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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】耐火クラス強化エアロゲル組成物
(51)【国際特許分類】
   C04B 38/00 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
C04B38/00 301Z
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020566921
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 US2019034448
(87)【国際公開番号】W WO2019232087
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】62/678,850
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506229844
【氏名又は名称】アスペン エアロゲルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ジェイ.ミハルチク
(72)【発明者】
【氏名】キャスリン エリザベス デックラフト
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス アントニー ザフィロポ-ロス
(72)【発明者】
【氏名】オーウェン リチャード エバンズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ エル.グールド
(72)【発明者】
【氏名】ビブケ レールスベルク
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-533163(JP,A)
【文献】特開2016-074841(JP,A)
【文献】CHEN Zhiら,Preparation and characteristics of composite phase change material (CPCM) with SiO2 and diatomite as endothermal-hydroscopic material ,Energy and Buildings ,2015年,Vol.86 ,Page.1-6
【文献】LIU HONGLI ET AL,Novel three-dimensional halloysite nanotubes/silica composite aerogels with enhanced mechanical strength and low thermal conductivity prepared at ambient pressure,JOURNAL OF SOL-GEL SCIENCE AND TECHNOLOGY,vol. 80, no. 3,pages 651 - 659,DOI: 10.1007/S10971-016-4154-5
【文献】GUAO Jiao ら,Clay reinforced polyimide/silica hybrid aerogel,Journal of materials chemistry A,2013年,Vol.1,P.7211-7221
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00-35/84,38/00-38/10
C01B 33/00-33/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続気泡マクロポーラス(OCMF)材料で強化されたシリカ系エアロゲル骨格と、吸熱性物質を含む耐火クラス添加剤とを含む組成物であって、前記シリカ系エアロゲル骨格が少なくとも1つの疎水性結合ケイ素を含み、前記組成物中の疎水性ケイ素結合含有分が2質量%~10質量%であり、前記組成物が、以下の特性:
i)20質量%以下の液体水の取込み量;
ii)約37.5℃の温度、周囲環境、大気圧及び約2psiの圧縮荷重で、ASTM C518規格に準拠した、30mW/m・K以下の熱伝導率;及び
iii)EN ISO 1716規格に準拠する、717cal/g未満の燃焼熱;を有
iv)前記OCMF材料で強化された前記シリカ系エアロゲル骨格は熱分解開始温度を有し、前記耐火クラス添加剤は、前記OCMF材料で強化された前記シリカ系エアロゲル骨格の前記熱分解開始温度の50℃以内である熱分解開始温度を有する、
組成物。
【請求項2】
前記OCMF材料が有機OCMF材料を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記OCMF材料がメラミン系OCMF材料を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記OCMF材料がシート状のOCMF材料を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記OCMF材料が有機発泡体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記OCMF材料が、3MJ/kg以下の総燃焼熱(HOC)を有する低可燃性材料でも2MJ/kg以下の総燃焼熱(HOC)を有する不燃性材料でもなく、
前記組成物は、全体として、3MJ/kg以下の総燃焼熱(HOC)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記OCMF材料が低有炎燃焼性材料でも非有炎燃焼性材料でもなく、
前記組成物は、全体として、低有炎燃焼性又は非有炎燃焼性である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記OCMF材料が前記組成物の2質量%~10質量%を構成する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、EN ISO 1716規格に準拠した、625cal/g~700cal/gの燃焼熱を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物の有機含有分の熱分解の開始点は350℃から390℃又はそれ以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも5%の疎水性含有分を含み、前記組成物中の耐火クラス添加剤の吸熱分解の総熱量が、前記耐火クラス添加剤以外の前記組成物のその他の部分の分解発熱量の少なくとも30%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも2種の耐火クラス添加剤を含み、それらの吸熱分解の各開始点が少なくとも10℃離れている、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物中の耐火クラス添加剤の吸熱分解の開始点は、前記耐火クラス添加剤以外の前記組成物のその他の部分の熱分解の開始点の50℃以内である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物中の耐火クラス添加剤の吸熱分解の総熱量が、前記耐火クラス添加剤以外の前記組成物のその他の部分の分解発熱量の80%以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物のISO 1182に準拠した火炎時間が、約30秒以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物のISO 1182に準拠した質量損失が、約50%以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記耐火クラス添加剤の吸熱分解の開始点が、280℃よりも高い、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記OCMF材料がウレタン系ポリマー発泡体又は網目状発泡体の一つである、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記OCMF材料が2kg/m~25kg/mの密度を有し、前記組成物が0.15~0.40g/cmの密度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
熱伝導率が8mW/m・K~25mW/m・Kである、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
燃焼熱が400cal/g超である、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
液体水の取込み量が1質量%~10質量%である、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記耐火クラス添加剤が、5~70質量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月31日に出願された米国仮特許出願第62/678,850号からの優先権の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に援用され、本出願における用語の定義は全て本出願が支配するものとする。
【0002】
本発明は、一般的に、エアロゲル技術に関する。より具体的には、耐火クラス添加剤(fire-class additives)を含むエアロゲル組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
低密度エアロゲル材料は、利用可能な最良の固体絶縁体であると広く考えられている。エアロゲルは、主に、伝導(低い構造密度は固体骨格を介したエネルギー伝達のための曲がりくねった経路をもたらす)、対流(大きな細孔容積及び非常に小さな細孔サイズは最低限の対流をもたらす)及び放射(赤外吸収性又は散乱性ドーパントはエアロゲルマトリックス中に容易に分散する)を最低限に抑えることによって絶縁体として機能する。エアロゲルは、加熱及び冷却断熱、音響絶縁、電子誘電体、航空宇宙、エネルギー貯蔵及び生産、ろ過などの幅広い用途に使用できる。さらに、エアロゲル材料は、多くの他の興味深い音響特性、光学特性、機械的特性及び化学的特性を示し、それらを様々な絶縁及び非絶縁用途で非常に有用なものにせしめている。
【0004】
しかしながら、必要とされているのは、耐熱性、疎水性、火災反応及びその他を含む様々な側面において、個別に、又は1つ以上の組み合わせで、改善された性能を有する耐火クラス強化エアロゲル組成物(fire-class reinforced aerogel compositions)である。しかし、本発明がなされた時点で全体として考慮された技術を考慮すると、先行技術の欠点をどのように克服することができるかは本発明の分野の当業者に自明でなかった。
【0005】
本発明の開示を容易にするために従来技術の特定の態様を議論するが、出願人はこれらの技術的態様を否定するものではなく、特許請求される発明は、本明細書で議論された従来技術の態様のうちの1つ以上を包含し得ることが企図されている。
【0006】
本明細書において、文献、行為又は知識の項目が言及又は議論される場合、この言及又は議論は、その文献、行為又は知識の項目、あるいはそれらの組み合わせが、優先日時点で、公に入手可能であったか、公知であったか、一般的知識の一部であったか、又はそうでなければ、適用される法定規定の下で先行技術を構成していたことを認めるものではなく、また、本明細書が関係するあらゆる問題を解決しようとする試みに関連することが知られていることを認めるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
改良されたエアロゲル組成物に対する長年の、しかしこれまで満たされていなかったニーズは、現在、新規で有用な、自明ではない本発明によって満足される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、本発明は、連続気泡マクロポーラス骨格(「OCMF」)材料で強化されたシリカ系エアロゲル骨格と、耐火クラス添加剤(fire-class additive)とを含む強化エアロゲル組成物であって、シリカ系エアロゲル骨格が少なくとも1つの疎水性結合ケイ素(hydrophobic-bound silicon)を含む強化エアロゲル組成物である。
【0009】
一つの一般的な態様において、本開示は、耐久性があり、取り扱いが容易であり、水性環境において良好な性能を有し、良好な絶縁特性を有し、さらに良好な耐燃性及び耐炎性を有する強化エアロゲル組成物を提供する。特定の実施形態では、本開示は、OCMFで強化された強化エアロゲル組成物を提供し、この組成物は、水性環境で好ましい性能を有し、好ましい絶縁特性を有し、好ましい耐燃性及び耐炎性も有する。
【0010】
別の一般的な態様において、本開示は、シリカ系エアロゲル骨格及びOCMFを含む強化エアロゲル組成物を提供する。この組成物は、a)30mW/m・K以下の熱伝導率、b)30質量%(wt%)以下の液体水の取込み量、及びc)717cal/g以下の燃焼熱を有する。特定の実施形態では、本開示の強化エアロゲル組成物は、a)25mW/m・K以下の熱伝導率;b)20wt%以下の液体水の取込み量;及びc)717cal/g以下の燃焼熱を有する。特定の実施形態では、本開示の強化エアロゲル組成物は、0.40g/cm以下、0.30g/cm以下、0.25g/cm以下、又は0.20g/cm以下の密度を有する。特定の実施形態では、本開示の強化エアロゲル組成物は、25mW/m・K以下、20mW/m・K以下、18mW/m・K以下の熱伝導率、15mW/m・K~30mW/m・Kの熱伝導率、又は15mW/m・K~20mW/m・Kの熱伝導率を有する。特定の実施形態では、本開示の強化エアロゲル組成物は、30wt%以下、25wt%以下、20wt%以下、15wt%以下、10wt%以下、又は5wt%以下の液体水の取込み量を有する。特定の実施形態では、本開示の強化エアロゲル組成物は、717cal/g以下、700cal/g以下、675cal/g以下、650cal/g以下、625cal/g以下、600cal/g以下、又は580cal/g~717cal/gの燃焼熱を有する。特定の特定の態様において、熱伝導率、水の取込み量及び燃焼熱における上記の値の組み合わせは、ゲル前駆体の組成、添加剤の組成、触媒又は前駆体を活性化する他の剤、前駆体溶液のpH、前駆体、触媒又は添加剤のそれぞれの投与速度、ゲル化が起こるのに許容される時間、ゲルの巻き取り(特定の態様で)、エージング時間及びpH、任意のゲル化後処理、抽出時間及び条件(温度、圧力)、ならびに任意のその後の乾燥工程を変化させることによって達成される。
【0011】
別の一般的な態様において、本開示は、シリカ系エアロゲル骨格、メラミン系OCMF、及び耐火クラス添加剤を含み、以下の特性:a)15mW/m・K~30mW/m・Kの熱伝導率、b)30wt%以下の液体水の取込み量、及びc)580cal/g~717cal/gの燃焼熱を有する強化エアロゲル組成物を提供する。ある特定の好ましい実施形態では、OCMF材料は有機OCMF材料である。別のある特定の好ましい実施形態では、OCMF材料はメラミン系OCMF材料である。特定の好ましい実施形態では、本開示の強化エアロゲル組成物は、約1wt%~約30wt%、約1wt%~約25wt%、約1wt%~約20wt%、約1wt%~約15wt%、約1wt%~約10wt%、又は約1wt%~約5wt%の疎水性有機含有物を有する。
【0012】
別の一般的な態様において、本開示は、a)シリカゲル前駆体材料、溶媒、及び任意に触媒を含む前駆体溶液を提供すること;b)前駆体溶液をOCMFを含む強化材と組み合わせること;c)前駆体溶液中のシリカゲル前駆体材料をゲル材料又は組成物に転移させること;及びd)ゲル材料又は組成物から溶媒の少なくとも一部を抽出して、エアロゲル材料又は組成物を得ることを含む、強化エアロゲル組成物を製造する方法を提供する。特定の実施形態では、本開示の方法は、前駆体溶液中のシリカゲル前駆体材料のゲル組成物への転移の前又は転移の間のいずれかの段階で、耐火クラス添加剤材料と前駆体溶液とを組み合わせることにより、耐火クラス添加剤材料を強化エアロゲル組成物に組み込むことを含む。好ましい実施形態では、強化材は、メラミン系OCMF材料を含む。特定の実施形態において、本開示の方法は、i)前駆体溶液に少なくとも1つの疎水性基を有する少なくとも1種のシリカゲル前駆体材料を含めること、又はii)前駆体溶液、ゲル組成物又はエアロゲル組成物を疎水化剤に曝すこと、のうちの1つ又は両方によって、少なくとも1つの疎水性結合ケイ素をエアロゲル材料又は組成物中に組み込むことを含む。特定の実施形態において、本開示の方法は、約1wt%~約25wt%、約1wt%~約20wt%、約1wt%~約15wt%、約1wt%~約10wt%、又は約1wt%~約5wt%の疎水性有機含有量をエアロゲル組成物中に提供する、エアロゲル組成物に少なくとも1つの疎水性結合ケイ素を組み込む工程を含む。好ましい実施形態では、本開示の方法は、強化エアロゲル組成物を生成する。特定の実施形態では、本開示の方法は、シリカ系エアロゲル骨格、メラミン系OCMF、及び耐火クラス添加剤を含み、以下の特性:a)15mW/m・K~30mW/m・Kの熱伝導率;b)30wt%以下の液体水の取込み量;及びc)580cal/g~717cal/gの燃焼熱を有する強化エアロゲル組成物を生じる。
【0013】
さらに、以下の特定の、非限定的な実施形態/実施例が開示される。列挙した実施例は、そのような実施形態又は例の組み合わせを含む、本明細書で企図される特定の範囲の実施形態を例示するために示されている。特許請求の範囲に記載された本発明は、これらの非限定的な実施例を超えた範囲を有する。
【0014】
実施形態1は、OCMF材料で強化されたシリカ系エアロゲル骨格と耐火クラス添加剤とを含む強化エアロゲル組成物であって、シリカ系エアロゲル骨格が少なくとも1つの疎水性結合ケイ素を含み、強化エアロゲル組成物が以下の特性:i)20wt%以下の液体水の取込み量、ii)30mW/m・K以下の熱伝導率、及びiii)717cal/g以下の燃焼熱を有する、強化エアロゲル組成物である。
【0015】
実施形態2は、2kg/m~25kg/mの密度を有するOCMF材料で強化されたシリカ系エアロゲル骨格と、耐火クラス添加剤とを含む強化エアロゲル組成物であって、シリカ系エアロゲル骨格が少なくとも1つの疎水性結合ケイ素を含み、強化エアロゲル組成物が以下の特性:i)20wt%以下の液体水の取込み量;ii)30mW/m・K以下の熱伝導率;及びiii)717cal/g以下の燃焼熱を有する、強化エアロゲル組成物である。
【0016】
実施形態3は、2kg/m~25kg/mの密度を有するOCMF材料で強化されたシリカ系エアロゲル骨格と、耐火クラス添加剤とを含む強化エアロゲル組成物であって、シリカ系エアロゲル骨格が少なくとも1つの疎水性結合ケイ素を含み、強化エアロゲル組成物が以下の特性:i)1wt%以上10wt%以下の液体水の取込み量;ii)8mW/m・K超かつ25mW/m・K未満の熱伝導率;及びiii)717cal/g未満かつ400cal/g超の燃焼熱を有する、強化エアロゲル組成物である。
【0017】
実施形態4は、シリカ系エアロゲル組成物及び耐火クラス添加剤で強化された強化OCMF組成物であって、シリカ系エアロゲル骨格が少なくとも1つの疎水性結合ケイ素を含み、強化エアロゲル組成物は以下の特性:i)20wt%以下の液体水の取込み量;ii)30mW/m・K以下の熱伝導率;及びiii)717cal/g未満の燃焼熱を有する強化OCMF組成物である。
【0018】
実施形態5は、シリカ系エアロゲル組成物及び耐火クラス添加剤で強化された強化OCMF組成物であって、シリカ系エアロゲル骨格が少なくとも1つの疎水性結合ケイ素を含み、強化エアロゲル組成物が以下の特性:i)20wt%以下の液体水の取込み量;ii)30mW/m・K以下の熱伝導率;及びiii)717cal/g未満の燃焼熱を有する強化OCMF組成物であ
【0019】
実施形態6は、シリカ系エアロゲル組成物及び耐火クラス添加剤で強化された強化OCMF組成物であって、シリカ系エアロゲル骨格が少なくとも1つの疎水性結合ケイ素を含み、強化エアロゲル組成物が以下の特性:i)1wt%~10wt%の液体水の取込み量;ii)8mW/m・K超かつ25mW/m・K未満の熱伝導率;及びiii)717cal/g未満かつ400cal/g超の燃焼熱を有する強化OCMF組成物である。
【0020】
実施形態7は、OCMF材料が有機OCMF材料を含むか又は有機OCMF材料である、実施形態1~3のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は実施形態4~6のいずれか1つの強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0021】
実施形態8は、OCMF材料がメラミン系OCMF材料を含むか又はメラミン系OCMF材料である、実施形態1~3のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は実施形態4~6のいずれか1つの強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0022】
実施形態9は、OCMF材料がシート状のOCMF材料を含むか又はシート状のOCMF材料である、実施形態1~3のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は実施形態4~6のいずれか1つの強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0023】
実施形態10は、OCMF材料が有機発泡体である、実施形態1~3のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は実施形態4~6のいずれか1つの強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0024】
実施形態11は、OCMF材料がメラミン系発泡体である、実施形態1~3のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は実施形態4~6のいずれか1つの強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0025】
実施形態12は、OCMF材料が低可燃性材料でも不燃性材料でもない、実施形態1~11のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0026】
実施形態13は、OCMF材料が低有炎燃焼性材料でも非有炎燃焼性材料でもない、実施形態1~11のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0027】
実施形態14は、OCMF材料が前記組成物の2wt%~10wt%を構成する、実施形態1~11のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0028】
実施形態15は、組成物中の疎水性ケイ素結合含有量が2wt%~10wt%である、実施形態1~14のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0029】
実施形態16は、組成物中の疎水性ケイ素結合含有量が2wt%~8wt%である、実施形態1~14のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物を有する一群の実施形態である。
【0030】
実施形態17は、組成物中の疎水性ケイ素結合含有量が2wt%~6wt%である、実施形態1~14のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物によるい一群の実施形態である。
【0031】
実施形態18は、組成物が700cal/g以下の燃焼熱を有する、実施形態1~17のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0032】
実施形態19は、組成物が675cal/g以下の燃焼熱を有する、実施形態1~17のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0033】
実施形態20は、組成物が650cal/g以下の燃焼熱を有する、実施形態1~17のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0034】
実施形態21は、組成物は625cal/g以下の燃焼熱を有する、実施形態1~17のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0035】
実施形態22は、組成物が22mW/m・K以下の熱伝導率を有する、実施形態1~21のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0036】
実施形態23は、強化エアロゲル組成物が20mW/m・K以下の熱伝導率を有する、実施形態1~21のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0037】
実施形態24は、強化エアロゲル組成物が18mW/m・K以下の熱伝導率を有する、実施形態1~21のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0038】
実施形態25は、強化エアロゲル組成物が0.15~0.40g/cmの密度を有する、実施形態1~21のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0039】
実施形態26は、強化エアロゲル組成物の熱分解開始点が350℃以上である、実施形態1~21のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0040】
実施形態27は、強化エアロゲル組成物の熱分解開始点が360℃以上である、実施形態1~21のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0041】
実施形態28は、強化エアロゲル組成物の熱分解開始点が370℃以上である、実施形態1~21のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0042】
実施形態29は、強化エアロゲル組成物の熱分解開始点が380℃以上である、実施形態1~21のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0043】
実施形態30は、強化エアロゲル組成物の熱分解開始点が390℃以上である、実施形態1~21のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0044】
実施形態31は、耐火クラス添加剤と疎水性有機含有物とを含む有機OCMF強化エアロゲル組成物であって、組成物中の耐火クラス添加剤の吸熱分解開始点が、耐火クラス添加剤以外の組成物のその他の部分の熱分解開始点の50℃以内である、有機OCMF強化エアロゲル組成物である。
【0045】
実施形態32は、耐火クラス添加剤と少なくとも5%の疎水性含有量とを含む有機OCMF強化エアロゲル組成物であって、組成物中の耐火クラス添加剤の吸熱分解の総熱量が、耐火クラス添加剤以外の組成物のその他の部分の分解発熱量の少なくとも30%である、有機OCMF強化エアロゲル組成物である。
【0046】
実施形態33は、それぞれの吸熱分解開始点が少なくとも10℃離れている少なくとも2つの耐火クラス添加剤を含む有機OCMF強化エアロゲル組成物である。
【0047】
実施形態34は、耐火クラス添加剤と疎水性含有物とを含む有機OCMF強化エアロゲル組成物であって、組成物中の耐火クラス添加剤の吸熱分解の総熱量が、耐火クラス添加剤以外の組成物のその他の部分の分解発熱量の80%以下である有機OCMF強化エアロゲル組成物である。
【0048】
実施形態35は、疎水性含有分が少なくとも5%であり、組成物中の耐火クラス添加剤の吸熱分解の総熱量が、耐火クラス添加剤以外の組成物のその他の部分の分解発熱熱の少なくとも30%である、実施形態1~11のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0049】
実施形態36は、組成物中の耐火クラス添加剤の吸熱分解開始点が、耐火クラス添加剤以外の組成物のその他の部分の熱分解開始点の50℃以内である、実施形態1~11のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0050】
実施形態37は、少なくとも2種の耐火クラス添加剤を有し、2種の耐火クラス添加剤の各吸熱分解開始点が少なくとも10℃離れている、実施形態1~11のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0051】
実施形態38は、組成物中の耐火クラス添加剤の吸熱分解の総熱量が、耐火クラス添加剤以外の組成物のその他の部分の分解発熱量の80%以下である、実施形態1~11のいずれか1つの強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物による一群の実施形態である。
【0052】
実施形態39は、組成物のISO 1182に準拠した炉内温度の上昇が、約100℃以下、約90℃以下、約80℃以下、約70℃以下、約60℃以下、約50℃以下、約45℃以下、約40℃以下、約38℃以下、約36℃以下、約34℃以下、約32℃以下、約30℃以下、約28℃以下、約26℃以下、約24℃以下、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲内である、実施形態1~38のいずれか1つの組成物による一群の実施形態である。
【0053】
実施形態40は、組成物のISO 1182に準拠した火炎時間(flame time)が、約30秒間以下、約25秒間以下、約20秒間以下、約15秒間以下、約10秒間以下、約5秒間以下、約2秒間以下、又はこれらの値のうちの任意の2つの値の間の範囲内である、実施形態1~39のいずれか1つの組成物による一群の実施形態である。
【0054】
実施形態41は、組成物のISO 1182に準拠した質量損失が、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約28%以下、約26%以下、約24%以下、約22%以下、約22%以下、約20%以下、約18%以下、約16%以下、又はこれらの値のうちの任意の2つの値の間の範囲内である、実施形態1~40のいずれか1つの組成物による一群の実施形態である。
【0055】
実施形態42は、組成物が低有炎燃焼性である、上記実施形態のいずれか1つの組成物による一群の実施形態である。
【0056】
実施形態43は、組成物が非有炎燃焼性である、上記の実施形態のいずれか1つの組成物による一群の実施形態である。
【0057】
実施形態44は、組成物が低可燃性である、上記実施形態のいずれか1つの組成物による一群の実施形態である。
【0058】
実施形態45は、組成物が不燃性である、上記実施形態のいずれか1つの組成物による一群の実施形態である。
【0059】
実施形態46は、耐火クラス添加剤の吸熱分解開始点が280℃、300℃、350℃、400℃、450℃又は500℃よりも高い、上記の実施形態のいずれか1つの組成物による一群の実施形態である。
【0060】
実施形態47は、耐火クラス添加剤を含まない組成物の発熱分解開始点が280℃、300℃、350℃、400℃、450℃又は500℃よりも高い、上記の実施形態のいずれか1つの組成物による一群の実施形態である。
【0061】
実施形態48は、OCMF材料がメラミン系発泡体である、上記の実施形態のいずれか1つの組成物による一群の実施形態である。
【0062】
実施形態49は、OCMF材料がウレタン系ポリマー発泡体である、上記の実施形態のいずれか1つの組成物による一群の実施形態である。
【0063】
実施形態50は、OCMF材料が網目状発泡体である、上記請求項のいずれか1つの組成物を有する一群の実施形態である。
【0064】
さらに、本発明の様々な実施形態のエアロゲル材料又は骨格は、様々な実施形態で記載したOCMF材料にしみ込ませたエアロゲル粒子系スラリー又は懸濁液を用いて実施されてもよい。さらに別の実施形態では、本発明の様々な実施形態は、適切な溶媒中で様々なゲル前駆体をOCMF材料にしみ込ませ、次いで、超臨界流体を使用することを含む様々な方法を使用して、あるいは高温及び周囲圧力又は亜臨界圧力で溶媒を除去することによって、現場(in-situ)で製造された非粒子状エアロゲル材料を使用して実施されてもよい。
【0065】
別の実施形態では、本発明は、前記の特徴及び特性のうちの1つもしくは複数又は全てを備えた強化エアロゲル組成物又はOCMF強化組成物を含み、それらの様々な組み合わせ及びそれらの製造方法を含む。
【0066】
本発明のこれら及び他の重要な目的、利点及び特徴は、本開示が進むにつれて明らかになるであろう。
【0067】
本発明は、以下に示す開示で例示される構造の特徴、要素の組み合わせ、及び部分の配置の特徴を含み、本発明の範囲は特許請求の範囲に示される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1図1は、添加剤を含まない本発明の疎水性エアロゲル組成物、すなわち、約120%の水酸化マグネシウムを含むメラミン発泡体で強化されたエアロゲル組成物についての熱質量分析(TGA)及び示差走査熱量測定(DSC)の測定値を、エアロゲル組成物のシリカ及び疎水性成分の質量を100%基準として描写したものである(実施例3)。
【0069】
図2図2は、添加剤を含まない本発明の疎水性エアロゲル組成物、すなわち、約120%のハロサイトクレイを含むメラミン発泡体で強化されたエアロゲル組成物についての熱質量分析(TGA)及び示差走査熱量測定(DSC)の測定値を、エアロゲル組成物のシリカ及び疎水性成分の質量を100%基準として描写したものである(実施例21)。
【発明を実施するための形態】
【0070】
好ましい実施形態の以下の詳細な説明において、その一部を形成する添付の図面を参照し、添付の図面には、本発明が実施され得る特定の実施形態が図示の方法で示されている。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用され、構造的な変更を行うことができることが理解されよう。
【0071】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、「又は」という用語は、文脈が明らかに他を規定しない限り、「及び/又は」を含むその意味で一般的に使用される。
【0072】
本明細書で使用される場合、「約」は、およそ、又は、ほぼを意味し、記載した数値又は範囲の文脈では、その数値の±15%を意味する。一実施形態では、「約」という用語は、数値の有効数字に応じた従来の丸めを含み得る。さらに、「約「x」~「y」」という表現は、「約「x」~約「y」」を含む。
【0073】
本明細書で使用される場合、用語「組成物(composition)」及び「複合材料(composite)」は互換的に使用される。
【0074】
エアロゲルは、相互に接続された構造の骨格を含む連続気泡を有する多孔質材料の一群であり、骨格内に統合された細孔の対応するネットワークと、主に空気などの気体を含む細孔のネットワーク内の間隙相とを有する。エアロゲルは、典型的には、低い密度、高い気孔率、大きな表面積、及び小さな細孔サイズにより特徴付けられる。エアロゲルは、その物理的及び構造的特性によって、他の多孔質材料と区別することができる。
【0075】
本開示の文脈において、「エアロゲル」又は「エアロゲル材料」という用語は、相互接続構造の骨格を含むゲルであって、骨格内に統合された相互に接続された細孔の対応するネットワークを有し、分散された間隙媒体として空気などの気体を含み、エアロゲルに帰属される以下の物理的及び構造的特性(窒素ポロシメトリー試験による)を有することを特徴とするものである:a)約2nm~約100nmの平均細孔径、(b)少なくとも80%以上の気孔率、及び(c)約20m/g以上の表面積。
【0076】
本開示のエアロゲル材料は、したがって、前段落に記載した定義要素を満たす任意のエアロゲル又は他の連続気泡コンパウンドの他に、キセロゲル、クライオゲル、アンビゲル、マイクロポーラス材料などに分類できるコンパウンドを包含する。
【0077】
エアロゲル材料はまた、(d)約2.0mL/g以上、特に約3.0mL/g以上の細孔容積;(e)約0.50g/cc以下、特に約0.25g/cc以下の密度;及び(f)全細孔容積の少なくとも50%が2~50nmの細孔径を有する細孔から構成されることを含むさらなる物理的特性によってさらに特徴付けることができる。これらの追加の特性を満足することは、コンパウンドをエアロゲル材料として特徴付けるために必要ではない。
【0078】
本開示の文脈において、「革新的な処理及び抽出技術」という用語は、ゲルの骨格構造に低細孔崩壊及び低収縮をもたらす方法で、湿潤ゲル材料中の液体間隙相を空気などの気体で置換する方法を指す。常圧蒸発などの乾燥技術では、蒸発又は除去される間隙相の液体-蒸気界面に強い毛細管圧や他の物質移動の制限が生じることが多い。液体の蒸発又は除去によって発生する強い毛細管力は、ゲル材料内で大きな細孔収縮及び骨格の崩壊を引き起こす可能性がある。液体間隙相の抽出中に革新的な処理及び抽出技術を使用することにより、液体抽出(溶媒の除去又は乾燥とも呼ばれる)中のゲルの細孔及び骨格に対する毛細管力の負の影響が低減される。
【0079】
特定の実施形態では、革新的な処理及び抽出技術は、湿潤ゲル材料から液体間隙相を抽出するために、近臨界もしくは超臨界液体又は近臨界もしくは超臨界状態を使用する。これは、液体又は液体混合物の臨界点付近又は超臨界点を超える状態でゲルから液体間隙相を除去することによって達成することができる。近臨界又は超臨界液体抽出プロセスを最適化するために共溶媒及び溶媒交換を使用することができる。
【0080】
特定の実施形態において、革新的な処理及び抽出技術は、液体-蒸気界面における毛細管圧及び他の物質移動制限の不可逆的効果を低減するために、ゲル骨格を修飾することを含む。この実施形態は、ゲル骨格を疎水化剤、又は他の機能化剤で処理することを含み、これにより、ゲル骨格が、液体間隙相の臨界点以下で実施される液体抽出中に、任意の崩壊力に耐えるか、又は任意の崩壊力から回復することを可能にする。この実施形態はまた、液体間隙相の臨界点以下で実施される液体抽出中に、崩壊力に耐えるか、又は崩壊力から回復するのに十分に高い骨格弾性率を提供する官能基又は骨格要素を組み込むことを含むことができる。
【0081】
本開示の文脈において、「骨格」又は「骨格構造」という用語は、材料の固体構造を形成する相互に接続されたオリゴマー、ポリマー又は粒子のネットワークを指す。本開示の文脈において、「エアロゲル骨格」又は「エアロゲル骨格構造」という用語は、ゲル又はエアロゲルの固体構造を形成する相互に接続されたオリゴマー、ポリマー又はコロイド粒子のネットワークを指す。エアロゲル骨格構造を構成するポリマー又は粒子は、典型的には約100オングストロームの直径を有する。しかしながら、本開示の骨格構造は、例えばゲル又はエアロゲルなどの材料内で固体構造を形成するあらゆる直径サイズの相互接続されたオリゴマー、ポリマー又はコロイド粒子のネットワークを含んでもよい。さらに、「シリカ系エアロゲル」又は「シリカ系エアロゲル骨格」という用語は、シリカが、ゲル又はエアロゲル内の固体骨格構造を形成するオリゴマー、ポリマー又はコロイド粒子の少なくとも50%(質量基準)を構成するエアロゲル骨格を指す。
【0082】
本開示の文脈内では、用語「エアロゲル組成物」は、エアロゲル材料を組成物の構成要素として含む任意の複合材料を指す。エアロゲル組成物の例としては、繊維強化エアロゲル複合材料;不透明化剤などの添加剤要素を含むエアロゲル複合材料;連続気泡マクロポーラス骨格によって強化されたエアロゲル複合材料;エアロゲルポリマー複合材料;及びエアロゲル微粒子、粒子、顆粒、ビーズ又は粉末を、バインダー、樹脂、セメント、発泡体、ポリマー又は類似の固体材料などの固体又は半固体材料に組み込んだ複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。エアロゲル組成物は、一般的に、本発明で開示される種々のゲル材料から溶媒を除去した後に得られる。こうして得られたエアロゲル組成物を、さらに追加の処理又は処理にかけてもよい。種々のゲル材料はまた、溶媒の除去(又は液体抽出又は乾燥)にかけられる前に、当該技術分野で別に知られているか又は有用な追加の加工又は処理を受けてもよい。
【0083】
本開示の文脈において、「モノリシック」という用語は、エアロゲル材料又は組成物に含まれるエアロゲルの大部分(質量基準)が単一の相互接続エアロゲルナノ構造体の形態にあるエアロゲル材料を指す。モノリシックエアロゲル材料は、最初は単一の相互接続されたゲル又はエアロゲルナノ構造を有するように形成されたが、その後、非単一のエアロゲルナノ構造に割られ、砕かれ、又はセグメント化されたエアロゲル材料を包含する。モノリシックエアロゲル材料は、粒子状エアロゲル材料と区別される。用語「粒子状エアロゲル材料」は、エアロゲル材料に含まれるエアロゲルの大部分(質量比)が、微粒子、粒子、顆粒、ビーズ又は粉末の形態にあり、それらは一緒に結合又は圧縮することができるが、個々の粒子間の相互に接続されたエアロゲルナノ構造を欠いているエアロゲル材料を指す。
【0084】
本開示の文脈内では、用語「湿潤ゲル」は、相互に接続された細孔のネットワーク内の移動可能な間隙相が、主に、従来の溶媒などの液体、液体二酸化炭素などの液化ガス、又はそれらの組み合わせから構成されるゲルを指す。エアロゲルは、典型的には、最初に湿潤ゲルを製造し、その後、ゲル中の移動可能な間隙性液体を空気で置換するための革新的な処理及び抽出を行うことを必要とする。湿潤ゲルの例としては、アルコゲル、ヒドロゲル、ケトゲル、カルボノゲル、及び当業者に知られている任意の他の湿潤ゲルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
本開示のエアロゲル組成物は、強化エアロゲル組成物を構成してもよい。本開示の文脈では、「強化エアロゲル組成物」という用語は、エアロゲル材料内に強化相を含むエアロゲル組成物を指し、ここで、強化相はエアロゲル骨格自体の一部ではない。強化相は、エアロゲル材料に向上した柔軟性、弾力性、適合性又は構造的安定性を提供する任意の材料であってもよい。よく知られた強化材の例としては、連続気泡マクロポーラス骨格強化材、独立気泡マクロポーラス骨格強化材、連続気泡膜、ハニカム強化材、ポリマー強化材、及び、例えば離散繊維、織布材料、不織布材料、ニードル不織布、バッティング、ウェブ、マット及びフェルトなどの繊維強化材が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
本開示の強化エアロゲル組成物は、連続気泡マクロポーラス骨格材料で強化されたエアロゲル組成物を含んでいてもよい。本開示の文脈では、「連続気泡マクロポーラス骨格」又は「OCMF」という用語は、実質的に均一な組成の相互接続構造の骨格を含み、骨格内に組み込まれた相互接続細孔の対応するネットワークを有し、約10μm~約700μmの範囲内の平均細孔径により特徴付けられる多孔質材料を指す。かかる平均細孔径は、光学的分析による顕微鏡検査などの既知の技術によって測定することができる。したがって、本開示のOCMF材料は、発泡体、発泡体様材料(foam-like materials)、マクロポーラス材料などの他の分類が可能な化合物を包含する、本段落に記載された定義要素を満たす任意の連続気泡材料を含む。OCMF材料は、骨格内にボイド体積を有する相互接続構造の骨格を構成する材料や、繊維マトリックス内にボイド体積を有する繊維及び結合剤の集合体などの均一な組成を有さない材料とは区別される。
【0087】
本開示の文脈において、「実質的に均一な組成」という用語は、10%の許容範囲内で、参照される材料の組成の均一性を指す。
【0088】
本開示の文脈において、「OCMF強化エアロゲル組成物」という用語は、強化相として連続気泡マクロポーラス骨格材料を含む強化エアロゲル組成物を指す。本開示で使用するのに好適なOCMF材料としては、有機ポリマー材料から作られたOCMF材料が挙げられるが、これらに限定されない。例としては、ポリオレフィン、ポリウレタン、フェノール類、メラミン、酢酸セルロース、及びポリスチレンから作られたOCMF材料が挙げられる。本開示の文脈では、用語「有機OCMF」は、主に有機ポリマー材料から構成される骨格を有するOCMF材料を指す。特定の実施形態では、メラミン又はメラミン誘導体から作られたOCMF材料も好ましい。本開示の文脈では、「メラミンOCMF」又は「メラミン系OCMF」という用語は、メラミンを例えばホルムアルデヒドなどの縮合剤と反応させることにより得られたポリマー材料を主成分とする骨格を有する有機OCMF材料を指す。本開示で使用するためのメラミン又はメラミン誘導体から作られたOCMF材料の例は、米国特許第8546457号及び第4666948号、並びに国際公開第2001/094436号に記載されている。用語「無機OCMF」は、主に無機材料から構成される骨格を有するOCMF材料を指す。無機OCMFの例としては、セメント質材料、石膏及びケイ酸カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
本発明の文脈において、「発泡体」という用語は、実質的に均一な組成の相互に接続されたポリマー構造の骨格を含む材料を指し、骨格内に統合された対応するネットワーク又は細孔の集合体を有し、発泡体材料が固体構造に固化する際にガス気泡が細孔として保持されるように、液体又は樹脂発泡体材料中に気泡の形態である割合のガスを分散させることによって形成されるものである。一般的に、発泡体は、多種多様なプロセスを用いて製造することができる。例えば、米国特許第6,147,134号、第5,889,071号、第6,187,831号及び第5,229,429号を参照のこと。したがって、本開示の発泡体材料は、OCMF材料、マクロポーラス材料などとして分類され得る化合物を含む、本段落に規定された定義要素を満たす任意の材料を含む。本発明において定義される発泡体は、熱可塑性樹脂、エラストマー、及び熱硬化性樹脂(デュロマー)のタイプのものであることができる。
【0090】
固体骨格内の細孔は、「セル(cells)」と呼ばれることもある。セルは、セル壁又は膜によって分割され、多孔質材料内に独立した閉じた細孔の集合体を形成することができる。用語「独立気泡(closed cell)」は、細孔容積の少なくとも50%が膜又は壁によって囲まれた(実質的に)閉じ込められたセルである多孔質材料を指す。材料内のセルは、セル開口部を介して相互に接続され、材料内に相互に接続された開放細孔のネットワークを形成していてもよい。用語「連続気泡(open cell)」は、細孔容積の少なくとも50%が連続気泡である多孔質材料を指す。連続気泡材料は、網目状化された連続気泡材料、非網目状化された連続気泡材料、又はそれらの組み合わせからなることができる。網目化された材料は、多孔質材料内のセル膜を除去又は穿孔する網目化プロセスを経て製造された連続気泡材料である。網目化された材料は、典型的には、非網目化された材料よりも高い連続気泡の濃度を有するが、より高価であり、製造が困難である傾向がある。一般的に、いかなる多孔質材料も、完全に1種類のセル構造(連続気泡又は独立気泡)を有していない。多孔質材料は、米国特許第6147134号、第5889071号、第6187831号、第5229429号及び第4454248号、並びに米国特許出願第20070213417号に提示されている発泡体製造方法を含む多種多様な方法を使用して製造することができる。
【0091】
本開示の文脈において、「エアロゲルブランケット」又は「エアロゲルブランケット組成物」という用語は、強化材の連続シートで強化されたエアロゲル組成物を指す。エアロゲルブランケット組成物は、例えば分離された凝集体又は強化材の塊などの非連続的な強化材で強化された他の強化エアロゲル組成物と区別することができる。エアロゲルブランケット組成物は、エアロゲルの優れた断熱特性を保持しつつ、高度に適合性があり、単純又は複雑な形状の表面を覆うためにブランケットのように使用することができるため、柔軟性を必要とする用途に特に有用である。
【0092】
本開示の文脈において、用語「柔軟(flexible)」及び「柔軟性(flexibility)」は、エアロゲル材料又は組成物が、マクロ構造的な破損なしに曲げ又は屈曲する能力を指す。本開示のエアロゲル組成物は、巨視的な破損なしに、少なくとも5°、少なくとも25°、少なくとも45°、少なくとも65°、又は少なくとも85°曲げることが可能であり、及び/又は巨視的な破損なしに、4フィート未満、2フィート未満、1フィート未満、6インチ未満、3インチ未満、2インチ未満、1インチ未満、又は1/2インチ未満の曲げ半径を有する。同様に、用語「高柔軟(highly flexible)」又は「高柔軟性(high flexibility)」は、少なくとも90°まで曲げることができ、及び/又は巨視的な破損なしに1/2インチ未満の曲げ半径を有するエアロゲル材料又は組成物を指す。さらに、「分類された柔軟性(classified flexible)」及び「柔軟性として分類された(classified as flexible)」という用語は、ASTM C1101(ASTMインターナショナル(ASTM International)、ペンシルベニア州ウェストコンショホッケン(West Conshohohocken))に従って柔軟として分類することができるエアロゲル材料又は組成物を指す。
【0093】
本開示のエアロゲル組成物は、柔軟性、高柔軟性、及び/又は分類された柔軟性のものであることができる。本開示のエアロゲル組成物は、ドレープ可能なものであることもできる。本開示の文脈では、用語「ドレープ性(drapable)」及び「ドレープ適性(drapability)」は、エアロゲル材料又は組成物が、、巨視的な破損なしに、約4インチ以下の曲率半径で約90°又はそれ以上に曲げられるか、又は曲げられる能力を指す。本発明の特定の実施形態に従ったエアロゲル材料又は組成物は、組成物が非剛体であり、三次元表面又は物体に適用し適合させることができるような柔軟性を有しているか、又は設置又は適用を容易にするために様々な形状及び構成に予め形成される。
【0094】
本開示の文脈内では、「添加剤」又は「添加剤要素(additive element)」という用語は、エアロゲルの製造前、製造中、又は製造後にエアロゲル組成物に添加することができる材料を指す。添加剤は、エアロゲルの望ましい特性を変化させたり改善したり、又はエアロゲルの望ましくない特性を打ち消すために添加することができる。添加剤は、典型的には、前駆体液体へのゲル化前、転移状態材料へのゲル化の間、又は固体又は半固体材料へのゲル化後のいずれかにエアロゲル材料に添加される。添加剤の例としては、マイクロファイバー、充填剤、補強剤、安定剤、増粘剤、弾性化合物、不透明化剤、着色又は色素形成化合物、放射線吸収化合物、放射線反射化合物、耐火クラス添加剤、腐食防止剤、熱伝導性成分、相変化材料、pH調整剤、レドックス調整剤、HCN緩和剤、オフガス緩和剤、導電性化合物、電気絶縁性化合物、磁性化合物、レーダーブロッキング成分、硬化剤、収縮防止剤、及び当該技術分野で知られている他のエアロゲル添加剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
本開示の文脈の中で、「熱伝導率」及び「TC」という用語は、材料又は組成物のいずれかの側の2つの表面間の温度差で、2つの表面の間で熱を伝達する材料又は組成物の能力の測定を指す。熱伝導率は、具体的には、単位時間及び単位表面積当たりに伝達される熱エネルギーを温度差で割ったものとして測定される。これは、通常、SI単位でmW/m・K(ミリワット毎メートル×ケルビン)として記録される。材料の熱伝導率は、「ヒートフローメータ装置による定常熱伝達特性の標準試験方法(Test Method for Steady-State Thermal Transmission Properties by Means of the Heat Flow Meter Apparatus)」(ASTM C518、ASTMインターナショナル、ペンシルベニア州ウェストコンショホッケン)、「ガード付きホットプレート装置による定常状態の熱流束測定と熱伝達特性のための標準試験方法(a Test Method for Steady-State Heat Flux Measurements and Thermal Transmission Properties by Means of the Guarded-Hot-Plate Apparatus)」(ASTM C177、ASTMインターナショナル、ペンシルベニア州ウェストコンショホッケン)、「パイプ絶縁材の定常熱伝達特性の試験方法(a Test Method for Steady-State Heat Transfer Properties of Pipe Insulation)」(ASTM C335、ASTMインターナショナル、ペンシルベニア州ウェストコンショホッケン)、薄膜型ヒーター熱伝導率試験(a Thin Heater Thermal Conductivity Test)」(ASTM C1114、ASTMインターナショナル、ペンシルベニア州ウェストコンショホッケン)、「ガード付きホットプレート及びヒートフローメータ法による熱抵抗の測定(Determination of thermal resistance by means of guarded hot plate and heat flow meter methods)」(EN 12667、英国規格協会(British Standards Institution)、英国)、又は「ガード付きホットプレート装置による定常熱抵抗及び関連特性の測定(Determination of steady-state thermal resistance and related properties - Guarded hot plate apparatus)」(ISO 8203、国際標準化機構(International Organization for Standardization)、スイス)(これらに限定されない)などの当該技術分野で知られている試験方法によって決定することができる。異なる方法が異なる結果をもたらす可能性があるため、本開示の文脈内で、かつ明示的に記載されていない限り、熱伝導率測定は、ASTM C518規格(ヒートフローメータ装置による定常熱伝達特性の標準試験方法)に従って、周囲環境の大気圧で、約37.5℃の温度で、約2psiの圧縮荷重下で得られることが理解されるべきである。ASTM C518に従って報告された測定値は、典型的には、圧縮荷重に関連する調整を行ったEN 12667に従って行われた測定値とよく相関している。特定の実施形態では、本開示のエアロゲル材料又は組成物は、約40mW/m・K以下、約30mW/m・K以下、約25mW/m・K以下、約20mW/m・K以下、約18mW/m・K以下、約16mW/m・K以下、約14mW/m・K以下、約12mW/m・K以下、約10mW/m・K以下、約5mW/m・K以下、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲内の熱伝導率を有する。
【0096】
熱伝導率測定は、圧縮下の大気圧で約10℃の温度で得ることもできる。10℃での熱伝導率測定は、一般的に、37.5℃での対応する熱伝導率測定よりも0.5~0.7mW/m・K低い。特定の実施形態では、本開示のエアロゲル材料又は組成物は、約40mW/m・K以下、約30mW/m・K以下、約25mW/m・K以下、約20mW/m・K以下、約18mW/m・K以下、約16mW/m・K以下、約14mW/m・K以下、約12mW/m・K以下、約10mW/m・K以下、約5mW/m・K以下、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲内の10℃での熱伝導率を有する。
【0097】
本開示の文脈内では、用語「密度」は、エアロゲル材料又は組成物の単位体積当たりの質量の測定値を指す。用語「密度」は、一般的に、エアロゲル材料の見かけの密度、及びエアロゲル組成物の嵩密度を指す。密度は、典型的には、kg/m又はg/ccとして記録される。エアロゲル材料又は組成物の密度は、例えば、「予備成形ブロックおよびボード型断熱材の寸法および密度の標準試験方法(Standard Test Method for Dimensions and Density of Preformed Block and Board-Type Thermal Insulation)」(ASTM C303、ASTMインターナショナル、ペンシルベニア州ウェストコンショホッケン)、「ブランケット又はバット断熱材の厚さと密度の標準試験方法(Standard Test Methods for Thickness and Density of Blanket or Batt Thermal Insulations)」(ASTM C167、ASTMインターナショナル、ペンシルベニア州ウェストコンショホッケン)、「プレフォームドパイプ断熱材の見掛け密度の測定(Determination of the apparent density of preformed pipe insulation)」(EN 13470、英国規格協会、英国)、又は「プレフォームドパイプ断熱材の見掛け密度の測定(Determination of the apparent density of preformed pipe insulation)」(ISO 18098、国際標準化機構、スイス)(これらに限定されない)などの当該技術分野で知られている方法によって決定することができる。異なる方法が異なる結果をもたらす可能性があるため、本開示の文脈において、密度測定値は、別段の記載がない限り、厚さ測定のために2psi圧縮でASTM C167規格(「ブランケットまたはバット断熱材の厚さおよび密度の標準試験方法」)に従って得られることが理解されるべきである。特定の実施形態では、本開示のエアロゲル材料又は組成物は、約0.60g/cc以下、約0.50g/cc以下、約0.40g/cc以下、約0.30g/cc以下、約0.25g/cc以下、約0.20g/cc以下、約0.18g/cc以下、約0.16g/cc以下、約0.14g/cc以下、約0.12g/cc以下、約0.10g/cc以下、約0.05g/cc以下、約0.01g/cc以下、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲内の密度を有する。
【0098】
本開示の文脈において、用語「疎水性度」は、水をはじくことに関するエアロゲル材料又は組成物の能力の測定値を指す。
【0099】
エアロゲル材料又は組成物の疎水性度は、液体水の取込み量により表すことができる。本開示の文脈内では、用語「液体水取込み量」は、液体水を吸収するか、又はそうでなければ保持するためのエアロゲル材料又は組成物の潜在能力の測定値を指す。液体水取込み量は、特定の測定条件下で液体水に曝されたときにエアロゲル材料又は組成物によって吸収されたか、又は他の方法で保持された水の百分率(質量又は体積)として表すことができる。エアロゲル材料又は組成物の液体吸水量は、例えば、「繊維状ガラス断熱材の保水性(はっ水性)特性を決定するための標準試験方法(Standard Test Method for Determining the Water Retention (Repellency) Characteristics of Fibrous Glass Insulation)」(ASTM C1511、ASTMインターナショナル、ペンシルベニア州ウェストコンショホッケン)、「断熱材の浸漬による吸水のための標準試験方法(Standard Test Method for Water Absorption by Immersion of Thermal Insulation Materials)」(ASTM C1763、ASTMインターナショナル、ペンシルベニア州ウェストコンショホッケン)、「建築用途用の断熱製品:部分浸漬による短期吸水率の測定(Thermal insulating products for building applications: Determination of short term water absorption by partial immersion)」(EN 1609、英国規格協会、英国)(これらに限定されない)などの当該技術分野で知られている方法によって決定することができる。異なる方法が異なる結果をもたらす可能性があるため、本開示の文脈内では、液体取込み量の測定値は、別段の記載がない限り、周囲圧力及び温度の下で、ASTM C1511規格(「繊維状ガラス断熱材(航空機タイプ)の保水性(はっ水性)を決定するための標準試験方法」)に従って得られることが理解されるべきである。特定の実施形態では、本開示のエアロゲル材料又は組成物は、約50wt%以下、約40wt%以下、約30wt%以下、約20wt%以下、約15wt%以下、約10wt%以下、約8wt%以下、約3wt%以下、約2wt%以下、約1wt%以下、約0.1wt%以下、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲の液体水の取込み量を有することができる。他のエアロゲル材料又は組成物と比較して液体水の取込み量が改善されたエアロゲル材料又は組成物は、基準エアロゲル材料又は組成物と比較して液体水の取込み量/保持の割合がより低い。
【0100】
エアロゲル材料又は組成物の疎水性度は、水蒸気取込み量により表すことができる。本開示の文脈内では、用語「水蒸気取込み量」は、エアロゲル材料又は組成物が水蒸気を吸収する潜在能力の測定値を指す。水蒸気取込み量は、特定の測定条件下で水蒸気に曝されたときにエアロゲル材料又は組成物によって吸収されるか、又は他の方法で保持される水の百分率(質量基準)として表すことができる。エアロゲル材料又は組成物の水蒸気取込み量は、例えば、「未照射鉱物繊維断熱材の水蒸気収着を測定するための標準試験方法(Standard Test Method for Determining the Water Vapor Sorption of Unfaced Mineral Fiber Insulation)」(ASTM C1104、ASTMインターナショナル、ペンシルベニア州ウェストコンショホッケン)、「建築用途用の断熱製品:拡散による長期吸水率の測定(Thermal insulating products for building applications: Determination of long term water absorption by diffusion)」(EN 12088、英国規格協会、英国)(これらに限定されない)などの当該技術分野で知られている方法によって決定することができる。異なる方法が異なる結果をもたらす可能性があるため、本開示の文脈では、水蒸気取込み量の測定値は、別段の記載がない限り、、周囲圧力下で49℃及び湿度95%で24時間(ASTM C1104規格に準拠して96時間から修正された)、ASTM C1104規格(未照射鉱物繊維断熱材の水蒸気収着を測定するための標準試験方法)に従って得られたものであることが理解されるべきである。特定の実施形態では、本開示のエアロゲル材料又は組成物は、約50wt%以下、約40wt%以下、約30wt%以下、約20wt%以下、約15wt%以下、約10wt%以下、約8wt%以下、約3wt%以下、約2wt%以下、約1wt%以下、約0.1wt%以下、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲内の水蒸気取込み量を有することができる。別のエアロゲル材料又は組成物と比較して水蒸気取込みが改善されたエアロゲル材料又は組成物は、基準エアロゲル材料又は組成物と比較して水蒸気取込み量/保持の割合がより低い。
【0101】
エアロゲル材料又は組成物の疎水性度は、材料の表面との界面における水滴の平衡接触角を測定することによって表すことができる。本開示のエアロゲル材料又は組成物は、約90°以上、約120°以上、約130°以上、約140°以上、約150°以上、約160°以上、約170°以上、約175°以上、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲内の水接触角を有することができる。
【0102】
本開示の文脈内では、用語「燃焼熱」、「HOC」及び「ΔH」は、材料又は組成物の燃焼又は発熱性熱分解において放出された熱エネルギーの量の測定値を指す。燃焼熱は、典型的には、エアロゲル材料又は組成物の1グラム当たり放出された熱エネルギーのカロリー(cal/g)で記録され、あるいは、材料又は組成物の1キログラム当たり放出された熱エネルギーのメガジュール(MJ/kg)として記録される。材料又は組成物の燃焼熱は、当該技術分野で知られている方法によって決定することができ、かかる方法としては、「製品の火災試験に対する反応-燃焼総熱量(発熱量)の決定(Reaction to fire tests for products - Determination of the gross heat of combustion (calific value)」(EN ISO1716、国際標準化機構、スイス;EN採択)が挙げられるが、これらに限定されない。本開示の文脈において、燃焼熱測定は、別段の記載がない限り、「製品の火災試験に対する反応-燃焼総熱量(発熱量)の決定」(EN ISO 1716規格)に従って得られる。特定の実施形態では、本開示のエアロゲル組成物は、約750cal/g以下、約717cal/g以下、約700cal/g以下、約650cal/g以下、約600cal/g以下、約575cal/g以下、約550cal/g以下、約500cal/g以下、約450cal/g以下、約400cal/g以下、約350cal/g以下、約300cal/g以下、約250cal/g以下、約200cal/g以下、約150cal/g以下、約100cal/g以下、約50cal/g以下、約25cal/g以下、約10cal/g以下、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲内である燃焼熱を有することができる。別のエアロゲル組成物と比較して改善された燃焼熱を有するエアロゲル組成物は、基準エアロゲル組成物と比較して、より低い燃焼熱値を有する。本開示の特定の実施形態では、エアロゲル組成物のHOCは、耐火クラス添加剤をエアロゲル組成物に組み込むことによって改善される。
【0103】
本開示の文脈では、全ての熱分析及び関連する定義は、25℃から開始し、常圧の空気中で1分間に20℃の割合で1000℃まで上昇することによって実行される測定値を指す。したがって、熱分解開始点、ピーク熱放出温度、ピーク吸音温度などを測定及び計算する際には、これらのパラメータのいかなる変化も考慮しなければならない(又は、これらの条件で再実行されなければならない)。本開示の文脈において、「熱分解開始点」及び「T」という用語は、有機材料の分解からの急速な発熱反応が材料又は組成物内に現れる環境熱(environmental heat)の最低温度の測定値を指す。材料又は組成物中の有機材料の熱分解開始点は、熱質量分析(TGA)を用いて測定することができる。材料のTGA曲線は、周囲温度の上昇にさらされたときの材料の質量損失(%質量)を表し、熱分解を示す。材料の熱分解開始点は、TGA曲線の次の接線の交点と相関させることができる:TGA曲線の基線に接する線、及び有機材料の分解に関連する急速な発熱性分解イベントの間の最大勾配の点でのTGA曲線に接する線。本開示の文脈の中で、有機材料の熱分解開始点の測定値は、別段の記載がない限り、本段落で提供されるようにTGA分析を使用して得られたものである。
【0104】
材料の熱分解開始点は、示差走査熱量測定(DSC)分析を用いて測定することもできる。材料のDSC曲線は、材料が周囲温度の緩やかな上昇にさらされたときに放出される熱エネルギー(mW/mg)を表す。材料の熱分解温度の開始は、ΔmW/mg(熱エネルギー出力の変化)が最大に増加するDSC曲線内の点と相関させることができ、従って、エアロゲル材料からの発熱的熱生成を示す。本開示の文脈において、DSC、TGA、又はその両方を使用した熱分解開始点の測定値は、別段の明示的な記載がない限り、前段落でさらに定義したように、20℃/分の温度ランプレートを使用して得られる。DSC及びTGAはそれぞれ、この熱分解開始点について同様の値を提供し、多くの場合、両方から結果が得られるように、試験は同時に行われる。特定の実施形態では、本開示のエアロゲル材料又は組成物は、約300℃以上、約320℃以上、約340℃以上、約360℃以上、約380℃以上、約400℃以上、約420℃以上、約440℃以上、約460℃以上、約480℃以上、約500℃以上、約550℃以上、約600℃以上、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲内の熱分解開始点を有する。本明細書の文脈内では、例えば、第1の組成物が第2の組成物の熱分解開始点よりも高い熱分解開始点を有することは、第2の組成物に対する第1の組成物の改良点であると考えられる。本明細書では、組成物又は材料の熱分解開始点が、耐火クラス添加剤を含まない組成物と比較して、1つ以上の耐火クラス添加剤を添加した場合に増加することが企図されている。
【0105】
本開示の文脈において、「吸熱分解の開始点」及び「TED」という用語は、材料又は組成物内に分解又は脱水からの吸熱反応が現れる環境熱の最低温度の測定値を指す。材料又は組成物の吸熱分解開始点は、熱質量分析(TGA)を用いて測定することができる。材料のTGA曲線は、周囲温度の上昇にさらされたときの材料の質量損失(質量%)を示す。材料の熱分解開始点は、TGA曲線の以下の接線の交点と相関することがある:TGA曲線の基線に接する線、及び材料の急速な吸熱分解又は脱水の間の最大勾配の点でのTGA曲線に接する線。本開示の文脈内では、材料又は組成物の吸熱分解開始点の測定値は、別段の記載がない限り、本段落で提供されるようにTGA分析を用いて得られる。
【0106】
本開示の文脈において、「炉内温度の上昇」及び「ΔT」という用語は、熱分解条件下での材料又は組成物の最高温度(TMAX)と、熱分解条件下でのその材料又は組成物のベースライン温度(通常、最終温度、又はTFIN)との間の差の測定値を指す。炉内温度の上昇は、通常、摂氏又は℃で記録される。材料又は組成物の炉内温度の上昇は、「建築及び輸送製品のための火炎に対する反応試験:不燃性試験(Reaction to fire tests for building and transport products: Non-combustibility test)」(EN ISO 1182、国際標準化機構、スイス;EN採用)(これに限定されない)などの当該技術分野で知られている方法によって決定することができる。本開示の文脈において、炉内温度の上昇の測定値は、別段の記載がない限り、EN ISO 1182規格(建築及び輸送製品のための火炎に対する反応試験:不燃性試験)と同等な条件で得られる。特定の実施形態において、本開示のエアロゲル組成物は、約100℃以下、約90℃以下、約80℃以下、約70℃以下、約60℃以下、約50℃以下、約45℃以下、約40℃以下、約38℃以下、約36℃以下、約34℃以下、約32℃以下、約30℃以下、約28℃以下、約26℃以下、約24℃以下、又はこれらの値のうちの任意の2つの値の間の範囲内の炉内温度の上昇を有することができる。高温での組成物の安定性の文脈の中で、例えば、第1の組成物が第2の組成物の炉内温度の上昇よりも低い炉内温度の上昇を有することは、第2の組成物に対する第1の組成物の改良点であると考えられる。本明細書では、組成物の炉内温度の上昇が、任意の耐火クラス添加剤を含まない組成物と比較して、1種以上の耐火クラス添加剤を添加した場合に低減されることが企図されている。
【0107】
本開示の文脈において、「火炎時間(flame time)」及び「TFLAME」という用語は、熱分解条件下での材料又は組成物の持続的な炎の測定値を指し、ここで、「持続的な炎」とは、5秒間以上持続する試験片の可視部分上の任意の部分での炎の持続である。火炎時間は、通常、秒又は分で記録される。材料又は組成物の炎の時間は、「建築及び輸送製品のための火炎に対する反応試験:不燃性試験」(EN ISO 1182、国際標準化機構、スイス;EN採用)(これに限定されない)などの当該技術分野で知られている方法によって決定することができる。本開示の文脈において、火炎時間の測定は、別段の記載がない限り、EN ISO 1182規格(建築及び輸送製品のための火炎に対する反応試験:不燃性試験)と同等な条件で得られる。特定の実施形態では、本開示のエアロゲル組成物は、約30秒間以下、約25秒間以下、約20秒間以下、約15秒間以下、約10秒間以下、約5秒間以下、約2秒間以下、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲内の火炎時間を有する。本明細書の文脈内では、例えば、第1の組成物が第2の組成物の火炎時間よりも短い火炎時間を有することは、第2の組成物に対する第1の組成物の改良点であると考えられる。本明細書の文脈では、組成物の火炎時間は、任意の耐火クラス添加剤を含まない組成物と比較して、1種以上の耐火クラス添加剤を添加した場合に低減されることが企図されている。
【0108】
本開示の文脈において、「質量損失」及び「ΔM」という用語は、熱分解条件下で失われるか又は燃え尽きた材料、組成物又は組成物の量の測定値を指す。質量損失は、典型的には、質量%又はwt%として記録される。材料、組成物又は複合材料の質量損失は、EN ISO 1182規格(建築及び輸送製品のための火炎に対する反応試験:不燃性試験)などの当該技術分野で知られている方法によって決定することができる。本開示の文脈において、質量損失の測定値は、別段の記載がない限り、EN ISO 1182規格(建築及び輸送製品のための火炎に対する反応試験:不燃性試験)と同等な条件で得られる。特定の実施形態では、本開示のエアロゲル組成物は、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約28%以下、約26%以下、約24%以下、約22%以下、約20%以下、約18%以下、約16%以下、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲内の質量損失を有することができる。本明細書の文脈内では、例えば、第1の組成物が第2の組成物の質量損失よりも低い質量損失を有することは、第2の組成物に対する第1の組成物の改良点であると考えられる。本明細書の文脈では、組成物の質量損失は、任意の耐火クラス添加剤を含まない組成物と比較して、1種以上の耐火クラス添加剤を添加した場合に低減されることが企図されている。
【0109】
本開示の文脈において、「ピーク熱放出温度」という用語は、分解からの発熱熱放出が最大となる環境熱の温度の測定値を指す。材料又は組成物のピーク熱放出温度は、TGA分析、示差走査熱量測定(DSC)又はそれらの組み合わせを使用して測定することができる。DSCとTGAは、それぞれ、ピーク熱放出温度について同様の値を提供し、多くの場合、両方から結果が得られるように、試験は同時に行われる。典型的なDSC分析では、上昇温度に対して熱流がプロットされ、ピーク熱放出温度は、そのような曲線の中で最高のピークが現れる温度である。本開示の文脈の中で、材料又は組成物のピーク熱放出温度の測定は、別段の記載がない限り、本段落で提供されるように、TGA分析を使用して得られる。
【0110】
吸熱性物質の文脈において、「ピーク吸熱温度」という用語は、分解による吸熱的熱吸収が最低である環境熱の温度の測定値を指す。材料又は組成物のピーク吸熱温度は、TGA分析、示差走査熱量測定(DSC)又はそれらの組み合わせを使用して測定することができる。典型的なDSC分析では、上昇温度に対して熱流がプロットされ、ピーク吸熱温度は、そのような曲線の中で最も低いピークが現れる温度である。本開示の文脈では、材料又は組成物のピーク吸熱温度の測定は、別段の記載がない限り、本段落に提供されるように、TGA分析を使用して得られる。
【0111】
本開示の文脈内では、「低有炎燃焼性(low-flammability)」及び「低有炎燃焼性の(low-flammable)」という用語は、以下の特性の組み合わせを満たす材料又は組成物を指す:i)50℃以下の炉内温度の上昇、ii)20秒間以下の火炎時間、及びiii)50wt%以下の質量損失。本開示の文脈において、「非有炎燃焼性」及び「非有炎燃焼」という用語は、以下の特性の組み合わせを満たす材料又は組成物を指す:i)40℃以下の炉内温度の上昇、ii)2秒間以下の火炎時間、及びiii)30wt%以下の質量損失。本明細書に記載されているように、組成物の燃焼性(例えば、炉内温度の上昇、火炎時間及び質量損失の組み合わせ)は、1種以上の耐火クラス添加剤を含有することによって低減されることが企図されている。
【0112】
本開示の文脈内では、用語「低可燃性(low-combustibility)」及び「低可燃性の(low-combustible)」は、3J/kg以下の総燃焼熱(HOC)を有する低可燃性材料又は組成物を指す。本開示の文脈において、用語「不燃性」及び「不燃性の」は、2J/kg以下の燃焼熱(HOC)を有する不燃性材料又は組成物を指す。組成物のHOCは、本明細書に記載されているように、1つ又はそれ以上の耐火クラス添加剤を含有することによって低減されることが企図されている。
【0113】
エアロゲルは、相互に接続されたオリゴマー、ポリマー、又はコロイド粒子から最も一般的に構成される相互接続構造の骨格として記載される。エアロゲル骨格は、無機前駆体材料(例えばシリカ系エアロゲルを製造するために使用される前駆体など)、有機前駆体材料(例えば炭素系エアロゲルを製造するために使用される前駆体など)、無機/有機ハイブリッド前駆体材料、及びそれらの組み合わせを包含する、様々な前駆体材料から作られたものであることができる。本開示の文脈において、用語「アマルガムエアロゲル」は2種以上の異なるゲル前駆体の組み合わせから製造されたエアロゲルを指し、対応する前駆体は「アマルガム前駆体」と呼ばれる。
【0114】
無機エアロゲルは、一般的に、金属酸化物又は金属アルコキシド材料から形成される。金属酸化物又は金属アルコキシド材料は、酸化物を形成し得る任意の金属の酸化物又はアルコキシドに基づくものであることができる。かかる金属としては、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、イットリウム、バナジウム、セリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。無機シリカエアロゲルは、従来、シリカ系アルコキシド(例えばテトラエトキシシランなど)の加水分解及び縮合、又はケイ酸又は水ガラスのゲル化により製造される。シリカ系エアロゲル合成のための他の関連する無機前駆体材料としては、例えばケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウムなどの金属ケイ酸塩、アルコキシシラン、部分的に加水分解されたアルコキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、部分的に加水分解されたTEOS、TEOSの縮合ポリマー、テトラメトキシシラン(TMOS)、部分的に加水分解されたTMOS、TMOSの縮合ポリマー、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-n-プロポキシシランの部分加水分解及び/又は縮合ポリマー、ポリエチルシリケート、部分的に加水分解されたポリエチルシリケート、単量体アルキルアルコキシシラン、ビス-トリアルコキシアルキル又はアリールシラン、多面体シルセスキオキサン、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
本開示の特定の実施形態では、例えば、約1.9~2の水/シリカ比で加水分解されたSilbond H-5(SBH5、Silbond Corp)などの、事前に加水分解されたTEOSを市販のものとして使用することができ、ゲル化プロセスに組み込む前にさらに加水分解してもよい。ポリエチルシリケート(Silbond 40)又はポリメチルシリケートなどの部分的に加水分解されたTEOS又はTMOSも市販のものとして使用することができ、又はゲル化プロセスに組み込む前にさらに加水分解されてもよい。
【0116】
無機エアロゲルとしては、アルキル金属アルコキシド、シクロアルキル金属アルコキシド、アリール金属アルコキシドなどの少なくとも1つの疎水性基を含むゲル前駆体を挙げることもでき、これらは、安定性及び疎水性などのゲル中の特定の特性を付与又は改善することができる。無機シリカエアロゲルは、具体的には、例えばアルキルシラン又はアリールシランなどの疎水性前駆体を含むことができる。疎水性ゲル前駆体は、ゲル材料の骨格を形成するための一次前駆体材料として使用することができる。しかしながら、疎水性ゲル前駆体は、アマルガムエアロゲルの形成において、単純な金属アルコキシドと組み合わせて共前駆体としてより一般的に使用される。シリカ系エアロゲル合成のための疎水性無機前駆体材料としては、トリメチルメトキシシラン(TMS)、ジメチルジメトキシシラン(DMS)、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン(DMDS)、メチルトリエトキシシラン(MTES)、エチルトリエトキシシラン(ETES)、ジエチルジエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン(PhTES)、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザンなどが挙げられるが、これらに限定されない。上記前駆体の任意の誘導体を使用してもよく、具体的には、特定のポリマー基又は他の化学基を上記前駆体の1種又は2種以上に添加又は架橋してもよい。
【0117】
疎水性を付与又は改善するためにエアロゲルを処理してもよい。疎水性処理は、ゾルゲル溶液、液体抽出前の湿潤ゲル、又は液体抽出後のエアロゲルに適用することができる。疎水性処理は、例えばシリカエアロゲルなどの金属酸化物エアロゲルの製造において特に一般的である。ゲルの疎水化処理の例は、以下でより詳細に、具体的にはシリカ湿潤ゲルを処理することについての文脈で議論する。しかしながら、本明細書で提供される特定の実施例及び例示は、本開示の範囲を任意の特定のタイプの疎水性処理手順又はエアロゲル基質に限定することを意図するものではない。本開示は、当業者に知られている任意のゲル又はエアロゲルに加えて、湿潤ゲルの形態又は乾燥エアロゲルの形態のいずれかのエアロゲルの関連する疎水性処理方法を包含する。
【0118】
疎水性処理は、例えばシリカゲルの骨格上に存在する例えばシラノール基(Si-OH)などの、ゲル上のヒドロキシ部分と、疎水化剤の官能基とを反応させることによって行われる。この結果生じる反応は、シラノール基(Si-OH)と疎水化剤とを、シリカゲルの骨格上に存在する疎水性基に変換する。疎水化剤化合物は、以下の反応に従ってゲル上のヒドロキシル基と反応することができる:RMX4-N(疎水化剤)+MOH(シラノール)→MOMR(疎水性基)+HX。疎水性処理は、シリカゲルの外側マクロ表面とゲルの多孔質ネットワーク内の内孔表面の両方で行うことができる。
【0119】
疎水化剤と、疎水化剤が可溶であり、かつ、湿潤ゲル中のゲル溶媒と混和性である任意の疎水化処理溶媒との混合物中にゲルを浸漬することができる。例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、キシレン、トルエン、ベンゼン、ジメチルホルムアミド、ヘキサンなどの溶媒を包含する広範囲の疎水性処理溶媒を使用することができる。また、液状又は気体状の疎水化剤を直接ゲルに接触させて疎水性を付与してもよい。
【0120】
疎水性処理プロセスは、疎水化剤が湿潤ゲルに浸透するのを助けるために、混合又は撹拌を含むことができる。疎水性処理プロセスは、処理反応をさらに増進し、最適化するために、温度やpHなどの他の条件を変えることを含んでもよい。反応終了後、湿潤ゲルを洗浄し、未反応化合物や反応副生成物を除去する。
【0121】
エアロゲルの疎水性処理のための疎水化剤は、一般式RMX4-N(式中、Mは金属であり、Rは疎水性キ、例えばCH、CHCH、C、又は類似の疎水性のアルキル、シクロアルキル又はアリール部位などであり、Xはハロゲン、通常はClである。)により表される化合物である。疎水化剤の具体例としては、トリメチルクロロシラン(TMCS)、トリエチルクロロシラン(TECS)、トリフェニルクロロシラン(TPCS)、ジメチルクロロシラン(DMCS)、ジメチルジクロロシラン(DMDCS)などが挙げられるが、これらに限定されない。また、疎水化剤は、式Y(RM)で(式中、Mは金属であり、Yは、架橋基、例えばNH又はOなどであり、Rは、疎水性基、例えばCH、CHCH、C、又は類似の疎水性のアルキル、シクロアルキル又はアリール部分などである。)により表されるものであってもよい。かかる疎水化剤の具体例としては、ヘキサメチルジシラザン[HMDZ]、ヘキサメチルジシロキサン[HMDSO]などが挙げられるが、これらに限定されない。疎水化剤としては、さらに、式RMV4-Nの(式中、Vはハロゲン以外の反応性基又は離脱基である。)により表される化合物を挙げることができる。かかる疎水化剤の具体例としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどの疎水化剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
本発明の疎水性処理はまた、ゲル中の液体の除去、交換又は乾燥の間に行われてもよい。特定の実施形態では、疎水性処理は、超臨界流体環境(例えば、超臨界二酸化炭素などが挙げられるが、これらに限定されない)で実施されてもよく、乾燥又は抽出工程と組み合わせて実施されてもよい。
【0123】
本開示の文脈において、「疎水性結合ケイ素(hydrophobic-bound silicon)」という用語は、ケイ素原子に共有結合した少なくとも1つの疎水性基を含むゲル又はエアロゲルの骨格内のケイ素原子を指す。疎水性結合ケイ素の例としては、少なくとも1つの疎水性基を含むゲル前駆体(例えば、MTES又はDMDS)から形成されたゲル骨格内のシリカ基内のケイ素原子が挙げられるが、これらに限定されない。また、疎水性結合ケイ素としては、組成物中にさらなる疎水性基を組み込むことによって疎水性を付与又は改善するために疎水化剤(例えば、HMDZ)で処理されたゲル骨格内又はゲル表面上のケイ素原子が挙げられるが、これらに限定されない。本開示の疎水性基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、オクチル基、フェニル基、又は当業者に知られている他の置換もしくは非置換疎水性有機基が挙げられるが、これらに限定されない。本開示の文脈において、「疎水性基」、「疎水性有機材料」、及び「疎水性有機含有分(hydrophobic organic content)」という用語は、有機溶媒とシラノール基との間の反応の産物である、ゲル材料の骨格上の容易に加水分解可能な有機ケイ素結合アルコキシ基を特に除外する。このような除外された基は、NMR分析により、この疎水性有機含有分と区別することができる。エアロゲル中に含まれる疎水性結合ケイ素の量は、CP/MAS 29Si固体NMRなどのNMR分光法を用いて分析することができる。エアロゲルのNMR分析により、M型疎水性結合ケイ素(例えばTMS誘導体などの単官能性シリカ);D型疎水性結合ケイ素(例えばDMDS誘導体などの2官能性シリカ);T型疎水性結合ケイ素(例えばMTES誘導体などの3官能性シリカ);及びQ型ケイ素(例えばTEOS誘導体などの4官能性シリカ)の特性評価及び相対定量を行うことができる。また、NMR分析は、特定のタイプの疎水性結合ケイ素をサブタイプに分類すること(例えば、T型疎水性結合ケイ素をT種、T種、T3種に分類すること)を可能にすることにより、エアロゲルに含まれる疎水性結合ケイ素の結合化学を解析するために使用することができる。シリカ材料のNMR分析に関する具体的な詳細は、Geppiらによる論文「Applications of Solid-State NMR to the Study of Organic/Inorganic Multicomponent Materials」、具体的には第7~9頁(Appl. Spec. Rev. (2008), 44-1: 1-89)に見出すことができ、具体的に引用したページを参照により援用する。
【0124】
CP/MAS 29SiのNMR分析における疎水性結合ケイ素の特性評価は、以下の化学シフトピークに基づくことができる:M(30~10ppm);D(10~-10ppm)、D(-10~-20ppm);T(-30~-40ppm)、T(-40~-50ppm)、T(-50~-70ppm);Q(-70~-85ppm)、Q(-85~-95ppm)、Q(-95~-110ppm)。これらの化学シフトピークは、近似的かつ例示的なものであり、限定的又は決定的なものであることを意図したものではない。材料内の様々なケイ素種に起因する正確な化学シフトピークは、材料の特定の化学成分に依存することがあり、一般的に、当業者による常套的な実験及び分析によって解読することができる。
【0125】
本開示の文脈において、「疎水性有機含有分(hydrophobic organic content)」又は「疎水性物質含有分(hydrophobe content)」又は「疎水性含有分(hydrophobic content)」という用語は、エアロゲル材料又は組成物中の骨格に結合した疎水性有機材料の量を指す。エアロゲル材料又は組成物の疎水性有機含有分は、エアロゲル材料又は組成物中の材料の総量に対するエアロゲル骨格上の疎水性有機材料の量の質量%で表すことができる。疎水性有機含有分は、エアロゲル材料又は組成物を製造する際に使用される材料の性質及び相対濃度に基づいて、当業者であれば計算することができる。疎水性有機含有分はまた、対象材料の熱質量分析(TGA)を用いて、好ましくは酸素雰囲気下で測定することができる(ただし、代替ガス環境下でのTGAも有用である)。具体的には、エアロゲル中の疎水性有機材料の百分率は、TGA分析中に燃焼熱温度にさらされたときの疎水性エアロゲル材料又は組成物における質量損失の百分率と相関させることができ、TGA分析中に水分の損失、残留溶媒の損失、及び容易に加水分解可能なアルコキシ基の損失のために調整が加えられている。本発明のエアロゲル組成物中の疎水性物質含有分を測定し、決定するために、例えば示差走査熱量測定、元素分析(特に、炭素)、クロマトグラフィー技術、核磁気共鳴スペクトル、及び当業者に知られている他の分析技術などの他の代替技術を使用してもよい。特定の場合に、本発明のエアロゲル組成物の疎水性物質含有分を決定する際に、既知の技術の組み合わせが有用であるか、又は必要である場合がある。
【0126】
本開示のエアロゲル材料又は組成物は、50wt%以下、40wt%以下、30wt%以下、25wt%以下、20wt%以下、15wt%以下、10wt%以下、8wt%以下、6wt%以下、5wt%以下、4wt%以下、3wt%以下、2wt%以下、1wt%以下、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲内の疎水性有機物含有分を有することができる。
【0127】
「燃料含有分」という用語は、エアロゲル材料又は組成物中の可燃性材料の総量を指し、これは、TGA又はTG-DSC分析中に可燃性熱温度にさらされたときのエアロゲル材料又は組成物中の質量損失の総百分率と相関させることができ、水分の損失のために調整が加えられている。エアロゲル材料又は組成物の燃料含有分としては、疎水性有機含有分、及び他の可燃性残留アルコール溶媒、充填材、補強材、及び容易に加水分解可能なアルコキシ基を挙げることができる。
【0128】
有機エアロゲルは、一般的に、炭素系ポリマー前駆体から形成される。かかるポリマー材料としては、レゾルシノールホルムアルデヒド(RF)、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、アクリレートオリゴマー、ポリオキシアルキレン、ポリウレタン、ポリフェノール、ポリブタジエン、トリアコキシシリル末端ポリジメチルシロキサン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリフルフラール、メラミン-ホルムアルデヒド、クレゾールホルムアルデヒド、フェノール-フルフラール、ポリエーテル、ポリオール、ポリイソシアネート、ポリヒドロキシベンゼ、ポリビニルアルコールジアルデヒド、ポリシアヌレート、ポリアクリルアミド、各種エポキシ樹脂、寒天、アガロース、キトサン、及びそれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。一例として、有機RFエアロゲルは、典型的には、アルカリ性条件下でのレゾルシノール又はメラミンとホルムアルデヒドとのゾル-ゲル重合から製造される。
【0129】
有機/無機ハイブリッドエアロゲルは、主に(有機変性シリカ(「オルモシル(ormosil)」)エアロゲルから構成される。これらのオルモシル材料は、シリカネットワークに共有結合された有機成分を含む。オルモシルは、典型的には、従来のアルコキシド前駆体Y(OX)による、有機変性シランR-Si(OX)の加水分解及び縮合によって形成される。これらの式において、Xは、例えば、CH、C、C、Cを表すことができ、Yは、例えば、Si、Ti、Zr又はAlを表すことができ、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、メタクリレート、アクリレート、ビニル、エポキシドなどの任意の有機フラグメントであることができる。また、オルモシルエアロゲル中の有機成分は、シリカネットワーク全体に分散していてもよいし、化学的に結合していてもよい。
【0130】
本開示の文脈では、用語「オルモシル」は、前述の材料及び他の有機変性材料を包含し、時には、「オルモサー(ormocers)」と呼ばれることもある。オルモシルは、オルモシル膜が、例えばゾル-ゲルプロセスにより基材上にキャストされたコーティングとしてしばしば使用される。本開示の他の有機-無機ハイブリッドエアロゲルの例としては、シリカ-ポリエーテル、シリカ-PMMA、シリカ-キトサン、炭化物、窒化物、及び前述の有機及び無機エアロゲル形成化合物の他の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。公開されている米国特許(特許出願第20050192367号(段落[0022]~[0038]及び[0044]~[0058])には、そのようなハイブリッド有機無機材料の教示が含まれており、個々に引用したセクション及び段落について参照により本明細書に援用される。
【0131】
特定の実施形態において、本開示のエアロゲルは、好ましくはオリゴマーとしてのプレポリマー化シリカ前駆体、又はアルコール溶媒中のケイ素アルコキシドから形成された加水分解ケイ酸エステルから主に形成された無機シリカエアロゲルである。特定の実施形態では、かかるプレポリマー化シリカ前駆体又は加水分解ケイ酸エステルは、例えばアルコキシシラン又は水ガラスなどの他の前駆体又はケイ酸エステルから現場(in situ)で形成されてもよい。しかしながら、本開示は、全体として、当該技術分野で知られている任意の他のエアロゲル組成物を用いて実施することができ、1つの前駆体材料又は前駆体材料のアマルガム混合物に限定されない。
【0132】
エアロゲルの製造は、一般的に、以下の工程を含む:i)ゾル-ゲル溶液を形成する工程、ii)ゾル-ゲル溶液からゲルを形成する工程、及びiii)革新的な処理及び抽出によりゲル材料から溶媒を抽出して、乾燥したエアロゲル材料を得る工程。このプロセスは、以下で、具体的には、シリカエアロゲルなどの無機エアロゲルを形成するという文脈でより詳細に論じる。しかしながら、本明細書で提供される特定の実施例及び例示は、本開示を任意の特定のタイプのエアロゲル及び/又は製造方法に限定することを意図するものではない。本開示は、特に断りのない限り、当業者に知られている任意の関連する製造方法によって形成された任意のエアロゲルを包含し得る。
【0133】
無機エアロゲルを形成する第1工程は、一般的に、アルコール系溶媒中で、例えば金属アルコキシド前駆体(これらに限定されない)などのシリカ前駆体の加水分解及び縮合によるゾル-ゲル溶液の形成である。無機エアロゲルの形成における主な変数としては、ゾル-ゲル溶液に含まれるアルコキシド前駆体の種類、溶媒の性質、ゾル-ゲル溶液の処理温度及びpH(酸又は塩基の添加によって変化し得る)、並びにゾル-ゲル溶液中の前駆体/溶媒/水の比率が挙げられる。ゾル-ゲル溶液を形成する際のこれらの変数の制御は、ゲル材料が「ゾル」状態から「ゲル」状態へのその後の転移の間のゲル骨格の成長及び凝集を制御することを可能にすることができる。結果として得られるエアロゲルの特性は、前駆体溶液のpH及び反応物のモル比によって影響を受けるが、ゲルの形成を可能にする任意のpH及び任意のモル比を、本開示において使用することができる。
【0134】
ゾル-ゲル溶液は、少なくとも1種のゲル化前駆体を溶媒と組み合わせることによって形成される。ゾル-ゲル溶液を形成するために使用するのに好適な溶媒としては、1~6個の炭素原子、特に2~4個の炭素原子を有する低級アルコールが挙げられるが、当業者に知られているように他の溶媒を使用することができる。有用な溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、アセト酢酸エチル、アセトン、ジクロロメタン、テトラヒドロフランなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、所望の分散度を達成するため、又はゲル材料の特性を最適化するために、複数の溶媒を組み合わせてもよい。ゾル-ゲル形成工程及びゲル形成工程のための最適な溶媒の選択は、したがって、ゾル-ゲル溶液に組み込まれる特定の前駆体、充填剤及び添加剤、並びにゲル化及び液体抽出のための目標とする処理条件、及び最終的なエアロゲル材料の所望の特性に依存する。
【0135】
前駆体-溶媒溶液中に水が存在してもよい。水は、金属アルコキシド前駆体を金属水酸化物前駆体に加水分解するように作用する。加水分解反応は、Si(OC+4HO→Si(OH)+4(COH)であることができる(エタノール溶媒中のTEOSを例として使用)。得られた加水分解された金属水酸化物前駆体は、個々の分子として、又は分子の小さな重合(又はオリゴマル化)コロイドクラスターとして、溶媒溶液中に「ゾル」状態で懸濁したままである。例えば、Si(OH)前駆体の重合/縮合は、以下のように起こり得る:2Si(OH)=(OH)Si-O-Si(OH)+HO。この重合は、重合した(又はオリゴマー化した)SiO(シリカ)分子のコロイドクラスターが形成されるまで継続することができる。
【0136】
溶液のpHを制御し、前駆体材料の加水分解及び縮合反応を触媒するために、ゾル-ゲル溶液に酸及び塩基を組み込むことができる。前駆体反応を触媒し、より低いpHの溶液を得るために、任意の酸を使用することができるが、例示的な酸としては、HCl、HSO、HPO、シュウ酸及び酢酸が挙げられる。同様に、前駆体反応を触媒し、より高いpHの溶液を得るために任意の塩基を使用することができ、例示的な塩基としては、NHOHが挙げられる。
【0137】
ゾル-ゲル溶液は、フィラー材料及び他の添加剤に加えて、共ゲル化前駆体(co-gelling precursors)をさらに含むことができる。充填材及び他の添加剤は、ゲル形成前又はゲル形成中の任意の時点でゾル-ゲル溶液中に投与されてもよい。充填剤材料及び他の添加剤は、当業者に知られている様々な技術により、ゲル化後にゲル材料に組み込まれてもよい。特定の実施形態では、ゲル化前駆体、溶媒、触媒、水、充填材、及び他の添加剤を含むゾル-ゲル溶液は、適切な条件下で効果的なゲル形成が可能な均質溶液である。
【0138】
ゾル-ゲル溶液を形成し、最適化したら、ゾル-ゲル中のゲル形成成分をゲル材料に転移させることができる。ゲル形成成分をゲル材料に転移させる工程は、ゲルがゲル材料のゲル化点まで固化する初期ゲル形成工程を含む。ゲル材料のゲル化点は、ゲル化溶液が流動に対して抵抗を示す点、及び/又はその体積全体にわたって実質的に連続したポリマー骨格を形成する点と見なすことができる。さまざまなゲル形成技術が当業者に知られている。例としては、混合物を十分な期間静止状態に維持すること、溶液のpHを調整すること、溶液の温度を調整すること、混合物にある種のエネルギー(紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、超音波、粒子線、電磁放射)を直接当てること、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
ゲル形成成分(ゲル前駆体)をゲル材料に転移させる工程は、液体抽出又はゲルから溶媒を除去する(ゲルの乾燥とも呼ばれる)前に、エージング(硬化とも呼ばれる)工程を含んでもよい。ゲル化点に達した後にゲル材料をエージングすることは、ネットワーク内の架橋の数を増加させることで、ゲル骨格をさらに強化することができる。ゲルのエージングの期間は、得られるエアロゲル材料内の様々な特性を制御するために調整することができる。このエージング手順は、液体抽出中の潜在的な体積損失及び収縮を防止するのに有用であることができる。エージングは、ゲル(抽出前)を長時間静止状態に維持すること、ゲルを高温に維持すること、架橋促進化合物を添加すること、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。エージングのための好ましい温度は、典型的には約10℃~約100℃であるが、本明細書では他の適切な温度も考えられる。ゲル材料のエージングは、典型的には、湿潤ゲル材料の液体抽出まで続く。
【0140】
ゲル形成材料(ゲル前駆体)をゲル材料に転移させる期間は、初期ゲル形成期間(ゲル化の開始からゲル化点まで)、及びゲルからの液体抽出又は溶媒の除去(ゲルの乾燥とも呼ばれる)に先立つゲル材料のその後の任意の硬化及び熟成の期間(ゲル化点から液体抽出/溶媒の除去の開始まで)の両方を含む。ゲル形成材料をゲル材料に転移させるための総時間は、典型的には約1分間から数日間の間であり、典型的には約30時間以下、約24時間以下、約15時間以下、約10時間以下、約6時間以下、約4時間以下、約2時間以下、好ましくは約1時間以下、約30分間以下、約15分間以下、又は約10分間以下である。
【0141】
別の実施形態では、得られたゲル材料は、湿潤ゲル中に存在する一次反応溶媒に代わる適切な二次溶媒で洗浄されてもよい。かかる二次溶媒は、1個以上の脂肪族炭素原子を有する直鎖状一価アルコール、2個以上の炭素原子を有する二価アルコール、分岐アルコール、環状アルコール、脂環式アルコール、芳香族アルコール、多価アルコール、エーテル、ケトン、環状エーテル、又はそれらの誘導体であることができる。別の実施形態では、得られたゲル材料は、ゲル材料中に存在する同じ溶媒の追加量で洗浄されてもよく、これにより、特に、ゲル材料中の望ましくない副生成物又は他の沈殿物を除去することができる。
【0142】
ゲル材料を形成し、処理したら、ゲルの液体を、次に、革新的な処理及び抽出技術を含む抽出方法を用いて、湿潤ゲルから少なくとも部分的に抽出して、エアロゲル材料を形成することができる。液体の抽出は、特に、気孔率及び密度などのエアロゲルの特性、並びに熱伝導率などの関連特性を工学的に制御する上で重要な役割を果たす。一般的に、液体をゲルから、湿潤ゲルの多孔質ネットワーク及び骨格に低収縮をもたらすような方法で抽出すると、エアロゲルが得られる。この液体の抽出は、溶媒除去又は乾燥などと呼ばれることもある。
【0143】
シリカエアロゲルを形成する代替方法の一例は、例えば、水ガラスとしても知られているケイ酸ナトリウムなどの金属酸化物塩を使用する。水ガラス溶液は、まず、ケイ酸ナトリウムを水及び酸と混合してケイ酸前駆体溶液を形成することにより製造される。塩の副生成物は、イオン交換、界面活性剤分離、膜ろ過、又は他の化学的もしくは物理的な分離技術によってケイ酸前駆体から除去することができる。得られたゾルを、次いで、塩基触媒の添加などによりゲル化し、ヒドロゲルを生成することができる。ヒドロゲルは、残留する塩又は反応物を除去するために洗浄することができる。ゲルの細孔から水を除去するには、エタノール、メタノール、アセトンなどの極性有機溶媒との交換を介して行うことができる。次に、ゲル中の液体は、革新的な処理及び抽出技術を用いて少なくとも部分的に抽出される。一実施形態では、
【0144】
エアロゲルは、一般的に、液体移動相の臨界点に近い又はそれを超える温度及び圧力でゲル材料から液体移動相を除去することによって形成される。臨界点に達する(臨界に近い)か、又は臨界点を超える(超臨界)と(すなわち、システムの圧力及び温度がそれぞれ臨界圧力及び臨界温度にあるか、又は臨界温度よりも高い)と、液体又は気相とは異なる新しい超臨界相が流体中に現れる。その後、溶媒は、液体-蒸気界面、毛細管圧、又は液体-蒸気境界に典型的に関連するあらゆる関連する物質移動の制限を導入することなく、除去することができる。さらに、超臨界相は、一般的に有機溶媒とより混和性が高く、したがって、より優れた抽出のための能力を有する。共溶媒及び溶媒交換もまた、超臨界流体乾燥プロセスを最適化するために一般的に使用される。
【0145】
蒸発又は抽出が臨界点よりもはるかに下で起こる場合、液体の蒸発によって発生する毛細管力は、ゲル材料内で収縮及び細孔崩壊を引き起こすおそれがある。溶媒抽出プロセス中に移動相を臨界点付近又は臨界点以上の圧力及び温度に維持することは、かかる毛細管力の負の影響を減少させる。本開示の特定の実施形態では、溶媒系の臨界点のすぐ下の近臨界条件を使用することは、十分に低い収縮率を有するエアロゲル材料又は組成物の製造を可能にし、したがって商業的に実行可能な最終製品を製造することができる。
【0146】
エアロゲルの乾燥における超臨界流体の使用における様々なアプローチを含む、いくつかのさらなるエアロゲル抽出技術が当該技術分野で知られている。例えば、Kistler(J. Phys. Chem. (1932) 36: 52-64)には、ゲル溶媒がその臨界圧力及び温度以上に維持され、それによって蒸発毛管力が低減され、ゲルネットワークの構造的完全性が維持される単純な超臨界抽出プロセスが記載されている。米国特許第4,610,863号には、ゲル溶媒を、液体二酸化炭素と交換し、その後、二酸化炭素が超臨界状態にある条件で抽出する抽出プロセスが記載されている。米国特許第6670402号には、実質的に超臨界状態以上に予備加熱及び予備加圧された抽出器に超臨界状態の(液体ではなく)二酸化炭素を注入することによって、迅速な溶媒交換によりゲルから液体を抽出し、それによりエアロゲルを製造することが教示されている。米国特許第5962539号には、有機溶媒中でゾルゲルの形態にあるポリマー材料からエアロゲルを得るための方法であって、有機溶媒を、ポリマーの分解温度未満の臨界温度を有する流体と交換し、例えば超臨界二酸化炭素、超臨界エタノール又は超臨界ヘキサンなどの超臨界流体を用いて流体/ゾルゲルを抽出することによって、エアロゲルを得る方法が記載されている。米国特許第6315971号には、乾燥中のゲルの収縮を低減するのに十分な乾燥条件の下で、ゲル固形物と乾燥剤とを含む湿潤ゲルを乾燥させて乾燥剤を除去することを含むゲル組成物を製造する工程が開示されている。米国特許第5420168号には、レゾルシノール/ホルムアルデヒドエアロゲルを、簡単な空気乾燥手順を用いて製造することができるプロセスが記載されている。米国特許第5565142号には、ゲルの骨格及び細孔が周囲乾燥又は亜臨界抽出の間に崩壊に抵抗することができるようにゲル表面がより強く、より疎水性であるように変性される乾燥技術を記載している。エアロゲル材料から液体を抽出する他の例は第5275796号及び第5395805号に記載されている。
【0147】
湿潤ゲルから液体を抽出する一実施形態では、例えば二酸化炭素などの超臨界流体を使用し、例えば、最初に、ゲルの細孔ネットワーク内に存在する一次溶媒を液体二酸化炭素と実質的に交換し、次いで、湿潤ゲルを(典型的にはオートクレーブ内で)二酸化炭素の臨界温度(約31.06℃)を超えて加熱し、系の圧力を二酸化炭素の臨界圧力(約1070psig)よりも高い圧力まで上昇させることを含む。ゲル材料の周囲の圧力は、ゲルからの液体の除去を容易にするために、わずかに変動させることができる。二酸化炭素は、湿潤ゲルからの一次溶媒の継続的な除去を容易にするために、抽出システムを介して再循環させることができる。最後に、温度及び圧力をゆっくりと周囲条件に戻して、乾燥したエアロゲル材料を生成させる。二酸化炭素は、抽出チャンバに注入される前に、超臨界状態に前処理することができる。
【0148】
エアロゲルを形成する別の例示的な方法では、表面ヒドロキシル基の疎水性トリメチルシリルエーテルへの変換を介した湿潤ゲル状態のマトリックス材料の化学変性により、溶媒/細孔界面での有害な毛管圧力を低減することを含み、それにより、溶媒の臨界点未満の温度及び圧力で、ゲル材料からの液体抽出を可能にする。
【0149】
別の実施形態では、ゲル材料中の液体(溶媒)を低温で凍結させた後、昇華プロセスによって、ゲル材料から溶媒を除去することができる。ゲル材料からの溶媒のかかる除去又は乾燥は、本開示の範囲内であると理解される。かかる除去は、ゲル構造を大部分保持し、従って、独特の特性を有するエアロゲルを生成する。
【0150】
エアロゲル材料又は組成物の大規模生産は、大規模でのゲル材料の連続形成に関連する困難や、革新的な処理及び抽出技術を用いた大量のゲル材料からの液体抽出に関連する困難によって複雑になることがある。特定の実施形態では、本開示のエアロゲル材料又は組成物は、大規模生産に対応している。特定の実施形態では、本開示のゲル材料は、連続キャスティング及びゲル化プロセスを介して大規模に製造することができる。特定の実施形態では、本開示のエアロゲル材料又は組成物は、大規模な抽出容器の使用を必要とする大規模で製造される。本開示の大規模抽出容器としては、約0.1m以上、約0.25m以上、約0.5m以上、又は約0.75m以上の体積を有する抽出容器が挙げられる。
【0151】
本開示のエアロゲル組成物は、約15mm以下、約10mm以下、約5mm以下、約3mm以下、約2mm以下、又は約1mm以下の厚さを有することができる。
【0152】
エアロゲル組成物は、より柔軟性があり、弾力性があり、適合性のある複合製品を達成するために、様々な強化材で強化されていてもよい。強化材は、ゲル化プロセスの任意の時点でゲルに添加され、湿潤強化ゲル組成物を生成することができる。湿潤ゲル組成物を、その後、乾燥させて、強化エアロゲル組成物を製造することができる。
【0153】
エアロゲル組成物は、より柔軟性があり、弾力性があり、適合性のある複合製品を達成するために、様々な連続気泡マクロポーラス骨格強化材でOCMF強化されてもよい。OCMF強化材を、ゲル化前のゲル化プロセスの任意の時点でゲルに添加して、湿潤強化ゲル組成物を生成することができる。湿潤ゲル組成物を、その後、乾燥させて、OCMF強化エアロゲル組成物を製造することができる。OCMF強化材料は、メラミン又はメラミン誘導体などの有機ポリマー材料から形成することができ、連続したシート又はパネルの形態で存在する。
【0154】
メラミン-ホルムアルデヒド縮合物の水溶液からメラミンOCMF材料を製造することができる。メラミン-ホルムアルデヒド縮合生成物の水溶液は、メラミン-ホルムアルデヒド前駆体と、溶媒、乳化剤/分散剤、硬化剤、例えば酸など、及び発泡剤、例えばC5~C7炭化水素などとを組み合わせることによって製造される。次に、メラミン-ホルムアルデヒド溶液又は樹脂を発泡剤の沸点以上の高温で硬化させることにより、複数の相互に接続した三次元的に分岐したメラミン構造体を含むOCMFが得られ、その骨格内には、対応する相互に接続した細孔のネットワークが組み込まれている。メラミン-ホルムアルデヒド前駆体は、一般的に、ホルムアルデヒドとメラミンのモル比が5:1~1.3:1の範囲内であり、典型的には3.5:1~1.5:1の範囲内である。前記前駆体は、粉末、スプレー、樹脂又は溶液の形態であってもよい。メラミン-ホルムアルデヒド前駆体溶液に含まれる溶媒は、アルコール、例えばメタノール、エタノール又はブタノールなどを含むことができる。
【0155】
メラミン-ホルムアルデヒド縮合液に含まれる乳化剤/分散剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性乳化剤、又は非イオン性界面活性剤を含むことができる。有用なアニオン性界面活性剤としては、ジフェニレンオキシドスルホネート、アルカン及びアルキルベンゼンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、オレフィンスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、脂肪アルコールサルフェート、エーテルサルフェート、α-スルホ脂肪酸エステル、アシルアミノアルカンスルホネート、アシルイセチオネート、アルキルエーテルカルボキシレート、N-アシルサルコシネート、アルキル及びアルキルエーテルホスフェートなどが挙げられるが、これらに限定されない。有用なカチオン性乳化剤としては、アルキルトリアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、又はアルキルピリジニウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。有用なノニオン性界面活性剤としては、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、エチレンオキシド-プロピレンオキシドブロック共重合体、アミンオキシド、グリセロール脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、及びアルキルポリグリコシドが挙げられるが、これらに限定されない。乳化剤/分散剤は、メラミン-ホルムアルデヒド前駆体を基準に0.2~5質量%の量で添加することができる。
【0156】
メラミン-ホルムアルデヒド前駆体溶液に含まれる硬化剤は、酸性化合物を含むことができる。これらの硬化剤の量は、メラミン-ホルムアルデヒド前駆体に基づいて、一般的に0.01質量%~20質量%の範囲内、典型的には0.05質量%~5質量%の範囲内であり、これらは全てメラミン-ホルムアルデヒド前駆体に基づいている。有用な酸性化合物としては、有機酸及び無機酸、例えば塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、トルエンスルホン酸、アミドスルホン酸、酸無水物、及びそれらの混合物からなる群から選択されるが、これらに限定されない。
【0157】
メラミン-ホルムアルデヒド前駆体溶液に含まれる発泡剤は、物理発泡剤又は化学発泡剤を含むことができる。有用な物理発泡剤としては、炭化水素、例えばペンタン及びヘキサンなど;ハロゲン化炭化水素、より具体的には塩素化及び/又はフッ素化炭化水素、例えば塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、クロロフルオロカーボン、及びヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC);アルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール又はイソプロパノール;エーテル、ケトン及びエステル類、例えばギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル又は酢酸エチル;並びに気体、例えば空気、窒素又は二酸化炭素などが挙げられるが、これらに限定されない。。定の実施形態では、0℃~80℃の沸点を有する物理発泡剤を添加することが好ましい。有用な化学発泡剤としては、水と混合されたイソシアネート(活性発泡剤として二酸化炭素を放出する);酸と混合された炭酸塩及び/又は重炭酸塩(活性発泡剤として二酸化炭素を放出する);及びアゾ化合物、例えばアゾジカルボンアミドが挙げられるが、これらに限定されない。発泡剤は、メラミン-ホルムアルデヒド前駆体を基準として、0.5質量%~60質量%、特に1質量%~40質量%、特定の実施形態では1.5質量%~30質量%の量でメラミン-ホルムアルデヒド前駆体溶液中に存在する。
【0158】
メラミン-ホルムアルデヒド前駆体溶液は、使用される発泡剤の沸点を一般的に上回る温度に溶液を加熱することによって、メラミンOCMF材料に形成することができ、それにより、骨格内に統合された相互接続された連続気泡細孔の対応するネットワークを有する、複数の相互接続された三次元的に分岐したメラミン構造を含むOCMFを形成する。熱エネルギーの導入は、電磁放射を介して、例えば、0.2~100GHz、より具体的には0.5~10GHzの周波数範囲で使用される混合物の1キログラム当たり、5~400kW、例えば5~200kW、特定の実施形態では9~120kWの高周波放射により行われてもよい。マグネトロンは、誘電体放射の有用な源であり、1個のマグネトロンを使用してもよいし、2個以上のマグネトロンを同時に使用してもよい。
【0159】
OCMF材料から残留液体(水、溶媒、発泡剤)を除去するためにOCMF材料を乾燥させることができる。OCMF材料を疎水化するために後処理を利用することもできる。この後処理は、高い熱安定性及び/又は低い燃焼性を有する疎水性コーティング剤、例えば、シリコーン、ケイ酸塩又はフッ素化合物を用いることができる。
【0160】
メラミンOCMFの密度は、一般的に0.005~0.3g/ccの範囲内、例えば0.01~0.2g/ccの範囲内、特定の実施形態では0.03~0.15g/ccの範囲内、最も具体的には0.05~0.15g/ccの範囲内である。メラミンOCMFの平均細孔径は、一般的に10μm~約1000μmの範囲内、特に50~700μmの範囲内である。
【0161】
一実施形態では、OCMF強化材は、連続シートとしてエアロゲル組成物に組み込まれる。このプロセスは、最初に、OCMF強化材料の連続シートにゲル前駆体溶液をキャスティング又は含浸させることにより、OCMF強化ゲルの連続シートを製造することを含み、その材料が強化ゲル組成物シートに形成することを可能にする。次いで、シート状のOCMF強化エアロゲル組成物を製造するために、OCMF強化ゲル組成物シートから液体が少なくとも部分的に抽出されてもよい。
【0162】
エアロゲル組成物は、熱伝達の放射成分を減少させるために、不透明化剤を含むことができる。ゲル形成前の任意の時点で、不透明化化合物又はその前駆体を、ゲル前駆体を含む混合物中に分散させてもよい。不透明化化合物の例としては、炭化ホウ素(BC)、珪藻土、マンガンフェライト、MnO、NiO、SnO、AgO、Bi、カーボンブラック、酸化チタン、チタン酸鉄、酸化アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、二酸化マンガン、チタン酸鉄(イルメナイト)、酸化クロム、炭化物(SiC、TiC、WCなど)、又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。不透明化化合物前駆体の例としては、TiOSO又はTiOClが挙げられるが、これらに限定されない。
【0163】
エアロゲル組成物は、1種以上の耐火クラス添加剤を含むことができる。本開示の文脈では、「耐火クラス添加剤(fire-class additive)」という用語は、火炎に対する反応という文脈において吸熱効果を有し、エアロゲル組成物に組み込むことができる材料を指す。さらに、特定の実施形態では、耐火クラス添加剤は、耐火クラス添加剤が存在するエアロゲル組成物の熱分解開始点(T)よりも100℃未満高い吸熱分解開始点(E)を有し、さらに特定の実施形態では、耐火クラス添加剤が存在するエアロゲル組成物のTよりも50℃以下低いEを有する。言い換えれば、耐火クラス添加剤のEは、(T-50℃)~( 100℃)の範囲を有する:
【0164】
【数1】
【0165】
ゾル(例えば、先行技術で理解されているように、様々な方法でアルキルシリケート又は水ガラスから調製されたシリカゾル)との統合又は混合に先立って、それと同時に、又はそれに続いて、耐火クラス添加剤を、エタノール及び必要に応じて最大10体積%までの水を含む媒体中に混合するか、又はそうでなければ分散させることができる。混合物は、媒体中の添加剤の実質的に均一な分散を達成するために必要に応じて混合及び/又は撹拌されてもよい。理論に束縛されるわけではないが、上述したクレイ及び他の耐火クラス添加剤の水和形態を利用することは、さらなる吸熱効果を提供する。例えば、ハロロイサイトクレイ(Applied Minerals,Inc.から商標DRAGONITEで市販されているか、又は単にハロイサイトとしてImerysから入手可能)、カオリナイトクレイは、水和された形態では、高温で水和水を放出する(ガス希釈)ことによって吸熱効果を有するケイ酸アルミニウムクレイである。別の例として、水和形態の炭酸塩は、加熱時又は高温で二酸化炭素を放出することができる。
【0166】
本開示の文脈内では、「脱水熱」という用語は、高温にさらされていないときに、水和形態の材料から水を気化させるのに必要な熱量(及び適用可能な場合にはジヒドロキシル化)を意味する。脱水熱は、典型的には単位質量基準で表される。
【0167】
特定の実施形態では、本開示の耐火クラス添加剤は、約350℃以上、約400℃以上、約450℃以上、約500℃以上、約550℃以上、約600℃以上、約650℃以上、約700℃以上、約750℃以上、約800℃以上、又はこれらの値のうちの任意の2つの値の間の範囲内の熱分解開始点を有する。特定の実施形態では、本開示の耐火クラス添加剤は、約440℃又は約570℃の熱分解開始点を有する。特定の実施形態では、本開示の耐火クラス添加剤は、耐火クラス添加剤が組み込まれたエアロゲル組成物(耐火クラス添加剤を含まない)のTよりも50℃以下高い又は低い、40℃以下高い又は低い、30℃以下高い又は低い、20℃以下高い又は低い、10℃以下高い又は低い、5℃以下高い又は低い、又はこれらの値のうちの任意の2つの値の間の範囲内の熱分解開始点を有する。
【0168】
本開示の耐火クラス添加剤としては、クレイ材料、例えば、フィロシリケートクレイ(例えばイライトなど)、カオリナイト(ケイ酸アルミニウム;AlSi(OH))、ハロイサイト(ケイ酸アルミニウム;AlSi(OH))、エンデライト(ケイ酸アルミニウム;AlSi(OH))、雲母(シリカ鉱物)、ダイアスポア、ギブサイト(水酸化アルミニウム)、モンモリロナイト、バイデライト、パイロフィライト(ケイ酸アルミニウム;AlSi10(OH))、ノントロナイト、ブラバイサイト、スメクタイト、レベリエライト(leverrierite)、レクトライト、セラドナイト、アタパルジャイト、緑蛋白石(chloropal)、ボルコンスコアイト、アロファン、ラセウィナイト(racewinite)、ディルナイト(dillnite)、セビライト(severite)、ミロサイト(miloschite)、コリライト(collyrite)、シモライト(cimolite)及びニュートナイト(newtonite)、水酸化マグネシウム(又は二水酸化マグネシウム、「MDH」)、アルミナ三水和物(「ATH」)、炭酸塩、例えばドロマイト及び炭酸リチウム(これらに限定されない)などが挙げられるが、これらに限定されない。クレイ材料のうち、本開示の特定の実施形態では、少なくとも部分的な層状構造を有するクレイ材料が使用される。本開示の特定の実施形態では、エアロゲル組成物中の耐火クラス添加剤としてのクレイ材料は、例えば水和形態などで、少なくともいくらかの水を有する。添加剤は、水和結晶形態であってもよいし、本発明の組成物の製造/加工中に水和された状態になってもよい。特定の実施形態では、耐火クラスの添加剤はまた、化学組成を変化させることなく熱を吸収する低融点添加剤を含む。この部類の例は、例えば不活性ガラスビーズなどの低融点ガラスである。本開示の組成物において有用であることができる他の添加剤としては、ウォラストナイト(ケイ酸カルシウム)及び二酸化チタン(TiO)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、他の添加剤としては、例えば二酸化チタン又は炭化ケイ素など(ただし、これらに限定されない)の赤外線不透明化剤、例えば低融点ガラスフリットなど(ただし、これらに限定されない)のセラミファイヤー(ceramifiers)、ケイ酸カルシウム、又は、例えばリン酸塩及び硫酸塩など(ただし、これらに限定されない)のチャーフォーマー(charformers)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、添加剤は、例えば、添加剤が均一に分布し、製品性能のばらつきを引き起こすほどに大きく凝集しないようにするための技術などの特別な加工上の配慮を必要とする場合がある。加工技術は、当該技術分野で知られている静的及び動的混合機、安定化剤、プロセス条件の調整、及び他のものを追加的に含むことができる。最終的なエアロゲル組成物中の添加剤の量は、様々な他の特性要件に依存することがあり、5質量%~約70質量%の範囲で変動してもよい。特定の実施形態では、最終的なエアロゲル組成物中の添加剤の量は、10質量%~約60質量%であり、特定の好ましい実施形態では、約20質量%~約40質量%である。特定の実施形態では、添加剤は1種より多くてもよい。また、1種又は2種以上の耐火クラス添加剤が最終的なエアロゲル組成物中に存在してもよい。ケイ酸アルミニウム耐火クラス添加剤を含む特定の好ましい実施形態では、添加剤は、最終的なエアロゲル組成物中に約60~70wt%で存在する。
【0169】
本開示の特定の実施形態では、耐火クラスの性能を有するOCMF強化エアロゲル組成物を製造する方法が提供される。これらの実施形態の耐火クラスの組成物はまた、水の取込み量及び低い熱伝導率によって求められるように、工業環境における断熱材としての使用に十分な疎水性を有しており、これは、常に要求されている省エネルギーのニーズを満たすのに役立つ。これらの望ましい特性の組み合わせを得るためには、単に添加剤を添加するだけでは、あるいは耐火クラス添加剤を添加するだけでは成功しない。人は、様々な変更及び組み合わせ、又は様々な添加剤を試して、最適化された解決策に到達することができるが、そのような努力は常に成功するとは限らず、これらの所望の特性に関する再現可能な品質管理で実行可能な製造にはリスクがある。これらの実施形態の重要な側面は、火災性能を除く全ての望ましい特性を提供するであろう組成物の熱挙動(熱質量測定又は示差走査熱量測定によって評価される)を評価し、基礎となる組成物の熱分解の開始点、あるいは、耐火クラス添加剤の熱分解開始により最も熱が放出される温度又は最も熱が吸収される温度に密接にマッチする耐火クラス添加剤を考慮することである。
【0170】
特定の実施形態では、最終組成物の所望の防火特性(fire properties)は、例えば燃焼熱(ISO 1716)などの固有の特性だけでなく、ISO 1182に準拠した火災性能への反応などのシステム火災特性を含んでいてもよい。ISO 1182の場合、約750℃の温度の炉にさらされたときの質量損失、炉内温度の上昇、及び火炎時間が評価される。
【0171】
OCMF強化エアロゲル組成物は、系に燃料を添加する様々な成分を有していてもよい。さらに、それは、燃料として寄与しないが、火炎にさらされたときに燃焼を妨害し得る様々な他の成分を有していてもよい。このように、かかる系の燃焼挙動は、単に構成要素に基づいて予測することができない。多数の特性が望まれる状況では、特定の実施形態では、組成物は、その防火特性を無視して到達されるべきであり、そのように到達された組成物の熱性能は、出発組成物が提供することが意図されていた他の特性を損なうことなく防火特性を提供する適切な耐火クラス添加剤を見つけるために評価されるべきである。
【0172】
特定の実施形態では、熱分解開始点は、組成物の重要な特性である。特定の他の特定の実施形態では、熱放出がピークとなる温度は、強化された防火性能を有するエアロゲルOCMF組成物を開発する目的のための重要な特性であり得る。DSC曲線の複数のピークによって同定される複数の燃料成分が組成物中に存在する場合、そのような組成物は、OCMF強化エアロゲル組成物のピーク熱放出温度を、140℃、120℃、100℃又は80℃の範囲内の吸熱ピーク熱放出温度を有する耐火クラス添加剤とマッチさせることによって、良好に機能する。多くの実施形態では、吸熱ピーク熱放出温度は50℃以内である。
【0173】
本開示のエアロゲル材料及び組成物は、断熱材として非常に効果的であることが示されている。しかしながら、本開示の方法及び材料の適用は、断熱材に関連する用途に限定されることを意図していない。本開示の方法及び材料は、本開示の材料及び方法によって提供される特性又は手順の独特の組み合わせから利益を得るであろういかなる系又は用途にも適用することができる。
【実施例
【0174】
以下の実施例は、本開示の様々な非限定的な実施形態及び特性を提供する。以下の実施例において、添加剤のwt%は、エアロゲル組成物のシリカ及び疎水性成分の質量を100%基準として提供されている。熱分析、TGA及びDSCは、Netzsch STA4449 F1 Jupitor同時熱分析装置を用いて、25℃から開始し、周囲圧力で空気中で1000℃まで毎分20℃の速度で傾斜をつけて行った。ゾルの疎水性物質含有分への言及は、最終エアロゲル組成物の質量の百分率としての、ゾル中の疎水性アルキルシランから誘導された最終エアロゲル組成物中の固体材料の質量を指す。
【0175】
実施例1
硫酸触媒を用いてエタノール及び水中でTEOS(テトラエトキシシラン)を加水分解することによりポリエチルシリケートゾルを製造し、次いで、周囲温度で約16時間撹拌した。リン酸触媒を用いてエタノール及び水中でMTES(メチルトリエトキシシラン)及びDMDES(ジメチルジエトキシシラン)(約4:1モル比)を加水分解することによりポリメチルシルセスキオキサンゾルを製造し、次いで、周囲温度で約16時間以上撹拌した。ポリエチルシリケート及びポリメチルシルセスキオキサン(MTES+DMDES)ゾルを組み合わせて(質量比約2:1)、前駆体ゾルを形成した。この前駆体ゾルは、当該ゾルから調製された最終的なエアロゲル組成物中の目標とする全疎水性物質含有分を30~40wt%としたものであった。組み合わせた前駆体ゾルを、周囲温度で2時間以上撹拌した。
【0176】
実施例2
厚さ10mm、密度約6kg/mのメラミンOCMF材料(BASFからのBASOTECT UF)のサンプルを用意した。約450mLのエタノール(10体積%までの水を含む)中の70gの二水酸化マグネシウム(耐火クラス添加剤;MDH)の実質的に均一な混合物を、実施例1からのシリカゾル約540mLと組み合わせて、5分間以上撹拌した。次に、約10mLの28wt%のNHOH溶液を添加し、その後、ゾル混合物を少なくとも1分間撹拌した。ゾル混合物をメラミンOCMF材料にしみ込ませ、ゲル化させると、2分間以内にゲル化が起こった。得られたゲル組成物を、約10分間静置して硬化させた。次に、ゲル組成物を、約1.5:1の流体対ゲル組成物比で、10体積%(vol%)のHO及び1.1wt/vol%NHOH(流体100mL当たり1.1gのNHOH)を含むエタノールエージング流体中で、68℃で16時間エージングした。エージング温度及びエージング流体の組成を、全体的なエージング時間を変化させるために、さらに変更してもよい。
【0177】
ゲル組成物のクーポン(サンプル)を、次に、超臨界COによる溶媒抽出にかけ、次に、120℃で4時間乾燥させた。目標シリカ密度は0.07g/ccであり、エアロゲル組成物の得られた材料密度は0.159g/ccであった。エアロゲル組成物の疎水性物質含有分は約4.34wt%であった。
【0178】
実施例3
約529mLのエタノール(10体積%までの水を含む)中の72gのMDHの混合物を実施例1のシリカゾル約460mLと組み合わせたことを除いて、実施例2と同じ手順でゲル組成物を製造した。目標シリカ密度は0.06g/ccであり、エアロゲル組成物の得られた材料密度は0.185g/ccであった。エアロゲル組成物の疎水性物質含有分は約3.97wt%であった。
【0179】
実施例4
約376mLのエタノール(10体積%までの水を含む)中の96gのMDHの実質的に均一な混合物を、実施例1のシリカゾル約614mLと組み合わせたことを除いて、実施例2と同じ手順を用いてゲル組成物を製造した。目標シリカ密度は0.08g/ccであり、エアロゲル組成物の得られた材料密度は0.178g/ccであった。エアロゲル組成物の疎水性物質含有分は約3.97wt%であった。
【0180】
実施例5
約539mLのエタノール(10体積%までの水を含む)中の84gのMDHの実質的に均一な混合物を実施例1のシリカゾル約460mLと組み合わせたことを除いて、実施例2と同じ手順でゲル組成物を製造した。目標シリカ密度は0.06g/ccであり、エアロゲル組成物の得られた材料密度は0.142g/ccであった。エアロゲル組成物の疎水性物質含有分は約3.6wt%であった。
【0181】
実施例6
約529mLのエタノール(10体積%までの水を含む;耐火クラスの添加剤を含まない)の実質的に均一な混合物を、実施例1のシリカゾル約460mLと組み合わせたことを除いて、実施例2と同じ手順を用いてゲル組成物を製造した。目標シリカ密度は0.06g/ccであり、エアロゲル組成物の得られた材料密度は0.074g/ccであった。エアロゲル組成物の疎水性物質含有分は約8.3wt%であった。
【0182】
実施例7
約529mLのエタノール(10体積%までの水を含む)中の72gの不活性ガラスビーズ(耐火クラス添加剤)の実質的に均一な混合物を実施例1からのシリカゾル約460mLと組み合わせたことを除いて、実施例2と同じ手順でゲル組成物を製造した。目標シリカ密度は0.06g/ccであり、エアロゲル組成物の得られた材料密度は0.141g/ccであった。エアロゲル組成物の疎水性物質含有分は約3.93wt%であった。
【0183】
実施例8
約529mLのエタノール溶媒中の60gのウォラストナイト(NYADとして市販されている)の実質的に均一な混合物を、実施例1からのシリカゾル約460mLと組み合わせたことを除いて、実施例2と同じ手順を用いてゲル組成物を製造した。目標シリカ密度は0.06g/ccであり、エアロゲル組成物の得られた材料密度は0.161g/ccであった。エアロゲル組成物の疎水性物質含有分は約3.95wt%であった。
【0184】
実施例9
約529mLのエタノール(10体積%までの水を含む)中の72gの二酸化チタン(耐火クラス添加剤;TiO)の実質的に均一な混合物を、実施例1からのシリカゾル約460mLと組み合わせたことを除いて、実施例2と同じ手順でゲル組成物を製造した。目標シリカ密度は0.06g/ccであり、エアロゲル組成物の得られた材料密度は0.159g/ccであった。エアロゲル組成物の疎水性物質含有分は約3.95wt%であった。
【0185】
実施例10
約23kg/mの密度を有する厚さ10mmのポリウレタンOCMF材料のサンプルを用意した。約529mLのエタノール(10体積%までの水を含む)中の60gのMDH(耐火クラス添加剤)の実質的に均一な混合物を、実施例1からのシリカゾル約460mLと組み合わせて、5分間以上撹拌した。次に、約10mLの28体積%NHOH溶液を添加し、その後、ゾル混合物を少なくとも1分間撹拌した。次いで、ゾル混合物をポリウレタンOCMF材料にしみ込ませ、ゲル化させた。2分間以内にゲル化が起こった。得られたゲル組成物を、約10分間静置して硬化させた。次に、ゲル組成物を、約1.5:1の流体対ゲル組成物比で、10体積%のHO及び1.1wt/vol%NHOH(流体100mL当たり1.1gのNHOH)を含むエタノールエージング流体中で、68℃で16時間エージングした。
【0186】
次いで、ゲル組成物クーポン(サンプル)を超臨界COにより溶媒抽出し、120℃で4時間乾燥させた。目標シリカ密度は0.06g/ccであり、エアロゲル組成物の得られた材料密度は0.165g/ccであった。エアロゲル組成物の疎水性物質含有分は約3.95wt%であった。
【0187】
実施例11
硫酸触媒を用いてEtOH及びHO中でTEOSを加水分解することによってポリエチルシリケートゾルを製造し、次いで、周囲温度で16時間以上撹拌した。酢酸触媒を用いてEtOH及びHO中でMTES及びDMDES(約8:1モル比)を加水分解することによりポリメチルシルセスキオキサンゾルを製造し、次いで、周囲温度で16時間以上撹拌した。ポリエチルシリケート(TEOS)及びポリメチルシルセスキオキサン(MTES+DMDES)ゾルを組み合わせ(質量比約10:1)、シリカゾルを形成した。このシリカゾルは、最終的なエアロゲル組成物中の目標とするゾル疎水性物質含有分を約12wt%としたものであった。組み合わせたシリカゾルを、周囲温度で2時間以上撹拌した。
【0188】
実施例12
約6kg/mの密度を有する厚さ10mmのメラミンOCMF材料のサンプルを用意した。約718mLのエタノール(10体積%までの水を含む)中の60gのMDH(耐火クラス添加剤)の実質的に均一な混合物を、実施例11からのシリカゾル約266mLと組み合わせて、5分間以上撹拌した。次に、約10mLの28wt%NHOH溶液を添加し、その後、ゾル混合物を少なくとも1分間撹拌した。次に、ゾル混合物をメラミンOCMF材料にしみ込ませ、ゲル化させた。2分間以内にゲル化が起こった。得られたゲル組成物を、約10分間静置して硬化させた。次に、ゲル組成物を、ヘキサメチルジシラザン(「TMS」)の0.12Mトリメチルシリル誘導体、8体積%のHO及びエタノール100mL当たり0.8gのNHOHを含むエタノール中で、約1.5:1の流体対ゲル組成物比で、68℃で16時間処理した。
【0189】
ゲル組成物のクーポンを、次に、超臨界COによる溶媒抽出にかけ、120℃で4時間乾燥させた。目標シリカ密度は0.05g/ccであり、エアロゲル組成物の得られた材料密度は0.176g/ccであった。
【0190】
実施例13
約718mLのエタノール溶媒(耐火クラス添加剤を含まない)の実質的に均一な混合物を実施例8のシリカゾル約256mLと組み合わせたことを除いて、実施例12と同じ手順を用いてゲル組成物を製造した。目標シリカ密度は0.05g/ccであり、エアロゲル組成物の得られた材料密度は0.081g/ccであった。
【0191】
実施例14
ポリエチルシリケート(TEOS)及びポリメチルシルセスキオキサン(MTES+DMDES)ゾルを約7:1の質量比で組み合わせて、最終的なエアロゲル組成物中の全疎水性物質含有分の目標を16wt%としたシリカゾルを形成したことを除いて、実施例11と同じ手順を用いてゲル複合材料を製造した。
【0192】
実施例15
約668mLのエタノール溶媒中の72gのMDH(耐火クラス添加剤)の実質的に均一な混合物を、実施例14のシリカゾル約317mLと組み合わせたことを除いて、実施例12と同じ手順を用いてゲル組成物を製造した。目標シリカ密度は0.06g/ccであり、エアロゲル組成物の得られた材料密度は0.195g/ccであった。熱質量曲線を使用して、熱分解開始点は399.5℃であることが分かり、DSC曲線を使用して、ピーク熱放出温度は439.6℃であることが分かった。また、耐火クラス添加剤を含む組成物の外挿熱分解開始温度は、熱質量曲線を用いて395.8℃、DSC曲線を用いてピーク熱放出温度は560.9℃と測定された。
【0193】
比較のために、耐火クラス添加剤を含まない本実施例内の組成物を、熱質量測定曲線を用いて測定した場合、熱分解の外挿開始点が369.4℃であることが分かり、DSC曲線を用いて測定した場合、ピーク熱放出温度が607.9℃であることが分かった。
【0194】
実施例16
約668mLのエタノール溶媒(耐火クラス添加剤を含まない)の混合物を実施例14のシリカゾル約317mLと組み合わせたことを除いて、実施例12と同じ手順でゲル組成物を製造した。目標シリカ密度は0.06g/ccであり、エアロゲル組成物の得られた材料密度は0.092g/ccであった。
【0195】
実施例17
硫酸触媒を用いてエタノールと水中でTEOSを加水分解することによりポリエチルシリケートゾルを製造し、常温で約16時間撹拌した。この疎水性物質フリーのゾル(hydrophobe-free sol)は、ポリメチルシルセスキオキサンゾルまたは他の疎水性物質を添加せずに使用した。
【0196】
実施例18
約662mLのエタノール溶媒(耐火クラス添加剤を含まない)の混合物を実施例17のシリカゾル約328mLと組み合わせてゲル化させたことを除いて、実施例12と同じ手順でゲル複合材料を製造した。ゲルを、エタノール中に0.3MのTMSを含む溶液(8体積%のHO及びエタノール100mL当たり0.8gのNHOH、約1.5:1の流体対ゲル複合材料比で)で68℃で16時間処理した。目標シリカ密度は0.06g/ccであり、得られたエアロゲル複合材料の材料密度は0.086g/ccであった。
【0197】
実施例19
約662mLのエタノール溶媒(耐火クラス添加剤を含まない)の混合物を実施例17のシリカゾル約328mLと組み合わせてゲル化させたことを除いて、実施例12と同じ手順でゲル複合材料を製造した。ゲルを、0.6MのMTES(8体積%のHO及びエタノール100mL当たり0.8gのNHOH、約1.5:1の流体対ゲル複合材料比で)を含む溶液で68℃で16時間処理した。目標シリカ密度は0.06g/ccであり、エアロゲル複合材料の得られた材料密度は0.103g/ccであった。
【0198】
実施例20
約453mLのエタノール(8体積%までの水を含む)中の112gのハルロイサイトクレイ(耐火クラス添加剤;DRAGONITE)の実質的に均一な混合物を、実施例1のシリカゾル約537mLと組み合わせたことを除いて、実施例2と同じ手順でゲル複合材料を製造した。目標シリカ密度は0.07g/ccであり、得られたエアロゲル複合材料の材料密度は0.196g/ccであった。エアロゲル組成物の疎水性物質含有分は約3.37wt%であった。
【0199】
実施例21
約529mLのエタノール(10体積%までの水を含む)中の72gのハロイサイトクレイ(耐火クラス添加剤;DRAGONITE)の実質的に均一な混合物を、実施例1からのシリカゾル約460mLと組み合わせたことを除いて、実施例2と同じ手順でゲル複合材料を製造した。目標シリカ密度は0.06g/ccであり、得られたエアロゲル複合材料の材料密度は0.128g/ccであった。エアロゲル組成物の疎水性物質含有分は約3.91wt%であった。熱分解開始点は熱質量曲線を用いて492.9℃として測定され、ピーク熱放出温度はDSC曲線を用いて565.9℃として測定された。また、耐火クラス添加剤を含む組成物の外挿熱分解開始点は熱質量曲線で370.9℃として測定され、DSC曲線でピーク熱放出温度は565.9℃として測定した。
【0200】
比較のために、耐火クラス添加剤を含まない本実施例内の組成物は、熱質量測定曲線を用いて測定した場合、熱分解の外挿開始点は369.4℃であり、DSC曲線を用いて測定した場合、ピーク熱放出温度は607.9℃であった。
【0201】
実施例22
約529mLのエタノール(10体積%までの水を含む)中の2種の耐火クラス添加剤、すなわち、36gのハロイサイトクレイ(DRAGONITE)及び36gのアルミナ三水和物(ATH)の実質的に均一な混合物を実施例1からのシリカゾル約460mLと組み合わせたことを除いて、実施例2と同じ手順を用いてゲル複合材料を製造した。目標シリカ密度は0.06g/ccであり、エアロゲル複合材料の得られた材料密度は0.149g/ccであった。エアロゲル組成物の疎水性物質含有分は約3.94wt%であった。
【0202】
実施例23
約529mLのエタノール(10体積%までの水を含む)中の72gのアルミナ三水和物(ATH)の実質的に均一な混合物を、実施例1からのシリカゾル約460mLと組み合わせたことを除いて、実施例2と同じ手順でゲル複合材料を製造した。目標シリカ密度は0.06g/ccであり、エアロゲル複合材料の得られた材料密度は0.152g/ccであった。エアロゲル組成物の疎水性物質含有分は約3.94wt%であった。熱質量曲線を用いて、熱分解の開始点は289.8℃として測定され、DSC曲線を用いてピーク熱放出温度は334.1℃として測定された。
【0203】
比較のために、耐火クラス添加剤を含まない本実施例内の組成物は、熱質量測定曲線を使用して測定した場合、熱分解の外挿開始点は369.4℃であり、DSC曲線を使用して測定した場合、ピーク熱放出温度は607.9℃であった。
【0204】
実施例24
約558mLのエタノール(10体積%までの水を含む)中の100gのハロイサイトクレイ(DRAGONITE)の実質的に均一な混合物を実施例11からのシリカゾル約426mLと組み合わせたことを除いて、実施例12と同じ手順を用いてゲル複合材料を製造した。これらは、28wt%の疎水性物質含有分を目標とするような方法で組み合わせた。目標シリカ密度は0.083g/ccであり、エアロゲル複合材料の得られた材料密度は0.184g/ccであった。
【0205】
実施例25
約453mLのエタノール(8体積%までの水を含む)中の56gのハロイサイトクレイ(Applied Minerals,Inc.からのDRAGONITE)及び56gのATHの実質的に均一な混合物を実施例1からのシリカゾル約537mLと組み合わせたことを除いて、実施例2と同じ手順でゲル組成物を製造した。目標シリカ密度は0.07g/ccであり、エアロゲル複合材料の得られた材料密度は0.196g/ccであった。エアロゲル組成物の疎水性物質含有分は約3.36wt%であった。
【0206】
表1を以下に示し、前記実施例の組成物を例示する。用語「wt%添加量」は、存在するシリカの量に基づいて組成物に添加された添加剤の量を指す。例えば、120%の「wt%添加量」は、組成物中のシリカ100g毎に120gの添加剤が添加されたことを示す。
【0207】
【表1】
【0208】
【表2】
なお、表2を参照して、密度測定をASTM C167に準拠して完了した。全てのエアロゲル組成物サンプルの測定された密度は0.2g/cc未満であった。TC測定は、ASTM C518に準拠して、温度約37.5℃、圧縮圧力2psiで完了した。全てのエアロゲル組成物サンプルは、20.1mW/m・K以下の熱伝導率測定値を有していた。液体水の取込み量の測定は、ASTM C1511に準拠して行った(周囲条件で15分間の水没下)。全てのエアロゲル組成物のサンプルは、5wt%未満の液体水取込み量を有していた。HOC測定は、ISO 1716測定規格に準拠して行った。全てのエアロゲル組成物サンプルのHOCは690cal/g未満であった。FTR測定は、ISO 1182基準A.1に基づいて行った。全てのエアロゲル組成物サンプルのFTRは50℃未満であった。火炎時間の測定は、ISO 1182基準A.2に基づいて行った。これらのサンプルは全て、20秒間の火炎時間で測定した。質量損失の測定は、ISO 1182基準A.3に準拠して完了した。他の全てのエアロゲル組成物サンプルは、質量損失が50wt%未満であった。
【0209】
上述の利点、及び前記の説明から明らかになった利点は効率的に達成される。本発明の範囲から逸脱することなく、上記の構成において変更を行うことができるため、前記の説明に含まれる又は添付の図面に示される全ての事項は、例示的なものとして解釈され、限定的な意味で解釈されないことが意図されている。
【0210】
また、以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載された本発明の一般的な特徴及び特定の特徴の全てをカバーすることを意図しており、また、言語の上ではそれらの間に収まると言われるかもしれない本発明の範囲の全ての記載をカバーすることを意図していることが理解されよう。
本発明に関連する発明の実施態様の一部を以下に示す。
[態様1]
OCMF材料で強化されたシリカ系エアロゲル骨格と耐火クラス添加剤とを含む強化エアロゲル組成物であって、前記シリカ系エアロゲル骨格が少なくとも1つの疎水性結合ケイ素を含み、前記強化エアロゲル組成物が、以下の特性:
i)20質量%以下の液体水の取込み量;
ii)約37.5℃の温度、周囲環境、大気圧及び約2psiの圧縮荷重で、ASTM C518規格に準拠した、30mW/m・K以下の熱伝導率;及び
iii)EN ISO 1716規格に準拠する、717cal/g未満の燃焼熱;
を有する、強化エアロゲル組成物。
[態様2]
2kg/m ~25kg/m の密度を有するOCMF材料で強化されたシリカ系エアロゲル骨格と耐火クラス添加剤とを含む強化エアロゲル組成物であって、前記シリカ系エアロゲル骨格が少なくとも1つの疎水性結合ケイ素を含み、前記強化エアロゲル組成物が、以下の特性:
i)20質量%以下の液体水の取込み量;
ii)約37.5℃の温度、周囲環境、大気圧及び約2psiの圧縮荷重で、ASTM C518規格に準拠した、30mW/m・K以下の熱伝導率;及び
iii)EN ISO 1716規格に準拠した、717cal/g未満の燃焼熱;
を有する、強化エアロゲル組成物。
[態様3]
2kg/m ~25kg/m の密度を有するOCMF材料で強化されたシリカ系エアロゲル骨格と耐火クラス添加剤とを含む強化エアロゲル組成物であって、前記シリカ系エアロゲル骨格が少なくとも1つの疎水性結合ケイ素を含み、前記強化エアロゲル組成物が、以下の特性:
i)1質量%~10質量%の液体水の取込み量;
ii)約37.5℃の温度、周囲環境、大気圧及び約2psiの圧縮荷重で、ASTM C518規格に準拠した、8mW/m・K超かつ25mW/m・K未満の熱伝導率;及び
iii)EN ISO 1716規格に準拠した、717cal/g未満かつ400cal/g超の燃焼熱;
を有する、強化エアロゲル組成物。
[態様4]
シリカ系エアロゲル組成物及び耐火クラス添加剤で強化された強化OCMF組成物であって、シリカ系エアロゲル骨格が少なくとも1つの疎水性結合ケイ素を含み、前記強化エアロゲル組成物が、以下の特性:
i)20質量%以下の液体水の取込み量;
ii)約37.5℃の温度、周囲環境、大気圧及び約2psiの圧縮荷重で、ASTM C518規格に準拠した、30mW/m・K以下の熱伝導率;及び
iii)EN ISO 1716規格に準拠した、717cal/g未満の燃焼熱;
を有する、強化OCMF組成物。
[態様5]
シリカ系エアロゲル組成物及び耐火クラス添加剤で強化された強化OCMF組成物であって、シリカ系エアロゲル骨格が少なくとも1つの疎水性結合ケイ素を含み、前記強化エアロゲル組成物が、以下の特性:
i)20質量%以下の液体水の取込み量;
ii)約37.5℃の温度、周囲環境、大気圧及び約2psiの圧縮で、ASTM C518規格に準拠した、30mW/m・K以下の熱伝導率;及び
iii)EN ISO 1716規格に準拠した、717cal/g未満の燃焼熱;
を有する、強化OCMF組成物。
[態様6]
シリカ系エアロゲル組成物及び耐火クラス添加剤で強化された強化OCMF組成物であって、前記シリカ系エアロゲル骨格が少なくとも1つの疎水性結合ケイ素を含み、前記強化エアロゲル組成物が、以下の特性:
i)1質量%~10質量%の間の液体水の取込み量;
ii)約37.5℃の温度、周囲環境、大気圧及び約2psiの圧縮で、ASTM C518規格に準拠した、8mW/m・K超かつ25mW/m・K未満の熱伝導率;及び
iii)EN ISO 1716規格に準拠した、717cal/g未満かつ400cal/g超の燃焼熱;
を有する、強化OCMF組成物。
[態様7]
前記OCMF材料が有機OCMF材料を含むか又は有機OCMF材料である、態様1~3のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は態様4~6のいずれか一つに記載の強化OCMF組成物。
[態様8]
前記OCMF材料がメラミン系OCMF材料を含むか又はメラミン系OCMF材料である、態様1~3のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は態様4~7のいずれか一つに記載の強化OCMF組成物。
[態様9]
前記OCMF材料がシート状のOCMF材料を含むか又はシート状のOCMF材料である、態様1~3のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は態様4~6のいずれか一つに記載の強化OCMF組成物。
[態様10]
前記OCMF材料が有機発泡体である、態様1~3のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は態様4~9のいずれか一つに記載の強化OCMF組成物。
[態様11]
前記OCMF材料がメラミン系発泡体である、態様1~3のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は態様4~6のいずれか一つに記載の強化OCMF組成物。
[態様12]
前記OCMF材料が低可燃性材料でも不燃性材料でもない、態様1~11のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様13]
前記OCMF材料が低有炎燃焼性材料でも非有炎燃焼性材料でもない、態様1~11のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様14]
前記OCMF材料が前記組成物の2質量%~10質量%を構成する、態様1~11のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様15]
前記組成物中の疎水性ケイ素結合含有量が2質量%~10質量%である、態様1~14のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様16]
前記組成物中の疎水性ケイ素結合含有量が2質量%~8質量%である、態様1~14のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様17]
前記組成物中の疎水性ケイ素結合含有量が2質量%~6質量%である、態様1~14のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様18]
前記組成物が、EN ISO 1716規格に準拠した、700cal/g以下の燃焼熱を有する、態様1~17のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様19]
前記組成物が、EN ISO 1716規格に準拠した、675cal/g以下の燃焼熱を有する、態様1~17のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物で。
[態様20]
前記組成物が、EN ISO 1716規格に準拠した、650cal/g以下の燃焼熱を有する、態様1~17のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様21]
前記組成物が、EN ISO 1716規格に準拠した、625cal/g以下の燃焼熱を有する、態様1~17のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様22]
前記組成物が、約37.5℃の温度、周囲環境、大気圧及び約2psiの圧縮荷重で、ASTM C518規格に準拠した、22mW/m・K以下の熱伝導率を有する、態様1~21のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様23]
前記強化エアロゲル組成物が、約37.5℃の温度、周囲環境、大気圧及び約2psiの圧縮荷重で、ASTM C518規格に準拠した、20mW/m・K以下の熱伝導率を有する、態様1~21のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様24]
前記強化エアロゲル組成物が、約37.5℃の温度、周囲環境下、大気圧下及び約2psiの圧縮荷重で、ASTM C518規格に準拠した、18mW/m・K以下の熱伝導率を有する、態様1~21のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様25]
前記強化エアロゲル組成物が、0.15~0.40g/cm の密度を有する、態様1~21のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様26]
前記強化エアロゲル組成物の有機含有分の熱分解の開始点は350℃以上である、態様1~21のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様27]
前記強化エアロゲル組成物の熱分解の開始点は360℃以上である、態様1~21のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様28]
前記強化エアロゲル組成物の熱分解の開始点は370℃以上である、態様1~21のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様29]
前記強化エアロゲル組成物の熱分解の開始点は380℃以上である、態様1~21のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様30]
前記強化エアロゲル組成物の熱分解の開始点は390℃以上である、態様1~21のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様31]
耐火クラス添加剤と疎水性有機含有分を含む有機OCMF強化エアロゲル組成物であって、前記組成物中の前記耐火クラス添加剤の吸熱分解の開始点が、前記耐火クラス添加剤以外の前記組成物のその他の部分の熱分解の開始点の50℃以内である、有機OCMF強化エアロゲル組成物。
[態様32]
耐火クラス添加剤と少なくとも5%の疎水性含有分を含む有機OCMF強化エアロゲル組成物であって、前記組成物中の耐火クラス添加剤の吸熱分解の総熱量が、前記耐火クラス添加剤以外の前記組成物のその他の部分の分解発熱量の少なくとも30%である、有機OCMF強化エアロゲル組成物。
[態様33]
少なくとも2種の耐火クラス添加剤を含み、それらの吸熱分解の各開始点が少なくとも10℃離れている、有機OCMF強化エアロゲル組成物。
[態様34]
耐火クラス添加剤と疎水性含有分とを含む有機OCMF強化エアロゲル組成物であって、前記組成物中の耐火クラス添加剤の吸熱分解の総熱量が、前記耐火クラス添加剤以外の前記組成物のその他の部分の分解発熱量の80%以下である、有機OCMF強化エアロゲル組成物。
[態様35]
前記疎水性含有分が少なくとも5%であり、前記組成物中の耐火クラス添加剤の吸熱分解の総熱量が、前記耐火クラス添加剤以外の前記組成物のその他の部分の分解発熱量の少なくとも30%である、態様1~11のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様36]
前記組成物中の耐火クラス添加剤の吸熱分解の開始点は、前記耐火クラス添加剤以外の前記組成物のその他の部分の熱分解の開始点の50℃以内である、態様1~11のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様37]
少なくとも2種の耐火クラス添加剤を含み、前記2種の耐火クラス添加剤の各吸熱分解の開始点が少なくとも10℃離れている、態様1~11のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様38]
前記組成物中の耐火クラス添加剤の吸熱分解の総熱量が、前記耐火クラス添加剤以外の前記組成物のその他の部分の分解発熱量の80%以下である、態様1~11のいずれか一つに記載の強化エアロゲル組成物又は強化OCMF組成物。
[態様39]
前記組成物のISO 1182に準拠した炉内温度の上昇が、約100℃以下、約90℃以下、約80℃以下、約70℃以下、約60℃以下、約50℃以下、約45℃以下、約40℃以下、約38℃以下、約36℃以下、約34℃以下、約32℃以下、約30℃以下、約28℃以下、約26℃以下、約24℃以下、又はこれらの値のいずれか2つの範囲内である、態様1~38のいずれか一つに記載の組成物。
[態様40]
前記組成物のISO 1182に準拠した火炎時間が、約30秒以下、約25秒以下、約20秒以下、約15秒以下、約10秒以下、約5秒以下、約2秒以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲内である、態様1~39のいずれか一つに記載の組成物。
[態様41]
前記組成物のISO 1182に準拠した質量損失が、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約28%以下、約26%以下、約24%以下、約22%以下、約20%以下、約18%以下、約16%以下、又はこれらの値のうちの任意の2つの値の間の範囲内である、態様1~40のいずれか一つに記載の組成物。
[態様42]
前記組成物が低有炎燃焼性である、態様1~41のいずれか一つに記載の組成物。
[態様43]
前記組成物が非有炎燃焼性である、態様1~42のいずれか一つに記載の組成物。
[態様44]
前記組成物が低可燃性である、態様1~43のいずれか一つに記載の組成物。
[態様45]
前記組成物が不燃性である、態様1~44のいずれか一つに記載の組成物。
[態様46]
前記耐火クラス添加剤の吸熱分解の開始点が、280℃、300℃、350℃、400℃、450℃又は500℃よりも高い、態様1~45のいずれか一つに記載の組成物。
[態様47]
耐火クラス添加剤を含まない前記組成物の有機含有分の発熱分解の開始点が、280℃、300℃、350℃、400℃、450℃又は500℃よりも高い、態様1~46のいずれか一つに記載の組成物。
[態様48]
前記OCMF材料がメラミン系発泡体である、態様1~47のいずれか一つに記載の組成物。
[態様49]
前記OCMF材料がウレタン系ポリマー発泡体である、態様1~48のいずれか一つに記載の組成物。
[態様50]
前記OCMF材料が網目状発泡体である、態様1~49のいずれか一つに記載の組成物。
図1
図2