(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】信号解析装置および信号解析方法
(51)【国際特許分類】
G01R 23/173 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
G01R23/173 J
(21)【出願番号】P 2020052187
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000145806
【氏名又は名称】株式会社小野測器
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】志村 優
(72)【発明者】
【氏名】東 正浩
(72)【発明者】
【氏名】林 雄文
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-81338(JP,A)
【文献】特開平4-88406(JP,A)
【文献】特開2013-25468(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0299181(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0017200(KR,A)
【文献】特開2018-4482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 23/00
G01R 13/00
G01R 31/12
G01R 31/00
G06F 7/02
G06F 7/10
G06F 7/14
G06F 7/24
G06F 7/32
G06F 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の操作に従って、記憶フェーズにおける解析対象の波形データと前記波形データに対する演算処理の種類が入力される操作部と、
前記操作部からの入力に従い、前記波形データに対する前記演算処理を実行する演算部と、
前記操作部から入力された前記演算処理の履歴を記憶する演算履歴情報記憶部と、
前記演算処理に前記波形データと前記演算処理の結果を記憶する波形・解析結果記憶部と、
前記演算履歴情報記憶部に記憶された前記履歴中から、削除された波形データ及び
波形データ消去処理の履歴を抽出し、削除された波形データに対応する演算処理を検索して
、該当する演算処理を削除し、再現フェーズ用の履歴を作成する演算履歴情報解釈部と、
前記演算部は、前記演算履歴情報解釈部によって作成された再現フェーズ用の履歴に従って、新たな解析対象の波形データについて前記演算処理を実行する信号解析装置。
【請求項2】
前記操作部は、記憶フェーズにおいて、作業者から波形データ及び/または解析結果の表示態様の変更処理が入力されるものであり、
前記記憶フェーズにおいて前記演算処理で実行された履歴中の、前記表示態様の変更処理に関する情報を記憶する表示情報記憶部と、
再現フェーズにおいて、前記表示情報記憶部から読み出した前記表示態様の変更処理に関する情報に従い、前記波形データ及び/または解析結果を表示する表示部を備える請求項1に記載の信号解析装置。
【請求項3】
前記演算処理はパラメータを有し、
前記演算部は前記演算処理を前記パラメータに従って実行し、
前記演算履歴情報記憶部と前記波形・解析結果記憶部は、前記演算処理と共にパラメータを記憶し、
前記演算履歴情報解釈部が、前記演算履歴情報記憶部に記憶された記憶フェーズの履歴中から、削除された前記演算処理のパラメータと対応するパラメータを有する他の演算処理の履歴を検索して削除する検索部を有する請求項1または請求項2に記載の信号解析装置。
【請求項4】
前記演算履歴情報解釈部は、前記演算処理を種類別に並び替えるソート部を有する請求項3に記載の信号解析装置。
【請求項5】
前記ソート部は、前記演算処理を予め定められた優先度に従って並び替えるものである請求項4に記載の信号解析装置。
【請求項6】
前記演算履歴情報解釈部は、再現フェーズにおける各演算処理の一覧を作成する一覧作成部と、前記一覧作成部に記載された各演算処理について、操作部に対して作業者の選択を求める入力データ選択部を有する請求項5に記載の信号解析装置。
【請求項7】
記憶フェーズとその後に実行される再現フェーズを有する信号解析方法において、
前記記憶フェーズは、
解析対象の波形データと前記波形データに対する演算処理の種類を入力するステップと、
前記波形データに対する前記演算処理を実行するステップと、
入力された前記演算処理の履歴を記憶するステップと、
前記波形データと前記演算処理の結果を記憶するステップとを有し、
前記再現フェーズは、
前記記憶フェーズにおいて記憶された前記履歴中から、削除された波形データ及び
波形データ消去処理の履歴を抽出し、削除された波形データに対応する演算処理を検索して
、該当する演算処理を削除し、再現フェーズ用の履歴を作成するステップと、
前記再現フェーズ用の履歴に従って、新たな解析対象の波形データについて前記演算処理を実行するステップを有する、
信号解析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力波形の信号解析を行う信号解析装置および信号解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
量産品や試作品などの解析対象物が発生する音、振動、流量、速度などの各種のデータを、マイクロホン、加速度ピックアップ、流量計、その他の測定機器を用いて取得し、測定された信号をさまざまな手法で解析して、解析対象物の状態や合否を判定する信号解析装置が知られている。この種の装置では、測定された信号は時系列に従った波形データとして解析装置に入力される。
【0003】
一般に、解析対象物には複数の測定機器が設けられる。解析装置は、複数の測定機器から同時に入力された複数の波形データを適宜選択した上で、選択された波形データに対して「波形加減算」「波形抽出」「高速フーリエ変換」「フィルタ処理」「レベル判定」等の信号処理を実行する。その際、作業者は、解析対象物や解析目的に応じて、それぞれ適切なパラメータを設定する。例えば、信号処理として「高速フーリエ変換」を実行する場合、その処理対象となるFFTサンプル点数(フレーム長)や時間窓の種類等をパラメータとして設定する。
【0004】
さらに、解析装置は、測定信号の波形、各信号処理によって得られた処理後の信号波形及び解析結果などをディスプレイやファイルに出力する。その際、信号波形や解析結果を、ディスプレイのどの部分にどのような寸法や形態で配置するかも、解析対象物や解析目的に応じて作業者が設定する。すなわち、解析結果を分析や比較するには、対象となる波形データの種類や数、解析結果の内容に応じて異なる表示態様が求められることも多く、その都度、作業者が表示用のデータを設定することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術では、複数の波形データに対して同じ解析処理及び結果表示を行う場合、各波形データに対して同じ手順を人間の手で繰り返す必要があった。そのため、大量の波形データを処理する際、多くの時間と手間がかかり、処理の誤りが起きるといった問題点があった。それを解決するために、装置を外部からコントロールできるプログラムを書くことにより、人間の手を介さず手順を自動化することで、上記問題を解決する方法も提案されている。しかし、プログラムを書くためにはそのための専門的な知識が必要であり、一般的な作業者にとってはハードルが高いという問題点があった。
【0007】
特別な知識がなくても素早く同じ解析処理及び結果表示の手順を実行させる方法として、ある波形データについて作業者が実行した解析及び表示の履歴をすべて記憶しておき、その後、他の波形データについて解析及び表示を行う場合には、履歴として記憶した手順を再現して実行する方法もある。この方法は、作業者が通常の解析及び表示の手順を行うだけなので、プログラミングといった特別な知識がなくても、解析及び表示の手順を自動化できる。
【0008】
しかし、この方法は、単純に手順の履歴を記憶しておくだけのものであるから、履歴として記憶された解析の途中に波形データの削除などの処理が含まれていると、手順の再現時に、本来削除することになる不要な波形データの入力作業や、不要な波形データに対する信号処理及び表示の変更などが実施されることになる。このような再現時における不要な波形データの入力や解析処理などは、再現作業の煩雑化や処理速度の低下を招くと共に、作業者の混乱を招くおそれがある。
【0009】
このような問題点は、波形データの削除のみに限らず、信号処理や表示変更などについても同様であり、履歴中に削除された各種のデータやそれに関連する処理、或いは表示の変更などが含まれている場合にも発生する。
【0010】
本発明は、作業者が実行した履歴中に削除された波形データや信号処理などが含まれている場合においても、履歴を利用した再現作業の円滑な実行が可能な信号解析装置及び信号解析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の信号解析装置は、次のような構成を有することを特徴とする。
(1)作業者の操作に従って、記憶フェーズにおいて解析対象の波形データと前記波形データに対する演算処理の種類が入力される操作部と、
(2)前記操作部からの入力に従い、前記波形データに対する前記演算処理を実行する演算部と、
(3)前記操作部から入力された前記演算処理の履歴を記憶する演算履歴情報記憶部と、
(4)前記演算処理に前記波形データと前記演算処理の結果を記憶する波形・解析結果記憶部と、
(5)前記演算履歴情報記憶部に記憶された前記履歴中から、削除された波形データ及び波形データ消去処理の履歴を抽出し、削除された波形データに対応する演算処理を検索して、該当する演算処理を削除し、再現フェーズ用の履歴を作成する演算履歴情報解釈部を備え、
(6)前記演算部は、前記演算履歴情報解釈部によって作成された再現フェーズ用の履歴に従って、新たな解析対象の波形データについて前記演算処理を実行する。
【0012】
本発明において、下記(1)から(5)のような構成を採用することも可能である。
(1)前記操作部は、記憶フェーズにおいて、作業者から波形データ及び/または解析結果の表示態様の変更処理が入力されるものであり、前記記憶フェーズにおいて前記演算処理で実行された履歴中の、前記表示態様の変更処理に関する情報を記憶する表示情報記憶部と、再現フェーズにおいて、前記表示情報記憶部から読み出した前記表示態様の変更処理に関する情報に従い、前記波形データ及び/または解析結果を表示する表示部を備える。
【0013】
(2)前記演算処理はパラメータを有し、前記演算部は前記演算処理を前記パラメータに従って実行し、前記演算履歴情報記憶部と前記波形・解析結果記憶部は、前記演算処理と共にパラメータを記憶し、前記演算履歴情報解釈部が、前記演算履歴情報記憶部に記憶された記憶フェーズの履歴中から、削除された前記演算処理のパラメータと対応するパラメータを有する他の演算処理の履歴を検索して削除する検索部を有する。
【0014】
(3)前記演算履歴情報解釈部は、前記演算処理を種類別に並び替えるソート部を有する。
(4)前記ソート部は、前記演算処理を予め定められた優先度に従って並び替えるものである。
(5)前記演算履歴情報解釈部は、再現フェーズにおける各演算処理の一覧を作成する一覧作成部と、前記一覧作成部に記載された各演算処理について、操作部に対して作業者の選択を求める入力データ選択部を有する。
【0015】
本発明の信号解析方法は、次の構成を有する。
(1)記憶フェーズとその後に実行される再現フェーズを有する。
(2)前記記憶フェーズは、解析対象の波形データと前記波形データに対する演算処理の種類を入力するステップと、前記波形データに対する前記演算処理を実行するステップと、入力された前記演算処理の履歴を記憶するステップと、前記波形データと前記演算処理の結果を記憶するステップとを有する。
(3)前記再現フェーズは、前記記憶フェーズにおいて記憶された前記履歴中から、削除された波形データ及び波形データ消去処理の履歴を抽出し、削除された波形データに対応する演算処理を検索して、該当する演算処理を削除し、再現フェーズ用の履歴を作成するステップと、前記再現フェーズ用の履歴に従って、新たな解析対象の波形データについて前記演算処理を実行するステップを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、履歴中に削除された波形データや信号処理、或いは表示変更が存在する場合であっても、再現時においては削除された波形データなどについての処理を実行することがない。その結果、履歴を利用した他の波形データに対する解析作業が、円滑かつ迅速に実施可能で、しかも、作業者に混乱を与えることもない信号解析装置及び信号解析方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態における記憶フェーズの処理を示すフローチャートである。
【
図3】第1実施形態における再現フェーズの処理を示すフローチャートである。
【
図4】第1実施形態における波形データや解析結果の表示例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1を参照して第1実施形態の信号解析装置1について説明する。信号解析装置1は、例えば、コンピュータにより構成される。信号解析装置1は、入力あるいは処理済みの波形データに対して、解析に必要な複数の信号処理を適切な順序で選択し、波形データの解析を行うと共に、解析結果を表示する。また、解析作業の履歴を記憶し、その履歴を呼び出すことによって他の波形データの解析を実行する。作業者がこれらの処理を行うために、信号解析装置1は、解析処理の実行に必要なコマンドなどを入力する操作部2を有する。
【0019】
操作部2は、作業者が操作するキーボード、マウスなどの入力装置を備える。操作部2は、作業者以外にもソースコード等からコマンドによって操作されることもある。演算部3は、後述する波形・解析結果記憶部8に波形データ及び解析結果データを追加或いは削除する処理を行うもので、これらの処理を行った場合には後述する演算履歴情報記憶部9に処理履歴情報が記憶される。演算部3は、自身が実行する演算処理のため、入力部4、信号処理部5、解析部6及びデータ消去部7を有する。
【0020】
入力部4は、波形データ、解析結果が格納された、入力ファイルFiを読み込み、波形・解析結果記憶部8に保存する。信号処理部5は、入力部4に入力された波形データに対して各種の信号処理、例えばフィルタ処理等を施して、処理済みの波形データを作成し、それを波形・解析結果記憶部8に保存する。解析部6は、入力された波形データあるいは処理済みの波形データに基づいて信号処理、例えばFFT等を施して、解析結果データを作成し、それを波形・解析結果記憶部8に保存する。データ消去部7は、波形・解析結果記憶部8に保存されている各種の波形データや解析結果データを削除する。
【0021】
演算部3の構成は図示の各部に限定されるものではなく、解析結果データから解析結果データを作成する部、例えば解析結果間の四則演算を実施する部などを設けることもできる。また、信号処理部5および解析部6、さらには前記の解析結果データから解析結果データを作成する部への入力波形データ、解析結果データは、単数だけでなく複数の場合もある。
【0022】
波形・解析結果記憶部8は、各種の波形データ及び解析結果データを記憶する。例えば、波形データとしては、入力部4を経由して入力ファイルFiから読み込んだ波形データや、信号処理部5によってフィルタ処理等が施された処理済みの波形データが記憶される。波形・解析結果記憶部8は解析作業の履歴を取るために必要な波形データや解析結果が一時的に記憶されるものであり、ここで記憶されている情報は履歴情報を格納する記憶ファイルFhには保存されない。
【0023】
演算履歴情報記憶部9は、演算部3で実施した処理と処理パラメータをセットにして実行した順番に記憶するもので、これらは記憶ファイルFhに保存される。表示情報記憶部10は、解析対象の波形データやその解析結果などを表示部11にどのような態様で表示するかについての情報、例えば、波形データを示すグラフ配置、カーソル位置及び表示する波形データのIDなどが記憶されている。これらは、記憶ファイルFhに保存される。表示部11は、ディスプレイやプリンタなどで構成され、表示情報記憶部10に記憶された情報に従ってグラフやカーソル値等を表示する。
【0024】
演算履歴情報解釈部12は、記憶ファイルFhから演算履歴情報を読み出して再現フェーズを実行するもので、検索部121、ソート部122、一覧作成部123及び入力データ選択部124を備える。検索部121は、データ消去処理の履歴を抽出し、削除した波形データに対応する入力、信号処理、波形解析処理を探索し、該当する処理を削除する。ソート部122は、時系列に並んだ演算処理を波形・解析結果記憶部が復元できるように並び替える。例えば、履歴中の各演算処理を、その種類別に、入力→信号処理→解析の順に並び替える。
【0025】
一覧作成部123は、履歴中から入力処理を抽出し、作業者の選択対象となる入力データファイルの一覧を作成する。入力データ選択部124は、入力データファイル、すなわち、入力ファイルFiに記録されている波形データの中から再現フェーズ時に必要な入力データを作業者に選択させる。この入力データ選択部124による作業者の選択結果に基づいて、ソート部122が並び替えた処理順に従い、演算部3は各処理を実行する。
【0026】
[1-2.作用]
本実施形態の信号解析装置1の作用を、記憶フェーズと再現フェーズに分けて説明する。
図2は、記憶フェーズの一例を示すフローチャート、
図3は再現フェーズの一例を示すフローチャートである。
【0027】
[1-2-1.記憶フェーズ]
記憶フェーズについて、
図2のフローチャートに従って説明する。
【0028】
(1)作業者の操作:S01
記憶フェーズは、作業者が操作部2に対して記憶フェーズの開始コマンドを入力することにより開始される。作業者は、開始コマンドの入力に続いて、操作部2に対して、演算処理または表示パラメータ変更のいずれかの操作を入力する。
【0029】
(2)演算又は表示の判定:S02
演算部3は、操作部2に入力された作業者の操作が、演算に関するものであるか、演算結果などの表示態様の変更に関するものであるかを判定する。例えば、作業者が操作部2において、解析対象の波形データが記憶されている入力ファイルの指定を行った場合には、演算部3は、その操作が演算に関するものと判定し、S03の演算実行に移る。作業者が、操作部2に対して、例えば、新たな表示の態様を設定や、既存の表示の態様を変更するための操作を行った場合には、演算部3は、その操作が表示の変更に関するものと判定し、S07の表示パラメータ変更に移る。
【0030】
(3)演算実行:S03
操作部2に入力された作業者の操作が演算実行の場合、演算部3は操作部2から入力された操作の種類に対応した種々の演算を実行する。例えば、波形データ入力S031、信号処理S032、波形解析S033である。この演算実行S03と、それに続く演算データ保存S04及び演算履歴記憶S05は、作業者が操作部2から複数の操作を順次入力する間、繰り返し実行される。
【0031】
操作部2に対する作業者の操作の一例を表1に示す。表1において、作業者が繰り返す複数の操作は、その順番に従ってプロセスP01からP08(以下、P01……P08のように略称する)として記載されている。すなわち、表1において、P01,P03,P06,P08が波形データ入力S031であり、P02,P05のフィルタ処理が信号処理S032であり、P04の高速フーリエ変換が波形解析S033である
【0032】
【0033】
最初の操作(P01)として、作業者は、第1の波形データ入力S031を指定する。この波形データ入力S031は、表1中の演算処理に区分される。作業者は、第1の波形データの指定に当たり、そのパラメータとして、入力ファイル名(File1.csv)、波形データ名(ID:1)を指定する。すなわち、入力ファイルには、複数の計測機器によって取得された複数の波形データが記録されている。そこで、作業者は、操作部2に対して、指定された入力ファイルに記録されている複数の波形データ中のどの波形データを入力するかを前記のパラメータによって指定する。
【0034】
この作業は、操作部2に対する作業者の手作業による入力によって実施しても良い。また、記憶フェーズの開始に引き続いて、入力ファイルや最初に選択する波形データ、更には最初に実行する演算処理の種類やそのパラメータの指定までを、ソースコード等から操作部2に対して自動的に入力しても良い。波形データの入力に限らず、各プロセスを実行させるための操作部2に対する入力は、手作業でも、自動的に入力するものでも良い。
【0035】
(4)演算データ保存:S04
操作部2において指定された第1の波形データID:1は、演算部3の入力部4に入力される。演算部3は、入力部4に入力された波形データID:1を波形・解析結果記憶部8に保存する。
【0036】
(5)演算履歴記憶:S05
演算部3は、入力された波形データID:1とそのパラメータ、演算種類及び優先度を第1の履歴として、演算履歴情報記憶部9に保存する。この場合、演算種類「入力」及び優先度「1」は、作業者が操作部2から指定しても良いし、作業者が操作部2において実行した作業内容に基づいて演算部3が自動的に付与しても良い。本実施形態では、優先度は演算種類に応じて、予め作業者により、例えば次のように設定される。
「削除→0」「入力→1」「信号処理→2」「波形解析→3」
【0037】
(6)繰返しの判定:S06
操作部2に対する作業者の最初の操作が実行された後、引き続いて他の処理を行う場合には、S01に戻り、作業者は操作部2に対して次の操作(例えば、表1におけるP02)を実行する。以下、同様にして、作業者は、必要とする演算処理が全て終了するまで(例えば、表1ではP08まで)、S01からS06を繰り返す。
【0038】
S01からS06の繰り返しの際、作業者が操作部2に与えた指令、すなわち表1の演算処理が、波形データ入力(P01,P03,P06,P08)である場合、演算部3は、波形データ入力S031の対象となった波形データID:1,ID:3,ID:5,ID:6を、波形・解析結果記憶部8に保存する(S04)。演算処理が、フィルタ処理(P02,P05)である場合には、演算部3は、信号処理S032でフィルタ処理を実行した後、フィルタ処理後の波形データID:2,ID:4を波形・解析結果記憶部8に保存する(S04)。演算処理が、高速フーリエ変換(P04)である場合には、演算部3は、波形解析S033を実行して、演算結果である解析結果データID:1を波形・解析結果記憶部8に保存する(S04)。
【0039】
演算処理が波形データ削除(P07)である場合、演算部3は、他のプロセスによってすでに波形・解析結果記憶部8に保存されている波形データや解析結果を、波形・解析結果記憶部8から削除する。例えば、削除対象がP03で入力した波形データID:3である場合は、その波形データID:3を波形・解析結果記憶部8から削除する(S04)。表2は、表1の各プロセスを順次実行した場合における波形・解析結果記憶部8の状態であって、P03で入力された波形データID:3が、P07で削除されたことを示す。波形データID:3は波形・解析結果記憶部8から削除されるが、記憶フェーズのS05において演算履歴情報記憶部9には履歴のパラメータとして残っているため、再現フェーズにおいてこの波形データID:3を有する削除対象のプロセスを検索できる。
【0040】
【0041】
波形・解析結果記憶部8に対する演算データ保存S04に続いて、実行されたプロセスP1からP8の履歴が、演算部3で実施した演算処理とパラメータをセットにして、演算履歴情報記憶部9に記憶される(S05)。例えば、演算処理がフィルタ処理の場合には、「演算対象波形データID:1」「ローカットフィルタ-500Hz」「波形データID:2」や「演算対象波形データID:2」「ハイカットフィルタ-10000Hz」「波形データID:4」などのパラメータが、演算処理の順番、演算種類及び優先度と共に記憶される。演算処理が高速フーリエ変換の場合には、「演算対象波形データID:2」「解析区間:1~2s」「解析結果データID:1」などのパラメータが、演算処理の順番、演算種類及び優先度と共に記憶される。
【0042】
(7)表示パラメータ変更:S07
表1には記載していないが、S01からS06の繰り返しの間に、作業者が操作部2から表示パラメータを入力すると、演算部3は、S02において表示の変更であると判断し、表示パラメータの変更S07を実行する。表示パラメータとしては各種のものが設定できるが、表示部11に表示する波形データや解析結果の表示態様、例えば、表示位置や寸法、表示する波形データや解析結果の種類や内容などを規定する値である。
【0043】
なお、既存の表示情報、例えば、初期値や過去の解析時に使用した表示に関するデータや、初期値として予め記憶ファイルFhに保存してある表示に関するデータをそのまま使用する場合には、作業者は操作部2から表示変更に関するデータを入力しなくても良い。表1は、表示変更を必要としない演算処理の例である。
【0044】
(8)表示変更:S08
S07において変更された表示パラメータは、表示情報記憶部10に記憶される。この表示パラメータに従って、表示情報記憶部10は、ディスプレイ等の表示部11に対して表示変更の指令を出力する。
【0045】
(9)波形データ・解析結果表示:S09
表示部11は、表示情報記憶部10からの表示変更の指令を受信すると共に、波形・解析結果記憶部8に保存されている波形データや解析結果などの表示対象となるデータを取得する。表示部11は、これらの表示対象のデータを、表示変更の指令に基づいた態様でディスプレイなどに表示する。
図4は、表示部11における表示対象の各種データの表示態様の一例である。
図4では、2つの入力波形データ、抽出波形、解析結果、合否判定が一画面に表示されている。
【0046】
(10)繰り返しの判定:S06
S09の波形データ・解析結果の表示が終了した後は、S06の繰り返しの判定に進み、作業者からの他の操作の有無に基づいて、繰り返しの継続或いは終了が判定される。
【0047】
(11)演算履歴と表示変更の内容をファイルに保存:S10
S01からS06を繰り返すことによりすべての演算処理又は表示変更が終了すると、演算部3は、演算履歴情報記憶部9と表示情報記憶部10に記憶されている内容を、記憶ファイルFhに保存する。これにより、記憶フェーズを終了する。
【0048】
[1-2-2.再現フェーズ]
再現フェーズについて、
図3のフローチャートに従って説明する。
【0049】
(1)記憶ファイル指定:S11
再現フェーズでは、作業者は、入力ファイルFiから解析対象の新たな波形データの読み込みに先立ち、記憶フェーズで記録した履歴が保存されている記憶ファイルFhを指定する。この指定は、作業者が、操作部2に記憶ファイル指定の指令を入力することにより、実行される。
【0050】
(2)記憶ファイル読み込み依頼:S12
操作部2は、作業者から入力された記憶ファイル指定の指令に基づいて、演算履歴情報解釈部12に対して、記憶ファイルFhの読み込み依頼を実行する。
【0051】
(3)記憶ファイル読み込み:S13
操作部2からの読み込み依頼を受信した演算履歴情報解釈部12は、記憶ファイルFhを読み込む。本実施形態では、読み込んだ記憶ファイルFhには、表1に示したP01からP08の操作が、記憶フェーズにおける作業者の操作順に従って記録されている。
【0052】
(4)消去データに対応する入力や処理の削除:S14
演算履歴情報解釈部12の検索部121は、読み込んだ記憶ファイルFhに記憶されていた各演算処理の中から、データ消去処理の履歴を抽出し、削除したデータに対応する入力、信号処理、波形解析処理を探索し、該当する処理を削除する。この削除処理は、検索部121の検索結果を受信した演算部3のデータ消去部7が、波形・解析結果記憶部8に記憶されている波形データや解析結果を削除することにより実行される。
【0053】
例えば、表1において「演算種類:削除、処理優先度:0」として記録されたP07を検索し、P07に記録されている削除対象波形データID:3の情報を取り出す。次いで、削除対象波形データID:3に対応する波形データID:3を有するP03を探して、P03をその演算処理、パラメータ、演算種類と共に波形・解析結果記憶部8から削除する。表3は、波形データ削除(P07)に対応する波形データ入力(P03)を削除した状態を示す。
【0054】
【0055】
(5)演算処理の並び替え:S15
ソート部122は、時系列に並んだ演算処理を波形・解析結果記憶部8が復元できるように並び替える。例えば、削除→入力→信号処理→解析の順に並び替える。表3は、並び替えの一例である。処理優先度でソートした後、同じ処理優先度のプロセス間でプロセスID順にソートする。表4は、プロセスID順にソートした場合における波形・解析結果記憶部8の状態を示す。
【0056】
【0057】
この演算処理の並び替え作業は、前記した消去データに対応する入力や処理の削除S14の前に行っても良い。また、この並び替え作業は、本発明において不可欠な処理ではなく、記憶された履歴の順番に従って各プロセスをソートしたままでも良い。本実施形態のように、演算処理がその種類別にソートされていると、作業者が再現工程の内容を確認したり、次工程の作業を行ったりする際に便利である。例えば、入力処理のみが集約されていると、次工程の入力データファイルの一覧を作成する場合や、入力ファイルの指定依頼を行う場合に、作業が円滑に実行できる。
【0058】
(6)入力データファイル一覧の作成:S16
演算処理の並び替えの後、一覧作成部123は、各演算処理の一覧を作成する。表3の場合では、入力の処理を抽出し、作業者の選択対象となる入力データファイル、すなわち、再現フェーズにおいて解析対象となる波形データの一覧を作成する。この時、「入力:1」のプロセスの数から再現フェーズにおいて解析対象となる入力ファイル数を特定することができる。
【0059】
(7)入力ファイル指定依頼:S17
入力データファイルの一覧が作成された後、演算履歴情報解釈部12の入力データ選択部124は、作業者に対して入力ファイルを指定して貰うための依頼を出力する。この依頼は、演算履歴情報解釈部12から操作部2を介して作業者に伝達されるもので、例えば、操作部2と連携する表示部11に各種の入力や選択操作を促すメッセージなどを表示させ、作業者の選択を求める。
【0060】
表3の例では、入力データ選択部124は、演算種類が「入力:1」の各プロセスについて、以下の情報を読み出して、作業者に入力ファイルを選択してもらう。
・入力ファイル名及び種類(csv , wav , etc...)
・読み込みパラメータ(読み込み設定)
・波形データID
【0061】
本実施形態では、再現フェーズ内で入力ファイル名及び種類を選択し直しているが、再現フェーズで解析対象となるファイルが、記憶フェーズで解析したファイルと同じファイル名及び種類である場合には、これらの作業は不要である。例えば、記憶フェーズで解析した入力ファイルについて再度解析を行う場合や、ファイル名や種類は同一で、異なったタイミングで別の波形データが自動的に解析装置に入力される場合は、新たなファイルなどの指定は不要である。
【0062】
(8)入力ファイル指定:S18及び演算依頼:S19
入力データ選択部124から入力ファイルの指定依頼を受けた作業者が、操作部2を通じて希望する入力ファイルを指定すると、これを受信した演算履歴情報解釈部12は、演算部3に対して演算の実行を依頼する。
【0063】
(10)演算実行:S20
演算実行の依頼を受けた演算部3は、表3のようにソート部122が並び替えた順序に従って、各プロセス(P01,P06,P08,P02,P05,P04)を、その読み込みパラメータに沿って実行する。この場合、削除されたプロセス(P07,P03)は実行しない。
【0064】
例えば、S20において、最初の演算処理として、ソート順の先頭の波形データ入力(P01)が、作業者が指定した入力ファイルFile1'.csvについて実行される。この時、演算部3は、入力ファイルFile1'.csvから作成された波形データに、各プロセス情報から読み出した波形データID:01を割り当てる。各プロセス情報は記憶フェーズにおいて演算履歴情報記憶部9に記憶されているので、再現フェーズでP01を実行する場合、記憶フェーズで記憶したP01に関するパラメータなどのプロセス情報を読み出して割り当てることができる。
【0065】
(11)波形・解析結果データ保存:S21
P01において入力された波形データID:01は、波形・解析結果記憶部8に記憶される。
【0066】
(12)繰返しの判定:S22
操作部2に対する作業者の最初の操作が実行された後、引き続いて他の演算処理を行う場合にはS20に戻り、演算部3は、次の処理(例えば、表3におけるP02)を実行する。以下、同様にして、処理優先度に従って、必要とする演算処理が全て終了するまで(例えば、表3ではP08まで)、S20からS22を繰り返す。また、各演算処理が実行される都度、作成した波形データや解析結果データには、S21の通り、各プロセス情報から読み出した波形データID、解析結果データIDが割り当てられ、波形・解析結果記憶部8に記憶される。
【0067】
表1及び表3に示した例では、処理優先度として、2:信号処理、3:波形解析を示したが、記憶フェーズにおいて、表1以外の他の演算処理、例えば、読み込んだ波形データの合成、表示部11における表示態様の変更処理などが実行された場合に、それらの処理について、信号処理と波形解析の間や、波形解析の以降の優先度を割り当てて、実行することもできる。
【0068】
(13)表示情報の復元:S23
全ての演算処理が実行された後は、表示情報記憶部10は、記憶フェーズにおいて作成された記憶ファイルFhから、波形データや解析結果を示すグラフの配置、カーソル位置、表示している波形データや解析結果のIDなどの表示態様に関する情報を読み込む。
【0069】
(14)表示復元:S24
表示情報記憶部10は、読み込んだ表示態様に関する情報に従って、表示部11の所定の位置に、例えば、
図4に示すような態様で、入力波形データ、抽出波形、解析結果、合否判定などを表示する。その結果、再現フェーズで入力された波形データに対して記憶フェーズ同様な演算処理に基づいて解析処理が行われ、その解析結果が、記憶フェーズと同様な態様で表示部11に表示される。
【0070】
[1-3.効果]
前記のような構成並びに作用を有する本実施形態の効果は、次のとおりである。
【0071】
(1)演算履歴情報解釈部12が、記憶フェーズで保存した履歴中から削除された処理及びそれに関係する波形データを削除するため、再現フェーズにおいて不要な波形データの読み込みや不要な解析処理を実行することがなく、再現フェーズにおける解析処理が単純化され、実行速度が向上する。
【0072】
(2)解析作業の途中で、表示部11に削除された波形データや解析結果が表示部11に表示されることがないので、再現フェーズを実施した作業者が不要な情報によって混乱することがなく、解析作業を円滑かつ正確に理解することができる。
【0073】
(3)再現フェーズにおいて、ソート部122により各演算処理を優先度に従って並び替えているので、同様な演算処理をまとめて実行することが可能となる。例えば、波形データやフィルタ処理、波形解析などの演算処理を削除した場合、「削除」処理を優先度の最も高く設定することにより(表3の処理優先度0)、履歴中から不要な解析処理を優先的に削除することが可能になる。
【0074】
(4)波形データの入力に関する演算処理を優先度1として、再現フェーズ時に優先的に実行されるようにしたので、作業者の入力ファイルの指定やそれに伴う波形データの指定作業を、他の演算処理の実行を待たず連続的に実行することができ、作業者の入力時における待機が不要となる。このことは、入力ファイルや波形データの指定を手作業でなく、データファイルなどから自動的に読み込む場合にも有利であり、波形データの読み込み、フィルタ処理、解析実行などの処理を一つずつ実行する場合に比較して、データの読み込み等の取り扱いが迅速かつ容易に実施できる。
【0075】
(5)波形データの入力等の演算処理を種類別に並び替えることにより、演算処理をグループ化することが可能となる。その結果、記憶フェーズの履歴に基づいて作成された再現フェーズの内容を、プログラマその他の管理者が検証する場合に、各演算種類別に、対象となる波形データ、信号処理用のフィルタ、フィルタ処理後に保存された波形データ、解析処理の内容などを、そのパラメータと共に演算履歴情報解釈部12から表3に示すような一覧表の形で呼び出して、参照することができる。その結果、再現フェーズの確認、修正が容易になり、仮に、記憶フェーズの履歴から自動的に作成した再現フェーズの内容に、追加修正を行う場合でも、その作業が容易になる。
【0076】
(6)記憶フェーズで記憶する各種の演算処理の履歴として、波形データ入力、信号処理、信号解析などの解析作業に直接関連する処理に加えて、解析結果などの表示態様の変更や設定に関する処理も表示情報記憶部10に保存する。そのため、記憶フェーズにおいて、初期値や過去に実施した態様と異なる新たな表示態様を設定した場合でも、再現フェーズにおいて新たな表示態様に従って波形データや解析結果を表示でき、新たな解析作業に最適な表示態様を得ることができる。
【0077】
(7)演算種類が「削除」である演算処理のパラメータをキーとして、共通のパラメータを有する他の演算処理を検索することで、削除された演算処理に対応する他の演算処理を洩れなく検索することができる。例えば、表3のP07のパラメータである削除対象波形データID:3と共通するパラメータをキーとして検索することで、共通するパラメータである波形データID:3を有するP02を見つけ出すことができる。これにより、記憶フェーズである演算処理を削除した場合に、それに対応する他の演算を一々指定しなくても、再現フェーズにおいて不要な演算処理を一括して削除できる。
【0078】
[2.他の実施形態]
変形例を含めた実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。以下は、その一例である。
【0079】
(1)表示部11における表示態様が、初期値や前回の解析作業時のものをそのまま使用することが前提の場合、記憶フェーズにおいて表示態様については履歴をとることなく、解析処理に直接関連する演算処理のみについて履歴をとることができる。
【0080】
(2)操作部2に対する作業者の各種の操作が、解析装置自体や解析装置にデータを供給する外部機器側に設けられた制御ファイルなどからの情報で実施される。例えば、多量の製品についてその測定データを解析する場合など、多量の測定データがファイルで供給される場合などは、再現フェーズにおいて、作業者からの手動操作によらず、データファイルと解析装置間のデータのやり取り、例えば再現フェーズのS16からS18の処理を自動化することができる。
【0081】
(3)演算履歴情報解釈部12が作成した再現フェーズ用の演算履歴情報、例えば表3のような情報を、管理者などが随時確認できるように記憶或いは表示することができる。この場合、再現フェーズ用の演算履歴情報は、演算履歴情報記憶部9に記憶しても良いし、演算履歴情報解釈部12に専用の記憶部を設けて記憶しても良い。
【0082】
(4)液晶ディスプレイやプリンタ等の作業者が目視により波形データや解析結果を確認する表示部11を使用する代わりに、例えば、生産設備の異常監視装置や製品の不良品検査装置のように、合否判定のみを行う解析装置においては、表示部11を設けることなく、解析結果に従い、異常警報や選別装置を作動させることができる。
【0083】
(5)演算履歴情報解釈部12は、必ずしも演算処理を種類別に並び替えるソート部122を持つ必要はなく、記憶フェーズにおいて記憶された履歴順に従って各処理を実施してもよい。また、ソート部122を設けた場合でも、演算処理を予め定められた優先度に従って並び替える以外に、他の基準、例えば演算処理時間や入力波形データの種類に従って並び替えるものでもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…信号解析装置
2…操作部
3…演算部
4…入力部
5…信号処理部
6…解析部
7…データ消去部
8…波形・解析結果記憶部
9…演算履歴情報記憶部
10…表示情報記憶部
11…表示部
12…演算履歴情報解釈部
121…検索部
122…ソート部
123…一覧作成部
124…入力データ選択部
Fi…入力ファイル
Fh…記憶ファイル