(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】配管洗浄方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231114BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20231114BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H01L21/304 643Z
H01L21/304 648K
H01L21/304 648G
H01L21/306 R
H01L21/30 572B
(21)【出願番号】P 2019233209
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】藤田 恵理
(72)【発明者】
【氏名】樋口 鮎美
(72)【発明者】
【氏名】山口 直子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 賢二郎
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-087652(JP,A)
【文献】特開2017-148698(JP,A)
【文献】特開2008-279320(JP,A)
【文献】特開2016-063074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/306
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を供給するための処理液タンクと、前記処理液を基板へ吐出するためのノズルと、前記処理液タンクから前記ノズルまで前記処理液を供給するための供給路を含む配管と、を有する基板処理装置において前記配管を洗浄するための配管洗浄方法であって、
(a) 前記供給路の少なくとも一部を含む被洗浄部を通過するように前記配管に液体を流す工程と、
(b) 前記配管に取り付けられた乱流発生器によって前記液体の乱流を発生させることによって、前記被洗浄部を前記乱流にさらす工程と、
を備え
、
前記基板処理装置は、前記配管を洗浄するための洗浄液を前記液体として供給する洗浄液供給源を有しており、
前記配管は、前記洗浄液供給源から前記供給路まで延びる洗浄液供給路を含み、
前記供給路には分岐が設けられており、前記供給路は、前記処理液タンクから前記分岐まで延びる上流路と、前記分岐から前記ノズルまで延びる下流路とを含み、
前記配管は、前記分岐から前記処理液タンクまで延びる帰還路を含み、前記上流路および前記帰還路によって、前記処理液タンクを経由して前記処理液を循環させるための循環路が構成されており、
前記乱流発生器は前記配管の前記洗浄液供給路に取り付けられており、
前記洗浄液供給源は前記処理液タンクに並列に接続されている配管洗浄方法。
【請求項2】
処理液を供給するための処理液タンクと、前記処理液を基板へ吐出するためのノズルと、前記処理液タンクから前記ノズルまで前記処理液を供給するための供給路を含む配管と、を有する基板処理装置において前記配管を洗浄するための配管洗浄方法であって、
(a) 前記供給路の少なくとも一部を含む被洗浄部を通過するように前記配管に液体を流す工程と、
(b) 前記配管に取り付けられた乱流発生器によって前記液体の乱流を発生させることによって、前記被洗浄部を前記乱流にさらす工程と、
を備え
、
前記基板処理装置は、前記配管を洗浄するための洗浄液を前記液体として供給する洗浄液供給源を有しており、
前記配管は、前記洗浄液供給源から前記供給路まで延びる洗浄液供給路を含み、
前記供給路には分岐が設けられており、前記供給路は、前記処理液タンクから前記分岐まで延びる上流路と、前記分岐から前記ノズルまで延びる下流路とを含み、
前記配管は、前記分岐から前記処理液タンクまで延びる帰還路を含み、前記上流路および前記帰還路によって、前記処理液タンクを経由して前記処理液を循環させるための循環路が構成されており、
前記乱流発生器は前記配管の前記洗浄液供給路に取り付けられており、
前記洗浄液供給源は、前記上流路の、前記処理液タンクから外れた部分に、並列に接続されており、前記部分には少なくとも1つの機器が取り付けられている配管洗浄方法。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の配管洗浄方法であって、
前記乱流発生器は前記液体の流量を制御する流量制御器を含み、
前記工程(b)は、
(b1) 前記流量制御器によって前記液体の流量に複数回の変動を与える工程
を含み、前記工程(b1)における複数回の変動の各々は、
(b1a) 前記流量制御器によって前記液体の流量を減少させる工程と、
(b1b) 前記流量制御器によって前記液体の流量を増大させる工程と、
を含む、配管洗浄方法。
【請求項4】
請求項
3に記載の配管洗浄方法であって、
前記工程(b1)において、前記流量制御器を通る前記液体の流量は常にゼロよりも大きい、配管洗浄方法。
【請求項5】
請求項
3または
4に記載の配管洗浄方法であって、
前記工程(b1)において、前記複数回の変動は第1の変動および第2の変動を含み、前記第1の変動における前記工程(b1b)の開始と、前記第2の変動における前記工程(b1b)の開始との間の時間は1秒以下である、配管洗浄方法。
【請求項6】
請求項
3から
5のいずれか1項に記載の配管洗浄方法であって、
前記工程(b1)は1分間以上行われる、配管洗浄方法。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか1項に記載の配管洗浄方法であって、
前記基板処理装置は、前記配管に取り付けられたパーティクルカウンタを含み、
前記配管洗浄方法は、
(c) 前記パーティクルカウンタの値が閾値よりも小さければ、前記工程(b)を停止する工程
をさらに備える、配管洗浄方法。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか1項に記載の配管洗浄方法であって、
前記基板処理装置は、前記基板を保持する保持部と、前記保持部の側方に配置された液受部と、を有しており、
前記工程(a)は、
(a1) 前記ノズルから前記液受部へ向けて前記液体を流れ出させる工程
を含む、配管洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管洗浄方法に関し、特に、基板処理装置において配管を洗浄するための配管洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置などの製造において、処理液を用いて基板を処理する工程、すなわち基板処理、がしばしば行われる。基板処理は、例えば、基板を洗浄する処理または基板をエッチングする処理であり、基板処理において処理液が基板へ吐出される。基板処理を効率的に行うためには、基板処理装置による基板処理の自動化が行われる。基板処理装置は、典型的には、処理液を供給するための処理液タンクと、処理液を基板へ吐出するためのノズルと、処理液タンクからノズルまで処理液を供給するための供給路を含む配管と、を有する。この配管中でパーティクルが発生すると、当該パーティクルが基板処理において基板上に付着する可能性がある。過度のパーティクルの付着は基板処理において許容されないことが多い。
【0003】
特開2015-177090号公報によれば、基板に処理液を供給する処理液供給装置が開示されている。処理液供給装置は、処理液を貯留する処理液タンクと、基板に処理液を供給する供給手段と、前記処理液タンクから前記供給手段へ処理液を供給する処理液供給路と、前記処理液供給路に設けられ、前記処理液タンクから前記供給手段へ処理液を移送する移送手段と、前記処理液供給路に設けられた第1バルブと、前記処理液供給路の前記第1バルブと前記供給手段との間で分岐されている分岐配管と、前記分岐配管に設けられた第2バルブと、前記第1バルブと前記第2バルブの開閉を制御する制御手段と、を備える。前記第1バルブは閉状態においても完全に閉とならないバルブである。これらの構成によれば、処理液タンクから供給手段への処理液の供給を停止する際に、制御手段により処理液供給路の第1バルブを閉状態にしても、第1バルブは完全に閉とならないので、弁体と弁座との接触により発生するパーティクルは抑制される。また、第1バルブが、完全ではないものの閉状態とされると、第1バルブからはスローリーク程度の処理液が流れる。このスローリーク程度の処理液は、自重により分岐配管を流れることによって処理液タンクに回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報に記載の技術は、バルブ中でのパーティクルの発生を抑制することを意図したものである。しかしながら、パーティクルの発生をゼロにすることは、通常、不可能である。また、上記第1バルブからのパーティクル発生を低減できたとしても、当然ながら、他の部分からのパーティクル発生が懸念される。発生したパーティクルは、配管中でトラップされることがある。特に、ヒータ、ポンプ、フィルタ、バルブなどの機器が取り付けられている箇所、および分岐箇所においては、パーティクルがトラップされやすい。また配管が長い場合は、ラップされているパーティクルの量も多くなる。トラップされていたパーティクルが基板処理中に放出されると、基板のパーティクル汚染につながる。よって、配管中にトラップされているパーティクルを除去するための配管洗浄方法を、必要に応じて実施することが求められる。
【0006】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、配管中にトラップされていたパーティクルを効果的に洗い流すことができる配管洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様は、処理液を供給するための処理液タンクと、前記処理液を基板へ吐出するためのノズルと、前記処理液タンクから前記ノズルまで前記処理液を供給するための供給路を含む配管と、を有する基板処理装置において前記配管を洗浄するための配管洗浄方法であって、(a)前記供給路の少なくとも一部を含む被洗浄部を通過するように前記配管に液体を流す工程と、(b)前記配管に取り付けられた乱流発生器によって前記液体の乱流を発生させることによって、前記被洗浄部を前記乱流にさらす工程と、を備える。
【0008】
第2の態様は、第1の態様に記載の配管洗浄方法であって、前記乱流発生器は前記液体の流量を制御する流量制御器を含み、前記工程(b)は、(b1)前記流量制御器によって前記液体の流量に複数回の変動を与える工程、を含み、前記工程(b1)における複数回の変動の各々は、(b1a)前記流量制御器によって前記液体の流量を減少させる工程と、(b1b)前記流量制御器によって前記液体の流量を増大させる工程と、を含む。
【0009】
第3の態様は、第2の態様に記載の配管洗浄方法であって、前記工程(b1)において、前記流量制御器を通る前記液体の流量は常にゼロよりも大きい。
【0010】
第4の態様は、第2または第3の態様に記載の配管洗浄方法であって、前記工程(b1)において、前記複数回の変動は第1の変動および第2の変動を含み、前記第1の変動における前記工程(b1b)の開始と、前記第2の変動における前記工程(b1b)の開始との間の時間は1秒以下である。
【0011】
第5の態様は、第2から第4のいずれかの態様に記載の配管洗浄方法であって、前記工程(b1)は1分間以上行われる。
【0012】
第6の態様は、第1から第5のいずれかの態様に記載の配管洗浄方法であって、前記基板処理装置は、前記配管に取り付けられたパーティクルカウンタを含み、前記配管洗浄方法は、(c)前記パーティクルカウンタの値が閾値よりも小さければ、前記工程(b)を停止する工程、をさらに備える。
【0013】
第7の態様は、第1から第6のいずれかの態様に記載の配管洗浄方法であって、前記基板処理装置は、前記基板を保持する保持部と、前記保持部の側方に配置された液受部と、を有しており、前記工程(a)は、(a1)前記ノズルから前記液受部へ向けて前記液体を流れ出させる工程、を含む。
【0014】
第8の態様は、第7の態様に記載の配管洗浄方法であって、前記供給路には分岐が設けられており、前記供給路は、前記処理液タンクから前記分岐まで延びる上流路と、前記分岐から前記ノズルまで延びる下流路とを含み、前記配管は、前記分岐から前記処理液タンクまで延びる帰還路を含み、前記上流路および前記帰還路によって、前記処理液タンクを経由して前記処理液を循環させるための循環路が構成されており、前記配管洗浄方法は、(d)前記工程(a1)の前に、前記下流路が閉塞させられつつ前記循環路に前記処理液を循環させる工程、をさらに備える。
【0015】
第9の態様は、第8の態様に記載の配管洗浄方法であって、前記乱流発生器は前記下流路に取り付けられている。
【0016】
第10の態様は、第1から第9のいずれかの態様に記載の配管洗浄方法であって、前記液体は前記処理液である。
【0017】
第11の態様は、第1から第6のいずれかの態様に記載の配管洗浄方法であって、前記基板処理装置は、前記配管を洗浄するための洗浄液を前記液体として供給する洗浄液供給源を有しており、前記配管は、前記洗浄液供給源から前記供給路まで延びる洗浄液供給路を含む。
【0018】
第12の態様は、第11の態様に記載の配管洗浄方法であって、前記供給路には分岐が設けられており、前記供給路は、前記処理液タンクから前記分岐まで延びる上流路と、前記分岐から前記ノズルまで延びる下流路とを含み、前記配管は、前記分岐から前記処理液タンクまで延びる帰還路を含み、前記上流路および前記帰還路によって、前記処理液タンクを経由して前記処理液を循環させるための循環路が構成されており、前記乱流発生器は前記配管の前記洗浄液供給路に取り付けられている。
【0019】
第13の態様は、第12の態様に記載の配管洗浄方法であって、前記洗浄液供給源は前記処理液タンクに並列に接続されている。
【0020】
第14の態様は、第12の態様に記載の配管洗浄方法であって、前記洗浄液供給源は、前記上流路の、前記処理液タンクから外れた部分に、並列に接続されており、前記部分には少なくとも1つの機器が取り付けられている。
【発明の効果】
【0021】
上記各態様によれば、供給路の被洗浄部が、乱流発生器によって乱流にさらされる。これにより、被洗浄部に単に液体を流す場合に比して、被洗浄部にトラップされていたパーティクルを効果的に洗い流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施の形態1における基板処理装置の構成を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図1の基板処理装置に含まれる制御部の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図3】
図1の基板処理装置の配管およびそれに関連する構成を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図1の基板処理装置が含む処理ユニットのチャンバー内の構成を概略的に示す平面図である。
【
図5】実施の形態1における配管洗浄方法を概略的に示すフロー図である。
【
図6】実施の形態2における基板処理装置の配管およびそれに関連する構成を模式的に示す断面図である。
【
図7】実施の形態3における基板処理装置の配管およびそれに関連する構成を模式的に示す断面図である。
【
図8】実施の形態4における基板処理装置の配管およびそれに関連する構成を模式的に示す断面図である。
【
図9】実施の形態5における基板処理装置の配管およびそれに関連する構成を模式的に示す断面図である。
【
図10】実施の形態6における基板処理装置の配管およびそれに関連する構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図面に示されているX軸、Y軸およびZ軸は互いに直交し、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0024】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態における基板処理装置101の構成を概略的に示す平面図である。基板処理装置101は、ロードポートLPと、インデクサロボットIRと、センターロボットCRと、制御部90と、薬液キャビネット10と、少なくとも1つの流体ボックス20と、少なくとも1つの処理ユニット30とを含む。処理ユニット30は、基板WFに対して基板処理を行うことができる。基板WFの形状は、おおよそ円形である。
【0025】
制御部90は、基板処理装置101に備えられた各部の動作を制御することができる。キャリアCTは基板WFを収容する収容器である。ロードポートLPは、複数のキャリアCTを保持する収容器保持機構である。インデクサロボットIRは、ロードポートLPと基板載置部PSとの間で基板WFを搬送することができる。基板載置部PSは、基板WFを一時的に保持することができる。センターロボットCRは、基板載置部PSおよび少なくとも1つの処理ユニット30のいずれかひとつから他のひとつへと基板WFを搬送することができる。以上の構成により、インデクサロボットIR、基板載置部PSおよびセンターロボットCRは、処理ユニット30の各々とロードポートLPとの間で基板WFを搬送する搬送機構として機能する。
【0026】
未処理の基板WFはキャリアCTからインデクサロボットIRによって取り出され、基板載置部PSを介してセンターロボットCRに受け渡される。センターロボットCRはこの未処理の基板WFを処理ユニット30に搬入する。処理ユニット30は基板WFに対して基板処理を行う。処理済みの基板WFはセンターロボットCRによって処理ユニット30から取り出され、必要に応じて他の処理ユニット30を経由した後、基板載置部PSを介してインデクサロボットIRに受け渡される。インデクサロボットIRは処理済みの基板WFをキャリアCTに搬入する。以上により、基板WFに対する処理が行われる。
【0027】
基板処理装置101には、処理ユニット30とそれに対応する流体ボックス20との複数の組が存在している。各組において、処理ユニット30とそれに対応する流体ボックス20とは隣接していることが好ましい。薬液キャビネット10は流体ボックス20を介して処理ユニット30へ処理液を供給する。処理ユニット30および流体ボックス20は、共通の外壁(
図1においては、4つの流体ボックス20を包含する外壁)の中に配置されている。なお
図1においては薬液キャビネット10も上記外壁内に配置されているが、薬液キャビネット10は上記外壁外に配置されていてもよい。
【0028】
図2は、制御部90(
図1)の構成を模式的に示すブロック図である。制御部90は、電気回路を有する一般的なコンピュータによって構成されていてよい。具体的には、制御部90は、CPU(Central Processing Unit)91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93、記憶装置94、入力部96、表示部97および通信部98と、これらを相互接続するバスライン95とを有している。
【0029】
ROM92は基本プログラムを格納している。RAM93は、CPU91が所定の処理を行う際の作業領域として供される。記憶装置94は、フラッシュメモリまたはハードディスク装置等の不揮発性記憶装置によって構成されている。入力部96は、各種スイッチまたはタッチパネル等により構成されており、オペレータから処理レシピ等の入力設定指示を受ける。表示部97は、例えば液晶表示装置およびランプ等により構成されており、CPU91による制御の下、各種の情報を表示する。通信部98は、LAN(Local Area Network)等を介してのデータ通信機能を有している。記憶装置94には、基板処理装置101(
図1)を構成する各装置の制御についての複数のモードが予め設定されている。CPU91が処理プログラム94Pを実行することによって、上記複数のモードのうちの1つのモードが選択され、該モードによって各装置が制御される。また、処理プログラム94Pは、記録媒体に記憶されていてもよい。この記録媒体を用いれば、制御部90に処理プログラム94Pをインストールすることができる。また制御部90が実行する機能の一部または全部は、必ずしもソフトウェアによって実現される必要は無く、専用の論理回路などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0030】
図3は、基板処理装置101の配管およびそれに関連する構成を模式的に示す断面図である。
【0031】
薬液キャビネット10はケース11と、処理液タンク12と、ヒータ13Hと、ポンプ13Pと、フィルタ13Fと、ドレインタンク19と、ドレインバルブ19Vとを有する。ヒータ13Hと、ポンプ13Pと、フィルタ13Fとを、以下において、流体機器13と総称することがある。ケース11は、処理液タンク12と、ヒータ13Hと、ポンプ13Pと、フィルタ13Fと、ドレインタンク19と、ドレインバルブ19Vとを収容している。処理液タンク12は、処理液LCを供給するためのものであり、処理液LCを貯留することができる。
【0032】
処理液LCは、通常、薬液である。基板処理として、例えば、シリコン窒化膜が形成された基板に対してのエッチング処理が行われる場合は、処理液LCはリン酸を含む。基板処理として、例えば、レジストの除去処理が行われる場合は、処理液LCは硫酸と過酸化水素水との混合液(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:SPM)を含む。リン酸またはSPMを含む処理液LCは、高温で使用される処理液LCの一例である。薬液キャビネット10から供給される処理液LCの温度は、ヒータ13Hによって、室温よりも高い規定温度に維持されていてよい。規定温度は、基板処理の内容に応じて設定されることが好ましい。リン酸を含む処理液LCによるエッチング処理の場合は、規定温度は例えば175℃程度であり、SPMを含む処理液LCによる洗浄処理の場合は、規定温度は例えば200℃程度である。
【0033】
ドレインバルブ19Vは、処理液タンク12をドレインタンク19へ接続している。ドレインバルブ19Vが開かれると、処理液タンク12の処理液LCがドレインタンク19へ、排液LDとして流入する。
【0034】
流体ボックス20は、ケース21と、吐出バルブ22Vと、流量計22Mと、流量バルブ22Rと、循環バルブ23Vと、流量バルブ23Rと、乱流発生器70とを有する。ケース21は、吐出バルブ22Vと、流量計22Mと、流量バルブ22Rと、循環バルブ23Vと、流量バルブ23Rと、乱流発生器70とを収容している。
【0035】
処理ユニット30は、基板WFに対して、処理液LCを用いた基板処理を行うためのものである。この目的で処理ユニット30は、チャンバー31と、スピンチャック39(保持部)と、ノズル32と、ノズル移動ユニット34と、液受部35と、カップ36とを有する。チャンバー31は、おおよそボックス形状を有する。チャンバー31は、スピンチャック39と、ノズル32と、ノズル移動ユニット34と、液受部35と、カップ36とを収容している。
【0036】
スピンチャック39は、基板WFを保持して回転する基板保持部である。具体的には、スピンチャック39は、チャンバー31内で基板WFを水平に保持しながら、回転軸線A1の回りに基板WFを回転させる。スピンチャック39は、複数のチャック部材110と、スピンベース111と、スピンモーター112とを含む。複数のチャック部材110は基板WFを水平な姿勢で保持する。スピンベース111は、略円板状であり、水平な姿勢で複数のチャック部材110を支持する。スピンモーター112は、スピンベース111を回転させることによって、複数のチャック部材110に保持された基板WFを回転軸線A1の回りに回転させる。
【0037】
ノズル32は、吐出バルブ22Vが開状態のとき、基板処理のために基板WFへ処理液LCを吐出する。吐出バルブ22Vが閉状態とされると、この吐出は停止される。
【0038】
カップ36は、スピンチャック39に保持された基板WFの周りを囲むことができるように構成されている。これによりカップ36は、基板WFから排出された処理液LCを受け止める。カップ36は略筒形状を有する。
【0039】
図4は、処理ユニット30の内部構成を概略的に示す平面図である。以下、
図3および
図4を参照して、ノズル移動ユニット34、液受部35、および、処理液LCの予備吐出(pre-dispensing)について説明する。
【0040】
ノズル移動ユニット34は、回動軸線A2の回りに回動することによって、ノズル32を水平に移動させる。具体的には、この回動によってノズル移動ユニット34はノズル32を、処理位置L1と待機位置L2との間で水平に移動させる。処理位置L1は、基板WFの上方に位置する。
図4では、処理位置L1に位置するノズル32が二点鎖線で示されている。待機位置L2は、平面レイアウト(XY面におけるレイアウト)において、スピンチャック39およびカップ36よりも外側に位置する。またノズル移動ユニット34はノズル32を、水平だけでなく鉛直にも移動させることもできる。
【0041】
液受部35は、平面レイアウト(XY面におけるレイアウト)において、スピンチャック39およびカップ36よりも外側に位置する。具体的には、液受部35は、スピンチャック39の側方に配置されており、ノズル32の待機位置L2の下方に位置する。液受部35は、予備吐出においてノズル32から吐出される処理液LCを受ける。
【0042】
予備吐出は、液受部35に向けての処理液LCの吐出であり、基板WFに向けての処理液LCの吐出の前に行われる。言い換えれば、予備吐出は、基板処理の前に行われる処理液LCの吐出である。予備吐出の準備として、ノズル移動ユニット34は、ノズル32を待機位置L2から下降させる。これによりノズル32の先端は、液受部35に十分に近づき、好ましくは液受部35の内部空間に挿入される。これによりノズル32は、予備吐出のための位置に配置される。その後、ノズル32は液受部35に向けて処理液LCを吐出する。
【0043】
薬液キャビネット10、流体ボックス20および処理ユニット30の間は、液体(本実施の形態においては処理液LC)を輸送するための配管によって互いに接続されている。配管の直径は、例えば、4mm~10mm程度である。配管の材料は、例えばペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)である。
【0044】
配管は、薬液キャビネット10の処理液タンク12から処理ユニット30のノズル32まで処理液LCを供給するための供給路PPを含む。供給路PPには、分岐B1が設けられている。よって供給路PPは、処理液タンク12から分岐B1まで延びる上流路PP1と、分岐B1からノズル32まで延びる下流路PP2とを含む。上流路PP1は、処理液タンク12から、流体機器13を通って分岐B1に至る。下流路PP2は、分岐B1から、吐出バルブ22Vと、流量計22Mと、流量バルブ22Rとを通ってノズル32に至る。
【0045】
配管は、分岐B1から処理液タンク12まで延びる帰還路PRを含む。帰還路PRは、分岐B1から、循環バルブ23Vおよび流量バルブ23Rを通って、処理液タンク12に至る。上流路PP1および帰還路PRによって、処理液タンク12を経由して処理液LCを循環させるための循環路が構成されている。
【0046】
上記構成により、循環バルブ23Vが閉じられかつ吐出バルブ22Vが開かれれば、薬液キャビネット10からの処理液LCが供給路PPを介してノズル32へ供給される。逆に、循環バルブ23Vが開かれかつ吐出バルブ22Vが閉じられれば、薬液キャビネット10からの処理液LCが、ノズル32へ供給されることなく循環路を循環する。
【0047】
乱流発生器70は、配管に取り付けられており、配管の下流方向に向かって、液体の乱流を発生させることができる。本実施の形態においては、乱流発生器70は、上流路PP1に取り付けられており、具体的には、流体機器13と分岐B1との間に配置されている。
【0048】
乱流発生器70は、液体の流量を制御する流量制御器を含んでよく、あるいは流量制御器であってよい。流量制御器は、それを通過する液体の流量を変化させるバルブである。流量変化を適宜生じさせることができるバルブによって、液体に乱流を発生させることができる。以下、当該バルブを乱流バルブと称する。
【0049】
乱流バルブの開閉が複数回行われることによって、流量に複数回の変動を与えることができる。複数回の変動の各々は、乱流バルブが閉じられることによる流量減少と、乱流バルブが開けられることによる流量増大とを含む。乱流バルブの開閉は制御部90(
図1)からの指示によって行われる。制御部90からの指示による乱流バルブの開閉動作が1Hz以上の速度で可能なように、乱流バルブおよび制御部90が構成されていることが好ましい。この場合、上記複数回の変動のうち、ある変動とその次の変動とを第1の変動および第2の変動と定義すると、第1の変動における流量増大の開始と、第2の変動における流量増大の開始との間の時間を1秒以下とすることができる。すなわち、乱流バルブの開閉動作が、1Hz以上の高速で可能である。
【0050】
乱流バルブは、最大限閉じられた際においても全閉されないように構成されていることが好ましい。その目的で、乱流バルブ自体が全閉できないように構成されていてもよいし、代わりに、乱流バルブの全閉を禁じるようなリミッター制御を制御部90(
図1)が行ってもよい。
【0051】
なお乱流発生器70は、乱流バルブに限定されるものではない。代わりに、配管に取り付けられたセラミック発振子が、その振動によって乱流を発生させてよい。あるいは、配管を流れる液体中に不活性ガスを注入するガス注入部が乱流を発生させてよい。あるいは、出力可変ポンプがその出力を変動させることによって乱流を発生させてよい。
【0052】
図3を参照して、基板処理装置101は、配管に取り付けられたパーティクルカウンタ38を有する。パーティクルカウンタ38は、配管中の処理液LCが単位量あたりに含むパーティクルの個数を表す値を計測する。この目的で、パーティクルカウンタ38は配管の分岐B2に接続されている。好ましくは、分岐B2は下流路PP2に配置されている。より好ましくは、分岐B2は、吐出バルブ22Vとの間に配置されている。さらにより好ましくは、分岐B2は、下流路PP2の、チャンバー31内の部分に配置されており、この場合、
図3に示されているように、パーティクルカウンタ38はチャンバー31内に配置されていることが好ましい。また好ましくは、分岐B2は、吐出バルブ22Vとノズル32との間の経路の中点と、ノズル32との間に配置されている。なお
図3においてはパーティクルカウンタ38がチャンバー31内に配置されているが、チャンバー31の外に配置されていてもよい。例えば、パーティクルカウンタ38および分岐B2がケース21内に配置されていてよい。
【0053】
次に、基板処理装置101における配管洗浄方法について説明する。配管洗浄方法は、供給路PPの少なくとも一部を含む被洗浄部を洗浄する方法である。被洗浄部は、乱流発生器70の下流に位置している。本実施の形態においては、被洗浄部は、配管の、分岐B1からノズル32までの区間を含む。
【0054】
ステップS100(
図5)にて、吐出バルブ22Vが閉じられることによって下流路PP2が閉塞させられ、かつ循環バルブ23Vが開けられることによって帰還路PRが導通させられる。これにより、処理液タンク12の処理液LCが、上流路PP1および帰還路PRによって構成される循環路に循環させられる。
【0055】
ステップS200に先立って、ノズル移動ユニット34はノズル32を、予備吐出のための位置へ移動させる。そしてステップS200(
図5)にて、循環バルブ23Vが閉じられることによって帰還路PRが閉塞させられ、かつ吐出バルブ22Vが開けられることによって下流路PP2が導通させられる。これにより、分岐B1からノズル32までの区間を含む洗浄部を通過するように配管に処理液LC(液体)が流される。この工程に付随して、ステップS210(
図5)にて、ノズル32から液受部35へ向けて液体が流れ出る。すなわち、予備吐出が行われる。
【0056】
ステップS300(
図5)にて、乱流発生器70によって処理液LCの乱流が発生させられる。これによって、乱流発生器70の下流に位置する被洗浄部が乱流にさらされる。ステップS300の実施のために、ステップS310(
図5)にて、乱流発生器70としての乱流バルブ(流量制御器)によって、処理液LC(液体)の流量に複数回の変動が与えられる。これら複数回の変動の各々は、ステップS311およびステップS312(
図5)の組を含む。具体的には、ステップS11にて、乱流バルブの閉動作によって処理液LCの流量が減少させられ、ステップS312にて、乱流バルブの開動作によって処理液LCの流量が増大させられる。乱流バルブの閉動作によって流量が減少させられたときであっても、乱流バルブを通る処理液LCの流量は常にゼロよりも大きいことが好ましい。
【0057】
ステップS311とステップS312との組が繰り返される際に、あるステップS312と、その次に行われるステップS312とを、第1および第2のステップS312と定義すると、第1のステップS312における流量増大の開始と、第2のステップS312における流量増大の開始との間の時間は、1秒以下とされることが好ましい。より好ましくは、ステップS311およびステップS312の組を行う動作を1サイクルとみなしたときに、複数サイクルの動作が1Hz以上の動作で継続されることが好ましい。
【0058】
上記ステップS310は1分間以上行われることが好ましい。より好ましくは、上述した1Hz以上の動作が1分間以上継続されることが好ましい。
【0059】
ステップS400(
図5)にて、パーティクルカウンタ38(
図3)の値が閾値よりも小さいか否かを制御部90が判定する。判定結果が否(NO)の場合、上記ステップS300が継続される。判定結果が是(YES)の場合、ステップS400が停止され、それにより配管洗浄が停止される。
【0060】
本実施の形態によれば、供給路PPの被洗浄部が、乱流発生器70によって乱流にさらされる。これにより、被洗浄部に単に液体を流す場合に比して、被洗浄部にトラップされていたパーティクルを効果的に洗い流すことができる。
【0061】
乱流が発生させられる処理液LCは、本実施の形態においては処理液LCである。これにより配管洗浄を、基板処理のための処理液LCを供給する処理液タンク12からの液体によって行うことができる。
【0062】
乱流発生器70としての乱流バルブ(流量制御器)は、液体の流量を減少させる工程および液体の流量を増大させる工程の組を、複数回繰り返す。これにより、乱流の発生期間を、必要に応じて長く確保することができる。よって、被洗浄部からパーティクルを、より効果的に洗い流すことができる。
【0063】
配管洗浄中、乱流バルブを通る液体の流量は常にゼロよりも大きいことが好ましい。これにより、乱流バルブは、その内部における機械的な衝突をともなう動作である全閉動作を必要としない。よって、この衝突に起因しての新たなパーティクルの発生を抑制することができる。
【0064】
乱流バルブによる流量増大の開始と、乱流バルブによる次の流量増大の開始との間の時間は1秒以下であることが好ましい。これにより、単位時間あたりの乱流の発生回数が多くなる。よって、被洗浄部からパーティクルを、より効果的に洗い流すことができる。
【0065】
液体の流量に複数回の変動を与える工程は、1分間以上行われることが好ましい。これにより、乱流が1分間以上発生する。よって、被洗浄部からパーティクルを、より効果的に洗い流すことができる。
【0066】
乱流発生器70による乱流の発生は、パーティクルカウンタ38の値が閾値よりも小さければ停止される。これにより、乱流によってパーティクルが十分に除去されているにもかかわらずさらに乱流を発生し続けることによって生じる非効率を避けることができる。なおパーティクルカウンタ38が省略され、それを用いることなく、配管洗浄を停止するタイミングが定められてもよい。例えば、予め設定された時間が経過した時点で配管洗浄が停止されてよい。
【0067】
ノズル32から液受部35へ向けて液体を流れ出させる工程、すなわち予備吐出、が行われ、乱流発生器70はこの液体の乱流を発生させる。これにより、ノズル32近傍で洗い流されたパーティクルは、基板WFではなく液受部35へ排出される。よって、配管のノズル32近傍部を洗浄しつつ、洗い流されたパーティクルが基板WFに付着することを避けることができる。
【0068】
上流路PP1および帰還路PRによって構成される循環路に液体が循環させられている間、下流路PP2では液体の流れが停止されている。その期間において、何らかの要因によって下流路PP2中で新たにパーティクルが発生していると、下流路PP2においてパーティクルが蓄積されていく。本実施の形態によれば、このように蓄積されたパーティクルを効果的に除去することができる。
【0069】
<実施の形態2>
図6は、本実施の形態の基板処理装置102の配管およびそれに関連する構成を模式的に示す断面図である。なお
図6に示されている部分以外の構成は、
図1(実施の形態1)のものと同様であるため、その図示を省略する。
【0070】
基板処理装置102においては、乱流発生器70が下流路PP2に取り付けられている。具体的には、乱流発生器70は、分岐B2と吐出バルブ22Vとの間に配置されている。なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0071】
本実施の形態によれば、下流路PP2中のパーティクルを効果的に除去することができる。特に、下流路PP2に配置された流体機器に(例えば、吐出バルブ22V、流量計33Mまたは流量バルブ22Rに)より近い位置に乱流発生器70を配置することができるので、流体機器にトラップされたパーティクルを効果的に除去することができる。なお、このように洗浄される流体機器は、上述したものに限定されず、例えばバルブのような機器であってもよい。
【0072】
<実施の形態3>
図7は、本実施の形態の基板処理装置103の配管およびそれに関連する構成を模式的に示す断面図である。なお
図7に示されている部分以外の構成は、
図1(実施の形態1)のものと同様であるため、その図示を省略する。
【0073】
基板処理装置103においては、乱流発生器70は、供給路PPの上流路PP1に、流体機器13と分岐B1との間で取り付けられている。乱流発生器70は、流体ボックス20のケース21の外に配置されていることが好ましい。乱流発生器70は、図示されているように薬液キャビネット10のケース11の外に配置されていてよく、あるいは、ケース11の中に配置されていてもよい。供給路PPは、乱流発生器70とノズル32との間に分岐B3を有し、具体的には、乱流発生器70と分岐B1との間に分岐B3を有する。分岐B3からはドレインバルブ24Dを介しての排液が可能である。分岐B3は、流体ボックス20のケース21の中に位置していてよい。
【0074】
本実施の形態における配管洗浄方法における被洗浄部は、乱流発生器70から分岐B3までである。洗浄中、吐出バルブ22Vおよび循環バルブ23Vが閉状態とされ、かつドレインバルブ24Dが開状態とされる。これにより、洗浄のために使用された処理液LCは、分岐B3およびドレインバルブ24Dを介して排出される。
【0075】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0076】
本実施の形態によれば、供給路PPの、乱流発生器70と分岐B3との間の部分を、効果的に除去することができる。また、洗浄中、吐出バルブ22Vが閉じられているので、洗浄によって生じた汚水がノズル32から流れ出ることが避けられる。
【0077】
なお本実施の形態へパーティクルカウンタ38(
図3:実施の形態1)が適用される場合は、パーティクルカウンタ38は、乱流発生器70から分岐B3およびドレインバルブ24Dを介して延びる経路中の液体を測定するように配置される。
【0078】
<実施の形態4>
図8は、本実施の形態の基板処理装置104の配管およびそれに関連する構成を模式的に示す断面図である。なお
図8に示されている部分以外の構成は、
図1(実施の形態1)のものと同様であるため、その図示を省略する。
【0079】
基板処理装置104においては、乱流発生器70は、供給路PPの上流路PP1に、処理液タンク12と流体機器13との間で取り付けられている。乱流発生器70は、薬液キャビネット10のケース11の中に配置されていることが好ましい。供給路PPは、流体機器13とノズル32との間に分岐B4を有し、具体的には、流体機器13と分岐B1との間に分岐B4を有する。分岐B4からはドレインバルブ13Dを介しての排液が可能である。
【0080】
本実施の形態の配管洗浄方法における被洗浄部は、乱流発生器70から分岐B4までである。洗浄中、吐出バルブ22Vおよび循環バルブ23Vが閉状態とされ、かつドレインバルブ13Dが開状態とされる。これにより、洗浄のために使用された処理液LCは、分岐B4およびドレインバルブ13Dを介して排出される。
【0081】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0082】
本実施の形態によれば、供給路PPの、乱流発生器70と分岐B4との間の部分を、効果的に除去することができる。具体的には、流体機器13を効果的に洗浄することができる。また、洗浄中、吐出バルブ22Vが閉じられているので、洗浄によって生じた汚水がノズル32から流れ出ることが避けられる。
【0083】
なお本実施の形態へパーティクルカウンタ38(
図3:実施の形態1)が適用される場合は、パーティクルカウンタ38は、乱流発生器70から分岐B4およびドレインバルブ13Dを介して延びる経路中の液体を測定するように配置される。
【0084】
<実施の形態5>
図9は、本実施の形態の基板処理装置105の配管およびそれに関連する構成を模式的に示す断面図である。なお
図9に示されている部分以外の構成は、
図1(実施の形態1)のものと同様であるため、その図示を省略する。
【0085】
基板処理装置105は、配管を洗浄するための洗浄液LRを貯留することができる洗浄液タンク16(洗浄液供給源)を有する。これにより洗浄液タンク16は洗浄液LRを供給することができる。乱流が発生させられる液体として、前述した実施の形態1~4においては処理液LCが用いられるが、本実施の形態においては洗浄液LRが用いられる。
【0086】
洗浄液タンク16は、薬液キャビネット10のケース11の中に配置されていることが好ましい。洗浄液タンク16からはドレインバルブ16Dを介しての排液が可能である。洗浄液タンク16の洗浄液LRは実際の基板処理には用いられないので、洗浄液タンク16の容量は、処理液タンク12の容量よりも小さくてよい。
【0087】
本実施の形態においては、配管の供給路PPの上流路PP1は、処理液タンク12と流体機器13との間に分岐B5を有する。また配管は、洗浄液タンク16から分岐B5まで延びる洗浄液供給路を含む。乱流発生器70は配管の洗浄液供給路に取り付けられている。乱流発生器70と分岐B5との間には開閉バルブ16Bが設けられている。また処理液タンク12と分岐B5との間には開閉バルブ12Bが設けられている。また配管の帰還路PRは、循環バルブ23Vと処理液タンク12との間に分岐B6を有する。分岐B6から、開閉バルブ16Aを介して洗浄液タンク16へ帰還する配管が延びている。また分岐B6と処理液タンク12との間に開閉バルブ12Aが設けられている。
【0088】
上記構成により基板処理装置105は、処理液タンク12と、それに並列に接続された洗浄液タンク16とのいずれかを選択的に用いることが可能である。具体的には、開閉バルブ12Bを開状態とし、かつ開閉バルブ16Bを閉状態とすることによって、洗浄液タンク16からの洗浄液LRではなく処理液タンク12からの処理液LCを、流体機器13を介して分岐B1へ供給される液体とすることができる。逆に、開閉バルブ16Bを開状態とし、かつ開閉バルブ12Bを閉状態とすることによって、処理液タンク12からの処理液LCではなく洗浄液タンク16からの洗浄液LRを、流体機器13を介して分岐B1へ供給される液体とすることができる。前者の場合、開閉バルブ12Aを開状態とし、かつ開閉バルブ16Aを閉状態とすることによって、処理液LCを処理液タンク12へ戻すことができる。すなわち、処理液LCを循環させることができる。後者の場合、開閉バルブ16Aを開状態とし、かつ開閉バルブ12Aを閉状態とすることによって、洗浄液LRを洗浄液タンク16へ戻すことができる。すなわち、洗浄液LRを循環させることができる。
【0089】
本実施の形態の配管洗浄方法における被洗浄部は、配管の、乱流発生器70から分岐B1を介して洗浄液タンク16に至る部分であり、当該部分は、流体機器13が取り付けられている部分を含む。乱流発生器70を用いた洗浄中は、処理液タンク12ではなく洗浄液タンク16が用いられる。よって本実施の形態においては、乱流が発生させられる液体として、洗浄液LRが循環されながら用いられる。洗浄に使用されることによって汚染された洗浄液LRは、必要に応じて、ドレインバルブ16Dを介して排出されてよい。
【0090】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0091】
本実施の形態によれば、基板処理装置105は洗浄液タンク16を有する。これにより、処理液タンク12を経由しての処理液LCの循環によって被洗浄部へ液体を供給する代わりに、洗浄液タンク16から洗浄液LRを供給することによって、配管洗浄を行うことができる。よって、配管洗浄中に洗い流されたパーティクルが処理液タンク12に流入することに起因しての処理液タンク12の汚染を避けることができる。具体的には、開閉バルブ12Aを閉状態とすることによって、汚染された液体が処理液タンク12へ流入することを避けることができる。よって、処理液タンク12からの処理液LCによって基板処理が行われる際の、基板のパーティクル汚染を抑制することができる。
【0092】
乱流発生器70は、配管の供給路PPではなく、配管の洗浄液供給路(洗浄液タンク16と、供給路PPの分岐B5との間の配管)に取り付けられている。これにより、基板処理装置105が基板洗浄ではなく通常の基板処理を実施している際は、処理液LCが乱流発生器70を通過することを避けることができる。
【0093】
なお本実施の形態へパーティクルカウンタ38(
図3:実施の形態1)が適用される場合は、パーティクルカウンタ38は、乱流発生器70から、分岐B5、分岐B1、分岐B6、および開閉バルブ16Aを介して洗浄液タンク16へ至る経路中の液体を測定するように配置される。
【0094】
<実施の形態6>
図10は、本実施の形態の基板処理装置106の配管およびそれに関連する構成を模式的に示す断面図である。なお
図10に示されている部分以外の構成は、
図1(実施の形態1)のものと同様であるため、その図示を省略する。
【0095】
本実施の形態においては、配管の供給路PPの上流路PP1は、流体機器13と分岐B1との間に分岐B7を有する。分岐B7は、薬液キャビネット10のケース11の中に配置されていることが好ましい。また本実施の形態においては、分岐B7から洗浄液タンク16へ液体を流入させるための配管が設けられており、開閉バルブ16Aはこの配管に取り付けられている。供給路PPの上流路PP1は分岐B7と分岐B1との間に開閉バルブ13Vを有する。
【0096】
上流路PP1は、分岐B5と分岐B7との間の部分を、被洗浄部として有する。洗浄液タンク16は当該部分よりも上流側に配置されているので、当該部分は洗浄液タンク16を含まない。言い換えれば、当該部分は洗浄液タンク16から外れている。また当該部分に並列に洗浄液タンク16が接続されている。具体的には洗浄液タンク16が、分岐B5へ洗浄液LRを供給しかつ分岐B7から洗浄液LRを回収するように接続されている。また上記部分には、少なくとも1つの流体機器13が取り付けられており、具体的には、ヒータ13Hと、ポンプ13Pと、フィルタ13Fとが取り付けられている。
【0097】
上記構成により、処理液タンク12と、それに直列に接続された洗浄液タンク16とのいずれかを選択的に用いることが可能である。具体的には、開閉バルブ12Bを開状態とし、かつ開閉バルブ16Bを閉状態とすることによって、洗浄液タンク16からの洗浄液LRではなく処理液タンク12からの処理液LCを、流体機器13を介して分岐B1へ供給される液体とすることができる。逆に、開閉バルブ16Bを開状態とし、かつ開閉バルブ12Bを閉状態とすることによって、処理液タンク12からの処理液LCではなく洗浄液タンク16からの洗浄液LRを、流体機器13を介して分岐B1へ供給される液体とすることができる。前者の場合、開閉バルブ12Aを開状態とし、かつ開閉バルブ16Aを閉状態とすることによって、処理液LCを処理液タンク12へ戻すことができる。すなわち、処理液LCを循環させることができる。後者の場合、開閉バルブ16Aを開状態とし、かつ開閉バルブ12Aを閉状態とすることによって、洗浄液LRを洗浄液タンク16へ戻すことができる。すなわち、洗浄液LRを循環させることができる。
【0098】
本実施の形態によれば、洗浄液タンク16が上流路PP1の分岐B5と分岐B7との間の部分に並列に接続されており、当該部分に流体機器13が取り付けられている。これにより、流体機器13を通過するように洗浄液LRを循環させることができ、この時の循環経路は、前述した実施の形態5に比して短い。よって、流体機器13にトラップされているパーティクルを洗い流す効率を高めることができる。
【0099】
なお本実施の形態へパーティクルカウンタ38(
図3:実施の形態1)が適用される場合は、パーティクルカウンタ38は、乱流発生器70から、分岐B5、分岐B7、および開閉バルブ16Aを介して洗浄液タンク16へ至る経路中の液体を測定するように配置される。
【0100】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0101】
10 :薬液キャビネット
11 :ケース
12 :処理液タンク
13 :流体機器
16 :洗浄液タンク(洗浄液供給源)
19 :ドレインタンク
20 :流体ボックス
21 :ケース
22V :吐出バルブ
23V :循環バルブ
30 :処理ユニット
31 :チャンバー
32 :ノズル
35 :液受部
38 :パーティクルカウンタ
70 :乱流発生器
90 :制御部
101~106:基板処理装置
B1~B7 :分岐
L1 :処理位置
L2 :待機位置
LC :処理液(液体)
LR :洗浄液(液体)
PP :供給路
PP1 :上流路
PP2 :下流路
PR :帰還路
WF :基板