(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】カートリッジのためのキャップレス試料ウェルポート
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20231114BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
(21)【出願番号】P 2021500228
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(86)【国際出願番号】 US2019038983
(87)【国際公開番号】W WO2020009839
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-23
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517090646
【氏名又は名称】コーボ ユーエス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197169
【氏名又は名称】柴田 潤二
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ラッセル ウェブスター
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-149958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジであって、
当該カートリッジ本体が、キャップレス試料ウェルポートを画定しており、前記キャップレス試料ウェルポートが、試料物質と、前記キャップレス試料ウェルポートと流体連通した流体チャネルとを受容するように形成されている、カートリッジ本体と、
前記キャップレス試料ウェルポートと前記流体チャネルとの間に位置決めされたフィルタ
であって、4,000Pa以下の泡立ち点が定義される前記フィルタと、
前記流体チャネルが前記キャップレス試料ウェルポートと当該流体リザーバとの間に延びている、流体リザーバと、
前記流体チャネルと流体連通する当該流体駆動ポートが、前記試料物質を前記流体リザーバへ向かって導くために前記流体チャネル内部に圧力が加えられるべく圧力源に動作的に接続されるように形成されている、流体駆動ポートと、を含む、カートリッジ。
【請求項2】
前記流体チャネルが、前記流体チャネルを通る前記試料物質に毛管作用を提供するように形成されている、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記キャップレス試料ウェルポートが前記流体駆動ポートと前記流体リザーバとの間に配置されている、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記流体チャネルがさらに、オーバーフロー流体チャネル部分を含み、前記オーバーフロー流体チャネル部分が、前記流体リザーバのリザーバポートの上流側に配置されている、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記流体駆動ポートが、ポンプに動作的に接続されるように形成されている、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記流体チャネルが、前記流体リザーバに近接して毛管ストップを含み、前記毛管ストップが、前記試料物質が500Pa以上の圧力で前記毛管ストップを貫通するのを可能にするように形成されている、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記圧力が前記流体リザーバの上流側に加えられる、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項8】
さらに、
検知面を有するバルク音響共振器を含むセンサと、
前記流体リザーバと前記検知面との間に延びる流体流路とを含む、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項9】
システムであって、
試料物質を試験してレセプタクルを画定するための当該機器が、圧力源を含む、機器と、
前記機器の前記レセプタクル内へ挿入されるように形成されている、請求項1に記載のカートリッジとを含む、システム。
【請求項10】
前記カートリッジが前記機器内へ挿入されているときには、前記機器の前記圧力源が、前記カートリッジの前記流体駆動ポートと流体連通状態にあるように形成されている、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
試料物質を収集する方法であって、前記方法が、
カートリッジのカートリッジ本体によって画定されたキャップレス試料ウェルポートを通して前記試料物質を前記カートリッジに添加し、
前記キャップレス試料ウェルポートと前記カートリッジ本体によって画定された流体チャネルとの間に位置決めされたフィルタ
であって、4,000Pa以下の泡立ち点が定義される前記フィルタを通して、前記試料物質をウィッキングし、
前記試料物質を前記流体チャネル内に収集し、
前記流体チャネルと流体連通する前記カートリッジの流体駆動ポートを通して圧力を加え、
前記流体駆動ポートを通して圧力を加えることによって、前記試料物質を流体リザーバ内へ導くことを含む、試料物質を収集する方法。
【請求項12】
前記流体駆動ポートを通して加えられる圧力が500Pa以上であり且つ4,000Pa以下である、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記流体チャネルと流体連通する前記カートリッジの流体駆動ポートを通して圧力を加えることが、前記流体駆動ポートに動作的に接続されたポンプを介して前記流体駆動ポートを通して正圧を加えることを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項14】
さらに、前記流体リザーバに近接する前記流体チャネルの毛管ストップに基づいて、前記流体チャネル内部に前記試料物質を含有することを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項15】
前記流体駆動ポートを通して圧力を加えることによって、前記試料物質を流体リザーバ内へ導くことが、前記流体チャネルの前記毛管ストップを克服することを含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
さらに、前記流体駆動ポートを圧力源に動作的にカップリングするために、前記カートリッジを機器内に挿入することを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項17】
前記試料物質を前記流体チャネル内に収集することが、前記試料物質を、毛管作用を介して前記流体チャネル内へウィッキングすることを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項18】
前記流体チャネルと流体連通する前記カートリッジの流体駆動ポートを通して圧力を加えることが、前記流体リザーバの上流側に正圧を加えることを含む、請求項
11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は2019年9月28日付けで出願された米国特許出願第16/146,108号明細書の優先権を主張する。前記明細書は2018年7月6日付けで出願された米国仮出願第62/694,508号明細書の優先権を主張する。これらの内容は全体的に本明細書中に援用される。
【0002】
本開示の実施態様は大まかに言えば、バルク音響波(BAW)共振器及びバイオセンサとしてのこれらの使用に関する。具体的には、本開示は、試料物質を受容するように形成されたカートリッジに関し、試料物質は、試料ポートをキャッピングすることなしにカートリッジ内部に含有される。
【背景技術】
【0003】
医学、獣医学、環境、バイオハザード、バイオテロリズム、農業、及び食品安全の目的で物質を診断試験するために、数多くの機器及び測定技術が存在する。診断試験は伝統的に見て、有意なデータを得るために長い応答時間を必要とし、高価な、遠隔の、又は扱いにくいラボラトリ設備を伴い、大型の試料サイズを必要とし、多様な試薬を利用し、高度に熟練した使用者を要求し、そして多大な直接的及び間接的なコストを伴うこともある。例えば、人間用診断市場及び獣医学用診断市場の両方において、大抵の試験は、試料が患者から採取され、次いでラボラトリに送られることを必要とし、数時間又は数日間にわたって結果を入手することができない。結果として、介護者は患者に処置を施すのを待たなければならない。
【0004】
診断試験及び分析のためのポイント・オブ・ユース(使用現場)(Point of use)(又は人間用医薬品又は獣医学用医薬品を論じる場合にはポイント・オブ・ケア(ケア現場)(Point of care))・ソリューションは、記載の欠点の殆どを解決し得るものの、ある程度制限されたままである。利用可能なポイント・オブ・ユース・ソリューションのうちのいくつかであっても、ラボラトリ内試験と比較して感受性及び再現性において制限されている。また、種々異なるポイント・オブ・ユース試験に対して別々のシステムが必要となるため、しばしば多大なコストが必要となる。
【0005】
さらに、試料物質を受容するように流体デバイス又はカートリッジを形成することができ、そして流体デバイス又はカートリッジによって画定されたチャネルを通して毛管力によって、試料物質を引き込むことができる。試料物質がチャネル内に来たら、チャネル内部で試料物質を動かすために、正圧又は負圧を用いることができる。典型的には、試料物質がカートリッジ内へ入れられる際に通る試料ポートは閉じなければならない(例えば試料ポートをキャッピングすることにより)。このようなものとして、チャネル内部で試料物質を動かすために圧力を加えるときに、キャップは、試料物質が試料ポートを通って戻って出ることを阻止する。しかしながら、いくつかの事例では、試料ポートにキャップを取り付けることにより、カートリッジのチャネル内部に圧力が加えられることがある。このような圧力は試料物質へ望まれない力を加えるおそれがある。加えて、試料ポートに取り付けられたキャップは信頼性が高くない場合がある。これは、例えば、キャップは付加的な緩い構成部分であり、キャップは損傷されるようになり得る、などの理由からである。
【0006】
試料物質がカートリッジ内部に受容されたあとで、試料ポートに取り付けられたキャップを必要としないカートリッジを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本明細書中に記載された実施態様は、キャップレス試料ウェルポートを含むカートリッジを提供することができる。換言すれば、試料物質を受容するように形成された試料ウェルポートは(例えば試料物質を試料ウェルポート内へデポジットする前、デポジットしている間、及び/又はデポジットした後に)、試料ウェルポートに位置決めされ又は取り付けられたキャップ(例えば試料ウェルポートをシール又はカバーするように形成された構成部分)を含まない。カートリッジは試料ウェルポートに近接して配置されたフィルタを含んでよく、これにより、試料物質はフィルタを通過して、カートリッジによって画定された流体チャネル内へ入ることができる。さらに、(例えば流体チャネルを通って流体リザーバへ試料物質を動かすために)圧力(例えば空気圧)が試料物質に加えられると、圧力を加えるために使用されるガスは、湿潤されたフィルタを通るのを阻止され、これによりガスは圧力を試料物質にだけ加えることができる。換言すれば、フィルタは(例えばガス流がフィルタを通るのを阻止することによって)ガスを効果的に制限し得るが、しかしフィルタを通る(例えばフィルタを通る両方向における)流体の自由な通流を可能にする。
【0008】
例示のカートリッジは、カートリッジ本体と、フィルタと、流体リザーバと、流体駆動ポートとを含んでよい。カートリッジ本体は、試料物質と、キャップレス試料ウェルポートと流体連通した流体チャネルとを受容するように形成されたキャップレス試料ウェルポートを画定してよい。フィルタは、キャップレス試料ウェルポートと流体チャネルとの間に位置決めされてよい。流体チャネルはキャップレス試料ウェルポートと流体リザーバとの間に延びていてよい。流体駆動ポートは流体チャネルと流体連通していてよい。流体駆動ポートは、試料物質を流体リザーバへ向かって導くために流体チャネル内部に圧力が加えられるべく圧力源に動作的に接続されるように形成されていてよい。
【0009】
1つ又は2つ以上の実施態様では、前記フィルタが、4,000Pa以下の泡立ち点を定義していてよい。1つ又は2つ以上の実施態様では、前記流体チャネルが、前記流体チャネルを通る前記試料物質に毛管作用を提供するように形成されていてよい。1つ又は2つ以上の実施態様では、前記キャップレス試料ウェルポートが前記流体駆動ポートと前記流体リザーバとの間に配置されていてよい。1つ又は2つ以上の実施態様では、前記流体チャネルがさらに、オーバーフロー流体チャネル部分を含んでよい。前記オーバーフロー流体チャネル部分は、前記流体リザーバのリザーバポートの上流側に配置されていてよい。1つ又は2つ以上の実施態様では、前記流体駆動ポートが、ポンプに動作的に接続されるように形成されていてよい。1つ又は2つ以上の実施態様では、前記流体チャネルが、前記流体リザーバに近接して毛管ストップを含んでよい。前記毛管ストップは、前記試料物質が500Pa以上の圧力で前記毛管ストップを貫通するのを可能にするように形成されていてよい。1つ又は2つ以上の実施態様では、前記圧力が前記流体リザーバの上流側に加えられてよい。1つ又は2つ以上の実施態様では、カートリッジは、検知面を有するバルク音響共振器を含んでよいセンサと、前記流体リザーバと前記検知面との間に延びる流体流路とを含んでもよい。
【0010】
例示のシステムは、試料物質を試験するための機器を含んでよく、レセプタクルを画定してよい。機器は圧力源を含んでよい。システムはまた、本明細書中に記載された例示のカートリッジを含んでもよい。カートリッジは、前記機器の前記レセプタクル内へ挿入されるように形成されていてよい。1つ又は2つ以上の実施態様では、前記カートリッジが前記機器内へ挿入されているときには、前記機器の前記圧力源が、前記カートリッジの前記流体駆動ポートと流体連通状態にあるように形成されていてよい。
【0011】
試料物質を収集する例示の方法は、カートリッジのカートリッジ本体によって画定されたキャップレス試料ウェルポートを通して前記試料物質を前記カートリッジに添加することを含んでよい。この方法は、前記キャップレス試料ウェルポートと前記カートリッジ本体によって画定された流体チャネルとの間に位置決めされたフィルタを通して、前記試料物質をウィッキングすることを含んでもよい。さらに、この方法は、前記試料物質を前記流体チャネル内に収集し、前記流体チャネルと流体連通する前記カートリッジの流体駆動ポートを通して圧力を加えることを含んでもよい。さらに、この方法は、前記流体駆動ポートを通して圧力を加えることによって、前記試料物質を流体リザーバ内へ導くことを含んでよい。
【0012】
1つ又は2つ以上の実施態様では、前記流体駆動ポートを通して加えられる圧力が500Pa以上(例えば毛管ストップ圧力閾値よりも高い)であり、且つ4,000Pa以下(例えばフィルタ泡立ち点圧力よりも低い)であってよい。1つ又は2つ以上の実施態様では、前記流体チャネルと流体連通する前記カートリッジの流体駆動ポートを通して圧力を加えることが、前記流体駆動ポートに動作的に接続されたポンプを介して前記流体駆動ポートを通して正圧を加えることを含んでよい。1つ又は2つ以上の実施態様では、この方法は、前記流体リザーバに近接する前記流体チャネルの毛管ストップに基づいて、前記流体チャネル内部に前記試料物質を含有することを含んでもよい。1つ又は2つ以上の実施態様では、前記流体駆動ポートを通して圧力を加えることによって、前記試料物質を流体リザーバ内へ導くことが、前記流体チャネルの前記毛管ストップを克服すること(overcoming)を含んでよい。
【0013】
1つ又は2つ以上の実施態様では、この方法は、前記流体駆動ポートを圧力源に動作的にカップリングするために、前記カートリッジを機器内に挿入することを含んでもよい。1つ又は2つ以上の実施態様では、前記フィルタが、4,000Pa以下の泡立ち点を含んでよい。1つ又は2つ以上の実施態様では、前記試料物質を前記流体チャネル内に収集することが、前記試料物質を、毛管作用を介して前記流体チャネル内へウィッキングすることを含んでよい。1つ又は2つ以上の実施態様では、前記流体チャネルと流体連通する前記カートリッジの流体駆動ポートを通して圧力を加えることが、前記流体リザーバの上流側に正圧を加えることを含んでよい。
【0014】
上記概要は各実施態様又はあらゆる実施形態を説明しようとするものではない。むしろ、添付の図面に照らして、選択された実施態様及び請求項の下記詳細な説明を参照することにより、例示の実施態様のより完全な理解が明らかに得られるようになる。
【0015】
図面を参照しながら、模範的実施態様をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、1実施態様に基づくシステムを示す概略斜視図である。
【0017】
【
図2】
図2は、本開示の実施態様に基づくカートリッジの実施態様を示す概略上面図である。
【0018】
【
図3】
図3は、本開示の実施態様に基づくカートリッジの実施態様を示す斜視図である。
【0019】
【
図4】
図4は、
図3のカートリッジを4-4’線に沿って示す断面図であり、例示的な流体チャネルを示している。
【0020】
【
図5】
図5は、
図3のカートリッジを5-5’線に沿って示す別の断面図である。
【0021】
【
図6】
図6は、
図2~3のカートリッジを使用して試料物質を収集する方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面は主として明確にするために表され、結果として必ずしも原寸に比例していない。さらに、種々の構造/構成部分が概略的に示されることがあり、或いは図示された実施態様の特徴をより良く例示するために、又はこのような構造/構成部分を含むことが本明細書中に記載された種々の模範的実施態様の理解には必ずしも必要とならない場合には、図面のいくつか又は全てから取り除かれることがある。しかしながら、このような構造/構成部分の例示/記載がない場合、このことは種々の実施態様の範囲を限定するものと決して解釈してはならない。さらに「Figure x」及び「FIG. x」(「
図X」)は本明細書中では、「x」でナンバリングされた図面を意味するために相互に置き換え可能に使用することができる。
【0023】
下記詳細な説明では、デバイス、システム、及び方法のいくつかの具体的な実施態様が開示される。言うまでもなく、本開示の範囲又は思想を逸脱することなしに、他の実施態様が考えられ、形成することができる。本明細書の一部を成す添付の図面を参照する。言うまでもなく、本明細書中に記載及び/又は例示されない他の実施態様も確かに考えられる。したがって、下記詳細な説明は制限的な意味で捉えてはならない。
【0024】
本開示は、バルク音響波(BAW)共振器及びバイオセンサとしてのこれらの使用に関する。具体的には、本開示は、バルク音響波を含有するデバイス、例えばカートリッジに関し、これらは試料物質がカートリッジに導入される際に通る試料ウェルポートをキャッピングすることなしに使用することができる。
【0025】
図1に概略的に示されているように、カートリッジ100は、カートリッジ100を受容するように構成された機器又はリーダ12を有するシステム10の一部として使用することができる。例えば、機器12は、カートリッジ100を受容するように形成されたレセプタクル16を画定することができる(例えばカートリッジ100は機器12のレセプタクル16内へ挿入されるように形成されてよい)。加えて、カートリッジ100は、機器12のレセプタクル16内部の所定の位置にロック又は固定するように形成されてよい。換言すれば、カートリッジ100がレセプタクル16によって受容された後でカートリッジ100がレセプタクル16から落下又は滑落し得ないように、カートリッジ100を形成することができる。いくつかの実施態様では、カートリッジ100とレセプタクル16との間に締り嵌めが存在するように、カートリッジ100及びレセプタクル16を寸法設定することができる(例えばレセプタクル16内部に取り付けられた状態にカートリッジ100を保つのを摩擦が助けることができる)。他の実施態様では、カートリッジ100及びレセプタクル16は、カートリッジ100がレセプタクル16によって受容されたときに、カートリッジ100とレセプタクル16との間に堅牢な結合を維持するためにロック装置を含んでよい。例えば、カートリッジ100とレセプタクル16とは、スナップ・フック機構、ルアーロック、ねじ山、バヨネットマウント、クリップ、又は任意の他の適宜のファスナを通して相互作用してよい。1つ又は2つ以上の実施態様では、機器12はアクティブなロック(例えばリニア駆動装置を有するモータ及び電磁ブレーキ)を含むことにより、カートリッジ100をレセプタクル16内へ、そしてレセプタクル16外へ動かすことができ、そして、レセプタクル16内部にカートリッジ100を固定するのを助けることもできる。
【0026】
機器12は、カートリッジ100内の試料ハンドリングに際して用いられる手段を提供することができ、カートリッジ100内のBAWセンサから得られた結果を読み出し、任意には解釈するのに使用することができる。本開示のカートリッジ100は、BAW共振器、又はBAW共振器アレイをバイオセンサに変換するのに必要な一体型構成部分を具体化する。このことは、ツールの集合が単一のカートリッジ内に組み込まれるのを可能にする。このカートリッジは、1つ又は2つ以上の被分析物、例えばタンパク質、DNA、細菌、菌類、ウィルス、又はその他の生物学的又は非生物学的物質を検出するためにテイラーメードすることができる。
【0027】
開示されたカートリッジは、プラットフォームが全体的に再設計されるのを必要とすることなしに、広範な試験プロトコルに対応することができる。開示されたカートリッジは、異なるプロトコルに対して同じ形態の使用を可能にすることもできる。すなわち、異なるプロトコルがそのデバイスによって企図されるのを可能にするためには、物質だけが異なっていればよい。カートリッジは、より高いフレキシビリティを可能にする選択可能又は相互交換可能なセンサプラットフォームを有するように製造することができる。例えば、カートリッジはカートリッジ本体とカルーセルとを含んでよい。カートリッジ又はカートリッジの部分は再使用可能、リサイクル可能、又は使い捨てであってよい。カートリッジは「乾燥」カートリッジ(例えばカートリッジ本体内部、及び例えばセンサを含む)として提供されてよい。すなわちデバイスには液体試薬が貯えられておらず、カートリッジをよりシンプルにし、その製造コスト効果を高め、そしてデバイスの貯蔵寿命を改善する。1つ又は2つ以上の実施態様では、カートリッジのカルーセルは、シールされた液体試薬を含有してよい。しかしながら、他の実施態様では、カートリッジのカルーセルは乾燥試薬を含有してよい。カートリッジは可搬性であり、試料採取場所で使用することができ、或いはラボラトリ又は他の二次的な場所に分析のために輸送される。
【0028】
本開示のカートリッジは、(例えばカートリッジ本体によって画定された試料ウェルポートを通して)液体試料を受容するように、試料を少なくとも一時的に貯えるように、試料のハンドリング及びコンディショニングを可能にするように、そして試料の1つ又は2つ以上のパラメータを分析するために試料をセンサへ移し計測するように構成されている。典型的な試料の例は、生物学的試料、例えば尿、血漿、血清、血液、唾液、涙液、汗、及びこれに類するもの、並びに環境試料、例えば水及び水溶液を含む。しかしながら、デバイスは種々のタイプの流体試料に対応するように改変することができ、試料タイプによって具体的に制限されることはない。
【0029】
本開示のカートリッジは、バルク音響波(BAW)共振器を備えたセンサを利用する。1実施態様によれば、カートリッジは流体流路内にBAW共振器を含有している。BAW共振器は概ね圧電結晶共振器を含む。圧電結晶共振器は、共振器の表面上にデポジット(例えば結合)された物質の変化(例えば物質の質量の変化)、又は試料の流体特性(例えば粘性)の変化を検出するために使用することができる。BAW共振器はその表面に生体分子、例えば抗体又は他のタンパク質、例えば受容体、又はこれに類するものが付着していてよく、これにより目標被分析物が表面を越えると、これは生体分子上に結合する。被分析物が結合すると、センサ表面に付着した生体分子は、センサに結合された質量を増大させることができる。このことはセンサの波動伝搬特性(例えばマグニチュード、周波数、位相など)を変えることができる。被分析物結合に起因する伝搬特性の変化は、結合された被分析物の量、ひいては試料中の被分析物の量と相関させることができる。カートリッジは、所望の目標被分析物に基づいて種々の選択生体分子を有するように調製することができる。
【0030】
BAWデバイスは典型的には、圧電材料の互いに対向する上面及び底面に配置された電極を使用した、音響波の変換を伴う。BAWデバイスにおいては、3つの波動モード、つまり1つの縦モード(圧縮/伸長波とも呼ばれる縦波を具体化する)と、2つの剪断モード(横波とも呼ばれる剪断波を具体化する)とを伝搬することができ、縦モード及び剪断モードはそれぞれ、粒子運動が波動伝搬方向に対して平行又は垂直である振動を特定する。縦モードは伝搬方向における圧縮及び伸長によって特徴づけられるのに対して、剪断モードは伝搬方向に対して垂直方向の運動から成り、体積の局所的変化を伴わない。縦モードと剪断モードとは異なる速度で伝搬する。実際には、これらのモードは必ずしも純粋なモードではない。それというのも、粒子振動、又は分極は伝搬方向に対して純粋に平行でもなく純粋に垂直でもないからである。それぞれのモードの伝搬特性は、材料特性、及び結晶軸配向に対する伝搬方向に依存する。剪断変異を形成する能力は、流体(例えば液体)を有する音響波デバイスの操作にとって有益である。なぜならば剪断波が流体中に顕著なエネルギーを与えることはないからである。BAWデバイスは、1つ又は2つ以上の反射層、例えばブラッグ・ミラー上にデポジットされたバルク音響共振器と、空隙を有する膜バルク音響共振器とを含む。
【0031】
本明細書中に記載されたBAWセンサは、任意の適宜の圧電薄膜を採用してよい。特定の圧電薄膜は、縦モード及び剪断モード双方の共振を励起することができ、例えば窒化アルミニウム(AlN)及び酸化亜鉛(ZnO)を含む六方晶構造圧電材料である(これに限定されるものではない)。電極間に配置された圧電材料層を使用して剪断モードを含む波動を励起するために、圧電薄膜内の分極軸は膜平面に対して概ね非垂直である(例えば傾倒している)。液状媒体を伴う検知用途では、共振器の剪断成分が用いられることが好ましい。このような用途では、基板の面に対して非垂直なc軸配向分布で圧電材料を成長させることにより、電極を横切って交流信号を印加すると、BAW共振器構造が主要剪断応答を呈することが可能になる。反対に、基板の面に対して垂直なc軸配向で成長した圧電材料は、電極を横切って交流信号を印加すると、主要縦応答を呈することになる。
【0032】
カートリッジ本体110を含む例示のカートリッジ100が
図2に示されている。カートリッジ本体110は、試料物質102を受容するように形成された試料ウェルポート112を含んでよい。試料ウェルポート112は任意の適宜の形状及びサイズを有することにより、カートリッジ100内へ試料物質102を導くのを支援することができる。試料ウェルポート112は、キャップレス試料ウェルポートと記すことがある。なぜならば、例えば試料ウェルポート112は試料ウェルポート112をカバーするキャップを必要としないからである。キャップは、ガス及び/又は流体が通過し得ない固形材料として本明細書に記すことができる。具体的には、試料ウェルポート112はいかなるときにもカバーされないまま又は開いたままであってよい(例えば試料ウェルポート112はシールされた状態で閉じられない)。いくつかの実施態様では、試料ウェルポート112、又は試料ウェルポート112を取り囲むカートリッジ本体110の部分は、これにキャップを取り付けることができないように形成されていてよい。他の実施態様では、試料ウェルポート112、又は試料ウェルポート112を取り囲むカートリッジ本体110の部分は、キャップを受容するように形成されてよいが、しかし(例えば試料物質が試料ウェルポート112内へ入れられる前、入れられている間、且つ/又は入れられた後に)キャップはこれに取り付けられない。
【0033】
しかしながら、いくつかの実施態様では、キャップは最初は試料ウェルポート112をカバーしてよい(例えばカートリッジ100の末端使用者への配送時、試料物質102の試料ウェルポート112内へのデポジット前、など)が、しかし試料物質102の試料ウェルポート112内へのデポジット前にキャップは取り除かれてよく、キャップ(例えば初期のキャップ又は任意の他のキャップ)はその後で試料ウェルポート112をカバーしてよい)。さらに述べるならば、カートリッジ100が機器12によって受容されるときに、又は試料物質102の試験中に(例えばカートリッジ100が機器12によって受容されているときに)、カートリッジ100は試料ウェルポート112をカバーするキャップを含まない。さらに述べるならば、試料物質102が試料ウェルポート112によって受容された後、そして試料物質102が試験される前に(例えばカートリッジ100が機器12によって受容されているときに、カートリッジ100は試料ウェルポート112をカバーするキャップを含まない。
【0034】
試料物質102は、任意の適宜の方法で、試料ウェルポート112を通してカートリッジ100内へデポジットされてよい。例えば、試料物質102は、使い捨てドロッパ、調節可能なピペット、固定型容積ピペット、デュアル・バルブ計測ドロッパ、血液チューブ移行デバイス、シリンジ、毛管、ピペットチューブ、プラスチックスパイク、及び真空採血チューブを使用して、試料ウェルポート112を通してカートリッジ100に添加されてよい。
【0035】
カートリッジ本体110は、試料ウェルポート112と流体連通した流体チャネル120(例えばマイクロフルイディクス)を画定してもよく、流体チャネルは、カートリッジ本体110内部に試料物質102のための通路を提供するように形成されている。例えば、試料ウェルポート112内部にデポジットされた試料物質102は、流体チャネル120内へ分散してよい。流体チャネル120は、流体(例えば試料物質102)が貫流し得る任意の適宜の通路であってよい。流体チャネル120は、流体チャネル120を通過する試料物質102に毛管作用を提供するように形成されてよい。換言すれば、流体チャネル120は流体チャネル120の毛管作用を通して、カートリッジ100内へ試料物質102を引き込むことができ、例えば、このことは、試料物質を試料ウェルポート112に押し通すための補助デバイスを使用することなしに行われる。
【0036】
流体チャネル120は、流体チャネル120の親水性材料又は被膜、及び流体チャネル120の寸法のうちの一方又は両方に基づき毛管作用を呈することができる。例えば、1つ又は2つ以上の実施態様では、流体チャネル120の少なくとも1つの表面を親水性材料から形成するか又は親水性材料で被覆することにより、流体が流体チャネル120を貫流する能力を最適化又は制御することができる。このようなものとして、流体チャネル120の少なくとも1つの表面は流体(例えば試料物質102)を(例えばウィッキング効果又は毛管作用を通して)引き付け、これにより流体は流体チャネル120に沿って移動する。さらに、流体チャネル120は、流体(例えば試料物質102)を流体チャネル120によって含有し(例えば表面張力に基づき)、流体チャネル120に沿って流れるように寸法設定することができる。
【0037】
さらに、カートリッジ100は、被験試料物質102を収集するように形成された流体リザーバ150(例えば試料ウェル)を含んでよい。1つ又は2つ以上の実施態様では、流体リザーバ150は、カルーセルによって画定されてよい(例えばカルーセルはカートリッジ本体110から取り外し可能であってよく、カートリッジ本体に対して回転可能であってよい、など)。流体チャネル120は試料ウェルポート112と流体リザーバ150との間に延びていてよい。流体リザーバ150は、任意の適宜のサイズの総体積を画定することができる。具体的には、流体リザーバ150は、1mL、500μL、100μL、50μL、10μL以下などの総体積を画定してよい。流体チャネル120内部に圧力(例えば空気圧又は液圧)を加えることにより、試料物質102を強制的に流体チャネル120から出し、そして流体リザーバ150内へ入れることができる。加えて、1つ又は2つ以上の実施態様では、流体リザーバ150は、流体リザーバ150内部から任意の圧力を軽減するように形成されたリザーバベント154を含んでよい。例えば、リザーバベント154は疎水性材料を含むことにより、液体(例えば試料物質102)がリザーバベント154を通過し、例えば流体リザーバ150から出るのを阻止することができる。流体リザーバ150がカルーセルによって画定されるような実施態様の場合、カルーセル内部に画定されたウェルは(例えば通気を可能にするために)開いていてよい。
【0038】
また、カートリッジ100は、流体リザーバ150と試料ウェルポート112との間で流体チャネル120と流体連通するオーバーフロー流体チャネル135(例えばオーバーフローリザーバ)を含んでよい。オーバーフロー流体チャネル135は、流体チャネル120が試料物質102で「充填された」後、外来の試料物質102を収集するのを助けることができる。1つ又は2つ以上の実施態様では、オーバーフロー流体チャネル135はオーバーフローベント137(例えば疎水性膜インラインを含む)を含んでよい。オーバーフローベント137は、例えばオーバーフロー流体チャネル135内部の圧力を均一にするために、空気又はガスがオーバーフロー流体チャネル135を逃れるのを可能にするが、しかし流体が逃れるのは可能にしない。オーバーフローベント137は、流体がオーバーフローベント137を通過するのを阻止するために疎水性膜を含んでよい。加えて、1つ又は2つ以上の実施態様では、オーバーフローベント137は、(例えば
図4に示されたオーバーフローポート139を通して接続された)毛管ストップとして作用することにより、流体がオーバーフロー流体チャネル135から流出するのを阻止することができる。したがって、オーバーフロー流体チャネル135はオーバーフローポート139を超えていっぱいになることはない。動作時には、オーバーフローポート139は閉じられてよく、これにより、流体チャネル120を通過する空気は試料物質102を流体リザーバ150内へ押し込み、そしてオーバーフローポート139に通すことはない(例えばレセプタクル16内部にカートリッジ100を挿入することにより、機器12はオーバーフローポート139を閉じるように形成されてよい)。
【0039】
さらに、カートリッジ100は、流体チャネル120と流体連通する流体駆動ポート160を含んでよい。流体駆動ポート160は圧力源14(例えば容積型ポンプ)に動作的に接続するように形成されてよく、これにより、流体チャネル120内部に圧力を加えることによって、試料物質102を流体リザーバ150へ向かって、そして流体リザーバ150内へ導くことができる。
図2には、圧力源14は破線で示されている。なぜならば、圧力源14は、カートリッジ100が機器12内部に挿入されたときだけ圧力源14がカートリッジ100と動作的に接続され得るように機器12内に位置決めすることができるからである。
【0040】
1つ又は2つ以上の実施態様では、試料ウェルポート112は流体駆動ポート160と流体リザーバ150との間に配置されてよい。換言すれば、流体駆動ポート160は、試料ウェルポート112の(例えば流体駆動ポート160から流体リザーバ150への、加えられる圧力の方向に基づいて)上流側に位置決めされてよい。流体駆動ポート160により接近して試料ウェルポート112を配置することにより、試験されない試料物質102の量を最小化することができる。なぜならば、流体チャネル120から来た試料物質102は流体リザーバ150に強制的に供給することができ、そして試料ウェルポート112と流体駆動ポート160との間に配置された試料物質102はそのようにすることができないからである。
【0041】
1つ又は2つ以上の実施態様では、流体チャネル120は、(例えば流体チャネル120の残りと流体駆動ポート160との間の)流体駆動ポート160に近接して配置された第1毛管ストップ134と、(流体チャネル120の残りと流体リザーバ150との間の)流体リザーバ150に近接して配置された第2毛管ストップ128とを含んでよい。第1及び第2毛管ストップ134,128は、(例えば表面張力に起因して)所定の圧力が加えられなければ、試料物質102が毛管ストップ134,128を通過するのを阻止するように形成されてよい。例えば、第1及び第2毛管ストップ134,128は、試料物質が400Pa以上、500Pa以上、600Pa以上などの圧力でこれを通過するのを可能にするように形成されてよい。結果として、(例えば第1及び第2毛管ストップ134,128により)流体チャネル120内部に圧力が加えられないと、試料物質102が流体駆動ポート160又は流体リザーバ150に入るのを阻止することができる(例えばただ流体チャネル120内部に残留しているだけである)。
【0042】
第1及び第2毛管ストップ134,128は、第1及び第2毛管ストップ134,128のそれぞれの寸法に基づき、流体が毛管ストップを通過する際の圧力を定義することができる。例えば、第1及び第2毛管ストップ134,128のそれぞれは、幅が約50μm以上、100μm以上、200μm以上、300μm以上などであり、且つ/又は600μm以下、500μm以下、400μm以下、250μm以下などであるチャネルを画定することができる。また、例えば第1及び第2毛管ストップ134,128のそれぞれは、約50μm以上、100μm以上、200μm以上、300μm以上など、及び/又は600μm以下、500μm以下、400μm以下、250μm以下などの深さを画定することができる。さらに、第1及び第2毛管ストップ134,128の長さは、(例えば、これにより毛管ストップを通過するのに必要な流体圧力を確立するための)ストップの圧力とは関係がなくてよい。1つ又は2つ以上の実施態様では、毛管ストップは、カートリッジのチャネル/リザーバ間に穴(例えば約400μmの直径を画定する)を画定することにより、これらの間に毛管ストップを形成することができる。
【0043】
カートリッジ100の使用時には、試料物質が流体チャネル120を満たし、第2毛管ストップ128に達するまで、使用者は試料ウェルポート112を通して試料物質102を添加することができる。したがって、流体チャネル120から流体リザーバ150へ送達される試料物質102の体積は、第1毛管ストップ134と第2毛管ストップ128との間の流体チャネル120の容積によって制御又は定義することができる。換言すれば、(例えば500Pa以上の)圧力を加えなければ、試料物質が第1及び第2毛管ストップ134,128に入るのを防止し得るので、試料物質102の量は流体チャネル120によって定義される容積によって制限される。流体チャネル120が試料物質102で充填された後、使用者が付加的な試料物質102を添加しようとするならば、この付加的な試料物質102は、(例えばカートリッジ100がオーバーフロー流体チャネル又はリザーバを含まない場合には)試料ウェルポート112内に残留し得る。なぜならば、単純に試料ウェルポート112へ試料物質102を添加することから加えられる圧力は、第1又は第2毛管ストップ134,128の圧力バリアを超えることがないからである(例えば500Paを超えない)。
【0044】
1つ又は2つ以上の実施態様では、カートリッジ100の流体チャネル120は充填ラインを含んでよい。充填ラインは流体チャネル120内部の適切且つ十分な流体送達に関して使用者に視覚的フィードバックを提供することができる。例えば、充填ラインは、流体チャネル120と流体リザーバ150との間の毛管ストップ128に近接して位置決めすることができ、これにより、使用者は試料物質102が流体チャネル120を満たしていることを視覚的に調べることができる(例えば試料物質102は、試料ウェルポート112と第2毛管ストップ128との間の流体チャネル120内部に存在する)。具体的には、充填ラインは流体チャネル120内に窓を提供するカートリッジ本体110の透明区分を含んでよい。
【0045】
カートリッジ100は、(例えば
図5に示されているように)試料ウェルポート112と流体チャネル120との間に位置決めされたフィルタ140を含んでもよい。フィルタ140は、試料ウェルポート112内部にデポジットされた試料物質102がフィルタ140を通って、そして流体チャネル120内にウィッキングするように、位置決めされてよい。換言すれば、試料ウェルポート112は、フィルタ140が試料ウェルポート112の底部に位置し、そして流体チャネル120が試料物質102を取り込むようにフィルタ140の下方に配置されるように形成されてよい。
【0046】
1つ又は2つ以上の実施態様では、フィルタ140は試料物質102の粗いフィルタ(例えば20マイクロメートル以上の粒子を濾過して除去する)を提供することができる。例えば、フィルタ140は細孔径60マイクロメートル以下、40マイクロメートル以下、20マイクロメートル以下、及び/又は0.5マイクロメートル以上、1マイクロメートル以上、2マイクロメートル以上などを定義することができる。さらに、フィルタ140は、4,500Pa以下、4,000Pa以下、3,500Pa以下など、及び/又は1,000Pa以上、2,000Pa以上、3,000Pa以上などの泡立ち点を定義することができる。フィルタ140の泡立ち点は、ガス(例えば空気)がフィルタ140に押し通される際にそれを上回る圧力バリアと記述することができる。したがって、試料物質102を動かすために圧力(例えば空気圧)が流体チャネル120内に加えられると、空気圧がフィルタ140の泡立ち点未満(例えば4,000Pa未満)にとどまる限り、空気圧は流体チャネル120内部に含有される。
【0047】
1つ又は2つ以上の実施態様では、流体駆動ポート160は、カートリッジ100が機器12内へ挿入されると、圧力源14に動作的に接続される(圧力源と流体連通状態になる)ように形成することができる。例えば、圧力源14が流体駆動ポート160を介して流体チャネル120内部に圧力を加えるようにカートリッジが機器12内へ挿入されると、機器12のポンプ(例えば圧力源14)が流体駆動ポート160と整合することができる。1つ又は2つ以上の実施態様では、流体駆動ポート160を通して圧力を加えるために使用される圧力源14は既存のポンプ、カートリッジ100内に既に存在する弁及びポートを利用することができる。換言すれば、いくつかの実施態様では、カートリッジ100の流体チャネル120内部に圧力を加えることに専ら用いられる付加的な流体ポンプ、弁、又はポートを必要とせずに済む。
【0048】
圧力源14は、流体チャネル120内部に正圧(例えば流体リザーバ150の上流側に加えられる圧力)を加えるために、流体駆動ポート160を通して圧力を加えることができる。圧力源14は、例えばカートリッジ100の他の特徴を考慮に入れるために流体駆動ポート160を通る圧力を選択的に制御するように、(例えば計量弁の使用を通して)形成されてよい。例えば、流体チャネル120内部に加えられた圧力は、第1及び第2のそれぞれの毛管ストップ134,128の圧力バリアを克服し、そして流体チャネル120内部に加えられる圧力がフィルタ140の泡立ち点を下回る(例えば圧力がフィルタ140にガスを押し通すには十分な高さではない)ようになっていてよい。具体的には、(例えば流体駆動ポート160を介して)流体チャネル120内部に加えられる圧力は、(例えば毛管ストップの圧力バリアを基準として)500Pa以上であり、且つ(例えばフィルタ140の泡立ち点を基準として)4,000Pa以下であってよい。
【0049】
したがって、圧力源14から生じたガスは、湿潤されたフィルタ140を通過することができず、その代わりに、試料物質102に対して流体リザーバ150へ向かう方向に、そして流体リザーバ150内へ圧力を加えるにすぎない。加えて、1つ又は2つ以上の実施態様では、試料物質102はフィルタ140を通して試料ウェルポート112内へ強制的に戻すこともできるが、しかし上述のように、圧力源14から生じたガスはフィルタ140を通ることはできない。その後、試料ウェルポート112内のいかなる余剰の試料物質102も、流体チャネル120内へウィッキングすることが可能になる。このようなものとして、フィルタ140は、流体のためのシールとしてではなく、ガスのためのシールとして効果的に作用することができる。(なぜならば、例えばフィルタ140の細孔径は、フィルタを通る流体の移動を可能にするからである)。
【0050】
細孔径が、試料物質102がフィルタを通過するのを可能にするのに十分に大きいように、しかしフィルタ140がガス、つまり流体チャネル120内部に加えられる空気圧に関連するガスの通過を阻止するのに十分に小さいように、フィルタ140の細孔径は選択されてよい。したがって、フィルタ140の泡立ち点に対応するフィルタ140の細孔径は、試料物質102が通過するのを可能にしようとする要求と、ガスの通過を阻止しようとする要求とのバランスをとるように選択することができる。さらに、フィルタ140の泡立ち点と組み合わされた流体チャネル120の毛管ストップを克服するために必要とされる圧力は、試料物質102を効果的に動かすために流体チャネル120内部に加えられる種々の圧力(例えば500Pa~4,000Pa)を形成することができる。
【0051】
いくつかの実施態様では、機器12は、流体チャネル120及び流体リザーバ150の下流側に配置された負圧源18を含んでよい。
図2には、負圧源18は破線で示されている。なぜならば、負圧源18は、カートリッジ100が機器12内部に挿入されたときだけ負圧源18がカートリッジ100と動作的に接続され得るように機器12内に位置決めすることができるからである。さらに、いくつかの実施態様では、負圧源18はシステム10内に含まれても含まれなくてもよい。負圧源18は真空又は吸引力を流体チャネル120に加えることにより、試料物質102を流体リザーバ150内に動かすことができる(そして第2毛管ストップ128を克服することができる)。負圧源18を含むこのような実施態様では、カートリッジ100は、試料ウェルポート112と流体チャネル120との間にフィルタ140を含んでよい。しかしながら、負圧源18を含むいくつかの実施態様では、カートリッジ100は、試料ウェルポート112と流体チャネル120との間に位置決めされたフィルタ140を含まなくてもよい(なぜならば、例えば負圧源18を使用するときには流体又はガスが強制的に試料ウェルポート112に向かわされることがないからである)。
【0052】
加えて、カートリッジ100は、本明細書中に記載されたバルク音響波共振器センサ105を含んでよい。バルク音響波共振器センサ105は、検知面107(例えば分析物結合面)を有するバルク音響波共振器106を含んでよい。加えて、カートリッジ100は、流体リザーバ150と検知面107との間に延びる流体流路108を含んでよい。
図2に示された共振器センサ105は、流体流路108内に配置された複数のバルク音響波共振器106を含む。この流体流路を、獲得された試料物質102が貫流することができる。センサ105は1つ又は2つ以上の電子構成部分を有することにより、共振器106を駆動して振動させ、そして試料物質102が共振器106の検知面107を通り過ぎるのに伴って、共振器106の振動特性の変化を測定することができる。これに加えて又はこの代わりに、共振器106を駆動し共振器106からの応答を検知するための1つ又は2つ以上の電子構成部分が、カートリッジ100の外部、例えば
図1に示された機器12上にあってよい。(例えばカートリッジ100が機器12のレセプタクル16内へ挿入されると)機器12又は他の適宜の外部デバイスは、任意の適宜の方法でセンサ105に電気的にカップリングされてよい。さらに、センサ105の共振器106は種々の異なる適宜の目的で使用されてよい。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ105が対照群内で、又は冗長性を提供するために使用されてよい。
【0053】
1つ又は2つ以上の実施態様では、システム10は、システム内に存在し得る圧力源14を制御するように形成された(例えば機器12内部に配置された)コントローラを含んでよい。システム10に帰属するものを含む、本開示に記載された方法及び/又は論理、又は種々の構成部分(例えばコントローラ26)は、少なくとも部分的に、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせにおいて実行することができる。例えば、技術の種々の特徴は、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSP、ASIC、FPGA、又は任意のその他の同等の集積論理回路又は個別論理回路、並びにこのような構成部分の任意の組み合わせ、又は他のデバイス内部で実行されてよい。「プロセッサ」又は「プロセッシング回路」という用語は概ね、単独又は他の論理回路との組み合わせにおける前記論理回路のいずれか、或いは任意の他の同等の回路を意味することができる。このようなハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアは、本開示内に記載された種々の動作及び機能を支持するために、同じシステム内部、又は別個のシステム内部で実行することができる。加えて、上記構成部分のいずれも、個別ではあるがしかし相互動作可能な論理デバイスとして、一緒に又は別々に実行されてよい。
【0054】
ソフトウェアにおいて実行する場合、システム、デバイス、及び方法に帰属する機能は、コンピュータ可読媒体、例えばRAM、ROM、NVRAM、EEPROM、FLASHメモリ、磁気データ記憶媒体、光学データ記憶媒体、又はこれに類するものの上で命令及び/又は論理として具体化することができる。命令及び/又は論理は、本開示に記載された機能の1つ又は2つ以上の特徴を支援するために、1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行することができる。
【0055】
カートリッジ100がシステム10の外部設備(例えば機器12内部)に動作的にカップリングされると、センサ105をコントローラに電気的にカップリングすることができる。センサ105、外部デバイス、及びコントローラは1つ又は2つ以上の電子構成部分を有することにより、共振器106を駆動して振動させ、そして試料物質102が共振器106の検知面107を通り過ぎるのに伴って、共振器106の振動特性の変化を測定する。
【0056】
例示のカートリッジ100の特定の実施態様が
図3~5に示されている。カートリッジ100は、
図1及び2に示されたカートリッジ100に関して上述した構成部分又はフィーチャのいずれかを含んでよい。
図3に示されているように、カートリッジ100は、試料ウェルポート112を画定するカートリッジ本体110を含む。さらに、カートリッジ100は、(例えば
図4及び5に示されているように)例えば試料ウェルポート112と流体チャネル120との間で、試料ウェルポート112内部に位置決めされたフィルタ140を含んでよい。
【0057】
加えて、本明細書中にさらに説明するように、カートリッジ100は流体チャネル膜104を含んでよい。流体チャネル膜104は例えばカートリッジ本体110の底部に取り付けることにより、(例えば
図4及び5に示されているように)流体チャネル120の少なくとも1つの表面を形成することができる。例えば、流体チャネル膜104は接着剤又はテープから形成されてよい。さらに、流体チャネル膜104を親水性材料から形成するか又は親水性材料で被覆することにより、流体が流体チャネル120を貫流する能力を最適化又は制御することができる。具体的には、流体チャネル膜104は、親水性感圧接着剤を備えたポリエチレンテレフタレート(PET)基板であってよい。
【0058】
カートリッジ10の流体チャネル120によって画定された通路の詳細図が
図4に示されている(例えば4-4’線に沿って示された
図3のカートリッジ100の断面図)。図示のように、流体チャネル120は試料ウェルポート112と、(例えば
図2に示された流体リザーバ150と同様の)流体リザーバと流体連通しているリザーバポート152との間に延びている。流体チャネル120は、試料ウェルポート112とリザーバポート152との間に任意の適宜な方法で延びていてよい。例えば、
図4に示されているように、流体チャネル120は、試料ウェルポート112の周りの円形路に沿って延びている。
【0059】
リザーバポート152の(例えば流体チャネル120内部に加えられた圧力の方向に対して)上流側には流体駆動ポート160が位置決めされていてよく、流体駆動ポート160は、流体チャネル120内部に圧力を加え、リザーバポート152へ向かって試料物質を動かすために(例えばカートリッジが機器12内に挿入されたときに)圧力源に動作的にカップリングされるように形成されていてよい。
図4に示されているように、流体駆動ポート160を通して加えられるガス圧は試料ウェルポート112又は流体チャネル120へ向かって移動することができる。本明細書中に記載されたフィルタ140(
図5に示されている)が存在するため、流体駆動ポート160から来たガスはフィルタ140を通過することができず(フィルタ140の泡立ち点のため)、その代わりに流体チャネル120内部に圧力を加えることができる(例えば試料物質に圧力を加える)。さらに、本明細書中に記載されているように、流体駆動ポート160と試料ウェルポート112との間の通路内に存在するいかなる試料物質も、フィルタ140を通して強制的に戻すことができる(したがってこの試料物質部分は小さく、流体リザーバへ送達されることはない)。
【0060】
さらに、カートリッジ100は、流体チャネル120と流体連通するオーバーフロー流体チャネル135(例えばオーバーフローリザーバ)を画定することができ、これにより、流体チャネル120内部のいかなる余剰の試料物質をもオーバーフロー流体チャネル135内で処理することができる。さらに、オーバーフロー流体チャネル135は約40μLの容積を画定することができる。1つ又は2つ以上の実施態様では、オーバーフロー流体チャネル135は、オーバーフロー流体チャネル135の通気を助けるように形成されたオーバーフローポート139を含んでよい。1つ又は2つ以上の実施態様では、オーバーフローポート139は、例えばカートリッジ100が機器12内に位置決めされたときに、空気又は流体が通過するのを遮断又は阻止することができる。このような実施態様では、オーバーフローポート139は、流体チャネル120に圧力が加えられると、試料物質102が流体リザーバ150内へ移動することができ、そして試料物質102をオーバーフローポート139に強制的に通せないように、制限することができる。さらに、オーバーフロー流体チャネル135内部に配置されたいかなる試料物質102もオーバーフロー流体チャネル135内に残留することができる(なぜならば、例えば、試料物質がオーバーフローポート139を通って出るのを阻止することができ、試料物質を流体リザーバ150内へ引き込むことができないからである)。
【0061】
図4に示されているように、流体チャネル膜104は、流体チャネル120の底面を画定することができる。流体チャネル膜104は、試料ウェルポート112の底部、流体チャネル120、及びオーバーフロー流体チャネル135に沿って連続的な面を形成することができる。
【0062】
加えて、流体チャネル膜104は
図5(例えば5-5’線に沿った
図3のカートリッジ100を示す断面図)に示されている。例えば、流体チャネル膜104をカートリッジ本体110の底部に取り付けることにより、流体チャネル120の底面を形成することができる。流体チャネル120及び/又はオーバーフロー流体チャネル135は、任意の適宜のチャネル深さ及びチャネル幅を定義することができる。例えば、(流体チャネル120及び/又はオーバーフロー流体チャネル135の)チャネル深さは0.5mm以上、1mm以上、1.5mm以上などであり、且つ/又は3mm以下、2.5mm以下、又は2mm以下などであってよい。さらに、例えば(流体チャネル120及び/又はオーバーフロー流体チャネル135の)チャネル幅は0.5mm以上、1mm以上、1.5mm以上などであり、且つ/又は3mm以下、2.5mm以下、又は2mm以下などであってよい。また、
図5に示されているように、フィルタ140は試料ウェルポート112と流体チャネル120との間に配置されていてよい。さらに述べるならば、流体チャネル120及び/又はオーバーフロー流体チャネル135は方形断面形状又は非方形断面形状(例えばテーパ形状、三角形状、円形状など)を定義することができる。
【0063】
試料物質を収集する方法600の一例が
図6に示されている。例えば、方法600は、カートリッジのカートリッジ本体によって画定された試料ウェルポートを通して、試料物質をカートリッジに添加すること610を含んでよい。上述のように、試料ウェルポートは、キャップが試料ウェルポートをカバーしない、試料ウェルポートに付着しない、又は試料ウェルポートをシールしないように形成することができる。方法600は、試料ウェルポートと、カートリッジ本体によって画定された流体チャネルとの間に位置決めされたフィルタを通して、試料物質をウィッキングすること620を含んでもよい。
【0064】
さらに、方法600は試料物質を流体チャネル内に収集すること630と、流体チャネルと流体連通するカートリッジの流体駆動ポートを通して圧力を加えること640とを含んでよい。1つ又は2つ以上の実施態様では、試料物質を流体チャネル内に収集することは、試料物質を毛管作用を介して流体チャネル内にウィッキングすることを含んでよい。最後に、方法600は、流体駆動ポートを通して圧力を加えること640によって、試料物質を流体リザーバ内へ導くこと650を含んでよい。なお、上述のように、圧力を流体駆動ポートを通して加えるとき、又は試料物質を流体リザーバ内へ導くときに、カートリッジは試料ウェルポートをカバーし、これに取り付けられ、又はこれをシールするキャップを含まない。このようなものとして、試料ウェルポートはキャップレス試料ウェルポートと記述することができる
【0065】
1つ又は2つ以上の実施態様では、流体チャネルと流体連通するカートリッジの流体駆動ポートを通して圧力を加えることは、流体駆動ポートに動作的に接続された圧力源又はポンプを介して、流体駆動ポートを通して正圧を加えることを含んでよい。例えば、カートリッジを機器内に挿入することにより、流体駆動ポートを圧力源又はポンプに動作的にカップリングすることができる。1つ又は2つ以上の実施態様では、カートリッジが機器内へ挿入されると、オーバーフローポートが閉じられることにより、流体駆動ポートを通して圧力を加えた時に、この試料物質だけが流体リザーバ内へ移動し、オーバーフロー流体チャネル部分内部のいかなる試料物質もオーバーフロー流体チャネル部分内部に残留するようにすることができる。さらに、圧力源又はポンプは流体リザーバ及び流体チャネルの上流側に配置することにより、流体チャネル上に「正」圧を加えることができる。1つ又は2つ以上の実施態様では、方法はさらに、(例えば流体リザーバ及び/又は流体駆動ポートに近接した)流体チャネルの毛管ストップに基づき、流体チャネル内部に試料物質を含有することを含んでよい。さらに、流体駆動ポートを通して圧力を加えることによって、試料物質を流体リザーバ内へ導くことは、流体チャネルの毛管ストップを克服することを含むことができる。
【0066】
例示の実施態様が説明され、これら実施態様の考えられ得る変更形が参照された。これらの、そしてその他の変更形、組み合わせ、及び改変形は当業者には明らかであり、言うまでもなく請求項は本明細書中に示された例示の実施態様に限定されない。
【0067】
本明細書中に使用された全ての科学用語及び技術用語は、特に断りのない限り技術分野において一般に使用される意味を有する。本明細書中に提供された定義は、本明細書中にしばしば使用される特定の用語の理解を容易にするためのものであり、本開示の範囲を限定しようとするものではない。
【0068】
本明細書及び添付の請求項において使用される単数形a”, “an”, 及び“the”は、内容が明らかに他のことを指示するのではない限り複数の指示対象を有する実施態様を含む。本明細書及び添付の請求項において使用される用語「又は(or)」は、内容が明らかに他のことを指示するのではない限り、概ね「及び/又は(and/or)」を含むその意味において採用される。「及び/又は(and/or)」という用語は、列挙されたエレメントのうちの1つ又は全て、又は列挙されたエレメントのうちのいずれか2つ又は3つ以上の組み合わせを意味する。
【0069】
本明細書中に使用される「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、又はこれに類するものは、これらのオープンエンドな意味において用いられ、概ね「~を含むが、これに限定されるものではない」を意味する。言うまでもなく、「本質的に~から成る(consisting essentially of)」、「~から成る(consisting of)」及びこれに類するものは、「含む(comprising)」及びこれに類するものに包含される。本明細書中に使用される、組成物、生成物、方法、又はこれに類するものに関連する「本質的に~から成る(consisting essentially of)」は、組成物、生成物、方法、又はこれに類するものの成分が列挙された成分、及び組成物、生成物、方法、又はこれに類するものの基本的且つ新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない任意の他の成分に限定される。
【0070】
「好ましい(preferred)」及び「好ましくは(preferably)」という語は、特定の環境下で特定の利点をもたらす本発明の実施態様を意味する。しかしながら、同じ又は他の環境下で、他の実施態様が好ましいこともある。さらに、1つ又は2つ以上の好ましい実施態様の列挙は、他の実施態様が有用ではないことを暗示せず、また請求項を含む本開示の範囲から他の実施態様を排除するように意図されるものではない。
【0071】
本明細書中においても、終点による数値範囲の記述は、その範囲内に包含されるあらゆる数を含む(例えば1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含み、又は10以下は、10、9.4、7.6、5、4.3、2.9、1.62、0.3などを含む)。値の範囲が「~まで(up to)」の特定の値である場合、その値はその範囲に含まれる。
【0072】
本明細書中で言及されるあらゆる方向、例えば「頂部」、「底部」、「左」、「右」、「上」、「下」、及びその他の方向及び配向は、図面に関連して明確さのために本明細書に記載されたものであり、実際のデバイス又はシステム、或いはデバイス又はシステムの使用を制限しようとするものではない。本明細書中に記載されたデバイス又はシステムは数多くの方向及び配向で使用されてよい。