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▶ 渡邊 武の特許一覧

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  • 特許-フィルタ及びフィルタ用リーフディスク 図1
  • 特許-フィルタ及びフィルタ用リーフディスク 図2
  • 特許-フィルタ及びフィルタ用リーフディスク 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】フィルタ及びフィルタ用リーフディスク
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/39 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
B01D29/34 520C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020024245
(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公開番号】P2021126634
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】510096658
【氏名又は名称】渡邊 武
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 武
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-167364(JP,A)
【文献】特開平08-033805(JP,A)
【文献】特開2014-140793(JP,A)
【文献】特開2008-200607(JP,A)
【文献】特開平02-090908(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111151054(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D24/00-37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性物質をろ過するフィルタであって、
中空のセンターポールと、
前記センターポールが通じる中央開口部を有すると共に、前記センターポールに沿って積み重ねられる複数のリーフディスクと、を備え、
前記各リーフディスクは、
複数の孔部を有する一対の多孔プレートと、
前記各多孔プレートの外面側に配置される一対の不織布と、を備え、
前記多孔プレートの径方向に並列された前記各孔部の径は、前記多孔プレートの中心の外側から内側に向けて順次大きくなるよう構成され、
前記多孔プレートの周方向に並列された前記各孔部の径は、同じ大きさになるように構成され、
前記多孔プレートの周方向に並列された前記各孔部の離間距離は、前記多孔プレートの中心の外側から内側に向けて順次小さくなるよう構成される
ことを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
流動性物質をろ過するフィルタに用いられるリーフディスクであって、
前記フィルタは、
中空のセンターポールと、
前記センターポールが通じる中央開口部を有すると共に、前記センターポールに沿って積み重ねられる複数の前記リーフディスクと、を備え、
前記各リーフディスクは、
複数の孔部を有する一対の多孔プレートと、
前記各多孔プレートの外面側に配置される一対の不織布と、を備え、
前記多孔プレートの径方向に並列された前記各孔部の径は、前記多孔プレートの中心の外側から内側に向けて順次大きくなるよう構成され、
前記多孔プレートの周方向に並列された前記各孔部の離間距離は、前記多孔プレートの中心の外側から内側に向けて順次小さくなるよう構成される
ことを特徴とするフィルタ用リーフディスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性物質をろ過するフィルタ及びフィルタ用リーフディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーやモノマー、乳酸菌生産物質の原液などの流動性物質をろ過するフィルタ及びフィルタ用リーフディスクがある。従来のフィルタ及びフィルタ用リーフディスクは、例えば、特許文献1及び2に開示されている。
【0003】
特許文献1の図4及び図5の通り、フィルタは、積み重ねられた複数のリーフディスク1を備える。各リーフディスク1は、中央に設けられる開口部と、開口部に設けられるハブ2とを備える。
【0004】
フィルタは、中空のセンターポール3を備え、センターポール3は、各リーフディスク1のハブ2を貫通する。各リーフディスク1は、センターポール3に沿って積み重ねられる。リーフディスク1は、全面に等間隔に配置された複数の同一の孔部を有する金属製の一対の多孔プレート4を備える。
【0005】
リーフディスク1は、さらに、各多孔プレート4の間に配置されるステンレス製の金網5と、各多孔プレート4の外側に配置される炭素繊維製の一対の不織布6と、を備える。ハブ2及びセンターポール3は、複数の貫通孔7,8を備える。各貫通孔7,8は、各多孔プレート4の間に配置される。
【0006】
フィルタは、ポリマーやモノマー、乳酸菌生産物質の原液などの流動性物質を収納するタンク内に装備される。流動性物質は、各リーフディスク1の不織布6及び多孔プレート4を通過して、各多孔プレート4の間に導入される。そして、流動性物質は、ハブ2の貫通孔7と、センターポール3の貫通孔8とを通過して、センターポール3内を通じてタンクから取り出される。
【0007】
したがって、流動性物質は、不織布6によってろ過される。不織布6は、所定の圧力で流動性物質を受けるので、多孔プレート4及び金網5は、不織布6の形状を保持するために設けられる。
【0008】
ところで、不織布6を通過する流動性物質は、多孔プレート4を通じてハブ2の貫通孔7に達するが、多孔プレート4は、単に全面に等間隔に配置された複数の同一の孔部を有するだけである。そのため、流動性物質によっては、多孔プレート4を通過する流動性物質の流量が小さく、流動性物質をろ過する時間が長いことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平2-90907号公報
【文献】実開平6-41810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、多孔プレートを通過する流動性物質の流量が大きく、流動性物質をろ過する時間が短くなるフィルタ及びフィルタ用リーフディスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係るフィルタは、
流動性物質をろ過するフィルタであって、
中空のセンターポールと、
センターポールが通じる中央開口部を有すると共に、センターポールに沿って積み重ねられる複数のリーフディスクと、を備え、
各リーフディスクは、
複数の孔部を有する一対の多孔プレートと、
各多孔プレートの外面側に配置される一対の不織布と、を備え、
多孔プレートの径方向に並列された各孔部の径は、多孔プレートの中心の外側から内側に向けて順次大きくなるよう構成され、
多孔プレートの周方向に並列された各孔部の径は、同じ大きさになるように構成され、
多孔プレートの周方向に並列された各孔部の離間距離は、多孔プレートの中心の外側から内側に向けて順次小さくなるよう構成される。
【0012】
また、本発明に係るフィルタ用リーフディスクは、
流動性物質をろ過するフィルタに用いられるリーフディスクであって、
フィルタは、
中空のセンターポールと、
センターポールが通じる中央開口部を有すると共に、センターポールに沿って積み重ねられる複数のリーフディスクと、を備え、
各リーフディスクは、
複数の孔部を有する一対の多孔プレートと、
各多孔プレートの外面側に配置される一対の不織布と、を備え、
多孔プレートの径方向に並列された各孔部の径は、多孔プレートの中心の外側から内側に向けて順次大きくなるよう構成され、
多孔プレートの周方向に並列された各孔部の離間距離は、多孔プレートの中心の外側から内側に向けて順次小さくなるよう構成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るフィルタ及びフィルタ用リーフディスクは、多孔プレートを通過する流動性物質の流量が大きく、流動性物質をろ過する時間が短くなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】フィルタを示す一部断面図。
図2】リーフディスクを示す断面図。
図3】多孔プレートの半円部分を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本発明に係るフィルタ及びフィルタ用リーフディスクの一実施形態を説明する。
【0016】
図1の通り、フィルタは、積み重ねられた複数のリーフディスク1を備える。各リーフディスク1は、中央に設けられる開口部10と、開口部10に設けられるハブ2とを備える。フィルタは、中空のセンターポール3を備え、センターポール3は、各リーフディスク1のハブ2を貫通する。各リーフディスク1は、センターポール3に沿って積み重ねられる。
【0017】
図2の通り、リーフディスク1は、全面に配置された複数の孔部90(図3)を有する金属製の一対の多孔プレート9を備える。なお、図1では、多孔プレート9の孔部90が省略されている。
【0018】
リーフディスク1は、さらに、各多孔プレート9の間に配置されるステンレス製の金網5と、各多孔プレート9の外面側に配置される炭素繊維製の一対の不織布6と、を備える。不織布6及び多孔プレート9は、その外周でリブ11を介して連結される。ハブ2及びセンターポール3は、複数の貫通孔7,8を備える。各貫通孔7,8は、各多孔プレート9の間に配置される。
【0019】
フィルタは、ポリマーやモノマー、乳酸菌生産物質の原液などの流動性物質を収納するタンク内に装備される。流動性物質は、各リーフディスク1の不織布6及び多孔プレート4を通過して、各多孔プレート4の間に導入される。そして、流動性物質は、ハブ2の貫通孔7と、センターポール3の貫通孔8とを通過して、センターポール3内を通じてタンクから取り出される。
【0020】
したがって、流動性物質は、不織布6によってろ過される。不織布6は、所定の圧力で流動性物質を受けるので、多孔プレート4及び金網5は、不織布6の形状を保持するために設けられる。
【0021】
図3の通り、多孔プレート9は、貫通された複数の孔部90を備える。多孔プレート9の径方向9bに並列された各孔部90の径は、多孔プレート9の中心9aの外側90bから内側90aに向けて順次大きくなるよう構成される。例えば、孔部90の径は、外側90bから内側90aに向けて、2mm、3mm、4mm、・・・となる。なお、孔部90の径は厳格に順次大きくなる必要はなく、例えば、図3では、多孔プレート9の最も内側90aに並列された孔部90は、その隣に並列された孔部90よりも小さい。
【0022】
多孔プレート9の周方向9cに並列された各孔部90の径は、同じ大きさになるように構成される。また、多孔プレート9の周方向9cに並列された各孔部90の離間距離90cは、多孔プレート9の中心9aの外側90bから内側90aに向けて順次小さくなるよう構成される。離間距離90cは、隣接する孔部90の端間の距離である。例えば、離間距離90cは、外側90bから内側90aに向けて、10mm、9mm、8mm、・・・となる。
【0023】
これにより、流動性物質の出口の貫通孔7に近い部分の開口面積が大きく、貫通孔7から遠い部分の開口面積が小さくなるので、多孔プレート9を通過する流動性物質の流量が大きくなり、流動性物質をろ過する時間が短くなる。また、多孔プレート9の全体の開口面積は、従来の多孔プレート9の全体の開口面積と変わらないため、所定の強度が備えられ、不織布6の形状を保持することができる。
【0024】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成はこれらの実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0025】
1:リーフディスク、10:中央開口部、3:センターポール、6:不織布、9:多孔プレート、90:孔部、9a:多孔プレートの中心、9b:多孔プレートの径方向、9c:多孔プレートの周方向、90a:多孔プレートの中心の内側、90b:多孔プレートの中心の外側、90c:孔部の離間距離
図1
図2
図3