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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20231114BHJP
   G08B 13/196 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H04N7/18 D
G08B13/196
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019165227
(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公開番号】P2021044692
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】木谷 嘉孝
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-111146(JP,A)
【文献】特開2006-252248(JP,A)
【文献】特開平05-020559(JP,A)
【文献】国際公開第2007/015449(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G08B 13/00-15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定区域を取り囲む設置物に取り付けられた設置物センサと、
前記設置物を含むエリアを斜め上方向から見下ろすように撮影する撮像装置と、
前記設置物センサの発報に応じて前記撮像装置により撮影された映像を解析し、前記映像内に現れた物体を検出するサーバとを備え、
前記サーバは、
前記映像における前記物体の輪郭を検出する物体輪郭検出部と、
前記物体輪郭検出部により検出された前記物体の輪郭と前記設置物の下端又は上端の境界線とを比較して、前記物体の輪郭の少なくとも一部が前記境界線から所定距離内にある場合に、前記物体が前記設置物の近傍に存在していると判定し、そうでない場合には、前記物体が前記設置物の近傍に存在していないと判定する境界線判定部と、
前記境界線判定部により前記物体が前記設置物の近傍に存在していると判定された場合に、前記映像から検出された前記物体の輪郭の内部の面積を計測する物体面積計測部と、
前記物体面積計測部により計測された前記物体の面積と閾値とを比較して、前記物体の面積が前記閾値以上の場合に、前記物体は侵入者の可能性が高いと判定し、そうでない場合には、前記物体は侵入者ではない可能性が高いと判定する面積比較部とを備えたことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の監視システムにおいて、
前記設置物センサの発報を報知する監視端末装置を更に備え、
前記監視端末装置は、前記サーバによる前記物体が侵入者か否かの判定結果に応じて、報知態様を変化させることを特徴とする監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置物センサと撮像装置を用いて所定区域への侵入を監視する監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施設の外周を取り囲むフェンスに対してフェンスセンサを設置し、フェンスセンサが異常を検知した際に発報し、監視端末装置を通じて監視者に報せる監視システムが実用されている。このような監視システムは、空港、発電所、刑務所等の重要設備への侵入者防止に役立っている。フェンスセンサとしては、フェンス上部に設置した赤外線センサでフェンス上方を通過しようとする侵入者を検知するもの、フェンス上部に張ったワイヤに侵入者が力を加えたことを検知するもの、フェンスに取り付けたケーブル状の振動センサ(センサケーブル)で侵入者がフェンスに触れた際の振動を検知するものなどがある。
【0003】
近年では、フェンスの監視に監視カメラを利用するシステムも検討されている。例えば、特許文献1には、フェンスの上部又は側面に複数のランドマークを設置し、監視カメラで撮影したランドマークの揺れ状態から侵入者を検知する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-152525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術では、以下のような問題点が想定される。
・小動物や自然現象(例えば、風、地震など)による誤発報の可能性がある。
・自然現象などの影響により広範囲にわたる多数のフェンスセンサが同時に発報した際に、その確認作業に時間を要する。
・自然現象などの影響により広範囲にわたる多数のフェンスセンサが発報したタイミングと実際の侵入者に反応したフェンスセンサが発報したタイミングとが重複した場合に、侵入者を見逃す可能性がある。
【0006】
本発明は、上記のような従来の事情に鑑みて為されたものであり、所定区域への侵入を監視する監視システムにおける監視者の作業負荷を軽減することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上記目的を達成するために、監視システムを以下のように構成した。
すなわち、本発明に係る監視システムは、所定区域を取り囲む設置物に取り付けられた設置物センサと、前記設置物を含むエリアを撮影する撮像装置と、前記設置物センサの発報に応じて前記撮像装置により撮影された映像を解析し、前記映像内に現れた物体を検出するサーバとを備え、前記サーバは、前記映像における前記設置物と前記物体の位置関係と、前記映像における前記物体の面積とに基づいて、前記物体が侵入者か否かを判定することを特徴とする。
【0008】
ここで、一構成例として、前記サーバは、前記映像における前記設置物の下端又は上端の境界線の近傍に前記物体の少なくとも一部があり、かつ、前記物体の面積が閾値以上の場合に、前記物体を侵入者と判定する構成としてもよい。
【0009】
この場合、前記サーバは、前記映像における前記物体の輪郭を検出する動体輪郭検出部と、前記動体輪郭検出部により検出された前記物体の輪郭が前記境界線の近傍にあるか否かを判定する境界線判定部とを備えてもよい。
【0010】
また、前記サーバは、前記映像から検出された前記物体の輪郭の内部の面積を計測する動体面積計測部と、前記動体面積計測部により計測された前記物体の面積を前記閾値と比較する面積比較部とを備えてもよい。
【0011】
また、一構成例として、前記設置物センサの発報を報知する監視端末装置を更に備え、前記監視端末装置は、前記サーバによる前記物体が侵入者か否かの判定結果に応じて、報知態様を変化させる構成としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所定区域への侵入を監視する監視システムにおける監視者の作業負荷を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る監視システムの概略的な構成例を示す図である。
図2】撮像装置の設置態様について説明する図である。
図3】フェンスセンサとして振動センサを使用する場合の例を示す図である。
図4図1の監視システムにおける監視画面例を示す図である。
図5図1の監視システムのサーバによる処理フローの例を示す図である。
図6】フェンスセンサとして赤外線センサを使用する場合の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係る監視システムについて、図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る監視システムの概略的な構成例を示してある。本例の監視システムは、フェンスセンサ10と、撮像装置20と、録画装置30と、サーバ40と、監視端末装置60とを備え、これらはネットワークを介して接続されている。
【0015】
フェンスセンサ10は、監視対象の施設外周を取り囲むフェンスに取り付けられており、所定の異常を検知したことに応じて発報信号を出力する。図3に例示するように、本例では、フェンスセンサ10として、ケーブル状の振動センサ(センサケーブル)を用いている。すなわち、本例のフェンスセンサ10は、フェンスの振動を検知したことに応じて発報信号を出力する。発報信号には、フェンスセンサ10の識別情報(例えば、センサ番号)が付加される。フェンスセンサ10の設置数は任意であり、フェンスが多いほど多数のフェンスセンサ10が設置される。
【0016】
撮像装置20は、フェンスを含むエリア(例えば、フェンス及びその周辺)をフェンスの内側(すなわち、施設側)から撮影する。フェンスは透過性を有するので、フェンスの内側に撮像装置20を配置しても、フェンスの外側の様子を撮影することが可能である。図3に例示するように、本例では、フェンス面に対向し且つフェンスを見下ろす位置(フェンスより高い位置)から撮影を行うように撮像装置20を設置してある。撮像装置20の設置数は任意であり、フェンスが多いほど多数の撮像装置20が設置される。なお、図2に例示するように、フェンス面を横方向(水平方向)に見る位置から撮影を行うように、フェンスと同程度の高さに撮像装置を設置することも考えられるが、その場合には、検出物(例えば、人間)がフェンスに近い位置P1にあるのか、フェンスから離れた位置P2にあるのかを映像のみで判別することは難しい。そこで、検出物がフェンスに近いか否かを容易に判別できるように、図3のようにフェンスより高い位置に撮像装置20を設置することが好ましい。
【0017】
本例では、説明の簡略化のために、1つのフェンスセンサ10に対応させて1つの撮像装置20を設置した構成を例にして説明する。なお、1つのフェンスセンサ10に対応させて複数の撮像装置20を設置してもよいし、複数のフェンスセンサ10に対応させて1つの撮像装置20を設置してもよい。
【0018】
録画装置30は、撮像装置20により撮影された映像データを記憶する。また、外部からの要求に応じて、記憶した映像データを読み出して要求元(例えば、監視端末装置60)へ送信する。
【0019】
サーバ40は、フェンスセンサ10の発報に応じて撮像装置20により撮影された映像を解析し、フェンスの近傍に現れた物体(動体)を検出し、それが侵入者か否かを判定する。本例のサーバ40は、センサ発報受信部41と、映像受信部42と、物体輪郭抽出部43と、境界線判定部44と、物体面積計測部45と、カメラ・センサ登録部46と、フェンス境界線登録部47と、面積閾値登録部48と、面積比較部49と、警報情報送信部50とを備えている。
【0020】
カメラ・センサ登録部46は、事前に設定されたフェンスセンサ10と撮像装置20との対応関係を示すデータを記憶する。すなわち、フェンスセンサ10と、それが取り付けられたフェンスを撮影範囲に含む撮像装置20との関連性を記憶する。
【0021】
フェンス境界線登録部47は、事前に設定されたフェンス下端の境界線(つまり、フェンスと地面の境界線)B1のデータを記憶する。フェンス下端の境界線B1は、撮像装置20による撮影映像から検出された物体がフェンスのすぐ近くに存在しているかを判定するために使用される。これは、フェンスを越えようとする侵入者はフェンス近くの地面に立った状態でフェンスを揺らすことになるので、その場合には侵入者の足がフェンス下端の境界線付近に存在すると想定されることに基づいている。フェンス下端の境界線B1は、フェンスセンサ10が取り付けられたフェンス毎に設定される。
【0022】
面積閾値登録部48は、事前に設定された面積閾値のデータを記憶する。面積閾値は、
撮像装置20による撮影映像から検出された物体の映像内における面積に関する閾値であり、検出物が人間(つまり、侵入者)なのか、それ以外の物体(例えば、小動物)なのかを判別するために使用される。
【0023】
センサ発報受信部41は、フェンスセンサ10から出力される発報信号を受信する。発報信号には、その送信元であるフェンスセンサ10の識別情報が付加されているので、どのフェンスセンサ10が異常を検知したのかを特定することができる。
【0024】
映像受信部42は、センサ発報受信部41が発報信号を受信したことに応じて、発報信号の送信元であるフェンスセンサ10に対応する撮像装置20に対して映像要求信号を送信し、その撮像装置20から映像データを取得する。発報信号の送信元であるフェンスセンサ10に対応する撮像装置20は、カメラ・センサ登録部46に登録されているデータを参照することで特定できる。
【0025】
物体輪郭抽出部43は、映像受信部42により受信した映像データを解析し、映像内に現れた物体(検出物)の輪郭を抽出する。検出物の輪郭は、公知の種々の手法により取得することができる。例えば、事前に用意しておいた基準画像と撮影映像との差分画像からエッジ成分を検出することで、検出物の輪郭を取得してもよい。
【0026】
境界線判定部44は、物体輪郭抽出部43により抽出された検出物の輪郭とフェンス境界線登録部47に登録されているフェンス下端の境界線B1とを比較して、検出物がフェンスのすぐ近くに存在しているかを判定する。すなわち、検出物の輪郭の少なくとも一部が境界線B1から所定距離内にある場合(重なっている場合も含む)には、検出物がフェンスのすぐ近くに存在していると判定し、そうでない場合には、検出物がフェンスのすぐ近くには存在していないと判定する。検出物の輪郭と境界線B1との距離としては、例えば、検出物の輪郭下端と境界線B1との間の画素数を用いることができる。
【0027】
物体面積計測部45は、境界線判定部44により検出物がフェンスのすぐ近くに存在していると判定された場合に、物体輪郭抽出部43により抽出された検出物の輪郭内部の面積を計測する。輪郭内部の面積は、公知の種々の手法により計測することができる。例えば、輪郭内部の画素数を、輪郭内部の面積として用いてもよい。撮像装置20とフェンスとの間の距離は一定であるため、物体面積計測部45により計測された検出物の輪郭内部の面積は、フェンスとほぼ同じ位置にある検出物の大きさを表すことになる。
【0028】
面積比較部49は、物体面積計測部45により計測された検出物の輪郭内部の面積と面積閾値登録部48に登録されている面積閾値とを比較して、検出物が人間(つまり、侵入者)か否かを判別する。すなわち、輪郭内部の面積が面積閾値より大きい場合は、検出物は人間の可能性が高いと判定し、そうでない場合は、検出物は他の物体(例えば、小動物)の可能性が高いと判定する。
【0029】
警報情報送信部50は、境界線判定部44及び面積比較部49の判定結果に応じた警報情報を監視端末装置60へ送信する。具体的には、境界線判定部44により検出物がフェンスのすぐ近くには存在しないと判定された場合には、風等の自然現象による誤報の可能性が高いことを示す警報情報(以下、警報A)を送信する。また、境界線判定部44により検出物がフェンスのすぐ近くに存在していると判定された場合には、面積比較部49による判定結果に応じて、検出物は小動物の可能性が高いことを示す警報情報(以下、警報B)、又は、検出物は人間の可能性が高いことを示す警報情報(以下、警報C)を送信する。警報情報には、警報種別、異常を検出したフェンスセンサ10の識別情報(例えば、センサ番号)、フェンスセンサ10に対応する撮像装置の識別情報(例えば、カメラ番号)などが含まれる。
【0030】
監視端末装置60は、サーバ40から送信された警報情報に基づいて、フェンスセンサ10の発報を報知する。本例の監視端末装置60は、映像表示部61と、警報情報受信部62と、警報情報表示部63とを備えている。
【0031】
警報情報受信部62は、サーバ40から送信された警報情報を受信する。
警報情報表示部63は、警報情報受信部62により受信した警報情報を監視端末装置60のモニタに表示する。
映像表示部61は、監視端末装置60のユーザによる操作に応じて、撮像装置10(又は録画装置30)へ撮影映像の送信を要求し、受信した映像を監視端末装置60のモニタに表示する。
【0032】
図4には、監視端末装置60のモニタに表示される監視画面の例を示してある。
図4に示す監視画面70は、映像表示領域71と、再生制御ボタン72と、地図領域73と、警報情報表示領域74と、警報確認ボタン75と、ブザー音停止ボタン76と、警報履歴表示領域77とを有している。
【0033】
映像表示領域71は、撮像装置10(又は録画装置30)から受信した映像を表示する領域である。どの撮像装置10による撮影映像を表示するかは、地図表示領域73をユーザが操作することで切り替えることができる。なお、サーバ40から警報情報を受信した場合には、その警報情報に対応する撮像装置10による撮影映像の表示に自動的に切り替わる。また、映像内の検知物をユーザが容易に見つけ出せるように、検知物を取り囲む枠を表示する。更に、警報情報の種別をユーザが容易に判別できるように、警報情報の種別に応じて表示態様を変化させる。例えば、映像表示領域71の周囲の領域の色を、警報Aの場合は緑、警報Bの場合は黄、警報Cの場合は赤に変化させる。
【0034】
再生制御ボタン72は、映像表示領域71に表示する映像についての再生操作をユーザから受け付ける操作部である。ユーザは、再生制御ボタン72を操作することで、映像表示領域71の映像の再生、一時停止、早送り、巻き戻し等を制御することができる。
【0035】
地図表示領域73は、監視対象の施設の地図を表示する領域であり、撮像装置20の設置場所に対応する位置にはカメラアイコンが表示される。ユーザは、映像を表示したい位置のカメラアイコンを選択することで、そのカメラアイコンに対応する撮像装置10による撮影映像が映像表示領域71に表示される。なお、サーバ40から警報情報を受信した場合には、その警報情報に対応する撮像装置10をユーザが容易に特定できるように、対応するカメラアイコンの態様を変化させる。例えば、カメラアイコンの色を、警報Aの場合は緑、警報Bの場合は黄、警報Cの場合は赤に変化させる。
【0036】
警報情報表示領域74は、サーバ40から受信した警報情報及び関連する情報を表示する領域である。警報情報表示領域74には、例えば、検知した侵入物の数、大きさ、非常時の指示などが表示される。
【0037】
警報確認ボタン75は、警報を解除するためのボタンである。ユーザは、サーバ40から受信した警報情報や撮像装置10による撮影映像を確認した後に、警報確認ボタン75を操作して警報を解除する。
【0038】
ブザー音停止ボタン76は、サーバ40から受信した警報情報の種別に応じて鳴動するブザー音を停止するためのボタンである。ブザー音は、例えば、警報C(侵入者の可能性が高い)の発報時に出力が開始され、ユーザがブザー音停止ボタン76を操作することで出力が停止される。
【0039】
警報履歴表示領域77は、これまでに受信した警報情報の履歴を表示する領域である。警報履歴表示領域77には、例えば、警報の発報日時、侵入物の検知場所、警報の種別などの項目が一覧形式で表示される。警報履歴表示領域77の表示は、ユーザの操作に応じてソート順(表示順)を切り替えることができる。また、いずれかの警報情報の履歴を選択することで、その時点の映像を録画装置30から取得して映像表示領域71に表示させることもできる。
【0040】
図5には、サーバ40による処理フローの例を示してある。サーバ40は、フェンスセンサ10の発報に応じて以下の処理を行う。
まず、センサ発報受信部41が、フェンスセンサ10からの発報信号を受信する(ステップS11)。次いで、映像受信部42が、発報信号の送信元であるフェンスセンサ10に対応する撮像装置20から映像データを取得する(ステップS12)。次いで、物体輪郭抽出部43が、映像データを解析して映像内の検出物の輪郭を抽出する(ステップS13)。次いで、境界線判定部44が、検出物の輪郭とフェンス下端の境界線B1とを比較して、検出物がフェンスのすぐ近くに存在しているかを判定する(ステップS14)。
【0041】
検出物がフェンスのすぐ近くに存在していないと判定された場合(ステップS14:No)は、自然現象に起因する誤発報の可能性が高いと判定し(ステップS17)、警報情報送信部50が、その旨を示す警報Aを発報する(ステップS18)。
一方、検出物がフェンスのすぐ近くに存在していると判定された場合(ステップS14:Yes)は、物体面積計測部45が、検出物の輪郭内部の面積を計測する(ステップS15)。次いで、面積比較部49が、検出物の輪郭内部の面積と面積閾値とを比較して、検出物が人間(侵入者)か小動物かを判別する(ステップS16)。
【0042】
輪郭内部の面積が面積閾値より大きくない場合(ステップS16:No)は、検出物は小動物の可能性が高いと判定し(ステップS19)、警報情報送信部50が、その旨を示す警報Bを発報する(ステップS20)。
一方、輪郭内部の面積が面積閾値より大きい場合(ステップS16:Yes)は、検出物は人間の可能性が高いと判定し(ステップS21)、警報情報送信部50が、その旨を示す警報Cを発報する(ステップS22)。
【0043】
図6には、別の実施例として、センサケーブルに代えて赤外線センサを使用する場合の例を示してある。図6に示す例では、赤外線センサ12をフェンスの上部に設置してある。これは、フェンス上方を通過する物体を検知する際に有効である。この場合、フェンス上端の境界線B2を事前に設定し、フェンス境界線登録部47に登録しておけばよい。これにより、フェンス下端の境界線B1を用いる場合と同様な手法で、フェンス上端付近にある検知物の種類を判別することが可能となる。
【0044】
以上のように、本例の監視システムは、所定区域を取り囲むフェンスに取り付けられたフェンスセンサ10と、フェンスを含むエリアを撮影する撮像装置20と、フェンスセンサ10の発報に応じて撮像装置20により撮影された映像を解析し、映像内に現れた物体を検出するサーバ40と、フェンスセンサ10の発報を報知する監視端末装置60とを備えている。そして、サーバ40が、映像におけるフェンスと検出物の位置関係と、映像における検出物の面積とに基づいて、検出物が侵入者か否かを判定し、判定結果を監視端末装置60に表示させるように構成されている。
【0045】
このように、本例の監視システムでは、映像における検出物とフェンスとの位置関係に基づいて、検出物が侵入者か否かが自動的に判定されるため、監視者(監視端末装置60のユーザ)の作業負荷を軽減することができる。これにより、自然現象により広範囲にわたる多数のフェンスセンサ10が同時発報した際の確認や、同じタイミングで侵入者を検知した場合の確認なども容易になり、確認作業の時間短縮も見込まれる。
【0046】
また、本例の監視システムでは、サーバ40が、映像におけるフェンス下端の境界線B1(又はフェンス上端の境界線B2)の近傍に検出物の少なくとも一部があり、かつ、検出物の面積が閾値以上の場合に、検出物を侵入者と判定するように構成されている。このように、簡易な手法により検出物が侵入者か否かを判定できるので、サーバ40の処理負担が軽減される。また、監視システムを構築するコストを抑えることもできる。
【0047】
また、本例の監視システムでは、監視端末装置60が、サーバ40による検知物が侵入者か否かの判定結果に応じて、報知態様を変化させる構成となっている。したがって、監視者は、検出物が侵入者か否かを容易且つ具体的に判別することが可能となる。
【0048】
なお、上記の説明では、フェンスセンサ10の発報時の映像を解析しているが、発報時前後の所定期間内の映像を解析するようにすることで、より正確な判定を行うことを可能とする。要は、人間や小動物などの物体に起因してフェンスセンサ10が発報した際の現場を捉えた映像(検知物がフェンス近傍にいる時点の映像)を解析できればよい。
【0049】
ここで、本例の監視システムでは、設置物センサとして、フェンスに取り付けられたフェンスセンサを例に挙げたが、必ずしもフェンスセンサでなくともよい。つまり、本発明に係る設置物センサとしては、施設や敷地などの所定区域の境界に設置された設置物(例えば、ネット、塀、柵、壁など)に取り付けられ、所定の物理的作用の感知に応じて発報する種々のタイプのセンサ(例えば、赤外線センサ、張力センサ、振動センサ、加速度センサなど)を使用することが可能である。
【0050】
また、本例の監視システムでは、撮像装置20は設置物の内側に設けられているが、必ずしも設置物の内側でなくともよく、設置物線上や設置物の外側に設置してもよい。つまり、検出物と設置物の位置関係や検出物の輪郭・面積等を映像から検出できる配置であれば、どのような場所に撮像装置20を設置してもよい。
【0051】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記のような構成に限定されるものではなく、上記以外の構成により実現してもよいことは言うまでもない。
また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法や方式、そのような方法や方式をプロセッサやメモリ等のハードウェア資源を有するコンピュータにより実現するためのプログラム、そのようなプログラムを記憶する記憶媒体などとして提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、設置物センサと撮像装置を用いて所定区域への侵入を監視する監視システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
10:フェンスセンサ、 20:撮像装置、 30:録画装置、 40:サーバ、 41:センサ発報受信部、 42:映像受信部、 43:物体輪郭抽出部、 44:境界線判定部、 45:物体面積計測部、 46:カメラ・センサ登録部、 47:フェンス境界線登録部、 48:面積閾値登録部、 49:面積比較部、 50:警報情報送信部、 60:監視端末装置、 61:映像表示部、 62:警報情報受信部、 63:警報情報表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6