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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】設計支援装置および設計支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20231114BHJP
【FI】
G06F30/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019210900
(22)【出願日】2019-11-21
(65)【公開番号】P2021082157
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 一朗
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇喜
(72)【発明者】
【氏名】奥野 東
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-92242(JP,A)
【文献】国際公開第2005/101253(WO,A1)
【文献】特開2015-32195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00-30/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設計に起因する不具合に係る不具合情報から、前記不具合に係るチェックの対象と、前記チェックの内容を特定するための情報とを抽出する抽出部と、
チェックの内容と、前記チェックの内容を特定するための情報とが対応付けられたチェック内容情報を用いて、前記抽出部により抽出されたチェックの内容を特定するための情報に該当するチェックの内容を特定する特定部と、
前記抽出部により抽出されたチェックの対象の形状を認識する第1のプログラムを示す情報と、前記特定部により特定されたチェックの内容を行う第2のプログラムを示す情報とを出力する出力部と、
を備える設計支援装置。
【請求項2】
形状を認識するためのプログラムと所定の内容のチェックを行うプログラムとを記憶する記憶部と、
前記抽出部により抽出されたチェックの対象の形状を認識するプログラムと、前記特定部により特定されたチェックの内容を行うプログラムとを前記記憶部から検索し、検索したプログラムに前記チェックの対象と前記チェックの内容とを設定し、設計データの製造性を判定するプログラムを作成する作成部と、
を更に備える請求項1に記載の設計支援装置。
【請求項3】
設計に係るキーワードに基づいて、入力された不具合情報から、設計に起因する不具合に係る不具合情報を選定する選定部を更に備える、
請求項1に記載の設計支援装置。
【請求項4】
前記チェック内容情報のチェックの内容を特定するための情報は、不具合の原因を示す原因情報と前記不具合への対策を示す対策情報とを含んで構成され、
前記抽出部は、前記不具合情報から前記不具合の原因を示す原因情報および前記不具合への対策を示す対策情報を抽出し、
前記特定部は、前記抽出部により抽出された原因情報および対策情報に該当するチェックの内容を特定する、
請求項1に記載の設計支援装置。
【請求項5】
前記チェック内容情報のチェックの内容を特定するための情報は、不具合の現象を示す現象情報と前記不具合への対策を示す対策情報とを含んで構成され、
前記抽出部は、前記不具合情報から前記不具合の現象を示す現象情報および前記不具合への対策を示す対策情報を抽出し、
前記特定部は、前記抽出部により抽出された現象情報および対策情報に該当するチェックの内容を特定する、
請求項1に記載の設計支援装置。
【請求項6】
チェックの対象を設定可能な第1の領域と、チェックの内容を設定可能な第2の領域と、を含んで構成されるテンプレートを記憶する記憶部を更に備え、
設計に起因する不具合に係る不具合情報は、前記不具合を示す文章を含むテキストデータであり、
前記抽出部は、予め登録されたキーワードを前記不具合に係るチェックの対象として前記不具合情報から抽出し、
前記出力部は、前記抽出部により抽出されたキーワードを前記第1の領域に設定し、かつ、前記特定部により特定されたチェックの内容を前記第2の領域に設定した前記テンプレートを出力する、
請求項1に記載の設計支援装置。
【請求項7】
抽出部が、設計に起因する不具合に係る不具合情報から、前記不具合に係るチェックの対象と、前記チェックの内容を特定するための情報とを抽出することと、
特定部が、チェックの内容と、前記チェックの内容を特定するための情報とが対応付けられたチェック内容情報を用いて、前記抽出部により抽出されたチェックの内容を特定するための情報に該当するチェックの内容を特定することと、
出力部が、前記抽出部により抽出されたチェックの対象の形状を認識する第1のプログラムを示す情報と、前記特定部により特定されたチェックの内容を行う第2のプログラムを示す情報とを出力することと、
を備える設計支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計支援装置および設計支援方法に関し、例えば、設計を支援する設計支援装置および設計支援方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
製品、部品、部位、システム(以下、「製品」と記す)の設計では、CAD(Computer Aided Design)ソフトウェアを用いて、製品の形状(以下、「形状」と記す)を検討し、2次元CADデータ(図面)、3次元CADデータといったCADデータを作成し、製品の品質を評価することが広く行われている。CADソフトウェアを用いた形状の設計においては、設計したCADデータ上の形状について加工、組み立て作業等を実際に行えるかどうかの製造性を設計段階で確認することが行われている。設計段階で形状を確認することにより、後工程での手戻りおよび不良設計を防止することが可能である。
【0003】
ここで、特許文献1に記載されたシステムでは、CADデータの作成時にCADデータが設計ルールを満足するか判断し、形状の加工性を設計段階で判断する方法が開示されている。形状の加工性を予め確認できるように、設計基準および加工機械の制約に係る情報をプログラム化しておくことが重要である。
【0004】
一方、不具合が発生した後、同様の不具合が再発しないように、設計段階で形状を確認できるようにプログラム化しておくことが望ましいが、設計のチェックリストに不具合情報を反映して設計者が確認できるまでに留まっている。
【0005】
この点、特許文献2および特許文献3に記載されたシステムでは、過去の設計変更と不具合情報とを対応付けて設計者端末に提供することで、不良設計が起こる事態を低減する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-211434号公報
【文献】特開2010-9151号公報
【文献】特開平8-30670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
不具合に対応した内容を設計段階でシステムにより確認するためには、設計のチェックリストの参照による確認のみならず、形状に係るチェックをCADデータ上で行うこと等、不具合を防ぐための確認方法の改善が必要である。上記特許文献1~3に記載の技術では、過去の不具合情報と設計変更とを紐付けることで、設計変更による不具合を防ぐ設計支援が提案されている。しかしながら、不具合を防ぐための製造性の確認方法の改善点については開示されていない。
【0008】
本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、過去の不具合情報を加味した製造性の判定が設計データに対して行われるように支援する設計支援装置等を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明においては、設計に起因する不具合に係る不具合情報から、前記不具合に係るチェックの対象と、前記チェックの内容を特定するための情報とを抽出する抽出部と、チェックの内容と、前記チェックの内容を特定するための情報とが対応付けられたチェック内容情報を用いて、前記抽出部により抽出されたチェックの内容を特定するための情報に該当するチェックの内容を特定する特定部と、前記抽出部により抽出されたチェックの対象の形状を認識する第1のプログラムを示す情報と、前記特定部により特定されたチェックの内容を行う第2のプログラムを示す情報とを出力する出力部と、を設けるようにした。
【0010】
上記構成では、過去の不具合情報を加味して設計データの製造性を判定するプログラムを構成する第1のプログラムと第2のプログラムとを示す情報が出力されるので、例えば、製造性判プログラムを作成する時間を短縮することができる。また、上記構成では、設計データに対して第1のプログラムおよび第2のプログラムを設計者が実行することにより、過去の不具合情報を加味した製造性の判定が設計データに対して行われることで、設計を支援することができる。また、例えば、設計データに対して第1のプログラムと第2のプログラムとを実行することで、設計段階において不具合が発生するリスクを低減することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、製品の設計を適切に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施の形態による設計支援装置に係る構成の一例を示す図である。
図2】第1の実施の形態によるチェック内容情報の一例を示す図である。
図3】第1の実施の形態によるテンプレートの一例を示す図である。
図4】第1の実施の形態による設計支援装置に係る処理の一例を示す図である。
図5】第1の実施の形態によるチェック内容特定情報を抽出する処理の一例を示す図である。
図6】第1の実施の形態による画面の一例を示す図である。
図7】第1の実施の形態による製造性判定プログラムの処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。本実施の形態では、製品の設計において、過去の不具合情報を活用して設計データの製造性を判定する技術について説明する。設計データは、CADソフトウェアで作成されたCADデータに限るものではなく、製品の形状を設計可能なソフトウェアで作成されたあらゆるデータである。以下では、説明の便宜上、CADデータを例に挙げて説明する。
【0014】
なお、以下の説明では、同種の要素を区別しないで説明する場合には、枝番を含む参照符号のうちの共通部分(枝番を除く部分)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、枝番を含む参照符号を使用することがある。例えば、キーワードを特に区別しないで説明する場合には、「キーワード201」と記載し、個々のキーワードを区別して説明する場合には、「キーワード201-1」、「キーワード201-2」のように記載することがある。
【0015】
(1)第1の実施の形態
図1において、100は全体として第1の実施の形態による設計支援装置を示す。
【0016】
図1は、設計支援装置100に係る構成の一例を示す図である。
【0017】
設計支援装置100は、パーソナルコンピュータ、サーバ装置、タブレット端末等である。設計支援装置100は、図示は省略する、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、通信部等を含んで構成される。
【0018】
設計支援装置100の機能(選定部101、抽出部102、特定部103、作成部104、出力部105等)は、例えば、CPUがROMに格納されたプログラムをRAMに読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。また、設計支援装置100の機能の一部は、設計支援装置100と通信可能な他のコンピュータにより実現されてもよい。
【0019】
また、設計支援装置100は、記憶部111を備えてもよいし、記憶部111と通信可能に接続されてもよい。記憶部111は、各種の情報、プログラム等をHDD等の記憶装置に記憶する。例えば、記憶部111は、CADデータで作成された形状を認識するプログラム(以下、「形状認識プログラム」と記す)、形状認識プログラムで認識された形状をチェックの対象として加工機械で加工できるかどうか等、設計の条件を満たしているかをチェック(以下、「設計チェック」と記す)するプログラム(以下、「設計チェックプログラム」と記す)、後述のチェック内容情報(例えば、図2参照)等を記憶する。なお、記憶部111は、データベースであってもよいし、ストレージシステムであってもよい。
【0020】
また、設計支援装置100は、表示装置112を備えてもよいし、表示装置112と通信可能に接続されてもよい。表示装置112は、ディスプレイ等であり、各種の情報を表示する。表示装置112は、出力部105による出力先の一例である。他の出力先としては、記憶部111、スピーカ、プリンタ等が挙げられる。付言するならば、設計支援装置100は、各種の音を出力可能なスピーカを備えてもよいし、スピーカと通信可能に接続されてもよい。また、設計支援装置100は、各種の情報を印刷するプリンタと通信可能に接続されてもよい。
【0021】
また、設計支援装置100は、設計段階、制作段階、検査段階、出荷段階、使用段階等の製品に係る段階において発生した不具合に係る不具合情報121を入力可能に構成される。
【0022】
ここで、不具合情報121としては、設計に起因する不具合に係る不具合情報121(以下、「設計起因情報」と記す)、製造に起因する不具合に係る不具合情報121、想定外の使用環境等に起因する不具合に係る不具合情報121等がある。よって、設計に反映する不具合情報121として、設計起因情報を抽出するのに時間を要してしまう問題がある。特に、不具合情報121を分析して対策する設計者と、分析された結果をCADデータ上で製造性を判定可能なプログラム(以下、「製造性判定プログラム」)を作成する開発者とが異なっていると、不具合情報121を分析して製造性判定プログラムを用意し、製造性の判定に反映することが必要となるが、連携が困難である。そこで、設計起因情報を選定する選定部101を設けることが好適である。なお、設計支援装置100に選定部101を設けない場合、設計者、開発者等により設計起因情報が選定される。
【0023】
選定部101は、予め登録されている1つ以上のキーワードをもとに、製品に係る各段階での作業に起因する内容で不具合情報121を分類し、設計起因情報を選定する。例えば、不具合情報121にキーワード「設計時」が含まれている場合、選定部101は、当該不具合情報121を設計起因情報として選定する。
【0024】
抽出部102は、選定部101で抽出された設計起因情報から、不具合の部位、不具合の現象、不具合の原因、不具合の対策等を抽出する。不具合の部位については、設計チェックする対象(以下、「チェック対象」と記す)とされる。不具合の現象、不具合の原因、および不具合の対策については、設計チェックの内容(以下、「チェック内容」と記す)を特定するため情報(以下、「チェック内容特定情報」と記す)とされる。
【0025】
特定部103は、チェック内容情報を参照し、抽出部102で抽出されたチェック内容特定情報に対応するチェック内容を特定する。チェック内容情報では、チェック内容特定情報とチェック内容とが対応付けられている。なお、チェック内容情報については、図2を用いて後述する。
【0026】
作成部104は、記憶部111に登録されているプログラムから、抽出部102で抽出されたチェック対象(不具合の部位)を認識する形状認識プログラムと、特定部103で特定されたチェック内容で設計チェックをする設計チェックプログラムとを抽出する。作成部104は、抽出した形状認識プログラムと設計チェックプログラムとをもとに製造性判定プログラムを作成する。
【0027】
出力部105は、抽出部102により抽出された情報、特定部103により特定されたチェック内容に係る情報、作成部104により作成される製造性判定プログラムに係る情報(例えば、形状認識プログラムと設計チェックプログラムとを示す情報、図3を用いて説明するテンプレートの情報等)を表示装置112に表示する。
【0028】
図2は、チェック内容情報の一例(チェック内容テーブル200)を示す図である。
【0029】
チェック内容テーブル200は、チェック内容特定情報に係るキーワード201と、チェック内容202とを対応付けている表である。
【0030】
キーワード201-1は、不具合の原因に係るキーワードである。キーワード201-2は、不具合の対策に係るキーワードである。キーワード201-3は、不具合の現象に係るキーワードである。
【0031】
チェック内容202-1は、チェック対象の有無をチェックすること(以下、「有無チェック」と記す)を示すチェック内容である。チェック内容202-2は、チェック対象間の距離をチェックすること(以下、「距離チェック」と記す)を示すチェック内容である。
【0032】
例えば、不具合情報121に、不具合の原因として、「形状相違」というキーワード201-1が含まれ、かつ、不具合の対策として、「部品追加」または「交換」に係るキーワード201-2が含まれている場合、チェック内容として有無チェックが特定される。
【0033】
また、例えば、不具合情報121に、不具合の対策に「寸法変更」というキーワード201-2が含まれ、かつ、不具合の現象として、「干渉」に係るキーワード201-3が含まれている場合、チェック内容として距離チェックが特定される。
【0034】
なお、チェック内容テーブル200では、不具合の原因に係るキーワード201-1と、不具合の対策に係るキーワード201-2とからチェック内容202-1が特定されるケースと、不具合の対策に係るキーワード201-2と、不具合の現象に係るキーワード201-3とからチェック内容202-2が特定されるケースとを示した。しかしながら、これらに限られるものではない。例えば、不具合の原因に係るキーワード201-1と不具合の対策に係るキーワード201-2と不具合の現象に係るキーワード201-3とからチェック内容202が特定されるケースもある。付言するならば、不具合の原因に係るキーワード201-1と不具合の対策に係るキーワード201-2と不具合の現象に係るキーワード201-3とのうち少なくとも1つによりチェック内容202が特定されるケースがあり得る。
【0035】
図3は、製造性判定プログラムのテンプレートの一例(テンプレート300)を示す図である。
【0036】
テンプレート300には、チェック対象とチェック内容とが設定される。より具体的には、テンプレート300には、チェック対象の認識が行われた後に、チェック対象についてチェック内容の設計チェックが行われることが設定される。
【0037】
テンプレート300は、チェック対象を設定可能な設定領域301と、チェック内容を設定可能な設定領域302と、不具合の個所を示す処理を設定可能な設定領域303とを含んで構成される。
【0038】
図3に示す例では、テンプレート300には、CADデータに対して、「皿ボルト」、「穴」、「六角ボルト」に係る認識を行った後、上記「穴」に対して上記「皿ボルト」が用いられている場合は、当該「皿ボルト」を強調して表示するといった内容が設定されている。
【0039】
ここで、チェック内容には、設計チェックの条件(以下、「チェック条件」と記す)が含まれている。例えば、特定部103は、不具合情報121について係り受け解析を行い、対策の前に記載されている現象または原因を認識することで、チェック条件を特定する。仮に、不具合情報121に「穴と皿ボルトの形状相違により、ボルトが締結されないために、対策として六角ボルトに交換した」といった内容が含まれる場合、特定部103は、対策の前に記載されている現象または原因を認識することで、有無チェックの条件である「穴に対して皿ボルトが用いられているか否か(図3では、「ボルト=皿ボルト」として表記)」を特定することが可能である。
【0040】
付言するならば、作成部104は、テンプレート300の設定領域301に設定されたチェック対象を認識可能な形状認識プログラムを記憶部111に登録されている形状認識プログラムから検索する。また、作成部104は、テンプレート300の設定領域302に設定されたチェック内容に該当する設計チェックプログラムを記憶部111に登録されている設計チェックプログラムから検索する。作成部104は、検索した既存の形状認識チェックプログラムにチェック対象を設定し、検索した既存の設計チェックプログラムにチェック条件を設定し、これらのプログラムを連結することにより、新規の不具合に対応する製造性判定プログラムを作成する。
【0041】
なお、設定領域303に設定された不具合の個所を示すプログラムについては、設計チェックプログラムに含まれている。ただし、設定領域303に設定された不具合の個所を示すプログラムについては、設計チェックプログラムに含まれていなくてもよく、設計チェックプログラムに関連付けられていてもよい。
【0042】
図4は、設計支援装置100に係る処理の一例を示す図である。
【0043】
ステップS401では、選定部101は、不具合情報121を読み込む。
【0044】
ステップS402では、選定部101は、読み込んだ不具合情報121から、設計起因情報を選定する。より具体的には、選定部101は、不具合情報121が設計に起因するものか、製造に起因するものか、使用環境に起因するものかをキーワードを用いて分類する。例えば、選定部101は、「設計時に検討不足により発生した」といった文言が不具合情報121に存在する場合は、「設計時」というキーワードを抽出し、設計に起因にするものであると判定する。
【0045】
ステップS403では、抽出部102は、選定部101により選定された設計起因情報から、チェック内容特定情報を抽出する。例えば、抽出部102は、辞書に登録されている部位、現象、原因、および対策の各々に係るキーワードを用いて、不具合情報121について自然言語処理を行い、不具合の部位、不具合の現象、不具合の原因、および不具合の対策の各々に係るキーワードを抽出する。なお、抽出部102によるチェック内容特定情報の抽出については、図5を用いて後述する。
【0046】
なお、抽出部102は、不具合情報121が記載されている報告書のフォーマットに含まれる不具合の部位、不具合の現象、不具合の原因、および不具合の対策の各々に係る欄に含まれるキーワードを抽出する構成であってもよい。
【0047】
ステップS404では、出力部105は、抽出部102により抽出されたキーワードのうち、部位に係るキーワードをチェック対象として表示装置112に表示する。なお、表示装置112に表示される内容については、図6を用いて後述する。
【0048】
ステップS405では、特定部103は、チェック内容を特定する。特定部103は、チェック内容情報を参照し、抽出部102により抽出されたチェック内容特定情報に対応するチェック内容を特定する。また、この際、特定部103は、不具合情報121について係り受け解析を行ってチェック条件を特定し、または、抽出部102で抽出された情報を用いてチェック条件を特定し、不具合情報121を加味したチェック内容とする。
【0049】
ステップS406では、特定部103は、チェック内容を特定できたか否かを判定する。特定部103は、チェック内容を特定できなかったと判定した場合、処理を終了し、チェック内容を特定できたと判定した場合、ステップS407に処理を移す。
【0050】
ステップS407では、出力部105は、抽出部102により抽出されたチェック内容特定情報を表示装置112に表示する。なお、表示装置112に表示される内容については、図6を用いて後述する。
【0051】
ステップS408では、出力部105は、テンプレートを作成し、作成したテンプレートを表示装置112に表示する。より具体的には、出力部105は、抽出部102により抽出されたチェック対象と、特定部103により特定されたチェック内容とをテンプレートに設定して表示装置112に表示する。なお、表示装置112に表示される内容については、図6を用いて後述する。
【0052】
ステップS409では、作成部104は、記憶部111に登録されている既存のチェックプログラムを読み込む。
【0053】
ステップS410では、作成部104は、読み込んだ既存のチェックプログラムから、テンプレートをもとに、形状認識チェックプログラムおよび設計チェックプログラムを検索し、検索した形状認識プログラムおよび設計チェックプログラムにチェック対象およびチェック条件を設定して結合し、製造性判定プログラムを作成する。
【0054】
なお、チェック対象を設定した形状認識チェックプログラムは、例えば、幾何特徴、CADデータの属性形状情報等を用いて、穴、ボルト等の部品を認識するプログラムとなる。また、チェック条件を設定した設計チェックプログラムは、例えば、部品間の距離、部品がチェックすべきものかどうか等を判定するプログラムとなる。
【0055】
ステップS411では、出力部105では、作成された製造性判定プログラムを示す情報を表示装置112に表示する。なお、表示装置112に表示される内容については、図6を用いて後述する。
【0056】
図5は、抽出部102がチェック内容特定情報を抽出する処理の一例を示す図である。
【0057】
本例では、不具合情報121には、文章「穴と皿ボルトの形状相違により、ボルトが締結されないために、対策として六角ボルトに交換した」(テキストデータの一例)が記載されているとする。
【0058】
抽出部102は、当該文書について形態素解析等を行うことにより、名詞と形容詞に対応したキーワードを抽出する。抽出部102は、辞書に登録されている部位、現象、原因、および対策の各々に係るキーワードを用いて、抽出したキーワードが上記のいずれかに対応するかを検索する。
【0059】
例えば、上述の文章については、係り受け解析等の自然言語処理手法を用いることにより、「~のために」、「~から」等の言葉に着目し、これらの言葉の前後に掛かるキーワードを対策前、対策後として抽出することが可能である。
【0060】
抽出部102は、対策前の部位「穴」および部位「皿ボルト」を、チェック対象に係るキーワード501として抽出する。また、抽出部102は、「締結」を現象に係るキーワード502として抽出する。抽出部102は、「形状相違」を、原因に係るキーワード503として抽出する。抽出部102は、「交換」を、対策に係るキーワード504として抽出する。抽出部102は、対策後の部位「六角ボルト」を、チェック対象に係るキーワード505として抽出する。
【0061】
なお、対策に含まれる内容のうち、対策前の内容と対策後の内容とを自然言語処理から抽出する際に、対策内容の前に現象または原因に係る情報が含まれている。
【0062】
付言するならば、例えば、「部品Aと部品Bとが干渉したため、部品Aと部品Bの距離チェックの閾値を100mmから150mmに変更した」といった内容が含まれる場合、抽出部102は、係り受け解析と、対策の前に記載されている現象または原因を認識することで、チェック条件として「距離チェックの閾値を100mmから150mm」を抽出することが可能である。なお、チェック条件を取得(抽出、特定等)する処理は、抽出部102により行われてもよいし、特定部103により行われてもよいし、他の機能により行われてもよい。
【0063】
図6は、製造性判定プログラムの作成に係る画面の一例(画面600)を示す図である。
【0064】
設計支援装置100は、読込ボタン601が押下されることにより不具合情報121を読み込んだ後、不具合情報121に含まれる不具合を示す文章(以下、「不具合データ」と記す)を不具合データ表示領域602に表示する。
【0065】
設計支援装置100は、テンプレート情報抽出ボタン603が押下されることにより、不具合データから、テンプレートの作成に必要な情報を抽出する。設計支援装置100は、抽出した情報から、チェック対象に係るキーワードをチェック対象表示領域604に表示する。また、設計支援装置100は、抽出した情報から、チェック内容特定情報に係るキーワードをチェック内容特定情報表示領域605に表示する。
【0066】
設計支援装置100は、テンプレート作成ボタン606が押下されることにより、チェック対象に係るキーワードとチェック内容特定情報に係るキーワードとをもとに、テンプレートを作成する。設計支援装置100は、作成後のテンプレートをテンプレート表示領域607に表示する。設計支援装置100は、作成後のテンプレートをもとに、チェック対象およびチェック内容に関して、編集ボタン608を用いることにより編集を受け付ける。
【0067】
設計支援装置100は、テンプレートのチェック対象およびチェック内容から、関連するプログラムを製造性判定プログラム表示領域609に表示する。プログラムを製造性判定プログラム表示領域609には、製造性判定プログラムを構成する各プログラムを示す情報(プログラムの名称等)、各プログラムに設定するチェック対象、各プログラムに設定するチェック条件等が表示される。
【0068】
設計支援装置100は、ファイル出力ボタン610が押下されることにより、テンプレートのチェック対象およびチェック内容が関連付いた製造性判定プログラムを出力する。
【0069】
図7は、所定のコンピュータにより実行される製造性判定プログラムの処理の一例を示す図である。以下では、所定のコンピュータとして、設計支援装置100を例に挙げて説明する。
【0070】
ステップS701では、設計支援装置100は、CADデータに含まれるボルト、穴等の特徴形状を認識するためのプログラムとして、皿ボルトが存在するかどうかを属性形状情報から皿ボルトの有無をチェックするプログラムを実行する。
【0071】
ステップS702では、設計支援装置100は、穴が存在するかどうかを幾何形状(円筒面)から検索するプログラムを実行する。
【0072】
ステップS703では、設計支援装置100は、六角ボルトが存在するかどうかを属性形状情報からチェックするプログラムを実行する。
【0073】
設計支援装置100は、これらのチェックプログラムにより、CADデータに含まれるチェック対象を検索する。
【0074】
ステップS704では、設計支援装置100は、チェック対象を検索した後、イコール判定プログラムにより、穴に用いられる皿ボルトがCADデータに含まれているかどうかの有無をチェックする。
【0075】
これらのプログラムを組合せることにより、過去の不具合情報121を加味した製造性判定プログラムが実現される。
【0076】
本実施の形態では、不具合情報のうち、設計に起因する不具合の現象、部位、原因、および対策の各々の情報を抽出し、抽出した情報に係る製造性判定プログラムのテンプレートを用意し、CADデータに含まれるチェック対象およびチェック内容をテンプレートにあてはめた後、チェック対象およびチェック内容に対応したプログラムを組み合わせることで、製造性を判定可能なプログラムが作成される。なお、チェック対象、チェック内容の編集を画面から受け付けない場合等においては、テンプレートが作成されることなく、製造性を判定可能なプログラムが作成される構成としてもよい。
【0077】
(2)付記
上述の実施の形態には、例えば、以下のような内容が含まれる。
【0078】
なお、上述の実施の形態においては、本発明を設計支援装置に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々のシステム、装置、方法、プログラムに広く適用することができる。
【0079】
また、上記の説明において、各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0080】
また、上述の実施の形態において、各テーブルの構成は一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されてもよいし、2以上のテーブルの全部または一部が1つのテーブルであってもよい。
【0081】
上述した実施の形態は、例えば、以下の特徴的な構成を有する。
【0082】
設計支援装置(例えば、設計支援装置100)は、設計に起因する不具合に係る不具合情報(例えば、設計起因情報)から、上記不具合に係るチェックの対象(例えば、チェック対象)と、上記チェックの内容(例えば、チェック内容)を特定するための情報(例えば、チェック内容特定情報)とを抽出する抽出部(例えば、抽出部102)と、チェックの内容と、上記チェックの内容を特定するための情報とが対応付けられたチェック内容情報(例えば、チェック内容テーブル200)を用いて、上記抽出部により抽出されたチェックの内容を特定するための情報に該当するチェックの内容を特定する特定部(例えば、特定部103)と、上記抽出部により抽出されたチェックの対象の形状を認識する第1のプログラム(例えば、形状認識プログラム)を示す情報と、上記特定部により特定されたチェックの内容を行う第2のプログラム(例えば、設計チェックプログラム)を示す情報(例えば、製造性判定プログラム表示領域609)とを出力(例えば、表示装置112に表示、プリンタによる印刷、スピーカによる音声出力)する出力部(例えば、出力部105)と、を備える。
【0083】
上記構成では、過去の不具合情報を加味して設計データの製造性を判定するプログラム(製造性判定プログラム)を構成する第1のプログラムと第2のプログラムとを示す情報が出力されるので、例えば、製造性判プログラムを作成する時間を短縮することができる。また、上記構成では、設計データに対して第1のプログラムおよび第2のプログラムを設計者が実行することにより、過去の不具合情報を加味した製造性の判定が設計データに対して行われることで、設計を支援することができる。また、例えば、設計データに対して第1のプログラムと第2のプログラムとを実行することで、設計段階において不具合が発生するリスクを低減することができる。
【0084】
形状を認識するためのプログラム(例えば、形状認識プログラム)と所定の内容のチェックを行うプログラム(例えば、設計チェックプログラム)とを記憶する記憶部(例えば、記憶部111)と、上記抽出部により抽出されたチェックの対象の形状を認識するプログラムと、上記特定部により特定されたチェックの内容を行うプログラムとを上記記憶部から検索し、検索したプログラムに上記チェックの対象と上記チェックの内容とを設定し、設計データの製造性を判定するプログラム(例えば、製造性判定プログラム)を作成する作成部(例えば、作成部104)と、を更に備える。
【0085】
上記構成では、過去の不具合情報を加味して設計データの製造性を判定するプログラムが自動で作成されるので、設計の効率を向上させることができる。
【0086】
設計に係るキーワードに基づいて、入力された不具合情報(例えば、不具合情報121)から、設計に起因する不具合に係る不具合情報(例えば、設計起因情報)を選定する選定部(例えば、選定部101)を更に備える。
【0087】
上記構成では、例えば、選定部により設計に起因する不具合に係る不具合情報が選定されるので、不具合情報の選定にかかる時間を短縮することができる。
【0088】
上記チェック内容情報のチェックの内容を特定するための情報は、不具合の原因を示す原因情報と上記不具合への対策を示す対策情報とを含んで構成され(図2参照)、上記抽出部は、上記不具合情報から上記不具合の原因を示す原因情報および上記不具合への対策を示す対策情報を抽出し、上記特定部は、上記抽出部により抽出された原因情報および対策情報に該当するチェックの内容を特定する。
【0089】
上記構成によれば、例えば、不具合の原因情報および不具合の対策情報からチェックの内容が特定されるので、不具合の原因情報および不具合の対策情報が含まれる不具合情報を加味して設計データに対する製造性を判定することができる。
【0090】
上記チェック内容情報のチェックの内容を特定するための情報は、不具合の現象を示す現象情報と上記不具合への対策を示す対策情報とを含んで構成され(図2参照)、上記抽出部は、上記不具合情報から上記不具合の現象を示す現象情報および上記不具合への対策を示す対策情報を抽出し、上記特定部は、上記抽出部により抽出された現象情報および対策情報に該当するチェックの内容を特定する。
【0091】
上記構成によれば、例えば、不具合の現象情報および不具合の対策情報からチェックの内容が特定されるので、不具合の現象情報および不具合の対策情報が含まれる不具合情報を加味して設計データに対する製造性を判定することができる。
【0092】
チェックの対象を設定可能な第1の領域(例えば、設定領域301)と、チェックの内容を設定可能な第2の領域(例えば、設定領域302)と、を含んで構成されるテンプレート(例えば、テンプレート300)を記憶する記憶部を更に備え、設計に起因する不具合に係る不具合情報は、上記不具合を示す文章を含むテキストデータであり、上記抽出部は、予め登録されたキーワードを上記不具合に係るチェックの対象として上記不具合情報から抽出し、上記出力部は、上記抽出部により抽出されたキーワードを上記第1の領域に設定し、かつ、上記特定部により特定されたチェックの内容を上記第2の領域に設定した上記テンプレートを出力する(例えば、ステップS408)。
【0093】
上記構成では、テンプレートが表示されるので、例えば、設計者は、不具合情報に基づいてどのような製造性の判定が行われるかを容易に確認することができる。
【0094】
また上述した構成については、本発明の要旨を超えない範囲において、適宜に、変更したり、組み替えたり、組み合わせたり、省略したりしてもよい。
【符号の説明】
【0095】
100……設計支援装置、102……抽出部、103……特定部、105……出力部。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7