(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】膨張式灌流増強装置及び関連するデバイス、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
A61G 7/057 20060101AFI20231114BHJP
A61G 5/12 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
A61G7/057
A61G5/12 707
(21)【出願番号】P 2020551271
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(86)【国際出願番号】 US2019023826
(87)【国際公開番号】W WO2019183617
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-02-08
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517239418
【氏名又は名称】ターンケア,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TURNCARE,INC.
【住所又は居所原語表記】2311 Middlefield Road,Palo Alto,California 94301(US)
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】スクイティエリ,ラファエル パオロ
(72)【発明者】
【氏名】ドイチュ,ロバート チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】フレイジャー,スティーブン ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ロイアコノ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】シーマン,リンダ
(72)【発明者】
【氏名】ケリー,エリカ
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-051596(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0104165(US,A1)
【文献】特開平01-202433(JP,A)
【文献】特表2018-504203(JP,A)
【文献】特開2016-087117(JP,A)
【文献】特開2003-235686(JP,A)
【文献】登録実用新案第3061272(JP,U)
【文献】実開平06-044536(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/057,5/10
A47C 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上層と底層との間の相互接続によって形成された膨張式チャンバの幾何学的配置を含む圧力緩和装置であって、前記底層の外表面は、
可撓性のシリコー
ンにより構成されており、前記膨張式チャンバは、前記膨張式チャンバ内の圧力が変化した際に、支持体表面によって人体に印加される接触圧力を緩和するように構成されている、圧力緩和装置と、
前記圧力緩和装置を前記支持体表面に固定するための取付装置と
を備えており、
前記取付装置は、前記底層の外表面に接触している際に前記支持体表面に対する前記圧力緩和装置の動きを自然に制限するのに十分な粘着性を提供するが、前記圧力緩和装置が前記取付装置から容易に取り外し可能とされる材料で構成されている、
システム。
【請求項2】
前記上層は、前記人体と直接接触するように構成された第2の材料で構成されている、請求項1に記載のシステム
【請求項3】
前記材料は、ポリウレタン、ポリプロピレン、シリコーン又はゴム化合物である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記取付装置は、前記圧力緩和装置の底層に接触する上面に沿って配置された第1の接着フィルムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記取付装置は、前記支持体表面に接触する底面に沿って配置された第2の接着フィルムを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記取付装置は、
前記圧力緩和装置の前記底層に接触する上層と、
前記支持体表面に接触する底層と
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記取付装置は、前記上層と前記底層との間に配置された柔軟なコアをさらに含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記柔軟なコアは、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ラテックス、ウール、綿、織布、不織布、天然繊維又は合成繊維で構成される、請求項7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月23日に出願された米国仮特許出願第62/647,551号、及び、2018年9月26日に出願された米国仮特許出願第62/736,758号に対する優先権を主張し、両方について、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本技術は、一般に、灌流を増強し、支持体表面によって人体に適用される移植圧を緩和するための装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
圧迫創傷(pressure injuries)(「褥瘡性潰瘍(decubitus ulcers)」、「圧迫潰瘍(pressure ulcers)」、「褥瘡(pressure sores)」又は「床ずれ(bedsores)」とも称される)は、典型的には、人体の表面に沿った一箇所(例えば、仙骨等)に定常的な圧力が印加される結果として生じる。圧迫創傷は、長時間にわたって運動障害のある者又は(例えば、車椅子やベッド、手術台等で)動けなくされた者において、最も一般的である。多くの場合、これらの者は、高齢者、栄養不良者及び/又は失禁者であり、人体に圧迫創傷が形成されやすくなる全ての要因がある。これらの者は歩行できないことが多いため、長時間にわたって同じ体位で座る又は横になることがある。さらに、これらの者は、圧力を緩和するために自身の体位を変えることができないことが多い。その結果、皮膚及び軟組織への圧力によって、やがて虚血又はその領域への血流が不十分になり、それによって皮膚の破壊や組織の損傷が起こる。圧迫創傷は、皮膚の表面的な損傷、又は、より深い全層性潰瘍を引き起こす可能性があり、そのような全層性潰瘍は、下層組織を露出してその者を感染症の危険に晒す可能性がある。その結果生じる感染症が悪化すると、敗血症、場合によっては死に至ることさえある。
【0004】
市場には、圧迫創傷を予防するための様々な圧力技術が出回っている。しかしながら、従来の交番圧力技術には多くの欠点があり、その中の1つとして、人と支持体表面との間の空間的関係を制御できないことが挙げられる。その結果、従来の交番圧力技術を使用している者は、依然として圧迫創傷を発症するか、関連する合併症を患う可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照することにより、よりよく理解され得る。各図中の構成要素は、必ずしも縮尺通りではない。その代わり、本開示の原理を明確に図示することに重点が置かれている。さらに、各構成要素は特定の視点では透明として示される場合があるが、それは説明の目的であって、その構成要素が必然的に透明であることを示すのではない。ここに提供される見出しは、単なる便宜上のものである。
【0006】
【
図1A】
図1Aは、本技術の実施形態に従って構成された圧力緩和装置の上面図である。
【
図1B】
図1Bは、本技術の実施形態に従って構成された圧力緩和装置の底面図である。
【0007】
【
図2A】
図2Aは、本技術の実施形態に従って構成された圧力緩和装置の上面図である。
【
図2B】
図2Bは、本技術の実施形態に従って構成された圧力緩和装置の底面図である。
【0008】
【
図3】
図3は、本技術の実施形態に従って構成された圧力緩和装置の上面図である。
【0009】
【
図4】
図4は、本技術の実施形態に係る、運動障害のある患者の虚血を回避するための様々な圧力分布を示す、圧力緩和装置の部分概略上面図である。
【0010】
【
図5】
図5は、本技術の実施形態に係る、圧力緩和装置を製造するプロセスのフロー図である。
【0011】
【
図6】
図6は、本技術の実施形態に係る、圧力緩和装置を支持体表面に固定するための取付装置の上面図である。
【0012】
【0013】
【
図8】
図8は、本技術の実施形態に係る、圧力緩和装置を支持体表面に固定するための取付装置の上面図である。
【0014】
【
図9】
図9は、本技術の実施形態に係る、取付装置を製造するプロセスのフロー図である。
【0015】
【
図10A】
図10Aは、本技術の実施形態に係る、チャンバ収縮によって特定の解剖学的領域への圧力を和らげるための圧力緩和装置の部分概略側面図である。
【0016】
【
図10B】
図10Bは、本技術の実施形態に係る、チャンバ膨張によって特定の解剖学的構造への圧力を和らげるための圧力緩和装置の部分概略側面図である。
【0017】
【
図11】
図11は、本技術の実施形態に従って構成された圧力緩和システムの側面図を含む。
【0018】
【
図12】
図12は、本技術の実施形態に係る、虚血再灌流傷害を予防及び/又は処置するように設計された圧力緩和システムを展開するためのプロセスのフロー図である。
【0019】
【
図13】
図13は、本明細書に記載の少なくともいくつかの動作を実装可能な処理システムの例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
圧迫創傷(pressure injuries)(場合により「圧迫潰瘍(pressure ulcers)」又は「潰瘍(ulcers)」と称される)は、体の対応する解剖学的領域への接触圧力(又は単に「圧力」)に起因する、皮膚及び/又は下層組織の損傷の局所領域である。圧迫創傷はしばしば、仙骨、尾骨、踵又は股関節を覆う皮膚及び軟組織のような、骨の隆起の上に形成される。しかしながら、他の部位(例えば、肘、膝、足首、肩、腹部、背中又は頭蓋骨)もまた、冒される可能性がある。一般的に、圧迫創傷は、軟組織内の血管に圧力が印加された際に発現し、この圧力は(例えば、圧力が毛細血管充満圧を超えた際に)該軟組織への血流を少なくとも部分的に妨害して、圧力部位にて長期間にわたり虚血を生じさせる。したがって、圧迫創傷はしばしば、運動障害のある者、動けなくされた者又は座ったままでいることが多い者に生じる。圧迫創傷が形成されると、治癒プロセスは、典型的には遅くなる。例えば、圧迫創傷の部位から圧力が解放された際、体はその区域を灌流するために、該領域へ血液(炎症誘発性メディエーターを含む)を急送する。損傷している虚血状態であった領域に対して突然の再灌流が起こると、炎症誘発性メディエーターによってもたらされる炎症反応が生じることが示されており、これによって、実際には元々の圧迫創傷が悪化して、回復が長引く可能性がある。さらに、患者及び該圧迫創傷によっては、炎症誘発性メディエーターは、血流を通じて圧迫創傷の部位を越えて拡散し、それによって全身性の炎症反応を引き起こす可能性がある。炎症誘発性メディエーターによって引き起こされるこの二次炎症反応は、現状を悪化させるか、さらなる病気を引き起こし、それによって回復を遅らせることが示されている。さらに、回復時間は、圧迫損傷を起こしやすい者にしばしば関連する多くの要因、例えば、老年期、不動状態、既存の病状(例えば、動脈硬化症、糖尿病又は感染症)、喫煙及び/又は薬物療法(例えば、抗炎症薬)等によって、長くなる可能性がある。したがって、圧迫創傷の形成を予防又は低減(及び、炎症誘発性メディエーターを低減)することによって、個人、特に、治療の過程で運動障害を経験する者における多くの治療プロセスを増強及び促進することができる。
【0021】
したがって、本明細書では、物体の支持体表面により人体に印加される圧力を緩和するための膨張式灌流増強装置が提示される。この膨張式灌流増強装置(「圧力緩和装置」、「圧力緩和デバイス」又は「圧力緩和パッド」とも称される)は、個別に圧力を変更可能な一連のチャンバ(「セル」とも称される)を含み得る。一連のチャンバ内の圧力を変化させることにより、支持体表面によって人体に印加される圧力の主点を人体の表面を横切って移動させることができる。例えば、圧力緩和装置を展開した後、チャンバの種々異なる所定の対象における圧力を逐次的に変化させることによって、圧力の主要点が複数の所定位置間で動かされ得る。支持体表面(「接触表面」とも称される)は、椅子、マットレス、担架、手術台又は個人が体重をかける他の物理的物体の表面であってもよい。
【0022】
圧力緩和装置は、支持体表面に面するように設計された第1の層と、支持体表面によって支持された人体に面するように設計された第2の層とを含み得る。一連のチャンバは、第1の層と第2の層との間の相互接続を介して(例えば、直接又は1つ以上の中間層を介してのいずれかにより)形成されてもよく、各チャンバは、個別の気流を介して独立して加圧されてもよい。
【0023】
圧力緩和装置は、使用中の人体の予期される身体的姿勢に基づいて設計されてもよい。例えば、いくつかの圧力緩和装置は、座位における人体の背側に適したチャンバの幾何学的配置を備えており、他の圧力緩和装置は、仰臥位及び/又は腹臥位における人体の背側に適したチャンバの幾何学的配置を備えている。さらに、圧力緩和装置は、圧力緩和装置を使用することが予期される者の1つ以上の特性に基づいて設計されてもよく、そのような特性としては、例えば、サイズ、重量又は身体的病気等が挙げられる。例えば、種々異なる圧力緩和装置が、新生児患者、小児患者、平均的な成人患者、肥満患者又は老人患者に対して利用されてもよい。
【0024】
以下でさらに説明するように、圧力緩和装置は、取付装置、コントローラデバイス(「コントローラ」とも称される)及び1つ以上のポンプをも含んでいる圧力緩和システムの一部であってもよい。取付装置は、圧力緩和装置が支持体表面に固定的に接着されていることを確実にし得る。一方、コントローラは、ポンプによって生成された、圧力緩和装置の各チャンバ内への流体(空気など)の流れを制御することによって、人体の1つ以上の解剖学的領域における圧力を変化させ得る。例えば、コントローラは、1つ以上のチャンバの膨張、1つ以上のチャンバの収縮又はそれらの任意の組み合わせを制御可能に行ってもよい。
【0025】
本技術のいくつかの実施形態の特定の詳細が、
図1~13を参照して本明細書に説明される。実施形態の多くは、所定の支持体表面(例えば、マットレス)によって特定の体位(例えば、仰臥位)における人体(例えば、患者、個人又は対象)に印加される圧力を緩和するためのシステム、装置及び方法に関して本明細書に記載されているが、本明細書に記載されたものに加えて他の実施形態もまた、本技術の範囲内である。例えば、本技術の少なくともいくつかの実施形態は、座位における人体に印加される圧力を緩和するために有用であってもよい。そのような実施形態では、圧力緩和装置のチャンバは、異なるサイズ、異なる配置であってもよく、かつ/又はそうでなくても、仰臥位に位置合わせされた患者のための圧力緩和装置のチャンバとは異なっていてもよい。加えて又はこれに代えて、圧力緩和装置のチャンバは、異なる順序、異なる圧力、異なる持続時間で膨張されてもよく、かつ/又はそうでなくても、仰臥位に位置合わせされた患者のための圧力緩和装置のチャンバとは異なる膨張パターンを有していてもよい。
【0026】
本明細書に開示される実施形態に加えて他の実施形態もまた、本技術の範囲内にあることに留意されたい。例えば、一実施形態に関して示される又は説明される構成要素、構成及び/又は手順は、他の実施形態に記載される構成要素、構成及び/又は手順と組み合わせられ得る又は置換され得る。さらに、本技術の実施形態は、本明細書に示される又は説明されるものとは異なる構成要素、構成及び/又は手順を有し得る。さらに、当業者は、本技術の実施形態は、本明細書に示される又は説明されるものに加えた構成、構成要素及び/又は手順を有し得ると共に、本技術の実施形態及び他の実施形態が、本技術から逸脱することなく、本明細書に示される又は説明されるいくつかの構成、構成要素及び/又は手順を備えないことがあり得ることを理解するであろう。
【0027】
選択された圧力緩和装置の実施形態
圧力緩和装置は、複数のチャンバ又は区画を含み、該複数のチャンバは、各チャンバ内及び/又は該複数のチャンバのサブセット内の圧力を変化させるよう個別に制御され得る。人体と支持体表面との間に配置された際に、圧力緩和装置は、1つ以上のチャンバの膨張、1つ以上のチャンバの収縮又はそれらの任意の組み合わせを制御可能に行うことによって、解剖学的領域の圧力を変化させ得る。圧力緩和装置のいくつかの例が、
図1A~3に関して以下に説明される。別段の記載がない限り、一実施形態に関して説明された任意の特徴は、他の実施形態にも同様に適用可能である。いくつかの特徴は、本開示を単純化する目的で、圧力緩和装置の単一の実施形態に関してのみ説明されている。
【0028】
図1A及び1Bはそれぞれ、本技術の実施形態に係る、細長い支持体表面によって印加される特定の解剖学的領域における圧力を緩和するための圧力緩和装置100の上面図及び底面図である。圧力緩和装置100は、マットレス、担架、手術台及び検査台等の細長い支持体表面と組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態では、圧力緩和装置100は、取付装置を使用して支持体表面に固定され、他の実施形態では、圧力緩和装置100は、支持体表面と直接接触して(すなわち、取付装置を間に備えずに)配置される。取付装置は、
図6~8に関して以下でさらに説明される。
【0029】
図1Aに示すように、圧力緩和装置100は、少なくとも1つの側部支持体104に沿って位置決めされた中央部分102(「接触部分」とも称される)を含み得る。ここで、一対の側部支持体104は、中央部分102の両側に配置されている。しかしながら、圧力緩和装置100のいくつかの実施形態は、側部支持体を何ら含んでいない。例えば、(1つ以上の)側部支持体104は、個人が(例えば、麻酔下で、医学的に誘発された昏睡状態において、等)医学的に動けなくされている際、並びに/又は、下方の支持体表面(例えば、ベッドの側部に沿ったレール、椅子の側部に沿った肘掛けによって)及び/若しくは他の構造(例えば、患者を押さえつける物理的拘束具、ギプス等)によって物理的に拘束されている際には、省かれてもよい。
【0030】
圧力緩和装置100は、圧力を個別に変化させることが可能な一連のチャンバ106(「セル」とも称される)を含む。いくつかの実施形態では、一連のチャンバ106は、人体の1つ以上の特定の解剖学的領域における圧力を緩和するように設計された幾何学的パターンで配置されている。上記のように、人体と支持体表面との間に配置された際に、圧力緩和装置100は、(1つ以上の)チャンバの膨張、(1つ以上の)チャンバの収縮又はそれらの任意の組み合わせを制御可能に行うことによって、(1つ以上の)特定の解剖学的領域への圧力を変化させ得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、幾何学的パターンは、特定の解剖学的領域が幾何学的パターンの標的領域108の上方に位置合わせされている際の該特定の解剖学的領域における圧力を緩和するように設計されている。
図1A及び1Bに示すように、標的領域108は、人の解剖学的構造を圧力緩和装置100に対して適切に位置決めするために、圧力緩和装置100の中心点又は中心部分を表してもよい。例えば、標的領域108は、幾何学的パターンの中心地点に対応し得る。しかしながら、特に圧力緩和装置100が対称でない場合には、標的領域108は必ずしも圧力緩和装置100の中心点でなくてもよい。標的領域108は、個人(例えば、医師、看護師、介護者又は患者自身)が、標的領域108上に配置されることになる人体の対応する解剖学的領域に標的領域108を容易に位置決め可能となるように印がつけられていてもよい。
【0032】
圧力緩和装置100は、支持体表面に面するように設計された第1の部分110(「第1の層」又は「底層」とも称される)と、支持体表面によって支持された人体に面するように設計された第2の部分112(「第2の層」又は「上層」とも称される)とを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の部分110は、支持体表面に直接隣接しており、他の実施形態では、第1の部分110は、圧力緩和装置100を支持体表面に固定することを補助するように設計された取付装置に直接隣接している。圧力緩和装置100は、様々な材料で構成されていてもよく、圧力緩和装置100の各構成要素の構成に使用される(1つ以上の)材料は、該構成要素によって体感される身体接触があるならば、その性質に基づいて選択されてもよい。例えば、第2の部分112は、多くの場合に皮膚と直接接触するため、柔らかい布又は通気性の布(例えば、吸湿性材料若しくは速乾性材料で構成される、又は、穿孔を有する)で構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、流体(例えば、汗)が一連のチャンバ106に入るのを妨げるために、(例えば、ポリウレタンで構成される)不浸透性のライニングが、第2の部分112の内側に固定される。別の例として、圧力緩和装置100がカバー(例えば、ベッドシーツ)の下に展開するように設計されている場合には、第2の部分112は、ポリウレタン、ポリプロピレン、シリコーン又はゴム化合物等の液体不浸透性の可撓性材料で構成されていてもよい。また、第1の部分110も、液体不浸透性の可撓性材料で構成されていてもよい。
【0033】
一連のチャンバ106は、第1の部分110と第2の部分112との間の相互接続を介して(例えば、直接又は1つ以上の中間層を介してのいずれかにより)形成されてもよい。
図1A及び1Bに示される実施形態では、圧力緩和装置100は、互いに向かい合う2つの「C字型」チャンバと絡み合った「M字型」チャンバを含んでいる。このような配置は、これらのチャンバ内の圧力が交番になっている際に、支持体表面によって仰臥位における人体の仙骨領域に印加される圧力を効果的に緩和することが示されている。圧力緩和装置が仙骨領域以外の解剖学的領域のために設計されている場合、又は、圧力緩和装置が仰臥位以外(例えば、座位)において人体を支持するために使用される場合、圧力緩和装置は別のチャンバ配置を有していてもよい。全般的に、チャンバ106の幾何学的パターンは、圧力が和らげられることとなる特定の解剖学的領域の内部解剖学的構造(例えば、筋肉、骨及び血管系)に基づいて設計される。
【0034】
圧力緩和装置100を使用する人及び/又はその介護者(例えば、看護師、医師等)は、患者の解剖学的領域を、幾何学的パターンの標的領域108上で長さ方向に能動的に位置合わせする役割を担うことが多い。しかしながら、(1つ以上の)側部支持体104は、人体の特定の解剖学的領域を、幾何学的パターンの標的領域108上で横方向に能動的に位置合わせ又は誘導してもよい。いくつかの実施形態では、(1つ以上の)側部支持体104は膨張式であり、他の実施形態では、(1つ以上の)側部支持体104は、圧力緩和装置100の一方又は両方の横側部から突出した永久構造物である。例えば、各側部支持体の少なくとも一部には、綿、ラテックス、ポリウレタンフォーム又はそれらの任意の組み合わせが詰められていてもよい。
【0035】
コントローラ(図示されない)は、各チャンバ(及び含まれる場合は側部支持体104)内の圧力を、1つ以上の対応する弁114を介して個別の気流を提供することによって、別々に制御し得る。このようなコントローラは、
図10A~11に関してさらに詳細に説明される。いくつかの実施形態では、弁114は、圧力緩和装置100に恒久的に固定され、(例えば、輸送、保管等をより容易にするために)容易に取り外し可能な管材とインタフェースするように設計される。ここで、圧力緩和装置100は、5つの弁114を含む。3つの弁が一連のチャンバ106に流体的に結合され、2つの弁が側部支持体104に流体的に結合されている。他の実施形態では、圧力緩和装置100は、5つを超える弁114及び/又は5つ未満の弁114を含んでいる。
【0036】
いくつかの実施形態では、圧力緩和装置100は、支持体表面及び/又は取付装置への圧力緩和装置100の固定を強化する1つ以上の構造的特徴116a~cを含む。
図1Bに示すように、例えば、圧力緩和装置100は、3つの設計特徴116a~cを含むことができ、それらの設計特徴116a~cのそれぞれは、支持体表面又は取付装置に沿ってアクセス可能な対応する構造的特徴と位置合わせさせられ得る。例えば、各設計特徴116a~cは、上方に突出する構造的特徴を少なくとも部分的に包囲するように設計されてもよい。設計特徴116a~cはまた、圧力緩和装置100と支持体表面又は取付装置との適切な位置合わせを容易にしてもよい。
【0037】
図2A及び2Bはそれぞれ、本技術の実施形態に係る、支持体表面によって印加される特定の解剖学的領域における圧力を緩和するための圧力緩和装置200の上面図及び底面図である。圧力緩和装置200は、椅子(例えば、事務用椅子、検査用椅子、リクライナ及び車椅子)や車両及び飛行機に含まれる座席等、座位又は部分的に立位にある個人を支持する細長くない支持体表面と組み合わせて使用され得る。そのため、圧力緩和装置200はしばしば、支持体自体に統合された側部支持体(リクライナ又は車椅子の側部アームなど)を備えた支持体表面の上に位置決めされることになる。いくつかの実施形態では、圧力緩和装置200は、取付装置を使用して支持体表面に固定され、他の実施形態では、圧力緩和装置200が下方の支持体表面に直接接触するように、取付装置が省かれる。
【0038】
圧力緩和装置200は、
図1A及び1Bに関して上記にて説明された圧力緩和装置100の特徴と概ね同様の様々な特徴を含み得る。例えば、圧力緩和装置200は、支持体表面に面するように設計された第1の部分202(「第1の層」又は「底層」とも称される)と、支持体表面によって支持された人体に面するように設計された第2の部分204(「第2の層」又は「上層」とも称される)と、第1の部分202と第2の部分204との間の相互接続を介して形成された複数のチャンバ206とを含んでいてもよい。本実施形態では、圧力緩和装置200は、後方の「J字型」チャンバ206及び後方の「C字型」チャンバ206と絡み合った「M字型」チャンバ206を含んでいる。このようなチャンバ206の配置における交番の膨張/収縮は、人体が座位にある際に支持体表面によって仙骨領域に印加される圧力を効果的に緩和することが示されている。
【0039】
これらのチャンバ206の個々の膨張/収縮は、所定のパターンで、所定の圧力レベルとなるまで実行され得る。圧力緩和装置200によって支持される人体は座位にあることから、人体が仰臥位又は腹臥位にある場合よりも圧力緩和装置200により大きな圧力がかかるため、いくつかの実施形態では、例えば、個々のチャンバ206は、
図1A及び1Bに関して説明された圧力緩和装置100のチャンバ206よりも高い圧力レベルにまで膨張させられ得る。さらに、
図1A及び1Bの圧力緩和装置100とは異なり、
図2A及び2Bの圧力緩和装置200は、側部支持体を含んでいない。上記のように、構造上に個人が座っている又はリクライニングしている該構造物が、既にその者を横方向中央に配置する構成要素(例えば、ベッドの側部に沿ったレール、椅子の側部に沿った肘掛け)を提供している場合、側部支持体は省かれてもよい。このことは、支持体表面が細長くない場合に多く該当する。
【0040】
図10A~11に関して以下でさらに説明するように、コントローラは、各チャンバ206内の圧力を、1つ以上の対応する弁208を介して個別の気流を提供することによって制御し得る。ここで、圧力緩和装置200は、3つの弁208を含んでおり、3つの弁208のそれぞれが、単一のチャンバ206に対応する。他の実施形態では、圧力緩和装置200は、1つの弁、2つの弁又は3つを超える弁を含んでいてもよく、各弁は、個別に制御される特定のチャンバの膨張及び/又は収縮のために、該特定のチャンバに関連付けられ得る。これらの実施形態及び他の実施形態では、単一の弁208は、2つ以上のチャンバ206に流体的に結合され得る。これらの実施形態及び他の実施形態では、単一のチャンバ206は、2つ以上の弁208(例えば、ある膨張用の弁及び別の収縮用の弁)と流体連通し得る。
【0041】
図1A及び1Bに関して説明された圧力緩和装置100と同様に、
図2A及び2Bの圧力緩和装置200は、上方に特定の解剖学的領域が位置決めされ得る標的領域210を含んでいる。全般的に、チャンバ206は、特定の解剖学的領域への圧力を緩和するように設計された幾何学的パターンで配置される。いくつかの実施形態では、標的領域210は、圧力緩和装置200の中心点又は中心部分を表している。しかしながら、
図2A及び2Bに示すように、チャンバ206の幾何学的パターンは、標的領域210を通って延びるx軸又はy軸に関して対称でなくてもよい。
【0042】
図3は、本技術の実施形態に係る、車椅子によって印加される特定の解剖学的領域における圧力を緩和するための圧力緩和装置300の上面図である。圧力緩和装置300は、上記の
図2A及び2Bの圧力緩和装置200並びに
図1A及び1Bの圧力緩和装置100の特徴と概ね同様の様々な特徴を含み得る。例えば、圧力緩和装置300は、車椅子の座席(すなわち、支持体表面)に面するように設計された第1の部分302(「第1の層」又は「底層」とも称される)と、車椅子の座席によって支持された人体に面するように設計された第2の部分304(「第2の層」又は「上層」とも称される)と、第1の部分302と第2の部分304との間の相互接続を介して形成された複数のチャンバ306と、該複数のチャンバ306から出る流体及び/又は該複数のチャンバ306に入る流体の流れを制御する複数の弁308とを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、第1の部分302は車椅子の座席に直接隣接し、他の実施形態では、第1の部分302は取付装置に直接隣接している。
図3に示すように、圧力緩和装置300は、「U字型」チャンバ306及び「C字型」チャンバ306と絡み合った「M字型」チャンバ306を含んでいてもよく、これらのチャンバ306は、車椅子の座席上での座位における人体の仙骨領域に印加される圧力を緩和するために、所定のパターンに従って膨張及び収縮される。
【0043】
図4は、本技術の実施形態に係る、運動障害のある患者の虚血を回避するための様々な圧力分布を示す、圧力緩和装置400の部分概略上面図である。上記にて説明したように、人体が接触表面402によって長期間にわたって支持されている際には、仙骨、尾骨、踵又は股関節を覆う皮膚のような、骨の隆起を覆う組織内に圧迫創傷が形成される可能性がある。これらの骨の隆起は、しばしば接触表面402によって最も圧力が加えられる1つ以上の位置を表し、したがって、人体の表面に沿った「(1つ以上の)主要圧力点」と称されることがある。圧迫創傷の形成を予防するため、健康な者は、定期的に軽い体位調整(「微調整」としても知られる)を行い、それによって主要圧力点の位置をシフトさせている。しかしながら、運動障害のある人は、自分でこれらの微調整を行えないことが多い。運動障害は、身体的傷害(例えば、外傷性創傷又は進行性創傷)、運動制限(例えば、車内、航空機内又は拘束中)、医療処置(例えば、麻酔を必要とするもの)及び/又は個人の自然な動きを制限する他の条件に起因することがある。これらの運動障害のある者のために、圧力緩和装置400は、主要圧力点の位置をそれらの者に代わってシフトするために使用され得る。すなわち、圧力緩和装置400は、持続的で局所的な血管圧迫を回避し、組織灌流を増強するために、移動する圧力勾配を作成し得る。
【0044】
図4に示すように、圧力緩和装置400は、圧力を個別に変化させることが可能な一連のチャンバ404(「セル」とも称される)を含み得る。チャンバ404は、圧力緩和装置400の第1の層(又は、底層)と第2の層(又は、上層)との間の相互接続によって形成されてもよい。上層は、人体と直接接触するように構成された第1の材料(例えば、通気性の非刺激性材料)で構成されてもよく、底層は、接触表面402又は取付装置と直接接触するように構成された第2の材料(例えば、非通気性のグリップ材料)で構成されてもよい。これらの実施形態及び他の実施形態では、上層及び/又は底層は、コーティングされた布又は相互接続された材料の積層体等の複数の材料で構成され得る。
【0045】
ポンプは、
図11に関して以下に説明する圧力装置のようなものであって、各チャンバ404に(例えば、対応する入口弁を介して)流体的に結合され得る一方で、コントローラは、
図11に関して以下に説明するコントローラのようなものであって、ポンプによって生成された、各チャンバ404内への流体(例えば、空気)の流れを、所定のパターンに従って個別に制御してもよい。以下でさらに説明するように、ポンプ及びコントローラは、一連のチャンバ404をいくつかの異なる方法で操作し得る。いくつかの実施形態では、チャンバ404は、自然に収縮した状態を有し、コントローラは、ポンプによって少なくとも1つのチャンバ404を膨張させ、それによって主要圧力点をユーザの解剖学的構造に沿ってシフトさせる。例えば、ポンプは、解剖学的領域の真下に位置するチャンバ404の少なくとも1つを膨張させ、それによって該解剖学的領域に瞬間的に接触圧力を印加し、収縮した(1つ以上の)チャンバ404に隣接する周囲の解剖学的領域における接触圧力を和らげてもよい。これらの実施形態及び他の実装形態では、コントローラは、ポンプによって解剖学的領域に隣接する2つ以上のチャンバ404を膨張させ、それによって該解剖学的領域の下方に開放空間又はボイドを作成して、主要圧力点を少なくとも瞬間的に該解剖学的領域から離れるようにシフトする。他の実施形態では、チャンバ404は自然に膨張した状態を有し、コントローラは、ポンプによって少なくとも1つのチャンバ404を収縮させ、それによって主要圧力点をユーザの解剖学的構造に沿ってシフトさせる。例えば、ポンプは、解剖学的領域の真下に位置するチャンバ404の少なくとも1つを収縮させ、それによって該解剖学的領域の下方にボイドを形成して、解剖学的領域上の接触圧力を瞬間的に和らげるように構成されてもよい。自然に収縮した状態又は自然に膨張した状態のいずれに構成されていても、個々のチャンバ404の膨張レベルの連続的又は断続的な変更は、主要圧力点の位置を人体の種々異なる部分にわたって移動させる。
図4に示すように、例えば、チャンバ404を膨張及び/又は収縮させることにより、圧力緩和装置400にわたって所定のパターンで移動する一時的な接触領域406が作成され、それによって、人体上の(1つ以上の)主要圧力点の位置が有限の時間間隔にて変化する。このようにして、圧力緩和装置400は、動ける個人によってなされる微調整をシミュレートすることができ、それによって接触表面402によって生じる停滞圧力の印加を和らげることができる。
【0046】
上記のように、一連のチャンバ404は、解剖学的に特定のパターンで配置されてもよく、その結果、1つ以上の個々のチャンバ内の圧力が変更される際に、(例えば、主要圧力点を他の場所にシフトすることによって)人体の特定の解剖学的領域の接触圧力が和らげられる。
図4に示すように、例えば、主要圧力点は、8つの一時的な接触領域406に対応する8つの異なる位置の間で移動させられ得る。いくつかの実施形態では、主要圧力点は、予測可能な様式で(例えば、時計回り又は反時計回りのパターンで)これらの位置の間をシフトし、他の実施形態では、主要圧力点は、予測不可能な様式で(例えば、ランダムパターン、準ランダムパターン及び/又は検出された圧力レベルに従って)これらの位置の間をシフトする。当業者は、これらの一時的な接触領域406の量及び位置が、一連のチャンバ404の配置、圧力緩和装置400によって支持される解剖学的領域、圧力緩和装置400によって支持される人体の特性、及び/又は、ユーザの状態(例えば、ユーザが完全に動けなくされている、部分的に動けなくされている等)に基づいて変化し得ることを認識するであろう。
【0047】
いくつかの実施形態では、ユーザ(「患者」とも称される)の状態が側部支持体により提供される位置決めによる利益を得られない可能性があるため、圧力緩和装置400は、側部支持体を含まない。例えば、側部支持体は、患者が(例えば、麻酔下で、医学的に誘発された昏睡状態において、等)医学的に動けなくされている際、並びに/又は、下方の支持体表面(例えば、ベッドの側部に沿ったレール、椅子の側部上の肘掛け)及び/若しくは他の構造(例えば、患者を押さえつける物理的拘束具、ギプス等)によって物理的に拘束されている際には、省かれ得る。
【0048】
図5は、本技術の実施形態に係る、圧力緩和装置を製造するプロセス500のフロー図である。まず、エンティティ(「製造業者」とも称される)は、第1の材料で構成された第1のシートを取得し得る(ステップ501)。第1の材料は、例えば、第1のシートが長期間(例えば、数時間)にわたって人体との直接接触を問題なく維持することを許容する、通気性の非刺激性材料であってもよい。第1の材料は、液体に対して不浸透性であってもよい。いくつかの実施形態では、製造業者は、第1のシート内に複数の穿孔を形成してもよい。第1の材料が液体に対して不浸透性である場合、該穿孔によって、刺激を生じさせる可能性のある液体(例えば、汗)の通過が可能になる。第1の材料が液体に対して不浸透性でない場合、該穿孔によって、第1の材料の乾燥を容易にするために空気の通過が可能になる。
【0049】
製造業者はまた、第2の材料で構成された第2のシートを取得し得る(ステップ502)。第2の材料は、例えば、支持体表面又は取付装置のいずれかとの直接接触を問題なく維持可能な非通気性のグリップ材料であってもよい。第2の材料は、滑りを防止するために、ある程度の粘着性を提供してもよい。換言すれば、第2の材料は、圧力緩和装置と支持体表面との間の静止摩擦(「スティクション」とも称される)を増進し、それによって互いに接触しているこれらの物体の相対運動を制限するように設計されてもよい。概して、第2の材料は、液体に対して不浸透性であるが、いくつかの実施形態では(例えば、圧力緩和装置の頻繁な置き換えがありそうな際には)、第2の材料は、液体に対して浸透性である。第1のシートと同様に、製造業者は、流体(例えば、汗、水又は空気)の通過を可能にするために、第2のシートに複数の穿孔を形成してもよい。
【0050】
次に、製造業者は、第1のシート及び第2のシートの外周に沿って相互接続を形成することにより、キャビティを作成し得る(ステップ503)。相互接続は、いくつかの異なる方法で形成され得る。例えば、第1のシート及び第2のシートが(1つ以上の)熱可塑性プラスチックで構成されている場合、第1のシート及び第2のシートは、外周に沿って熱を加えることにより、一緒に溶接され得る。別の例として、第1のシート及び第2のシートは、接着剤を使用して互いに固定されてもよい。同様に、製造業者は、第1のシートと第2のシートとの間に追加の相互接続を形成することによって、チャンバの幾何学的パターンを作成し得る(ステップ504)。概して、チャンバの幾何学的パターンは、圧力緩和装置によって圧力が和らげられることとなる特定の解剖学的領域の内部解剖学的構造(例えば、筋肉、骨及び血管系)に基づいて設計される。例えば、チャンバのいくつかの幾何学的パターンは、座位における人体の背側に適しており、チャンバの他の幾何学的パターンは、仰臥位及び/又は腹臥位における人体の背側に適している。チャンバのパターン(又はチャンバ自体)はまた、圧力緩和装置を使用することが予期される者の1つ以上の特性に基づいて設計されてもよく、そのような特性としては、例えば、サイズ、重量又は身体的病気等が挙げられる。例えば、種々異なる圧力緩和装置が、新生児患者、小児患者、平均的な成人患者、肥満患者又は老人患者に対して利用されてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、製造業者は、第1のシート及び/又は第2のシートにコーティングを付与する(ステップ505)。例えば、製造業者は、第2のシートに滑り止めコーティングを付与してもよく、それによって、圧力緩和装置が支持体表面又は取付装置のいずれかに固定され得ることを確実にしてもよい。別の例として、製造業者は、真菌、カビ及び細菌に対する保護を提供するために、第1のシート及び/又は第2のシートに抗菌コーティングを付与してもよい。
【0052】
選択された取付装置の実施形態
取付装置は、圧力緩和装置(例えば、
図1A~4に関して上述した圧力緩和装置100,200,300,400)を、支持体表面、例えばマットレス、テーブル、リクライナ、車椅子及び/又は別のタイプの支持体表面等に固定的に取り付けるデバイスである。取付装置は、恒久的又は一時的に、支持体表面に固定可能であり、圧力緩和装置は、恒久的又は一時的に、取付装置に固定可能である。このように、取付装置は圧力緩和装置を、人体の解剖学的領域に関してその最適/適切な位置に、より正確かつ効果的に固定し得る。取付装置のいくつかの例が、
図6~8に関して以下に説明される。別段の記載がない限り、一実施形態に関して説明された任意の特徴は、他の実施形態にも同様に適用可能である。いくつかの特徴は、本開示を単純化する目的で、取付装置の単一の実施形態に関してのみ説明されている。
【0053】
図6は、本技術の実施形態に係る、圧力緩和装置を支持体表面に固定するための取付装置600(「取付装置」又は「取付機構」とも称される)の上面図である。
図6に示される実施形態は、概して、圧力緩和装置を細長い支持体表面に固定するために使用され、
図8に示される実施形態は、概して、圧力緩和装置を細長くない支持体表面に固定するために使用される。しかしながら、本明細書に説明される全ての取付装置は、様々な長さ、幅及び/又は厚さの表面を支持するように固定され得る。細長い支持体表面の例には、マットレス、担架、手術台及び検査台等の細長い支持体表面が含まれる。細長くない支持体表面の例には、椅子(例えば、事務用椅子、検査用椅子、リクライナ及び車椅子)、並びに、車両及び飛行機内に含まれた座席が含まれる。
【0054】
取付装置600は、支持体表面に面するように設計された第1の部分602(「第1の側部」とも称される)と、圧力緩和装置に面するように設計された第2の部分604(「第2の側部」とも称される)とを含む。第1の部分602は、第2の部分604の反対側に配置されているが、1つ以上の中間層が、第1の部分602と第2の部分604との間に配置されることがある。いくつかの実施形態では、第1の部分602及び第2の部分604は、単一の材料から構成される構成要素の両側部を表す。例えば、取付装置600は、その全体がポリウレタン、ポリプロピレン、シリコーン又はゴム化合物でに構成されてもよい。別の例として、取付装置600は、バイオハザード汚染のリスクを低減し、感染制御を改善するために、密封された非多孔質材料から構成されてもよい。他の実施形態では、第1の部分602及び第2の部分604は、相互接続された材料の積層体の両側部を表し、そのような材料としては、例えば、コア材料(例えば、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ラテックス、ウール、綿、(1つ以上の)織布、(1つ以上の)不織布、天然繊維又は合成繊維で構成される)、カバー(例えば、天然繊維又は合成繊維で構成される)及び/又はコーティングが挙げられる。例えば、取付装置600は、シリコンゴムコーティングによってカプセル化されたポリウレタンフォームコアを含んでいてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1の部分602及び/又は第2の部分604は、ある程度の粘着性を提供する少なくとも1つの接着剤又は滑り止め材料で構成されている。したがって、第1の部分602及び/又は第2の部分604は、スティクションを増進して、それによって、支持体表面に対する圧力緩和装置の相対運動を制限するように設計されてもよい。例えば、取付装置600の外表面を画定する滑り止め材料は、支持体表面に対する圧力緩和装置の動きを制限するのに十分な粘着性を有するシリコーンゴムを含んでいてもよい。しかしながら、第1の部分602及び第2の部分604は、(1つ以上の)同じ滑り止め材料で構成される必要はない。例えば、第1の部分602は、取付装置600が支持体表面に堅固に固定されることを確実にするように設計された滑り止めフィルム、コーティング又はテープを含んでいてもよく、第2の部分604は、圧力緩和装置の固定をシリコーンゴムによって提供される粘着性に依存していてもよい。したがって、圧力緩和装置は、取付装置600から容易に取り外し可能であってもよい。しかしながら、以下に記載されるように、いくつかの実施形態では、圧力緩和装置は、取付装置600に(例えば、接着剤、熱及び/又は圧力等によって)恒久的に固定されていてもよい。
【0056】
加えて又はこれに代えて、取付装置600は、1つ以上の開口606であって、取付装置600を下方の支持体表面に接続するために固定要素(図示されない)が該開口606を通って延長可能となる1つ以上の開口606を含んでいてもよい。図示の実施形態では、例えば、取付装置600は、支持体表面又は圧力緩和装置に関連する固定要素(例えば、フック、スナップ又はタブ)を受容するように設計された、取付装置600の上側外周に沿った2つの開口606を含んでいる。開口部606に加えて又はこれに代えて、他の構成要素もまた、取付装置600を支持体表面又は圧力緩和装置に固定するために使用され得る。例えば、取付装置600は、所定の配置で位置決めされた1つ以上の磁石を含んでいてもよい。そのような実施形態では、取付装置600が支持体表面の近接範囲内に持ち込まれた際に、(1つ以上の)磁石が、支持体表面に接続された又は支持体表面内に埋め込まれた磁気的に相補的な1つ以上の)物体に引き付けられてもよい。同様に、取付装置600が圧力緩和装置の近接範囲内に持ち込まれた際に、(1つ以上の)磁石が、圧力緩和装置に接続された又は圧力緩和装置内に埋め込まれた磁気的に相補的な(1つ以上の)物体に引き付けられてもよい。
【0057】
図6に示すように、取付装置600は、相対する2つの横部分610の間に配置された中央部分608を含み得る。この横部分610は、第1の横部分610a(「左横部分」とも称される)及び第2の横部分610b(「右横部分」とも称される)として個別に識別され得る。
図7A~7Cはそれぞれ、左横部分610a、中央部分608及び右横部分610bの上面図である。取付装置600を支持体表面に固定するために、個人は、横部分610を少なくとも部分的に支持体表面の周りに巻き付けることができる。例えば、取付装置600を病院用ベッドに固定するために、横部分610は、病院用ベッドの下側に沿って固定されてもよい。そのような実施形態では、各横部分610の少なくとも一部は、中央部分608に対して略平行に配置されてもよい。別の例として、取付装置600をマットレスに固定するために、横部分610は、マットレスの両側部に沿って固定されてもよい。そのような実施形態では、各横部分610は、中央部分608に対して略垂直に配置されてもよい。取付装置600のいくつかの実施形態は、横部分610を含まない。
【0058】
図8は、本技術の実施形態に係る、圧力緩和装置を支持体表面に固定するための取付装置800の上面図である。
図6~7Cの取付装置600と同様に、
図8の取付装置800は、支持体表面に面するように設計された第1の部分802(「第1の側部」とも称される)と、圧力緩和装置に面するように設計された第2の部分804(「第2の側部」とも称される)とを含む。いくつかの実施形態では、第1の部分802及び第2の部分804は、単一の材料から構成される構成要素の両側部を表し、他の実施形態では、第1の部分802及び第2の部分804は、少なくとも部分的に相互接続された材料の積層体の両側部を表す。第1の部分802及び/又は第2の部分804は、上方の圧力緩和装置を下方の支持体表面に少なくとも部分的に固定するためのある程度の粘着性を提供するために、少なくとも1つの滑り止め材料から構成され得る。
【0059】
しかしながら、
図6の取付装置600とは対照的に、
図8の取付装置800は、両側の横部分を含まない。代わりに、取付装置800は、取付装置800が支持体表面の境界範囲内に完全に適合可能となるように設計され得る。そのような設計は、それらの外周に沿って配置された構成要素を有する、及び/又は、支持体表面の(一方又は両方の)側部周りの横部分に固定する又は詰め込むことを困難にする他の特徴を有するそれらの支持体表面にとって特に有用であり得る。そのような支持体表面の一例として、座席の後縁部に直交して配置された後部と、座席の横縁部に隣接する両側部の特徴(例えば、衣類ガード及び/又は反対側のアーム)を有する車椅子が挙げられる。この例では、座席(すなわち、支持体表面)の外周が3つの縁で区画されており、取付装置800は、車椅子の座席上に直接載置され得る。取付装置800は、リクライナ、飛行機の座席、自動車の座席当の他の座席状の構造や、マットレス、担架、手術台及び検査台等の細長い支持体表面と共に使用され得る。いくつかの実施形態では、取付装置800は、スナップ、フック又は穴等の接続機能を含み得る。それらの接続機能は、支持体表面の別の構成要素とインタフェースし、それによって取付装置800を下方の支持体表面に固定することができる。
【0060】
図6の取付装置600及び
図8の取付装置800は、様々な幅、長さ及び厚さの圧力緩和装置に順応するように設計され得る。例えば、様々な実施形態において、取付装置は、幅12~18インチ(30.5~45.7cm)、長さ20~72インチ(50.8~182.9cm)及び厚さ0.5~2インチ(1.3~5.1cm)を有していてもよい。これらの実施形態及び他の実施形態では、取付装置は、該取付装置に取り付けられる所望の取付側部及び圧力緩和装置に順応するように、より大きな又はより小さな幅、長さ及び/又は厚さを有していてもよい。概して、取付装置の表面は、(例えば、患者間で)より容易な洗浄を可能にするために、実質的に平面とされる。しかしながら、いくつかの実施形態では、取付装置の少なくとも表面が、所定の支持体表面(例えば、テクスチャード加工されたマットレス)に適合するようにテクスチャード加工されていてもよい。
【0061】
当業者は、取付装置が、
図6~8に関して示された及び説明されたもの以外の形態をとり得ることを認識するであろう。例えば、取付装置は、長さ:幅の比が少なくとも2、少なくとも3又は少なくとも5の長方形の形態をとっていてもよい。そのような実施形態では、個人は、一連の行又は列において支持体表面に沿って複数の取付装置を固定し得る。別の例として、取付装置は、中央開口部を有するフレームの形態をとっていてもよい。いくつかの実施形態では、圧力緩和装置は、(例えば、その上に配される人体によって圧力緩和装置に印加される力によって)支持体表面に中央開口部を介して接触することが許容され、他の実施形態では、圧力緩和装置は、圧力緩和装置と支持体表面との間に隙間が残ることを確実にするのに十分な剛性を備えている。
【0062】
図9は、本技術の実施形態による、取付装置を製造するためのプロセス900の流れ図である。まず、エンティティ(「製造業者」とも称される)は、取付装置へと形成可能な材料のロールを取得し得る(ステップ901)。該材料は、例えば、ポリウレタン、ポリプロピレン、シリコーン又はゴム化合物であってもよい。
【0063】
その後、製造業者は、該材料を切断し、それによって少なくとも1つの取付装置を形成し得る(ステップ902)。上記のように、取付装置は様々な形態をとり得るため、製造業者は、該材料のロールを複数の長方形のセグメント、正方形のセグメント又は楕円形のセグメントに切断してもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、取付装置の上側表面及び/又は下側表面は、取付装置の動きを自然に制限するのに十分な粘着性を備えた、シリコーンゴム等の材料で構成される。他の実施形態では、製造業者は、取付装置の上側表面及び/又は下側表面に接着剤コーティングを付与する(ステップ903)。そのような実施形態では、製造業者は、接着剤コーティングをカバー又はフィルムで覆ってもよく、このカバー又はフィルムは、取付装置が支持体表面に固定される前に、又は、圧力緩和装置が取付装置に固定される前に、取り除かれる必要がある。
【0065】
他のステップもまた、いくつかの実施形態に含まれていてもよい。例えば、取付装置のいくつかの実施形態は、相互接続された材料の積層体で構成される。したがって、取付装置は、圧力緩和装置とインタフェースするための上層と、支持体表面とインタフェースするための底層との間に配置された、1つ以上の中間層を含んでいてもよい。(1つ以上の)該中間層は、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ラテックス、ウール、綿、(1つ以上の)織布、(1つ以上の)不織布、天然繊維又は合成繊維から構成され得る。
【0066】
選択された圧力緩和システムの実施形態
圧力緩和装置は、取付装置、コントローラデバイス(「コントローラ」とも称される)及び1つ以上のポンプをも含んでいる圧力緩和システムの一部であってもよい。取付装置は、圧力緩和装置が支持体表面に固定的に接着されていることを確実にし得る。一方、コントローラは、ポンプによって生成された、圧力緩和装置の各チャンバ内への流体(空気など)の流れを制御することによって、人体の1つ以上の解剖学的領域における圧力を変化させ得る。例えば、コントローラは、1つ以上のチャンバの膨張、1つ以上のチャンバの収縮又はそれらの任意の組み合わせを制御可能に行ってもよい。
【0067】
図10Aは、本技術の実施形態に係る、チャンバ収縮によって特定の解剖学的領域への圧力を和らげるための圧力緩和装置1002aの部分概略側面図である。圧力緩和装置1002aは、接触表面1000(「支持体表面」とも称される)と人体1004との間に位置決めされ得るものであり、人体1004の特定の解剖学的領域における圧力を和らげるために、特定の解剖学的領域に近接する複数のチャンバ(まとめて「チャンバ1008」と呼ばれる)のうち少なくとも1つのチャンバ1008aが少なくとも部分的に収縮し、それによって該特定の解剖学的領域の下方に開放領域又はボイド1006aを作成する。そのような実施形態では、残りのチャンバ1008が膨張したままであってもよい。このようにして、圧力緩和装置1002aは、接触表面1000によって人体1004に印加された接触圧力を和らげるために、チャンバ1008(又は複数のチャンバの配置)を順次収縮させてもよい。
【0068】
図10Bは、本技術の実施形態に係る、チャンバ膨張によって特定の解剖学的構造への圧力を和らげるための圧力緩和装置1002bの部分的に概略的な側面図である。例えば、人体1004の特定の解剖学的領域における圧力を和らげるために、圧力緩和装置1002bは、特定の解剖学的領域に直接隣接して配置された2つのチャンバ1008b及び1008cを膨張させることができ、それによって該特定の解剖学的領域の下方にボイド1006bを作成し得る。そのような実施形態では、残りのチャンバが少なくとも部分的に収縮したままであってもよい。このようにして、圧力緩和装置1002bは、接触表面1000によって人体1004に印加された接触圧力を和らげるために、チャンバ(又は複数のチャンバの配置)を順次膨張させてもよい。
【0069】
図10A及び10Bの圧力緩和装置1002a,1002bは、接触表面1000と直接接触していることが示されている。しかしながら、いくつかの実施形態では、取付装置は、圧力緩和装置1002a,1002bと接触表面1000との間に位置決めされる。
【0070】
いくつかの実施形態では、
図10A及び10Bの圧力緩和装置1002a,1002bは、同じ構成のチャンバ1008を有し得ると共に、圧力緩和装置1002a,1002bは、オペレータ(例えば、医療専門家又はユーザ)によって行われた選択に基づいて、標準で膨張した状態(
図10Aに関して説明される)及び標準で収縮した状態(
図10Bに関して説明される)の両方で動作することができる。例えば、オペレータは、コントローラを使用して、圧力緩和デバイスが
図10Aに関して説明したように動作するように標準で収縮したモードを選択した後、圧力緩和デバイスが
図10Bに関して説明したように動作するように、動作モードを標準で膨張したモードに変更することができる。したがって、本明細書に開示される圧力緩和装置は、制御可能に膨張するチャンバ、制御可能に収縮するチャンバ又はそれらの組み合わせによって、主要圧力点の位置をシフトさせることができる。
【0071】
図11は、本技術の実施形態に係る、個人1102を圧力緩和装置1106上に位置合わせするための圧力緩和システム1100(「システム1100」とも称される)の側面図を含む。システム1100は、圧力緩和装置1106を含むことができ、圧力緩和装置1106は、側部支持体1108、取付装置1104、圧力デバイス1114及びコントローラ1112を含む。取付装置1104は、圧力緩和装置1106を支持体表面1116に固定する役割を果たしてもよい。圧力緩和装置のさらなる例は、
図1~3に関して詳細に説明されており、取付装置のさらなる例は、
図6~8に関して詳細に説明されている。
【0072】
本実施形態では、圧力緩和装置1106は、圧力緩和装置1106の両側部に沿って長手方向に延びる一対の隆起した側部支持体1108を含んでいる。圧力緩和装置1106は、基材上で相互接続された一連のチャンバを含む。上記にてさらに説明したように、これらのチャンバは、支持体表面1116によって特定の解剖学的領域に印加される圧力を緩和するように設計された幾何学的パターンで配置されてもよい。
【0073】
隆起した側部支持体1108は、個々の1102の特定の解剖学的領域を一連のチャンバにわたって能動的に位置合わせするように構成され得る。例えば、隆起した側部支持体1108は、幾何学的パターンの中心地点を越えて特定の解剖学的領域を幅方向に能動的に位置合わせする役割を果たしてもよい。特定の解剖学的領域は、仙骨領域、肩甲骨領域又は頭部/頭蓋領域であってもよい。しかしながら、特定の解剖学的領域は、圧力の影響を受け易い(したがって、圧迫潰瘍の形成に影響を受け易い)身体の任意の領域であってもよい。隆起した側部支持体1108は、人間工学的に快適であるように構成されてもよい。例えば、隆起した側部支持体1108は、前腕を収容するように設計された凹部を含んでいてもよく、該凹部によって、圧力が肘から解放されることが許容される。
【0074】
隆起した側部支持体1108は、圧力緩和装置1106のチャンバよりもサイズが著しく大きくてもよい。したがって、隆起した側部支持体1108は、個人1102の横方向の動きを制限する障壁を作成してもよい。いくつかの実施形態では、隆起した側部支持体1108は、膨張したチャンバの平均高さと比較して、高さが約2インチ、3インチ、4インチ又は6インチ高い。隆起した側部支持体1106は個人1102を跨ぐため、隆起した側部支持体1108は、圧力緩和装置1106の上部における個人1102の体位を維持するための障壁として機能し得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、隆起した側部支持体1108の内側側壁は、膨張後において、圧力緩和装置1106に対する配向角度が急勾配の堅固な表面を形成する。例えば、内側側壁は、圧力緩和装置1106の上側表面によって画定される実質的な水平面から約115度±24度の平面上にあってもよい。これらの急勾配の内側側壁は、圧力緩和装置1106のチャンバ上に個人1102を自然に位置決めする溝状帯(channel)を形成し得る。このようにして、隆起した側部支持体1108の膨張は、個人1102を圧力緩和装置1106のチャンバに対して正しい体位に位置合わせすることによって、個人1102を能動的に圧力を緩和するための適切な位置へと強制的に追い込んでもよい。
【0076】
快適性を高めると共に個人1102の横側部に対して過度の力がかかることを防止するために、最初の膨張サイクルが完了した後、各隆起した側部支持体1108の圧力が低下させられてもよい。隆起した側部支持体1108によって個人1102が圧力緩和装置1106の上方に適切に位置決めされることを確実にするために、多くの場合、医療専門家(例えば、医師、看護師又は介護者)が、最初の膨張サイクル中に立ち会うことになる。
【0077】
コントローラ1112は、圧力デバイス1114(例えば、空気ポンプ)及び多チャンネル管材1110を介して、圧力緩和装置1106及び/又は各隆起した側部支持体1108に含まれる各チャンバの圧力を調節するように構成され得る。例えば、これらのチャンバは、コントローラ1112によって協調的に膨張(加圧)及び収縮(減圧)された際に血流を保つと共に個人1102に印加される圧力を低減するため、特定のパターンで制御されてもよい。いくつかの実施形態では、多チャンネル管材1110は、圧力緩和装置1106と圧力デバイス1114との間に接続されている。したがって、圧力緩和装置1106は、多チャンネル管材1110の第1の端部に流体的に結合されてもよく、圧力デバイス1114は、多チャンネル管材1110の第2の端部に流体的に結合されてもよい。他の実施形態では、多チャンネル管材1110の第1のセグメントは、圧力デバイス1114とコントローラ1112との間に接続され、多チャンネル管材1110の第2のセグメントは、コントローラ1112と圧力緩和装置1106との間に接続される。そのような実施形態では、圧力デバイス1114及び圧力緩和装置1106は、コントローラ1112を介して互いに流体的に接続され得る。
【0078】
上記のように、重症度の高い患者は、脳卒中及び急性腎障害等の運動機能に影響を及ぼす状態を治療するために病院に入院することが多い。しかしながら、運動障害は、人体の所定の解剖学的領域における血管圧迫を引き起こす可能性があり、血管圧迫は、虚血再灌流傷害(「虚血傷害」又は「再灌流傷害」とも称される)を引き起こす可能性がある。虚血再灌流傷害を予防又は処置するために、圧力緩和装置は、人体と、人体の(1つ以上の)所定の解剖学的領域において圧力を印加する支持体表面との間に、位置決めされてもよい。
【0079】
図12は、本技術の実施形態に係る、虚血再灌流傷害を予防及び/又は処置するように設計された圧力緩和システムを展開するためのプロセス1200のフロー図である。まず、個人は、人体と支持体表面との間に配置される圧力緩和装置を取得し得る(ステップ1201)。個人は、圧力緩和システムによって治療される人であってもよく、他の人(例えば、医師、看護師又は介護者)であってもよい。いくつかの実施形態では、個人は、種々異なる体型、解剖学的領域又は支持体表面のために設計された複数の圧力緩和装置の中から、1つの圧力緩和装置を選択する。
【0080】
個人はまた、圧力緩和装置及び/又は支持体表面に関連する取付装置をも取得し得る(ステップ1202)。例えば、圧力緩和装置が腹臥位における人体のために設計されている場合、個人は、細長い支持体表面のために設計された取付装置を取得してもよい。別の例として、圧力緩和装置が座位における人体のために設計されている場合、個人は細長くない支持体表面のために設計された取付装置を取得してもよい。
【0081】
次に、個人は、取付装置の下側表面を支持体表面に固定し得る(ステップ1203)。上記のように、取付装置は、ある程度の粘着性を提供する少なくとも1つの材料で構成され得る。いくつかの実施形態では、取付装置の下側表面は、動きを自然に制限するのに十分な粘着性を備えた、シリコーンゴム等の材料で構成される。いくつかの実施形態では、取付装置の下側表面は、より恒久的な接着力によって動きを制限するのに十分な粘着性を有する接着フィルムを含んでいる。そのような実施形態では、個人は、取付装置を支持体表面に固定する前に、取付装置の底面からカバー又はフィルムを取り除く必要がある場合がある。いくつかの実施形態では、取付装置は、穿孔又はノッチ等の1つ以上の設計特徴であって、固定要素が該設計特徴を通って延びることが可能となる1つ以上の設計特徴を含んでいる。固定要素の例には、フック、スナップ、タブ及びその他の構造的特徴が含まれる。
【0082】
続いて、個人は、圧力緩和装置を取付装置の上側表面に固定し得る(ステップ1204)。いくつかの実施形態では、取付装置の上側表面及び/又は圧力緩和装置の下側表面は、動きを自然に制限するのに十分な粘着性を備えた、シリコーンゴム等の材料から構成される。いくつかの実施形態では、取付装置の上側表面及び/又は圧力緩和装置の下側表面は、より恒久的な接着力によって動きを制限するのに十分な粘着性を有する接着フィルムを含んでいる。そのような実施形態では、個人は、取付装置を圧力緩和装置に固定する前に、取付装置の上側表面及び/又は圧力緩和装置の下側表面からカバー又はフィルムを取り除く必要がある場合がある。いくつかの実施形態では、取付装置及び/又は圧力緩和装置は、穿孔又はノッチ等の1つ以上の設計特徴であって、固定要素が該設計特徴を通って延びることが可能となる1つ以上の設計特徴を含んでいる。例えば、支持体表面に沿ってアクセス可能な突出特徴は、取付装置を通る穿孔及び圧力緩和装置を通る穿孔を通って延長可能である。
【0083】
次に、個人は、圧力緩和装置をコントローラに接続し得る(ステップ1205)。例えば、
図11に示すように、個人は、コントローラを圧力緩和装置に流体的に結合するために、多チャンネル管材を使用してもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、圧力緩和装置が接続されているかどうかを自動的に決定するように構成されていてもよい。例えば、コントローラの外側表面に沿ってアクセス可能な流体インタフェースと圧力緩和装置との間の接続を監視することによって、コントローラは、どのタイプの圧力緩和装置が接続されているかを検出し得る。
【0084】
その後に、圧力緩和システムを使用して治療されることとなる人体が、圧力緩和装置上に配置され得る(ステップ1206)。圧力緩和装置は、人体の特定の解剖学的領域における圧力を緩和するように設計されたチャンバの幾何学的パターンを含んでいてもよい。したがって、人体は、圧力緩和装置の特定の領域(「ターゲット領域」とも称される)の上方に位置合わせされる必要がある場合がある。
図1A~2Bに示すように、標的領域は、圧力緩和装置の上側表面に沿って視覚的に識別可能であってもよい。
【0085】
次に、コントローラは、パターンに従って、圧力緩和装置のチャンバを膨張させ得る(ステップ1207)。より具体的には、コントローラは、制御可能に膨張する(1つ以上の)チャンバ、制御可能に収縮する(1つ以上の)チャンバ又はそれらの任意の組み合わせによって、人体の(1つ以上の)解剖学的領域における圧力が変化するようにし得る。該パターンは、圧力緩和装置に対応していてもよい。例えば、所与の圧力緩和装置がコントローラに接続されていることを検出した際に、コントローラは、適切なパターンを識別するために、チャンバの種々異なる数/位置を有する種々異なる圧力緩和装置に対応するパターンについてのライブラリを調査してもよい。
【0086】
物理的可能性に反しない限り、上記のステップは、様々な順序及び組み合わせで実行されてもよいことが想定される。例えば、個人は、取付装置を支持体表面に固定する前に、圧力緩和装置を取付装置に固定してもよい。他のステップもまた、いくつかの実施形態に含まれていてもよい。例えば、パターンに従って圧力緩和装置のチャンバを膨張させる前に、コントローラは、サイズ、重量、動けない程度又は体位等の、圧力緩和システムによって処理される人体の特性を指定するようにオペレータに促してもよい。
【0087】
処理システム
図13は、本明細書に記載の少なくともいくつかの動作を実装可能な処理システム1300の例を示すブロック図である。例えば、処理システム1300のいくつかの構成要素は、圧力緩和装置(例えば、
図11の圧力緩和装置1106)を制御する役割を担うコントローラ(例えば、
図11のコントローラ1112)上でホストされてもよい。
【0088】
処理システム1300は、1つ以上の中央処理ユニット(「プロセッサ」)1302と、メインメモリ1306と、不揮発性メモリ1310と、ネットワークアダプタ1312(例えば、ネットワークインタフェース)と、ビデオディスプレイ1318と、入力/出力デバイス1320と、制御デバイス1322(例えば、キーボード及びポインティングデバイス)と、記憶媒体1326を含むドライブユニット1324と、バス1316に通信可能に接続された信号生成デバイス1330とを含んでいてもよい。バス1316は、適切なブリッジ、アダプタ又はコントローラによって接続された1つ以上の物理バス及び/又はポイントツーポイント接続を表す抽象概念として図示されている。したがって、バス1316には、システムバス、周辺機器相互接続(Peripheral Component Interconnect、PCI)バス又はPCI-Expressバス、HyperTransport又は業界標準アーキテクチャ(ISA)バス、小型コンピュータシステムインタフェース(SCSI)バス、ユニバーサルシリアルバス(USB)、IIC(I2C)バス、又は電気電子技術者協会(IEEE)の標準1394バス(「Firewire」とも称される)が含まれ得る。
【0089】
処理システム1300は、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ゲームコンソール、音楽プレーヤ、ウェアラブル電子デバイス(例えば、時計又はフィットネストラッカー)、ネットワーク接続(「スマート」)デバイス(例えば、テレビ又はホームアシスタントデバイス)、仮想/拡張現実システム(例えば、ヘッドマウントディスプレイ)、又は、処理システム1300によって行われることになる(1つ以上の)アクションを指定する命令のセットを(逐次的に又はそれ以外の方法で)実行可能な別の電子デバイスと同様のコンピュータプロセッサアーキテクチャを共有してもよい。
【0090】
メインメモリ1306、不揮発性メモリ1310及び記憶媒体1326(「機械可読媒体」とも称される)は、単一の媒体として示されているが、用語「機械可読媒体」及び「記憶媒体」は、1つ以上の命令のセット1328を記憶する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中データベース又は分散データベース、及び/又は関連するキャッシュ及びサーバ)を含むと解されるべきである。用語「機械可読媒体」及び「記憶媒体」は、処理システム1300により実行される命令のセットを格納、符号化又は運搬可能な任意の媒体を含むと解されるべきである。
【0091】
全体として、本開示の実施形態を実施するために実行されるルーチンは、オペレーティングシステム又は特定のアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール若しくは命令シーケンス(あわせて「コンピュータプログラム」と称される)の一部として実装されてもよい。コンピュータプログラムは、典型的には、コンピュータの様々なメモリ及び記憶デバイス内に、種々の時点にセットされた1つ以上の命令(例えば、命令1304,1308,1328)を含む。該(1つ以上の)命令は、1つ以上のプロセッサ1302によって読み取られて実行された際に、処理システム1300に、本開示の様々な態様を伴う要素を実行する動作を行わせる。
【0092】
さらに、実施形態は、完全に機能するコンピューティングデバイスの文脈にて記載されているが、当業者であれば、種々の実施形態が様々な形態のプログラム製品として配布可能であることを理解するであろう。本開示は、実際に配布を行うために使用される機械又はコンピュータ可読媒体の特定のタイプにかかわらず適用される。
【0093】
機械可読記憶媒体、機械可読媒体又はコンピュータ可読媒体のさらなる例には、揮発性及び不揮発性メモリデバイス1310、フロッピー及び他のリムーバブルディスク、ハードディスクドライブ、光ディスク(例えば、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD))等のような記録可能型媒体、及び、デジタル及びアナログ通信リンクのような伝送型媒体が含まれる。
【0094】
ネットワークアダプタ1312は、処理システム1300が、処理システム1300及び外部エンティティによってサポートされる任意の通信プロトコルを通じて、処理システム1300の外部にあるエンティティを用いてネットワーク1314内のデータを仲介することを可能にする。ネットワークアダプタ1312は、ネットワークアダプタカード、ワイヤレスネットワークインタフェースカード、ルータ、アクセスポイント、ワイヤレスルータ、スイッチ、マルチレイヤスイッチ、プロトコル変換器、ゲートウェイ、ブリッジ、ブリッジルータ、ハブ、デジタルメディアレシーバ及び/又はリピータを含むことができる。
【0095】
ネットワークアダプタ1312は、コンピュータネットワーク内のデータにアクセス/プロキシするためのパーミッションを統御及び/又は管理してもよく、かつ、種々異なるマシン及び/又はアプリケーションの間の様々なレベルの信頼を追跡するファイアウォールを含んでいてもよい。ファイアウォールは、特定のマシンのセットとアプリケーションとの間、マシンとマシンとの間、及び/又は、アプリケーションとアプリケーションとの間で(例えば、これらのエンティティ間のトラフィック及びリソース共有のフローを規制するために)所定のアクセス権のセットを実施可能なハードウェア及び/又はソフトウェアコンポーネントの任意の組み合わせを有する、任意の数のモジュールであり得る。ファイアウォールはさらに、個人、マシン及び/又はアプリケーションによるオブジェクトのアクセス権及び操作権を含むパーミッション、並びに、パーミッション権が有効である状況について詳述するアクセス制御リストを管理する、及び/又は、該アクセス制御リストにアクセスすることができる。
【0096】
本明細書にて提示される技術は、プログラム可能な回路(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ)、ソフトウェア及び/若しくはファームウェア、専用のハードワイヤード(すなわち、プログラム不可能な)回路、又は、そのような形態の組み合わせによって実装され得る。専用の回路は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の形式であり得る。
【0097】
例
本技術のいくつかの態様が、以下の例において示される。
1.上層と底層との間の相互接続によって形成された膨張式チャンバの幾何学的配置を含む圧力緩和装置であって、前記膨張式チャンバは、前記膨張式チャンバ内の圧力が変化した際に、支持体表面によって人体に印加される接触圧力を緩和するように構成されている、圧力緩和装置と、
前記圧力緩和装置を前記支持体表面に固定するための取付装置と
を備えている、システム。
2.前記上層は、前記人体と直接接触するように構成された第1の材料で構成されており、
前記底層は、前記取付装置と直接接触するように構成された第2の材料で構成される、例1に記載のシステム
3.前記取付装置は、前記支持体表面に対する前記圧力緩和装置の動きを自然に制限するのに十分な粘着性を提供する材料で構成される、例1に記載のシステム。
4.前記材料は、ポリウレタン、ポリプロピレン、シリコーン又はゴム化合物である、例3に記載のシステム。
5.前記取付装置は、前記圧力緩和装置の底層に接触する上面に沿って配置された第1の接着フィルムを含む、例1に記載のシステム。
6.前記取付装置は、前記支持体表面に接触する底面に沿って配置された第2の接着フィルムを含む、例5に記載のシステム。
7.前記取付装置は、
前記圧力緩和装置の前記底層に接触する上層と、
前記支持体表面に接触する底層と
を含む、例1に記載のシステム。
8.前記取付装置は、前記上層と前記底層との間に配置された柔軟なコアをさらに含む、例7に記載のシステム。
9.前記柔軟なコアは、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ラテックス、ウール、綿、織布、不織布、天然繊維又は合成繊維で構成される、例8に記載のシステム。
10.支持体表面によって人体に印加される圧力を緩和するように設計された圧力緩和装置を製造するための方法であって、
第1の材料で構成される第1のシートを取得するステップと、
第2の材料で構成される第2のシートを取得するステップと、
前記第1のシート及び前記第2のシートの外周に沿って相互接続を形成することによって、キャビティを作成するステップと、
前記第1のシートと前記第2のシートとの間に少なくとも1つの追加の相互接続を形成することによって、チャンバの幾何学的模様を作成するステップであって、前記チャンバは、各チャンバが独立して加圧され得るように形成されている、ステップと
を含む、方法。
11.前記第1の材料は、人体と直接接触するように構成された液体不浸透性材料である、例10に記載の方法。
12.流体の通路が前記第1のシートを通って前記キャビティ内に至ることを可能にするように、前記第1のシートに穿孔を形成するステップをさらに含む、例10に記載の方法。
13.前記流体が前記チャンバに入ることを妨げるように、前記第1のシートの内面に液体不浸透性のライニングを固定するステップをさらに含む、例12に記載の方法。
14.前記第2の材料が、前記支持体表面又は前記取付装置と直接接触するように構成された液体不浸透性材料である、例10に記載の方法。
15.前記第1のシート、前記第2のシート又はそれらの任意の組み合わせの外表面に、抗菌コーティングを付与するステップをさらに含む、例10に記載の方法。
16.前記第1のシート、前記第2のシート又はそれらの任意の組み合わせの外表面に、滑り止めコーティングを付与するステップをさらに含む、例10に記載の方法。
17.圧力緩和装置を支持体表面に固定するように設計された取付装置を製造するための方法であって、
前記支持体表面に対する前記圧力緩和装置の動きを自然に制限するのに十分な粘着性を提供する柔軟な材料のロールを取得するステップと、
前記柔軟な材料を第1のセグメントと第2のセグメントとに切断するステップと、
前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントの外周に沿って相互接続を形成することによって、キャビティを作成するステップと、
柔軟なコアを前記キャビティ内へと挿入するステップと
を含む、方法。
18.前記第1のセグメント、前記第2のセグメント又はそれらの任意の組み合わせの外表面に、接着コーティングを付与するステップをさらに含む、例17に記載の方法。
19.流体の通路が前記キャビティ内に至ることを可能にするように、前記第1のセグメントに穿孔を形成するステップをさらに含む、例17に記載の方法。
20.前記柔軟なコアは、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ラテックス、ウール、綿、織布、不織布、天然繊維又は合成繊維で構成される、例17に記載の方法。
【0098】
結論
本技術の実施形態についての上記の詳細な説明は、網羅的であること、すなわち、本技術を上記に開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。本技術についての特定の実施形態及びその例は、上記にて例示の目的で説明されているが、関連技術の当業者が認識するように、本技術の範囲内において様々な均等の修正が可能である。例えば、ステップは所与の順序で提示されているが、代替の実施形態では、ステップを異なる順序で実行してもよい。また、本明細書に記載の様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供してもよい。
【0099】
このように、本技術の特定の実施形態は例示の目的で本明細書に記載されているが、本技術の実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、周知の構造及び機能は詳細には示されない又は記載されていないことが理解されよう。文脈が許容する場合、単数形又は複数形の用語はまた、それぞれ、複数形又は単数形の用語を含んでもよい。
【0100】
さらに、単語「又は」が、2つ以上の項目を含むリストに関して他の項目から排他的な単一の項目のみを意味するよう明示的に限定されていない限り、そのようなリストにおける「又は」の使用は、(a)リスト内の任意の単一の項目、(b)リスト内の全ての項目、又は、(c)リスト内の項目の任意の組み合わせを含むと解釈される。加えて、用語「含む」は、全体を通して、より多くの数の同一の特徴及び/又は追加のタイプの他の特徴が何ら排除されないように、記載された(1つ以上の)特徴を少なくとも含むことを意味するために使用されている。特定の実施形態は例示の目的で本明細書に記載されているが、様々な修正が本技術から逸脱することなく行われ得ることも理解されよう。さらに、本技術の特定の実施形態に関連する利点は、それらの実施形態の文脈にて説明されてきたが、他の実施形態もまたそのような利点を示し得ると共に、必ずしも全ての実施形態が本技術の範囲に属するためにそのような利点を示さなくてもよい。したがって、本開示及び関連する技術は、本明細書に明示的に示されない又は記載されていない他の実施形態を包含し得る。