(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】ボタン及び水栓
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20231114BHJP
A47K 1/00 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
E03C1/042 C
E03C1/042 E
A47K1/00 V
(21)【出願番号】P 2019214165
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】矢口 翔平
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-046770(JP,A)
【文献】特開2018-040184(JP,A)
【文献】特開2008-207175(JP,A)
【文献】特開平09-280415(JP,A)
【文献】特開2004-303684(JP,A)
【文献】特開2006-083650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/042
A47K 1/00
F16K 31/44
H01H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓の水栓本体に取り付けて用いられるボタンであって、
前記ボタンは、筒状のボタン本体と、前記ボタン本体の先端側に配置された有底筒状のボタンカバーとを備え、
前記ボタン本体、及び、前記ボタンカバーのいずれか一方は、周方向に延びる周方向溝を有するとともに、
前記ボタン本体、及び、前記ボタンカバーのいずれか他方は、前記周方向溝に係合して前記ボタン本体からの前記ボタンカバーの離脱を抑制する突起を有
し、
前記ボタンカバーは、前記ボタン本体に対する前記ボタンカバーの回転を抑制する回り止め部を有し、
前記水栓は、前記水栓本体を覆う水栓カバーを有し、
前記回り止め部は、前記水栓カバーに係合することによって前記ボタンカバーの回転を抑制することを特徴とするボタン。
【請求項2】
水栓の水栓本体に取り付けて用いられるボタンであって、
前記ボタンは、筒状のボタン本体と、前記ボタン本体の先端側に配置された有底筒状のボタンカバーとを備え、
前記ボタン本体、及び、前記ボタンカバーのいずれか一方は、周方向に延びる周方向溝を有するとともに、
前記ボタン本体、及び、前記ボタンカバーのいずれか他方は、前記周方向溝に係合して前記ボタン本体からの前記ボタンカバーの離脱を抑制する突起を有
し、
前記ボタンカバーは、底壁と、前記底壁の外縁に設けられた外側壁と、前記底壁の中央部に設けられた筒状の内側壁とを有し、
前記周方向溝は、前記内側壁の外周面、及び、前記ボタン本体の内周面のいずれか一方に設けられるとともに、
前記突起は、前記内側壁の外周面、及び、前記ボタン本体の内周面のいずれか他方に設けられていることを特徴とするボタン。
【請求項3】
前記ボタン本体、及び、前記ボタンカバーのいずれか一方は、軸方向に延びるとともに前記周方向溝に連結する軸方向溝を有する請求項1
又は2に記載のボタン。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか一項に記載のボタンと、前記水栓本体とを備える水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタン及びボタンを備える水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ボタンを備える水栓について記載している。
図15に示すように、水栓80は、水栓本体81と、水栓本体81に取り付けられるボタン82と、水栓本体81の外周を覆うカバー83とを有している。ボタン82は、筒状のボタン本体82aと、ボタン本体82aの先端側に配置された有底筒状のボタンカバー82bとを有している。ボタン82を操作することにより、水栓本体81から吐水される湯水の吐水形態を切り替えることができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の水栓80において、ボタンカバー82b及びボタン本体82aにはネジ溝84が設けられている。両者のネジ溝84が螺合した状態で、ボタンカバー82bはボタン本体82aに取り付けられている。水栓80の組み付け時や部品交換時にボタンカバー82bを着脱するためには、ネジ溝84に沿ってボタンカバー82bを回転させる必要があり、ボタンカバー82bの着脱に手間がかかるという課題を有している。本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ボタンカバーの着脱を容易に行い得るボタン及びボタンを備える水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのボタンは、水栓の水栓本体に取り付けて用いられるボタンであって、前記ボタンは、筒状のボタン本体と、前記ボタン本体の先端側に配置された有底筒状のボタンカバーとを備え、前記ボタン本体、及び、前記ボタンカバーのいずれか一方は、周方向に延びる周方向溝を有するとともに、前記ボタン本体、及び、前記ボタンカバーのいずれか他方は、前記周方向溝に係合して前記ボタン本体からの前記ボタンカバーの離脱を抑制する突起を有することを要旨とする。
【0006】
この構成によれば、周方向溝に突起を係合させることによって、ボタン本体からのボタンカバーの離脱を抑制することができる。さらに、周方向溝と突起の係合を解除することにより、ボタンカバーをボタン本体から取り外すことができる。ネジ溝同士を螺合させることなくボタンカバーの着脱を行うことができるため、ボタンカバーの着脱を容易に行うことができる。
【0007】
上記ボタンについて、前記ボタン本体、及び、前記ボタンカバーのいずれか一方は、軸方向に延びるとともに前記周方向溝に連結する軸方向溝を有することが好ましい。この構成によれば、周方向溝に突起を係合させる際に、軸方向溝に沿って突起を誘導することができる。そのため、ボタン本体にボタンカバーを容易に取り付けることができる。
【0008】
上記ボタンについて、前記ボタン本体、及び、前記ボタンカバーのいずれか一方は、前記ボタン本体に対する前記ボタンカバーの回転を抑制する回り止め部を有することが好ましい。この構成によれば、ボタン本体に取り付けられたボタンカバーの回転を抑制することができるため、意図せずにボタンカバーがボタン本体から外れることを抑制することができる。
【0009】
上記ボタンについて、前記水栓は、前記水栓本体を覆う水栓カバーを有し、前記回り止め部は、前記水栓カバーに係合することによって前記ボタンカバーの回転を抑制することが好ましい。この構成によれば、水栓カバーを利用してボタンカバーの回転を抑制することができる。
【0010】
上記ボタンについて、前記ボタンカバーは、底壁と、前記底壁の外縁に設けられた外側壁と、前記底壁の中央部に設けられた筒状の内側壁とを有し、前記周方向溝は、前記内側壁の外周面、及び、前記ボタン本体の内周面のいずれか一方に設けられるとともに、前記突起は、前記内側壁の外周面、及び、前記ボタン本体の内周面のいずれか他方に設けられていることが好ましい。ボタン本体の外周面に突起が設けられていると、ボタンの操作時に、突起がボタンカバー以外の水栓の他の部材と干渉する虞がある。他の部材との干渉を抑制するためにボタン本体の突出量を大きくすると、水栓が大型化する虞があった。この構成によれば、突起は、内側壁の外周面、及び、ボタン本体の内周面のいずれか他方に設けられていることにより、突起がボタン本体及びボタンカバー以外の水栓の他の部材と干渉することを抑制することができる。そのため、水栓の小型化に寄与することができる。
【0011】
前記ボタンと、前記水栓本体とを備える水栓であることが好ましい。この構成によれば、上記ボタンの機能を奏する水栓とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のボタン及びボタンを備える水栓によれば、ボタンカバーの着脱を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図6】(a)は、ボタンカバーの周方向溝にボタン本体の突起を収容する前の正面図、(b)は、ボタンカバーの周方向溝にボタン本体の突起を収容した後の正面図。
【
図7】トップカバーを取り付ける前のボタンの正面図。
【
図8】トップカバーの第1ボタン孔及び第2ボタン孔の斜視図。
【
図10】トップカバーを取り付けた後のボタンの正面図。
【
図11】(a)は、変更例のボタンカバーの斜視図、(b)は、変更例のボタンカバーの周方向溝にボタン本体の突起を収容する前の正面図、(c)は、変更例のボタンカバーの周方向溝にボタン本体の突起を収容した後の正面図。
【
図12】(a)は、別の変更例のボタンカバーの周方向溝にボタン本体の突起を収容する前の正面図、(b)は、別の変更例のボタンカバーの周方向溝にボタン本体の突起を収容した後の正面図。
【
図13】さらに別の変更例のトップカバーを取り付ける前のボタンの正面図。
【
図14】さらに別の変更例のトップカバーを取り付けた後のボタンの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ボタンの実施形態を説明する。
図1に示すように、水栓10は、浴室の壁面Wに設置されている。以下では、壁面W側に向かって水栓10を見た場合における上下方向、左右方向、及び、前後方向をそれぞれ、水栓10の上下方向、左右方向、及び、前後方向として説明する。
【0015】
図1に示すように、水栓10は、カラン用の吐水管16及びシャワーヘッド用のホース17が接続される水栓本体12を備えている。水栓本体12の前面には、二つのボタンが設けられている。二つのボタンのうち、左側のボタンを第1ボタン30、右側のボタンを第2ボタン40とする。水栓本体12は、第1ボタン30を操作することにより、カラン用の吐水管16からの吐止水を切り替えることができるように構成されている。また、第2ボタン40を操作することにより、シャワーヘッドからの吐止水を切り替えることができるように構成されている。
【0016】
図1及び
図2に示すように、水栓10は、水栓本体12を覆う水栓カバー15を備えている。水栓カバー15は、水栓本体12に前方側から取り付けられるトップカバー15a、及び、水栓本体12に後方側から取り付けられるバックカバー15bの二つの分割体を組み合わせてなる。トップカバー15aは、水栓本体12の前部、上部、及び、下部を覆う。バックカバー15bは、水栓本体12の後部を覆う。トップカバー15aには、二つの貫通孔が設けられており、この貫通孔からボタンが露出している。ここで、左側の貫通孔を第1ボタン30が露出する第1ボタン孔51、右側の貫通孔を第2ボタン40が露出する第2ボタン孔52とする。
【0017】
図1に示すように、水栓本体12の右側の端部には、流量調節ハンドル14が一体に回動可能に取り付けられるとともに、水栓本体12の左側の端部には、温度調節ハンドル13が一体に回動可能に取り付けられている。流量調節ハンドル14は、回動させることによって、吐水管16及びシャワーヘッドからの吐水の流量を調節するハンドルである。温度調節ハンドル13は、回動させることによって、吐水管16及びシャワーヘッドから吐出される混合水の温度を調節するハンドルである。
【0018】
水栓本体12について詳細に説明する。
図2に示すように、水栓本体12は筒状に構成されている。水栓本体12は、軸方向が左右方向に沿うように配置されている。水栓本体12の軸方向における中央部には、前側に開口部20が2つ設けられている。各開口部20は、左右方向に沿って並設されている。各開口部20の周囲には、前側に延びる周壁21を有しており、周壁21の内周にネジ溝22が形成されている。
【0019】
2つの開口部20のうち、左側の開口部20である第1開口部20aには、固定ナット18を用いて第1弁ユニット23が取り付けられ、右側の開口部20である第2開口部20bには、固定ナット18を用いて第2弁ユニット24が取り付けられている。
【0020】
第1弁ユニット23は、筒状に構成されており、内部に弁部材(図示省略)が設けられている。第1弁ユニット23の軸方向における前側には第1ボタン30が取り付けられている。第1ボタン30を操作することにより、弁部材を操作してカラン用の吐水管16からの吐止水を切り替えることができるように構成されている。
【0021】
第2弁ユニット24は、筒状に構成されており、内部に弁部材(図示省略)が設けられている。第2弁ユニット24の軸方向における前側には第2ボタン40が取り付けられている。第2ボタン40を操作することにより、弁部材を操作してシャワーヘッドからの吐止水を切り替えることができるように構成されている。
【0022】
第1ボタン30について説明する。
図2に示すように、第1ボタン30は、筒状の第1ボタン本体31と第1ボタン本体31の軸方向前側である先端側に配置される第1ボタンカバー32とを有する。第1ボタン本体31の後端部が第1弁ユニット23の前端部に挿入された状態で、第1ボタン本体31は第1弁ユニット23に取り付けられている。
【0023】
図4、5に示すように、第1ボタン本体31は筒状部31aを有しており、筒状部31aの内周面に、径方向内側に突出した突起31bが設けられている。この突起31bは、筒状部31aの軸心を中心にした対向する2箇所に設けられている。第1ボタン本体31が水栓本体12に取り付けられた状態において、2つの突起31bは上下方向に沿う位置に設けられている。なお、
図4、5では、第1ボタン本体31が固定ナット18に挿通されている状態を示す。
【0024】
第1ボタンカバー32は、円形状の底壁32aと、底壁32aの外縁から底壁32aの厚さ方向に延びる外側壁32bとを有し、有底筒状に構成されている。
図2に示すように、底壁32aの前側の表面における中央部には、前側に突出した円環状の凸部32cが形成されている。この凸部32cは、水栓10の使用者が凸部32cに触れることによって、第1ボタンカバー32と第2ボタンカバー42とを識別することができるように設けられている。
【0025】
図4、5に示すように、外側壁32bにおける底壁32a側とは反対側の端部には、外側壁32bの径方向外側に延びるフランジ部32dを有している。フランジ部32dにおける外側壁32bの軸心を挟んで対向する2箇所には、フランジ部32dの外周からさらに径方向外側に突出した第1突出部32eが形成されている。後述のように、第1弁ユニット23が水栓本体12に取り付けられ、さらに、第1弁ユニット23に第1ボタン30が取り付けられた状態において、第1ボタンカバー32の2つの第1突出部32eは、上下方向に沿って並設されている。
【0026】
図4、5に示すように、第1ボタンカバー32は、外側壁32bの内周側に、底壁32aから延びる内側壁32fを有している。内側壁32fは筒状に構成されており、外側壁32bとの間に所定の間隔を有した状態で形成されている。内側壁32fの外径は、第1ボタン本体31の筒状部31aの内径よりも若干小さく構成されている。内側壁32fの外周側には、径方向内側に窪むとともに内側壁32fの軸方向に沿って延びる第1凹部(以下、「軸方向溝」ともいう。)32gが設けられている。軸方向溝32gは、内側壁32fの軸心を中心にした対向する2箇所に設けられている。内側壁32fの軸方向における中央部には、軸方向溝32gに連結した状態で、内側壁32fの周方向に延びる第2凹部(以下、「周方向溝」ともいう。)32hが設けられている。ここで、「周方向」とは、軸方向に対して垂直な方向を意味するものとする。周方向溝32hは、内側壁32fの軸心方向から見て、内側壁32fの外周に約90°の範囲で設けられている。周方向溝32hの長さは特に限定されないが、内側壁32fの軸心方向から見て、内側壁32fの外周に360°未満の範囲で設けられていることが好ましく、180°以下の範囲で設けられていることがより好ましい。周方向溝32hの長さが上記数値範囲であると、第1ボタンカバー32の着脱をより容易に行うことができる。周方向溝32hの深さは、軸方向溝32gから所定の距離だけ離間した地点で浅くなるように構成されている。
【0027】
図4、5に示すように、第1ボタン本体31の軸方向において、筒状部31aの前端部31cから突起31bまでの距離L1は、第1ボタンカバー32の軸方向における底壁32aから周方向溝32hまでの距離L2と略等しくなるように構成されている。
【0028】
第2ボタン40について説明する。
図2に示すように、第2ボタン40は、筒状の第2ボタン本体41と第2ボタン本体41の軸方向前側である先端側に配置される第2ボタンカバー42とを有する。第2ボタン本体41の後端部が第2弁ユニット24の前端部に挿入された状態で、第2ボタン本体41は第2弁ユニット24に取り付けられている。
【0029】
第2ボタン本体41は、第1ボタン本体31と同一の形状を有しており、筒状部41aの内周側に、径方向内側に突出した2つの突起41bが設けられている。第2ボタン本体41が水栓本体12に取り付けられた状態において、2つの突起41bは上下方向に沿う位置に設けられている。
【0030】
第2ボタンカバー42は、円形状の底壁42aと、底壁42aの外縁から底壁42aの厚さ方向に延びる外側壁42bとを有し、有底筒状に構成されている。底壁42aの前側の表面は平坦面で構成されている。
【0031】
外側壁42bにおける底壁42a側とは反対側の端部には、外側壁42bの径方向外側に延びるフランジ部42dを有している。フランジ部42dにおける外側壁42bの軸心を挟んで対向する2箇所には、フランジ部42dの外周からさらに径方向外側に突出した第2突出部42eが形成されている。後述のように、第2弁ユニット24が水栓本体12に取り付けられ、さらに、第2弁ユニット24に第2ボタン40が取り付けられた状態において、第2ボタンカバー42の2つの第2突出部42eは、左右方向に沿って並設されている。
【0032】
第2ボタンカバー42は、第1ボタンカバー32と同様に内側壁(図示省略)を有している。内側壁には、第1ボタンカバー32と同様に軸方向溝及び周方向溝(いずれも図示省略)が設けられている。
【0033】
第1ボタンカバー32及び第2ボタンカバー42は、内側壁32fの周方向において軸方向溝32gが同じ位置にある状態で、第1突出部32eと第2突出部42eとが90°異なる位置となるように構成されている。そのため、後述のように、第1ボタン本体31に第1ボタンカバー32が配置されると各第1突出部32eが上下方向に沿うのに対し、第2ボタン本体41に第2ボタンカバー42が配置されると、各第2突出部42eは左右方向に沿う状態となる。
【0034】
第1ボタン本体31と第1ボタンカバー32の配置機構について説明する。
なお、第1ボタン本体31と第1ボタンカバー32の配置機構と、第2ボタン本体41と第2ボタンカバー42の配置機構とでは、第1ボタンカバー32の各第1突出部32eが上下方向に沿うのに対し、第2ボタンカバー42の各第2突出部42eが左右方向に沿うこと以外同じである。そのため、第2ボタン本体41と第2ボタンカバー42の配置機構については説明を省略する。
【0035】
第1ボタン本体31に第1ボタンカバー32を配置する際は、まず、第1ボタン本体31の筒状部31aの軸心と、第1ボタンカバー32の内側壁32fの軸心とを合わせる。次に、第1ボタン本体31の軸方向から見て、第1ボタンカバー32の軸方向溝32gと第1ボタン本体31の突起31bとが重なる位置となるように両者を配置する。この状態で、第1ボタンカバー32の内側壁32fを、第1ボタン本体31の筒状部31aの内側に挿入する。
【0036】
図6(a)に示すように、これにより、第1ボタン本体31の筒状部31aの突起31bが、第1ボタンカバー32の内側壁32fの軸方向溝32gに収容された状態となる。
図4、5に示すように、さらに、第1ボタン本体31の筒状部31aの前端部31cが第1ボタンカバー32の底壁32aに当接した状態で、第1ボタンカバー32を矢印に示す周方向に回転させる。
【0037】
図6(b)に示すように、これにより、第1ボタン本体31の突起31bが、第1ボタンカバー32の周方向溝32hに収容される。第1ボタン本体31の突起31bが第1ボタンカバー32の周方向溝32hに収容されることにより、第1ボタンカバー32は、第1ボタン本体31の軸方向に対して抜け止めされた状態となる。言い換えれば、第1ボタン本体31からの第1ボタンカバー32の離脱が抑制された状態となる。
【0038】
第1ボタンカバー32を矢印に示す周方向にさらに回転させると、周方向溝32hの底部に第1ボタン本体31の突起31bが当接した位置で、第1ボタンカバー32はそれ以上回転できない状態となって位置決めされる。ここで、第1ボタンカバー32が周方向に位置決めされた状態における第1突出部32eの周方向の位置を「第1周方向位置」という。言い換えれば、第1ボタンカバー32は、第1突出部32eが第1周方向位置に位置決めされた状態で抜け止め状態で固定される。
【0039】
同様に、第2ボタンカバー42においても、周方向溝の底部に第2ボタン本体41の突起41bが当接した位置で、第2ボタンカバー42はそれ以上回転できない状態となって位置決めされる。ここで、第2ボタンカバー42が周方向に位置決めされた状態における第2突出部42eの周方向の位置を「第2周方向位置」という。言い換えれば、第2ボタンカバー42は、第2突出部42eが第1周方向位置とは異なる第2周方向位置に位置決めされた状態で抜け止め状態で固定される。
【0040】
図7に示すように、第1周方向位置において、第1ボタンカバー32の2つの第1突出部32eは、水栓本体12の上下方向に沿って並設された状態となる。また、第2周方向位置において、第2ボタンカバー42の2つの第2突出部42eは、水栓本体12の左右方向に沿って並設された状態となる。
【0041】
第1ボタン30及び第2ボタン40は、スプリング及びカム(いずれも図示省略)の作用によるプッシュオン・プッシュオフタイプであり、1回目の押し込みにより、第1ボタン30及び第2ボタン40は後側に後退してその位置で保持される。また、2回目の押し込みにより、同第1ボタン30及び第2ボタン40は前側の突出位置に復帰するように構成されている。
【0042】
トップカバー15aについて説明する。
図2、3に示すように、トップカバー15aは、水栓本体12の前側、上側、及び、下側を覆うように構成されており、左側から見てコの字状に構成されている。第1ボタン孔51の内周には、第1ボタン孔51の前側の端部から奥側である後側に向かって延びる内壁(以下、「第1内壁」ともいう。)51aが設けられている。第2ボタン孔52の内周には、第2ボタン孔52の前側の端部から奥側である後側に向かって延びる内壁(以下、「第2内壁」ともいう。)52aが設けられている。第1内壁51a及び第2内壁52aには第1ボタン孔51及び第2ボタン孔52の周方向に沿って段差部53が設けられており、段差部53よりも後側において、第1内壁51a及び第2内壁52aの内径が大きくなるように構成されている。ここで、第1内壁51a及び第2内壁52aにおける段差部53よりも前側を「前方内壁54」、段差部53よりも後側の内径が大きくなった壁部を「後方内壁55」という。前方内壁54の内径は、第1ボタンカバー32及び第2ボタンカバー42の外側壁32b、42bの外径よりも大きく、第1ボタンカバー32及び第2ボタンカバー42のフランジ部32d、42dの外径よりも小さく構成されている。後方内壁55の内径は、第1ボタンカバー32及び第2ボタンカバー42のフランジ部32d、42dの外径よりも大きく構成されている。
【0043】
第1内壁51aの後方内壁55には、第1ボタンカバー32の第1突出部32eを収容する第1溝部51bが設けられている。また、第2内壁52aの後方内壁55には、第2ボタンカバー42の第2突出部42eを収容する第2溝部52bが設けられている。
【0044】
図8、9に示すように、第1溝部51bは、後方内壁55の軸心を中心に対向する2箇所に成されており、各第1溝部51bは、上下方向に沿う位置に設けられている。第1溝部51bは、後方内壁55の軸方向に沿って延びており、後方内壁55の後端側において幅が大きくなるように構成されている。
【0045】
図7、9に示すように、第1溝部51bの最小幅L3は、第1ボタン30の第1ボタンカバー32に設けられた第1突出部32eの幅L5よりも若干大きく構成されている。
図8、9に示すように、第2溝部52bは、後方内壁55の軸心を中心に対向する2箇所に成されており、各第2溝部52bは、左右方向に沿う位置に設けられている。第2溝部52bは、後方内壁55の軸方向に沿って延びており、後方内壁55の後端側において幅が大きくなるように構成されている。
【0046】
図7、9に示すように、第2溝部52bの最小幅L4は、第2ボタン40の第2ボタンカバー42に設けられた第2突出部42eの幅L6よりも若干大きく構成されている。
後方内壁55の後端側において、第1溝部51b及び第2溝部52bの幅が大きくなっていることにより、トップカバー15aを組み付ける際、第1ボタンカバー32の第1突出部32e及び第2ボタンカバー42の第2突出部42eを受け入れやすくすることができる。
【0047】
水栓10を製造する方法について説明する。具体的には、水栓本体12に、第1弁ユニット23、第2弁ユニット24、第1ボタン30、第2ボタン40、トップカバー15a、及び、バックカバー15bを組み付けて水栓10を組み立てる方法について説明する。
【0048】
図2に示すように、第1工程として、第1ボタン本体31が取り付けられた第1弁ユニット23の後端部を水栓本体12の第1開口部20aに挿入する。この状態で、第1弁ユニット23の前側が第1開口部20aから露出した状態となる。
【0049】
次に、第1弁ユニット23の前側から、固定ナット18を取り付ける。具体的には、第1弁ユニット23の前側に取り付けられた第1ボタン本体31が固定ナット18の内側を通過した状態で、固定ナット18を水栓本体12の第1開口部20aにおける周壁21のネジ溝22に螺合させる。固定ナット18が第1弁ユニット23の前側に当接した状態で水栓本体12に接続されることにより、第1弁ユニット23は水栓本体12に固定される。
【0050】
次に、上述したように第1ボタン本体31の先端側に第1ボタンカバー32を取り付けることにより、水栓本体12が備える第1ボタン本体31に第1ボタンカバー32が配置された状態となる。
【0051】
また、第2弁ユニット24、第2ボタン40、及び、第2ボタンカバー42を同様に取り付けることにより、水栓本体12が備える第2ボタン本体41に第2ボタンカバー42が配置された状態となる。
【0052】
次に、第2工程として、水栓本体12の後側からバックカバー15bを取り付けた後、水栓本体12の前側からトップカバー15aを取り付ける。以上の工程によって上記各部材は水栓本体12に取り付けられる。
【0053】
なお、水栓本体12が備える第1ボタン本体31に第1ボタンカバー32を取り付けること、及び、水栓本体12が備える第2ボタン本体41に第2ボタンカバー42を取り付けることを順不同で行った後に、トップカバー15aを水栓本体12に取り付けることを除いて、各部材を組み付ける順序は適宜変更してもよい。
【0054】
図3に示すように、第1ボタン30及び第2ボタン40を備える水栓本体12にトップカバー15aが取り付けられると、第1ボタンカバー32の外側壁32bは、第1ボタン孔51の第1内壁51aにおける前方内壁54の内側を挿通し、第1ボタン孔51から露出する。また、第1ボタンカバー32のフランジ部32dは、第1ボタン孔51の第1内壁51aにおける後方内壁55の内側を挿通して段差部53に当接する。同様に、第2ボタンカバー42の外側壁42bは、第2ボタン孔52の第2内壁52aにおける前方内壁54の内側を挿通し、第2ボタン孔52から露出する。また、第2ボタンカバー42のフランジ部42dは、第2ボタン孔52の第2内壁52aにおける後方内壁55の内側を挿通して段差部53に当接する。
【0055】
図10に示すように、さらに、第1ボタンカバー32の第1突出部32eが、第1ボタン孔51の第1溝部51bに収容される。同様に、第2ボタンカバー42の第2突出部42eが、第2ボタン孔52の第2溝部52bに収容される。これにより、第1ボタンカバー32及び第2ボタンカバー42は、トップカバー15aに対する回転が抑制された状態となる。そのため、第1ボタンカバー32の第1突出部32eは、トップカバー15aの第1ボタン孔51に設けられた第1溝部51bに係合して第1ボタンカバー32の回転を抑制する回り止め部として機能する。同様に、第2ボタンカバー42の第2突出部42eは、トップカバー15aの第2ボタン孔52に設けられた第2溝部52bに係合して第2ボタンカバー42の回転を抑制する回り止め部として機能する。
【0056】
第1ボタンカバー32と第2ボタンカバー42とが間違って配置されることを抑制する機構について説明する。
図2に示すように、第1ボタン本体31と第2ボタン本体41とは同一形状であるため、第1ボタン本体31の先端側に誤って第2ボタンカバー42を配置した場合であっても、第2ボタンカバー42は周方向に位置決めされて抜け止め状態となる。この場合、第1ボタン本体31に配置された第2ボタンカバー42の各第2突出部42eは、左右方向に沿った状態となる。
【0057】
この状態で、水栓本体12の前側からトップカバー15aを取り付けようとすると、第2突出部42eは、トップカバー15aの第1ボタン孔51における第1内壁51aの後方内壁55に干渉するため、トップカバー15aを取り付けることが規制される。そのため、第1内壁51aの後方内壁55は、第1干渉部として機能する。また、第2突出部42eは、第1干渉部に干渉する第1被干渉部として機能する。
【0058】
同様に、第2ボタン本体41の先端側に誤って第1ボタンカバー32を配置した場合であっても、第1ボタンカバー32は周方向に位置決めされて抜け止め状態となる。この場合、第2ボタン本体41に配置された第1ボタンカバー32の第1突出部32eは、上下方向に沿った状態となる。
【0059】
この状態で、水栓本体12の前側からトップカバー15aを取り付けようとすると、第1突出部32eは、トップカバー15aの第2ボタン孔52における第2内壁52aの後方内壁55に干渉するため、トップカバー15aを取り付けることが規制される。そのため、第2内壁52aの後方内壁55は、第2干渉部として機能する。また、第1突出部32eは、第2干渉部に干渉する第2被干渉部として機能する。
【0060】
本実施形態の作用について説明する。
第1ボタンカバー32は、周方向に延びる周方向溝32hを有するとともに、第1ボタン本体31は、周方向溝32hに係合して第1ボタン本体31からの第1ボタンカバー32の離脱を抑制する突起31bを有する。
【0061】
周方向溝32hに突起31bを係合させることによって、第1ボタン本体31からの第1ボタンカバー32の離脱を抑制することができる。さらに、周方向溝32hと突起31bの係合を解除することにより、第1ボタンカバー32を第1ボタン本体31から取り外すことができる。なお、第2ボタンカバー42も同様に構成されている。
【0062】
本実施形態の効果について説明する。
なお、以下の説明では、主に第1ボタン30の効果について説明するが、第2ボタン40も同様の効果を奏している。
【0063】
(1)第1ボタンカバー32は、周方向に延びる周方向溝32hを有するとともに、第1ボタン本体31は、周方向溝32hに係合して第1ボタン本体31からの第1ボタンカバー32の離脱を抑制する突起31bを有する。
【0064】
この構成によれば、周方向溝32hに突起31bを係合させることによって、第1ボタン本体31からの第1ボタンカバー32の離脱を抑制することができる。さらに、周方向溝32hと突起31bの係合を解除することにより、第1ボタンカバー32を第1ボタン本体31から取り外すことができる。ネジ溝同士を螺合させることなく第1ボタンカバー32の着脱を行うことができるため、第1ボタンカバー32の着脱を容易に行うことができる。
【0065】
(2)第1ボタンカバー32と第1ボタン本体31とがネジ溝同士を螺合させて取り付けられた態様では、ネジ溝を形成する分だけ第1ボタンカバー32及び第1ボタン本体31の軸方向の寸法が相対的に大きくなりやすい。これに対し、本実施形態では、第1ボタンカバー32の周方向溝32hに、第1ボタン本体31の突起31bを係合させて両者を取り付けているため、第1ボタンカバー32及び第1ボタン本体31の軸方向の寸法を相対的に小さくすることができる。したがって、水栓の小型化に寄与することができる。
【0066】
(3)第1ボタンカバー32は、軸方向に延びるとともに周方向溝32hに連結する軸方向溝32gを有する。したがって、周方向溝32hに突起31bを係合させる際に、軸方向溝32gに沿って突起31bを誘導することができるため、第1ボタン本体31に第1ボタンカバー32を容易に取り付けることができる。
【0067】
(4)第1ボタンカバー32の第1突出部32eは、トップカバー15aの第1ボタン孔51に設けられた第1溝部51bに係合して第1ボタンカバー32の回転を抑制する回り止め部として機能する。同様に、第2ボタンカバー42の第2突出部42eは、トップカバー15aの第2ボタン孔52に設けられた第2溝部52bに係合して第2ボタンカバー42の回転を抑制する回り止め部として機能する。回り止め部を有することによって、意図せずに第1ボタンカバー32が第1ボタン本体31から外れること、及び、第2ボタンカバー42が第2ボタン本体41から外れることを抑制することができる。また、既存の部材であるトップカバー15aを利用して第1ボタンカバー32及び第2ボタンカバー42の回転を抑制することができるため、部品点数の増加を抑制して構成を簡略化することができる。
【0068】
(5)第1ボタンカバー32は、底壁32aと、底壁32aの外縁に設けられた外側壁32bと、底壁32aの中央部に設けられた筒状の内側壁32fとを有し、周方向溝32hは、内側壁32fの外周面に設けられるとともに、突起31bは、第1ボタン本体31の筒状部31aの内周面に設けられている。第1ボタン本体31の筒状部31aの外周面に突起31bが設けられていると、第1ボタン30の操作時に突起31bが第1ボタンカバー32以外の水栓10の他の部材と干渉する虞がある。突起31bの干渉を抑制するためには、第1ボタン本体31の筒状部31aの突出量を相対的に大きくする必要があるため、水栓10が大型化する虞があった。これに対し、突起31bが、第1ボタン本体31の筒状部31aの内周面に設けられていることにより、突起31bが水栓10の他の部材と干渉することを抑制することができる。したがって、水栓10の小型化に寄与することができる。
【0069】
(6)トップカバー15aは、第1ボタン本体31の先端側に誤って第2ボタンカバー42が配置されている状態の水栓本体12にトップカバー15aを取り付けようとした場合に、誤って配置された第2ボタンカバー42に干渉して、水栓本体12に対するトップカバー15aの取り付けを規制する第1干渉部を有する。また、トップカバー15aは、第2ボタン本体41の先端側に誤って第1ボタンカバー32が配置されている状態の水栓本体12にトップカバー15aを取り付けようとした場合に、誤って配置された第1ボタンカバー32に干渉して、水栓本体12に対するトップカバー15aの取り付けを規制する第2干渉部を有する。
【0070】
第1ボタン本体31の先端側に誤って第2ボタンカバー42が配置されていると、水栓本体12にトップカバー15aを取り付けることができないため、作業者は、第2ボタンカバー42が誤って配置されていることに容易に気付くことができる。また、第2ボタン本体41側においても第1ボタンカバー32が間違って配置されていることに気付くことができる。したがって、第1ボタンカバー32と第2ボタンカバー42とが間違って配置されることをより確実に抑制することができる。
【0071】
(7)第1ボタンカバー32は、第1ボタン本体31及び第2ボタン本体41のいずれに対しても抜け止め状態で配置され、第2ボタンカバー42は、第1ボタン本体31及び第2ボタン本体41のいずれに対しても抜け止め状態で配置される。したがって、水栓10の使用時における第1ボタン本体31からの第1ボタンカバー32の脱離、及び、第2ボタン本体41からの第2ボタンカバー42の脱離を抑制することができる。また、第1ボタン30及び第2ボタン40をプッシュ操作する際に、第1ボタンカバー32が第1ボタン本体31に追従して動くとともに、第2ボタンカバー42が第2ボタン本体41に追従して動くため、第1ボタン30及び第2ボタン40の操作を安定して行うことができる。
【0072】
(8)第1ボタンカバー32は、第1ボタン本体31及び第2ボタン本体41のいずれに対しても周方向に位置決めされた状態で配置され、第2ボタンカバー42は、第1ボタン本体31及び第2ボタン本体41のいずれに対しても周方向に位置決めされた状態で配置される。したがって、第1ボタンカバー32及び第2ボタンカバー42の形状に合わせて、トップカバー15aに第1干渉部及び第2干渉部を形成することが容易になる。
【0073】
(9)第1干渉部は、第1ボタン孔51の後方内壁55で構成され、後方内壁55は、第1ボタンカバー32の上下方向に位置する第1突出部32eを収容する第1溝部51bを有するとともに、第2ボタンカバー42の左右方向に位置する第2突出部42eに干渉する。第2干渉部は、第2ボタン孔52の後方内壁55で構成され、後方内壁55は、第2ボタンカバー42の左右方向に位置する第2突出部42eを収容する第2溝部52bを有するとともに、第1ボタンカバー32の上下方向に位置する第1突出部32eに干渉する。
【0074】
第1干渉部が第1ボタン孔51の後方内壁55で構成され、第2干渉部が第2ボタン孔52の後方内壁55で構成されていることにより、第1干渉部及び第2干渉部の構成を簡略化することができる。また、第1溝部51bが第1突出部32eを収容することによって第1ボタンカバー32の回転を抑制することができるため、第1ボタン本体31からの第1ボタンカバー32の脱離を抑制することができる。同様に、第2溝部52bが第2突出部42eを収容することによって第2ボタンカバー42の回転を抑制することができるため、第2ボタン本体41からの第2ボタンカバー42の脱離を抑制することができる。
【0075】
(10)水栓本体12が備える第1ボタン本体31に第1ボタンカバー32を配置するとともに、水栓本体12が備える第2ボタン本体41に第2ボタンカバー42を配置する第1工程と、第1工程を行った水栓本体12にトップカバー15aを取り付ける第2工程とを有する。したがって、本実施形態の水栓10を効率良く製造することができる。
【0076】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。なお、以下の説明では、主に第1ボタン30の構成について説明するが、第2ボタン40も同様の構成を有していてもよい。
【0077】
・本実施形態では、トップカバー15aの第2ボタン孔52の後方内壁55に第2干渉部が設けられていたが、第2干渉部は省略されていてもよい。すなわち、トップカバー15aは、第1干渉部のみを有するように構成されていてもよい。第1干渉部のみを有する構成であっても、作業者は、第1ボタン本体31に第2ボタンカバー42が配置されたことに気付くことによって、第1ボタンカバー32と第2ボタンカバー42とが間違って配置されることを抑制することができる。ただし、この態様では、第1ボタン本体31と第2ボタン本体41の両方に誤って第1ボタンカバー32が配置された場合はトップカバー15aを取り付けることができるため、間違いに気付きにくい。そのため、第1ボタン本体31と第2ボタン本体41の両方に第1ボタンカバー32が間違って配置されることを抑制するためには、第1干渉部と第2干渉部の両方を有することが好ましい。
【0078】
・本実施形態では、第1ボタンカバー32の内側壁32fの外周面に軸方向溝32g及び周方向溝32hが設けられ、第1ボタン本体31の筒状部31aの内周面に突起31bが設けられていたが、この態様に限定されない。第1ボタンカバー32の内側壁32fの外周面に突起が設けられ、第1ボタン本体31の筒状部31aの内周面に突起が収容される周方向溝が設けられていてもよい。すなわち、第1ボタンカバー32と第1ボタン本体31とにおける凹凸の関係が逆になっていてもよい。
【0079】
・本実施形態では、第1ボタンカバー32に軸方向溝32g及び周方向溝32hが設けられていたが、軸方向溝32gは、省略されていてもよい。
図11(a)に示すように、例えば、第1ボタンカバー32の内側壁32fにおいて、周方向溝32hが形成された箇所以外の外径を小さくして、第1ボタンカバー32の軸方向に沿って第1ボタン本体の突起31bを移動させることができるように構成されていてもよい。
【0080】
図11(b)、(c)に示すように、この態様においても、第1ボタン本体31の筒状部31aの前端部31cが第1ボタンカバー32の底壁32aに当接した状態で、第1ボタンカバー32を周方向に回転させることにより、第1ボタン本体31の突起31bを、第1ボタンカバー32の周方向溝32hに収容することができる。
【0081】
・本実施形態では、軸方向溝32gと周方向溝32hとがT字状の形状となるように連結されていたが、この態様に限定されない。軸方向溝32gと周方向溝32hとがL字状となるように連結されていてもよいし、十字状に連結されていてもよい。
【0082】
・本実施形態では、第1ボタンカバー32の第1突出部32e、及び、第2ボタンカバー42の第2突出部42eが、トップカバー15aと係合して第1ボタンカバー32、及び、第2ボタンカバー42の回転を抑制する回り止め部として機能していたが、この態様に限定されない。
【0083】
図12(a)、(b)に示すように、例えば、第1ボタンカバー32の内側壁32fに設けられた周方向溝32hが、部分的に、溝の深さが浅くなった段部32iを有していてもよい。第1ボタン本体31の突起31bは、この段部32iを乗り越えて、周方向溝32hに収容されるように構成されていてもよい。突起31bが、周方向溝32hの段部32iを乗り越えて収容されることにより、第1ボタンカバー32の回り止めをすることができる。そのため、周方向溝32hの段部32iが、第1ボタンカバー32の回転を抑制する回り止め部として機能する。
【0084】
・本実施形態では、第1ボタンカバー32の内側壁32fは筒状に構成されていたが、この態様に限定されない。内側壁32fは、中実の柱状に構成されていてもよい。
・第1ボタンカバー32の内側壁32fは省略されていてもよい。例えば、第1ボタンカバー32の外側壁32bの内周と、第1ボタン本体31の外周との間で、周方向溝と突起の係合関係を形成してもよい。この態様においても、第1ボタン本体31からの第1ボタンカバー32の離脱を抑制することができる。
【0085】
・本実施形態において、第1ボタンカバー32に第1突出部32eは2つ設けられ、第2ボタンカバー42に第2突出部42eは2つ設けられていたが、この態様に限定されない。第1突出部32e及び第2突出部42eは1つのみ設けられていてもよいし、3つ以上設けられていてもよい。また、第1突出部32e及び第2突出部42eを設ける位置も適宜変更することができる。トップカバー15aの第1ボタン孔51の第1溝部51b及び第2ボタン孔52の第2溝部52bも同様である。
【0086】
・第1ボタンカバー32の第1突出部32e、第2ボタンカバー42の第2突出部42e、トップカバー15aの第1ボタン孔51の第1溝部51b、及び、トップカバー15aの第2ボタン孔52の第2溝部52bは、省略されていてもよい。
【0087】
例えば、
図13、14に示すように、第1ボタンカバー32の外側壁32bの外径が第2ボタンカバー42の外側壁42bの外径よりも小さく構成され、トップカバー15aの第1ボタン孔51の内径が第2ボタン孔52の内径よりも小さく構成されていてもよい。この構成では、第2ボタンカバー42の外側壁42bの外径は、トップカバー15aの第1ボタン孔51における後方内壁55の内径よりも大きく構成されている。
【0088】
第1ボタン本体31に誤って第2ボタンカバー42が配置されている場合、第2ボタンカバー42の外側壁42bがトップカバー15aの第1ボタン孔51における後方内壁55を挿通することができないため、作業者は、第2ボタンカバー42が誤って配置されていることに容易に気付くことができる。この態様では、第1ボタン孔51の後方内壁55が第1干渉部として機能する。また、第2ボタンカバー42の外側壁42bは、第1干渉部に干渉する第1被干渉部として機能する。
【0089】
・
図14の態様において、さらに第1ボタンカバー32の外側壁32bの外径と第2ボタンカバー42の外側壁42bの外径とが同じであってもよい。例えば、第2ボタンカバー42のフランジ部42dの外径を、第1ボタンカバー32のフランジ部32dの外径よりも大きくするとともに、第2ボタン孔52の後方内壁55の内径を、第1ボタン孔51の後方内壁55の内径よりも大きくしてもよい。この態様では、第2ボタンカバー42のフランジ部42dの外径を、第1ボタン孔51の後方内壁55の内径よりも大きく構成することにより、第1ボタン本体31に誤って第2ボタンカバー42が配置されている場合に、トップカバー15aを取り付けることができないようにすることができる。
【0090】
・本実施形態では、第1ボタンカバー32の底壁32aに、第2ボタンカバー42と識別するための円環状の凸部32cが形成されていたが、凸部32cの形状は円環状に限定されない。第1ボタンカバー32の底壁32aに触れることによって第2ボタンカバー42と識別することができる形状を適宜採用することができる。凸部32cに代えて凹部が形成されていてもよい。また、第1ボタンカバー32の底壁32aに模様や文字を印刷したり、模様や文字が記載されたシールを貼り付けることによって、第2ボタンカバー42と識別することができるように構成されていてもよい。第1ボタンカバー32と第2ボタンカバー42の色彩を異ならせて識別することができるように構成されていてもよい。第1ボタンカバー32だけでなく第2ボタンカバー42にも凸部等の第1ボタンカバー32と識別するための構成が設けられていてもよいし、第2ボタンカバー42のみに設けられていてもよい。
【0091】
・本実施形態では、水栓本体12の後側にバックカバー15bが取り付けられていたが、バックカバー15bは省略されていてもよい。
・トップカバー15aとバックカバー15bとが一体に形成されていてもよい。例えば、トップカバー15aが水栓本体12の前側、上側、及び、後側を覆うように構成されていれば、トップカバー15aとバックカバー15bとを一体に形成することができる。この態様では、水栓本体12に対して上方からトップカバー15aを取り付ける構成となる。
【0092】
・本実施形態では、第1ボタンカバー32の底壁32aは円形状に構成されていたが、底壁32aの形状は円形状に限定されない。例えば、底壁32aは、楕円形状、オーバル形状、多角形状等であってもよい。第2ボタンカバー42の底壁42a、第1ボタン本体31及び第2ボタン本体41の外形も同様である。
【0093】
・本実施形態では、水栓本体12の左側のボタンを第1ボタン30とし、右側のボタンを第2ボタン40としたが、この態様に限定されない。水栓本体12の右側のボタンを第1ボタンとし、左側のボタンを第2ボタンとしてもよい。ボタンカバー及びトップカバー15aのボタン孔も同様に左右が逆に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0094】
10…水栓、12…水栓本体、30…第1ボタン(ボタン)、31…第1ボタン本体(ボタン本体)、32…第1ボタンカバー(ボタンカバー)、32h…周方向溝、31b…突起、40…第2ボタン(ボタン)、41…第2ボタン本体(ボタン本体)、41b…突起、42…第2ボタンカバー(ボタンカバー)。