(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】自動式アブレーションエネルギー要素を用いるアブレーションシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 18/18 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
A61B18/18
(21)【出願番号】P 2020531642
(86)(22)【出願日】2019-01-15
(86)【国際出願番号】 US2019013688
(87)【国際公開番号】W WO2019140451
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2022-01-12
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516317447
【氏名又は名称】カーディオフォーカス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メルスキー,ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】エスタブルック,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】バクスター,リンカーン
(72)【発明者】
【氏名】バブコ-マールィー,セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】グリーン,ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ディセザール,パウル
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0189108(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0276398(US,A1)
【文献】特開2013-006047(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0035537(US,A1)
【文献】特表2001-512703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アブレーション器具であって、
開口部が内部に形成されたハウジングを有する細長いカテーテルと、
前記細長いカテーテルに結合され、かつアブレーションエネルギーを送達するように構成されているエネルギーエミッタと、
コントローラであって、前記
開口部内に収容されており、前記
開口部内の前記コントローラの軸方向の移動が、前記エネルギーエミッタの軸方向の移動に変換され、かつ前記
開口部内の前記コントローラの回転が、前記エネルギーエミッタの回転に変換されるように、前記エネルギーエミッタに結合されている、コントローラと、
前記カテーテルの前記ハウジング内に少なくとも部分的に配設されているモータと、
前記モータに動作可能に接続され、かつ前記モータによって駆動される第1のギヤと、
前記エネルギーエミッタに結合され、前記エネルギーエミッタを軸方向に移動させながら、前記エネルギーエミッタの回転を引き起こすための前記第1のギヤによって駆動される第2のギヤと、を備
え、
前記エネルギーエミッタは、細長い外管内に少なくとも部分的に収容された光ファイバを具備する、アブレーション器具。
【請求項2】
前記
外管が、前記コントローラに固定して取り付けられている外
管を含み、前記第1のギヤが、細長いスプラインギヤを含み、前記第2のギヤが、前記
外管に固定して取り付けられ、かつ前記
開口部内の前記コントローラの軸方向の動きに応答して、前記スプラインギヤに沿って軸方向に移動するように構成されている、請求項1に記載のアブレーション器具。
【請求項3】
前記外
管が、前記コントローラに固定して取り付けられている
外管を含み、前記第2のギヤは、前記外
管が、前記
開口部内の前記コントローラの軸方向の動きに応答して、前記第2のギヤを介して軸方向にスライドすることができるように、前記外
管に結合されている、請求項1に記載のアブレーション器具。
【請求項4】
前記外
管が、前記外
管に形成された少なくとも1つの凹状のチャネルを含み、前記第2のギヤは、前記第2のギヤが前記外
管に結合されることをもたらす、前記少なくとも1つのチャネル内に配設された少なくとも1つの突起部を有するスルーホールを含み、その結果、前記第2のギヤの回転が、前記外
管の回転をもたらすが、前記外
管は、前記コントローラの軸方向の移動を可能にするように、前記第2のギヤの前記スルーホールの内部で軸方向に移動することができ、これに対して、前記第2のギヤは、前記軸方向に少なくとも実質的に静止したままであり、かつ前記第1のギヤと係合する、請求項3に記載のアブレーション器具。
【請求項5】
前記第2のギヤは、スルーホールであって、前記スルーホールの内部に配設された複数のローラーを有する、スルーホール、を含み、前記外
管が前記ローラー間を通過し、かつ前記ローラーと接触することが、前記第2のギヤが前記外
管に結合されることをもたらし、その結果、前記第2のギヤの回転が、前記外
管の回転をもたらすが、前記外
管は、前記コントローラの軸方向の移動を可能にするように、前記スルーホールの内部、および前記ローラー間で軸方向に移動することができ、これに対して、前記第2のギヤは、前記軸方向に少なくとも実質的に静止したままであり、かつ前記第1のギヤと係合する、請求項3に記載のアブレーション器具。
【請求項6】
前記外
管は、前記外
管に前記第2のギヤに対して前記軸方向に自由にスライドさせるように、軸方向に延在し、かつそれぞれのローラーが上部に着座する複数の平坦部分を有する、請求項5に記載のアブレーション器具。
【請求項7】
前記
外管が、前記コントローラに固定して取り付けられ、かつ前記第2のギヤに固定して取り付けられている外
管を含み、前記モータが、長手方向に形成された複数のスプラインを含む駆動シャフトに接続され、前記第1のギヤが、前記複数のスプラインを収容する、長手方向に延在した複数のチャネルを有するスルーホールを含み、それによって、前記第1のギヤは、前記第1のギヤが前記外
管の軸方向の動きに応答して前記駆動シャフトに沿って軸方向に移動することができるといった方法で、前記駆動シャフトに結合されることをもたらし、同時に前記第1のギヤは、前記駆動シャフトの回転が前記外
管および前記エネルギーエミッタの回転に変換されるように、前記第2のギヤと係合されたままである、請求項1に記載のアブレーション器具。
【請求項8】
前記
外管が
、前記コントローラに固定して取り付けられ、かつ前記第2のギヤおよび前記
外管が一斉に回転するように前記第2のギヤに結合されている、外
管、を含むが、前記外
管は、前記第2のギヤに対して軸方向に自由に移動することができる、請求項1に記載のアブレーション器具。
【請求項9】
前記モータが駆動シャフトに接続され、前記
外管が、前記コントローラに固定して取り付けられているスプラインシャフトを含み、前記第2のギヤは、前記スプラインシャフトが前記コントローラの軸方向の動きに応答して前記第2のギヤに対して軸方向に移動することができるように、前記スプラインシャフトのスプラインを収容する、前記第2のギヤに形成された第1のキー溝付きスルーホールを有し、同時に前記第2のギヤは、前記駆動シャフトの回転が前記外
管および前記エネルギーエミッタの回転に変換されるように、前記第1のギヤに係合されたままである、請求項1に記載のアブレーション器具。
【請求項10】
前記
開口部が、前記
開口部に形成された弓形状スロットを有する近位縁端部を有し、スペーサ要素が、前記第2のギヤに固定して取り付けられ、
かつ該第2のギアと一緒に回転し、かつ前記スプラインシャフトに前記スペーサ要素に対して軸方向に移動させることができるように、前記スプラインシャフトの前記スプラインを収容する第2のキー溝付きホールを含み、前記スペーサ要素は、前記モータ、前記第1のギヤ、および前記第2のギヤが配置されている前記ハウジングの近位空間を封止するように、前記弓形状スロット内に収容されているフロントハブを含む、請求項9に記載のアブレーション器具。
【請求項11】
前記フロントハブが、リング形状を有し、前記第1のキー溝付きスルーホールおよび前記第2のキー溝付きスルーホールが、同じ形状を有する、請求項10に記載のアブレーション器具。
【請求項12】
前記コントローラが、前
記外管に固定して結合されているノブと、スライダであって、前記スライダは、
ホールを有し、前記ノブは、前記ノブが前記エネルギーエミッタを回転させるための前記スライダの前記開口部内で自由に回転することができるように、前記
ホール内に取り込まれる、スライダと、を含み、前記スライダは、前記スライダが、前記ノブに沿って、前記エネルギーエミッタを軸方向に移動させるための前記カテーテル
の前記ハウジングの前記
開口部と一緒に軸方向にスライドするように、前記カテーテルの前記ハウジングにスライド可能に結合されている
ケースを有し、前記スライダは、前記ノブ
に軸方向に
接触して付勢し前記ノブの軸方向の移動を実現するように構成され、かつ前記エネルギーエミッタが、前記スライダの前記
ホール内での前記ノブの同時回転と干渉しない、請求項1に記載のアブレーション器具。
【請求項13】
前記スライダが、前記スライダを前記カテーテル
の前記ハウジングに結合するための前記
ハウシングの前記開口部の側面を越えて延在する側面翼を有する、請求項12に記載のアブレーション器具。
【請求項14】
前記モータが、
前記カテーテルの前記ハウジングの管状拡張部内に収容されている使い捨てモジュール式ユニットの一部である、請求項1に記載のアブレーション器具。
【請求項15】
前記モータは、セカンダリ駆動シャフトの近位端に形成されたソケット内に収容されている遠位側先端を有するアダプタと嵌合するメイン駆動シャフトであって、前記第1のギヤが、前記セカンダリ駆動シャフトからの前記モータの自由な解放、および前記管状拡張部からの前記使い捨てモジュール式ユニットの取り外しを可能にするように、前記セカンダリ駆動シャフトに結合されている、メイン駆動シャフト、を有する、請求項14に記載のアブレーション器具。
【請求項16】
前記モータのギヤ装置、ならびに前記第1のギヤおよび前記第2のギヤは、前記コントローラの手動回転が前記第1のギヤおよび前記第2のギヤを介して前記モータの駆動シャフトの回転に変換されるように選択されている、請求項1に記載のアブレーション器具。
【請求項17】
前記カテーテルに取り付けられている
バルーンであって、前記バルーンが、放射アブレーションエネルギーに対して実質的に透過性を有し、かつ拡張時に標的組織領域の形状に順応するように構成された弾性部分を有しており、
前記エネルギーエミッタが、前記カテーテルの管腔内に移動可能に配設され、前記エネルギーエミッタが、前記
バルーンの中空の内部内で軸方向に移動可能であり、前記エネルギーエミッタが、放射アブレーションエネルギーの円弧状セグメントを前記
バルーンを介して前記標的組織領域に送達するように構成されている、請求項1に記載のアブレーション器具。
【請求項18】
アブレーション器具であって、
開口部が内部に形成されたハウジングを有する細長いカテーテルと、
前記細長いカテーテルに結合され、かつアブレーションエネルギーを送達するように構成されているエネルギーエミッタであって、前記エネルギーエミッタが、細長い
外管を含む、エネルギーエミッタと、
コントローラであって、前記
開口部内の前記コントローラの軸方向の移動が、前記エネルギーエミッタの軸方向の移動に変換され、かつ前記
開口部内の前記コントローラの回転が、前記エネルギーエミッタの回転に変換されるように、前記
開口部内に収容され、かつ前記エネルギーエミッタに結合されている、コントローラと、を備え、前記コントローラが、前記エネルギーエミッタの前記細長い
外管に固定して結合されているノブと、スライダであって、前記スライダが開口部を有し、前記ノブは、前記ノブが前記エネルギーエミッタを回転させるための前記スライダの前記開口部内で自由に回転することができるように、前記開口部に取り込まれる、スライダと、を含み、前記スライダは、ハウジングであって、前記スライダが、前記ノブに沿って、前記エネルギーエミッタを軸方向に移動させるための前記カテーテル
の前記ハウジングの前記
開口部内で軸方向にスライドするように、前記カテーテルの前記ハウジングにスライド可能に結合されている、
ケース、を有し、前記スライダは、前記ノブの軸方向の
付勢が前記ノブの軸方向の移動を実現するように構成され、かつ前記エネルギーエミッタが前記スライダの前記開口部内で前記ノブの同時回転と干渉しない、アブレーション器具。
【請求項19】
前記カテーテルの前記ハウジング内に少なくとも部分的に配設されているモータと、
前記モータによって動作可能に接続され、かつ前記モータによって駆動される第1のギヤと、
前記エネルギーエミッタに結合され、前記エネルギーエミッタを軸方向に移動させながら、前記エネルギーエミッタの回転を引き起こすための前記第1のギヤによって駆動される第2のギヤと、を備える、請求項18に記載のアブレーション器具。
【請求項20】
前記第1のギヤおよび前記第2のギヤの両方が、前記第1のギヤおよび前記第2のギヤの軸方向および回転の同時移動を可能にするように互いに係合されたままの状態で、軸方向に移動することができる、請求項19に記載のアブレーション器具。
【請求項21】
前記第1のギヤおよび前記第2のギヤが、軸方向に少なくとも実質的に固定され、前記エネルギーエミッタの前記細長い
外管は、前記細長い
外管が前記第2のギヤに対して軸方向に移動することができるように、前記第2のギヤに結合され、同時に前記第2のギヤおよび前記細長い
外管が一斉に回転する、請求項19に記載のアブレーション器具。
【請求項22】
前記エネルギーエミッタが、前記細長い
外管内に内蔵されている光ファイバを含む、請求項1
9に記載のアブレーション器具。
【請求項23】
前記細長い
外管が、複数のスプラインによって画定されたスプライン構造を有し、前記第2のギヤが、前記第2のギヤに対して前記細長い
外管の軸方向の移動を可能にするための前記複数のスプラインを収容する複数のスロットを有する中央スルーホールを有する、請求項22に記載のアブレーション器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、2018年1月15日に出願された米国特許出願第62/617,483号、および2018年6月29日に出願された米国特許出願第62/691,864号の利益、およびそれらに対する優先権を主張し、その各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、アブレーション器具、およびそれらの使用方法に関し、具体的には掃引運動および重複単位で自動化して移動することができるアブレーション要素(エネルギーエミッタ)を利用してアブレーション手技を実行するためのアブレーションカテーテルおよび方法に関するものであり、アブレーションエネルギーのカスタマイズ可能な適用範囲を提供する。エネルギーエミッタの軸方向の回転および移動の両方を可能にするモータ付きギヤ構成配置が提供される。
【背景技術】
【0003】
心臓不整脈(例えば、細動)は、心臓の正常な鼓動パターンにおける不整であり、心臓の心房または心室のどちらかにおいて、それ自体に端的に現れ得るものである。例えば、心房細動は、心房心筋の急激なランダム化収縮によって特徴付けられる不整脈の一形態であり、不規則な、場合によっては、急激な心室応答を引き起こす。心房の規則的なポンプ機能は、乱れた無効震動によって置き換えられ、結果として心臓の上部室を介して電気信号の無秩序な伝導となる。心房細動は、多くの場合、うっ血性心不全、リウマチ性心疾患、冠動脈疾患、左心室肥大、心筋症、または高血圧症を含む、心臓血管疾患の他の形態と関連する。
【0004】
現在、再発性心房細動(発作性および慢性)は、急激に発症する組織(「異所性病巣」と呼ばれる)によって誘発され、その発症組織は、主として4つの肺静脈のうちの1つ以上の中に位置し、それらの肺静脈は、左心房の後部に付いていると理解されている。心房細動は、左心房の残りから肺静脈を電気的に隔離することによって防ぎ得ることが見出されている。
【0005】
肺静脈の隔離には、様々な技術が採用されてきた。これらの各々の技術の共通の目的は、心筋細胞を瘢痕組織で置き換えることであり、その瘢痕組織は、心臓内の正常な電気的活動を伝えることができない。
【0006】
1つの既知のアプローチでは、肺静脈と左心房との接合部を取り囲む組織の円周アブレーションが、心房細動を治療するために実践されてきた。この位置で心臓組織を経壁可能にかつ円周方向にアブレーションすることによって、肺静脈と、左心房の残りとの間の電気伝導性を遮断し、結果として、この瘢痕または丈夫な障壁を作り出し、細動プロセスの始動を防ぐことができる。
【0007】
最近、心臓不整脈を治療するための損傷を作り出すための、いくつかのタイプのアブレーション装置が提案されている。最近提案されたアブレーション装置の多くは、心臓内部から別々の損傷を作り出すように設計されている、経皮装置である。係る装置は、患者のカテーテル治療法によって、例えば、大腿静脈などの血管を経由して心臓の中にアブレーション器具を通し、その後、左心房への経中隔アクセスを確保することによって、心臓内に位置決めされる。
【0008】
一般に、経皮装置は、ガイドカテーテルの補助を受けて位置決めされ、そのガイドカテーテルは、最初、心房内中隔に形成されたホールを通って心臓の左側に前進される。次第に一般的になりつつある1つのアプローチでは、ガイドカテーテルまたは同様なガイド装置が、脈管構造を通って心臓の左心房の中に前進される。次いで、拡張可能な要素を有するカテーテル器具が、ガイドカテーテルを通って、肺静脈の心門のうちの各1つの中に前進され、そこで、拡張可能な要素(例えば、バルーン)を膨張させる。バルーンは、可動アブレーション要素、例えば、バルーンの内面に配設されたレーザなどのエネルギー放出装置を含み、そのエネルギー放出装置により、医師が、アブレーション手技の目的である丈夫な障壁を作り出すために、静脈心門と左心房との間の接合領域内でのエネルギーの印加を順次位置決めおよび制御するのを可能にする。
【0009】
かなりの数のアブレーションシステムが、円周方向の形状を有するか、または完全な円周に満たない形状(すなわち、円弧状)を有するかの、レーザビームなどのアブレーションエネルギーを放出することによって動作する。これらのシステムは、円弧状のアブレーションエネルギーを放出する装置の場合に有効ではあるが、ユーザは、損傷を完成するための極めて多くのステップを使用して、アブレーション要素を逐次移動させる必要があり得る。このプロセスは、アブレーション要素が小さい円弧のエネルギーのみを放出するように構成され得るため(例えば、一実施形態では、エネルギーエミッタに対して約5~30度の角度の範囲を定めている)、時間がかかる場合がある。
【0010】
したがって、肺静脈隔離手技が成功したかどうかを正確かつ即座に確認し、それによって、ユーザ(電気生理学者、より具体的には電気生理学者または介入心臓専門医)がリアルタイムで是正処置を取って、丈夫に形成された完全な円周方向の障壁を確実にするのを可能にするように構成されたシステムおよび方法のための、当技術分野における必要性が残っている。また、損傷をより効率的に完成させるように構成されたシステムおよび方法のための、当技術分野における必要性も依然として残っている。
【発明の概要】
【0011】
アブレーション器具(例えば、アブレーションバルーンカテーテルシステム)は、窓が内部に形成されたハウジングを有する細長いカテーテルを備える。エネルギーエミッタは、細長いカテーテルに結合され、かつアブレーションエネルギーを送達するように構成される。コントローラは、窓内に収容され、エネルギーエミッタに結合されて、その結果、窓内のコントローラの軸方向の移動が、エネルギーエミッタの軸方向の移動に変換され、かつ窓内のコントローラの回転が、エネルギーエミッタの回転に変換される。この器具は、カテーテルのハウジング内に少なくとも部分的に配設されているモータと、モータに動作可能に接続され、かつモータによって駆動される第1のギヤと、エネルギーエミッタに結合され、エネルギーエミッタを軸方向に移動させながら、エネルギーエミッタの回転を引き起こすための第1のギヤによって駆動される第2のギヤと、を備える。
【0012】
本発明のこれら、ならびに他の態様、特徴、および利益は、添付図面からさらに理解することができ、これらの図面は、それらの態様等のさらなる詳細な説明と共に、本発明の特定の実施形態を例証する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の目的および特徴は、以下の添付図面と併せて一緒に取得される、本発明の例証となる実施形態の以下の詳細な説明を参照しながら、理解することができる。
【0014】
【
図1】本発明による内視鏡ガイド式心臓アブレーションシステムの構成要素を表すブロック図である。
【
図2】
図1の心臓アブレーションシステムの心臓アブレーション器具の概略図である。
【
図3】心臓アブレーション器具内で使用されるプロセッサモジュールのブロック図である。
【
図4】情報を表示するための分割スクリーン配置の形態でユーザインターフェースを示す図である。
【
図5】肺静脈の治療のための、心門内の治療位置で示される、
図2の心臓アブレーション器具の概略図である。
【
図6】複数の箇所のうちの1つにおいて、膨張する器具適合バルーン、および配備される器具アブレーション要素を有する、
図2の心臓アブレーション器具の概略図である。
【
図7】心臓内アブレーション手技を必要とする治療中に形成される損傷の品質を判定するための、
図1のアブレーションシステムによって実行されるステップを示すフロー図である。
【
図8】不十分な損傷を示す視覚的警報信号を図で表す、
図1のディスプレイのスクリーンショットである。
【
図9】本発明の1つのアブレーション方法を使用するように構成されたコンピュータシステムのブロック図である。
【
図10】アブレーション手技の開始前の、カテーテルの長手方向軸に沿うところからの治療部位の代表的な図である。
【
図11】アブレーション手技の完成後の、カテーテルの長手方向軸に沿うところからの治療部位の代表的な図である。
【
図12】自動式アブレーション要素の掃引動作を使用した、治療部位におけるアブレーション経路を示す図である。
【
図13】自動式アブレーション要素のモータを制御するように構成されたコンピュータシステムのブロック図である。
【
図14】自動式アブレーション要素を備える心臓アブレーション器具の概略図であり、そのアブレーション器具には、自動式アブレーション要素の動きを制御するための1つ以上のモータを有するハンドルがさらに含まれる。
【
図15】1つの典型的なアブレーション要素の断面図である。
【
図16】別の実施形態によるアブレーション器具の斜視図である。
【
図17】底部ハンドルハウジング部の斜視図である。
【
図18】上部ハンドルハウジング部の斜視図である。
【
図19】第1の実施形態による、ギヤ配置を有するハンドルハウジングの一部分の斜視図である。
【
図20】モータならびに駆動およびギヤのアセンブリの断面図である。
【
図21】予め装着される、スライドするスプラインギヤおよびステムの斜視図である。
【
図22】ステムを有するローラースプラインギヤである。
【
図23】ハウジング中に取り付けられたローラーギヤおよびモータの斜視図である。
【
図24】駆動シャフトを有するモータの一部分の斜視図である
【
図26】ギヤの上方に取り付けられたチューブガードの斜視図である。
【
図27】アクチュエータおよびステムの断面図である。
【
図28】モータを覆う保護滅菌シースを有するモータの斜視図である。
【
図29】保護滅菌シースおよびモータの斜視断面図である。
【
図30】別の実施形態による心臓アブレーション装置の遠位部分の部分側面図であり、心臓アブレーション装置にわたる改良された回転制御部を伴う。
【
図31】一実施形態による損傷生成機(アブレーション要素)の遠位部分の部分側面図である。
【
図32】
図31の線A-Aに沿って切り取られた断面図である。
【
図33】さらに別の実施形態による損傷生成機の遠位部分の部分側面図である。
【
図34】
図33の線B-Bに沿って切り取られた断面図である。
【
図35】移動可能であり回転可能なノブ、およびスライダ部を備えるカテーテルハンドルの一部分の第1の側面図である。
【
図38】回転可能なノブを取り囲むスライド部を示す、
図35のカテーテルハンドルの斜視図である。
【
図39】内部部品と一緒に示されているハウジングの一方の半分を有する、別の実施形態によるアブレーション器具の斜視図である。
【
図42】
図39のアブレーション器具のモータおよびギヤのサブアセンブリの上面および側面斜視図である。
【
図43】
図39のアブレーション器具のモータおよびギヤのサブアセンブリの底面および側面斜視図である。
【
図44】モータおよびギヤのサブアセンブリの上面図である。
【
図45】モータおよびギヤのサブアセンブリの端面図である。
【
図46】
図45の線A-Aに沿って切り取られた断面図である。
【
図47】モータおよびギヤのサブアセンブリの分解斜視図である。
【
図48】別の実施形態によるアブレーション器具の斜視図である。
【
図49】
図48の器具内で使用されるチューブガードの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
これから、本発明について、本発明の例証された実施形態が示されている添付図面を参照しながら、より完全に説明され得る。本発明は、例証されたいずれの実施形態にも決して限定されない。
【0016】
以下に詳細に説明されているように、本発明は、アブレーションカテーテルなどのアブレーション機器/アブレーションシステムに関するものであり、このアブレーション機器/アブレーションシステムは、完成した損傷が、標的部位における電気的活動の状態をモニタリングすることによって、より具体的には、標的部位の遠位側に配置される血液プールの視覚的変化をモニタリングすることによって形成されたかどうかを、ユーザがリアルタイムで判定することを可能にする可視化特徴(機能性)を有するように構成される。一実施形態では、血液(例えば、肺静脈内の血液)プールでの視覚的変化は、血液プールの擾乱の可視パターンの変化によって表され、その理由は、初期の手技前時点(すなわち、基準)において、活発な活性化が、血液プールで目で見てわかり(すなわち、血液プールの擾乱の高い程度)、アブレーション手技が進行するにつれ、血液プールでの動きの活発な特質が徐々に衰えることが、目で見てわかるようになるからである(円周方向の損傷が徐々に形成すること、およびそれに付随する、標的部位の遠位側の電気的活動の低下に起因して)。
【0017】
コンピュータモニタなどのディスプレイは、形成された損傷が標的部位での電気的活動に関して所望の効果(すなわち、電気的隔離)を有していたかどうかを、ユーザが判定するのを可能にする画像をリアルタイムで提示する。言い替えると、本発明のシステムは、完成した損傷が標的部位において形成されたかどうかを、ユーザが判定するのを可能にするリアルタイム可視化情報をユーザに提供するように構成される。さらに、可視化モジュールは、標的部位の2つ以上の画像間の比較を可能にするソフトウェアと一緒に提供することができる。
【0018】
損傷が十分であることが、即座にかつ容易に判定可能であるため、ユーザ(電気生理学者)は、完全な損傷が形成されたかどうかを検出することができ、万が一、損傷内に間隙または破損などの、損傷内に任意の欠損がある場合には、ユーザは、直ちに是正措置を取ることができる。
【0019】
図1は、本発明によるアブレーション/内視鏡システムを例証する概略ブロック図であり、一般に、参照数字10によって指定されている。以下に考察されているように、アブレーションシステム10は、内視鏡およびアブレーション装置(エネルギーエミッタ)を含む、治療アブレーション器具100を備えることが好ましい。治療アブレーション器具100には、先行の米国特許および特許出願(例えば、米国特許および特許出願(例えば、米国特許出願公開第2009/0326320号および第2011/0082451号であり、それらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)の出願人により開示されたものを含む、市販の様々なアブレーション器具がいくらでもあり得る。一般に、アブレーション器具100は、組織標的部位においてアブレーションの形成を引き起こすのに十分なアブレーションエネルギーを放出するタイプのものである。
【0020】
アブレータシステム10は、照準光源20および照明光源24を備えることがさらに好ましい。プロセッサ12は、接続された器具、ディスプレイ14、およびコントローラ16からの入出力データを受け取り、そのデータを視覚情報に処理するように設計されている。
【0021】
また、以下の考察からも理解され得るように、内視鏡は、アブレーション器具100内に設けられ、ライブ画像の取り込み、および静止画像の記録の両方の能力を有することが好ましい。照明光24を使用して、治療部位に対して手術用照明器を提供する。照明光は、ユーザが、操作部位に存在する異なる組織間を見分けるのを可能にする周波数のものである。照準光源20を使用して、エネルギーが、アブレーション器具100によって組織に送達され得る位置を視覚化する。照準光20は、画像取り込み装置によって記録され得、かつディスプレイ上で目で見ることができる波長のものであることが想定される。
【0022】
複合撮像システム
プロセッサ12は、ライブ視覚データ、ならびにアブレーション器具コントローラおよびディスプレイからのデータを処理するように設計されていることが好ましい。プロセッサ12は、一連のソフトウェア、および/または治療部位から受け取った視覚情報を解釈、処理、および記録するように構成されたハードウェアモジュールを実行するように構成されている。プロセッサ12は、例証的およびグラフィックなオーバーレイ、ならびに表示デバイスへの複合またはハイブリッド視覚データを処理および提供するようにさらに構成されている。
【0023】
図1に見られるように、システム10は、コントローラ16、エネルギーソース18、照準光源20、およびユーザインターフェース22をさらに備える。コントローラ16は、エネルギーソース18の出力、ならびにエネルギー伝送器の照明ソース24および励起ソース25を制御するように構成され、ならびにアブレーション治療部位の組織に対してエネルギー伝送器の距離および動きを判定するように構成されていることが好ましい(さらに以下で考察されるように)。また、以下の考察からも理解され得るように、内視鏡は、アブレーション器具100によって支持され、十分なアブレーションエネルギー送達が治療部位の特定の領域に向けられているかどうかを判定するためのプロセッサ12によって処理され得る画像を取り込むことが好ましい。内視鏡から取得されたデータには、アブレーション器具から見られるような、治療部位のリアルタイムビデオ画像または静止画像が含まれる。本明細書で考察されているように、これらの画像/ビデオは、後で使用するために、メモリ内に格納することができる。
【0024】
照準光源20を使用して、エネルギーが、アブレーション器具100によって組織130に送達され得る治療部位の位置120を視覚化する。照準光源20は、電磁スペクトルの可視領域の光を出力することが、好ましい。好適なアブレーション経路がユーザによって見出された場合、コントローラ16は、エネルギーソース18を介して、アブレーション器具100から標的組織部位152(
図8)に放射エネルギーを送出して、損傷によるアブレーションを引き起こす。本明細書で使用されるときの「放射エネルギー」という用語は、伝導性または対流性の熱伝達に主に依拠しないエネルギーソースを包含することを意図されていることを理解されたい。係るソースとしては、音響、レーザ、および電磁放射ソース、より具体的には、マイクロ波、X線、ガンマ線、超音波、および放射光源が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本明細書で使用されるときの「光」という用語は、電磁放射線を包含することが意図されており、可視光、赤外線、および紫外線を含むが、これらに限定されない。
【0025】
照明光源24は、適切な照明を治療部位に提供するために使用される光源である。照明は、天然の生物学的な色調および色相が、操作者によって容易に識別可能であり得るように構成されている。
【0026】
コントローラ16は、ユーザに、照準光源、ユーザ入力装置、およびアブレーション器具の機能を制御する能力を提供することができる。コントローラ16は、アブレーションシステムのための主要な制御インターフェースとしての役割を果たす。コントローラ16を介して、ユーザは、照準光20および照明光24の両方をスイッチオンおよびオフをすることができる。さらに、コントローラ16は、照明光および照準光の強度を変化させる能力を保有する。ユーザインターフェースまたはディスプレイ装置を切り替える能力もまた、想定される。さらに、コントローラ16は、アブレーションエネルギー放電の放電強度、持続時間、および位置にわたる制御を含む、アブレーション器具100へのアクセスを行う。コントローラ16は、放射エネルギーソースと標的組織との間の明確な伝送経路が、エネルギー送達の最中に万一失われた場合には、システムの安全な遮断をさらに提供することができる(例えば、2010年10月1日に出願された共同所有の米国特許出願第12/896,010号を参照し、その全体が参照により本明細書により組み込まれる)。
【0027】
コントローラは、別個のマイクロプロセッサベースの制御インターフェースハードウェアであってもよく、または様々な物理的な装置からの入力を受け取って制御するように構成されたプロセッサベースのコンピュータシステムを介して動作するモジュールとして構成されるものの一部分であってもよい。
【0028】
図3に示すように、一組のモジュールが、互いに協働して、
図1のシステムのインターフェース22を介して提示される情報を提供する。したがって、例えば、分析モジュール218、多視点モジュール220、複合モジュール222、マッピングモジュール224、図解モジュール226、および制御インターフェースモジュール228が存在し得る。これらの各々のモジュールは、ハードウェア、プロセッサ内で実行するコード、またはワークステーションなどのマシンを構成するハードウェアおよびコードの両方を備えて、本明細書に記載された機能性を実装することができる。
【0029】
図3をさらに参照すると、分析モジュール218は、損傷を分析してその損傷が所望の治療に対して十分であるかどうかを判定するための命令を含む。分析モジュール218は、画像取り込み装置(例えば、内視鏡)によって取り込まれた画像データを検証し、そして十分な寸法および品質の損傷が、標的部位における手技前の運動(電気的活動)および手技後の運動(電気的活動)の一部に基づいて、形成されたかどうかを判定するように構成することができる。分析モジュール218は、個別のサブモジュールとして実装され得、アブレーション放出の持続時間および強度に関するデータを受け取ることなどの機能を提供することができる。追加のサブモジュールが、エネルギー放出の持続時間を評価し、そしてその持続時間を、適切な損傷を形成するために好適な十分な持続時間および強度の値の参照表と比較することが可能である。
【0030】
多視点モジュール220は、プロセッサ12を構成するための命令を含み、複数の画像をディスプレイに提供する。多視点モジュールは、少なくとも2つの画像描写領域を描写するためのディスプレイを構成する。第1の画像描写領域には、治療部位のライブビデオストリームが、ユーザに表示される。第2の画像描写領域には、以下に説明されているように、静止画像が、アブレーションエネルギーの最終目標を強調表示しながら描写され、または基準画像などの他の情報を描写している。
【0031】
複合モジュール222は、一連の静止画像を組み合わせ、そして各静止画像内のアブレーション放出の標的位置を描写する複合画像を生成するための命令を含む。複合モジュール222は、別個のサブモジュールとして実装され得、アブレーション位置の時間ベースのマップを生成することができるように、複合画像の各静止画像レイヤの透明度を変化させることなどの機能を提供することができる。そのサブモジュールによって実装される別の機能は、一連の静止画像からビデオまたはスライドショーを構築することである。複合モジュール222は、任意選択可能であることが理解され得る。
【0032】
マッピングモジュール224は、提案された治療経路をライブ画像上に重ね合わせるための命令を含む。マッピングモジュールは、アブレーションエネルギー蓄積の許容可能なレベルを示す色分けされたマーカーを示すように構成することができる。例えば、マッピングモジュールは、色分けされた視覚マーカーを生成し、それをライブ画像上に重ね合わせて、治療に必要なアブレーションエネルギーのレベルをさらに受け取る必要がある領域を示すことができる。逆に、マッピングモジュール224はまた、赤く色分けされた(または他の色の)視覚マーカーを同時に生成し、ライブ画像上にその視覚マーカーを重ね合わせて、損傷に好適なアブレーションエネルギーの十分な量を受け取った領域を示すこともできる。マッピングモジュール224は、別個のサブモジュールとして実装され、アブレーション放出の持続時間および強度に関するデータを受け取り、当該特定の事例を、格納された特定の画像と関連付けることなどの機能を提供することができる。
【0033】
本発明の一態様によれば、マッピングモジュール224は、遠位血液プールの手技前画像上に遠位血液プールのライブ画像を重ね合わせるように構成されて、両者の間の視覚的な比較(アブレーションの充足(完成の程度)を示している)を可能にすることができる。
【0034】
マッピングモジュール224もまた、任意選択可能であることが理解され得る。
【0035】
図解モジュール226は、画像をディスプレイに提供するための命令を含み、その画像は、治療部位の図解またはグラフィカルな表現である。図解モジュール226は、図解された画像の注釈、ならびにライブ画像と図解された画像との間の比較を可能にするように構成されている。例えば、
図8に示すように、ディスプレイ14は、内視鏡176から観察された実際の治療部位152を描写している第1のスクリーン部分610を提供する(
図2)。ディスプレイ14はまた、治療部位の組織におけるエネルギー伝送器140の実際の経路を示す、治療部位152のグラフィカルな描写を図解する第2のスクリーン部分620も示すことができ、その経路は、形成された損傷の充足を示す線図からなり、そこでは、実線
図630は、十分な損傷を示し、斜線
図640は、不十分な損傷を示す。図解モジュール226もまた、任意選択可能である。
【0036】
一実施形態では、システムは、少なくとも分析モジュール218、多視点モジュール220、図解モジュール226、および制御インターフェースモジュール228を含むように構成することができる。
【0037】
制御モジュール220は、他のモジュールの各々の機能を振り分けかつアクセスし、ならびにコントローラと通信して情報を入力し、または動作中に表示されているデータパラメータを処理するための命令を含む。処理および制御機能は、動作モード、制御インターフェース、表示の配向、記録モード、記憶装置の場所、およびデータ入力を選択するための命令を備えた別個のサブモジュールとして実装することができる。
【0038】
ユーザは、画像取り込み装置からのライブビデオ供給を参照して、放射エネルギー伝送をどこに向けるべきかを判定する。最初に装置を使用すると、治療部位のライブビデオ画像および静止画像が、ディスプレイ上に描写されている。
図4に見られるように、プロセッサ12は、ディスプレイ14に、少なくとも2つの別個に画定された画像描写領域204、206を出力する。1つの画像描写領域204は、治療部位152から伝送されたライブビデオを表示するために残しておく。少なくとも他の1つの画像描写領域206を使用して、治療(心臓内手技)中の時々刻々の特定の瞬間を表すいくつかの静止画像からなる画像または複合画像を描写する。
【0039】
ユーザに示されたライブビデオは、ユーザが照準光218の反射を見て、したがって、アブレーションエネルギーを方向付けるのを可能にすることとなる。描写された第1の静止画像210は、第1の放射エネルギー放出の開始前の時々刻々のある時点で取り込まれた静止画像であることが想定される。例えば、放射エネルギー放出前の時々刻々のある時点において、画像取り込み装置は、照準光なしで治療部位152を描写する、治療部位152の画像210を記録する。部位の静止画像210を取得することによって、ユーザは、いずれの治療が開始される前にも、治療部位の基準画像を記録することができる。さらに、図解モジュールの機能を介して、手付かずの図解152を生成することができる。放射エネルギーの放出中、治療部位152の静止画像210が、取得される。アブレーション事象の特性(例えば、エネルギー放出の放射の持続時間および強度に関連する情報)は、保存され、当該特定の放出を描写する画像と関連付けられる。さらに、照準光の反射は、静止画像内において視認性を有し、エネルギーがどこに方向付けられているかに関する位置インジケータを提供する。これらの一連の静止画像は、複合モジュールを使用することによって組み合わせることができる。各画像の不透明度を調整することによって、各アブレーション事象の照準光の反射光は、複合画像において視認性を有することになる。このように、エネルギーが方向付けされた場所についての完全な記録220が利用可能になり得る。さらに、複合画像は、手技中の特定の期間を表す一連の別々の画像から構成されているため、動作全体の時間ベースのマップもまた、リアルタイムで、または次の再観察の間に生成することもできる。
【0040】
また、
図4では、制御モジュール228にアクセするための制御インターフェース216が、見える。制御インターフェースは、ユーザが、さらに画像スタイルおよび不透明度を選択し、他のモジュールの機能を始動するのを可能にする。さらに、コントローラ16の機能はまた、制御インターフェース228からも制御可能である。
【0041】
本発明は、
図3または4を参照して上で考察された2つの画像描写領域に限定されるものと理解されてはならず、逆に治療部位152の画像および表現が再観察することができる任意の数の画像描写領域を包含し得ることを理解されたい。
図8を参照すると、ディスプレイ14により示された画像は、モジュールによって処理することができ、十分または不十分である損傷形成の存在を示すことができる。例えば、ディスプレイ14は、内視鏡176(
図2)から再観察された治療部位152の画像を示すことができ、灰色および白色の濃淡を変化させることにより、形成された損傷が万一不十分であると判定された場合には組織および損傷を描写し、または赤色マーカーが、不十分な損傷と判定された位置の、治療部位152の画像上に重ね合わせることができる。同時発生的に、音響信号もまた、アブレーションシステム10から放出され得、ユーザへのさらなる警告を引き起こすことができる。
【0042】
それゆえに、ユーザが、生成された損傷の品質に満足しない場合、またはモジュールが、十分な損傷が生成されなかったことを示す場合には、ユーザは、特定の組織位置の治療(スポット治療)を即座に再実行することができる。逆に、モジュールが十分な損傷が形成されたことを示した場合、ユーザは、確信をもって新たな組織位置に移動して治療を継続することができ、したがって、今まさに治療した組織位置をさらに詳細に検査するための必要性を回避することによって、時間および労力を節約することができる。したがって、治療全体が実行されると、システムのモジュールにより、電気生理学者が、アブレーション円弧全体を形成するすべての治療セグメントを観察するのを可能にし、連続的な切れ目のないアブレーションが形成されたかどうかを確認する(またはアブレーションが、意図した所望の形状を有するかどうかを確認する)ことができる。形成されたアブレーションと共に、目視可能な間隙または他の欠陥が存在する場合、電気生理学者は、エネルギーエミッタ(また、本明細書では、アブレーション要素と呼ばれる)140を適切な位置に移動させ、所望のアブレーションが形成されるまでこれらの領域を再治療することができる。次いで、このプロセスは、繰り返されて、間隙が解消されたことを判定および確認することができる。
【0043】
その結果、本発明のアブレーションシステムによって実行されたマッピング、分析、および図解の機能によって、以前のアブレーション手技に関連する欠点を克服し、治療部位152の組織位置での連続的なアブレーションを形成するために作り出されるスポット損傷の、より最適でかつより正確な観察および品質判定に起因して高まるアブレーション成功率をもたらす。
【0044】
ここで、
図2および5を参照して、アブレーション器具100に関する説明が提供される。
図5は、アブレーション器具100の概略断面図を提供し、細長い本体114、中央管腔管材116、および中央管腔管材116内の1つ以上のポート122を介して膨張可能である規格準拠のバルーン126を備える。中央管材116はまた、軸方向の移動、および細長い本体114内に形成された管腔内での回転の両方が可能であるエネルギーエミッタ140を収容することができる。さらに細長い本体114(また、本明細書では、カテーテル本体とも呼ばれる)内に形成された複数の追加の管腔が存在し得、その管腔を通って、特定の装置または器具を通すことができる。例えば、カテーテル本体114はまた、膨張流体の取り出し(または循環)、内視鏡176、および照明、ならびに励起ファイバ128Aおよび128Bのための管腔118Aおよび118Bも設けている。
【0045】
図面に例証された実施形態は、本発明に基づいて利用され得る、単なるいくつかの心臓アブレーション器具であることを理解されたい。他の実施形態に関するさらなる説明は、例えば、2003年2月3日に出願された共同所有の米国特許出願第10/357,156号、2001年8月7日に出願された米国特許出願第09/924,393号に見出すことができ、それらの各々は、参照により明確に組み込まれる。
【0046】
ここで、
図5~6を参照すると、アブレーション器具100は、心臓内(例えば、肺静脈の近位側)に配設されると、バルーン126が膨張してバルーン126の肩の部分150が心臓組織の標的領域152に近接して
付勢されるように設計されていることが好ましい。
図4に示すように、エネルギーエミッタ(または「損傷生成機」)140は、アブレーションエネルギーを標的領域152に送達して連続的な損傷を形成するように位置決めすることができる。損傷という文脈での「連続的」という用語は、損傷の対向する両側の組織セグメント間の電気伝導を実質的に遮断する損傷を意味することが意図されている。
【0047】
放射エネルギーエミッタ140は、標的組織から離れて配置されるバルーン126内に配設された
図2に示されている(例えば、カテーテル本体114の中央管腔116内、またはそれ以外の場合ではバルーン内に配設される中央管腔内)。1つの例証した実施形態では、放射エネルギー伝送器(アブレーション要素)140は、遠位側光投射光学素子に結合された少なくとも1つの光ファイバを含み、その光投射光学素子は、アブレーション光エネルギーのスポットを、器具100を通って標的部位152に協働して投射する(
図6において)。カテーテル本体114、突出バルーン126、および膨張/アブレーション流体は、すべて、エネルギーソースの選択波長における放射エネルギーに対して実質的に透過性があり、放射エネルギー伝送器140から標的部位152までの低損失な伝送経路を提供することが好ましい。「バルーン」という用語は、体腔の要件に応じた球状、扁球状、涙珠状等の形状を含む様々な構成に膨張させることができる変形可能な中空形状を包含するものと理解されたい。係るバルーン要素は、弾力性があり、または拡張された状態に容易に展開または解放することが可能であり得る。バルーンは、さらに、複数のチャンバ構成を包含することができる。
【0048】
また、器具100内には、反射率センサなどの視覚化装置が配設され、標的部位152および/または器具の位置の画像を取り込むことができる内視鏡176が好ましい。内視鏡176は、典型的には、その遠位端で光を受け取るためのレンズまたは他の光カプラと一緒の光ファイバの束である。反射率センサ/内視鏡はまた、光源またはソースに結合される1つ以上の光ファイバのような照明ソースを含むことができる。別の方法として、照明光および励起光は、
図2の128Aによって示されているように、別個の光ファイバを除いて送達されてもよい。内視鏡は、様々なソースから市販されている。内視鏡は、光学ヘッドアセンブリをさらに含み得、以下にさらに詳細に詳述されるように、視界を広げることができる。1つの例証した実施形態では、アブレーション要素140および内視鏡176は、カテーテル本体14内で独立した軸方向の動きに適合されている。
【0049】
本明細書で使用されるとき、「内視鏡」という用語は、光学撮像装置を包含することが意図されており、一般に、内視鏡、ファイバースコープ、心臓鏡、血管鏡、および他の光ファイバベースの撮像装置が含まれるが、これらに限定されない。より一般的には、「内視鏡」は、ディスプレイ14などの、対象物の「画像」を、観察するための位置に伝送することが可能である任意の光導波(または導波路)構造体を包含するものである。
【0050】
スポット損傷は、エネルギー伝送器140から標的組織に放射エネルギーを印可することによって、標的部位152において形成されることが好ましい。印可された放射エネルギーは、約50ジュール/cm2~約1000ジュール/cm2、または好ましくは約75ジュール/cm2~約750ジュール/cm2のエネルギー範囲で印可され得る。エネルギーエミッタにより印可された電力レベルは、約10ワット/cm2~約150ワット/cm2の範囲にわたることができ、エネルギー送達の持続時間は、約1秒~約1分、好ましくは約5秒~約45秒、またはより好ましくは約10~約30秒の範囲にわたることができる。例えば、10~75ワット/cm2の電力レベルの場合、約30秒の間、放射エネルギーを印可することは、有利であり得る。10~20秒のより短い持続時間が、75~150ワット/cm2の電力レベルの場合に使用され得る。言い替えると、電力レベルが大きくなるほど、所望のアブレーションを達成するための、特定の位置でのエミッタの残留時間が短くなる。上記の数値は、例として提供され、上述したエネルギー、電力、および持続時間の数値は、単に例として提供されており、それらに限定されるものと理解されるべきではないことを理解されたい。
【0051】
図5~6に示されたアブレーション器具100の例証された実施形態では、エネルギーエミッタ140は、遠位側投射光学素子に結合された少なくとも1つの光ファイバを含む放射エネルギーエミッタであり、アブレーション光エネルギーのスポットを器具100を介して標的部位152に協働して投射する。光学素子は、放射線のスポットまたは円弧状ビームを投射することができる1つ以上のレンズ素子および/または屈折素子をさらに備えることができる。別の方法として、2002年7月22日に発行された共同所有の米国特許第6,423,055号にさらに詳細に記載されているように、損傷生成機は、アブレーション放射線の環または部分リングを生成することができ、本明細書に関連するその開示内容に対して参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
アブレーション要素の自動式掃引運動
本明細書に記載されているように、アブレーション要素140は、バルーン内で軸方向に移動するだけでなく、一連の円弧状エネルギー放出(円弧状アブレーションセグメントが形成される)が一緒に繋ぎ合わされて完成された損傷を形成するのを可能にする回転方法で移動するようにも構成されている。ユーザは、アブレーションエネルギーが円弧状パターンで放出されたとき(円弧状アブレーションセグメントを形成するように)、損傷を完成させるための極めて多くのステップ数を使用して、手動プロセスで、アブレーション要素140を逐次移動させることができる。全面的に完成した損傷を確保するために、ユーザは、典型的には、新たな弓形損傷セグメントを、以前かつ直接隣接して形成された弓形損傷セグメントに少なくとも部分的に重複させて、アブレーションプロセスの完全さを確実にする(すなわち、損傷での間隙がない)。しかしながら、本明細書で述べているように、ユーザが、選択された度数だけアブレーション要素を慎重に回転させなければならず、この結果、新たなアブレーションエネルギー円弧の形跡(面積)と以前に形成された損傷との間の一部の重複をもたらした後、アブレーションエネルギーが印可されるため、このプロセスは、かくして時間の浪費となり得る。
【0053】
アブレーションエネルギーは、形成される各弓形アブレーションセグメントに対して所定の期間の間放出される。時間の量は、形成される弓形状セグメントの大きさ(例えば、弓形状セグメントの度数)、および以前に形成された弓形状アブレーションセグメントとの重複の程度を含むパラメータの数に応じて変化し得、標的位置、および標的位置における組織景観の性質などの解剖学上の考慮にも基づき得る。例えば、形成された弓形状セグメントが30度の形跡を有する場合、そのとき、アブレーションエネルギーは、30秒などの所定の期間の間放出されて、組織の適切なアブレーションを確実にすることができる。典型的には、アブレーションされたセグメントの形跡が大きいほど(すなわち、弓形状アブレーションセグメントによって覆われる度数が大きいほど)、組織アブレーションを完成させるのに必要とされる時間の量が大きくなる。
【0054】
本発明によれば、システムは、固定された静的エネルギー放出を使用して可能になる表面積よりも大きい表面積(より大きい形跡)を占有して形成されるアブレーションをもたらす、プログラム制御された掃引動作を受けるアブレーションエネルギーを可能にする任意選択可能な機能性を備える。本明細書に記載されているように、ユーザは、グラフィカルユーザインターフェースなどを使用して、その後実行される所望の制御されたパラメータを入力することができ、アブレーション要素140は、前進の所定の度数にわたる制御された掃引動作で移動される。本明細書に記載されているように、システム全体は、適切なアブレーション形成を確実にするためのいくつかの安全装置を有する。例えば、緊急遮断などの安全機能が提供され得、ユーザがアブレーション掃引動作をいつでも停止することを可能にする。
【0055】
本発明の自動式アブレーション要素によって提供される、本明細書に記載された掃引動作により、アブレーション要素が静止したままである場合のように、実際のアブレーション要素がより小さいサイズに設計された弓形状アブレーションセグメントを放出するように構成されている場合であっても、結果として、より大きい弓形状アブレーションセグメントが形成されることになる。
【0056】
例えば、
図12は、自動式アブレーション要素140の掃引動作を使用して、治療部位でのアブレーションの経路を示す。上で考察された実施形態と同様に、自動式アブレーション要素140は、任意の単一位置において約30度(または別の所定の度数)の弓形状アブレーションセグメント(X)を放出するように構成することができる(本明細書に記載されているように、放出されたエネルギーの角度測定は、エネルギーエミッタに対して測定され、より具体的には、放出されたエネルギーは、エネルギーエミッタに対して所定の範囲が定められた角度を有する)。しかしながら、上記の実施形態とは異なり、自動式アブレーション要素140により提供される掃引動作(アブレーション(エネルギー)エミッタの制御された回転によって引き起こされる)によって、アブレーションセグメントが、初期のアブレーションセグメントと一致した弓形経路(掃引運動)内でアブレーションの初期の位置の片側または両側に所定の度数を移動するのを可能にし、それによって、30度よりも大きい弓形状アブレーションセグメントを作り出す。言い替えると、自動式アブレーション要素は、アブレーションの初期の位置(第1の端点)から弓形状アブレーションの反対側の端部にある第2の端点まで掃引するように構成することができる。
図12において、初期の弓形状アブレーションセグメントXは、第1の端点Aにあるが、掃引動作は、自動式アブレーション要素が掃引運動内の端点Aから端点Bまでアブレーションすることを可能にし、それによって、より大きく形成された損傷セグメントを作り出す。本明細書に記載されているように、1つ以上の端点は、タッチスクリーンまたは他のタイプのインターフェースなどのユーザインターフェースを使用してユーザによって入力され得、そのユーザインターフェースは、ユーザが標的アブレーション部位を観察し、その後に1つ以上の端点の位置をマークすることを可能にする。次いで、1つ以上の端点の座標は、保存され、開始点の場合には、アブレーション要素は、第1の保存された座標(開始点を識別し、それに関連付ける)に移動され、アブレーションプロセスは開始し、特にアブレーション要素は掃引する方法で移動する。端点がまた、ユーザによって入力される場合にも、掃引運動は、アブレーション要素が、保存された端点の座標を越えて延在しないように、設計されている。これによって、形成された弓形状損傷が開始点と終止点との間で形成されることを確実にする。
【0057】
少なくとも1つの実施形態において、自動式アブレーションプロセスの初期の位置は、所与の弓形状アブレーションセグメントの場合、掃引動作の中間点である可能性がある。言い替えると、自動式アブレーション要素は、アブレーションの初期の位置(中間点)の左側および右側を掃引するように構成することができる。例えば、
図12を参照すると、初期の弓形状アブレーションセグメントは、中間点Cから開始し得、自動式アブレーション要素は、端点AとBとの間を掃引することによって(点Aに向かう第1の方向に回転することによって、かつ点Bに向かう第2の方向に回転することによって、というように)、より大きい損傷セグメントを作り出すことができる。したがって、自動式アブレーション要素を用いて、連続的な損傷を完成するために必要とされる損傷セグメントは、より少なく、このプロセスは、より自動化され、エネルギーエミッタ上での外科医の直接的な入力および制御をそれほど必要としない。
【0058】
1つ以上の実施態様において、自動式アブレーション要素140は、アブレーションセグメントの端点間で複数回掃引するように構成されて損傷セグメントを完成することができる。少なくとも1つの実施態様において、セグメントの一方の端点から他方の端点までの1回の「掃引」は、損傷セグメントを完成させるのに十分である。
【0059】
さらに、上で考察された実施形態において、アブレーションエネルギーは、単一の位置に方向付けされて損傷セグメントを作り出し、一旦損傷セグメントが作り出されると、アブレーション要素140は、異なる(ただし、重複する)位置に移動されて第2の損傷セグメントを作り出す。別の位置へのアブレーション要素の移動は、ユーザによって手動で実行され得、またはその移動は、標的位置における組織に関するユーザの観察、ならびに正にアブレーションされる組織の品質および性質(例えば、ユーザインターフェースのディスプレイの視覚的な観察)に基づいて、ユーザが、入力コマンドを入力し、アブレーション要素を制御可能に移動させて、画定された度数にわたる新たな掃引動作などのアブレーションプロセスを開始することができる、自動式プロセスの一部とすることができる。再度、この新たな掃引動作は、直前に形成された損傷セグメントと重複する一部の度数を含み得、典型的にも含む。重複の程度は、アブレーション要素の動作(掃引動作)を制御する入力制御コマンドの一部として、ユーザが制御および入力することができる。したがって、弓形状に形成された損傷の端部が、2つの別個の掃引動作からの重複を含む場合、コントローラ(関連するソフトウェア)は、この情報を使用して、アブレーションセグメントの端部間の中間領域でのアブレーション要素の運動の程度(滞留時間を含む)を算出する。
【0060】
本明細書に記載されているように、一実施態様によれば、ユーザは、開始点Aおよび終止点Bを入力することによって開始し、次いでプロセッサは、エネルギー送達の開始前に、点Aと点Bとの間を延在する損傷を達成するための掃引の全経路を算出する。次いで、ユーザは、エネルギー送達を開始し(エネルギーエミッタを介して)、そしてエネルギーエミッタの掃引が開始される。
【0061】
本明細書に記載されているように、別の実施態様によれば、ユーザは、電力レベルを入力する。本システムは、電力レベルに基づいて、掃引速度の適切な角速度を算出する。次いで、ユーザは、掃引の開始点を設定する。したがって、ユーザは、エネルギー送達(エネルギーエミッタを介して)、およびエネルギーエミッタの掃引を開始する。次いで、所望の終止点が内視鏡画像の目視観察に基づいて到達すると、ユーザは、エネルギー送達および掃引を終了する。このようにして、この実施形態は、掃引の終止点が「飛翔中」にユーザによって決定される終止点である考えられる。言い替えると、ユーザは、開始点を設定するが、視覚化装置から受け取る情報、または他の得られた情報に基づいて、いつでも掃引の経路を中止することができる。
【0062】
重複する損傷セグメントを作り出すこのプロセスは、連続的な損傷が完成(形成)されるまで、繰り返される。自動式アブレーション要素のための本実施形態において、重複する損傷セグメントは、依然として形成されているが、しかしながら、形成された各損傷セグメントは、組織のアブレーション中のアブレーション要素の回転(掃引動作)に起因して、より長い円弧長を有する。したがって、連続的な損傷は、アブレーション要素が1つの位置に固定されている場合、各弓形状アブレーションセグメントがエネルギーの放出によって形成される以前の実施形態と比較して、より少ない重複する損傷セグメントを使用して作り出することができる。しかしながら、自動式アブレーション要素140が以前の実施形態と同じ量のアブレーションエネルギー(電力)を使用する場合、本実施形態の弓形長損傷セグメントがより長いほど、アブレーションエネルギーが、以前の実施形態の静止したアブレーション要素と比較した期間(残留時間)の間、円弧に沿った各位置に向けられていないため、完成するのにより長い時間がかかることになる。したがって、1つ以上の実施態様において、自動式アブレーション要素の電力(エネルギー)は、以前の実施形態に対して増加させることができ、その結果、より長い弓形長損傷セグメントは、低減した時間の量で完成することができる。当業者ならば、アブレーションの完成および品質は、アブレーション要素の電力(エネルギー)のレベル、および標的組織にわたるアブレーション要素の残留時間(すなわち、アブレーションエネルギーがどのくらい長く放出されるか)に大きく依存することを容易に理解するであろう。
【0063】
自動式アブレーション要素の実施形態のさらなる態様において、損傷セグメントの重複は、アブレーション要素の掃引動作の自動化された性能がアブレーション要素の動きにわたる極めて正確な制御を可能にするため、以前の実施形態に対して最小となり得る。したがって、より少ない損傷セグメントが、連続的な損傷を完成するために必要とされる。さらに、少なくとも1つの実施形態において、自動式アブレーション要素は、リアルタイムの電気的評価を実行して連続的な損傷が達成されたことを確認するように構成することができる。例えば、カテーテルは、形成された損傷の充足および品質の電気的評価を提供するように構成されている電極を含むことができる。当技術分野で既知であるように、形成された損傷がその円周に沿って間隙または破損などの任意の欠陥を含む場合、電気的な伝達は、係る間隙または破損を通過することとなり、検出され得る。
【0064】
少なくとも1つの実施形態による、1つの典型的な自動式アブレーション要素140の構成要素が、
図13に示されている。自動式アブレーション要素1300は、掃引運動におけるアブレーション要素を回転させるように構成された第1のモータ1305を含むことができる。好ましい実施形態では、第1のモータ1305は、サーボモータであり、そのサーボモータにより、アブレーション要素の正確な位置決め、加速、および移動がアブレーション要素の所望の掃引運動を達成するのを可能にする。第1のモータ1305は、ロータリエンコーダなどの第1のエンコーダ1307と結合することができる。第1のエンコーダ1307は、位置決めフィードバックおよび/または速度フィードバックを提供するように構成され、アブレーション要素1300の運動および最終的な位置決めを制御することを支援する。1つ以上の実施形態において、第1のモータ1305は、アブレーション要素1300を回転させるための駆動シャフトに接続されているノブの1回転毎に対して1モータ回転であるような、1対1のギヤ比を有することができる。
【0065】
本アブレーション器具は、ある掃引の方法(例えば、前後する方法での弓形移動)でアブレーション要素を制御する回転をもたらす、第1のモータ1305をアブレーション要素に動作可能に接続するための他の機械の連結機構を有し得ることを理解されるであろう。
【0066】
少なくとも1つの実施形態において、自動式アブレーション要素1300は、カテーテル本体内の軸方向に、したがってバルーン内の軸方向にアブレーション要素を移動させるように構成された第2のモータ1315を含むことができる。したがって、アブレーション要素1300の軸方向の移動および回転の両方は、アブレーション要素を、アブレーション要素の移動を制御する1つ以上のモータに機械的に連結することによるような自動化された方法で制御され得る。特定の実施形態において、第2のモータはまた、アブレーション要素の軸方向の移動を制御するための第2のエンコーダ1320とも結合され得る。
【0067】
第1および第2のモータ1305、1315は、連続的にまたは同時に動作することができることが理解されるであろう。連続的に動作する場合、本明細書に記載されているように、ユーザは、まず自動化された方法で、エネルギーエミッタ140を、軸方向(形成された損傷セグメントの円周方向の長さの変化を引き起こす)か、または回転方向のいずれかに移動させ、次いで他の動作を実行する。同時に使用する場合、エネルギーエミッタは、軸方向に移動し、回転移動構成要素を有する。
【0068】
1つ以上のモータ1305、1315は、任意の数の異なる位置に配置することができる。1つ以上のモータを含む自動式アブレーション要素1300を備える心臓アブレーション器具1400が、
図14に示されている。
図14において、1つ以上のモータ(1305/1315)は、アブレーション器具1400のハンドル1405内に配置され得る。特に、ハンドル1405は、操作者が使用するアクチュエータ1410を含み、そのアクチュエータは、モータ1305および1315を介してアブレーション要素1300の軸方向および/または回転移動を制御することができる。さらに、ハンドル1405は、その近位端部1415においてコンソールに動作可能に接続され得、その遠位端部1420のカテーテル(アブレーション要素1300を含む)に動作可能に接続され得る。
【0069】
コンソールは、以下にさらに詳細に考察されるように、ディスプレイ(ディスプレイ14)を含み得、カテーテルおよび自動式アブレーション要素を制御するために使用され得る。1つ以上のモータがハンドル内に配置されている実施態様では、ハンドルは、各手技後に再滅菌されて、適切な衛生状態を確実にする。
【0070】
別の方法として、1つ以上のモータ(例えば、1305/1315)は、器具のコンソール内、またはハンドルが動作可能に接続されている別個のユニット内に配置され得る。モータ(複数可)が、コンソール内または別個のユニット内に配置されている実施形態では、モータは、駆動シャフトを介してアブレーション要素に接続され得、その駆動シャフトは、可撓性ケーブル内に収容され得る。したがって、この実施形態において、モータは、それが患者と接触することがないため、使用と使用との間で滅菌される必要はない。この構成では、駆動シャフトは、可撓性ケーブル内に収容され、かつアブレーション要素に動作可能に接続されて駆動シャフトの回転および/または軸方向の移動を引き起こす、細長い構造体の形態であり得る。したがって、モータは、カテーテル自体から離れて配置され得る。
【0071】
図13を再び参照すると、1つ以上の実施態様では、アブレーション要素1300は、第1のクラッチ1325および/または第2のクラッチ1330をさらに含むことができる。1つ以上のクラッチ(1325/1330)は、アブレーション要素の回転または軸方向の移動がつっかかって動かなくなる場合、モータの破損を回避するために切り離すように構成され得る。別の方法として、クラッチ(1325/1330)は、通常の抵抗力よりも大きい力が回転方向または軸方向の移動中にアブレーション要素によって遭遇されたときに、スリップするように設計されたスリップクラッチであり得る。このように、この機構は、不測の抵抗力がアブレーション要素の制御された移動中に遭遇した場合、装置の機械的構成要素を保護し、それに起因する内部破損を防止する。1つ以上の実施形態において、自動式アブレーション要素のアブレーション経路は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)305を使用して操作されることによって決定され得る。特に、GUI305を使用して、操作者は、自動式アブレーション要素の経路をプログラムするために、様々なパラメータを入力することができる。入力パラメータは、アブレーションの円弧の程度、掃引動作の初期のアブレーション位置および終止点(複数可)、特定のアブレーション実行の場合のアブレーションエネルギーの電力、および各掃引運動の時間の長さを含み得るが、これらに限定されない。これらのパラメータは、GUI305を使用して操作者によって設定および調整され得る。少なくとも1つの実施形態において、ソフトウェアを使用して、初期のアブレーション位置、および中間点、ならびにアブレーションの終止点などの、操作者が入力した特定のパラメータを使用した自動式アブレーション要素の経路を決定することができる。この実施形態においては、操作者ではなく、ソフトウェア(例えば、アルゴリズムに基づいて)が、いくつかの入力パラメータに基づいて、円弧の程度、およびアブレーションエネルギーの電力を含めて、アブレーションの経路を算出することができる。1つ以上の実施形態において、入力パラメータは、アブレーションを介して連続的な損傷を作り出す前および最中に、操作者によって修正することができる。
【0072】
操作者は、器具のコンソールに動作可能に接続された入力ジョイスティックまたはタッチスクリーンなどの様々な方法を介したGUI305を使用してパラメータを入力することができる。操作者は、コンソールのディスプレイ上で、アブレーション要素のための入力パラメータを閲覧することができる。経路が決定されると(操作者かまたはソフトウェアかのいずれかによって)、アブレーション器具は、アブレーション要素が所望の位置に向かってカテーテル内で軸方向に移動し、かつ所望の位置で回転し、ただし、アブレーションエネルギーは使用されない、試運転を実行するように構成することができる。より具体的には、モータ(GUIを使用した入力を介して)は、アブレーションの位置でアブレーション要素を前後に回転させて掃引運動させるための、ただし組織をアブレーションしない、自動式アブレーション要素を構成することができる。逆に、(以下にさらに詳細に説明されているように)アブレーション器具に取り付けられた照準光(ビーム)のみが、作動される。したがって、この試運転を使用して、組織をアブレーションする前に、照準ビームを使用してアブレーションの経路を確認することができる。試運転が経路を確認すると、アブレーション器具は、アブレーションを実行するように構成することができる。
【0073】
アブレーション器具は、操作者が自動式アブレーション要素の回転方向および/または軸方向の移動を手動で制御することを可能にする手動解除装置(例えば、ノブ)を任意選択可能に機能させることができる。1つ以上の実施形態において、手動解除装置(ノブ)は、コンソール上に配置することができる。特定の実施形態において、操作者は、アブレーション要素の位置決めおよび/または経路を変更するための入力パラメータを手動で解除することができる。少なくとも1つの実施形態において、モータはまた、手動ノブ(アブレーション要素の手動移動を制御する)がアブレーション中に誤って動かされた場合、アブレーション電力および経路を維持するための解除機能を有することもできる。
【0074】
1つ以上の実施態様において、
図15に例証するように、自動式アブレーション要素は、輪郭の整った端部を有する光ファイバなどの光学繊維、階段インデックス型(GRIN)レンズ、および反射器を備えることができる。より詳細には、
図15は、本発明による放射エネルギーエミッタ400の一実施形態の概略断面図である。一実施形態において、放射エネルギーは、電磁放射線、例えば、コヒーレント光またはレーザ光であり、エネルギーエミッタ400は、標的表面との衝撃に基づくスポットまたは円弧状の露出パターンを形成する放射ビームを投射する。例えば、放射エネルギーエミッタ400は、光ファイバ402を含むことができ、その光ファイバの遠位端は、断面積が減少するエネルギー放出面に対して斜角で面取りされ得る。ファイバ402は、グレーデッドインデックス型(GRIN)レンズ404に光ビームを通過させ、そのレンズは、ビームを平行にするように機能し、投射される距離にわたって実質的に同じビーム幅を保持する。GRINレンズ404に出るビームは、カテーテルの長手方向軸に沿って光路に対して約5度~約110度の角度方向で反射器406によって反射される。一般に、光ファイバ402の中心軸からの反射角は、約30~ほぼ90度の範囲にわたり得る。言い替えると、ファイバ402(またはレンズ404)の光軸からの投射角度は、鉛直の前方に約5~60度である。反射器406は、全反射(TIR)ミラー素子の形態であってもよいが、他のタイプの好適な反射器も同様に使用することができる。好適な自動式アブレーション要素が、米国特許第8,696,653号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
1つ以上の実施態様において、自動式アブレーション要素は、カテーテルの1つ以上の動作にわたる制御を可能にするためのフットペダルをさらに含むことができる。例えば、フットペダルを使用して、電力をアブレーション要素に印可することができ、また、上述した1つ以上のモータの動作を制御することもできる。
【0076】
照準光
エネルギーエミッタ140から放出された放射エネルギー(例えば、レーザ)は、典型的には、ヒトの眼によって検出され得る可視光スペクトルの外側にあり、アブレーション器具100は、照準光ユニットからの可視光がパルスで送達されて、標的部位152における組織の断続的な照明を引き起こすパルス動作モードを有することが好ましい照準光を含む。これにより、照準光が点滅する光であるように見える。パルスで可視照準光を送達することによって、電気生理学者は、照準光パルスの間に内視鏡を使用して、組織が標的部位152において治療されている間に、組織を直接観察することができる。
【0077】
アブレーション手技中、内視鏡176を使用して、組織がアブレーションされ、かつ照準ビームがディスプレイ14を介してサイクルからはずれた状態にあるときに、組織の外観の変化を検知することによって組織アブレーションの程度を判定する。言い替えると、照準光の点滅(パルス)の間に、電気生理学者は、治療された組織を観察して、治療がどのように進行しているのかを判定することができ、その理由は、内視鏡176を使用して、組織がアブレーションされ、かつ照準ビームがサイクルからはずれた状態にあるときに、組織の外観の変化を検知することによって組織アブレーションの程度を判定するからである。しかしながら、多くの条件により、アブレーションされている組織の外観の変化における実際の検出について、適切なスポット損傷が、エネルギー伝送器140によってアブレーション治療部位152の組織上に形成されたかどうかに関しては、困難および/または信頼できない場合がある。例えば、治療部位152における不十分な照明では、不可能ではないにしても、ディスプレイ14上で観察されたときに適切なスポット損傷が治療部位に形成されたかどうかの確認を困難にし得る。
【0078】
また、本明細書に記載されているように、内視鏡176も使用して、遠位側肺静脈(血液プール)における移動または擾乱の程度の変化を検知する。
【0079】
アブレータシステム10のプロセッサ12は、視覚オーバーレイまたは音響合図を介してモニタ14上に表示され、かつ/または電気生理学者に示され得る、標的部位152における組織上に形成された損傷の品質を判定することによってこの問題を未然に防ぐ。ここで、
図7のフロー図を参照すると、アブレーション治療部位152におけるスポット損傷の品質を判定するための動作方法が、ここで考察される。
【0080】
ステップ300において開始すると、プロセッサ12は、治療部位でアブレーションされた組織の、内視鏡176からの画像を取り込む。ステップ310において、プロセッサ12はまた、コントローラ16からの、エネルギー伝送器140に関連する情報も取り込む。取り込まれたエネルギー伝送器140情報には、エネルギー伝送器140によって、スポット損傷を形成するための、治療部位152の組織上に印可された放射エネルギー(電力)の量、エネルギー伝送器140の、スポット損傷を介してアブレーションされる組織からの距離、および治療部位152における組織に対する、エネルギー伝送器140の移動速度が挙げられる。エネルギー伝送器140に関して取り込まれる前述の情報は、ある程度の情報が、治療部位の組織上に形成されたスポット損傷の品質を判定すること、および/または肺静脈内の血液プールの特性における変化の観察によって手技の完成を視覚的に判定することに必要なものであるとして取り込まれ得るときに、それらに限定されるものと理解されるべきではないことを理解されたい。
【0081】
次いで、プロセッサ12は、好ましくはアルゴリズム技術を使用して、十分なスポット損傷が治療部位で組織上に正に最近形成されたかどうかを判定する(ステップ320)。言い替えると、エネルギー伝送器140が治療部位152での組織から配置されている距離、治療部位152での組織に対するエネルギー伝送器140の移動速度(例えば、エネルギーが所与の位置にて組織に印可される時間量)、および印可されるエネルギーが与えられると、十分なスポット損傷が、エネルギー伝送器がアブレーションエネルギーを印可している位置での組織上に形成されたかどうかについての判定が行われる。参照テーブルまたは他の同様の手段もまた、前述の損傷品質を判定するためのプロセッサ12によって使用され得る。スポット損傷は、電気信号がそこを通って伝送するのを有効に遮断する十分な瘢痕組織を含む場合に十分であるものと理解され得る。
【0082】
プロセッサ12は、十分なスポット損傷が形成されたかどうかを示す信号を電気生理学者に提供するようにさらに動作可能であり、かつ構成されていることが好ましい(ステップ330)。この暗示する信号は、エネルギー伝送器140が分散させるエネルギーを受けた治療部位152の組織上に、不十分なスポット損傷が形成されたか、または何のスポット損傷も形成されなかったかの事象において提供されてもよい。この暗示する信号は、音響信号および/または視覚信号であってもよい。音響信号は、警告音からなり得、視覚信号は、不十分なスポット損傷と判定された位置で治療部位152(内視鏡176を介して提供される)を図解するディスプレイ14上に重畳されたマーカー(例えば、赤色)からなってもよい。したがって、画像プロセッサ12が、不十分なスポット損傷が形成されたと判定したとき、上記の警告信号は、電気生理学者に即座に提供され、電気生理学者が不十分な損傷を有する組織を再訪し、そして今すぐ十分な損傷を形成するようにエネルギー伝送器140を使った適切な調整を行うことを可能にする(例えば、より多くのエネルギーを印可し、エネルギー伝送器140と治療部位との間の距離を近づけ、かつ/または治療部位に対するエネルギー伝送器140の動きを遅らせる)。
【0083】
図9は、方法100を使用するために構成された1つのコンピュータシステム300のブロック図である。システム300は、ユーザインターフェース305、プロセッサ310、およびメモリ315を含む。システム300は、Sun(登録商標)Microsystems社のコンピュータシステムファミリー製品のうちの1つ、IBM(登録商標)社のパーソナルコンピュータファミリー製品のうちの1つ、Apple(登録商標)Computer社のファミリー製品のうちの1つ、または他の無数の従来のワークステーションなどの汎用マイクロコンピュータ上に実装されてもよい。システム300は、本明細書には、独立型システムとして代表されているが、係る独立型に限定されず、逆にネットワークを介して他のコンピュータシステムに結合され得る(図示せず)。
【0084】
メモリ315は、プロセッサ310の動作を制御するために好適なデータおよび命令を格納するためのメモリである。メモリ315の実装には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードドライブ、および読み取り専用メモリ(ROM)が含まれ得る。メモリ315内に格納される構成要素のうちの1つは、プログラム320である。
【0085】
プログラム320は、方法100を実行するためのプロセッサ310を制御するための命令を含む。プログラム320は、単一のモジュール、または互いに協働して動作する複数のモジュールとして実装されてもよい。プログラム320は、本明細書で上述した方法のソフトウェア実施形態を代表するものとして想定されている。
【0086】
ユーザインターフェース305には、ユーザが情報およびコマンド選択をプロセッサ310に通信するのを可能にするための、キーボード、タッチスクリーン、タブレット、または音声認識サブシステムなどの入力装置が含まれる。ユーザインターフェース305はまた、ディスプレイまたはプリンタなどの出力装置も含む。タッチスクリーンの場合、入力および出力機能は、同じ構造体によって提供される。マウス、トラックボール、またはジョイスティックなどのカーソル制御装置により、ユーザが追加の情報およびコマンド選択をプロセッサ310に通信するための、ディスプレイ上のカーソルを操作することを可能にする。
【0087】
プログラム320は、すでにメモリ315にロードされているものとして示されているが、その後メモリ315にロードするための記憶媒体325上に構成されてもよい。記憶媒体325は、磁気テープ、光記憶媒体、コンパクトディスク、またはフロッピーディスクなどの任意の従来の記憶媒体であってもよい。別の方法として、記憶媒体325は、ランダムアクセスメモリ、またはリモート記憶システム上に設置された他のタイプの電子記憶装置であってもよい。
【0088】
本明細書に記載された方法は、原理的なプロセスの説明を容易にするフロー図と関連して示されているが、特定のブロックは、イベントがオブジェクト指向プログラムなどにおけるプログラムフローを駆動するときなどでは、任意の順番で呼び出すことができる。したがって、フロー図は、例示的なフローとして、またブロックは、図示したものと異なる順番で呼び出すことができることを理解されたい。
【0089】
本発明の様々な組み合わせ、代替および修正が、当業者によって考案され得ることを理解されたい。本発明では、添付の特許請求の範囲の範囲内に収まる係るすべての代替、修正、および変形を包含することが意図されている。
【0090】
心臓アブレーション手技に関連して説明されているが、本発明の器具およびシステムは、腹腔鏡、管腔内、内臓周囲、内視鏡、胸腔鏡、関節内、および複合的なアプローチを含む、放射エネルギーを使用する治療が望ましい他の様々な手技のために使用され得ることは、明らかである。
【0091】
したがって、器具100は、単に、本発明の内視鏡/撮像装置を組み合わせて使用することができるアブレーション装置の1つの典型的なタイプにすぎない。
【0092】
血液プール特性をモニタリングすることによる、標的組織(例えば、肺静脈)の視覚確認
図10は、カテーテルの長手方向軸に沿ったところからの、治療部位の代表的な内視鏡図である。この図は、モニタなどのディスプレイ上に表示されることが好ましく、アブレーションされた組織は、新たな(未治療の)組織に対して視覚的に区別された方法で表示され得る。
【0093】
図10および11において、血液/組織の領域は、平行線模様の使用によって、エネルギー送達の位置(損傷の形成)と視覚的に区別されている。カテーテルシャフトおよびバルーンもまた、血液/組織および損傷と視覚的に区別されている(平行線模様によって)。本明細書で考察されているように、
図10および11において、平行線模様の領域は、血液/組織を表す。
【0094】
本発明の原理は、
図10および
図11の図で容易に理解されるように、
図10は、アブレーション手技を開始する前の治療部位を示し、これに対して、
図11は、アブレーション手技の完成後、および完全なアブレーションが形成された後の治療部位を示す。
図10および
図11の観察から明らかなように、
図10の血液プールは、標的部位における筋肉の収縮の結果として擾乱が増大したものとして示されている。例えば、標的部位は、肺静脈であり得、したがって、肺静脈周辺の筋肉の収縮により、遠位側血液プールにおける係る擾乱を引き起こす。視覚的には、血液プールは、程度の高い波、および血液と組織との間の境界において特に明白である他の局所的な乱れが存在する点で、粗い海と同様の外観を有し得る。逆に、すなわち完全な連続的損傷(アブレーション)が肺静脈の周りに形成された結果として肺静脈が効果的に隔離された後には、遠位側血液プール(すなわち、肺静脈内の血液)は、はるかに低減された擾乱の可視パターンを有する(標的部位における電気的活動/電気的隔離の低減に起因して)。視覚的には、血液プールは、初期の外観(より活発でかつ波立っている等)と比較して、より穏やかな外観を有することになる。したがって、本明細書に記載されているように、初期画像(基準としての役割を果たす)とリアルタイム画像との間の比較が示され、この比較を使用して、アブレーションが完成したかどうか(すなわち、損傷が、今の場合、肺静脈周辺の標的組織を隔離するように連続して形成されたかどうか)をリアルタイムで判定することができる。
【0095】
本撮像システム
本発明のよる撮像システムは、治療部位での組織の状態をリアルタイムでモニタリングし、かつ特に医師がアブレーションされた組織とアブレーションされていない新たな組織との間を容易に区別することを可能にするように構成されている適切な撮像装置を含む。撮像システムはまた、手技を開始する前、手技の最中、および手技が完成した後において、医師が遠位側血液プール(例えば、肺静脈内の血液)の状態をリアルタイムでモニタリングすることもさらに可能にする。撮像システムは、観察された画像がディスプレイ上にリアルタイムで表示され、かつ/またはメモリ内に記録および保存されるのを可能にする。
【0096】
本明細書に記載されているように、内視鏡(以前に考察されたように)を使用して、アブレーションされた組織の画像を取得することができる。内視鏡は、カテーテルの本体中に挿入され、関心領域に隣接して位置決めされて領域のリアルタイムでの観察を可能にする。
【0097】
本発明の撮像システムは、内視鏡の使用に限定されず、逆に任意の数の様々なタイプの撮像システムは、それらがディスプレイ上で観察され得る治療部位のリアルタイム画像を提供する限り、使用され得ることが理解されるであろう。
【0098】
画像分析(ソフトウェア)
本発明のソフトウェアは、遠位側血液プールの視覚パターンが分析され得るように構成することができる。本明細書で考察されているように、標的部位での筋肉の収縮は、組織の両端の電気伝導によって引き起こされ、この正常な筋肉の牽引力によって遠位側血液プール(例えば、肺静脈内の血液)の擾乱を増大させていることになる。増大した擾乱は、血液が血液の運動または擾乱を示す特定の特性を有することになるという点で、視覚的に観察することができる。例えば、高度に擾乱した血液は、特に血液/組織境界において目視可能である、増大する波の外観、および他の局所的な歪み/乱れなどの一組の視覚特性/パターンを有することになる。血液は、筋肉が標的部位において収縮するとき、滑らかで、平坦で、均一な外観を有さないことになる。したがって、基準画像は、手技が開始される前にメモリ内に保存されていることが好ましく、血液プールが筋肉の収縮を受けたときに血液プールの視覚的状態を示すことになる。
【0099】
アブレーション手技が開始され、損傷列(アブレーション)が標的部位に形成されるとき、標的の進行する電気的隔離を引き起こす損傷形成に起因して、電気的活動の減少が起こる(例えば、目的が、肺静脈を電気的に隔離する場合がある)。減少する電気的活動は、標的部位のより少ない筋肉収縮の結果であり、したがって、遠位側血液プールの特性も、同様に変化することになる。例えば、遠位側血液プールの擾乱の程度(局所的な乱れの程度)において漸進的減少が存在することとなる。言い替えると、アブレーション手技が継続するにつれて、遠位側血液プールは、基準画像で存在していた擾乱特性(局所的な乱れ)の減少に起因して、より多くの穏やかな視覚的外観をますます有する。
【0100】
ソフトウェアはまた、遠位側血液プールまたは血液/組織境界の実際の変位の乱れの程度が採点システムを使用して分類され得るようにも構成することができ、その採点システムは、アブレーション手技を開始する前の遠位側血液プールの視覚画像(すなわち、基準画像)と遠位側血液プールのリアルタイム画像との間の相関関係の程度を分析することを含む。より具体的には、ソフトウェアは、リアルタイム画像を基準画像と比較し、そして相関関係の程度を判定するプロセッサを有する。アルゴリズムを使用して、リアルタイム画像と基準画像との間の相関関係の程度を算出することができ、係る比較において相関関係の程度が小さいことが望ましい。言い替えると、リアルタイム画像は、基準画像の視覚的特性を有さないことが望ましく、その理由は、遠位側血液プールは、完成した損傷が形成された後では、穏やかな外観またはそれに近い外観を有することが望ましいからである。
【0101】
別の方法として、プロセッサは、リアルタイム画像を、穏やかな血液プール(すなわち、標的組織(例えば、肺静脈)の完全な電気的隔離を示す理想的な状態)を表す最適な画像と比較するように構成することができる。この実施形態において、最適な画像が標的の完全な電気的隔離を表すため、リアルタイム画像と最適な画像との間で高い相関度を有することが望ましい。さらに別の実施形態において、プロセッサは、初期の手技前画像および最適な画像の両方を使用して、アブレーションの品質を算出し得、より詳細には、標的組織の隔離レベルを算出し得る。したがって、本発明のソフトウェアおよび方法は、アブレーション手技中に肺静脈隔離の視覚的確認を提供する。
【0102】
プロセッサを使用して、血液擾乱を示すより多くの特性を比較または対比して、標的組織の電気的隔離の程度を評価することができることもまた、理解されるであろう。1つ以上の特性を比較することによって、プロセッサは、基準画像に対してリアルタイム画像を分析することによって、アブレーションの完全性の程度を算出するように構成することができる。
【0103】
基準画像は、それぞれの画像に対して異なる色を使用することによって、リアルタイム画像と視覚的に区別することができることもまた、理解されるであろう。例えば、基準画像は、ディスプレイ(例えば、モニタ)の第1の色を用いて表示され得、リアルタイム画像は、第1の色に対して視覚的に区別可能である第2の色を用いて表示され得る。したがって、2つの画像が重ね合わされたとき(例えば、リアルタイム画像が、基準画像の上に重なり合う)、遠位側血液プールの擾乱レベルの差が、視覚的に検出され得る。例えば、第1の色の基準画像は、視覚的印(波線など)によって表され、これに対してリアルタイム画像は、第2の色の薄い視覚的印よって表され、または別の方法として、滑らかで穏やかな血液プールは、擾乱を表す印のないこと(すなわち、波線のないこと)によって表されることになる。したがって、第2の色の印がないことは、アブレーションが完成し、標的部位(例えば、肺静脈)は、電気的に隔離されたことを示す。次いで、画像登録ソフトウェアを使用して、2つの画像を適切な整列で組み合わせることができる。
【0104】
視覚化のタイプは、形成されたアブレーションの品質、および標的組織を電気的に隔離するという主要目的が達成されたかどうかを、医師が理解することが望ましい場合である腔内操作の使用では、特に重要である。
【0105】
本発明によれば、遠位側血液プール境界の動きの有意な変化を検出するための1つの技術は、血液プールの境界の偏位を測定することを含み、以下のステップ、すなわち、(a)ECGの高電圧繰り返し構成要素か、または心臓周期全体にわたる血液プール境界の最大偏位の写真による証拠のポイントでのどちらかをゲート制御する信号を提供する、(b)これらの信号のどちらかをゲート制御する起動時での、2つ以上の直交対角線の長さを測定する、(c)最初の最大、最小、平均の長さの測定値を計算する、(d)ゲート制御された起動間で繰り返すECGフェーズで、または心臓周期全体にわたる血液プール境界の最小偏位の写真による証拠のポイントで、2つ以上の直交対角線の長さを測定する、第2の最大、最小、平均の長さの測定値を計算する、最初の測定値と第2の測定値との差を算出する、(g)血液プール境界の偏位測定値で、または電気的活動が消失されたことが示された代表的なポイントを潜在的に参照するポイントで、所定のパーセンテージ低下の達成を表すインジケータをプログラムするための手段を提供する、ことを含む。
【0106】
アブレーション品質の点検
したがって、本発明により、電気生理学者が、形成されたアブレーション(複数可)(損傷)をリアルタイムで点検し、形成されたアブレーション(複数可)の品質を評価するのを可能にし、追加のアブレーション治療が必要とされるかどうかを、電気生理学者が決定するのを可能にする。例えば、電気生理学者がディスプレイを観察し、形成されたアブレーション(複数可)がその長さに沿ってボイド(間隙または破損)などの欠陥を含んでいる結果として、標的組織(肺静脈)が電気的に隔離されていない場合、またはそれ以外の場合では許容することができないというフィードバックを受け取った場合、そのとき、電気生理学者は、手技を継続し、アブレーションの不備を是正することができる。
【0107】
損傷の長さに沿って形成された間隙は、遠位側血液プールが所望の低減した擾乱状態であると決めつけることを防止し、したがって、電気生理学者が間隙または不備を再度評価すると、電気生理学者は係る不備を是正することができる。係る是正の後、電気生理学者は、標的組織(肺静脈)の所望の隔離の視覚的確認を可能にすることになるリアルタイム画像を、遠位側血液プールの低減した擾乱の(穏やかな)状態によって表される画像と比較することができる。
【0108】
電気生理学者に提示されたフィードバックはまた、遠位側血液プールの擾乱における算出された変化の程度などの他の定性的情報、および標的部位のリアルタイム画像が表示されるのと同時に表示され得る他の情報も含むことができる。電気生理学者は、電気生理学者に提供されるすべての情報を使用し、それらの情報には、遠位側血液プールの擾乱の程度に関する情報、およびアブレーションの品質/充足に関する視覚情報(すなわち、アブレーション(損傷)における間隙または破損を示している視覚情報)が含まれることを理解されるであろう。次いで、ユーザは、損傷内の間隙(複数可)の位置を推定するための他の手段を使用して、取られるべき是正措置を可能にすることができる。
【0109】
米国特許出願公開第2009/0326320号は、少なくとも部分的に実施することができる他の典型的な撮像システムの詳細を開示しており、その全体は、参照により本明細書によって組み込まれる。当該文献に開示された1つ以上の特徴は、撮像システムが、治療部位を視覚化し、ユーザ(電気生理学者)に、損傷の品質に関する有用なフィードバックおよび情報(すなわち、損傷が連続的な、途切れない構造体であるかどうか等)を提供するための2つ以上の手段を含み得るという点で、本発明の撮像システムに実装され得ることが理解されるであろう。
【0110】
ハンドルのためのモジュール式モータユニット
本発明の一実施形態によれば、アブレーション装置は、アブレーション要素の動きにわたって電動制御を可能にするように電動式である。より具体的には、
図16~29は、アブレーション器具(装置)1000が提供されている本発明の別の実施形態を図示している。アブレーション器具1000は、アブレーション器具100と同様であり、アブレーション器具100を参照して本明細書で前述した特徴の多くを含む。一般に、アブレーション器具1000は、近位端1012、および反対側の遠位端1014を有する細長いハンドル(本体)1010を備える。各図に示すように、ハンドル1010は、2つの別個の半分、すなわち、第1の半分または頂部(上部)ハンドル部分1100、および第2の半分または底部(下部)ハンドル部分1200で形成され得る。上部および底部ハンドル部分1100、1200は、共に、組立ハンドル1010を形成する。本明細書に記載されているように、上部ハンドル部分1100および底部ハンドル部分1200の各々は、内部でそれぞれ画定された中空空間1101、1201が存在するケースであるものとして想定され得、上部ハンドル部分1100および底部ハンドル部分1200が互いに組み立てられたとき、これらの中空空間は、器具1000の動作構成要素が含まれる少なくとも部分的に密閉される内部空間を画定する。
【0111】
図示したように、ハンドル本体1010の遠位端1014を部分的に画定する上部ハンドル部分1100の遠位端は、ハンドル本体1010の近位端1012を部分的に画定する上部ハンドル部分1100の近位端よりも狭い。例えば、上部ハンドル部分1100の遠位端は、テーパ構造を有することができる。上部ハンドル部分1100はまた、近位端と遠位端との間に中間部分1110も含む。図に示すように、中間部分1110は、開口部(スルーホール)1120を含む。開口部1120は、開口部1120によりユーザが本明細書に記載された意図された目的にアクセスするのを可能にする限り、任意の数の様々な形状および/またはサイズを有することができる。図示した開口部1120は、おおむね、矩形形状である。
【0112】
したがって、上部ハンドル部分1100は、外壁1102、および外壁1102の縁端部の周りに延在する周辺壁1104によって画定されている。周辺壁1104の近位部分は、端部壁であるものとして想定され得、1105で識別されている。端部壁1105は、他の部品の、中空の内部空間1005への通過を可能にするための1つ以上のノッチ1107、1109を含む。ノッチ1107、1109は、横方向に互いに離間され得、異なる形状および/またはサイズを有し得る。例えば、ノッチ1107は、ノッチ1109よりも大きくてもよい。
【0113】
上部ハンドル部分1100は、いくつかの一体化した補強または支持要素および/または分周器の要素を含み得る。
【0114】
図に示すように、ハンドル本体1010の遠位端1014を部分的に画定する底部ハンドル部分1200の遠位端は、ハンドル本体1010の近位端1012を部分的に画定する底部ハンドル部分1200の近位端よりも狭い。例えば、底部ハンドル部分1200の遠位端は、テーパ構造を有し得る。底部ハンドル部分1200はまた、近位端と遠位端との間に中間部分1210も含む。図に示すように、中間部分1210は、開口部(スルーホール)1220を含む。開口部1220は、開口部1220によりユーザが本明細書に記載された意図された目的にアクセスするのを可能にする限り、任意の数の様々な形状および/またはサイズを有することができる。開口部1120、1220は、それらのそれぞれのハンドル部分1100、1200にそれぞれ形成され、その結果、それらの開口部は、上部および底部ハンドル部分1100、1200が互いに組み立てられたときに、互いの上に覆い被さる。本明細書で考察されているように、このスルーホール、または開口部1120、1220により画定された窓は、アブレーション要素の制御された動きを可能にするコントローラへのアクセスを提供する。
【0115】
したがって、底部ハンドル部分1200は、外壁1202の縁端部の周りに延在する外壁1202および周辺壁1204によって画定されている。周辺側壁1204の近位部分は、端部壁であるものとして想定され得、1205で識別されている。端部壁1205は、他の部品の、中空の内部空間1005への通過を可能にするための1つ以上のノッチ1209を含む。2つ以上のノッチが存在する場合、ノッチ1209は、横方向に互いに離間され得、異なる形状および/またはサイズを有し得る。
【0116】
底部ハンドル部分1200は、底部ハンドル部分1200の近位端から外側の方に延在する管状延長部1230を含む。したがって、管状延長部1230は、底部ハンドル部分1200の一方の側面に沿って配置され得る。図に示すように、管状延長部1230は、中空の内部1231を有する円筒形構造体の形態であり得る。したがって、端部壁1205は、管状延長部1230を収容し、底部ハンドル部分1200の中空の内部空間と、管状延長部1230の中空の内部との間の伝達を提供するように形成されている。本明細書に記載されているように、管状延長部1230は、モータユニット1300を受容し、取り外し可能に保持するように構成されている。
【0117】
アブレーション器具100と同様に、アブレーション器具1000は、膨張可能なバルーン(例えば、規格適合したバルーン)、および膨張可能なバルーン内に移動可能に配設されているエネルギーエミッタ(例えば、光ファイバ)を含む。特に、膨張可能なバルーンは、ハウジング1010の遠位端1012に結合されている。本明細書にさらに詳細に記載されているように、エネルギーエミッタは、互いに独立している2つの運動を伴う軸方向および回転方向の両方に移動することができる。したがって、エネルギーエミッタは、軸方向の遠位/近位方向に移動され得、エネルギーエミッタは、エネルギーエミッタの回転位置を変化させるように回転され得る。
【0118】
エネルギーエミッタの軸方向の移動、および回転の両方を制御するために、アクチュエータ1045が設けられ、エネルギーエミッタ(例えば、光ファイバ)に直接結合されて、アクチュエータ1045の操作がエネルギーエミッタの動きに直接変換される。I図示した実施形態において、アクチュエータ1045は、ノブの形態とすることができる。ノブ1045は、開口部1120、1220により画定された開放空間(窓)内に含まれ、ユーザがノブ1045を容易に把持、保持、および操作するのを可能にするようにリブが設けられ得る。
【0119】
ノブ1045の進行の程度は、ノブ1045が開口部1120、1220の一方の端部と、開口部1120、1220の他方の端部との間のみを進行することができるという理由で、開口部1120、1220の端部によって制限される。開口部1120、1220の端部間のこの動きは、軸方向であり、したがって、ノブ1045が開口部1120、1220の遠位端に向かって軸方向に移動するときには、エネルギーエミッタは、同じように遠位方向に並進され、同様に、ノブ1045が開口部1120、1220の近位端に向かって軸方向に移動するときには、エネルギーエミッタ1040は、同じように近位方向に並進される。さらに、ノブ1045が開口部1120、1220内で回転するときには、この運動は、エネルギーエミッタの制御された回転に直接変換される。
【0120】
したがって、ユーザは、開口部1120、1220内で遠位または近位方向のどちらかにノブ1045を移動させることによって、膨張可能なバルーン内の軸方向にエネルギーエミッタを独立して移動させることができ、ノブ1045を回転させることによって、膨張可能なバルーン内のエネルギーエミッタを回転させることができる。例えば、ユーザがバルーン内の遠位方向にエネルギーエミッタを移動させ、エネルギーの放出の程度を変更したい場合、ノブ1045は遠位側に移動されて、次いで程度の選択数だけ回転される。
【0121】
エネルギーエミッタが光ファイバの形態である場合(
図27)、ノブ1045は、光ファイバに取り付けられるか、ないし結合される(例えば、間接的に)。各図に示すように、ノブ1045は、ステム(外側ジャケット)1047に取り付けられ、そのステムは、管状の形状を有し得、その結果、ノブ1045の動きがステム1047の動きに変換される(軸方向および回転方向の両方に)。
【0122】
本明細書で考察されているように、光ファイバは、捻転剛性トルク管によって取り囲まれると(図中、参照文字1049が、組み合わされた光ファイバおよびトルク管を表す)、光ファイバが本明細書に記載されている場合、物理的な光ファイバは、トルク管によって取り囲まれていることが好ましいことを理解されたい。光ファイバは、その遠位端においてトルク管1049に取り付けられ得る(この取り付けは、接合等の従来の技術を使用して達成することができる)。
【0123】
ステム1047は、金属およびプラスチックを含む、いくつかの異なる材料から形成され得るが、これらに限定されない。
【0124】
図27に示すように、ステム1047は、光ファイバおよび捻転剛性トルク管1049を引き回すことができる管腔を含む。ステム1047の遠位端が、ノブ1045と結合され得、これに対してステム1047の近位端が、ハウジング1010の近位端1012を越えて突き出すことができる。捻転剛性トルク管1049は、このように、光ファイバを取り囲むロッドまたはシースの形態であり得る。理解され得るように、光ファイバは、ハウジング1010の近位端1012から延在し、メインコントローラ(メイン制御ユニット)に動作可能に接続されている。したがって、光ファイバおよび捻転剛性トルク管1049は、ノブ1045を通過する。
【0125】
図27に示すように、一実施形態によれば、第1のコネクタ1050が設けられ得、ボンディング剤/接着剤の使用を含むいくつかの好適な技術を使用して、ステム1047の遠位端に取り付けられるが、これらに限定されない。第1のコネクタ1050は、ノブ1045の中空内部内に受容されるように構成することができる。例えば、第1のコネクタ1050は、ノブ1045の中空内部に包含される内側ねじと嵌合する外側ねじを含むことができる。第1のコネクタ1050は、光ファイバおよび捻転剛性トルク管1049の通過を可能にするための、内部に形成されたスルーホールを有する。
【0126】
キー溝付きタイプの接続が、ステム1047と第1のコネクタ1050との間に形成されて、両者間の安全な接続を形成し、ステム1047が第1のコネクタ1050に対してスリップするのを防止することができる。
【0127】
図27は、コレット1051が設けられ、光ファイバ1049(トルク管)を取り囲み、力がコレットに加えられたときに、光ファイバ(トルク管)を挟むように設計されている実施形態を示す(トルク管は、ニチノールまたは同様の材料で形成することができる)。コレット1051は、スロット付き構造体であり、その結果、締め付け力がそこに加えられたときに、コレット1051が締め付けられると、コレット1051は、捻転剛性トルク管1049上にクランプ力を作用させる。特に、周囲のノブ1045は、締め付けられ、コレット1051は、光ファイバを担持するトルク管1049を締め付ける。コレット1051内に形成されたスロットは、コレット1051の下方締め付けを容易にする。
【0128】
スプラインギヤ構成
ステム1047の長さに沿って、第1のギヤ1055が設けられ、ステム1047に固定して取り付けられている。したがって、第1のギヤ1055は、ステム1047の周りに延在し、第1のギヤ1055がステム1047に固定して取り付けられているため、第1のギヤ1055の駆動回転は、当該問題としているステム1047および光ファイバ1049の回転に変換される。
【0129】
ステム1047と第1のギヤ1055との間の取り付けは、ステム1047が接合によるような、固定して取り付けられるギヤハブ1057と共に行われ得る。このため、ギヤハブ1057は、ステム1047の周りに延在する(取り囲む)。キー溝付きタイプの接続は、ステム1047とギヤハブ1057との間に形成されて、両者間の安定接続を形成し、ステム1047がギヤハブ1057に対してスリップするのを防止することができる。第1のギヤ1055は、そのギヤの周辺部の周りに延在する歯1059を含む。図に示すように、第1のギヤ1055は、円形の形状を有する。
【0130】
ステム1047は、ハウジング1010内の長手方向に延在し、第1のギヤ1055は、ハウジング1010の近位端部分内に配設されている。前述したように、上部および底部ハンドル部分1100、1200は、ステム1047の回転を可能にしながら、ステム1047を適所に位置決めおよび保持するために使用され得る内部支持体を含む。
【0131】
一実施形態では、第2のギヤ1060が設けられ、第1のギヤ1055と噛み合うように構成され、したがって、歯1059と噛み合う歯1061を含む。第2のギヤ1060は、第1のギヤ1055よりも実質的に長い長さを有するスプラインギヤの形態であり得る。ギヤ1055とギヤ1060との間の長さの違いにより、第1のギヤ1055が、固定された第2のギヤ1060に対して軸方向に移動し、同時に依然として一緒に噛み合う接続のままにすることを可能にする。このギヤ整列により、ユーザがエネルギーエミッタ1040を軸方向に移動させたとき、ステム1047およびノブ1045の軸方向の移動を可能にする。言い替えると、第1のギヤ1055は、歯1061に沿って軸方向にスライドすることができ、同時に、それぞれの歯1059、1061は、第2のギヤ1060の回転が第1のギヤ1055の回転に変換されるのを可能にするように、相互に噛み合ったままである。
【0132】
したがって、第2のギヤ1060は、ハウジング1010の近位端に位置決めされ、ステム1047および第1のギヤ1055の軸に平行な軸に沿って位置決めされている。第2のギヤ1060はまた、上部ハンドル部分1100および底部ハンドル部分1200のうちの少なくとも一方の一部を形成する1つ以上の支持体によっても適所に保持されている。例えば、
図18に示すように、第1の支持体1072が、上部ハウジング1100に沿って形成され、ステム1047、および第2のギヤ1060の第1のシャフト1063が通過するのを可能にするように起伏が形成されている。このため、第1の支持体1072は、ステム1047および第1のシャフト1063の横方向の動きを限定し、したがって、第1のギヤ1055および第2のギヤ1060の横方向の動きを制限する。したがって、第1のシャフト1063は、ハウジング1010の遠位端1014と対面する。第2のギヤ1060の反対側の端部において、アダプタ1311などの第2のシャフトまたはアダプタが設けられ得る。第1の支持体1072と同様に、第2の支持体1074(
図17)が設けられ、上部ハンドル部分1100および第2のハンドル部分1200の各々の端部壁に隣接する位置において、ハウジング1010の幅を横切って延在することができる。第2の支持体1074はまた、ステム1047、および第2のギヤ1060のアダプタ1311が通過する一対の開口部も含む。したがって、第2の支持体1074は、ステム1047およびアダプタ1311の横方向の動きを限定し、したがって、第1のギヤ1055および第2のギヤ1060の横方向の動きを制限する。
【0133】
さらに、いずれの構造体にも積極的には取り付けられていない一対の軸受プレートが存在し得る。より詳細には、軸受プレートは、第1の支持体1072および第2の支持体1074を適所で保持する役割を果たす、上部ハンドル部分1100と底部ハンドル部分1200との間で挟まれる浮遊プレートである(ギロチンに類似している)。軸受プレートは、長手方向に互いに離間され、このため、第1および第2の軸受の各々は、これらの各々の軸受プレートを配置する役割を果たす一対の壁(壁1072、1074など)の間に形成された受容スロット内に配設されている。したがって、第2のギヤ1060は、2つの軸受プレートの間に配設されている。
【0134】
図20を参照すると、第2のギヤ1060は、ばね装着(付勢)された構造体であり得、その構造体には、ばね等の付勢要素1069が、第1のシャフト1063、およびハウジングと関連付けされた支持体壁に隣接して配設され得る。このため、ばね1069は、第1のシャフト1063と支持体壁との間に配設され、したがって、モータユニットに向かう方向に付勢力を第2のギヤ1060に加える。これにより、第2のギヤ1060がモータユニットと係合し続けることを確実にする。図に示すように、ピンを、ばね上に設置することができる。
【0135】
図に示すように、アダプタ1311は、第2のギヤ本体の中空内部内に少なくとも部分的に配設されている。アダプタ1311は、モジュール式モータユニット1300と嵌合するように構成され(例えば、キー溝付きの方法で)、その結果、それら2つは、直接互いに結合され、モータユニット1300の動作により第2のギヤ1060の制御された回転を引き起こす。数多くの様々なタイプの接続が、モータユニット1300と第2のギヤ1060との間に形成され得、より詳細には、モータユニット1300は、第2のギヤ1060のアダプタ1311と嵌合するように構成されている駆動メインシャフト1310を含む。例えば、キー溝付き接続は、それらの両者の間に形成され得る。
【0136】
一実施形態では、スリーブ(アダプタ)1311は、六角形などの形状を有し得、メインシャフト1310の相補的な形状の遠位側先端を受容するソケットを代表する。モータユニット1300を第2のギヤ1060と結合するために、モータユニット1300は、管状延長部1230の中空内部に挿入され、メインシャフト1310がソケット内に受容されるまで、前方に押し付けられる。このため、管状延長部1230は、モータユニット1300の少なくとも一部分を取り囲み、したがって、モータユニット1300を保護し、ユーザが、回転するメインシャフト1310にアクセするのを防止する。
【0137】
モータユニット1300は、バヨネットタイプ接続(装着)を使用することを含む、いくつかの異なる手段を使用して管状延長部1230内に結合および固定され得るが、その手段は、これらに限定されない。図に示すように、管状延長部1230は、受容端部およびロック端部を有するスロットを含むことができる。モータユニット1300は、スロット内で受容され、かつスロット内で操作される相補的な突起部(ピン)であって、そのピンがスロットのロック端部の方に移動するのを可能にするように回転される、突起部(ピン)を有する。
【0138】
スライドするスプラインギヤ配置
図21に示すように、別の実施形態では、第2のギヤ1060(
図19)は、固定されたギヤであり、第1のギヤ1055は、ステム1047にスライド可能に結合され、その結果、ステム1047は、固定された第2のギヤ1060に固定して取り付けられたままの第1のギヤ1055に関して軸方向に移動することができる。したがって、以前の実施形態とは異なって、第1のギヤ1055は、ステム1047と一緒に軸方向には移動せず、逆に、ステム1047は、少なくとも実質的に固定された軸方向に、かつ第2のギヤ1060と固定された係合したままの第1のギヤ1055の中央開口部内の軸方向にスライドする。例えば、第1のギヤ1055は、第1のギヤ1055の中央開口部内に少なくとも部分的に配置され、かつその中に回転することができる複数のボール軸受を含むことができる。このため、中央開口部は、ボール軸受の存在に起因して真円ではなく、したがって逆に、中央開口部は、キー溝付き開口部であるものと想定され得る。例えば、中央開口部の中を延在する4つの突起部を画定する4つの組のボール軸受が存在し得る。この実施形態では、ステム1047は、突起部(ボール軸受の組によって画定されている)を受容するように構成されているスロット付きシャフトとすることができる。言い替えると、4つの突起部が存在する場合、ステム1047は、4つの軸方向に(長手方向に)延在するスロット(チャネル)を有し、1つの突起部は、対応するスロットのうちの1つと一緒に受容されている。したがって、ボール軸受は、固定された第1のギヤ1055に対してステム1047の動きを軸方向に
付勢する。言い替えると、ユーザがステム1047を軸方向に移動させると、ステム1047は、ボール軸受の上を転がる。
【0139】
しかしながら、ステム1047と第1のギヤ1055との間のキー溝付き結合は、第1のギヤがステム1047に対して回転するのを防止する。したがって、第1のギヤ1055が第2のギヤ1060によって回転可能に駆動されると、第1のギヤ1055が回転するだけでなく、ステム1047も回転して、ステム1047に結合されたアブレーション要素の制御された回転ももたらす。この実施形態では、第2のギヤ1060は、以前の実施形態のスプラインギヤ1060の延長された長さを有していないという点で、より小さいギヤとすることができ、その理由は、当該実施形態では、第1のギヤ1055が、第2のギヤ1060の延長された長さに沿って軸方向に乗っているからである。
【0140】
第2のギヤ1060のボール軸受は、第2のギヤ1060内で付勢(ばねによる付勢)され得、その結果、ボール軸受がステム1047と一緒に配置され、かつそれと接触しながら維持されることを確実にし得ることも理解されるであろう。
【0141】
ローラースプラインギヤ配置
図22に示すように、別の実施形態では、第2のギヤ1060は、固定されたギヤであり、かつ第1のギヤ1055は、ステム1047にスライド可能に結合され、その結果、ステム1047は、固定された第2のギヤ1060(
図19)に固定して取り付けられたままの第1のギヤ1055に対して軸方向に移動することができる。この実施形態は、以前のボール軸受配置と同様であるが、ボール軸受対を使用せずに、第1のギヤ1055は、複数のローラー1056を有する。例えば、第2のギヤは、リング形状を有することができ、ローラー1056は、中空の中央に配置されている。第1のギヤ1055の本体は、ローラー1056が回転可能に結合されている本体構造体を含むことができる。各ローラー1056は、本体構造体に回転可能に結合されているシャフトを含むことができる。例えば、等距離に(例えば、互いから120度離れて)離間された3つのローラー1056が存在してもよい。以前の実施形態と同様に、ローラー1056は、ステム1047が第1のギヤ1055に対して軸方向に移動するのを可能にし、その第1のギヤは、第2のギヤ1060と相互に噛み合いながら結合されていることに起因して、相対的に固定された位置のままである。
【0142】
ステム(また、シャフトまたは外側ジャケットとも呼ばれる)1047は、ステム1047の長さに沿って軸方向に延在する複数の平坦部分を含み、ステム1047がノブ1045の軸方向移動によって軸方向に移動されたときに、平坦部分がローラーに沿って進み、かつローラーの回転を引き起こすことに起因して、ローラー1056は、これらの平坦部分上に着座しかつ接触して、ステム1047が第1のギヤ1055内の軸方向に自由に移動するのを可能にすることが理解されるであろう。
【0143】
チューブガード
本明細書に記載されているように、アブレーション器具1000は、アブレーション器具1000からおよび同器具に流体(複数可)を循環させるための1つ以上のポンプを含む制御ユニットに動作可能に接続されていることを意図されており、また、1つ以上の光源およびアブレーション要素自体のための他の制御装置も含む。その結果、いくつかの管が、ハウジング1010の中空の内部空間内で引き回されている。特に、1つ以上の管が、第1の方向(ハウジング1010の近位端1012に向かって)のハウジング1010内に、ならびにハウジング1010の一方の側に沿って、および反対側の第2の方向のハウジング1010の反対側に沿って、引き回され得る。ハウジング1010内にいくつかの作動/移動構成要素が存在するため、移動構成要素からこれらの管を隔離および保護する必要がある。
【0144】
図25~26に示すように、チューブガード1350が示されており、ハウジング1010の中空内部内に実装されている。例えば、底部ハンドル部分1200は、チューブガード1350を包含することができる。チューブガード1350は、第1の端部1352、および反対側の第2の端部1354を有する。第1の端部1352は、チューブガード1350のトラック部分1357から下方に決められた脚部1355を有する。図に示すように、トラック部分1357は、通常、形状が直線であり得、トラック部分1357の床から上方に延在する反対側に隆起した側壁を含む。脚部1355は、脚部1355が管状延長部1230の周りに設置されることを意図されているため、弓形の形状を有する。図に示すように、脚部1355は、管状延長部1230の遠位端の近辺またはその遠位端の管状延長部1230と接触しながら設置され、トラック部分1357は、第2のギヤ1060上に延在して、管材が、回転する第2のギヤ1060の上方に引き回されるのを可能にする。
【0145】
モータユニット1300は、本来、モジュール式であることが好ましく、モータパックであるものとして想定され得る。このため、モータユニット1300は、遠位端および近位端を有する円筒形状を有することができる。モータユニット1300の遠位端は、駆動メインシャフト1310を含み、それは、前述したように、第2のギヤ1060とのキースロット付き接続を可能にする特定の形状を有することができ、または図に示したように、アダプタ1311は、第2のギヤ1060とのキー溝付き接続を有することができる。モータユニット1300は、いくつかの異なる材料で形成され得、特にモータユニット1300の外側ハウジング(ケーシング)(円筒形状した)は、プラスチックで形成され得、これに対して、駆動メインシャフト1310は、金属で形成されている。
【0146】
外側ハウジング内に、モータユニット1300は、駆動メインシャフト1310に動作可能に結合されている制御可能なモータを含む。ステッピングモータ等を含む、いくつかの異なるタイプのモータを使用することができるが、これらに限定されない。このため、モータユニット1300は、メイン制御ユニットに動作可能に接続されてモータ上の制御を可能にする。例えば、モータは、オン/オフ作動し得、モータの速度は、変化し得、回転の方向は、変化し得る等である。理解され得るように、第1の方向の駆動メインシャフト1310の回転は、第1の方向に回転するエネルギーエミッタに変換され、これに対して、第2の方向の駆動メインシャフト1310の回転は、第2の方向に回転するエネルギーエミッタに変換される。これにより、エネルギーが容易に変化するように放出される位置を可能にする。
【0147】
モータユニット1300のための電源は、バッテリであってもよく、またはメインコントローラ内の差し込み口などの電気コンセントに直接接続するための電気ケーブルを備えてもよい。
【0148】
モータユニットのための無菌シース
カテーテル装置1000は、無菌環境(例えば、外科手術分野)で使用されることが意図されているため、カテーテル装置1000のすべての構成要素は、無菌である必要がある。しかしながら、モータユニット(その電子部品と共に)は、加圧滅菌器などの滅菌装置内に配置するには適さないことは理解されるであろう。滅菌シース(バッグ)1500を用意して、モータユニットの周りに構成することができる。例えば、滅菌シース1500は、管状延長部に結合され得、巻き収められる方法で格納される。滅菌シース1500は、滅菌したシース1500を管状延長部にテーピングすることなどの従来の手段を使用して、またはゴムバンド等を使用することによって、管状延長部に結合され得る。このため、巻き収められたシース1500は、管状延長部に沿って一箇所に集められ、次いで無菌衣服を着ている無菌環境内の人は、シース1500をモータユニット上に展開する。例えば、本明細書に記載されているように、無菌環境の外部から来た人は、無菌環境内の無菌の人にモータユニットを提示し得、特にこの無菌の人は、管状延長部1230内にモータユニットを挿入およびロックすることができる。一旦、モータユニットが管状延長部に取り付けられ、ロックされると、次いで無菌の行為者は、シースをモータユニット上に展開し、それによって、無菌シース内にモータユニットを入れて密閉する。
【0149】
カテーテル本体は、使い捨てであることが意図されており、これに対してモータユニットは、手技が完了した後に再利用されることが意図されていることを理解されたい。特に、モータユニットは、新規の無菌アブレーションカテーテルと共に再び使用することができる。
【0150】
本発明のアブレーションカテーテルは、アブレーション要素の位置が、モータユニットおよび/またはユーザの関与を使用して、時間をかけて絶えず変更され得るように構成されていることが理解されるであろう。本明細書で考察されているように、ユーザは、窓内のノブ1045を軸方向に移動させる点で、ノブ1045を使用してアブレーション要素を軸方向に移動させることができ、これによってアブレーション要素の軸方向の動きを引き起こす。アブレーション要素の制御された回転は、モータユニットの制御された動作によって引き起こされることが好ましい。別の方法として、ユーザは、選択状況の下で、ノブ1045を手動で回転させてアブレーション要素の回転を引き起こすことができる。一実施形態では、アブレーションカテーテルは、モータユニット1300が動作しており、かつ自動化された方法でアブレーション要素を回転させるプロセスの最中に、ユーザがノブ1045を手動で回転させるのを防止するロックアウト機能を含むことができる。
【0151】
アブレーション要素の位置は、ユーザがリアルタイムで受信および観察される撮像フィードバックに基づいていることが好ましいこともまた理解されるであろう。例えば、撮像フィードバックは、内視鏡フィードバックの形態とすることができる。言い替えると、内視鏡を介して取得された解剖学上のフィードバックは、アブレーション要素の位置をガイドするために使用され、アブレーション要素の制御された将来の動きをガイドする。
【0152】
第2のモータユニットが提供され得、エネルギーエミッタの制御された軸方向の動きを可能にすることができることもまた理解されるであろう。特に、エネルギーエミッタが結合されている第1のシャフトは、第2のモータユニットに結合され得、その結果、第1のモータの動作が、第1のシャフトの制御された軸方向、したがってエネルギーエミッタの動きを引き起こす。
【0153】
図30は、本明細書に開示されたものと同様の心臓アブレーション装置(バルーンカテーテル)2000の遠位部分2010を示し、したがって、装置2000は、前に本明細書に開示されたものの他の装置と同様または同一の要素を含む。装置2000は、送達ファイバ2020の遠位端上に装着されている損傷生成機光学パッケージを含む。送達ファイバ(エネルギーエミッタ)2020は、ニチノール管(外側ジャケットまたはシース)2030に通され、かつ取り付けられている。送達ファイバ2020は、ニチノール管2030の遠位端に取り付けられ、ニチノール管2030の遠位端の遠位側に約9cm~約10cmなどの所定の距離だけ延在している。制御ノブ2040が、ニチノール管2030の近位端またはその近くに取り付けられ、カテーテルハンドル内に配置されている。説明の容易にするために、カテーテルハンドルは、
図30には示されていない。本明細書で考察されているように、制御ノブにより、所望のエネルギー送達位置を必要とされたときに、医師が光学パッケージをバルーン内で遠位側または近位側、ならびに回転方向にスライドさせることを可能にする(本明細書、および2017年1月5日に出願された同一出願人によるUS15/399,304に記載されているように)。
【0154】
バルーンカテーテル2000の遠位部分2010は、医師がバルーンおよびエネルギー印可を正確かつ効率的に配置するのを可能にする様々な程度に偏向することができる必要がある。ニチノール管2030は、遠位部分2010の近位側で終了し、装置2000のシャフトがより容易に偏向するのを可能にする。
図30は、典型的な偏向ゾーン2035を示し、その偏向ゾーンは、ニチノール管2030の遠位側にあり、装置2000の一部を形成するバルーン2037の近位端まで延在する。1つの典型的な実施形態では、偏向ゾーン2035の長さは、約9cmである。
図30はまた、線形(直線)状態および偏向(湾曲した)状態の両方における装置2000も示している。見てわかるように、偏向ゾーン2035の組み込みにより、装置2000の遠位端部分の偏向を可能にしている。装置2000は、バルーンカテーテルタイプのものであり、以下に開示しているように、光学部品を含む損傷生成機を収容する膨張可能なバルーン2005を含む。
【0155】
図31および32は、本発明の1つの典型的な実施形態による損傷生成機2110を含む遠位端部分2100を示す。
図31は、遠位端部分2100の様々なシャフトセグメントを示すために、切り欠き形式で示されている。遠位端部分2100において、損傷生成機2110内の送達ファイバは、ファイバクラッディング2111およびファイバコア2113を保護する、「バッファ」と呼ばれる保護外側ジャケット2120を有する。一実施形態では、ジャケット2120は、エチレンテトラフルオロエチレンで形成することができる。バッファ2120を固着する製造プロセスは、コア2113およびファイバクラッディング2111に対してバッファ2120の同心性を単に制御することぐらいであり、これにより、同心性がはっきりと分かる場合、送達ファイバが「好ましい」回転配向を有することを結果として獲得する。バッファ2120によって画定された遠位端部分(偏向ゾーン)の近位側にあるカテーテルシャフトのセグメントは、送達ファイバ(クラッディング2111およびコア2113)を取り囲む構造体によって画定され得、接着剤を有する熱収縮FEP(フッ素化エチレンプロピレン)で形成され得ることがわかるであろう。
【0156】
図32は、クラッディング2111およびコア2113を取り囲むバッファ2120を示す断面図である。
【0157】
図33および34は、別の実施形態による損傷生成機2110を含む遠位端部分2200を示し、その遠位端部分は、
図31および32に示した遠位端部分2100と関連付けられた欠陥を克服するように構成され、より詳細には、
図31および32に示された構造によってもたらされ得る同心性の問題を克服するように構成されている。
【0158】
遠位端部分2200は、偏向ゾーンの送達ファイバからバッファ(ジャケット)2120を除去し、それを薄い壁で取り囲んだ小径のジャケット2220に置き換えることによって、同心性の問題に対処している。一実施形態では、ジャケット2220は、接着剤2221によってクラッディング211に取り付けられ得るPET(ポリエチレンテレフタレート)管の形態とすることができる。ジャケット2220の壁の厚さは、より正確に生産(製造)されて、使用中に送達ファイバ(クラッディング2111およびコア2113によって画定される)の回転に少ない影響しか及ぼさない、新規の改良された「ジャケット」または「バッファ」をもたらし、それは、医師が損傷生成機エネルギー送達の位置決めのより正確な制御を行うことを可能にし、(損傷生成機の)光学部品パッケージの回転は、制御ノブ2040に適用される入力回転に対してより正確に追従する。制御装置の同じ改良は、本明細書に記載されているように、電動式動作モードにも適用することが理解されるであろう。言い替えると、改良された遠位端部分2220の構造は、光学部品パッケージの動作の手動モードおよび自動式モードの両方に等しく適用する。前述の送達ファイバ構造は、本明細書に開示されたいずれの装置にも使用され、図に示すことができることが理解されるであろう。
【0159】
図35~38は、カテーテルハンドル2300の一部分が示されている本発明の別の態様を示す。本明細書に記述されているように、アブレーション装置は、バルーン内に内蔵され、バルーン内の両長手方向に(軸方向に)移動し、またバルーン内で回転可能である可動エネルギーエミッタ(光学部品を含むアブレーション要素(損傷生成機))を含む。したがって、エネルギーエミッタが、エネルギーエミッタの回転を乱すことなく軸方向に移動するのを可能にする機構を提供する必要性がある。言い替えると、エネルギーエミッタが軸方向および回転方向の両方に移動するのを同時に可能にする必要性および期待がある。
図35は、第1の側面図を示し、
図36は、上部平面図であり、
図37は、第2の側面図であり、
図38は、カテーテルハンドル2300の一部分の斜視図である。
【0160】
本実施形態によれば、本明細書に開示された回転するノブ(例えば、ノブ1045)と同様または同一であり、本明細書に参照により組み込まれた材料の一部である、回転するノブ2320を取り囲むスライド部(スライダ)2310が存在する。図に示すように、回転するノブ2320は、カテーテルハンドル内に形成されている窓内に内蔵され、かつ軸方向および回転方向に移動する。回転するノブ2320は、送達ファイバに結合され,その結果、回転するノブ2320の動きは、送達ファイバの動きに直接変換される(長手方向(軸方向)および回転方向の両方に)。したがって、回転するノブ2320は、送達ファイバを取り囲み、ユーザが把持することができるリブまたは同様のものなどの表面特徴を含む概ね円筒形の形状の一部であり得る。
【0161】
スライド部2310は、回転するノブ2320の回転移動(運動)が、周囲のスライド部2310によって妨害されないように構成されている。スライド部2310は、それがユーザによって容易に接触されて、回転するノブ2320を軸方向に(長手方向に)前進させ、したがって、送達ファイバ(エネルギーエミッタ)を軸方向に移動させることができるように構築されている。
【0162】
図に示すように、スライド部2310は、カテーテルハンドルの窓(スルーホール)内に内蔵され、その結果、窓の2つの端部は、スライド部2310の進行の端部を画定する。窓の端部は、同様に、回転するノブ2320の進行の端部を画定し、したがって、エネルギーエミッタ(損傷生成機)の長手方向の動きの程度を画定することが理解されるであろう。
【0163】
図38に最もよく示されているように、スライド部2310は、回転するノブ2320を取り囲み、かつ送達ファイバ2301が通過するのを可能にする調芯されたホールを内蔵するケースを形成するように一緒に嵌合する2つの部品2330、2231(対称形部品)として形成され得る(したがって、スライド部2310は、送達ファイバに沿ってスライドする)。窓は、長手方向に延在し、かつ互いに反対側に配置されている一対の側面レール2317によって部分的に画定されている。スライド部2310は、それが側面レール2317に結合されるように構成されており、特に、スライド部2310の翼形側面は、側面レール2317に沿って長手方向にスライドする。したがって、側面レール2317は、スライド部2310のガイドレールとしての役割を果たす。
【0164】
スライド部2310は、ユーザが親指および人差し指を使ってスライド部2310を堅固に把持し、したがって、スライド部2310の長手方向運動、およびスライド部2310が取り囲む回転するノブ2320の長手方向運動を制御するのを可能にする、スライド部2310の各々の側面上で外側に突き出しているリブ2315を含む。このように、ユーザは、回転運動がモータによって制御されているときに回転運動を妨害することなく、損傷生成機に取り付けられた回転するノブ2320の長手方向の位置を正確に制御することができる。本明細書で考察されているように、モータを利用して回転するノブ2320を制御可能に回転させ、その結果、送達ファイバ(エネルギーエミッタ)を制御可能に回転させることができる。
【0165】
このため、図に示すように、スライド部2310は、回転するノブ2320が目視可能であり、かつ接触され得る中央開口部が存在するように構築することができる。特に、スライド部2310が、互いに嵌合してケースを形成する2つのハウジング部品2330、2331により画定されたケースとして形成されている図示した実施形態において、各ハウジング部品は、回転するノブがハンドル本体の各側面に沿ってアクセス可能であるように、中央開口部2335(
図47)を含む。各ハウジング部品はまた、一方の側面レール2317に対抗して着座した一方の側面リブ2315、および他方の側面レール2317に対抗して着座した他方の側面リブを有する一対の側面リブ2315も含む。組み立てられたときに、一方の一対の側面リブ2315は、一方の側面レール2317が通過してスライド部2310を軸方向に進行させることができるスロットを画定する一方の一対の側面リブ2315を有する一方の側面レール2317の周りに配設されている。同様に、他方の一対の側面リブ2315は、他方の側面レール2317が通過するスロットを画定する他方の一対の側面リブ2315を有する他方の側面レール2317の周りに配設されている。したがって、側面リブ2315は、スライド部2310が側面レール2317に結合して窓内のスライド部2310の長手方向の(軸方向の)移動を可能にする手段を提供する。
【0166】
スライド部2310は、それが、回転するノブ2320の遠位側に配置されている遠位端部分、および回転するノブ2320の近位側に配置されている近位端部分を有するように形成され得る。このため、スライド部2310は、回転するノブ2320を取り囲んでいるが、回転するノブ2320に直接固定されていない中空のケースの形態であり得る。逆に、スライド部2310は、回転するノブ2320を窓内の前方または後方のどちらかの方向に付勢するように意図されている。スライド部2310は、回転するノブ2320とは独立して移動し、側面レール2317に沿ってスライドすることに限定され、回転することができない。対照的に、回転するノブ2320は、スライド部2310に取り付けられておらず、このため、軸方向および回転方向に独立して移動することができる。回転するノブ2320は、組み立てられたスライド部2310の中央開口部内に内蔵され(入れ子にされ)ているため、スライド部2310の長手方向の動きは、スライド部2310が、付勢動作の長手方向に、回転するノブ2320を付勢する(接触する)という理由から、回転するノブ2320の長手方向の動きに変換される。回転するノブ2320の付勢は、回転するノブ2320の回転を防止せず、その理由は、スライド部2310が、回転するノブ2320を長手方向に付勢するときであっても、スライド部2310の対面(軸受表面)の間でスライドするからである。
【0167】
1つ以上のリブ2315は、把持機能を提供するテクスチャード加工ラインなどの表面特徴を含むことができる。
【0168】
図38に示すように、スライド部2310はまた、スライド部2310の一方の端部、すなわち近位端に形成されている後部リブも含むことができる。各ハウジング部品2330、2331は、1つの後部リブ2319を含むことができる。側面リブ2315と同様に、後部リブ2319は、スライド部2310を形成するように共に組み立てられた2つの各々のハウジング部品の一部として形成され得る。後部リブ2319の一部分は、スライドリブ2315に対して直角に配設され、後部リブ2319の少なくとも一部分は、ユーザにとって容易にアクセス可能であるように後方に突き出している。より具体的には、ユーザは、スライド部2310を
付勢させる(スライドさせる)ために側面リブ2315および後部リブ2319の一方または両方を把持し得、その結果、回転するノブ2320がスライド部2310内に入れ子になっていることに起因して、回転するノブ2320を長手方向に並進させることができる。
【0169】
使い捨てモータの実施形態
本明細書で考察されているように、一実施形態では、アブレーション(バルーンカテーテル)装置は、モジュール式の再利用可能なモータユニットを含むタイプのものであり得る。しかしながら、以下に開示されている別の実施形態では、アブレーション(バルーンカテーテル)装置は、その装置が使い捨てのモータを含み、本明細書に説明され、他の図に示されたものと同様のギヤ配置を含むように構築され得る。
【0170】
図39~48は、心臓アブレーション装置3000が、モータ3001を含めて、使い捨てである1つの典型的な実施形態を示す。心臓アブレーション装置3000は、本明細書に記載および例証された他の心臓アブレーション装置と同様であり、したがって、同様の要素には、同様の番号が付けられている。
【0171】
一般に、また他の実施形と同様に、心臓アブレーション装置3000は、装置の内部構成要素を内蔵するハウジングで形成されている。本明細書に記載された他の実施形態(複数可)と同様に、ハウジングは、2つの部品、すなわち、上部部品、および
図39に示され、かつ上部部品を閉鎖するように設計されている底部ハウジング3010で形成され得る。底部ハウジング3010は、近位端3012、および反対側の遠位端3014を有する。底部ハウジング3010の両側面の間に、装置3000の内部構成要素が配設されている床が存在する。底部ハウジング3010は、スロットまたは開口部(窓)3022を含む中間部分3020を有する。
【0172】
以前の実施形態と同様に、上部ハウジングは、底部ハウジング3010と嵌合して、本明細書に開示された他の実施形態で示されたように、心臓アブレーション装置3000のための完全なハウジングを形成する。このため、上部ハウジングは、底部ハウジング3010と相補関係にあり、中空空間が、それら両者の間で画定され、そこに、装置3000の内部構成要素が、内蔵されている。底部ハウジング3010と同様に、上部ハウジングは、スロット3022上に重なり合う、スロットまたは開口部(窓)も含む中間部分を有し、その結果、このスロット3022内に配設されているコントローラを受容し、かつユーザがこれにアクセスすることができる完全なスルーホールまたは窓を形成する。
【0173】
このため、上部ハウジングおよび底部ハウジング3010は、2つの半分が完全なハウジングにほぼ近い二枚貝ケースタイプ構造のものであり得る。スナップ嵌め、ファスナの使用等を含む、いくつかの異なる技術を使用して、上部ハウジングおよび底部ハウジング3010を互いに取り付けることができる。
【0174】
この実施形態では、モータ3001は、装置3000のハウジング内に内蔵配設されている。より詳細には、モータ3001は、ハウジングの一方の側面に沿って近位端3012のハウジング内に配設されている。モータ3001は、プリント配線板3007(PCB)などの電子機器に結合され得るコネクタ3003などを含む(
図41)装置3000の他の電子部品と同様に、モータ3001は、電力を供給され、特に、以前に考察されたように、装置3000は、外部コンソールに接続することができる電力コード(電力ケーブル)、および装置3000を電力駆動するための手段を含むことができる。
【0175】
モータ1230がモジュール式であり、かつ再利用可能である以前の実施形態と異なり、モータ3001は、カテーテル本体と共に使い捨てである。モータ3001は、使い捨てであるため、モータ3001は、装置3000の構造体に完全に一体化され、より詳細には、モータ3001は、ハウジングに内蔵され、ユーザに対してアクセス不可能であり、しかもユーザによって取り除かれることを意図されていない。したがって、モータ3001は、ハウジング内に固定して配置され、かつ保持される。
【0176】
また、近位端3012にも配設され、装置3000内で受容されるための、内視鏡などの撮像機器を可能にする撮像コネクタ3009もまた存在する。内視鏡が、ファイバ(例えば、光ファイバ)の形態である場合、ファイバは、受容され、コネクタ3009を通過し、
図39に示すように、保護シース内で引き回され得る。本明細書に記載されているように、内視鏡は、最終的に、カテーテルのバルーン内の内部に引き回される。
【0177】
以前の実施形態と同様に、装置3000は、本明細書に開示され、かつ本明細書に参照によって組み込まれる材料の一部である回転するノブと同様かまたは同一である回転するノブ2320を取り囲むスライド部(スライダ)2310を含む。図に示すように、回転するノブ2320は、カテーテルハンドル内に形成されている窓内に内蔵され、かつ軸方向および回転方向に移動する。回転するノブ2320は、それの送達ファイバまたは外側シースに結合され、その結果、回転するノブ2320の動きは、送達ファイバの動きに直接変換される(長手方向(軸方向)および回転方向の両方に)。したがって、回転するノブ2320は、送達ファイバを取り囲み、ユーザが把持することができるリブまたは同様のものなどの表面特徴を含む概ね円筒形の形状の一部であり得る。
【0178】
スライド部2310は、回転するノブ2320の回転移動(運動)が、周囲のスライド部2310によって妨害されないように構成されている。スライド部2310は、それがユーザによって容易に接触されて、回転するノブ2320を軸方向に(長手方向に)前進させ、したがって、送達ファイバ(エネルギーエミッタまたはアブレーション要素もしくはアブレーションエミッタ)を軸方向に移動させることができるように構築されている。
【0179】
図に示すように、スライド部2310は、カテーテルハンドルの窓内に内蔵され、その結果、以前に説明したように、窓の2つの端部は、スライド部2310の進行の端部を画定する。窓の端部は、同様に、回転するノブ2320の進行の端部を画定し、したがって、エネルギーエミッタ(損傷生成機)の長手方向(軸方向)の移動の程度を画定することは、理解されるであろう。
【0180】
図38を参照して以前に説明したように、スライド部2310は、回転するノブ2320を取り囲み、かつシース3015と共に内蔵された送達ファイバが通過するのを可能にする調芯されたホールを内蔵するケースを形成するように一緒に嵌合する2つの部品(対称形部品)として形成され得る(したがって、スライド部2310は、送達ファイバ/シース3015に沿ってスライドする)。窓は、長手方向に延在し、かつ互いに反対側に配置されている一対の側面レール2317によって部分的に画定されている。スライド部2310は、それが側面レール2317に結合されるように構成されており、特に、スライド部2310は、側面レール2317に沿って長手方向にスライドする。したがって、側面レール2317は、スライド部2310のガイドレールとしての役割を果たす。
【0181】
さらに、各々の部品2330、2331は、窓内に置かれ、かつ内部の軸方向に移動する中央部分2337を有する。外側に向かって膨張する各部品2330、2331の側面は、それらが窓の縁端部を越えて拡大されかつ延在するため、組み立てられたスライダ2310が、窓から脱落するのを防止する。部品2330、2331は、中央部分2337にスナップ嵌め式の特徴を提供することによるような、スナップ嵌め式によって組み立てることができる。
【0182】
スライド部2310は、ユーザが親指および人差し指を使ってスライド部2310を堅固に把持し、したがって、スライド部2310の長手方向運動、およびスライド部2310が取り囲む回転するノブ2320の長手方向運動を制御するのを可能にする、スライド部2310の各々の側面上で外側に突き出しているリブ2315を含む。このように、ユーザは、回転運動がモータによって制御されているときに回転運動を妨害することなく、損傷生成機に取り付けられた回転するノブ2320の長手方向の位置を正確に制御することができる。本明細書で考察されているように、モータを利用して回転するノブ2320を制御可能に回転させ、その結果、送達ファイバを制御可能に回転させることができる。
【0183】
このため、図に示すように、スライド部2310は、回転するノブ2320が目視可能であり、かつ接触され得る中央開口部が存在するように構築することができる。特に、スライド部2310が、互いに嵌合してケースを形成する2つのハウジング部品により画定されたケースとして形成されている図示の実施形態において、各ハウジング部品は、回転するノブがハンドル本体の各側面に沿ってアクセス可能であるように、中央開口部を含む。リブ2315は、各ハウジング部品上に設けることができる。以前の実施形態と同様に、スライド部2310は、レール2317に沿ってスライドする。したがって、側面リブ2315は、スライド部2310が側面レール2317に結合して窓内のスライド部2310の長手方向の(軸方向の)移動を可能にする手段を提供する。
【0184】
スライド部2310は、それが、回転するノブ2320の遠位側に配置されている遠位端部分、および回転するノブ2320の近位側に配置されている近位端部分を有するように形成され得る。このため、スライド部2310は、回転するノブ2320を取り囲んでいるが、回転するノブ2320に直接固定されていない中空のケースの形態であり得る。逆に、スライド部2310は、回転するノブ2320を窓内の前方または後方のどちらかの方向に付勢するように意図されている。スライド部2310は、回転するノブ2320とは独立して移動し、側面レール2317に沿ってスライドすることに限定され、回転することができない。対照的に、回転するノブ2320は、スライド部2310に取り付けられておらず、このため、軸方向および回転方向に独立して移動することができる。回転するノブ2320は、スライド部2310の中央開口部内に内蔵され(入れ子にされ)ているため、スライド部2310の長手方向の動きは、スライド部2310が、長手方向に、回転するノブ2320を付勢する(接触する)ことから、回転するノブ2320の長手方向の動きに変換される。回転するノブ2320の付勢は、回転するノブ2320の回転を防止せず、その理由は、回転するノブ2320が、組み立てられたスライダの中央開口部内で自由に回転することができ、スライダ2310がノブを取り囲んでいるものの、それに固定して取り付けられてはいないからであり、したがって、スライダがカテーテルハウジングに沿ってスライドしたときに、スライダは、ノブ2340と接触してそれを軸(長手)方向に付勢する(ただし、ノブ2320は、スライダの窓内で回転し続けることができる)。
【0185】
図38に示すように、スライド部2310はまた、スライド部2310の一方の端部、すなわち近位端に形成されている後部リブも含むことができる。側面リブ2315と同様に、後部リブ2319は、スライド部2310を形成するように共に組み立てられた2つの各々のハウジングパーツの一部として形成され得る。後部リブ2319の一部分は、スライドリブ2315に対して直角に配設され、後部リブ2319の少なくとも一部分は、ユーザにとって容易にアクセス可能であるように後方に突き出している。より具体的には、ユーザは、スライド部2310を
付勢させる(スライドさせる)ために側面リブ2315および後部リブ2319の一方または両方を把持し得、その結果、回転するノブ2320がスライド部2310内に入れ子になっていることに起因して、回転するノブ2320を長手方向に並進させることができる。
【0186】
図42~47は、モータ3001を含み、かつハンドルハウジング内に挿入および内蔵されることを意図されている、モータおよびギヤサブアセンブリ3100を示す。モータ3001は、第1のギヤ3110が結合されている駆動シャフト3003を含む
図47)。このため、第1のギヤ3110は、モータ3001の動作によって駆動され、したがって、駆動シャフト3003の第1の方向の回転に起因して第1の方向に回転することができ、かつ駆動シャフト3003の、反対側の第2の方向の回転に起因して反対側の第2の方向に回転することができる駆動ギヤである。
【0187】
サブアセンブリ3100は、装置3000のハウジングに結合および固定されているプレートの形態であり得る第1の支持体3020を含む。図に示すように、モータ3001は、第1の支持体3020の近位側の上に配設され、これに対して、第1のギヤ3110は、第1の支持体3020の遠位側の上に配設されている。第1の支持体3020の図に示すように、第1の支持体3020は、第1のギヤ3110が配置されている端部と反対側の、第1の支持体3020の一方の端部に配置されている、湾曲した壁の形態である第1の保護具(第1のギヤガード)3021を含み得る。第1の支持体3020はまた、第1のギヤ3110の端部に、かつ第1の支持体3020の一方の側面に沿って配置されている第2の保護具(第2のギヤガード)3023も含む。2つの保護具(ガード)3021、3023は、第1の支持体3020の本体と一体化して形成することができる。
【0188】
第1のギヤ3110は、軸方向の移動が不可能ではあるが、固定された軸方向の位置で少なくとも実質的にそのままの状態であることが理解されるであろう。
【0189】
サブアセンブリ3100はまた、第1のギヤ3110と噛み合う第2のギヤ3130も含み、その結果、モータ3001の動作の結果として、第1のギヤ3110の駆動回転は、第2のギヤ3130の回転に直接変換される。第1のギヤ3110と同様に、第2のギヤ3130は、軸方向の移動は不可能であるが、ハンドルハウジング内の少なくとも実質的に固定された軸方向の位置のままの状態である。
【0190】
サブアセンブリ3100は、ステム1047と同様であり得、かつ管状構造体であり得るステム3140を含む。本明細書に記載されているように、装置3000の一部を形成するエネルギーエミッタが、光ファイバの形態である場合、ノブ2320は、光ファイバ、またはエネルギーエミッタを含む光ファイバを取り囲む外側シースもしくは類似の構造体に取り付けられるか、ないし結合されている。図に示すように、ノブ2320は、ステム3140に取り付けられ得、そのステムは、管状の形状を有し得、その結果、ノブ2320の動きは、ステム3140の動きに変換される(軸方向および回転方向の両方に)。
【0191】
本明細書で考察されているように、光ファイバ(エネルギーエミッタの一部)は、捻転剛性トルク管(外側ジャケットまたはシース)1049によって取り囲まれ得、したがって、光ファイバが本明細書に記載されているような場合、物理的な光ファイバがトルク管1049によって取り囲まれていることが好ましいことを理解されるであろう。光ファイバは、その遠位端においてトルク管1049に取り付けられ得る(この取り付けは、接合等の従来の技術を使用して達成することができる)。ステム3140は、光ファイバおよび捻転剛性トルク管1049が引き回され得る管腔を含む。
【0192】
ステム3140は、金属およびプラスチックを含む、いくつかの異なる材料から形成され得るが、これらに限定されない。
【0193】
スライドするスプラインシャフト3150が設けられ、周囲の固定された方法で、ステム3140に結合されるように構築され得る。このため、スライドするスプラインシャフト3150は、ステム3140に固定して取り付けられ、したがって、本明細書に記載されているように、これらの両方の部品は、軸方向に一斉に、かつノブ2320の軸方向の移動に応答して移動し、それらの両方は、ノブ2320の回転の結果として、またはモータ3001の動作によって、回転および軸方向に移動する。スプラインシャフト3150は、互いから半径方向に離間された複数の長手方向のスプライン(リブ/レール)3151を含む。図示した実施形態では、スプラインシャフト3150の長さ(全長)に沿って長手方向に延在する4つのスプライン3151が存在する。スプライン接続は、軸方向移動を可能にするが、回転移動を防止する。
【0194】
スプラインシャフト3150は、一方の端部で形成されたコネクタ(結合部材)3157を含む。コネクタ3157は、ノブ2330をスプラインシャフト3150に取り付けるように構成されている。ファスナ3159を使用してノブ2320をスプラインシャフト3150に取り付けることができる。
【0195】
第2のギヤ3130は、第1のギヤ3110の歯と噛み合う歯付きギヤであり、第2のギヤ3130と一体であり、かつ歯付き部分から後部に向かって延在するハブ3133を含む(
図46)。したがって、ハブ3133は、ハウジングの近位端3012に向かって延在する。
【0196】
図47の分解組立図に示すように、起伏形成された穴(キー溝付きスルーホール)3135が、第2のギヤ3130およびハブ3133を通って中央に形成され、軸方向に(第2のギヤの長さに沿って長手方向に)延在する複数の凹状のチャネルを含む。起伏形成された穴3135は、スプラインシャフト3150と相補関係にあり、その結果、スプラインシャフト3150は、第2のギヤ3130に対して軸方向に移動することができ、特にスプラインシャフト3150は、起伏形成された穴3135内の軸方向に移動する。図示した実施形態では、穴3115は、4つのスプライン3151が受容される中央ホールから半径方向の外側に向かって延在する4つの刻み目を含む。より具体的には、第1のギヤ3110と同様に、第2のギヤ3130は、軸方向に少なくとも実質的に固定されている。第2のギヤ3130が軸方向に固定されている結果として、スプラインシャフト3150およびステム3140は、ノブ2320の軸方向の動きに直接応答して軸方向に移動する構造体である。言い替えると、スプラインシャフト3150は、ノブ2320の軸方向の動きに適応するように、穴3135内の軸方向にスライド可能に進行するように構成されている。
【0197】
第1の保護具(第1のギヤガード)3021は、第2のギヤ3130を保護するように設計され、その一方の側面に沿って配置されている。
【0198】
第2の保護具3023は、第1の端部の部分が第1のギヤ3110を覆い、第2の端部の部分もまた、第2のギヤ3130を部分的に覆うように構成されている。この第2の保護具3023は、
図39に示すように、回転する第1のギヤ3110から1つ以上の導管をシールドする導管(管)保護具としての役割を果たすことができる。
図39では、導管は、第2の保護具3023の下方を走るように示されている。
【0199】
スペーサ3160が設けられており、中を通って形成された穴(キー溝付きスルーホール)3161を有する中空部を備える。穴3161は、穴3135と同様であり、起伏形成され、スプラインシャフト3150が穴の中の軸方向にスライド可能に進行するのを可能にするように構成されている。図示した実施形態では、スプラインシャフトが4つのスプライン(レールまたはリブ)からなる場合、穴3161は、4つのスプライン3151を受容し、スプラインシャフト3150が軸方向にスライドすることを可能にする4つの離間した刻み目またはスロットからなり得る。
【0200】
スペーサ3160は、第2のギヤ3130と全く同じように、ハウジング内の適所の軸方向に固定されるように設計されており、これに対してスペーサ3160は、第2のギヤ3130と同様に自由に回転する。スペーサ3160はまた、丸い形状であるフロントハブ3167を有する。穴3161はまた、フロントハブ3167も通って延在する。図に示したように、スペーサ3160は、第1の支持体3020の同じ側面上の第2のギヤ3130に隣接して配設されている。
【0201】
スペーサ3160はまた、スペーサ3160が、ノブ2320の進行するハウジング内に形成された窓3022(
図40)を封止するという点で、封止要素としての役割も果たす。より詳細には、窓3022の一方の端部(近位端)は、スプラインシャフト3150が通過するスロット3169を含む。窓3022が環境に対して開放されているため、スロット3169は、電子機器(PCB)およびモータ3001と接触するようになり得る、望ましくないごみまたは液体の入口としての役割を潜在的に果たし得る装置の領域を表す。その結果、最良に可能な限り、スロット3169を封止することが望ましい。スペーサ3160は、係る封止を提供するように構成され、特にフロントハブ3167は、スロット3169内に受容される。スロット3169は、弓形状であり、したがって、フロントハブ3167は、スロット3169に対して相補関係にあり、スロット3169内に収容され、入れ子にされる。したがって、フロントハブ3167は、スロット3169を有効に差し込む役割を果たすが、フロントハブ3167は、両方とも湾曲した表面を有するため、スロット3169内で自由に回転することができる。
【0202】
図39~40に示すように、装置は、装置の長さに沿って流体を移送するように窓3022に隣接して引き回される他の流体導管を含む。
【0203】
本明細書で考察されているように、モータ3001は、以前に説明した使い捨てのモータモジュールと同様に、アブレーションエネルギーを送達するエネルギーエミッタ(例えば、光ファイバ繊維)の制御された回転を直接引き起こすノブ2320の回転を自動化するように構成されている。ノブ2320およびエネルギーエミッタの軸方向の移動が、図示した実施形態では手動で実行されているが、これもまた、電動化して、制御された軸方向の移動を可能にすることができる。
【0204】
別の動作モード(例えば、標準動作)では、ノブ2320は、モータ3001がオフラインで配置されている場合と同じように、手動で回転され得る。モータ3001は、ギヤ対3110、3130を介してノブ2320に回転可能に接続されているため、モータ3001のギヤ装置は、あまり高度に特別調整される必要がなく、その理由は、ギヤ装置が、ユーザの手動によってノブ2320の回転を適応されると、ユーザは、順次、結合されたスプラインシャフト3150を回転させ、2つのギヤ3110、3130を回転させ、ならびにモータ3001の駆動シャフトも回転させる必要があるからであることを理解されるであろう。言い替えると、ユーザは、ノブ2320が手動で容易にモータ3001を損傷させることなく回転される際に、標準の動作モードでモータ3001の駆動シャフトを回転させることができなければならない。
【0205】
図48および49は、管状延長部1230内に内蔵された使い捨てモータ(モジュール式単位)を内蔵するという点で、器具1000と同様のアブレーション器具3200のさらなる別の実施形態を示す。モータ1300は、スプラインシャフト1067に結合されているメイン駆動シャフトを含む。第2のギヤ1060は、スプラインシャフト1067に沿って第2のギヤ1060の軸方向の移動を可能にするために、スプラインシャフト1067のスプラインを受容する凹部加工されたチャネルを有する中央スルーホール(キー溝付きホール)を有する。この実施形態では、第1のギヤ1055は、ステム(外側ジャケット)1047に固定して取り付けられ、第2のギヤ1060と係合したままである。したがって、ステム1047が、ノブ1045の移動に起因して軸方向に移動すると、第1のギヤ1055は、軸方向に移動し、それが第2のギヤ1060と係合されるため、第2のギヤ1060は、スプラインシャフト1067に沿って軸方向に駆動される。ただし、モータの動作下でのスプラインシャフト1067の回転が、2つの噛み合ったギヤ1055、1060の回転、したがってエネルギーエミッタの回転を引き起こす。
【0206】
図49は、導管(管)を引き回すための、器具3200内に配設されることが意図されているチューブガード3300である。チューブガード3300は、第1の面3302に対して隆起した反対側側面3304の存在に起因して、凹部の形態であり得る第1の対面または表面3302を有する。
図48に示すように、チューブガード3300は、第2のギヤ1060上に配設されて、移動可能な第2のギヤ1060上の管の引き回しを可能にする。
【0207】
特に、上記の図および例は、本発明の範囲を単一の実施形態に限定することを意図するものではなく、同様に他の実施形態は、説明または例示された要素の一部または全部を置き換えることによって可能になる。さらに、本発明のいくつかの要素が既知の構成要素を使用して部分的または完全に実施され得る場合、本発明の理解に必要である係る既知の構成要素のそれらの部分のみが説明され、係る既知の構成要素の他の部分の詳細な説明は、本発明を曖昧にしないように省略されている。本明細書において、単一の構成要素を示す実施形態は、本明細書に別途明示的に記載されていない限り、複数の同一構成要素を含む他の実施形態に必ずしも限定されるべきではなく、逆もまた同様である。さらに、出願人らは、本明細書または特許請求の範囲におけるいかなる用語が、一般的ではない、または特別な意味に帰されることを、そのように明示的に述べられていない限り、意図しない。さらに、本発明は、例示として本明細書に参照された既知の構成要素に対する現在および将来の既知の等価物を包含する。
【0208】
上記の特定の実施形態の説明は、他者が、関連技術分野の技術の範囲内の知識(本明細書の参照によって引用され組み込まれた文書の内容を含む)を適用することによって、過度の実験なしで、本発明の一般的な概念から逸脱せずに、係る特定の実施形態を様々な用途に対して容易に修正および/または適合し得る、本発明の一般的な性質を十分に明らかにすることになる。それゆえに、係る適合および修正は、本明細書に提示された教示および指針に基づいて、開示された実施形態の等価物の意味および範囲内にあることを意図している。本明細書における表現または専門用語は、説明目的であり、限定するものではないので、本明細書の専門用語または表現は、当業者により、本明細書において提示される教示および指針に照らして、関連技術分野の当業者の知識と組み合わせて解釈されるべきであることを理解されたい。
【0209】
本発明の様々な実施形態が上記に説明されたが、それらが例として提示されていて、これに限定されないことが理解されるべきである。当業者には、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、形態および詳細における様々な変更がその中で行われ得ることが明らかであろう。したがって、本発明は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびその等価物に従ってのみ定義されるべきである。
【0210】
当業者は、上述した実施形態に基づいて本発明のさらなる特徴および利点を理解するであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示されたものを除き、特に図示および説明されたものに限定されるものではない。本明細書に引用されたすべての刊行物および参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。