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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】表示素子駆動回路および表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3275 20160101AFI20231114BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
G09G3/3275
G09G3/20 623B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020523530
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2019013126
(87)【国際公開番号】W WO2019235032
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2018110251
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】松尾 星耶
(72)【発明者】
【氏名】橋柿 光一
(72)【発明者】
【氏名】川口 景子
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-225142(JP,A)
【文献】特開平11-112244(JP,A)
【文献】特開2014-078890(JP,A)
【文献】特表2016-514284(JP,A)
【文献】特開2009-246741(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0033411(US,A1)
【文献】特開2004-235793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/3275
G09G 3/20
H10K 59/10
H10K 50/10
H05B 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示素子を有する複数の画素と、
入力された基準駆動信号と前記画素に書き込みを行う駆動信号との差分を調整して2出力をする誤差増幅部と、前記誤差増幅部の前記2出力によって制御される相補型回路が構成され、前記相補型回路から調整された前記駆動信号を出力する複数の出力部と、を備える増幅回路と、
前記駆動信号をそれぞれの画素に伝達する複数の駆動信号線と、
前記複数の出力部を選択し前記駆動信号を対応する前記駆動信号線に出力する出力選択部と、
前記出力選択部により選択されて前記駆動信号線に出力された前記駆動信号を選択して前記誤差増幅部に帰還する帰還選択部を有する帰還回路と
を具備し、
前記画素は、前記駆動信号線に接続され、前記駆動信号を開閉する第1トランジスタと、
前記第1トランジスタを開にすることにより、前記駆動信号が書き込まれるキャパシタと、
前記駆動信号が前記第1トランジスタを介して開閉制御する第2トランジスタと、
前記第2トランジスタの電源側の極に直列接続され電源線との開閉を行う第3トランジスタと、
前記第2トランジスタの接地側の極に接続され電流排出線との開閉を行う第4トランジスタと、
前記第4トランジスタの電源側の極と接地線間に接続された表示素子と、を含み、
前記表示素子は、前記第1トランジスタを介して前記キャパシタに書き込まれた前記駆動信号の電圧に応じた発光をするよう構成された表示素子駆動回路。
【請求項2】
前記出力部の前記相補型回路は、2つのトランジスタを含み、前記2つのトランジスタの一方は前記出力選択部の第1のスイッチに、前記2つのトランジスタの他方は前記出力選択部の第2のスイッチに接続され、前記一方のトランジスタ、前記第1のスイッチ、前記第2のスイッチ及び前記他方のトランジスタは、この順に前記電源線と前記接地線間に接続され、前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとの接続点に前記駆動信号線及び前記帰還回路が接続された請求項1記載の表示素子駆動回路。
【請求項3】
前記出力部の前記相補型回路は、2つのトランジスタを含み、前記2つのトランジスタの一方は前記出力選択部の第1のスイッチに、前記2つのトランジスタの他方は前記出力選択部の第2のスイッチに接続され、前記第1のスイッチ、前記一方のトランジスタ、前記他方のトランジスタ及び前記第2のスイッチは、この順に前記電源線と前記接地線間に接続され、前記一方のトランジスタと前記他方のトランジスタとの接続点に前記駆動信号線及び前記帰還回路が接続された請求項1記載の表示素子駆動回路。
【請求項4】
前記出力選択部は、2つのスイッチを含み、前記2つのスイッチの第1のスイッチは、前記誤差増幅部の前記2出力の一方の出力又は前記電源線に接続を切り替え可能に構成され、第2のスイッチは、前記誤差増幅部の他方の出力又は前記接地線への接続を切り替え可能に構成された請求項3記載の表示素子駆動回路。
【請求項5】
前記出力部の前記相補型回路は、2つのトランジスタを含み、前記2つのトランジスタの一方のトランジスタ、他方のトランジスタの順に前記電源線と前記接地線間に接続され、前記一方のトランジスタと前記他方のトランジスタとの接続点に前記出力選択部のスイッチが接続され、前記スイッチを介して前記駆動信号線及び前記帰還回路が接続された請求項1記載の表示素子駆動回路。
【請求項6】
前記帰還回路は、前記複数の駆動信号線に1対1に対応して配置され、前記複数の駆動信号線のそれぞれと、前記誤差増幅部の反転入力との間に、前記帰還選択部を構成するスイッチが接続され、選択された前記駆動信号線を前記誤差増幅部の反転入力に接続するよう構成された請求項1記載の表示素子駆動回路。
【請求項7】
前記増幅回路は、調整された前記駆動信号を前記誤差増幅に帰還させるダミー出力部をさらに備える請求項1記載の表示素子駆動回路。
【請求項8】
表示素子を有する複数の画素と、
入力された基準駆動信号と前記画素に書き込みを行う駆動信号との差分を調整して2出力をする誤差増幅部と、前記誤差増幅部の前記2出力によって制御される相補型回路が構成され、前記相補型回路から調整された前記駆動信号を出力する複数の出力部と、を備える増幅回路と、
前記駆動信号をそれぞれの画素に伝達する複数の駆動信号線と、
前記複数の出力部を選択し前記駆動信号を対応する前記駆動信号線に出力する出力選択部と、
前記出力選択部により選択されて前記駆動信号線に出力された前記駆動信号を選択して前記誤差増幅部に帰還する帰還選択部を有する帰還回路と
を具備し、
前記画素は、前記駆動信号線に接続され、前記駆動信号を開閉する第1トランジスタと、
前記第1トランジスタを開にすることにより、前記駆動信号が書き込まれるキャパシタと、
前記駆動信号が前記第1トランジスタを介して開閉制御する第2トランジスタと、
前記第2トランジスタの電源側の極に直列接続され電源線との開閉を行う第3トランジスタと、
前記第2トランジスタの接地側の極に接続され電流排出線との開閉を行う第4トランジスタと、
前記第4トランジスタの電源側の極と接地線間に接続された表示素子と、を含み、
前記表示素子は、前記第1トランジスタを介して前記キャパシタに書き込まれた前記駆動信号の電圧に応じた発光をするよう構成された表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示素子駆動回路および表示装置に関する。詳しくは、時分割駆動を行う表示素子駆動回路および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機ELパネルや液晶パネルのように、画素が2次元に配置されて構成された表示パネルにおいて画像を表示する際には、画像に応じた輝度に各画素を発光させる必要がある。画素毎に異なる輝度の発光にするため、画像に基づく画像信号に応じた電圧の駆動信号を画素に伝達して保持させる書込みが画素毎に行われる。各画素が書き込まれた駆動信号に応じた輝度に発光することにより、表示画像が構成される。例えば、有機ELパネルにおいては、画素に書き込まれた駆動信号に応じて各画素に配置された発光素子に流れる電流が制御され、発光輝度が調整される。この駆動信号を画素に書き込む方式として、線順次方式と称される駆動方法が使用される。この線順次方式は、2次元に配置された画素の列毎に順次書込みを行う方式である。画素の行毎に駆動回路が配置され、選択された列における画素毎の駆動信号が生成されて、列に配置された画素に対して同時に書き込まれる。
【0003】
この線順次方式では、複数の画素の行毎に駆動回路が配置されるため、表示パネルが高解像度化した場合に、表示パネルの駆動部が複雑になるとともに消費電力が増加するという問題がある。そこで、表示パネルの行を複数のチャネルに分割し、チャネル毎に駆動回路を配置して書込みを行う時分割駆動方式が提案されている。この時分割駆動方式では、チャネル毎にデマルチプレクサが配置され、このデマルチプレクサにより複数の行のうちの1つが選択される。駆動回路はデマルチプレクサにより選択された行の画素に接続されて、駆動信号の書込みを行う。このように、時分割駆動方式では、駆動回路を削減することができるため、駆動部の構成を簡略化することができ、低消費電力化することができる。
【0004】
上述の駆動回路には、増幅器が配置される。この増幅器には基準信号が入力され、基準信号に応じた書込み電圧が出力されてデマルチプレクサを介して画素に供給される。すなわち、増幅器はバッファとして使用され、画素毎に異なる書込み電圧を安定に供給することにより、高い画質の画像をパネルに表示させることができる。このような、増幅回路として、例えば、複数の出力トランジスタを並列に配置し、動作状態に応じて並列に接続されるトランジスタ数を変更する演算増幅器が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-204150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来技術では、撮像素子の画素により生成された画像信号を増幅する増幅器として演算増幅器が使用されている。この演算増幅器は、出力部に複数のスイッチが配置され、このスイッチを切り替えることにより、並列に接続される出力トランジスタ数を1つまたは2つに切り替える増幅器である。しかし、時分割駆動を行うため演算増幅器の出力にデマルチプレクサを配置すると、デマルチプレクサのインピーダンスの影響により出力される駆動信号のセトリング時間が長くなり、画素への書込み時間が長くなるという問題がある。このため、1つのチャネルに配置される行数が制限され、高解像度化に伴う駆動部の簡略化が制限されるという問題が生じる。
【0007】
本開示は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、時分割駆動を行う表示装置において、画素に対する駆動信号の書込みに要する時間を短縮することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の態様は、複数の表示素子の駆動信号をそれぞれ伝達する複数の駆動信号線と、入力された基準駆動信号および上記駆動信号線を伝達する駆動信号の差分に基づいて駆動信号を調整する誤差増幅部と、上記複数の駆動信号線毎に配置されて上記調整された駆動信号を上記複数の駆動信号線にそれぞれ出力する複数の出力部とを備える増幅回路と、上記複数の駆動信号線から選択するとともに当該選択した駆動信号線に対応する上記出力部に対して上記選択した駆動信号線に上記調整された駆動信号を出力させる出力選択部と、上記駆動信号線に出力された調整された駆動信号を上記駆動信号線を伝達する駆動信号として上記誤差増幅部に帰還する帰還回路とを具備する表示素子駆動回路である。
【0009】
また、この第1の態様において、上記出力部は、トランジスタおよび上記トランジスタに給電する電源線を備えてもよい。
【0010】
また、この第1の態様において、上記出力選択部は、上記複数の出力部のトランジスタおよび上記駆動信号線の間にそれぞれ配置される複数のスイッチにより構成されてもよい。
【0011】
また、この第1の態様において、上記出力選択部は、上記複数の出力部のトランジスタおよび上記電源線の間にそれぞれ配置される複数のスイッチにより構成されてもよい。
【0012】
また、この第1の態様において、上記出力選択部は、上記複数の出力部のトランジスタの制御端子への上記調整された駆動信号の入力をそれぞれ制御する複数のスイッチにより構成されてもよい。
【0013】
また、この第1の態様において、上記出力選択部は、上記複数の出力部および上記複数の駆動信号線の間にそれぞれ配置される複数のスイッチにより構成されてもよい。
【0014】
また、この第1の態様において、上記帰還回路は、上記複数の駆動信号線のうち上記調整された駆動信号が出力される駆動信号線を選択する帰還選択部と上記帰還選択部により選択された駆動信号線により伝達される駆動信号を上記誤差増幅部に伝達する帰還路とを備えてもよい。
【0015】
また、この第1の態様において、上記増幅回路は、調整された上記駆動信号を上記誤差増幅に帰還させるダミー出力部をさらに備えてもよい。
【0016】
また、本開示の第2の態様は、複数の表示素子と、上記複数の表示素子の駆動信号をそれぞれ伝達する複数の駆動信号線と、入力された基準駆動信号および上記駆動信号線を伝達する駆動信号の差分に基づいて駆動信号を調整する誤差増幅部と、上記複数の駆動信号線毎に配置されて上記調整された駆動信号を上記複数の駆動信号線にそれぞれ出力する複数の出力部とを備える増幅回路と、上記複数の駆動信号線から選択するとともに当該選択した駆動信号線に対応する上記出力部に対して上記選択した駆動信号線に上記調整された駆動信号を出力させる出力選択部と、上記駆動信号線に出力された調整された駆動信号を上記駆動信号線を伝達する駆動信号として上記誤差増幅部に帰還する帰還回路とを具備する表示装置である。
【0017】
誤差増幅が基準駆動信号と駆動信号線を伝達する駆動信号とを比較して駆動信号の調整を行う。この調整された駆動信号が出力部および出力選択部を介して駆動信号線に出力されて伝達される。この駆動信号線を伝達する調整された駆動信号が帰還回路により新たな駆動信号として誤差増幅の入力に帰還される。この帰還により駆動信号線を伝達する駆動信号および基準駆動信号の差分の検出が継続して行われるという作用をもたらす。出力選択部が帰還経路に含まれることにより、出力選択部のインピーダンスの影響の軽減が期待される。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、時分割駆動を行う表示装置において、画素に対する駆動信号の書込みに要する時間を短縮するという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の実施の形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
図2】本開示の実施の形態に係る画素の構成例を示す図である。
図3】本開示の実施の形態に係る水平駆動部の構成例を示す図である。
図4】本開示の第1の実施の形態に係る表示素子駆動回路の構成例を示す図である。
図5】本開示の実施の形態に係る誤差増幅の構成例を示す図である。
図6】本開示の第1の実施の形態に係る出力選択部および帰還選択部の構成例を示す図である。
図7】本開示の実施の形態に係る表示パネルの駆動の一例を示す図である。
図8】本開示の実施の形態に係る駆動信号波形の一例を示す図である。
図9】本開示の第2の実施の形態に係る表示素子駆動回路の構成例を示す図である。
図10】本開示の第3の実施の形態に係る表示素子駆動回路の構成例を示す図である。
図11】本開示の第4の実施の形態に係る表示素子駆動回路の構成例を示す図である。
図12】本開示の第5の実施の形態に係る表示素子駆動回路の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、図面を参照して、本開示を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)を説明する。以下の図面において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。ただし、図面は、模式的なものであり、各部の寸法の比率等は現実のものとは必ずしも一致しない。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれることは勿論である。また、以下の順序で実施の形態の説明を行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
4.第4の実施の形態
5.第5の実施の形態
【0021】
<1.第1の実施の形態>
[撮像素子の構成]
図1は、本開示の実施の形態に係る表示装置の構成例を示す図である。同図の表示装置1は、表示パネル10と、垂直駆動部20と、水平駆動部30と、制御部40と、基準電圧生成部50とを備える。
【0022】
表示パネル10は、画像信号に応じた画像を表示するパネルである。表示パネル10には、例えば、有機ELパネルや液晶パネルを使用することができる。以下、有機ELパネルによる表示パネル10を例に挙げて表示装置1を説明する。この表示パネル10は、画素100が2次元格子状に配置されて構成される。ここで、画素100は、有機ELによる表示素子および表示素子の発光を制御する画素回路を備え、入力された画像信号に応じた輝度に発光するものである。有機ELは、有機材料により構成された電界発光(Electro-Luminescence)型の素子であり、自発光型で全固体の発光素子である。また、有機ELは、電流駆動型の素子であり、流れる電流により輝度の調整を行うことができる。画素100の構成の詳細については後述する。
【0023】
表示パネル10がカラー画像に対応したパネルの場合、画素は、例えば、赤色、緑色および青色に発光する3つの副画素により構成することができる。この副画素の発光輝度をそれぞれ調整することにより、フルカラーの表示を行うことができる。この場合には、副画素が同図の画素100を構成することとなる。すなわち、3つの画素100により1つの単位画素が構成される。一方、表示パネル10がモノクロの表示を行う場合には、画素100が単位画素となる。
【0024】
表示パネル10には、信号線11および駆動信号線12がXYマトリクス状に配置される。信号線11は、画素100の画素回路を制御する制御信号が伝達される信号線である。この信号線11は表示パネル10に配置された画素100の列毎に配置され、同じ列に配置された画素100に共通に配線される。駆動信号線12は、画素100の駆動信号を伝達する信号線である。ここで、駆動信号とは、画素100の発光素子を駆動する信号である。発光素子には駆動信号の電圧に応じた電流が流れる。駆動信号線12は表示パネル10に配置された画素100の行毎に配置され、同じ行に配置された画素100に共通に配線される。
【0025】
垂直駆動部20は、表示パネル10の画素100の制御信号を生成するものである。この垂直駆動部20は、信号線11を介して画素100に制御信号を出力する。
【0026】
水平駆動部30は、表示パネル10における画素100の駆動信号を生成するものである。この水平駆動部30には、デジタルの画像信号をデジタルアナログ(DA変換)するデジタルアナログ変換器(DAC)が配置され、入力されたデジタルの画素信号に基づく駆動信号を生成する。生成された駆動信号は増幅回路により増幅されて、駆動信号線12を介して画素100に対して出力される。この出力された駆動信号は、画素100の表示素子の駆動信号として画素100に書き込まれる。また、水平駆動部30は、表示パネル10に配置された画素100を行方向に複数のチャネルに分割し、チャネル毎に駆動信号の生成を行う。このチャネルには、例えば、10行分の画素100を割り当てることができる。水平駆動部30は、各チャネルに割り当てられた行に対して時分割駆動を行う。具体的には、水平駆動部30は、チャネルに割り当てられた行のうちの1つを順次選択し、選択した行の画素100に対応する駆動信号を生成して出力する。また、水平駆動部30は、この時分割駆動を全てのチャネルにおいて同時に行う。これにより、DACや増幅回路数を削減することができる。水平駆動部30の構成の詳細については後述する。
【0027】
基準電圧生成部50は、水平駆動部30のDACにおけるデジタルアナログ変換の際の基準となる基準電圧を生成し、出力するものである。この基準電圧として、ガンマ補正のためのガンマ曲線に基づく基準電圧を使用することができる。生成された基準電圧は、信号線51を介して出力される。
【0028】
御部40は、垂直駆動部20および水平駆動部30を制御するものである。この制御部40は、入力された画像信号やタイミング制御信号、クロック信号に基づいて制御信号を生成し、信号線41および42を介して垂直駆動部20および水平駆動部30にそれぞれ出力することにより、制御を行う。
【0029】
このような表示装置1は、例えば、カメラ等の電子ビューファインダに適用することができる。また、例えば、AR(拡張現実:Augmented Reality)やVR(仮想現実:Virtual Reality)等に使用するディスプレイに適用することもできる。
【0030】
[画素の構成]
図2は、本開示の実施の形態に係る画素の構成例を示す図である。同図は、画素100の構成例を表す回路図である。同図の画素100は、表示素子101と、MOSトランジスタ102乃至105と、キャパシタ107および108とを備える。MOSトランジスタ102乃至105には、pチャネルMOSトランジスタを使用することができる。画素100には、信号線WS、AZおよびDSならびに駆動信号線PIXが配線される。信号線WS、AZおよびDSは信号線11を構成し、駆動信号線PIXは駆動信号線12を構成する。
【0031】
信号線WS、AZおよびDSは、画素100の制御信号を伝達する信号線である。この信号線WS、AZおよびDSは、MOSトランジスタのゲートに配線されてMOSトランジスタの制御信号を伝達する。信号線WS、AZおよびDSを介してMOSトランジスタの閾値電圧を超える電圧(以下、オン電圧と称する)をゲートに印加することにより、MOSトランジスタのドレインおよびソース間を導通状態にすることができる。駆動信号線PIXは、画素100の駆動信号を伝達する信号線である。また、駆動信号線PIXは、駆動信号のほかに初期化信号の伝達にも使用される。この初期化信号は、画素回路を初期化する信号である。また、画素100には、電源線Vdd、接地線および電流排出線Viniが配線される。電源線Vddは、画素100に電源(電源電圧Vdd)を供給する配線である。接地線は、画素100の基準電位である接地電位を供給する配線である。電流排出線Viniは、後述するMOSトランジスタ104による電流が排出される配線である。
【0032】
表示素子101のカソードは接地され、アノードはMOSトランジスタ103のドレインおよびMOSトランジスタ104のソースに接続される。MOSトランジスタ104のドレインは電流排出線Viniに接続され、ゲートは信号線AZに接続される。MOSトランジスタ103のゲートはMOSトランジスタ105のドレインおよびキャパシタ107の一端に接続され、ソースはキャパシタ107の他の一端、キャパシタ108の一端およびMOSトランジスタ102のドレインに接続される。キャパシタ108の他の一端およびMOSトランジスタ102のソースは、電源線Vddに共通に接続される。MOSトランジスタ102のゲートは、信号線DSに接続される。MOSトランジスタ105のゲートは信号線WSに接続され、ソースは駆動信号線PIXに接続される。
【0033】
表示素子101は、有機ELによる発光素子である。この表示素子101は、順方向に電流を流すことにより発光させることができ、電流に応じた輝度にすることができる。
【0034】
キャパシタ107は、MOSトランジスタ103のゲートおよびソースの間に接続され、駆動信号を保持するキャパシタである。キャパシタ108は、キャパシタ107に駆動信号が保持される際に、MOSトランジスタ103のソースの電位の変動を防止するキャパシタである。このキャパシタ108は、キャパシタ107より大きな静電容量に構成されることにより、MOSトランジスタ103のソースの電位の変動を防止することができる。
【0035】
MOSトランジスタ105は、信号線WSにより伝達される制御信号により制御されて、駆動信号線PIXにより伝達される駆動信号をキャパシタ107に印加するトランジスタである。駆動信号がキャパシタ107に印加されてキャパシタ107が充電されることにより駆動信号が画素100に保持される。これにより、駆動信号の書込みが行われる。
【0036】
MOSトランジスタ103は、キャパシタ107に保持された電圧に応じた電流を表示素子101に流すトランジスタである。
【0037】
MOSトランジスタ102は、信号線DSにより伝達される制御信号により制御されて、表示素子101の発光および非発光を制御するトランジスタである。
【0038】
MOSトランジスタ104は、表示素子101の発光を防止するトランジスタである。このMOSトランジスタ104は、駆動信号の書込みの際に導通状態となる。これにより、MOSトランジスタ103からの電流が表示素子101を迂回して電流排出線Viniに流れることとなり、表示素子101の発光を防ぐことができる。
【0039】
同図の画素100の駆動は、次のように行うことができる。まず、駆動信号線PIXに初期化信号を印加する。この初期化信号は、初期化電圧Vofsを印加する信号である。次に、信号線WS、AZおよびDSにオン信号を印加してMOSトランジスタ105、104および102を導通させる。これにより、キャパシタ107が電源電圧および初期化電圧Vofsの差分に相当する電圧に充電される。このキャパシタ107の電圧によりMOSトランジスタ103が導通することとなるが、MOSトランジスタ104が導通状態のため、表示素子101は非発光となる。
【0040】
次に、信号線WSおよびDSへのオン信号の印加を順に停止する。キャパシタ107に充電された電圧により、MOSトランジスタ103は導通状態を継続する。この際、MOSトランジスタ103の電流は、キャパシタ108を充電しながら流れることとなる。一方、キャパシタ107は、自己放電により充電電圧が徐々に低下する。その後、キャパシタ107の充電電圧がMOSトランジスタ103の閾値電圧Vthに達すると、MOSトランジスタ103が非導通の状態に移行する。これにより、キャパシタ107にMOSトランジスタ103の閾値電圧Vthを保持させることができる。この際、キャパシタ108は、MOSトランジスタ103を介して充電された電圧が保持される。すなわち、直列に接続されたキャパシタ107および108は、MOSトランジスタ103のゲートの電圧および電源電圧Vddの差分の電圧に充電される。これにより、画素100の初期化を行うことができる。
【0041】
次に、駆動信号線PIXに駆動信号を印加する。この駆動信号により駆動電圧Vsigが画素100に印加される。次に、信号線WSからオン信号を印加する。MOSトランジスタ105が再度導通し、キャパシタ107および108に駆動電圧Vsigが印加されて充電される。これにより、キャパシタ107はVthにVsigが重畳された電圧(Vth+Vsig)に充電される。これにより、画素100の書込みを行うことができる。その後、信号線WSへのオン信号の印加を停止する。
【0042】
次に、信号線DSにオン信号を印加する。これにより、MOSトランジスタ102が導通してキャパシタ108が放電される。一方、キャパシタ107には、上述のようにVth+Vsigが印加された状態であるため、MOSトランジスタ103にはVsigに応じた電流が流れる。次に、信号線AZへのオン信号の印加を停止する。MOSトランジスタ104が非導通の状態に移行し、MOSトランジスタ104に流れていた電流が表示素子101に流れて、表示素子101が発光を開始する。
【0043】
このように、初期化によりキャパシタ107にMOSトランジスタ103の閾値電圧Vthを保持させ、書込みによりキャパシタ107にVth+Vsigを印加して、表示素子101を発光させることができる。画素100毎のMOSトランジスタ103の閾値電圧Vthがばらつく場合であっても、初期化により閾値電圧Vthのばらつきを吸収することができ、各画素100の輝度を均一にすることができる。
【0044】
以上の駆動を全ての行の画素100に対して順に行うことにより1つの画像を表示することができる。
【0045】
[水平駆動部の構成]
図3は、本開示の実施の形態に係る水平駆動部の構成例を示す図である。同図は、水平駆動部30の構成例を模式的に表す図である。同図の水平駆動部30は、DAC31と、増幅回路32と、出力選択部33と、帰還選択部34とを備える。このDAC31、増幅回路32、出力選択部33および帰還選択部34は、チャネル毎に配置される。すなわち、DAC31、増幅回路32、出力選択部33および帰還選択部34は、チャネル数に等しい数だけ配置される。
【0046】
DAC31は、信号線42を介して制御部40が出力したデジタルの画像信号をアナログの信号(駆動信号)に変換する。変換後の駆動信号は、信号線39を介して増幅回路32に対して出力される。
【0047】
増幅回路32は、DAC31から入力された駆動信号と後述する帰還選択部34および帰還路38を介して帰還された駆動信号とに基づいて駆動信号を調整する。具体的には、増幅回路32は、DAC31から入力された駆動信号を基準駆動信号とし、この基準駆動信号と帰還選択部34および帰還路38により帰還された駆動信号との差分に基づいて駆動信号を調整する。この調整した駆動信号を出力選択部33に対して出力する。この際、増幅回路32は、チャネルに含まれる複数の駆動信号線12毎に調整した駆動信号を出力する。増幅回路32の構成の詳細については後述する。
【0048】
出力選択部33は、制御部40からの制御信号に基づいて駆動信号線12を選択するものである。この出力選択部33は、書込みの際にチャネルに配置された駆動信号線12のうちの1つを選択し、増幅回路32と接続する。一方、画素100の初期化の際には、チャネルに配置された全ての駆動信号線12を増幅回路32に接続する。このように、出力選択部33は、増幅回路32の複数の出力および複数の駆動信号線12を1対1に対応させて、それぞれを個別に接続して駆動信号を伝達させることができる。出力選択部33の構成の詳細については後述する。
【0049】
帰還選択部34は、出力選択部33と同様に、制御部40からの制御信号に基づいて駆動信号線12を選択するものである。この帰還選択部34は、書込みの際にチャネルに配置された駆動信号線12のうちの1つを選択し、選択した駆動信号線12に出力されて伝達される駆動信号を増幅回路32の入力に帰還する。なお、画素100の初期化の際には、チャネルに配置された全ての駆動信号線12を選択して駆動信号を増幅回路32の入力に帰還する。なお、帰還選択部34は、帰還路38を介して駆動信号を増幅回路32の入力に帰還する。帰還路38は、帰還選択部34の出力と増幅回路32の入力との間に配置された信号線により構成することができる。帰還選択部34の構成の詳細については後述する。
【0050】
なお、同図の駆動信号線12、増幅回路32、出力選択部33、帰還選択部34および帰還路38は、表示素子駆動回路を構成する。帰還選択部34および帰還路38は、帰還回路を構成する。
【0051】
[駆動回路の構成]
図4は、本開示の第1の実施の形態に係る表示素子駆動回路の構成例を示す図である。同図は、図3において説明した増幅回路32、出力選択部33、帰還選択部34および帰還路38の構成例を表す回路図である。
【0052】
同図の増幅回路32は、誤差増幅部321および複数の出力部322により構成される。誤差増幅部321は、反転入力および非反転入力と2つの反転出力を備える。DAC31からの基準駆動信号を伝達する信号線39は非反転入力に接続され、帰還路38は反転入力に接続される。2つの反転出力は、所定のバイアス電圧が重畳されたハイサイドおよびローサイドの反転出力に対応する。同図においては、ハイサイド出力が配線329に接続され、ローサイド出力が配線328に接続される。誤差増幅部321は、基準駆動信号および帰還路38により帰還された駆動信号の差分を増幅し、2つの反転出力から出力部322に供給する。例えば、誤差増幅部321は、基準駆動信号および帰還路38により帰還された駆動信号の差分を増幅して基準駆動信号に重畳することにより駆動信号を調整する。この調整された駆動信号が複数の出力部322にそれぞれ出力される。
【0053】
出力部322は、MOSトランジスタ351およびMOSトランジスタ361による相補型回路により構成されたバッファ回路である。MOSトランジスタ351およびMOSトランジスタ361には、それぞれpチャネルMOSトランジスタおよびnチャネルMOSトランジスタを使用することができる。MOSトランジスタ351およびMOSトランジスタ361はソース接地回路となっており、出力部322は反転バッファ回路に構成される。MOSトランジスタ351のソースは電源線Vddに接続され、ゲートは配線329に接続される。MOSトランジスタ351のドレインは、後述する出力選択部33のスイッチ371に接続される。MOSトランジスタ361のソースは接地され、ゲートは配線328に接続される。MOSトランジスタ361のドレインは、出力選択部33のスイッチ372に接続される。このような構成の出力部322がチャネルに配置された駆動信号線12と同数配置される。
【0054】
複数の出力部322のMOSトランジスタ351のゲートは配線329に共通に接続され、複数の出力部322のMOSトランジスタ361のゲートは配線328に共通に接続される。一方、複数の出力部322のMOSトランジスタのドレインおよびMOSトランジスタのドレインは、複数の駆動信号線12と1対1に対応し、それぞれスイッチ371および372を介して対応する駆動信号線12に接続される。このように、複数の出力部322の入力は誤差増幅部321に共通に接続され、複数の出力部322の出力は複数の駆動信号線12にそれぞれ接続される。
【0055】
なお、出力部322の構成は、この例に限定されない。例えば、MOSトランジスタ351および361をドレイン接地回路とした出力部322を使用することもできる。また、MOSトランジスタ351および361の何れか一方を抵抗負荷等に置き換えることもできる。なお、MOSトランジスタ351および361は、請求の範囲に記載のトランジスタの一例である。電源線Vddおよび接地線は、請求の範囲に記載の電源線の一例である。
【0056】
出力選択部33は、1対1に対応する複数の出力部322と複数の駆動信号線12との間をそれぞれ導通させる複数のスイッチにより構成される。同図の左端に配置された出力部322に接続される部分の出力選択部33を例に挙げて説明すると、スイッチ371はMOSトランジスタ351のドレインと駆動信号線12のうち上端に配置された信号線との間に配置され、スイッチ372はMOSトランジスタ361のドレインと駆動信号線12の上端の信号線との間に配置される。このスイッチ371および372を導通させることにより、出力部322と駆動信号線12の上端の信号線との間が電気的に接続される。これにより、出力選択部33による複数の出力部322および複数の駆動信号線12の選択を行うことができる。この選択された出力部322に対し、選択された駆動信号線12に調整された駆動信号を出力させることができる。
【0057】
スイッチ371および372を非導通の状態にすると、出力部322と駆動信号線12の上端の信号線との間が遮断される。また、この際、左端の出力部322においてMOSトランジスタ351のドレインおよびMOSトランジスタ361のドレインの間が非導通の状態になる。出力選択部33により選択されていない出力部322の消費電力を低減することができる。このように、出力選択部33は、駆動信号線12毎にスイッチ371および372が配置される。後述するように、スイッチ371および372には、制御信号により導通および非導通の状態を切り替えるアナログスイッチ等の半導体素子を使用することができる。
【0058】
帰還選択部34は、複数のスイッチ373により構成される。この複数のスイッチ373は、複数の駆動信号線12に1対1に対応して配置され、一端が対応する複数の駆動信号線12にそれぞれ接続される。複数のスイッチ373の他端は、帰還路38に共通に接続される。このように、帰還選択部34は、複数の駆動信号線12を選択して帰還路38に接続することができる。スイッチ371においても、スイッチ371および372と同様に、アナログスイッチ等の半導体素子を使用することができる。
【0059】
出力選択部33および帰還選択部34は、複数の駆動信号線12のうち同一の駆動信号線12を選択し、スイッチ371および372ならびにスイッチ373を導通させる。これにより、出力部322から駆動信号が出力された駆動信号線12を伝達する駆動信号が帰還路38を介して誤差増幅部321の反転入力に帰還される。スイッチ373は、スイッチ371および372と駆動信号線12との接続点より表示パネル10寄りの位置において駆動信号線12に接続されるため、スイッチ371および372が帰還経路に含まれることとなる。スイッチ371および372には駆動信号に基づく電流が流れるため、スイッチ371および372のインピーダンスによる電圧降下を生じる。このため、駆動信号線12に印加される電圧が低下し、基準駆動信号と駆動信号線12に印加される駆動信号とは異なる電圧になる。
【0060】
しかし、スイッチ371および372を帰還経路内に配置することにより、スイッチ371および372による電圧降下を補償することができる。具体的には、基準駆動信号と駆動信号線12を伝達する駆動信号との差分を誤差増幅部321により検出して駆動信号を調整することにより、スイッチ371および372における電圧降下を見込んだ電圧の駆動信号を出力部322から出力させる。これにより、スイッチ371および372による電圧降下が補償される。このように、駆動信号線12の駆動信号を負帰還させることにより、スイッチ371および372における電圧降下に基づく誤差を軽減することができる。また、出力部322による電圧降下の影響も軽減することができる。なお、帰還路38には殆ど電流が流れないため、帰還選択部34のスイッチ373のインピーダンスの影響は無視することができる。
【0061】
なお、出力選択部33および帰還選択部34は、複数の駆動信号線12を選択することもできる。例えば、図2において説明した初期化信号を画素100に印加する場合には、出力選択部33は全ての出力部322および駆動信号線12を選択してそれぞれの間を導通させることができる。同様に、帰還選択部34は全ての駆動信号線12を選択して帰還路38との間を導通させることができる。また、出力選択部33および帰還選択部34は、全ての駆動信号線12を非選択の状態にすることもできる。
【0062】
[誤差増幅の構成]
図5は、本開示の実施の形態に係る誤差増幅の構成例を示す図である。同図は、誤差増幅部321の構成例を表す回路図である。同図の誤差増幅部321は、MOSトランジスタ352および353と、MOSトランジスタ362乃至367と、定電流源383乃至385と、バイアス回路386乃至388とを備える。MOSトランジスタ352および353には、pチャネルMOSトランジスタを使用することができる。MOSトランジスタ362乃至367には、nチャネルMOSトランジスタを使用することができる。
【0063】
MOSトランジスタ362のゲートは信号線39に接続され、MOSトランジスタ363のゲートは帰還路38に接続される。定電流源384は電源線VddとMOSトランジスタ362のドレインとの間に接続される。MOSトランジスタ362のドレインには、MOSトランジスタ352のソースがさらに接続される。定電流源385は電源線VddとMOSトランジスタ363のドレインとの間に接続される。MOSトランジスタ363のドレインには、MOSトランジスタ353のソースがさらに接続される。MOSトランジスタ352および353のゲートは、バイアス回路386の出力に共通に接続される。定電流源383はMOSトランジスタ362のソースおよび接地線の間に接続され、MOSトランジスタ362のソースにはMOSトランジスタ363のソースがさらに接続される。MOSトランジスタ352のドレインは、MOSトランジスタ364のドレイン、MOSトランジスタ365のゲートおよびMOSトランジスタ367のゲートに接続される。
【0064】
MOSトランジスタ364のゲートおよびMOSトランジスタ366のゲートは、バイアス回路387の出力に共通に接続される。MOSトランジスタ364のソースはMOSトランジスタ365のドレインに接続され、MOSトランジスタ365のソースは接地される。MOSトランジスタ353のドレインは配線329に接続され、MOSトランジスタ366のドレインは配線328に接続される。バイアス回路388は、MOSトランジスタ353のドレインおよびMOSトランジスタ366のドレインの間に接続される。MOSトランジスタ366のソースはMOSトランジスタ367のドレインに接続され、MOSトランジスタ367のソースは接地される。
【0065】
同図の誤差増幅部321は、いわゆる折返しカスコード型の差動増幅回路により構成される例を表したものである。MOSトランジスタ362および363は差動対を構成する。ゲート接地回路に構成されたMOSトランジスタ352および353は、それぞれMOSトランジスタ362および363のドレインに接続されて折返しカスコード接続される。バイアス回路386は、MOSトランジスタ352および353のゲートにバイアス電圧を供給する回路である。
【0066】
MOSトランジスタ364乃至367は、いわゆる低電圧カスコードカレントミラー回路を構成し、MOSトランジスタ352および353の負荷を構成する回路である。誤差増幅部321の出力は、MOSトランジスタ353のドレインから取り出される。すなわち、MOSトランジスタ353のドレインにはバイアス回路388およびMOSトランジスタ366のドレインがこの順に直列に接続される。バイアス回路388は、所定のバイアス電圧を生成する回路であり、MOSトランジスタ353のドレインに接続される配線329とMOSトランジスタ366のドレインに接続される配線328との間にバイアス電圧分の電位差を付与する。この電位差を付与することにより、図4において説明したハイサイドおよびローサイドのMOSトランジスタのゲートに誤差増幅部321の出力を接続することができ、増幅した駆動信号を供給することができる。
【0067】
[出力選択部および帰還選択部の構成]
図6は、本開示の第1の実施の形態に係る出力選択部および帰還選択部の構成例を示す図である。同図は、図4において説明した出力選択部33を構成するスイッチ371および372をアナログスイッチ391および392により構成し、帰還選択部34を構成するスイッチ373をアナログスイッチ393により構成した回路である。このアナログスイッチ391乃至393は、それぞれ制御端子を備える。この制御端子にオン信号を印加することによりアナログスイッチ391乃至393を導通させることができる。これらアナログスイッチ391乃至393には、例えば、MOSトランジスタを使用することができる。この場合、制御端子にはゲートが該当することとなる。また、例えば、制御端子に印加された信号に基づいてMOSトランジスタを駆動するゲート回路を備える構成にすることもできる。
【0068】
同図においては、複数の駆動信号線12を駆動信号線PIX1乃至PIXnと記載する。なお、「PIX」の後に付された1乃至nにより、複数の駆動信号線PIXを識別する。また、アナログスイッチ391乃至393の制御端子には、複数の信号線42が接続される。同図においては、複数の信号線42を選択信号線SEL1乃至SELnと記載する。駆動信号線PIXと同様に、「SEL」の後に付された1乃至nにより、複数の選択信号線SELを識別する。
【0069】
駆動信号線PIX乃至1PIXnは、複数の出力部322および選択信号線SEL1乃至SELnとそれぞれ1対1に対応する。すなわち、選択信号線SEL1乃至SELnは、出力選択部33および帰還選択部34における駆動信号線12(駆動信号線PIX乃至1PIXn)の選択を制御する信号を伝達する信号線となる。選択信号線SEL1乃至SELnのうちの1つを選択してオン信号を出力することにより、当該選択された選択信号線SELに接続されたアナログスイッチ391乃至393が導通状態となる。これにより、選択された選択信号線SELに対応する出力部322から対応する駆動信号線PIXに駆動信号が出力されるとともに、当該駆動信号線PIXの駆動信号が誤差増幅部321の入力に帰還される。なお、選択信号線SEL1乃至SELnの信号は、制御部40により生成される。
【0070】
[駆動方法]
図7は、本開示の実施の形態に係る表示パネルの駆動の一例を示す図である。同図は、1つのチャネルにおけるDAC31から出力される駆動信号、信号線42(選択信号線SEL1乃至SELn)および駆動信号線12(駆動信号線PIX1乃至PIXn)の信号を表したタイミングチャートである。同図において、DAC出力は、DAC31から出力される初期化信号および駆動信号を表す。SEL1乃至SELnは、選択信号線SEL1乃至SELnにより伝達される信号を表す。この信号における論理「1」の部分がオン信号を表す。PIX1乃至PIXnは、駆動信号線PIX1乃至PIXnにより伝達される駆動信号を表す。また、チャネルには第1から第m(m=n/3)の画素が順に配置され、各画素は3つの副画素により構成されるものと想定する。この場合、副画素が画素100に該当することとなる。同図の「画素1」および「副画素1」は、それぞれ第1の画素および第1の副画素を表す。
【0071】
T0において、DAC31は初期化信号を出力し、制御部40は選択信号線SEL1乃至SELnにオン信号を出力する。これにより、駆動信号線PIX1乃至PIXnには、初期化電圧Vofsが印加される。
【0072】
T1において、DAC31は第1の画素における第1の副画素の駆動信号を出力し、制御部40は選択信号線SEL1にオン信号を出力する。これにより、駆動信号線PIX1に第1の画素における第1の副画素の駆動電圧Vsigが印加される。
【0073】
T2において、DAC31は第1の画素における第2の副画素の駆動信号を出力し、制御部40は選択信号線SEL2にオン信号を出力する。これにより、駆動信号線PIX2に第1の画素における第2の副画素の駆動電圧Vsigが印加される。
【0074】
T3において、DAC31は第1の画素における第3の副画素の駆動信号を出力し、制御部40は選択信号線SEL3にオン信号を出力する。これにより、駆動信号線PIX3に第1の画素における第3の副画素の駆動電圧Vsigが印加される。
【0075】
このように、T1乃至T3に表した駆動により、第1の画素の3つの副画素に対して駆動電圧の書込みを行うことができる。これを残りの第2の画素から第mの画素に対して行うことにより、1列分の画素100の書込みを行うことができる。
【0076】
[駆動信号波形]
図8は、本開示の実施の形態に係る駆動信号波形の一例を示す図である。同図におけるaは、1つの駆動信号線12(駆動信号線PIX1)に接続される増幅回路32、出力選択部33、帰還選択部34および帰還路38を簡略化して記載した回路図である。同図におけるaにおいて、抵抗401は出力選択部33のインピーダンス(R)を表す。キャパシタ402は、駆動信号線12の負荷容量(C)を表す。同図におけるbは、DAC31から出力される駆動信号および駆動信号線PIX1の駆動信号の波形を表したものである。
【0077】
同図におけるbにおいて、実線は、本開示に基づく表示素子駆動回路における波形を表す。DAC31が駆動信号(Vsig)を出力すると、駆動信号線PIX1の電圧はランプ状に上昇してVsigに達する。増幅回路32の作用により、駆動信号線PIX1の電圧とDAC31から入力された駆動信号(基準駆動信号)との差分に応じた電圧が出力されるためである。駆動信号線PIX1におけるセトリング時間(Ts)は、増幅回路32のスルーレートに応じた値に短縮することができる。
【0078】
一方、同図におけるbの点線は従来の表示素子駆動回路における波形を表す。具体的には、同図におけるaにおいて、帰還路38が増幅回路32の出力と出力選択部33との間に結線された場合(同図におけるaの点線により表された経路に結線された場合)の波形を表したものである。出力選択部33のインピーダンスの影響により、駆動信号線PIX1の電圧は、時定数(CおよびRの積)に応じた指数関数状に上昇する。このため、セトリング時間が長くなる。増幅回路32の出力部322に配置されるMOSトランジスタの電流容量を増加することにより、セトリング時間を短縮を図る場合には、大型のMOSトランジスタを配置する必要が生じて増幅回路32の専有面積が増加する問題が生じる。
【0079】
また、従来の表示素子駆動回路において、インピーダンスを低下させるため出力選択部33のスイッチ371等を大型化した場合においても、増幅回路32の占有面積の増加を招くこととなる。大型化したスイッチ371では、使用するMOSトランジスタの接合容量が増加してシグナルフィードスルーを生じ駆動電圧が変動する。また、大型化したスイッチ371では、チャネル領域が大きくなり、チャージインジェクションが増加するため、同様に駆動電圧が変動して精度が低下することとなる。
【0080】
これに対し、出力選択部33を帰還経路に配置して出力選択部33のインピーダンスによる電圧降下を補償することにより、出力部322に配置されるMOSトランジスタの大型化等を行うことなくセトリング時間を短縮することができる。表示パネル10が高解像度化した場合であっても、単位時間における画面の表示回数であるフレーム周波数を低くすることなく、表示を行うことができる。また、図4において説明したように、スイッチ371および372をMOSトランジスタのドレインおよび駆動信号線12の間に配置し、出力選択部33により選択されていない出力部322に流れる電流(バイアス電流)を遮断することにより、低消費電力化することもできる。
【0081】
以上説明したように、本開示の第1の実施の形態の表示素子駆動回路は、複数の出力部322を備える増幅回路32と複数の駆動信号線12とを備え、この複数の出力部322および駆動信号線12を選択して導通させる出力選択部33を備える。また、出力選択部33により選択された駆動信号線12により伝達される駆動信号を増幅回路32の入力に帰還する帰還回路が配置されて、駆動信号が増幅回路32により調整される。これにより、出力選択部33のインピーダンスの影響を軽減することができ、駆動信号線12における駆動信号のセトリング時間を短縮することができる。
【0082】
<2.第2の実施の形態>
上述の第1の実施の形態の表示素子駆動回路は、出力部322のMOSトランジスタと駆動信号線12との間にスイッチ371等を配置していた。これに対し、本開示の第2の実施の形態の表示素子駆動回路は、出力部322のMOSトランジスタと電源線Vdd等との間にスイッチを配置する点で、上述の第1の実施の形態と異なる。
【0083】
[駆動回路の構成]
図9は、本開示の第2の実施の形態に係る表示素子駆動回路の構成例を示す図である。同図の出力部322および出力選択部33は、以下の点で、図4において説明した出力部322および出力選択部33と異なる。スイッチ371は、MOSトランジスタ351のソースおよび電源線Vddの間に接続される。スイッチ372は、MOSトランジスタ361のソースおよび接地の間に接続される。
【0084】
スイッチ371は一端が電源線Vddに接続され、スイッチ372は一端が接地される。このため、図4におけるスイッチ371および372のようにフローティング状態とならず、制御信号の入力を簡便化することができる。
【0085】
これ以外の表示素子駆動回路の構成は本開示の第1の実施の形態において説明した撮像素子1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0086】
以上説明したように、本開示の第2の実施の形態の表示素子駆動回路は、出力部322のMOSトランジスタと電源線Vddや接地線との間にスイッチ371等を配置することにより、簡便な手段によりスイッチ371等の制御信号を入力することができる。これにより、表示素子駆動回路を簡略化することができる。
【0087】
<3.第3の実施の形態>
上述の第1の実施の形態の表示素子駆動回路は、出力部322のMOSトランジスタと駆動信号線12との間にスイッチ371等を配置していた。これに対し、本開示の第3の実施の形態の表示素子駆動回路は、出力部322のMOSトランジスタのゲート側にスイッチを配置する点で、上述の第1の実施の形態と異なる。
【0088】
[駆動回路の構成]
図10は、本開示の第3の実施の形態に係る表示素子駆動回路の構成例を示す図である。同図の出力部322および出力選択部33は、以下の点で、図4において説明した出力部322および出力選択部33と異なる。同図の出力選択部33は、スイッチ371および372の代わりにスイッチ374および375を備える。スイッチ374は、配線329および電源線Vddを切り替えてMOSトランジスタ351のゲートに接続する。スイッチ375は、配線328および接地を切り替えてMOSトランジスタ361のゲートに接続する。
【0089】
スイッチ374がMOSトランジスタ351のゲートおよび配線329を接続する場合には、MOSトランジスタ351は、誤差増幅部321から入力された駆動信号をドレインに接続された駆動信号線12に出力する。一方、スイッチ374がMOSトランジスタ351のゲートおよび電源線Vddを接続する場合には、MOSトランジスタ351は、非導通の状態となる。スイッチ375においても同様に、MOSトランジスタ361のゲートの接続先を配線328および接地線に切り替えることにより、MOSトランジスタの動作を切り替えることができる。MOSトランジスタのドレインには駆動信号が流れるため、図4におけるスイッチ371および372は比較的電流容量が大きなスイッチを使用する必要がある。これに対し、スイッチ374および375には比較的小型のスイッチを採用することができる。定常時においてMOSトランジスタのゲートを流れる電流は微少なためである。
【0090】
これ以外の表示素子駆動回路の構成は本開示の第1の実施の形態において説明した撮像素子1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0091】
以上説明したように、本開示の第3の実施の形態の表示素子駆動回路は、出力選択部33のスイッチを小型化することができ、表示素子駆動回路を簡略化することができる。
【0092】
<4.第4の実施の形態>
上述の第1の実施の形態の表示素子駆動回路は、出力部322のMOSトランジスタと駆動信号線12との間にスイッチ371等を配置していた。これに対し、本開示の第4の実施の形態の表示素子駆動回路は、出力部322と駆動信号線12との間にスイッチを配置する点で、上述の第1の実施の形態と異なる。
【0093】
[駆動回路の構成]
図11は、本開示の第4の実施の形態に係る表示素子駆動回路の構成例を示す図である。同図の出力部322および出力選択部33は、以下の点で、図4において説明した出力部322および出力選択部33と異なる。同図の出力部322および出力選択部33は、MOSトランジスタ351のドレインおよびMOSトランジスタ361のドレインがスイッチ376の一端に共通に接続され、スイッチの他の一端が駆動信号線12に接続される。すなわち、スイッチ376は、出力部322および駆動信号線12の間に配置される。
【0094】
スイッチ371および372の代わりにスイッチ376を使用して出力選択部33を構成することができため、出力選択部33を簡略化することができる。
【0095】
これ以外の表示素子駆動回路の構成は本開示の第1の実施の形態において説明した撮像素子1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0096】
以上説明したように、本開示の第4の実施の形態の表示素子駆動回路は、出力選択部33におけるスイッチを削減することにより、表示素子駆動回路を簡略化することができる。
【0097】
<5.第5の実施の形態>
上述の第1の実施の形態の表示素子駆動回路は、全ての出力部322が駆動信号線12に接続されていた。これに対し、本開示の第5の実施の形態の表示素子駆動回路は、駆動信号線12に接続されない出力部をさらに備える点で、上述の第1の実施の形態と異なる。
【0098】
[駆動回路の構成]
図12は、本開示の第5の実施の形態に係る表示素子駆動回路の構成例を示す図である。増幅回路32は、ダミー出力部323をさらに備える点で、図4において説明した増幅回路32と異なる。ダミー出力部323は、ドレイン同士が接続されたMOSトランジスタ354およびMOSトランジスタ368により構成される。このMOSトランジスタ354および368には、それぞれpチャネルMOSトランジスタおよびnチャネルMOSトランジスタを使用することができる。MOSトランジスタ354およびMOSトランジスタ368のゲートおよびソースの配線はMOSトランジスタ351および361と同様にすることができる。また、MOSトランジスタ354およびMOSトランジスタ368のドレインは、帰還路38にさらに接続される。
【0099】
ダミー出力部323は、出力選択部33には接続されない。このため、帰還選択部34等を介して駆動信号線12に接続された場合には駆動信号が流れるものの、これ以外の時にはMOSトランジスタ354および368にはバイアス電流のみが流れる。一方、ダミー出力部323は、スイッチ371等により切断されることなく誤差増幅部321の出力と帰還路38との間に接続される。このため、ダミー出力部323により増幅回路32の帰還経路を維持することができる。
【0100】
これに対し、出力部322は、スイッチ371および372により非導通の状態に切り替えられる。図4において説明した増幅回路32において、駆動信号線12に駆動信号を出力しない状態にすると、全てのスイッチ371および372が非導通の状態に制御される。このため、図4において説明した増幅回路32では、帰還経路が途切れる状態を生じる。帰還経路が途切れると、誤差増幅部321の反転入力の電圧が非反転入力の電圧に追従しなくなり、誤差増幅部321が飽和して、電源電圧Vddや接地電位に近い電圧を出力することとなる。この状態からスイッチ371等を導通させ、何れかの駆動信号線12に駆動信号を出力する状態である定常時に遷移する際、誤差増幅部321の出力が定常時の出力電圧に復帰するための時間が必要となり、セトリング時間が長くなる。
【0101】
これ以外の表示素子駆動回路の構成は本開示の第1の実施の形態において説明した撮像素子1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0102】
以上説明したように、本開示の第5の実施の形態の表示素子駆動回路は、ダミー出力部323を配置して増幅回路32の帰還経路の途絶を防ぐことができ、セトリング時間の増加を防止することができる。
【0103】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本開示の一例であり、本開示は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【0104】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)複数の表示素子の駆動信号をそれぞれ伝達する複数の駆動信号線と、
入力された基準駆動信号および前記駆動信号線を伝達する駆動信号の差分に基づいて駆動信号を調整する誤差増幅部と、前記複数の駆動信号線毎に配置されて前記調整された駆動信号を前記複数の駆動信号線にそれぞれ出力する複数の出力部とを備える増幅回路と、
前記複数の駆動信号線から選択するとともに当該選択した駆動信号線に対応する前記出力部に対して前記選択した駆動信号線に前記調整された駆動信号を出力させる出力選択部と、
前記駆動信号線に出力された調整された駆動信号を前記駆動信号線を伝達する駆動信号として前記誤差増幅部に帰還する帰還回路と
を具備する表示素子駆動回路。
(2)前記出力部は、トランジスタおよび前記トランジスタに給電する電源線を備える前記(1)に記載の表示素子駆動回路。
(3)前記出力選択部は、前記複数の出力部のトランジスタおよび前記駆動信号線の間にそれぞれ配置される複数のスイッチにより構成される前記(2)に記載の表示素子駆動回路。
(4)前記出力選択部は、前記複数の出力部のトランジスタおよび前記電源線の間にそれぞれ配置される複数のスイッチにより構成される前記(2)に記載の表示素子駆動回路。
(5)前記出力選択部は、前記複数の出力部のトランジスタの制御端子への前記調整された駆動信号の入力をそれぞれ制御する複数のスイッチにより構成される前記(2)に記載の表示素子駆動回路。
(6)前記出力選択部は、前記複数の出力部および前記複数の駆動信号線の間にそれぞれ配置される複数のスイッチにより構成される前記(1)または(2)の何れかに記載の表示素子駆動回路。
(7)前記帰還回路は、前記複数の駆動信号線のうち前記調整された駆動信号が出力される駆動信号線を選択する帰還選択部と前記帰還選択部により選択された駆動信号線により伝達される駆動信号を前記誤差増幅部に伝達する帰還路とを備える前記(1)から(6)の何れかに記載の表示素子駆動回路。
(8)前記増幅回路は、調整された前記駆動信号を前記誤差増幅に帰還させるダミー出力部をさらに備える前記(1)から(7)の何れかに記載の表示素子駆動回路。
(9)複数の表示素子と、
前記複数の表示素子の駆動信号をそれぞれ伝達する複数の駆動信号線と、
入力された基準駆動信号および前記駆動信号線を伝達する駆動信号の差分に基づいて駆動信号を調整する誤差増幅部と、前記複数の駆動信号線毎に配置されて前記調整された駆動信号を前記複数の駆動信号線にそれぞれ出力する複数の出力部とを備える増幅回路と、
前記複数の駆動信号線から選択するとともに当該選択した駆動信号線に対応する前記出力部に対して前記選択した駆動信号線に前記調整された駆動信号を出力させる出力選択部と、
前記駆動信号線に出力された調整された駆動信号を前記駆動信号線を伝達する駆動信号として前記誤差増幅部に帰還する帰還回路と
を具備する表示装置。
【符号の説明】
【0105】
1 表示装置
10 表示パネル
12 駆動信号線
20 垂直駆動部
30 水平駆動部
31 DAC
32 増幅回路
33 出力選択部
34 帰還選択部
38 帰還路
40 制御部
50 基準電圧生成部
100 画素
101 表示素子
102~105、351~354、361~368 MOSトランジスタ
107、108、381、382 キャパシタ
321 誤差増幅部
322 出力部 323 ダミー出力部
371~376 スイッチ
383~385 定電流源
386~388 バイアス回路
391~393 アナログスイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12