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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】コンクリートブロック
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/02 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
E02D29/02 303
E02D29/02 309
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022004140
(22)【出願日】2022-01-14
(65)【公開番号】P2023103555
(43)【公開日】2023-07-27
【審査請求日】2023-01-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)2021年(令和3年)4月5日 ウェブサイト「NETIS 新技術情報提供システム(https://www.netis.mlit.go.jp/netis/)」内の「新技術概要説明情報(https://www.netis.mlit.go.jp/netis/pubsearch/details?regNo=HR-210001)」に掲載して公開 (2)2021年(令和3年)4月15日 ウェブサイト「株式会社アドヴァンス公式ホームページ(http://www.advance-kk.co.jp/)」内の「商品紹介(https://www.advance-kk.co.jp/product/treslock)」に掲載して公開 (3)2021年(令和3年)9月13日 ウェブサイト「Made in 新潟 新技術普及・活用制度ホームページ(http://www.shingijutu-niigata.jp)」内で頒布しているPDF(http://www.shingijutu-niigata.jp/fukyuu/pdf/2021D103-2.pdf)に掲載して公開 (4)2021年(令和3年)10月20日・21日 展示会『けんせつフェア北陸in新潟2021』における展示により公開 (5)2021年(令和3年)10月19日~11月30日 北陸技術事務所開催の展示会『けんせつフェア北陸in新潟2021』のプレゼンテーション技術ごとに設定されたQRコードを読み取りYoutubeのアドレスを取得して視聴する方式により、Youtube上での限定公開による動画配信でのプレゼンテーションにより公開 (6)2021年(令和3年)11月25日 展示会『Made in 新潟 新技術展示・発表会』における展示により公開 (7)2021年(令和3年)9月発行のカタログ「本件特許出願に係る発明のコンクリートブロック(トレスロック)が掲載されているカタログ」の配布により公開 (8)2021年(令和3年)11月15日発行の株式会社公共事業通信社の刊行物「週刊ブロック通信第3163号」(第6頁)に掲載して公開
(73)【特許権者】
【識別番号】591273281
【氏名又は名称】株式会社アドヴァンス
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】細野 義則
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-017961(JP,A)
【文献】特許第2942751(JP,B1)
【文献】実開昭60-139845(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜する付設面に左右方向および傾斜方向となる前後方向に並設状態にして多数敷設し上り傾斜方向である手前側から後方側に沿って積み上げるとともに、この付設面とブロック本体部の裏面との隙間に固定用材を打設してこの付設面に被覆固定するコンクリートブロックであって、
前記ブロック本体部の裏面には、傾斜する前記付設面に設置する控部が垂設されている構成とされていて、
この控部は、か所に突設状態に設けられていて、この1体の控部は、前記付設面に並設状態にして上り傾斜方向である手前側から後方側に沿って積み上げ敷設する際の前記ブロック本体部の一方側である手前側の左右方向中央部に位置し、他の2体の控部は、前記ブロック本体部の他方側である後方側の左右の縁部付近に位置する構成とされていて、
少なくともこの後方側の左右の2体の控部は、高さ調整または傾斜調整するために前記ブロック本体部の縁部から差し入れる手または足で前記控部の底部に調整材を入れ込むことができる程前記縁部に近い距離の縁部寄り位置に設けられている構成とされていて、
前記控部は、3体のみ設けられ、前記ブロック本体部の手前側中央部に設けられている1体を境にして斜め後方側左右の前記縁部寄り位置に1体ずつ合計3体の前記控部が三脚状態に設けられている構成とされていて、
前記ブロック本体部の手前側中央部の1体の前記控部の設置位置を基点にして他の右側1体の前記控部の設置位置との対角方向、および他の左側1体の前記控部の設置位置との対角方向で、前記高さ調整または前記傾斜調整ができる構成とされていて、
前記ブロック本体部の平面視形状は、傾斜する法面の前記付設面に手前側を傾斜下方側にし後方側を傾斜上方側にして谷積みする際、前記左右方向に並設することで後方側左右に係合用谷辺縁部が形成されるとともに手前側にこの係合用谷辺縁部に係合する係合用山辺縁部が形成されることとなる山状辺縁部が前後に対向状態に設けられている形状に構成されていて、
手前側の前記山状辺縁部の中央部に基点となる前記一方側の1体の前記控部が設けられているともに、後方側の前記山状辺縁部の左右辺縁部の前記縁部寄り位置にそれぞれ1体ずつ前記他方側の2体の前記控部が設けられている構成であることを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項2】
前記控部は、前記ブロック本体部の縁部から少なくとも30mm以内の前記縁部寄り位置に設けられている構成であることを特徴とする請求項1記載のコンクリートブロック。
【請求項3】
前記ブロック本体部の上面となる表面には意匠用凹凸部が設けられているとともに裏面には前記控部が垂設されていて、このブロック本体部の平面視形状は、法面の前記付設面に手前側を傾斜下方側にし後方側を傾斜上方側にして谷積みする際、前記山状辺縁部が前後に設けられていている形状であるとともに、この左右方向に並設する際に突き合せる突合せ側辺縁部が左右に設けられている形状であることを特徴とする請求項1記載のコンクリートブロック。
【請求項4】
前記控部は、前記付設面に設置する底面はほぼ平坦で脚柱部の途中高さ位置には径小なくびれ部が設けられていていることを特徴とする請求項1記載のコンクリートブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、法覆工、積み上げ工、根固め工などに用いるコンクリートブロック関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、護岸には法覆工などを施して、堤防および川岸を安全に保護していているが、このような法覆工は、たとえば堤防および川岸の法面を保護するためのコンクリートブロック(法覆工ブロック)を順次左右方向に並べさらに手前側から後方へと順次積み上げて勾配のある付設面(整地した法面)にこの法覆工ブロックを被覆固定したコンクリートブロック構造物である。
【0003】
具体的には、たとえば法面を整地した付設面の下部や側部に基礎工や横帯工を施し、この基礎工上部および横帯工間の付設面に、順次量産したコンクリートブロックを左右方向に並設するとともに順次傾斜上方向(後方向)に積み上げていき、この付設面と各ブロック本体部裏面との隙間に固定用材(たとえばコンクリート)を充填して(胴込めコンクリート打設して)、この付設面(護岸法面)にコンクリートブロックを被覆固定して法覆工を施し、上部にはさらに縦帯工や天端工なども施して護岸を形成している。
【0004】
従来、たとえばこのような法覆工を施すためのコンクリートブロック(法覆工ブロック)は、表面に意匠用凹凸部(凹凸模様)が施されていて、裏面には付設面に設置させるとともに揺動調整し必要に応じて調整材を入れ込み高さ調整や傾斜調整(勾配調整)を行い、さらに付設面との間に前記胴込めコンクリートを打設するための間隙を形成する控部(設置脚部)を突設状態に垂設した構成とし、付設面に順次並設しつつ丁張と水糸を基準に高さ調整や傾斜調整を行いその後隙間に胴込めコンクリートを打設して被覆固定していくものである。
【0005】
このようにコンクリートブロックのブロック本体部の裏面には、高さ調整や傾斜調整を行えるようにその中心部に前記控部が1乃至2体垂設されていて、この控部の底面を付設面に設置させた後、揺動させたり持ち上げて傾けたりして高さ調整や傾斜調整を行い、その姿勢を仮止めするために砂利や土やその他の調整材を入れ込んで仮保持させ、この仮保持状態の隙間に胴込めコンクリート打設し被覆固定していた。
【0006】
しかし、広範囲の付設面には、作業効率よくコンクリートブロックを敷設して法覆工を短期に施工するために、コンクリートブロックの大型化が望まれるが、単に大型化した場合には、クレーンでコンクリートブロックを順次吊り下ろして付設面に設置し、順次並設し積み上げていくことになる。そのためこの各コンクリートブロックの高さ調整や傾斜調整もこのクレーンで吊り下げ保持しながら行ったり、この吊り下げ状態のまま一部をジャッキで持ち上げたりして高さ調整や傾斜調整を行いその後胴込めコンクリート打設し固定する作業となるため、大型化するほど姿勢調整作業や調整後の姿勢仮保持作業(並設調整固定作業)は労力がかかり作業日数も多くなるなど厄介な作業となっていた。
【0007】
そのため、コンクリートブロックの大型化もためらわれることから、結局十分な大型化は図れず作業日数を要し工期を短期化できないなどの問題もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題点を見出し、これを解決したもので、高さ調整や傾斜調整を行いながらの並設調整固定作業がスムーズに行え、また大型化してもこの並設調整固定作業が容易にしてスムーズに行え、作業日数の短縮が図れるなど極めて実用性に優れたコンクリートブロックを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
傾斜する付設面1に左右方向および傾斜方向となる前後方向に並設状態にして多数敷設し上り傾斜方向である手前側から後方側に沿って積み上げるとともに、この付設面1とブロック本体部2の裏面との隙間に固定用材3を打設してこの付設面1に被覆固定するコンクリートブロックであって、
前記ブロック本体部2の裏面には、傾斜する前記付設面1に設置する控部4が垂設されている構成とされていて、
この控部4は、か所に突設状態に設けられていて、この1体の控部4は、前記付設面1に並設状態にして上り傾斜方向である手前側から後方側に沿って積み上げ敷設する際の前記ブロック本体部2の一方側である手前側の左右方向中央部に位置し、他の2体の控部4は、前記ブロック本体部2の他方側である後方側の左右の縁部付近に位置する構成とされていて、
少なくともこの後方側の左右の2体の控部4は、高さ調整または傾斜調整するために前記ブロック本体部2の縁部から差し入れる手または足で前記控部4の底部に調整材を入れ込むことができる程前記縁部に近い距離の縁部寄り位置に設けられている構成とされていて、
前記控部4は、3体のみ設けられ、前記ブロック本体部2の手前側中央部に設けられている1体を境にして斜め後方側左右の前記縁部寄り位置に1体ずつ合計3体の前記控部4が三脚状態に設けられている構成とされていて、
前記ブロック本体部2の手前側中央部の1体の前記控部4の設置位置を基点にして他の右側1体の前記控部4の設置位置との対角方向、および他の左側1体の前記控部4の設置位置との対角方向で、前記高さ調整または前記傾斜調整ができる構成とされていて、
前記ブロック本体部2の平面視形状は、傾斜する法面の前記付設面1に手前側を傾斜下方側にし後方側を傾斜上方側にして谷積みする際、前記左右方向に並設することで後方側左右に係合用谷辺縁部が形成されるとともに手前側にこの係合用谷辺縁部に係合する係合用山辺縁部が形成されることとなる山状辺縁部6が前後に対向状態に設けられている形状に構成されていて、
手前側の前記山状辺縁部6の中央部に基点となる前記一方側の1体の前記控部4が設けられているともに、後方側の前記山状辺縁部6の左右辺縁部の前記縁部寄り位置にそれぞれ1体ずつ前記他方側の2体の前記控部4が設けられている構成であることを特徴とするコンクリートブロックに係るものである。
【0011】
また前記控部4は、前記ブロック本体部2の縁部から少なくとも30mm以内の前記縁部寄り位置に設けられている構成であることを特徴とする請求項1記載のコンクリートブロックに係るものである
【0012】
前記ブロック本体部2の上面となる表面には意匠用凹凸部5が設けられているとともに裏面には前記控部4が垂設されていて、このブロック本体部2の平面視形状は、法面の前記付設面1に手前側を傾斜下方側にし後方側を傾斜上方側にして谷積みする際、前記山状辺縁部6が前後に設けられていている形状であるとともに、この左右方向に並設する際に突き合せる突合せ側辺縁部7が左右に設けられている形状であることを特徴とする請求項1記載のコンクリートブロックに係るものである。
【0013】
また前記控部4は、前記付設面1に設置する底面はほぼ平坦で脚柱部の途中高さ位置には径小なくびれ部8が設けられていていることを特徴とする請求項1記載のコンクリートブロックに係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように構成したから、高さ調整や傾斜調整を行いながらの並設調整固定作業がスムーズに行え、また大型化してもこの並設調整固定作業が容易にしてスムーズに行え、作業日数の短縮が図れるなど極めて実用性に優れたコンクリートブロックとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施例の斜視図である。
図2】本実施例の反転させた状態での斜視図である。
図3】本実施例の説明平面図である。
図4】本実施例の正面図である。
図5】本実施例の別タイプの説明平面図である。
図6】本実施例の別タイプの正面図である。
図7】本実施例の施工例を示す説明側断面である。
図8】本実施例の施工途中の説明平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の最適な実施形態を図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0017】
本発明は、付設面1に並設状態に多数敷設しまたは積み上げこの付設面1とブロック本体部2の裏面との隙間に固定用材3(たとえばコンクリート)を打設してこの付設面1に被覆固定するコンクリートブロックであって、このブロック本体部2の裏面には、付設面1に設置し、さらにたとえば微調整揺動したり砂利や土やその他の調整材を入れたり押し込んだりして傾けたりして高さ調整または傾斜調整するための控部4を垂設した構成としているが、本発明のこの控部4は三カ所に突設状態に設け、この1体の控部4は、並設状態に敷設する際に前記ブロック本体部2の一方側中央部に位置し、他の2体の控部4は、前記ブロック本体部2の他方側の左右部の縁部付近に位置する構成としている。
【0018】
また少なくとも左右の2体の控部4は、前記高さ調整または前記傾斜調整させるとともに、基準に合わせた適正な高さおよび傾斜姿勢となるように、前記ブロック本体部2の周辺の縁部から手や足を差し入れて、前記控部4の底部などに調整材を入れたり押し込んだりしてこの姿勢を調整および仮保持することができる程、縁部に近い距離の縁部寄り位置に設けた構成としている。
【0019】
したがって、ブロック本体部2の一方側中央部(手前側中央部)に設けられている1体を境にして他方側左右(後方側左右)の縁部寄り位置に1体ずつ合計3体の前記控部4を三脚状態に設けた構成としているから、たとえ大型化したコンクリートブロックであっても安定性よく付設面1に設置でき、さらにこのようにブロック本体部2の一方側中央部の1体の控部4の設置位置を基点にして他の右側1体の控部4の設置位置との対角方向、および他の左側1体の控部4の設置位置との対角方向で、微調整揺動させたり控部4の底部に砂利や土やその他の調整材を入れ込むなどして傾けたりして基準に合わせた高さおよび傾斜度に調整し、またさらにこのようにして適正な高さおよび傾斜度に調整した姿勢を仮保持できるため、この高さ調整や傾斜調整をスムーズにしてスピーディーに行うことができる。
【0020】
すなわち、前述のとおり調整の基点とする一方側である手前側の控部4を手前側中央部とし、これを境にそれぞれ交差する対角方向左右に他の控部4が縁部寄り位置に位置しているため、手前側から後方側に上り傾斜している付設面1と平行する基準面と一致するように微調整揺動したり調整材を入れ込んだりして、所定の基準勾配面となるように高さ調整することも傾斜調整することもスムーズにしてスピーディーに行えることとなる。
【0021】
またさらに、少なくとも左右の2体の控部4は、ブロック本体部2の縁部に近い位置、すなわち高さ調整または傾斜調整しつつブロック本体部2の縁部から手や足を差し入れ、たとえば控部4の底部に調整材を入れ込むことなどが容易となる程縁部に近い距離の縁部寄り位置に設けたから、調整後この調整した姿勢を容易に仮止め保持でき、その後この控部4により形成された(裏面と)付設面1との隙間に胴込めコンクリートを充填し打設することで、容易に施工を完了できる。
【0022】
したがって、本発明は、単に調整後3点で付設面1に設置しているから安定した仮設置保持ができるだけでなく、作業の効率化を高めるため大型化しても、クレーンで吊り降ろして安定性よく設置でき、さらにこのクレーンやジャッキの持ち上げに頼らずともその微調整揺動や傾けや調整材による傾けによって姿勢調整作業もまた調整後姿勢仮保持作業も控部4が異なる対角方向の縁部寄り位置に設けられているからスムーズにしてスピーディーに行うことができる。つまり3点設置の三脚状態に控部4を縁部寄り位置に設けたから、安定性よく容易に設置できるとともに、縁部に近いため調整材を入れ込み姿勢調整することも仮保持することも容易に行え、またさらにこの調整個所(控部4の数)も少ないためその作業もそれだけ容易となり、姿勢調整作業もまた調整後姿勢仮保持作業も控部4が縁部寄り位置に設けられているからスムーズにしてスピーディーに行うことができるコンクリートブロックとなる
【実施例1】
【0023】
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
【0024】
本実施例は、護岸の法覆工ブロックに本発明を適用したものであって、整地した緩やかな傾斜面の付設面1(護岸法面)に、左右方向に並設状態にして多数敷設しさらに順次同様にして傾斜に沿って多数段(多数列)積み上げ、この付設面1とブロック本体部2の裏面との隙間および控部4間に固定用材3(たとえば胴込めコンクリート)を充填打設してこの付設面1に被覆固定するコンクリートブロックとしている。
【0025】
このブロック本体部2の裏面には、前記付設面1に3点設置して容易に安定性よく設置できる控部4を三脚状態に垂設した構成としている。
【0026】
具体的には、この1体の控部4は、並設状態に敷設する際に前記ブロック本体部2の手前側の左右方向の中央部にしてさらに縁部付近に位置するように一体形成し、他の2体の控部4も、前記ブロック本体部2の後方側の左右部の各辺部の縁部付近に位置するように一体形成した構成としている。
【0027】
本実施例では、いずれの控部4も、高さ調整または傾斜調整させて前記ブロック本体部2の縁部から差し入れる手や足で底部に調整材を入れ込むことができる程前記縁部に近い距離の縁部寄り位置に設けている。すなわち、大型化しても作業者の手元に近いところでこのような姿勢調整作業や調整後姿勢仮保持作業が行え、施工性の向上が図れる構成としている。
【0028】
さらに説明すると、本実施例では、この控部4は3体のみ設け、前記ブロック本体部2の手前側中央部の前記縁部寄り位置に設けた1体を境にして斜め後方側左右の縁部寄り位置に1体ずつ合計3体の控部4を三脚状態に設けた構成とし、前記ブロック本体部2の手前側中央部の前記縁部寄り位置の1体の控部2の設置位置を基点にして他の右側1体の控部4の設置位置との対角方向、および他の左側1体の前記控部4の設置位置との対角方向で、微調整揺動させたり控部4の底部に砂利や土やその他の調整材を入れ込むなどして傾けたりして前記高さ調整または前記傾斜調整およびその姿勢仮保持ができる構成としている。
【0029】
さらに具体的に説明すると、前記ブロック本体部2の上面となる表面には意匠用凹凸部5を設けるとともに、裏面には前記控部4を3体三脚状態に垂設した構成とした成形品で、この意匠用凹凸部はたとえば石積み模様とするなどし、またコンクリートブロックの材質自体の選定によるコンクリート明暗度の調整をするなどしてできるだけ並設継ぎ目が目立たないようにしている。またたとえば、その明暗度により景観を損なわないようにしたり、石積みのように凹凸模様を施しつつその石状凸部のエッジを鋭角としてこの護岸を歩いて上り下りし易いようにするなどこの凹凸デザインを工夫している。
【0030】
またたとえば2平方メートル程度のかなり大型化したものとし、広範囲の付設面1に対しても効率よく施工でき、工期の短縮化が図れるようにしている。
【0031】
またこの本実施例の大型化法覆工ブロックのブロック本体部2の平面視形状は、法面の付設面1に手前側を傾斜下方側にし後方側を傾斜上方側にして谷積みするほぼひし形の谷積み形状としている。
【0032】
すなわち左右に並設することで上側および下側(前後側)にV字状および逆V字状の係合用谷辺縁部が形成される山状辺縁部6が前後縁部に設けられていて、またこの並設する際に突き合せる短い突合せ側辺縁部7が左右に設けられている形状(両側辺が短い6角形形状(左右側部が前後方向に短くカットされているほぼひし形形状)としている。
【0033】
また本実施例の控部4は、さらに説明すると、前記付設面1に設置する底面はほぼ平坦で脚柱部の途中高さ位置には、被覆固定強度を高めるなどのための径小なくびれ部8が設けられていているとともに、前記ブロック本体部2の縁部から少なくとも30mm以内の前記縁部寄り位置に設けた構成としている。
【0034】
したがって、たとえば、本実施例の谷積み形状の法覆工ブロックでは、図8に示すように、下側列のコンクリートブロック列の上縁部に多数連続並設形成されているV字状の係合用谷辺縁部に、下側(手前側)の山状辺縁部6が係合するようにして、順次次段(次列)のコンクリートブロックを左右の突合せ側辺縁部7を突合せて左右方向に並設し、またこの際手前側の基点となる控部4と残り2体の控部4との3点で安定性よく設置できることとなるとともに、基点となる控部4との左右各対角方向で微調整揺動させたり控部4の底部に調整材を入れ込むなどして傾けたりして基準の高さおよび傾斜度となるように姿勢を調整しその姿勢を容易に保持できることとなる。
【0035】
したがって、コンクリートブロック(ブロック本体部2)は三脚状態の控部4で付設面1に設置されているため、容易に安定性よく設置でき姿勢を容易に定めることができ、またその後の姿勢微調整は調整材を入れ込む控部4が縁部寄り位置にあり、またその脚数(控部4の数)も少ないためこの姿勢調整作業も調整後姿勢仮保持作業もスムーズにしてスピーディーに行えることとなる。
【0036】
すなわち、この姿勢調整作業や姿勢仮保持作業は、作業者からすると手前に位置する山状辺縁部6の左右の辺縁部から十分に近い縁部寄り位置に控部4を設けた構成であるから、必要に応じて吊り降ろすクレーンでサポートした状態で、たとえば縁部を手で上げ下げしてもよいし、吊り下ろして3点設置した後その縁部からブロック本体部2の裏側に手や足を入れて、たとえばその控部4の底部に調整材(スペーサーや土砂など)を入れ込むことで容易にできる。そのためたとえクレーンで吊り下げ設置させる大型化したコンクリートブロックにおいてもこのように調整作業も姿勢仮保持作業もスムーズにしてスピーディーに行えることとなる。
【0037】
そして、その後、図8に示すように、たとえば固定用材3(コンクリート)を下側列の未打設部分である残り半分の位置から、次列(上側列)として並設したコンクリートブロック列の半分の高さ位置まで充填打設して、下側列と上側列とを接合固定するとともに付設面1にこの次列を被覆固定するが、このようにして順次次列を並設積み上げ固定して、多数段(多数列)積み上げ施工する構成としている。
【0038】
尚、下端の基礎工に並設するいわば1段目(1列目)のコンクリートブロックは、たとえば図5図6に示すような、ほぼひし形形状でなく三角形状のコンクリートブロックとするが、このコンクリートブロックにも同様に三脚状態に3体の控部4を設けた構成とする。また一定間隔をおいて設ける横帯工に位置する左右端部にも図示していないが向きを変えた三角形状のコンクリートブロックを用いる。
【0039】
また尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0040】
1 付設面
2 ブロック本体部
3 固定用材
4 控部
5 意匠用凹凸部
6 へ字状辺縁部
7 突合せ側辺縁部
8 径小くびれ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8