(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】多層ラベル
(51)【国際特許分類】
G09F 3/00 20060101AFI20231114BHJP
G09F 3/02 20060101ALI20231114BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
G09F3/00 D
G09F3/02 N
G09F3/00 M
B65D25/20 P
(21)【出願番号】P 2020044701
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】弁理士法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野原 梨沙
(72)【発明者】
【氏名】青木 聡司
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-134190(JP,A)
【文献】特開2015-55636(JP,A)
【文献】登録実用新案第3169174(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/00
G09F 3/02
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面に粘着面が設けられた下基材と、前記下基材の表面側に積層された不透明な上基材と、を有する多層基材と、
前記多層基材に設けられ且つ前記多層基材の厚み方向に貫通するミシン目線と、を有し、
前記上基材が、前記下基材の一縁部に剥離不能に接着された非剥離領域と、前記非剥離領域以外の領域であって前記下基材の表面に剥離可能に接着された剥離領域と、からなり、
第1表示が、前記下基材のうち前記上基材の剥離領域に対応する領域の表面及び前記上基材の剥離領域の裏面の少なくとも一方から視認可能な状態で表されており、
第2表示が、前記上基材の表面から視認可能な状態で表されており、
前記ミシン目線が、前記非剥離領域及び前記第2表示を含む第1片と前記非剥離領域及び前記第2表示を含まない第2片とに前記多層基材を2分できる位置に設けられている、多層ラベル。
【請求項2】
前記下基材が、平面視略矩形状に形成されており、
前記下基材の裏面に、粘着面及び非粘着面が設けられ、
前記粘着面が、前記下基材の4つの隅部と、前記第1片のうち前記ミシン目線の両端部の近傍部と、に少なくとも設けられ、
前記非粘着面が、前記第1片のうち前記粘着面以外に設けられている、請求項1に記載の多層ラベル。
【請求項3】
前記上基材に、前記剥離領域を引き剥がした際に前記上基材を分断する分断起点となる切り目が形成されている、請求項1または2に記載の多層ラベル。
【請求項4】
前記第1表示が、特定のURLにアクセスして懸賞応募するための情報を含み、
前記第2表示が、書類送付にて懸賞応募するための情報を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の多層ラベル。
【請求項5】
前記第1表示が、二次元コード及びシリアル番号を含み、
前記ミシン目線が、前記第2表示及びシリアル番号を横断せず且つ前記二次元コードを横断する位置に設けられている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の多層ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器などの商品に貼付して使用される多層ラベルに関し、特に、キャンペーンラベルとして好適に使用できる多層ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料容器、食品容器などの各種の商品に、多層ラベルが貼り付けられている。多層ラベルは、2つ以上の基材が積層され且つ粘着面を介して商品に貼付して使用されるラベルである。このような多層ラベルは、商品の販売促進のためのキャンペーンラベル、キャラクターが表示されたキャラクターラベル、医薬品を識別するための医薬品用ラベルなどとして使用されている。
例えば、キャンペーンラベルは、くじや景品等の懸賞の応募券として利用される。
キャンペーンラベルとしては、代表的には、1層構造のラベルと2層以上の構造(多層構造)のラベルが知られている。
1層構造のラベルは、例えば、円形状や矩形状に形成された基材に、その表面から目視できないように、籤、景品券及びポイントなどの懸賞応募表示が表され、前記ラベル基材の裏面に、被着体に貼付するための粘着面が設けられている。
1層構造のキャンペーンラベルについては、購入者が、そのラベルを剥がし、隠されていた懸賞応募表示を確認し、その情報に従い、例えばラベルをハガキなどの書類に貼り付けて商品提供者に送付することによって懸賞に応募できる。
【0003】
多層構造のキャンペーンラベル(多層ラベル)は、例えば、下基材の表面に上基材が剥離可能に積層され、その下基材の表面に、上基材の表面から目視できないように、ホームページへアクセスする二次元コードが表され、前記下基材の裏面に、被着体に貼付するための粘着面が設けられている(例えば、特許文献1)。
かかるキャンペーンラベルについては、購入者が、上基材を下基材から引き剥がして2次元コードをスマートフォンなどを用いて読み取り、商品提供者などのホームページにアクセスすることによって懸賞に応募できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
市場においては、ラベルを書類に貼り付けて送付することにより懸賞に応募することを望む購入者(以下、このような懸賞応募方法を「ラベル送付型応募」という)と、ホームページにアクセスして懸賞に応募することを望む購入者(以下、このような懸賞応募方法を「HPアクセス型応募」という)が存在する。この点、前記多層構造のキャンペーンラベルにおいて、上基材の表面に籤などの懸賞応募表示を表しておくことにより、ラベル送付型応募及びHPアクセス型応募の両購入者の要望を満足できる。
すなわち、ラベル送付型応募を望む購入者は、多層構造のキャンペーンラベルを商品から引き剥がし、それをハガキなどの書類に貼り付けて送付し、HPアクセス型応募を望む購入者は、上基材を剥離して2次元コードをスマートフォンなどを用いて読み取り、ホームページにアクセスする。かかるラベル送付型応募とHPアクセス型応募を行えるキャンペーンラベルは、様々な購入者のニーズに適合し得る。
【0006】
ラベル送付型応募に適するキャンペーンラベル(多層ラベル)は、ハガキなどの書類にラベルを貼り付けるために、小面積であることが好ましい。一方、ラベルには、籤などの懸賞応募表示を表すこと以外に、商品名や説明書きなどを表す必要があり、このような懸賞応募表示以外の情報を表すために、キャンペーンラベルは、比較的大面積であることが好ましい。
従って、キャンペーンラベルは、商品提供者が購入者に提供する段階では比較的大面積であることが望ましく、そのラベルを購入者が得た段階では、必要に応じて、小さくできることが望ましい。
懸賞応募用途のラベルであるキャンペーンラベルだけでなく、上述のキャラクターラベルや医薬品用ラベルなどの他の用途に使用される多層ラベルについても、前記と同様に、提供段階で比較的大面積で、購入者が得た段階で、必要に応じて小面積に変えることができることが望ましい。
【0007】
なお、1つのキャンペーンラベルで、ラベル送付型応募とHPアクセス型応募を行えるようにすると、購入者が、誤って又は不正目的で、懸賞に2度応募(二重応募)することも想定される。このため、前記二重応募し難くするような工夫及び商品提供者において前記二重応募を発見できるように工夫することも求められる。
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の第1の目的は、提供段階では比較的大面積なラベルであり、必要に応じて、小さなラベルとすることができる多層ラベルを提供することである。
本発明の第2の目的は、提供段階では比較的大面積なラベルであり、ラベル送付型応募を行う際には小さなラベルとすることができる多層ラベルを提供することである。
本発明の第3の目的は、ラベル送付型応募とHPアクセス型応募の二重応募の防止及び二重応募された場合に容易に発見できる多層ラベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の多層ラベルは、裏面に粘着面が設けられた下基材と、前記下基材の表面側に積層された不透明な上基材と、を有する多層基材と、前記多層基材に設けられ且つ前記多層基材の厚み方向に貫通するミシン目線と、を有し、前記上基材が、前記下基材の一縁部に剥離不能に接着された非剥離領域と、前記非剥離領域以外の領域であって前記下基材の表面に剥離可能に接着された剥離領域と、からなり、第1表示が、前記下基材のうち前記上基材の剥離領域に対応する領域の表面及び前記上基材の剥離領域の裏面の少なくとも一方から視認可能な状態で表されており、第2表示が、前記上基材の表面から視認可能な状態で表されており、前記ミシン目線が、前記非剥離領域及び前記第2表示を含む第1片と前記非剥離領域及び前記第2表示を含まない第2片とに前記多層基材を2分できる位置に設けられている。
【0010】
前記多層ラベルは、非剥離領域及び前記第2表示を含む第1片と非剥離領域及び前記第2表示を含まない第2片とに多層基材を2分できる位置にミシン目線が設けられている。前記多層ラベルは、商品を提供する段階では、第1片と第2片を有するので、比較的大面積となる。一方、商品を購入した購入者が、必要に応じて、ミシン目線を利用して多層ラベルを第1片と第2片に分割することにより、小さなラベルを得ることができる。
【0011】
本発明の第1の好ましい多層ラベルは、前記下基材が、平面視略矩形状に形成されており、前記下基材の裏面に、粘着面及び非粘着面が設けられ、前記粘着面が、前記下基材の4つの隅部と、前記第1片のうち前記ミシン目線の両端部の近傍部と、に少なくとも設けられ、前記非粘着面が、前記第1片のうち前記粘着面以外に設けられている。
本発明の第2の好ましい多層ラベルは、前記上基材に、前記剥離領域を引き剥がした際に前記上基材を分断する分断起点となる切り目が形成されている。
【0012】
本発明の第3の好ましい多層ラベルは、前記第1表示が、特定のURLにアクセスして懸賞応募するための情報を含み、前記第2表示が、書類送付にて懸賞応募するための情報を含む。
前記第3の好ましい多層ラベルは、キャンペーンラベルとして使用できる。
【0013】
また、本発明の第4の好ましい多層ラベルは、前記第1表示が、二次元コード及びシリアル番号を含み、前記ミシン目線が、前記第2表示及びシリアル番号を横断せず且つ前記二次元コードを横断する位置に設けられている。
前記第4の好ましい多層ラベルは、前記ミシン目線が第2表示及びシリアル番号を横断せず且つ前記二次元コードを横断する位置に設けられている。このため、多層ラベルをミシン目線で分断した後には、二次元コードが部分的に切断されるので、HPアクセス型応募を行い難くなる。このため、購入者が、ラベル送付型応募とHPアクセス型応募の二重応募を行なうことを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の多層ラベルは、表示面積が比較的大きく、また、ミシン目線にて分断できるようになっているので、必要に応じて、小さなラベルに変更できる。
また、本発明の好ましい多層ラベルは、キャンペーンラベルとして好適に使用できる。 特に、ミシン目線が第2表示及びシリアル番号を横断せず且つ二次元コードを横断する位置に設けられている多層ラベルは、ラベル送付型応募とHPアクセス型応募の双方を行なう二重応募の有無を判別し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る多層ラベルを表面側から見た平面図。
【
図5】分離した下基材と上基材を左右に並べ、それぞれを表面側から見た平面図。
【
図6】上基材の剥離領域を引き剥がした状態の多層ラベルを示す断面図。
【
図7】ミシン目線にて2つに分断した状態の多層ラベルを示す断面図。
【
図8】多層ラベルを商品に貼り付けたラベル付き商品の1つの実施例を示す正面図。
【
図9】(a)は、ミシン目線を利用して多層ラベルを分断する過程を示す正面図、(b)は、多層ラベルを第1片と第2片に分割した後の正面図。
【
図10】(a)は、第1片の正面図、(b)は、上基材を下基材から引き剥がした状態を示す第1片の正面図。
【
図11】多層ラベルの上基材の剥離領域を引き剥がした状態のラベル付き商品の正面図。
【
図12】(a)は、ラベル付き商品の変形例を示す正面図、(b)は、その右側面図。
【
図13】第2実施形態に係る多層ラベルを表面側から見た平面図。
【
図14】第3実施形態に係る多層ラベルを表面側から見た平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
本明細書において、「下限値X~上限値Y」で表される数値範囲は、下限値X以上上限値Y以下を意味する。前記数値範囲が別個に複数記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「任意の下限値~任意の上限値」を設定できるものとする。
なお、各図における寸法、厚み、縮尺比などは、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0017】
[第1実施形態]
<多層ラベル>
図1乃至
図4において、本発明の多層ラベルAは、2枚以上の基材が積層されている多層基材を有する。
本発明の多層ラベルAは、被着体(任意の商品など)に貼り付けて使用される。
特に、本発明の多層ラベルAは、キャンペールラベルとして好適に使用できる。キャンペーンラベルは、くじや景品等の懸賞の応募に利用できるラベルをいう。
【0018】
多層基材は、下基材1と、下基材1の表面に積層された上基材2と、を有する。多層基材は、必要に応じて、3枚以上の基材が積層されたものでもよい。
下基材1の裏面(多層基材の裏面)には、粘着面が設けられている。多層ラベルAは、下基材1の裏面に設けられた前記粘着面を介して被着体に貼り付けられる。下基材1の裏面の全体が粘着面であってもよく、下基材1の裏面が、粘着面及び非粘着面を有するものでもよい。本実施形態では、下基材1の裏面には、粘着面及び非粘着面が設けられている。ここで、本明細書において、粘着面は、被着体に剥離可能に貼り付けることができ且つ剥離後再貼付できる面をいい、通常、粘着剤層の露出面から構成される。非粘着面は、実質的に被着体に貼り付けることができない面をいう。実質的に被着体に貼り付けることができないとは、被着体に付着しない場合の他、極めて弱い付着力で被着体に付着する場合を含む。
【0019】
多層基材を構成する下基材1及び上基材2は、それぞれ柔軟なシート材(シート材は、一般にフィルムと呼ばれるものも含む)から形成されている。
下基材1及び上基材2の材質は、特に限定されず、それぞれ独立して、例えば、普通紙、コート紙などの紙;ポリエステル系合成紙、ポリオレフィン系合成紙などの合成紙;ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリスチレン系フィルムなどの合成樹脂フィルム;ポリエステル系発泡フィルムなどの発泡樹脂フィルム;などのシート材を用いることができる。また、下基材1及び上基材2は、それぞれ独立して、異種若しくは同種のシート材(例えば前記のような紙など)を積層接着して一体化した積層体を用いてもよい。
例えば、下基材1及び上基材2は、互いに同種のシート材から形成されていてもよく、或いは、それぞれ異なるシート材から形成されていてもよい。
ミシン目線6を利用して多層基材を容易に分断するために、下基材1及び上基材2は、紙又は合成紙で形成されていることが好ましく、さらに、紙がより好ましい。
【0020】
下基材1は、透明なシート材、不透明なシート材又は透明な領域と不透明な領域からなるシート材から形成される。上基材2は、第1表示を隠蔽するために、不透明なシート材又は透明な領域と不透明な領域からなるシート材から形成される。
ここで、本明細書において、「透明」は、一方面側から見て、反対面側を視認できる状態をいい、「不透明」は、一方面側から見て、反対面側を視認できない状態をいう。「透明」は、例えば、シート材の裏面側に、その裏面から1cm離れた箇所に、白地の紙に黒色インキで任意の数字(大きさ12ポイント)を印刷したものを配置し、前記シート材を透かしてその数字を表面側から識別できる状態をいう。「透明」は、無色透明又は有色透明のいずれでもよい。「不透明」は、例えば、前記と同じ条件で裏面側に配置した数字を、表面側から視認できない状態(数字を認識できない状態)をいう。
透明性の指標は、例えば、へーズで表すことができる。透明なシート材のへーズは、例えば、15%以下であり、好ましくは、10%以下である。不透明なシート材のへーズは、例えば、15%を越え、好ましくは、20%以上であり、より好ましくは、25%以上である。ただし、前記へーズは、測定対象をJIS K 7361に準拠した測定法によって測定される値をいう。
【0021】
透明なシート材としては、代表的には、合成樹脂フィルムが挙げられる。不透明なシート材としては、代表的には、紙、発泡樹脂フィルム、合成紙、及びこれらの積層体、並びに、これらから選ばれる1つと透明な層の積層体が挙げられる。さらに、不透明なシート材は、透明な合成樹脂フィルムに不透明層が積層されているものでもよい。前記不透明層としては、白色インキや銀色インキなどの隠蔽効果を有するベタ印刷層、アルミニウムなどの金属蒸着膜などが挙げられる。なお、不透明なシート材は、紙、発泡樹脂フィルム、合成紙、及びこれらの積層体に、前記不透明層が積層されているものでもよい。
透明な領域と不透明な領域からなるシート材としては、例えば、透明な合成樹脂フィルムの一部の領域に、前記不透明層が積層されているものなどが挙げられる。なお、上基材2として透明な領域と不透明な領域からなるシート材を用いる場合、第1表示を隠蔽するために、前記不透明な領域に第1表示が設けられる。
【0022】
下基材1及び上基材2の厚みは、特に限定されない。下基材1と上基材2は、その厚みが同じでもよく、いずれか一方が大きくてもよい。
下基材1及び上基材2の厚みは、その材質によって異なるが、それぞれ独立して、例えば、20μm~300μmであり、好ましくは30μm~200μmである。
なお、多層基材が3層以上の基材から構成される場合、下基材1及び上基材2以外の基材は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記で例示した下基材1及び上基材2の中から適宜選択して使用される。
【0023】
図5は、多層ラベルAの分解図である。つまり、
図5は、多層基材を構成する下基材1と上基材2を分けた平面図である。
下基材1の平面視形状は、特に限定されず、例えば、
図1、
図2及び
図5に示すように、平面視略矩形状(略長方形状)の他、特に図示しないが、略円形状、略楕円形状、略三角形状、略六角形状などの略多角形状、これらを組み合わせた形状、などが挙げられる。ここで、本明細書において、形状の「略」は、本発明の属する技術分野において許容される形状を意味する。例えば、略円形状及び略楕円形状の「略」は、円弧の一部が膨らむ又は窪んでいる形状、円弧の一部が僅かに直線又は斜線とされた形状などが含まれる。また、略矩形状、略三角形状、略六角形状などの略多角形状の「略」は、角部が面取りされている形状、辺の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、辺が若干湾曲している形状などが含まれる。
上基材2の平面視形状は、特に限定されず、例えば、
図1及び
図5に示すように、平面視略矩形状(略長方形状)の他、特に図示しないが、略円形状、略楕円形状、略三角形状、略六角形状などの略多角形状、これらを組み合わせた形状、などが挙げられる。
【0024】
下基材1と上基材2は、同大でもよく、或いは、何れか一方が他方よりも小さくてもよい。
上基材2は、下基材1と同大(同面積)、又は、下基材1よりも小さい(下基材1よりも小面積)ことが好ましい。上基材2を下基材1から捲り易くなることから、上基材2は、図示のように、下基材1よりも小さいことがより好ましい。
下基材1と同面積又は下基材1よりも小面積の上基材2は、下基材1の縁からはみ出さないように、下基材1に重ねて積層される。
図1の例では、上基材2の3つの縁が下基材1の3つの縁に一致し、上基材2の1つの縁(この縁は、後述する非剥離領域21とは反対側の縁である)が下基材1の1つの縁から離れ且つ下基材1の面内に位置している。このように上基材2の1つの縁が下基材1の面内に位置していることにより、この縁を起点にして上基材2の剥離領域22を捲り易くなる。さらに、上基材2の1つの縁の少なくとも一部を下基材1に対して非接着としておくことにより、この非接着の縁を起点にして上基材2の剥離領域22をより捲り易くなる。
なお、上基材2が下基材1と同面積又は下基材1よりも小面積の場合、多層ラベルAの面積及び平面視形状は、下基材1の面積及び平面視形状に相当する。
【0025】
下基材1の表面に重ねられた上基材2は、前記下基材1の一縁部に剥離不能に接着されている。
図1及び
図5において、剥離不能に接着されている部分に、便宜上、ドットを付している。上基材2のうち、下基材1に剥離不能に接着されている部分を「非剥離領域21」という。例えば、上基材2の一縁部と下基材1の一縁部が強接着されており、この場合、上基材2の一縁部が非剥離領域21となる。
前記一縁部は、下基材1及び上基材2の任意の1つの縁及びその縁の近傍部分である。例えば、下基材1及び上基材2が平面視略矩形状である場合、下基材1及び上基材2の一縁部は、矩形の1つの辺及びその辺の近傍部分である。ここで、「剥離不能に接着」は、上基材2を下基材1から引き剥がそうとした場合に、上基材2が下基材1から容易に剥がれない程度の強い接着強度で接着されている状態をいう。
非剥離領域21は、特に限定されないが、余りに小さいと上基材2を捲った際に非剥離領域21が下基材1から剥がれるおそれがあり、余りに大きいと相対的に剥離領域22が小面積となる。かかる観点から、非剥離領域21の幅は、1mm~5mmであり、好ましくは2mm~4mmである。
【0026】
上基材2のうち前記非剥離領域21以外の領域は、前記下基材1の表面に剥離可能に接着されている。上基材2のうち、非剥離領域21以外の下基材1に接着されている部分を「剥離領域22」という。剥離領域22は、下基材1の表面に剥離可能に接着され且つ剥離後に下基材1の表面に再貼付可能であることが好ましい。剥離領域22が再貼付可能であることにより、ラベル送付型応募する購入者が、剥離領域22を剥離したとしても、それを再び下基材1の表面に貼付した状態で、第1片を書類に貼り付けて懸賞応募に参加できる。
【0027】
剥離領域22においては、上基材2は下基材1の表面に弱接着又は擬似接着されている。「擬似接着」は、少しの力で層間剥離できる程度に弱く接着されている状態をいい、「弱接着」は、擬似接着に比して強く付着しているが、簡単に層間剥離できる程度に弱く接着されている状態をいう。
擬似接着における接着強度は、例えば、0を越え1N/25mm以下であり、好ましくは0.02N/25mm~0.7N/25mmである。弱接着における接着強度は、例えば、1N/25mm~7N/25mmであり、好ましくは3N/25mm~6N/25mmである。なお、非剥離領域21における接着強度(強接着における接着強度)は、例えば、7N/25mm以上であり、好ましくは10N/25mm以上である。
ただし、これらの接着強度は、JIS Z 0237に準じ、試験材料(下基材1と上基材2が積層接着されたもの)を長さ100mm×幅25mmとし、剥離角度を180度、剥離速さを300mm/分、温度を23℃とした条件下の剥離試験において測定される。
【0028】
上基材2の非剥離領域21(一縁部)を下基材1に剥離不能に接着し且つ上基材2の剥離領域22(非剥離領域21以外の領域)を下基材1に剥離可能に接着する方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。
例えば、上基材2の一縁部を、粘着剤層(又は接着剤層)を介して下基材1の一縁部に接着させることにより、上基材2の一縁部が下基材1の一縁部に強接着された非剥離領域21を形成できる。
また、
図3及び
図4に示すように、上基材2の非剥離領域21以外の領域に粘着剤層31(又は接着剤層)を設け、且つ、その領域に設けられた粘着剤層31(又は接着剤層)にマスキング層32を設けることにより、上基材2の非剥離領域21以外の領域が下基材1の表面に剥離可能に接着された、剥離領域22を形成できる。
【0029】
比較的簡単に非剥離領域21と剥離領域22を形成できることから、上基材2の裏面に粘着剤層31を設け且つその粘着剤層31の裏面にマスキング層32を設けることにより、上基材2を非剥離領域21と剥離領域22に区分けできる。
具体的には、上基材2の裏面全体にベタ状に粘着剤層31を形成し、その粘着剤層31の裏面のうち上基材2の一縁部を除く残部全体にマスキング層32を形成する。マスキング層32が設けられた領域は、粘着剤層31の粘着力が軽減されて、下基材1の表面に弱接着又は擬似接着するようになり、マスキング層32が設けられていない領域は、粘着剤層31が直接的に下基材1に強接着するようになる。
なお、特に図示しないが、下基材1の表面全体にベタ状に粘着剤層31を形成し、その粘着剤層31の表面のうち上基材2の一縁部を除く残部全体にマスキング層32を形成してもよい。
【0030】
粘着剤層31を構成する粘着剤は、室温で粘着力を有し且つその粘着力が長期間持続するものをいう。粘着剤としては、従来公知のタックラベルで広く用いられている感圧型粘着剤が用いられる。なお、粘着剤として、感熱型粘着剤などを用いてもよい。前記感熱型粘着剤は、加熱することにより粘着力を発揮し且つその粘着力が室温下でも長期間持続する粘着剤である。
粘着剤層31(粘着剤)は、透明又は不透明の何れでもよいが、透明(特に無色透明)であることが好ましい。
粘着剤層31の厚みは、特に限定されず、例えば、10μm~30μmである。
【0031】
前記マスキング層32は、粘着剤層31にマスキング剤を塗布することによって形成できる。マスキング層32は、粘着剤層31の粘着力を軽減するために設けられる。マスキング剤としては、紫外線硬化型インキ、シリコーンを含むコート剤などが挙げられる。
マスキング層32(マスキング剤)は、透明又は不透明の何れでもよいが、透明(特に無色透明)であることが好ましい。
マスキング層32の厚みは、特に限定されず、例えば、3μm~20μmである。一般に、マスキング層32の厚みを大きくすると粘着剤層31の粘着力をより軽減できる。従って、マスキング層32の厚みを調整することにより、上基材2の剥離領域22の、下基材1に対する接着強度を設定でき、上述の弱接着又は擬似接着を実現できる。
また、マスキング層32の塗工形状、塗工面積を調整することによっても、上基材2の剥離領域22の、下基材1に対する接着強度を設定でき、上述の弱接着又は擬似接着を実現できる。
【0032】
図1、
図3乃至
図5に示すように、上基材2の表面には、第2表示5が表されている。本実施形態のようにキャンペーンラベルとして使用される多層ラベルAにあっては、前記第2表示5は、書類送付にて懸賞応募するための情報を含む表示である。前記第2表示5は、健常者の目視により、上基材2の表面から視認可能な状態で表されている。従って、第2表示5は、上基材2を引き剥がすことなく、健常者の目視により、その情報を知得できる表示であり、公開表示とも呼べる。
第2表示5は、商品提供者などが提供する懸賞に、ハガキなどの書類を送付する(郵送や宅配など)ことによって参加するために必要となる情報(つまり、ラベル送付型応募のために必要となる情報)を含んでいる。例えば、第2表示5に含まれる情報は、ラベル送付型応募に際しての資格的な情報が挙げられる。このような情報を含む表示は、例えば、籤、景品券、懸賞ポイント、懸賞応募用シリアル番号などが挙げられる。これらの表示は、1種単独で又は2種以上を併記して表されていてもよい。
図1及び
図5の例では、第2表示5として”ポイント100点”が上基材2の表面に表示されている。
第2表示5は、通常、印刷によって表される。第2表示5を表示する印刷層59(以下、第2表示印刷層59という)は、
図3及び
図4に示すように、上基材2の表面に設けられている。
第2表示印刷層59は、上基材2の表面全体に設けられていてもよく、或いは、一部分に設けられていてもよい。
図1及び
図5の例では、第2表示5は、上基材2の略中央部において、略矩形状の範囲に設けられている。
【0033】
なお、上基材2として透明な合成樹脂フィルムに不透明層が積層されているものを用いた場合には、その合成樹脂フィルムの裏面(合成樹脂フィルムと不透明層の間)に前記第2表示印刷層59を設けてもよい(図示せず)。例えば、透明な合成樹脂フィルムの裏面に第2表示印刷層59を印刷し、その第2表示印刷層59の裏面を覆うように、不透明層(例えば、白色などのベタ印刷層)を重ね印刷する。このような場合でも、目視により、上基材2の表面から第2表示5を視認できる。
また、上基材2の表面には、一般的な表示(以下、一般表示という)が表されていてもよい(一般表示は図示せず)。かかる一般表示は、第2表示5と同様に、上基材2の表面から視認可能な状態で表されており、通常、印刷によって表される。
一般表示は、例えば、商品名、広告、懸賞応募方法の説明書きなどが挙げられる。
【0034】
図1、
図3乃至
図5に示すように、下基材1及び上基材2の少なくとも一方には、第1表示4が表されている。本実施形態のようにキャンペーンラベルとして使用される多層ラベルAにあっては、前記第1表示4は、特定のURLにアクセスして懸賞応募するための情報を含む表示である。
前記第1表示4は、不透明な上基材2によって隠蔽されており、上基材2の剥離領域22を引き剥がさなければ視認できない。従って、第1表示4は、商品などに貼付して多層ラベルAを提供する際には、視認できない表示であり、秘匿表示とも呼べる。
図6は、剥離領域22を下基材1から引き剥がした状態を示す断面図であり、
図6のように、不透明な上基材2の剥離領域22を捲ることによって、下基材1の表面及び上基材2の裏面を視認できるようになる。
【0035】
具体的には、第1表示4は、(a)下基材1のうち上基材2の剥離領域22に対応する領域の表面(以下、下基材1のうち上基材2の剥離領域22に対応する領域を「剥離領域対応部」という)、及び、(b)上基材2の剥離領域22の裏面、の少なくとも一方に表されている。
前記(a)に第1表示4が表される場合、その第1表示4は、下基材1の剥離領域対応部の表面のみから視認可能な状態で表されている。前記(b)に第1表示4が表される場合、その第1表示4は、上基材2の剥離領域22の裏面のみから視認可能な状態で表されている。前記(a)及び(b)に第1表示4がそれぞれ表される場合、その第1表示4は、下基材1の剥離領域対応部の表面及び上基材2の剥離領域22の裏面のみから視認可能な状態で表されている。従って、第1表示4は、下基材1の剥離領域対応部の表面及び上基材2の剥離領域22の裏面の少なくとも一方のみから視認可能な状態で表されている。
ただし、上述のように、第1表示4は上基材2の剥離領域22を引き剥がさなければ視認できないので、前記(a)に表された第1表示4は、剥離領域22を下基材1から剥離した際に、剥離領域対応部の表面から視認可能な状態で表されているという意味である。同様に、前記(b)に表された第1表示4は、剥離領域22を下基材1から剥離した際に、上基材2の剥離領域22の裏面から視認可能となる状態で表されているという意味である。
【0036】
従って、第1表示4は、上基材2の剥離領域22を引き剥がさない状態では秘匿されているが、剥離領域22を引き剥がすことによって目視できるようになる。健常者は、剥離領域22を剥離した後の下基材1の表面及び上基材2の裏面を見ると、第1表示4を知得できる。
図示例では、第1表示4は、(a)下基材1の剥離領域対応部の表面に表されている。
【0037】
第1表示4は、商品提供者などが提供する懸賞に、特定のURL(インターネット上のホームページの所在地)にアクセスすることによって参加するために必要となる情報(つまり、HPアクセス型応募のために必要となる情報)を含んでいる。例えば、第1表示4に含まれる情報は、HPアクセス型応募に際しての資格的な情報、HPアクセス型応募に際して特定のURLに関連付けされた情報などが挙げられる。前記資格的な情報を含む表示としては、例えば、懸賞応募用シリアル番号などが挙げられ、前記特定のURLに関連付けられた情報を含む表示としては、URLを表した文字、URLをコード化した二次元コード、URLをコード化したバーコードなどが挙げられる。これらの表示は、1種単独で又は2種以上を併記して表されていてもよい。
図示例では、第1表示4として2種類の表示が下基材1の表面などに表されている。1つの第1表示4(1種の第1表示4)は、
図5を参照して、URLをコード化した”二次元コード41”であり、もう1つの第1表示4(もう1種の第1表示4)は、懸賞応募に利用される”シリアル番号42”である。
【0038】
第1表示4は、剥離領域対応部(又は/及び上基材2の剥離領域22)の全体において視認可能な状態で表されていてもよく、或いは、剥離領域対応部(又は/及び上基材2の剥離領域22)の一部の領域において視認可能な状態で表されていてもよい。なお、二次元コード41とシリアル番号42は、重ならないように並んで配置される。
図示例では、第1表示4は、剥離領域対応部(又は/及び上基材2の剥離領域22)の一部の領域に表されている。例えば、二次元コード41は、下基材1の略中央部において、略矩形状の範囲に設けられ、シリアル番号42は、二次元コード41と非剥離領域21の間に設けられている。
【0039】
第1表示4は、通常、印刷によって表される。第1表示4を表示する印刷層49(以下、第1表示印刷層49という)は、
図3に示すように、下基材1の表面に設けられている。
なお、下基材1として透明な基材又は透明な合成樹脂フィルムを用いた場合には、その透明な基材又はフィルムの裏面に前記第1表示印刷層49を設けてもよい(図示せず)。このような場合でも、上基材2の剥離領域22を引き剥がした際に、目視により下基材1の表面から第1表示4を視認できる。
また、第1表示4を上基材2の剥離領域22に表す場合には、不透明な上基材2の裏面に第1表示印刷層49を設けることにより、上基材2の剥離領域22を引き剥がした際に、目視により上基材2の裏面から第1表示4を視認できる。なお、第1表示印刷層49を上基材2の剥離領域22の裏面に設ける場合、上述の粘着剤層31は、前記第1表示印刷層49の裏面に設けられる。
なお、下基材1の表面(及び/又は上基材2の裏面)には、一般表示が表されていてもよい(一般表示は図示せず)。なお、剥離領域対応部及び上基材2の裏面に表される一般表示は、第1表示4と同様に、上基材2の剥離領域22を引き剥がした際に、目視により視認できる状態で表される。他方、剥離領域対応部以外の下基材1の表面に表される一般表示は、第2表示5と同様に、多層ラベルAの表面側から視認できる状態で表される。前記剥離領域対応部以外の下基材1の表面は、下基材1のうち上基材2が積層されていない領域の表面をいう。
【0040】
多層基材には、ミシン目線6が設けられている。ミシン目線6は、多層基材の厚み方向に貫通している。
ミシン目線6は、多層基材を分断し易くするために、下基材1及び上基材2を有する多層基材に形成されている。
ミシン目線6は、多層基材を2つの片に分割できるように、平面視において多層基材の面内を横断するように形成されている。
詳しくは、ミシン目線6は、非剥離領域21を含む片と、非剥離領域21を含まない片と、に多層基材を2分できる位置に設けられている。以下、非剥離領域21を含む片を「第1片」といい、非剥離領域21を含まない片を「第2片」という。
図7は、ミシン目線6に沿って多層ラベルAを2つの片A1,A2(第1片A1と第2片A2)に分断した状態を示す断面図である。
【0041】
ミシン目線6は、多層基材を第1片A1と第2片A2に区分けできるように配置されていればよいが、好ましくは、第2表示5を横断せず且つ第1表示4を横断する位置に設けられ、より好ましくは、図示例のように、第2表示5を横断せず且つ二次元コード41を横断する位置に設けられ、さらに好ましくは、第2表示5及びシリアル番号42を横断せず且つ二次元コード41を横断する位置に設けられる。
ミシン目線6は、平面視で、図示例のように、略曲線状でもよく、或いは、特に図示しないが、略直線状、略屈曲状などであってもよい。
【0042】
ミシン目線6は、ミシン針の縫い目跡の如く、多層基材の厚み方向に貫通する貫通孔部が断続的に連なった線である。つまり、ミシン目線6は、貫通孔部と非貫通部が交互に連なって形成された線である。前記ミシン目線6の貫通孔部の長さは、例えば、0.5mm~3mmであり、好ましくは1mm~2mmである。ミシン目線6の非貫通部の長さは、例えば、0.5mm~3mmであり、好ましくは1mm~1.5mmである。
【0043】
下基材1(多層基材)の裏面には、粘着面が設けられている。
上述のように、粘着面は、下基材1の裏面全体に設けられていてもよいが、
図2に示すように、下基材1の裏面には、粘着面と非粘着面が設けられている。なお、
図2において、粘着面に、便宜上、網掛けを付している(従って、
図2において、白地の箇所は、非粘着面である)。
粘着面は、多層ラベルAを被着体に貼り付けるため及び第1片A1をハガキなどの書類に貼り付けるために設けられており、粘着面と非粘着面の配置は、適宜設定できる。
多層ラベルAを被着体に良好に貼り付けることができ且つ第1片A1を書類に良好に貼り付けることができるように、粘着面は、下基材1の4つの隅部1a,1b,1c,1d(上右隅部1a、上左隅部1b、下右隅部1c及び下左隅部1d)と、第1片A1のうちミシン目線6の両端部の近傍部1e,1f(ミシン目線6を基準にして、その上右側部及び上左側部。以下、第1片A1のうちミシン目線6の両端部の近傍部1e及び近傍部1fを、ミシン目線6の上右側部1e及び上左側部1fという)とに少なくとも設けられる。ただし、下基材1の第1片A1の裏面全体が非粘着面又は粘着面とされていてもよい。
図示例では、略矩形状の下基材1の少なくとも6箇所(4つの隅部1a乃至1dとミシン目線6の上右側部1e及び上左側部1f)に、粘着面が設けられている。このように粘着面を設けることにより、多層ラベルA及び第1片A1が被着体及び書類から捲れないように、多層ラベルAを貼り付けることができる。
非粘着面は、粘着面以外に設けられる。非粘着面は、下基材1の裏面のうち多くとも前記6つの部分1a乃至1fを除いた領域に設けられる。
【0044】
図示例では、粘着面は、下基材1の上右隅部1a及び上左隅部1bと、ミシン目線6を基準にしてミシン目線6の上側帯状領域を含む下基材1の下方部全体と、に設けられている。非粘着面は、下基材1の裏面のうち、前記上右隅部1a及び上左隅部1bと下方部とを除いた残部(下基材1の上方部)に設けられている。前記下基材1の下方部は、下基材1の下右隅部1c及び下左隅部1dとミシン目線6の上右側部1e及び上左側部1fとを含み且つこれらの4つの部分1c乃至1fで囲われた領域に相当する。この下基材1の下方部には、多層基材に形成されたミシン目線6が含まれている。前記下基材1の上方部は、ミシン目線6の上側帯状領域よりもさらに上側の領域に相当する。
なお、
図2において、下基材1の下方部(網掛けで示す)のうち、少なくとも粘着面が設けられる下右隅部1c及び下左隅部1d、並びに、ミシン目線6の上右側部1e及び上左側部1fとなる範囲を、一点鎖線で区切っている。
図示例では、上右隅部1aとミシン目線6の上右側部1eの間、上右隅部1aと上左隅部1bの間、及び、上左隅部1bとミシン目線6の上左側部1fの間には、それぞれ非粘着面が存在している。
【0045】
下基材1の裏面における粘着面と非粘着面の形成方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。
例えば、粘着面を設ける領域のみに粘着剤を塗布することにより、非粘着面(粘着剤層31の裏面)と非粘着面(下基材1の裏面そのもの)を形成できる。
比較的簡単に粘着面と非粘着面を形成できることから、下基材1の裏面に粘着剤層71を設け且つその粘着剤層71の裏面にマスキング層72を設けることにより、下基材1の裏面に粘着面と非粘着面を形成できる。
具体的には、
図2乃至
図4に示すように、下基材1の裏面全体にベタ状に粘着剤層71を形成し、その粘着剤層71の裏面のうち、非粘着面を形成する部分にマスキング層72を形成する。マスキング層72が設けられた領域は、粘着剤層71の裏面が露出せず、非粘着面となる。
マスキング層72を比較的厚く形成することにより、粘着剤層71の粘着力を隠蔽でき、実質的に被着体に貼り付けることができない非粘着面を形成できる。
なお、粘着剤層71を形成する粘着剤及びマスキング層72を形成するマスキング剤としては、上述のようなものを適宜選択して使用できる。
【0046】
<ラベル付き商品>
本発明の多層ラベルAは、適宜な被着体に貼り付けて使用される。
被着体は、特に限定されず、カップ型容器、飲料などが収納されたボトル型容器、化粧品などが収納された容器、調味料や食品などが収納された容器などの各種容器が代表的に例示される。もっとも、被着体は、内容物が収納される容器に限られず、機械部品などの商品そのものであってもよい。
被着体の被着面は、平面状でもよく、角面状でもよく、或いは、曲面状でもよい。
図8に示すラベル付き商品Bは、飲料などが収納されたボトル型容器9(商品)と、その容器9に貼り付けられた多層ラベルAと、を有する。
前記容器9は、胴部91と、キャップ部93と、胴部91からキャップ部93の間の肩部92と、を有する。肩部92は、胴部91側よりもキャップ部93側が周長が短く、従って、肩部92は胴部91よりも内側に凹んでいる。図示例の胴部91、肩部92及びキャップ部93は、上面視で円形であるが、胴部91及び肩部92は、上面視で円形以外(例えば上面視で矩形状など)であってもよい。
なお、容器9には、本発明の多層ラベル以外のラベル(以下、別のラベルという。図示せず)が装着されていてもよい。別のラベルとしては、従来公知のシュリンクラベル、ストレッチラベル、巻付けラベル、インモールドラベル、タックラベルなどが挙げられる。
【0047】
図8に示すように、多層ラベルAは、粘着面を介して、容器9の胴部91に剥離可能に貼り付けられている。
なお、多層ラベルAが、容器9に装着された上記別のラベル(図示せず)の表面上に貼り付けられていてもよい。
多層ラベルAの粘着面は、4つの隅部1a乃至1dとミシン目線6の上右側部1e及び上左側部1fとに少なくとも設けられているので、容器9に沿って多層ラベルAを貼り付けることができる。特に、かかる粘着面により、円筒状の胴部91(被着体が曲面である)に多層ラベルAを沿わせて貼り付けることができる。
図8において、粘着面が設けられた範囲に、便宜上、網掛けを付している(
図9(a)、
図10(a)及び
図12も同様)。
本発明の多層ラベルAは、比較的大面積に形成することができ、第2表示5や一般表示をより多く且つ大面積で表すことができる。
【0048】
本実施形態の多層ラベルAは、ラベル送付型応募とHPアクセス型応募のいずれかによって懸賞応募に参加できる。
具体的には、ラベル付き商品Bを購入した購入者は、多層ラベルAの表面(上基材2の表面及び下基材1のうち上基材2が積層されていない領域の表面)に表された説明書きなどの一般表示に従い、懸賞応募に参加する。
例えば、ラベル送付型応募を望む購入者は、
図9(a)に示すように、ミシン目線6を利用して、多層ラベルAを分断する。分断により、同図(b)に示すように、多層ラベルAが第1片A1と第2片A2に分割される。上右隅部1aとミシン目線6の上右側部1eの間及び上左隅部1bとミシン目線6の上左側部1fの間には、それぞれ非粘着面が存在しているので、例えば、上右隅部1aとミシン目線6の上右側部1eから指先を入れ、第1片A1を容易に引き起こすことができる(同図(a)参照)。
なお、図示例では、商品に貼り付けられたままの状態の多層ラベルAを、第1片A1と第2片A2に分割したが、多層ラベルAの全体を商品から引き剥がした後に、その多層ラベルAを第1片A1と第2片A2に分割してもよい。
【0049】
多層ラベルAから分割した第1片A1には、書類送付にて懸賞応募するための情報を含む第2表示5が表されている。この第1片A1は、応募片として利用できる。
また、前記第1片A1には、下基材1の上右隅部1a及び上左隅部1b並びにミシン目線6の上右側部1e及び上左側部1fに設けられた粘着面が含まれている(
図10(a)参照)。このため、ハガキや封書などの書類に第1片A1を綺麗に貼り付けることができる。第1片A1をハガキなどの書類に貼り付けた後、郵送や宅配などの配送業者を通じて、その書類を商品提供者に送付することによって懸賞に応募できる。
多層ラベルAを分断して得られる第1片A1は、多層ラベルAよりも小面積であるため、第1片A1を書類に貼り付けるスペースも小さくて済み、また、第1片A1を貼り易くなる。
【0050】
ミシン目線6は第2表示5を横断することなく形成されているので、分断時に、第2表示5の一部分が欠けることを防止できる。従って、第1片A1には第2表示5(ラベル送付型応募のために必要となる情報)がそのまま具備されているので、ラベル送付型応募を支障なく行なうことができる。
また、ミシン目線6は第1表示4を横断するように設けられているので、ミシン目線6に沿って多層ラベルAを分断すると、第1表示4(特に二次元コード41)は、第1片A1に残存する部分と第2片A2に残存する部分とに分割される(
図10参照)。
従って、多層ラベルAを分断した後には、HPアクセス型応募を行なうことができず又はHPアクセス型応募を行い難くなり、二重応募を防止できる。
【0051】
一方、HPアクセス型応募を望む購入者は、
図11に示すように、上基材2の剥離領域22を剥離し、第1表示4を顕在化させる。第1表示4は、剥離領域22を引き剥がすと視認できるので、二次元コード41をスマートフォンなどの読み取り機で読み込み、商品提供者などのホームページにアクセスすることによって懸賞に応募できる。
また、第1表示4が、懸賞応募用シリアル番号42を含んでいる場合、又は、懸賞応募用シリアル番号42のみである場合、購入者は、ホームページにアクセスし、そのシリアル番号42を入力することにより懸賞に応募できる。
なお、図示例では、商品に貼り付けられたままの状態の多層ラベルAについて、剥離領域22を引き剥がしているが、多層ラベルAの全体を商品から引き剥がした後に、その多層ラベルAについて剥離領域22を引き剥がしてもよい。
【0052】
ところで、購入者によっては、上記のように剥離領域22を剥離してHPアクセス型応募を行なった後に、ミシン目線6にて多層ラベルAを分断して第1片A1を得、その第1片A1を用いてラベル送付型応募するという二重応募を行なうことも想定される。
このような二重応募の有無を判別するため、商品提供者などに送付されてきた第1片A1について、商品提供者などが、
図10(b)に示すように、上基材2(剥離領域22の残部)を剥離し、第1表示4を顕在化させる。ミシン目線6は、シリアル番号42を横断することなく形成されているので、第1片A1にはシリアル番号42がそのまま具備されている。商品提供者などが、このシリアル番号42を元にして、ホームページへの応募と書類応募の双方が行なわれていないかをチェックすることができる。
【0053】
<変形例>
上記ラベル付き商品Bにおいては、多層ラベルAの全体を被着体である容器9の胴部91に貼り付けているが、例えば、多層ラベルAの一部分を被着体から浮かせた状態で多層ラベルAが貼り付けられたラベル付き商品Bであってもよい。
例えば、
図12に示すラベル付き商品Bは、飲料などが収納されたボトル型容器9(商品)と、その容器9に貼り付けられた多層ラベルAと、を有する。多層ラベルAの下方部A4が粘着面を介して胴部91(被着体)に剥離可能に貼り付けられ、多層ラベルAの上方部A3が胴部91から浮いた状態で離れている。例えば、多層ラベルAの上方部A3は、胴部91(商品)の上方に突出し、その上方部の裏面は、肩部92(凹み部)から離れて浮き上がっている。
上述のように、下基材1の上方部(多層ラベルAの上方部A3に相当)は、上右隅部1a及び上左隅部1bを除いた全体が非粘着面であるため、上方部A3を浮かせても、裏面にゴミなどが付着し難い。一方、下基材1の下方部(多層ラベルAの下方部A4に相当)は、その全体が粘着面であるため、上方部A3を浮かせ且つ突出させた状態であっても、多層ラベルAを商品から脱落させることなく貼り付けることができる。
また、このように上方部A3を商品から浮かせた状態で貼り付けた多層ラベルAは、上方部A3を容易に摘まむことができるので、ミシン目線6にて分断すること及び多層ラベルAを引き剥がすことを容易に行える。
【0054】
以下、本発明の第2実施形態を説明するが、その説明に於いては、主として上述の実施形態と異なる構成及び効果について説明し、同様の構成などについては、用語又は符号をそのまま援用し、その構成の説明を省略する場合がある。
【0055】
[第2実施形態]
第2実施形態の多層ラベルAは、上基材2に切り目8が形成されていることを特徴とする。
図13を参照して、第2実施形態の多層ラベルAは、上記第1実施形態と同様に、裏面に粘着面が設けられた下基材1と、下基材1の表面側に積層された不透明な上基材2と、を有する多層基材と、多層基材に設けられたミシン目線6と、を有する。
上基材2は、非剥離領域21と剥離領域22とからなる。上基材2の表面には第2表示5が表されている。下基材1には、第1表示4が表されている。第1片A1と第2片A2とに多層基材を2分できるように、ミシン目線6が設けられている。
この上基材2の面内には、切り目8が形成されている。切り目8は、剥離領域22を引き剥がした際に上基材2を分断する分断起点となる。
切り目8は、上基材2のみを切断したものであり、下基材1には、上基材2に形成された切り目8に対応する切り目8は形成されていない。
切り目8は、例えば、上基材2の縁から形成されている。好ましい例では、切り目8は、上基材2の1つの縁(この縁は、非剥離領域21に含まれる縁でない)から形成され、より好ましくは、図示例のように、非剥離領域21とは反対側の縁から形成される。
【0056】
第2実施形態の多層ラベルAも商品などの被着体に貼り付けて使用される。
上基材2に切り目8が形成されている多層ラベルAは、剥離領域22を引き剥がそうとすると、切り目8の端から上基材2の剥離領域22が分断され、剥離領域22に亀裂が生じる。このため、剥離領域22を全て引き剥がすと、少なくとも剥離領域22が2つの領域に分離されるので、剥離領域22を引き剥がしたかどうかを容易に確認し、視認できる。このように、切り目8の形成は、剥離領域22が引き剥がされたか否かを視覚的に判別する、剥離判別機能を剥離領域22に具備させる。
例えば、ラベル送付型応募にて送付されてきた第1片A1の上基材2(剥離領域22の残部)が、2つの領域に分離されていた場合、商品提供者などは、購入者が多層ラベルAの剥離領域22を引き剥がしたことを容易に看取できる。商品提供者などは、このような第1片A1を受け取ると、二重応募の可能性が高いと判断でき、上述の手順に従い、二重応募していないかをチェックする。本実施形態によれば、二重応募されている可能性が高い第1片A1とその可能性が低い第1片A1を選別できるので、二重応募のチェック作業を軽減できる。
【0057】
[第3実施形態]
第3実施形態の多層ラベルAは、上基材2の不用意な捲れを防止するために、仮止め部が設けられていることを特徴とする。
図14及び
図15を参照して、第3実施形態の多層ラベルAは、上記第1実施形態と同様に、裏面に粘着面が設けられた下基材1と、下基材1の表面側に積層された不透明な上基材2と、を有する多層基材と、多層基材に設けられたミシン目線6と、を有する。
上基材2の表面には第2表示5が表されている。下基材1には、第1表示4が表されている。第1片A1と第2片A2とに多層基材を2分できるように、ミシン目線6が設けられている。
上基材2は、非剥離領域21と剥離領域22とからなるが、剥離領域22内の少しの部分に仮止め部29が設けられている。
図14において、非剥離領域21と仮止め部29に、便宜上、ドットを付している。
仮止め部29は、剥離領域22の側部にスポット的に設けられている。
例えば、
図15に示すように、剥離領域22の側部において、マスキング層32を有さない部分を形成することにより、その部分において、粘着剤層31が直接的に下基材1に強接着する。前記スポット的に強接着された部分が、仮止め部29である。剥離領域22の面内において、仮止め部29が設けられていることにより、剥離領域22が不用意に下基材1から剥がれることを防止できる。なお、仮止め部29は強接着されている部分であるが、その面積が非常に小さいスポット的な部分であるので、人力で剥離領域22を引き剥がす際に仮止め部29は大きな支障とはならない。
【0058】
[その他の実施形態]
上記各実施形態では、キャンペーンラベルとして使用する多層ラベルAを例示したが、本発明の多層ラベルAは、この用途に限られず、例えば、キャラクターラベル、医薬品用ラベル、応用レシピ情報などとして使用することもできる。
キャンペーンラベル以外の用途に使用する場合、第1表示4及び第2表示5に表される情報は、それぞれの用途に応じて適切なものに変更される。
【符号の説明】
【0059】
1 下基材
1a,1b,1c,1d 下基材の隅部
1e,1f 第1片のうちのミシン目線の両端部の近傍部
2 上基材
21 非剥離領域
22 剥離領域
4 第1表示
41 二次元コード(第1表示)
42 シリアル番号(第1表示)
5 第2表示
6 ミシン目線
8 切り目
A 多層ラベル
A1 第1片
A2 第2片
B ラベル付き商品