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特許7384476ボイラー燃焼用通風構造の最適化方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】ボイラー燃焼用通風構造の最適化方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   F23N 3/06 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
F23N3/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022088333
(22)【出願日】2022-05-31
(65)【公開番号】P2023029218
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】202110958059.1
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522204913
【氏名又は名称】常州工学院
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】顧 偲▲ブン▼
(72)【発明者】
【氏名】句 愛松
(72)【発明者】
【氏名】王 加安
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0173649(US,A1)
【文献】特開2002-227721(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104776446(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110017470(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108426266(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107702079(CN,A)
【文献】特開2002-287821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 1/00 - 5/26
F23L 1/00 - 99/00
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラー燃焼用通風構造の最適化方法であって、
ボイラー燃焼用通風構造の最適化すべき変数を決定するステップと、ここで、前記最適化すべき変数は、一次空気弁と二次空気弁の調節量を含む、
ボイラーの年間コストに対する目的最適化関数とそれに対応する制約条件を確立するステップと、
前記目的最適化関数と前記制約条件に従って計算し、制約条件を満たし、かつ、年間コストが最も低い前記最適化すべき変数を得るステップと、
得られた制約条件を満たし、かつ年間コストが最も低い最適化すべき変数に応じて、制約条件を満たし、かつ年間コストが最も低いボイラー燃焼用通風構造の最適化制御方式を生成するステップと、を含み、
前記目的最適化関数は、minJ=OP+CAPであり、
ここで、Jは年間コスト、OPは年間運用コスト、CAPは年間固定投資コストであり、
前記年間運用コストは、以下の式で算出され、
【数1】
ここで、
【数2】
は供給機器iの電力消費量、L は機器損失、
【数3】
は供給燃料rの使用量、
【数4】
は前記供給機器iの供給燃料rの使用量に対応するコスト係数である
ことを特徴とする
ボイラー燃焼用通風構造の最適化方法。
【請求項2】
供給機器の電力消費量は、以下の式で生成され、
【数5】
ここで、
【数6】
はボイラーの燃焼効率に直接影響を与える機器の電力消費量、
【数7】
はボイラーの燃焼効率に間接的に影響を与える機器の電力消費量、δとσは重み係数であることを特徴とする
請求項に記載のボイラー燃焼用通風構造の最適化方法。
【請求項3】
制約条件は、前記一次空気弁の調節量、前記二次空気弁の調節量、および伝達変数間の組み合わせ関係を含むことを特徴とする
請求項1に記載のボイラー燃焼用通風構造の最適化方法。
【請求項4】
ボイラー燃焼用通風構造の最適化システムであって
決定モジュールであって、ボイラー燃焼用通風構造の最適化すべき変数を決定するために使用され、ここで、前記最適化すべき変数が一次空気弁と二次空気弁調節量を含む決定モジュールと、
確立モジュールであって、ボイラーの年間コストに関する目的最適化関数とそれに対応する制約条件を確立するために使用される確立モジュールと、
取得モジュールであって、前記目的最適化関数と前記制約条件に従って計算し、制約条件を満たし、かつ、年間コストが最も低い前記最適化すべき変数を取得するために使用される取得モジュールと、
生成モジュールであって、取得された制約条件を満たし、かつ年間コストが最も低い前記最適化すべき変数に応じて、制約条件を満たし、かつ年間コストが最も低いボイラー燃焼用通風構造の最適化制御方式を生成するために使用される生成モジュールとを含み、
前記目的最適化関数は、minJ=OP+CAPであり、
ここで、Jは年間コスト、OPは年間運用コスト、CAPは年間固定投資コストであり、
前記年間運用コストは、以下の式で算出され、
【数8】
ここで、
【数9】
は供給機器iの電力消費量、L は機器損失、
【数10】
は供給燃料rの使用量、
【数11】
は前記供給機器iの供給燃料rの使用量に対応するコスト係数である
ことを特徴とする
ボイラー燃焼用通風構造の最適化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラー制御の技術分野に関し、具体的にはボイラー燃焼用通風構造の最適化方法およびボイラー燃焼用通風構造の最適化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラーの燃焼効率は、給気量と給気位置などによって変化し、ボイラー会社の利益に直接影響する。関連技術では、通常、給気パラメータは経験則に従って手動で調整される。しかしながら、燃焼過程での複雑な化学反応と激しい温度ヒステリシスを考慮すると、給気パラメータを調整した後、通風構造の最適化という目的を達成することはできない。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、上記技術的問題を解決するために、ボイラー燃焼の最適化方法を提供し、それは、通風構造の最適化により、ボイラー燃焼の効率を大幅に向上させると同時に、ボイラーの収益を高めることができる。
【0004】
本発明に用いられる技術的解決手段は、以下のとおりである、
【0005】
ボイラー燃焼用通風構造の最適化方法であって、
ボイラー燃焼用通風構造の最適化すべき変数を決定するステップと、ここで、前記最適化すべき変数は、一次空気弁と二次空気弁のオンオフ量と調節量を含み、ボイラーの年間コストに対する目的最適化関数とそれに対応する制約条件を確立するステップと、前記目的最適化関数と前記制約条件に従って計算し、制約条件を満たし、かつ、年間コストが最も低い前記最適化すべき変数を得るステップと、得られた制約条件を満たし、かつ年間コストが最も低い最適化すべき変数に応じて、制約条件を満たし、かつ年間コストが最も低いボイラー燃焼用通風構造の最適化制御方式を生成するステップとを含む。
【0006】
前記目的最適化関数は、minJ=OP+CAPであり、
ここで、Jは年間コスト、OPは年間運用コスト、CAPは年間固定投資コストである。
前記年間運用コストは、以下の式で算出され、
【数1】
ここで、
【数2】
は供給機器iの電力消費量、Lは機器損失、
【数3】
は供給燃料rの使用量、
【数4】
は前記供給機器iの供給燃料rの使用量に対応するコスト係数である。
供給機器の電力消費量は、以下の式で生成され、
【数5】
ここで、
【数6】
はボイラーの燃焼効率に直接影響を与える機器の電力消費量、
【数7】
はボイラーの燃焼効率に間接的に影響を与える機器の電力消費量、δとσは重み係数である。
【0007】
制約条件は、前記一次空気弁の調節量、前記二次空気弁の調節量、および伝達変数間の組み合わせの関係を含む。
【0008】
制約条件は、前記一次空気弁の調節量、前記二次空気弁の調節量、および伝達変数間の組み合わせの関係を含む。
【0009】
制約条件はさらに、可変トレードオフ関係、前記一次空気弁の調節上限と下限
【数8】
、前記二次空気弁の調節上限と下限
【数9】
、風量変動の上限と下限D≦D≦Dを含む。
ボイラー燃焼用通風構造の最適化システムであって、それは、決定モジュールであって、ボイラー燃焼用通風構造の最適化すべき変数を決定するために使用され、ここで、前記最適化すべき変数が一次空気弁と二次空気弁のオンオフ量と調節量を含む決定モジュールと、確立モジュールであって、ボイラーの年間コストに関する目的最適化関数とそれに対応する制約条件を確立するために使用される確立モジュールと、取得モジュールであって、前記目的最適化関数と前記制約条件に従って計算し、制約条件を満たし、かつ、年間コストが最も低い前記最適化すべき変数を取得するために使用される取得モジュールと、生成モジュールであって、取得された制約条件を満たし、かつ年間コストが最も低い前記最適化すべき変数に応じて、制約条件を満たし、かつ年間コストが最も低いボイラー燃焼用通風構造の最適化制御方式を生成するために使用される生成モジュールとを含む。
【0010】
本発明の有益な効果は以下のとおりである、
本発明は、通風構造の最適化により、ボイラー燃焼の効率を大幅に向上させると同時に、ボイラーの収益を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施例におけるボイラー燃焼用通風構造の最適化方法のフローチャートである。
図2図2は、本発明の一実施例における一次送風調節変数、二次送風調節変数および伝達変数間の組み合わせ関係図である。
図3図3は、本発明の一実施例におけるローリング最適化戦略を使用した追加量のオンライン予測の概略図である。
図4図4は、本発明の実施例におけるボイラー燃焼用通風構造の最適化システムの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下は、本発明の実施例における添付図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、説明された実施例は本発明の実施例の一部に過ぎず、その全てではないことは明らかである。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な努力なしに得られる他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に含まれる。
【0013】
図1は、本発明の実施例によるボイラー燃焼用通風構造の最適化方法のフローチャートである。
【0014】
具体的には、図1に示すとおり、本発明の実施例におけるボイラー燃焼用通風構造の最適化方法は、以下のステップを含み得る、
S1、ボイラー燃焼用通風構造の最適化すべき変数を決定する。
ここで、前記最適化すべき変数は、一次空気弁と二次空気弁のオンオフ量と調節量を含む。
S2、ボイラーの年間コストに対する目的最適化関数とそれに対応する制約条件を確立する。
【0015】
本発明の一実施例によれば、目的最適化関数は、以下のとおりであり、
minJ=OP+CAP(1)
ここで、Jは年間コスト、OPは年間運用コスト、CAPは年間固定投資コストである。
すなわち、従来の複雑で不正確な燃焼効率メカニズムの計算式を一般的な計算式に置き換え、複雑な燃焼効率と利益を計算するのではなく、すべての要素を考慮した経済的な計算を用い、最終的な最適化結果を得た後、単純に換算してボイラーの総燃焼効率と年間利益を求めることができる。
【0016】
本発明の一実施例によれば、以下の式で年間運用コストを生成することができ、
【数10】
ここで、
【数11】
は供給機器iの電力消費量、Lは機器損失、
【数12】
は供給燃料rの使用量、
【数13】
は供給機器iの供給燃料rの使用量に対応するコスト係数であり、下付き文字rは燃料rを表し、iとrを二重下付き文字にすることでボイラーのどこかに位置決めすることができる。
【0017】
ここで、以下の式で供給機器の電力消費量を生成することができ、
【数14】
ここで、
【数15】
はボイラーの燃焼効率に直接影響を与える機器の電力消費量、
【数16】
はボイラーの燃焼効率に間接的に影響を与える機器の電力消費量、δとσは重み係数である。
【0018】
ここで、下付き文字iは機器を表し、i∈Iで、下付き文字xとNxはそれぞれボイラーの燃焼効率に直接および間接的な影響を与える機器を表し、2つの組み合わせがすべての機器のセットを構成し、I={1、2、... x、N1、N2、...、Nx}である。δとσは重み係数であり、それらの値はヒューリスティックルールによって決定され、直接影響を与える機器ではより大きな係数を取得することができる。
【0019】
なお、式(1)におけるCAPは、以下の式で算出することができる。
【数17】
ここで、Mは新しく追加された機器の年間コスト、下付き文字kは新しく追加された機器を表す。
【0020】
ここで、制約条件は、以下のいくつかの条件を含み得る。
本発明の一実施例によれば、制約条件は、一次空気弁の調節量、二次空気弁の調節量、および伝達変数間の組み合わせ関係を含む。
【0021】
具体的には、図2に示すとおり、一次空気弁の調節量
【数18】
(一次送風調節変数)、二次空気弁の調節量μ(二次送風調節変数)、および伝達変数γmax{l,b}+v間の組み合わせ関係を確立することが可能である。本発明の一実施例において、すべての可能な関係の組み合わせを列挙することができ、一次送風調節変数の変化が伝達変数に、次に伝達変数から二次送風調節変数に伝送し、変数の変化を「真の」中間変数と見なされ、変数間の複雑な相互関係を整理する必要なく、変数の変化伝送のプロセスは、関係割り当てのプロセスであり、そうすると、送風調節量と関連する変数の間のメカニズム関係を正確に説明できない元の状況を変えることができる。モデルの説明は以下のとおりであり、
【数19】
ここで、上記モデルは、ボイラー燃焼過程における変数の変化を記述するために使用される、送風関連変数の全要素入力生成モデルである。ここで、γmax{l,b}+v(t+1)とμ(t+1)はそれぞれ次の瞬間の伝達と二次送風機の出力変数で、
【数20】
とγmax{l,b}+v(t)は前の瞬間の入力変数である。
【数21】
は改良されたファンクションチェーン人工ニューラルネットワークによってトレーニングされた全要素入力モデルである。
【0022】
本発明の他の実施例によれば、制約条件は、一次空気弁の調節量、二次空気弁の調節量とオンオフ量との組み合わせ関係をさらに含む。
【0023】
具体的には、オンオフ問題は、上記モデルと1対1で対応し、すなわち、ある送風に調節量がある場合、対応するスイッチを閉じなければならず、ここで、モデルの説明は以下のとおりであり、
【数22】
ここで、zは整数変数である。
【0024】
本発明のさらなる実施例によれば、制約条件は、
(1)可変トレードオフ関係(以前の全要素入力生成モデルにより、任意の送風機によって任意の期間に生成された風量を知ることができる)と、(2)一次空気弁の調節量の上限と下限
【数23】
と、(3)二次空気弁の調節量の上限と下限
【数24】
と、(4)風量変動の上限と下限D≦D≦Dとを含む。ここで、制約条件(1)に対して、材料層の厚さを以下のように記述し、
M=Fhρ、(9)
ここで、Mは炉内のベッド材の総量、hは材料層の厚さ、Fは炉床の面積、ρはベッド材の積み上げ密度である。また、平均滞留時間t=M/wを考慮し、ここで、wはスラグ排出速度である。
【0025】
しかしながら、式(9)におけるすべての変数とパラメータはボイラーの燃焼に関連し、その実際の変化は単純なメカニズム式では探求できないため、ここではサポートベクターマシン(SVM)による情報粒度時系列回帰予測も使用できるが、上記のプロセスとは異なり、ここでは上記メカニズム式の枠組みを考慮する必要があり、すなわち、初期値を取り込んでメカニズム式のパラメータの一部と入力重みを固定することが必要である。ここで、データ駆動型の感度評価方法によって選択される固定パラメータ:収量Bの小さな感度に対応するパラメータは、次の式で示されるように、
【数25】
注意すべきは、収量Bはデータ自体の量が多く、データポイントが間違っていたり無効であったりするなど不確定要素が多く存在する可能性があるため、データを直接導入して最適化問題を解くと、結局、最適解が得られない、あるいは解けないということになり、したがって、感度分析は、最適化問題を解く前の準備作業に過ぎず、最適化の反復中に実行する必要はない。
【0026】
ファジー粒子の基本的な考え方が満たされ、ファジー粒子は元のデータを合理的に表すことができ、同時に、ファジー粒子にはある程度の特異性が必要であるというニーズを満たす必要がある。そして、次のようにXに関する関数を確立し、
【数26】
それをメカニズムモデルに組み込んだ後、次のようになり、
【数27】
それにより、流動化状態での材料層の厚さの関係式を求めることができる。
【0027】
さらに、静止材料層の厚さと風量の関係式は以下のとおりであり、
【数28】
ここで、hgは流動化状態での材料層の厚さの初期値である静止材料層の厚さ、gは重力加速度、λは材料層の抵抗,
【数29】
は炭種によって決定されるスケールファクターである。
式(13)から、材料層の抵抗は静止材料層の厚さに比例することが分かり、すなわち材料層が厚いほど流動化抵抗は大きくなる。同時に、送風量と流動化状態は以下の平衡関係を満たし、
l=v+λ(14)
ここで、lは空気室の静圧、vは通風板の抵抗である。
【0028】
実際の適用では、送風量と風圧には直接的な関係があり、かつ、送風機の性能は通常、両者の関係曲線によって表される。したがって、データを収集して材料層の抵抗と送風量の間のデータベースを確立し、依然としてサポートベクターマシン(SVM)に基づく情報粒度時系列回帰で両者の関係を予測し、
【数30】
一次送風量を増やすと、ボイラー内の流動化状態が変化し、底層の流動化速度が加速し、ボイラーの燃焼効率を向上させるためには、底層材料の滞留時間を長くする必要があり、すなわち、前記ボイラー燃焼の最適化に関する研究成果には火格子供給量
【数31】
が追加され、該追加量は一次送風調節量
【数32】
に直接関係するが、明確なメカニズム的関係を確立することは困難であり、したがって、ローリング最適化戦略を使用して追加量をオンラインで予測し、その具体的なプロセスは図3に示すとおりである。
【0029】
提案されたローリング最適化戦略によれば、本発明は、隣接する瞬間の追加の火格子供給量
【数33】
を相関させるために、一般化された線形状態空間モデルを確立する。該モデルは、離散時間線形状態空間モデルに基づいている。
【0030】
例えば、離散時間線形状態空間モデルは、
【数34】
のように記述される。ここで、
【数35】
は瞬間mでの追加の火格子供給量であり、該変数の将来の状態も表す。該追加の火格子供給量に関連する現在の状態ベクトルXm,iは、一次送風調節量で構成される。
【数36】
は、関連する入力変数を表す。AとBはそれぞれ状態行列と入力行列である。該モデルは正確で連続的なモデルの離散化形式であるため、該モデルとボイラー燃焼力学モデルとの不一致はない。このように、上記離散モデルは、追加の火格子供給量と一次送風調節量を相関させる。
【0031】
追加の火格子供給量は一次送風調節量を反映するため、追加の火格子供給量の現在と将来の状態の間の関係を上記モデルから抽出し、
【数37】
のように記述される。ここで、
【数38】
、追加の火格子供給量を調節するための一次送風調節量の制御動作を表し、かつ、それは、追加の火格子供給量の将来の状態に影響を与える。A*とB*はそれぞれ将来の状態での追加の火格子供給量と追加の火格子供給量に対する制御動作の影響を表す。そして、ローリング最適化戦略を上記モデルに導入することで、
【数39】
のようになる。ここで、A**とB**は、追加の火格子供給量に対する前回の調整がこの時点での状態に与える影響を表し、C**の意味も同じように理解できる。
【数40】
はそれぞれ、瞬間m-1での追加の火格子供給量の将来状態での一次送風調節量とその制御動作を表す。ソリューションの品質の観点から、ワンショットのオフライン最適化プロセスは、各瞬間にこの瞬間に対する最適なパフォーマンスを取得することを目的としているが、その制限は、取得される最適ではないソリューションにある。逆に、ローリング最適化は、時間範囲で繰り返しオンラインで実行され、現時点での特定の変数で将来の時点のキー変数を決定するため、ボイラー燃焼の動的モデルの不一致、時変外乱、ランダム外乱などの要因を考慮し、時間的に更新および修正してプロセス全体の動的最適化を達成することができる。
【0032】
しかし、追加の火格子供給量が一次送風量で調節して大きすぎる場合、ガス固体混合物の変動が大きく、これは、二次送風通風構造の変化に直結するため、上記の送風調節量の組み合わせ最適化関係の導入は、二次送風分散を最適化して通風構造を安定化し、完全燃焼を確保してボイラー効率を向上させる。
【0033】
S3、目的最適化関数と制約条件に従って計算し、制約条件を満たし、かつ年間コストが最も低い最適化すべき変数を得る。
【0034】
S4、得られた制約条件を満たし、年間コストが最も低い最適化すべき変数に応じて、制約条件を満たし、かつ年間コストが最も低いボイラー燃焼用通風構造の最適化制御方式を生成する。
【0035】
具体的には、上記方法で目的最適化関数と制約条件を決定した後、目的最適化関数と制約条件に従って計算し、制約条件を満たし、かつ年間コストが最も低い最適化すべき変数を求めることで、制約条件を満たし、かつ年間コストが最も低いボイラー燃焼の最適化制御方式を生成することができる。その結果、ボイラーの燃焼効率と収益を改善できるだけでなく、ボイラーの通風構造の最適化という難題を、主要な変数間の相関を考慮して解決することができるようになる。
【0036】
要約すると、本発明の実施例によるボイラー燃焼用通風構造の最適化方法によれば、ボイラー燃焼用通風構造の最適化すべき変数を決定し、かつ、ボイラーの年間コストに対する目的最適化関数とそれに対応する制約条件を確立し、そして前記目的最適化関数と前記制約条件に従って計算し、制約条件を満たし、かつ年間コストが最も低い前記最適化すべき変数を取得し、次に、得られた制約条件を満たし、年間コストが最も低い最適化すべき変数に応じて、制約条件を満たし、かつ年間コストが最も低いボイラー燃焼用通風構造の最適化制御方式を生成する。その結果、通風構造を最適化することで、ボイラーの燃焼効率を大幅に向上させると同時に、ボイラーの収益を高めることができる。
上記実施例のボイラー燃焼用通風構造の最適化方法に対応して、本発明は、ボイラー燃焼用通風構造の最適化システムも提供する。
【0037】
図4に示すとおり、ボイラー燃焼用通風構造の最適化システムは、決定モジュール100と、確立モジュール200と、取得モジュール300と、生成モジュール400とを含み得る。
【0038】
ここで、決定モジュール100は、ボイラー燃焼用通風構造の最適化すべき変数を決定するために使用され、ここで、最適化すべき変数は一次空気弁と二次空気弁のオンオフ量と調節量を含み、確立モジュール200は、ボイラーの年間コストに関する目的最適化関数とそれに対応する制約条件を確立するために使用され、取得モジュール300は、目的最適化関数と制約条件に従って計算し、制約条件を満たし、かつ、年間コストが最も低い最適化すべき変数を得るために使用され、生成モジュール400は、得られた制約条件を満たし、かつ年間コストが最も低い最適化すべき変数に応じて、制約条件を満たし、かつ年間コストが最も低いボイラー燃焼用通風構造の最適化制御方式を生成するために使用される。
【0039】
本発明の実施例におけるボイラー燃焼用通風構造の最適化システムのより具体的な実施形態は、上記ボイラー燃焼用通風構造の最適化方法の実施例を参照することができ、ここでは繰り返さないことに留意されたい。
【0040】
本発明の実施例におけるボイラー燃焼用通風構造の最適化システムによれば、決定モジュールによって、ボイラー燃焼用通風構造の最適化すべき変数を決定し、確立モジュールによって、ボイラーの年間コストに関する目的最適化関数とそれに対応する制約条件を確立し、取得モジュールによって、目的最適化関数と制約条件に従って計算し、制約条件を満たし、かつ、年間コストが最も低い最適化すべき変数を取得し、そして、生成モジュールによって、得られた制約条件を満たし、かつ年間コストが最も低い最適化すべき変数に応じて、制約条件を満たし、かつ年間コストが最も低いボイラー燃焼用通風構造の最適化制御方式を生成する。その結果、通風構造を最適化することで、ボイラーの燃焼効率を大幅に向上させると同時に、ボイラーの収益を高めることができる。
【0041】
本発明の説明において、「第一」及び「第二」という用語は、説明の目的のみに使用され、相対的な重要性を示すまたは示唆するものとして、または示された技術的特徴の数を暗示するものとして理解することはできない。したがって、「第一」「第二」として定義される特徴は、その特徴の1つ以上を明示的または暗黙的に含むことができる。「複数」とは、特に明示的に限定されない限り、2つ以上を意味する。
【0042】
本発明において、特に明記および限定されない限り、「取り付け」、「繋がり」、「接続」、「固定」などの用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能な接続、または一体型の接続であってもよく、機械的接続または電気的接続であってもよく、直接接続、中間媒体を介した間接接続、2つの要素内の接続または2つの要素間の相互作用関係であってもよい。当業者にとって、本発明の文脈における上記用語の具体的な意味は、特定の状況に従って理解することができる。
【0043】
本発明において、特に明記および限定されない限り、第二特徴の「上」または「下」にある第一特徴は、第一特徴と第二特徴の間の直接接触であってもよいし、中間媒体を介した第一特徴と第二特徴の間の間接的な接触であってもよい。さらに、第一特徴が第二特徴の「の上」、「の上方」、「の上部」にあるということは、第一特徴が第二特徴の直上または斜め上にあること、または単に第一特徴が第二特徴より水平方向に高いことを意味することができる。第一特徴が第二特徴の「の下」、「の下方」、「の下部」にあるということは、第一特徴が第二特徴の直下または斜め下にあること、または単に第一特徴が第二特徴より水平方向の高さが低いことを意味することができる。
【0044】
本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「特定の例」、または「いくつかの例」などの用語の説明を参照することは、該実施例または例に関連して説明した特定の特徴、構造、材料または特性が、本発明の少なくとも1つの実施例または例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の模式的表現は、同一の実施形態または実施例に向けられる必要はない。さらに、説明した特定の特徴、構造、材料または特性は、任意の1つまたは複数の実施例または例において、適切な方法で組み合わせることができる。さらに、当業者は、互いに矛盾することなく、本明細書に記載された異なる実施例または例、および異なる実施例または例の特徴を組み合わせることができる。
【0045】
フローチャートにおいて、または本明細書に記載された任意のプロセスまたは方法の説明は、特定の論理機能またはプロセスのステップを実装するための1つまたは複数の実行可能命令を含むコードのモジュール、セグメントまたは部分を表すものとして理解でき、また、本発明の好ましい実施形態の範囲は、追加の実装を含み、ここで、本発明の実施例が属する当業者によって理解されるように、関与する機能に応じて、実質的に同時の方法または逆の順序を含む示されたまたは論じた順序ではない機能を実行し得る。
【0046】
フローチャートに示され、または本明細書に記載される論理および/またはステップは、例えば、命令実行システム、デバイスまたは機器(例えば、コンピュータベースのシステム、プロセッサを含むシステム、または命令実行システム、デバイス、または機器から命令をフェッチして実行できる他のシステムなど)により、またはこれらと組み合わせて用いるために任意のコンピュータ可読媒体に具体的に実装できる論理機能を実行するための実行命令の連続したリストと見なすことができる。本明細書では、「コンピュータ可読媒体」は、命令実行システム、デバイスまたは機器によって、またはそれらと組み合わせて使用するためのプログラムを含み、格納し、通信し、送信し、または転送することができる任意のデバイスとすることができる。コンピュータ可読媒体のより具体的な例(非網羅的なリスト)としては、1つ以上の配線を有する電気的接続部(電子デバイス)、ポータブルコンピュータディスクカートリッジ(磁気デバイス)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能編集可能読み取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバデバイス、およびポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CDROM)を含む。さらに、コンピュータ可読媒体は、前記プログラムが電子的に、例えば紙または他の媒体の光学スキャンによって得られ、続いて編集、復号化、または必要に応じて他の適切な方法で処理され、その後コンピュータメモリに格納されるため、前記プログラムが印刷可能な紙または他の適切な媒体であってもよい。
【0047】
本発明の様々な部分は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせで実装できることを理解すべきである。上述実施例において、複数のステップまたは方法は、メモリに格納され、適切な命令実行システムによって実行されるソフトウェアまたはファームウェアで実装されてもよい。例えば、ハードウェアで実装する場合、別の実施態様のように、当技術分野でよく知られている以下の技術のいずれかまたはそれらの組み合わせを用いることができ、それらは、データ信号に対して論理機能を実現するための論理ゲートを備えたディスクリート論理回路、適切な組み合わせ論理ゲートを備えたアプリケーション固有の集積回路、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などである。
【0048】
当業者であれば、上記実施例の方法によって実行されるステップの全てまたは一部を、プログラムによって関連ハードウェアに指示することができ、前記プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に格納することができ、該プログラムが実行されると、方法実施例のステップの1つまたはその組み合わせを含むことを理解することができる。
【0049】
さらに、本発明の各実施例における各機能ユニットは、1つの処理モジュールに統合されてもよいし、各ユニットが物理的に単独で存在してもよいし、2つ以上のユニットが1つのモジュールに統合されてもよい。上記統合モジュールは、ハードウェアの形態で実装することができ、ソフトウェアの機能モジュールの形態で実装することもできる。前記統合モジュールは、ソフトウェア機能モジュールの形態で実装され、独立した製品として販売または使用される場合、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納することもできる。
【0050】
上記記憶媒体は、読み取り専用メモリ、磁気ディスクまたは光ディスクなどでもよい。以上、本発明の実施例を示し、説明したが、上記実施例は例示であり、本発明を限定するものとして解釈されるものではなく、上記実施例に対する変形、修正、置換、および変形は、本発明の範囲内で当業者によりなされ得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4