(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】タイヤ圧送信装置
(51)【国際特許分類】
B60C 23/04 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
B60C23/04 110A
B60C23/04 110C
B60C23/04 110D
B60C23/04 110Z
B60C23/04 150K
(21)【出願番号】P 2019161048
(22)【出願日】2019-09-04
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】都築 史和
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-165314(JP,A)
【文献】再公表特許第2013/076946(JP,A1)
【文献】特開2007-253934(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0147387(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサーを収容するセンサー室を有するケーシングを備え、
前記ケーシングは、
前記センサー室を構成する壁部として、筒状の周壁部と前記筒状の周壁部が形成する一方の開口を塞ぐ頂壁部とを含むセンサー収容部と、
前記センサー収容部に一体的に連結されて前記頂壁部側からの平面視において前記センサー収容部から突出するエアバルブ取付部であって、エアバルブが取り付けられる取付孔を有する前記エアバルブ取付部と、
前記センサー収容部と前記エアバルブ取付部とに一体的に連結され、前記頂壁部側からの平面視において前記センサー収容部と前記エアバルブ取付部とに挟まれる領域に位置する一対のスカート部であって、前記ケーシングの外縁部をR形状に構成する前記一対のスカート部と、を備え
、
前記ケーシングは、
前記センサー収容部と前記エアバルブ取付部とに跨がって形成されて前記頂壁部側からの平面視において前記取付孔を挟む位置に配設される一対の補強リブと、
前記一対の補強リブの一方と前記頂壁部とに跨がって形成されて前記センサー室を外部空間に連通させる検知穴と、を有している
タイヤ圧送信装置。
【請求項2】
前記周壁部は、
前記エアバルブ取付部が一体的に連結される外壁部と、
前記外壁部に対向する内壁部と、
前記外壁部と前記内壁部とに一体的に連結される一対の側壁部と、
を有する筒状に形成され、
前記スカート部は、
前記側壁部側からの平面視において前記内壁部の反対側へ張り出す湾曲形状を有している
請求項
1に記載のタイヤ圧送信装置。
【請求項3】
前記一対の側壁部は、前記側壁部側からの平面視において前記頂壁部の反対側へ張り出す湾曲形状の着座部を有している
請求項
2に記載のタイヤ圧送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの空気圧を送信するタイヤ圧送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タイヤの空気圧を監視するタイヤ圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)が知られている。タイヤ圧監視システムは、タイヤ圧送信装置、監視装置、および、警報装置を備えている。タイヤ圧送信装置は、タイヤ空気圧を検出し、その検出したタイヤ空気圧を含むタイヤ情報を監視装置に無線送信する。監視装置は、タイヤ圧送信装置が送信したタイヤ情報を受信し、例えばタイヤ空気圧が基準値を下回っている場合に警報装置を駆動する。警報装置は、監視装置からの駆動信号を受けてドライバーに対して警告を行う。上述したタイヤ圧送信装置として、例えば特許文献1のように、ホイールのレッジ部とビードシート部との段差部分に対してエアバルブとともに固定されるバルブ固定式のタイヤ圧送信装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図7に示すように、車輪15において、ホイール16からのタイヤ17の脱着は、脱着ツール100を用いて一方のビード部17Bを他方のビード部17B側へ押し込んだ状態で車輪15を回転させることにより行われる。そのため、バルブ固定式のタイヤ圧送信装置では、脱着ツール100で押し込まれたビード部17Bがケーシングの角部に引っ掛かってしまいケーシングが破損するおそれがあった。本発明は、タイヤの脱着時に破損しにくいタイヤ圧送信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するタイヤ圧送信装置は、センサーを収容するセンサー室を有するケーシングを備え、前記ケーシングは、前記センサー室を構成する壁部として、筒状の周壁部と前記筒状の周壁部が形成する一方の開口を塞ぐ頂壁部とを含むセンサー収容部と、前記センサー収容部に一体的に連結されて前記頂壁部側からの平面視において前記センサー収容部から突出するエアバルブ取付部であって、エアバルブが取り付けられる取付孔を有する前記エアバルブ取付部と、前記センサー収容部と前記エアバルブ取付部とに一体的に連結され、前記頂壁部側からの平面視において前記センサー収容部と前記エアバルブ取付部とに挟まれる領域に位置する一対のスカート部であって、前記ケーシングの外縁部をR形状に構成する前記一対のスカート部と、を備える。
【0006】
上記構成によれば、タイヤの脱着時、ケーシングに引っ掛かろうとするタイヤのビード部がスカート部によってケーシングの頂壁部側へと案内される。その結果、タイヤの脱着時にタイヤ圧送信装置が破損しにくくなる。
【0007】
上記タイヤ圧送信装置において、前記ケーシングは、前記センサー収容部と前記エアバルブ取付部とに跨がって形成されて前記頂壁部側からの平面視において前記取付孔を挟む位置に配設される一対の補強リブを有することが好ましい。
【0008】
上記構成によれば、一対の補強リブによりケーシングの機械的な強度が高められるとともに、スカート部によって案内されたビード部を一対の補強リブの頂面上を移動させることが可能である。これにより、タイヤの脱着時にケーシングがさらに破損しにくくなる。
【0009】
上記タイヤ圧送信装置において、前記ケーシングは、前記一対の補強リブの一方と前記頂壁部とに跨がって形成されて前記センサー室を外部空間に連通させる検知穴を有していることが好ましい。上記構成によれば、補強リブの頂面をビード部が移動することから、タイヤの脱着時などにビード部に塗布されるワックスによって検知穴が塞がれることが抑えられる。
【0010】
上記タイヤ圧送信装置において、前記周壁部は、前記エアバルブ取付部が一体的に連結される外壁部と、前記外壁部に対向する内壁部と、前記外壁部と前記内壁部とに一体的に連結される一対の側壁部と、を有する筒状に形成され、前記スカート部は、前記側壁部側からの平面視において前記内壁部の反対側へ張り出す湾曲形状を有しているとよい。
【0011】
上記構成によれば、側壁部側からの平面視において内壁部の反対側へ張り出す湾曲形状をスカート部が有していることから、タイヤ圧送信装置は、レッジ部またはドロップ部と、ビードシート部との段差部分に対して各スカート部が接線状に接触する状態でホイールに支持される。これにより、タイヤ圧送信装置の着座形態を安定させることができる。
【0012】
上記タイヤ圧送信装置において、前記一対の側壁部は、前記側壁部側からの平面視において前記頂壁部の反対側へ張り出す湾曲形状の着座部を有していることが好ましい。
上記構成によれば、一対の側壁部に形成された着座部が頂壁部の反対側へ張り出す湾曲形状を有していることから、タイヤ圧送信装置は、レッジ部またはドロップ部に対して各着座部が接線状に接触する状態でホイールによって支持される。これにより、タイヤ圧送信装置の着座形態をさらに安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】タイヤ圧送信装置の一実施形態を含むタイヤ圧監視システムの概略構成を示す図。
【
図2】タイヤ圧送信装置の一例を頂壁部側から見た斜視図。
【
図3】タイヤ圧送信装置の一例を底壁部側から見た斜視図。
【
図4】タイヤ圧送信装置の一例における第2側壁部側の側面図。
【
図5】タイヤ圧送信装置の一例を頂壁部側から見た平面図。
【
図6】(a)タイヤ脱着時におけるタイヤ圧送信装置とビード部との位置関係の一例を模式的に示す図、(b)タイヤ脱着時におけるタイヤ圧送信装置とビード部との位置関係の他の例を模式的に示す図。
【
図7】従来において、タイヤの脱着作業の様子を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1~
図6を参照して、タイヤ圧送信装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、車両10は、シャシ11と、シャシ11に搭載されるキャブ12とを有している。シャシ11は、車両10の前後方向に沿って延びる一対のサイドフレーム13と一対のサイドフレーム13に架設される複数のクロスメンバー14とを有している。シャシ11は、複数の車輪15を有している。各車輪15は、ホイール16とホイール16に取り付けられたタイヤ17とによって構成されている。
【0015】
車両10は、タイヤ17の空気圧を監視するタイヤ圧監視システム20を有している。タイヤ圧監視システム20は、タイヤ圧送信装置21、監視装置22、および、警報装置23を有している。
【0016】
タイヤ圧送信装置21は、各車輪15においてホイール16のハブ取付面側に設置されている。タイヤ圧送信装置21は、タイヤ17の空気圧を検知し、その空気圧を示す信号を監視装置22に無線送信する。
【0017】
監視装置22は、シャシ11に設置されている。監視装置22は、シャシ11を構成するクロスメンバー14に設置されている。監視装置22は、車両10の後方寄りに位置するクロスメンバー14に設置されていてもよいし、車両10の前方寄りに位置するクロスメンバー14に設置されていてもよい。監視装置22は、タイヤ圧送信装置21が送信した検知圧を受信し、その受信した検知圧が基準圧未満であった場合に車載ネットワーク24を通じて警報装置23に駆動信号を出力する。車載ネットワーク24は、例えば、各種装置やセンサーなどに接続される車載CAN(Controller Area Network)や各種装置に電源を供給する電源供給線などによって構成される。
【0018】
警報装置23は、キャブ12に設置されている。警報装置23は、監視装置22からの駆動信号を受けて駆動する。警報装置23は、例えば表示ランプの点灯やブザー吹鳴によりドライバーにタイヤ17の空気圧に異常が生じていることを警告する。
【0019】
図2~
図6を参照してタイヤ圧送信装置21についてさらに詳しく説明する。なお、タイヤ圧送信装置21は、ホイール16の形状に応じた取り付け方法として、ホイール16のレッジ部に取り付けられるレッジ部取付と、ホイール16のドロップ部に取り付けられるドロップ部取付とが存在する。以下では、レッジ部取付を用いてタイヤ圧送信装置21について説明する。
【0020】
図2~
図6に示すように、タイヤ圧送信装置21は、
図4に示すホイール16のレッジ部16a、および、レッジ部16aとビードシート部16bとの段差部分16cに対して図示されないエアバルブとともに固定されるバルブ固定式のタイヤ圧送信装置である。段差部分16cは、レッジ部取付では、レッジ部16aに対してホイール16のハブ取付面側にて連なり、ホイール16の径方向外側に向かって隆起する段差部分である。
【0021】
タイヤ圧送信装置21は、ケーシング25を有している。ケーシング25は、例えば芳香族ナイロンなどの樹脂に対して取付金具26がインサート成形されることにより作製される。ケーシング25は、センサー収容部30、エアバルブ取付部50、コーナー部60、および、補強部70を有している。
【0022】
センサー収容部30は、電源一体に構成されたセンサーおよびアンテナなどのセンサー類が収容される内部空間として図示されないセンサー室を有する。センサー収容部30は、センサー室を形成する壁部として、筒状の周壁部33と、周壁部33が形成する一方の開口を塞ぐ頂壁部45とを有している。
【0023】
周壁部33は、外壁部35、内壁部36、第1側壁部37、および、第2側壁部38を有している。外壁部35は、車両10の外側に配置される壁部である。内壁部36は、車両10の内側に配置される壁部である。
【0024】
第1側壁部37は、車輪15の第1回転方向側に配置される壁部である。第1側壁部37は、ホイール16のレッジ部16aに支持される第1着座部39を有する。第1着座部39は、頂壁部45に対する反対方向、換言すればホイール16の中心方向へ張り出す湾曲形状を有する。
【0025】
第2側壁部38は、第1回転方向の反対方向である第2回転方向側に配置される壁部である。第2側壁部38は、ホイール16のレッジ部16aに支持される第2着座部40を有する。第2着座部40は、ホイール16の中心方向へ張り出す湾曲形状を有する。
【0026】
頂壁部45は、外壁部35、内壁部36、第1側壁部37、および、第2側壁部38の各々における頂端部を一体的に連結している。頂壁部45は、外壁部35、内壁部36、第1側壁部37、および、第2側壁部38によって形成される一対の開口のうち、ホイール16の径方向側に配置される開口を閉塞している。なお、頂壁部45のうち、第1側壁部37側に位置する矩形凸部46は、センサー室のうちでアンテナが収容されるスペースを形成する。また、第2側壁部38側に位置する円形部47は、センサー室のうちで電池が収容させるスペースを形成する。
【0027】
センサー収容部30において、外壁部35、内壁部36、第1側壁部37、第2側壁部38、および、頂壁部45によって囲まれる空間は、センサー類が収容されるセンサー室である。なお、上述した外壁部35、内壁部36、第1側壁部37、および、第2側壁部38が形成する一対の開口のうちでタイヤ17の中心方向側に配置される開口は、センサー室にセンサーやアンテナなどが収容された状態でのポッティング加工により形成される底壁部49によって閉塞される。
【0028】
エアバルブ取付部50は、センサー収容部30の外壁部35に一体的に連結されている。エアバルブ取付部50は、頂壁部45側からの平面視において、外壁部35の中央部分から車両10の外側に向かって突出している。エアバルブ取付部50は、取付部51、第1連結部52、および、第2連結部53を有している。
【0029】
取付部51は、取付金具26がインサート成形された板状をなしている。取付部51は、外壁部35に対向する空間を外壁部35の底側端部から斜め方向に延びている。取付部51の頂端部51aは、センサー収容部30の頂壁部45よりもホイール16の径方向側に位置する。取付金具26には、エアバルブの一端部が挿通される真円状の取付孔26aが形成されている。取付部51の頂端面51bは、
図4に示すように側面視における先端寄りの部位ほど底側に位置するように傾斜している。
【0030】
第1連結部52は、板状をなしており、取付部51の第1側端部を外壁部35に一体的に連結する。第2連結部53は、板状をなしており、取付部51の第2側端部を外壁部35に一体的に連結する。第1連結部52の頂端部および第2連結部53の頂端部は、取付部51の頂端部51aから頂壁部45に向けて緩やかに傾斜している。
【0031】
タイヤ圧送信装置21は、ホイール16の段差部分16cに形成された図示されないバルブ孔にエアバルブが挿通された状態にあるときにホイール16に取り付けられる。
タイヤ圧送信装置21は、エアバルブの一端部が取付金具26の取付孔26aに挿通され、該エアバルブに形成された雌ねじ部に取付ボルトが締結されることでエアバルブとともにホイール16に取り付けられる。ケーシング25において、取付部51、第1連結部52、第2連結部53、および、外壁部35が形成する凹部は、取付ボルトのヘッドを収容するボルトヘッド収容空間を形成する。
【0032】
コーナー部60は、頂壁部45側からの平面視においてエアバルブ取付部50の両側に形成される空間であって、センサー収容部30とエアバルブ取付部50とによって挟まれる空間を頂壁部45側から覆う部分である。コーナー部60は、第1コーナー部61と第2コーナー部62とを有している。第1コーナー部61は、第1側壁部37側に形成される空間を覆うコーナー部60である。第2コーナー部62は、第2側壁部38側に形成される空間を覆うコーナー部60である。
【0033】
第1コーナー部61は、頂壁部45側からの平面視において、エアバルブ取付部50の第1連結部52とエアバルブ取付部50よりも第1側壁部37側に位置する第1外壁部分351(
図3参照)とによって挟まれる領域を頂壁部45側から覆っている。
【0034】
第1コーナー部61は、第1スカート連結部61aと第1スカート部61cとを有している。第1スカート連結部61aは、頂壁部45を延在させた壁部であり、エアバルブ取付部50の第1連結部52の頂端部と、外壁部35の第1外壁部分351とに一体的に連結されている。第1スカート連結部61aは、取付部51の頂端部51aから頂壁部45に向けて緩やかに傾斜する第1連結部52の頂端部に一体的に連結されており、第1側壁部37側からの側面視において外壁部35に近い部位ほど底側に位置するように傾斜する形状を有している。第1スカート連結部61aの先端縁である第1連結縁部61bは、頂壁部45側からの平面視において外側へ僅かに張り出すように湾曲している。
【0035】
第1スカート部61cは、第1スカート連結部61aの第1連結縁部61bと第1側壁部37側における外壁部35の端部とに一体的に連結されている。換言すれば、第1スカート部61cは、第1スカート連結部61aを介してセンサー収容部30と取付部51とに一体的に連結されている。第1スカート部61cは、ホイール16のハブ取付面側に向かって徐々に底側に位置するように傾斜する第1スカート面61dを有している。第1スカート面61dは、エアバルブ取付部50の頂端面51bに段差なく連続している。第1スカート部61cの第1先端縁61tは、頂壁部45側からの平面視において、ケーシング25の外縁部をR形状とする形状を有している。換言すれば、第1先端縁61tは、ホイール16のハブ取付面側に配置される部位ほど第1連結部52寄りに位置するように湾曲する形状を有している。
【0036】
第1側壁部37側からの側面視において、第1先端縁61tは、
図4に示す第2先端縁62tのように、内壁部36の反対側に向かって、すなわちホイール16のハブ取付面側に向かって突出するように湾曲する形状を有している。第1先端縁61tは、タイヤ圧送信装置21がホイール16に取り付けられた状態においてホイール16の段差部分16cに接触する。
【0037】
第2コーナー部62は、頂壁部45側からの平面視において、エアバルブ取付部50の第2連結部53と外壁部35のうちでエアバルブ取付部50よりも第2側壁部38側に位置する第2外壁部分352(
図3参照)とを二辺とする三角領域を頂壁部45側から覆っている。第2コーナー部62は、第2スカート連結部62a、第2連結縁部62b、第2スカート部62c、第2スカート面62d、および、第2先端縁62tを有している。これらの部位は、第1コーナー部61の第1スカート連結部61a、第1連結縁部61b、第1スカート部61c、第1スカート面61d、および、第1先端縁61tと同様の機能を有している。そのため、第2コーナー部62については第1コーナー部61と同様の符号を付すことによりその詳細な説明は省略する。
【0038】
上述した構成のケーシング25において、ホイール16の段差部分16cに接触する状態にある第1および第2スカート部61c、62cは、ホイール16の段差部分16cと取付部51の頂端部51aとの協働により工具差込口65を形成する。工具差込口65は、タイヤ圧送信装置21がホイール16に取り付けられる際にエアバルブを押さえる工具が差し込まれる開口である。ホイール16に取り付けられたタイヤ圧送信装置21は、第1先端縁61tおよび第2先端縁62tに対してホイール16の段差部分16cが接線状に接触する。
【0039】
補強部70は、第1リブ71と第2リブ72とを有している。第1リブ71は、エアバルブ取付部50の第1連結部52とセンサー収容部30の頂壁部45とに一体的に連結されている。第1リブ71は、頂壁部45側からの平面視において、第1連結部52に重畳する位置を含んで直線状に形成されており、取付部51の頂端部51aから内壁部36の頂端部まで延びている。
【0040】
第1リブ71は、略矩形状の横断面を有している。第1リブ71の第1頂面71aは、凸型の緩やかなR部を介して取付部51の頂端面51bに連続している。すなわち、第1頂面71aは、取付部51の頂端面51bを介して第1スカート面61dに対して段差なく連続するように構成されている。また、第1リブ71は、第1側壁部37側からの側面視において頂壁部45の矩形凸部46がはみ出すことなく重畳する形状を有している。これにより、矩形凸部46に対してタイヤ17のビード部17Bが接触しにくくなる。
【0041】
第2リブ72は、略矩形状の横断面を有している。第2リブ72は、第2頂面72aを有している。第2頂面72aは、凸型の緩やかなR部を介して取付部51の頂端面51bに連続している。すなわち、第2頂面72aは、取付部51の頂端面51bを介して第2スカート面62dに対して段差なく連続するように構成されている。第2リブ72においては、内壁部36側の端部におけるR部は、第1リブ71よりも緩やかになるように第1リブ71よりも大径のR部に形成されている。
【0042】
第1および第2リブ71,72は、タイヤ17の脱着時にビード部17Bが押し付けられたとしてもその荷重に対してケーシング25が十分な機械的な強度を有するように形成される。例えば、第1および第2リブ71,72は、真円状をなす取付孔26aの半径よりも大きな幅に形成される。
【0043】
ケーシング25は、センサー室と外部空間とを連通する検知穴75を有している。検知穴75は、センサー収容部30の頂壁部45と第1リブ71とに跨がって形成されている。検知穴75は、センサー収容部30の頂壁部45に貫通形成された円柱部分と第1リブ71に形成された半円柱部分とによって構成されている。すなわち、検知穴75は、第1リブ71に覆い隠されるように形成されている。
【0044】
図6を参照してタイヤ圧送信装置21の作用について説明する。
図6(a)に示すように、
図7に示した脱着ツール100を用いてホイール16からのタイヤ17の脱着が開始されると、やがて脱着ツール100の押し込み位置がタイヤ圧送信装置21に近づく。このとき、内側へと押し込まれたビード部17Bは、ケーシング25の外縁部をR形状とする第1スカート部61cの第1スカート面61dに接触し、該第1スカート面61dによって取付部51の頂端面51bや第1頂面71aへと案内される。すなわち、ビード部17Bは、
図6(b)に示すように、センサー収容部30やエアバルブ取付部50に引っ掛かることなく案内される。
【0045】
本実施形態の効果について説明する。
(1)タイヤ圧送信装置21においては、タイヤ17の脱着時にビード部17Bが第1スカート部61cあるいは第2スカート部62cに案内される。そのため、センサー収容部30やエアバルブ取付部50に対してビード部17Bが引っ掛かりにくくなる。すなわち、タイヤ17の脱着時にタイヤ圧送信装置21が破損しにくくなる。
【0046】
(2)タイヤ圧送信装置21は、センサー収容部30と取付部51とに跨がって形成された一対の補強リブである第1リブ71と第2リブ72とを有している。こうした構成によれば、ケーシング25の機械的な強度が高められることから、たとえビード部17Bがケーシング25に引っ掛かったとしても、タイヤ圧送信装置21が破損するまえにその引っ掛かりが解消される頻度を高めることができる。その結果、タイヤの脱着時におけるタイヤ圧送信装置21の破損をさらに抑えることができる。
【0047】
(3)タイヤ17の脱着時や装着時には、タイヤ17のビード部17Bにビードワックスが塗布される。そのため、ケーシング25の直上をビード部17Bが通るとビードワックスがケーシング25に付着することとなる。この点、ケーシング25には、センサー収容部30の頂壁部45と第1リブ71とに跨がる検知穴75が形成されている。そのため、タイヤ17の脱着時や装着時にビード部17Bが第1リブ71および第2リブ72の頂面上を移動することから、ビード部17Bに付着しているビードワックスによって検知穴75が塞がれにくくなる。
【0048】
(4)ホイール16に取り付けられたタイヤ圧送信装置21は、第1側壁部37側からの側面視において内壁部36の反対側に向かって湾曲する形状をなす第1先端縁61tと第2先端縁62tとによって支持されている。こうした構成によれば、タイヤ圧送信装置21は、エアバルブやホイール16の形状などに応じて取付角度が変わったとしても第1先端縁61tおよび第2先端縁62tに対して接線状に接触するホイール16に支持される。その結果、タイヤ圧送信装置21の着座形態を安定させることができる。
【0049】
(5)ホイール16に取り付けられたタイヤ圧送信装置21は、ホイール16の中心方向へ張り出す湾曲形状をなす第1着座部39および第2着座部40によって支持されている。こうした構成によれば、タイヤ圧送信装置21は、ホイール16の形状などに応じて取付角度が変わったとしても、第1着座部39および第2着座部40に対して接線状に接触するホイール16に支持される。その結果、タイヤ圧送信装置21の着座形態を安定させることができる。また、タイヤ圧送信装置21の着座形態が安定することで、タイヤの脱着時におけるタイヤ圧送信装置21の破損をさらに抑えることができる。
【0050】
(6)第1リブ71は、第1側壁部37側からの平面視において頂壁部45の矩形凸部46がはみ出すことなく重畳する形状を有している。こうした構成によれば、アンテナを収容する矩形凸部46に対してタイヤ17のビード部17Bが接触する頻度が抑えられる。また、ビード部17Bが矩形凸部46に接触したとしても矩形凸部46に作用する荷重を小さくすることができる。
【0051】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第1側壁部37は、第1着座部39を有していなくともよい。
【0052】
・第2側壁部38は、第2着座部40を有していなくともよい。
・第1スカート部61cは、第1側壁部37側からの平面視において、内壁部36の反対側へ張り出す湾曲形状を有するものに限らず、底側が切り欠かれたC面取り形状を有していてもよい。こうした構成であっても、レッジ部16aと段差部分16cとの連結部分に対する第1スカート部61cの干渉を回避することができる。なお、第2スカート部62cについても同様である。
【0053】
・ケーシング25は、検知穴75を頂壁部45ではなく周壁部33に備えていてもよい。こうした構成であっても上記(3)に記載した効果を同様の効果を得ることができる。
・ケーシング25は、第1リブ71および第2リブ72の少なくとも一方を備えていなくともよい。ケーシング25が第1リブ71および第2リブ72の双方を備えていなくとも頂壁部45を肉厚化することにより機械的な強度を高めることができる。また、ケーシング25は、第1リブ71および第2リブ72に交差する補強リブを有していてもよい。
【0054】
・センサー収容室を形成する周壁部33は、筒状をなしていればよく、断面四角枠状に限らず、断面多角枠状であってもよいし、断面円形枠状であってもよい。
・一対のスカート部61c、62cは、センサー収容部30とエアバルブ取付部50とに一体的に連結され、これらセンサー収容部30とエアバルブ取付部50とに挟まれる領域に位置していればよい。そのため、コーナー部60は、スカート連結部61a,62aが割愛され、センサー収容部30とエアバルブ取付部50とに対して一対のスカート部61c,62cが直接連結される構成であってもよい。
【0055】
・上述したように、タイヤ圧送信装置21の取付方法として、ホイール16のドロップ部に取り付けられるドロップ部取付が存在する。
図4および
図6をドロップ部取付に適用すると、16aはドロップ部を示し、16cはドロップ部に対してホイール16のハブ取付面側にて連なりホイール16の径方向外側に向かって隆起する段差部分を示す。
【符号の説明】
【0056】
11…シャシ、12…キャブ、13…サイドフレーム、14…クロスメンバー、15…車輪、16…ホイール、16a…レッジ部、16b…ビードシート部、16c…段差部分、17…タイヤ、17B…ビード部、20…タイヤ圧監視システム、21…タイヤ圧送信装置、22…監視装置、23…警報装置、24…車載ネットワーク、25…ケーシング、26…取付金具、26a…取付孔、30…センサー収容部、33…周壁部、35…外壁部、351…第1外壁部分、352…第2外壁部分、36…内壁部、37…第1側壁部、38…第2側壁部、39…第1着座部、40…第2着座部、45…頂壁部、46…矩形凸部、47…円形部、49…底壁部、50…エアバルブ取付部、51…取付部、51a…頂端部、51b…頂端面、52…第1連結部、53…第2連結部、60…コーナー部、61…第1コーナー部、61a…第1スカート連結部、61b…第1連結縁部、61c…第1スカート部、61d…第1スカート面、61t…第1先端縁、62…第2コーナー部、62a…第2スカート連結部、62b…第2連結縁部、62c…第2スカート部、62d…第2スカート面、62t…第2先端縁、65…工具差込口、70…補強部、71…第1リブ、71a…第1頂面、72…第2リブ、72a…第2頂面、75…検知穴、100…脱着ツール。