(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】ワイヤレス給電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20231114BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20231114BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231114BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/10
H02J7/00 301D
H02J7/04 L
(21)【出願番号】P 2022031786
(22)【出願日】2022-03-02
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】千葉 逸史
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110797985(CN,A)
【文献】国際公開第2016/067528(WO,A1)
【文献】特開2020-065389(JP,A)
【文献】特開2014-187725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00-50/90
H02J 7/00
H02J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電装置からワイヤレスにて送電電力を受電する第一のコイル及び当該第一のコイルよりも低い電力を受電する第二のコイルと、
前記第一のコイル及び前記第二のコイルのいずれか一方にて電力を受電可能なよう切り替えるスイッチと、
少なくとも1つの搭載された部材の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサにて検出した温度に応じて、前記スイッチにより受電可能なコイルを切り替える制御部と、
前記第一のコイル及び前記第二のコイルに接続された電源回路と、
前記電源回路と負荷との接続を切り替える負荷用スイッチと、
を備
え、
前記第一のコイルは、受電した電力を少なくとも前記負荷に対して供給するよう構成されており、
前記第二のコイルは、受電した電力を少なくとも前記制御部に対して給電するよう構成されており、
前記制御部は、
検出した温度が閾値未満である場合に、前記スイッチにより受電可能なコイルを前記第一のコイルとし、前記負荷用スイッチにより前記電源回路と前記負荷とを接続し、
その後、検出した温度が閾値未満から閾値以上となった場合に、前記スイッチにより受電可能なコイルを前記第一のコイルから前記第二のコイルに切り替え、前記負荷用スイッチにより前記電源回路と前記負荷とを切断し、
さらにその後、検出した温度が閾値以上から当該閾値よりも低く設定された他の閾値未満となった場合に、前記スイッチにより受電可能なコイルを前記第二のコイルから前記第一のコイルに切り替え、前記負荷用スイッチにより前記電源回路と前記負荷とを接続する、
ワイヤレス給電装置。
【請求項2】
請求項
1に記載のワイヤレス給電装置であって、
前記温度センサは、前記第一のコイルと、当該第一のコイルから電力を供給する負荷と、前記第一のコイル及び前記第二のコイルに接続された電源回路と、のうち少なくとも1つの温度を検出するよう構成されている、
ワイヤレス給電装置。
【請求項3】
送電装置からワイヤレスにて送電電力を受電する第一のコイル及び当該第一のコイルよりも低い電力を受電する第二のコイルと、前記第一のコイル及び前記第二のコイルのいずれか一方にて電力を受電可能なよう切り替えるスイッチと、少なくとも1つの搭載された部材の温度を検出する温度センサと、
前記第一のコイル及び前記第二のコイルに接続された電源回路と、前記電源回路と負荷との接続を切り替える負荷用スイッチと、を備えたワイヤレス給電装置によるワイヤレス給電方法であって、
前記第一のコイルは、受電した電力を少なくとも前記負荷に対して供給するよう構成されており、
前記第二のコイルは、受電した電力を少なくとも制御部に対して給電するよう構成されており、
制御部が、
検出した温度が閾値未満である場合に、前記スイッチにより受電可能なコイルを前記第一のコイルとし、前記負荷用スイッチにより前記電源回路と前記負荷とを接続し、
その後、検出した温度が閾値未満から閾値以上となった場合に、前記スイッチにより受電可能なコイルを前記第一のコイルから前記第二のコイルに切り替え、前記負荷用スイッチにより前記電源回路と前記負荷とを切断し、
さらにその後、検出した温度が閾値以上から当該閾値よりも低く設定された他の閾値未満となった場合に、前記スイッチにより受電可能なコイルを前記第二のコイルから前記第一のコイルに切り替え、前記負荷用スイッチにより前記電源回路と前記負荷とを接続する、
ワイヤレス給電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス給電装置、ワイヤレス給電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、学校などの教育の場において、一人一台の携帯端末を用意することが実施されつつある。この場合、学校側では、複数台の携帯端末を充電する必要がある。携帯端末の充電は、これまで有線による充電が一般的であったが、接続端子部に摩耗が発生し、端末寿命が短くなってしまうことや、完全防水対応が困難などの問題のため、ワイヤレス電力伝送技術を用いたワイヤレス給電も行われている。
【0003】
一方で、ワイヤレス給電は、スマートフォンやタブレットといった大電力を消費する負荷デバイスを使用した場合、誘導電流が大きいため、コイル、電源系及び負荷の温度上昇が大きくなってしまう。このため、安全性を考慮し、温度上昇を検出した場合には、送電側を停止したり、特許文献1に記載のように受電動作を停止する、ことが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したように、温度上昇により給電を停止した場合には、その後の給電を継続することができない、という問題が生じる。そして、かかる問題は、大電力負荷のデバイスに給電する場合に限らず、いかなる負荷のデバイスに給電する場合にも生じうる。
【0006】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、温度上昇が生じた場合にワイヤレス給電を継続することができない、ことを解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態であるワイヤレス給電装置は、
送電装置からワイヤレスにて送電電力を受電する第一のコイル及び当該第一のコイルよりも低い電力を受電する第二のコイルと、
前記第一のコイル及び前記第二のコイルのいずれか一方にて電力を受電可能なよう切り替えるスイッチと、
少なくとも1つの搭載された部材の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサにて検出した温度に応じて、前記スイッチにより受電可能なコイルを切り替える制御部と、
を備えた、
という構成をとる。
【0008】
また、本発明の一形態であるワイヤレス給電方法は、
送電装置からワイヤレスにて送電電力を受電する第一のコイル及び当該第一のコイルよりも低い電力を受電する第二のコイルと、前記第一のコイル及び前記第二のコイルのいずれか一方にて電力を受電可能なよう切り替えるスイッチと、少なくとも1つの搭載された部材の温度を検出する温度センサと、を備えたワイヤレス給電装置によるワイヤレス給電方法であって、
制御部が、前記温度センサにて検出した温度に応じて、前記スイッチにより受電可能なコイルを切り替える、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以上のように構成されることにより、温度上昇が生じた場合であってもワイヤレス給電を継続して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1におけるワイヤレス給電システムの構成を示す概略図である。
【
図2】
図1に開示したワイヤレス給電システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1に開示したワイヤレス給電システムの動作を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態2におけるワイヤレス給電システムの構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態3におけるワイヤレス給電装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施形態3におけるワイヤレス給電装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、
図1乃至
図3を参照して説明する。
図1乃至
図2は、ワイヤレス給電システムの構成を説明するための図であり、
図3は、ワイヤレス給電システムの動作を説明するための図である。
【0012】
本発明におけるワイヤレス給電システム10は、
図1に示すように、送電装置20と、受電装置30と、二次側装置40と、を備える。送電装置20は、送電コイルから、後述する受電装置30に設けられる受電コイルの軸方向に一定の交流磁界を放出し、ワイヤレスで電力を送電するものである。受電装置30は、送電装置20からワイヤレス電力伝送を受けて受電するものである。二次側装置40は、受電装置30から給電を受けるものである。以下、主に受電装置30及び二次側装置40にて構成されるワイヤレス給電装置の構成について、
図2を参照して詳述する。
【0013】
二次側装置40は、例えば、バッテリーなどの負荷41を備えた携帯端末であり、バッテリーを充電するなど負荷41に電力を供給する際に、受電装置30に接続されるものである。負荷41は、例えば、消費電力5W以上の高負荷装置であってもよく、IoT(Internet of Things)デバイスのような低負荷装置であってもよい。なお、本実施形態では、
図1に示すように、1つの送電装置20に対して、複数の二次側装置40と受電装置30とが結合された端末が配置され、同時に複数の端末つまり複数の二次側装置40の負荷41に対して電力の供給することとする。
【0014】
受電装置30は、送電装置20からワイヤレスにて送電電力を受電する受信用ワイヤレス給電コイルである、第一のRxコイル31と、第二のRxコイルと、を備える。第一のRxコイル31は、後述するように、主に二次側装置40の負荷41に供給する電力を受電するためのものであり、第二のRxコイル32よりも大きい電力を受電可能なよう構成されている。なお、第一のRxコイル31にて受電した電力は、後述する制御装置35にも供給されることとなる。第二のRxコイル32は、主に制御装置35に供給する電力を受電するためのものであり、第一のRxコイル31よりも低い電力を受電可能なよう構成されている。具体的に、第二のRxコイル32は、第一のRxコイル31と比較して導線の巻き数Nが少なく形成されている。これにより、第二のRxコイル32は、後述するように、送電装置20に対する認証、制御装置35による温度の検出及び判定、スイッチの制御、などの処理や動作が可能な最低限の電力を供給するよう構成されている。なお、下記数1式は、誘導起電力の式であり、受電コイルの巻き数Nが少ないと誘導起電力が小さくなることを示している。
【数1】
【0015】
また、受電装置30は、第一のRxコイル31と第二のRxコイル32とのいずれか一方のみが電力を受電可能なよう切り替えるコイル切替スイッチ33を備える。コイル切替スイッチ33は、後述するように制御装置35にて制御され、温度異常(温度上昇)が検出されたか否かに応じて電源系34にいずれか一方のコイル31,32のみが接続されるよう切り替える。具合的に、コイル切替スイッチ33は、温度異常が検出されない場合には、第二のRxコイル32はオープンにし、第一のRxコイル31のみを電源系34に接続するよう切り替え、当該第一のRxコイル31のみが動作して誘導電力を発生させるようにする。また、コイル切替スイッチ33は、温度異常が検出された場合には、第一のRxコイル32はオープンにし、第二のRxコイル32のみを電源系34に接続するよう切り替え、当該第二のRxコイル32のみが動作して誘導電力を発生させるようにする。
【0016】
また、受電装置30は、第一のRxコイル31及び第二のRxコイル32に接続され、整流平滑やAC/DC変換などの電源回路を含む電源系34を備える。電源系34は、二次側装置40の負荷41に接続され、後述するように第一のRxコイル31で発生された電力を負荷41に供給する。また、電源系34には、制御装置35の接続されており、後述するように第一のRxコイル31あるいは第二のRxコイル32で発生された電力を制御装置35に供給する。
【0017】
また、受電装置30は、電源系34と負荷41との接続状態を切り替えるスイッチ36(負荷用スイッチ)を備える。スイッチ36は、後述するように制御装置35にて制御され、温度異常(温度上昇)が検出されたか否かに応じて、電源系34と負荷41との接続/切断を切り替える。具体的に、スイッチ36は、温度異常(温度上昇)が検出されない場合には、電源系34と負荷41とを接続した状態に切り替えて、第一のRxコイル31で発生された電力を負荷41に供給するようにする。また、スイッチ36は、温度異常が検出された場合には、電源系34と負荷41とを切断し、負荷41に電力が供給されないようにする。
【0018】
また、受電装置30は、温度センサ37を備える。本実施形態では、3つの温度センサ37を備えており、上述した第一のRxコイル31、電源系34、負荷41のそれぞれの温度を検出するよう配置されている。そして、温度センサ37は、後述する制御装置35に接続されており、当該制御装置35にて第一のRxコイル31、電源系34、負荷41の各温度が検出される。但し、温度センサ37は、必ずしも第一のRxコイル31、電源系34、負荷41の温度を検出するよう装備されていることに限定されず、これらのうち少なくとも1つの温度を検出するよう装備されていてもよく、受電装置30及び二次側装置40に搭載されたいかなる部材の温度を検出するよう装備されてもよい。
【0019】
また、受電装置30は、制御装置35を備える。制御装置35は、プログラムを実行することで、各温度センサ37から、第一のRxコイル31、電源系34、負荷41のそれぞれ温度を検出し、これらの温度に応じて、コイル切替スイッチ33及びスイッチ36を制御して、受電装置30及び二次側装置40における給電状況を制御する機能を備える。以下、制御装置35の機能について、
図3のフローチャートを参照して説明する。なお、ここでは、二次側装置40の負荷41はバッテリーであることとし、バッテリーを充電するために給電する場合を一例に挙げて説明する。
【0020】
制御装置35は、給電開始時には、コイル切替スイッチ33により第二のRxコイル32をオープンにして、第一のRxコイル31のみが電源系34に接続されている状態にし、併せて、スイッチ36により電源系34と負荷41とが接続された状態となるよう制御する。これにより、Rxコイル31,32のうち、第一のRxコイル31のみが受電可能となり、かかる第一のRxコイル31で発生した電力が、電源系34及びスイッチ36を介して二次側装置40の負荷41に供給され、充電されることとなる。なお、このとき、第一のRxコイル31からの電力は、制御装置35等の他の部品にも供給されている。
【0021】
その後、制御装置35は、給電によりバッテリーの充電が満杯であるか否かを調べ、満充電となると(ステップS1でYes)、充電を完了する。一方、制御装置35は、満充電となるまでは(ステップS1でNo)、各温度センサ37にて検出された温度が予め設定された第一閾値以上であるか、つまり、温度異常が生じているか否かを調べる(ステップS3)。制御装置35は、検出した温度のいずれも第一閾値未満であって温度異常が生じていない場合には(ステップS3でNo)、上述した状態のままで充電を継続する。なお、上記第一閾値は、部品ごと(第一のRxコイル31、電源系34、負荷41ごと)に異なる値が設定されていてもよい。
【0022】
一方、制御装置35は、検出した温度の少なくとも1つが第一閾値以上であって温度異常(温度上昇)が発生したことを検出した場合には(ステップS3でYes)、コイル切替スイッチ33の接続状態を切り替え、第一のRxコイル31をオープンにし、第二のRxコイル32のみが電源系34に接続されている状態にし(ステップS4)、併せて、スイッチ36により電源系34と負荷41とが切断された状態となるよう制御する。これにより、Rxコイル31,32のうち、第二のRxコイル32のみが受電可能となり、かかる第二のRxコイル32で発生した電力による省電力給電状態となる(ステップS5)。すると、受電装置30は、第二のRxコイル32にて発生した低電力のみでの稼働状態となり、二次側装置40の負荷41への電力供給も停止された状態となるため、その後の温度上昇を抑制することができる。このとき、第二のRxコイル32で生じた電力は、制御装置35等に供給され、上述同様に各温度センサ37からの温度の検出が継続される(ステップS6)。
【0023】
制御装置35は、第二のRxコイル32による省電力給電状態で、さらにいずれかの温度の上昇を検出した場合、例えば、上述した第一閾値よりもさらに高く設定された第二閾値以上となったことを検出した場合には、温度異常が生じていると判断し(ステップS7でYes)、給電を中止する。このとき、制御装置35は、例えば、異物検出として他の装置に通知するよう出力を行う。なお、上記第二閾値は、部品ごと(第一のRxコイル31、電源系34、負荷41ごと)に異なる値が設定されていてもよい。
【0024】
一方で、第二のRxコイル32による省電力給電状態で、その後は全ての温度が低下した場合、例えば、全ての温度が上述した第一閾値未満あるいは当該第一閾値よりも低く設定された第三閾値未満となったことを検出した場合には(ステップS8でYes)、コイル切替スイッチ33の接続状態を切り替え、第二のRxコイル32をオープンにし、第一のRxコイル31のみが電源系34に接続されている状態にし(ステップS9)、併せて、スイッチ36により電源系34と負荷41とが接続された状態となるよう制御する。これにより、再び、Rxコイル31,32のうち、第一のRxコイル31のみが受電可能となり、かかる第一のRxコイル31で発生した電力が、電源系34及びスイッチ36を介して二次側装置40の負荷41に供給され、充電が継続されることとなる(ステップS1に戻る)。このとき、第一のRxコイル31からの電力は、制御装置35等の他の部品にも供給されることとなる。なお、上記第三閾値は、部品ごと(第一のRxコイル31、電源系34、負荷41ごと)に異なる値が設定されていてもよい。
【0025】
以上のように、本実施形態では、温度上昇により負荷41への給電を停止した場合であっても、省電力給電状態で制御装置35にて温度が検出され続け、温度が低下した場合には負荷41への給電が継続される。このため、温度異常が生じた場合であっても、ワイヤレス給電を継続して行うことができる。
【0026】
<実施形態2>
次に、本発明の第2の実施形態を、
図4を参照して説明する。
図4は、ワイヤレス給電装置の構成を説明するための図である。
【0027】
本実施形態におけるワイヤレス給電装置は、上述した実施形態1で説明したものと同様に、
図4に示すように、受電装置30と二次側装置40とを備える。但し、本実施形態では、受電装置30と二次側装置40が一体的に構成されており、上述した制御装置が二次側装置40に搭載されている。つまり、二次側装置40の制御装置43が、上述したように、各温度センサ37から検出した温度に応じて、第一のRxコイル31と第二のRxコイル32との接続状態を制御する機能を有する。以下、主に実施形態1とは異なる構成について説明する。
【0028】
本実施形態における二次側装置40は、負荷としてバッテリー42を備えており、かかるバッテリー42の充電を行う際に、制御装置43は以下のように作動することとなる。なお、二次側装置40の制御装置43は、バッテリー42から受電可能であると共に、電源系34にも接続しており、各コイル31,32からの給電を受けることも可能なよう構成されている。
【0029】
まず、制御装置43は、給電開始時には、コイル切替スイッチ33により第二のRxコイル32をオープンにし、第一のRxコイル31のみが電源系34に接続されている状態にし、併せて、スイッチ36により電源系34とバッテリー42とが接続された状態となるよう制御する。これにより、Rxコイル31,32のうち、第一のRxコイル31のみが受電可能となり、かかる第一のRxコイル31で発生した電力が、電源系34及びスイッチ36を介してバッテリー42に供給され、充電されることとなる。なお、このとき、バッテリー42に十分な電力が蓄電されていない場合には、第一のRxコイル31からの電力が制御装置43等の他の部品にも供給されることとなる。
【0030】
その後、制御装置43は、各温度センサ37にて検出された温度に異常が生じているか否かを調べ、検出した温度の少なくとも1つに温度異常(温度上昇)が発生したことを検出した場合には、コイル切替スイッチ33の接続状態を切り替え、第一のRxコイル31をオープンにし、第二のRxコイル32のみが電源系34に接続されている状態にし、併せて、スイッチ36により電源系34とバッテリー42とが切断された状態となるよう制御する。これにより、Rxコイル31,32のうち、第二のRxコイル32のみが受電可能となり、かかる第二のRxコイル32で発生した電力による省電力給電状態となる。このとき、バッテリー42に十分な電力が蓄電されていない場合には、第二のRxコイル32からの電力が制御装置43等の他の部品にも供給されることとなる。これにより、制御装置43は、各温度センサ37からの温度の検出を継続することができる。
【0031】
制御装置43は、第二のRxコイル32による省電力給電状態で、その後に全ての温度が低下して温度異常が解消されたことを検出した場合には、コイル切替スイッチ33の接続状態を切り替え、第二のRxコイル32をオープンにし、第一のRxコイル31のみが電源系34に接続されている状態にし、併せて、スイッチ36により電源系34とバッテリー42とが接続された状態となるよう制御する。これにより、再び、Rxコイル31,32のうち、第一のRxコイル31のみが受電可能となり、かかる第一のRxコイル31で発生した電力が、電源系34及びスイッチ36を介してバッテリー42に供給され、充電が継続されることとなる。
【0032】
<実施形態3>
次に、本発明の第3の実施形態を、
図5乃至
図6を参照して説明する。
図5は、実施形態2におけるワイヤレス給電装置の構成を示すブロック図であり、
図6は、ワイヤレス給電装置の動作を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、上述した実施形態で説明した受電装置及び二次側装置の構成の概略を示している。
【0033】
図5に示すように、本実施形態におけるワイヤレス給電装置100は、
送電装置からワイヤレスにて送電電力を受電する第一のコイル101及び当該第一のコイルよりも低い電力を受電する第二のコイル102と、
前記第一のコイル及び前記第二のコイルのいずれか一方にて電力を受電可能なよう切り替えるスイッチ103と、
少なくとも1つの搭載された部材の温度を検出する温度センサ104と、
前記温度センサにて検出した温度に応じて、前記スイッチにより受電可能なコイルを切り替える制御部105と、
を備える。
【0034】
そして、ワイヤレス給電装置100の制御部105は、
図6に示すように、
温度センサにて温度を検出し(ステップS101)、
検出した温度に応じて、スイッチにより受電可能なコイルを切り替える(ステップS102)、
という処理を実行する。
【0035】
本発明は、以上のように構成されることにより、温度異常が生じた場合であっても、ワイヤレス給電を継続して行うことができる。
【0036】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0037】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明におけるワイヤレス給電装置、ワイヤレス給電方法の構成の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
(付記1)
送電装置からワイヤレスにて送電電力を受電する第一のコイル及び当該第一のコイルよりも低い電力を受電する第二のコイルと、
前記第一のコイル及び前記第二のコイルのいずれか一方にて電力を受電可能なよう切り替えるスイッチと、
少なくとも1つの搭載された部材の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサにて検出した温度に応じて、前記スイッチにより受電可能なコイルを切り替える制御部と、
を備えたワイヤレス給電装置。
(付記2)
付記1に記載のワイヤレス給電装置であって、
前記制御部は、前記第一のコイルが受電可能となっているときに、検出した温度が閾値以上となった場合に、前記スイッチにより受電可能なコイルを前記第一のコイルから前記第二のコイルに切り替える、
ワイヤレス給電装置。
(付記3)
付記2に記載のワイヤレス給電装置であって、
前記制御部は、前記第二のコイルが受電可能となっているときに、検出した温度が閾値未満となった場合に、前記スイッチにより受電可能なコイルを前記第二のコイルから前記第一のコイルに切り替える、
ワイヤレス給電装置。
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載のワイヤレス給電装置であって、
前記第一のコイルは、受電した電力を少なくとも負荷に対して供給するよう構成されており、
前記第二のコイルは、受電した電力を少なくとも前記制御部に対して給電するよう構成されている、
ワイヤレス給電装置。
(付記5)
付記4に記載のワイヤレス給電装置であって、
前記第一のコイル及び前記第二のコイルに接続された電源回路と、
前記電源回路と前記負荷との接続を切り替える負荷用スイッチと、を備え、
前記制御部は、検出した温度が閾値未満である場合に、前記負荷用スイッチにより前記電源回路と前記負荷とを接続し、検出した温度が閾値以上である場合に、前記負荷用スイッチにより前記電源回路と前記負荷とを切断する、
ワイヤレス給電装置。
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載のワイヤレス給電装置であって、
前記温度センサは、前記第一のコイルと、当該第一のコイルから電力を供給する負荷と、前記第一のコイル及び前記第二のコイルに接続された電源回路と、のうち少なくとも1つの温度を検出するよう構成されている、
ワイヤレス給電装置。
(付記7)
送電装置からワイヤレスにて送電電力を受電する第一のコイル及び当該第一のコイルよりも低い電力を受電する第二のコイルと、前記第一のコイル及び前記第二のコイルのいずれか一方にて電力を受電可能なよう切り替えるスイッチと、少なくとも1つの搭載された部材の温度を検出する温度センサと、を備えたワイヤレス給電装置によるワイヤレス給電方法であって、
制御部が、前記温度センサにて検出した温度に応じて、前記スイッチにより受電可能なコイルを切り替える、
ワイヤレス給電方法。
(付記8)
付記7に記載のワイヤレス給電方法であって、
前記制御部が、前記第一のコイルが受電可能となっているときに、検出した温度が閾値以上となった場合に、前記スイッチにより受電可能なコイルを前記第一のコイルから前記第二のコイルに切り替える、
ワイヤレス給電方法。
(付記9)
付記8に記載のワイヤレス給電方法であって、
前記制御部が、前記第二のコイルが受電可能となっているときに、検出した温度が閾値未満となった場合に、前記スイッチにより受電可能なコイルを前記第二のコイルから前記第一のコイルに切り替える、
ワイヤレス給電方法。
(付記10)
付記7乃至9のいずれかに記載のワイヤレス給電方法であって、
前記第一のコイルは、受電した電力を少なくとも負荷に対して供給するよう構成されており、
前記第二のコイルは、受電した電力を少なくとも前記制御部に対して給電するよう構成されており、
さらに、前記ワイヤレス給電装置が、
前記第一のコイル及び前記第二のコイルに接続された電源回路と、
前記電源回路と前記負荷との接続を切り替える負荷用スイッチと、を備えており、
前記制御部が、検出した温度が閾値未満である場合に、前記負荷用スイッチにより前記電源回路と前記負荷とを接続し、検出した温度が閾値以上である場合に、前記負荷用スイッチにより前記電源回路と前記負荷とを切断する、
ワイヤレス給電方法。
【符号の説明】
【0038】
10 ワイヤレス給電システム
20 送電装置
30 受電装置
31 第一のRxコイル
32 第二のRxコイル
33 コイル切替スイッチ
34 電源系
35 制御装置
36 スイッチ
37 温度センサ
40 二次側装置
41 負荷
42 バッテリー
43 制御装置
100 ワイヤレス給電装置
101 第一のコイル
102 第二のコイル
103 スイッチ
104 温度センサ
105 制御部