(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20231114BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/78 652M
H01L29/78 653C
H01L29/78 652P
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 652J
H01L29/78 657G
(21)【出願番号】P 2020100696
(22)【出願日】2020-06-10
【審査請求日】2022-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴大
(72)【発明者】
【氏名】坂野 竜則
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-162855(JP,A)
【文献】特開2016-072482(JP,A)
【文献】特開2016-115847(JP,A)
【文献】特開2015-072950(JP,A)
【文献】特表2016-523454(JP,A)
【文献】特開2014-197702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/06
H01L 29/739
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電圧が印加される第1導電部材と、
オフのタイミングが前記第1電圧とは別に制御される第2電圧が印加される第2導電部材と、
第1電極領域及び第2電極領域を含む第1電極であって、前記第1電極領域から前記第1導電部材への第1方向は、前記第1電極領域から前記第2電極領域への第2方向と交差し、前記第2電極領域から前記第2導電部材への方向は、前記第1方向に沿う、前記第1電極と、
第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域及び第4部分領域を含む第1導電形の第1半導体領域であって、前記第1部分領域は、前記第1電極領域と前記第1導電部材との間にあり、前記第2部分領域は、前記第2電極領域と前記第2導電部材との間にあり、前記第3部分領域は前記第2方向において前記第1部分領域と前記第2部分領域との間にあり、前記第3部分領域は、前記第1方向において前記第1電極と前記第4部分領域との間にあり、前記第4部分領域は、前記第1導電部材と前記第2導電部材との間にある、前記第1半導体領域と、
第1半導体膜部分を含む前記第1導電形の第2半導体領域であって、前記第4部分領域は、前記第1方向において前記第3部分領域と前記第1半導体膜部分との間にある、前記第2半導体領域と、
第1半導体層部分を含む第2導電形の第3半導体領域であって、前記第1半導体層部分は、前記第1方向において前記第4部分領域と前記第1半導体膜部分との間にある、前記第3半導体領域と、
前記第1電極と前記第1半導体領域との間に設けられ前記第2導電形の第4半導体領域と、
前記第2導電形の第5半導体領域であって、前記第5半導体領域の少なくとも一部は、前記第1部分領域と前記第1導電部材との間に設けられ、前記第5半導体領域は、前記第2部分領域と前記第2導電部材との間に設けられていない、前記第5半導体領域と、
前記第1半導体膜部分と電気的に接続された第2電極と、
第1絶縁部分、第2絶縁部分、第3絶縁部分及び第4絶縁部分及び第6絶縁部分を含む第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部分は、前記第1方向において、前記第1部分領域と前記第1導電部材との間にあり、前記第2絶縁部分は、前記第2方向において、前記第1導電部材と前記第4部分領域との間にあり、前記第3絶縁部分は、前記第2方向において、前記第1導電部材と前記第1半導体層部分の一部との間にあり、前記第4絶縁部分は、前記第2方向において、前記第1導電部材と前記第4部分領域の別の一部との間にあり、前記第4絶縁部分は、前記第1方向において、前記第2絶縁部分と前記第3絶縁部分との間にあり、前記第6絶縁部分は、前記第1方向において、前記第2部分領域と前記第2導電部材との間にあり、前記第6絶縁部分は、前記第2部分領域と接し、前記第2絶縁部分の前記第2方向に沿う第2厚さは、前記第3絶縁部分の前記第2方向に沿う第3厚さよりも厚く、前記第4絶縁部分の前記第2方向に沿う第4厚さは、前記第3厚さよりも厚い、前記第1絶縁部材と、
を備えた、半導体装置。
【請求項2】
前記第5半導体領域の少なくとも一部は、前記第1方向において、前記第3部分領域と前記第4部分領域との間にある、請求項
1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3半導体領域における前記第2導電形の不純物の濃度は、1×10
15cm
-3以上1×10
18cm
-3以下であり、
前記第4半導体領域における前記第2導電形の前記不純物の濃度は、1×10
16cm
-3以上1×10
19cm
-3以下であり、
前記第5半導体領域における前記第2導電形の前記不純物の濃度は、1×10
13cm
-3以上1×10
16cm
-3以下である、請求項
1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
第2絶縁部材をさらに備え、
前記第2絶縁部材の一部は、前記第1方向において、前記第2部分領域と前記第2導電部材との間にあり、前記第2部分領域と接した、請求項
1~
3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2厚さは、前記第3厚さの1.2倍以上であり、
前記第4厚さは、前記第3厚さの1.2倍以上である、請求項1~
4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1半導体領域は、第5部分領域及び第6部分領域をさらに含み、
前記第5部分領域は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第2部分領域との間にあり、
前記第2半導体領域は、第2半導体膜部分をさらに含み、
前記第3半導体領域は、第2半導体層部分をさらに含み、
前記第6部分領域は、前記第1方向において、前記第5部分領域と前記第2半導体膜部分との間にあり、
前記第2半導体層部分は、前記第1方向において、前記第6部分領域と前記第2半導体膜部分との間にあり、
前記第6部分領域は、前記第2方向において、前記第4部分領域と前記第2導電部材の一部との間にあり、
前記第2半導体層部分は、前記第2方向において、前記第1半導体層部分と前記第2導電部材の一部との間にあり、
前記第2半導体膜部分は、前記第2方向において、前記第1半導体膜部分と前記第2導電部材の別の一部との間にある、請求項1~
3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
第2絶縁部材をさらに備え、
前記第2絶縁部材は
、第7絶縁部分及び第8絶縁部分を含み
、
前記第7絶縁部分は、前記第2方向において、前記第6部分領域の少なくとも一部と前記第2導電部材との間にあり、
前記第8絶縁部分は、前記第2方向において、前記第2半導体層部分と前記第2導電部材との間にある、請求項
6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2絶縁部材は、第9絶縁部分をさらに含み、
前記第9絶縁部分は、前記第1方向において、前記第7絶縁部分と前記第8絶縁部分との間にあり、前記第9絶縁部分は、前記第2方向において、前記第6部分領域の一部と前記第2導電部材との間にあり、
前記第7絶縁部分の前記第2方向に沿う第7厚さは、前記第8絶縁部分の前記第2方向に沿う第8厚さよりも厚く、前記第9絶縁部分の前記第2方向に沿う第9厚さは、前記第8厚さよりも厚い、請求項
7記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第6絶縁部分の前記第1方向に沿う第6厚さは、前記第8厚さよりも厚い、請求項
8記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2絶縁部材は、第10絶縁部分をさらに含み、
前記第10絶縁部分は、前記第2半導体膜部分と前記第2導電部材との間にある、請求項
7~
9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2電極と電気的に接続された第3導電部材と、
第3絶縁部材と、
さらに備え、
前記第1半導体領域は、第7部分領域をさらに含み、
前記第7部分領域は、前記第2方向において、前記第3部分領域と前記第5部分領域との間にあり、
前記第7部分領域から前記第3導電部材への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第3絶縁部材の少なくとも一部は、前記第7部分領域と前記第3導電部材との間にある、請求項
7~1
0のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第3導電部材は、前記第2方向において前記第4部分領域と前記第6部分領域との間、前記第2方向において前記第1半導体層部分と前記第2半導体層部分との間、及び、前記第2方向において前記第1半導体膜部分と前記第2半導体膜部分との間にある、請求項1
1記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1絶縁部分の前記第1方向に沿う第1厚さは、前記第3厚さよりも厚い、請求項1~1
2のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1厚さは、前記第3厚さの1.2倍以上である、請求項1
3記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1絶縁部材は、第5絶縁部分をさらに含み、
前記第5絶縁部分は、前記第1導電部材と前記第1半導体膜部分との間にある、請求項1~1
4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第2半導体領域における前記第1導電形の不純物の濃度は、前記第1半導体領域における前記第1導電形の前記不純物の濃度よりも高い、請求項1~1
5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置において、安定した動作が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、安定した動作が可能な半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置は、第1導電部材、第2導電部材、第1電極、第2電極、第1半導体領域、第2半導体領域、第3半導体領域、第4半導体領域及び第1絶縁部材を含む。前記第1電極は、第1電極領域及び第2電極領域を含む。前記第1電極領域から前記第1導電部材への第1方向は、前記第1電極領域から前記第2電極領域への第2方向と交差する。前記第2電極領域から前記第2導電部材への方向は、前記第1方向に沿う。前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域及び第4部分領域を含み、第1導電形である。前記第1部分領域は、前記第1電極領域と前記第1導電部材との間にある。前記第2部分領域は、前記第2電極領域と前記第2導電部材との間にある。前記第3部分領域は前記第2方向において前記第1部分領域と前記第2部分領域との間にある。前記第3部分領域は、前記第1方向において前記第1電極と前記第4部分領域との間にある。前記第4部分領域は、前記第1導電部材と前記第2導電部材との間にある。前記第2半導体領域は、第1半導体膜部分を含み、前記第1導電形である。前記第4部分領域は、前記第1方向において前記第3部分領域と前記第1半導体膜部分との間にある。前記第3半導体領域は、第1半導体層部分を含み、第2導電形である。前記第1半導体層部分は、前記第1方向において前記第4部分領域と前記第1半導体膜部分との間にある。前記第4半導体領域は、前記第1電極と前記第1半導体領域との間に設けられ、前記第2導電形である。前記第2電極は、前記第1半導体膜部分と電気的に接続される。前記第1絶縁部材は、第1絶縁部分、第2絶縁部分、第3絶縁部分及び第4絶縁部分を含む。前記第1絶縁部分は、前記第1方向において、前記第1部分領域と前記第1導電部材との間にある。前記第2絶縁部分は、前記第2方向において、前記第1導電部材と前記第4部分領域との間にある。前記第3絶縁部分は、前記第2方向において、前記第1導電部材と前記第1半導体層部分の一部との間にある。前記第4絶縁部分は、前記第2方向において、前記第1導電部材と前記第4部分領域の別の一部との間にある。前記第4絶縁部分は、前記第1方向において、前記第2絶縁部分と前記第3絶縁部分との間にある。前記第2絶縁部分の前記第2方向に沿う第2厚さは、前記第3絶縁部分の前記第2方向に沿う第3厚さよりも厚い。前記第4絶縁部分の前記第2方向に沿う第4厚さは、前記第3厚さよりも厚い。前記第2導電部材がオフ状態となる前に、前記第1導電部材がオフ状態となる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る半導体装置の動作を例示する模式図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図1に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、第1導電部材61、第2導電部材62、第1電極51、第2電極52、第1半導体領域11、第2半導体領域12、第3半導体領域13、第4半導体領域14及び第1絶縁部材81を含む。
【0009】
第1電極51は、第1電極領域51a及び第2電極領域51bを含む。第1電極領域51aから第1導電部材61への第1方向は、第1電極領域51aから第2電極領域51bへの第2方向と交差する。
【0010】
第1方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。第2方向は、例えば、X軸方向である。
【0011】
第2電極領域51bから第2導電部材62への方向は、第1方向(Z軸方向)に沿う。
【0012】
第1半導体領域11は、第1部分領域11a、第2部分領域11b、第3部分領域11c及び第4部分領域11dを含む。第1半導体領域11は、第1導電形である。
【0013】
第1部分領域11aは、Z軸方向において、第1電極領域51aと第1導電部材61との間にある。第2部分領域11bは、Z軸方向において、第2電極領域51bと第2導電部材62との間にある。第3部分領域11cは、第2方向(例えばX軸方向)において、第1部分領域11aと第2部分領域11bとの間にある。第3部分領域11cは、第1方向(Z軸方向)において、第1電極領域51aと第4部分領域11dとの間にある。第4部分領域11dは、第1導電部材61と第2導電部材62との間にある。
【0014】
第2半導体領域12は、第1半導体膜部分12aを含む。第2半導体領域12は、第1導電形である。第4部分領域11dは、第1方向(Z軸方向)において、第3部分領域11cと第1半導体膜部分12aとの間にある。
【0015】
第3半導体領域13は、第1半導体層部分13aを含む。第3半導体領域13は、第2導電形である。
【0016】
例えば、第1導電形はn形であり、第2導電形はp形である。実施形態において、第1導電形がp形であり、第2導電形がn形でも良い。以下では、第1導電形がn形であり、第2導電形がp形とする。
【0017】
第3半導体領域13の第1半導体層部分13aは、第1方向(Z軸方向)において、第4部分領域11dと第1半導体膜部分12aとの間にある。
【0018】
第4半導体領域14は、第1電極51と第1半導体領域11との間に設けられる。第4半導体領域14は、第2導電形(例えばp形)である。
【0019】
第2電極52は、第1半導体膜部分12aと電気的に接続される。この例では、第1電極51と第2電極52との間に、上記の導電部材及び上記の半導体領域が設けられる。
【0020】
第1絶縁部材81は、第1絶縁部分81a、第2絶縁部分81b、第3絶縁部分81c及び第4絶縁部分81dを含む。第1絶縁部分81aは、第1方向(Z軸方向)において、第1部分領域11aと第1導電部材61との間にある。第2絶縁部分81bは、第2方向(例えばX軸方向)において、第1導電部材61と第4部分領域11dとの間にある。第3絶縁部分81cは、第2方向(例えばX軸方向)において、第1導電部材61と第1半導体層部分13aの一部との間にある。
【0021】
第4絶縁部分81dは、第2方向(例えばX軸方向)において、第1導電部材61と第4部分領域11dの別の一部との間にある。第4絶縁部分81dは、第1方向(Z軸方向)において、第2絶縁部分81bと第3絶縁部分81cとの間にある。
【0022】
この例では、第1絶縁部材81は、第5絶縁部分81eをさらに含む。第5絶縁部分81eは、第1導電部材61と第1半導体膜部分12aとの間にある。第1絶縁部材81は、第1導電部材61と半導体領域との間を電気的に絶縁する。
【0023】
例えば、第1電極51は、コレクタ電極である。第2電極52は、エミッタ電極である。第1導電部材61及び第2導電部材62は、ゲート電極として機能する。第1絶縁部材81は、ゲート絶縁膜として機能する。第1導電部材61及び第2導電部材62の電位に応じて、第1電極51と第2電極52との間に流れる電流が制御できる。半導体装置110は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。
【0024】
後述するように、実施形態においては、第2絶縁部分81bの厚さ、及び、第4絶縁部分81dの厚さが、第3絶縁部分81cの厚さよりも厚い。第1絶縁部材81の厚さが、場所により変更される。これにより、後述するように、半導体装置110の特性が安定にできる。例えば、高い信頼性が得やすい。
【0025】
図1に示すように、この例では、第1半導体領域11は、第5部分領域11e及び第6部分領域11fをさらに含む。第5部分領域11eは、第2方向(例えばX軸方向)において、第3部分領域11cと第2部分領域11bとの間にある。第2半導体領域12は、第2半導体膜部分12bをさらに含む。第3半導体領域13は、第2半導体層部分13bをさらに含む。第6部分領域11fは、第1方向(Z軸方向)において、第5部分領域11eと第2半導体膜部分12bとの間にある。第2半導体層部分13bは、第1方向(Z軸方向)において、第6部分領域11fと第2半導体膜部分12bとの間にある。
【0026】
第6部分領域11fは、第2方向(例えばX軸方向)において、第4部分領域11dと第2導電部材62の一部との間にある。第2半導体層部分13bは、第2方向(X軸方向)において、第1半導体層部分13aと第2導電部材62の一部との間にある。第2半導体膜部分12bは、第2方向(X軸方向)において、第1半導体膜部分12aと第2導電部材62の別の一部との間にある。
【0027】
図1に示すように、半導体装置110は、第2絶縁部材82をさらに含む。第2絶縁部材82は、第6絶縁部分82f、第7絶縁部分82g及び第8絶縁部分82hを含む。第6絶縁部分82fは、第1方向(Z軸方向)において、第2部分領域11bと第2導電部材62との間にある。第7絶縁部分82gは、第2方向(例えばX軸方向)において、第6部分領域11fと第2導電部材62との間にある。第8絶縁部分
82hは、第2方向(例えばX軸方向)において、第2半導体層部分13bと第2導電部材62と、の間にある。第2絶縁部材82は、例えば、第2導電部材62と半導体領域との間を電気的に絶縁する。
【0028】
図1に示すように、この例では、半導体装置110は、第3導電部材63及び第3絶縁部材83をさらに含む。第3導電部材63は、第2電極52と電気的に接続される。第1半導体領域11は、第7部分領域11gをさらに含む。第7部分領域11gは、第2方向(例えばX軸方向)において、第3部分領域11cと第5部分領域11eとの間にある。第7部分領域11gから第3導電部材63への方向は、第1方向(Z軸方向)に沿う。第3絶縁部材83の少なくとも一部は、第7部分領域11gと第3導電部材63との間にある。第3絶縁部材83は、例えば、第3導電部材63と半導体領域との間を電気的に絶縁する。
【0029】
図1に示すように、第3導電部材63は、第2方向(例えばX軸方向)において、第4部分領域11dと第6部分領域11fとの間、第2方向において、第1半導体層部分13aと第2半導体層部分13bとの間、及び、第2方向において、第1半導体膜部分12aと第2半導体膜部分12bとの間にある。
【0030】
この例では、別の第2導電部材62a及び別の第3導電部材63aが設けられている。X軸方向において、別の第2導電部材62aと、第2導電部材62と、の間に、第1導電部材61がある。別の第2導電部材62aと第1導電部材61との間に、別の第3導電部材63aがある。第1導電部材61と第2導電部材62との間に、第3導電部材63がある。
【0031】
この例では、半導体装置110は、絶縁部85を含む。絶縁部85は、第1導電部材61と第2電極52との間、第2導電部材62と第2電極52との間、及び、第3導電部材63と第2電極52との間にある。
【0032】
第3導電部材63は、例えば「ダミー電極」であり、電界の集中を緩和する部材として機能する。第1導電部材61及び第2導電部材62は、例えば、ゲート電極として、機能する。例えば、第1導電部材61の電位と、第2導電部材62の電位と、は、異なるタイミングで制御できる。このような制御は、例えば、以下に説明する制御部により実施可能である。
【0033】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式図である。
図3は、第1実施形態に係る半導体装置の動作を例示する模式図である。
図2に示すように、半導体装置110において、制御部70が設けられても良い。制御部70は、配線W1を介して、第1導電部材61と電気的に接続される。制御部70は、配線W2を介して、第2導電部材62(及び別の第2導電部材62)と電気的に接続される。第3導電部材63(及び別の第3導電部材63a)は、配線W3により、第2電極52と電気的に接続される。制御部70は、第1電極51及び第2電極52と電気的に接続される。
【0034】
制御部70は、第2電極52を基準電位V0とする。基準電位V0は、例えば、グランド電位である。制御部70は、第1電極51に電圧VCEを印加する。制御部70は、第1導電部材61に電圧V1を印加する。制御部70は、第2導電部材62に電圧V2を印加する。
【0035】
図3は、電圧V1及び電圧V2を例示している。
図3の横軸は、時間tmである。例えば、時刻tm3に、電圧V1及び電圧V2は、負(オフ状態)から正(オン状態)に変化する。時刻tm3の後の時刻tm1に、電圧V1は、負(オフ状態)となる。時刻tm1の後の時刻tm2に、電圧V2は負(オフ状態)となる。オフ状態における第1導電部材61または第2導電部
材62の電位は、オン状態における第1導電部材61または第2導電部
材62の電位よりも低い。例えば、オフ状態における第1導電部材61または第2導電部
材62の電位は、第2電極52の電位(基準電位V0)よりも低い。
【0036】
このように、半導体装置110における1つの例において、第2導電部材62がオフ状態となる前に、第1導電部材61がオフ状態となる。例えば、制御部70は、第2導電部材62がオフ状態となる前に、第1導電部材61をオフ状態とする。このような動作により、例えば、半導体装置110がオフ状態になる際の損失を低減することができる。
【0037】
第1導電部材61を第2導電部材62よりも前にターンオフした場合に、第1絶縁部材81の周りにおいてダイナミックアバランシェ現象が発生しやすい。ダイナミックアバランシェ現象の発生によって増加したホットホールが、半導体領域と第1絶縁部材81との間の界面を通り、第1導電部材61を経由して第2電極52に向かって進む。半導体領域と第1絶縁部材81との間の界面、または、第1絶縁部材81の内部における捕獲準位に多くのホールが捕獲されると、第1導電部材61、第1絶縁部材81及び半導体部材によるMOSキャパシタの特性が劣化し、半導体装置110の特性が変化する。例えば、スイッチング時間が延びる場合がある。例えば、ターンオンの際において、時間に対する電流の変化が大きくなる場合がある。
【0038】
このように、ターンオフ時に、半導体装置110の特性が変化する場合がある。
【0039】
実施形態においては、第1絶縁部材81の厚さを場所によって変更する。これにより、半導体装置の特性を安定にできる。
【0040】
図4は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図4に示すように、第2絶縁部分81bの第2方向(例えばX軸方向)に沿う厚さを第2厚さt2とする。第3絶縁部分81cの第2方向(例えばX軸方向)に沿う厚さを第3厚さt3とする。第2厚さt2は、第3厚さt3よりも厚い。第4絶縁部分81dの第2方向(例えばX軸方向)に沿う厚さを第4厚さt4とする。第4厚さt4は、第3厚さt3よりも厚い。このような厚さにより、半導体装置110の特性が安定になる。
【0041】
例えば、第1絶縁部材81の全体の厚さを厚くし、第3絶縁部分81cの第3厚さt3も他の部分と同様に厚くすることが考えられる。これにより、ホットホールが第1絶縁部材81を通過することが抑制されることが期待できる。しかしながら、第1絶縁部材81の全体の厚さを厚くし、第3絶縁部分81cの第3厚さt3も厚くすると、半導体装置の動作特性(例えばしきい値電圧など)に悪影響が生じる。
【0042】
これに対して、実施形態においては、第3絶縁部分81cの第3厚さt3を、所望の動作特性を得るための適切な値に維持しつつ、第1絶縁部材81の他の部分の厚さを厚くする。これにより、例えば、ホットホールが第2絶縁部分81b及び第4絶縁部分81dを通過することが抑制できる。例えば、第2絶縁部分81b及び第4絶縁部分81dの劣化が抑制できる。これにより、安定した特性が得やすい。実施形態によれば、安定した動作が可能な半導体装置を提供できる。
【0043】
実施形態において、第1導電部材61を第2導電部材62よりも前にターンオフした場合に特性が変化することが、特に抑制できる。
【0044】
実施形態において、例えば、第2厚さt2は、第3厚さt3の1.2倍以上である。第4厚さt4は、第3厚さt3の1.2倍以上である。これにより、安定した特性が維持し易い。
【0045】
図4に示すように、第1絶縁部分81aの第1方向(Z軸方向)に沿う厚さを第1厚さt1とする。実施形態において、第1厚さt1は、第3厚さt3よりも厚い。これにより、第1絶縁部分81aの特性の劣化が抑制し易い。より安定した特性が得られる。例えば、第1厚さt1は、第3厚さt3の1.2倍以上である。
【0046】
図5は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図5に示すように、実施形態に係る半導体装置111においては、第2絶縁部材82の厚さが場所によって変更される。この例では、第3絶縁部材83の厚さも場所によって変更される。半導体装置111におけるこれ以外の構成は、半導体装置110の構成と同様である。以下、半導体装置111における第2絶縁部材82及び第3絶縁部材83の例について説明する。
【0047】
図6は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6に示すように、第2絶縁部材82は、第6絶縁部分82f、第7絶縁部分82g及び第8絶縁部分82hに加えて、第9絶縁部分82iを含む。第9絶縁部分82iは、第1方向(Z軸方向)において、第7絶縁部分82gと第8絶縁部分82hとの間にある。第9絶縁部分82iは、第2方向(例えばX軸方向)において、第6部分領域11fの一部と第2導電部材62との間にある。
【0048】
第7絶縁部分82gの記第2方向(X軸方向)に沿う厚さを第7厚さt7とする。第8絶縁部分82hの第2方向に沿う厚さを第8厚さt8とする。第7厚さt7は、第8厚さt8よりも厚い。第9絶縁部分82iの第2方向に沿う厚さを第9厚さt9とする。第9厚さt9は、第8厚さt8よりも厚い。
【0049】
例えば、第7絶縁部分82g及び第8絶縁部分82hの劣化が抑制できる。第2絶縁部材82の構成が第1絶縁部材81と同様になるので、製造が容易である。
【0050】
例えば、第6絶縁部分82fの第1方向(Z軸方向)に沿う第6厚さt6は、第8厚さt8よりも厚い。第6絶縁部分82fの劣化が抑制できる。
【0051】
半導体装置111において、第2絶縁部材82は、第10絶縁部分82jを含んでも良い。第10絶縁部分82jは、第2半導体膜部分12bと第2導電部材62との間にある。
【0052】
図5に示すように、半導体装置111において、第3絶縁部材83の厚さの構成は、第1絶縁部材81の厚さの構成と同様でも良い。第3絶縁部材83の構成が第1絶縁部材81と同様になるので、製造が容易である。
【0053】
半導体装置110または半導体装置111において、第2半導体領域12における第1導電形の不純物の濃度は、第1半導体領域11における第1導電形の不純物の濃度よりも高い。第2半導体領域12における第1導電形のキャリア濃度は、第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度よりも高い。第1半導体領域11は、例えば、n-層またはn層である。第2半導体領域12は、例えば、n+層である。
【0054】
半導体装置110または半導体装置111において、第1半導体領域11における第1導電形の不純物の濃度は、例えば、1×1012cm-3以上1×1015cm-3以下である。第2半導体領域12における第1導電形の不純物の濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1022cm-3以下である。第3半導体領域13における第2導電形の不純物の濃度は、例えば、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下である。第4半導体領域14における第2導電形の不純物の濃度は、例えば、1×1016cm-3以上1×1019cm-3以下である。
【0055】
半導体装置110または半導体装置111において、第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度は、例えば、1×1012cm-3以上1×1015cm-3以下である。第2半導体領域12における第1導電形のキャリア濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1022cm-3以下である。第3半導体領域13における第2導電形のキャリア濃度は、例えば、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下である。第4半導体領域14における第2導電形のキャリア濃度は、例えば、1×1016cm-3以上1×1019cm-3以下である。
【0056】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図7に示すように、実施形態に係る半導体装置120は、第1導電部材61、第2導電部材62、第1電極51、第2電極52、第1半導体領域11、第2半導体領域12、第3半導体領域13、第4半導体領域14及び第1絶縁部材81に加えて、第5半導体領域15を含む。半導体装置120におけるこれ以外の構成は、半導体装置110の構成と同様である。
【0057】
第5半導体領域15は、第2導電形(例えばp形)である。第5半導体領域15の少なくとも一部は、Z軸方向において、第1部分領域11aと第1導電部材61との間に設けられる。第5半導体領域15の少なくとも一部は、Z軸方向において、第1部分領域11aと第1絶縁部分81aとの間に設けられる。例えば、第5半導体領域15の少なくとも一部は、第1絶縁部分81aと接する。
【0058】
第5半導体領域15が設けられることで、例えば、第1絶縁部分81aにおける電界の集中が緩和できる。第1絶縁部分81aの劣化が抑制できる。安定した動作が可能な半導体装置を提供できる。
【0059】
半導体装置120において、第5半導体領域15における第2導電形の不純物の濃度は、例えば、1×1013cm-3以上1×1016cm-3以下である。第5半導体領域15における第2導電形のキャリア濃度は、例えば、1×1013cm-3以上1×1016cm-3以下である。
【0060】
この例では、第5半導体領域15の少なくとも一部は、第1方向(Z軸方向)において、第3部分領域11cと第4部分領域11dとの間にある。第5半導体領域15は、X軸方向において、第1絶縁部材81の側壁から突出した部分を含む。このような第5半導体領域15により、第1絶縁部材81のコーナー部における電界の集中が効果的に抑制できる。
【0061】
図7に示すように、このような第5半導体領域15は、第2導電部材62の下、または、第3導電部材63の下には無くても良い。例えば、第2絶縁部材82の一部は、第1方向(Z軸方向)において、第2部分領域11bと第2導電部材62との間にあり、第2部分領域11bと接する。
【0062】
図8は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図8に示すように、実施形態に係る半導体装置121も第5半導体領域15を含む。半導体装置121におけるこれ以外の構成は、半導体装置111の構成と同様である。半導体装置121においても、例えば、第1絶縁部分81aにおける電界の集中が緩和できる。第1絶縁部分81aの劣化が抑制できる。安定した動作が可能な半導体装置を提供できる。
【0063】
図9は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図9に示すように、実施形態に係る半導体装置122においても第5半導体領域15が設けられる。半導体装置122においては、第5半導体領域15の一部は、第1導電部材61の隣の第3導電部材63と、第4部分領域11dと、の間の第3絶縁部材83の少なくとも一部と、Z軸方向において重なる。半導体装置122におけるこれ以外の構成は、半導体装置120の構成と同様である。
【0064】
図10は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図10に示すように、実施形態に係る半導体装置123においても第5半導体領域15が設けられる。半導体装置123においては、第5半導体領域15の一部は、第1導電部材61の隣の第3導電部材63と、第4部分領域11dと、の間の第3絶縁部材83の少なくとも一部と、Z軸方向において重なる。半導体装置123におけるこれ以外の構成は、半導体装置120の構成と同様である。
【0065】
半導体装置122及び半導体装置123においても、例えば、第1絶縁部分81aにおける電界の集中が緩和できる。第1絶縁部分81aの劣化が抑制できる。安定した動作が可能な半導体装置を提供できる。
【0066】
第1実施形態及び第2実施形態において、半導体領域は、シリコンまたは化合物半導体(例えば、窒化物半導体、または、SiCなど)を含む。絶縁部材及び絶縁部は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、及び、酸化アルミニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0067】
実施形態によれば、安定した動作が可能な半導体装置が提供できる。
【0068】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる半導体部材、電極、導電部及び絶縁部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0069】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0070】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0071】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
11~15…第1~第5半導体領域、 11a~11h…第1~第8部分領域、 12a、12b…第1、第2半導体膜部分、 13a、13b…第1、第2半導体層部分、 51…第1電極、 51a、51b…第1、第2電極領域、 52…第2電極、 61、…第1導電部材、 62、62a…第2導電部材、 63、63a…第3導電部材、 70…制御部、 81~83…第1~第3絶縁部材、 81a~81e…第1~第5絶縁部分、 82f~82j…第6~第10絶縁部分、 85…絶縁部、 110、111、120~123…半導体装置、 V0…基準電位、 V1、V2…電圧、 VCE…電圧、 W1~W3…配線、 t1~t9…第1~第9厚、 tm…時間、 tm1~tm3…時刻