(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】燃料電池ユニット
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20231114BHJP
B60K 8/00 20060101ALI20231114BHJP
B60L 50/71 20190101ALI20231114BHJP
B60L 50/72 20190101ALI20231114BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20231114BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
B60K8/00
B60L50/71
B60L50/72
H01M8/00 Z
(21)【出願番号】P 2020107939
(22)【出願日】2020-06-23
【審査請求日】2022-12-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年1月28日、株式会社豊田自動織機が、本発明に係る燃料電池ユニットを搭載した燃料電池トーイングトラクターを中部スカイサポート株式会社(愛知県常滑市セントレア1丁目1番地)に納入した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】本村 浩平
(72)【発明者】
【氏名】山下 泰
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-128202(JP,A)
【文献】特開2011-079347(JP,A)
【文献】特開2017-144859(JP,A)
【文献】特開2008-149977(JP,A)
【文献】特開2010-040333(JP,A)
【文献】特開2018-101473(JP,A)
【文献】特開2002-370544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00 - 6/12
B60K 7/00 - 8/00
B60K 16/00
B60L 50/70 - 50/75
H01M 8/04 - 8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックと、
電子部品と、
前記燃料電池スタックが載置される載置部を有するメインフレームと、
前記載置部と前記燃料電池スタックとの間に設けられるとともに弾性部材により形成されるスタックマウントと、を備える燃料電池ユニットであって、
前記電子部品が設けられるブラケットを備え、
前記メインフレームは、前記燃料電池スタックに対向する位置に設けられるサブフレームを有し、
前記ブラケットは、前記燃料電池スタックと前記サブフレームとに接続されていることを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項2】
前記電子部品は、水素センサであり、
前記ブラケットは、前記ブラケットの下方から上昇しうる水素を捕集する水素カバーを含み、
前記電子部品は、前記水素カバーに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池ユニット。
【請求項3】
前記燃料電池ユニットは、燃料電池車両に搭載され、
前記燃料電池ユニットと前記サブフレームとが対向する方向は、前記燃料電池車両の前後方向であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池ユニット。
【請求項4】
前記スタックマウントは、
前記燃料電池車両の前方寄りに位置する第1弾性部材と、
前記燃料電池車両の後方寄りに位置する第2弾性部材と、を有し、
前記第1弾性部材と前記第2弾性部材とは、ばね定数が等しいことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池ユニット。
【請求項5】
前記燃料電池スタックと前記サブフレームとの間には、前記燃料電池スタックを稼働させる機能部品が設けられていることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の燃料電池ユニット。
【請求項6】
前記ブラケットは、
前記燃料電池スタックに接続されるとともに前記電子部品が設けられる第1ブラケットと、
前記第1ブラケットと接続される第2ブラケットと、
前記サブフレームに接続される第3ブラケットと、を有し、
前記第2ブラケットと前記第3ブラケットとが弾性部材により形成される緩衝部材を介して接続されることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の燃料電池ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃料電池車両には、燃料電池スタックが搭載されている。例えば、特許文献1に記載される燃料電池車両においては、電子部品としての水素漏れを検知する水素センサが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料電池ユニットにおいては、載置された燃料電池スタックと電子部品とが接近した状態で搭載される場合がある。燃料電池ユニットが振動すると、電子部品に燃料電池スタックからの振動が加わることによる機能不全が発生してしまう虞がある。そのため、電子部品の機能不全を抑制するため、電子部品の耐振動性を向上させたいとの要求がある。
【0005】
本発明の目的は、電子部品の耐振動性を向上できる燃料電池ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する燃料電池ユニットは、燃料電池スタックと、電子部品と、前記燃料電池スタックが載置される載置部を有するメインフレームと、前記載置部と前記燃料電池スタックとの間に設けられるとともに弾性部材により形成されるスタックマウントと、を備える燃料電池ユニットであって、前記電子部品が設けられるブラケットを備え、前記メインフレームは、前記燃料電池スタックに対向する位置に設けられるサブフレームを有し、前記ブラケットは、前記燃料電池スタックと前記サブフレームとに接続されている。
【0007】
これによれば、燃料電池ユニットに振動が加わると、電子部品には、燃料電池スタック、及びブラケットを介して振動が加わるが、スタックマウントにより燃料電池スタックの振動が緩和され、ブラケットの振動も緩和される。そのため、燃料電池スタック及びブラケットを介して電子部品に加わる振動を抑制できる。また、ブラケットが燃料電池スタックとサブフレームとに接続されているため、ブラケットの振動を更に抑制でき、電子部品の振動を更に抑制できる。したがって、電子部品の耐振動性を向上できる。
【0008】
上記の燃料電池ユニットにおいて、前記電子部品は、水素センサであり、前記ブラケットは、前記ブラケットの下方から上昇しうる水素を捕集する水素カバーを含み、前記電子部品は、前記水素カバーに設けられているとよい。
【0009】
これによれば、水素カバーにより捕集された水素を水素センサにより検知することができる。したがって、燃料電池ユニットの信頼性を向上できる。
上記の燃料電池ユニットは、前記燃料電池ユニットは、燃料電池車両に搭載され、前記燃料電池ユニットと前記サブフレームとが対向する方向は、前記燃料電池車両の前後方向であるとよい。
【0010】
燃料電池車両が加減速するとき、燃料電池ユニットに加わる振動が大きくなる。
これによれば、燃料電池スタックとサブフレームとが対向する方向が燃料電池車両の前後方向であるため、電子部品の耐振動性の向上の効果が顕著となる。
【0011】
上記の燃料電池ユニットにおいて、前記スタックマウントは、前記燃料電池車両の前方寄りに位置する第1弾性部材と、前記燃料電池車両の後方寄りに位置する第2弾性部材と、を有し、前記第1弾性部材と前記第2弾性部材とは、ばね定数が等しいとよい。
【0012】
例えば、燃料電池車両は前進する割合が多く、燃料電池ユニットには、燃料電池車両の前後方向に外力が入力され易い。そのため、燃料電池ユニットに外力が加わると、燃料電池スタックには、第1弾性部材を支点として燃料電池スタックの重心がサブフレームに向けて回転するようなモーメントが発生する。よって、第1弾性部材は、第2弾性部材よりも応力が発生し易いことから、第1弾性部材のばね定数を第2弾性部材のばね定数よりも大きくすることにより第1弾性部材の耐久性を向上させることが考えられる。
【0013】
ところが、第1弾性部材のばね定数が第2弾性部材のばね定数よりも大きい場合、第2弾性部材の位置で燃料電池スタックが振動し易くなり、燃料電池スタックの振動がブラケットを介して電子部品に過剰に伝達される虞がある。
【0014】
その点、これによれば、第1弾性部材と第2弾性部材とのばね定数を等しくしているため、第1弾性部材のばね定数が第2弾性部材のばね定数よりも大きい場合と比較して、第2弾性部材の位置における燃料電池スタックの振動を抑制できる。
【0015】
上記の燃料電池ユニットにおいて、前記燃料電池スタックと前記サブフレームとの間には、前記燃料電池スタックを稼働させる機能部品が設けられているとよい。
これによれば、機能部品を燃料電池スタックに近接させているため、燃料電池ユニットの体格の大型化を抑制できる。
【0016】
上記の燃料電池ユニットにおいて、前記ブラケットは、前記燃料電池スタックに接続されるとともに前記電子部品が設けられる第1ブラケットと、前記第1ブラケットと接続される第2ブラケットと、前記サブフレームに接続される第3ブラケットと、を有し、前記第2ブラケットと前記第3ブラケットとが弾性部材により形成される緩衝部材を介して接続されるとよい。
【0017】
これによれば、燃料電池スタックの振動によって生じる第1ブラケットの振動を弾性部材により吸収することができる。よって、第1ブラケットの振動を抑制でき、ひいては電子部品の耐振動性をより向上できる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、電子部品の耐振動性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】燃料電池ユニットの第1壁部側を示す斜視図。
【
図2】燃料電池ユニットの第2壁部側を示す斜視図。
【
図3】燃料電池スタックとサブフレームとの位置を示す斜視図。
【
図9】車両の左右方向から見たときの燃料電池スタック、機能部品、及びブラケットの配置を示す端面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、燃料電池ユニットを具体化した一実施形態を
図1~
図9にしたがって説明する。
図1に示すように、燃料電池ユニット1は、燃料電池車両100に搭載されている。なお、燃料電池車両100の前後方向をA、燃料電池車両100の左右方向をB、前後方向Aに直交しつつ左右方向Bにも直交する方向を燃料電池車両100の上下方向Cとする。
【0021】
図2に示すように、燃料電池ユニット1は、燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10を稼働させる機能部品20と、筐体30と、を備えている。また、燃料電池ユニット1は、水素が貯留される水素タンク81と、水素タンク81と機能部品20とを接続する水素配管82と、配電部83と、キャパシタ84と、を備えている。
【0022】
燃料電池スタック10は、複数の燃料電池セルをスタック化したものである。燃料電池スタック10は、燃料ガスとしての水素と、酸化剤ガスとしての空気中の酸素との電気化学反応により発電を行う。配電部83は、例えば、キャパシタ84に接続されるケーブル、ヒューズ、サービスプラグ等の電気的な接続部である。
【0023】
機能部品20は、水素配管82が接続される水素循環ポンプ、燃料電池スタック10に水素を供給するインジェクタ、燃料電池スタック10に供給する空気の圧力を調整するための調圧バルブ、燃料電池スタック10に供給される空気の給排を切り換えるエア切換バルブ等である。機能部品20は、燃料電池スタック10が稼働するための補機である。
【0024】
燃料電池スタック10、機能部品20、水素タンク81、水素配管82、配電部83、キャパシタ84は、筐体30に収容されている。なお、
図2に示す水素タンク81、水素配管82、配電部83は、種々の形状が考えられるため、詳細な形状は記載せず、破線でその存在のみを図示している。また、燃料電池ユニット1には、上記した燃料電池スタック10、機能部品20、筐体30、水素タンク81、水素配管82、配電部83、及びキャパシタ84以外の構成も含まれているが、説明の都合上、図示及び詳細な説明を割愛する。
【0025】
図1及び
図2に示すように、筐体30は、直方体状をなしている。筐体30は、第1壁部31、第2壁部32、第3壁部33、第4壁部34、第5壁部35、及び第6壁部36を有している。
【0026】
第1壁部31及び第2壁部32は、燃料電池車両100の前後方向Aにおいて互いに対向している。第1壁部31は、燃料電池車両100の前方寄りに位置している。第2壁部32は、燃料電池車両100の後方寄りに位置している。第1壁部31及び第2壁部32は、長四角板状をなしている。第1壁部31の長手方向及び第2壁部32の長手方向は、燃料電池車両100の左右方向Bと一致している。第1壁部31の短手方向及び第2壁部32の短手方向は、燃料電池車両100の上下方向Cと一致している。
【0027】
第3壁部33及び第4壁部34は、燃料電池車両100の左右方向Bにおいて互いに対向している。第3壁部33は、燃料電池車両100の左方寄りに位置している。第4壁部34は、燃料電池車両100の右方寄りに位置している。第3壁部33及び第4壁部34は、長四角板状をなしている。第3壁部33の長手方向及び第4壁部34の長手方向は、燃料電池車両100の前後方向Aと一致している。第3壁部33の短手方向及び第4壁部34の短手方向は、燃料電池車両100の上下方向Cと一致している。第3壁部33の両短縁は、第1壁部31の第1短縁と、第2壁部32の第1短縁とを接続している。第4壁部34の両短縁は、第1壁部31の第2短縁と、第2壁部32の第2短縁とを接続している。
【0028】
第5壁部35及び第6壁部36は、燃料電池車両100の上下方向Cにおいて互いに対向している。第5壁部35は、燃料電池車両100の上方寄りに位置している。第6壁部36は、燃料電池車両100の下方寄りに位置している。第5壁部35及び第6壁部36は、長四角板状をなしている。第5壁部35の長手方向及び第6壁部36の長手方向は、燃料電池車両100の左右方向Bと一致している。第5壁部35の短手方向及び第6壁部36の短手方向は、燃料電池車両100の前後方向Aと一致している。第5壁部35の両短縁は、第3壁部33の第1長縁と、第4壁部34の第1長縁とを接続している。第5壁部35の両長縁は、第1壁部31の第1長縁と、第2壁部32の第1長縁とを接続している。第6壁部36の両短縁は、第3壁部33の第2長縁と、第4壁部34の第2長縁とを接続している。第6壁部36の両長縁は、第1壁部31の第2長縁と、第2壁部32の第2長縁とを接続している。
【0029】
図1に示すように、第4壁部34には、第4壁部34を厚さ方向に貫通する第1排出口34b(
図1の破線で示す)が形成されている。第1排出口34bは、筐体30の内外を連通している。第4壁部34には、第4壁部34を厚さ方向に貫通する第2排出口34c(
図1の破線で示す)が形成されている。第2排出口34cは、第1排出口34bの下方に形成されている。第2排出口34cは、筐体30の内外を連通している。
【0030】
第4壁部34には、第1ファン85と、第2ファン86とが設けられている。第1ファン85は、第2ファン86よりも出力が大きい。そのため、第1ファン85がメインファンであり、第2ファン86がサブファンである。第1ファン85及び第2ファン86は、第4壁部34の壁面34aに設けられている。壁面34aは、第4壁部34における筐体30の外部に臨む面である。第1ファン85は、第1排出口34bを覆うように壁面34aに配置されている。第2ファン86は、第2排出口34cを覆うように壁面34aに配置されている。なお、第1ファン85は、第1排出口34bを覆うように第4壁部34における壁面34aとは反対側の壁面に配置してもよく、第2ファン86は、第2排出口34cを覆うように第4壁部34における壁面34aとは反対側の壁面に配置してもよい。すなわち、第1ファン85及び第2ファン86は、第4壁部34側に第1排出口34b及び第2排出口34cを覆うように配置されていればよい。
【0031】
壁面34aの中央O1を通りつつ壁面34aに沿って上下方向Cに延びる仮想線を第1仮想線L1とし、壁面34aの中央O1を通りつつ壁面34aに沿って前後方向Aに延びる仮想線を第2仮想線L2とする。
【0032】
第1排出口34b及び第1ファン85は、第1仮想線L1と第2仮想線L2とにより区画される壁面34aの4つの領域のうち、第2壁部32寄りであって且つ第5壁部35寄りの領域に配置されている。第2排出口34c及び第2ファン86は、第1仮想線L1と第2仮想線L2とにより区画される壁面34aの4つの領域のうち、第2壁部32寄りであって且つ第6壁部36寄りの領域に配置されている。
【0033】
第1壁部31には、第1壁部31の第1長縁から第6壁部36に向けて凹む開口部31aが設けられている。開口部31aは、第5壁部35に向けて開口している。開口部31aは、第1壁部31を厚さ方向に貫通している。開口部31aには、キャパシタ84の一部が収容されている。キャパシタ84の一側面は、筐体30の外部に露出し、第1壁部31の壁面31bの一部を構成している。壁面31bは、第1壁部31における筐体30の外部に臨む面である。
【0034】
図2に示すように、第3壁部33には、複数の通気口87が設けられている。複数の通気口87は、第3壁部33を厚さ方向に貫通している。複数の通気口87は、筐体30の内外を連通している。第3壁部33における筐体30の外部に臨む面を壁面33aとする。壁面33aの中央O2を通りつつ壁面33aに沿って上下方向Cに延びる仮想線を第3仮想線L3とする。複数の通気口87は、第3仮想線L3により区画される壁面33aの2つの領域のうち、第2壁部32寄りの全域に設けられている。複数の通気口87は、上下方向C及び前後方向Aそれぞれに整列している。
【0035】
第3壁部33には、供給ノズル88が設けられている。供給ノズル88は、第3壁部33において、第3仮想線L3により区画される壁面33aの2つの領域のうち第1壁部31寄りの領域に設けられている。供給ノズル88は、外部の水素供給装置から筐体30に収容される水素タンク81に水素を供給するための供給口である。供給ノズル88は、供給配管89により水素タンク81と接続されている。水素タンク81の第3壁部33に臨む部分には、供給配管89から供給された水素を水素タンク81に貯留するための接続部90が設けられている。供給配管89は、筐体30の内部に収容されている。
【0036】
図1及び
図2に示すように、第5壁部35には、吸気口35aが設けられている。吸気口35aは、第5壁部35の中央に配置されている。吸気口35aは、第5壁部35を厚さ方向に貫通している。吸気口35aは、筐体30の内外を連通している。吸気口35aは、筐体30の内部に空気を取り入れるために設けられている。第5壁部35には、フィルタ部材91が設けられている。フィルタ部材91は、第5壁部35の中央に配置されている。フィルタ部材91は、箱状をなしている。フィルタ部材91は、第5壁部35に設けられている吸気口35aを覆うように配置されている。フィルタ部材91において、上下方向Cで第5壁部35と対向する部分には、複数の貫通孔91aが形成されている。貫通孔91aは、図示しないフィルタによって覆われている。当該フィルタは、筐体30の外部の空気を取り込むときに埃、塵等の異物を捕集する。なお、吸気口35aからは、例えば燃料電池車両100の走行風が取り込まれる。
【0037】
図3に示すように、筐体は、第1壁部31、第2壁部32、第3壁部33、第4壁部34、第5壁部35、及び第6壁部36を設けるための骨格部材であるメインフレーム40を有している。メインフレーム40は、筐体30の内部を複数の区画に仕切るために複数の区画壁を有している。メインフレーム40の区画壁により区画された空間には、上述した燃料電池スタック10、機能部品20、水素タンク81、配電部83等が収容される。なお、メインフレーム40は、筐体30の内部を複数の区画に仕切るうえで種々の形状が考えられる。そのため、本実施形態では、メインフレーム40の複数の区画壁のうち一部のみを
図3、
図4、及び
図8に示して説明し、メインフレーム40の構成の概略説明を割愛する。
【0038】
図2及び
図3に示すように、メインフレーム40は、平板状の第1フレーム41を有している。第1フレーム41は、長四角板状をなしている。第1フレーム41の長手方向は、燃料電池車両100の左右方向Bに一致している。第1フレーム41の短手方向は、燃料電池車両100の前後方向Aに一致している。
【0039】
図2に示すように、第1フレーム41は、筐体30の内部において、第2壁部32寄りに配置され、且つ第5壁部35と第6壁部36との間に配置されている。第1フレーム41の第5壁部35に対向する壁面41aには、燃料電池スタック10が載置されている。なお、第1フレーム41は、燃料電池スタック10が載置される載置部である。
【0040】
図3に示すように、第1フレーム41の壁面41aには、弾性部材により形成される3つのスタックマウント50が配置されている。3つのスタックマウント50それぞれを第1スタックマウント51、第2スタックマウント52、第3スタックマウント53とする。第1スタックマウント51、第2スタックマウント52、及び第3スタックマウント53は、円板状をなしている。第1スタックマウント51、第2スタックマウント52、第3スタックマウント53には、燃料電池スタック10が載置される。第1スタックマウント51、第2スタックマウント52、及び第3スタックマウント53は、第1フレーム41と燃料電池スタック10との間に設けられている。
【0041】
ここで、燃料電池スタック10において、壁面41aに対向する端面を第1端面10aとする。第1スタックマウント51及び第2スタックマウント52は、燃料電池スタック10の第1端面10aのうち燃料電池車両100の前方寄りに位置する2つの角部それぞれが載置されている。第1スタックマウント51は、第2スタックマウント52よりも燃料電池車両100の左方寄りに配置されている。第3スタックマウント53は、燃料電池スタック10の第1端面10aのうち燃料電池車両100の後方寄りに位置する長縁の中央が載置されている。すなわち、第1スタックマウント51、第2スタックマウント52、及び第3スタックマウント53は、壁面41aにおいて第1スタックマウント51と、第2スタックマウント52と、第3スタックマウント53とを結ぶ線が三角形状となる位置で燃料電池スタック10を支持している。
【0042】
第3スタックマウント53は、2層構造である。第3スタックマウント53は、円板状の基台部53aと、基台部53aの上面に積層される円板状のゴムシート53bと、を有している。
【0043】
ここで、第1スタックマウント51のばね定数をK1とし、第2スタックマウント52のばね定数をK2とし、基台部53aのばね定数をK3とし、ゴムシート53bのばね定数をK4とする。本実施形態では、以下の式1で示される関係となるようにばね定数K1,K2,K3,K4が設定されている。
【0044】
K1+K2=K3・K4/(K3+K4)…(式1)
燃料電池車両100の前方寄りに位置する第1スタックマウント51及び第2スタックマウント52は、第1弾性部材の一例であり、燃料電池車両100の後方寄りに位置する第3スタックマウント53は、第2弾性部材の一例である。そのため、上記式1は、第1弾性部材のばね定数と第2弾性部材のばね定数とが等しいことを示している。なお、ばね定数K1,K2,K3,K4は、燃料電池スタック10に加わる振動を十分に吸収できる程度の大きさに設定されている。
【0045】
また、第1フレーム41の壁面41aには、機能部品20も載置されている。機能部品20は、燃料電池スタック10と隣り合うように配置されている。機能部品20は、燃料電池スタック10よりも燃料電池車両100の前方寄りに配置されている。
【0046】
図2及び
図3に示すように、メインフレーム40は、第2フレーム42を有している。第2フレーム42は、筐体30の内部において、第1フレーム41よりも第1壁部31寄りに配置され、且つ第5壁部35と第6壁部との間に配置されている。第2フレーム42は、第1フレーム41よりも第5壁部35寄りに配置されている。
【0047】
第2フレーム42は、平板状の載置壁42aと、平板状の仕切壁42bと、を有している。載置壁42aは、長四角板状をなしている。載置壁42aの長手方向は、燃料電池車両100の左右方向Bに一致している。載置壁42aの短手方向は、燃料電池車両100の前後方向Aに一致している。載置壁42aには、配電部83が載置されている。
【0048】
仕切壁42bは、長四角板状をなしている。仕切壁42bの長手方向は、燃料電池車両100の左右方向Bに一致している。仕切壁42bの短手方向は、燃料電池車両100の上下方向Cに一致している。載置壁42aと仕切壁42bとは、断面がL字形状をなすように連続している。仕切壁42bは、載置壁42aの両長縁のうち燃料電池車両100の後方寄りに位置する長縁と連続している。仕切壁42bは、載置壁42aから第5壁部35に向けて延びている。仕切壁42bは、燃料電池車両100の上方に向けて延びている。仕切壁42bの載置壁42aとは反対側の長縁は、第5壁部35に接触していない。仕切壁42bの載置壁42aとは反対側の長縁の一部は、第5壁部35の吸気口35aと対向している。仕切壁42bは、燃料電池車両100の前後方向Aにおいて、燃料電池スタック10に対向する位置に設けられている。燃料電池スタック10と仕切壁42bとが対向する方向は、燃料電池車両100の前後方向Aである。なお、仕切壁42bは、サブフレームの一例である。
【0049】
図2に示すように、第1フレーム41及び第2フレーム42により、筐体30の内部は複数の区画に仕切られている。本実施形態では、第1フレーム41及び第2フレーム42により、筐体30の内部には、第1区画P1と、第2区画P2と、第3区画P3とが少なくとも区画されている。
【0050】
第1区画P1は、第2壁部32、第3壁部33、第4壁部34、第5壁部35、第1フレーム41、及び仕切壁42bにより区画されている。第1区画P1には、燃料電池スタック10及び機能部品20が収容されている。機能部品20は、燃料電池スタック10と仕切壁42bの間に設けられている。第1区画P1には、第3壁部33に形成される複数の通気口87の一部と、
図1に示す第1排出口34bとが連通している。
【0051】
第2区画P2は、第1壁部31、第3壁部33、第4壁部34、第5壁部35、キャパシタ84、載置壁42a、及び仕切壁42bにより区画されている。第2区画P2は、第1区画P1と隣り合うように配置されている。第2区画P2は、第1区画P1よりも燃料電池車両100の前方寄りに位置している。第2区画P2には、配電部83が収容されている。
【0052】
第3区画P3は、第1壁部31、第2壁部32、第3壁部33、第4壁部34、第6壁部36、第1フレーム41、及び載置壁42aにより区画されている。第3区画P3は、第1区画P1及び第2区画P2の下方に位置している。第3区画P3のうち載置壁42aの下方には、水素タンク81が収容されている。第2フレーム42が第1フレーム41よりも第5壁部35寄りに配置されているため、第1区画P1と第3区画P3とは、第1フレーム41と第2フレーム42との間に形成される空隙Sを介して連通している。水素配管82は、空隙Sを介して第3区画P3から第1区画P1まで延び、機能部品20のうちの水素循環ポンプに接続される。第3区画P3のうち第1フレーム41の下方に位置する部分には、第3壁部33に形成される複数の通気口87の一部と、
図1に示す第2排出口34cとが連通している。また、第3区画P3のうち第1フレーム41の下方に位置する部分には、図示しない放電抵抗等が収容されている。
【0053】
第1区画P1と第2区画P2とは、仕切壁42bと第5壁部35との間の空隙を介して連通している。また、第1区画P1及び第2区画P2は、第5壁部35の吸気口35aと連通している。そのため、第1ファン85及び第2ファン86の動力により複数の通気口87及び吸気口35aから吸入された空気は、第1区画P1、第2区画P2、及び第3区画P3を通過して、第1排出口34b及び第2排出口34cから排出される。よって、燃料電池スタック10、配電部83、図示しない放電抵抗等が冷却される。
【0054】
図4に示すように、燃料電池ユニット1は、電子部品としての水素ディテクタ60と、水素ディテクタ60が設けられているブラケット70と、を備えている。水素ディテクタ60及びブラケット70は、第1区画P1に収容されている。
【0055】
ここで、燃料電池スタック10において、第5壁部35に対向する端面を第2端面10bとする。ブラケット70は、燃料電池スタック10の第2端面10bのうち仕切壁42b寄りに位置する長縁と、仕切壁42bにおける燃料電池スタック10に臨む壁面42cとに接続されている。ブラケット70は、燃料電池スタック10と仕切壁42bとに接続されている。ブラケット70は、機能部品20の上方に位置している。ブラケット70は、機能部品20を覆うように配置されている。
【0056】
ブラケット70は、第1ブラケット71と、2つの第2ブラケット72と、第3ブラケット73と、弾性部材により形成される緩衝部材74とを有している。
図5に示すように、第1ブラケット71は、長四角板状の本体部71aと、本体部71aの第1長縁から延びる板状の取付板部71bと、本体部71aの第2長縁から延びる板状の張出部71cと、を有している。
【0057】
取付板部71bは、本体部71aの第1長縁の中央部の所定範囲に設けられている。取付板部71bは、第1延設部71dと、第2延設部71eと、第3延設部71fとを有している。
【0058】
第1延設部71dは、長四角板状である。第1延設部71dの第1長縁は、本体部71aの第1長縁の中央部の所定範囲の部分と連結している。第1延設部71dは、本体部71aから本体部71aの厚さ方向に屈曲することなく延びている。
【0059】
第2延設部71eは、長四角板状をなしている。第2延設部71eの第1長縁は、第1延設部71dの第2長縁と連続している。第2延設部71eは、第1延設部71dの第2長縁から本体部71aの壁面711から離間するように屈曲している。
【0060】
第3延設部71fは、長四角板状をなしている。第3延設部71fの第1長縁は、第2延設部71eの第2長縁と連続している。第3延設部71fは、第2延設部71eの第2長縁から屈曲するように延びている。第3延設部71fは、第2延設部71eの第2長縁から第1延設部71dと平行をなすように延びている。第3延設部71fには、2つの貫通孔71gが形成されている。2つの貫通孔71gは、第3延設部71fを厚さ方向に貫通している。2つの貫通孔71gは、第3延設部71fの長手方向において、第3延設部71fの両短縁の近傍に対称的に配置されている。このように構成された取付板部71bは、本体部71aから離れるにつれて2回屈曲している。
【0061】
張出部71cは、本体部71aの第2長縁の中央部の所定範囲に設けられている。張出部71cは、本体部71aの長手方向において、取付板部71bと同じ位置に配置されている。張出部71cは、本体部71aの短手方向において、取付板部71bと対称的な位置に配置されている。張出部71cは、長四角板状をなしている。張出部71cの第1長縁は、本体部71aの第2長縁の中央部の所定範囲の部分と連結している。張出部71cは、本体部71aから本体部71aの厚さ方向に屈曲することなく延びている。張出部71cには、貫通孔71hが形成されている。貫通孔71hは、張出部71cを厚さ方向に貫通している。
【0062】
第1ブラケット71は、枠部71iを有している。枠部71iは、取付板部71bが連結している部分を除いて、本体部71a及び張出部71cの外縁から本体部71aの壁面711から離間するように突出している。枠部71iは、本体部71aの厚さ方向において、第2延設部71eが第1延設部71dから突出する方向と同じ方向に突出している。第1ブラケット71において、枠部71iにより壁面711の大部分が囲まれ、取付板部71bが連結している部分が開口している。
【0063】
図4に示すように、第1ブラケット71は、機能部品20の上方に配置されている。第1ブラケット71は、機能部品20を覆うように配置されている。第1ブラケット71は、枠部71i及び本体部71aにより囲まれた空間が機能部品20に臨むように配置されている。第1ブラケット71の取付板部71bが燃料電池スタック10の第2端面10bのうち仕切壁42b寄りに位置する長縁にボルト92により接続されている。ボルト92は、取付板部71bの2つの貫通孔71gそれぞれに挿通され、燃料電池スタック10の第2端面10bに螺合されている。第1ブラケット71は、燃料電池スタック10に接続されている。第1ブラケット71の張出部71cには、水素ディテクタ60が載置されている。水素ディテクタ60は、張出部71cの貫通孔71hを覆うように配置されている。
【0064】
機能部品20には、水素循環ポンプやインジェクタ等の水素が通過する補機が含まれている。そのため、機能部品20から仮に水素が洩れた場合、水素は機能部品20から上方に上昇しうる。上昇した水素は、第1ブラケット71の枠部71i及び本体部71aにより囲まれた空間により捕集される。第1ブラケット71により捕集された水素は、貫通孔71hを通じて水素ディテクタ60に到達し、水素ディテクタ60により検知される。よって、ブラケット70は、ブラケット70の下方から上昇しうる水素を捕集する水素カバーである第1ブラケット71を含み、水素ディテクタ60は、水素を検知する水素センサである。
【0065】
2つの第2ブラケット72は、第1ブラケット71のうち張出部71cの両短縁から延びる枠部71iそれぞれに、例えば接着剤やボルト等の接続手段により接続されている。接続手段は、適宜変更してもよい。
【0066】
図6に示すように、第2ブラケット72は、矩形板状の第1板部72aと、矩形板状の第2板部72bと、を有している。第1板部72aと第2板部72bとは断面がL字形状をなすように連続している。第1板部72aは、第2板部72bの厚さ方向に延びている。
【0067】
第2板部72bには、切欠き溝72cが形成されている。切欠き溝72cは、第2板部72bを厚さ方向に貫通している。切欠き溝72cは、第2板部72bの第1板部72aとは反対側に位置する縁部に開口している。切欠き溝72cは、第2板部72bの第1板部72aとは反対側に位置する縁部から第2板部72bの中央まで凹んでいる。
【0068】
図4に示すように、2つの第2ブラケット72は、第2ブラケット72の第1板部72aにおける第2板部72bとは反対側の端面72dの一部が張出部71cの両短縁それぞれから突出する枠部71iそれぞれに接続されるように配置されている。一方の第2ブラケット72の第2板部72bの切欠き溝72cは、燃料電池車両100の左方に向けて開口し、他方の第2ブラケット72の第2板部72bの切欠き溝72cは、燃料電池車両100の右方に向けて開口している。
【0069】
図7に示すように、第3ブラケット73は、長四角板状の連結部73aと、連結部73aの第1短縁に連続している第1接続部73bと、連結部73aの第2短縁に連続している第2接続部73cと、を有している。
【0070】
第1接続部73bは、長四角板状の第1板部731bと、長四角板状の第2板部732bと、を有している。第1板部731bの第1長縁の中央部には、連結部73aの第1短縁が連続している。第1板部731bには、貫通孔733bが形成されている。貫通孔733bは、第1板部731bを厚さ方向に貫通している。なお、貫通孔733bの内周面には、雌ねじ溝が形成されている。
【0071】
第2板部732bは、第1板部731bと一体的に形成されている。第2板部732bは、第1板部731bとともに断面L字形状をなすように第1板部731bの縁部から第1板部731bの厚さ方向に延びている。
【0072】
第2接続部73cは、連結部73aを基準として第1接続部73bと対称的な形状を有している。第2接続部73cは、長四角板状の第1板部731cと、長四角板状の第2板部732cと、を有している。第1板部731cの第1長縁の中央部には、連結部73aの第2短縁が連続している。第1板部731cには、貫通孔733cが形成されている。貫通孔733cは、第1板部731cを厚さ方向に貫通している。なお、貫通孔733cの内周面には、雌ねじ溝が形成されている。
【0073】
第2板部732cは、第1板部731cと一体的に形成されている。第2板部732cは、第1板部731cとともに断面L字形状をなすように第1板部731cの縁部から第1板部731cの厚さ方向に延びている。
【0074】
図4に示すように、第3ブラケット73は、第1接続部73bの第2板部732b及び第2接続部73cの第2板部732cが、仕切壁42bの壁面42cに例えば接着剤やボルト等の接続手段により接続されるように配置されている。接続手段は、適宜変更してもよい。第1板部731b,731cそれぞれは、第2ブラケット72の第2板部72bそれぞれの下方に位置している。
【0075】
図8に示すように、緩衝部材74は、円筒状の軸部74aと、軸部74aの第1端に設けられた円板状の第1挟持部74bと、軸部74aの第2端に設けられた円板状の第2挟持部74cと、を有している。軸部74a、第1挟持部74b、及び第2挟持部74cは同軸上に配置されている。第1挟持部74bには、軸部74aの内部に連通する第1貫通孔741bが形成されている。第2挟持部74cには、軸部74aの内部に連通する第2貫通孔741cが形成されている。第1貫通孔741b、第2貫通孔741c、及び軸部74aの内周面741aとは、全て連続し、円筒面をなしている。すなわち、第1貫通孔741b、第2貫通孔741c、及び軸部74aの内周面741aにより貫通孔745が形成されている。
【0076】
図4及び
図8に示すように、緩衝部材74の第1挟持部74bは、第1板部731b,731c上に載置されている。緩衝部材74の貫通孔745は、第1板部731b,731cそれぞれに形成された貫通孔733b,733cそれぞれと連通するように配置されている。緩衝部材74の軸部74aは、第2板部72bの切欠き溝72cに嵌め込まれている。緩衝部材74の第2挟持部74cは、第2板部72b上に載置されている。すなわち、第1挟持部74bと第2挟持部74cは、第2板部72bを挟み込んでいる。第1挟持部74bと第2挟持部74cとにより第2板部72bを挟み込んだ状態で、ボルト75が緩衝部材74の貫通孔745に挿通され、且つ第1板部731b,731cの貫通孔733b,733cの雌ねじ溝に螺合される。すなわち、第2ブラケット72と第3ブラケット73とが緩衝部材74を介して接続されている。
【0077】
本実施形態の作用を説明する。
図9に示すように、例えば、燃料電池車両100は前進する割合が多く、燃料電池ユニット1には、燃料電池車両100の前後方向Aに外力が入力され易い。そのため、燃料電池ユニット1に外力が加わると、燃料電池スタック10には、第1スタックマウント51及び第2スタックマウント52を支点として燃料電池スタック10の重心が仕切壁42bに向けて回転するようなモーメントが発生する。当該モーメントにより燃料電池スタック10には、第3スタックマウント53の位置で燃料電池車両100の上下方向Cに振動が発生し、且つ燃料電池スタック10の燃料電池車両100の前方寄りに配置されたブラケット70には、燃料電池車両100の前後方向Aに振動が発生する。
【0078】
本実施形態では、燃料電池ユニット1に振動が加わると、水素ディテクタ60には、燃料電池スタック10、及びブラケット70を介して振動が加わるが、スタックマウント50により燃料電池スタック10の振動が緩和され、ブラケット70の振動も緩和される。そのため、燃料電池スタック10及びブラケット70を介して水素ディテクタ60に加わる振動が抑制される。また、ブラケット70が燃料電池スタック10と仕切壁42bとに接続されているため、ブラケット70の振動を更に抑制でき、水素ディテクタ60の振動を更に抑制される。
【0079】
本実施形態の効果を説明する。
(1)スタックマウント50により燃料電池スタック10の振動が緩和され、ブラケット70の振動も緩和され、燃料電池スタック10及びブラケット70を介して水素ディテクタ60に加わる振動を抑制できる。また、ブラケット70が燃料電池スタック10と仕切壁42bとに接続されているため、ブラケット70の振動を更に抑制でき、水素ディテクタ60の振動を更に抑制できる。したがって、水素ディテクタ60の耐振動性を向上できる。
【0080】
(2)第1ブラケット71により捕集された水素を水素ディテクタ60により検知することができる。したがって、燃料電池ユニット1の信頼性を向上できる。
(3)燃料電池車両100が加減速するとき、燃料電池ユニット1に加わる振動が大きくなる。
【0081】
本実施形態では、燃料電池スタック10と仕切壁42bとが対向する方向が燃料電池車両100の前後方向Aであるため、水素ディテクタ60の耐振動性の向上の効果が顕著となる。
【0082】
(4)燃料電池スタック10に第1スタックマウント51及び第2スタックマウント52を支点として仕切壁42bに向けて回転するようなモーメントが発生すると、第1スタックマウント51及び第2スタックマウント52には、第3スタックマウント53よりも応力が発生し易い。
【0083】
第1スタックマウント51及び第2スタックマウント52のばね定数と、第3スタックマウント53のばね定数を等しくしている。そのため、第1スタックマウント51及び第2スタックマウント52のばね定数が、第3スタックマウント53のばね定数よりも大きい場合と比較して、第3スタックマウント53の位置における燃料電池スタック10の振動を抑制できる。
【0084】
(5)機能部品20を燃料電池スタック10に近接させているため、燃料電池ユニット1の体格の大型化を抑制できる。
(6)燃料電池スタック10の振動によって生じる第1ブラケット71の振動を緩衝部材74により吸収することができる。よって、第1ブラケット71の振動を抑制でき、ひいては水素ディテクタ60の耐振動性をより向上できる。
【0085】
(7)第1スタックマウント51及び第2スタックマウント52のばね定数と、第3スタックマウント53のばね定数を等しくし、第3スタックマウント53の位置における燃料電池スタック10の振動を抑制できるため、燃料電池スタック10から機能部品20に対する振動の伝達も抑制できる。
【0086】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
○ 第1ブラケット71、第2ブラケット72、及び第3ブラケット73の形状は、適宜変更してもよい。
【0087】
○ 緩衝部材74を介さずに、第2ブラケット72と第3ブラケット73とを接続してもよい。
○ 第2ブラケット72と緩衝部材74を割愛し、ブラケット70を第1ブラケット71と、第3ブラケット73とにより構成してもよい。このように変更する場合、第1ブラケット71と第3ブラケット73とを接続する。
【0088】
○ ブラケット70は、第1ブラケット71のみで構成してもよい。この場合、第1ブラケット71の張出部71cを仕切壁42bに接続するように変更する。
○ 機能部品20を燃料電池スタック10に隣り合うように配置しなくてもよい。例えば、機能部品20を第3区画P3における第1フレーム41の下方に収容してもよい。
【0089】
○ 第1ブラケット71は、水素カバーとしての機能を有することに限らない。そして、水素ディテクタ60に代替して、第1ブラケット71には、例えば、配電部83に流れる電流を測定するセンサや電圧を測定するセンサ等の電子部品を設けてもよい。第1ブラケット71に設ける電子部品は、適宜変更してもよい。
【0090】
○ 第2スタックマウント52を割愛し、第1スタックマウント51を第1弾性部材としてもよい。第1スタックマウント51を割愛し、第2スタックマウント52を第1弾性部材としてもよい。もしくは、第1スタックマウント51、及び第2スタックマウント52に第4スタックマウントを加えて第1弾性部材としてもよい。同様に、第3スタックマウント53に加えて第5スタックマウントを加えて第2弾性部材としてもよい。すなわち、第1弾性部材及び第2弾性部材を構成するマウントの数は適宜変更してもよい。ただし、第1弾性部材及び第2弾性部材のばね定数が燃料電池スタック10に加わる振動を十分に吸収することができるようにマウントの数を変更する。
【0091】
○ 第3スタックマウント53は、ゴムシート53bを有していたが、割愛してもよい。その場合、K1+K2=K3…(式2)となるようにばね定数K1,K2,K3を調整する。
【0092】
○ スタックマウント50として、第1スタックマウント51、第2スタックマウント52、及び第3スタックマウント53を採用したが、例えば、燃料電池スタック10の第1端面10aと、第1フレーム41との間の全域に配置される平板状のゴムシートをスタックマウント50としてもよい。
【0093】
○ 燃料電池ユニット1を燃料電池車両100に搭載したとき、燃料電池スタック10と仕切壁42bと対向する方向が、燃料電池車両100の左右方向Bであってもよい。すなわち、燃料電池ユニット1を燃料電池車両100に搭載したときの燃料電池スタック10と仕切壁42bとが対向する方向は、燃料電池車両100の上下方向Cを除く任意の方向であってよい。
【0094】
○ 燃料電池ユニット1は、燃料電池車両100に搭載されるもの限らず、適用先は適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0095】
1…燃料電池ユニット、10…燃料電池スタック、20…機能部品、40…メインフレーム、41…第1フレーム、42…第2フレーム、42b…仕切壁、50…スタックマウント、51…第1スタックマウント、52…第2スタックマウント、53…第3スタックマウント、60…水素ディテクタ、70…ブラケット、71…第1ブラケット、72…第2ブラケット、73…第3ブラケット、74…緩衝部材、100…燃料電池車両、A…前後方向、B…左右方向、C…上下方向、K1,K2,K3,K4…ばね定数。