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特許7384771蒸気タービンプラント、及びそのクリーニング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】蒸気タービンプラント、及びそのクリーニング方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/00 20060101AFI20231114BHJP
   F01D 25/32 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
F01D25/00 R
F01D25/32 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020157199
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022050980
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤村 大輝
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 高史
(72)【発明者】
【氏名】黒島 歩
(72)【発明者】
【氏名】五島 礎洋
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-1783(JP,A)
【文献】特開平10-331607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/00
F01D 25/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を発生可能なボイラと、
前記ボイラからの蒸気で駆動可能な蒸気タービンと、
前記蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻すことができる復水器と、
前記復水器からの水を昇圧可能な復水ポンプと、
前記ボイラで発生した蒸気を前記蒸気タービンに導ける主蒸気ラインと、
前記主蒸気ラインに設けられ、前記蒸気タービンへの蒸気の流入を止めることが可能な蒸気止め弁と、
前記主蒸気ライン中で前記蒸気止め弁よりも前記ボイラの側の位置から分岐して、前記復水器に接続されているバイパスラインと、
前記バイパスラインに設けられているバイパス弁と、
前記復水器内の水を前記復水ポンプに導ける復水ラインと、
前記復水ラインに設けられている復水出口弁と、
前記復水ポンプで昇圧された水を前記ボイラに導ける給水ラインと、
純水を蓄えることが可能な純水タンクと、前記純水タンク内の純水を前記復水器に導ける純水ラインと、前記純水ラインに設けられている純水ポンプと、前記純水ライン中で前記純水ポンプよりも前記復水器の側に設けられている純水調節弁と、を有する純水供給装置と、
前記復水ライン中で、前記復水出口弁よりも前記復水器の側の位置から分岐している第一接続部と、
前記復水ライン中で、前記復水出口弁よりも前記復水ポンプの側の位置からの分岐している第二接続部と、
前記純水ライン中で、前記純水ポンプよりも前記復水器の側で且つ前記純水調節弁よりも前記純水タンクの側の位置から分岐している第三接続部と、
を備え、
前記第一接続部は、第一ラインと接続可能な第一接続座を有し、
前記第二接続部は、第二ラインと接続可能な第二接続座を有し、
前記第三接続部は、前記第二ラインと接続可能な第三接続座を有する、
蒸気タービンプラント。
【請求項2】
請求項1に記載の蒸気タービンプラントにおいて、
前記第一接続座、前記第二接続座及び前記第三接続座は、いずれも、接続フランジである、
蒸気タービンプラント。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の蒸気タービンプラントにおいて、
さらに、前記バイパスライン中で、前記バイパス弁よりも前記ボイラの側に設置され、前記バイパスラインを流れてきた蒸気中に含まれる異物を除去可能な慣性フィルタを備える蒸気タービンプラント。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の蒸気タービンプラントにおいて、
さらに、前記給水ラインからの水を浄化可能な排水処理装置と、
前記給水ラインから分岐し、前記給水ラインを流れる水を前記排水処理装置に導ける給水ブローラインと、
前記給水ブローラインに設けられている給水ブロー弁と、
前記給水ラインに接続され、前記給水ラインを流れる水の水質を検知できる水質検知器と、
を備える蒸気タービンプラント。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の蒸気タービンプラントにおいて、
さらに、ブローイング水回収装置を備え、
前記ブローイング水回収装置は、
前記復水器からの水を一時的に蓄えることが可能なブローイング水タンクと、
前記第一接続座と前記ブローイング水タンクとを接続し、前記復水器からの水を前記ブローイング水タンクに導けるブローイング水ラインと、
前記ブローイング水ラインに設けられているブローイング水弁と、
を有し、
前記第一ラインは、前記ブローイング水ラインである、
する蒸気タービンプラント。
【請求項6】
請求項4に記載の蒸気タービンプラントにおいて、
さらに、ブローイング水回収装置を備え、
前記ブローイング水回収装置は、
前記復水器からの水を一時的に蓄えることが可能なブローイング水タンクと、
前記第一接続座と前記ブローイング水タンクとを接続し、前記復水器からの水を前記ブローイング水タンクに導けるブローイング水ラインと、
前記ブローイング水ラインに設けられているブローイング水弁と、
前記ブローイング水タンクと前記排水処理装置とを接続し、前記ブローイング水タンク内の水を前記排水処理装置に導けるブローイング水排出ラインと、
を有し、
前記第一ラインは、前記ブローイング水ラインである、
する蒸気タービンプラント。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の蒸気タービンプラントにおいて、
さらに、仮純水ラインを備え、
前記仮純水ラインは、前記第二ラインとして、前記第二接続座及び前記第三接続座に接続可能である、
蒸気タービンプラント。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の蒸気タービンプラントにおいて、
さらに、タービン保護板を備え、
前記復水器は、前記蒸気タービンからの蒸気及び前記バイパスラインからの蒸気が流入可能な復水器ケーシングと、前記復水器ケーシング内に配置され、複数の伝熱管で構成される伝熱管群と、を有し、
前記タービン保護板は、前記復水器ケーシング内で、前記復水器ケーシングと前記バイパスラインとの接続位置よりも前記蒸気タービンの側に設けられ、前記バイパスラインからの蒸気が前記蒸気タービンに流入するのを抑制可能である、
蒸気タービンプラント。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の蒸気タービンプラントにおいて、
さらに、伝熱管保護ネットを備え、
前記復水器は、前記蒸気タービンからの蒸気及び前記バイパスラインからの蒸気が流入可能な復水器ケーシングと、前記復水器ケーシング内に配置され、複数の伝熱管で構成される伝熱管群と、を有し、
前記伝熱管保護ネットは、前記伝熱管群中で、前記バイパスラインからの蒸気が流入する側を少なくとも覆うことが可能である、
蒸気タービンプラント。
【請求項10】
蒸気を発生可能なボイラと、
前記ボイラからの蒸気で駆動可能な蒸気タービンと、
前記蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻すことできる復水器と、
前記復水器からの水を昇圧可能な復水ポンプと、
前記ボイラで発生した蒸気を前記蒸気タービンに導ける主蒸気ラインと、
前記主蒸気ラインに設けられ、前記蒸気タービンへの蒸気の流入を止めることが可能な蒸気止め弁と、
前記主蒸気ライン中で前記蒸気止め弁よりも前記ボイラの側の位置から分岐して、前記復水器に接続されているバイパスラインと、
前記バイパスラインに設けられているバイパス弁と、
前記復水器内の水を前記復水ポンプに導ける復水ラインと、
前記復水ラインに設けられている復水出口弁と、
前記復水ポンプで昇圧された水を前記ボイラに導ける給水ラインと、
純水を蓄えることが可能な純水タンクを有し、前記純水タンク内の純水を前記復水器内に供給可能な純水供給装置と、
を備える蒸気タービンプラントのクリーニング方法において、
準備工程と、ブローイングアウト工程と、を実行し、
前記準備工程は、
前記復水ライン中で、前記復水出口弁よりも前記復水器の側の位置に、前記復水器からの水を一時的に蓄えることが可能なブローイング水タンクを有するブローイング水回収装置を接続するブローイング水回収装置設置工程と、
前記復水ライン中で、前記復水出口弁よりも前記復水ポンプの側の位置に、前記純水タンク内の水を送れるよう、仮純水ラインを接続する仮純水ライン接続工程と、
を含み、
前記ブローイングアウト工程は、
前記蒸気止め弁及び前記復水出口弁を閉じ、前記バイパス弁を開けるブローイングアウトライン設定工程と、
前記仮純水ライン、前記復水ポンプ、及び前記給水ラインを介して、前記純水タンク内の純水を前記ボイラに供給する純水供給工程と、
前記純水供給工程で前記ボイラに供給された純水を、前記ボイラ内で加熱して蒸気を発生させ、前記主蒸気ライン及び前記バイパスラインを介して、前記ボイラで発生した蒸気を復水器に導き、前記復水器に導かれた蒸気を前記復水器内で水に戻す蒸気供給工程と、
前記蒸気供給工程で前記復水器内に溜まった水を前記ブローイング水タンクに送るブローイング水回収工程と、
を含む、
蒸気タービンプラントのクリーニング方法。
【請求項11】
請求項10に記載の蒸気タービンプラントのクリーニング方法において、
前記準備工程は、前記復水器内で、前記バイパスラインからの蒸気が流入する位置よりも、前記蒸気タービンの側の位置に、前記バイパスラインからの蒸気が前記蒸気タービンに流入するのを抑制するタービン保護板を設ける保護板設置工程を含む、
蒸気タービンプラントのクリーニング方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の蒸気タービンプラントのクリーニング方法において、
前記復水器は、前記蒸気タービンからの蒸気及び前記バイパスラインからの蒸気が流入可能な復水器ケーシングと、前記復水器ケーシング内に配置され、前記復水器ケーシング内に流入した蒸気と冷却媒体とを熱交換させて、蒸気を凝縮可能な複数の伝熱管で構成される伝熱管群と、を有し、
前記準備工程は、前記伝熱管群中で、少なくとも前記バイパスラインからの蒸気が流入する側を伝熱管保護ネットで覆う保護ネット設置工程を含む、
蒸気タービンプラントのクリーニング方法。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか一項に記載の蒸気タービンプラントのクリーニング方法において、
前記ブローイングアウト工程は、さらに、
前記バイパスラインから前記復水器に流入する蒸気中に含まれる異物量、又は前記復水器から前記ブローイング水タンクに流入する水中に含まれる異物量を検知する異物検知工程と、
前記異物量が予め定められた量未満であるか否かを判断する異物量判断工程と、
を含み、
前記異物量判断工程で、前記異物量が予め定められた量未満であると判断さることを条件として、前記ブローイングアウト工程を終了する、
蒸気タービンプラントのクリーニング方法。
【請求項14】
請求項13に記載の蒸気タービンプラントのクリーニング方法において、
さらに、前記ブローイングアウト工程後に、循環ライン設定工程と、循環工程と、水質検知工程と、を実行し、
前記循環ライン設定工程では、前記蒸気止め弁を閉じ、前記バイパス弁及び前記復水出口弁を開け、
前記循環工程では、前記復水ライン、前記復水出口弁、前記復水ポンプ及び前記給水ラインを介して、前記復水器内の水を前記ボイラに供給して、前記ボイラで前記水を加熱して蒸気を発生させ、前記主蒸気ライン及び前記バイパスラインを介して、前記ボイラで発生した蒸気を復水器に導き、前記復水器に導かれた蒸気を前記復水器内で水に戻し、
前記水質検知工程では、前記復水器からの水の水質を検知する、
蒸気タービンプラントのクリーニング方法。
【請求項15】
請求項14に記載の蒸気タービンプラントのクリーニング方法において、
さらに、前記水質検知工程で検知された水質が予め定められた汚染度以上である場合に、前記給水ラインを流れる水を浄化可能な排水処理装置にブローする給水ブロー工程を実行し、
前記循環工程中に、前記水質検知工程で検知された水質が予め定められた汚染度未満になると、前記循環工程及び前記給水ブロー工程を終了する、
蒸気タービンプラントのクリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ボイラ及び蒸気タービンを備える蒸気タービンプラント、及びそのクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンプラントは、一般的に、ボイラと、ボイラからの蒸気で駆動する蒸気タービンと、蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻す復水器と、復水ポンプや給水ポンプ等の各種ポンプと、ボイラで発生した蒸気を蒸気タービンに導く主蒸気ラインと、主蒸気ラインに設けられている蒸気止め弁と、復水器内の水を復水ポンプや給水ポンプ等を介してボイラに導く水ラインと、主蒸気ライン中で蒸気止め弁よりもボイラ側の位置から分岐して復水器に接続されているバイパスラインと、バイパスラインに設けられているバイパス弁と、を備える。
【0003】
蒸気タービンプラントの建設後や蒸気タービンプラントの修理後、配管内や各種機器内に溶接スラグや研削屑等の異物が残る。このため、以上のような蒸気タービンプラントでは、その建設後や修理後に、異物を除去するため、ブローイングアウト(又はフラッシング)が行われる。
【0004】
蒸気タービンプラントのクリーニング方法に関しては、例えば、以下の特許文献1に開示されている。
【0005】
この特許文献1に開示されているクリーニング方法では、ブローイングアウトの実行に先立ち、仮設配管を設置する。この仮説配管の一端は、バイパス弁に接続され、仮設配管の他端は、各種ラインを介して、放出管に接続されている。次に、ボイラで蒸気を発生させて、この蒸気を主蒸気ライン、バイパスライン、バイパス弁、仮設配管、各種ラインを介して、放出管から大気に放出する。すなわち、このブローイングアウトでは、ボイラで発生した蒸気を蒸気タービンに流入させることなく、仮設配管等を介して、大気に放出することで、配管内に残った異物を蒸気と共に大気に放出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-089656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の技術では、配管内に残った異物を蒸気と共に大気に放出されるため、プラント周りを汚染する上に、蒸気の大気放出時の騒音が伴う、という問題点がある。
【0008】
そこで、本開示は、プラント周りの汚染及び騒音を抑えることができる蒸気タービンプラント、及びそのクリーニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための一態様としての蒸気タービンプラントは、
蒸気を発生可能なボイラと、前記ボイラからの蒸気で駆動可能な蒸気タービンと、前記蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻すことができる復水器と、前記復水器からの水を昇圧可能な復水ポンプと、前記ボイラで発生した蒸気を前記蒸気タービンに導ける主蒸気ラインと、前記主蒸気ラインに設けられ、前記蒸気タービンへの蒸気の流入を止めることが可能な蒸気止め弁と、前記主蒸気ライン中で前記蒸気止め弁よりも前記ボイラの側の位置から分岐して、前記復水器に接続されているバイパスラインと、前記バイパスラインに設けられているバイパス弁と、前記復水器内の水を前記復水ポンプに導ける復水ラインと、前記復水ラインに設けられている復水出口弁と、前記復水ポンプで昇圧された水を前記ボイラに導ける給水ラインと、純水供給装置と、を備える。純水供給装置は、純水を蓄えることが可能な純水タンクと、前記純水タンク内の純水を前記復水器に導ける純水ラインと、前記純水ラインに設けられている純水ポンプと、前記純水ライン中で前記純水ポンプよりも前記復水器の側に設けられている純水調節弁と、を有する。この蒸気タービンプラントは、さらに、前記復水ライン中で、前記復水出口弁よりも前記復水器の側の位置から分岐している第一接続部と、前記復水ライン中で、前記復水出口弁よりも前記復水ポンプの側の位置からの分岐している第二接続部と、前記純水ライン中で、前記純水ポンプよりも前記復水器の側で且つ前記純水調節弁よりも前記純水タンクの側の位置から分岐している第三接続部と、を備える。前記第一接続部は、第一ラインと接続可能な第一接続座を有する。前記第二接続部は、第二ラインと接続可能な第二接続座を有する。前記第三接続部は、前記第二ラインと接続可能な第三接続座を有する。
【0010】
本態様の蒸気タービンプラントでは、ブローイングアウトを実行する際、蒸気止め弁、バイパス弁、及び復水出口弁を閉めた状態で、復水ポンプを駆動し、第二接続部から復水ポンプに純水を供給する。この結果、この純水は、給水ラインを介して、ボイラに流入する。ボイラに流入した蒸気は、主蒸気ラインの一部及びバイパスラインを介して、復水器内に流入する。この蒸気は、復水器内で水に戻り、復水器内に溜まる。復水器内に溜まった水は、復水ライン及び第一接続部から排出され、タンク等の容器に回収される。このように、本態様の蒸気タービンプラントでは、異物を含む蒸気を水に戻してから、これを容器に回収することができるので、プラント周りの汚染及び騒音を抑えることができる。
【0011】
また、本態様の蒸気タービンプラントでは、第二接続座と第三接続座とを第二ラインで接続することで、純水タンク内の純水を復水ポンプに供給することができる。しかも、本実施形態の蒸気タービンプラントでは、第一接続部、第二接続部、及び第三接続部のそれぞれが接続座を有するので、これらの接続部に容易にラインを接続することができる。
【0012】
前記目的を達成するための一態様としての蒸気タービンプラントのクリーニング方法は、以下の蒸気タービンプラントに適用される。
この蒸気タービンプラントは、蒸気を発生可能なボイラと、前記ボイラからの蒸気で駆動可能な蒸気タービンと、前記蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻すことできる復水器と、前記復水器からの水を昇圧可能な復水ポンプと、前記ボイラで発生した蒸気を前記蒸気タービンに導ける主蒸気ラインと、前記主蒸気ラインに設けられ、前記蒸気タービンへの蒸気の流入を止めることが可能な蒸気止め弁と、前記主蒸気ライン中で前記蒸気止め弁よりも前記ボイラの側の位置から分岐して、前記復水器に接続されているバイパスラインと、前記バイパスラインに設けられているバイパス弁と、前記復水器内の水を前記復水ポンプに導ける復水ラインと、前記復水ラインに設けられている復水出口弁と、前記復水ポンプで昇圧された水を前記ボイラに導ける給水ラインと、純水を蓄えることが可能な純水タンクを有し、前記純水タンク内の純水を前記復水器内に供給可能な純水供給装置と、を備える。
このクリーニング方法では、準備工程と、ブローイングアウト工程と、を実行する。前記準備工程は、前記復水ライン中で、前記復水出口弁よりも前記復水器の側の位置に、前記復水器からの水を一時的に蓄えることが可能なブローイング水タンクを有するブローイング水回収装置を接続するブローイング水回収装置設置工程と、前記復水ライン中で、前記復水出口弁よりも前記復水ポンプの側の位置に、前記純水タンク内の水を送れるよう、仮純水ラインを接続する仮純水ライン接続工程と、を含む。前記ブローイングアウト工程は、前記蒸気止め弁及び前記復水出口弁を閉じ、前記バイパス弁を開けるブローイングアウトライン設定工程と、前記仮純水ライン、前記復水ポンプ、及び前記給水ラインを介して、前記純水タンク内の純水を前記ボイラに供給する純水供給工程と、前記純水供給工程で前記ボイラに供給された純水を、前記ボイラ内で加熱して蒸気を発生させ、前記主蒸気ライン及び前記バイパスラインを介して、前記ボイラで発生した蒸気を復水器に導き、前記復水器に導かれた蒸気を前記復水器内で水に戻す蒸気供給工程と、前記蒸気供給工程で前記復水器内に溜まった水を前記ブローイング水タンクに送るブローイング水回収工程と、を含む。
【0013】
本態様では、ブローイングアウト工程における純水供給工程で、仮純水ライン、復水ポンプ、及び給水ラインを介して、純水タンク内の純水をボイラに供給する。ブローイングアウト工程における蒸気供給工程で、ボイラ内で純水を加熱して蒸気を発生させ、主蒸気ライン、及びバイパスラインを介して、この蒸気を復水器に導き、復水器に導かれた蒸気を復水器内で水に戻す。ブローイングアウト工程におけるブローイング水回収工程で、復水器内に溜まった水をブローイング水タンクに送る。このように、本態様では、異物を含む蒸気を水に戻してから、これをブローイング水タンクに回収するので、プラント周りの汚染及び騒音を抑えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一態様では、ブローイングアウトの実行中、異物を含む蒸気を水に戻してから、これを容器等に回収することができるので、プラント周りの汚染及び騒音を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示に係る一実施形態における蒸気タービンプラントの常設部の系統図である。
図2】本開示に係る一実施形態における慣性フィルタの構成を示す説明図である。
図3】本開示に係る一実施形態における蒸気タービンプラントの常設部及び仮設部の系統図である。
図4】本開示に係る一実施形態のクリーニング方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示に係る蒸気タービンプラント、及びそのクリーニング方法の実施形態について説明する。
【0017】
「蒸気タービンプラント」
本実施形態の蒸気タービンプラントについて、図1図3を参照して説明する。本実施形態の蒸気タービンプラントは、常設部と仮設部とを備える。
【0018】
図1に示すように、蒸気タービンプラントの常設部Aは、ボイラ10と、蒸気タービン11と、復水器13と、純水供給装置15と、排水処理装置20と、復水ポンプ21と、給水ポンプ22と、主蒸気ライン23と、蒸気止め弁24と、蒸気加減弁25と、バイパスライン26と、バイパス弁28と、慣性フィルタ29と、バイパス蒸気ブローライン30と、バイパス蒸気ブロー弁31と、復水ライン32と、復水出口弁33と、給水ライン34と、給水調節弁35と、水質検知器36と、給水ブローライン37と、給水ブロー弁38と、を備える。
【0019】
ボイラ10は、水を加熱して、蒸気を発生可能である。蒸気タービン11は、タービンロータ11rと、このタービンロータ11rを覆うタービンケーシング11cと、を有する。タービンケーシング11c内には、ボイラ10からの蒸気が流入する。タービンロータ11rは、タービンケーシング11c内に流入した蒸気により回転する。タービンロータ11rには、例えば、発電機12のロータが接続されている。
【0020】
復水器13は、復水器ケーシング13cと、この復水器ケーシング13c内に配置され、複数の伝熱管で構成される伝熱管群13tと、を有する。復水器ケーシング13cは、蒸気タービン11から排気された蒸気を自身の内部に導く蒸気流入開口13ciを有する。複数の伝熱管には、蒸気タービン11から排気された蒸気を冷却するための冷却媒体CMが流れる。冷却媒体CMは、例えば、海水や河川水等である。蒸気タービン11から排気された蒸気は、伝熱管内を流れる冷却媒体CMにより冷却されて水になる。以下、この水を復水ということがある。復水器ケーシング13c内で伝熱管群13tより下の部分は、ホットウェル13chを成す。このホットウェル13chには、復水が溜まる。
【0021】
純水供給装置15は、純水を蓄えることが可能な純水タンク16と、純水タンク16内の純水を復水器ケーシング13c内に導ける純水ライン17と、純水ライン17に設けられている純水ポンプ18と、純水ライン17中で純水ポンプ18よりも復水器13の側に配置されている純水調節弁19と、を有する。純水調節弁19は、復水器ケーシング13c内の復水の量が少なくなると開き、純水タンク16内の純水が復水として復水器ケーシング13c内に補充される。
【0022】
主蒸気ライン23は、ボイラ10の蒸気出口とタービンケーシング11cの蒸気入口とを接続する。この主蒸気ライン23には、蒸気タービン11への蒸気の流入を止める蒸気止め弁24と、蒸気タービン11に流入する蒸気の流量を調節する蒸気加減弁25と、が設けられている。
【0023】
バイパスライン26は、主蒸気ライン23中で、蒸気止め弁24よりもボイラ10側の位置から分岐している。このバイパスライン26は、復水器ケーシング13cに接続されている。このバイパスライン26には、バイパス弁28と、慣性フィルタ29とが設けられている。
【0024】
バイパスライン26は、図2に示すように、上流側直管部26uと、折れ曲がり部26c、下流側直管部26dと、を有する。バイパスライン26中で、折れ曲がり部26cからボイラ10側へ一定距離までの部分が、上流側直管部26uを成す。また、バイパスライン26中で、この折れ曲がり部26cから復水器13側へ一定の距離までの部分が下流側直管部26dを成す。下流側直管部26dは、上流側直管部26uに対して所定の角度(例えば、90°)を成している。慣性フィルタ29は、折れ曲がり部26cを基準にして、上流側直管部26uとは反対側に接続されている直管29pと、この直管29pの端を塞ぐ盲フランジ29bfと、を有する。慣性フィルタ29の直管29pが延びている方向は、バイパスライン26の上流側直管部26uが延びている方向と同じである。よって、慣性フィルタ29の直管29pとバイパスライン26の上流側直管部26uとは、同一直線上に位置する。バイパス弁28は、バイパスライン26の下流側直管部26dの先に接続されている。バイパスライン26を流れてきた蒸気中で質量の大きい異物Fは、その慣性により、上流側直管部26uから直進して、折れ曲がり部26cを経て慣性フィルタ29内に流入する。この結果、蒸気中で質量の大きい異物Fは、この慣性フィルタ29で捕捉される。このため、折れ曲がり部26cを通過して、下流側直管部26dに流入した蒸気中には、異物Fが少なくなり、バイパス弁28を通過する蒸気及び復水器13に流入する蒸気中に含まれる異物Fを少なくすることができる。
【0025】
慣性フィルタ29の直管29pには、バイパス蒸気ブローライン30が接続されている。このバイパス蒸気ブローライン30も、バイパスライン26と同様、復水器ケーシング13cに接続されている。このバイパス蒸気ブローライン30には、バイパス蒸気ブロー弁31が設けられている。
【0026】
バイパスライン26中で、バイパス弁28よりも、復水器13側の位置には、ターゲット挿入部27が設けられている。ターゲット挿入部27は、バイパスライン26の一部を塞ぐターゲット62をバイパスライン26中に入れることが可能な部分である。ターゲット62は、例えば、鉄板である。
【0027】
図1に示すように、バイパスライン26と復水器ケーシング13cとの接続位置、及びバイパス蒸気ブローライン30と復水器ケーシング13cとの接続位置は、いずれも、復水器ケーシング13c中で、伝熱管群13tが配置されている位置よりも、蒸気タービン11側の位置である。
【0028】
復水ライン32は、復水器ケーシング13cのホットウェル13chと復水ポンプ21の吸込口とを接続する。この復水ライン32には、復水出口弁33が設けられている。
【0029】
給水ライン34は、復水ポンプ21の吐出口とボイラ10の水入口とを接続する。この給水ライン34には、復水ポンプ21からの水を昇圧して、ボイラ10に送る給水ポンプ22が設けられている。この給水ライン34中で給水ポンプ22よりもボイラ10側の位置には、ボイラ10に送る水の流量を調節する給水調節弁35が設けられている。また、この給水ライン34中で、給水ポンプ22よりも復水ポンプ21側の位置には、水質検知器36が接続されている。この水質検知器36は、給水ライン34を流れる水の汚染度を検知する。この給水ライン34中で、水質検知器36の接続位置よりも、復水ポンプ21側の位置には、給水ブローライン37が接続されている。この給水ブローライン37の先には、排水処理装置20が接続されている。この排水処理装置20は、給水ライン34を流れる水を浄化処理する。給水ブローライン37は、排水処理装置20中で浄化処理対象の水を受け入れる処理水受入空間に連通するよう、排水処理装置20に接続されている。給水ブローライン37には、給水ブロー弁38が設けられている。この給水ブロー弁38は、水質検知器36で検知された汚染度が予め定められた汚染度以上の場合に開く。
【0030】
蒸気タービン11プラントの常設部Aは、さらに、第一接続部41と、第二接続部42と、第三接続部43と、第四接続部44と、を有する。第一接続部41は、第一ラインと接続可能な第一接続座41sと、復水ライン32中で復水出口弁33よりも復水器13側の位置から分岐している第一分岐管41pと、を有する。第一接続座41sは、接続フランジであり、この第一分岐管41pの端に設けられている。第二接続部42は、第二ラインと接続可能な第二接続座42sと、復水ライン32中で復水出口弁33よりも復水ポンプ21側の位置から分岐している第二分岐管42pと、を有する。第二接続座42sは、接続フランジであり、この第二分岐管42pの端に設けられている。第三接続部43は、第二ラインと接続可能な第三接続座43sと、純水ライン17中で、純水ポンプ18よりも復水器13側で且つ純水調節弁19よりも純水タンク16側の位置から分岐している第三分岐管43pと、を有する。第三接続座43sは、接続フランジであり、この第三分岐管43pの端に設けられている。第四接続部44は、第三ラインと接続可能な第四接続座44sと、排水処理装置20の処理水受入空間に連通する連通管44pと、を有する。第四接続座44sは、接続フランジであり、連通管44pの端に設けられている。各接続座41s,42s,43s,44sには、盲フランジ41bf,42bf,43bf,44bfが接続されている。
【0031】
蒸気タービンプラントは、以上で説明した常設部Aのみで、蒸気タービン11の起動から、蒸気タービン11の運転が可能である。
【0032】
蒸気タービン11の起動時には、復水出口弁33、給水調節弁35及びバイパス弁28が開いており、バイパス蒸気ブロー弁31及び給水ブロー弁38が閉じている。蒸気タービン11の起動時には、以上の状態で、復水ポンプ21及び給水ポンプ22を駆動し、復水器13内の水をボイラ10に供給する。ボイラ10では、この水を加熱し、蒸気にする。ボイラ10で発生した蒸気は、主蒸気ライン23、バイパスライン26、及びバイパス弁28を介して、復水器13内に流入する。この蒸気は、復水器13内で冷却されて水に戻る。
【0033】
ボイラ10からの蒸気が蒸気条件を満たすようになると、バイパス弁28が閉る一方で、蒸気止め弁24及び蒸気加減弁25が開き、ボイラ10からの蒸気が蒸気タービン11に供給される。なお、蒸気条件とは、蒸気タービン11に供給可能な蒸気の条件である。具体的に、蒸気条件は、例えば、蒸気の温度が所定温度以上になり、且つ、この蒸気の発生量が所定の量以上になることである。
【0034】
蒸気タービン11に蒸気が供給されると、この蒸気によりタービンロータ11rが回転する。タービンロータ11rを回転させた蒸気は、蒸気タービン11から排気されて、復水器13に流入する。復水器13に流入した蒸気は、復水器ケーシング13c内の複数の伝熱管を流れる冷却媒体CMにより冷却されて、水に戻る。この水は、復水ライン32及び給水ライン34を介して、ボイラ10に供給される。
【0035】
蒸気加減弁25の開度は、例えば、外部からの要求出力信号に基づいて制御される。
【0036】
水質検知器36で検知された汚染度が予め定められた汚染度以上になると、給水ブロー弁38が開く。この結果、給水ライン34を流れている水の一部が排水処理装置20に流入する。排水処理装置20は、この水を浄化した後、外部に排出する。
【0037】
復水器ケーシング13cのホットウェル13chに溜まっている復水の量が少なくなると、純水調節弁19が開くと共に、純水ポンプ18が駆動する。この結果、純水タンク16内の水が復水として復水器ケーシング13c内に補充される。
【0038】
図3に示すように、蒸気タービンプラントの仮設部Bは、仮純水ライン50と、仮純水調節弁51と、ブローイング水回収装置52と、タービン保護板60と、伝熱管保護ネット61と、ターゲット62と、を有する。
【0039】
仮純水ライン50は、前述の第二ラインとして、第二接続座42s及び第三接続座43sに接続可能である。この仮純水ライン50は、接続フランジである第二接続座42sと接続可能な接続フランジと、接続フランジである第三接続座43sと接続可能な接続フランジと、を有する。仮純水調節弁51は、この仮純水ライン50に設けられている。
【0040】
ブローイング水回収装置52は、ブローイング水タンク53と、ブローイング水ライン54と、ブローイング水ポンプ55と、ブローイング水弁56と、サンプリングノズル57と、ブローイング水排出ライン58と、ブローイング水排出ポンプ59と、を有する。ブローイング水タンク53は、復水器13からの水を一時的に蓄えることが可能なタンクである。ブローイング水ライン54は、第一接続座41sとブローイング水タンク53とを接続し、復水器13からの水をブローイング水タンク53に導けるラインである。ブローイング水ライン54は、接続フランジである第一接続座41sと接続可能な接続フランジを有する。このブローイング水ライン54は、前述の第一ラインである。ブローイング水ライン54には、ブローイング水弁56、ブローイング水ポンプ55、及びサンプリングノズル57が設けられている。ブローイング水ポンプ55は、ブローイング水弁56よりもブローイング水タンク53側に設けられている。サンプリングノズル57は、ブローイング水ポンプ55よりもブローイング水タンク53側に設けられている。ブローイング水排出ライン58は、ブローイング水タンク53と第四接続座44sとを接続し、ブローイング水タンク53内の水を排水処理装置20に導けるラインである。ブローイング水排出ライン58は、接続フランジである第四接続座44sと接続可能な接続フランジを有する。ブローイング水排出ポンプ59は、ブローイング水排出ライン58に設けられている。
【0041】
タービン保護板60は、復水器ケーシング13c内で、復水器ケーシング13cとバイパスライン26との接続位置及び復水器ケーシング13cとバイパス蒸気ブローライン30との接続位置より、蒸気タービン11側に設けられ、復水器ケーシング13c内の空間を伝熱管群13t側と蒸気タービン11側とに仕切る仕切板である。
【0042】
伝熱管保護ネット61は、伝熱管群13t中で、バイパスライン26からの蒸気が流入する側を少なくとも覆うことが可能なネットである。言い換えると、伝熱管保護ネット61は、伝熱管群13t中で蒸気タービン11側を少なくとも覆うことが可能なネットである。この伝熱管保護ネット61は、例えば、金網である。この伝熱管保護ネット61は、例えば、1インチ(25.4mm)当たり、40の網目があるネットである。
【0043】
「蒸気タービンプラントのクリーニング方法」
本実施形態の蒸気タービンプラントのクリーニング方法について、図4に示すフローチャートに従って説明する。
【0044】
蒸気タービンプラントの常設部Aの建設後やこの常設部Aの修理後には、配管内や各種機器内に溶接スラグや研削屑等の異物が残る。本実施形態では、この異物を除去するために、以下で説明するクリーイング方法を実行する。
【0045】
本実施形態のクリーイング方法では、まず、準備工程(S10)を実行する。この準備工程(S10)は、ブローイング水回収装置設置工程(S11)、仮純水ライン接続工程(S12)、保護板設置工程(S13)、及び保護ネット設置工程(S14)を含む。
【0046】
ブローイング水回収装置設置工程(S11)では、仮設部Bの一部であるブローイング水回収装置52を常設部Aに接続する。この際、復水ライン32に接続されている第一接続座41sに、ブローイング水回収装置52のブローイング水ライン54をブランジ接続する。また、排水処理装置20に接続されている第四接続座44sに、ブローイング水回収装置52のブローイング水排出ライン58をブランジ接続する。
【0047】
仮純水ライン接続工程(S12)では、仮純水調節弁51が設けられている仮純水ライン50を常設部Aに接続する。この際、復水ライン32に接続されている第二接続座42sに仮純水ライン50をフランジ接続すると共に、純水供給装置15の純水ライン17に接続されている第三接続座43sに仮純水ライン50をフランジ接続する。
【0048】
保護板設置工程(S13)では、復水器ケーシング13c内で、復水器ケーシング13cとバイパスライン26との接続位置及び復水器ケーシング13cとバイパス蒸気ブローライン30との接続位置より、蒸気タービン11側に、タービン保護板60を設ける。この結果、このタービン保護板60により、復水器ケーシング13c内の空間が伝熱管群13t側と蒸気タービン11側とに仕切られる。保護ネット設置工程(S14)では、復水器13の伝熱管群13t中で、バイパスライン26からの蒸気が流入する側を伝熱管保護ネット61で覆う。
【0049】
以上で、準備工程(S10)が終了する。以上のように、この準備工程(S10)は、仮設部Bを常設部Aに設ける工程である。この準備工程(S10)では、仮設部Bの一部のラインを常設部Aに接続するにあたり、このラインを常設部Aにフランジ接続することができるので、このラインを容易に常設部Aに接続することができる。なお、ブローイング水回収装置設置工程(S11)、仮純水ライン接続工程(S12)、保護板設置工程(S13)、及び保護ネット設置工程(S14)は、準備工程(S10)中で、如何なる順序で実行してもよい。
【0050】
準備工程(S10)が終了すると、ブローイングアウト工程(S20)を実行する。このブローイングアウト工程(S20)は、ブローイングアウトライン設定工程(S21)、純水供給工程(S22)、蒸気供給工程(S23)、ブローイング水回収工程(S24)、異物検知工程(S25)、及び異物量判断工程(S26)を含む。
【0051】
ブローイングアウトライン設定工程(S21)では、蒸気止め弁24、復水出口弁33、純水調節弁19、及び給水ブロー弁38を閉じる。また、このブローイングアウト工程(S20)では、給水調節弁35、バイパス弁28、バイパス蒸気ブロー弁31を開ける。
【0052】
純水供給工程(S22)では、純水ポンプ18、復水ポンプ21、及び給水ポンプ22を駆動させる。この結果、純水タンク16内の水は、仮純水ライン50、復水ポンプ21、給水ライン34、給水ポンプ22、及び給水調節弁35を介して、ボイラ10に供給される。
【0053】
蒸気供給工程(S23)では、純水供給工程(S22)でボイラ10に供給された水をボイラ10内で加熱して、この水を蒸気にする。この蒸気は、主蒸気ライン23、バイパスライン26及びバイパス蒸気ブローライン30を介して、復水器ケーシング13c内に流入する。復水器ケーシング13c内に流入した蒸気は、復水器ケーシング13c内の複数の伝熱管内を流れる冷却媒体CMとの熱交換により冷却されて水になる。この水は、復水器ケーシング13cのホットウェル13chに溜まる。
【0054】
ブローイング水回収工程(S24)では、ブローイング水弁56を開け、ブローイング水ポンプ55を駆動する。この結果、復水器13のホットウェル13chに溜まった水は、ブローイング水ライン54、ブローイング水ポンプ55を介して、ブローイング水タンク53に送られる。
【0055】
以上の純水供給工程(S22)、蒸気供給工程(S23)、及びブローイング水回収工程(S24)の実行により、給水ライン34、ボイラ10、主蒸気ライン23の一部、バイパスライン26、及び復水器13内の異物をブローイング水タンク53内に回収することができる。このように、本実施形態では、異物を含む蒸気を水に戻してから、これをブローイング水タンク53に回収するので、プラント周りの汚染及び騒音を抑えることができる。
【0056】
本実施形態では、バイパスライン26中で、バイパス弁28よりもボイラ10側の位置に慣性フィルタ29が接続されている。このため、蒸気と共にバイパスライン26を流れてきた異物の一部がバイパス弁28に至る前に、この慣性フィルタ29で回収することができる。なお、慣性フィルタ29で回収できる異物は、異物中で、相対的に慣性力が大きいもの、言い換えると相対的に質量の大きいものである。このため、本実施形態では、蒸気供給工程(S23)でのバイパス弁28の閉塞等を回避することができる。
【0057】
本実施形態では、復水器ケーシング13c内にタービン保護板60が設けられているので、異物を含む蒸気のタービンケーシング11c内への流入を抑制することができる。また、本実施形態では、伝熱管群13t中でバイパスライン26及びバイパス蒸気ブローライン30からの蒸気が流入する側が、伝熱管保護ネット61で覆われているので、伝熱管群13tを構成する複数の伝熱管に異物が付着するのを抑制することができる。
【0058】
ブローイング水タンク53内では、異物Fが沈殿する。ブローイング水タンク53内の水量が多くなると、ブローイング水排出ポンプ59が駆動する。この結果、ブローイング水タンク53内の水の一部が排水処理装置20に流入し、ここで浄化処理される。本実施形態では、復水器13からの水を、ブローイング水タンク53を介して、排水処理装置20に送っているので、復水器13からの水に含まれる異物の全量は排水処理装置20に送られない。このため、排水処理装置20の処理負荷を軽減することができる。
【0059】
異物検知工程(S25)及び異物量判断工程(S26)は、純水供給工程(S22)、蒸気供給工程(S23)、及びブローイング水回収工程(S24)の実行中に実行される。異物検知工程(S25)では、純水供給工程(S22)、蒸気供給工程(S23)、及びブローイング水回収工程(S24)中に、各種ラインを流れる水又は蒸気中に含まれる異物量を検知する。具体的に、バイパスライン26に設けられているターゲット挿入部27にターゲット62を所定時間挿入し、その後、このターゲット62に残った異物衝突痕跡から所定時間内での異物量を検知する。または、ブローイング水ライン54に接続されているサンプリングノズル57から、ブローイング水ライン54を流れる水を回収して、この水に含まれている異物量を検知する。異物量判断工程(S26)では、異物検知工程(S25)で検知した異物量が予め定められた量S未満であるか否かを判断する。なお、ターゲット62を用いて検知した異物量に対する予め定められた量Sと、サンプリングした水中の異物量に対する予め定められた量Sとは、異なる。異物量判断工程(S26)で、異物量が予め定められた量S未満であると判断した場合には、純水ポンプ18、復水ポンプ21、及び給水ポンプ22を止めて、ブローイングアウト工程(S20)を終了する。一方、異物量判断工程(S26)で、異物量が予め定められた量S未満ではない、言い換えると、異物量が予め定められた量S以上であると判断した場合には、異物量が予め定められた量S未満になるまで、純水供給工程(S22)、蒸気供給工程(S23)、及びブローイング水回収工程(S24)を継続する。
【0060】
なお、ターゲット62を用いた異物量の検知と、サンプリングした水中の異物量の検知とは、いずれか一方のみを行ってもよいし、両方を行ってもよい。両方を行った場合には、ターゲット62を用いて検出した異物量が予め定められた量S未満であり、且つ、サンプリングした水中の異物量が予め定められた量S未満である場合に、ブローイングアウト工程(S20)を終了する。
【0061】
ブローイングアウト工程(S20)が終了すると、ブローイングアウト後処理工程(S31)を実行する。このブローイングアウト後処理工程(S31)は、仮設部Bを常設部Aから外す工程である。具体的に、このブローイングアウト後処理工程(S31)では、復水器ケーシング13c内のタービン保護板60及び伝熱管保護ネット61を復水器ケーシング13c内から回収する。さらに、ブローイング水回収装置52及び仮純水ライン50を常設部Aから外す。この際、ブローイング水回収装置52のブローイング水ライン54が接続されていた第一接続座41sに盲フランジ41bfを接続し、ブローイング水回収装置52のブローイング水排出ライン58が接続されていた第四接続座44sに盲フランジ44bfを接続する。さらに、仮純水ライン50が接続されていた第二接続座42s及び第三接続座43sのそれぞれに盲フランジ42bf,43bfを接続する。
【0062】
以上で説明したブローイングアウト後処理工程(S31)では、仮設部Bの一部であるブローイング水回収装置52及び仮純水ライン50を常設部Aから外す。しかしながら、ブローイングアウト後処理工程(S31)では、これらを常設部Aから外さなくてもよい。つまり、ブローイング水回収装置52及び仮純水ライン50を常設させておいてもよい。この場合、ブローイングアウト工程(S20)を実行していない間、ブローイング水弁56、仮純水調節弁51を閉状態にしておく。
【0063】
ブローイングアウト後処理工程(S31)が終了すると、循環ライン設定工程(S32)を実行する。この循環ライン設定工程(S32)では、蒸気止め弁24を引き続き閉めておき、バイパス弁28を引き続き開けておく。さらに、復水出口弁33及び給水調節弁35を開ける。
【0064】
循環ライン設定工程(S32)が終了すると、循環工程(S33)を実行する。循環工程(S33)では、復水ポンプ21及び給水ポンプ22を駆動する。この結果、復水器13内の水が、復水ライン32、復水ポンプ21、給水ライン34、給水ポンプ22を介して、ボイラ10に供給される。ボイラ10内では、水が加熱されて、蒸気になる。この蒸気は、主蒸気ライン23及びバイパスライン26を介して、復水器ケーシング13c内に流入する。復水器ケーシング13c内に流入した蒸気は、復水器ケーシング13c内の複数の伝熱管内を流れる冷却媒体CMとの熱交換により冷却されて水になる。この水は、復水器ケーシング13cのホットウェル13chに溜まる。このホットウェル13chに溜まった水は、前述したように、復水ポンプ21及び給水ポンプ22等を介して、ボイラ10に供給される。すなわち、この循環工程(S33)では、復水器13、復水ライン32、復水ポンプ21、給水ライン34、給水ポンプ22、ボイラ10、主蒸気ライン23の一部、バイパスライン26、バイパス弁28で構成される循環ライン中を、水(液体である水及び気体である蒸気を含む)が循環する。
【0065】
この循環工程(S33)中に、水質検知工程(S34)を実行する。水質検知工程(S34)では、給水ライン34に接続されている水質検知器36が、この給水ライン34を流れる水の水質を検知する。この水質検知工程(S34)で検知された水質が予め定められた汚染度T以上である場合、給水ブロー工程(S35)を実行する。この給水ブロー工程(S35)では、給水ブローライン37に設けられている給水ブロー弁38を開ける。この結果、給水ライン34を流れている水の一部が給水ブローライン37を介して、排水処理装置20に流入する。排水処理装置20は、この水を浄化処理する。よって、給水ライン34を流れる水中に含まれる異物が少なくなる。この給水ブロー工程(S35)中も、循環工程(S33)は実行される。この給水ブロー工程(S35)の実行で、復水器ケーシング13cのホットウェル13chに溜まっている復水の量が少なくなると、純水調節弁19が開くと共に、純水ポンプ18が駆動する。この結果、純水タンク16内の水が復水として復水器ケーシング13c内に補充される。
【0066】
循環工程(S33)中に、水質検知工程(S34)で検知された水質が予め定められた汚染度T未満になると、循環工程(S33)及び給水ブロー工程(S35)を終了する。
【0067】
以上で、本実施形態のクリーニング方法が終了する。
【0068】
以上で説明したクリーイング方法が終了した後、復水ポンプ21及び給水ポンプ22の駆動を継続され、ボイラ10からの蒸気を、主蒸気ライン23を介して、蒸気タービン11に流入させて、通常の運転に移行してもよい。また、クリーイング方法が終了した後、復水ポンプ21及び給水ポンプ22の駆動を停止し、その後、改めて、前述したように、復水ポンプ21及び給水ポンプ22を駆動させて、蒸気タービン11を起動させてもよい。
【0069】
本実施形態では、ブローイングアウト工程(S20)後に、循環工程(S33)を行って、この循環工程(S33)でも異物の除去を行うので、単に、ブローイングアウトのみを行い、循環工程(S33)を行わない場合よりも、本実施形態のクリーニング方法の実行中に使用される純水の量を抑えることができる。さらに、本態様では、蒸気タービンプラントの運転を開始する前に、蒸気タービン11に供給する予定の蒸気の汚染度を、蒸気タービン11に供給可能な汚染度にまで低下させることができる。なお、蒸気タービン11に供給可能な汚染度とは、蒸気タービン11に蒸気を供給しても、蒸気タービン11の損傷等を抑えることができるとして、予め定められた汚染度である。
【0070】
「変形例」
以上の実施形態では、保護板設置工程(S13)及び保護ネット設置工程(S14)を実行する。しかしながら、保護板設置工程(S13)及び保護ネット設置工程(S14)を省略してもよい。
【0071】
以上の実施形態の復水器13は、水冷式復水器であるが、空冷式復水器であってもよい。空冷式復水器の場合、復水器ケーシング内の複数の伝熱管内を蒸気が流れ、複数の伝熱管にファン等からの空気を送って、この空気と蒸気とを熱交換させて、蒸気を冷却する。このため、復水器ケーシング内にタービン保護板60を設置しても、蒸気タービン11内にバイパスライン26からの蒸気が流入することを抑制できない。また、伝熱管群を伝熱管保護ネット61で覆っても、伝熱管の外周に異物が付着することを抑制できない。よって、復水器13が空冷式復水器である場合には、保護板設置工程(S13)及び保護ネット設置工程(S14)を実行しない。
【0072】
以上のように、保護板設置工程(S13)及び保護ネット設置工程(S14)を実行しない場合には、ブローイングアウト工程(S20)の終了時に、復水ポンプ21及び給水ポンプ22を止めずに、循環ライン設定工程(S32)を実行してもよい。
【0073】
以上の実施形態では、ブローイング水タンク53に溜まった水を排水処理装置20に送る。しかしながら、ブローイング水タンク53に溜まった水のうち、異物の少ない上水のみを河川等に排水するようにしてもよい。
【0074】
「付記」
以上の実施形態における蒸気タービンプラントは、例えば、以下のように把握される。
【0075】
(1)第一態様における蒸気タービンプラントは、
蒸気を発生可能なボイラ10と、前記ボイラ10からの蒸気で駆動可能な蒸気タービン11と、前記蒸気タービン11から排気された蒸気を水に戻すことができる復水器13と、前記復水器13からの水を昇圧可能な復水ポンプ21と、前記ボイラ10で発生した蒸気を前記蒸気タービン11に導ける主蒸気ライン23と、前記主蒸気ライン23に設けられ、前記蒸気タービン11への蒸気の流入を止めることが可能な蒸気止め弁24と、前記主蒸気ライン23中で前記蒸気止め弁24よりも前記ボイラ10の側の位置から分岐して、前記復水器13に接続されているバイパスライン26と、前記バイパスライン26に設けられているバイパス弁28と、前記復水器13内の水を前記復水ポンプ21に導ける復水ライン32と、前記復水ライン32に設けられている復水出口弁33と、前記復水ポンプ21で昇圧された水を前記ボイラ10に導ける給水ライン34と、純水供給装置15と、を備える。純水供給装置15は、純水を蓄えることが可能な純水タンク16と、前記純水タンク16内の純水を前記復水器13に導ける純水ライン17と、前記純水ライン17に設けられている純水ポンプ18と、前記純水ライン17中で前記純水ポンプ18よりも前記復水器13の側に設けられている純水調節弁19と、を有する。この蒸気タービンプラントは、さらに、前記復水ライン32中で、前記復水出口弁33よりも前記復水器13の側の位置から分岐している第一接続部41と、前記復水ライン32中で、前記復水出口弁33よりも前記復水ポンプ21の側の位置からの分岐している第二接続部42と、前記純水ライン17中で、前記純水ポンプ18よりも前記復水器13の側で且つ前記純水調節弁19よりも前記純水タンク16の側の位置から分岐している第三接続部43と、を備える。前記第一接続部41は、第一ラインと接続可能な第一接続座41sを有する。前記第二接続部42は、第二ラインと接続可能な第二接続座42sを有する。前記第三接続部43は、前記第二ラインと接続可能な第三接続座43sを有する。
【0076】
本態様の蒸気タービンプラントでは、ブローイングアウトを実行する際、蒸気止め弁24、バイパス弁28、及び復水出口弁33を閉めた状態で、復水ポンプ21を駆動し、第二接続部42から復水ポンプ21に純水を供給する。この結果、この純水は、給水ライン34を介して、ボイラ10に流入する。ボイラ10に流入した蒸気は、主蒸気ライン23の一部及びバイパスライン26を介して、復水器13内に流入する。この蒸気は、復水器13内で水に戻り、復水器13内に溜まる。復水器13内に溜まった水は、復水ライン32及び第一接続部41から排出され、タンク等の容器に回収される。このように、本態様の蒸気タービンプラントでは、異物を含む蒸気を水に戻してから、これを容器に回収することができるので、プラント周りの汚染及び騒音を抑えることができる。
【0077】
また、本態様の蒸気タービンプラントでは、第二接続座42sと第三接続座43sとを第二ラインで接続することで、純水タンク16内の純水を復水ポンプ21に供給することができる。しかも、本実施形態の蒸気タービンプラントでは、第一接続部41、第二接続部42、及び第三接続部43のそれぞれが接続座41s,42s,43sを有するので、これらの接続部41,42,43に容易にラインを接続することができる。
【0078】
(2)第二態様における蒸気タービンプラントは、
前記第一態様の蒸気タービンプラントにおいて、前記第一接続座41s、前記第二接続座42s及び前記第三接続座43sは、いずれも、接続フランジである。
【0079】
本態様の蒸気タービンプラントでは、第一接続座41s、第二接続座42s及び第三接続座43sのそれぞれにラインをフランジ接続することができる。
【0080】
(3)第三態様における蒸気タービンプラントは、
前記第一態様又は前記第二態様の蒸気タービンプラントにおいて、さらに、前記バイパスライン26中で、前記バイパス弁28よりも前記ボイラ10の側に設置され、前記バイパスライン26を流れてきた蒸気中に含まれる異物を除去可能な慣性フィルタ29を備える。
【0081】
本態様の蒸気タービンプラントでは、ブローイングアウトの実行中、バイパス弁28に流入する異物の量を少なくすることができる。
【0082】
(4)第四態様における蒸気タービンプラントは、
前記第一態様から前記第三態様のいずれかの蒸気タービンプラントにおいて、さらに、前記給水ライン34からの水を浄化可能な排水処理装置20と、前記給水ライン34から分岐し、前記給水ライン34を流れる水を前記排水処理装置20に導ける給水ブローライン37と、前記給水ブローライン37に設けられている給水ブロー弁38と、前記給水ライン34に接続され、前記給水ライン34を流れる水の水質を検知できる水質検知器36と、を備える。
【0083】
本態様の蒸気タービンプラントでは、給水ライン34を流れる水の汚染度が高い場合に、給水ブローライン37を介して、給水ライン34を流れる水の一部を、排水処理装置20に送ることができる。このため、本態様では、給水ライン34を流れる水の汚染度を低くすることができる。
【0084】
(5)第五態様における蒸気タービンプラントは、
前記第一態様から前記第四態様のいずれかの蒸気タービンプラントにおいて、さらに、ブローイング水回収装置52を備える。前記ブローイング水回収装置52は、前記復水器13からの水を一時的に蓄えることが可能なブローイング水タンク53と、前記第一接続座41sと前記ブローイング水タンク53とを接続し、前記復水器13からの水を前記ブローイング水タンク53に導けるブローイング水ライン54と、前記ブローイング水ライン54に設けられているブローイング水弁56と、を有する。前記第一ラインは、前記ブローイング水ライン54である。
【0085】
本態様の蒸気タービンプラントでは、ブローイングアウトの実行中、復水器13内に溜まった水を、復水ライン32、第一接続部41、及びブローイング水ライン54を介して、ブローイング水タンク53に回収することができる。
【0086】
(6)第六態様における蒸気タービンプラントは、
前記第四態様の蒸気タービンプラントにおいて、さらに、ブローイング水回収装置52を備える。前記ブローイング水回収装置52は、前記復水器13からの水を一時的に蓄えることが可能なブローイング水タンク53と、前記第一接続座41sと前記ブローイング水タンク53とを接続し、前記復水器13からの水を前記ブローイング水タンク53に導けるブローイング水ライン54と、前記ブローイング水ライン54に設けられているブローイング水弁56と、前記ブローイング水タンク53と前記排水処理装置20とを接続し、前記ブローイング水タンク53内の水を前記排水処理装置20に導けるブローイング水排出ライン58と、を有する。前記第一ラインは、前記ブローイング水ライン54である。
【0087】
本態様の蒸気タービンプラントでは、ブローイングアウトの実行中、復水器13内に溜まった水を、復水ライン32、第一接続部41、及びブローイング水ライン54を介して、ブローイング水タンク53に回収することができる。さらに、本態様の蒸気タービンプラントでは、ブローイング水タンク53に溜まった水を排水処理装置20に送ることができる。
【0088】
(7)第七態様における蒸気タービンプラントは、
前記第一態様から前記第七態様のいずれかの蒸気タービンプラントにおいて、さらに、仮純水ライン50を備える。前記仮純水ライン50は、前記第二ラインとして、前記第二接続座42s及び前記第三接続座43sに接続可能である。
【0089】
本態様の蒸気タービンプラントでは、第二接続座42sと第三接続座43sとを第二ラインとしての仮純水ライン50で接続することで、純水タンク16内の純水を復水ポンプ21に供給することができる。
【0090】
(8)第八態様における蒸気タービンプラントは、
前記第一態様から前記第七態様のいずれかの蒸気タービンプラントにおいて、さらに、タービン保護板60を備える。前記復水器13は、前記蒸気タービン11からの蒸気及び前記バイパスライン26からの蒸気が流入可能な復水器ケーシング13cと、前記復水器ケーシング13c内に配置され、複数の伝熱管で構成される伝熱管群13tと、を有する。前記タービン保護板60は、前記復水器ケーシング13c内で、前記復水器ケーシング13cと前記バイパスライン26との接続位置よりも前記蒸気タービン11の側に設けられ、前記バイパスライン26からの蒸気が前記蒸気タービン11に流入するのを抑制可能である。
【0091】
本態様の蒸気タービンプラントでは、ブローイングアウトを実行する前に、復水器ケーシング内にタービン保護板を設けることで、ブローイングアウトの実行中、バイパスライン26からの蒸気が蒸気タービン11に流入するのを抑制できる。
【0092】
(9)第九態様における蒸気タービンプラントは、
前記第一態様から前記第七態様のいずれかの蒸気タービンプラントにおいて、さらに、伝熱管保護ネット61を備える。前記復水器13は、前記蒸気タービン11からの蒸気及び前記バイパスライン26からの蒸気が流入可能な復水器ケーシング13cと、前記復水器ケーシング13c内に配置され、複数の伝熱管で構成される伝熱管群13tと、を有する。前記伝熱管保護ネット61は、前記伝熱管群13t中で、前記バイパスライン26からの蒸気が流入する側を少なくとも覆うことが可能である。
【0093】
本態様の蒸気タービンプラントでは、ブローイングアウトを実行する前に、伝熱管群13tを伝熱管保護ネット61で覆うことで、ブローイングアウトの実行中、バイパスライン26からの蒸気に含まれる異物が複数の伝熱管に付着するのを抑制することができる。
【0094】
また、以上の実施形態における蒸気タービンプラントのクリーニング方法は、例えば、以下のように把握される。
【0095】
(10)第十態様における蒸気タービンプラントのクリーニング方法は、以下の蒸気タービンプラントに適用される。
この蒸気タービンプラントは、蒸気を発生可能なボイラ10と、前記ボイラ10からの蒸気で駆動可能な蒸気タービン11と、前記蒸気タービン11から排気された蒸気を水に戻すことできる復水器13と、前記復水器13からの水を昇圧可能な復水ポンプ21と、前記ボイラ10で発生した蒸気を前記蒸気タービン11に導ける主蒸気ライン23と、前記主蒸気ライン23に設けられ、前記蒸気タービン11への蒸気の流入を止めることが可能な蒸気止め弁24と、前記主蒸気ライン23中で前記蒸気止め弁24よりも前記ボイラ10の側の位置から分岐して、前記復水器13に接続されているバイパスライン26と、前記バイパスライン26に設けられているバイパス弁28と、前記復水器13内の水を前記復水ポンプ21に導ける復水ライン32と、前記復水ライン32に設けられている復水出口弁33と、前記復水ポンプ21で昇圧された水を前記ボイラ10に導ける給水ライン34と、純水を蓄えることが可能な純水タンク16を有し、前記純水タンク16内の純水を前記復水器13内に供給可能な純水供給装置15と、を備える。
このクリーニング方法では、準備工程(S10)と、ブローイングアウト工程(S20)と、を実行する。前記準備工程(S10)は、前記復水ライン32中で、前記復水出口弁33よりも前記復水器13の側の位置に、前記復水器13からの水を一時的に蓄えることが可能なブローイング水タンク53を有するブローイング水回収装置52を接続するブローイング水回収装置設置工程(S11)と、前記復水ライン32中で、前記復水出口弁33よりも前記復水ポンプ21の側の位置に、前記純水タンク16内の水を送れるよう、仮純水ライン50を接続する仮純水ライン接続工程(S12)と、を含む。前記ブローイングアウト工程(S20)は、前記蒸気止め弁24及び前記復水出口弁33を閉じ、前記バイパス弁28を開けるブローイングアウトライン設定工程(S21)と、前記仮純水ライン50、前記復水ポンプ21、及び前記給水ライン34を介して、前記純水タンク16内の純水を前記ボイラ10に供給する純水供給工程(S22)と、前記純水供給工程(S22)で前記ボイラ10に供給された純水を、前記ボイラ10内で加熱して蒸気を発生させ、前記主蒸気ライン23及び前記バイパスライン26を介して、前記ボイラ10で発生した蒸気を復水器13に導き、前記復水器13に導かれた蒸気を前記復水器13内で水に戻す蒸気供給工程(S23)と、前記蒸気供給工程(S23)で前記復水器13内に溜まった水を前記ブローイング水タンク53に送るブローイング水回収工程(S24)と、を含む。
【0096】
本態様では、ブローイングアウト工程(S20)における純水供給工程(S22)で、仮純水ライン50、復水ポンプ21、及び給水ライン34を介して、純水タンク16内の純水をボイラ10に供給する。ブローイングアウト工程(S20)における蒸気供給工程(S23)で、ボイラ10内で純水を加熱して蒸気を発生させ、主蒸気ライン23、及びバイパスライン26を介して、この蒸気を復水器13に導き、復水器13に導かれた蒸気を復水器13内で水に戻す。ブローイングアウト工程(S20)におけるブローイング水回収工程(S24)で、復水器13内に溜まった水をブローイング水タンク53に送る。このように、本態様では、異物を含む蒸気を水に戻してから、これをブローイング水タンク53に回収するので、プラント周りの汚染及び騒音を抑えることができる。
【0097】
(11)第十一態様における蒸気タービンプラントのクリーニング方法は、
前記第十態様の蒸気タービンプラントのクリーニング方法において、前記準備工程(S10)は、前記復水器13内で、前記バイパスライン26からの蒸気が流入する位置よりも、前記蒸気タービン11の側の位置に、前記バイパスライン26からの蒸気が前記蒸気タービン11に流入するのを抑制するタービン保護板60を設ける保護板設置工程(S13)を含む。
【0098】
本態様では、ブローイングアウト工程(S20)の実行中、バイパスライン26からの蒸気が蒸気タービン11に流入するのを抑制できる。
【0099】
(12)第十二態様における蒸気タービンプラントのクリーニング方法は、
前記第十態様又は前記第十一態様の蒸気タービンプラントのクリーニング方法において、前記復水器13は、前記蒸気タービン11からの蒸気及び前記バイパスライン26からの蒸気が流入可能な復水器ケーシング13cと、前記復水器ケーシング13c内に配置され、前記復水器ケーシング13c内に流入した蒸気と冷却媒体CMとを熱交換させて、蒸気を凝縮可能な複数の伝熱管で構成される伝熱管群13tと、を有する。前記準備工程(S10)は、前記伝熱管群13t中で、少なくとも前記バイパスライン26からの蒸気が流入する側を伝熱管保護ネット61で覆う保護ネット設置工程(S14)を含む。
【0100】
本態様では、ブローイングアウト工程(S20)の実行中、バイパスライン26からの蒸気が伝熱管の外周に付着するのを抑制できる。
【0101】
(13)第十三態様における蒸気タービンプラントのクリーニング方法は、
前記第十態様から前記第十二態様のいずれかの蒸気タービンプラントのクリーニング方法において、前記ブローイングアウト工程(S20)は、さらに、前記バイパスライン26から前記復水器13に流入する蒸気中に含まれる異物量、又は前記復水器13から前記ブローイング水タンク53に流入する水中に含まれる異物量を検知する異物検知工程(S25)と、前記異物量が予め定められた量未満であるか否かを判断する異物量判断工程(S26)と、を含む。前記異物量判断工程(S26)で、前記異物量が予め定められた量未満であると判断さることを条件として、前記ブローイングアウト工程(S20)を終了する。
【0102】
本実施形態では、バイパスライン26から復水器13に流入する蒸気中に含まれる異物量、又は復水器13からブローイング水タンク53に流入する水中に含まれる異物量が少なくなったタイミングで、ブローイングアウト工程(S20)を終了することできる。
【0103】
(14)第十四態様における蒸気タービンプラントのクリーニング方法は、
前記第十三態様の蒸気タービンプラントのクリーニング方法において、さらに、前記ブローイングアウト工程(S20)後に、循環ライン設定工程(S32)と、循環工程(S33)と、水質検知工程(S34)と、を実行する。前記循環ライン設定工程(S32)では、前記蒸気止め弁24を閉じ、前記バイパス弁28及び前記復水出口弁33を開ける。前記循環工程(S33)では、前記復水ライン32、前記復水出口弁33、前記復水ポンプ21及び前記給水ライン34を介して、前記復水器13内の水を前記ボイラ10に供給して、前記ボイラ10で前記水を加熱して蒸気を発生させ、前記主蒸気ライン23及び前記バイパスライン26を介して、前記ボイラ10で発生した蒸気を復水器13に導き、前記復水器13に導かれた蒸気を前記復水器13内で水に戻す。前記水質検知工程(S34)では、前記復水器13からの水の水質を検知する。
【0104】
本態様では、ブローイングアウト工程(S20)後に、循環工程(S33)を実行して、復水ライン32、復水出口弁33、復水ポンプ21及び給水ライン34を介して、復水器13内の水をボイラ10に供給する。そして、ボイラ10で水を加熱して蒸気を発生させ、主蒸気ライン23及びバイパスライン26を介して、この蒸気を復水器13に導き、復水器13内でこの蒸気を水に戻す。本態様では、循環工程(S33)中に、水質検知工程(S34)を実行して、復水器13からの水の水質を検知する。このため、本態様では、ボイラ10からの蒸気を蒸気タービン11に供給して、蒸気タービンプラントの運転を開始する前に、蒸気タービン11に供給する予定の蒸気の汚染度を確認することができる。
【0105】
(15)第十五態様における蒸気タービンプラントのクリーニング方法は、
前記第十四態様の蒸気タービンプラントのクリーニング方法において、さらに、前記水質検知工程(S34)で検知された水質が予め定められた汚染度以上である場合に、前記給水ライン34を流れる水を浄化可能な排水処理装置20にブローする給水ブロー工程(S35)を実行する。前記循環工程(S33)中に、前記水質検知工程(S34)で検知された水質が予め定められた汚染度未満になると、前記循環工程(S33)及び前記給水ブロー工程(S35)を終了する。
【0106】
本態様では、水質検知工程(S34)で検知された水質が予め定められた汚染度以上である場合に、給水ライン34を流れる水を浄化可能な排水処理装置20にブローする。そして、循環工程(S33)中に、水質検知工程(S34)で検知された水質が予め定められた汚染度未満になると、循環工程(S33)及び給水ブロー工程(S35)を終了する。このため、本態様では、蒸気タービンプラントの運転を開始する前に、蒸気タービン11に供給する予定の蒸気の汚染度を、蒸気タービン11に供給可能な汚染度にまで低下させることができる。なお、蒸気タービン11に供給可能な汚染度とは、蒸気タービン11に蒸気を供給しても、蒸気タービン11の損傷等を抑えることができるとして、予め定められた汚染度である。
【符号の説明】
【0107】
A:常設部
10:ボイラ
11:蒸気タービン
11r:タービンロータ
11c:タービンケーシング
12:発電機
13:復水器
13c:復水器ケーシング
13ci:蒸気流入開口
13ch:ホットウェル
13t:伝熱管群
15:純水供給装置
16:純水タンク
17:純水ライン
18:純水ポンプ
19:純水調節弁
20:排水処理装置
21:復水ポンプ
22:給水ポンプ
23:主蒸気ライン
24:蒸気止め弁
25:蒸気加減弁
26:バイパスライン
26u:上流側直管部
26c:折れ曲がり部
26d:下流側直管部
27:ターゲット挿入部
28:バイパス弁
29:慣性フィルタ
29p:直管
29bf:盲フランジ
30:バイパス蒸気ブローライン
31:バイパス蒸気ブロー弁
32:復水ライン
33:復水出口弁
34:給水ライン
35:給水調節弁
36:水質検知器
37:給水ブローライン
38:給水ブロー弁
41:第一接続部
41p:第一分岐管
41s:第一接続座
41bf:盲フランジ
42:第二接続部
42p:第二分岐管
42s:第二接続座
42bf:盲フランジ
43:第三接続部
43p:第三分岐管
43s:第三接続座
43bf:盲フランジ
44:第四接続部
44p:連通管
44s:第四接続座
44bf:盲フランジ
B:仮設部
50:仮純水ライン
51:仮純水調節弁
52:ブローイング水回収装置
53:ブローイング水タンク
54:ブローイング水ライン
55:ブローイング水ポンプ
56:ブローイング水弁
57:サンプリングノズル
58:ブローイング水排出ライン
59:ブローイング水排出ポンプ
60:タービン保護板
61:伝熱管保護ネット
62:ターゲット
図1
図2
図3
図4