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  • 特許-食材結着方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】食材結着方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20231114BHJP
   A23L 29/244 20160101ALI20231114BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20231114BHJP
   A23L 35/00 20160101ALI20231114BHJP
【FI】
A23L5/00 F
A23L29/244
A23L29/00
A23L35/00
A23L5/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023059946
(22)【出願日】2023-04-03
【審査請求日】2023-04-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514064408
【氏名又は名称】紅梅食品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】堀口 悦宏
(72)【発明者】
【氏名】西舘 玲奈
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特許第7198533(JP,B1)
【文献】特開平09-009924(JP,A)
【文献】特公昭47-008980(JP,B1)
【文献】特開2011-152087(JP,A)
【文献】特開平02-186965(JP,A)
【文献】ぜいたく庵,おからとこんにゃくで偽物ハンバーグ, [online],cookpad,2011年05月17日,[令和5年5月23日検索], インターネット, <URL: https://cookpad.com/recipe/1441769>
【文献】服部みどり,本当に美味しいしゅうまい|何度も作りたい定番レシピVol.7, [online],レシピサイトNadia,2019年07月27日,[令和5年5月24日検索], インターネット, <URL: https://oceans-nadia.com/user/64286/article/2398>
【文献】ガセリさ,ピーマン肉詰めにこの一手間, [online],cookpad,2008年12月10日,[令和5年5月24日検索], インターネット, <URL: https://cookpad.com/recipe/696889>
【文献】大量調理施設衛生管理マニュアル,1997年03月24日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/00
A23L 29/244
A23L 29/00
A23L 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
こんにゃく粉と水を混合してマンナン液を製造する工程と;
小片食材にでんぷん粉をまぶす工程と;
前記でんぷん粉がまぶされた小片食材を前記マンナン液と混合する工程と;
前記マンナン液と混合した小片食材を成形する工程とを備え
前記小片食材にでんぷん粉をまぶす工程の前に、前記小片食材を重曹水に浸漬し、その後水洗する工程を更に備える;
食材結着方法。
【請求項2】
前記マンナン液を製造する際に、でんぷん粉も混合する;
請求項1に記載の食材結着方法。
【請求項3】
前記成形した小片食材を凍結する工程を更に備える;
請求項1に記載の食材結着方法。
【請求項4】
前記小片食材にでんぷん粉をまぶす工程において、前記でんぷん粉にメチルセルロースあるいはヒドロキシプロピルメチルセルロースを混合してまぶす;
請求項1に記載の食材結着方法。
【請求項5】
前記小片食材が冷凍コーンである;
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の食材結着方法。
【請求項6】
前記小片食材がミックスベジタブルである;
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の食材結着方法。
【請求項7】
前記小片食材がみじん切りされた玉ねぎである;
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の食材結着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材結着方法に関し、特に、小片食材を成形性良く結着し、大量生産に適した食材結着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)により環境に優しい生活が求められてきている。その中で、世界人口の増加および気候変動等のために、食料危機への懸念が増加しつつある。このような情勢から、食品ロスへの関心が高まっている。
【0003】
本願の発明者らは、食材の端材を有効活用することが食品ロスを減少する一助になるものと考えた。端材は、例えば野菜の寸法を所定の寸法に揃えるために生じる小さな野菜片などの、寸法の小さな食材である。端材の使用を促進するためには、寸法の小さな端材のままでは食べにくく、ハンドリングに手間取り効率が良くないので、端材をハンドリングしやすい大きさにまとめるのが有効である。さらに、コーン等の寸法の小さな食材をまとめて食べやすい寸法にすることにより、新しい食材を提供することができるとも考えた。
【0004】
食材を結着してまとめる一方法として、プルラン、グルカンおよびオリゴ糖を混合した糖類を結着剤として用いる方法が提案されている(特許文献1参照)。当該結着剤は、主として乾燥食材を結着するもので(段落0055)、結着後に乾燥または加熱することを推奨している(段落0068)。そして、上記の結着剤の成分はすべてが糖類であること、および実施例で小片状ゴーフルを用いていることからも、甘みを有する結着剤となるものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第WO2018/212118号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のように、例えば野菜の端材を結着しようとすると、水分が多いので結着しにくく、乾燥すると風味も変化してしまう。さらに、結着剤の甘みが食材に加わることによる、風味の変化も懸念される。
【0007】
そこで、本発明は、必ずしも乾燥していない小片食材を結着し、結着後の乾燥も加熱も不要で形状を維持でき、かつ、大量生産にも適した食材結着方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様の食材結着方法では、例えば図1に示すように、こんにゃく粉と水を混合してマンナン液を製造する工程S100と、小片食材にでんぷん粉をまぶす工程S30と、前記でんぷん粉がまぶされた小片食材を前記マンナン液と混合する工程S40と、前記マンナン液と混合した小片食材を成形する工程S50とを備える。
【0009】
このように構成すると、でんぷん粉をまぶした小片食材に、こんにゃく粉と水を混合して製造したマンナン液を混合して成形することにより、小片食材が結着した食材を製造できる。小片食材が水分を含み、結着後に加熱や乾燥をしなくても、成形された形状を維持し、大量生産にも適する。
【0010】
本発明の第2の態様の食材結着方法では、例えば図1に示すように、前記マンナン液を製造する際に、でんぷん粉も混合する。このように構成すると、マンナン液にでんぷん粉も混合されることにより、マンナン液中にこんにゃく粉が混じりやすく、こんにゃく粉だけが固まることを防止でき、結着食材として滑らかにし易い。
【0011】
本発明の第3の態様の食材結着方法では、例えば図1に示すように、前記成形した小片食材を凍結する工程S60を更に備える。このように構成すると、結着して成形した食材を凍結するので、成形した形状が確実に維持され、ハンドリングが容易になると共に、食材の経時変化を防止できる。
【0012】
本発明の第4の態様の食材結着方法では、例えば図1に示すように、前記小片食材にでんぷん粉をまぶす工程S30の前に、前記小片食材をアルカリ水に浸漬しS10、その後水洗する工程S20を更に備える。このように構成すると、アルカリ水により小片食材の表面が傷つけられ、よりしっかりと結着するようになる。
【0013】
本発明の第5の態様の食材結着方法では、例えば図1に示すように、小片食材にでんぷん粉をまぶす工程S30において、でんぷん粉に食物繊維を混合してまぶす。このように構成すると、食物繊維も混合してまぶされるので、結着食材はサクサクとした食感が得られる。
【0014】
本発明の第6の態様の食材結着方法では、前記小片食材が冷凍コーンである。このように構成すると、冷凍コーンの粒が結着されたコーン食材を製造することができる。
【0015】
本発明の第7の態様の食材結着方法では、前記小片食材がミックスベジタブルである。このように構成すると、ミックスベジタブルの粒が結着されたベジタブル食材を製造することができる。
【0016】
本発明の第8の態様の食材結着方法では、前記小片食材がみじん切りされた玉ねぎである。このように構成すると、みじん切りされた玉ねぎが結着された玉ねぎ食材を製造することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、でんぷん粉をまぶした小片食材に、こんにゃく粉と水を混合して製造したマンナン液を混合して成形することにより、必ずしも乾燥していない小片食材を結着し、結着後の乾燥も加熱も不要で形状を維持でき、かつ、大量生産にも適した食材結着方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による一例としての食材結着方法を示すフローチャートである。
図2】実施例および比較例で用いた材料をまとめて示す表である。
図3】本発明により結着した食材として、冷凍コーンを結着したコーン食材の外観を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態として、図1のフローチャートを参照して食材結着方法を説明する。先ず小片食材を用意する。小片食材としては、冷凍コーン、ミックスベジタブルみじん切りした玉ねぎ、にんじんやジャガイモ、サツマイモの端材など、水分の多い野菜の小片または粒状の食材であってもよい。または、細切れまたはミンチされた肉類、小型のむきエビを含む魚介の小片、あるいは、穀物類、それらの加工品等、特に制限はされない。ただし、後述するようにマンナン液と混合するので、吸水性の高い小片食材の場合には、吸水分を見込んだマンナン液とすることが望ましい。小片食材の寸法は、そのままではハンドリングしにくいが、小片食材として認識できる寸法であるのが一般的であるが、特に制限はされない。
【0020】
また、アルカリ水を用意する。アルカリ水は、例えば0.1-1%濃度の重曹水である。万一、小片食材に残留しても、人体にとって害にならないアルカリ水が好ましい。
【0021】
また、マンナン液を用意する。マンナン液とは、こんにゃく粉を水に混合した液体である。なお本書で用いる「こんにゃく粉」には、こんにゃく玉(芋)を乾燥したこんにゃく粉以外にも、こんにゃく粉を加工した工業的な製品をも含む。また、こんにゃく玉(芋)を乾燥したこんにゃく粉は、「こんにゃく玉の粉」と称する。工業的な製品としては、例えば、伊那食品工業株式会社のウルトラマンナンGシリーズ、株式会社荻野商店のマジックマンナン等がある。こんにゃく粉を水と混合する(S100)。水には、醤油等の調味料を混ぜておいてもよい。
【0022】
マンナン液を製造する際に、でんぷん粉を混合してもよい。「でんぷん粉」は、馬鈴薯でんぷん粉、もち米でんぷん粉、タピオカでんぷん粉、コーンスターチ、小麦粉、酢酸でんぷん粉などでよい。中でも、馬鈴薯でんぷん粉を用いると、結着強度が増すので、好ましい。こんにゃく粉とでんぷん粉の割合は、同量としても半分としてもよく、あるいはでんぷん粉をこんにゃく粉の5倍としてもよく、特に限定はされない。こんにゃく粉とでんぷん粉を混ぜて、水と混合する(S100)。
【0023】
用意した小片食材をアルカリ水に浸漬する(S10)。浸漬時間は、例えば30分以上とする。短すぎると小片食品の表面に傷が出来ず、また、長すぎると小片食品がアルカリ水を吸収しすぎたり、余分な製造時間を浪費することになる。アルカリ水に浸漬されることにより、小片食材の表面に傷ができる。特に、冷凍コーンなどのように、表面が滑らかな小片食材は、表面を傷つけることにより、結着剤との結着が強固になる。なお、表面に元から細かな凹凸がある小片食材では、この工程を省略してもよい。アルカリ水に浸漬した後、アルカリ水を除去するため、小片食材を水洗する(S20)。
【0024】
水洗した小片食材に、でんぷん粉をまぶす(S30)。でんぷん粉に食物繊維を加えてもよい。食物繊維を混ぜることにより、結着食材の食感が、ねちゃねちゃせずサクサクとした食感となる。でんぷん粉に混ぜる食物繊維の割合は、でんぷん粉の4分の1または半分程度であっても、同量としても、でんぷん粉の2倍程度までとしてもよい。ここでいう食物繊維は、水中拡散性を有するセルロースであればよく、メチルセルロースが好ましく、ゲル化性や乳化性のある食物繊維であってもよい。また、信越化学工業株式会社のメトローズ(登録商標)等の工業的な製品をも含む。
【0025】
でんぷん粉をまぶした小片食材とマンナン液を混合する(S40)。ここで、まぶすでんぷん粉、あるいはでんぷん粉と食物繊維の重量とマンナン液の重量とは、1:10~1:3程度、好ましくは1:7~1:4程度の割合としてもよい。これらの合計重量と小片食品の重量との比は、例えば1:2~1:10、あるいは1:3~1:8とするが、小片食材、すなわち結着食材によっては別の比とすることもあり、特に限定はされない。でんぷん粉をまぶした小片食材とマンナン液を混合することにより、結着食材となる。
【0026】
小片食品をマンナン液と混合した結着食材を成形する(S50)。典型的には、型に入れて成形するが、板状にしてから型抜きしても、棒状にしてから切断しても、成形方法は目的とする結着食材の形状によって適宜選定することができる。
【0027】
成形した結着食材を凍結する(S60)。凍結することにより結着食材の形が安定する。また、結着食材をそのまま冷凍保存することにより、長期保存が可能となる。ただし、結着食材を成形後すぐに食材として提供するような場合には、凍結をしなくてもよい。凍結した結着食材は、貯蔵、輸送、調理等、次工程に送られる(S70)。
【0028】
上記の食材結着方法では、冷凍コーン、ミックスベジタブル、みじん切りされた玉ねぎ、野菜の端材等の水分の多い小片食材であっても強固に結着することが出来る。また、上記の食材結着方法により結着された食材は、結着性が強く、成形後の乾燥や加熱も不要で形状を維持でき、成形後に、焼いたり揚げたり蒸したりする調理をしても形状を維持でき、ハンドリングが容易である。よって、大量生産に適した結着食材となる。さらに、結着食材は、特にでんぷん粉を混ぜる工程(S30)で食物繊維を混ぜることにより、食べたときにネチャネチャ感がなくなり、好ましい。
【実施例
【0029】
以下、実施例を用いて、本発明の食材結着方法を更に詳しく説明する。図2は、実施例および比較例で用いた材料をまとめて示す表である。図2の二重線の上側は、小片食材をアルカリ水に浸漬した条件を示す。二重線の下側で「(マンナン液)」の段から「小計」の段の間は、マンナン液を作成するための成分を示す。「(マンナン液)」の段の上側が、小片食材およびまぶすでんぷん粉等を示す。図中の数値は、重量%を示す。
【0030】
実施例および比較例において、アルカリ水としては0.1%濃度の重曹水を用いた。マンナン液としては、こんにゃく粉として、こんにゃく玉の粉あるいは伊那食品工業株式会社のウルトラマンナンG2および株式会社荻野商店のマジックマンナンを用い、実施例ででんぷん粉を加える場合には馬鈴薯でんぷん粉を加え、醤油、菜種油を適宜添加した水と混合して作成した。
【0031】
小片食材としては、冷凍コーンの粒(単に「冷凍コーン」ともいう)、ミックスベジタブル(トウモロコシ、ニンジン、グリーンピースなどの、細切れにした複数種類の野菜を混ぜた食材。通常は、冷凍して販売されている)、および、みじん切りした玉ねぎを用いた。いずれの小片食材も、乾燥等をさせることなく、水分を保ったままの状態で用いた。まぶすでんぷん粉に混ぜる食物繊維としては、信越化学工業株式会社のメトローズ(登録商標)を用いた。
【0032】
[実施例1]
実施例1では、冷凍コーンをアルカリ水に浸漬し、水洗い後に、でんぷん粉と食物繊維をまぶし、マンナン液と混合して、成形した。ここで、マンナン液は、こんにゃく玉の粉だけを水と混合して製造した。小片食材は結着し、当初の課題が解決されることが判明した。しかし、こんにゃく玉の粉がダマとして残り易く、結着食材中にこんにゃく粉の透明な粒が残り、この粒は伸びにくく成形時にきれいな形になりづらい場合もある。
【0033】
[実施例2]
実施例2では、冷凍コーンをアルカリ水に浸漬し、水洗い後に、でんぷん粉と食物繊維をまぶし、マンナン液と混合して、成形した。マンナン液は、ウルトラマンナンG2およびマジックマンナンに馬鈴薯でんぷん粉を混ぜて水と混合した。こんにゃく粉がダマになることなく滑らかに水と混合された。図3に成形後の結着食材としての結着コーン食材の外観の一例を示す。図3に示すように、表面の滑らかなコーン粒もしっかりと結着された。円盤状に成形後にローラーを掛けても小片食材としてのコーン粒が落ちることがなく、また、成形後に170℃で焼成しても、形状は維持されたままであった。このように、冷凍コーンを結着した結着食材とし、結着後に加熱することも可能である。よって、例えば、屋外での焼きトウモロコシのトウモロコシの代わりに結着コーンを用いることができ、食べやすく、かつ、食後に芯が残らず、ごみを減らすこともできる。
【0034】
[実施例3]
実施例3では、実施例2と同様の方法で結着したが、冷凍コーンの代わりにミックスベジタブルを小片食材として用いた。成形後にミックスベジタブルも形状を維持し、しっかりと結着された。
【0035】
[実施例4]
実施例4では、実施例2、実施例3と同様の方法で結着したが、冷凍コーンやミックスベジタブルの代わりにみじん切りした玉ねぎを小片食材として用いた。成形後にみじん切りした玉ねぎも形状を維持し、しっかりと結着された。さらに、冷凍し、冷凍後に加熱しても形状を維持した。みじん切りの玉ねぎを結着できると、例えばハンバーガーのパテと共にバンズに挟まれる玉ねぎとして用いることが可能となり、パテと玉ねぎを共に工場生産することができる。
【0036】
[実施例5]
実施例5では、実施例2と同様に冷凍コーンを小片食材として用いたが、まぶすでんぷん粉には食物繊維を混合しなかった。実施例2と同様に冷凍コーンは結着し、冷凍して冷凍後に加熱しても形状を維持した。成形後に190℃で焼成しても、形状は維持されたままであった。ただし、実施例2の結着食材と比較すると、結着剤に多少のねちゃねちゃ感が残った。すなわち、でんぷん粉に食物繊維を混ぜて小片食材にまぶすことにより、結着食材にサクサクとした食感が得られることが確認された。
【0037】
[追加実施例]
馬鈴薯でんぷん粉以外のでんぷん粉の使用を確認するため、実施例2と同様の結着方法で、馬鈴薯でんぷん粉ではなく、もち米でんぷん粉、タピオカでんぷん粉、コーンスターチ、小麦粉、酢酸でんぷん粉を用いてマンナン液を製造し、また、小片食材にまぶした。いずれのでんぷん粉を用いても、小片食材としての冷凍コーンは結着された。
【0038】
また、まぶすでんぷん粉に混ぜる食物繊維について、メトローズ以外の繊維の使用を確認するため、実施例2と同様の結着方法で、更に5種類のセルロース類を用いて結着食材を製造した。微小繊維状セルロース(株式会社ダイセルミライズのセリッシュFD100G、セリッシュFD100F)は混合時に拡散せず、使用できなかった。メチルセルロース(信越化学工業株式会社のMCE-15、MCE-4000)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業株式会社のSFE―4000)は使用可能であった。よって、水で拡散するセルロース類やゲル化性や乳化性のあるメチルセルロース、あるいは、ゲル化性や乳化性のある食物繊維は使用可能であると考えられる。
【0039】
[比較例1]
比較例1では、実施例2や実施例5と同様に冷凍コーンを小片食材として用いたが、でんぷん粉をまぶすことなく、アルカリ水に浸漬し水洗した後にマンナン液と混合した。混合後に結着し成形できたものの、結着食材は焼成するとボロボロに崩れてしまった。
【0040】
[比較例2]
比較例2は、実施例5と同じ材料を用いたが、でんぷん粉を、アルカリ水に浸漬し水洗した冷凍コーンにまぶすのではなく、マンナン液にさらに混ぜて、冷凍コーンと混合した。混合することにより結着はしたものの、食感が悪く、結着食材としては不適と判断した。
【0041】
これまで説明したように、本発明の結着方法によれば、冷凍コーン、ミックスベジタブル、みじん切りした玉ねぎ等の必ずしも乾燥していない小片食材を結着し、成形後の乾燥や加熱も不要で形状を維持でき、結着後に焼成しても形状を維持できる。よって、成形もハンドリングも容易な結着食材を製造でき、大量生産にも適した食材結着方法である。
【0042】
これまでの説明では、従来の方法では結着が困難であった水分を含む冷凍コーン、ミックスベジタブル、みじん切りした玉ねぎ等を小片食材として用いるものとしたが、ナッツ類、焼き菓子類、魚肉類等を結着することも可能であり、小片食材は特に限定されることはない。
【要約】
【課題】 必ずしも乾燥していない小片食材を結着し、結着後の乾燥も加熱も不要で形状を維持でき、かつ、大量生産にも適した食材結着方法を提供すること。
【解決手段】
こんにゃく粉と水を混合してマンナン液を製造する工程S100と、小片食材にでんぷん粉をまぶす工程S30と、前記でんぷん粉がまぶされた小片食材を前記マンナン液と混合する工程S40と、前記マンナン液と混合した小片食材を成形する工程S50とを備える、食材結着方法。
【選択図】図1
図1
図2
図3