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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】床洗浄機用の吸引ベース
(51)【国際特許分類】
   A47L 11/30 20060101AFI20231114BHJP
   A47L 7/00 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
A47L11/30
A47L7/00 A
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018051010
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2018153637
(43)【公開日】2018-10-04
【審査請求日】2020-03-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】10 2017 105 921.0
(32)【優先日】2017-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518094164
【氏名又は名称】ハーコ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Hako GmbH
【住所又は居所原語表記】Hamburger Strasse 209-239, 23843 Bad Oldesloe, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イゴール ホルヴァート
(72)【発明者】
【氏名】マークス グツケ
(72)【発明者】
【氏名】フランク イェッセン
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】五十嵐 康弘
【審判官】関口 哲生
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-5058(JP,U)
【文献】特開平4-314412(JP,A)
【文献】特表昭63-501406(JP,A)
【文献】特開平10-201680(JP,A)
【文献】特開2016-214874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床洗浄機用の吸引ベースであって、
吸引ベース基本体(19)と、吸取り接続部(31)と、を備え、
前記吸引ベース基本体(19)は、第1の端部(21)と第2の端部(23)と前壁部(25)と後壁部(27)とを有し、前記前壁部(25)と前記後壁部(27)との間には、吸取り通路(41)が形成されていて、該吸取り通路(41)は、前記前壁部(25)と前記後壁部(27)との間に延在している上壁部(33)によって画定されており、
前記前壁部(25)および前記後壁部(27)は、前記上壁部(33)から離反する方向に延在し、前記後壁部(27)は、洗浄するべき床面(45)に当接するための、一平面内に延在している当接縁部(29)を有し、
前記後壁部(27)は、前記当接縁部(29)の平面で見て、前記吸引ベース基本体(19)の前記第1の端部(21)と前記第2の端部(23)との間の接続線の、前記前壁部(25)とは反対側の方向を向いた側において延在するように湾曲しており、
前記吸取り接続部(31)は、前記吸取り通路(41)に流体接続している、床洗浄機用の吸引ベースにおいて、
衝突壁部(35)が設けられていて、該衝突壁部(35)は、前記前壁部(25)の、前記後壁部(27)とは反対側に配置されており、
前記衝突壁部(35)は、直線状であるか、または、前記後壁部(27)とは反対側を向いた方向に見て凸状であり、前記衝突壁部(35)は、当接縁部(37)を有し、該当接縁部(37)は、洗浄するべき床面(45)へ向かって延在しており、
さらに前記衝突壁部(35)は、前記吸引ベース基本体(19)の少なくとも1つの端部(21,23)から離隔されており、これにより前記吸引ベース基本体(19)の前記少なくとも1つの端部(21,23)の領域において、前記当接縁部(29,37)を有しない少なくとも1つの自由領域が、前記前壁部(25)の、洗浄するべき床面(45)側に設けられており、
前記前壁部(25)は、前記吸引ベース基本体(19)の前記第1の端部(21)および前記第2の端部(23)において、前記後壁部(27)に接続されていることを特徴とする、床洗浄機用の吸引ベース。
【請求項2】
前記衝突壁部(35)の前記当接縁部(37)は、前記後壁部(27)の前記当接縁部(29)の平面内に位置し、前記衝突壁部(35)と前記当接縁部(37)とは、閉じた面を形成していることを特徴とする、請求項1記載の床洗浄機用の吸引ベース。
【請求項3】
前記吸取り通路(41)は、前記吸引ベース基本体(19)の前記第1の端部(21)と前記第2の端部(23)との間に延在する長さを有することを特徴とする、請求項1または2記載の床洗浄機用の吸引ベース。
【請求項4】
前記吸取り通路(41)は、該吸取り通路(41)の前記長さにわたって一定であるか、または前記吸取り接続部(31)へ向かって距離が短くなるにつれて増加する高さを有することを特徴とする、請求項3記載の床洗浄機用の吸引ベース。
【請求項5】
前記衝突壁部(35)は、前記吸引ベース基本体(19)の前記第1の端部(21)と前記第2の端部(23)との間の接続線を基準として凸状に湾曲していることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の床洗浄機用の吸引ベース。
【請求項6】
前記衝突壁部(35)は、前記吸引ベース基本体(19)の両端部から離隔されており、これにより、前記吸引ベース基本体(19)の前記第1の端部(21)および前記第2の端部(23)の領域において、前記当接縁部(29,37)を有しない2つの自由領域が、前記前壁部(25)に設けられていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の床洗浄機用の吸引ベース。
【請求項7】
前記吸取り接続部(31)は、前記吸取り通路(41)の前記上壁部(33)に配置されており、前記吸取り通路(41)は、前記吸取り接続部(31)の領域における第1の高さと、前記吸取り接続部(31)の周囲の領域における第2の高さとを有し、前記第1の高さは、前記第2の高さよりも低く、前記吸取り通路(41)の高さは、前記第1の高さから前記第2の高さへの移行に関して、前記吸取り接続部(31)に隣接した移行領域(47)で連続的に変化することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の床洗浄機用の吸引ベース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床洗浄機用の吸引ベースであって、吸引ベース基本体と、吸取り接続部と、を備え、吸引ベース基本体は、第1の端部と第2の端部と前壁部と後壁部とを有し、前壁部と後壁部との間には吸取り通路が形成されていて、吸取り通路は、前壁部と後壁部との間に延在している上壁部によって画定されており、前壁部および後壁部は上壁部から離反するように延在し、後壁部は、洗浄するべき床面に当接するための、一平面内に延在している当接縁部を有し、後壁部は、当接縁部の平面で見て、吸引ベース基本体の第1の端部と第2の端部との間の接続線の、前壁部とは反対側の方向を向いた側において延在するように湾曲しており、吸取り接続部は、吸取り通路に流体接続している、床洗浄機用の吸引ベースに関する。
【0002】
吸引ベースを備えた床洗浄機は、従来技術において公知である。通常、吸引ベースは、洗浄するべき床に存在している液体を床から除去するために使用される。このことは、通常、このために設けられた装置によって供給される、吸引ベースに加えられる負圧によって行われる。その際、除去されるべき液体は、小さなスロット開口を通って吸引ベース内の吸取り通路内へ進入する。
【0003】
スロット開口の小さな横断面によって、この領域における流速は極めて高く、その値は130m/sにまで達することがある。このようにスロット開口の領域における流速が高いと、液体を吸い取るときに、大きすぎる流れの騒音が発生してしまう、という欠点が生じる。さらに、小さなスロット開口を使用することによって、吸取り通路内の流速が局所的に強く変化してしまう、ひいては不均一になってしまう。こうした欠点の結果として、吸取り通路内に、そこに存在している液体を、空気流を用いて吸取り接続部へ向かって搬送するには、流速が低すぎる領域が存在する。
【0004】
したがって、本発明の課題は、前述の従来技術における欠点を取り除くことである。特に、動作中に発生する騒音が可能な限り小さく、かつ/または内部において一様な流れを生じさせる、吸引ベースが提供されるべきである。
【0005】
この課題は、前壁部の、後壁部とは反対側に配置された衝突壁部が設けられていることによって解決される。この場合、衝突壁部は、直線状であるか、または、後壁部とは反対側を向いた方向に見て凸状であり、洗浄するべき床面へ向かって延在している当接縁部を有し、この場合、さらに衝突壁部は、吸引ベース基本体の少なくとも1つの端部から離隔されており、これにより吸引ベース基本体の少なくとも1つの端部の領域において、当接縁部を有しない少なくとも1つの自由領域が、前壁部に設けられている。
【0006】
上記意味において、凸状の衝突壁部とは、その幾何学形状が、衝突壁部の2つの端点の間で真っ直ぐに延在している線とは異なり、壁部が、この線の、後壁部から離反する方向へ向いた側にしか延在しない壁部であると解される。
【0007】
好ましくは、衝突壁部の当接縁部は、後壁部の当接縁部の平面内に位置し、この場合、衝突壁部と当接縁部とは、閉じた面を形成している。したがって、当接縁部とは、好ましくは、吸引ベースを洗浄するべき床に設置するとき、この床に当接する縁部のことである。当接縁部は、床と協働して吸取り通路を形成するので、専ら前壁部の、衝突壁部によって覆われていない領域において、液体が吸取り通路内へ進入することができる。したがって、吸引ベースを床に設置するとき、当接縁部の平面は、床の平面に略一致する。衝突壁部および当接縁部の閉じた面とは、動作中に液体が通過できない面のことである。したがって、液体が閉じた面を通って、つまり衝突壁部を通って、その後方に位置している吸取り通路内へ進入することが回避される。
【0008】
本発明による吸引ベースを備えた床洗浄機の動作中に、吸引ベースは、洗浄するべき床上を、衝突壁部に対して略垂直の方向に動かされる。その際、床に存在している液体は、直線状のまたは凸状の衝突壁部に当接し、衝突壁部のこの形状によって、吸引ベースの移動に基づき、前壁部に設けられた、当接縁部を有しない少なくとも1つの自由領域へ向かって、つまり吸取り通路開口へ向かって変向される。この領域において、液体は吸取り通路内へ進入することができる。吸取り通路内で、液体は、負圧が加えられた吸取り接続部によって吸い取られ、したがって、液体をたとえば、管接続部を介して床洗浄機の液体タンク内へ搬送することができる。
【0009】
本発明による吸引ベースは、従来技術において生じるような、小さなスロット開口の領域における高い流速が回避される、という利点を有する。その結果、床から液体を吸い取るときに流れの騒音が大幅に減少する。さらに、本発明に従って少なくとも1つの吸取り通路開口を使用することによって、吸取り通路内の流速は略均一である。すなわち、液体を効果的に搬送するには流速が低すぎる領域が、回避される。これにより、液体は、吸取り通路内のいずれの箇所でも、確実に搬出される。結局のところ、本発明による吸引ベースは、費用効果の高い製造を可能にし、わずかなメンテナンスの手間しか必要としない、簡単で丈夫な構造を特徴とする。
【0010】
本発明による吸引ベースの好適な態様では、吸取り通路は、吸引ベース基本体の第1の端部と第2の端部との間に延在する長さを有する。その際、吸取り通路の形状は、その長さに沿って直線をなしているかまたは湾曲していてもよい。これにより、少なくとも1つの吸取り通路開口を吸引ベース基本体の第1の端部または第2の端部の近傍に配置し、したがって吸引ベースをその全長にわたって使用することが可能である。
【0011】
本発明による吸引ベースの別の好適な態様では、吸取り通路は、この吸取り通路の長さにわたって一定であるか、または吸取り接続部へ向かって距離が短くなるにつれて増加する高さを有する。吸取り通路の一定の高さとは、第1の端部と吸取り接続部との間かつ/または第2の端部と吸取り接続部との間において実質的に変化しない高さであると解される。したがって、これは特に、吸取り接続部から第1の端部および/または第2の端部まで吸取り通路の高さが増加しないことを意味している。択一的に、吸取り通路の高さは、第1の端部および/または第2の端部から吸取り接続部の方向へ増加してもよい。吸取り通路の一定の高さは、一様な流速、ひいては洗浄液の確実な搬出を達成する、という利点を有する。
【0012】
本発明による吸引ベースの別の好適な態様では、衝突壁部は、吸引ベース基本体の第1の端部と第2の端部との間の接続線を基準として凸状に湾曲している。衝突壁部の凸状の形態とは、吸引ベース基本体から外方へ離反する方向へ、つまり吸引ベース基本体の、後壁部から垂直に離反する方向に湾曲していることを意味する。この形状は、衝突壁部の前方に存在する液体を、衝突壁部の端部へ向かって、ひいては少なくとも1つの吸取り通路開口へ向かって効率的に導く、という利点を有する。
【0013】
本発明による吸引ベースの別の好適な態様では、衝突壁部は、吸引ベース基本体の両端部から離隔されており、これにより吸引ベース基本体の第1の端部および第2の端部の領域において、当接縁部を有しない2つの自由領域が、つまり2つの吸取り通路開口が、前壁部に設けられている。たとえば、衝突壁部は、吸引ベース基本体の第1の端部と第2の端部との間の中央に配置されてよい。2つの吸取り通路開口を使用することは、1つの吸取り通路開口しか使用しない場合と比べて、同時により多くの液体が吸取り通路内に進入することができる、ひいてはより多くの液体を吸い取ることができる、という利点を有する。したがって、吸引ベースの吸取り性能が大幅に高められる。
【0014】
本発明による吸引ベースの別の好適な態様では、吸取り接続部は、吸取り通路の上壁部に配置されており、吸取り通路は、吸取り接続部の領域における第1の高さと、吸取り接続部の周囲の領域における第2の高さとを有し、第1の高さは、第2の高さよりも低く、吸取り通路の高さは、第1の高さから第2の高さへの移行に関して、吸取り接続部に隣接した移行領域で連続的に変化する。吸取り通路をこのように局所的に狭幅させることは、この領域における流れ案内の改良によって、汚れ取りが改善されている、という利点を有する。
【0015】
以下に、本発明を、好適な態様を示している図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の1つの態様の吸引ベースを備えた、床洗浄機の側面図である。
図2】第1の態様の斜視図である。
図3】第1の態様の下面図である。
図4】別の態様による吸取り接続部および吸取り通路の断面図である。
図5】別の態様の断面斜視図である。
【0017】
図1には、走行方向Bに見て前側の端部3と後側の端部5とを備えた、床洗浄機1が示されている。床洗浄機1は、機械フレーム7を有する。機械フレーム7には、複数の前輪9と複数の後輪11とを備えた走行装置が設けられているので、床洗浄機1は、洗浄するべき床面上を走行することができる。さらに、床洗浄機1はその前側の端部3に、ブラシ要素を備えたブラシヘッド13を有する。ブラシヘッド13は、洗浄するべき床に液体を撒き、ブラシヘッド13に存在するブラシ要素でもって床を洗浄するように構成されている。床洗浄機1はその後側の端部5に、本発明の態様の吸引ベース15を有する。吸引ベース15は、床上に存在する液体を吸い上げ、管路17を介して床洗浄機1の液体タンク(図示せず)内へ搬送するように構成されている。
【0018】
図2には、図1に示した本発明による吸引ベース15の1つの態様の斜視図が示されている。吸引ベース15は、第1の端部21と第2の端部23とを備えた吸引ベース基本体19を有する。さらに、吸引ベース基本体19は、前壁部25と後壁部27とを有する。また、後壁部27は、当接縁部29を有する。本態様では、当接縁部29は、洗浄するべき床面に当接するために設けられている。吸引ベース15の後壁部27は、当接縁部29の平面で見て、後壁部27が、第1の端部21と第2の端部23との間の接続線Vの側であって、後壁部27の、前壁部25とは反対側の方向を向いた側で延在するように湾曲している。さらに、吸引ベース15の上壁部33には、吸取り接続部31が設けられている。吸取り接続部31は、吸引ベース15内で吸取り通路に流体接続している。
【0019】
さらに、衝突壁部35が設けられている。衝突壁部35は、前壁部25の、後壁部27とは反対側に配置されている。本態様では、衝突壁部35は湾曲した形状を有し、同様に当接縁部37を備える。また、衝突壁部35が、その両端部の間で直線状に延在することも考えられる。湾曲している衝突壁部35とは、その幾何学形状が2点間で真っ直ぐに延在している壁部とは異なる壁部であると解され、この場合、壁部は2点間の接続線の一方の側にしか延在しない。本明細書で説明する態様では、当接縁部29,37は、吸引ベース15を洗浄するべき床に設置するとき、この床に当接する縁部である。当接縁部29,37は、床と協働して吸取り通路を形成するので、専ら前壁部25の、衝突壁部35によって覆われていない領域において、つまり吸取り通路開口の領域において、液体が吸取り通路内へ進入することができる。したがって、吸引ベース15を床に設置するとき、当接縁部29,37の平面は、床の平面に略一致する。衝突壁部35とその当接縁部37とは、閉じた面、つまり開口を有しない面を形成する。すなわち、液体は、この面を通って進入することができない。したがって、液体が閉じた面を通って、つまり衝突壁部35を通って、その後方に位置している吸取り通路内へ進入することが回避される。
【0020】
また、本態様では、当接縁部37が、たとえば波形に延在し、その全長にわたって洗浄するべき床面に当接しないことも考えられる。当接縁部の形状が、洗浄するべき床面に洗浄液を撒くとき、当接縁部37が常に液体と接触するような形状である場合、この種の態様によっても本発明による効果を達成することができる。
【0021】
衝突壁部35は、第1の端部21および第2の端部23から離隔されているので、2つの自由領域、つまり2つの吸取り通路開口39が設けられている。これらの吸取り通路開口39は、当接縁部29,37によって覆われていない。また、第1の端部21または第2の端部23に隣接して配置された、単一の吸取り通路開口39が設けられていることも考えられる。さらに、吸引ベース15が3つ以上の吸取り通路開口39を有することも考えられる。
【0022】
本発明による吸引ベース15は、従来技術において生じるような、小さなスロット開口の領域における高い流速が回避される、という利点を有する。その結果、床から液体を吸い取るときに流れの騒音が大幅に減少する。さらに、本発明に従って2つの吸取り通路開口39を使用することによって、吸取り通路内の流速は略均一である。すなわち、液体を効果的に搬送するには流速が低すぎる領域が、回避される。これにより、液体は、吸取り通路内のいずれの箇所でも、確実に搬出される。結局のところ、本発明による吸引ベース15は、費用効果の高い製造を可能にし、わずかなメンテナンスの手間しか必要としない、簡単で丈夫な構造を特徴とする。
【0023】
図3には、本発明による吸引ベース15の1つの態様の下面図が示されている。吸引ベース15は、吸取り通路41を有する。吸取り通路41は、前壁部25と、後壁部27と、上壁部33とによって形成されている。吸取り通路41は、吸引ベース基本体19の第1の端部21と第2の端部23との間に延在する長さを有する。また、吸取り通路41の長さが、吸引ベース基本体19の第1の端部21と第2の端部23との間の区間の部分領域にしか延在しないことも考えられる。その際、吸取り通路の形状は、この吸取り通路の長さに沿って直線を描いているかまたは湾曲していてもよい。
【0024】
さらに、吸取り通路41は、この吸取り通路41の長さにわたって一定である高さを有する。吸取り通路41の一定の高さとは、第1の端部21と吸取り接続部31との間かつ/または第2の端部23と吸取り接続部31との間において実質的に変化しない高さであると解される。したがって、これは特に、吸取り接続部31から第1の端部21および/または第2の端部23まで吸取り通路41の高さが増加しないことを意味している。択一的に、吸取り通路41の長さにわたって、吸取り接続部31へ向かって距離が短くなるにつれて、吸取り通路41の高さが増加することも考えられる。吸取り通路の一定の高さは、通路内に一様な流れを形成する、という利点を有する。
【0025】
衝突壁部35は、本明細書で説明する好適な態様では、凸状に湾曲した形状を有する。すなわち、衝突壁部35は、吸引ベース基本体19の第1の端部21と第2の端部23との間の接続線Vを基準として、方向Bへ湾曲している。換言すると、衝突壁部35の凸状の形態とは、吸引ベース基本体19から外方へ離反して、つまり吸引ベース基本体19の前壁部25の、後壁部27とは反対側へ垂直の方向に湾曲している衝突壁部35のことである。衝突壁部35の凸状の形状は、衝突壁部35が特に効率的に、衝突壁部35の前方に存在する液体を、衝突壁部35の複数の端部へ向かって、ひいては吸取り通路開口39へ向かって導く、という利点を有する。
【0026】
吸引ベース15の機能は次の通りである。使用時に、吸引ベース15は、洗浄するべき床上を、たとえば接続線Vに対して垂直である方向Bへ動かされる。また、衝突壁部35に対して垂直である、別のあらゆる移動方向も考えられる。吸引ベース15を動かすとき、床の上に存在している液体は、衝突壁部35に当接し、衝突壁部35の湾曲した形状によって、吸引ベース15の移動に基づき、前壁部25における、当接縁部29,37を有しない自由領域へ向かって、つまり吸取り通路開口39へ向かって、変向される。液体の移動方向は、矢印43a,43bで略示されている。吸取り通路開口39の領域において、液体は吸取り通路41内へ進入することができる(矢印43c参照)。吸取り通路41内では、負圧が加えられた吸取り接続部31によって、液体が吸い込まれ、かつ吸い取られる(矢印43d,43e参照)。これに続いて、液体をたとえば管路17を介して液体タンク内へ搬送することができる。
【0027】
図4および図5には、本発明による吸引ベース15の別の態様の、吸取り接続部31および吸取り通路41の断面図が示されている。吸引ベース15は、洗浄するべき床面45に設置されている。吸取り接続部31は、吸取り通路41の上壁部33内に配置されている。吸取り通路41は、吸取り接続部31の領域における第1の高さHと、吸取り接続部31の周囲の領域における第2の高さHとを有する。本態様では、第1の高さHは、第2の高さHよりも低い。さらに、吸取り通路41の高さは、吸取り接続部31に隣接した移行領域47において、第1の高さHから第2の高さHへ連続的に変化している。また、移行部が段状に形成されていることも考えられる。吸取り通路41を移行領域47においてこのように局所的に狭幅させることは、この領域における流れ案内の改良によって、汚れ取りが改善されている、という利点を有する。
図1
図2
図3
図4
図5