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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】止水装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20231114BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20231114BHJP
   E06B 9/00 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E04H9/14 Z
E06B9/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019217745
(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公開番号】P2021088807
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000252034
【氏名又は名称】株式会社鈴木シャッター
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】深川 大樹
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-98251(JP,A)
【文献】特開2010-138668(JP,A)
【文献】特開2003-336454(JP,A)
【文献】特開2004-44218(JP,A)
【文献】特開2002-227453(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0117952(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00
E06B 9/00
E02B 7/22
E04H 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納体に収納される収納位置と収納体から突出して止水する止水位置とのあいだの上下移動ができる止水体と、
該止水体を収納位置から止水位置に変位せしめるための変位力を付与する変位力付与手段と、
止水体を収納位置から止水位置に向けて案内する案内手段と、
止水位置に変位した止水体を受けて止水する受け手段とを備えて構成される止水装置において、
前記変位力付与手段は、収納体に設けられる弾機により構成され、
前記案内手段は、止水体が収納位置から止水位置に変位する過程で、該止水体を受け手段から離間する離間位置から受け手段に当接する当接位置に変位するよう傾斜案内する設定になっていることを特徴とする止水装置。
【請求項2】
案内手段は、収納体に配された傾斜状の杆体であることを特徴とする請求項1記載の止水装置。
【請求項3】
止水体には、該止水体を変位力付与手段の変位力に抗して収納位置に保持するため係脱自在な係止手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の止水装置。
【請求項4】
止水体は、突出高さが浸水深さの浅い場合に対応するよう設定されていることを特徴とする請求項1乃至の何れか1記載の止水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル等の建築物の出入り口に設けられる止水装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、大雨が降ること等で溢れた水がビル等の建築物の出入り口から建物内(屋内、室内)に浸入(浸水)することがあり、このような浸水を防止するため、出入り口に止水装置(防水装置)を設けることが試みられている。このような止水装置のなかには、浸水の惧れがない常時は止水体(止水板、防水体)を、出入り口での通行に支障をきたさないよう例えば地下(床下)等の収納位置に収納しておき、大雨等により浸水の惧れがある非常時に、前記収納位置の止水体を上動せしめて止水する止水位置に位置させて止水ができるようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照。)。
ところがこのものは、ジグザグ状に折畳んだ止水体を、弾機の付勢力によって持上げることで直線状の止水姿勢にするものであるが、このものでは、止水体は、止水姿勢になったとしてもジグザグ状態を完全に払拭することができず、このため止水体と該止水体を受ける受け部材とのあいだにどうしても隙間ができてしまうことになって水の浸入を防ぐことが事実上難しいという問題がある。
そこで板状の止水体を、低い収納位置から上動して止水する止水位置に上下移動自在に構成したものが提唱されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-227453号公報
【文献】特許第2527333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが板状の止水体を収納位置から止水位置に単純に上動させただけでは、止水位置の止水体とこれを受ける受け部材との間にどうしても隙間があってここからの浸水が問題になる。そこでこのものでは、止水位置に上動した止水体を横方向に押圧してこの押圧状態に維持することができるよう構成した押圧手段を設けているが、この押圧方向は止水体を上動する方向ではなく横方向を向いたものであるため、止水体の上動力を利用することができないため別部材が必要になるだけでなく、横方向への押し操作も必要になって操作性が劣る等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、収納体に収納される収納位置と収納体から突出して止水する止水位置とのあいだの上下移動ができる止水体と、該止水体を収納位置から止水位置に変位せしめるための変位力を付与する変位力付与手段と、止水体を収納位置から止水位置に向けて案内する案内手段と、止水位置に変位した止水体を受けて止水する受け手段とを備えて構成される止水装置において、前記変位力付与手段は、収納体に設けられる弾機により構成され、前記案内手段は、止水体が収納位置から止水位置に変位する過程で、該止水体を受け手段から離間する離間位置から受け手段に当接する当接位置に変位するよう傾斜案内する設定になっていることを特徴とする止水装置である。
請求項2の発明は、案内手段は、収納体に配された傾斜状の杆体であることを特徴とする請求項1記載の止水装置である。
請求項3の発明は、止水体には、該止水体を変位力付与手段の変位力に抗して収納位置に保持するため係脱自在な係止手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の止水装置である。
請求項4の発明は、止水体は、突出高さが浸水深さの浅い場合に対応するよう設定されていることを特徴とする請求項1乃至の何れか1記載の止水装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、止水体が、案内手段により案内されながら、変位力付与手段の変位力を受けて収納位置から止水位置に変位する場合に、該止水体は、受け手段から離間する離間位置から受け手段に当接する当接位置に変位するよう傾斜案内されることになり、この結果、止水位置に上動した止水体の受け手段に対する当接が、該止水体の案内手段による上動案内により自動的になされることになって別途押圧手段を設けたうえで押圧させるための別操作が必要になるようなことがなく、構造が簡単で操作性に優れたものにすることができる。
しかも、変位力付与手段が収納体に配された弾機で構成できるため、さらなる構造の簡略化が図れることになる。
請求項2の発明とすることにより、案内手段が収納体内に配された傾斜状の杆体で構成できるため、さらなる構造の簡略化が図れることになる。
請求項の発明とすることにより、止水体は、係止手段により収納位置に係止保持されることになって、浸水のない平常時において収納位置に安定して保持できながら、浸水が予想される等の非常時には係止解除をすることで受け部材による止水が自動的になされた止水位置に移動することになって、止水の確実性が向上する。
請求項の発明とすることにより、止水体は、突出高さが浸水深さの浅い場合に対応する簡易型のものとして提供できることになるため、汎用性が高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(A)(B)は出入り口部の概略正面図、側面図である。
図2】出入り口部の平面図である。
図3】止水装置部位の要部拡大平面図である。
図4】止水装置部位の要部拡大正面図である。
図5】(A)(B)は止水体が止水位置に変位する前半過程の断面側面図である。
図6】(A)(B)は止水体が止水位置に変位する後半過程の断面側面図である。
図7】(A)(B)はラッチ具の平面図、側面図である。
図8】他例を示す止水装置部位の要部拡大正面図である。
図9】(A)(B)はそれぞれさらに他例を示すものであって、止水装置の側面図、止水装置の要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は止水装置であって、該止水装置1は、ビル等の建築物の出入り口Eに設けられるものであるが、該出入り口Eの左右両側にはフィックス(固定)の鏡板2が戸袋となる状態で設けられ、該鏡板2の屋内側に配される(位置する)状態で出入り口Eの開閉をするため左右移動する所謂引き戸式の戸体3が左右に両開きする状態で設けられている。そして戸体3は、本実施の形態では自動開閉式となっている。
この場合に、戸体3を自動開閉するための構成については本発明の実施とは直接関係がなく、かつ汎用のものを採用しているため、その具体的構成については省略するが、本発明を実施するにあたり、戸体としては、自動開閉式のものに限定されず、手動開閉式のものであってもよく、引き戸方式のものに限定されず、前後方向に揺動して開閉する開き戸方式のものであっても本実施の形態のものと同様にして実施できることは勿論である。
【0009】
前記止水装置1は、止水高さが例えば5cm、10cm程度の低水位の浸水深さに対応するよう構成された簡易型のものであるが、本発明を実施するにあたり、止水高さについては必要において適宜設定したものとすることができる。
そして前記止水装置1は、戸体3の開閉領域の屋外側(室外側)であって、左右の鏡板2のあいだの沓摺部Zに設けられるが、該沓摺部Zには、床面Fから凹溝状に溝部が形成され、該溝部に、天面部が開口したケース体(本発明の「収納体」に相当する。)4が内嵌されたものになっており、該ケース体4が止水体5の収納空間(収納スペース)を形成している。
【0010】
前記止水体5は、底面部5a、前後の屋内外側面部5b、5c、上面部5d、左右側面部5eを備えた箱型中空形状になっているが、屋内外側面部5b、5c間の長さ(幅)、左右側面部5e間の長さは、ケース体4の屋内外方向の長さ、左右方向の長さよりも短いもの(幅狭)になっており、これによって止水体5はケース体4に遊嵌したものとなって、ケース体4には接触しない(非接触)状態でケース体4に対して上下方向に移動できるように設定されている。
因みに止水体5の上面部5dは、グレーチング(溝蓋)に相当するものであって、肉厚で人間や荷車等の移動を受けても変形しないように配慮されている。
【0011】
一方、前記ケース体4の底面部4aには、屋内外両側に位置するようスペーサ4bが設けられ、止水体5は、底面部5aがスペーサ4bに当接する状態でケース体4内に内嵌することで、上面部5dが床面Fと面一状になった収納位置に位置する設定になっている。
さらにケース体4の底面部4aには、屋内外方向中間に位置する状態で取付け座4cが設けられるが、該取付け座4cには、止水体5を上下方向に案内する案内手段を構成するための杆体6の下端部が支持(固定)されているが、該杆体6は、上端側ほど屋内側に位置するよう傾斜したものになっている。尚、杆体6の先端部には、案内受け具天板部5hに当接して止水体5のこれ以上の上動を規制するための規制体6aが設けられている。
【0012】
一方、止水体5の底面部5aには、前記杆体6が遊嵌する大径の貫通孔5fが形成されていると共に、該貫通孔5fを跨ぐようにして断面ハット型の案内受け具5gが取付けられている。該案内受け具5gの天板部5hには、前記杆体6が貫通する小径の貫通孔5iが形成されている。
前記ケース体4と止水体5とのあいだ、具体的には、ケース体底面部4aに設けた取付け座4cと止水体5に設けた案内受け具5gの天板部5hとのあいだには、ケース体4に収容される状態でコイル状(円筒状)の弾機(本発明の「変位力付与手段」に相当する。)7が、止水体底面部5aに設けた貫通孔5fに遊嵌状に貫通し、かつ杆体6が遊嵌状に貫通する状態で設けられているが、該弾機7は、止水体底面部5aがスペーサ4bに当接する収納位置に位置する状態では圧縮(弾圧)されていて、後述するように止水体5をケース体4から突出して止水する止水位置に向けて強制移動するための付勢力(変位力)を発揮する設定になっている。
【0013】
さらに止水体5には、該止水体5を弾機7の付勢力に抗して収納位置に係止保持するための係止手段が設けられるが、本実施の形態の係止手段は、屋内側面部5cに設けられる凸状部8と、屋外側面部5bに設けられるラッチ具9とを備えたものとして構成されている。
そのうちの凸状部8は、屋内側面5cに対して外方に突出するようにして左右方向に間隔を存して複数設けられ、止水体5が収納位置に位置する状態では、ケース体4の屋内側面4fに設けた係止孔4eに係脱自在に嵌入係止する設定になっている。
【0014】
これに対しラッチ具9は、止水体5の屋外側面部5bに設けられるケース9aと、該ケース体9aに収容される状態で左右方向移動自在に設けられる可動体9bと、該可動体9bの移動に連動して屋外側面部5cから突出する係止姿勢から止水体5側に没入する解除姿勢に変姿するラッチ9cと、該ラッチ9cが解除姿勢から係止姿勢に復帰するよう可動体9bの付勢をする復帰弾機9dとを備え、本実施の形態のものでは、可動体9bに連結されたワイヤ(索体)9eを引き操作することに連動した可動体9bの復帰弾機9dに抗した移動によりラッチ9cが係止姿勢から解除姿勢に下動変姿する構成になっているが、このようなラッチ具9については、汎用のものを採用しており、その具体的構成についての説明は省略する。
そしてラッチ9cは、ワイヤ9eの引き操作のない常時は、ケース体4の屋外側面部4dに形成の係止孔4gに係脱自在に嵌入係止する設定になっている。
尚、本実施の形態においては、ワイヤ9eは、止水体5内において左右方向一側部に至るように配され、上面部5dに設けた作動体10に連結されている。該作動体10は、上面部5dに対して上端縁部が上方から視認される状態で回動自在に設けた支軸10aに一体的に連結されている。そして支軸10aの上端縁部に形成された工具用の係止溝(例えばマイナス溝)に対応する工具(例えばマイナスドライバー)を嵌入係止して回転することでワイヤ9eを、ラッチ9cを係止解除方向に変姿させるための引き操作ができるようになっている。
尚、作動体10の先端部がケース体4に係止しているため、凸状部8、ラッチ9cがケース体4に係止していることとが相俟って止水体5のバランスの良いケース体4に対する係止保持が図れるとともに、ラッチ具9の解除操作に伴った止水体5の円滑な上動が図れることになる。
【0015】
次に、止水体5の作動について図5、6を参照して説明をする。該止水体5は、平常時においては、底面部5aがケース体底面部4aに設けたスペーサ4bに当接した収納位置に位置しているが、この収納位置においては、屋内外面部5b、5cがケース体屋内外面部4d、4fに対してそれぞれ離間した中間位置にセットされており、この状態では、凸状部8がケース体屋内側面部4fに形成の係止孔4eに係止するとともに、ラッチ9cがケース体屋外側面部4dに形成の係止孔4gに係止しており、これによって止水体5は、弾機7の付勢力に抗する状態でケース体4に収納された収納位置に保持されている。
【0016】
この保持状態において、前述したように作動体支軸10aを回転させてワイヤ9eを引き操作すると、これに連動してラッチ9cが下方揺動して係止孔4gから抜け出る方向に揺動し、これによって止水体5は、弾機7の付勢力を受けて屋外側面部5bが上動するとともに底面部5aがケース体屋外側面部4dに当接する方向に傾き移動をすることになり、これによって凸状部8が係止孔4eから抜け出るとともに、ラッチ9cも係止孔4gから抜け出ることになって係止手段による係止が解除される。
【0017】
このように係止手段による係止が解除されると、止水体5は弾機7の付勢力を受けて上動することになるが、この場合に止水体5は、杆体6による傾斜案内を受けてケース体屋内側面部4fに近づきながらの上動となり、そして案内受け具天板部5hが規制体6aに当接してこれ以上の上動が規制される位置まで止水体5は上動することになるが、この上動規制を受けた位置が止水体5が止水機能を発揮するためケース体4から突出した止水位置となり、この止水位置では、止水体5は、屋内側面部5cの下端部がケース体屋内側面部4fに当接するとともに、屋内側面部5cの左右両側部位が出入り口部位の左右両側部位の下部に形成の躯体側の縦片部11にも当接することになって屋外側からの浸水を防止するようになっている。
そしてこのように止水体5が止水位置に上動した場合に、本実施の形態では、止水体5が当接するケース体屋内側面部4fと縦片部11とが本発明の「受け部材」となって止水機能を発揮することになる。勿論、受け部材については、これに限定されないものであって、例えば縦片部11については、戸体3が開放したときの戸体3の戸当たりとすることができる
さらにこのような止水体5の上動の過程で、凸状部8がケース体屋内側面部4fに当接する状態で上動するため、止水体屋内側面部5cがケース体屋内側面部4fに摺接しながら上動する摺動抵抗を受けながらの上動が回避され、円滑な止水体5の上動がなされることになる。
【0018】
叙述の如く構成された本実施の形態において、浸水の惧れがない常時は、止水体5は、ケース体4に収納された状態になっていて、出入り口Eの通行の邪魔になることがないが、浸水の惧れがあると判断された場合に、管理者は、作動体支軸10aを回転操作してワイヤ9eを引き操作すると、ケース体4に収納されていた止水体5が、弾機7の付勢力を受けてケース体4から突出して止水する止水位置に上動することになるが、このときの止水体5は、杆体6の案内を受けた上動になるが、該杆体6は、止水体5が収納位置から止水位置に変位する過程で、該止水体5がケース体4の屋内側面部4fから離間する離間位置から該屋内側面部4fに当接する当接位置に変位するよう傾斜案内することになり、この結果、止水体5は、弾機7の付勢力を受けて自動的に収納位置から止水位置に上動するものでありながら、該上動する過程で、止水体5は、受け部材となるケース体屋内側面部4f及び躯体側縦片部11とは離間する姿勢から、これらに弾圧状に当接するよう傾斜案内されることになり、この結果、別途押圧手段を設けるような必要がなく、構造が簡単で操作性に優れたものにすることができる。
【0019】
しかもこのものでは、止水体5を前記傾斜案内するものが、収納ケース4内に配された傾斜状の杆体6であると共に、止水体5を上動させるための変位力を与える手段が収納ケース4内に設けられる弾機7により構成されていることから、これら部材を収納ケース4内にコンパクトに配設できることになって止水装置の構造を簡略化できることになる。
そのうえこのものでは、弾機7が杆体6を貫通外嵌した構成になっているため、さらなるコンパクト化が図れることになる。
因みに止水体5を傾斜案内させる構成としては、例えば止水体5の左右側面部5eに凸状のガイド片を設け、該ガイド片を、ケース体4の左右両側面部に設けた傾斜ガイドによって案内するようにしても構成することができ、また止水体5を上動変位するための変位力を付与する手段としては弾機7に限定されず、ダンパのような変位力を有したものを採用できることは言うまでもない。
【0020】
しかもこのものでは、収納位置に位置する止水体5は、該止水体5を弾機7の付勢力に抗して収納位置に保持するため係脱自在な係止手段が設けられていて、止水体5が不用意に止水位置に上動してしまうことが規制されるが、該係止手段は、屋内側の凸状部8と、屋外側のラッチ具9とにより屋内外両側に設けられたものとなっているため、止水体5の収納位置での保持が確実になる一方で、屋内側のラッチ具9の係止解除をすることで確実な止水体5の上動がなされることになる。
そしてこのものでは、止水体5は、前述したように突出高さが浸水深さの浅い場合に対応するよう簡易型のものとして設定されているため、該止水体5そのものが軽量でかつ上動量も数cmのように僅かでよいため、止水体5の変位力を付与するものとして弾機7のような簡単な部材を採用して構成できることになる。
【0021】
尚、本発明は前記実施の形態のものに限定されないことは勿論であって、止水体5の上動変姿を、前記実施の形態のものは支軸10aを回転操作する手動式のものにしたが、これを自動式のものとすることができる。この場合に、前記作動体10を、例えば電磁ソレノイドで作動する作動手段12に設けた作動腕12aに連携させておき、管理室等からの遠隔操作ができるようにしてもよく、さらには浸水検知(例えば雨量検知)に基づいて自動的に作動手段12が作動するようにしても実施することができる。
さらに上動した止水体5の止水機能を向上させるため、止水体5のケース体4等に当接して止水する部位に、図9(A)に示すようにゴム質弾性を有した板状の封止材12を設けるようにしてもよく、さらには図9(B)に示すように、開口部縦枠13の内側面に押圧状に当接する封止材14を設けたものとしてもよく、この場合には該縦枠13が本発明の受け部材の構成部材となる。
また本発明が実施された止水装置は、ビル等の建築物の出入り口に限定されるものではなく、地下鉄や地下道等に設けられる地上からの出入り口のように、地面よりも一段高くなったマウンドアップされた部位に設けるようにしても実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、ビル等の建築物の出入り口に設けられる止水装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 止水装置
4 ケース体
4a 底面部
4d 屋外側面部
4f 屋内側面部
5 止水体
5a 底面部
5b 屋外側面部
5c 屋内側面部
5d 上面部
6 杆体
7 弾機
8 凸状部
9 ラッチ具
9cラッチ
E 出入り口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9