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特許7384746印刷基材の光学的運動感知及びドットクロックの生成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】印刷基材の光学的運動感知及びドットクロックの生成
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
B41J2/01 203
B41J2/01 451
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020095167
(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公開番号】P2021003884
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】16/452,976
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・エル・クニエリム
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-170889(JP,A)
【文献】特表2015-531068(JP,A)
【文献】特開2016-210081(JP,A)
【文献】特開2015-189533(JP,A)
【文献】特開2015-189048(JP,A)
【文献】国際公開第2013/108554(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0213166(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0199475(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷基材上に直接印刷するためのシステムであって、
印刷ヘッドと、
印刷基材を追跡する少なくとも1つの追跡システムと、
を備え、各追跡システムが、
前記印刷ヘッドを越えてプロセス方向において移動する印刷基材に隣接して配置された線形光学画像センサと
前記印刷基材と前記線形光学画像センサとの間に配置された少なくとも1つのテレセントリックレンズと、
前記線形光学画像センサ及び前記印刷ヘッドに電気的に接続された制御回路と、
を含み、前記制御回路は、前記印刷基材の位置を識別する前記線形光学画像センサからのデータに基づいて、前記印刷ヘッドに、前記印刷基材上に印刷させるためのドットクロックを生成し、前記制御回路は、前記線形光学画像センサからの現在のデータフレームよりも前の以前のデータフレームからの画素値を前記線形光学画像センサからの前記現在のデータフレームの画素値に、最初に所定の画素位置オフセットで計算を行う粗い相関で、その後に前記所定の画素位置オフセットのサブ画素位置オフセットで計算を行う微細な相関で相関させることによって見出される前記印刷基材の速度に基づいて、前記印刷基材の前記位置を決定する、システム。
【請求項2】
前記線形光学画像センサによって視認される前記印刷基材の領域に光を提供するように位置決めされた少なくとも1つの照明源を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの照明源のうちの少なくとも1つが、前記印刷基材に対して視射角で位置決めされる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの照明源が、少なくとも2つの照明源からなり、一方が、前記印刷基材に対して視射角で位置決めされ、他方が、前記印刷基材に対して垂直に近接して位置決めされている、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの照明源が、ストロボされている、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのテレセントリックレンズが、プロセス方向において、交差プロセス方向よりも短い開口部を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記線形光学画像センサが、プロセス方向において、交差プロセス方向よりも短い矩形画素を有する、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動する基材上に印刷することに関し、より具体的には、基材の動きに基づくドットクロックの生成に関する。
【背景技術】
【0002】
基材の直接印刷は、正しい位置で基材上にインクを堆積させる印刷ヘッドを伴う。これは、プリンタが、印刷ヘッドをトリガしてインクを正しい時間及び正しい場所に堆積させて画像を形成するために、基材の位置及び速度を知る必要があることを意味する。
【0003】
プリンタが、デスクトップ及びオフィスプリンタとしてよく知られている密閉シート供給システムにおけるように、基材を正確に拘束するとき、プリンタは、典型的には、基材に対して係合されるローラ又はベルトの動きを測定することによって基材の動きを追跡する。これは、基材を移動させるベルト若しくはローラ、又は基材によって移動される別個のローラであってもよい。基材の動きはまた、基材を移動させるローラ又はベルトを駆動するために使用されるステッピングモータのステップを数えることによって推測することができる。ローラ運動の測定は、典型的には、エンコーダ及びエンコーダホイールからなる光学エンコーダによって行われる。単に一例として、プリンタは、基材をプリンタ内に供給するローラ上に回転エンコーダホイール及びエンコーダを有してもよい。エンコーダホイールは、その表面上にマークのパターンを含む。エンコーダ部分は、典型的には、システムが基材の速度を判定し、印刷プロセスの制御を可能にするレートでマークの有無を検出するための光源及び光センサを含む。基材の動きは、印刷方向又はプロセス方向と称され得る。
【0004】
いくつかのプリンタは、交差プロセス(横方向)方向における印刷画像の全幅を覆う1つ以上の印刷ヘッドの固定セットを有する。デスクトッププリンタは、多くの場合、基材を横切って横方向にシャトルするより小さい印刷ヘッド(複数可)を使用する。印刷ヘッドの横方向の動きを追跡するために、線形エンコーダが使用されてもよい。リニアエンコーダは、回転エンコーダと同様に機能するが、エンコーダストリップは、典型的には、マークを含有するポリエステル又は他の材料の線状片である。光源及び光センサは、印刷ヘッドに取り付けられ、ストリップに対して移動することができる。これにより、コントローラは、印刷ヘッドがどのくらい速く移動しているかを知ることができ、印刷ヘッドが正しい時間にインクを印刷することを可能にする。
【0005】
2つのエンコーダ及び2つのエンコーダパターンを使用することは、プリンタのコストを上昇させ得る。一実施形態は、米国特許第6,246,050号に示されるように、印刷ヘッドの位置及びその移動の判定を可能にするために、パターン化ストリップの代わりにプリンタ自体の固定フィーチャの画像を使用する。しかしながら、このタイプの手法は、実用的な印刷用途に十分な精度ではない。
【0006】
印刷されている間に基材がハウジング又はケーシング内に収容されていないより大きいシステムでは、位置及び移動の検出は更により困難になる。1つの手法は、厚紙箱上に印刷する際のように、基材が印刷ヘッドを通過して移動するコンベヤベルトの速度に依存する。別の手法では、ばね仕掛けのエンコーダローラが、印刷ヘッドの前方を通過する際に、ボックスに対して回転する。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に示される態様によれば、印刷基材上に直接印刷するためのシステムであって、印刷ヘッドと、印刷基材に隣接して配置された少なくとも1つの光学画像センサであって、印刷基材が、印刷ヘッドを越えて、プロセス方向において移動する、光学画像センサと、印刷基材と画像センサとの間に配置されたテレセントリックレンズと、光学画像センサ及び印刷ヘッドに電気的に接続された制御回路であって、印刷基材の位置を識別する画像センサからのデータに基づいて、印刷ヘッドを基材上に印刷させるドットクロックを生成するための制御回路と、を有する、システムが提供される。
【0008】
本明細書に示される態様によれば、移動基材上に印刷する方法であって、画像センサから印刷基材の画像データを取得することと、画像データを使用して、印刷基材の速度を判定することと、印刷基材の速度に基づいて、ドットクロックを生成することと、ドットクロックを印刷ヘッドに送信して、印刷ヘッドに、インクを印刷基材上に分注させることと、を含む、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】印刷基材追跡システムを有する印刷ヘッドの実施形態を示す。
図2】印刷ヘッドに隣接して位置する印刷基材追跡システムの実施形態を示す。
図3】印刷基材を画像センサ上に画像化するために使用されるテレセントリックレンズの開口部を示す。
図4】細長い画素を有する画像センサの実施形態を示す。
図5】印刷基材追跡システムの一部としての2つの照明源の実施形態を示す。
図6】照明源の強度対時間プロファイルの選択枝を示す。
図7】印刷基材を追跡するための方法の一実施例のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書での実施形態は、いくつかの構成要素の組み合わせからなる。構成要素は、線形光学画像センサと、画像センサ上に印刷基材の画像を投影するレンズと、画像センサによって視認される基材の一部分の照明と、画像センサデータに応答してドットクロックを生成する電子機器と、を含むことができる。画像センサ、レンズ、及び照明の組み合わせは、印刷基材追跡システム、又は単に追跡システムと称され得る。追跡システムは、典型的には、印刷ヘッドに隣接して取り付けられる。
【0011】
「プロセス方向」は、基材が印刷ヘッドの下又は前方に移動する方向である。「交差プロセス方向」は、プロセス方向に対してほぼ垂直な方向である。「印刷基材」という用語は、その上にインクを堆積することができる任意の移動可能な表面を含む。
【0012】
「印刷ヘッド」という用語は、典型的には、ジェットスタックなどのドロップ生成器を備える。ジェットスタックは、一般に、信号を受信したときに画像データに応じてインクを選択的に送付するノズルのアレイにインクを分注するマニホールドを有するプレートの積み重ねからなる。信号は、ドットクロック生成器によって生成される。本明細書で使用するとき、「ドットクロック」という用語は、ジェットスタック又は他のドロップ生成器に送られる信号であり、ジェットスタック又はドロップ生成器内の選択されたノズルに、インクのドットを分注させる信号である。
【0013】
印刷ヘッド、印刷基材追跡システム、及び印刷基材は、本明細書では様々な配向で示されることに留意されたい。いかなる特定の配向への限定も意図されておらず、かつ示唆されるべきでもない。
【0014】
図1は、印刷基材追跡システム14を一体化システム10として有する印刷ヘッド12の実施形態を示す。印刷基材追跡システムは、典型的には、印刷ヘッドに隣接して取り付けられる。印刷ヘッドは、ジェット又はノズルのアレイ19を含むことができる、ジェットスタック又は他のドロップ生成器18を含む。追跡システム用の電子機器20は、印刷システムの制御電子機器に統合されてもよく、又は追跡システム用にのみ使用される別個の制御電子機器であってもよい。電子機器は、センサから画像データを受信し、そのデータを使用してドットクロックを生成し、このドットクロックは、次いで、信号を提供して、ドロップ生成器にインクを基材16上に分注させる。システムは、14などの1つの追跡システム、又は印刷ヘッドの両側に14及び15などの2つの追跡システムを有してもよい。1つの画像センサの使用の場合、画像センサは、印刷ヘッドに対していくつかの場所のうちの1つに位置してもよい。代替的に、1セットの電子機器のみを有する2つの撮像システムが単に存在してもよい。
【0015】
図2及び図3は、システム10のより詳細な図を示す。図2は、基材を有しない印刷ヘッド12を示しており、ジェットスタック18のより良好な図を提供し、ノズル19のアレイである。図3は、画像センサ取り付け部17と基材16との間のテレセントリックレンズ22及びその開口部26のより近接した図を示す。
【0016】
一般に、図1の追跡システム14は、線形光学画像センサと、テレセントリックレンズと、照明と、画像センサデータに応答してドットクロックを生成するための電子機器と、の4つの構成要素を含む。この実施形態では、追跡システムは、テレセントリックレンズ22と、少なくとも1つの照明源24と、画像センサ28と、その取り付け部17と、を備える。テレセントリックレンズ22は、図3に示される他のレンズ素子の内部又は外部のいずれかの開口部26を含んでもよい。開口部26を有する又は有しないレンズ22は、印刷基材16の画像を画像センサに提供する。
【0017】
線形画像センサ28は、高アスペクト比画素を有することができる。図4に示されるように、30などの画素は、交差プロセス方向においてより長く、プロセス方向においてより短い。プロセス方向は、矢印32として示され、交差プロセス方向は、矢印34として示されている。細長い画素は、より多くの光を収集し、信号対雑音比を改善し、画像センサのプロセス方向の軸に正確には平行ではない基材の動きに対する感度を低減する。一実施形態では、長さ対幅の比は、約50:1である。
【0018】
画像センサはまた、合理的に高いフレーム(ライン)レートを必要とする。画像センサは、ドットクロック周波数よりも高い必要はない。一実施形態では、例えば、画像センサは、6kHzのフレームレートを使用して、64kHzのドットクロックを生成する。6kHzは、典型的には、印刷基材の速度変化を追跡するのに十分な速さである。測定された速度は、64kHzのドットクロックを作るレート生成器に送り込まれる。ドットクロックは、印刷基材の速度が変化するにつれて64kHzから変化する。これは、印刷ドット位置を維持することを支援する。
【0019】
レンズは、その物体空間内で、その入射瞳が無限遠であることを意味する、テレセントリックレンズを備えることができる。この場合、物体空間は、レンズの印刷基材側であり、光学倍率を基材-レンズ間距離とは無関係にする。これは、基材反り又は載置誤差に対する許容性を改善した。基材-レンズ距離のばらつきは、基材-印刷ヘッド距離の変動に対応するので、印刷品質を維持するために合理的に良好に制御されるべきである。レンズのテレセントリック性精度は高すぎる必要はなく、レンズコストを低く保つ。画像センサ-レンズ距離が精確である限りは、レンズが二重テレセントリックである必要はないが、選択肢であり得る。
【0020】
レンズ-基材距離のばらつきは、テレセントリックレンズであっても、ぶれとして知られる焦点誤差を引き起こす。より小さい開口部を意味するより遅いレンズは、被写界深度を増大させるが、集める光がより少ない。本明細書の実施形態では、焦点は、運動軸又はプロセス方向に沿って重要であるが、画像センサ画素が伸長される垂直軸に沿っては重要度がはるかに小さい。被写界深度及び集光の両方を最適化するために、スリット開口部は、運動軸に沿ったスリット幅、又は運動方向に垂直なスリット高さよりも短いプロセス方向、又は交差プロセス方向により良好に機能することができる。図3に示されるように、開口部は分離されているが、一般にレンズアセンブリの一部になる。
【0021】
追跡システムは、図5に示されるように、少なくとも1つの照明源を備えることができ、照明源24に示されるように、視射角で配置されてもよい。視射角照明は、印刷基材16上の物理的テクスチャを光学的テクスチャに変換する。高精度のコード化のために、視射角照明は、平行な光線でなければならず、又は少なくとも入射光線角度分布が画像化された領域にわたって均一でなければならない。そうでなければ、テクスチャ影の角度は基材位置と共に変化し、これは、光学的テクスチャを、角度変化の方向に応じて、印刷基材よりも速く又は遅く移動させる。照明源36でのように、基材表面に対して垂直に近い、急勾配の角度からの照明は、平行な光線の必要性を大幅に低減するが、典型的な印刷基材の画像コントラストも低減する。浅い照明角度及び急勾配の照明角度は両方とも、試作品では許容可能に機能する。強度均一性は、角度均一性よりも重要ではない。強度変化は、初期較正に基づいた、電子機器内での画素値スケーリングによって、補正することができる。
【0022】
照明は、画像センサのフレームレートでストロボされてもよい。基材は、1つのフレームから次のフレームへ、最大で数個まで画素を移動させることができる。一実施形態では、1フレームから次のフレームへ、最大で51ピクセルまで移動する。これは、精確な速度測定にとって過剰な被写体ぶれである。ある程度の被写体ぶれは、画像センサのナイキスト空間周波数よりも高い空間周波数を除去するなどの利点を有する。照明ストロボのパルス幅は、被写体ぶれから最適な量のローパスフィルタリングが生じるように、予想又は測定された速度に基づいて調整することができる。照明の単純なオン/オフパルスは、矩形のインパルス応答フィルタをもたらし、多くの場合、「有蓋車」型フィルタを呼び出す。ガウス型強度対時間プロファイルにおける照明輝度を制御することにより、ガウス型画像ぶれが生じる。この手法は、効率的に機能するが、実装の複雑性がより高い。ガウス型フィルタは、単純なオン/オフ制御及びデューティサイクル変調を使用して近似することができる。
【0023】
これらの3つの照明の選択肢の強度対時間プロットを図6に示す。有蓋車型照明ストロボの選択肢(上部トレース)は、多くの用途に対して十分であり得る。ガウス型(中間トレース)又は擬似ガウス型(第3のトレース)は、最も高い精度のためのナイキストエイリアジングを更に低減するであろう。
【0024】
図1の電子機器20は、センサからの画像データを処理し、印刷基材の動きに応答してドットクロックを生成する。一実施形態では、電子機器は、アナログデジタル(analog-to-digital、ADC)コンバータ及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)を、クロック発振器、DC供給電圧、バイパスコンデンサなどの、それらの周囲の従来のサポート回路と共に備える。
【0025】
線形画像センサは、典型的には、露光時間窓が完了した後に、多くの場合、次のフレームの露光窓と同時に画素値を出力する。待ち時間を最小化するために、電子機器は、各新しい画素値が入ってくるにつれてそれを処理して、画像フレームの最後の画素がセンサから読み出された後に更新された位置及び速度情報を提供することができる。短縮された待ち時間は、印刷基材速度の変化に対するより速い応答を提供して、印刷されたドロップの載置誤差を最小限に抑える。
【0026】
図7は、印刷基材を追跡する一般的な方法の一実施形態のフローチャートを示す。最初に、40において、画像センサは、制御電子機器に画像データを提供する。次いで、42において、制御電子機器は、画像データを処理して印刷基材の速度を判定する。44において、制御電子機器は、速度を使用して、ドットクロックを生成する。次いで、46において、ドットクロックは、電子機器からドロップ発生器に送信される。次いで、48において、ドロップ発生器は、基材上にインクを分注する。
【0027】
このプロセスは、いくつかのサブプロセスを包含することができる。例えば、電子機器は、画像センサのブラックレベルパターンノイズを補償する、画素毎のブラックオフセットを減算するなどの補償を適用することができる。電子機器はまた、画像センサ感度を補償し、照明空間の変動を補償するために、画素毎スケーリングを適用することもできる。
【0028】
追加的に、画像データは、フィルタリングを受けることができる。例えば、プロセスは、画像又は画素データにハイパスフィルタを適用することができる。一実施形態では、フィルタは、各画素をその隣接画素のガウス型加重平均で除することによって適用される。一実施形態では、64個の隣接する画素が(各側に32個)使用される。重み付けされた平均を減算するのではなく、それで除算することが、印刷基材のたわみによって生じ得るような照明強度の局所的な変動に対する感度を低減する。また、これは、LED電源ノイズからのような全体的な照明変動も相殺する。
【0029】
センサからの画像データは、画像データを補間することによってその解像度が増大し得る。一実施形態では、データは、ガウス型ローパス補間フィルタを使用して8倍だけ補間される。次いで、プロセスは、次のフレームと相関するための整数画素位置値を記憶する。一実施形態では、これらの値は、非補間ピクセル位置にあっても、重み付けされた平均ローパスフィルタの後になる。これは、補間された画素値と整数画素値との間の周波数応答を同一に保つ。
【0030】
プロセスは、次いで、32などの所定の数の、入ってくる画素値と以前のフレームから記憶されたものとの間の「粗い」相関を計算する。一実施形態では、相関は、真の相関ではなく、差分二乗和である。これらの「粗い」相関は、例えば-10~+52画素の位置オフセットで、入ってくるライン画像と記憶された以前のライン画像との間で計算される。負のオフセットは、含まれる必要はないが、試験に好都合である。
【0031】
プロセスは、次いで、最大の相関を見出し、これは、一実施形態では、粗い相関の最小の差分二乗和を意味する。これは、この最小値及びその隣接する2つの相関(両側の1つずつ)に、放物線近似をすることによって達成することができる。プロセスは、放物線の極小値の位置によって、以前の画像フレームからこのフレームへの位置変化を意味する粗い速度を判定することができる。
【0032】
プロセスは、次いで、入ってくる補間された画素値と以前のフレームからの記憶された画素値との間で所定の数の「微細な」相関を計算することができる。ここでも、相関は、真の相関ではなく、差分二乗和であってもよい。これらの「微細な」相関は、以前のフレームについて上述した粗い相関の位置の近くに中心が置かれた1/8番目の画素位置オフセットなどのサブ画素オフセットで計算することができる。プロセスは、このフレームの画素データの全てが読み出されるまで、現在のフレームの粗い相関が不明であるため、それを使用しない。以前のフレームの粗い相関位置を使用することにより、微細な相関が、画素データが入ってくるときそれを処理することを可能にし、待ち時間を低減する。
【0033】
プロセスは、次いで、上記の放物線解析を使用して最大相関を発見することを繰り返すが、ここでは微細な相関に適用される。この結果、放物線の極小値の位置によって、微細な速度、以前の画像フレームからこのフレームへの位置変化、の判定がもたらされる。このプロセスは、この微細な相関のセットの画素オフセット範囲を特定するために使用される以前のフレームからの粗いオフセットで追加してもよい。任意選択的に、このプロセスは、微細な速度値にローパスフィルタを適用して、速度値における任意のジッタを平滑化することができるが、そのようなフィルタリングは、待ち時間を増加させる。
【0034】
レート発生器において、微細な速度又はフィルタリングされた微細な速度を使用して、ドットクロックを生成して、印刷ヘッドのドロップ排出をトリガする。例えば、アキュムレータがオーバーフローする時間毎に、例えば72MHzの一定レートでアキュムレータに微細な速度値を加算し、プロセスはドットクロックを出力し、アキュムレータからドット間隔定数を減算する。ドット間隔定数は、印刷ドット間の所望の間隔に比例する。例えば、画像センサフレーム時間がN72MHzクロックである場合は、Nのドット間隔定数値は、1:1レンズの倍率を仮定して、画像センサの画素間隔と同じ間隔でドットクロックを生成するはずである。2Nのドット間隔定数は、画像センサ画素間隔の2倍でドットクロックを生成するであろう。
【0035】
微細速度に分画画素ビットが存在するであろうことに留意すべきである。アキュムレータ及び定数は、同じ数の分画ビットを有する必要がある。ドットクロックの間隔は、画像センサ画素間隔の整数比に限定されない。
【0036】
上記の実施形態においてそれぞれ、32である、粗い相関及び微細な相関の数は、より小さくなり得る。プロセスはまた、以前のフレームの微細な相関の位置を使用して、現在のフレームの微細な相関の範囲を中心にすることで、粗い相関をスキップしてもよい。この実施形態は、新たな画像基材それぞれが視野に入った後のスイープ探索などの微細の相関の範囲を初期化する方法を必要とし得る。
【0037】
ドットクロックを生成することの他に、画像センサは、印刷基材の存在を検出するために使用することができる。基材が存在しないときは、照明は、通常の印刷基材位置を越えて存在し得るどんな表面(複数可)とも同調しないため、ほとんどの光が画像センサに到達しない。この暗い条件は、印刷基材の不在を示す。一実施形態では、このフィーチャは、新しい画像の開始をトリガするように、各印刷基材の先頭を感知するために使用される。
【0038】
多くの変形及び修正が存在し、特許請求の範囲内に含まれる。例えば、印刷ヘッド近くの場所で印刷基材の動きを感知することが望ましい。これにより、各基材の端部で印刷されていないマージン部が最小化される。小さいミラーを印刷基材に近接する光路に追加することができ、機構の残りの部分が、印刷ヘッドから離れるように旋回することを可能にする。
【0039】
より多くの印刷されていないマージン部が存在する場合、光学センサは、印刷ヘッド(複数可)の上方又は下方に位置決めされ得る。これは、水平な印刷動作を伴う垂直な印刷基材の配向、又は水平なプロセス方向の場合について説明される。上記したように、水平な印刷基材及び下向きの印刷ヘッドなどの他の配向も同様に可能である。
【0040】
箱に折り畳まれる前のボール紙などの薄い印刷基材と共に使用するために、このセンサは、印刷ヘッドに対して反対側から印刷基材を視認し得る。感知は、少なくとも基材がセンサを通過して移動した後まで、有意な画像の滲み出しが生じない限り、印刷ヘッドのすぐ後ろに位置し得る。
【0041】
印刷されていないマージン部を低減する別の選択肢は、印刷ヘッドの両側に1つずつ2つのセンサを使用することである。2つのセンサはそれぞれ、自体の追跡システムの一部であり得るか、又は電子機器及び/又はそれらの間の他の構成要素を共有し得る。ドットクロック発生器への速度入力は、基材が印刷ヘッドを通過して移動するにつれて、一方のセンサから他方へと切り替わるであろう。この切り替えは、どのセンサが印刷基材の完全な画像を有するかを示すように、どのセンサがより高い平均画像強度を検出するかに基づき得る。
【0042】
マイクロレンズのアレイを含むSELFOC(登録商標)レンズアレイは、テレセントリックレンズの小型で低コストの代替として機能可能であり得る。これは、レンズ素子ピッチに起因する動作アーチファクトを有する可能性が高いが、そのようなアーチファクトは、恐らくいくつかの用途に許容可能であり得る。
【0043】
一実施形態では、テレセントリックレンズは、これを物体側テレセントリックにするように位置された開口部と組み合わされた、面と向かって接合された一対の35mmのスライド投影レンズで構成される。このレンズアセンブリは、使用する必要がある最終的なシステムよりもずっと大きくてもよい。大きなレンズは、基材を印刷するための80mmのスタンドオフをレンズから有するいくつかの用途において有利であり得るが、任意のサイズのレンズが、採用され得、かつ特許請求の範囲内であり得る。
【0044】
このようにして、印刷基材トラッキングを有する高効率で短い待ち時間の印刷システムを実現することができる。追跡システムは、画像センサ及びレンズと物理的に一体化された電子機器を有してもよく、又は印刷システムの他の部品と電子機器を共有してもよい。
【0045】
様々な上記に開示したもの並びに他の特徴及び機能の変形、又はそれらの代替物が、多くの他の異なるシステム又はアプリケーションに組み合わされてもよいことが理解されるであろう。様々な現在予期されていない、又は先行例のない代替物、修正、変形、又は改善が、その後に当業者によってなされてもよく、それらも以下の特許請求の範囲によって包含されることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7