(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】製造設備からワークピースを取り外すためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B29C 70/54 20060101AFI20231114BHJP
B29C 70/38 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
B29C70/54
B29C70/38
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019073935
(22)【出願日】2019-04-09
【審査請求日】2022-04-05
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ストーン, パトリック ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ムーア, マシュー ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ゾーンズ, ジェフリー エー.
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-152840(JP,A)
【文献】特開2005-028565(JP,A)
【文献】中国実用新案第201971535(CN,U)
【文献】特開2017-185783(JP,A)
【文献】特開2011-131561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00-70/88
B29C 43/00-43/58
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(400)を製造設備(500)から分離するためのフレイシステム(100)であって、
少なくとも1つのフレイアセンブリ(102)を備え、前記少なくとも1つのフレイアセンブリ(102)が、
水平ビーム(110)、並びに
前記水平ビーム(110)に装着され且つ水平駆動モータ(136)及び、水平駆動軸(134)を規定する水平ビームトラックシステム(128)を有する水平駆動機構(126)、
を含む水平ビームアセンブリ(108)と、
互いに離間して前記水平ビームアセンブリ(108)に装着された一対の垂直ビームアセンブリ(150)であって、各垂直ビームアセンブリ(150)が、
前記水平ビームトラックシステム(128)に連結された垂直ビーム最上部(154)を有し、且つ前記水平駆動軸(134)に沿って前記垂直ビームアセンブリ(150)を駆動するための前記水平駆動モータ(136)に動作可能に連結された、垂直ビーム(152)、
前記垂直ビーム(152)に装着され、且つ垂直駆動モータ(170)及び垂直駆動軸(168)を規定する垂直ビームトラックシステム(166)を有する垂直駆動機構(162)、及び、
ワークピース取り付けアセンブリ(200)であって、前記垂直ビームトラックシステム(166)に連結され、且つ前記垂直駆動軸(168)に沿って前記ワークピース取り付けアセンブリ(200)を駆動するための前記垂直駆動モータ(170)に動作可能に連結された、ワークピース取り付けアセンブリ(200)、を備え、
前記ワークピース取り付けアセンブリ(200)が、前記製造設備(500)上で支持されている前記ワークピース(400)の両側のワークピース側部(406)のうちの1つに取り外し可能に取り付けられるように構成された取り付け機構(202)を備える、
一対の垂直ビームアセンブリ(150)と、
前記水平駆動モータ(136)及び前記垂直駆動モータ(170)であって、前記垂直ビーム(152)を前記
水平駆動軸(134)に沿って互いから離れるように動かす一方で、同時に各ワークピース取り付けアセンブリ(200)を対応する垂直駆動軸(168)に沿って動かし、それによって前記取り付け機構(202)が前記ワークピース側部(406)を前記製造設備(500)から引き離すようにするために協調した態様で動作するように構成された水平駆動モータ(136)及び垂直駆動モータ(170)と、
を備える、フレイシステム(100)。
【請求項2】
前記水平ビームアセンブリ(108)の前記水平駆動機構(126)、及び前記垂直ビームアセンブリ(150)のそれぞれの、前記垂直駆動機構(162)が、前記水平駆動モータ(136)及び前記垂直駆動モータ(170)によってそれぞれ回転可能に駆動されるネジ軸(140)を含み、
各垂直ビーム(152)の前記垂直ビーム最上部(154)が、前記ネジ軸(140)の回転を、前記水平駆動軸(134)に沿った前記垂直ビーム(152)の直線運動に変換するために前記水平駆動機構(126)の前記ネジ軸(140)に係合しているナット(142)に連結された駆動フィッティング(160)を有し、
各垂直ビームアセンブリ(150)の前記ワークピース取り付けアセンブリ(200)が、前記ネジ軸(140)の回転を、前記垂直駆動軸(168)に沿った前記ワークピース取り付けアセンブリ(200)の直線運動に変換するために前記垂直駆動機構(162)の前記ネジ軸(140)に係合している前記ナット(142)に連結された前記駆動フィッティング(160)を有する、
請求項1に記載のフレイシステム(100)。
【請求項3】
前記水平駆動モータ(136)及び前記垂直駆動モータ(170)が、各ワークピース取り付けアセンブリ(200)の前記取り付け機構(202)を、ワークピース内表面(408)と、前記ワークピース(400)の長手方向軸(402)に一致する垂直面との交差部で中央配置されている、偏向円弧(600)に沿って、外向きに動かすために、協調した態様で動作可能である、
請求項1または2に記載のフレイシステム(100)。
【請求項4】
前記ワークピース取り付けアセンブリ(200)が、前記取り付け機構(202)を前記垂直駆動機構(162)に連結している取り付けアセンブリのピボットジョイント(212)を含み、
前記取り付けアセンブリのピボットジョイント(212)が、前記取り付け機構(202)の動きを、前記取り付け機構(202)のロール軸(214)及びヨー軸(216)を中心とした旋回に限定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のフレイシステム(100)。
【請求項5】
前記取り付け機構(202)が、
前記ワークピース側部(406)において前記ワークピース取り付けアセンブリ(200)をワークピース外表面(414)に真空取り付けするため、真空源に流体連結された真空カップのアレイを有する、少なくとも1つの真空プレート(208)
を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のフレイシステム(100)。
【請求項6】
前記一対の垂直ビームアセンブリ(150)の間に中央配置された中央支持体(114)であって、前記水平ビーム(110)から外向きに延び且つワークピース頂部(416)においてワークピース外表面(414)と局所的に接するように構成された少なくとも1つの支持パッド(120)を有する中央支持体(114)
をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のフレイシステム(100)。
【請求項7】
前記水平駆動モータ(136)及び前記垂直駆動モータ(170)の各1つに連結され、前記水平駆動モータ(136)及び前記垂直駆動モータ(170)それぞれの角運動を測定して、それを表すエンコーダ信号を生成するように構成された回転エンコーダ(144)と、
各回転エンコーダ(144)から前記エンコーダ信号を受信し、前記取り付け機構(202)の動きを決定し、前記取り付け機構(202)の初期ポジション(608)から前記取り付け機構(202)の最終ポジション(610)までの、前記ワークピース側部(406)のそれぞれの、外向きの偏向の時間履歴を生成するように構成されたプロセッサ(700)と、
をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のフレイシステム(100)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのフレイアセンブリ(102)が、互いに離間して並行に配列された複数のフレイアセンブリ(102)を備え、
前記フレイアセンブリ(102)の前記水平駆動機構(126)及び前記垂直駆動機構(162)が、各フレイアセンブリ(102)における前記ワークピース側部(406)の外向きの偏向を同時に開始するために同期した態様で操作される、
請求項1から7のいずれか一項に記載のフレイシステム(100)。
【請求項9】
プロセッサ(700)と、
前記プロセッサ(700)と通信可能に連結され、且つ1つ以上のワークピースの構成のデータベース(704)及び、前記フレイシステム(100)の前記取り付け機構(202)の動作プロファイルを規定する対応のプログラムファイルを保存するように構成されたメモリ(702)とをさらに含み、
前記プロセッサ(700)が、前記取り付け機構(202)を前記動作プロファイルに従って動かすために前記水平駆動機構(126)及び垂直駆動機構(162)を制御する前記プログラムファイルのうちの1つを実行するように構成されている、
請求項1から8のいずれか一項に記載のフレイシステム(100)。
【請求項10】
ワークピース(400)を製造設備(500)から分離する方法であって、
フレイシステム(100)の少なくとも1つのフレイアセンブリ(102)の水平ビームアセンブリ(108)の中央支持体(114)を、前記製造設備(500)上で支持されている内表面の寸法形状(410)を有する前記ワークピース(400)のワークピース頂部(416)と接触させて配置することと、
一対のワークピース取り付けアセンブリ(200)の対応する対の取り付け機構(202)を、前記ワークピース(400)の両側のワークピース側部(406)にそれぞれ取り外し可能に取り付けることであって、各ワークピース取り付けアセンブリ(200)が、垂直ビームトラックシステム(166)と動作可能に連結されており、且つ垂直ビームアセンブリ(150)の垂直駆動機構(162)の垂直駆動モータ(170)と動作可能に係合しており、各垂直ビームアセンブリ(150)が、水平ビームトラックシステム(128)に連結されており、且つ前記水平ビームアセンブリ(108)の水平駆動機構(126)の水平駆動モータ(136)と動作可能に係合している、取り付け機構(202)を取り外し可能に取り付けることと、
前記垂直ビームアセンブリ(150)を、水平駆動軸(134)に沿って互いから離して動かす一方で、同時に各ワークピース取り付けアセンブリ(200)を対応する垂直駆動軸(168)に沿って動かし、それによって、前記一対の取り付け機構(202)が前記ワークピース側部(406)を外向きに偏向させて前記製造設備(500)から引き離すように、前記水平駆動モータ(136)及び前記垂直駆動モータ(170)を協調した態様で動作させることと、
を含む方法。
【請求項11】
前記水平駆動モータ(136)及び前記垂直駆動モータ(170)を協調した態様で動作させるステップが、
前記水平駆動モータ(136)を用いて前記水平ビームアセンブリ(108)のネジ軸(140)を回転させることと、前記ネジ軸(140)に係合し、一対の前記垂直ビームアセンブリ(150)にそれぞれ連結された一対のナット(142)を用いて、前記水平ビームアセンブリ(108)の前記ネジ軸(140)の回転を、前記水平駆動軸(134)に沿った、前記一対の前記垂直ビームアセンブリ(150)の直線の動きに変換することと、
前記垂直駆動モータ(170)を用いて前記一対の垂直ビームアセンブリ(150)の一対のネジ軸(140)を回転させることと、前記垂直ビームアセンブリ(150)の前記ネジ軸(140)に係合し、前記ワークピース取り付けアセンブリ(200)のうちの1つにそれぞれ連結された前記ナット(142)を用いて、各垂直ビームアセンブリ(150)の前記ネジ軸(140)の回転を、対応する垂直駆動軸(168)に沿った、前記ワークピース取り付けアセンブリ(200)のうちの1つの、直線の動きに変換することと、
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記水平駆動モータ(136)及び前記垂直駆動モータ(170)を協調した態様で操作するステップが、
各ワークピース取り付けアセンブリ(200)の前記取り付け機構(202)を、ワークピース内表面(408)と、前記ワークピース(400)の長手方向軸(402)に一致する垂直面との交差部で中央配置されている、偏向円弧(600)に沿って、同時に外向きに動かすために、協調した態様で操作することを含む、
請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
各ワークピース取り付けアセンブリ(200)が、前記取り付け機構(202)を前記対応する垂直駆動機構(162)に連結している取り付けアセンブリのピボットジョイント(212)を含み、
各ワークピース取り付けアセンブリ(200)の取り付けアセンブリのピボットジョイント(212)を用いて、前記取り付け機構(202)の動きを、前記取り付け機構(202)のロール軸(214)及びヨー軸(216)を中心とした旋回に限定する、
請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
一対の取り付け機構(202)をそれぞれワークピース(400)の両側のワークピース側部(406)に取り外し可能に取り付けるステップが、少なくとも1つの真空プレート(208)を、真空圧を用いて前記両側のワークピース側部(406)のそれぞれに取り付けることを含む、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記中央支持体(114)を前記ワークピース頂部(416)と接触させて配置するステップが、
前記ワークピース取り付けアセンブリ(200)が前記両側のワークピース側部(406)にそれぞれ取り付けられているときに前記ワークピース頂部(416)においてワークピース外表面(414)と局所的に接するように、支持パッド(120)を配向することを含む、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して製造に関し、具体的には、製造設備からワークピースを取り外すためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機胴体のバレル部の製造は、複数の未硬化または予備硬化済みの複合材ストリンガを、回転可能なレイアップマンドレルの表面に沿って、軸方向に延びる複数の対応する溝内に設置することを含み得る。次に、レイアップマンドレルが回転されてストリンガ上に外板が形成される際に、レイアップマンドレル及びストリンガの上に、複合材料の複数の層がレイアップされてよい。レイアップの完了後、外板とストリンガとを一緒に共硬化または共接合して硬化済み複合材バレル部を形成するために、複合材料に熱と圧力を印加すべく、レイアップマンドレルはオートクレーブ内に移動され得る。一対の比較的剛性がある半円筒形の外板パネルを形成するため、バレル部は、レイアップマンドレル両側のそれぞれの軸方向に沿って切断され得る。
【0003】
ストリンガが溝内で係合していることによって、各外板パネルのレイアップマンドレルからの離昇が防止される。したがって、外板パネルを取り外すためには、複数のマンドレル部分から形成されていてよいマンドレル本体の分解が必要となり得る。しかし、レイアップマンドレルの分解は、時間のかかる作業であり得る。加えて、レイアップマンドレルを複数のマンドレル部分として形成することは、レイアップマンドレルの費用と複雑性を増大させ得る。
【0004】
理解され得るように、当該技術分野において、ワークピース(例えば外板パネル)を製造設備(例えばレイアップマンドレル)から取り外すためのシステム及び方法であって、製造設備を分解する必要性を回避する、システム及び方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
ワークピースを製造設備から取り外すことに関連した上記の必要性は、少なくとも1つのフレイ(flay)アセンブリを有するフレイシステムを提供する、本開示によって具体的に対処されている。フレイアセンブリは、水平ビームアセンブリと、一対の垂直ビームアセンブリであって、互いに離間して水平ビームアセンブリに装着された、一対の垂直ビームアセンブリとを含む。水平ビームアセンブリは、中央支持体を有する水平ビームを含む。加えて、水平ビームアセンブリは、水平ビームに装着された少なくとも1つの水平駆動機構であって、水平駆動モータ及び、水平駆動軸を規定する水平ビームトラックシステムを有する、少なくとも1つの水平駆動機構を含む。垂直ビームアセンブリの各1つは、垂直ビームであって、水平ビームトラックシステムに連結され、水平駆動軸に沿って垂直ビームアセンブリを駆動するために水平駆動モータに動作可能に係合している、垂直ビームを含む。垂直ビームアセンブリの各1つはまた、垂直ビームに装着された垂直駆動機構であって、垂直駆動モータ及び、垂直駆動軸を規定する垂直ビームトラックシステムを有する、垂直駆動機構も含む。垂直ビームアセンブリの各1つは、加えて、ワークピース取り付けアセンブリであって、垂直ビームトラックシステムに連結され、垂直駆動軸に沿ってワークピース取り付けアセンブリを駆動するために垂直駆動モータに動作可能に係合している、ワークピース取り付けアセンブリを含む。各ワークピース取り付けアセンブリは、製造設備上で支持されているワークピースの両側のワークピース側部のうちの1つに取り外し可能に取り付けられるように構成された、取り付け機構を含む。水平駆動モータ及び垂直駆動モータは、垂直ビーム(複数)を水平駆動軸に沿って互いに離れるように動かす一方、同時に、各ワークピース取り付けアセンブリを対応する垂直駆動軸に沿って動かして、中央支持体がワークピース頂部(workpiece crown)を製造設備と接触したまま維持する一方で、取り付け機構がワークピース側部を製造設備から引き離すようにするために、協調した態様で動作するように構成されている。
【0006】
製造設備からワークピースを分離する方法もまた、開示される。この方法は、フレイシステムの少なくとも1つのフレイアセンブリの水平ビームアセンブリの中央支持体を、製造設備上で支持されている内表面の寸法形状を有するワークピースのワークピース頂部と接触させるようにして配置することを含む。加えて、この方法は、一対のワークピース取り付けアセンブリの対応する一対の取り付け機構を、それぞれ、ワークピースの両側のワークピース側部に取り外し可能に取り付けることを含む。各ワークピース取り付けアセンブリは、垂直ビームトラックシステムに可動式に連結されており、動くことができるように、垂直ビームアセンブリの垂直駆動モータに動作可能に係合している。各垂直ビームアセンブリは、水平ビームアセンブリの水平ビームトラックシステムに可動式に連結されており、水平ビームアセンブリの水平駆動モータに動作可能に係合している。この方法は、水平駆動モータ及び垂直駆動モータを、垂直ビーム(複数)を水平駆動軸に沿って互いに離れるように動かす一方、同時に、各ワークピース取り付けアセンブリを対応する垂直駆動軸に沿って動かして、水平ビームアセンブリの中央支持体がワークピース頂部を製造設備と接触したまま維持する一方で、一対のワークピース取り付けアセンブリがワークピース側部を製造設備から引き離すように外向きに偏向させるために、協調した態様で動作させることを含む。
【0007】
上記の特徴、機能、及び利点は、本開示の様々な実施形態において単独で達成可能であるか、または、以下の説明および下記の図面を参照してさらなる詳細が理解され得るさらに他の実施形態において、組み合わされてよい。
【0008】
本開示の、これらの特徴及びその他の特徴は、図面を参照することでより明白になるだろう。図面中では、全体を通して類似の番号は類似の部分を指している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】製造設備上で支持されているワークピースを取り外すためのフレイ(flay)システムのブロック図である。
【
図2】レイアップマンドレルであって、その上に外板がレイアップされ硬化され得る、レイアップマンドレルとして構成された製造設備の一例の斜視図である。
【
図3】レイアップマンドレル上で支持されている外板が示されている、
図2のレイアップマンドレルの斜視図である。
【
図4】
図4は、レイアップマンドレルのレイアップ面に形成された溝内に受容されている外板パネルの複数のストリンガが示されている、レイアップマンドレルの端面図である。
【
図5】外板パネルの外板内表面から内向きに突出しているストリンガが示されている、外板パネルの斜視図である。
【
図6】内向きに突出したストリンガが示されている、
図5の外板の端面図である。
【
図7】レイアップマンドレルから外板パネルを取り外すためにレイアップマンドレル上に配置された複数のフレイアセンブリを有する、フレイシステムの一実施例の斜視図である。
【
図8】レイアップマンドレルの上でフレイシステムを支持するためのフロアスタンドを有する、
図7のフレイシステムの正面図である。
【
図9】レイアップマンドレルの上にフレイシステムを懸架するための長手方向ビームを有する、フレイシステムの一例の正面図である。
【
図10】バックボーンフレームによって相互接続された複数のフレイアセンブリであって、各フレイアセンブリが、水平ビームアセンブリと、一対の垂直ビームアセンブリを有している、複数のフレイアセンブリの一実施例の斜視図である。
【
図11】水平ビームアセンブリの一部と、垂直ビームアセンブリのうちの1つの、正面図である。
【
図12】
図11の線12に沿った断面図であり、水平ビームアセンブリの水平ビームトラックシステムにスライド可能に連結された垂直ビームアセンブリが示されている。
【
図13】
図12のフレイアセンブリの一部の分解斜視図であり、垂直ビームアセンブリを水平トラックシステムに沿って駆動するための水平駆動モータを有する、水平ビームアセンブリの水平駆動機構が示されている。
【
図14】垂直ビームトラックシステムに沿ってワークピース取り付けアセンブリを駆動するための垂直ビーム駆動モータを有する、垂直ビームアセンブリの一実施例の斜視図である。
【
図15】
図14の垂直ビームアセンブリの部分分解斜視図であり、垂直ビームトラックシステム及び、垂直ビームトラックシステムに沿ってワークピース取り付けアセンブリを駆動するために垂直駆動モータに連結された垂直駆動シャフトの一実施例が示されている。
【
図16】
図14の線16に沿った断面図であり、垂直ビームトラックシステムにスライド可能に連結されたワークピース取り付けアセンブリが示されている。
【
図17】垂直ビームアセンブリの下部の斜視図であり、ワークピースのワークピース側部に取り外し可能に連結されるように構成された取り付け機構を含む、ワークピース取り付けアセンブリが示されている。
【
図18】垂直ビームアセンブリの部分分解斜視図であり、ワークピース取り付けアセンブリを垂直ビームトラックシステムにスライド可能に連結するための、複数のリニアベアリングが示されている。
【
図19】製造設備の上方で支持されているフレイシステムの一実施例の正面図であり、製造設備上で支持されているワークピースの両側のワークピース側部に連結される準備のための取り付け前ポジションにある、取り付け機構が示されている。
【
図20】
図19のフレイシステムの正面図であり、両側のワークピース側部にそれぞれ連結された垂直ビームアセンブリの取り付け機構が示されている。
【
図21】
図20の垂直ビームアセンブリの一部の拡大図であり、ワークピース側部への真空式取り付け用の一対の真空プレートとして構成された、取り付け機構が示されている。
【
図22】
図20の水平ビームアセンブリの一部の拡大図であり、ワークピース外表面と接触して置かれている水平ビームの中央支持体が示されている。
【
図23】
図20のフレイアセンブリの正面図であり、取り付け機構によって外向きに偏向されているワークピース側部が示されている。
【
図24】
図23のフレイアセンブリの一部の拡大図であり、ワークピース頂部が回転の中心に対して中央配置されている偏向円弧(deflection arc)に沿った取り付け機構の動きが示されている。
【
図25】ワークピースを製造設備から取り外した後の、
図20のフレイアセンブリの正面図である。
【
図26】プロセッサ、並びにワークピースの構成のデータベース及びそれぞれ取り付け機構の動きを規定する対応のプログラムファイルを保存するためのメモリを有する、フレイシステムの斜視図である。
【
図27】
図26のフレイシステムの上面図であり、ワークピースの長手方向軸に沿ったワークピースの曲率半径の変動に適合するように配置された、垂直ビームアセンブリが示されている。
【
図28】
図27の線28に沿って切り取られた、フレイシステムの端面図である。
【
図29】
図27の線29に沿って切り取られた、フレイシステムの端面図である。
【
図30】フレイシステムを用いてワークピースを製造設備から取り外す方法の諸工程を含む、フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、本開示の好適な且つ様々な実施例を例示する目的で示されている各図面を参照すると、
図1は、製造設備500からワークピース400を取り外すためのフレイシステム100のブロック図を示す。本開示では、フレイシステム100は、レイアップマンドレル504(例えば
図2-
図4)から複合材外板パネル450(例えば
図3-
図6)を取り外すという文脈で説明される。しかし、本開示のフレイシステム100は、様々に異なるタイプのワークピースのうちの任意の1つを、様々に異なるタイプの製造設備のうちの任意の1つから取り外すために実装されていてよく、複合材外板パネル450をレイアップマンドレル504から取り外すことに限定されない。
【0011】
図1では、フレイシステム100は、少なくとも1つのフレイアセンブリ102を含み得る。例えば、
図10に示すように、フレイシステム100は、互いに対して離間して平行に配列され、バックボーンフレーム104によって相互接続された、複数のフレイアセンブリ102を含む。フレイアセンブリ102の各1つは、水平ビームアセンブリ108と、一対の垂直ビームアセンブリ150を含む。一対の垂直ビームアセンブリ150は、
図10に示すように、互いに離間して水平ビームアセンブリ108に装着されている。各水平ビームアセンブリ108は、中央支持体114(例えば
図22)を有する水平ビーム110を含む。加えて、各水平ビームアセンブリ108は、水平ビーム110に装着された少なくとも1つの水平駆動機構126(例えば
図13)を含む。水平駆動機構126は、水平駆動モータ136、及び水平ビームトラックシステム128を有する。水平トラックシステム128は、水平駆動軸134(例えば
図11)であって、それに沿って、水平駆動モータ136が垂直ビームアセンブリ150を駆動する、水平駆動軸134を規定する。
【0012】
引き続き
図1を参照すると、垂直ビームアセンブリ150の各1つは、垂直ビーム最上部154(例えば
図11)及び垂直ビーム最下部158(例えば
図11)を有する、垂直ビーム152を含む。各垂直ビーム152の垂直ビーム最上部154は、水平ビームトラックシステム128(例えば
図11~
図13)に連結されている。加えて、各垂直ビーム152の垂直ビーム最上部154は、水平駆動軸134に沿って垂直ビームアセンブリ150を駆動するための、水平駆動モータ136に動作可能に係合されている(例えば
図13)。各垂直ビームアセンブリ150は、垂直ビーム152に装着された垂直駆動機構162をさらに含む。垂直ビーム152の駆動機構は、垂直駆動モータ170と、垂直駆動軸168を規定する垂直ビームトラックシステム166とを有する(例えば、
図14-
図15)。各垂直ビームアセンブリ150は、ワークピース取り付けアセンブリ200であって、垂直ビームトラックシステム166に連結され(例えば
図15-
図16、及び
図18)、垂直駆動軸168に沿ってワークピース取り付けアセンブリ200を駆動するための垂直駆動モータ170と動作可能に係合している(例えば
図18)、ワークピース取り付けアセンブリ200を、さらに含む。
【0013】
図1では、各ワークピース取り付けアセンブリ200は、製造設備500上で支持されているワークピース400の両側のワークピース側部406のうちの1つに取り外し可能に取り付けられるように構成された、取り付け機構202(例えば
図17-
図18)を含む。ワークピース400は、製造設備500の設備外表面502(例えば
図3-
図4)と係合し得る、内表面の寸法形状410(例えば
図5-
図6)を有し得る。内表面の寸法形状410は、製造設備500の設備外表面502内に形成されていてよい1つ以上の窪み508(例えば
図3-
図4)に受容され得る、1つ以上の突起部412(例えば
図5-
図6)を含み得る。代わりに、またはさらに、図示されていないある実施形態では、ワークピースは、製造設備の設備外表面から外側に突起していてよい1つ以上の突起(図示せず)を受容するように構成されていてよい1つ以上の窪み(図示せず)を含んでいてよい、内表面の寸法形状を有し得る。ワークピース400及び/または製造設備500が突起412及び/または窪み508を有しているかどうかに関わらず、突起412の窪み508との係合によって、ワークピース400の製造設備500からの取り外しが阻害され得る。図示されていないさらなる実施例では、ワークピース400及び/または製造設備500には、突起412及び/または窪み508が全く存在していなくてよい。しかし、ワークピース400の寸法形状、及び/または製造設備500の寸法形状によって、製造設備500からのワークピース400の取り外しが阻害されてよい。例えば、ワークピース400は、ワークピース400が上に載って支持されている凸型の形状の製造設備からの、ワークピース400の取り外しを阻害し得る、凹形の形状を有し得る。
【0014】
引き続き
図1を参照すると、フレイシステム100に含まれていてよい1つ以上のフレイアセンブリ102のそれぞれについて、水平ビームアセンブリの1つ以上の水平駆動モータ136と、垂直ビームアセンブリ150のそれぞれの垂直駆動モータ170は、
図22-
図25で図示され、以下でさらに詳しく記載されているように、垂直ビーム(複数)152を(水平駆動モータ136を用いて)水平駆動軸134に沿って互いに離れるように動かす一方、同時に、ワークピース取り付けアセンブリ200を(垂直駆動モータ170を用いて)対応する垂直駆動軸168に沿って動かして、水平ビーム110の中央支持体114がワークピース頂部416を製造設備500と接触した状態で維持する一方でワークピース400の両側にある取り付け機構202がワークピース側部406を製造設備500から引き離すようにするために、協調した態様で動作するように構成されている。水平駆動モータ136と垂直駆動モータ170との協調した動作によって、ワークピース取り付けアセンブリ200がワークピース側部406を互いに離して広げ、ワークピース400は、非偏向状態612(例えば
図20-
図21)から偏向状態614(例えば
図23-
図24)へと移行する。一方で、中央支持体114は、ワークピース頂部416を製造設備500と接触した状態(例えば
図22)で維持する。この点に関して、中央部は、ワークピース側部406が外向きに偏向している間の、ワークピース頂部416の製造設備500からの離昇を防止している。加えて、中央支持体114は、回転の中心604(
図22-
図23)であって、そこを中心にしてワークピース側部406が外向きに偏向している、回転の中心604を規定する。
【0015】
ワークピース取り付けアセンブリ200の動きによって、少なくとも、製造設備500の両側のそれぞれの、ワークピース側部406と設備外表面502との間に間隙が存在するように(例えば
図23-
図24に誇張して示されているように)なるまで、ワークピース側部406が外向きに偏向してよい。この点について、ワークピース側部406は、
図25に示され、以下でより詳細に説明されるように、ワークピース400が、製造設備500から離れて分離及び/または並進移動するのを可能にする量で、外向きに偏向され得る。ある実施例では、ワークピース400の製造設備500からの取り外しは、水平駆動機構126と垂直駆動機構162が稼働しておらず、垂直ビームアセンブリ150とワークピース取り付け機構200が静止している間に、実施されてよい。ワークピース400が製造設備500から取り外された後、水平駆動機構126及び垂直駆動機構162は、ワークピース側部406が初期ポジション608に帰ってワークピース400が非屈曲状態612(例えば
図20-
図21)に戻るように、垂直ビームアセンブリ150及びワークピース取り付けアセンブリ200の方向を逆転する態様で操作されてよい。この非屈曲状態においては、ワークピース400は、支持設備(図示せず)にロードされてよく、フレイシステム100の取り付け機構202は、ワークピース400から解放され得る。
【0016】
図2-
図6を参照すると、硬化済みの複合材外板パネル450として構成されたワークピース400を支持するためのレイアップマンドレル504として構成された、製造設備500の一実施例が示されている。本開示のフレイシステム100は、レイアップマンドレル504から複合材外板450を取り外すという文脈で説明される。
図2は、外板パネル450がその上にレイアップされて硬化され得る、レイアップマンドレル504の一実施例を示す。レイアップマンドレル504は、モノリシック(即ち、一体物)であり且つ一対の端部リング514によって支持されている、マンドレル本体506を有していてよい。端部リング514の各1つは、設備ベース516によって支持されていてよい。設備ベース516は、マンドレル本体506を回転可能に支持するため、マンドレル506の各端部にリングクレードル518を含んでいてよい。レイアップマンドレル504は、複合材外板パネル450のレイアップ中にマンドレル本体506を回転させるための、1つ以上の回転子モータ520を含んでいてよい。マンドレル本体506は、レイアップマンドレル504の長さ方向に沿って配向された複数の窪み508または溝510を含んでいてよい。溝510の各1つは、未硬化または予備硬化済みの複合材ストリンガを受容するように構成されていてよく、これらの複合材ストリンガは、ストリンガ454の溝510内への設置に先立って、ストリンガレイアップ用ツール(図示せず)上に、個別にレイアップされてよい。ストリンガ454は、台形の断面形状(例えば
図21ー
図22)を有するとして示されているが、正方形、長方形、三角形、半円、または様々な他の断面形状のうちの任意の1つである断面形状を有していてよい。
【0017】
ストリンガ454がレイアップマンドレル504の溝510内に設置された後、外板要素452を形成するため、ストリンガ454及びマンドレル外表面512の上に、複合材料の1つ以上のプライがレイアップされてよい。例えば、レイアップマンドレル504は、未硬化の複合材バレル部(図示せず)を形成するために、ストリンガ454及びマンドレル外表面512の上に単方向複合材テープ(図示せず)を付けている間、(例えば回転子モータ520を介して)回転されてよい。レイアップマンドレル504は、次に、高温及び/または高圧下で外板要素452及びストリンガ454の共硬化または共接合を行って、概して円筒形の形状を有する硬化済みの複合材バレル部を形成するため、オートクレーブ(図示せず)内に移動されてよい。レイアップマンドレル504をオートクレーブから取り出した後、硬化済みの複合材バレル部は、それぞれ概して半円筒形の形状を有する一対の外板パネル450を形成するため、レイアップマンドレル504の直径方向に反対側の両辺のそれぞれの長さ方向に沿って、切断されてよい。
【0018】
図3はレイアップマンドレル504の斜視図であり、レイアップマンドレル504上で支持されている、半円筒形の形状を有する外板パネル450のうちの1つが示されている。
図4は、レイアップマンドレル504の端面図であり、マンドレル本体506の溝510内にぴったり入れられた(nested)外板パネル450のストリンガ454が示されている。
図5-
図6は、レイアップマンドレル504から分離された外板パネル450を示しており、外板パネル450の外板内表面から内向きに突出している、ストリンガ454が示されている。複数の外板パネル450が組み立てられて、航空機(図示せず)の胴体が形成されてよい。硬化された外板パネル450は、比較的剛性であってよく、面外方向への偏向に対して耐性があってよい。下記のとおり、フレイシステム100は、有利には、外板パネル450の両側のワークピース側部406を、所定の偏向経路に沿って所定の偏向速度で、制御された態様によって、上向きに偏向させる態様で、操作されてよい。加えて、下記のとおり、フレイシステム100には、有利には、ワークピース側部406の外向きの偏向の時間履歴を記録する機能が設けられている。この機能は、ワークピース400の偏向が所定の技術限界内で実施されたと判定するのを容易にするものであり、それによって、時間がかかる外板パネル450の検査が回避される。この検査は、偏向特性(例えば偏向の大きさ、偏向の速度、及び/または偏向の動作経路)が未知であったとしたら必要とされたであろう。
【0019】
図3-
図6の例では、外板パネル450は、ワークピースの垂直方向中心線404を中心にして概して対称である。この垂直方向中心線404は、外板パネル450の両側のワークピース側部406を、等しい分量で外向きに偏向させる態様で、フレイシステム100の動作を規定し得る。しかし、本開示のフレイシステム100は、ワークピースの垂直方向中心線404を中心にして非対称であるワークピース(図示せず)上にも実装され得る。この点に関して、フレイシステム100は、ワークピース400の一方の側のワークピース側部406を、ワークピース400の他方の側のワークピース側部406とは異なる偏向の大きさ、速度、及び/または動作経路で、外向きに偏向させる態様で操作されてよい。
【0020】
図7は、レイアップマンドレル504から外板パネル450を取り外すために、レイアップマンドレル504上に配置されているフレイシステム100の一実施例を示す。フレイシステム100は、互いに離間して配列された複数のフレイアセンブリ102(例えば
図10)を含む。フレイシステム100は、レイアップマンドレル504上で複数のフレイアセンブリ102を支持するためのフロアスタンド302として構成された、支持システム300を有するとして示されている。フロアスタンド302は、水平支持ビーム310と垂直支持ポスト306の枠組みによって構成されている。フロアスタンド302は、垂直支持ポスト306を水平方向に支持するための、複数の角度付き支持脚308及び筋交い(diagonal brace)312をさらに含み得る。垂直支持ポスト306は、水平支持ビーム310によって相互接続されている。複数のフレイアセンブリ102は、バックボーンフレーム104によって、水平支持ビーム310に取り付けられていてよい。
【0021】
図8は、
図7のフレイシステム100の正面図であり、レイアップマンドレル504の上でフレイシステム100を支持するためのフロアスタンド302が示されている。製造設備500上で支持されている外板パネル450に連結されたフレイアセンブリ102のうちの1つも、また示されている。上記のように、フレイアセンブリ102の各1つは、水平ビームアセンブリ108、及び水平ビームアセンブリ108に対して離間して装着された一対の垂直ビームアセンブリ150を含む。以下でより詳細に記載されるように、垂直ビームアセンブリ150の各1つは、外板パネル450のワークピース側部406を外向きに屈曲させる手段として、一対の垂直ビーム152にそれぞれ沿ったワークピース取り付けアセンブリ200の動きと協調して、水平ビーム110に沿って可動である。
【0022】
図9は、長手方向ビーム314として構成された支持システム300によって支持されているフレイシステム100の一実施例の正面図である。長手方向ビーム314は、ホイストケーブル316からフレイシステム100を懸架するように構成されている。ホイストケーブル316は、生産設備の頭上のビーム(図示せず)から、下向きに延びていてよい。代わりに、長手方向ビーム314が、移動クレーン(図示せず)から下向きに延びているホイストケーブル316から懸架されていてもよい。長手方向ビーム314は、フレイシステム100の長さに沿って延びていてよく、バックボーンフレーム104によって、個々のフレイアセンブリ102に相互接続されていてよい。
【0023】
図10は、バックボーンフレーム104によって相互接続された複数のフレイアセンブリ102を有するフレイシステム100の一例を示す。バックボーンフレーム104は、好適にはフレイシステム100の動作中の捻じれ及び/または変形に対する耐性を有する剛構造を形成するため、長手方向に延びる1つ以上のビームと、水平方向に延びる1つ以上のビームとを有していてよい。フレイシステム100内に含まれるフレイアセンブリ102の数は、フレイシステム100を実装し得る対象であるワークピース400の最大の大きさに基づいていてよい。この点に関して、フレイシステム100は、任意の数のフレイアセンブリ102が製造設備500からのワークピース400の取り外しに積極的に関与し得る一方、1つ以上のフレイアセンブリ102が非稼働であるようにして、操作されてよい。フレイアセンブリ102は、好適には、隣接する一対のフレイアセンブリ102間に位置するワークピースの部分の過度の偏向を防止する距離で、互いに対して離間配置されている。
図10では、フレイシステム100内の各フレイアセンブリ102は、フレイシステム100の製造と組み立てが簡便化され、操作の複雑さが低減され得るように、同じに構成されているとして示されている。しかし、示されていない実施形態では、フレイシステム100は、フレイシステム100中の他のフレイアセンブリ102とは異なるように構成された、1つ以上のフレイアセンブリ102を有し得る。
【0024】
ここで
図11-
図13を参照すると、
図11は、水平ビームアセンブリ108の一部と、水平ビームアセンブリ108に連結された垂直ビームアセンブリ150のうちの1つの正面図である。本開示の各図面には、垂直ビーム152が水平ビーム110と概して直角である(例えば
図8-
図11)として示されているが、垂直ビーム152は、水平ビーム110に対して非直角の角度で配向されていてもよい。本開示では、「垂直」及び「水平」の用語が、図面中に示されている例示のフレイシステム100におけるフレイシステム100の構成要素の互いに対する配向に関して説明しているものであり、水平及び垂直と命名された構成要素がそれぞれ非水平及び非垂直の配向におけるフレイシステム100の使用を制限しているものではないことも、また留意されるべきである。例えば、フレイシステム100は、ワークピース400を製造設備500から取り外している最中に、ワークピース400の長手方向軸402を中心にして90度回転されてよく、その結果、ワークピース側部406が外向きに偏向している間を含むワークピース400の取り外し処理中に、水平ビーム110が垂直に配向され、垂直ビーム152が水平に配向され得ると考えられる。
【0025】
上記のように、水平ビーム110は、
図20及び
図22に示すワークピース頂部416に接触して置かれるように構成された、中央支持体114を有する。以下でより詳細に記載されるように、中央支持体114は、水平ビーム110の下側に連結されていてよく、両側の水平ビームの端部112の間で中央配置されていてよい。この点に関して、中央支持体114は、フレイアセンブリの垂直方向中心線106上に中央配置されていてよい。中央支持体114は、水平ビーム110の下側に取り付けられている(例えば固定されている、溶接されている、接合されている)別々の構成要素であるとして示されているが、ある実施例では、水平ビーム110の下側または下表面上の分離したエリア(図示せず)といった、水平ビーム110の一体的な部分であってよい。中央支持体114が水平ビーム110と一体であるこうした実施例では、水平駆動モータ136及び水平駆動シャフト138を含む水平駆動機構126は、中央支持体114のワークピース頂部416との接触中にワークピース400と干渉するのを避けるため、水平ビーム110の内側(図示せず)または水平ビーム110の側部に位置していてよい。
【0026】
図13に示すとおり、水平ビームアセンブリ108は、垂直ビームアセンブリ150を水平駆動軸134に沿って動かすように構成された、少なくとも1つの水平駆動機構126を含む。本開示のフレイシステム100では、各水平ビームアセンブリ108は、フレイアセンブリの垂直方向中心線106の両側にそれぞれ位置する、一対の水平駆動機構126を含む。水平ビームアセンブリ108は、少なくとも1つの水平ビームトラックシステム128をさらに含む。示されている実施例では、水平ビーム110の、フレイアセンブリの垂直方向中心線106の両側のそれぞれに、水平ビームトラックシステム128が装着されていてよい。水平ビームトラックシステム128の各1つは、水平ビーム110に装着された少なくとも一式のガイドトラック130を含み得る。例えば、フレイアセンブリの垂直方向中心線106の両側のそれぞれで、水平ビーム110に、一対のガイドトラック130が装着されていてよい。
図12に示すとおり、ガイドトラック130は、水平ビーム110の下側に固定して連結されていてよく、
図11及び
図13に示すとおり、水平ビーム110の長さ方向に沿って延びていてよい。水平ビームトラックシステム128は、水平ビームの両端部112間で水平ビーム110の長さ方向に沿って延びる、水平駆動軸134を規定している。
【0027】
図11-
図13に示すとおり、垂直ビーム152の各1つは、垂直ビーム最上部154と、垂直ビーム最下部158とを有する。各垂直ビーム最上部154は、垂直ビーム最上部154にある1つ以上の対の最上部ブラケット156によって、水平ビームトラックシステム128に連結されている。例えば、各最上部ブラケット156は、水平ビームトラックシステム128のガイドトラック130のうちの1つにスライド可能に連結されるように構成されたリニアベアリング132を含んでいてよい。垂直ビームアセンブリ150は、1つ以上の水平駆動モータ136によって、水平駆動軸134に沿って駆動される。各水平駆動モータ136は、水平駆動モータ136によって回転可能に駆動される、水平駆動シャフト138を含み得る。水平駆動シャフト138は、親ネジまたはボールネジといった、ネジ軸140として構成されていてよい。垂直ビーム152の各1つの、垂直ビーム最上部154は、水平駆動軸134に沿って垂直ビーム152のアセンブリを駆動するための、水平駆動シャフト138に動作可能に係合されていてよい。例えば、各垂直ビーム最上部154は、ネジ軸140と螺合可能に係合しているナット142(例えば
図13)に連結された駆動用接続金具(drive fitting)160(例えば
図13)を有し得る。
【0028】
水平駆動モータ136は、水平駆動軸134に沿って直線的に垂直ビームアセンブリ150を駆動するためにネジ軸140を回転させる、サーボモータとして設けられていてよい。一実施例では、水平駆動モータ136は、遊星ギアボックスといったギアボックス(図示せず)を介してネジ軸140に連結された、ブラシレス直流(DC)サーボモータとして設けられていてよい。加えて、ネジ軸140の角運動を測定するため、12ビットロータリーエンコーダといったロータリーエンコーダ144が、水平駆動モータ136に動作可能に連結されていてよい。ある実施例では、各水平ビームアセンブリ108は、両方の垂直ビームアセンブリ150が動作可能に係合している単一のネジ軸140を回転させるように構成された、単一の水平駆動モータ136を含んでいてよい。こうした配設では、フレイアセンブリの垂直方向中心線106の一方の側にあるネジ軸140の部分は、ナット142が螺合可能に係合している左ネジ(図示せず)を有していてよく、フレイアセンブリの垂直方向中心線106の他方の側にあるネジ軸140の部分は、ナット142が螺合可能に係合している右ネジ(図示せず)を有していてよく、その結果、単一の水平駆動モータ136によるネジ軸140の回転中に、垂直ビームアセンブリ(複数)150が、反対方向に動き得る。他の実施例では、各水平ビームアセンブリ108は、フレイアセンブリの垂直方向中心線106の両側にそれぞれ位置しており、且つ、それぞれが水平駆動モータ136にそれぞれ連結されたネジ軸140を独立して回転するように構成された、一対の水平駆動モータ136を含んでいてよい。こうした配設では、垂直駆動モータ170は、各垂直ビームアセンブリ150が、水平駆動軸134に沿って均等に反対方向に動くように、同期した態様で操作されてよい。
【0029】
図14-
図18を参照すると、垂直ビームアセンブリ150の例が示されている。上記のように、各垂直ビームアセンブリ150は、垂直ビーム152に装着された垂直駆動機構162を含む。垂直駆動機構162は、垂直駆動軸168を規定する垂直ビームトラックシステム166を含む。垂直駆動機構162の各1つの垂直ビームトラックシステム166は、垂直ビーム152に固定して連結され、垂直ビーム152の長さ方向に沿って延びている、一対のガイドトラック130を含んでいてよい。垂直ビームトラックシステム166は、垂直駆動軸168を規定しており、垂直駆動軸168は、垂直ビーム152の長さ方向に平行に配向されている。ワークピース取り付けアセンブリ200は、垂直ビームトラックシステム166に連結されている。例えば、
図15-
図16に示すとおり、ワークピース取り付けアセンブリ200は、リニアベアリング132を介して一対のガイドトラック130に連結されていてよい、取り付け用ブロック210を含み得る。
【0030】
図14-
図18では、各垂直駆動機構162は、垂直駆動モータ170を含む。垂直駆動モータ170は、垂直駆動モータ170によって回転可能に駆動される垂直駆動シャフト172に連結されている。垂直駆動機構162は、上記の水平駆動機構126と同様に構成されていてよい。例えば、垂直駆動シャフト172は、ネジ軸140であって、ネジ軸140に係合しているナット142を有するネジ軸140であり得る。垂直駆動モータ170は、ブラシレスDCサーボモータといった電気モータとして設けられていてよい。各垂直アセンブリは、垂直駆動軸168に沿ってワークピース取り付けアセンブリ200を駆動するために垂直駆動シャフト172に動作可能に連結された、ワークピース取り付けアセンブリ200を含む。例えば、取り付けブロック210は、垂直駆動機構162のネジ軸140に螺合可能に係合されたナット142に固定して連結された、駆動用接続金具160を含んでいてよい。垂直駆動モータ170がネジ軸140を回転させることによって、それに対応した、ワークピース取り付けアセンブリ200の垂直駆動軸168に沿った直線的な動きが生じる。垂直駆動機構162は、リニアベアリング132、ガイドトラック130、ネジ軸140、ナット142、及び駆動用接続金具160を埃、土、及び他の汚染物質から保護するために取り付けブロック210の上側及び下側に位置している、一対の直線的に拡張可能なベロウズ164を含み得る。
【0031】
水平駆動機構126及び垂直駆動機構162は、水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170の回転運動を、それぞれ垂直ビームアセンブリ150及びワークピース取り付けアセンブリ200の直線運動に変換するためにネジ軸140に螺合可能に係合されたナット142を有するとして、それぞれ記載されているが、水平駆動機構126及び/または垂直駆動機構162は、代わりに、ラックアンドピニオン駆動システム(図示せず)、ベルトドライブシステム(図示せず)、または、水平駆動軸134及び垂直駆動軸168に沿ってそれぞれ垂直ビームアセンブリ150及びワークピース取り付けアセンブリ200を駆動することが可能な、様々な他の駆動システムのうちの任意の1つとして構成されていてもよい。この点に関して、水平駆動機構126及び垂直駆動機構162は、図示され説明されている実施形態に限定されない。
【0032】
図14-
図18では、ワークピース取り付けアセンブリ200は、ワークピース400の下にある製造設備500上で支持されているワークピース400の両側のワークピース側部406(例えば
図20)のうちの1つに取り外し可能に取り付けられるように構成された、取り付け機構202を含む。上記のように、ワークピース400は、製造設備500の設備外表面502上で支持されていてよい内表面寸法形状410を有する、ワークピース内表面408を有し得る。上記のように、ワークピース400の内表面寸法形状410によって、ワークピース400の製造設備500からの取り外しが防止され得る。例えば、上記のように、外板パネル450のストリンガ454(例えば突起412)は、レイアップマンドレル504の溝510(例えばくぼみ508)内にぴったり入れられていてよく、外板パネル450のレイアップマンドレル504からの取り外しを防止していてよい。
【0033】
引き続き
図14-
図18を参照すると、取り付け機構202は、それぞれが1つ以上の真空カップ(図示せず)を有する、1つ以上の真空プレート208を含んでいてよい。例えば、各真空プレート208は、真空源(図示せず)に流体連結された真空カップのアレイ(図示せず)を含んでいてよい。真空源は、フレイシステム100に装着されていてよい真空ポンプを備えていてよい。真空プレート208が、ワークピース側部406のワークピース外表面414に対して配置されているときには、真空源を作動させることによって、真空プレート208のワークピース外表面414への真空取り付けが生じ得る。ある実施例では、各真空プレート208の真空カップのアレイは、1つ以上の真空カップで真空圧が失われた際の冗長性のために、各真空プレート208の1つ以上のセットの真空カップが独立して真空源に流体連結されている、マルチチャンバ型であってよい。各真空プレート208は、長さ対幅のアスペクト比が1よりも大きくてよい。真空プレート208の長さが、ワークピース400の長さ方向(例えば軸方向)に概して平行になるように配向されていてよい。しかし、真空プレート208は、長さ対幅のアスペクト比が1以下であってもよい。
【0034】
図17ー
図18を参照すると、示されている実施例では、各垂直ビームアセンブリ150のワークピース取り付けアセンブリ200は、取り付け機構202を垂直駆動機構162に旋回可能に連結している、取り付けアセンブリのピボットジョイント212を含み得る。取り付けアセンブリのピボットジョイント212は、取り付け機構202の動きを、ロール軸214(及び、オプションでヨー軸216)を中心とした旋回に限定するように構成された、擬球面のジョイントとして設けられていてよい。ロール軸214は、垂直駆動軸168に対して直角、且つ水平駆動軸134に対して直角に配向されていてよい。ヨー軸216は、垂直駆動軸168に対してほぼ平行に配向されていてよい。ワークピース側部406が外向きに偏向している間の、取り付け機構202のワークピース側部406への取り付けを容易にするため、及び/または、垂直駆動機構162に対する取り付け機構202の自由な動きを可能にするため、取り付け機構202は、取り付けアセンブリのピボットジョイント212のロール軸214及び/またはヨー軸216を中心にして旋回し得る。取り付けアセンブリのピボットジョイント212を、ロール軸214及びヨー軸216を中心にして旋回運動するように構成することによって、取り付け機構202のワークピース側部406との係合中、取り付け機構202がワークピース外表面414と局所的に接するようにして、取り付け機構202が自己配向することが可能になる。加えて、取り付け機構202がロール軸214及びヨー軸216を中心にして自由に旋回することによって、ワークピース取り付けアセンブリ200内の、及び/またはワークピース400内の、トルク荷重が低減するかまたは防止される。ワークピース取り付けアセンブリ200内及び/またはワークピース400内のトルク荷重は、例えばワークピース側部406が外向きに偏向している間に取り付け機構202のロール軸及びヨー軸216を中心とした旋回が阻止されていたとしたら、生成されていたであろう。
【0035】
取り付け機構202のワークピース側部406への係合をさらに容易にするために、少なくとも取り付け機構202のワークピース側部406への当初の係合中には、取り付けアセンブリのピボットジョイント212は、取り付け機構202のピッチ軸(図示せず)を中心にして旋回するのを阻止するように構成されていてよい。示されていないが、ピッチ軸は、ロール軸214とヨー軸216の両方に対して直角に配向されていてよい。取り付け機構202のピッチ軸を中心とした旋回を阻止することによって、取り付け機構202は、ワークピース400の長さ方向の位置を合わせた状態で維持され得る。例えば、取り付け機構202が真空プレート208として構成されている実施例では、真空プレート208がピッチ軸を中心にして旋回するのを阻止することによって、ワークピース400(例えば半円筒形の外板パネル450)の長手方向軸402に対して平行でない曲がった配向による、真空プレート208のワークピース外表面414への接触が防止される。この曲がった配向による接触は、真空プレート208の1つ以上の真空カップが外板パネル450のワークピース外表面414に対して真空機密シールを形成するのを阻止し得るものである。
【0036】
フレイシステム100は、いくつかのフレイアセンブリ102の取り付け機構202がロール軸214を中心とした旋回に限定されており、他のフレイアセンブリ102の同じフレイシステム100ではロール軸214とヨー軸216の両方を中心にした旋回が可能であるというように、構成されていてよい。例えば
図27では、
図27の左側に位置していて、外板450の定円筒形断面部分と干渉している3つのフレイアセンブリ102は、取り付け機構202(例えば真空プレート208)が外板パネル450の円筒形状に対して自己位置合わせするのを可能にするため、ロール軸214を中心とした取り付けアセンブリの旋回のみを必要とし得る。しかし、
図27の右側に位置していて、外板450の可変断面/複合曲率部分と干渉している3つのフレイアセンブリ102は、取り付け機構202が外板パネル450の複合曲率との接線方向に対して自己位置合わせするのを可能にするため、ロール軸214とヨー軸216を中心とした旋回をどちらも必要とし得る。
【0037】
図17-
図18に示す実施例を参照すると、各取り付け機構202は、取り付けアセンブリのピボットジョイント212によって、垂直駆動機構162に旋回可能に連結されたピボットブラケット204の一対のピボットアーム206にそれぞれ連結された、一対の真空プレート208を含み得る。真空プレート208の各1つは、真空プレート208の動きを旋回アーム206のロール軸214を中心とした旋回運動に限定する態様で、旋回アーム206の自由端に装着されていてよい。理解され得るように、取り付けアセンブリのピボットジョイント212及び/または、各ピボットアーム206の自由端にあるピボットジョイントは、真空プレート208の真空カップの、ワークピース外表面414との係合を容易にし得る。
【0038】
取り付け機構202が真空プレート208に限定されず、ワークピース取り付けアセンブリ200をワークピース側部406に連結することが可能な様々な他のタイプの取り付け機構202のうちの任意のものを含んでいてよいことは、留意すべきである。例えば、図示されていないが、取り付け機構202は、ワークピース側部406に機械的に連結するための、機械式取り付けデバイス(図示せず)として構成されていてよい。一実施形態では、取り付け機構202は、ワークピース400にあらかじめ設置されたネジ付き容器(例えば、雌ネジ付きのインサート、ナットプレートなど)に(例えば、手動でまたは遠隔制御されたネジ駆動機構によって)螺合可能に係合するように構成された、1つ以上のネジ付きファスナを含んでいてよい。
【0039】
図19を参照すると、外板パネル450として構成されたワークピース400を支持するレイアップマンドレル504として構成された、製造設備500の上方に配置されたフレイシステム100の一実施例が示されている。示されている実施例では、製造設備500は、フレイシステム100との係合のためのポジションへと、垂直に上げられているとして示されている。代わりに、または加えて、製造設備500との係合のために、フレイシステム100が下げられていてもよい。フレイシステム100のワークピース400への係合に先立って、水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170は、取り付け機構202をそれぞれワークピース側部406に連結する準備として、取り付け機構202の各1つを、取り付け前ポジション606に位置決めするように、配向されてよい。この点に関して、水平駆動モータ136は、各取り付け機構202と、ワークピース側部406のうちの対応する1つとの間に間隔が設けられる距離で、垂直ビームアセンブリ150を互いに離して、水平方向に離間配置する態様で操作されてよい。加えて、垂直駆動モータ170は、中央支持体114がワークピース頂部416と接触しているときに取り付け機構202がワークピース側部406に連結される垂直位置に、ワークピース取り付けアセンブリ200の各1つを垂直に配置する態様で、操作されてよい。
【0040】
図20を参照すると、製造設備500上で非偏向状態612で支持されているワークピース400と係合している、フレイシステム100が示されている。
図20でフレイシステム100をワークピース400と係合させるのに先立って、一対の取り付け機構202(例えば真空プレート208)を取り付け前ポジション606(
図19)から初期ポジション608(
図20)へと移動させるため、水平駆動モータ136は、垂直ビームアセンブリ150を互いに向かって動かすように稼働されてよい。初期ポジションでは、取り付け機構202は、ワークピース側部406と係合しているか、接触している。取り付け機構202が真空プレート208として構成されているフレイシステム100の実施例では、真空源(図示せず)は、ワークピース側部406において真空プレート208の真空カップ(図示せず)のワークピース外表面414に対する真空封止を生じさせるようにして、稼働されていてよい。
【0041】
図21は、垂直ビームアセンブリ150の一部の拡大図であり、ワークピース側部406のうちの1つに取り付けられた一対の真空プレート208として構成された、取り付け機構202のうちの1つが示されている。上記のとおり、真空プレート208がワークピース外表面414と嵌合している間、真空プレート208は、各旋回アーム206の自由端における少なくともロール軸214を中心とした各真空プレート208の旋回機能によってそれぞれ自己配向を行って、ワークピース外表面414と位置合わせされてよい。加えて、真空プレート208の自己配向によるワークピース外表面414との位置合わせは、取り付けアセンブリのピボットジョイント212のロール軸214(及びオプションでヨー軸216)を中心にした取り付け機構202の旋回を可能にする、取り付けアセンブリのピボットジョイント212によって、容易にされてよい。
【0042】
図22は、水平ビームアセンブリ108の一部の拡大図であり、ワークピース外表面414と接触している水平ビーム110の中央支持体114が示されている。中央支持体114は、一対の垂直ビームアセンブリ150間に中央配置されていてよく、以下でより詳細に記載されるように、ワークピース側部406が外向きに偏向している間の取り付け機構202の動きの中心である、回転の中心604の役割を果たしている。上記のとおり、中央支持体114は、一対の垂直ビームアセンブリ150間の中点に位置していてよい、フレイアセンブリの垂直方向中心線106に位置し得る。中央支持体114は、水平ビーム110から外向きに延び、且つワークピース頂部416においてワークピース外表面414と局所的に接するように構成された、少なくとも1つの支持パッド120を有していてよい。示されている実施例では、中央支持体114は、ワークピース取り付けアセンブリ200がそれぞれ両側のワークピース側部406に取り付けられているときに、それぞれ、ワークピース頂部416においてワークピース外表面414と局所的に接するように構成されていてよい、一対の支持パッド120を含んでいる。一実施例では、支持パッド120の各1つは、支持パッド120が動かされてワークピース頂部416に接触する際に、ピボットパッドが自己配向してワークピース外表面414に対して接するのを可能にするために、パッドの旋回軸124を中心にして旋回可能であってよい。支持パッド120は、両側のワークピース側部406が外向きに偏向している間、ワークピース内表面408を、ワークピース頂部416において設備外表面502と接触したまま維持し得る。図示されていない実施形態では、支持パッド120は、支持パッド120がワークピース頂部416に解放可能に取り付けられて、
図25に示され以下でより詳細に記載されるように、例えば製造設備500がワークピース400から分離する及び/または並進移動する間などに、両側のワークピース側部406の真空プレート208がワークピース400の質量を支持するのを補助するのを可能にするため、1つ以上の真空カップを含んでいてよい。
【0043】
ある実施例では、中央支持体114は、水平ビーム110に装着された中央支持ブロック116を含んでいてよい。オプションで、水平駆動シャフト138は、中央支持ブロック116を貫通して延びていてよい。中央支持ブロック116は、中央支持ブロック116から垂直に下方に延びる、一対の中央支持シャフト118を含んでいてよい。一対の支持パッド120は、隣り合わせに配列され、それぞれ、一対の中央支持シャフト118の自由端に装着されていてよい。中央支持シャフト118は、ワークピース400のワークピース外表面414と接触するように配置することを可能にするために、支持パッド120の垂直ポジションの調整を可能にするため、垂直方向に調整可能であってよい。この場合、ワークピース頂部416から水平ビーム110までの距離は、ワークピース400の長手方向軸402に沿って変化する。例えば、
図26-
図27に示す外板パネル450は、外板パネル450の長手方向軸402(例えば軸方向中心線)に沿って直径にテーパがついている、半円筒形の形状を有している。外板パネル450の直径にテーパがついている結果、フレイシステム100の一端(
図20)におけるフレイアセンブリ102のワークピース頂部416とフレイアセンブリ102の水平ビーム110との間の距離は、フレイシステム100の反対端(
図29)におけるフレイアセンブリ102のワークピース頂部416とフレイアセンブリ102の水平ビーム110との距離に対して、変化している。中央支持シャフト118を調整することによって、支持パッド120の垂直ポジションは、各フレイアセンブリ102の支持パッド120がワークピース頂部416と接触するようにして、調整され得る。
【0044】
引き続き
図22を参照すると、各支持パッド120は、ワークピース頂部416の付近で(例えばワークピースの垂直方向中心線404において)ワークピース外表面414と接するように構成された、パッド面122を有していてよい。上記のとおり、支持パッド120の各1つは、中央支持シャフト118の端部に(パッドの旋回軸124を介して)旋回可能に連結されていてよい。その結果、製造設備500が垂直に移動してフレイシステム100と係合する(例えば
図19)際、支持パッド120のワークピース外表面414との当初の係合中に、パッド面122が、ワークピース頂部416においてワークピースの外表面414と局所的に接するまで、自己配向することが可能になってよい。上記のとおり、中央支持体114の支持パッド120の各1つは、ワークピース側部406が外向きに偏向する間、ワークピース頂部416において、ワークピース内表面408を設備外表面502と接触させて維持する。そうでなければ、ワークピース側部406が外向きに偏向する間、ワークピース400から垂直に離昇する傾向を有する可能性がある。
【0045】
図23-
図24を参照すると、フレイアセンブリ102の正面図が示されており、垂直ビームアセンブリ150とワークピース取り付けアセンブリ200との協調した動きの結果、取り付け機構202によって外向きに偏向した後の、ワークピース側部406が示されている。上記のとおり、フレイシステム100の各フレイアセンブリ102の水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170は、取り付け機構202がワークピース側部406を製造設備500から引き離す態様で、各ワークピース取り付けアセンブリ200を垂直駆動軸168に沿って(例えば水平ビームに向けて上方に)動かす間に、各フレイアセンブリ102の垂直ビーム152を水平駆動軸134に沿って互いから離して同時に動かすために、協調した態様で動作可能である。取り付けアセンブリの動きによって、水平ビーム110の中央支持体114がワークピース頂部416を製造設備500と接触したまま維持する一方、ワークピース側部406が互いに離して広げられる。中央支持体114は、ワークピース側部406が偏向する際の回転の中心の役割を果たす。
【0046】
ある実施例では、水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170は、ワークピース側部406を、弓形の動作経路といった特定の動作経路に沿って外向きに偏向させるため、協調した態様で操作されてよい。ワークピース側部406が外向きに偏向する際に沿う動作経路は、各ワークピース取り付けアセンブリ200の特定の点または特徴に関連して規定されてよい。例えば、各フレイアセンブリ102の水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170は、ワークピース取り付けアセンブリ200の各1つの、取り付けアセンブリのピボットジョイント212を、回転の中心604の役割を果たす中央支持体114に対して概して中央配置されている一定半径の偏向円弧600に沿って、同時に外向きに動かす態様で操作されてよい。回転の中心604は、ワークピース内表面408と、ワークピース400(例えば外板パネル450)の長手方向軸402(例えば軸方向中心線)と一致する垂直面(図示せず)との交差部付近に位置していてよい。製造設備500の両側にある一対の垂直ビームアセンブリの取り付け機構202は、初期ポジション608(
図20-
図21の、非偏向状態612にあるワークピース400)から、
図23-
図24に示すようにワークピース400が偏向状態614にある最終ポジション610まで、同じ円弧長616(
図23-
図24)に沿って動かされ得る。取り付け機構202の各1つを中央支持体114に対して中央配置された偏向円弧600に沿って動かすことによって、ワークピース400内の曲げ応力は、ワークピース側部406を非弓形の動作経路に沿って動かした結果として生じ得る曲げ応力と比べて、最小化され得る。
【0047】
水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170は、水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170に通信可能に連結されたプロセッサ700によって実行される、数値制御(NC)プログラムにしたがって操作され得る。水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170は、ワークピース側部406(複数)を等しい量で、及び等しい偏向速度で設備外表面502から離して同時に外向きに偏向させるように、プロセッサ700によって制御され得る。ワークピース側部406は、少なくとも、製造設備500の両側でワークピース内表面408と設備外表面502との間に間隙(
図23-
図24に誇張して示す)が存在するようになり、ワークピース400を製造設備500から取り外すことが可能になるまで、同時に外向きに偏向させられ得る。ワークピース400を取り外した後、製造設備500をフレイシステム100から遠ざけて(例えば下げて)もよく、及び/または、
図25に示すように、フレイシステム100を製造設備500から遠ざけて(例えば上げて)もよい。上記のとおり、製造設備500がフレイシステム100から取り外された後、水平駆動機構126及び垂直駆動機構162は、垂直ビームアセンブリ150及びワークピース取り付けアセンブリ200の方向を逆転させて、取り付け機構202を最終ポジション610(
図23-
図25の、偏向状態614にあるワークピース400)から初期ポジション608(
図21-
図21の非偏向状態612にあるワークピース400)へと動かす態様で、操作されてよい。フレイシステム100は、ワークピース400を、支持設備(図示せず)上にロードしてよく、その後、取り付け機構202は、ワークピース側部406から解放されてよい。それによって、フレイシステム100を運び去ることが可能になる。
【0048】
図26を参照すると、外板パネル450として構成されたワークピース400を支持しているフレイシステム100の斜視図が示されている。フレイシステム100は、水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170を制御するように構成された、上記のプロセッサ700を含み得る。フレイシステム100は、プロセッサ700と通信可能に連結され、且つワークピースの構成のデータベース704及び対応するプログラムファイルを保存するように構成された、メモリ702をさらに含み得る。ワークピースの各構成に関しては、対応するプログラムファイルが、フレイシステム100内の取り付け機構202の動作プロファイルを規定する。各プログラムファイルは、フレイシステム100の水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170に、ワークピース400の製造設備500からの取り外しに関わる全てのフレイアセンブリ102の取り付け機構202のポジションと動きを制御するように命令するための、プロセッサ700によって実行可能な数値制御プログラムとして構成されていてよい。各動作プロファイルは、取り付け機構202の取り付け前ポジション606(例えば
図19)、ワークピース400が非偏向状態612にあり、且つ製造設備500上で支持されている取り付け機構202の初期ポジション608(例えば
図20-
図22)、及び、ワークピース406が外向きに偏向した後、ワークピース400が偏向状態614にある取り付け機構202の最終ポジション610(例えば
図23-
図24)といった、取り外し処理の種々の段階の最中の、取り付け機構202のポジションを規定する。
【0049】
加えて、各動作プロファイルは、取り付け機構202が初期ポジション608から最終ポジション610へと動いている間の、取り付け機構202の方向経路を規定する。上記のとおり、動作経路は、中央支持体114に対してほぼ中央配置された、偏向円弧600として規定され得る。取り付け機構202のポジションは、各取り付け機構202の、フレイアセンブリの垂直中央線106からの水平距離、及び各取り付け機構202の、水平ビーム110からの垂直距離によって、規定されてよい。プログラムファイルは、プロセッサ700が、垂直ビームアセンブリ150を水平ビーム110に対して動かし、且つワークピース取り付けアセンブリ200を垂直ビームアセンブリ150に対して動かして、取り付け機構202の所定のポジション及び動作を実現するために、水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170を制御する態様を規定する。加えて、各プログラムファイルは、動作経路(例えば偏向円弧600)に沿った、各取り付け機構202の所望の動作速度を実現するため、水平ビームアセンブリ108に沿った垂直ビームアセンブリ150の動作速度と、垂直ビームアセンブリ150に沿った各ワークピース取り付けアセンブリ200の動作速度とを規定し得る。プロセッサ700は、複数のフレイアセンブリ102を同期した態様で制御し得る。例えば、プロセッサ700は、各フレイアセンブリ102におけるワークピース側部406の外向きの偏向を、初期ポジション608でほぼ同時に(例えば、互いに何秒かの範囲内で)開始し、取り付け機構202をほぼ同じ速度で(例えば、互いに約10%以内の差で)動かし、取り付け機構202を最終ポジション610でほぼ同時に(例えば、互いに何秒かの範囲内で)停止させるという取り付け機構202の動きを開始するように、フレイシステム100の全てのフレイアセンブリ102の水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170に命令し得る。
【0050】
図26-
図29を参照すると、テーパ付きの外板パネル450といった、一定でない断面形状を有するワークピース400については、各フレイアセンブリ102に関してプログラムファイルによって規定された偏向円弧600の半径は、長手方向軸402に沿ったフレイアセンブリ102の軸方向位置における、ワークピース400の局所的な曲率半径602に比例していてよい。
図26-
図27に示す外板パネル450の実施例では、取り付け機構202の偏向円弧600の半径は、比較的大きな曲率半径602を有する外板パネル450の端部において比較的大きくてよく(例えば
図28)、比較的小さな曲率半径602を有する外板パネル450の端部において比較的小さくてよい(例えば
図29)。加えて、プログラムファイルは、各フレイアセンブリ102の支持パッド120がワークピース頂部416と接触するのを確保するため、フレイアセンブリ102のうちの1つ以上の、中央支持体114の支持パッド120を合わせる対象である、垂直ポジションを規定してよい。上記のとおり、また
図22に示すとおり、支持パッド120のうちの1つ以上は、中央支持体114内に含まれていてよい小型アクチュエータ(図示せず)などを介して調整可能に延長可能であり得る、中央支持シャフト118上で支持されていてよい。加えて、プログラムファイルは、真空プレート208を真空に引いて、ワークピース側部406でワークピース外表面414に取り付けるために、プロセッサ700が真空源(例えば真空ポンプ、図示せず)に対して命令する時点を規定し得る。
【0051】
上記のように、水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170は、それぞれ、周期的または連続的に、水平駆動モータ136と垂直駆動モータ170の対応する角運動を測定するように構成された、回転エンコーダ144を有していてよい。回転エンコーダ144は、それぞれ、周期的または連続的に、角運動を表すエンコーダ信号を生成し得る。プロセッサ700は、周期的または連続的に、各ロータリーエンコーダ144からエンコーダ信号を受信するように構成されていてよい。プロセッサ700は、水平駆動モータ136と垂直駆動モータ170とを協調及び同期させるため、各ロータリーエンコーダ144によって生成されたエンコーダ信号を比較し得る。例えば、プロセッサ700は、エンコーダ信号と、ネジ軸140のネジピッチ、水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170のギアボックスのギア減速、並びに他の特性といった水平駆動機構126及び垂直駆動機構162の特性とに基づいて、フレイシステム100のほぼ全ての取り付け機構202の動きをモニタし得る。プロセッサ700は、エンコーダ信号に基づいて、水平駆動モータ136及び/または垂直駆動モータ170を、フレイシステム100のほぼ全ての取り付け機構202のポジションを、互いに約10%以内の差、より好ましくは互いに約1%以内の差に維持するようにして、調節し得る。このように、製造設備500の両側のワークピース側部406は、同期した態様及び/または協調した態様で、外向きに偏向してよい。
【0052】
加えて、プロセッサ700は、エンコーダ信号に基づいて、フレイアセンブリ102のうちの各1つにおけるワークピース側部406の外向きの偏向の、時間履歴を生成し得る。時間履歴は、メモリ702内に保存されてよく、ワークピース400が非偏向状態612にある、取り付け機構202の初期ポジション608(
図20-
図23)から始まって、ワークピース400が偏向状態614にあり、且つ、ワークピース400と製造設備500とが干渉することなしに、ワークピース400を製造設備500から取り外すことを可能にする量で、ワークピース400が製造設備500から外向きに偏向している、各取り付け機構202の最終ポジション(
図23-
図24)までの、ワークピース側部406の動きを規定してよい。時間履歴は、両側のワークピース側部406が外向きに偏向している最中の、初期ポジション608と最終ポジション610との間の、各取り付け機構202の動作経路及び動作速度を規定し得る。時間履歴によって、ワークピース400のワークピース側部406の外向きの偏向が、所定の技術限界内で実施されたかどうかの判定が、容易になってよい。例えば、時間履歴は、外向きの偏向中の、ワークピース側部406の各1つの偏向の大きさ、偏向速度、及び/または動作経路が、所定の技術限界内で実施されたかどうかに関する決定を容易にし得る。偏向の大きさ、即ち偏向の距離もしくは量は、取り付け機構202の、初期ポジション608(例えば
図20-
図21)から最終ポジション610(例えば
図23-
図24)までの移動距離に基づいていてよい。偏向速度は、初期ポジション608と最終ポジション610との間の経過時間の長さに基づいていてよい。動作経路は、中央支持体114を回転の中心604とした、偏向円弧600の半径によって規定され得る。ワークピース400の偏向が、技術限界の範囲内で実施されたのを確認することによって、ワークピース400の時間がかかる検査(例えば超音波検査)は、回避されてよい。
【0053】
図30は、フレイシステム100を用いて製造設備500からワークピース400を取り外す方法800の諸工程を含む、フローチャートである。方法は、初めに、支持システム300を用いてワークピース400の上方でフレイシステム100を支持することを含み得る。例えば、
図7-
図8に示すとおり、方法は、フレイシステム100に連結されたフロアスタンド302を用いて、フレイシステム100をフロア表面304上で支持することを含み得る。代わりに、方法は、
図9に示すとおり、フレイシステム100をホイストケーブル316に連結している長手方向ビーム314を使用して、フレイシステム100をホイストケーブル316から懸架することを含んでいてもよい。加えて、方法は、ワークピース側部406と製造設備500との間に間隙が設けられる距離で垂直ビーム152のアセンブリが離間配置されている取り付け前ポジション606(
図19)に、取り付け機構202の各1つを配置するようにして、フレイアセンブリ102の水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170を操作することを含み得る。加えて、取り付け機構202は、中央支持体114がワークピース頂部416と接触しているときに取り付け機構202がワークピース側部406に連結される位置に相当する垂直位置に、垂直方向の配置がなされていてよい。加えて、方法は、取り付け機構202のワークピース側部406への当初の係合を容易にするようにして、フレイシステム100を製造設備500に対して配置することを含み得る。例えば、
図19に示すように、製造設備500は、垂直ビームアセンブリ150間に配置されるまで、垂直に上げられてよい。一実施形態では、製造設備500は、製造設備500の中に含まれていてよい1つ以上のリフト機構(図示せず)を用いて、上げられてよい。代わりに、またはさらに、フレイシステム100は、複数の垂直ビームアセンブリ150が、製造設備500の両側に対して離間して配置されるようにして、製造設備の周囲のポジションに下げられてもよい。
【0054】
方法800のステップ802は、フレイシステム100のフレイアセンブリ102の水平ビームアセンブリ108の中央支持体114を、
図20に示すとおり、製造設備500上で支持されているワークピース400のワークピース頂部416と接触するようにして配置することを含む。この点に関して、中央支持体114は、フレイシステム100を製造設備500に対して配置する処理の一部として、ワークピース頂部416と接触するように動かされてよい。
図22を参照すると、ワークピース頂部416と接触するようにして中央支持体114を配置するステップ802は、中央支持体114の支持パッド120を、ワークピース頂部416においてワークピース外表面414に局所的に接するまで配向することを含み得る。上記のように、中央支持体114は、一対の垂直ビームアセンブリ150間で中央配置されていてよく、支持パッド120は、ワークピース頂部416において支持パッド120がワークピース外表面414に局所的に接するように、(
図22のようにパッド旋回軸124を介して)構成されているか、または配向可能であってよい。長手方向軸402に沿って変化する断面を有するワークピース400(例えば、
図26の外板パネル450)を取り外すように構成されているフレイシステム100の例では、中央支持体114をワークピース頂部416と接触するように配置するステップ802は、中央支持シャフト118(
図22)を用いて、1つ以上の支持パッド120の垂直ポジションを調整することを含み得る。上記のとおり、こうした中央支持シャフト118は、中央支持ブロック116から垂直に延長可能であってよく、フレイシステム100の全ての支持パッド120がワークピース頂部416においてワークピース外表面414と接触しておかれ得るようにして、支持パッド120の垂直位置の垂直方向の調整を可能にしていてよい。各支持パッド120の垂直ポジションが調整可能であることによって、ワークピース頂部416から水平ビーム110までの距離がワークピース400の長手方向軸402に沿って変化するワークピース400(例えば
図28-
図29)に適合し得る。
【0055】
方法800のステップ804は、
図20-
図21に示すとおり、フレイアセンブリ102の一対の取り付け機構202を、ワークピース400の両側のワークピース側部406にそれぞれ取り外し可能に取り付けることを含む。上記のように、各ワークピース取り付けアセンブリ200は、垂直ビームアセンブリ150の垂直ビームトラックシステム166に、可動式に連結される。加えて、各ワークピース取り付けアセンブリ200は、垂直ビームアセンブリ150の垂直駆動モータ170に動作可能に係合している。上記のとおり、各垂直ビームアセンブリ150は、水平ビームアセンブリ108の水平ビームトラックシステム128に可動式に連結されている垂直ビーム最上部154を伴う垂直ビーム152を有する。加えて、垂直ビームアセンブリ150を水平駆動軸134に沿って動かすため、各垂直ビームアセンブリ150は、水平ビームアセンブリ108の水平駆動モータ136に動作可能に係合している。
【0056】
ある実施例では、一対の取り付け機構202をそれぞれ両側のワークピース側部406に取り外し可能に取り付けるステップ804は、少なくとも1つの真空プレート208(例えば
図14-
図18)を、真空圧を用いて両側のワークピース側部406のそれぞれに取り付けることを含み得る。上記のとおり、各真空プレート208は、真空プレート208をワークピース側部406でワークピース外表面414に真空取り付けするために真空源(図示せず)に流体連結された、真空カップのアレイ(図示せず)を有し得る。少なくとも1つの真空プレート208をワークピース側部406に取り付けるステップは、
図21に示すとおり、一対の真空プレート208をワークピース側部406の各1つに取り付けることを含み得る。取り付け機構202のワークピース側部406への取り付けは、
図14-
図18に関して上記されたとおり、垂直ビームアセンブリ150に対する取り付け機構202の旋回を可能にすることによって、容易にされてよい。例えば、方法は、真空プレート208の動作を、
図18に示すロール軸214を中心とした旋回の動きに限定し得る。上記のとおり、各ワークピース取り付けアセンブリ200は、取り付けアセンブリのピボットジョイント212によって垂直駆動機構162に連結された、ピボットブラケット204を含み得る。真空プレート208は、ピボットブラケット204の一対のピボットアーム206の各1つの、自由端に装着されていてよい。
【0057】
ピボットブラケット204を有するワークピース取り付けアセンブリ200に関しては、
図17-
図18に示すとおり、方法は、ピボットブラケット204の動きを、取り付け機構202のロール軸214及びヨー軸216を中心とした旋回運動に限定することを含み得る。取り付け機構202(真空プレート208)及び/またはピボットブラケット204のロール軸214及びヨー軸216を中心にした旋回を可能にすることによって、取り付け機構202のワークピース側部406への係合中に、取り付け機構202がワークピース外表面414に接する配向へと旋回することが可能になり得る。取り付け機構202が真空プレート208として構成されている実施形態では、真空プレート208及び/またはピボットブラケット204がロール軸214及びヨー軸216を中心にした旋回を可能にする機能によって、真空プレート208が、ワークピース外表面414に対して真空機密を形成することが可能になり得る。取り付け機構202及び/またはピボットブラケット204がピッチ軸を中心にして旋回するのを阻止することによって、取り付け機構202のワークピース側部406への係合中に、取り付け機構202(例えば真空プレート208)が曲がった方向に配向されることが回避され得る。曲がった方向に配向されると、真空プレート208に真空圧を印加している間の、ワークピース側部406のワークピース外表面414に対する真空プレート208の封止が妨げられるであろう。
【0058】
中央支持体114がワークピース頂部416と接触しており、且つ各フレイアセンブリ102の取り付け機構202がワークピース側部406に連結されているので、方法800のステップ806は、水平ビームアセンブリ108の中央支持体114がワークピース頂部416を製造設備500と接触させて維持したまま、各ワークピース取り付けアセンブリ200を、対応する垂直駆動軸168に沿って、一対の取り付け機構202がワークピース側部406の製造設備500から離れる外向きの屈曲を生じさせる態様で、同時に動かす一方で、水平駆動軸134に沿って互いに離れるようにして垂直ビームアセンブリ150を動かすための、協調した態様で、フレイアセンブリ102の水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170を操作することを含む。各図面に示されている例示的なフレイシステム100では、少なくとも1つの水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170を協調した態様で操作するステップ806は、それぞれ、水平駆動モータ136を用いて水平ビームアセンブリ108のネジ軸140(例えば
図13)を回転させることと、ネジ軸140に係合し、一対の垂直ビームアセンブリ150にそれぞれ連結された一対のナット142を用いて、水平ビームアセンブリ108のネジ軸140の回転を、水平駆動軸134に沿った、各フレイアセンブリ102の一対の垂直ビームアセンブリ150(例えば
図13)の直線の動きに変換することと、一対の垂直駆動モータ170(例えば
図14-
図15)を用いて一対の垂直ビームアセンブリ150のそれぞれのネジ軸140(例えば
図15)を回転させることと、垂直ビームアセンブリ150のネジ軸140に係合し、ワークピース取り付けアセンブリ200のうちの1つにそれぞれ連結されたナット142(例えば
図18)を用いて、各垂直ビームアセンブリ150のネジ軸140の回転を、対応する垂直駆動軸168に沿った、ワークピース取り付けアセンブリ200(例えば
図14-
図18)のうちの1つの直線の動きに変換することと、を含み得る。上記のとおり、水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170は、回転可能にネジ軸140と連結されたギアボックスをそれぞれ有する、サーボモータとして構成されていてよい。水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170は、上記のプログラムファイルを実行するプロセッサ700の命令を受けて、操作されてよい。
【0059】
水平駆動モータ136と垂直駆動モータ170を協調した態様で動作させるステップ806は、水平駆動モータ136と垂直駆動モータ170を協調した態様で動作させて、ワークピース側部406が外向きに偏向している間の、各ワークピース取り付けアセンブリ200の取り付けアセンブリのピボットジョイント212の、偏向円弧600に沿った動きを生じさせることを含み得る。上記のとおり、フレイアセンブリ102の両側の偏向円弧600は、中央支持体114に位置している回転の中心604に対して、概して中央配置されていてよい。具体的には、水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170は、取り付けアセンブリのピボットジョイント212のロール軸214を偏向円弧600に沿って動かす態様で操作されてよい。上記のように、回転の中心604は、ワークピース内表面408と、ワークピース400の長手方向軸402(例えば軸方向中心線)と一致する垂直面(図示せず)との交差部に位置していてよい。各取り付けアセンブリのピボットジョイント212が沿って動く偏向円弧600は、回転の中心604に対して中央配置された、一定半径の円弧であってよい。取り付けアセンブリのピボットジョイント212のロール軸214の動作経路によって、ワークピース取り付けアセンブリ200の動作経路を規定する代わりに、ワークピース取り付けアセンブリ200の動作経路が、ワークピース取り付けアセンブリ200の様々な他の寸法形状の特徴のうちの任意の1つによって規定されてよく、取り付けアセンブリのピボットジョイント212のロール軸214に限定されないことは、留意すべきである。
【0060】
上記のとおり、及び各図面に示されているとおり、フレイシステム100は、
図7、
図10、
図26、及び
図27に示す、互いに対して離間して平行に配列された、複数のフレイアセンブリ102を含み得る。水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170を協調した態様で動作させるステップ806は、ワークピース側部406が非偏向状態612(例えば
図20-
図21)にあるときに、各フレイアセンブリ102におけるワークピース側部406の外向きの偏向がほぼ同時に(例えば、互いに数秒以内の差で)開始するように、プロセッサ700を用いて、全てのフレイアセンブリ102の水平駆動機構126及び垂直駆動機構162を同期させて制御することを含み得る。加えて、フレイアセンブリ102の水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170は、同期した態様で動作して、ワークピース側部406に、ほぼ同じ(例えば互いの10%以内の差の)偏向速度で偏向を生じさせ、ほぼ同時に(例えば、互いに何秒以内の差で)外向きの偏向を停止するための、コントローラであってよい。フレイシステム100のフレイアセンブリ102の水平駆動モータ136と垂直駆動モータ170の動作を同期させることによって、ワークピース側部406は、ワークピース400内に過度の内部応力が生成されるのを回避する態様で、外向きに偏向し得る。ワークピース400内の過度の応力は、フレイシステム100内の1つ以上のフレイアセンブリ102におけるワークピース側部406が他のフレイアセンブリ102におけるワークピース側部406の外向きの偏向と異なる時点で開始及び/または停止された場合に、生じ得るものである。
【0061】
図26を参照すると、方法800は、プロセッサ700と通信可能に連結されたメモリ702内に、1つ以上のワークピース400の構成のデータベースと、データベース704内の各ワークピース400の構成に関して、フレイシステム100内の全ての取り付け機構202の動作プロファイルを規定する対応のプログラムとを、保存することを含み得る。方法は、フレイシステム100の水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170の制御において、ワークピース400を製造設備500から取り外す処理で用いるためにプロセッサ700が使用する動作プロファイルのうちの1つを、メモリ702から取り出すことを含み得る。この点について、各プログラムファイルは、水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170を制御して、取り付け機構202のワークピース400への取り付けに必要な取り付け機構202のポジションを実現するために、プロセッサ700によって実行されてよい。ある実施例では、プロセッサ700によって実行されるプログラムファイルは、中央支持体114のうちの1つ以上の、垂直ポジションを調整し得る。この垂直ポジションは、上記のとおり、オプションで中央支持ブロック116(例えば
図22)から延長可能であり得る、中央支持シャフト118を介して調整されてよい。その結果、フレイアセンブリ102のうちの各1つの、中央支持体114のワークピース416への接触が確保される。この接触は、長手方向軸402に沿って変化し得る断面の形状及びサイズを有するワークピース400(例えば
図26)にとっては必要であり得る。加えて、プロセッサ700が水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170を制御するのに用いるプログラムファイルは、
図23に示すとおり、取り付け機構202の初期ポジション608から最終ポジション610までの、取り付け機構202の動作経路(例えば偏向円弧600)を規定し得る。
【0062】
ある実施例では、方法は、水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170のそれぞれに連結された回転エンコーダ144を用いて、水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170の角運動を測定することと、各回転エンコーダ144において、角運動を表すエンコーダ信号を生成することを含み得る。上記のとおり、水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170の各1つ用の回転エンコーダ144は、連続的にまたは周期的に、プロセッサ700が受信するエンコーダ信号を生成するように構成されていてよい。方法は、ワークピース側部406の動きを規定する代わりとして、各回転エンコーダ144からのエンコーダ信号を受信するプロセッサ700を用いて、取り付け機構202それぞれの動きを決定することをさらに含み得る。例えば、上記のとおり、取り付け機構202の動きは、各ワークピース400取り付けアセンブリの取り付けアセンブリのピボットジョイント212のロール軸214(例えば、
図17-
図18)の動きによって説明され得るが、取り付け機構202の動きを規定するのに、ワークピース取り付けアセンブリ200の様々な他の形状寸法の特徴のうちの任意の1つが用いられてよい。方法は、取り付け機構202の動きに基づいて、ワークピース400が非偏向状態612にある、各取り付け機構202の初期ポジション608(例えば
図20ー
図21)から、ワークピース400が偏向状態614にある各取り付け機構202の最終ポジション610(例えば
図23ー
図24)までの、ワークピース側部406のそれぞれの、外向きの偏向の時間履歴を生成することを、さらに含んでいてよい。
【0063】
上記のとおり、ワークピース側部406は、好ましくは、ワークピース400と製造設備500との間に干渉が生じることなしに、ワークピース400の製造設備500からの取り外しを可能にする量で、外向きに偏向される。方法は、例えば、フロアスタンドを用いてフレイシステム100とワークピース400とを支持している間(例えば
図9)、またはホイストケーブル316からフレイシステム100を懸架している間(例えば
図10)に、製造設備500を下方に移動することによって、
図25に示すように、ワークピース400を製造設備500から取り外すことを、さらに含み得る。方法は、ワークピース400を製造設備500から取り外した後、取り付け機構202の各1つを最終ポジション610(
図24)から元の初期ポジション608(
図21)に動かすことと、ワークピース400が表面(図示せず)または支持設備(図示せず)上で支持されているときに、取り付け機構202をワークピース側部406から解放することと、によって、ワークピース400を偏向状態614から元の非偏向状態612へと動かすことを、さらに含み得る。
【0064】
本開示は、以下の、例示的で非網羅的な、列挙された実施例をさらに含む。これらは、特許請求されていてもされていなくてもよい。
【0065】
1.ワークピース400を製造設備500から分離するためのフレイシステム100であって、
少なくとも1つのフレイアセンブリ102を備え、少なくとも1つのフレイアセンブリ102が、
水平ビーム110、並びに
水平ビーム110に装着され、且つ水平駆動モータ136及び、水平駆動軸134を規定する水平ビームトラックシステム128を有する水平駆動機構126、
を含む水平ビームアセンブリ108と、
互いに離間して水平ビームアセンブリ108に装着された一対の垂直ビームアセンブリ150であって、各垂直ビームアセンブリ150が、
水平ビームトラックシステム128に連結された垂直ビーム最上部154を有し、且つ水平駆動軸134に沿って垂直ビームアセンブリ150を駆動するための水平駆動モータ136に動作可能に連結された、垂直ビーム152、
垂直ビーム152に装着され、且つ垂直駆動モータ170及び垂直駆動軸168を規定する垂直ビームトラックシステム166を有する垂直駆動機構162、及び、
垂直ビームトラックシステム166に連結され、且つ垂直駆動軸168に沿ってワークピース取り付けアセンブリ200を駆動するための垂直駆動モータ170に動作可能に連結された、ワークピース取り付けアセンブリ200、を備え、
ワークピース取り付けアセンブリ200が、製造設備500上で支持されているワークピース400の両側のワークピース側部406のうちの1つに取り外し可能に取り付けられるように構成された取り付け機構202を備える、
一対の垂直ビームアセンブリ150と、
水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170であって、垂直ビーム152を垂直駆動軸に沿って互いから離れるように動かす一方で、同時に各ワークピース取り付けアセンブリ200を対応する駆動軸168に沿って動かし、それによって取り付け機構200がワークピース側部406を製造設備500から引き離すようにするために協調した態様で動作するように構成された水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170と、
を備える、フレイシステム100。
【0066】
2.水平ビームアセンブリ108の水平駆動機構126、及び垂直ビームアセンブリ150のそれぞれの、垂直駆動機構162が、水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170によってそれぞれ回転可能に駆動されるネジ軸140を含み、
各垂直ビーム152の垂直ビーム最上部154が、ネジ軸140の回転を、水平駆動軸134に沿った垂直ビーム152の直線運動に変換するために水平駆動機構126のネジ軸140に係合しているナット142に連結された駆動フィッティング160を有し、
各垂直ビームアセンブリ150のワークピース取り付けアセンブリ200が、ネジ軸140の回転を、垂直駆動軸168に沿ったワークピース取り付けアセンブリ200の直線運動に変換するために垂直駆動機構162のネジ軸140に係合しているナット142に連結された駆動フィッティング160を有する、
実施例1に記載のフレイシステム100。
【0067】
3.水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170が、各ワークピース取り付けアセンブリ200の取り付け機構202を、ワークピース内表面408と、ワークピース400の長手方向軸に一致する垂直面との交差部で概して中央配置されている、偏向円弧600に沿って、外向きに動かすために、協調した態様で動作可能である、
実施例1または2に記載のフレイシステム100。
【0068】
4.ワークピース取り付けアセンブリ200が、
取り付け機構202を垂直駆動機構162に連結している取り付けアセンブリのピボットジョイント212を含み、
取り付けアセンブリのピボットジョイント212が、取り付け機構202の動きを、取り付け機構202のロール軸214及びヨー軸216を中心とした旋回に限定する、
実施例1から3のいずれか一項に記載のフレイシステム100。
【0069】
5.取り付け機構202が、
ワークピース側部406においてワークピース取り付けアセンブリ200をワークピース外表面414に真空取り付けするため、真空源に流体連結された真空カップのアレイを有する、少なくとも1つの真空プレート208
を備える、実施例1から4のいずれか一項に記載のフレイシステム100。
【0070】
6.一対の垂直ビームアセンブリ150の間に中央配置された中央支持体114であって、水平ビーム110から外向きに延び且つワークピース頂部416においてワークピース外表面414と局所的に接するように構成された少なくとも1つの支持パッド120を有する中央支持体114
をさらに含む、実施例1から5のいずれか一項に記載のフレイシステム100。
【0071】
7.水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170の各1つに連結され、水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170それぞれの角運動を測定して、それを表すエンコーダシグナルを生成するように構成された回転エンコーダ144と、
各回転エンコーダ144からエンコーダ信号を受信し、取り付け機構202の動きを決定し、取り付け機構202の初期ポジション608から取り付け機構202の最終ポジション610までの、ワークピース側部406のそれぞれの、外向きの偏向の時間履歴を生成するように構成されたプロセッサ700と、
をさらに含む、実施例1から6のいずれか一項に記載のフレイシステム100。
【0072】
8.少なくとも1つのフレイアセンブリ102が、互いに離間して並行に配列された複数のフレイアセンブリ102を備え、
フレイアセンブリ102の水平駆動機構126及び垂直駆動機構162が、各フレイアセンブリ102におけるワークピース側部406の外向きの偏向をほぼ同時に開始するために同期した態様で操作される、
実施例1から7のいずれか一項に記載のフレイシステム100。
【0073】
9.プロセッサ700と、
プロセッサ700と通信可能に連結され、且つ1つ以上のワークピースの構成のデータベース704及び、フレイシステム100の取り付け機構202の動作プロファイルを規定する対応のプログラムファイルを保存するように構成されたメモリ702とをさらに含み、
プロセッサ700が、取り付け機構202を動作プロファイルに従って動かすために水平駆動機構126及び垂直駆動機構162を制御するプログラムファイルのうちの1つを実行するように構成されている、
実施例1から8のいずれか一項に記載のフレイシステム100。
【0074】
10.ワークピース400を製造設備500から分離するためのフレイシステム100であって、
複数のフレイアセンブリ102を備え、複数のフレイアセンブリ102のそれぞれが、
中央支持体114を有する水平ビーム110、並びに
水平ビーム110に装着され、且つそれぞれが水平駆動モータ136、及び水平駆動軸134を規定する水平ビームトラックシステム128を有する一対の水平駆動機構126、
を含む水平ビームアセンブリ108と、
互いに離間して水平ビームアセンブリ108に装着された一対の垂直ビームアセンブリ150であって、各垂直ビームアセンブリ150が、
水平ビームトラックシステム128に連結された垂直ビーム最上部154を有し、且つ水平駆動軸134に沿って、垂直ビームアセンブリ150を駆動するための水平駆動機構126のうちの1つの水平駆動モータ136に動作可能に連結された、垂直ビーム152、
垂直ビーム152に装着され、且つ垂直駆動モータ170及び垂直駆動軸168を規定する垂直ビームトラックシステム166を有する垂直駆動機構162、及び、
垂直ビームトラックシステム166に連結され、且つ垂直駆動軸168に沿ってワークピース取り付けアセンブリ200を駆動するための垂直駆動モータ170に動作可能に連結された、ワークピース取り付けアセンブリ200、を備え、
ワークピース取り付けアセンブリ200が、製造設備500上で支持されているワークピース400の両側のワークピース側部406のうちの1つに取り外し可能に取り付けられるように構成された取り付け機構202を備える、
一対の垂直ビームアセンブリ150と、
水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170であって、垂直ビーム152を垂直駆動軸に沿って互いから離れるように動かす一方で、同時に各ワークピース取り付けアセンブリ200を対応する駆動軸168に沿って動かす一方で、中央支持体114がワークピース頂部416を製造設備500と接触させて維持し、それによって取り付け機構200がワークピース側部406を製造設備500から引き離すようにするために協調した態様で動作するように構成された水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170と、
を備える、フレイシステム100。
【0075】
11.ワークピース400を製造設備500から分離する方法であって、
フレイシステム100の少なくとも1つのフレイアセンブリ102の水平ビームアセンブリ108の中央支持体114を、製造設備500上で支持されている内表面の寸法形状410を有するワークピース400のワークピース頂部416と接触させて配置することと、
一対のワークピース取り付けアセンブリ200の対応する対の取り付け機構202を、ワークピース400の両側のワークピース側部406にそれぞれ取り外し可能に取り付けることであって、各ワークピース取り付けアセンブリ200が、垂直ビームトラックシステム166と動作可能に連結されており、且つ垂直ビームアセンブリ150の垂直駆動機構162の垂直駆動モータ170と動作可能に係合しており、各垂直ビームアセンブリ150が、水平ビームトラックシステム128に連結されており、且つ水平ビームアセンブリ108の水平駆動機構126の水平駆動モータ136と動作可能に係合している、取り付け機構202を取り外し可能に取り付けることと、
垂直ビームアセンブリ150を、水平駆動軸134に沿って互いから離して動かす一方で、同時に各ワークピース取り付けアセンブリ200を対応する垂直駆動軸168に沿って動かし、それによって、一対の取り付け機構202がワークピース側部406を外向きに偏向させて製造設備500から引き離すように、水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170を協調した態様で動作させることと、
を含む方法。
【0076】
12.水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170を協調した態様で動作させるステップが、
水平駆動モータ136を用いて水平ビームアセンブリ108のネジ軸140を回転させることと、ネジ軸140に係合し、一対の垂直ビームアセンブリ150にそれぞれ連結された一対のナット142を用いて、水平ビームアセンブリ108のネジ軸140の回転を、水平駆動軸134に沿った、一対の垂直ビームアセンブリ150の直線の動きに変換することと、
一対の垂直駆動モータ170を用いて一対の垂直ビームアセンブリ150のそれぞれのネジ軸140を回転させることと、垂直ビームアセンブリ150のネジ軸140に係合し、ワークピース取り付けアセンブリ200のうちの1つにそれぞれ連結されたナット142を用いて、各垂直ビームアセンブリ150のネジ軸140の回転を、対応する垂直駆動軸168に沿った、ワークピース取り付けアセンブリ200のうちの1つの直線の動きに変換することと、
を含む、実施例11に記載の方法。
【0077】
13.水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170を協調した態様で操作するステップが、
各ワークピース取り付けアセンブリ200の取り付け機構202を、ワークピース内表面408と、ワークピース400の長手方向軸に一致する垂直面との交差部で概して中央配置されている、偏向円弧600に沿って、同時に外向きに動かすために、協調した態様で操作することを含む、
実施例11または12に記載の方法。
【0078】
14.各ワークピース取り付けアセンブリ200が、
取り付け機構202を対応する垂直駆動機構162に連結している取り付けアセンブリのピボットジョイント212を含み、
各ワークピース取り付けアセンブリ200の取り付けアセンブリのピボットジョイント212を用いて、取り付け機構202の動きを、取り付け機構202のロール軸214及びヨー軸216を中心とした旋回に限定することをさらに含む、
実施例11から13のいずれか一項に記載の方法。
【0079】
15.一対の取り付け機構202をそれぞれワークピース400の両側のワークピース側部406に取り外し可能に取り付けるステップが、少なくとも1つの真空プレート208を、真空圧を用いて両側のワークピース側部406のそれぞれに取り付けることを含む、実施例11から14のいずれか一項に記載の方法。
【0080】
16.中央支持体114をワークピース頂部416と接触させて配置するステップが、
ワークピース取り付けアセンブリ200が両側のワークピース側部406にそれぞれ取り付けられているときに、ワークピース頂部416においてワークピース外表面414と局所的に接するように、支持パッド120を配向することを含む、実施例11から15のいずれか一項に記載の方法。
【0081】
17.連結された回転エンコーダ144を用いて水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170の角運動を測定し、各回転エンコーダ144においてこれらを表すエンコーダ信号を生成することと、
各回転エンコーダ144からのエンコーダ信号を受信するプロセッサ700を用いて、取り付け機構202のうちのそれぞれの動きを決定することと、
取り付け機構202の動きに基づいて、各取り付け機構202の初期ポジション608から各取り付け機構202の最終ポジション610までの、ワークピース側部406のそれぞれの外向きの偏向の時間履歴を生成することと、
をさらに含む、実施例11から16のいずれか一項に記載の方法。
【0082】
18.フレイシステム100が、互いに離間して平行に配列された複数のフレイアセンブリ102を含み、水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170を協調した態様で動作させるステップが、
各フレイアセンブリ102のワークピース側部406の外向きの偏向がほぼ同時に開始されるように、プロセッサ700を用いて、全てのフレイアセンブリ102の水平駆動機構126と垂直駆動機構162を同期した態様で制御すること
を含む、実施例11から17のいずれか一項に記載の方法。
【0083】
19.プロセッサ700と通信可能に連結されたメモリ702内に、1つ以上のワークピースの構成のデータベース704及び、データベース704内の各ワークピースの構成に関するフレイシステム100内の取り付け機構202の全ての動作プロファイルを保存することと、
ワークピース400を製造設備500から取り外すために水平駆動モータ136及び垂直駆動モータ170を制御する際にプロセッサ700によって使用されるためのメモリ702から、動作プロファイルのうちの1つ取り出すことと、
をさらに含む、実施例11から18のいずれか一項に記載の方法。
【0084】
20.ワークピース400が外板パネル450であり、製造設備500がレイアップマンドレル504である、
実施例11から19のいずれか一項に記載の方法。
【0085】
前記の説明及び関連図面で提示された教示内容の利点を理解している、本開示に関連する技術分野の当業者には、本開示の多数の変形例及びその他の例が想起されよう。 本書に記載の構成は、例示のためのものであり、限定的であることも、網羅的であることも意図されていない。本書では特定の用語が用いられているが、それらは、一般的かつ説明的な意味にのみ使用されており、限定を目的とするものではない。