(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】流動化処理土
(51)【国際特許分類】
E02D 3/12 20060101AFI20231114BHJP
C09K 17/02 20060101ALI20231114BHJP
C04B 28/08 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
E02D3/12
C09K17/02 P
C04B28/08
(21)【出願番号】P 2023088121
(22)【出願日】2023-05-29
【審査請求日】2023-06-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】393013593
【氏名又は名称】株式会社キクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】横山 卓哉
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-026357(JP,A)
【文献】特開2013-001580(JP,A)
【文献】特開2017-100905(JP,A)
【文献】特開2017-031656(JP,A)
【文献】特開2014-009487(JP,A)
【文献】特開2014-040332(JP,A)
【文献】特開2015-098699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K17/00-17/52
C04B28/08
E02D 3/12
E02F 7/00
B09B 1/00- 5/00
B28C 1/00- 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、水、及び細骨材を含み、固化材としてのセメントを含ま
ず、アルカリ活性剤を用いない流動化処理土であって、
前記水の単位体積当たりの単位水量をW、
前記高炉スラグ微粉末と前記フライアッシュとの単位体積当たりの粉体量をP、
前記細骨材の単位体積当たりの細骨材単位容積をSL、
前記水、前記高炉スラグ微粉末、前記フライアッシュ、及び前記細骨材からなるモルタルの単位体積当たりのモルタル単位容積をML、
前記粉体量Pに対する前記高炉スラグ微粉末の置換率をBF、
としたとき、
前記フライアッシュが、JIS A6201に適合するフライアッシュII種であり、
前記細骨材が、粗粒率2.5以下であり、
前記置換率BFが、5%以上で20%未満であれば、
前記単位水量Wを、385kg/m
3以上で500kg/m
3以下とし、
粉体水比(P/W)を1.63以上で2.75以下とし、
細骨材容積比(SL/ML)を35%以下とした
ことを特徴とする流動化処理土。
【請求項2】
高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、水、及び細骨材を含み、固化材としてのセメントを含ま
ず、アルカリ活性剤を用いない流動化処理土であって、
前記水の単位体積当たりの単位水量をW、
前記高炉スラグ微粉末と前記フライアッシュとの単位体積当たりの粉体量をP、
前記細骨材の単位体積当たりの細骨材単位容積をSL、
前記水、前記高炉スラグ微粉末、前記フライアッシュ、及び前記細骨材からなるモルタルの単位体積当たりのモルタル単位容積をML、
前記粉体量Pに対する前記高炉スラグ微粉末の置換率をBF、
としたとき、
前記フライアッシュが、JIS A6201に適合するフライアッシュII種であり、
前記細骨材が、粗粒率2.5以下であり、
前記置換率BFが、20%以上で40%以下であれば、
前記単位水量Wを、400kg/m
3以上で500kg/m
3以下とし、
粉体水比(P/W)を1.63以上で1.76以下とし、
細骨材容積比(SL/ML)を33%以下とした
ことを特徴とする流動化処理土。
【請求項3】
高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、水、及び細骨材を含み、固化材としてのセメントを含ま
ず、アルカリ活性剤を用いない流動化処理土であって、
前記水の単位体積当たりの単位水量をW、
前記高炉スラグ微粉末と前記フライアッシュとの単位体積当たりの粉体量をP、
前記細骨材の単位体積当たりの細骨材単位容積をSL、
前記水、前記高炉スラグ微粉末、前記フライアッシュ、及び前記細骨材からなるモルタルの単位体積当たりのモルタル単位容積をML、
前記粉体量Pに対する前記高炉スラグ微粉末の置換率をBF、
としたとき、
前記フライアッシュが、JIS A6201に適合するフライアッシュII種であり、
前記細骨材が、粗粒率2.5を超え、
前記置換率BFが、5%以上で20%未満であれば、
前記単位水量Wを、320kg/m
3以上で500kg/m
3以下とし、
粉体水比(P/W)を1.32以上で2.65以下とし、
細骨材容積比(SL/ML)を50%以下とした
ことを特徴とする流動化処理土。
【請求項4】
高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、水、及び細骨材を含み、固化材としてのセメントを含ま
ず、アルカリ活性剤を用いない流動化処理土であって、
前記水の単位体積当たりの単位水量をW、
前記高炉スラグ微粉末と前記フライアッシュとの単位体積当たりの粉体量をP、
前記細骨材の単位体積当たりの細骨材単位容積をSL、
前記水、前記高炉スラグ微粉末、前記フライアッシュ、及び前記細骨材からなるモルタルの単位体積当たりのモルタル単位容積をML、
前記粉体量Pに対する前記高炉スラグ微粉末の置換率をBF、
としたとき、
前記フライアッシュが、JIS A6201に適合するフライアッシュII種であり、
前記細骨材が、粗粒率2.5を超え、
前記置換率BFが、20%以上で40%以下であれば、
前記単位水量Wを、335kg/m
3以上で500kg/m
3以下とし、
粉体水比(P/W)を1.32以上で1.66以下とし、
細骨材容積比(SL/ML)を48%以下とした
ことを特徴とする流動化処理土。
【請求項5】
高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、水、及び細骨材を含み、固化材としてのセメントを含ま
ず、アルカリ活性剤を用いない流動化処理土であって、
前記水の単位体積当たりの単位水量をW、
前記高炉スラグ微粉末と前記フライアッシュとの単位体積当たりの粉体量をP、
前記細骨材の単位体積当たりの細骨材単位容積をSL、
前記水、前記高炉スラグ微粉末、前記フライアッシュ、及び前記細骨材からなるモルタルの単位体積当たりのモルタル単位容積をML、
前記粉体量Pに対する前記高炉スラグ微粉末の置換率をBF、
としたとき、
前記フライアッシュが、JIS A6201に適合しない、強熱減量が5%以上のフライアッシュ原粉であり、
前記細骨材が、粗粒率2.5以下であり、
前記置換率BFが、5%以上で20%未満であれば、
前記単位水量Wを、375kg/m
3以上で500kg/m
3以下とし、
粉体水比(P/W)を1.44以上で2.65以下とし、
細骨材容積比(SL/ML)を40%以下とした
ことを特徴とする流動化処理土。
【請求項6】
高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、水、及び細骨材を含み、固化材としてのセメントを含ま
ず、アルカリ活性剤を用いない流動化処理土であって、
前記水の単位体積当たりの単位水量をW、
前記高炉スラグ微粉末と前記フライアッシュとの単位体積当たりの粉体量をP、
前記細骨材の単位体積当たりの細骨材単位容積をSL、
前記水、前記高炉スラグ微粉末、前記フライアッシュ、及び前記細骨材からなるモルタルの単位体積当たりのモルタル単位容積をML、
前記粉体量Pに対する前記高炉スラグ微粉末の置換率をBF、
としたとき、
前記フライアッシュが、JIS A6201に適合しない、強熱減量が5%以上のフライアッシュ原粉であり、
前記細骨材が、粗粒率2.5以下であり、
前記置換率BFが、20%以上で30%以下であれば、
前記単位水量Wを、390kg/m
3以上で500kg/m
3以下とし、
粉体水比(P/W)を1.44以上で1.47以下とし、
細骨材容積比(SL/ML)を38%以下とした
ことを特徴とする流動化処理土。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固化材としてのセメントを含まない流動化処理土及び流動化処理土の配合決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1や特許文献2は、フライアッシュや高炉スラグを含めた流動化処理土を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-224503号公報
【文献】特開2001-295264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1や特許文献2は、いずれも固化材としてセメントを用いるものである。
【0005】
本発明は、固化材としてのセメントを用いない流動化処理土、及び流動化処理土の配合決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の流動化処理土は、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、水、及び細骨材を含み、固化材としてのセメントを含まず、アルカリ活性剤を用いない流動化処理土であって、前記水の単位体積当たりの単位水量をW、前記高炉スラグ微粉末と前記フライアッシュとの単位体積当たりの粉体量をP、前記細骨材の単位体積当たりの細骨材単位容積をSL、前記水、前記高炉スラグ微粉末、前記フライアッシュ、及び前記細骨材からなるモルタルの単位体積当たりのモルタル単位容積をML、前記粉体量Pに対する前記高炉スラグ微粉末の置換率をBF、としたとき、前記フライアッシュが、JIS A6201に適合するフライアッシュII種であり、前記細骨材が、粗粒率2.5以下であり、前記置換率BFが、5%以上で20%未満であれば、前記単位水量Wを、385kg/m3以上で500kg/m3以下とし、粉体水比(P/W)を1.63以上で2.75以下とし、細骨材容積比(SL/ML)を35%以下としたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明の流動化処理土は、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、水、及び細骨材を含み、固化材としてのセメントを含まず、アルカリ活性剤を用いない流動化処理土であって、前記水の単位体積当たりの単位水量をW、前記高炉スラグ微粉末と前記フライアッシュとの単位体積当たりの粉体量をP、前記細骨材の単位体積当たりの細骨材単位容積をSL、前記水、前記高炉スラグ微粉末、前記フライアッシュ、及び前記細骨材からなるモルタルの単位体積当たりのモルタル単位容積をML、前記粉体量Pに対する前記高炉スラグ微粉末の置換率をBF、としたとき、前記フライアッシュが、JIS A6201に適合するフライアッシュII種であり、前記細骨材が、粗粒率2.5以下であり、前記置換率BFが、20%以上で40%以下であれば、前記単位水量Wを、400kg/m3以上で500kg/m3以下とし、粉体水比(P/W)を1.63以上で1.76以下とし、細骨材容積比(SL/ML)を33%以下としたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明の流動化処理土は、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、水、及び細骨材を含み、固化材としてのセメントを含まず、アルカリ活性剤を用いない流動化処理土であって、前記水の単位体積当たりの単位水量をW、前記高炉スラグ微粉末と前記フライアッシュとの単位体積当たりの粉体量をP、前記細骨材の単位体積当たりの細骨材単位容積をSL、前記水、前記高炉スラグ微粉末、前記フライアッシュ、及び前記細骨材からなるモルタルの単位体積当たりのモルタル単位容積をML、前記粉体量Pに対する前記高炉スラグ微粉末の置換率をBF、としたとき、前記フライアッシュが、JIS A6201に適合するフライアッシュII種であり、前記細骨材が、粗粒率2.5を超え、前記置換率BFが、5%以上で20%未満であれば、前記単位水量Wを、320kg/m3以上で500kg/m3以下とし、粉体水比(P/W)を1.32以上で2.65以下とし、細骨材容積比(SL/ML)を50%以下としたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明の流動化処理土は、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、水、及び細骨材を含み、固化材としてのセメントを含まず、アルカリ活性剤を用いない流動化処理土であって、前記水の単位体積当たりの単位水量をW、前記高炉スラグ微粉末と前記フライアッシュとの単位体積当たりの粉体量をP、前記細骨材の単位体積当たりの細骨材単位容積をSL、前記水、前記高炉スラグ微粉末、前記フライアッシュ、及び前記細骨材からなるモルタルの単位体積当たりのモルタル単位容積をML、前記粉体量Pに対する前記高炉スラグ微粉末の置換率をBF、としたとき、前記フライアッシュが、JIS A6201に適合するフライアッシュII種であり、前記細骨材が、粗粒率2.5を超え、前記置換率BFが、20%以上で40%以下であれば、前記単位水量Wを、335kg/m3以上で500kg/m3以下とし、粉体水比(P/W)を1.32以上で1.66以下とし、細骨材容積比(SL/ML)を48%以下としたことを特徴とする。
請求項5記載の本発明の流動化処理土は、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、水、及び細骨材を含み、固化材としてのセメントを含まず、アルカリ活性剤を用いない流動化処理土であって、前記水の単位体積当たりの単位水量をW、前記高炉スラグ微粉末と前記フライアッシュとの単位体積当たりの粉体量をP、前記細骨材の単位体積当たりの細骨材単位容積をSL、前記水、前記高炉スラグ微粉末、前記フライアッシュ、及び前記細骨材からなるモルタルの単位体積当たりのモルタル単位容積をML、前記粉体量Pに対する前記高炉スラグ微粉末の置換率をBF、としたとき、前記フライアッシュが、JIS A6201に適合しない、強熱減量が5%以上のフライアッシュ原粉であり、前記細骨材が、粗粒率2.5以下であり、前記置換率BFが、5%以上で20%未満であれば、前記単位水量Wを、375kg/m3以上で500kg/m3以下とし、粉体水比(P/W)を1.44以上で2.65以下とし、細骨材容積比(SL/ML)を40%以下としたことを特徴とする。
請求項6記載の本発明の流動化処理土は、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、水、及び細骨材を含み、固化材としてのセメントを含まず、アルカリ活性剤を用いない流動化処理土であって、前記水の単位体積当たりの単位水量をW、前記高炉スラグ微粉末と前記フライアッシュとの単位体積当たりの粉体量をP、前記細骨材の単位体積当たりの細骨材単位容積をSL、前記水、前記高炉スラグ微粉末、前記フライアッシュ、及び前記細骨材からなるモルタルの単位体積当たりのモルタル単位容積をML、前記粉体量Pに対する前記高炉スラグ微粉末の置換率をBF、としたとき、前記フライアッシュが、JIS A6201に適合しない、強熱減量が5%以上のフライアッシュ原粉であり、前記細骨材が、粗粒率2.5以下であり、前記置換率BFが、20%以上で30%以下であれば、前記単位水量Wを、390kg/m3以上で500kg/m3以下とし、粉体水比(P/W)を1.44以上で1.47以下とし、細骨材容積比(SL/ML)を38%以下としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、固化材としてのセメントを用いることなく、流動性、材料分離抵抗性、および強度特性に優れた流動化処理土を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】目標フロー値を得るための置換率BFの違いにおける粉体量Pと単位水量Wの関係を示すグラフ
【
図3】置換率BFの違いにおける粉体水比とブリーディングの関係を示すグラフ
【
図4】置換率BFの違いにおける粉体水比とブリーディングの関係を示すグラフ
【
図5】置換率BFの違いにおける単位水量Wとブリーディングの関係を示すグラフ
【
図6】置換率BFの違いにおける単位水量Wとブリーディングの関係を示すグラフ
【
図7】置換率BFの違いにおける粉体量Pとブリーディングの関係を示すグラフ
【
図8】置換率BFの違いにおける粉体量Pとブリーディングの関係を示すグラフ
【
図9】置換率BFの違いにおける細骨材容積比とブリーディングの関係を示すグラフ
【
図10】置換率BFの違いにおける細骨材容積比とブリーディングの関係を示すグラフ
【
図11】置換率BFの違いにおける粉体水比と一軸圧縮強さ(材齢28日)の関係を示すグラフ
【
図12】置換率BFの違いにおける材齢7日と材齢28日における一軸圧縮強さの関係を示すグラフ
【
図13】置換率BFの違いにおける材齢7日と材齢28日における一軸圧縮強さの関係を示すグラフ
【
図15】目標フロー値を得るための細骨材種類の違いにおける粉体量Pと単位水量Wの関係を示すグラフ
【
図16】細骨材種類の違いにおける粉体水比とブリーディングの関係を示すグラフ
【
図17】細骨材種類の違いにおける粉体水比とブリーディングの関係を示すグラフ
【
図18】細骨材種類の違いにおける単位水量Wとブリーディングの関係を示すグラフ
【
図19】細骨材種類の違いにおける粉体量Pとブリーディングの関係を示すグラフ
【
図20】細骨材種類の違いにおける細骨材容積比とブリーディングの関係を示すグラフ
【
図21】細骨材種類の違いにおける粉体水比と一軸圧縮強さ(材齢28日)の関係を示すグラフ
【
図22】細骨材種類の違いにおける材齢7日と材齢28日における一軸圧縮強さの関係を示すグラフ
【
図24】目標フロー値250mmを得るためのフライアッシュ種類の違いにおける粉体量Pと単位水量Wの関係を示すグラフ
【
図25】フライアッシュ種類の違いにおける粉体水比とブリーディングの関係を示すグラフ
【
図26】フライアッシュ種類の違いにおける粉体水比とブリーディングの関係を示すグラフ
【
図27】フライアッシュ種類の違いにおける単位水量Wとブリーディングの関係を示すグラフ
【
図28】フライアッシュ種類の違いにおける粉体量Pとブリーディングの関係を示すグラフ
【
図29】フライアッシュ種類の違いにおける細骨材容積比とブリーディングの関係を示すグラフ
【
図30】フライアッシュ種類の違いにおける粉体水比と一軸圧縮強さ(材齢28日)の関係を示すグラフ
【
図31】フライアッシュ種類の違いにおける材齢7日と材齢28日における一軸圧縮強さの関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による流動化処理土は、フライアッシュが、JIS A6201に適合するフライアッシュII種であり、細骨材が、粗粒率2.5以下であり、置換率BFが、5%以上で20%未満であれば、単位水量Wを、385kg/m3以上で500kg/m3以下とし、粉体水比(P/W)を1.63以上で2.75以下とし、細骨材容積比(SL/ML)を35%以下としたものである。本実施の形態によれば、フライアッシュII種、粗粒率2.5以下の細骨材を用い、置換率BFが5%以上で20%未満の場合に、流動性、材料分離抵抗性、および強度特性に優れた流動化処理土を得ることができる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態による流動化処理土は、フライアッシュが、JIS A6201に適合するフライアッシュII種であり、細骨材が、粗粒率2.5以下であり、置換率BFが、20%以上で40%以下であれば、単位水量Wを、400kg/m3以上で500kg/m3以下とし、粉体水比(P/W)を1.63以上で1.76以下とし、細骨材容積比(SL/ML)を33%以下としたものである。本実施の形態によれば、フライアッシュII種、粗粒率2.5以下の細骨材を用い、置換率BFが20%以上で40%以下の場合に、流動性、材料分離抵抗性、および強度特性に優れた流動化処理土を得ることができる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態による流動化処理土は、フライアッシュが、JIS A6201に適合するフライアッシュII種であり、細骨材が、粗粒率2.5を超え、置換率BFが、5%以上で20%未満であれば、単位水量Wを、320kg/m3以上で500kg/m3以下とし、粉体水比(P/W)を1.32以上で2.65以下とし、細骨材容積比(SL/ML)を50%以下としたものである。本実施の形態によれば、フライアッシュII種、粗粒率2.5を超える細骨材を用い、置換率BFが5%以上で20%未満の場合に、流動性、材料分離抵抗性、および強度特性に優れた流動化処理土を得ることができる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態による流動化処理土は、フライアッシュが、JIS A6201に適合するフライアッシュII種であり、細骨材が、粗粒率2.5を超え、置換率BFが、20%以上で40%以下であれば、単位水量Wを、335kg/m3以上で500kg/m3以下とし、粉体水比(P/W)を1.32以上で1.66以下とし、細骨材容積比(SL/ML)を48%以下としたものである。本実施の形態によれば、フライアッシュII種、粗粒率2.5を超える細骨材を用い、置換率BFが20%以上で40%以下の場合に、流動性、材料分離抵抗性、および強度特性に優れた流動化処理土を得ることができる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態による流動化処理土は、フライアッシュが、JIS A6201に適合しない、強熱減量が5%以上のフライアッシュ原粉であり、細骨材が、粗粒率2.5以下であり、置換率BFが、5%以上で20%未満であれば、単位水量Wを、375kg/m3以上で500kg/m3以下とし、粉体水比(P/W)を1.44以上で2.65以下とし、細骨材容積比(SL/ML)を40%以下としたものである。本実施の形態によれば、フライアッシュ原粉、粗粒率2.5以下の細骨材を用い、置換率BFが5%以上で20%未満の場合に、流動性、材料分離抵抗性、および強度特性に優れた流動化処理土を得ることができる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態による流動化処理土は、フライアッシュが、JIS A6201に適合しない、強熱減量が5%以上のフライアッシュ原粉であり、細骨材が、粗粒率2.5以下であり、置換率BFが、20%以上で30%以下であれば、単位水量Wを、390kg/m3以上で500kg/m3以下とし、粉体水比(P/W)を1.44以上で1.47以下とし、細骨材容積比(SL/ML)を38%以下としたものである。本実施の形態によれば、フライアッシュ原粉、粗粒率2.5以下の細骨材を用い、置換率BFが20%以上で30%以下の場合に、流動性、材料分離抵抗性、および強度特性に優れた流動化処理土を得ることができる。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。
本実施例による流動化処理土は、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、水、及び細骨材を含み、固化材としてのセメントを含まない。
高炉スラグ微粉末には、JIS A 6206に適合する「高炉スラグ微粉末4000」を使用した。
高炉スラグ微粉末は、製鉄所の高炉から排出された溶融状態のスラグに水や空気を高速で多量に吹き付けて急冷粒状体とし、これを微粉砕し調整したものである。
フライアッシュには、JIS A 6201に適合する「フライアッシュII種」とJIS A 6201に適合しない強熱減量が5%以上の「フライアッシュ原粉」を使用した。
フライアッシュは、石炭火力発電所において微粉炭を燃焼する際、溶融した灰分が冷却されて球状となったものを電気集塵機等で捕集した副産物である。
細骨材には、JIS A 5308附属書Aに適合する細骨材で、粗粒率2.5以下(2.20±0.30)の細骨材と、粗粒率2.5を超える(2.70±0.15)細骨材を使用した。
流動化処理土は、細骨材、粉体(高炉スラグ微粉末、フライアッシュ)、水の順にミキサーに投入し、全材料投入後30~90秒練り混ぜた。
なお、以下の説明では、水の単位体積当たりの単位水量をW、高炉スラグ微粉末とフライアッシュとの単位体積当たりの粉体量をP、細骨材の単位体積当たりの細骨材単位容積をSL、水、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、及び細骨材からなるモルタルの単位体積当たりのモルタル単位容積をML、粉体量Pに対する高炉スラグ微粉末の置換率をBFとしている。
【0016】
<検討1>
粉体量Pに対する高炉スラグ微粉末の置換率BFと、粉体量Pとの過大・過小領域における流動化処理土の流動性(フロー値)、材料分離特性(ブリーディング率)、硬化性状(一軸圧縮強さ)に及ぼす影響について検討した。
流動性(フロー値)は、JHS A 313「エアモルタル及びエアミルクの試験方法」により測定した。
材料分離特性(ブリーディング率)は、JSCE-F 522「プレパックドコンクリートの注入モルタルのブリーディング率および膨張率試験方法」により測定した。
強度特性(一軸圧縮強さ)は、JIS A 1216「土の一軸圧縮試験方法」により測定した。
<目標とする品質>
フロー値は、250±20mm(230~270mm)、ブリーディング率は3%未満、一軸圧縮強さは100~1000kN/m2とした。
【0017】
<配合条件>
高炉スラグ微粉末は、粉体量Pに対して5、10、15、20、30、40%の質量割合で置換した6水準とし、それぞれの置換率BFに対して粉体量Pを300~1000kg/m3の範囲で3~6水準とした。
単位水量は、それぞれの粉体量Pに対してフロー値が250±20mmの範囲に入るように調整した。
【0018】
<要因別の考察>
<流動性(フロー値)>
図1は粉体量Pとフロー値との関係を示すグラフである。
図1に示すように、粉体量Pを300kg/m
3~1000kg/m
3とした場合には、単位水量Wを300kg/m
3~500kg/m
3の範囲で増減することにより、目標とする流動性(フロー値250±20mm)を得ることができる。
【0019】
<単位水量>
図2は、目標フロー値を得るための置換率BFの違いにおける粉体量Pと単位水量Wの関係を示すグラフである。
目標フロー値を一定とした場合、置換率BFの違いに関わらず粉体量Pの増加に伴い単位水量Wは増加し、正の相関を示した。
粉体量Pが500kg/m
3以下の過小領域では、相対的に細骨材の割合が過大となるためペーストと細骨材の密度差が大きくなり、目標フロー値を得るための単位水量Wは若干多くなる傾向が確認できた。
置換率BFの違いでは、粉体量Pと単位水量Wとの関係に大きな差は確認できなかったが、粉体量P500kg/m
3以下の過小領域で置換率BFの増大に伴い単位水量Wは若干減少した。
粉体量Pの増加に対する単位水量Wの増加割合は、粉体量P500kg/m
3以下の過小領域では粉体量P50kg/m
3増減に対して単位水量Wが0~5kg/m
3増減、粉体量Pが500kg/m
3を超える過大領域では粉体量P50kg/m
3増減に対して単位水量Wが10~15kg/m
3となった。
以上のことから、粉体量Pが決まれば目標フロー値を得るための単位水量Wが決定でき、単位水量Wが決まれば粉体量Pが決定できる。
【0020】
<ブリーディング率>
図3及び
図4は、置換率BFの違いにおける粉体水比とブリーディングの関係を示すグラフである。
置換率BFの違いに関わらず、粉体水比の増大に伴いブリーディング率は小さくなり、負の相関を示した。
置換率BFの違いで、粉体水比とブリーディング率の関係に大きな差は確認できなかった。そのため、置換率BFの違いに関わらず、
図4の直線近似式を用いることができる。
粉体水比が小さいとは粉体量Pに対して単位水量Wが相対的に多いことを意味するため、粉体水比が小さくなるとともに練混ぜられた水が余剰水となってブリーディングが増大したと考えられる。
得られた近似式は以下の通りである。
y=-4.1578x+9.7891
本近似式の結果より、ブリーディング率3%未満を得るための粉体水比は1.63以上となる。
【0021】
図5及び
図6は、置換率BFの違いにおける単位水量Wとブリーディングの関係を示すグラフである。
置換率BFの違いに関わらず、単位水量Wの増加に伴いブリーディング率は小さくなり、負の相関を示した。
置換率BFの違いで、単位水量Wとブリーディング率の関係に大きな差は確認できなかったが、置換率BFが20%以上になるとブリーディング率は若干増加傾向を示した。
そのため、置換率BF20%を閾値として、
図6の直線近似式を求めた。
得られた近似式は以下の通りである。
(BF20%以上)y=-0.0525x+23.975 (BF20%未満)y=-0.020x+10.751
本近似式の結果より、ブリーディング率3%未満を得るための単位水量Wの目安は、BF20%以上で400kg/m
3以上、BF20%未満で385kg/m
3以上とした。
【0022】
図7及び
図8は、置換率BFの違いにおける粉体量Pとブリーディングの関係を示すグラフである。
置換率BFの違いに関わらず、粉体量Pの増加に伴いブリーディング率は小さくなり、負の相関を示した。
置換率BFの違いで、粉体量Pとブリーディング率の関係に大きな差は確認できなかったが、置換率BFが20%以上になるとブリーディングは若干増加傾向を示した。
そのため、置換率BFが20%を閾値として、
図8の直線近似式を求めた。
得られた近似式は以下の通りである。
(BF20%以上)y=-0.0098x+9.3 (BF20%未満)y=-0.0053x+6.3417
本近似式の結果より、ブリーディング率3%未満を得るための粉体量Pの目安は、BF20%以上で640kg/m
3以上、BF20%未満で630kg/m
3以上とした。
【0023】
図9及び
図10は、置換率BFの違いにおける細骨材容積比とブリーディングの関係を示すグラフである。
置換率BFの違いに関わらず、モルタル中細骨材容積比の増大に伴いブリーディング率は大きくなり、正の相関を示した。
置換率BFの違いで、モルタル中細骨材容積比とブリーディング率の関係に大きな差は確認できなかったが、置換率BFが20%以上になるとブリーディング率は若干増加傾向を示した。
そのため、置換率BF20%を閾値として、
図10の直線近似式を求めた。
得られた近似式は以下の通りである。
(BF20%以上)y=0.1529x-1.9809 (BF20%未満)y=0.0769x+0.3559
本近似式の結果より、ブリーディング率3%未満を得るための細骨材容積比の目安は、BF20%以上で33%以下、BF20%未満で35%以下とした。
なお、モルタル中細骨材容積比が大きいとは、モルタル中に占める細骨材の割合が相対的に多いことを意味するため、密度差により水中で細骨材が沈降して細骨材と水が分離し、モルタル中細骨材容積比の増大とともにブリーディングが増大したと考えられる。
【0024】
<一軸圧縮強さ>
図11は、置換率BFの違いにおける粉体水比と一軸圧縮強さ(材齢28日)の関係を示すグラフである。
置換率BFの違いに関わらず、両指標には正の相関があり、粉体水比の増加に伴い一軸圧縮強さは大きくなった。
潜在水硬性を有する置換率BFが大きいほど、勾配は急になった。
得られた近似式は以下の通りである。
(BF40)y=2.2687e4.4539x (BF30)y=2.3647e3.8294x (BF20)y=2.5352e3.382x (BF15)y=3.0326e2.9431x (BF10)y=3.8116e2.5455x (BF5)y=6.9953e1.8024x
本近似式を用いることにより、要求される一軸圧縮強さ100~1000kN/m
2を得るための粉体水比を決定でき、その逆数である水粉体比を置換率BF別で算出できる。
置換率BF別の粉体水比の範囲は以下の通りである。
(BF40)0.86~1.36 (BF30)0.98~1.57 (BF20)1.09~1.76 (BF15)1.19~1.97 (BF10)1.29~2.18 (BF5)1.48~2.75
【0025】
図12及び
図13は、置換率BFの違いにおける材齢7日と材齢28日における一軸圧縮強さの関係を示すグラフである。
置換率BFの違いに関わらず、材齢7日の一軸圧縮強さが大きいほど材齢28日の一軸圧縮強さは大きくなり、正の相関を示した。
置換率BFの違いで、材齢7日と材齢28日の直線近似式に大きな差は確認できなかった。そのため、置換率BFの違いに関わらず、
図13の直線近似式を用いることができる。
以上のことより、養生に費やす日数の制限がある場合において、材齢28日の一軸圧縮強さを材齢7日の一軸圧縮強さから推定でき、短期間で設計強度を得るための配合決定の指標に成り得る。
得られた近似式は以下の通りである。
y=2.5212x-8.6465
本近似式の結果より、材齢28日における一軸圧縮強さ100~1000kN/m
2を得るための材齢7日強度推定は43~400kN/m
2となる。
【0026】
以上の結果より、目標とする流動性は、粉体量Pが300~1000kg/m3の範囲において単位水量Wを300~500kg/m3の範囲で決定でき、粉体量Pの増減に対して粉体量Pと単位水量Wの関係より必要単位水量Wを推定できる。
目標とする材料分離抵抗性は、単位水量Wと粉体量Pが相互に作用するためそれぞれの比率で算出される粉体水比から推定でき、置換率BFの違いに関わらず粉体水比1.63以上で決定できる。
目標とする材料分離抵抗性を満足するための単位水量Wの目安は、置換率BF20%以上で400kg/m3以上、20%未満で385kg/m3以上とし、任意で設定することができる。
目標とする材料分離抵抗性を満足するための粉体量Pの目安は、置換率BF20%以上で640kg/m3以上、20%未満で630kg/m3以上とし、任意で設定する。
目標とする材料分離抵抗性(ブリーディング率3%未満)を満足するための細骨材容積比の目安は、置換率BF20%以上で33%以下、20%未満で35%以下とし、任意で設定する。
一軸圧縮強さは、置換率BFと粉体水比の影響が大きく、置換率BF別の近似式を用いることにより要求される一軸圧縮強さを得るための粉体水比を推定できる。
(BF40)0.86~1.36 (BF30)0.98~1.57 (BF20)1.09~1.76 (BF15)1.19~1.97 (BF10)1.29~2.18 (BF5)1.48~2.75
材齢28日における一軸圧縮強さは、材齢7日における一軸圧縮強さから推定でき、配合設計に要する期間を短縮できる。
【0027】
<検討2:骨材比較>
細骨材種類の違いが流動化処理土の流動性(フロー値)、材料分離特性(ブリーディング率)、硬化性状(一軸圧縮強さ)に及ぼす影響について検討した。
比較対象となる細骨材は、粗粒率(F.M)2.5以下の比較的細かい細骨材と、粗粒率(F.M)2.5を超える一般的な細骨材の2種類とした。
【0028】
<目標とする品質>
フロー値は、250±20mm(230~270mm)、ブリーディング率は3%未満、一軸圧縮強さは100kN/m2~1000kN/m2とした。
【0029】
<配合条件>
細骨材2種類について、高炉スラグ微粉末を粉体量Pに対して15%置換の一定とし、粉体量Pを400~800kg/m3の範囲で5水準とした。
単位水量Wは、それぞれの粉体量Pに対してフロー値が250±20mmの範囲に入るように調整した。
【0030】
<要因別の考察>
<流動性(フロー)>
図14は粉体量Pとフロー値との関係を示すグラフである。
図14に示すように、細骨材種類に関わらず、単位水量Wを増減することにより目標とする流動性(フロー値250±20mm)を得ることができる。
【0031】
<単位水量>
図15は、目標フロー値を得るための細骨材種類の違いにおける粉体量Pと単位水量Wの関係を示すグラフである。
目標フロー値を一定とした場合、細骨材種類の違いに関わらず粉体量Pの増加に伴い単位水量Wは増加し、正の相関を示した。
粗粒率2.5を超える粗めの細骨材の方が、目標フロー値を得るための単位水量Wを10kg/m
3低減できた。
細骨材の粗粒率が大きい場合、所要のワーカビリティーを得るための単位水量Wは低減でき、細骨材の粗粒率が小さい場合は逆となる。本試験では目標フロー値を一定としたため、粗粒率の大きい細骨材を使用した配合の単位水量Wが低減に繋がった。
細骨材種類の違いに関わらず粉体量Pの増加に対する単位水量Wの増加割合に違いはみられず、粉体量Pが50kg増減に対して単位水量Wが5~20kg増減となった。
以上のことから、細骨材種類が違った場合でも単位水量結果をスライドすることで所要の性能を満たす配合設計が可能であり、その決定した単位水量Wにより粉体量Pを決定できる。
【0032】
<ブリーディング率>
図16及び
図17は、細骨材種類の違いにおける粉体水比とブリーディングの関係を示すグラフである。
細骨材種類の違いに関わらず、粉体水比の増大に伴いブリーディング率は小さくなり、負の相関を示した。
細骨材種類の違いでブリーディングの低下傾向に大きな差はみられなかったが、粗粒率2.5を超える粗めの細骨材の方がブリーディング率を約1%低減できた。
目標フロー値を一定とした場合、粗粒率の大きい細骨材の方が単位水量Wの低減に繋がり、結果的に余剰水となって表面に移動するブリーディング量の低減に繋がったと考えられる。
粗粒率2.5を超える細骨材を用いた場合の粉体水比とブリーディング率の関係より得られた近似式は以下の通りである。
y=-2.6441x+6.4943
本近似式の結果より、ブリーディング率3%未満を得るための粉体水比は1.32以上となる。
粗粒率2.5以下の細骨材を用いた場合の粉体水比は1.63以上であるため、粗粒率2.5を超える細骨材を用いた場合は粉体水比を0.3程度小さく配合設計できる。
【0033】
図18は、細骨材種類の違いにおける単位水量Wとブリーディングの関係を示すグラフである。
細骨材種類の違いに関わらず、単位水量Wの増加に伴いブリーディング率は小さくなり、負の相関を示した。
置換率BF15%において、粗粒率2.5を超える細骨材を用いた場合に得られた単位水量Wとブリーディング率の近似式は以下の通りである。
y=-0.0118x+6.7682
本近似式の結果より、ブリーディング率3%未満を得るための単位水量Wの目安は320kg/m
3以上となり、粗粒率2.5以下の細骨材に比べて単位水量Wを約65kg/m
3低減できる。
【0034】
図19は、細骨材種類の違いにおける粉体量Pとブリーディングの関係を示すグラフである。
細骨材種類の違いに関わらず、粉体量Pの増加に伴いブリーディング率は小さくなり、負の相関を示した。
置換率BF15%において、粗粒率2.5を超える細骨材を用いた場合に得られた粉体量Pとブリーディング率の近似式は以下の通りである。
y=-0.0038x+4.5833
本近似式の結果より、ブリーディング率3%未満を得るための粉体量Pの目安は420kg/m
3以上となり、粗粒率2.5以下の細骨材に比べて粉体量Pを約210kg/m
3低減できる。
【0035】
図20は、細骨材種類の違いにおける細骨材容積比とブリーディングの関係を示すグラフである。
細骨材種類の違いに関わらず、モルタル中細骨材容積比の増大に伴いブリーディング率は大きくなり、正の相関を示した。
置換率BF15%において、粗粒率2.5を超える細骨材を用いた場合に得られた細骨材容積比とブリーディング率の近似式は以下の通りである。
y=0.0517x+0.4088
本近似式の結果より、ブリーディング率3%未満を得るための細骨材容積比の目安は50%以下となり、粗粒率2.5以下の細骨材に比べて細骨材容積比を約15%増大できる。
以上のことから、細骨材種類が違った場合でも各種要因とブリーディング率の関係から単位水量Wや粉体量P、細骨材容積比、粉体水比を推定でき、所要のブリーディング率を満足するための配合設計ができる。
【0036】
<一軸圧縮強さ>
図21は、細骨材種類の違いにおける粉体水比と一軸圧縮強さ(材齢28日)の関係を示すグラフである。
細骨材種類の違いに関わらず、両指標には正の相関があり、粉体水比の増加に伴い一軸圧縮強さは大きくなった。
粗粒率2.5を超える粗めの細骨材の方が強度発現に効果があった。
粗粒率2.5を超える細骨材は、同一フローを得るための単位水量Wの低減及び硬化した後の強度欠陥に繋がるブリーディングの低減により、良好な強度発現に繋がったと考えられる。
粗粒率2.5を超える細骨材を用いた場合の粉体水比と一軸圧縮強さの関係より得られた近似式は以下の通りである。
y=88.737e1.2862x
本近似式の結果より、一軸圧縮強さ100~1000kN/m
2を得るための粉体水比の範囲は0.10~1.88となる。
粗粒率2.5以下の細骨材を用いた場合における粉体水比の範囲は1.19~1.97であるため、上限値1000kN/m
2を満足するための粉体水比を0.1程度小さく配合設計できる。
【0037】
図22は、細骨材種類の違いにおける材齢7日と材齢28日における一軸圧縮強さの関係を示すグラフである。
細骨材種類の違いに関わらず、材齢7日の一軸圧縮強さが大きいほど材齢28日の一軸圧縮強さは大きくなり、正の相関を示した。
細骨材種類の違いで、材齢7日と材齢28日の直線近似式に大きな差は確認できなかった。そのため、粗粒率2.5を超える細骨材についても
図13で得られた近似式を用いることで強度推定できる。
【0038】
以上の結果より、目標とする流動性は、細骨材種類の違いに関わらず粉体量Pと単位水量Wの関係から推定可能であり、粗粒率の大きい細骨材を用いる場合は単位水量Wを低減して配合設計する必要がある。
目標とする材料分離抵抗性は、単位水量Wと粉体量Pが相互に作用するためそれぞれの比率で算出される粉体水比から推定可能であり、粗粒率の大きい細骨材を用いる場合は粉体水比を小さく設計でき、1.32以上とすることができる。
目標とする材料分離抵抗性を満足するための単位水量Wの目安は、粗粒率の大きい細骨材を用いる場合で約65kg/m3低減できる。
目標とする材料分離抵抗性を満足するための粉体量Pの目安は、粗粒率の大きい細骨材を用いる場合で約210kg/m3低減できる。
目標とする材料分離抵抗性を満足するための細骨材容積比の目安は、粗粒率の大きい細骨材を用いる場合で約15%増大できる。
一軸圧縮強さは、粗粒率の大きい細骨材を用いることで増加し、所要の強度を得るための粉体水比を0.1程度小さく配合設計できる。
粉体水比を小さく設計できることは、所要のフロー、ブリーディング率、一軸圧縮強さを得るための粉体量Pを低減できることに繋がる。
【0039】
<検討3:フライアッシュの違い>
フライアッシュの違いが流動化処理土の流動性(フロー値)、材料分離特性(ブリーディング率)、硬化性状(一軸圧縮強さ)に及ぼす影響について検討した。
比較対象となるフライアッシュは、JIS A 6201に適合するフライアッシュII種と、JISに適合するフライアッシュII種とするために調整していないフライアッシュ原粉の2種類とした。
【0040】
<目標とする品質>
フロー値は、250±20mm(230~270mm)、ブリーディング率は3%未満、一軸圧縮強さは100kN/m2~1000kN/m2とした。
<配合条件>
フライアッシュ2種類について、高炉スラグ微粉末を粉体量Pに対して15%置換の一定とし、粉体量Pを400~800kg/m3の範囲で5水準とした。
単位水量Wは、それぞれの粉体量Pに対してフロー値が250±20mmの範囲に入るように調整した。
【0041】
<要因別の考察>
<流動性(フロー)>
図23は粉体量Pとフロー値との関係を示すグラフである。
図14に示すように、フライアッシュ種類に関わらず、粉体量Pが400~800kg/m
3の範囲において、単位水量Wを増減することにより目標とする流動性(フロー値250±20mm)を得ることができる。
【0042】
<単位水量>
図24は、目標フロー値250mmを得るためのフライアッシュ種類の違いにおける粉体量Pと単位水量Wの関係を示すグラフである。
目標フロー値を一定とした場合、フライアッシュ種類の違いに関わらず粉体量Pの増加に伴い単位水量Wは増加し、正の相関を示した。
JISに適合しないフライアッシュ原粉はJISに適合するフライアッシュII種に比べ、目標フロー値を得るための単位水量Wが約10kg/m
3増加した。
フライアッシュ原粉はフライアッシュII種に比べ強熱減量が大きく、強熱減量が大きいとフライアッシュ中に含まれる未燃カーボンも増加するため、所要のフローを得るための必要水分を未燃カーボンが吸着し、単位水量Wが増加したものと考えられる。
フライアッシュ種類の違いに関わらず粉体量Pの増加に対する単位水量Wの増加割合に違いはみられず、粉体量Pが50kg増減に対して単位水量Wが5~20kg増減となった。
以上のことから、主材となるフライアッシュ種類が違った場合でも、
図2に示す単位水量結果をスライドすることで所要の性能を満たす配合設計が可能であり、その決定した単位水量Wにより粉体量Pを決定できる。
【0043】
<ブリーディング率>
図25及び
図26は、フライアッシュ種類の違いにおける粉体水比とブリーディングの関係を示すグラフである。
フライアッシュ種類の違いに関わらず、粉体水比の増大に伴いブリーディング率は小さくなり、負の相関を示した。
フライアッシュ種類の違いでブリーディングの低下傾向に大きな差はみられなかったが、JISに適合しないフライアッシュ原粉はJISに適合するフライアッシュII種に比べ、ブリーディング率を約0.5%低減できた。
目標フロー値を一定とした場合、フライアッシュ原粉の方が単位水量Wは増加したが、未燃カーボンが表面に移動する余剰水も吸着したためブリーディング量も低減したと考えられる。
フライアッシュ原粉を用いた場合の粉体水比とブリーディング率の関係より得られた近似式は以下の通りである。
y=-3.0568x+7.409
本近似式の結果より、ブリーディング率3%未満を得るための粉体水比は1.44以上となる。
JISに適合するフライアッシュII種を用いた場合の粉体水比は1.63以上であるため、フライアッシュ原粉を用いた場合は粉体水比を0.2程度小さく配合設計できる。
【0044】
図27は、フライアッシュ種類の違いにおける単位水量Wとブリーディングの関係を示すグラフである。
フライアッシュ種類の違いに関わらず、単位水量Wの増加に伴いブリーディング率は小さくなり、負の相関を示した。
置換率BF15%において、JISに適合しないフライアッシュ原粉を用いた場合に得られた単位水量Wとブリーディング率の近似式は以下の通りである。
y=-0.0177x+9.6528
本近似式の結果より、ブリーディング率3%未満を得るための単位水量Wの目安は375kg/m
3以上となり、JISに適合するフライアッシュII種に比べて単位水量Wを約10kg/m
3低減できる。
【0045】
図28は、フライアッシュ種類の違いにおける粉体量Pとブリーディングの関係を示すグラフである。
フライアッシュ種類の違いに関わらず、粉体量Pの増加に伴いブリーディング率は小さくなり、負の相関を示した。
置換率BF15%において、JISに適合しないフライアッシュ原粉を用いた場合に得られた粉体量Pとブリーディング率の近似式は以下の通りである。
y=-0.0048x+5.6167
本近似式の結果より、ブリーディング率3%未満を得るための粉体量Pの目安は545kg/m
3以上となり、JISに適合するフライアッシュII種に比べて粉体量Pを約85kg/m
3低減できる。
【0046】
図29は、フライアッシュ種類の違いにおける細骨材容積比とブリーディングの関係を示すグラフである。
フライアッシュ種類の違いに関わらず、モルタル中細骨材容積比の増大に伴いブリーディング率は大きくなり、正の相関を示した。
置換率BF15%において、JISに適合しないフライアッシュ原粉を用いた場合に得られた細骨材容積比とブリーディング率の近似式は以下の通りである。
y=0.0692x+0.2827
本近似式の結果より、ブリーディング率3%未満を得るための細骨材容積比の目安は40%以下となり、JISに適合するフライアッシュII種に比べて細骨材容積比を約5%増大できる。
以上のことから、フライアッシュ種類が違った場合でも各種要因とブリーディング率の関係から単位水量Wや粉体量P、細骨材容積比、粉体水比を推定でき、所要のブリーディング率を満足するための配合設計ができる。
【0047】
<一軸圧縮強さ>
図30は、フライアッシュ種類の違いにおける粉体水比と一軸圧縮強さ(材齢28日)の関係を示すグラフである。
フライアッシュ種類の違いに関わらず、両指標には正の相関があり、粉体水比の増加に伴い一軸圧縮強さは大きくなった。
JISに適合しないフライアッシュ原粉の方が強度発現に効果があった。
フライアッシュ原粉は、硬化した後の強度欠陥に繋がるブリーディングを低減できたことにより、強度発現に繋がったと考えられる。
フライアッシュ原粉を用いた場合の粉体水比と一軸圧縮強さの関係より得られた近似式は以下の通りである。
y=4.8943e2.8469x
本近似式の結果より、一軸圧縮強さ100~1000kN/m
2を得るための粉体水比の範囲は1.06~1.86となる。
JISに適合するフライアッシュII種を用いた場合における粉体水比の範囲は1.19~1.97であるため、フライアッシュ原粉は粉体水比を0.1程度小さく配合設計できる。
【0048】
図31は、フライアッシュ種類の違いにおける材齢7日と材齢28日における一軸圧縮強さの関係を示すグラフである。
フライアッシュ種類の違いに関わらず、材齢7日の一軸圧縮強さが大きいほど材齢28日の一軸圧縮強さは大きくなり、正の相関を示した。
フライアッシュ種類の違いで、材齢7日と材齢28日の直線近似式に大きな差は確認できなかった。そのため、フライアッシュ原粉についても
図13で得られた近似式を用いることで強度推定できる。
【0049】
以上の結果より、目標とする流動性は、フライアッシュ種類の違いに関わらず粉体量Pと単位水量Wの関係から推定可能であり、強熱減量の大きいフライアッシュを用いる場合は単位水量Wを増加して配合設計する必要がある。
目標とする材料分離抵抗性は、単位水量Wと粉体量Pが相互に作用するためそれぞれの比率で算出される粉体水比から推定可能であり、強熱減量の大きいフライアッシュを用いる場合は粉体水比を若干小さく設計でき、1.44以上とすることができる。
目標とする材料分離抵抗性を満足するための単位水量Wの目安は、JISに適合しないフライアッシュ原粉を用いる場合で約10kg/m3低減できる。
目標とする材料分離抵抗性を満足するための粉体量Pの目安は、JISに適合しないフライアッシュ原粉を用いる場合で約85kg/m3低減できる。
目標とする材料分離抵抗性を満足するための細骨材容積比の目安は、JISに適合しないフライアッシュ原粉を用いる場合で約5%増大できる。
一軸圧縮強さは、JISに適合しないフライアッシュ原粉を用いることで増加し、所要の強度を得るための粉体水比を0.1程度小さく配合設計できる。
粉体水比を小さく設計できることは、所要のフロー、ブリーディング率、一軸圧縮強さを得るための粉体量Pを低減できることに繋がる。
【0050】
以上の検討により、水の単位体積当たりの単位水量をW、高炉スラグ微粉末とフライアッシュとの単位体積当たりの粉体量をP、細骨材の単位体積当たりの細骨材単位容積をSL、水、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、及び細骨材からなるモルタルの単位体積当たりのモルタル単位容積をML、粉体量Pに対する高炉スラグ微粉末の置換率をBFとしたときには、以下の流動化処理土が目標とする品質(流動性、材料分離抵抗性、および強度特性)を得ることができ、以下の流動化処理土の配合決定方法によって目標とする品質(流動性、材料分離抵抗性、および強度特性)を得ることができる。
【0051】
第1の実施例による流動化処理土は、フライアッシュが、JIS A6201に適合するフライアッシュII種であり、細骨材が、粗粒率2.5以下であり、置換率BFが、5%以上で20%未満であれば、単位水量Wを、385kg/m3以上で500kg/m3以下とし、粉体水比(P/W)を1.63以上で2.75以下とし、細骨材容積比(SL/ML)を35%以下としたものである。なお、第1の実施例による流動化処理土では、粉体量Pは、630kg/m3以上で1000kg/m3以下である。
【0052】
第2の実施例による流動化処理土は、フライアッシュが、JIS A6201に適合するフライアッシュII種であり、細骨材が、粗粒率2.5以下であり、置換率BFが、20%以上で40%以下であれば、単位水量Wを、400kg/m3以上で500kg/m3以下とし、粉体水比(P/W)を1.63以上で1.76以下とし、細骨材容積比(SL/ML)を33%以下としたものである。なお、第2の実施例による流動化処理土では、粉体量Pは、640kg/m3以上で1000kg/m3以下である。
【0053】
第3の実施例による流動化処理土は、フライアッシュが、JIS A6201に適合するフライアッシュII種であり、細骨材が、粗粒率2.5を超え、置換率BFが、5%以上で20%未満であれば、単位水量Wを、320kg/m3以上で500kg/m3以下とし、粉体水比(P/W)を1.32以上で2.65以下とし、細骨材容積比(SL/ML)を50%以下としたものである。なお、第3の実施例による流動化処理土では、粉体量Pは、420kg/m3以上で1000kg/m3以下である。
【0054】
第4の実施例による流動化処理土は、フライアッシュが、JIS A6201に適合するフライアッシュII種であり、細骨材が、粗粒率2.5を超え、置換率BFが、20%以上で40%以下であれば、単位水量Wを、335kg/m3以上で500kg/m3以下とし、粉体水比(P/W)を1.32以上で1.66以下とし、細骨材容積比(SL/ML)を48%以下としたものである。なお、第4の実施例による流動化処理土では、粉体量Pは、430kg/m3以上で1000kg/m3以下である。
【0055】
第5の実施例による流動化処理土は、フライアッシュが、JIS A6201に適合しない、強熱減量が5%以上のフライアッシュ原粉であり、細骨材が、粗粒率2.5以下であり、置換率BFが、5%以上で20%未満であれば、単位水量Wを、375kg/m3以上で500kg/m3以下とし、粉体水比(P/W)を1.44以上で2.65以下とし、細骨材容積比(SL/ML)を40%以下としたものである。なお、第5の実施例による流動化処理土では、粉体量Pは、545kg/m3以上で1000kg/m3以下である。
【0056】
第6の実施例による流動化処理土は、フライアッシュが、JIS A6201に適合しない、強熱減量が5%以上のフライアッシュ原粉であり、細骨材が、粗粒率2.5以下であり、置換率BFが、20%以上で30%以下であれば、単位水量Wを、390kg/m3以上で500kg/m3以下とし、粉体水比(P/W)を1.44以上で1.47以下とし、細骨材容積比(SL/ML)を38%以下としたものである。なお、第6の実施例による流動化処理土では、粉体量Pは、555kg/m3以上で1000kg/m3以下である。
【0057】
第7の実施例による流動化処理土の配合決定方法は、フライアッシュとして、JIS A6201に適合するフライアッシュII種を用い、細骨材を、粗粒率2.5以下としたとき、置換率BFを、5%以上で20%未満の範囲で決定し、粉体量Pを300kg/m3以上で1000kg/m3以下の範囲、粉体量Pに対して流動性目標フロー値の範囲となる単位水量Wを300kg/m3以上で500kg/m3以下の範囲で、粉体水比(P/W)を1.63以上で一軸圧縮強さ目標値を下回らない範囲で決定し、細骨材容積比(SL/ML)を35%以下で決定するものである。なお、第7の実施例による流動化処理土の配合決定方法では、更に、粉体量Pを630kg/m3以上の範囲、単位水量Wを385kg/m3以上の範囲、粉体水比(P/W)を2.75以下で決定することが好ましい。
【0058】
第8の実施例による流動化処理土の配合決定方法は、フライアッシュとして、JIS A6201に適合するフライアッシュII種を用い、細骨材を、粗粒率2.5以下としたとき、置換率BFを、20%以上で40%以下の範囲で決定し、粉体量Pを300kg/m3以上で1000kg/m3以下の範囲、粉体量Pに対して流動性目標フロー値の範囲となる単位水量Wを300kg/m3以上で500kg/m3以下の範囲で、粉体水比(P/W)を1.63以上で一軸圧縮強さ目標値を下回らない範囲で決定し、細骨材容積比(SL/ML)を33%以下で決定するものである。なお、第8の実施例による流動化処理土の配合決定方法では、更に、粉体量Pを640kg/m3以上の範囲、単位水量Wを400kg/m3以上の範囲、粉体水比(P/W)を1.76以下で決定することが好ましい。
【0059】
第9の実施例による流動化処理土の配合決定方法は、フライアッシュとして、JIS A6201に適合するフライアッシュII種を用い、細骨材を、粗粒率2.5を超えるとしたとき、置換率BFを、5%以上で20%未満の範囲で決定し、粉体量Pを300kg/m3以上で1000kg/m3以下の範囲、粉体量Pに対して流動性目標フロー値の範囲となる単位水量Wを300kg/m3以上で500kg/m3以下の範囲で、粉体水比(P/W)を1.32以上で一軸圧縮強さ目標値を下回らない範囲で決定し、細骨材容積比(SL/ML)を50%以下で決定するものである。なお、第9の実施例による流動化処理土の配合決定方法では、更に、粉体量Pを420kg/m3以上の範囲、単位水量Wを320kg/m3以上の範囲、粉体水比(P/W)を2.65以下で決定することが好ましい。
【0060】
第10の実施例による流動化処理土の配合決定方法は、フライアッシュとして、JIS A6201に適合するフライアッシュII種を用い、細骨材を、粗粒率2.5を超えるとしたとき、置換率BFを、20%以上で40%以下の範囲で決定し、粉体量Pを300kg/m3以上で1000kg/m3以下の範囲、粉体量Pに対して流動性目標フロー値の範囲となる単位水量Wを300kg/m3以上で500kg/m3以下の範囲で、粉体水比(P/W)を1.32以上で一軸圧縮強さ目標値を下回らない範囲で決定し、細骨材容積比(SL/ML)を48%以下で決定するものである。なお、第10の実施例による流動化処理土の配合決定方法では、更に、粉体量Pを430kg/m3以上の範囲、単位水量Wを335kg/m3以上の範囲、粉体水比(P/W)を1.66以下で決定することが好ましい。
【0061】
第11の実施例による流動化処理土の配合決定方法は、フライアッシュとして、JIS A6201に適合しない、強熱減量が5%以上のフライアッシュ原粉を用い、細骨材を、粗粒率2.5以下としたとき、置換率BFを、5%以上で20%未満の範囲で決定し、粉体量Pを300kg/m3以上で1000kg/m3以下の範囲、粉体量Pに対して流動性目標フロー値の範囲となる単位水量Wを300kg/m3以上で500kg/m3以下の範囲で、粉体水比(P/W)を1.44以上で一軸圧縮強さ目標値を下回らない範囲で決定し、細骨材容積比(SL/ML)を40%以下で決定するものである。なお、第11の実施例による流動化処理土の配合決定方法では、更に、粉体量Pを545kg/m3以上の範囲、単位水量Wを375kg/m3以上の範囲、粉体水比(P/W)を2.65以下で決定することが好ましい。
【0062】
第12の実施例による流動化処理土の配合決定方法は、フライアッシュとして、JIS A6201に適合しない、強熱減量が5%以上のフライアッシュ原粉を用い、細骨材を、粗粒率2.5以下としたとき、置換率BFを、20%以上で40%以下の範囲で決定し、粉体量Pを300kg/m3以上で1000kg/m3以下の範囲、粉体量Pに対して流動性目標フロー値の範囲となる単位水量Wを300kg/m3以上で500kg/m3以下の範囲で、粉体水比(P/W)を1.44以上で一軸圧縮強さ目標値を下回らない範囲で決定し、細骨材容積比(SL/ML)を38%以下で決定するものである。なお、第12の実施例による流動化処理土の配合決定方法では、更に、粉体量Pを555kg/m3以上の範囲、単位水量Wを390kg/m3以上の範囲、粉体水比(P/W)を1.26以下で決定することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によれば、固化材としてのセメントを含まない流動化処理土を得ることができる。
【要約】
【課題】固化材としてのセメントを用いない流動化処理土、及び流動化処理土の配合決定方法を提供すること。
【解決手段】水の単位体積当たりの単位水量をW、高炉スラグ微粉末とフライアッシュとの単位体積当たりの粉体量をP、細骨材の単位体積当たりの細骨材単位容積をSL、水、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、及び細骨材からなるモルタルの単位体積当たりのモルタル単位容積をML、粉体量Pに対する高炉スラグ微粉末の置換率をBF、としたとき、フライアッシュが、JIS A6201に適合するフライアッシュII種であり、細骨材が、粗粒率2.5以下であり、置換率BFが、5%以上で20%未満であれば、単位水量Wを、385kg/m
3以上で500kg/m
3以下とし、粉体水比(P/W)を1.63以上で2.75以下とし、細骨材容積比(SL/ML)を35%以下としたことを特徴とする。
【選択図】
図1