(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 21/04 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
G09F21/04 Q
(21)【出願番号】P 2020208969
(22)【出願日】2020-12-17
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】各務 綾加
(72)【発明者】
【氏名】花輪 篤
(72)【発明者】
【氏名】村田 宗志朗
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 英男
(72)【発明者】
【氏名】久野 玄史
(72)【発明者】
【氏名】菊崎 雄太
(72)【発明者】
【氏名】近江 悠
(72)【発明者】
【氏名】山田 武史
(72)【発明者】
【氏名】古田 雅子
(72)【発明者】
【氏名】下目 利央
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健介
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-140487(JP,A)
【文献】特開2019-132951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 21/04
G01C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地に向けて移動する車両に搭載される車両用表示装置であって、
複数の目的地に関連する映像を記憶する関連情報記憶手段と、
透過状態において外の風景が見え、不透過状態において前記関連情報記憶手段に記憶されている映像を表示する表示手段と、
を含
み、
車両が目的地に向けて移動しているときに、
車両の現在地の風景について、見せるのに適するか、見せるのに適さないかを判定し、
適する場合に前記表示手段を透過状態として外の風景を見せ、適さない場合に前記表示手段を不透過状態として前記関連情報記憶手段から目的地に関連する映像を読み出して表示する、
車両用表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用表示装置であって、
前記関連情報記憶手段には、前記目的地に関連する風景が記憶されている、
車両用表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用表示装置であって、
前記目的地は娯楽施設または分割エリアである、
車両用表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用表示装置であって、
前記娯楽施設は、異なるテーマを取り扱う複数の分割エリアに分割されており、前記車両は前記複数の分割エリアの1つを目的地として選定し、前記表示手段は到着する分割エリアに関連する映像を表示する、
車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地に向けて移動する車両に搭載される車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の移動中においては、乗員が風景を見るだけでは飽きてしまうことも多く、その内壁面に映像を表示することが提案されている。特許文献1には、車両の内壁面に各種の映像を表示することが示されている。内壁面としては、窓も含むものとしており、自動運転車両では、前方の窓も映像を表示する内壁面に含めている。表示する映像としては、映画のような商用コンテンツ、車載カメラで撮影した映像、ドローンなどで撮影した映像、アーカイブ映像などでもよいとされている。また、映像は、非透過型として表示するほか、必要に応じて透過型として風景が見られるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1においては、目的地と関係のない映像が表示されるため、その目的地へ到達するまでのワクワク感が失われてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、目的地に向けて移動する車両に搭載される車両用表示装置であって、複数の目的地に関連する映像を記憶する関連情報記憶手段と、透過状態において外の風景が見え、不透過状態において前記関連情報記憶手段に記憶されている映像を表示する表示手段と、を含み、車両が目的地に向けて移動しているときに、車両の現在地の風景について、見せるのに適するか、見せるのに適さないかを判定し、適する場合に前記表示手段を透過状態として外の風景を見せ、適さない場合に前記表示手段を不透過状態として前記関連情報記憶手段から目的地に関連する映像を読み出して表示する。
【0006】
前記関連情報記憶手段には、前記目的地に関連する風景が記憶されているとよい。
【0007】
前記目的地は娯楽施設または分割エリアであるとよい。
【0008】
前記娯楽施設は、異なるテーマを取り扱う複数の分割エリアに分割されており、前記車両は前記複数の分割エリアの1つを目的地として選定し、前記表示手段は到着する分割エリアに関連する映像を表示するとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、目的地と関連する映像が表示されるため、目的地へ到達するまでのワクワク感が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る車両用表示装置を搭載する車両の運行形態が模式的に示してある。
【
図2】車両に搭載される表示制御機器の構成を示す図である。
【
図4】車両の車室内において、娯楽施設の風景を表示した例を示す図である。
【
図5】車両における映像表示処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、ここに記載される実施形態に限定されるものではない。
【0012】
「車両の運行形態」
本実施形態では、来訪する目的地として、特定のテーマ(コンセプト)をベースに来訪者が楽しむ娯楽施設を取り上げる。このような娯楽施設では、特定の国の文化や、物語、映画などをテーマの1つとする場合が多い。なお、目的地は上述のような娯楽施設に限定されず、動物園や公園などでもよい。
【0013】
図1には、本実施形態に係る車両用表示装置を搭載する車両の運行形態が模式的に示してある。車両10は、この例において、1つのターミナル停留所14から、娯楽施設12のパーク停留所16-n(16-1~16-4)の間を運行する。ターミナル停留所14としては、娯楽施設12の最寄り鉄道駅などが想定される。なお、車両10は、自家用車などでもよい。
【0014】
また、娯楽施設12は、異なるコンセプトの4つのテーマ1~4についての4つの分割エリア12-1,12-2,12-3,12-4に分割されている。そして、各分割エリア12-1,12-2,12-3,12-4に対応してパーク停留所16-1,16-2,16-3,16-4がそれぞれ設けられている。この例では、分割エリア12-1,12-2,12-3,12-4が目的地となる地点である。なお、分割エリア12-1,12-2,12-3,12-4、パーク停留所16-1,16-2,16-3,16-4は4つに限定されないため、いずれかの分割エリア、パーク停留所を示す場合には、分割エリア12-n、パーク停留所16-n(nは自然数)と表記する。
【0015】
この例では、車両10は、乗り合いバスであり、ターミナル停留所14から各パーク停留所16-n(16-1,16-2,16-3,16-4)のいずれかに直行する。1つのパーク停留所16-nに直行した後、他のパーク停留所16-nに順次停車してもよい。
【0016】
<車両の構成>
「表示制御のための構成」
図2は、車両10に搭載される表示制御機器の構成を示す図である。通信装置20は、無線通信を介しインターネットなどの通信回線に接続され、各種通信のための処理を行う。この例では、娯楽施設12の管理コンピュータとの通信が可能になっている。
【0017】
通信装置20には、処理部22が接続されており、処理部22は各種データ処理を行う。処理部22には、表示手段としてのディスプレイ24、入力装置26が接続されている。ディスプレイ24は、液晶、有機EL、プロジェクションディスプレイなどを採用することができ、車両10の内壁面に映像を表示する。また、処理部22には、関連情報記憶手段としてのテーマ別関連情報記憶部28が接続されており、分割エリアごとの関連映像を含むテーマ関連情報が記憶される。なお、テーマ別関連情報記憶部28は、テーマ関連情報を長期にわたって記憶するものであってもよいし、通信装置20を介して配信されるテーマ関連情報を一時的に記憶するものであってもよい。
【0018】
また、処理部には、車両10の現在地を検出する現在地検出部30が接続されている。この現在地検出部30は、GPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System /全地球航法衛星システム)などが採用される。
【0019】
テーマ別関連情報記憶部28に記憶されるテーマ関連情報は、例えば1つの分割エリア12-nの風景や、アトラクションの映像や、施設の様子を示す映像である。後述するように、ここに記憶されて各分割エリア12-nの関連映像から、これから到着する分割エリア12-nの映像を読み出して表示再生することで、目的地である分割エリア12-nにおいてどのように楽しめるかを知ることができ、ユーザのワクワク感を上昇することができる。
【0020】
「車両の構成」
ターミナル停留所14からパーク停留所16-nへユーザを輸送する車両10の構成を説明する。車両10は運転者により操縦される手動運転車両であっても、自動運転車両でもよい。自動運転車両について、例えば米国の自動車技術会(SAE)による基準に基づいて、車両10は、レベル4(高度自動運転)やレベル5(完全運転自動化)の運行が可能であるとよい。
【0021】
図3には、車両10の車室内の様子が例示される。車室内には車両10の長手方向に複数の座席92が並べられる。また車室には車幅方向中央に通路93が設けられる。通路93は車両長手方向に延設される。この通路93を挟んで、座席92の列が車両長手方向に延設される。
【0022】
車両10の車窓として、ディスプレイ24が設けられる。すなわち、この車両10では、左右両側の車窓としてガラス窓が設けられる代わりに、ディスプレイ24が設けられる。ディスプレイ24は、表示面が車室に向けられるように配置される。ディスプレイ24は、例えば、有機ELディスプレイを用いて、透過モード、非透過モードの両方が可能である。
【0023】
そして、ディスプレイ24には、例えば、
図4に示すように目的地である分割エリア12-nの風景が表示される。なお、関連映像は、窓に表示するため、風景であることが好適であるが、これに限らず、分割エリア12-nのキャラクターの映像、アトラクションの映像、関連映画や漫画の映像、施設内部の様子の映像などにするとよい。
【0024】
なお、自動運転車両では、前方の窓も映像を表示するディスプレイ24としてもよい。また、通常車両では、運転者と客の席との間に仕切りを設け、ここにディスプレイ24を設置するとよい。さらに、天井などにもディスプレイ24を設けてもよい。このような窓ではない場所のディスプレイ24は、表示をやめても外は見えない。そこで、窓への映像表示を行わない期間は、そとの風景を撮影して表示してもよく、また予め用意されている映像を表示してもよい。もちろん、ディスプレイ24を透過モードとして、外の景色を見ることもできる。
【0025】
また、この例では、ディスプレイ24自体を透過モード、非透過モードの切り替え可能としたが、ディスプレイ24を物理的に移動可能としてもよい。
【0026】
なお、
図3においては便宜的に外の風景を省略し、
図4ではディスプレイ24は、非透過状態として表示を行っている状態を示してあり、乗客100、キャラクター102も示してある。
【0027】
「映像表示の処理」
まず、各分割エリア12-nに応じて、関連映像を作成する。この関連映像は、分割エリア12-nにおける、各種の紹介映像に該当する。この関連映像には、アトラクションを楽しんでいる人の映像や、施設の利用の仕方、キャラクターによる漫画や、映画のダイジェスト、テーマに関連し、すでに公開されている映画、関連するキャラクターグッズ、関連するイベント、過去のイベント映像、創作者のインタビュー、絵コンテ、映画作成秘話などが含まれるとよい。
【0028】
また、これら映像は、車両10の移動時間内であって、比較的短時間のものが複数用意され、またいろいろな時間のものが用意されるとよい。これによって、車両10の分割エリア12-nへの所要時間に応じて、適切な組み合わせでの上映が可能となる。
【0029】
また、車両10のルートの風景について検討し、見せたくない対象、見せたい対象を特定する。
【0030】
図5は、車両10における映像表示処理を示すフローチャートである。まず、目的地を設定する(S11)。この例で、車両10は娯楽施設12を目的地とする乗り合いバスであり、パーク停留所16-nのいずれかを目的地に設定する。目的地が設定されたら、その目的地についての関連情報(映像データ)を読み込む(S12)。
【0031】
そして、出発した場合(S13でYES)には出発後アナウンスを発し(S14)、現在地検出部30により現在地を取得する(S15)。
【0032】
そして、現在地が風景を見せるのに適しているかを判定し(S16)、風景が適の場合にはディスプレイ24を透過モードとして、風景を見せ(S17)、風景が不適の場合にはディスプレイ24を不透過モードとして、予め用意した映像データを再生した映像を見せる(S18)。なお、見せたい風景、見せたくない風景の中には、特定の建物、モニュメント、看板などの対象物も含まれる。
【0033】
そして、目的地への到着予定時刻の所定時間前かを判定し(S19)、まだであればS15に戻りディスプレイ24の制御を繰り返し、所定時間前になったら、終了映像の再生などの終了処理をする(S20)。
【0034】
このように、本実施形態では、車両10の走行ルートの風景をチェックし、目的とする分割エリア12-nとの関連を検討する。この検討では、見せたいもの、見せたくないものを判定する。例えば、目的とする分割エリア12-nに関連する案内板、建物や、そのキャラクターについての表示などは見せたいものに該当し、他の分割エリア12-nに関連するものは見せたくないものに該当する。そして、走行中において、見せたくない風景を見せないようにして、また見せたい風景を見せつつ、関連映像を流す。これによって、目的地である分割エリア12-nにおいて楽しむことについて期待感を維持して、ユーザのワクワク感を上昇することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 車両、12 娯楽施設、12-n(12-1,12-2,12-3,12-4) 分割エリア、14 ターミナル停留所、16-n(16-1,16-2,16-3,16-4) パーク停留所、20 通信装置、22 処理部、24 ディスプレイ、26 入力装置、28 テーマ別関連情報記憶部、30 現在地検出部、92 座席、93 通路、100 乗客。