(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】検体容器の取出装置および搬送システム
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20231114BHJP
G01N 35/04 20060101ALI20231114BHJP
B65G 51/04 20060101ALI20231114BHJP
B65G 47/52 20060101ALI20231114BHJP
B65G 47/61 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
G01N1/00 101H
G01N35/04 G
B65G51/04 101C
B65G47/52 B
B65G47/61 B
(21)【出願番号】P 2019238839
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-06-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和元年8月8日に顧客への説明会にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】506429606
【氏名又は名称】株式会社S&Sエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】木幡 綾子
(72)【発明者】
【氏名】青木 均
(72)【発明者】
【氏名】鶴森 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】市村 吉明
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-227660(JP,A)
【文献】特開2007-045599(JP,A)
【文献】特開2017-081675(JP,A)
【文献】特表2019-502924(JP,A)
【文献】特開2010-175420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00
G01N 35/04
B65G 51/04
B65G 47/52
B65G 47/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体容器を収容する収容空間が設けられ、その両端部の少なくとも一方に前記収容空間に連通する開口が形成された筒状の本体部と、前記開口を閉じる閉鎖位置と前記開口を開放する開放位置とを取り得る蓋と、を有する気送子から、前記検体容器を取り出す取出装置であって、
前記気送子を前記開口が下方を向く姿勢で支持しつつ前記蓋を前記閉鎖位置から前記開放位置に移動させることにより、前記収容空間に収容された前記検体容器を自重により落下させるように構成された蓋開閉機構を備え
、
前記本体部に設けられている前記収容空間は、前記本体部の軸方向に延びるように互いに区画された複数の孔であることを特徴とする取出装置。
【請求項2】
検体容器を収容する収容空間が設けられ、その両端部の少なくとも一方に前記収容空間
に連通する開口が形成された筒状の本体部と、前記開口を閉じる閉鎖位置と前記開口を開
放する開放位置とを取り得る蓋と、を有する気送子から、前記検体容器を取り出す取出装
置であって、
前記気送子を前記開口が下方を向く姿勢で支持しつつ前記蓋を前記閉鎖位置から前記開
放位置に移動させることにより、前記収容空間に収容された前記検体容器を自重により落
下させるように構成された蓋開閉機構を備え、
前記蓋は、前記本体部の軸方向に延びる軸を中心に前記本体部の前記軸方向と直交する
直交面内で回動可能であり、
前記蓋開閉機構は、前記蓋に前記直交面と平行な方向の力を加えることで、前記蓋を前
記閉鎖位置から前記開放位置に移動させることを特徴とする取出装置。
【請求項3】
前記気送子は、前記気送子を識別する識別情報を保持する識別情報保持部を有しており
、
前記気送子の前記識別情報保持部が保持する前記識別情報を読み取る読取部と、
制御部と、をさらに備えており、
前記制御部は、
前記読取部が読み取った前記識別情報に基づいて、前記気送子からの前記検体容器の取
り出しの要否を判断する判断処理と、
前記判断処理で前記気送子からの前記検体容器の取り出しが必要であると判断した場合
に、前記蓋開閉機構を制御して前記蓋を前記閉鎖位置から前記開放位置に移動させる取出
処理と、を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の取出装置。
【請求項4】
前記検体容器は管状であり、
前記収容空間は、前記本体部の軸方向に延びる柱状であり、前記検体容器の軸方向が前
記本体部の前記軸方向と一致する姿勢で前記検体容器を収容可能であり、
前記開口は、前記本体部の前記軸方向の端部に形成されていることを特徴とする請求項
1~3のいずれか1項に記載の取出装置。
【請求項5】
前記蓋は、穴を有しており、
前記蓋開閉機構は、
前記穴に挿入可能なピンと、
前記ピンを前記直交面と平行な面内で移動させるモータと、を有しており、
前記ピンを前記穴に挿入した状態で前記モータの駆動力により前記ピンを移動させるこ
とで、前記蓋を前記閉鎖位置から前記開放位置に移動させること特徴とする請求項2に記
載の取出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気送子から検体容器を取り出す取出装置、および、これを備えた検体容器の搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気送管によって互いに接続された複数のステーションを備えた気送管設備が知られている(例えば、特許文献1)。かかる気送管設備においては、送信元のステーションから送信先のステーションまで気送管を介して気送子を送ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
気送管設備は、病院などに設置されることがある。例えば、病院などにおいては、患者から採取した血液や尿などの検体を検体容器に入れ、これを気送子に収容して、気送管設備により送信元のステーションから送信先のステーション(受信ステーション)まで送る。受信ステーションに送られた検体容器は、人手により気送子内から取り出され、検査装置に投入される。
【0005】
大規模な病院においては、多数の検体容器が受信ステーションに送られる。したがって、上述のような気送子からの検体容器の取出作業の回数は1日に数百回に上ることもあり、多大な労力を要する。
【0006】
本発明の目的は、人手による労力を削減できる取出装置および搬送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の取出装置は、検体容器を収容する収容空間が設けられ、その両端部の少なくとも一方に前記収容空間に連通する開口が形成された筒状の本体部と、前記開口を閉じる閉鎖位置と前記開口を開放する開放位置とを取り得る蓋と、を有する気送子から、前記検体容器を取り出す取出装置であって、前記気送子を前記開口が下方を向く姿勢で支持しつつ前記蓋を前記閉鎖位置から前記開放位置に移動させることにより、前記収容空間に収容された前記検体容器を自重により落下させるように構成された蓋開閉機構を備えている。
【0008】
この構成によると、蓋開閉機構により、気送子を開口が下方に向く姿勢で支持しつつ蓋を閉鎖位置から開放位置に移動させることで、気送子から検体容器を自動的に取り出すことができる。よって、人手による労力を削減できる。
【0009】
また、本発明の取出装置では、前記気送子は、前記気送子を識別する識別情報を保持する識別情報保持部を有しており、前記気送子の前記識別情報保持部が保持する前記識別情報を読み取る読取部と、制御部と、をさらに備えており、前記制御部は、前記読取部が読み取った前記識別情報に基づいて、前記気送子からの前記検体容器の取り出しの要否を判断する判断処理と、前記判断処理で前記気送子からの前記検体容器の取り出しが必要であると判断した場合に、前記蓋開閉機構を制御して前記蓋を前記閉鎖位置から前記開放位置に移動させる取出処理と、を実行する。
【0010】
この構成によると、内容物を取り出すべきではない気送子から誤って内容物を取り出してしまうのを防ぐことができるので、誤って取り出してしまった内容物を気送子に戻す作業が不要となる。
【0011】
さらに、本発明の取出装置では、前記検体容器は管状であり、前記収容空間は、前記本体部の軸方向に延びる柱状であり、前記検体容器の軸方向が前記本体部の前記軸方向と一致する姿勢で前記検体容器を収容可能であり、前記開口は、前記本体部の前記軸方向の端部に形成されている。
【0012】
この構成によると、蓋開閉機構により気送子を開口が下方を向く姿勢で支持しつつ蓋を閉鎖位置から開放位置に移動させたとき、検体容器が途中で引っ掛かることなくスムーズに開口から排出される。
【0013】
加えて、本発明の取出装置では、前記蓋は、前記本体部の軸方向に延びる軸を中心に前記本体部の前記軸方向と直交する直交面内で回動可能であり、前記蓋開閉機構は、前記蓋に前記直交面と平行な方向の力を加えることで、前記蓋を前記閉鎖位置から前記開放位置に移動させる。
【0014】
この構成によると、簡易な構成で蓋の開閉を行うことができる。
【0015】
また、本発明の取出装置では、前記蓋は、穴を有しており、前記蓋開閉機構は、前記穴に挿入可能なピンと、前記ピンを前記直交面と平行な面内で移動させるモータと、を有しており、前記ピンを前記穴に挿入した状態で前記モータの駆動力により前記ピンを移動させることで、前記蓋を前記閉鎖位置から前記開放位置に移動させる。
【0016】
この構成によると、ピンを蓋の穴に挿入した状態でピンを移動させるという簡易な構成で、蓋に直交面と平行な方向の力を加えることができる。
【0017】
本発明の搬送システムは、検体容器を収容した気送子を、送信元のステーションから受信ステーションまで気送管を介して送る気送管設備に接続されており、前記受信ステーションで受信した前記気送子の前記検体容器を検査装置に搬送する搬送システムであって、前記受信ステーションにおいて前記気送子から前記検体容器を取り出す、上記の取出装置と、前記取出装置によって取り出された前記検体容器を前記検査装置まで搬送する搬送機構と、を備えている。
【0018】
この構成によると、取出装置によって受信ステーションで気送子から自動的に検体容器を取り出し、取り出した検体容器を搬送機構により検査装置まで搬送することができる。すなわち、人手を介することなく、受信した気送子に収容された検体容器を検査装置に運ぶことができるので、人手による労力を削減できる。
【0019】
また、本発明の搬送システムでは、前記搬送機構は、前記取出装置によって前記気送子から取り出された前記検体容器を鉛直方向に移動させる鉛直コンベアと、前記鉛直コンベアによって移動された前記検体容器を水平方向に移動させる水平コンベアと、前記水平コンベアによって移動された前記検体容器を前記検査装置に投入する投入装置と、を有している。
【0020】
なお、「検体容器を鉛直方向に移動させる」とは、移動の前後で検体容器の高さ位置が変化するように移動させることを意味し、鉛直方向に沿って移動させることのみならず、鉛直方向と交わる方向に沿って移動させること、湾曲した経路に沿って移動させること等を含む。また、「検体容器を水平方向に移動させる」とは、移動の前後で検体容器の水平方向に関する位置が変化するように移動させることを意味し、水平方向に沿って移動させることのみならず、水平方向と交わる方向に沿って移動させること、湾曲した経路に沿って移動させること等を含む。
【0021】
この構成によると、受信ステーションにおいて気送子から取り出された検体容器を高い位置又は低い位置で水平に運ぶことができるので、受信ステーションと検査装置とが離れていたとしても、受信ステーションと検査装置との間の空間に設置された物品や通行する人と干渉することなく、検体容器を搬送することができる。
【0022】
さらに、本発明の搬送システムは、前記鉛直コンベアは、前記検体容器を鉛直方向上方に移動させ、前記水平コンベアは、室内空間に対向する天井壁面に沿って配置されている。
【0023】
この構成によると、水平コンベアの搬送路の様子を、室内空間から目視により確認することができる。よって、水平コンベアの搬送路で発生した検体容器の詰まりなどのトラブルを容易に見つけることができる。
【0024】
加えて、本発明の搬送システムは、前記天井壁面に取り付けられた鏡をさらに備えている。
【0025】
この構成によると、水平コンベアの搬送路の様子が鏡に映し出されるため、室内空間からより容易に水平コンベアの搬送路の様子を確認することができる。
【0026】
また、本発明の搬送システムは、前記搬送機構による搬送路を写すカメラと、前記カメラによって写された画像を表示する表示部と、をさらに備えている。
【0027】
この構成によると、表示部に表示された画像によって、搬送機構による搬送路の様子を確認することができる。よって、搬送路で発生した内容物の詰まりなどのトラブルを容易に見つけることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、人手による労力を削減できる取出装置および搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる搬送システムの概略構成を示す上面図である。
【
図6】蓋開閉機構の斜視図であり、気送子の蓋を開く前の状態を示す。
【
図7】蓋開閉機構の斜視図であり、気送子の蓋を開いた状態を示す。
【
図9】カメラの通信システムを示すブロック図である。
【
図10】
図1に示す搬送システムの電気的構成を示すブロック図である。
【
図11】制御部で行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(搬送システムの概略構成)
以下、
図1を参照しつつ、本発明の一実施形態にかかる搬送システム1について説明する。搬送システム1は、病院に設置されるものであり、患者から採取した血液を収容した採血管T(
図3、
図5及び
図8参照)を搬送するものである。
【0031】
より具体的には、搬送システム1は、気送管設備8のステーション81から血液の検査装置9まで採血管Tを搬送する。気送管設備8は、病院内の各所に設置されたステーション81を有しており、送信元のステーション81から送信先のステーション(受信ステーション)81まで気送管82を介して気送子7(
図2~
図4参照)を送るものである。後で詳述するように、気送子7は、略筒状の容器であり、複数の採血管Tを収容可能である。本実施形態においては、入院患者から採取した血液を収容した採血管Tを気送子7に収容し、病棟に設置されたステーション81から検査室90又は検査室90の近くに設置されたステーション81まで送ることを想定している。
【0032】
図1に示すように、搬送システム1は、ステーション81、搬送機構2、カメラ5a~5c及び制御部6を主に備えている。ステーション81は、ステーション81で受信した気送子7から採血管Tを取り出すための取出装置10(
図5参照)を備えている。搬送機構2は、送出コンベア20、水平コンベア30及び下降装置40(本発明の「投入装置」に相当)を有している。
【0033】
送出コンベア20は、取出装置10によって気送子7から取り出された採血管Tを水平コンベア30に送り出すためのものである。水平コンベア30は、
図8に示すように、室内空間に対向する天井壁面Cに沿って配置されている。水平コンベア30は、採血管Tを水平方向に移動させて、下降装置40まで運ぶ。下降装置40は、水平コンベア30によって運ばれた採血管Tを下降させて検査装置9に投入するためのものである。
【0034】
(気送子の構成)
ここで、
図2~
図4を参照しつつ、気送子7の構成について説明する。気送子7は、本体部71、中子76及び蓋77を有している。本体部71は、筒状である。以下の説明において、筒状の本体部71の軸方向を単に「軸方向」と称する。
【0035】
本体部71は、筒体72、端部材73及び環状部材75で構成されている。筒体72は、軸方向に沿って延びている。端部材73は、筒体72の両端にそれぞれ嵌め込まれている。
図3に示すように、端部材73は、筒体72の端部の外周面を覆う第1部分73aと、軸方向に関して筒体72の外側に位置する第2部分73bとからなる。第1部分73aと第2部分73bとは、軸方向に関して隣接している。
【0036】
第1部分73aの外周面には、軸方向に延びる筋状の突起74が複数形成されている。突起74は、テーパー状である。突起74の高さは、第2部分73b側が最も高く、第2部分73bから離れるほど次第に低くなっている。環状部材75は、端部材73における第2部分73bの外周に嵌め込まれている。気送子7の外径Rは、本体部71の環状部材75部分で最も大きくなっている。
【0037】
筒体72には、マーカー79が設けられている。マーカー79は、後で詳述する取出装置10が有する光学センサ18(
図5参照)によって検出可能なものである。マーカー79は帯状であり、筒体72における端部材73と軸方向に隣接する領域A(
図3参照)に巻き付けられている。病院に設置された気送管設備8で取り扱われる気送子7は、採血管Tを収容するものに限られず、カルテや薬剤を収容するものもある。マーカー79は、採血管Tを収容する気送子7のみに設けられている。すなわち、マーカー79は、採血管Tを収容する気送子7を識別するための識別情報を保持している。
【0038】
中子76は、本体部71内に設置されている。中子76には、採血管Tを収容する収容空間76aとして機能する複数(例えば11個)の孔が設けられている。収容空間76aは、軸方向に沿って本体部71のほぼ全長に亘って延びている。本体部71の軸方向の両端部に形成された開口71aは、収容空間76aに連通している。収容空間76aは、採血管Tの径よりも若干大きな径を有する円柱状である。収容空間76aは、その軸方向が本体部71の軸方向と一致する姿勢で採血管Tを収容可能である。各収容空間76aには、複数(例えば3個)の採血管Tを収容することができる。
【0039】
筒体72及び中子76は、透明な材質で形成されている。したがって、気送子7の外側から収容空間76aに収容されている採血管Tの様子を見ることができる。
【0040】
蓋77は、本体部71の軸方向の両端部にそれぞれ取り付けられている。より具体的には、蓋77は、端部材73に取り付けられている。
図4に示すように、蓋77は、軸方向から見て円形である。蓋77は、軸方向と直交する直交面(以降、単に「直交面」と称する)内において軸方向に延びる軸77aを中心に回動可能である。軸77aは、軸方向から見て蓋77の縁近傍に設けられている。蓋77は、軸77aを中心に回動することで、開口71aを閉じる閉鎖位置(
図6参照)と開口71aを開放する開放位置(
図7参照)とを取り得る。
【0041】
図4に示すように、蓋77は、円形の穴77bを有している。穴77bは、軸方向から見て蓋77の縁近傍に設けられている。ここで、
図4に示すように、円形の蓋77の中心78とする。そして、中心78と軸77aの中心とを結ぶ線分を線分L1とし、中心78と穴77bの中心とを結ぶ線分を線分L2とする。本実施形態においては、線分L1と線分L2とがなす角度θは90°である。穴77bは、線分L1と線分L2とがなす角度θが90°~160°となる位置に設けられていることが好ましい。
【0042】
穴77bは、後で詳述する取出装置10の蓋開閉機構11が有するピン13(
図6及び
図7参照)を挿入するためのものである。ピン13により、軸方向と直交し、且つ、線分L1の伸延方向と直交する方向(
図4中矢印で示す方向)の力が蓋77に加えられることで、蓋77は閉鎖位置(
図6参照)から開放位置(
図7参照)に移動する。また、蓋77は、人が手で蓋77を開ける際に指を掛けるための切欠き77cを有している。切欠き77cは、穴77bの近傍に設けられている。
【0043】
(取出装置の構成)
次に、
図5~
図7を参照しつつ、取出装置10の構成について説明する。
図5に示すように、取出装置10は、気送管設備8のステーション81内に配置されており、ステーション81で受信した気送子7から採血管Tを取り出すためのものである。取出装置10は、蓋開閉機構11及び光学センサ18を主に備えている。
【0044】
蓋開閉機構11は、
図6及び
図7に示すように、気送子7を支持する台12を有している。ステーション81で受信された気送子7は、軸方向が鉛直方向と平行となる姿勢で台12に支持される。すなわち、台12に支持された気送子7は、本体部71の一端(下端)に形成された開口71aが下方を向き、他端(上端)に形成された開口71aが上方を向く姿勢となる。また、気送子7は、蓋77に形成された穴77bと、後述する初期位置に位置するピン13とが、鉛直方向に沿う一直線上に並ぶように位置合わせされた状態で、台12に支持される。台12には、気送子7の外径Rが最も大きい環状部材75の部分が嵌り込む孔12aが形成されている。
【0045】
蓋開閉機構11は、気送子7の蓋77に形成された穴77bに挿入可能なピン13と、ピン13を支持する支持部14と、をさらに有している。
図6及び
図7に示すように、ピン13は、支持部14によって、台12の下方において鉛直方向に延びる姿勢で支持されている。
【0046】
蓋開閉機構11は、ピン13を移動させるためのモータ15、16をさらに有している。モータ15は、ピン13を直交面と平行な面内で移動させるためのものである。より詳細には、モータ15は、鉛直方向と平行な方向に延びており、且つ、鉛直方向から見てピン13とは異なる位置に配置された回転軸15aを中心に、ピン13を180°回転させる。ピン13は、モータ15の駆動により移動されることで、初期位置(
図6参照)と回転位置(
図7参照)とを取り得る。モータ16は、ピン13を鉛直方向に沿って移動させるためのものである。ピン13は、モータ16の駆動により移動されることで、台12に支持された気送子7の穴77bに挿入される進出位置と、穴77bの外に位置する退避位置と、を取り得る。
【0047】
蓋開閉機構11は、台12に気送子7が支持されたとき、モータ16を駆動してピン13を退避位置から進出位置に移動させて、ピン13を気送子7の穴77bに挿入する。さらに、モータ15を駆動してピン13を初期位置から回転位置まで回転させ、蓋77を閉鎖位置(
図6参照)から開放位置(
図7参照)に移動させる。このとき、収容空間76aに収容された採血管Tが自重により落下する。
【0048】
ピン13を回転させた際、気送子7の蓋77に直交面と平行な方向の力が加わる。より詳細には、蓋77には、軸方向と直交し、且つ、線分L1(
図4参照)の伸延方向と直交する方向の力が加わる。また、上述のように、穴77bは、線分L1と線分L2とがなす角度θが90°となる位置に設けられている。したがって、ピン13により蓋77に力が加えられたとき、本体部71の環状部材75が台12の孔12aを画定する周面に対して垂直に押し当てられる。よって、気送子7がスリップして回転することなく、小さな力で確実に蓋77を移動させることができる。
【0049】
光学センサ18は、
図5に示すように、ステーション81の受信部83に設けられている。光学センサ18は、ステーション81の受信部83で受信されたた気送子7の筒体72におけるマーカー79が巻き付けられる領域A(
図3参照)と対向する位置に設けられている。光学センサ18は、受信部83で受信されたた気送子7が採血管Tを収容する気送子7である場合、マーカー79を検出することができる。光学センサ18は、例えば発光素子と受光素子とを有する反射型の光センサである。反射型の光センサにおいては、発光素子から照射され対象物上で反射された光を受光素子で受光する。すなわち、光学センサ18は、受光した光の受光量に応じて、マーカー79の有無を検出することができる。
【0050】
(搬送機構の構成)
続いて、搬送機構2の構成について説明する。上述のように、搬送機構2は、送出コンベア20、水平コンベア30及び下降装置40を有している。
【0051】
送出コンベア20は、
図5に示すように、取出装置10によって気送子7から取り出された採血管Tを、天井壁面Cに沿って配置されている水平コンベア30に送り出すためのものである。送出コンベア20は、複数のローラ25に架け渡された無端状の桟付きベルト26を備えている。ローラ25及び桟付きベルト26は、筐体29により覆われている。筐体29は、透明な材質で形成されており、筐体29の外側から送出コンベア20による搬送路を見ることができる。
【0052】
送出コンベア20は、第1部分21、第2部分22及び第3部分からなる。第1部分21は、蓋開閉機構11の下方に位置する。第2部分22は、第1部分21から鉛直方向に沿って上方の天井壁面C近傍まで延びている。第3部分23は、第2部分22の上端部から水平方向に沿って延びている。
【0053】
蓋開閉機構11により気送子7の蓋77が閉鎖位置から開放位置に移動されたときに落下した採血管Tは、送出コンベア20の第1部分21において桟付きベルト26の搬送面(上方を向いた面)上に乗る。そして、採血管Tは、送出コンベア20の第2部分22によって搬送されて、鉛直方向に沿って上方に移動する。さらに、採血管Tは、送出コンベア20の第3部分23によって搬送されて、水平方向に沿って移動する。送出コンベア20の第3部分23によって搬送された採血管Tは、第3部分23における第2部分22側とは反対側の端部において、送出コンベア20の下方に位置する水平コンベア30に向かって落下する。
【0054】
水平コンベア30は、
図8に示すように、天井壁面Cに沿って配置されている。水平コンベア30は、採血管Tを水平方向に沿って移動させて、下降装置40まで運ぶためのものである。水平コンベア30は、複数のローラ35に架け渡された無端状のベルト36を備えている。ローラ35及びベルト36は、筐体39により覆われている。筐体39は、透明な材質で形成されている。
【0055】
水平コンベア30は、
図1に示すように、第1部分31及び第2部分32からなる。第1部分31は、水平面に平行な第1方向(
図1中左右方向)に沿って延びている。第2部分32は、水平面に平行であり、且つ、第1方向と直交する第2方向(
図2中上下方向)に沿って延びている。
【0056】
第1部分31は、下降装置40まで延びている。第2部分32は、第1部分31の下降装置40側とは反対側の端部に繋がっている。
図1及び
図5に示すように、第2部分32は、送出コンベア20における第3部分23の第2部分22側とは反対側の端部の下方を通っている。気送子7から取り出された採血管Tは、送出コンベア20によって水平コンベア30に送り込まれ、水平コンベア30によって下降装置40まで運ばれる。
【0057】
なお、水平コンベア30によって下降装置40まで運ばれる採血管Tは、気送子7から取り出され送出コンベア20によって送り込まれた採血管Tのみではない。例えば、水平コンベア30は外来の採血室まで延びており、採血室で患者から採取した血液を収容した採血管Tが水平コンベア30に送り込まれるようになっていてもよい。
【0058】
図8に示すように、天井壁面Cにおける水平コンベア30と対向する部分には、鏡3が取り付けられている。上述のように、筐体39は透明な材質で形成されているので、水平コンベア30の搬送路の様子が鏡3に映し出されるようになっている。
【0059】
下降装置40は、水平コンベア30によって運ばれた採血管Tを下降させて、検査装置9に投入するためのものである。
図8に示すように、下降装置40は、ケース部材41、スクリュー42及びモータ43を有している。
【0060】
ケース部材41は、筒状であり、その軸方向が鉛直方向と平行となるように配置されている。ケース部材41は、上端近傍に採血管Tの投入口41aが形成されており、下端近傍に採血管Tの排出口41bが形成されている。ケース部材41は、透明な材質で形成されている。
【0061】
スクリュー42は、螺旋状の溝42aを有している。スクリュー42は、その軸方向がケース部材41の軸方向と平行となる姿勢でケース部材41内に配置されている。すなわち、スクリュー42の軸方向は、鉛直方向と平行である。スクリュー42の上端42b及び下端42cは、ケース部材41内に位置している。
【0062】
ケース部材41の投入口41aは、ケース部材41の上端とスクリュー42の上端42bとの間に位置している。ケース部材41の排出口41bは、ケース部材41の下端とスクリュー42の下端42cとの間に位置している。
【0063】
モータ43は、スクリュー42を回転させるためのものである。モータ43は、ケース部材41の上方に配置されている。
【0064】
投入口41aには、スライダ45が配置されている。スライダ45は、水平コンベア30の下降装置40側の端部近傍からケース部材41内まで延びている。スライダ45は、ケース部材41の外側に位置する部分がケース部材41の内側に位置する部分よりも高くなるように傾斜している。
【0065】
スクリュー42の下方には、スライダ46が配置されている。スライダ46は、排出口41bを介してケース部材41の外まで延びている。スライダ46は、ケース部材41の内側に位置する部分がケース部材41の外側に位置する部分よりも高くなるように傾斜している。スライダ46の傾斜方向に関してケース部材41の外側の端部の下方には、検査装置9の投入口9aが位置している。
【0066】
水平コンベア30の下降装置40側の端部まで運ばれた採血管Tは、スライダ45上を滑って、投入口41aを介してケース部材41内に投入される。ケース部材41内に投入された採血管Tは、モータ43により回転されているスクリュー42の螺旋状の溝42aを滑り降りる。スクリュー42の下端まで滑り降りた採血管Tは、スライダ46上を滑って、排出口41bを介してケース部材41の外に排出され、検査装置9の投入口9aに投入される。なお、検査装置9の投入口9aには、人手により直接採血管Tを投入することもできる。
【0067】
上述のように、ケース部材41は、透明な材質で形成されている。したがって、ケース部材41の外側から下降装置40による搬送路(スクリュー42の螺旋状の溝42a)を見ることができる。
【0068】
(カメラ)
カメラ5a~5cは、搬送機構2による搬送路を写すためのものである。カメラ5aは、
図5に示すように、送出コンベア20の第1部分21の上方に設けられている。カメラ5aは、第1部分21における桟付きベルト26の搬送面(上方を向いた面)を撮影可能である。カメラ5b、5cは、
図1に示すように、水平コンベア30の第1部分31と第2部分32との接続部分に設けられている。カメラ5bは、水平コンベア30の第1部分31におけるベルト36の搬送面(上方を向いた面)を撮影可能である。カメラ5cは、水平コンベア30の第2部分32におけるベルト36の搬送面(上方を向いた面)を撮影可能である。
【0069】
カメラ5a~5cは、いわゆるwebカメラである。
図9に示すように、カメラ5a~5cは、インターネットなどの通信ネットワークNを介して端末50と通信可能である。端末50は、スマートフォン、タブレット端末、汎用のパーソナルコンピュータなどである。カメラ5a~5cで撮影された画像(静止画や動画)は、通信ネットワークNを介して端末50に送られ、端末50のディスプレイ51に表示されるようになっている。
【0070】
(制御部)
制御部6は、
図10に示すように、搬送システム1の各部の動作を制御するためのものである。制御部6は、光学センサ18からの出力信号に基づいて取出装置10のモータ15、16の駆動制御を行う。また、制御部6は、下降装置40のモータ43の駆動制御を行う。さらに、制御部6は、送出コンベア20を駆動するためのモータ及び水平コンベア30を駆動するためのモータ(いずれも図示せず)の駆動制御を行う。
【0071】
ここで、
図11を参照しつつ、制御部6で行われるステーション81の動作制御の処理手順の一例について説明する。
【0072】
まず、制御部6は、受信部83(
図5参照)で気送子7を受信したか否かを判断する(ステップS1)。なお、受信部83で気送子7を受信したか否かの判断は、受信部83に設けられたセンサ(図示せず)からの出力信号に基づいて行う。ステップS1での判断は、気送子7を受信したと判断するまで繰り返し行われる。
【0073】
制御部6は、受信部83で気送子7を受信したと判断した場合には(ステップS1:YES)、光学センサ18からの出力信号に基づいて、取出装置10による取り出しの要否を判断する(ステップS2:判断処理)。具体的には、制御部6は、光学センサ18により気送子7のマーカー79が検出されたか否かを判断する。
【0074】
このとき、受信部83で受信した気送子7が採血管Tを収容する場合には、光学センサ18によりマーカー79が検出される。受信部83で受信した気送子7が採血管T以外のものを収容する場合には、光学センサ18によりマーカー79は検出されない。検査室90に設置されたステーション81で受信した気送子7が、採血管T以外のものを収容する場合には、人手による取り出しが必要と考えられる。したがって、受信部83で受信した気送子7が採血管T以外のものを収容する場合には、取出装置10による採血管Tの取り出しは不要であると判断する。
【0075】
ステップS2において、取出装置10による取り出しは不要であると判断した場合には(ステップS2:NO)、制御部6は、気送子7をステーション81の手動取出口85(
図5参照)に送る(ステップS3)。すなわち、採血管T以外のものを収容する気送子7は、手動取出口85に送られる。手動取出口85に送られた気送子7は、人手によってステーション81から取り出され、さらに気送子7に収容された内容物(採血管T以外のもの)が人手によって気送子7から取り出される。
【0076】
一方、ステップS2において、取出装置10による取り出しが必要であると判断した場合には(ステップS2:YES)、制御部6は、気送子7を蓋開閉機構11の台12に送る(ステップS4)。続いて、制御部6は、蓋開閉機構11のモータ15、16の駆動を制御し、気送子7から採血管Tを取り出す(ステップS5:取出処理)。すなわち、蓋開閉機構11のピン13により気送子7の蓋77に直交面と平行な方向の力を加え、気送子7の蓋77を閉鎖位置(
図6参照)から開放位置(
図7参照)に移動させる。これにより、気送子7の収容空間76aに収容された採血管Tが自重により落下する。
【0077】
続いて、制御部6は、採血管Tが取り出された空の気送子7を、当該ステーション(即ち、受信ステーション)81の送信部84(
図5参照)に送る(ステップS6)。最後に、制御部6は、送信部84に送られた空の気送子7を、気送管82を介して送信元のステーション81に送信する(ステップS7)。このように、気送子7からの採血管Tの取り出しだけでなく、空の気送子7の返却まで人手を介することなく行うことができる。
【0078】
(効果)
以上のように、本実施形態の取出装置10は、採血管Tを収容する収容空間76aが設けられ、その両端部に収容空間76aに連通する開口71aが形成された筒状の本体部71と、開口71aを閉じる閉鎖位置と開口71aを開放する開放位置とを取り得る蓋77と、を有する気送子7から、採血管Tを取り出す取出装置10である。取出装置10は、気送子7を開口71aが下方を向く姿勢で支持しつつ蓋77を閉鎖位置から開放位置に移動させることにより、収容空間76aに収容された採血管Tを自重により落下させるように構成された蓋開閉機構11を備えている。
【0079】
本実施形態の取出装置10では、気送子7は、採血管Tを収容する気送子7のみに設けられるマーカー79を有しており、気送子7のマーカー79を読み取る光学センサ18と、制御部6と、をさらに備えている。制御部6は、光学センサ18からの出力信号に基づいて、気送子7からの採血管Tの取り出しの要否を判断する判断処理と、判断処理で気送子7からの採血管Tの取り出しが必要であると判断した場合に、蓋開閉機構11を制御して蓋77を閉鎖位置から開放位置に移動させる取出処理と、を実行する。したがって、内容物を取り出すべきではない気送子7から誤って内容物を取り出してしまうのを防ぐことができるので、誤って取り出してしまった内容物を気送子7に戻す作業が不要となる。
【0080】
本実施形態の取出装置10では、採血管Tを収容する収容空間76aは、本体部71の軸方向に延びる柱状であり、採血管Tの軸方向が本体部71の軸方向と一致する姿勢で採血管Tを収容可能である。また、気送子7の開口71aは、本体部71の軸方向の端部に形成されている。したがって、蓋開閉機構11により気送子7を開口71aが下方を向く姿勢で支持しつつ蓋77を閉鎖位置から開放位置に移動させたとき、採血管Tが途中で引っ掛かることなくスムーズに開口71aから排出される。
【0081】
本実施形態の取出装置10では、気送子7の蓋77は、本体部71の軸方向に延びる軸を中心に本体部71の軸方向と直交する直交面内で回動可能である。そして、蓋開閉機構11は、蓋77に直交面と平行な方向の力を加えることで、蓋77を閉鎖位置から開放位置に移動させる。したがって、簡易な構成で蓋の開閉を行うことができる。
【0082】
本実施形態の取出装置10では、気送子7の蓋77は、穴77bを有している。そして、蓋開閉機構11は、穴77bに挿入可能なピン13と、ピン13を直交面と平行な面内で移動させるモータ15と、を有しており、ピンを穴77bに挿入した状態でモータ15の駆動力によりピン13を移動させることで、蓋77を閉鎖位置から開放位置に移動させる。したがって、ピン13を蓋77の穴77bに挿入した状態でピン13を移動させるという簡易な構成で、蓋77に直交面と平行な方向の力を加えることができる。
【0083】
本実施形態の搬送システム1は、採血管Tを収容した気送子7を、送信元のステーション81から受信ステーション81まで気送管82を介して送る気送管設備8に接続されており、受信ステーション81で受信した気送子7の採血管Tを検査装置9に搬送するものである。そして、受信ステーション81において気送子7から採血管Tを取り出す取出装置10と、取出装置10によって取り出された採血管Tを検査装置9まで搬送する搬送機構2と、を備えている。したがって、取出装置10によって受信ステーション81で気送子7から自動的に採血管Tを取り出し、取り出した採血管Tを搬送機構2により検査装置9まで搬送することができる。すなわち、人手を介することなく、受信した気送子7に収容された採血管Tを検査装置9に運ぶことができるので、人手による労力を削減できる。
【0084】
本実施形態の搬送システム1では、搬送機構2は、取出装置10によって気送子7から取り出された採血管Tを鉛直方向に沿って上方に移動させる第2部分22を含んだ送出コンベア20と、送出コンベア20によって移動された採血管Tを水平方向に沿って移動させる水平コンベア30と、水平コンベア30によって移動された採血管Tを検査装置9に投入する下降装置40と、を有している。したがって、受信ステーション81において気送子7から取り出された採血管Tを高い位置で水平に運ぶことができるので、受信ステーション81と検査装置9とが離れていたとしても、受信ステーション81と検査装置9との間の空間に設置された物品や通行する人と干渉することなく、採血管Tを搬送することができる。
【0085】
本実施形態の搬送システム1では、水平コンベア30は、室内空間に対向する天井壁面Cに沿って配置されている。したがって、水平コンベア30の搬送路の様子を、室内空間から目視により確認することができる。よって、水平コンベア30の搬送路で発生した採血管Tの詰まりなどのトラブルを容易に見つけることができる。
【0086】
本実施形態の搬送システム1は、天井壁面Cに取り付けられた鏡3をさらに備えている。したがって、水平コンベア30の搬送路の様子が鏡に映し出されるため、室内空間からより容易に水平コンベア30の搬送路の様子を確認することができる。
【0087】
本実施形態の搬送システム1は、搬送機構2による搬送路を写すカメラ5a~5cと、カメラ5a~5cによって写された画像を表示するディスプレイ51を有する端末50と、をさらに備えている。したがって、ディスプレイ51に表示された画像によって、搬送機構2による搬送路の様子を確認することができる。よって、搬送路で発生した採血管Tの詰まりなどのトラブルを容易に見つけることができる。
【0088】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0089】
上述の実施形態においては、気送子7の本体部71の軸方向の両端部に、採血管Tを収容空間76aに連通する開口71aが形成されている場合について説明したが、開口71aは、本体部71の軸方向の一端部のみに形成されていてもよい。その場合、気送子7は、開口71aが下を向く姿勢で台12に支持される。また、開口71aの形成位置は、本体部71の軸方向の端部には限定されず、本体部71の軸方向内側に形成されていてもよい。
【0090】
上述の実施形態においては、採血管Tを収容する気送子7のみに光学センサ18によって検出可能なマーカー79を設け、制御部6は、光学センサ18からの出力信号に基づいて、気送子7からの採血管Tの取り出しの要否を判断する場合について説明したが、これには限定されない。収容する内容物の種類にかかわらず全ての気送子7に、気送子7を識別する識別情報を保持するバーコードやICタグなどを設けるようにしてもよい。この場合、制御部6は、バーコードリーダやタグリーダなどにより識別情報を読み取り、読み取った識別情報に基づいて採血管Tの取り出しの要否を判断する。また、制御部6で採血管Tの取り出しの要否の判断を行わず、受信ステーション81で受信した全ての気送子7から採血管Tを取り出すようにしてもよい。
【0091】
上述の実施形態においては、光学センサ18は、ステーション81の受信部83に設けられている場合について説明したが、光学センサ18の設置位置はこれに限定されるものではない。例えば、光学センサ18は、台12に支持された気送子7のマーカー79を読み取り可能な位置に設けられていてもよい。
【0092】
上述の実施形態においては、気送子7が、採血管Tを収容する円柱状の収容空間76aを画定する中子76を有している場合について説明したが、これには限定されない。収容空間76aの形状は、円柱状に限られるものではなく、採血管Tの軸方向が本体部71の軸方向と一致する姿勢で採血管Tを収容可能であれば、本体部71の軸方向と直交する断面の形状が多角形となるような柱状であってもよい。また、収容空間76aは柱状でなく、例えば、気送子7が台12に支持されたときに下方を向く開口71aに向かって広がった円錐状などであってもよい。
【0093】
上述の実施形態においては、管状の検体容器である採血管Tを気送子7から取り出す場合について説明したが、これには限定されない。検体容器の形状は、管状に限定されるものではなく、箱状や袋状であってもよい。また、検体容器は血液を収容するものに限定されず、例えば尿を収容するものであってもよい。すなわち、検体容器は、尿試験管、輸血パック、尿パックなどであってもよい。
【0094】
上述の実施形態においては、気送子7の蓋77は、本体部71の軸方向に延びる軸77aを中心に直交面内で回動可能である場合について説明したが、これには限定されない。例えば、気送子7の蓋77は、直交面内でスライド可能であってもよい。
【0095】
上述の実施形態においては、気送子7の蓋77に形成された穴77bに蓋開閉機構11のピン13を挿入してピン13を移動させることで、蓋77を閉鎖位置から開放位置に移動させる場合について説明したが、これには限定されない。例えば、気送子7の蓋77に突起を設け、蓋77の突起に係合する係合部材を移動させることで、蓋77を閉鎖位置から開放位置に移動させるようにしてもよい。
【0096】
上述の実施形態においては、搬送機構2は、採血管Tを鉛直方向に沿って上方に移動させる第2部分22を含んだ送出コンベア20を備えている場合について説明したが、これには限定されない。送出コンベア20は、採血管Tを天井壁面Cに沿って配置されている水平コンベア30まで移動させることができればよく、例えば採血管Tを鉛直方向と交わる方向に沿って移動させるものであってもよく、採血管Tを湾曲した搬送経路に沿って移動させるものであってもよい。
【0097】
上述の実施形態においては、水平コンベア30は、室内空間に対向する天井壁面Cに沿って配置されている場合について説明したが、これには限定されない。例えば、水平コンベア30は、床下や天井裏に配置されていてもよい。水平コンベア30が床下に配置されている場合は、送出コンベア20は、採血管Tを鉛直方向に沿って下方に移動させる。また、水平コンベア30が床下に配置されている場合は、採血管Tを下降させて検査装置9に投入する下降装置40に替えて、採血管Tを上昇させて検査装置9に投入する投入装置を採用する。さらに、水平コンベア30は、採血管Tを水平方向と交わる方向に沿って移動させるものであってもよく、採血管Tを湾曲した搬送経路に沿って移動させるものであってもよい。
【0098】
上述の実施形態においては、天井壁面Cにおける水平コンベア30と対向する部分に鏡3が取り付けられている場合について説明したが、これには限定されない。鏡3は、室内空間にいる人が鏡3に写った水平コンベア30による搬送経路の様子を見ることができる位置に設置されていればよい。また、鏡3は備えていなくてもよい。
【0099】
上述の実施形態においては、搬送機構2による搬送路を写すカメラ5a~5cを備えており、カメラ5a~5cで撮影された画像が、通信ネットワークNを介して端末50に送られ、端末50のディスプレイ51に表示される場合について説明したが、これには限定されない。例えば、カメラ5a~5cは、通信ネットワークNに接続されたものではなく、有線又は無線により端末50に直接接続されていてもよい。また、カメラ5a~5cは備えていなくてもよい。
【0100】
上述の実施形態においては、筐体29、39は透明な材質で形成されている場合について説明したが、筐体29、39は不透明な材質で形成されていてもよい。筐体29が不透明な材質で形成されている場合には、送出コンベア20の搬送路を筐体29の外から見ることができる窓が筐体29に形成されていることが好ましい。筐体39が不透明な材質で形成されている場合には、水平コンベア30の搬送路が鏡3に映るような窓が筐体39に形成されていることが好ましい。
【符号の説明】
【0101】
1 搬送システム
2 搬送機構
3 鏡
5a~5c カメラ
6 制御部
7 気送子
10 取出装置
11 蓋開閉機構
13 ピン
15 モータ
18 光学センサ(読取部)
20 送出コンベア(鉛直コンベア)
30 水平コンベア
40 下降装置(投入装置)
51 ディスプレイ
71 本体部
71a 開口
76a 収容空間
77 蓋
77a 軸
77b 穴
79 マーカー(識別情報保持部)
81 ステーション
T 採血管(検体容器)