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  • 特許-接触分解プロセス用バナジウムトラップ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】接触分解プロセス用バナジウムトラップ
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/06 20060101AFI20231114BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20231114BHJP
   C10G 11/18 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
B01J29/06 M
B01J37/04
C10G11/18
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020532674
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 US2018065624
(87)【国際公開番号】W WO2019118815
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】62/599,367
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ビルジ イルマズ
(72)【発明者】
【氏名】ゲアリー エム. スミス
(72)【発明者】
【氏名】ベサニー ニコル ハークライダー
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-136369(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0132808(US,A1)
【文献】特開2005-169215(JP,A)
【文献】特表2013-506548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
C10G 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類元素のギ酸塩と、カルシウムおよび/またはマグネシウムの塩とを含む溶液で含浸されている、予め形成された微粒子を含み、前記予め形成された微粒子が、カオリナイト、モンモリロナイト、ベントナイト、アタパルジャイト、カオリン、非晶質カオリン、メタカオリン、ムライト、スピネル、含水カオリン、か焼含水カオリン、粘土、またはこれらの任意の2つ以上の混合物を含む、金属トラップ。
【請求項2】
前記予め形成された微粒子が、か焼含水カオリンを含む、請求項に記載の金属トラップ。
【請求項3】
酸化物基準で少なくとも0.1重量%の前記希土類元素、および酸化物基準で少なくとも0.1重量%の前記カルシウムおよび/またはマグネシウムを含む、請求項1または2に記載の金属トラップ。
【請求項4】
酸化物基準で約1重量%~約20重量%の前記希土類元素、および酸化物基準で約1重量%~約6重量%の前記カルシウムおよび/またはマグネシウムを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の金属トラップ。
【請求項5】
前記希土類元素が、ランタン、セリウム、イッテルビウム、ガドリニウム、イットリウム、ネオジム、またはこれらの任意の2つ以上の混合物である、請求項1~のいずれか一項に記載の金属トラップ。
【請求項6】
前記希土類元素が、ランタン、セリウム、またはこれらの混合物である、請求項1~のいずれか一項に記載の金属トラップ。
【請求項7】
前記カルシウムおよび/またはマグネシウムの塩が、カルシウムの塩である、請求項1~のいずれか一項に記載の金属トラップ。
【請求項8】
前記希土類元素の前記ギ酸塩が、ギ酸ランタン、ギ酸セリウム、またはこれらの混合物である、請求項1~のいずれか一項に記載の金属トラップ。
【請求項9】
前記予め形成された微粒子が、約40~150ミクロンの粒径を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の金属トラップ。
【請求項10】
前記予め形成された微粒子が、少なくとも約0.10cm/グラムの細孔容積を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の金属トラップ。
【請求項11】
流動接触分解(FCC)触媒組成物であって、
第1の微粒子を含むゼオライト成分と、
前記第1の微粒子とは別個の、予め形成された第2の微粒子を含み、希土類元素のギ酸塩とカルシウムおよび/またはマグネシウムの塩とによって含浸されている非ゼオライト成分と、を含み、前記予め形成された第2の微粒子が、カオリナイト、モンモリロナイト、ベントナイト、アタパルジャイト、カオリン、非晶質カオリン、メタカオリン、ムライト、スピネル、含水カオリン、か焼含水カオリン、粘土、またはこれらの任意の2つ以上の混合物を含む、FCC触媒組成物。
【請求項12】
前記希土類元素が、ランタン、セリウム、またはこれらの混合物である、請求項11に記載のFCC触媒組成物。
【請求項13】
請求項11に記載のFCC触媒組成物を調製する方法であって、前記ゼオライト成分と前記非ゼオライト成分とをブレンドすることを含む、方法。
【請求項14】
前記ゼオライト成分が、
非ゼオライト材料およびアルミナを含む前駆体第1の微粒子を予め形成することと、
前記予め形成された第1の微粒子上でゼオライトをその場結晶化し、前記ゼオライト成分を提供することと、を含む方法により調製される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
流動接触分解条件下で炭化水素供給物を分解する方法であって、前記炭化水素供給物を請求項11に記載のFCC触媒組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項16】
FCC装置ベッド内の炭化水素油供給物から少なくとも1つの金属汚染物質を不動態化および/またはトラップする方法であって、前記炭化水素油供給物を請求項11に記載のFCC触媒組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの金属汚染物質がバナジウムである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
流動接触分解(FCC)触媒組成物であって、
第1の微粒子を含む非分解成分と、
前記第1の微粒子とは別の、予め形成された第2の微粒子を含み、希土類元素のギ酸塩とカルシウムおよび/またはマグネシウムの塩とで含浸されている非ゼオライト成分と、を含み、前記予め形成された第2の微粒子が、カオリナイト、モンモリロナイト、ベントナイト、アタパルジャイト、カオリン、非晶質カオリン、メタカオリン、ムライト、スピネル、含水カオリン、か焼含水カオリン、粘土、またはこれらの任意の2つ以上の混合物を含む、FCC触媒組成物。
【請求項19】
前記希土類元素が、ランタン、セリウム、イッテルビウム、ガドリニウム、イットリウム、ネオジム、またはこれらの任意の2つ以上の混合物である、請求項18に記載のFCC触媒組成物。
【請求項20】
前記カルシウムおよび/またはマグネシウムの塩が炭酸塩である、請求項18または19に記載のFCC触媒組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
明細書、図面、特許請求の範囲および要約を含む、2017年12月15日に出願のアメリカ合衆国優先権第出願62/599367号が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術
本出願は、一般に接触分解触媒に関連する。より具体的には、それは、そうでなければ触媒系に有害であるバナジウム種をトラップすることができる触媒に関する。
【背景技術】
【0003】
接触分解は、非常に大規模に商業的に適用される石油精製プロセスである。米国の製油所のガソリン混合プール(refinery gasoline blending pool)のほとんどは、このプロセスで生成されており、ほとんど全てが、流動接触分解(FCC)プロセスを使用して生成されている。FCCプロセスでは、触媒の存在下、高温で行われる反応により、重質炭化水素留分がより軽い生成物に転化され、転化または分解の大部分は、気相中で起こる。FCCプロセスでは、FCC反応器のライザー反応部に原料が注入され、触媒再生装置からライザー反応器に循環される高温の触媒と接触すると、原料が分解されて、より軽量でより価値の高い生成物になる。
【0004】
1960年代初頭にゼオライトの導入と共に、FCC触媒において大きく進歩した。これらの材料は、当時のFCC触媒を構成する非晶質および/または非晶質/結晶質材料のマトリクスに組み込まれた。
【0005】
石油残渣(「残油」としても既知)は、大気圧(常圧残油)または減圧(減圧残油)で石油原油の蒸留後に残る重質留分である。残油の転化により、熱力学的に好ましいが、より価値の低い生成物、すなわちコークスおよびガス状炭化水素も生じる。その結果、ガソリンの収率は、残油FCC処理においてはより低い。これらのより重くて高硫黄の原油および残油は、これらのより重い原油がまた、アスファルト含有量の大幅な増加を伴うはるかに高い金属を常に含有するという点で、処理上の問題を提示する。典型的な汚染金属は、ニッケル、バナジウム、および鉄である。
【0006】
高い汚染金属レベルを有する抜頭原油、残油、および常圧蒸留残油が、貴重な輸送用燃料への選択性を低下させたり、FCC触媒を失活させたりするなど、深刻な問題を提示することがかなり以前から知られている。鉄およびニッケルなどの汚染金属は、炭化水素の脱水素化を触媒して、望ましくない水素およびコークスを形成する。
【0007】
バナジウムおよび他の金属を含有する化合物は、一般に揮発性化合物として分解装置から容易に除去できないため、通常のアプローチは、分解プロセス中に遭遇する条件下で、これらの化合物をトラップおよび/または不動態化することだった。トラッピングまたは不動態化は、分解触媒への様々な薬剤の組み込み、または分解触媒と共に別個の添加剤粒子を添加することを含み得る。これらの薬剤は金属と結合し、そのため、可動性バナジウム種のために「トラップ」または「シンク」として作用するため、分解触媒の活性成分が保護されるか、または不動性ニッケルの不動態化剤となる。
【0008】
バナジウムおよびニッケルをトラップするために、FCC触媒粒子に様々な種類のアルミナを組み込むことが知られている。この例として、分散性ベーマイトを分解触媒に添加することが、米国特許第6,716,338号および同第6,673,235号中に見出すことができる。か焼すると、ベーマイトは遷移アルミナ相に転化され、炭化水素原料中のニッケルおよびバナジウム汚染物質の不動態化に有用であることが見出されている。一方、高表面積のアルミナは、バナジウムをトラップしてゼオライトを保護するのにも役立つが、バナジウムを不動態化しないため、汚染水素およびコークスのレベルは、高いままである。
【0009】
バナジウムは、アルカリ土類金属含有トラップ(Ca、Mg、Ba)および/または希土類系トラップを使用することで、トラップして効果的に不動態化することもできる。例えば、米国特許第4,465,779号、同第4,549,958号、同第4,515,903号、同第5,300,469号、および同第7,361,264号を参照すること。しかしながら、これらのトラップは硫黄に敏感であり、硫黄がバナジウムトラップの活性部位をブロックする可能性があるため、バナジウムトラップの効果を低下させる。米国特許第9,029,291号は、不活性マトリクス上に分散された希土類元素について記載している。
【0010】
しかしながら、水素、コークス、およびガス状炭化水素の収率を低下させる可能性がある効果的なバナジウムトラップが依然として必要とされている。
【0011】
発明の概要
一態様では、本明細書で開示されるのは、希土類元素の有機酸塩とカルシウムおよび/またはマグネシウムの塩とに含浸させた、予め形成された微粒子を含む金属トラップである。
【0012】
別の態様では、本明細書に開示されるのは、流動接触分解(FCC)触媒組成物であり、これは、第1の微粒子を含むゼオライト成分と、第1の微粒子とは別個の、予め形成された第2の微粒子を含み、希土類元素の有機酸塩とカルシウムおよび/またはマグネシウムの塩とに含浸させた非ゼオライト成分と、を含む。
【0013】
別の態様では、本明細書に開示されるのは、流動接触分解(FCC)触媒組成物であり、これは、第1の微粒子を含む非分解成分と、第1の微粒子とは別個の、予め形成された第2の微粒子を含み、希土類元素の有機酸塩とカルシウムおよび/またはマグネシウムの塩とに含浸させた非ゼオライト成分と、を含む。
【0014】
別の態様では、本明細書に開示されるのは、金属トラップを調製する方法であり、この方法は、予め形成された微粒子を希土類元素の有機酸塩とカルシウムおよび/またはマグネシウムの塩とに接触させることを含む。
【0015】
別の態様では、本明細書に開示されるのは、流動接触分解条件下で炭化水素供給物を分解する方法であり、この方法は、炭化水素供給物を任意の実施形態で本明細書に記載のFCC触媒組成物と接触させることを含む。
【0016】
別の態様では、本明細書に開示されるのは、FCC装置ベッド内の炭化水素油供給物から少なくとも1つの金属汚染物質を不動態化および/またはトラップする方法であり、この方法は、炭化水素油供給物を任意の実施形態で本明細書に記載のFCC触媒組成物と接触させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例に従って、触媒サンプルについての炭化水素原料の転化率(重量%)対触媒と油との比を例示する。
図2】実施例に従って、所与の転化率(重量%)での水素の生成(重量%)を例示する。
図3】実施例に従って、所与の転化率(重量%)でのコークスの生成(重量%)を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
様々な実施形態を以下に記載する。具体的な実施形態は、網羅的な説明として、または本明細書で論じられるより広範な態様への限定として意図されていないことに留意されたい。特定の実施形態に関連して説明される一態様は、必ずしもその実施形態に限定されず、任意の他の実施形態で実施することができる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「about 約」は、当業者によって理解され、それが使用される文脈に応じてある程度変化するであろう。当業者に明らかでない用語の使用がある場合、それが使用される文脈を前提として、「about 約」は、特定の用語の最大±10%を意味する。
【0020】
要素を説明する文脈において(特に以下の請求項の文脈において)「a 1つの」および「an 1つの」ならびに「the その」という用語ならびに同様の指示語の使用は、本明細書で特に明記しない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形のどちらも包含すると解釈されるべきである。本明細書での値の範囲の列挙は、本明細書で別途指示がない限り、範囲内に含まれる各個別の値を個別に参照する簡略法として機能することのみを意図し、各個別の値は、本明細書で個別に列挙されているのと同様に本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書で別途指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例または例示的言語(例えば、「such as など」)の使用は、単に実施形態をよりよく明らかにすることを意図しており、特に明記しない限り、特許請求の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、請求されていないあらゆる要素を、必須として示すものと解釈されるべきではない。
【0021】
本明細書で提供されるのは、石油原料中のバナジウムなどの金属を不動態化またはトラップするための金属トラップである。金属トラップには、予め形成された微粒子上に含浸させた希土類元素が挙げられる。希土類元素は、希土類元素のアルカリ塩と有機酸との反応によって形成される有機酸塩の形態で組み込まれる。希土類金属に加えて、カルシウムおよび/またはマグネシウム前駆体も、有機酸に添加される。
【0022】
理論に束縛されることなく、有機酸は、触媒に不要なアニオンを導入することなく、希土類を予め形成された微粒子上へのより均一な組み込み、およびより露出した不動態化部位を実現し、カルシウムにより、流動化可能な微小球形粒子の細孔ネットワークへのより高い密度の充填を可能にすることにより、希土類のより高い負荷を可能にすると考えられている。カルシウムはまた、硫黄被毒に対する耐性を高めることにより、Vトラップの不動態化を抑制する。結果として生じる粒子は、その有害な影響を軽減するためにFCC装置でバナジウムを捕捉する能力を有する。バナジウムの存在により、バナジウムによって触媒される脱水素反応のために水素およびコークスの生成につながることが知られている。予め形成された微粒子上の金属トラップは、別個の微粒子上に存在し得る他の分解成分とは異なり、全体的な組成は、異なる微粒子のブレンドであり得る。
【0023】
一態様では、希土類元素の有機酸塩とカルシウムおよび/またはマグネシウムの塩とに含浸させた、予め形成された微粒子を含む金属トラップが提供される。金属トラップは、酸化物基準で、少なくとも約0.1重量%の希土類元素を含み得る。これは、酸化物基準で、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、または少なくとも約5重量%の希土類元素を含み得る。これはまた、酸化物基準で、約0.1重量%~約25重量%、約1重量%~約20重量%、または約3重量%~約10重量%の希土類元素を含み得る。金属トラップは、酸化物基準で、少なくとも約0.1重量%のカルシウムおよび/またはマグネシウムを含み得る。これは、酸化物基準で、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、または少なくとも約10重量%を含み得る。これはまた、酸化物基準で、約0.1重量%~約25重量%、約1重量%~約20重量%、または約3重量%~約10重量%のカルシウムおよび/またはマグネシウムを含み得る。
【0024】
希土類元素は、ランタニドを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、希少元素は、ランタン、セリウム、イッテルビウム、ガドリニウム、イットリウム、ネオジム、またはこれらの任意の2つ以上の混合物であり得る。いくつかのさらなる実施形態では、希土類元素は、ランタン、セリウム、またはこれらの混合物である。特定の実施形態では、希土類元素はランタンである。他の実施形態では、希土類元素はセリウムである。特定の実施形態では、金属トラップは、酸化物基準で、約3重量%~約10重量%のランタンまたはセリウムを含むことができる。
【0025】
カルシウムおよび/またはマグネシウムは、有機酸または無機酸の塩として有機酸溶液に添加され得る。いくつかの実施形態では、これには、炭酸塩、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物などが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0026】
有機酸塩は、C~C10有機酸塩であり得る。これは、C~C有機酸塩を含み得る。例示的な有機酸塩には、ギ酸塩、酢酸塩、炭酸塩、またはプロピオン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、有機酸塩は、ギ酸塩または酢酸塩である。さらなる特定の実施形態では、有機酸塩は、ギ酸塩である。さらなる特定の実施形態では、有機酸塩は、酢酸塩である。
【0027】
希土類元素の例示的な有機酸塩には、ギ酸ランタン、酢酸ランタン、炭酸ランタン、ギ酸セリウム、酢酸セリウム、または炭酸セリウムが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0028】
金属トラップは、予め形成された微粒子を、希土類元素のアルカリ塩と、カルシウムおよび/またはマグネシウムと、有機酸との反応生成物に接触させることによって形成され得る。いくつかの実施形態では、金属トラップを形成するための接触には、コーティング、含浸、噴霧乾燥などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、金属トラップは、予め形成された微粒子を、希土類元素のアルカリ塩と有機酸との反応生成物で噴霧乾燥することによって形成し得る。いくつかの実施形態では、金属トラップは、予め形成された微粒子を、希土類元素のアルカリ塩と有機酸との反応生成物に含浸させることによって形成することができる。希土類元素のアルカリ塩は、炭酸塩であってもよい。例えば、希土類元素のアルカリ塩は、炭酸ランタンまたは炭酸セリウムとギ酸または酢酸との反応によって調製することができる。
【0029】
予め形成された微粒子には、カオリナイト、モンモリロナイト、ベントナイト、アタパルジャイト、カオリン、非晶質カオリン、メタカオリン、ムライト、スピネル、含水カオリン、か焼含水カオリン、粘土、またはこれらの任意の2つ以上の混合物が挙げられ得る。例えば、予め形成された微粒子には、か焼含水カオリンが挙げられる。
【0030】
予め形成された微粒子は、約40~150ミクロンの粒径を有し得る。いくつかの実施形態では、予め形成された微粒子は、約60~100ミクロンの粒径を有する。特定の実施形態では、予め形成された微粒子は、約80ミクロンからの粒径を有する。いくつかの実施形態では、予め形成された微粒子は、流動化可能な微粒子である。
【0031】
予め形成された微粒子はまた、少なくとも約0.01cm/グラムの細孔容積を有すると特徴付けることができる。好適な細孔容積には、少なくとも約0.10cm/グラム、少なくとも約0.15cm/グラム、少なくとも約0.20cm/グラム、少なくとも約0.25cm/グラム、少なくとも約0.30cm/グラム、少なくとも約0.35cm/グラム、少なくとも約0.40cm/グラム、少なくとも約0.45cm/グラム、または少なくとも約0.50cm/グラムが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、予め形成された微粒子は、約0.01cm/グラム~約0.60cm/グラムの範囲の細孔容積を有し得る。
【0032】
別の態様では、予め形成された微粒子を希土類元素の有機酸塩と接触させることにより、金属トラップを調製するための方法が提供される。
【0033】
上記のように、金属トラップを形成するための接触には、コーティング、含浸、噴霧乾燥などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、接触とは、予め形成された微粒子を希土類元素の有機酸塩とカルシウムおよび/またはマグネシウムの塩とで噴霧乾燥することである。いくつかの実施形態では、金属トラップは、予め形成された微粒子を希土類元素の有機酸塩とカルシウムおよび/またはマグネシウムの塩とに含浸させることによって形成することができる。
【0034】
希土類元素の有機酸塩は、有機酸を含む水性媒体中に含まれ得る。いくつかの実施形態では、希土類元素の有機塩は、希土類元素のアルカリ塩と有機酸とを反応させることによって調製される。
【0035】
上記のように、希土類元素には、ランタン、セリウム、イッテルビウム、ガドリニウム、イットリウム、ネオジム、またはこれらの任意の2つ以上の混合物などのランタニドが挙げられ得るが、これらに限定されない。特定の実施形態では、希土類元素は、ランタン、セリウム、またはこれらの混合物であり得る。具体的な実施形態では、希土類元素はランタンである。
【0036】
希土類元素のアルカリ塩は、炭酸塩であってもよい。特定の実施形態では、希土類元素のアルカリ塩は、炭酸ランタンまたは炭酸セリウムである。
【0037】
この方法で使用される有機酸は、C~C10有機酸であってもよい。例示的な有機酸は、ギ酸、酢酸、またはプロピオン酸である。特定の実施形態では、有機酸は、ギ酸または酢酸である。したがって、希土類元素の有機酸塩には、ギ酸ランタン、酢酸ランタン、ギ酸セリウム、酢酸セリウム、またはこれらの任意の2つ以上の混合物が挙げられ得る。
【0038】
別の態様では、流動接触分解(FCC)触媒組成物が提供される。FCC触媒組成物は、第1の微粒子を有するゼオライト成分および第2の微粒子上の非ゼオライト成分を含む。非ゼオライト成分は、希土類元素の有機酸塩に含浸させた、予め形成された第2の微粒子を含み得る。
【0039】
FCC触媒組成物はまた、他の薬剤を含み得る。例えば、希土類元素の有機酸塩と接触した、予め形成された第2の微粒子を含むFCC触媒組成物にはまた、ホウ素、ベーマイトアルミナ、またはリンなどの薬剤が挙げられ得る。
【0040】
別の態様では、流動接触分解(FCC)触媒組成物が提供される。FCC触媒組成物は、第1の微粒子を有する非分解成分と、第2の微粒子を有する非ゼオライト成分とを含む。非ゼオライト成分は、希土類元素の有機酸塩とカルシウムおよび/またはマグネシウムの塩とに含浸させた、予め形成された第2の微粒子を含み得る。
【0041】
FCC触媒組成物はまた、他の添加剤を含み得る。例えば、希土類元素の有機酸塩とカルシウムおよび/またはマグネシウムの塩とに接触させた、予め形成された微粒子を含むFCC触媒組成物にはまた、ホウ素、ベーマイトアルミナ、またはリンなどのニッケル不動態化材料が挙げられ得る。
【0042】
作製方法
組成物を作製する方法に関して、活性ゼオライト成分は、2つの一般的な技術のうちの1つによって触媒の微粒子に組み込まれ得る。1つの技術では、ゼオライト成分は結晶化され、次いで別個のステップで微粒子に組み込まれる。第2の技術では、その場技術では、微粒子が最初に形成され、次にゼオライト成分が、微粒子自体の中で結晶化され、ゼオライト成分と非ゼオライト成分とのどちらも含有する微粒子を提供する。
【0043】
流動接触分解触媒のゼオライト成分を作製する方法は、非ゼオライト材料およびアルミナを含む前駆体微粒子を予め形成することと、前駆体微粒子上でゼオライトをその場結晶化し、ゼオライト微粒子材料を提供することとを含み得る。いくつかの実施形態では、その場結晶化とは、前駆体微粒子を、ケイ酸ナトリウムと、水酸化ナトリウムと水とに混合して、アルカリ性スラリーを得ることと、アルカリ性スラリーを、微粒子内で少なくとも約15重量%のY型ゼオライトを結晶化させるのに十分な温度および時間だけ加熱することとをさらに含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、FCC触媒は、ゼオライト成分と非ゼオライト成分とをブレンドすることによって調製される。ゼオライト成分と非ゼオライト成分との比率は、様々な残油供給に必要なように変えることができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、FCC触媒は、非分解成分と非ゼオライト成分とをブレンド(すなわち、別の種類の微粒子のブレンド)することによって調製される。非分解成分と非ゼオライト成分との比率は、様々な残油供給に必要なように変えることができる。
【0046】
FCC触媒組成物は、酸化物基準で0.1重量%~約20.0重量%の範囲で存在する希土類元素を有する。いくつかの実施形態では、FCC触媒組成物は、酸化物基準で0.1重量%~約10.0重量%の範囲で存在する希土類元素を有する。FCC触媒組成物は、酸化物基準で0.1重量%~約5.0重量%の範囲で存在する希土類元素を有する。FCC触媒組成物は、酸化物基準で0.05重量%~約20重量%で存在するカルシウムおよび/またはマグネシウムを有する。いくつかの実施形態では、FCC触媒組成物は、酸化物基準で0.1重量%~約8重量%で存在するカルシウムおよび/またはマグネシウムを有する。FCC触媒組成物は、酸化物基準で2重量%~約20重量%で存在するカルシウムおよび/またはマグネシウムを有し得る。
【0047】
使用方法
上記のFCC触媒および/または金属トラップはいずれも、金属を含有する炭化水素装入原料の接触分解に使用することができる。典型的な原料は、重質軽油、または金属汚染物質が濃縮されている原油のより重い留分である。
【0048】
流動接触分解条件下で炭化水素供給物を分解する方法も、本明細書で提供される。このような方法は、炭化水素供給物を、ゼオライト成分、ならびに希土類元素の有機酸塩とカルシウムおよび/またはマグネシウムの塩とに含浸させた、予め形成された微粒子を含む非ゼオライト成分を含む、FCC組成物と接触させることを含む。あるいは、この方法は、炭化水素供給物を、非分解成分、ならびに希土類元素の有機酸塩とカルシウムおよび/またはマグネシウムの塩とに含浸させた、予め形成された微粒子を含む非ゼオライト成分を含む、FCC組成物と接触させることを含み得る。
【0049】
非ゼオライト成分は、予め形成された微粒子を、希土類元素のアルカリ塩と有機酸とカルシウムおよび/またはマグネシウムの塩との反応生成物に含浸させることにより形成される金属トラップであり得る。いくつかの実施形態では、希土類元素のアルカリ塩は、炭酸塩である。いくつかの実施形態では、カルシウムおよび/またはマグネシウムの塩は、炭酸塩である。いくつかの実施形態では、カルシウムおよび/またはマグネシウムの塩は、カルシウムの炭酸塩である。特定の実施形態では、希土類元素のアルカリ塩は、炭酸ランタンまたは炭酸セリウムとギ酸または酢酸との反応によって調製され、炭酸カルシウムも存在する。
【0050】
本技術はまた、FCC装置ベッド内の炭化水素油供給物からの少なくとも1つの金属汚染物質を不動態化および/またはトラップする方法を提供する。このような方法は、炭化水素油供給物をFCC触媒組成物と接触させることを含み、組成物は、ゼオライト成分および/または非分解成分、ならびに希土類元素の有機酸塩とカルシウムおよび/またはマグネシウムの塩とに含浸させた、予め形成された微粒子を含む、非ゼオライト成分を含む。いくつかの実施形態では、金属汚染物質は、バナジウムである。
【0051】
したがって、一般的に説明される本技術は、実例として提供され、本技術を限定することを意図しない以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されるであろう。
【実施例
【0052】
実施例1
炭酸ランタンをギ酸と水とに溶解し、か焼した微粒子上で噴霧乾燥して、微粒子上に10重量%のLaをターゲットとした。次に、微粒子をオーブンで乾燥させ、活性触媒9部に対し1部の比率でブレンドした。表1の配合を参照すること。
【0053】
実施例2
炭酸ランタンおよび炭酸カルシウムをギ酸と水とに溶解し、か焼した微粒子上で噴霧乾燥して、微粒子上に10重量%のLaおよびCaOをターゲットとした。次に、微粒子をオーブンで乾燥させ、活性触媒9部に対し1部の比率でブレンドした。表1の配合を参照すること。
【0054】
実施例3
炭酸セリウムおよび炭酸カルシウムをギ酸と水とに溶解し、か焼した微粒子上で噴霧乾燥して、微粒子上に10重量%のCeおよびCaOをターゲットとした。次に、微粒子をオーブンで乾燥させ、活性触媒9部に対し1部の比率でブレンドした。表1の配合を参照すること。
【表1】
【0055】
実施例4
サンプルの評価。活性分解触媒は、触媒試験用に粒径を調整し、1350°Fで2時間、100%の蒸気で事前蒸気処理した。活性触媒を、上記の実施例に記載したバナジウムトラップとブレンドし、次にナフテン酸バナジウムを使用して、3000ppmのバナジウムに(ミッチェル法を使用して)含浸させた。Vトラップを含まないバナジウム含浸サンプル(コントロール)、La系Vトラップ(実施例1)、La/Ca系Vトラップ(実施例2)、およびCe/Ca系Vトラップ(上記のように本技術による)。
【0056】
評価の前に、バナジウム含浸サンプルをか焼して、含浸物から有機材料および結果として生じた炭素を除去した。次に、処理済みサンプルを、90%の蒸気と10%の空気とで1500℃で5時間エージングして、バナジウムの移動を可能にした。次に、ACE法を使用して、サンプルを評価した。
【0057】
金属トラップの試験の結果を図1図3に示す。
【0058】
図1図2、および図3は、表1に記載の触媒サンプルについて、炭化水素供給の全体的な触媒転化率(重量%)、Hの収率、およびコークスの収率をそれぞれ提示する。さらに、ランタン/カルシウム系およびセリウム/カルシウム系のバナジウムトラップを有する触媒サンプルは、ランタンのみを有する比較触媒サンプルよりも低いHおよびコークス生成を示した。したがって、本技術は、他の最新技術のFCC触媒よりも改善された触媒転化炭化水素原料およびより低いHおよびコークス生成を提示する。
【0059】
項A.希土類元素の有機酸塩とカルシウムおよび/またはマグネシウムの塩とを含む溶液に含浸させた、予め形成された微粒子を含む、金属トラップ。
【0060】
項B.予め形成された微粒子が、カオリナイト、モンモリロナイト、ベントナイト、アタパルジャイト、カオリン、非晶質カオリン、メタカオリン、ムライト、スピネル、含水カオリン、か焼含水カオリン、粘土、またはこれらの任意の2つ以上の混合物を含む、項Aに記載の金属トラップ。
【0061】
項C.予め形成された微粒子が、か焼含水カオリンを含む、項Bに記載の金属トラップ。
【0062】
項D.酸化物基準で少なくとも0.1重量%の希土類元素と、酸化物基準で少なくとも0.1重量%のカルシウムおよび/またはマグネシウムとを含む、項A~Cのいずれか一項に記載の金属トラップ。
【0063】
項E.酸化物基準で約1重量%~約20重量%の希土類元素と、酸化物基準で約1重量%~約6重量%のカルシウムおよび/またはマグネシウムとを含む、項A~Fのいずれか一項に記載の金属トラップ。
【0064】
項F.希土類元素が、ランタン、セリウム、イッテルビウム、ガドリニウム、イットリウム、ネオジム、またはこれらの任意の2つ以上の混合物である、項A~Eのいずれか一項に記載の金属トラップ。
【0065】
項G.希土類元素が、ランタン、セリウム、またはこれらの混合物である、項A~Fのいずれか一項に記載の金属トラップ。
【0066】
項H.カルシウムおよび/またはマグネシウムの塩が、カルシウムの塩である、項A~Gのいずれか一項に記載の金属トラップ。
【0067】
項I.有機酸塩が、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、またはこれらの混合物である、項A~Hのいずれか一項に記載の金属トラップ。
【0068】
項J.有機酸塩がギ酸塩である、項Iに記載の金属トラップ。
【0069】
項K.希土類元素の有機酸塩が、ギ酸ランタン、酢酸ランタン、ギ酸セリウム、酢酸セリウム、またはこれらの任意の2つ以上の混合物である、項Iに記載の金属トラップ。
【0070】
項L.予め形成された微粒子が、約40~150ミクロンの粒径を有する、項A~Kのいずれか一項に記載の金属トラップ。
【0071】
項M.予め形成された微粒子は、少なくとも約0.10cm/グラムの細孔容積を有する、項A~Lのいずれか一項に記載の金属トラップ。
【0072】
項N.流動接触分解(FCC)触媒組成物であって、第1の微粒子を含むゼオライト成分と、第1の微粒子とは別個の、予め形成された第2の微粒子を含み、希土類元素の有機酸塩とカルシウムおよび/またはマグネシウムの塩とに含浸させた非ゼオライト成分と、を含む、組成物。
【0073】
項O.予め形成された第2の微粒子が、カオリナイト、モンモリロナイト、ベントナイト、アタパルジャイト、カオリン、非晶質カオリン、メタカオリン、ムライト、スピネル、含水カオリン、か焼含水カオリン、粘土、またはこれらの任意の2つ以上の混合物を含む、項Nに記載のFCC触媒組成物。
【0074】
項P.希土類元素が、ランタン、セリウム、またはこれらの混合物である、項N~Oのいずれか一項に記載のFCC触媒組成物。
【0075】
項Q.有機酸塩が、ギ酸塩、酢酸塩、またはプロピオン酸塩、またはこれらの任意の2つ以上の混合物である、項N~Pのいずれか一項に記載のFCC触媒組成物。
【0076】
項R.有機酸塩がギ酸塩である、項Qに記載のFCC触媒組成物。
【0077】
項S.有機酸塩が酢酸塩である、項Qに記載のFCC触媒組成物。
【0078】
項T.項N~Sのいずれか一項に記載のFCC触媒組成物を調製する方法であって、ゼオライト成分と非ゼオライト成分とをブレンドすることを含む、方法。
【0079】
項U.ゼオライト成分が、非ゼオライト材料およびアルミナを含む、前駆体第1の微粒子を予め形成することと、予め形成された第1の微粒子上でゼオライトをその場結晶化して、ゼオライト成分を提供することと、を含む方法によって調製される、項Tに記載の方法。
【0080】
項V.流動接触分解条件下で炭化水素供給物を分解する方法であって、炭化水素供給物を項N~Sのいずれか一項に記載のFCC触媒組成物と接触させることを含む、方法。
【0081】
項W.FCC装置ベッド内の炭化水素油供給物から少なくとも1つの金属汚染物質を不動態化および/またはトラップする方法であって、炭化水素油供給物を項N~Sのいずれか一項に記載のFCC触媒組成物と接触させることを含む、方法。
【0082】
項X.少なくとも1つの金属汚染物質がバナジウムである、項Wに記載の方法。
【0083】
項Y.流動接触分解(FCC)触媒組成物であって、第1の微粒子を含む非分解成分と、第1の微粒子とは別個の、予め形成された第2の微粒子を含み、希土類元素の有機酸塩とカルシウムおよび/またはマグネシウムの塩とに含浸させた非ゼオライト成分を含む、組成物。
【0084】
項Z.予め形成された第2の微粒子が、カオリナイト、モンモリロナイト、ベントナイト、アタパルジャイト、カオリン、非晶質カオリン、メタカオリン、ムライト、スピネル、含水カオリン、か焼含水カオリン、粘土、またはこれらの任意の2つ以上の混合物を含む、項Yに記載のFCC触媒組成物。
【0085】
項AA.希土類元素が、ランタン、セリウム、イッテルビウム、ガドリニウム、イットリウム、ネオジム、またはこれらの任意の2つ以上の混合物である、項Y~Zのいずれか一項に記載のFCC触媒組成物。
【0086】
項AB.カルシウムおよび/またはマグネシウムの塩が、炭酸塩である、項Y~AAのいずれか一項に記載のFCC触媒組成物。
【0087】
項AC.有機酸塩が、ギ酸塩、酢酸塩、またはプロピオン酸塩、またはこれらの任意の2つ以上の混合物である、項Y~ABのいずれか一項に記載のFCC触媒組成物。
【0088】
項AD.有機酸塩がギ酸塩である、項ACに記載のFCC触媒組成物。
【0089】
本明細書に例示的に記載されている実施形態は、本明細書に具体的に開示されていない、任意の1つまたは複数の要素、任意の1つまたは複数の限定がなくても適切に実施され得る。したがって、例えば、「comprising 含む」、「including 含む」、「containing 含有する」などの用語は、限定的ではなく、拡張的に読まれるべきである。さらに、本明細書で用いられる用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用されており、このような用語および表現を使用して、示され説明された機能またはその部分のいかなる同等物を除外する意図はないが、請求された技術の範囲内で様々な変更が可能であることが認識される。さらに、「consisting essentially of から本質的になる」という語句は、具体的に列挙されたそれらの要素および請求された技術の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を与えない、それらの追加の要素を含むことが理解されるであろう。「consisting of からなる」という語句は、指定されていないいかなる要素も除外する。
【0090】
本開示は、本出願に記載される特定の実施形態に関して限定されるべきではない。当業者には明らかなように、その精神および範囲から逸脱することなく、多くの修正および変更を行うことができる。本明細書に挙げているものに加えて、本開示の範囲内の機能的に同等の方法および組成物は、前述の説明から当業者には明らかであろう。このような修正および変更は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図されている。本開示は、このような請求項が権利を与えられる同等物の全範囲と共に、添付の請求項の用語によってのみ制限されるべきである。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物または生物学的システムに限定されず、言うまでもなく、変化し得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0091】
加えて、本開示の特徴または態様がマーカッシュ群の観点から説明される場合、開示がまた、それによってマーカッシュ群の任意の個々の要素または要素の下位群の観点から説明されることを、当業者は認識するであろう。
【0092】
当業者に理解されるように、ありとあらゆる目的のために、特に書面による説明を提供するという観点から、本明細書に開示される全ての範囲は、ありとあらゆる可能な部分範囲およびこれらの部分範囲の組み合わせも包含する。リストされた範囲は、十分に説明し、同じ範囲を少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分類できると容易に認識できる。非限定的な例として、本明細書で論じられる各範囲は、下部3分の1、中部3分の1および上部3分の1に容易に分類できる。また、当業者によって理解されるように、「up to まで」、「at least 少なくとも」、「greater than より大きい」、「less than より小さい」などの全ての言語は、列挙された数を含み、上で説明したように、後で部分範囲に分類できる範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、ある範囲は各個々の要素を含む。
【0093】
本明細書で指す全ての出版物、特許出願、発行済み特許、およびその他の文書は、あたかも各個々の出版物、特許出願、発行済み特許、またはその他の文書が、参照によりその全体が組み込まれると具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれたテキストに含まれる定義は、それらが本開示の定義と矛盾する限りにおいて除外される。
【0094】
ある実施形態を図示し説明してきたが、以下の特許請求の範囲で定義される、そのより広い態様の技術から逸脱することなく、そこに当業者によって変更および修正を行うことができることを理解すべきである。
図1
図2
図3