(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】ホース配管構造
(51)【国際特許分類】
F16L 41/02 20060101AFI20231114BHJP
B23Q 11/10 20060101ALN20231114BHJP
【FI】
F16L41/02
B23Q11/10 E
(21)【出願番号】P 2019176335
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100125737
【氏名又は名称】廣田 昭博
(72)【発明者】
【氏名】合津 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】白木 翔平
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-020819(JP,U)
【文献】特開平10-002477(JP,A)
【文献】実開昭63-084486(JP,U)
【文献】実開平06-071996(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 41/02-41/03
B23Q 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌ネジの切られたベース側接続口を有するベースブロックと、
前記ベース側接続口に対する入力側接続口が形成され、その入力側接続口と二以上の分岐流路を介して連通する二以上のホース接続口が形成された分岐ブロックと、
円筒形状部材の一端側に前記ベース側接続口にねじ込まれる雄ネジ部が形成され、他端側には前記入力側接続口に嵌め込まれる嵌め込み部が形成され、前記ベースブロックと前記分岐ブロックとの流路を連結するブロック継手と、
前記ブロック継手によって連結された前記ベースブロックと前記分岐ブロックとを固定する固定ブラケットと、
を有するホース配管構造
であって、
前記固定ブラケットは、前記分岐ブロックの前記ホース接続口側を前記ベースブロックとともに固定するように配置され、前記分岐ブロックを前記固定ブラケットに固定する保持金具が設けられたホース配管構造。
【請求項2】
前記ベースブロックのベース側接続口に形成された雌ネジおよび、前記ブロック継手に形成された前記雄ネジ部は、テーパネジである請求項1に記載のホース配管構造。
【請求項3】
前記ブロック継手の前記嵌め込み部は、円筒形状の外周面に回転伝達用の平面部とOリングを取り付ける環状溝とが形成されたものである請求項1または請求項2に記載のホース配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭い場所に複数のホースを連結させるためのホース配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば工作機械は、タレット装置へ圧縮エアやクーラントが送られ、工具を加工位置に移動させるための駆動部には潤滑油が供給されるようにした流体回路が構成されている。こうした各種流体が使用される加工機器などには機内に複数本のホースが配管され、そのホースが各所で接続されている。
図5は、工作機械内でホースを接続させる、従来のホース配管構造を示した斜視図である。ここではベースブロック100に対して2本のホース101,102を配管した分岐流路が構成され、エルボ111,112,113やチーズ115それにアダプタ116などの各種継手が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来のホース配管構造は、エルボ111やチーズ115などの継手がねじ込み式であることから、ホース101,102を所定方向に配管するための角度調整が難しかった。また、ネジ部の締め付けによって回転してしまうため、ホースは後から組付けなければならず、工作機械の内部のように、狭い場所での配管作業が困難であった。その配管作業では継手の締め付けにスパナなどの工具を使用しなければならないが、柄の長い工具は狭い場所での取り扱いが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、狭い場所での配管に適したホース配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るホース配管構造は、雌ネジの切られたベース側接続口を有するベースブロックと、前記ベース側接続口に対する入力側接続口が形成され、その入力側接続口と二以上の分岐流路を介して連通する二以上のホース接続口が形成された分岐ブロックと、円筒形状部材の一端側に前記ベース側接続口にねじ込まれる雄ネジ部が形成され、他端側には前記入力側接続口に嵌め込まれる嵌め込み部が形成され、前記ベースブロックと前記分岐ブロックとの流路を連結するブロック継手と、前記ブロック継手によって連結された前記ベースブロックと前記分岐ブロックとを固定する固定ブラケットとを有し、前記固定ブラケットは、前記分岐ブロックの前記ホース接続口側を前記ベースブロックとともに固定するように配置され、前記分岐ブロックを前記固定ブラケットに固定する保持金具が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
前記構成によれば、ブロック継手の一端側が雄ネジ部としてベース側接続口にねじ込まれ、ベースブロックに突き立てられた当該ブロック継手の嵌め込み部が、分岐ブロックの入力側接続口に嵌め込まれることで、ベースブロックと分岐ブロックとの流路が連結され、そして両ブロックが固定ブラケットによって固定される。その際、分岐ブロックには予めホースが接続された状態でブロック継手に分岐ブロックを連結するため、狭い場所でも配管を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ホース配管構造について一の方向から示した斜視図である。
【
図2】ホース配管構造について他の方向から示した斜視図である。
【
図3】マニホールドと分岐ブロックとの連結部分を示した断面図である。
【
図4】マニホールドと分岐ブロックとの連結部分を分離した状態で示した断面図である。
【
図5】従来のホース配管構造を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るホース配管構造の一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。
図1および
図2は、ホース配管構造を異なる方向から示した斜視図である。本実施形態のホース配管構造は、工作機械に組み込まれたものであり、マニホールド1を介して流れるクーラントを2本のホース3,4に分岐させるものである。そのマニホールド1の内部には、ホース3,4への流れの他に、不図示のクーラントバルブを介して複数の出力ポート11へ流れる流路が形成されている。なお、マニホールド1は、
図5に示すベースブロック100と同一のものであ
る。
【0010】
マニホールド1は、直方体形状のブロックであり、工作機械内では長手方向を縦にして配置されている。マニホールド1は、側面の一つにタップの切られた4つの出力ポート11が形成され、隣のクロスハッチングで示した組付け面12には不図示のクーラントバルブが4つ組付けられるよう構成されている。マニホールド1は、下面に入力ポート15(
図3参照)が形成され、4つの出力ポート11に連通する内部流路において、クーラントバルブの開閉による連通および遮断の切り換えが行われるようになっている。
【0011】
ここで、
図3および
図4は、マニホールド1と分岐ブロック2との連結部分を示した断面図である。マニホールド1は、上面14に出力ポート16が形成され、下面13の入力ポート15と連通する流路17が形成されている。この流路17には、図示しないが、4つの出力ポート11にクーラントバルブを介して連通する流路が接続されている。こうしてマニホールド1には複数のポートが形成されているが、出力ポート11、入力ポート15および出力ポート16は、いずれもタップが切られたねじ込み式である。
【0012】
次に、分岐ブロック2は、マニホールド1を通って流れるクーラントを2方向に流すものであり、その流路は入力ポート21に横流路22が接続され、横流路22に対して2つの出力ポート23,24が連通するように形成されている。そして、出力ポート23,24には、工作機械内の所定箇所へクーラントを送るためのホース3,4がホース用継手25,26を介して接続されている。本実施形態のホース配管構造は、ホース3,4が接続された分岐ブロック2が、その状態のままマニホールド1に対して接続できるよう構成されている。
【0013】
マニホールド1と分岐ブロック2との接続には、両者が重なり合う接合部分にブロック継手5が埋設され、両流路を連通するように出力ポート16と入力ポート21とが接続される。ここで、ベースブロックであるマニホールド1は、出力ポート16がベース側接続口であり、そこに分岐ブロック2の入力ポート21が入力側接続口として接続される。ブロック継手5は、出力ポート16や入力ポート21に合わせた円筒形状の部材であって、マニホールド1側のねじ込み部5Aと、分岐ブロック2側の嵌め込み部5Bと軸方向に2分されている。
【0014】
ブロック継手5におけるマニホールド1側のねじ込み部5Aは、出力ポート16に形成された雌ネジ160に螺合する雄ネジ51が形成されており、特に気密性を必要とするためテーパネジとなっている。一方、ブロック継手5における分岐ブロック2側の嵌め込み部5Bは、入力ポート21に嵌め込まれる円筒形状の外周面に、中央側の環状溝内にOリング52が入れられ、先端側には180°の対称位置に回転伝達用の平面部53が形成されている。
【0015】
ブロック継手5は、2か所の平面部53を挟むようにしてレンチが嵌め込まれ、回転が与えられた雄ネジ51が出力ポート16の雌ネジ160に締め込まれるようになっている。そして、マニホールド1に固定されたブロック継手5は、上面14に嵌め込み部5Bが突き立てられ、ホース3,4が接続された状態の分岐ブロック2は、その入力ポート21が嵌め込み部5Bに対し上方から嵌め込まれるようになっている。マニホールド1と分岐ブロック2は、ブロック継手5により連結され、両者の流路が連通することとなる。
【0016】
ところで、上記特許文献1には、ブロック状の第1および第2バルブ本体の流路を繋ぐため、本実施形態と同様に継手を埋設するようにした構成が開示されている。その継手は、円筒形状の部材であり、中央部分に隔壁が設けられ、両端部にはOリングが嵌め込まれている。そうした継手が接合面同士を重ね合わせた各バルブ本体内に組み込まれる。
【0017】
しかし、両側をOリングでシールする従来の構造は、工作機械のように振動が伝わる構造物内ではOリングにずれが生じてしまうおそれがある。また、工作機械で流されるクーラントには切粉が混入しているため、それがOリングを損傷させ、シール性を低下させてしまうことになる。そのため、ブロック継手5とマニホールド1との接続構造として、ねじ込み部5Aが形成されている。その一方で、ブロック継手5と分岐ブロック2との接続構造は、狭い場所でのねじ込み構造が適切でないことから嵌め込み構造となっている。
【0018】
次に、ホース配管構造では
図1および
図2に示すように、分岐ブロック2からはホース3,4が延びており、工作機械の稼働中は振動によって、マニホールド1と分岐ブロック2との接続部分にはモーメントが作用する。この点、本実施形態では、ブロック継手5の一方がねじ込み部5Aとなり、雄ネジ51が出力ポート16の雌ネジ160に螺合して強固に接続されている。しかし、分岐ブロック2側は嵌め込み式になっているため、そのままでは接続部分にずれが生じ得る。
【0019】
そこで、分岐ブロック2をマニホールド1と一体的な構造にするための固定ブラケット6が用いられている。固定ブラケット6は、モーメントによる荷重を支えるようにホース3,4側に配置され、マニホールド1の一側面全体と、分岐ブロック2における出力ポート23,24の下側部分とに広く当たるようにした平面形状の固定部61を有している。その固定部61は、複数の個所にボルト孔が形成され、マニホールド1や分岐ブロック2に当てられて、ボルトやナットを使用して固定される。また、固定部61には、分岐ブロック2の位置に合わせて張出し部611が左右両側に形成され、そこに分岐ブロック2の固定をより安定させるために保持金具7が設けられている。
【0020】
保持金具7は、分岐ブロック2の形状に合わせたコの字形であり、その両端部には更に折り曲げられた部分が張出し部611に重ね合わされる。そうした保持金具7は、両端部がボルトにより固定ブラケット6に固定されるとともに、分岐ブロック2に対してもボルトにより固定されるようになっている。従って、ブロック継手5の一方が嵌め込み式であっても、固定ブラケット6によってマニホールド1および分岐ブロック2が強固に組付けられ、保持金具7によって更にその状態が安定する構成となっている。
【0021】
更に固定ブラケット6は、平面形状の固定部61から直交方向に延長した支持部62,63が上下に形成されている。こうした固定ブラケット6は、固定部61、支持部62,63が一枚の金属プレートからカットされ、支持部62,63は、直交方向に延びるように折り曲げられ、その長手方向の曲げ剛性を高めるためにL字形状に折り曲げられた形状をしている。そして、固定ブラケット6は、支持部62,63の図示しない部分が工作機械内部に固定され、マニホールド1および分岐ブロック2を支えるようにしている。
【0022】
よって、本実施形態のホース配管構造は、レンチを使用してマニホールド1にブロック継手5を固定した後は、予めホース3,4を接続した分岐ブロック2をブロック継手5に嵌め込めばよいため、工作機械内部のような狭い場所での作業性が向上する。しかも、ブロック継手5に対する分岐ブロック2の嵌め込みは、従来のように回転させないためホース3,4を正しい方向に配管することができる。また、ブロック継手5のマニホールド1側をねじ込み部5Aとしたため、切粉が混入しているクーラントに対応することができ、工作機械に適したホース配管構造となっている。固定ブラケット6や保持金具7を用いた構成である点でも、振動が生じる工作機械のホース配管構造として優れている。
【0023】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、ベースブロックをマニホールド1とした工作機械における流体回路内のホース配管構造を例に挙げて説明したが、他の流体回路であってもよい。
また、固定ブラケット6は、支持部62,63を備えていることが好ましいが、振動を受けないような箇所での配管には必ずしも必要ではない。
【符号の説明】
【0024】
1…マニホールド 2…分岐ブロック 3,4…ホース 5…ブロック継手 5A…ねじ込み部 5B…嵌め込み部 6…固定ブラケット 7…保持金具 16…出力ポート 21…入力ポート 23,24…出力ポート 25,26…ホース用継手 51…雄ネジ 52…Oリング 53…平面部