(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】アンテナ構造及び無線通信装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/42 20060101AFI20231114BHJP
H01Q 21/28 20060101ALI20231114BHJP
H01Q 1/52 20060101ALI20231114BHJP
H01Q 13/10 20060101ALI20231114BHJP
H01Q 5/10 20150101ALI20231114BHJP
H01Q 5/364 20150101ALI20231114BHJP
【FI】
H01Q9/42
H01Q21/28
H01Q1/52
H01Q13/10
H01Q5/10
H01Q5/364
(21)【出願番号】P 2021166381
(22)【出願日】2021-10-08
【審査請求日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】202110411522.0
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】596039187
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼傑超
(72)【発明者】
【氏名】許向榮
(72)【発明者】
【氏名】陳▲彦▼廷
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-115182(JP,A)
【文献】特開2010-206795(JP,A)
【文献】R. Ramesh,Design and Analysis of Dual Band MIMO Antenna System for GPS and IoT Wireless Applications,Internatinal Journal of Innovative Technology and Exploring Engineering (IJITEE),Volume 8, Issue 5,2019年03月,p. 1183-1189
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/42
H01Q 21/28
H01Q 1/52
H01Q 13/10
H01Q 5/10
H01Q 5/364
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面及び第2の表面を含む基板と、
前記第1の表面に設けられ、放射部、給電部及び給電線を含むアンテナユニットと、
前記第2の表面に設けられる金属接地部と、
を備え、
また、前記給電線は、相互に垂直であるとともに相互に接続される第1の伝送線と第2の伝送線を含み、前記第1の伝送線は、前記給電部を介して前記放射部に接続され、
前記放射部に隣接する前記金属接地部のエッジは、前記放射部の前記金属接地部への投影に垂直であり、
前記金属接地部に設けられる共振スロットは、その位置が前記
第2の伝送線の前記金属接地部への投影と前記エッジとの間に対応するアンテナ構造。
【請求項2】
前記共振スロットは、形状がL形状であり、長さが前記アンテナユニットの動作帯域の中心周波数の波長の四分の一である請求項1に記載のアンテナ構造。
【請求項3】
前記共振スロットは、幅が1mmであり、且つ前記アンテナユニットの前記金属接地部への投影との間の距離が1mmより大きい請求項1または2に記載のアンテナ構造。
【請求項4】
前記エッジの長さは、前記アンテナユニットの動作帯域の中心周波数の波長の二分の一である請求項1~3のいずれか一項に記載のアンテナ構造。
【請求項5】
前記放射部は逆F形状であり、前記給電線はL形状である請求項1~4のいずれか一項に記載のアンテナ構造。
【請求項6】
前記放射部の自体は共振して第1の共振帯域を発生させ、前記共振スロットは前記放射部と共振して前記第1の共振帯域に隣り合う第2の共振帯域を発生させ、前記アンテナユニットの動作帯域は、前記第1の共振帯域及び前記第2の共振帯域を含む請求項1~5のいずれか一項に記載のアンテナ構造。
【請求項7】
第1の表面及び第2の表面を含む基板と、
前記第1の表面に設けられ、そのうちの隣り合う両者が互いに垂直である少なくとも2つのアンテナユニットと、
前記第2の表面に設けられる少なくとも1つの金属接地部と、
を備え、
少なくとも2つのアンテナユニットは、少なくとも2つの放射部、少なくとも2つの給電部及び少なくとも2つの給電線を含み、前記少なくとも2つの給電線のそれぞれは、相互に垂直であるとともに相互に接続される第1の伝送線と第2の伝送線を含み、前記少なくとも2つの給電線の前記第1の伝送線は、それぞれ前記少なくとも2つの給電部を介して前記少なくとも2つの放射部に接続され、
前記少なくとも1つの金属接地部に設けられる少なくとも1つの隔離スロットは、その位置がそれぞれ前記少なくとも2つのアンテナユニットのうちの隣り合う両者の、前記少なくとも1つの金属接地部への投影の間に対応し、
前記少なくとも2つの放射部に隣接する前記少なくとも1つの金属接地部の少なくとも2つのエッジは、互いに垂直であるとともに、それぞれ前記少なくとも2つの放射部の前記金属接地部への投影に垂直であり、
前記少なくとも1つの金属接地部に設けられる少なくとも2つの共振スロットは、その位置が前記少なくとも2つの給電線の前記第2の伝送線の前記金属接地部への投影と前記少なくとも2つのエッジのうちの対応する者との間に対応する無線通信装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの隔離スロットは矩形であり、前記少なくとも2つの共振スロットは、形状がL形状であり、前記少なくとも1つの隔離スロットの長さ及び前記少なくとも2つの共振スロットの長さは、前記少なくとも2つのアンテナユニットの動作帯域の中心周波数の波長の四分の一であり、前記少なくとも2つのエッジの長さは、前記少なくとも2つのアンテナユニットの前記動作帯域の中心周波数の波長の二分の一である請求項7に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの隔離スロットの幅は3.6mmであり、前記少なくとも2つの共振スロットの幅は1mmであり、前記少なくとも1つの隔離スロットと前記少なくとも2つのアンテナユニットのうちの隣り合う両者の前記金属接地部への投影との間の距離は1mmより大きい請求項7または8に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記少なくとも2つの放射部の自体は共振して第1の共振帯域を発生させ、前記少なくとも2つの共振スロットはそれぞれ前記少なくとも2つの放射部と共振して前記第1の共振帯域に隣り合う第2の共振帯域を発生させ、前記少なくとも2つのアンテナユニットの動作帯域は、前記第1の共振帯域及び前記第2の共振帯域を含む請求項7~9のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記少なくとも2つの放射部は逆F形状であり、且前記少なくとも2つの給電線はL形状である請求項7~10のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの隔離スロットは、前記少なくとも2つのアンテナユニットの隔離度を増やすように前記少なくとも2つのアンテナユニットの間の信号伝達をブロックする請求項7~11のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ構造及び無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には、sub-7GHzの帯域で第5世代移動通信システム(5G new radio;5G NR)規格の高い要求を満たすために、広い動作帯域幅及びアンテナ間の高隔離度(isolation)を処理し、更に高いデータ伝送速度(data rate)及び多入力多出力システム(multi-input multi-output;MIMO)の高いスループット(throughput)を得るように、アンテナを更に設計する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
5G NR規格より前のシステムでは、アンテナの動作帯域は、通常、比較的小さい。一般的なアンテナ設計によれば、このような帯域幅の要求を満たすことができる。しかしながら、このようなアンテナ設計は、広い動作帯域幅及びアンテナ間の高隔離度を満たすことができない場合が多い。従って、如何に5G NR規格に基づいて広い動作帯域幅及びアンテナ間の高隔離度を満たすアンテナを設計するかは、当業者が早急に解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、第1の表面及び第2の表面を含む基板と、第1の表面に設けられ、放射部、給電部及び給電線を含むアンテナユニットと、前記第2の表面に設けられる金属接地部と、を備え、給電線は、相互に垂直であるとともに相互に接続される第1の伝送線と第2の伝送線を含み、第1の伝送線は、給電部を介して放射部に接続され、金属接地部は、放射部の金属接地部への投影に垂直であるエッジを有し、金属接地部に設けられる共振スロットは、その位置が第1の伝送線の金属接地部への投影とエッジとの間に対応するアンテナ構造を提供する。
【0005】
本発明は、第1の表面及び第2の表面を含む基板と、第1の表面に設けられ、そのうちの隣り合う両者が互いに垂直である少なくとも2つのアンテナユニットと、第2の表面に設けられる少なくとも1つの金属接地部と、を備え、少なくとも2つのアンテナユニットは、少なくとも2つの放射部、少なくとも2つの給電部及び少なくとも2つの給電線を含み、少なくとも2つの給電線のそれぞれは、相互に垂直であるとともに相互に接続される第1の伝送線と第2の伝送線を含み、少なくとも2つの給電線の第1の伝送線は、それぞれ少なくとも2つの給電部を介して少なくとも2つの放射部に接続され、少なくとも1つの金属接地部に設けられる少なくとも1つの隔離スロットは、その位置がそれぞれ少なくとも2つのアンテナユニットのうちの隣り合う両者の、少なくとも1つの金属接地部への投影の間に対応し、少なくとも1つの金属接地部は、そのうちの隣り合う両者が互いに垂直であるとともに、それぞれ少なくとも2つの放射部の金属接地部への投影に垂直である少なくとも2つのエッジを有し、少なくとも1つの金属接地部に設けられる少なくとも2つの共振スロットは、その位置が少なくとも2つの給電線の第2の伝送線の金属接地部への投影と少なくとも2つのエッジのうちの対応する者との間に対応する無線通信装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
以上に基づき、本発明の提供する無線通信装置は、金属接地板の共振スロットによってアンテナの動作帯域幅を大幅に増やすことができる。また、隔離スロット及び垂直であるアンテナユニットの位置設計によってアンテナ間の隔離度を更に増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施例による無線通信装置を示す底面透視図である。
【
図2】本発明の実施例による無線通信装置を示す上面図である。
【
図3】本発明の実施例による無線通信装置における1つのアンテナユニットを示す上面図である。
【
図4】本発明の実施例による無線通信装置を示す底面図である。
【
図5】本発明の別の実施例による無線通信装置を示す底面透視図である。
【
図6】本発明の実施例による2つのアンテナユニットの隔離度と周波数を示す模式図である。
【
図7】本発明の実施例による2つのアンテナユニットの動作帯域
のSパラメータ(反射損失)を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の実施例による無線通信装置100を示す底面透視図である。
図2は、本発明の実施例による無線通信装置100を示す上面図である。
図3は、本発明の実施例による無線通信装置における1つのアンテナユニットを示す上面図である。
図4は、本発明の実施例による無線通信装置100を示す底面図である。
図1~
図4を同時に参照し、無線通信装置100は、基板110と、ペアになったアンテナユニット120(1)~120(2)と、金属接地部130と、を備えてよい。
【0009】
注意すべきなのは、本実施例のアンテナユニット120(1)~120(2)の数は2であり、且つ金属接地部130の数は1であるが、アンテナユニット120(1)~120(2)の数は2より大きい任意の正偶数であってもよく、且つ金属接地部130の数は1より大きい任意の正整数であってもよいことである。また、アンテナユニット120(1)~120(2)の数は、金属接地部130の数の2倍である。
【0010】
一例として、
図5は、本発明の別の実施例による無線通信装置100を示す底面透視図である。
図5を参照し、この実施例では、1つの基板110、8つのアンテナユニット120(1)~120(8)、4つの金属接地部130(1)~130(4)の例が示される。
【0011】
なお、再び
図1~
図4を同時に参照し、基板110は、相互に対応する第1の表面111及び第2の表面112を含んでよく、
図2に示すのは第1の表面111であり、
図4に示すのは第2の表面112である。アンテナユニット120(1)~120(2)は、第1の表面111に設けられてよく、金属接地部130は、第2の表面112に設けられてよい。また、
図3は、更にアンテナユニット120(1)の構造の細部を示す。
【0012】
いくつかの実施例において、基板110は、絶縁材質で製造されたプリント回路板(printed circuit board;PCB)であってよく、基板110の材質は、テフロン(登録商標)(PTFE)又はエポキシ樹脂(FR4)などの、PCBの製造によく用いられる材質であってよい。それにより、アンテナユニット120(1)~120(2)を印刷により基板110に直接設けることができる。
【0013】
アンテナユニット120(1)~120(2)は、互いに垂直であってよく、アンテナユニット120(1)は、放射部121、給電部122、接地部123及び給電線124を含んでよく、給電線124は、相互に垂直であるとともに相互に接続される第1の伝送線1241と第2の伝送線1242を含んでよく、第1の伝送線1241は、給電部122を介して放射部121に接続されてよい。
【0014】
また、給電線124は、給電点1243を更に含んでよく、アンテナユニット120(1)は、給電点1243により信号源から給電信号を受信することができる。
【0015】
注意すべきなのは、アンテナユニット120(2)は、アンテナユニット120(1)と同じである上記構造を有してもよいため、ここで繰り返して説明しないことである。
【0016】
上記アンテナユニット120(1)~120(2)の設置形態により、アンテナユニット120(1)の分極方向はy方向とされてよく、アンテナユニット120(2)の分極方向はx方向とされてよい。すると、アンテナユニット120(1)~120(2)の隔離度(isolation)を大幅に向上させることができる(例えば、隔離度は、-10dB程度に低下する)。
【0017】
いくつかの実施例において、アンテナユニット120(1)~120(2)は、いずれも逆F形状の平面逆Fアンテナ(planar inverted-F antenna;PIFA)であってよい。また、アンテナユニット120(1)~120(2)は、上記給電線構造を有する他のタイプのアンテナ(例えば、モノポールアンテナ(monopole antenna))であってもよく、上記給電線構造を有する異なるタイプのアンテナであってもよく(例えば、アンテナユニット120(1)はPIFAアンテナであるが、アンテナユニット120(2)はモノポールアンテナである)、アンテナユニット120(1)~120(2)のタイプに対して別途制限を加えていない。
【0018】
いくつかの実施例において、アンテナユニット120(1)~120(2)がいずれもPIFAアンテナである場合、アンテナユニット120(1)の放射部121は、第1の放射部1211、第2の放射部1212及び第3の放射部1213を含んでよく、第3の放射部1213はL形状であってよい。
【0019】
また、第1の放射部1211の第1の端は、第2の放射部1212と第3の放射部1213の間に接続され、第1の放射部1211の第2の端は、給電部122に接続される。また、第3の放射部1213は、接地部123に接続されてよく、接地部123は、ビア(via)を介して金属接地部130に接続されてよい。
【0020】
いくつかの実施例において、金属接地部130は逆L形状であってよく、且つ銅箔などの金属材質で製造されてよい。
【0021】
なお、金属接地部130の隔離スロット131は、金属接地部130に設けられてよく、隔離スロット131の位置がそれぞれアンテナユニット120(1)~120(2)の金属接地部130への投影の間に対応してよく、隔離スロット131の数は金属接地部130の数に等しくてよい。
【0022】
いくつかの実施例において、隔離スロット131は矩形であり、隔離スロット131とアンテナユニット120(1)~120(2)の金属接地部130への投影との間の距離D1は1mmより大きくてよい。また、隔離スロット131の幅W1は3.6mmであってよく、隔離スロット131の長さL1は、アンテナユニット120(1)~120(2)の動作帯域の中心周波数の波長の四分の一であってよい。
【0023】
詳しくは、アンテナユニット120(1)~120(2)の動作帯域の中心周波数の波長は、基板110の材質に影響されてよい(即ち、異なる材質は異なる波長に対応してよい(wavelength in free space))。
【0024】
つまり、アンテナユニット120(1)~120(2)の動作帯域の中心周波数の波長は、主に基板110の材質の等価誘電率(effective dielectric constant;Dkeff)に関する(即ち、大抵、誘電率(dielectric constant;Dk)に1を加算して2で割った値)。一例として、テフロン(登録商標)の誘電率は3.0~4.5であるが、FR4の誘電率は3.5である。
【0025】
更に、まず上記等価誘電率の平方根を計算して相当値を得ることができ、且つ、アンテナユニット120(1)~120(2)の動作帯域の中心周波数の波長は、この相当値に反比例する。
【0026】
上記した隔離スロット131の設置形態により、アンテナユニット120(1)~120(2)に生じた信号をブロックし、更にアンテナユニット120(1)~120(2)の隔離度を大幅に増やす(例えば、隔離度が更に-20dB以下に低下する)ように、アンテナユニット120(1)~120(2)と隔離スロット131を共振させることができる。
【0027】
図6は、本発明の実施例による2つのアンテナユニットの隔離度と周波数を示す模式図である。
図1及び
図6を同時に参照し、上記した隔離スロット131の設置形態により、アンテナユニット120(1)~120(2)の隔離度は、明らかに-20dB以下に低下することができる。つまり、アンテナユニット120(1)~120(2)の隔離度は、第5世代移動通信システム(5G new radio;5G NR)規格の隔離度の要求(即ち、-20dBより小さい)を満たすことができる。
【0028】
なお、再び
図1~
図4を同時に参照し、金属接地部130はエッジE1~E2を有し、エッジE1~E2は、互いに垂直であってよく、且つ、それぞれアンテナユニット120(1)~120(2)における放射部の金属接地部130への投影に垂直であってよい。
【0029】
つまり、エッジE1は、放射部121の給電部122に近い部分の金属接地部130への投影に垂直であってよい。同様に、エッジE2も、類似する設置形態を有してよい。
【0030】
いくつかの実施例において、エッジE1~E2の長さは、アンテナユニット120(1)~120(2)の動作帯域の中心周波数の波長の二分の一であってよい。
【0031】
なお、共振スロット132(1)~132(2)は、金属接地部130に設けられてよく、共振スロット132(1)~132(2)の位置がアンテナユニット120(1)~120(2)における給電線の第2の伝送線の金属接地部130への投影とエッジE1~E2のうちの対応する者との間に対応してよい。
【0032】
つまり、共振スロット132(1)の位置は、給電線124の第2の伝送線1242の金属接地部130への投影とエッジE1との間であってよい。同様に、共振スロット132(2)の位置も、類似する設置形態を有してよい。
【0033】
いくつかの実施例において、共振スロット132(1)~132(2)は、形状がL形状であってよく、長さ(即ち、長さL2と長さL3の合計長さ)がアンテナユニット120(1)~120(2)の動作帯域の中心周波数の波長の四分の一であってよい。
【0034】
いくつかの実施例において、共振スロット132(1)~132(2)は、幅W2が1mmであってよく、アンテナユニット120(1)~120(2)の金属接地部130への投影との間の距離D2が1mmより大きくてよい。
【0035】
つまり、共振スロット132(1)とアンテナユニット120(1)の給電部122の金属接地部130への投影との間の距離D2はそれぞれ1mmより大きくてよい。同様に、共振スロット132(2)も、類似する設置形態を有してよい。
【0036】
いくつかの実施例において、アンテナユニット120(1)~120(2)の放射部(例えば、アンテナユニット120(1)の放射部121)の自体は共振して第1の共振帯域を発生させることができ、共振スロット132(1)~132(2)はそれぞれアンテナユニット120(1)~120(2)の放射部と共振してこの第1の共振帯域に隣り合う第2の共振帯域を発生させることができ、アンテナユニット120(1)~120(2)の動作帯域は、この第1の共振帯域及びこの第2の共振帯域を含んでよい。
【0037】
上記共振スロット132(1)~132(2)の設置形態により、アンテナユニット120(1)~120(2)の動作帯域を大幅に増やすことができる。
【0038】
図7は、本発明の実施例による2つのアンテナユニットの動作帯域(反射係数と周波数)
のSパラメータ(反射損失)を示す模式図である。
図1及び
図7を同時に参照し、一般的には、第5世代移動通信システム(5G new radio;5G NR)規格の帯域n77/n78は、3.3GHz~4.2GHzである(帯域幅は900MHzである)。上記共振スロット132(1)~132(2)の設置形態により、アンテナユニット120(1)~120(2)の動作帯域は3.19~4.46GHzである(
反射損失は-10dBの帯域より小さい)。つまり、アンテナユニット120(1)~120(2)の動作帯域は、5G NR規格の帯域n77/n78を同時に満たすことができる。
【0039】
すると、再び
図1~
図4を同時に参照し、アンテナユニット120(1)、共振スロット132(1)、基板110の一部及び金属接地部130の一部(この基板110の一部及びこの金属接地部130の一部がアンテナユニット120(1)及び共振スロット
132(1)に対応する)は、1つの共振構造を形成可能である。同様に、アンテナユニット120(2)、共振スロット132(2)、基板110の他方の一部及び金属接地部130の他方の一部(この基板110の他方の一部及びこの金属接地部130の他方の一部がアンテナユニット120(2)及び共振スロット132(2)に対応する)も、もう1つの共振構造を形成可能である。
【0040】
以上に基づき、上記した無線通信装置100により、上記アンテナ構造を利用して更にsub-7GHzの帯域で5G NR規格の広い動作帯域幅及びアンテナユニットの高隔離度を満たすことができる。
【0041】
以上を纏めると、本発明が提供する無線通信装置は、隣り合うアンテナユニットの間の隔離スロット及びアンテナユニットの垂直設置形態により、アンテナユニットの隔離度を大幅に増やすことができる。また、本発明が提供する無線通信装置は、更にアンテナユニットの給電線に近い共振スロットにより、アンテナユニットの動作帯域幅を大幅に増やすことができる。すると、sub-7GHzの帯域で5G NR規格の広い動作帯域幅及びアンテナユニットの高隔離度を満たすことができる。
【0042】
本発明は、実施例により前述の通りに開示されたが、実施例が本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神と範囲から逸脱しない限り、多様の変更や修飾を加えることができる。従って、本発明の保護範囲は、下記特許請求の範囲で指定した内容を基準とするものである。
【符号の説明】
【0043】
100 無線通信装置
110 基板
111 第1の表面
112 第2の表面
120(1)~120(8) アンテナユニット
121 放射部
1211 第1の放射部
1212 第2の放射部
1213 第3の放射部
122 給電部
123 接地部
124 給電線
1241 第1の伝送線
1242 第2の伝送線
1243 給電点
130、130(1)~130(4) 金属接地部
131 隔離スロット
E1~E2 エッジ
132(1)~132(2) 共振スロット
L1~L3 長さ
W1~W2 幅
D1~D2 距離