(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】建設機械のアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
E01C 19/23 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
E01C19/23
(21)【出願番号】P 2020038637
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000182384
【氏名又は名称】酒井重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 健太
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-102098(JP,A)
【文献】特開2019-100014(JP,A)
【文献】実開平06-066113(JP,U)
【文献】特開2010-183325(JP,A)
【文献】特開2020-007700(JP,A)
【文献】実開昭54-043743(JP,U)
【文献】特開2014-173283(JP,A)
【文献】特開2006-009272(JP,A)
【文献】特開2012-021392(JP,A)
【文献】特開2019-138101(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0016027(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械に設けられGNSSのアンテナの高さ位置を調節する調節部と、
前記アンテナの高さ位置を第1の位置にするか、若しくは、前記アンテナの高さ位置を前記第1の位置よりも高い第2の位置にする
ように前記調節部を制御する制御部と、を備え
、
前記制御部は、前記建設機械のエンジンがONとなったときに前記アンテナの高さ位置を第2の位置となるように制御し、前記建設機械のエンジンがOFFとなったときに前記アンテナの高さ位置を前記第1の位置となるように制御することを特徴とする建設機械のアンテナ装置。
【請求項2】
建設機械に設けられGNSSのアンテナの高さ位置を調節する調節部と、
前記アンテナの高さ位置を第1の位置にするか、若しくは、前記アンテナの高さ位置を前記第1の位置よりも高い第2の位置にする
ように前記調節部を制御する制御部と、を備え
、
作業員が前記建設機械に搭乗したことを検出する検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記検出部が前記作業員の搭乗を検出しない場合に前記アンテナの高さ位置を第1の位置となるように制御し、前記検出部が前記作業員の搭乗を検出した場合に前記アンテナの高さ位置を前記第2の位置となるように制御することを特徴とする建設機械のアンテナ装置。
【請求項3】
前記調節部は、前記アンテナを支持するロッドが高さ方向に伸縮可能に形成されていることを特徴とする請求項
1又は請求項
2に記載の建設機械のアンテナ装置。
【請求項4】
前記調節部は、前記アンテナを支持するロッドが前記建設機械に設けられた回転軸に対して起立又は傾倒可能に形成されていることを特徴とする請求項
1又は請求項
2に記載の建設機械のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械のアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、i-Constructionの推進に伴い、締固め施工の出来形管理の技術開発が盛んに進められている。出来形管理では、振動ローラ等の建設機械の位置を検出するために、建設機械にGNSS(Global Navigation Satellite System)アンテナ等のアンテナが取り付けられる(例えば、特許文献1参照)。出来形管理を行う計算機は、締固め施工の作業中の建設機械の走行軌跡等を管理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アンテナの受信感度を良好にして作業中の建設機械の位置検出の精度を向上させるために、建設機械に取り付けられるアンテナはできるだけ高い位置にあることが望ましい。一方、建設機械の公道走行やトレーラ等の搬送車両による建設機械の運搬に対する法規により、建設機械の全高は制限されている。このため、公道走行や運搬を考慮して建設機械に取り付けられるアンテナの高さ位置は、法規による制限を満たす必要がある。
【0005】
よって、アンテナの位置については、公道走行中や運搬中では低くし、作業中では高くすることが望ましい。特許文献1の発明によれば、転圧車両に取り付けされるアンテナの高さ位置は、法規による制限を満たすように固定されている。このため、作業中の建設機械に取り付けられたアンテナの受信感度を良好にすることについて改善の余地が残されている。
【0006】
そこで、本発明は、建設機械に取り付けられるアンテナの高さを好適な位置にすることができる建設機械のアンテナ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明の建設機械のアンテナ装置は、建設機械に設けられGNSSのアンテナの高さ位置を調節する調節部と、前記アンテナの高さ位置を第1の位置にするか、若しくは、前記アンテナの高さ位置を前記第1の位置よりも高い第2の位置にするように前記調節部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記建設機械のエンジンがONとなったときに前記アンテナの高さ位置を第2の位置となるように制御し、前記建設機械のエンジンがOFFとなったときに前記アンテナの高さ位置を前記第1の位置となるように制御することを特徴とする。
【0008】
前記構成によれば、公道走行中や運搬中では制御部がアンテナの高さ位置を第1の位置にすることで、法規による制限を満たすことができる。また、作業中では制御部がアンテナの高さ位置を第2の位置にすることで、アンテナの受信感度を良好にし、作業中の建設機械の位置検出の精度を向上させることができる。このように、場面に応じて、建設機械に取り付けられるアンテナの高さを好適な位置にすることができる。
また、前記構成によれば、エンジンをONにすればアンテナの高さを第2の位置にすることができるため、操作の手間を省くことができる。また、エンジンをOFFにすればアンテナの高さを第1の位置にすることができるため、操作の手間を省くことができ、かつ、アンテナの収納忘れを防ぐことができる。
【0015】
また、本発明は、建設機械に設けられGNSSのアンテナの高さ位置を調節する調節部と、前記アンテナの高さ位置を第1の位置にするか、若しくは、前記アンテナの高さ位置を前記第1の位置よりも高い第2の位置にするように前記調節部を制御する制御部と、を備え、作業員が前記建設機械に搭乗したことを検出する検出部をさらに備え、前記制御部は、前記検出部が前記作業員の搭乗を検出しない場合に前記アンテナの高さ位置を第1の位置となるように制御し、前記検出部が前記作業員の搭乗を検出した場合に前記アンテナの高さ位置を前記第2の位置となるように制御することを特徴とする。
【0016】
前記構成によれば、公道走行中や運搬中では制御部がアンテナの高さ位置を第1の位置にすることで、法規による制限を満たすことができる。また、作業中では制御部がアンテナの高さ位置を第2の位置にすることで、アンテナの受信感度を良好にし、作業中の建設機械の位置検出の精度を向上させることができる。このように、場面に応じて、建設機械に取り付けられるアンテナの高さを好適な位置にすることができる。
また、前記構成によれば、作業員が運転席に搭乗すればアンテナの高さを第2の位置にすることができるため、操作の手間を省くことができる。また、搭乗員が運転席から降りればアンテナの高さを第1の位置にすることができるため、操作の手間を省くことができ、かつ、アンテナの収納忘れを防ぐことができる。
【0017】
また、前記調節部は、前記アンテナを支持するロッドが高さ方向に伸縮可能に形成されていることが好ましい。また、前記調節部は、前記アンテナを支持するロッドが前記建設機械に設けられた回転軸に対して起立又は傾倒可能に形成されていることが好ましい。
【0018】
前記構成によれば、アンテナの高さ位置の調節を容易に実現することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、建設機械に取り付けられるアンテナの高さを好適な位置にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1の実施形態の転圧車両の側面図の例である。
【
図3】第2の実施形態の転圧車両の側面図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張され、実際の比率とは異なる場合がある。また、各図面の同一の要素は、適宜配置変更されている場合がある。説明における「上下」、「左右」、「前後」は、振動ローラの操作方向を基準とする。
【0022】
<第1の実施形態>
[構成]
図1に示すように、本実施形態の建設機械は、転圧輪2を備えた前部車体4と、転圧輪3を備えた後部車体5とが連結部6によってアーティキュレート式に接続されている振動ローラ1である。本実施形態では、建設機械として振動ローラを例示するが、他の建設機械でもよいし、振動機構の有無も問わない。
【0023】
振動ローラ1は、運転席7と、出来形管理システム8と、調節部9と、ブラケット10と、制御部11とを後部車体5に備えている。調節部9及び制御部11は、本発明のアンテナ装置を構成する。
【0024】
出来形管理システム8は、GNSSのアンテナ12によって得られた振動ローラ1の位置情報に基づいて、施工エリアにおける転圧回数・平面位置等をオペレーターにリアルタイムに提供するとともに、施工履歴を記録してより確実な施工管理と省力化を図るシステムである。出来形管理システム8は、本実施形態では運転席7に対向する操作パネルに設置されている。
【0025】
出来形管理システム8には、操作部8aが設けられている。操作部8aは、振動ローラ1に搭乗した作業員が所定の情報を入力したり、所定の情報を表示したりするためのインタフェースである。操作部8aは、例えば、タッチパネルになっており、アンテナ12の高さを第1の位置にする第1モード又は第2の位置にする第2モードを選択するための操作ボタンが設けられている。アンテナ12の第1の位置又は第2の位置は適宜設定すればよいが、本実施形態では、アンテナ12の第1の位置は最も低い位置であり、第2の位置は最も高い位置としている。
【0026】
調節部9は、GNSSのアンテナ12を上下方向に移動させる装置である。調節部9は、支持部材13と、ロッド14と、油圧回路15を備えている。支持部材13は、ロッド14及び油圧回路15を収納する筐体である。支持部材13は、後部車体5の後部においてブラケット10を介して接続されており、高さ方向に延在している。ロッド14は、高さ方向に延在している棒材であり、一方の端部には、アンテナ12が取り付けられており、他方の端部は、支持部材13内部に配置されている。ロッド14は、例えば、一の棒材で形成されていてもよいし、複数のロッドピースを内側に収納又は伸長できる形態であってもよい。
【0027】
油圧回路15は、
図2に示すように、油を供給するポンプ31と、油の逆流を防止するチェック弁32と、油の流路を切り替える方向制御弁33と、アクチュエータ34と、油を貯蔵する油タンク35とを用いて構成されている。方向制御弁33は、例えば、4ポート2位置方向制御弁を用いることができる。なお、
図2の油圧回路15に対し、流体(油)の一部又は全部を排出させて回路内の圧力を設定値に保持するリリーフ弁を設けてもよい。
【0028】
図1に戻って、制御部11は、アンテナ12の高さ位置を制御する。制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)として実装することができるが、これに限定されない。制御部11は、出来形管理システム8と、調節部9の油圧回路15とそれぞれ電気的に接続されている。
【0029】
[動作]
<初期位置>
例えば、エンジンを掛ける前の状態(初期位置)では、ロッド14は最も下方に変位しており、アンテナ12の高さ位置も最も低い位置(第1の位置)となっている。第1の位置は、法規による高さ制限値(例えば、小型特殊自動車の場合2.0m、大型特殊自動車の場合3.8m)よりも低い位置になっている。
【0030】
<締め固め中(出来形管理システム作動中)>
作業員は、出来形管理システム8を作動させる場合、操作部8aを操作してアンテナ12の高さ位置を最も高い位置(第2の位置)にする。作業員が、操作部8aの操作ボタンを押圧して第2のモードを選択すると、制御部11から調節部9の油圧回路15に制御信号が送信され、方向制御弁33が左位置となるとともに、ポンプ31が駆動する。これにより、所定量の流体(油)がアクチュエータ34の一方室に供給され、ロッド14及びアンテナ12が上方に押し上げられる。
【0031】
<公道走行時、搬送車両等>
作業員は、例えば、振動ローラ1を公道で走行させる場合や、搬送させる場合、操作部8aを操作してアンテナ12の高さ位置を最も低い位置(第1の位置)にする。作業員が、操作部8aの操作ボタンを押圧して第1のモードを選択すると、制御部11から調節部9の油圧回路15に制御信号が送信され、方向制御弁33が右位置となるとともに、ポンプ31が駆動する。これにより、所定量の流体がアクチュエータ34の他方室に供給され、ロッド14及びアンテナ12が下方に押し下げられる。
【0032】
[作用効果]
従来では、公道走行時や運搬時の法規制限によるアンテナの高さ位置と、作業中のアンテナ受信感度によるアンテナの高さ位置を両立させるために、例えば、着脱可能なアンテナを作業員が建設機械の高所(例:キャノピー、ヘッドガード、ロップス等)に取り付け、作業終了時に作業員がアンテナを高所から取り外すという運用が行われていた。しかし、このような運用では、作業員が作業終了時にアンテナの取り外しを忘れる場合がある。これにより、アンテナが高所に取り付けられたままの建設機械を公道走行させたり運搬させたりしてしまうことがあり、法規に抵触するおそれがあった。
【0033】
また、公道走行時や運搬時であっても建設機械の高所に取り付けられたままのアンテナは、不測の事態により何らかの構造物に接触する可能性がある。このような接触によってアンテナの位置がずれてしまったり、アンテナが破損したりするおそれがあった。また、作業員が建設機械の高所にアンテナを着脱する作業は煩雑であり、作業員の転落の可能性を招き好ましくない。
【0034】
これに対し、本実施形態に係るアンテナ装置によれば、公道走行中や運搬中では制御部11がアンテナ12の高さ位置を第1の位置(例えば、法規未満の高さ)にすることで、法規による制限を満たすことができる。また、作業中では制御部11がアンテナ12の高さ位置を第2の位置(例えば、感度良好の高さ)にすることで、アンテナ12の受信感度を良好にし、作業中の建設機械の位置検出の精度を向上させることができる。このように、本実施形態によれば、場面に応じてアンテナ12の高さを好適な位置にすることができる。
【0035】
また、制御部11は、作業員が操作部8aで第1のモードを選択したときにアンテナ12の高さ位置を第1の位置になるように制御し、第2のモードを選択したときにアンテナ12の高さ位置を第2の位置になるように制御することで、作業員の操作によりアンテナ12の高さを変更できるため、操作性を高めることができる。また、従前のようにアンテナ装置を着脱させる必要が無いため、作業員の負担を軽減することができる。
【0036】
また、調節部9は、アンテナ12を支持するロッド14が高さ方向に伸縮可能に形成されているため、アンテナ12の高さ位置の調節を容易に実現することができる。
【0037】
また、例えば、操作部8aの表示部にアンテナ12の高さ位置が分かるような表示を設けることで、アンテナ12の収納忘れを防ぐことができる。
【0038】
以上本発明の第1の実施形態について説明したが、適宜設計変更が可能である。例えば、本実施形態では油圧回路15を駆動させてアンテナ12の昇降を行ったが、電気式、空気式でアンテナ12を昇降させてもよい。また、アンテナ12の高さ位置を、第1の位置と第2の位置の間の任意の高さに位置させる調節機構を設けてもよい。
【0039】
また、制御部11は、出来形管理システム8の電源がONになったときにアンテナ12の高さ位置を第2の位置となるように制御し、出来形管理システム8の電源がOFFとなったときにアンテナ12の高さ位置を第1の位置となるように構成してもよい。つまり、出来形管理システム8の電源のON・OFFを契機にアンテナ12を昇降させてもよい。
【0040】
これにより、出来形管理システム8をONにすれば自動的にアンテナ12を第2の位置にすることができるため、操作の手間を省くことができる。また、出来形管理システム8をOFFにすれば自動的にアンテナ12を第1の位置にすることができるため、操作の手間を省くことができ、かつ、アンテナ12の収納忘れを防ぐことができる。なお、第1の実施形態のように作業員の操作でアンテナ12を昇降させる形態に代えて当該変形例を適用してもよいし、当該変形例と併用してもよい。
【0041】
また、制御部11は、振動ローラ1のエンジンがONとなったときにアンテナ12の高さ位置を第2の位置となるように制御し、振動ローラ1のエンジンがOFFとなったときにアンテナ12の高さ位置を第1の位置となるように構成してもよい。つまり、エンジンのON・OFFを契機にアンテナ12を昇降させてもよい。
【0042】
これにより、エンジンをONにすればアンテナ12を自動的に第2の位置にすることができるため、操作の手間を省くことができる。また、エンジンをOFFにすればアンテナ12を自動的に第1の位置にすることができるため、操作の手間を省くことができ、かつ、アンテナ12の収納忘れを防ぐことができる。なお、第1の実施形態のように作業員の操作でアンテナ12を昇降させる形態に代えて当該変形例を適用してもよいし、当該変形例と併用してもよい。
【0043】
また、作業員が振動ローラ1に搭乗したことを検出する検出部(図示省略)をさらに備え、制御部11は、検出部が作業員の搭乗を検出しない場合にアンテナ12の高さ位置を第1の位置となるように制御し、検出部が作業員の搭乗を検出した場合にアンテナ12の高さ位置を第2の位置となるように構成してもよい。つまり、作業員の運転席7への搭乗の有無を契機にアンテナ12を昇降させてもよい。例えば、検出部としては、運転席7に設けられたシートコンタクトスイッチを用いることができる。
【0044】
これにより、作業員が運転席7に搭乗すればアンテナ12を自動的に第2の位置にすることができるため、操作の手間を省くことができる。また、作業員が運転席7から降りれば自動的にアンテナ12を第1の位置にすることができるため、操作の手間を省くことができ、かつ、アンテナ12の収納忘れを防ぐことができる。なお、第1の実施形態のように作業員の操作でアンテナ12を昇降させる形態に代えて当該変形例を適用してもよいし、当該変形例と併用してもよい。
【0045】
<第2の実施形態>
第2の実施形態の説明の際、第1の実施形態と重複する説明は省略し、主に相違点について説明する。第2の実施形態では、アンテナ12を支持するロッド14が回動式である点で第1の実施形態と相違する。
【0046】
図3に示すように、本実施形態の振動ローラ1の調節部9は、ロッド14と、保持部材17と、回転アクチュエータ16とを備えている。
【0047】
ロッド14は、所定長さを有する棒材であり、一方の端部には、アンテナ12が取り付けられており、他方の端部は、回転アクチュエータ16内部に配置されている。保持部材17は、回転アクチュエータ16が設置される部材である。回転アクチュエータ16は、車幅方向の回転軸回りにロッド14及びアンテナ12を回転させる装置である。
【0048】
調節部9は、回転アクチュエータ16によって、アンテナ12付きロッド14を、運転席7側に傾倒させたり(
図3にて実線表示)、起立させたり(
図3にて破線表示)することができる。つまり、調節部9は、アンテナ12が振動ローラ1に設けられた回転軸に対して起立又は傾倒可能に形成されている。調節部9は、ロッド14の傾倒または起立によってアンテナ12の高さ位置を調節することができる。
【0049】
本実施形態によっても第1の実施形態と概ね同様の効果を奏することができる。つまり、公道走行時や運搬時では、アンテナ12付きロッド14を運転席7側に傾倒させておくことができるため、振動ローラ1の全長は維持される。その結果、振動ローラ1がアンテナ12を備えたとしても、法規による全長制限を確実に満たすことができる。また、例えば、出来形管理システム8を作動させているときは、アンテナ12付きロッド14を起立させることでアンテナ12を高い位置に位置させることができる。
【0050】
以上本発明の実施形態及び変形例について説明したが、さらに以下の形態も適用することができる。
(a):調節部9は、アンテナ12の高さを任意の位置に調節することができる。例えば、調節部9は、アンテナ12の高さの最低位置よりも高い位置を請求項の「第1の位置」に設定してもよい。また、調節部9は、アンテナ12の高さの最高位置よりも低い位置を請求項の「第2の位置」に設定してもよい。「第2の位置」は、常に「第1の位置」よりも高い位置である。
【0051】
(b):振動ローラ1などの建設車両に限らず、ハンドガイドローラであっても本発明を適用することができる。つまり、建設機械全般に本発明を適用することができる。
【0052】
(c):第2の実施形態において、アンテナ12付きロッド14は、運転席7側に傾倒させていたが、傾倒する方向はこれに限らず、例えば、車幅方向に傾倒するようにしてもよい。
【0053】
(d):また、次の場合においては、アンテナ12を収納し忘れているとして、表示部にその旨を表示させてもよいし、音を報知するなどして報知させてもよい。
(1)アンテナ12を第1の位置にしないまま、出来形管理システム8の電源をOFFにした場合
(2)アンテナ12を第1の位置にしないまま、エンジンをOFFにした場合
(3)アンテナ12を第1の位置にしないまま、作業員が運転席7から降りた場合
【0054】
(e):その他、各実施形態、変形例で説明した技術的特徴は、適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 振動ローラ(建設機械)
2,3 転圧輪
4 前部車体
5 後部車体
6 連結部
7 運転席
8 出来形管理システム
8a 操作部
9 調節部
10 ブラケット
11 制御部
12 アンテナ
13 支持部材
14 ロッド
15 油圧回路