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特許7384656眼科情報処理装置、眼科装置、眼科情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】眼科情報処理装置、眼科装置、眼科情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
A61B3/10 100
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019230061
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2021097790
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】南出 夏奈
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 正博
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 拓麻
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-086182(JP,A)
【文献】特開2019-150485(JP,A)
【文献】国際公開第2014/203901(WO,A1)
【文献】特表2011-515194(JP,A)
【文献】特表2019-528313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼に光コヒーレンストモグラフィを実行することにより取得されたOCT画像において1以上の画像領域を特定する領域特定部と、
画像領域のAスキャン方向の長さから前記1以上の画像領域の少なくとも1つのサイズを特定するサイズ特定部と、
を含み、
前記領域特定部は、前記OCT画像に描出された細胞又は細胞塊に相当する前記1以上の画像領域を特定する、眼科情報処理装置。
【請求項2】
被検眼に光コヒーレンストモグラフィを実行することにより取得されたOCT画像において1以上の画像領域を特定する領域特定部と、
画像領域のAスキャン方向の長さから前記1以上の画像領域の少なくとも1つのサイズを特定するサイズ特定部と、
前記サイズ特定部により特定された画像領域のサイズに基づいて前記1以上の画像領域を分類する分類部と、
を含み、
前記OCT画像は、硝子体の少なくとも一部が描出された画像であり、
前記分類部は、硝子体に浸潤する2以上の炎症細胞に対応する2以上の分類種別に前記1以上の画像領域を分類する、眼科情報処理装置。
【請求項3】
被検眼に光コヒーレンストモグラフィを実行することにより取得されたOCT画像において1以上の画像領域を特定する領域特定部と、
画像領域のAスキャン方向の長さから前記1以上の画像領域の少なくとも1つのサイズを特定するサイズ特定部と、
を含み、
前記OCT画像は、3次元画像であり、
前記サイズ特定部は、隣接する2以上のBスキャン画像に跨がって描出された3次元の画像領域のAスキャン方向の長さから前記3次元の画像領域のサイズを特定する、眼科情報処理装置。
【請求項4】
前記サイズ特定部は、Aスキャン方向に最も長い画像領域の長さから当該画像領域のサイズを特定する
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の眼科情報処理装置。
【請求項5】
前記サイズ特定部は、画像領域を囲む領域のAスキャン方向の長さから当該画像領域のサイズを特定する
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の眼科情報処理装置。
【請求項6】
前記2以上の分類種別は、単球に対応する第1分類種別、好中球に対応する第2分類種別、及びリンパ球に対応する第3分類種別を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の眼科情報処理装置。
【請求項7】
前記分類部により分類された前記1以上の画像領域の個数又は位置の分布情報を生成する分布情報生成部を含む
ことを特徴とする請求項2又は請求項6に記載の眼科情報処理装置。
【請求項8】
前記分類部により分類された分類種別毎に識別可能な態様で前記1以上の画像領域が前記OCT画像に重畳された画像を含む分布情報を生成する分布情報生成部を含む
ことを特徴とする請求項2又は請求項6に記載の眼科情報処理装置。
【請求項9】
前記分布情報を表示手段に表示させる表示制御部を含む
ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の眼科情報処理装置。
【請求項10】
前記被検眼に光コヒーレンストモグラフィを実行することにより得られたOCTデータに基づいて前記OCT画像を形成する画像形成部を含む
ことを特徴とする請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の眼科情報処理装置。
【請求項11】
前記被検眼に光コヒーレンストモグラフィを実行することによりOCTデータを取得する光学系と、
請求項10に記載の眼科情報処理装置と、
を含む眼科装置。
【請求項12】
被検眼に光コヒーレンストモグラフィを実行することにより取得されたOCT画像において1以上の画像領域を特定する領域特定ステップと、
画像領域のAスキャン方向の長さから前記1以上の画像領域の少なくとも1つのサイズを特定するサイズ特定ステップと、
を含み、
前記領域特定ステップは、前記OCT画像に描出された細胞又は細胞塊に相当する前記1以上の画像領域を特定する、眼科情報処理方法。
【請求項13】
被検眼に光コヒーレンストモグラフィを実行することにより取得されたOCT画像において1以上の画像領域を特定する領域特定ステップと、
画像領域のAスキャン方向の長さから前記1以上の画像領域の少なくとも1つのサイズを特定するサイズ特定ステップと、
前記サイズ特定ステップにおいて特定された画像領域のサイズに基づいて前記1以上の画像領域を分類する分類ステップと、
を含み、
前記OCT画像は、硝子体の少なくとも一部が描出された画像であり、
前記分類ステップは、硝子体に浸潤する2以上の炎症細胞に対応する2以上の分類種別に前記1以上の画像領域を分類する、眼科情報処理方法。
【請求項14】
被検眼に光コヒーレンストモグラフィを実行することにより取得されたOCT画像において1以上の画像領域を特定する領域特定ステップと、
画像領域のAスキャン方向の長さから前記1以上の画像領域の少なくとも1つのサイズを特定するサイズ特定ステップと、
を含み、
前記OCT画像は、3次元画像であり、
前記サイズ特定ステップは、隣接する2以上のBスキャン画像に跨がって描出された3次元の画像領域のAスキャン方向の長さから前記3次元の画像領域のサイズを特定する、眼科情報処理方法。
【請求項15】
前記サイズ特定ステップは、Aスキャン方向に最も長い画像領域の長さから当該画像領域のサイズを特定する
ことを特徴とする請求項12~請求項14のいずれか一項に記載の眼科情報処理方法。
【請求項16】
前記サイズ特定ステップは、画像領域を囲む領域のAスキャン方向の長さから当該画像領域のサイズを特定する
ことを特徴とする請求項12~請求項14のいずれか一項に記載の眼科情報処理方法。
【請求項17】
前記2以上の分類種別は、単球に対応する第1分類種別、好中球に対応する第2分類種別、及びリンパ球に対応する第3分類種別を含む
ことを特徴とする請求項13に記載の眼科情報処理方法。
【請求項18】
前記分類ステップにおいて分類された前記1以上の画像領域の個数又は位置の分布情報を生成する分布情報生成ステップを含む
ことを特徴とする請求項13又は請求項17に記載の眼科情報処理方法。
【請求項19】
前記分類ステップにおいて分類された分類種別毎に識別可能な態様で前記1以上の画像領域が前記OCT画像に重畳された画像を含む分布情報を生成する分布情報生成ステップを含む
ことを特徴とする請求項13又は請求項17に記載の眼科情報処理方法。
【請求項20】
前記分布情報を表示手段に表示させる表示制御ステップを含む
ことを特徴とする請求項18又は請求項19に記載の眼科情報処理方法。
【請求項21】
前記被検眼に光コヒーレンストモグラフィを実行することにより得られたOCTデータに基づいて前記OCT画像を形成する画像形成ステップを含む
ことを特徴とする請求項12~請求項20のいずれか一項に記載の眼科情報処理方法。
【請求項22】
コンピュータに、請求項12~請求項21のいずれか一項に記載の眼科情報処理方法の各ステップを実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科情報処理装置、眼科装置、眼科情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザー光源からの光ビームを用いて被測定物体の形態を測定したり画像化したりする光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:OCT)が注目を集めている。OCTは、X線CT(Computed Tomography)のような人体に対する侵襲性を持たないことから、特に医療や生物学等の所定の分野における応用の展開が期待されている。例えば、眼科分野においては、眼底又は前眼部の画像を形成する装置が実用化されている。このようなOCTを用いた装置(OCT装置)は被検眼の様々な部位(眼底や前眼部)の観察に適用可能である。また、高精細な画像を取得できることから、様々な眼科疾患の診断に応用されている。
【0003】
このような眼科疾患として、例えば、ぶどう膜炎が挙げられる。ぶどう膜炎が生じると、眼中に浸潤した炎症細胞により様々な症状が現れる。ぶどう膜炎は、眼科検査の所見及び全身検査の所見から総合的に診断される。眼科検査には、スリットランプを用いた検査、蛍光眼底造影検査などがある。全身検査には、血液検査、胸部X線検査などがある。しかしながら、ぶどう膜炎の診断では、特徴的な所見がみられずに、ぶどう膜炎の診断に至らないことも多い。
【0004】
例えば、非特許文献1には、OCTを用いてぶどう膜炎の診断及び管理を行う手法が開示されている。OCTを実行することにより炎症細胞が描出された画像を取得することは、ぶどう膜炎の診断補助に有用である。
【0005】
ぶどう膜炎以外の眼科疾患についても、OCTを用いて取得された画像に描出された細胞レベルの画像領域を客観的に評価することができれば、様々な眼科疾患の診断補助に有用な情報を提供することができる可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Caio V. Regatieri et al.,“Use of Optical Coherence Tomography in the Diagnosis and Management of Uveitis”, Int Ophthalmol Clin., August 2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的なOCTでは、Aスキャンに直交する方向の横分解能は、Aスキャン方向の深さ分解能ほど高くない。それにより、OCTを用いて取得された画像に描出される細胞又は細胞塊に相当する画像領域を識別することは非常に困難である。従って、従来では、OCT画像中の細胞又は細胞塊(細胞等に対応する画像領域)を客観的に評価することができなかった。
【0008】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、OCTの横分解能にかかわらずOCT画像中の画像領域を評価するための新たな技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
いくつかの実施形態の第1態様は、被検眼に光コヒーレンストモグラフィを実行することにより取得されたOCT画像において1以上の画像領域を特定する領域特定部と、画像領域のAスキャン方向の長さから前記1以上の画像領域の少なくとも1つのサイズを特定するサイズ特定部と、を含む眼科情報処理装置である。
【0010】
いくつかの実施形態の第2態様では、第1態様において、前記サイズ特定部は、Aスキャン方向に最も長い画像領域の長さから当該画像領域のサイズを特定する。
【0011】
いくつかの実施形態の第3態様では、第1態様において、前記サイズ特定部は、画像領域を囲む領域のAスキャン方向の長さから当該画像領域のサイズを特定する。
【0012】
いくつかの実施形態の第4態様では、第1態様~第3態様のいずれかにおいて、前記領域特定部は、前記OCT画像に描出された細胞又は細胞塊に相当する前記1以上の画像領域を特定する。
【0013】
いくつかの実施形態の第5態様は、第1態様~第4態様のいずれかにおいて、前記サイズ特定部により特定された画像領域のサイズに基づいて前記1以上の画像領域を分類する分類部を含む。
【0014】
いくつかの実施形態の第6態様では、第5態様において、前記OCT画像は、硝子体の少なくとも一部が描出された画像であり、前記分類部は、硝子体に浸潤する2以上の炎症細胞に対応する2以上の分類種別に前記1以上の画像領域を分類する。
【0015】
いくつかの実施形態の第7態様では、第6態様において、前記2以上の分類種別は、単球に対応する第1分類種別、好中球に対応する第2分類種別、及びリンパ球に対応する第3分類種別を含む。
【0016】
いくつかの実施形態の第8態様は、第5態様~第7態様のいずれかにおいて、前記分類部により分類された前記1以上の画像領域の個数又は位置の分布情報を生成する分布情報生成部を含む。
【0017】
いくつかの実施形態の第9態様は、第5態様~第7態様のいずれかにおいて、前記分類部により分類された分類種別毎に識別可能な態様で前記1以上の画像領域が前記OCT画像に重畳された画像を含む分布情報を生成する分布情報生成部を含む。
【0018】
いくつかの実施形態の第10態様は、第8態様又は第9態様において、前記分布情報を表示手段に表示させる表示制御部を含む。
【0019】
いくつかの実施形態の第11態様では、第1態様~第10態様のいずれかにおいて、前記OCT画像は、3次元画像であり、前記サイズ特定部は、隣接する2以上のBスキャン画像に跨がって描出された3次元の画像領域のAスキャン方向の長さから前記3次元の画像領域のサイズを特定する。
【0020】
いくつかの実施形態の第12態様は、第1態様~第11態様のいずれかにおいて、前記被検眼に光コヒーレンストモグラフィを実行することにより得られたOCTデータに基づいて前記OCT画像を形成する画像形成部を含む。
【0021】
いくつかの実施形態の第13態様は、前記被検眼に光コヒーレンストモグラフィを実行することによりOCTデータを取得する光学系と、第12態様に記載の眼科情報処理装置と、を含む眼科装置である。
【0022】
いくつかの実施形態の第14態様は、被検眼に光コヒーレンストモグラフィを実行することにより取得されたOCT画像において1以上の画像領域を特定する領域特定ステップと、画像領域のAスキャン方向の長さから前記1以上の画像領域の少なくとも1つのサイズを特定するサイズ特定ステップと、を含む眼科情報処理方法である。
【0023】
いくつかの実施形態の第15態様では、第14態様において、前記サイズ特定ステップは、Aスキャン方向に最も長い画像領域の長さから当該画像領域のサイズを特定する。
【0024】
いくつかの実施形態の第16態様では、第14態様において、前記サイズ特定ステップは、画像領域を囲む領域のAスキャン方向の長さから当該画像領域のサイズを特定する。
【0025】
いくつかの実施形態の第17態様では、第14態様~第16態様のいずれかにおいて、前記領域特定ステップは、前記OCT画像に描出された細胞又は細胞塊に相当する前記1以上の画像領域を特定する。
【0026】
いくつかの実施形態の第18態様では、第14態様~第17態様のいずれかにおいて、前記サイズ特定ステップにおいて特定された画像領域のサイズに基づいて前記1以上の画像領域を分類する分類ステップを含む。
【0027】
いくつかの実施形態の第19態様では、第18態様において、前記OCT画像は、硝子体の少なくとも一部が描出された画像であり、前記分類ステップは、硝子体に浸潤する2以上の炎症細胞に対応する2以上の分類種別に前記1以上の画像領域を分類する。
【0028】
いくつかの実施形態の第20態様では、第19態様において、前記2以上の分類種別は、単球に対応する第1分類種別、好中球に対応する第2分類種別、及びリンパ球に対応する第3分類種別を含む。
【0029】
いくつかの実施形態の第21態様は、第18態様~第20態様のいずれかにおいて、前記分類ステップにおいて分類された前記1以上の画像領域の個数又は位置の分布情報を生成する分布情報生成ステップを含む。
【0030】
いくつかの実施形態の第22態様は、第18態様~第20態様のいずれかにおいて、前記分類ステップにおいて分類された分類種別毎に識別可能な態様で前記1以上の画像領域が前記OCT画像に重畳された画像を含む分布情報を生成する分布情報生成ステップを含む。
【0031】
いくつかの実施形態の第23態様は、第21態様又は第22態様において、前記分布情報を表示手段に表示させる表示制御ステップを含む。
【0032】
いくつかの実施形態の第24態様では、第14態様~第23態様のいずれかにおいて、前記OCT画像は、3次元画像であり、前記サイズ特定ステップは、隣接する2以上のBスキャン画像に跨がって描出された3次元の画像領域のAスキャン方向の長さから前記3次元の画像領域のサイズを特定する。
【0033】
いくつかの実施形態の第25態様は、第14態様~第24態様のいずれかにおいて、前記被検眼に光コヒーレンストモグラフィを実行することにより得られたOCTデータに基づいて前記OCT画像を形成する画像形成ステップを含む。
【0034】
いくつかの実施形態の第26態様は、コンピュータに、第14態様~第25態様のいずれかに記載の眼科情報処理方法の各ステップを実行させるプログラムである。
【0035】
なお、上記した複数の態様に係る構成を任意に組み合わせることが可能である。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、OCTの横分解能にかかわらずOCT画像中の画像領域を評価するための新たな技術を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】実施形態に係る眼科システムの構成の一例を表す概略図である。
図2】実施形態に係る眼科装置の構成の一例を表す概略図である。
図3】実施形態に係る眼科情報処理装置の構成の一例を表す概略図である。
図4】実施形態に係る眼科情報処理装置の構成の一例を表す概略図である。
図5】実施形態に係る眼科情報処理装置の動作を説明するための概略図である。
図6】実施形態に係る眼科情報処理装置の動作を説明するための概略図である。
図7】実施形態に係る眼科情報処理装置の動作を説明するための概略図である。
図8】実施形態に係る眼科情報処理装置の動作を説明するための概略図である。
図9】実施形態に係る眼科情報処理装置の動作を説明するための概略図である。
図10】実施形態に係る眼科情報処理装置の動作を説明するための概略図である。
図11】実施形態に係る眼科情報処理装置の動作を説明するための概略図である。
図12】実施形態に係る眼科情報処理装置の動作フローの一例を表す概略図である。
図13】実施形態の変形例に係る眼科装置の構成の一例を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
この発明のいくつかの実施形態に係る眼科情報処理装置、眼科装置、眼科情報処理方法、及びプログラムの例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書で引用する文献に記載された事項や任意の公知技術を実施形態に援用することができる。
【0039】
実施形態に係る眼科システムは、眼科装置と、眼科情報処理装置とを含む。実施形態に係る眼科情報処理方法は、眼科情報処理装置により実行される。実施形態に係るプログラムは、実施形態に係る眼科情報処理方法の各ステップをコンピュータに実行させる。
【0040】
実施形態に係る眼科情報処理装置は、眼科装置により被検眼に対して光コヒーレンストモグラフィを実行することにより取得された被検眼の画像(データ)に対して所定の解析処理及び所定の表示処理を施すことが可能である。実施形態に係る眼科装置は、被検眼に対してOCTを実行するための光学系を含む。
【0041】
いくつかの実施形態に係る眼科装置は、更に、被検眼(前眼部又は眼底)の正面画像を取得する機能を備える。被検眼の正面画像を取得する機能は、OCT装置、眼底カメラ、走査型レーザー検眼鏡、スリットランプ顕微鏡、手術用顕微鏡などにより実現される。いくつかの実施形態に係る眼科装置は、更に、被検眼の光学的な特性を測定する機能を備える。被検眼の光学的な特性を測定する機能は、レフラクトメーター、ケラトメーター、眼圧計、ウェーブフロントアナライザー、スペキュラーマイクロスコープ、視野計などにより実現される。いくつかの実施形態に係る眼科装置は、更に、レーザー治療に用いられるレーザー治療装置の機能を備える。
【0042】
[眼科システム]
図1に、実施形態に係る眼科システムの構成例のブロック図を示す。実施形態に係る眼科システム1は、眼科装置10と、眼科情報処理装置(眼科画像処理装置、眼科解析装置)100と、操作装置180と、表示装置190とを含む。
【0043】
眼科装置10は、被検眼の所定部位をスキャンすることにより1次元、2次元又は3次元のOCTデータを収集する。眼科装置10は、収集されたOCTデータから被検眼の1次元、2次元又は3次元の画像(OCT画像)を取得する。被検眼の画像は、断層像及び正面画像を含む。断層像には、Aスキャン画像、Bスキャン画像などがある。正面画像には、Cスキャン画像、シャドウグラム、又はプロジェクション画像などがある。このような被検眼の画像には、前眼部及び後眼部の少なくとも一方に相当する領域が描出される。
【0044】
特に、実施形態に係る眼科装置10は、前眼部(角膜、水晶体)及び後眼部(眼底)の少なくとも一方をスキャンすることにより、前眼部及び後眼部の少なくとも一方が描出された断層像又は3次元画像を取得することが可能である。断層像又は3次元画像には、前眼房の少なくとも一部に相当する領域、又は硝子体の少なくとも一部に相当する領域が描出される。
【0045】
眼科装置10は、取得された被検眼の画像(データ)を眼科情報処理装置100に送信する。いくつかの実施形態では、眼科装置10と眼科情報処理装置100とは、データ通信ネットワークを介して接続される。いくつかの実施形態に係る眼科情報処理装置100は、データ通信ネットワークを介して選択的に接続された複数の眼科装置10の1つからデータを受信する。
【0046】
いくつかの実施形態では、眼科装置10は、眼科情報処理装置100の少なくとも一部を含み、眼科情報処理装置100の機能の少なくとも一部を実現することが可能である。例えば、眼科装置10は、更に、操作装置180及び表示装置190の少なくとも一方を含み、操作装置180及び表示装置190の少なくとも一方の機能を実現することが可能である。
【0047】
眼科情報処理装置100は、眼科装置10によって取得された画像(断層像又は3次元画像)に描出された解析対象の1以上の画像領域を特定し、画像領域のAスキャン方向の長さから、特定された1以上の画像領域の少なくとも1つのサイズを特定する。画像領域には、眼内の所定部位(特徴部位、血管、病変部、治療痕)に相当する領域、眼中の細胞又は細胞塊に相当する領域などがある。いくつかの実施形態では、画像領域は、3次元画像における粒状の物質に相当する領域、又は断層像における円状の物質に相当する領域である。
【0048】
眼科情報処理装置100は、特定された画像領域のサイズに基づいて、取得された画像に描出された複数の画像領域を複数の分類種別に分類する。眼科情報処理装置100は、複数の画像領域の分類結果に基づいて分布情報を生成することが可能である。分布情報には、分類された分類種別毎の個数(複数の画像領域の個数)の分布情報(例えば、ヒストグラム)、分類された分類種別毎の位置の分布情報(例えば、分布画像)などがある。いくつかの実施形態では、分布情報は、分類種別毎に識別可能な態様で複数の画像領域が被検眼の画像に重畳された画像を含む。眼科情報処理装置100は、生成された分布情報を表示装置190に表示させることが可能である。
【0049】
これにより、OCTの横分解能に起因して識別が困難な場合であっても、被検眼の画像に描出された1以上の画像領域のそれぞれのサイズをAスキャン方向の長さから特定し、特定されたサイズを用いて1以上の画像領域を評価することができるようになる。
【0050】
操作装置180及び表示装置190は、ユーザインターフェイス部として情報の表示、情報の入力、操作指示の入力など、眼科情報処理装置100とそのユーザとの間で情報をやりとりするための機能を提供する。操作装置180は、レバー、ボタン、キー、ポインティングデバイス等の操作デバイスを含む。いくつかの実施形態に係る操作装置180は、音で情報を入力するためのマイクロフォンを含む。表示装置190は、フラットパネルディスプレイ等の表示デバイスを含む。いくつかの実施形態では、操作装置180及び表示装置190の機能は、タッチパネルディスプレイのような入力機能を有するデバイスと表示機能を有するデバイスとが一体化されたデバイスにより実現される。いくつかの実施形態では、操作装置180及び表示装置190は、情報の入出力を行うためのグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を含む。
【0051】
以下では、眼科情報処理装置100が、主に、OCT画像における、硝子体に浸潤した炎症細胞又は細胞塊に相当する画像領域の分布情報を生成する場合について説明する。この場合、眼科装置10は、硝子体の少なくとも一部を含む眼底に対してOCTスキャンを実行することによりOCTデータを収集する。眼科情報処理装置100は、収集されたOCTデータから硝子体の少なくとも一部を含むOCT画像を取得し、取得されたOCT画像に描出された炎症細胞又は細胞塊に相当する画像領域を特定し、特定された画像領域の分布情報を生成する。
【0052】
また、眼科情報処理装置100は、炎症細胞又は細胞塊以外の物質に相当する画像領域の分布情報を生成するように構成されていてもよい。また、眼科装置10は、硝子体以外の部位(例えば、前眼房)に対してOCTスキャンを実行し、眼科情報処理装置100は、硝子体以外の部位の画像に描出された細胞又は細胞塊に相当する画像領域の分布情報を生成するように構成されていてもよい。
【0053】
[眼科装置]
図2に、実施形態に係る眼科装置10の構成例のブロック図を示す。
【0054】
眼科装置10には、被検眼のOCTデータを取得するための光学系が設けられている。眼科装置10は、スウェプトソースOCTを実行する機能を備えているが、実施形態はこれに限定されない。例えば、OCTの種別はスウェプトソースOCTには限定されず、スペクトラルドメインOCT等であってもよい。スウェプトソースOCTは、波長掃引型(波長走査型)光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被測定物体を経由した測定光の戻り光を参照光と干渉させて干渉光を生成し、この干渉光をバランスドフォトダイオード等で検出し、波長の掃引及び測定光のスキャンに応じて収集された検出データにフーリエ変換等を施して画像を形成する手法である。スペクトラルドメインOCTは、低コヒーレンス光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被測定物体を経由した測定光の戻り光を参照光と干渉させて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル分布を分光器で検出し、検出されたスペクトル分布にフーリエ変換等を施して画像を形成する手法である。
【0055】
眼科装置10は、制御部11と、データ収集部12と、画像形成部13と、通信部14とを含む。
【0056】
制御部11は、眼科装置10の各部を制御する。特に、制御部11は、データ収集部12、画像形成部13、及び通信部14を制御する。
【0057】
データ収集部12は、OCTを用いて被検眼をスキャンすることにより被検眼のデータ(1次元、2次元、又は3次元のOCTデータ)を収集する。データ収集部12は、干渉光学系12Aと、スキャン光学系12Bとを含む。
【0058】
干渉光学系12Aは、光源(波長掃引型光源)からの光を測定光と参照光とに分割し、被検眼を経由した測定光の戻り光を参照光路を経由した参照光と干渉させて干渉光を生成し、生成された干渉光を検出する。干渉光学系12Aは、ファイバーカプラと、バランスドフォトダイオード等の受光器とを少なくとも含む。ファイバーカプラは、光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被検眼を経由した測定光の戻り光と参照光路を経由した参照光と干渉させて干渉光を生成する。受光器は、ファイバーカプラにより生成された干渉光を検出する。干渉光学系12Aは、光源を含んでよい。
【0059】
干渉光学系12Aは、被検眼の前眼部又は眼底を経由した測定光の戻り光と参照光路を経由した参照光との干渉光を検出することが可能である。例えば、測定光の焦点位置を被検眼の前眼部又はその近傍に配置することで、前眼部に対するOCTスキャンが可能になる。例えば、測定光の焦点位置を被検眼の眼底又はその近傍に配置することで、眼底に対するOCTスキャンが可能になる。測定光の焦点位置は、対物レンズと被検眼との間での前置レンズの挿脱制御、及び測定光の焦点位置を変更する合焦レンズの光軸方向の移動制御の少なくとも一方を行うことにより変更可能である。
【0060】
スキャン光学系12Bは、制御部11からの制御を受け、干渉光学系12Aにより生成された測定光を偏向することにより被検眼における測定光の入射位置を変更する。スキャン光学系12Bは、例えば、被検眼の瞳孔と光学的に略共役な位置に配置された光スキャナを含む。光スキャナは、例えば、測定光を水平方向にスキャンするガルバノミラーと、垂直方向にスキャンするガルバノミラーと、これらを独立に駆動する機構とを含んで構成される。それにより、測定光を光軸に交差する平面上の任意の方向にスキャンすることができる。
【0061】
干渉光学系12Aによる干渉光の検出結果(検出信号)は、干渉光のスペクトルを示す干渉信号である。
【0062】
画像形成部13は、制御部11からの制御を受け、データ収集部12により収集された被検眼の(3次元の)OCTデータに基づいて被検眼の前眼部又は眼底の断層像の画像データを形成する。この処理には、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理が含まれている。このようにして取得される画像データは、複数のAライン(被検眼内における各測定光の経路)における反射強度プロファイルを画像化することにより形成された一群の画像データを含むデータセットである。画質を向上させるために、同じパターンでのスキャンを複数回繰り返して収集された複数のデータセットを重ね合わせる(加算平均する)ことができる。
【0063】
画像形成部13は、3次元のOCTデータに各種のレンダリングを施すことで、Bスキャン画像、Cスキャン画像、プロジェクション画像、シャドウグラムなどを形成することができる。Bスキャン画像やCスキャン画像のような任意断面の画像は、指定された断面上の画素(ピクセル、ボクセル)を3次元のOCTデータから選択することにより形成される。プロジェクション画像は、3次元のOCTデータを所定方向(Z方向、深さ方向、Aスキャン方向)に投影することによって形成される。シャドウグラムは、3次元のOCTデータの一部(例えば特定層に相当する部分データ)を所定方向に投影することによって形成される。
【0064】
いくつかの実施形態に係る眼科装置10には、画像形成部13により形成された画像に対して各種のデータ処理(画像処理)や解析処理を施すデータ処理部が設けられる。例えば、データ処理部は、画像の輝度補正や分散補正等の補正処理を実行する。データ処理部は、断層像の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行することにより、被検眼のボリュームデータ(ボクセルデータ)を形成することができる。ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、データ処理部は、このボリュームデータに対してレンダリング処理を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像を形成する。
【0065】
制御部11及び画像形成部13のそれぞれは、プロセッサを含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を含む。画像形成部13の機能は、画像形成プロセッサにより実現される。いくつかの実施形態では、制御部11及び画像形成部13の双方の機能が1つのプロセッサにより実現される。いくつかの実施形態では、眼科装置10にデータ処理部が設けられている場合、データ処理部の機能もまたプロセッサにより実現される。
【0066】
プロセッサは、例えば、記憶回路又は記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。記憶回路又は記憶装置がプロセッサに含まれていてよい。また、記憶回路又は記憶装置がプロセッサの外部に設けられていてよい。
【0067】
記憶回路又は記憶装置は、各種のデータを記憶する。記憶回路又は記憶装置に記憶されるデータとしては、データ収集部12により取得されたデータ(測定データ、撮影データ等)や、被検者及び被検眼に関する情報などがある。記憶回路又は記憶装置には、眼科装置10の各部を動作させるための各種のコンピュータプログラムやデータが記憶されていてよい。
【0068】
通信部14は、制御部11からの制御を受け、眼科情報処理装置100との間で情報の送信又は受信を行うための通信インターフェース処理を実行する。
【0069】
いくつかの実施形態に係る眼科装置10は、画像形成部13により形成された被検眼の画像データを眼科情報処理装置100に送信する。
【0070】
いくつかの実施形態に係る眼科装置10には、被検眼の眼底の画像を取得するための眼底カメラ、走査型レーザー検眼鏡、スリットランプ顕微鏡が設けられる。いくつかの実施形態では、眼底カメラにより取得される眼底画像は、フルオレセイン蛍光眼底造影画像又は眼底自発蛍光検査画像である。
【0071】
[眼科情報処理装置]
図3及び図4に、実施形態に係る眼科情報処理装置100の構成例のブロック図を示す。図3は、眼科情報処理装置100の機能ブロック図を表す。図4は、図3の解析部200の機能ブロック図を表す。
【0072】
眼科情報処理装置100は、制御部110と、画像形成部120と、データ処理部130と、通信部140とを含む。
【0073】
制御部110は、眼科情報処理装置100の各部を制御する。特に、制御部110は、画像形成部120、データ処理部130、及び通信部140を制御する。
【0074】
通信部140は、制御部110からの制御を受け、眼科情報処理装置100の通信部14との間で情報の送信又は受信を行うための通信インターフェース処理を実行する。
【0075】
制御部110は、眼科情報処理装置100の各部を制御する。特に、制御部110は、画像形成部120と、データ処理部130と、通信部140とを制御する。制御部110は、主制御部111と、記憶部112とを含む。主制御部111は、表示制御部111Aを含む。
【0076】
表示制御部111Aは、各種の情報を表示装置190に表示させる。例えば、表示制御部111Aは、画像形成部120により形成された被検眼の画像(断層像、OCT画像)や、データ処理部130によるデータ処理結果(解析処理結果を含む)の画像を表示装置190に表示させる。特に、表示制御部111Aは、被検眼の画像を表示装置190に表示させ、且つ画像において、炎症細胞又は細胞塊に相当する画像領域を識別可能に表示させる。いくつかの実施形態に係る表示制御部111Aは、被検眼の画像を表示装置190に表示させ、且つ画像における炎症細胞等に相当する領域をハイライト表示させる。例えば、表示制御部111Aは、炎症細胞等に相当する領域又はその背景領域内の画素の輝度がそれ以外の領域の画素の輝度より高くなるように炎症細胞等に相当する領域又はその背景領域を表示させる。
【0077】
また、表示制御部111Aは、検査日が異なる複数のOCTデータから後述するように特定された炎症細胞等に相当する領域を表す画像を時系列に表示装置190に表示させることができる。
【0078】
制御部110は、操作装置180に対するユーザの操作内容に対応した操作指示信号に基づいて、眼科システム1の各部を制御する。
【0079】
制御部110、画像形成部120、及びデータ処理部130のそれぞれは、プロセッサを含む。画像形成部120の機能は、画像形成プロセッサにより実現される。データ処理部130の機能は、データ処理プロセッサにより実現される。いくつかの実施形態では、制御部110、画像形成部120、及びデータ処理部130のうち少なくとも2つの機能が1つのプロセッサにより実現される。
【0080】
記憶部112は、各種のデータを記憶する。記憶部112に記憶されるデータとしては、眼科装置10により取得されたデータ(測定データ、撮影データ等)、画像形成部120により形成された画像データ、データ処理部130によるデータ処理結果、被検者及び被検眼に関する情報などがある。記憶部112には、眼科情報処理装置100の各部を動作させるための各種のコンピュータプログラムやデータが記憶されていてよい。
【0081】
(画像形成部120)
画像形成部120は、制御部110からの制御を受け、眼科装置10により取得されたOCTデータから各種のOCT画像を形成する。例えば、画像形成部120は、眼科装置10によって取得された1次元、2次元、又は3次元のOCTデータからAスキャン画像を形成する。例えば、画像形成部120は、眼科装置10によって取得された2次元又は3次元のOCTデータからBスキャン画像を形成する。画像形成部120は、画像形成部13と同様に上記の画像を形成することが可能である。眼科装置10の画像形成部13が上記の画像形成部120の機能を有する場合、眼科情報処理装置100に画像形成部120が設けられていなくてもよい。
【0082】
(データ処理部130)
データ処理部130は、画像形成部120により形成された画像に対して各種のデータ処理(画像処理)や解析処理を施す。例えば、データ処理部130は、画像の輝度補正や分散補正等の補正処理を実行する。データ処理部130(又は、画像形成部120)は、眼科装置10によって取得された3次元のOCTデータからAスキャン画像、Bスキャン画像、Cスキャン画像、プロジェクション画像、シャドウグラムなどを形成する。眼科装置10がデータ処理部130の機能を有する場合、眼科情報処理装置100にデータ処理部130が設けられていなくてもよい。
【0083】
データ処理部130は、3次元画像生成部131と、解析部200とを含む。
【0084】
(3次元画像生成部131)
3次元画像生成部131は、Bスキャン画像(断層像)の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行することにより、被検眼のボリュームデータ(ボクセルデータ)を形成することができる。ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、データ処理部130は、このボリュームデータに対してレンダリング処理を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像を形成する。
【0085】
いくつかの実施形態では、3次元画像生成部131は、後述の解析部200により炎症細胞又は細胞塊に相当する画像領域が特定された複数のBスキャン画像に対して上記の画像処理を実行する。それにより、データ処理部130は、炎症細胞等に相当する画像領域が特定可能なボリュームデータを形成することができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、後述の解析部200は、3次元画像生成部131により生成されたボリュームデータを解析することにより炎症細胞又は細胞塊に相当する画像領域を特定する。データ処理部130は、解析部200により特定された画像領域をボリュームデータに対応付けることにより、炎症細胞等に相当する画像領域が特定可能なボリュームデータを形成することができる。
【0087】
(解析部200)
解析部200は、画像形成部120により形成された被検眼の画像データ(又は眼科装置10により取得された被検眼の画像データ)に対して所定の解析処理を施す。いくつかの実施形態に係る解析処理には、炎症細胞又は細胞塊に相当する画像領域の特定処理、特定された画像領域のサイズの特定処理、特定されたサイズに基づく所定の分類種別への分類処理、分布情報の生成処理などが含まれる。
【0088】
解析部200は、領域特定部210と、領域連結部220と、サイズ特定部230と、分類部240と、分布情報生成部250とを含む。この実施形態では、領域特定部210は、複数のBスキャン画像のそれぞれについて、炎症細胞等に相当する画像領域を特定するものとする。そして、3次元画像生成部131が、領域特定部210により炎症細胞等に相当する画像領域が特定された複数のBスキャン画像からボリュームデータを形成するものとする。少なくとも領域連結部220は、3次元画像生成部131により形成されたボリュームデータに対して後述の処理を行うものとする。
【0089】
いくつかの実施形態では、解析部200の機能は、1以上のプロセッサにより実現される。いくつかの実施形態では、解析部200の各部の機能は、1以上のプロセッサにより実現される。
【0090】
(領域特定部210)
領域特定部210は、被検眼の眼底(又は前眼部)のBスキャン画像(OCT画像)から炎症細胞又は細胞塊に相当する1以上の画像領域を特定する。領域特定部210は、解析範囲特定部211と、ノイズ除去部212と、二値化処理部213とを含む。
【0091】
(解析範囲特定部211)
解析範囲特定部211は、セグメンテーション処理によりBスキャン画像に描出される所定の層領域を特定し、特定された層領域を基準に画像領域の解析範囲を特定する。具体的には、解析範囲特定部211は、眼科装置10により取得された被検眼のOCTデータ又はBスキャン画像に基づいてAスキャン方向の複数の層領域を特定し、特定され複数の層領域から所定の層領域を特定する。
【0092】
いくつかの実施形態に係る解析範囲特定部211は、3次元のOCTデータを解析することにより、被検眼の複数の組織に相当する複数の部分データセットを特定する。例えば、解析範囲特定部211は、OCTデータに含まれる各Aスキャン画像における画素値(輝度値)の勾配を求め、勾配が大きい位置を組織境界として特定する。なお、Aスキャン画像は、眼底の深さ方向にのびる1次元画像データである。眼底の深さ方向は、例えば、Z方向、測定光の入射方向、測定光軸方向、干渉光学系の光軸方向などとして定義される。
【0093】
典型的な例において、解析範囲特定部211は、眼底(網膜、脈絡膜等)及び硝子体を表すOCTデータを解析することにより、眼底の複数の層組織に相当する複数の部分データセットを特定する。各部分データセットは、層組織の境界によって画成される。部分データセットとして特定される層組織の例として、網膜を構成する層組織がある。網膜を構成する層組織には、内境界膜、神経繊維層、神経節細胞層、内網状層、内顆粒層、外網状層、外顆粒層、外境界膜、視細胞層、RPEがある。解析範囲特定部211は、ブルッフ膜、脈絡膜、強膜、硝子体等に相当する部分データセットを特定することができる。いくつかの実施形態に係る解析範囲特定部211は、病変部に相当する部分データセットを特定する。病変部の例として、剥離部、浮腫、出血、腫瘍、ドルーゼンなどがある。
【0094】
いくつかの実施形態に係る解析範囲特定部211は、RPEに対して強膜側の所定のピクセル数分の層組織をブルッフ膜として特定し、当該層組織に相当する部分データセットをブルッフ膜の部分データセットとして取得する。
【0095】
解析範囲特定部211は、特定された所定の層領域から所定のピクセル数分だけ浅層方向(測定光の戻り光の進行方向)にシフトした位置から浅層の領域を解析範囲として特定する。
【0096】
図5に、解析範囲特定部211の動作説明図を示す。図5は、被検眼の眼底のBスキャン画像の一例を表す。
【0097】
例えば、解析範囲特定部211は、Bスキャン画像IMG0を解析して内境界膜(Inner Limiting Membrane:ILM)LRを特定する。解析範囲特定部211は、特定された内境界膜LRから所定のピクセル数pnだけ浅層方向にシフトした位置を境界とする浅層の領域を解析範囲ARとして特定する。ピクセル数pnは、例えば、5~30の範囲であってよい。
【0098】
解析範囲特定部211は、Bスキャン画像IMG0に対し、解析範囲ARより深層の領域の画素値が所定値となるように補正し、解析範囲特定画像を生成する。所定値として、画素値の最小値(例えば、「0」)、画素値の最大値、解析範囲外であることを示す値などがある。ここでは、解析範囲特定部211は、解析範囲ARより深層の領域の画素値が「0」となるように補正し、解析範囲内に炎症細胞又は細胞塊に相当する画像領域が描出された解析範囲特定画像を生成する。これにより、内境界膜LRの付近を解析範囲外とすることが可能になり、硝子体に浸潤する炎症細胞又は細胞塊に相当する画像領域の特定精度を向上させることができるようになる。
【0099】
(ノイズ除去部212)
ノイズ除去部212は、解析範囲特定部211により特定された解析範囲におけるノイズ成分を除去する。具体的には、ノイズ除去部212は、解析範囲特定部211による解析範囲の特定処理の結果として生成された解析範囲特定画像に対して、所定のフィルタリング処理を施すことによりノイズ成分が除去されたノイズ除去画像を生成する。
【0100】
所定のフィルタリング処理として、ガウシアンフィルタ等の平滑化フィルタを適用したフィルタリング処理、バイラテラルフィルタ(bilateral filter)等のエッジ保存平滑化フィルタを適用したフィルタリング処理などがある。特に、解析範囲特定画像に対してエッジ保存平滑化フィルタを適用することにより、小さい炎症細胞又は細胞塊に相当する画像領域のエッジ部分を残しつつ、バックグラウンドノイズ成分が除去されたノイズ除去画像を取得することが可能になる。
【0101】
(二値化処理部213)
二値化処理部213は、ノイズ除去部212によりノイズ成分が除去されたノイズ除去画像に対して二値化処理を施す。具体的には、二値化処理部213は、閾値を基準にノイズ除去画像を二値化する。二値化処理は、例えば、炎症細胞又は細胞塊に相当する画像領域の画素値が最大値となり、それ以外の画像領域の画素値が最小値(例えば、解析範囲ARより深層の領域と同じ画素値)となるように行われる。閾値は、あらかじめ決められた値であってもよいし、ノイズ除去画像に応じて決定された値であってもよい。
【0102】
例えば、二値化処理部213は、ノイズ除去画像を解析することによりノイズ除去画像の画素値の分布を特定し、特定された画素値の分布に基づいて二値化処理のための閾値を求め、求められた閾値を基準にノイズ除去画像を二値化する。具体的には、二値化処理部213は、ノイズ除去画像の画素値の分布から1以上の統計値を算出し、算出された1以上の統計値から閾値を求める。統計値として、平均値、中央値、最頻値、標準偏差、変動係数などがある。
【0103】
このとき、二値化処理部213は、解析範囲特定部211により補正された解析範囲外の画素値が統計値の算出に用いられないように所定の範囲における画素値の分布に対して上記の統計値を算出することが可能である。例えば、二値化処理部213は、解析範囲外の領域の画素値の最小値「0」を除く範囲における画素値の分布に対して最頻値を算出する。例えば、二値化処理部213は、標準偏差が1から所定値までの範囲における画素値の分布に対して標準偏差を算出する。所定値は、最頻値に対応した値であってよい。
【0104】
このような二値化処理部213は、例えば、算出された2以上の統計値(例えば、最頻値と標準偏差)を変数とする多項式から閾値を算出することが可能である。二値化処理部213は、閾値を基準にノイズ除去画像を二値化することにより二値化画像を生成する。
【0105】
いくつかの実施形態では、二値化処理部213は、二値化画像において、解析対象の炎症細胞等に比べて明らかにサイズが小さい画像領域を除去する。具体的には、二値化処理部213は、画素値が同一の画素がAスキャン方向に連続する所定のピクセル数(例えば、3ピクセル)以下の領域を二値化画像から除去する。例えば、二値化処理部213は、画素値が最大値である画素がAスキャン方向に連続する3ピクセル以下の領域の画素値を最小値(例えば、「0」)に設定する。これにより、解析対象の炎症細胞等に比べて明らかにサイズが小さい画像領域を除外して、炎症細胞又は細胞塊に相当する画像領域の特定精度を向上させることができるようになる。
【0106】
以下では、二値化処理後の画像において、炎症細胞又は細胞塊に相当する画像領域の画素の画素値が最大値であり、それ以外の画像領域の画素の画素値が最小値であるものとして説明する。
【0107】
3次元画像生成部131は、二値化処理部213により生成された複数の二値化画像に対して上記の画像処理を施すことによりボリュームデータを形成する。領域連結部220、サイズ特定部230、分類部240、及び分布情報生成部250のそれぞれは、形成されたボリュームデータを用いて各部の処理を行う。
【0108】
(領域連結部220)
領域連結部220は、3次元画像生成部131により生成されたボリュームデータに対して画素値が同一の画素の連結性を3次元的に探索し、同一画素値の画素が3次元的に連続する画像領域を特定する。すなわち、領域連結部220は、Bスキャン方向に隣接する2以上のBスキャン画像に跨がって描出された3次元の画像領域を特定することが可能である。
【0109】
例えば、領域連結部220は、ボリュームデータに対して、3次元の連結成分抽出処理(Connected-Component Labeling:CCL)処理を行う。例えば、領域連結部220は、所定の画素と同一の画素値を有する画素をAスキャン方向及びAスキャン方向に直交(交差)する方向(すなわち、6方向)に探索し、画素値が同一の画素が連続する領域を特定する。領域連結部220は、特定された領域に固有のラベリングを行い、ラベリングされた領域を連結する。なお、領域連結部220は、公知の輪郭追跡処理、スネーク法、Mean Shift法などのクラスタリング手法を用いて画像領域を特定してもよい。
【0110】
(サイズ特定部230)
サイズ特定部230は、領域連結部220により特定された1以上の画像領域のそれぞれのサイズを特定する。サイズ特定部230は、画像領域のAスキャン方向の長さから、領域連結部220により特定された1以上の画像領域の少なくとも1つのサイズを特定することが可能である。これにより、OCTの横分解能に起因して識別が困難な画像領域であっても、画像領域のAスキャン方向の長さから画像領域のサイズを特定することが可能になる。
【0111】
図6及び図7に、サイズ特定部230の動作説明図を示す。図6は、サイズ特定部230によるサイズ特定処理の第1処理例を模式的に表したものである。図7は、サイズ特定部230によるサイズ特定処理の第2処理例を模式的に表したものである。
【0112】
例えば、サイズ特定部230は、領域連結部220により特定された1以上の画像領域のそれぞれについて、輪郭部を特定し、特定された輪郭部においてAスキャン方向の最長部分の長さを当該画像領域のサイズとして特定する。具体的には、図6に示すように、サイズ特定部230は、領域連結部220により特定された画像領域PC1において、Aスキャン方向の最長部分の長さSZ1を画像領域PC1のサイズとして特定する。
【0113】
また、例えば、サイズ特定部230は、領域連結部220により特定された1以上の画像領域のそれぞれについて、画像領域を囲む長方形の領域(バウンディングボックス)を特定し、特定された領域のAスキャン方向の長さを当該画像領域のサイズとして特定する。長方形の短辺又は長辺は、Aスキャン方向に平行な辺である。具体的には、図7に示すように、サイズ特定部230は、領域連結部220により特定された画像領域PC2を囲む領域BXを特定し、特定された領域BXのAスキャン方向の長さSZ2を画像領域PC2のサイズとして特定する。
【0114】
以上のように、サイズ特定部230は、領域連結部220により特定された1以上の画像領域のそれぞれのサイズを特定する。
【0115】
(分類部240)
分類部240は、サイズ特定部230により特定された1以上の画像領域を、特定されたサイズに基づいて所定の分類種別に分類する。例えば、分類部は、2以上の炎症細胞に対応する2以上の分類種別に1以上の画像領域を分類する。2以上の分類種別は、直径が20マイクロメートル以上の炎症細胞又は細胞塊に対応する第1分類種別、直径が約15マイクロメートルの炎症細胞又は細胞塊に対応する第2分類種別、直径が約10マイクロメートルの炎症細胞又は細胞塊に対応する第3分類種別を含む。具体的には、第1分類種別は、単球に対応する分類種別である。第2分類種別は、好中球に対応する分類種別である。第3分類種別は、リンパ球に対応する分類種別である。
【0116】
図8に、分類部240の動作説明図を示す。図8において、縦方向はAスキャン方向に画素値が最大値である画素が連続する画素群を模式的に表し、横方向にAスキャン方向に画素値が最大値である画素が連続する数をピクセル連続数として模式的に表す。ここで、ピクセル数は、サイズ特定部230により特定されたサイズに相当する。
【0117】
この実施形態では、ピクセル連続数が1~3のとき、分類部240は、Aスキャン方向に画素値が最大値である画素pxが連続する画素群を分類対象から除外する。或いは、上記のように、二値化処理部213は、画素値が最大値である画素がAスキャン方向に連続する3ピクセル以下の領域の画素値を最小値に設定することにより、分類部240の処理対象から除外する。
【0118】
ピクセル連続数が4又は5のとき、分類部240は、Aスキャン方向に画素値が最大値である画素pxが連続する画素群を第3分類種別CL3に分類する。例えば、ピクセル連続数が4又は5のとき、サイズ特定部230により特定された画像領域のサイズが10~13マイクロメートルに相当するものとする。このとき、分類部240は、サイズ特定部230により特定されたサイズがリンパ球に相当すると判断して、当該画像領域を第3分類種別CL3に分類する。
【0119】
ピクセル連続数が6又は7のとき、分類部240は、Aスキャン方向に画素値が最大値である画素pxが連続する画素群を第2分類種別CL2に分類する。例えば、ピクセル連続数が6又は7のとき、サイズ特定部230により特定された画像領域のサイズが14~16マイクロメートルに相当するものとする。このとき、分類部240は、サイズ特定部230により特定されたサイズが好中球に相当すると判断して、当該画像領域を第2分類種別CL2に分類する。
【0120】
ピクセル連続数が8以上のとき、分類部240は、Aスキャン方向に画素値が最大値である画素pxが連続する画素群を第1分類種別CL1に分類する。例えば、ピクセル連続数が8以上のとき、サイズ特定部230により特定された画像領域のサイズが20マイクロメートル以上に相当するものとする。このとき、分類部240は、サイズ特定部230により特定されたサイズが単球に相当すると判断して、当該画像領域を第1分類種別CL1に分類する。
【0121】
(分布情報生成部250)
分布情報生成部250は、分類部240による画像領域の分類結果を用いて分布情報を生成する。分布情報には、分類された画像領域の個数の分布を表すヒストグラム、分類された画像領域の位置の分布を表す分布画像などがある。
【0122】
このような分布情報生成部250は、ヒストグラム生成部251と、分布画像生成部252とを含む。
【0123】
(ヒストグラム生成部251)
ヒストグラム生成部251は、分類部240により分類された1以上の画像領域の個数の分布を表す分布情報としてのヒストグラムを生成する。ヒストグラム生成部251は、上記のヒストグラムを表示するためのヒストグラム情報を生成する。例えば、ヒストグラム生成部251は、分類部240による画像領域の分類結果を用いて、分類種別毎に画像領域の個数をカウントし、分類種別毎の個数の分布を表すヒストグラム情報を生成する。表示制御部111Aは、ヒストグラム情報に基づいて図示しない表示部(例えば表示装置190)にヒストグラムを表示させることが可能である。
【0124】
図9に、ヒストグラム生成部251の動作説明図を示す。図9は、ヒストグラム生成部251により生成されたヒストグラムの一例を表す。図9において、縦軸は分類種別毎の個数を表し、横軸は分類種別を表す。図9において、第1分類種別は単球であり、第2分類種別は好中球であり、第3分類種別はリンパ球であるものとする。
【0125】
図9に示すようなヒストグラムを表示部に表示させることにより、炎症細胞の個数の分布を容易に把握することができるようになる。例えば、第3分類種別の個数が多いと判断される場合、眼中に浸潤するリンパ球が多いことを意味し、リンパ腫由来のぶどう膜炎の可能性が考えられる。また、第1分類種別の個数が多いと判断される場合、眼中に浸潤する単球が多いことを意味し、マクロファージ系の炎症が強いことを考慮して感染性のぶどう膜炎の可能性が考えられる。また、第2分類種別の個数が多いと判断される場合、眼中に浸潤する好中球が多いことを意味し、リンパ腫由来のぶどう膜炎及び感染性のぶどう膜炎以外のぶどう膜炎の可能性が考えられる。
【0126】
(分布画像生成部252)
分布画像生成部252は、分類部240により分類された1以上の画像領域の位置の分布を表す分布情報としての分布画像を生成する。具体的には、分布画像生成部252は、解析対象のOCT画像に、分類された1以上の画像領域が重畳された画像を含む分布画像を生成する。例えば、分布画像生成部252は、領域特定部210により特定された画像領域又は領域連結部220により連結された画像領域のボリュームデータにおける位置情報を取得し、取得された位置情報を用いてOCT画像中の位置を特定し、特定された位置に画像領域を配置することで分布画像を生成する。
【0127】
いくつかの実施形態では、分布画像生成部252は、分類部240により分類された分類種別毎に識別可能な態様で分布画像を生成する。例えば、分布画像生成部252は、分類種別毎に画像領域の色、輝度、又は表示態様が異なる分布画像を生成する。例えば、分布画像生成部252は、分類種別毎に点滅状態が異なる表示可能な分布画像を生成する。
【0128】
いくつかの実施形態では、分布画像生成部252は、サイズ特定部230により特定されたサイズに対応したサイズで画像領域を含む分布画像を生成する。これにより、眼中に浸潤する炎症細胞の種別毎に異なるサイズで分布画像に描出されるため、複数種類の炎症細胞の分布を把握しやすくなる。
【0129】
いくつかの実施形態では、分布画像生成部252は、サイズ特定部230により特定されたサイズにかかわらず、所定のサイズで識別可能な画像領域を含む分布画像を生成する。これにより、眼中に浸潤する炎症細胞のサイズが小さく、分布画像において識別が難しい場合でも、炎症細胞のサイズに関わりなく、複数種類の炎症細胞の分布を把握することが可能になる。
【0130】
表示制御部111Aは、上記のように生成された分布画像を図示しない表示部(例えば表示装置190)に表示させることが可能である。
【0131】
図10及び図11に、分布画像生成部252の動作説明図を示す。図10は、眼底の3次元の分布画像の一例を表す。図11は、眼底の2次元の分布画像の一例を表す。
【0132】
図10に示すように、分布画像生成部252は、第1分類種別~第3分類種別の画像領域pc1~pc3をボリュームデータに配置することで分布画像IMG1を生成する。表示制御部111Aは、生成された分布画像IMG1を表示部に表示させる。
【0133】
また、図11に示すように、分布画像生成部252は、第1分類種別~第3分類種別の画像領域pc1~pc3を2次元の断層像に配置することで分布画像IMG2を生成する。表示制御部111Aは、生成された分布画像IMG2を表示部に表示させる。
【0134】
いくつかの実施形態では、表示制御部111Aは、第1分類種別~第3分類種別の画像領域pc1~pc3を選択的に表示部に表示させる。例えば、表示制御部111Aは、操作装置180を用いてユーザにより指定された分類種別の画像領域を表示部に表示させることが可能である。例えば、表示制御部111Aは、図10又は図11に示す分布画像IMG1、IMG2において、操作装置180を用いてユーザにより指定された画像領域と同一の分類種別の画像領域を識別可能に表示部に表示させることが可能である。
【0135】
また、表示制御部111Aは、図10又は図11に示す分布画像IMG1、IMG2に重畳するように図9に示すヒストグラムを表示部に表示させることが可能である。例えば、表示制御部111Aは、分布画像IMG1、IMG2において、操作装置180を用いてユーザにより指定された画像領域と同一の分類種別の画像領域の個数を識別可能に表示部に表示させることが可能である。
【0136】
いくつかの実施形態では、ヒストグラム生成部251は、OCT画像中において、操作装置180を用いて指定された領域内で、炎症細胞又は細胞塊に相当する画像領域の個数の分布を表す分布情報を生成する。
【0137】
いくつかの実施形態では、解析部200は、分類部240により分類された1以上の画像領域に対して解析処理を行う。解析処理には、分類種別毎の密度(単位面積あたりの画像領域の個数)の算出処理、算出された密度に対応した領域の特定処理などがある。これにより、所望の炎症細胞等の密度が高い領域や密度が低い領域を認識することができ、ぶどう膜炎の診断補助に寄与できるようになる。
【0138】
[動作例]
いくつかの実施形態に係る眼科情報処理装置100の動作例について説明する。
【0139】
図12に、実施形態に係る眼科情報処理装置100の動作の一例を示す。図12は、眼科情報処理装置100の動作例のフロー図を表す。記憶部112には、図12に示す処理を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されている。主制御部111は、このコンピュータプログラムに従って動作することにより、図12に示す処理を実行する。
【0140】
以下では、眼科装置10によりOCT計測が実行され、被検眼のOCTデータ又はOCT画像がすでに取得されているものとする。
【0141】
(S1:OCT画像を取得)
まず、主制御部111は、被検眼のOCT画像を取得する。
【0142】
具体的には、主制御部111は、通信部140を制御することにより、眼科装置10により取得されたOCTデータ又はOCT画像を取得させる。主制御部111は、眼科装置10からOCTデータが取得される場合、画像形成部120を制御することによりOCT画像を形成させることができる。
【0143】
(S2:解析範囲を特定)
次に、主制御部111は、解析範囲特定部211を制御することにより、ステップS1において取得されたOCT画像(断層像)に対して上記のように解析範囲を特定させる。
【0144】
具体的には、主制御部111は、解析範囲特定部211を制御することにより、セグメンテーション処理によりステップS1において取得されたOCT画像における内境界膜に相当する領域を特定させる。解析範囲特定部211は、上記のように、特定された内境界膜LRから所定のピクセル数pnだけ浅層方向にシフトした位置を境界とする浅層の領域を解析範囲とする解析範囲特定画像を生成する。
【0145】
(S3:ノイズ除去)
続いて、主制御部111は、ノイズ除去部212を制御することにより、ステップS2において生成された解析範囲画像に対して上記のようにノイズ除去処理を行う。
【0146】
ノイズ除去部212は、上記のようにノイズ除去画像を生成する。
【0147】
(S4:二値化処理)
次に、主制御部111は、二値化処理部213を制御することにより、ステップS3において生成されたノイズ除去画像に対して二値化処理を行う。
【0148】
二値化処理部213は、上記のように二値化画像を生成する。
【0149】
(S5:領域を連結)
次に、主制御部111は、領域連結部220を制御することにより、炎症細胞又は細胞塊に対応する画素値を有する画素同士を連結して、炎症細胞等に相当する画像領域を特定する。
【0150】
具体的には、主制御部111は、3次元画像生成部131を制御することにより、ボリュームデータを形成させる。主制御部111は、領域連結部220を制御することにより、形成されたボリュームデータに対して炎症細胞等に相当する画像領域を特定させる。
【0151】
なお、断層像において、炎症細胞等に相当する画像領域を特定する場合、主制御部111は、領域連結部220を制御することにより、ステップS4において生成された二値化画像に対して炎症細胞等に相当する画像領域を特定させる。
【0152】
(S6:サイズを特定)
次に、主制御部111は、サイズ特定部230を制御することにより、ステップS5において特定された1以上の画像領域のサイズを特定させる。
【0153】
サイズ特定部230は、上記のようにAスキャン方向の画像領域のサイズに基づいて当該画像領域のサイズを特定する。
【0154】
(S7:分類)
次に、主制御部111は、分類部240を制御することにより、ステップS6においてサイズが特定された1以上の画像領域を分類させる。
【0155】
分類部240は、ステップS6において特定されたサイズに基づいて、ステップS5において特定された画像領域を第1分類種別~第3分類種別に分類する。なお、分類部240は、解析対象の炎症細胞等に比べて明らかにサイズが小さい画像領域を分離対象から除外することが可能である。
【0156】
(S8:分布情報を生成)
次に、主制御部111は、分布情報生成部250を制御することにより、ステップS7における分類結果に基づいて、ステップS5において特定された画像領域の分布情報を生成させる。
【0157】
分布情報生成部250は、図9に示すようなヒストグラム、図10又は図11に示すような分布画像を生成する。
【0158】
以上で、一連の処理は終了である(エンド)。
【0159】
以上説明したように、実施形態によれば、OCT画像を解析することにより、炎症細胞又は細胞塊に相当する領域を特定するようにしたいので、ぶどう膜炎等の診断補助に有用な炎症細胞等を定量的に評価することが可能になる。
【0160】
特に、OCT画像を用いることで、非侵襲的に炎症細胞等の分布を特定することがかのうになり、治療中のぶどう膜炎の炎症の沈静化や再燃を定量的に評価することができるようになる。
【0161】
また、OCTのAスキャン方向の長さを用いて、OCT画像中の炎症細胞等に相当する画像領域のサイズを特定するようにしたので、OCTの横分解能に起因して識別が困難なサイズの細胞等を定量的に評価することが可能になる。
【0162】
<変形例>
いくつかの実施形態に係る構成は、上記の構成に限定されるものではない。
【0163】
いくつかの実施形態に係る眼科装置は、眼科装置10の機能に加えて、眼科情報処理装置100の機能、操作装置180の機能、及び表示装置190の機能の少なくとも1つを備える。
【0164】
以下、いくつかの実施形態の変形例に係る眼科装置について、上記の実施形態に係る眼科装置との相違点を中心に説明する。
【0165】
図13に、実施形態の変形例に係る眼科装置10aの構成例のブロック図を示す。図13において、図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0166】
本変形例に係る眼科装置10aの構成が上記の実施形態に係る眼科装置10の構成と異なる点は、眼科装置10aが、眼科情報処理装置100の機能と、操作装置180の機能と、表示装置190の機能とを備えている点である。眼科装置10aは、制御部11aと、データ収集部12と、画像形成部13と、眼科情報処理部15aと、操作部16aと、表示部17aとを含む。
【0167】
制御部11aは、眼科装置10aの各部を制御する。特に、制御部11aは、データ収集部12と、画像形成部13と、眼科情報処理部15aと、操作部16aと、表示部17aとを制御する。
【0168】
眼科情報処理部15aは、眼科情報処理装置100と同様の構成を有し、眼科情報処理装置100と同様の機能を備えている。操作部16aは、操作装置180と同様の構成を有し、操作装置180と同様の機能を備えている。表示部17aは、表示装置190と同様の構成を有し、表示装置190と同様の機能を備えている。
【0169】
本変形例によれば、コンパクトな構成で、炎症細胞又は細胞塊の相当する画像領域の分布等を定量的に評価することが可能な眼科装置を提供することができる。
【0170】
<効果>
以下、いくつかの実施形態に係る眼科情報処理装置、眼科装置、眼科情報処理方法、及びプログラムの効果について説明する。
【0171】
いくつかの実施形態に係る眼科情報処理装置(100)は、領域特定部(252)と、サイズ特定部(230)とを含む。領域特定部は、被検眼に光コヒーレンストモグラフィを実行することにより取得されたOCT画像において1以上の画像領域を特定する。サイズ特定部は、画像領域のAスキャン方向の長さから1以上の画像領域の少なくとも1つのサイズを特定する。
【0172】
このような構成によれば、被検眼のOCT画像における1以上の画像領域の少なくとも1つのサイズが、画像領域のAスキャン方向の長さから特定される。それにより、OCTの横分解能に起因して識別できない画像領域のサイズを特定することが可能になり、OCT画像に描出される小さい画像領域のサイズを高精度に評価することが可能になる。
【0173】
いくつかの実施形態では、サイズ特定部は、Aスキャン方向に最も長い画像領域の長さから当該画像領域のサイズを特定する。
【0174】
このような構成によれば、Aスキャン方向に最も長い部分の長さから画像領域のサイズを特定するようにしたので、簡素な処理で、OCT画像に描出される小さい画像領域のサイズを高精度に評価することが可能になる。
【0175】
いくつかの実施形態では、サイズ特定部は、画像領域を囲む領域のAスキャン方向の長さから当該画像領域のサイズを特定する。
【0176】
このような構成によれば、画像領域を囲む領域のAスキャン方向の長さから画像領域のサイズを特定するようにしたので、簡素な処理で、OCT画像に描出される小さい画像領域のサイズを高精度に評価することが可能になる。
【0177】
いくつかの実施形態では、領域特定部は、OCT画像に描出された細胞又は細胞塊に相当する1以上の画像領域を特定する。
【0178】
このような構成によれば、OCT画像に描出される細胞又は細胞塊に相当する画像領域のサイズを高精度に評価することが可能になる。
【0179】
いくつかの実施形態は、サイズ特定部により特定された画像領域のサイズに基づいて1以上の画像領域を分類する分類部(240)を含む。
【0180】
このような構成によれば、OCT画像に描出される小さい画像領域のサイズを複数の分類種別に分類し、分類種別毎に画像領域を評価することが可能になる。
【0181】
いくつかの実施形態では、OCT画像は、硝子体の少なくとも一部が描出された画像であり、分類部は、硝子体に浸潤する2以上の炎症細胞に対応する2以上の分類種別に1以上の画像領域を分類する。
【0182】
このような構成によれば、OCT画像に描出された、硝子体に浸潤する2以上の炎症細胞を高精度に評価することが可能になる。
【0183】
いくつかの実施形態では、2以上の分類種別は、単球に対応する第1分類種別、好中球に対応する第2分類種別、及びリンパ球に対応する第3分類種別を含む。
【0184】
このような構成によれば、硝子体に浸潤する単体、好中球、リンパ球を区別して評価することができるため、ぶどう膜炎の診断補助に有用な情報を提供することが可能になる。
【0185】
いくつかの実施形態は、分類部により分類された1以上の画像領域の個数又は位置の分布情報を生成する分布情報生成部(250)を含む。
【0186】
このような構成によれば、OCT画像に描出される小さい画像領域の個数又は位置の分布を容易に把握することが可能になる。
【0187】
いくつかの実施形態は、分類部により分類された分類種別毎に識別可能な態様で1以上の画像領域がOCT画像に重畳された画像を含む分布情報を生成する分布情報生成部(250、分布画像生成部252)を含む。
【0188】
このような構成によれば、OCT画像に描出される小さい画像領域を分類種別毎に容易に把握することが可能になる。
【0189】
いくつかの実施形態は、分布情報を表示手段(表示装置190)に表示させる表示制御部(111A)を含む。
【0190】
このような構成によれば、OCT画像に描出される小さい画像領域を分類種別毎に容易に把握することが可能な眼科情報処理装置を提供することができるようになる。
【0191】
いくつかの実施形態では、OCT画像は、3次元画像であり、サイズ特定部は、隣接する2以上のBスキャン画像に跨がって描出された3次元の画像領域のAスキャン方向の長さから3次元の画像領域のサイズを特定する。
【0192】
このような構成によれば、OCT画像に描出される小さい3次元の画像領域のサイズを高精度の評価することが可能になる。
【0193】
いくつかの実施形態は、被検眼に光コヒーレンストモグラフィを実行することにより得られたOCTデータに基づいてOCT画像を形成する画像形成部(120)を含む。
【0194】
このような構成によれば、OCTデータを取得することで、OCT画像に描出される小さい画像領域のサイズを高精度の評価することが可能な眼科情報処理装置を提供することが可能になる。
【0195】
いくつかの実施形態に係る眼科装置(10)は、被検眼に光コヒーレンストモグラフィを実行することによりOCTデータを取得する光学系(干渉光学系12A及びスキャン光学系12B)と、上記に記載の眼科情報処理装置とを含む。
【0196】
このような構成によれば、OCTを用いて、小さい画像領域のサイズを高精度の評価することが可能な眼科装置を提供することが可能になる。
【0197】
いくつかの実施形態に係る眼科情報処理方法は、被検眼に光コヒーレンストモグラフィを実行することにより取得されたOCT画像において1以上の画像領域を特定する領域特定ステップと、画像領域のAスキャン方向の長さから1以上の画像領域の少なくとも1つのサイズを特定するサイズ特定ステップと、を含む。
【0198】
このような方法によれば、被検眼のOCT画像における1以上の画像領域の少なくとも1つのサイズが、画像領域のAスキャン方向の長さから特定される。それにより、OCTの横分解能に起因して識別できない画像領域のサイズを特定することが可能になり、OCT画像に描出される小さい画像領域のサイズを高精度に評価することが可能になる。
【0199】
いくつかの実施形態では、サイズ特定ステップは、Aスキャン方向に最も長い画像領域の長さから当該画像領域のサイズを特定する。
【0200】
このような方法によれば、Aスキャン方向に最も長い部分の長さから画像領域のサイズを特定するようにしたので、簡素な処理で、OCT画像に描出される小さい画像領域のサイズを高精度に評価することが可能になる。
【0201】
いくつかの実施形態では、サイズ特定ステップは、画像領域を囲む領域のAスキャン方向の長さから当該画像領域のサイズを特定する。
【0202】
このような方法によれば、画像領域を囲む領域のAスキャン方向の長さから画像領域のサイズを特定するようにしたので、簡素な処理で、OCT画像に描出される小さい画像領域のサイズを高精度に評価することが可能になる。
【0203】
いくつかの実施形態では、領域特定ステップは、OCT画像に描出された細胞又は細胞塊に相当する1以上の画像領域を特定する。
【0204】
このような方法によれば、OCT画像に描出される細胞又は細胞塊に相当する画像領域のサイズを高精度に評価することが可能になる。
【0205】
いくつかの実施形態は、サイズ特定ステップにおいて特定された画像領域のサイズに基づいて1以上の画像領域を分類する分類ステップを含む。
【0206】
このような方法によれば、OCT画像に描出される小さい画像領域のサイズを複数の分類種別に分類し、分類種別毎に画像領域を評価することが可能になる。
【0207】
いくつかの実施形態では、OCT画像は、硝子体の少なくとも一部が描出された画像であり、分類ステップは、硝子体に浸潤する2以上の炎症細胞に対応する2以上の分類種別に1以上の画像領域を分類する。
【0208】
このような方法によれば、OCT画像に描出された、硝子体に浸潤する2以上の炎症細胞を高精度に評価することが可能になる。
【0209】
いくつかの実施形態では、2以上の分類種別は、単球に対応する第1分類種別、好中球に対応する第2分類種別、及びリンパ球に対応する第3分類種別を含む。
【0210】
このような方法によれば、硝子体に浸潤する単体、好中球、リンパ球を区別して評価することができるため、ぶどう膜炎の診断補助に有用な情報を提供することが可能になる。
【0211】
いくつかの実施形態は、分類ステップにおいて分類された1以上の画像領域の個数又は位置の分布情報を生成する分布情報生成ステップを含む。
【0212】
このような方法によれば、OCT画像に描出される小さい画像領域の個数又は位置の分布を容易に把握することが可能になる。
【0213】
いくつかの実施形態では、分類ステップにおいて分類された分類種別毎に識別可能な態様で1以上の画像領域がOCT画像に重畳された画像を含む分布情報を生成する分布情報生成ステップを含む。
【0214】
このような方法によれば、OCT画像に描出される小さい画像領域を分類種別毎に容易に把握することが可能になる。
【0215】
いくつかの実施形態は、分布情報を表示手段に表示させる表示制御ステップを含む。
【0216】
このような方法によれば、OCT画像に描出される小さい画像領域を分類種別毎に容易に把握することが可能な眼科情報処理方法を提供することができるようになる。
【0217】
いくつかの実施形態では、OCT画像は、3次元画像であり、サイズ特定ステップは、隣接する2以上のBスキャン画像に跨がって描出された3次元の画像領域のAスキャン方向の長さから3次元の画像領域のサイズを特定する。
【0218】
このような方法によれば、OCT画像に描出される小さい3次元の画像領域のサイズを高精度の評価することが可能になる。
【0219】
いくつかの実施形態は、被検眼に光コヒーレンストモグラフィを実行することにより得られたOCTデータに基づいてOCT画像を形成する画像形成ステップを含む。
【0220】
このような方法によれば、OCTデータを取得することで、OCT画像に描出される小さい画像領域のサイズを高精度の評価することが可能な眼科情報処理方法を提供することが可能になる。
【0221】
いくつかの実施形態は、コンピュータに、上記のいずれかに記載の眼科情報処理方法の各ステップを実行させるプログラムである。
【0222】
このようなプログラムによれば、コンピュータに、被検眼のOCT画像における1以上の画像領域の少なくとも1つのサイズを、画像領域のAスキャン方向の長さから特定させることができる。それにより、OCTの横分解能に起因して識別できない画像領域のサイズを特定することが可能になり、OCT画像に描出される小さい画像領域のサイズを高精度に評価することが可能になる。
【0223】
いくつかの実施形態に係る眼科情報処理方法を実現するためのプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な任意の記録媒体(例えば、非一時的(non-transitory)な記録媒体)に記憶させることができる。記録媒体は、磁気、光、光磁気、半導体などを利用した電子媒体であってよい。典型的には、記録媒体は、磁気テープ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブなどである。
【0224】
また、インターネットやLAN等のネットワークを通じてコンピュータプログラムを送受信することも可能である。
【0225】
以上に説明した態様は、この発明を実施するための例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0226】
1 眼科システム
10、10a 眼科装置
11、11a、110 制御部
12 データ収集部
12A 干渉光学系
12B スキャン光学系
13、120 画像形成部
14、140 通信部
15 眼科情報処理部
16a 操作部
17a 表示部
100 眼科情報処理装置
111 主制御部
111A 表示制御部
112 記憶部
130 データ処理部
131 3次元画像生成部
180 操作装置
190 表示装置
200 解析部
210 領域特定部
211 解析範囲特定部
212 ノイズ除去部
213 二値化処理部
220 領域連結部
230 サイズ特定部
240 分類部
250 分布情報生成部
251 ヒストグラム生成部
252 分布画像生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13