電源投入は、遊技中のエラー発生時に当該エラーを解消した後にしばしば行われるものであり、そのような状況において各遊技デバイスの動作確認をする必然性は乏しいからである。
【0177】
図12を用いて説明したように、第三報知(復旧中報知)の報知期間において第二の遊技デバイス(演出ランプ35)が、第二の作動態様とは異なる第三の作動態様(白色のみの点灯)となり、第三報知の報知期間が終了するまで第二の遊技デバイスが第三の作動態様で維持される、ものと言える。
本実施形態において、第三報知の報知期間は、動作検査を目的とする作動態様を各遊技デバイスが実行しない。従って、上記のようにすることによって、状況に応じた報知を実現することができ、且つ、第一報知及び第二報知の報知期間との関係においてメリハリを付けることができる。
【0178】
次に、復電復帰処理において検査可能状態が設定された後に遊技可能状態が設定される場合であって、ソレノイドの動作確認中にRAMクリアスイッチ43が操作された場合における各遊技デバイスの作動態様の変化について、
図13を参照して説明する。
【0179】
図13に図示されているタイミングt21~タイミングt25、タイミングt28及びタイミングt29は、それぞれ
図11に図示されているタイミングt1~タイミングt5、タイミングt8及びタイミングt9と同様のものであり、ここでの詳細な説明は省く。
また、
図13に図示されている期間T1~期間T5は、
図11に図示されている同様の表記のものとそれぞれ同じ期間を表しているので、ここでの詳細な説明は省く。
【0180】
タイミングt26は、普通電動役物ソレノイド62の作動期間T3の開始時を表している。ここで、タイミングt26と略同時(期間T3と重複するタイミング)で、RAMクリアスイッチ43が操作されたものとする。
このとき、主制御基板100(復電処理実行手段180)は、普通電動役物ソレノイド62の動作確認を優先するため、普通電動役物ソレノイド62の作動期間T3を経過した後のタイミングt27まで待って検査可能状態を終了して遊技可能状態を設定する。
なお、本実施形態では、検査可能状態を終了させるタイミングt27が、RAMクリアスイッチ43が操作されるタイミングt26より後である実施形態で説明したが、本発明の実施において、検査の為の作動中の遊技デバイスがその作動態様が終了するまで継続すれば足り、必ずしも検査可能状態を終了させるタイミングを合わせて遅らせる必要はない。
【0181】
従って、検査可能状態において第一の遊技デバイスが第一の作動態様で作動している途中で、遊技可能状態が設定されるとき、第一の遊技デバイス(普通電動役物ソレノイド62及び特別電動役物ソレノイド66)は、第一の作動態様による作動が終了するまで第一の作動態様を継続する一方、第二の遊技デバイス(演出表示装置80、スピーカ33、演出ランプ35)は、遊技可能状態が設定されるタイミング(タイミングt27)で第一報知に対応する作動態様を停止した後に、第二報知に対応する作動態様を開始する、ものと言える。
これように、動作検査の途中で遊技可能状態の終了条件を充足したとしても、その動作検査に対応する第一の作動態様による作動が終了するまで継続するので、第一の遊技デバイスの動作検査を確実に行うことができる。一方で、状態に関する報知(第一報知と第二報知)については、移行タイミングで切り替えることによって、正確な移行タイミングを報知することができる。
【0182】
次に、復電復帰処理において検査可能状態が設定された後に遊技可能状態が設定される場合であって、検査可能状態においてエラー検知された場合における各遊技デバイスの作動態様の変化について、
図14を参照して説明する。
なお、
図14に図示する検査可能状態において検知され得るエラー状態は、上述したように、磁気エラーであるものとして説明する。しかしながら、本発明の実施において、他のエラー状態を検知する場合に同様の処理が実行されてもよい。
【0183】
図14に図示されているタイミングt31~タイミングt36及びタイミングt39は、それぞれ
図11に図示されているタイミングt1~タイミングt6及びタイミングt8と同様のものであり、ここでの詳細な説明は省く。
また、
図14に図示されている期間T1~期間T5は、
図11に図示されている同様の表記のものとそれぞれ同じ期間を表しているので、ここでの詳細な説明は省く。
【0184】
タイミングt37は、不図示の磁気センサによって磁気エラーが検知されたタイミングを表している。
図14に図示するように、磁気エラーの検知は、検査可能状態の終了条件にならない。従って、検査可能状態において検査対象となる遊技デバイス(第一の遊技デバイス)の作動態様に影響を与えることがない。また、検査中報知に対応する態様で作動している遊技デバイス(第二の遊技デバイス)の作動態様に影響を与えることがない。更に、検査可能状態におけるセキュリティ信号の出力は、検査可能状態を通知するために出力しているため、磁気エラーが検知されても出力が維持される。
【0185】
タイミングt38は、RAMクリアスイッチ43の操作を有効であるとき(期間T1の後)にRAMクリアスイッチ43がONになったタイミング、すなわちRAMクリアスイッチ43が操作されたタイミングを表している。
上述したように、本実施形態において、検査可能状態におけるRAMクリアスイッチ43の操作は、当該検査可能状態の終了条件であり、タイミングt38と略同一のタイミングで、主制御基板100は検査可能状態が終了し、当該検査可能状態の終了に伴って、セキュリティ信号の出力が一旦停止となる点については、
図11に図示した状況と同様である。
一方、
図14に図示する検査可能状態は、その滞在期間において磁気エラーが検知されているため、その後に遊技不能状態が設定される点について、
図11に図示した状況と相違する。ここで遊技不能状態とは、遊技を進行させることが規制される状態である。このとき、図柄表示装置90に内包されるランプは全て消灯となる。
【0186】
タイミングt38で遊技不能状態が設定されるときであっても、電源投入時にRAMクリア処理が実行されたことについては
図11に示す状況と同じであるため、当該タイミングにおいて初期化コマンドが主制御基板100から第1副制御基板200に送信される。従って、演出表示装置80及びスピーカ33は、遊技不能状態であっても初期化報知の報知態様となる。また、初期化報知中に行われる演出ランプ35及び可動体22の作動態様(その作動によって正常であるか否かを判定するために行われるもの)についても、
図11を用いて説明したものと同様に行われる。
【0187】
タイミングt40は、タイミングt38から所定期間が経過したタイミングを表している。タイミングt38において開始された初期化報知は、タイミングt40において終了となる。この所定期間は、タイミングt7からタイミングt9までの所定期間と同じ時間長さである。
初期化報知が終了すると、演出表示装置80、スピーカ33、及び演出ランプ35は、磁気エラーに対応するエラー報知を行う。すなわち、検査可能状態において検知された磁気エラーに対応するエラー報知が、検査中報知と初期化報知を終えた後に実行される。なお、セキュリティ信号の出力については、タイミングt40に初期化報知に対応する出力が一旦停止となるものの、その直後にエラー報知に対応する出力が行われる。
【0188】
上記のような処理となるので、検査中報知及び初期化報知は、検査可能状態において検知可能なエラー状態(磁気エラー)に対応するエラー報知と比べて、優先度が高い報知である、ものと言える。
【0189】
次に、復電復帰処理において検査可能状態を経ずに遊技可能状態が設定される場合であって、遊技可能状態においてエラー検知された場合における各遊技デバイスの作動態様の変化について、
図15を参照して説明する。
なお、
図15に図示する遊技可能状態において検知され得るエラー状態は、検査可能状態とは違って制限されるものではないが、
図14に示す状況と同様に、磁気エラーであるものとして説明する。
【0190】
図15に図示されているタイミングt41~タイミングt43及びタイミングt45は、それぞれ
図12に図示されているタイミングt11~タイミングt14と同様のものであり、ここでの詳細な説明は省く。
【0191】
タイミングt44は、不図示の磁気センサによって磁気エラーが検知されたタイミングを表している。
図15に図示するように、磁気エラーを検知したタイミングt44において、遊技可能状態は終了となり、遊技不能状態が設定される点について、
図12と相違する。
ここで遊技不能状態が設定されるタイミングt44に、図柄表示装置90に内包されるランプは全て消灯となる。
【0192】
一方、復旧中報知は所定期間(例えば、30秒)にわたって実行されるものとして定められているため、磁気エラーが検知されても継続して行われる。
従って、復旧中報知に検知された磁気エラーは、復旧中報知に対応する態様で作動している遊技デバイス(第二の遊技デバイス)の作動態様に影響を与えることがない。
そして、復旧中報知中に磁気エラーが検知されたとしても、復旧報知中にセキュリティ信号は出力されない点については、
図12に図示した状況と同様である。
【0193】
タイミングt46は、タイミングt43から所定期間が経過したタイミングを表している。タイミングt43において開始された復旧中報知は、タイミングt46において終了となる。この所定期間は、タイミングt13からタイミングt15までの所定期間と同じ時間長さである。
復旧中報知が終了すると、演出表示装置80、スピーカ33、及び演出ランプ35は、磁気エラーに対応するエラー報知を行う。すなわち、復旧中報知の報知期間において検知された磁気エラーに対応するエラー報知が、復旧中報知を終えた後に実行される。なお、セキュリティ信号については、タイミングt46からエラー報知に対応する出力が行われる。
【0194】
上記のような処理となるので、復旧中報知は、磁気エラーに対応するエラー報知と比べて、優先度が高い報知である、ものと言える。
【0195】
以上のような構成になっているので、本発明に係る第一報知、第二報知、及び第三報知は、その報知期間において検知されるエラー状態に対応するエラー報知に比べて優先的に実行され、それぞれに対応する遊技機10の状況を、ホール店員等に対して確実に認識させることができる。
なお、本実施形態では、検査可能状態において検知可能な特定のエラー状態(磁気エラー)に対応するエラー報知の優先度が、第一報知(検査中報知)、第二報知(初期化報知)、第三報知(復旧中報知)のいずれよりも低いものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られない。
例えば、検査可能状態において検知可能なエラー状態の中に、そのエラー報知の優先度が、第一報知、第二報知及び第三報知に比べて高いエラー状態(第一のエラー状態)が含まれてもよく、第一のエラー状態に対応するエラー報知は、検査可能状態の滞在中に実行可能であってもよい。また、この変形例において、検査可能状態において検知可能なエラー状態の中に、そのエラー報知の優先度が、第一報知、第二報知及び第三報知に比べて低いエラー状態(第二のエラー状態)が含まれもよく、第二のエラー状態に対応するエラー報知は、検査可能状態が終了した後(遊技可能状態が設定された後)に実行可能であってもよい。
【0196】
なお、
図13において、検査対象となる第一の遊技デバイス(普通電動役物ソレノイド62)の動作検査中に、検査可能状態の終了条件であるRAMクリアスイッチ43の操作がなされる場合について言及した。
これに類似する状況として、検査可能状態において第一の遊技デバイスの動作検査中(第一の作動態様で作動している途中)に電断が生じる場合が想定されるので、この場合について付言する。
上記のような場合、当然ながら、当該電断に応じて動作検査中の第一の遊技デバイスの作動が停止する。ここで、当該電断後にRAMクリア処理を伴わない電源投入がなされる場合には、電断前の状態(検査可能状態)を設定せずに、遊技可能状態を設定することが好ましい。電源投入した者が検査不要であるものと判断した蓋然性が高いからである。
【0197】
<他の変形例>
以上の説明で記載されていない変形例について、以下に列挙する。
【0198】
上記の実施形態では、検査可能状態において検査対象となる第一の遊技デバイスが第一制御基板(主制御基板100)によって制御されるものであって、第一報知及び第二報知に用いられる第二の遊技デバイスが第二制御基板(第1副制御基板200)によって制御されるものであるものとしたが、本発明の実施はこれに限られない。
第一の遊技デバイスに、第二制御基板によって制御される遊技デバイス(例えば、演出ボタン37やこれに内包されるLED)が含まれてもよいし、第二の遊技デバイスに、第一制御基板によって制御される遊技デバイスが含まれてもよい。
この変形例において、演出ボタン37のような操作手段が検査可能状態における検査対象となる場合には、その操作手段が正常に操作を受け付けるか否かを確認する検査となるので、検査可能状態においてその操作を検知するセンサが有効に機能している必要がある。そして、検査可能状態において操作手段を手動で作動させて検査している最中に、別の検査対象となる遊技デバイス(例えば、各ソレノイドや各ランプ等)が自動で作動することによって、手動で行う検査と自動で行う検査とが並行して進行できることが好ましい。
【0199】
上記の実施形態では、検査可能状態を開始した以後に遊技可能状態を設定する際の条件として、所定の操作手段(RAMクリアスイッチ43)の操作が必要であるものとして説明したが、当該条件はこの例に限られない。
例えば、電源投入時又は検査可能状態の開始時を基準として所定の時間経過することを条件として、遊技可能状態を設定するものとしてもよい。
【0200】
上記の実施形態では、検査対象となるソレノイドとして、普通電動役物ソレノイド62と特別電動役物ソレノイド66を例示した。本発明の実施において、必ずしも、普通電動役物に係るソレノイドと特別電動役物に係るソレノイドの双方を検査対象とする必要はなく、いずれか一方であっても構わない。
【0201】
上記の実施形態では、特別電動役物が単一である遊技機を例示したが、特別電動役物を複数備える遊技機によって本発明が実施されてもよい。このとき、検査対象となる特別電動役物に係るソレノイド(第一の遊技デバイスに相当するソレノイド)が複数となり得る。
なお、複数の特別電動役物を備える遊技機によって本発明と実施する場合、それぞれの特別電動役物が右打ちの遊技領域に配設され、それぞれの特別電動役物が交互に作動する又は同時ではないタイミングで作動することにより、一方が入賞容易である状況において他方が入賞困難となるように制御されることが望ましい。
【0202】
上記の実施形態では、検査可能状態において、各電動役物に対応するソレノイドの作動(電動役物が正常に作動するか否か)を確認することを目的とする検査機能を備えることに言及するのみだった。これに加えて、本発明を実施する遊技機には、各電動役物が付設される入賞口(大入賞口又は始動口)に対応する入賞検知用のセンサが有効であるか否かを確認することを目的とする検査機能を備えてもよい。
【0203】
上記の実施形態において
図11~
図15を用いて説明した、各遊技デバイスの作動態様は、本発明の実施の一具体例であり、本発明の目的を達成する範囲において適宜変更可能である。
上記の実施形態では、検査の為の作動中の遊技デバイスがその作動態様で作動している最中にRAMクリアスイッチ43が操作されたとき、当該作動態様が終了するまで継続することとしたが、本発明の実施はこれに限られない。RAMクリアスイッチ43の操作を契機として直ちに当該遊技デバイスの作動を中止して検査可能状態を終了させ、遊技可能状態を設定する変形例によって、本発明が実施されてもよい。
この変形例によれば、遊技可能状態が設定された後(第二報知の報知期間)において所定の作動態様で変化することによって正常であるか否かを確認する第二の遊技デバイスの検査を早めることができ、その確認が容易となる。
【0204】
<付記>
本実施形態は、次のような技術思想を包含する。
(1)遊技球を発射可能であり、入賞口への遊技球の入賞に基づいて賞球が得られ、電源投入時にRAMクリア処理を実行可能である遊技機であって、遊技に用いられる複数の遊技デバイスと、遊技の実行が可能である遊技可能状態及び複数の遊技デバイスのうち第一の遊技デバイスについて検査が可能である検査可能状態を設定する状態管理手段と、を備え、前記検査可能状態は、前記RAMクリア処理を伴う電源投入後に設定可能となる状態であり、前記検査可能状態の滞在期間において第一報知が実行され、前記遊技可能状態は、前記検査可能状態が開始された以後に設定可能となる状態であり、前記検査可能状態が開始された以後に設定されるとき第二報知が実行され、前記第一報知及び前記第二報知には、前記第一の遊技デバイスとは異なる第二の遊技デバイスが用いられ、前記検査可能状態において行われ得る前記第一の遊技デバイスに係る検査には、前記第一の遊技デバイスを第一の作動態様で変化させるものが含まれ、前記第一報知の報知期間において、前記第一の遊技デバイスが前記第一の作動態様で変化しても、前記第二の遊技デバイスの作動態様は維持される、ことを特徴とする遊技機。
(2)操作手段を備え、前記第一の遊技デバイスに係る検査には、前記検査可能状態における前記操作手段に対する操作を必要とするものと、前記検査可能状態における前記操作手段に対する操作を必要としないものと、が含まれる、(1)に記載の遊技機。
(3)第一制御基板と、前記第一制御基板からの信号を一方向に受信可能に構成されている第二制御基板と、を備え、前記第一の遊技デバイスは、前記第一制御基板によって制御される遊技デバイスであり、前記第二の遊技デバイスは、前記第二制御基板によって制御される遊技デバイスである、(1)又は(2)に記載の遊技機。
(4)前記第一の遊技デバイスには、検査の並行処理が可能な遊技デバイスと、検査の並行処理が不能である遊技デバイスと、が含まれる、(1)から(3)のいずれか一つに記載の遊技機。
(5)前記検査可能状態において前記第一の遊技デバイスが前記第一の作動態様で作動している途中で、前記遊技可能状態が設定されるとき、前記第一の遊技デバイスは、前記第一の作動態様による作動が終了するまで前記第一の作動態様を継続する一方、前記第二の遊技デバイスは、前記遊技可能状態が設定されるタイミングで前記第一報知に対応する作動態様を停止した後に、前記第二報知に対応する作動態様を開始する、(1)から(4)のいずれか一つに記載の遊技機。
(6)前記第二報知の報知期間において、前記第二の遊技デバイスの少なくとも一部が第二の作動態様で変化し、当該第二の遊技デバイスが前記第二の作動態様で変化しても、前記第一の遊技デバイスの作動態様は維持される、(5)に記載の遊技機。
(7)前記状態管理手段は、前記RAMクリア処理を伴わない電源投入後に、前記検査可能状態を経ずに前記遊技可能状態を設定可能であり、前記検査可能状態を経ずに設定された前記遊技可能状態において、前記第一報知及び前記第二報知のいずれとも異なる第三報知が実行され、前記第三報知の報知期間において前記第二の遊技デバイスが、前記第二の作動態様とは異なる第三の作動態様となり、前記第三報知の報知期間が終了するまで前記第二の遊技デバイスが前記第三の作動態様で維持される、(6)に記載の遊技機。
【符号の説明】
【0205】
10 遊技機
15 外枠
17 中枠
20 前枠
21 ヒンジ機構
22 可動体
23 シリンダ錠
25 透明部材
28 上球受け皿
29 下球受け皿
30 盤面装飾ランプ
31 操作ハンドル
32 上枠部
33 スピーカ
34 側枠部
35 演出ランプ
36 球抜き機構
37 演出ボタン
38 カーソルボタン
39 メイン操作部
40 電源スイッチ
43 RAMクリアスイッチ
45 開閉カバー
46 遊技球タンク
47 タンクレール
48 払出ユニット
49 払出通路
50 遊技盤
51 外レール
52 風車
53 内レール
55 大入賞口
57 第1始動口
59 第2始動口
61 普通電動役物
62 普通電動役物ソレノイド
63 ゲート
65 特別電動役物
66 特別電動役物ソレノイド
67 一般入賞口
69 アウト口
70 第1始動口センサ
71 第2始動口センサ
72 大入賞口センサ
73 一般入賞口センサ
74 ゲートセンサ
75 アウト球センサ
76 中枠開扉センサ
80 演出表示装置
90 図柄表示装置
91 第1特別図柄表示装置
92 第2特別図柄表示装置
93 普通図柄表示装置
94 第1特別図柄保留ランプ
95 第2特別図柄保留ランプ
96 普通図柄保留ランプ
100 主制御基板
101 CPU
102 ROM
103 RAM
105 乱数回路
109 主制御基板ケース
110 入球判定手段
115 メイン乱数発生手段
120 メイン保留制御手段
125 事前判定手段
130 特図抽選手段
131 特図当否判定手段
132 特図停止図柄抽選手段
133 特図変動パターン導出手段
135 普図抽選手段
140 大当り遊技制御手段
145 図柄表示制御手段
150 電動役物制御手段
155 遊技状態制御手段
160 メイン情報記憶手段
165 メインエラー制御手段
170 メインコマンド管理手段
175 電断処理実行手段
180 復電処理実行手段
200 第1副制御基板
201 CPU
202 ROM
203 RAM
209 第1副制御基板ケース
210 サブ乱数発生手段
220 通常演出制御手段
221 演出モード制御手段
222 演出ルート決定手段
223 サブ保留制御手段
224 先読み演出制御手段
225 演出内容決定手段
226 装飾図柄制御手段
227 大当り演出制御手段
230 サブエラー制御手段
235 音声制御手段
240 ランプ制御手段
245 可動役物制御手段
260 復電処理実行手段
270 サブ情報記憶手段
275 サブコマンド管理手段
300 第2副制御基板
301 CPU
302 ROM
303 RAM
309 第2副制御基板ケース
400 払出制御基板
401 CPU
402 ROM
403 RAM
409 払出制御基板ケース
500 電源制御基板
501 通常電源回路
502 バックアップ電源回路
503 電断検出回路
504 RAMクリアスイッチ回路
509 電源制御基板ケース