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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】患者にガスを供給する装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/16 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
A61M16/16 A
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021021620
(22)【出願日】2021-02-15
(62)【分割の表示】P 2018174479の分割
【原出願日】2011-04-27
(65)【公開番号】P2021098029
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】61/328,521
(32)【優先日】2010-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504298349
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】バーカー ディーン
(72)【発明者】
【氏名】オドネル ケヴィン ピーター
(72)【発明者】
【氏名】クレイマー マーティン ポール フリードリック
(72)【発明者】
【氏名】タトコフ スタニスラフ
(72)【発明者】
【氏名】クラーク テレーズ
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/145646(WO,A1)
【文献】実開昭59-021738(JP,U)
【文献】特開昭63-161973(JP,A)
【文献】特許第3425148(JP,B2)
【文献】特表2006-501881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に加湿ガスを供給する装置であって、
加湿ガス供給源と、
前記加湿ガス供給源の下流にあり、患者の上流にあるガス供給通路と、
前記ガス供給通路の壁に埋め込まれるか、又は前記ガス供給通路の前記壁の外面に接触するように配置される第1の温度センサ及び第2の温度センサであって、屈曲部として形成された前記ガス供給通路の部分内で、前記屈曲部の曲がり部分に配置されるか、又は曲がり部分に隣接して配置される、第1の温度センサ及び第2の温度センサと、
前記第1の温度センサ及び第2の温度センサの出力を受信し、前記第1の温度センサ及び第2の温度センサの出力から、前記ガス供給通路を通って流れるガスの特性の推定を導出し、且つ前記第1の温度センサ及び第2の温度センサの出力に従って制御出力を前記加湿ガス供給源に提供するように適合されるコントローラと、
を備え、
前記ガス供給通路の前記壁は、前記第1の温度センサ及び第2の温度センサがガス流に露出されないように、前記ガス供給通路内のガス流と前記第1の温度センサ及び第2の温度センサとを分ける、装置。
【請求項2】
前記第1の温度センサ及び第2の温度センサは、前記ガス供給通路の壁の外面にある溝内に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の温度センサ及び第2の温度センサは、前記加湿ガス供給源に隣接する前記ガス供給通路の部分に配置される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の温度センサ及び第2の温度センサの一方は、液体が前記ガス供給通路内に蓄積し得る位置に配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ガスの特性は、前記ガス供給通路を通って流れるガスの温度、露点温度、又は湿度である、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の温度センサが、前記第1の温度センサから離間し、前記第1の温度センサ及び前記第2の温度センサのうちの一方は、液体が前記ガス供給通路内に蓄積し得る位置に配置され、他方は、液体が前記ガス供給通路内に蓄積しない位置に配置され、前記コントローラは、前記第1及び第2の温度センサの出力に基づいて、前記ガス供給通路を通って流れるガスの相対湿度の推定を計算するように適合される、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の温度センサが前記第1の温度センサに隣接する位置に提供され、前記コントローラは前記第2の温度センサから出力を受信し、その出力から、前記コントローラは、前記ガス供給通路内を流れるガスの物理的特性の導出を特定し、前記第1の温度センサを使用して導出される導出と、前記第2の温度センサを使用して導出される導出とを比較するように適合される、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の温度センサ及び第2の温度センサは、前記ガス供給通路の前記壁の窪みに埋め込まれる、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記窪みは、前記ガス供給通路の前記壁の一般的な厚さに収められる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第2の温度センサは前記第1の温度センサに隣接する位置に提供され、前記コントローラは、前記ガス供給通路内を流れるガスの物理的特性の導出を特定し、前記第1の温度センサを使用して導出される導出と、前記第2の温度センサを使用して導出される導出とを比較するように適合される、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記第1及び前記第2の温度センサの出力に基づくとともに、前記加湿ガス供給源の動作状況に基づいて、前記ガス流の湿度を推定する、請求項6~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記コントローラは、前記加湿ガス供給源に与えられる電力、加湿ガス供給源筐体内部の周囲温度、前記ガス供給通路を通して前記加湿ガス供給源により供給されるガスの流量、前記加湿ガス供給源内のフロー生成器への電力入力、前記加湿ガス供給源内の加湿器への電力入力、前記加湿ガス供給源内のコントローラへの電力入力、又はこれらの任意の組み合わせを示すパラメータを含む前記加湿ガス供給源の状況を補償する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1及び第2の温度センサを含む前記ガス供給通路の壁の部分は、屈曲部として形成され、前記第1及び第2の温度センサは前記屈曲部の曲がり部分に配置されるか、又は曲がり部分に隣接して配置される、請求項7~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の温度センサ及び前記第2の温度センサのうちの一方は、液体が前記ガス供給通路内に蓄積し得る位置に配置され、他方は、液体が前記ガス供給通路内に蓄積しない位置に配置され、前記コントローラは、前記第1及び第2の温度センサの出力に基づいて、前記ガス供給通路を通って流れるガスの相対湿度の推定を計算するように適合される、請求項1~3及び5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記第1及び第2の温度センサは離間して提供される、請求項6,8,9及び11~14のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療目的で加熱加湿されたガス流をユーザに供給する装置に関する。本発明は特に、呼吸加湿治療、高流量酸素治療、CPAP治療、Bi-PAP治療、OPAP治療等のため、又は吸入若しくは鍵穴手術に使用されるガスの加湿のために、加湿空気を提供する装置において、ガス流の湿度を制御する装置内で使用されるセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
治療目的で加湿ガス流を患者に提供する装置及びシステムが、当分野において周知である。この種の治療を提供するシステム(例えば、呼吸加湿)は、ガスがガス源から加湿チャンバに送られる構造を有する。ガスは、加湿チャンバ内で湯上又は加熱加湿空気を通過する際、水蒸気で飽和する。加熱加湿ガスは次に、ガス管及びユーザ境界面を介して加湿チャンバから下流にいるユーザ又は患者に送られる。
【0003】
ガス送達システムは、別個のユニットから組み立てられたモジュール式システムであることができ、ガス源は、人工呼吸ユニット又はブロワユニットである。すなわち、加湿チャンバ/ヒータ及びブロワユニットは別個(モジュール式)のものである。モジュールは、使用に際して、接続管を介して直列接続されて、ブロワユニットから加湿ユニットにガスを通すことができるようにする。
【0004】
或いは、人工呼吸装置は一体型システムであることができ、ブロワユニット及び加湿ユニットは、使用中、同じ筐体内に含まれる。
【0005】
モジュール式システム及び一体型システムの両方で、ブロワユニットにより提供されるガスは一般に、周囲大気を源とする。
【0006】
通常、病院で使用される第3の一般的な形態の人工呼吸システムは、人工呼吸システムが通常、使用エリア(例えば、病室)外部にある中央ガス源から、使用するガスの少なくとも部分を受け取るものである。ガス管等が、例えば、患者の部屋の壁(又は同様のもの)に取り付けられた流入口間に接続される。ガス管は、使用に際して、加湿チャンバに直結されるか、又は必要な場合、ステップダウン制御ユニット等をガス流入口と加湿チャンバとの間に直列接続することができる。この種の人工呼吸システムは一般に、患者又はユーザが酸素治療を必要とし得、酸素が中央ガス源から供給される場合に使用される。患者又はユーザに送達する前に、例えば、ステップダウン制御ユニット内に配置されたベンチュリを使用することにより、ガス源からの純粋な酸素を大気空気と混ぜることが一般的である。ガスの少なくともいくらかが中央源から送られる種類のシステムでは、別個のフロー生成器又はブロワの必要がない-ガスは加圧下で流入口から送られ、ステップダウン制御ユニットが圧力及び流量を必要なレベルに変更する。
【0007】
大気ガスのみを使用する既知の従来技術によるモジュール式のシステムの一例を図1に示す。
【0008】
典型的な一体型システム及びモジュール式システムでは、大気ガスはメイン「ブロワ」又は人工呼吸ユニットに吸い込まれるか、又は他の様式で流入し、メイン「ブロワ」又は人工呼吸ユニットは流出口でガス流を提供する。ブロワユニット及び加湿ユニットは、ブロワユニットと結合されるか、又は他の様式でしっかりと接続される。例えば、加湿ユニットは、スライドオン又は押し込み接続によりブロワユニットに結合され、スライドオン又は押し込み接続は、加湿ユニットがメインブロワユニットにしっかりと接続され、メインブロワユニット上の所定位置にしっかりと保持されることを保証する。この種のシステムの一例は、米国特許第7,111,624号明細書に示され説明されるFisher and Paykel Healthcare「スライドオン」水室システムである。この設計の変形は、チャンバが、使用に際して、一体型ユニットの部分内に囲まれるスライドオン又はクリップオン設計である。この種の設計の一例は、国際公開第2004/112873号パンフレットに記載されている。
【0009】
ガス管及び境界面を介して加熱加湿ガス流を患者に提供するシステムで直面してきた問題の1つは、ガスの特徴を適宜制御する問題である。明らかに、必要とされる治療を提供するために、厳密に正確な温度、湿度、流量、及び酸素割合のガスを患者に送達する(すなわち、ガスがユーザ境界面を出る際)ことが望ましい(患者が酸素治療を受けている場合)。治療レジメンは、ガスが正確又は必要とされる特徴を有するガスが患者に送られない場合、無効になり得る。多くの場合、最も望ましい状況は、水蒸気で完全に飽和した(すなわち、略100%の相対湿度の)ガスを、一定の流量でユーザに送ることである。他の種類又は変形の治療レジメンは、100%未満の相対湿度を必要とし得る。呼吸回路は安定状態のシステムではなく、実質的に正確な特徴を有するガスがユーザに送られることを保証することが難しい。送達時での様々な周囲温度、周囲湿度レベル、及び様々なガス流にわたってこの結果を達成することは困難であり得る。ガス流の温度、流量、及び湿度はすべて、相互に依存する特徴である。1つの特徴が変化する場合、その他の特徴も変化することになる。いくつかの外部変数が、呼吸回路内のガスに影響し得、実質的に正確な温度、流量、及び湿度でガスをユーザに送ることを難しくし得る。一例として、患者又はユーザと加湿器流出口との間の輸送管は、周囲大気状況に曝され、ガスが加湿チャンバの流出口とユーザ境界面との間で管に沿って移動する際、管内の加熱加湿ガスの冷却が生じ得る。この冷却は、管内の「水滴形成」(すなわち、管内面での凝縮形成)に繋がり得る。水滴形成は、国際公開第01/13981号パンフレットに詳細に説明される理由により、極めて望ましくない。
【0010】
所望の特徴を有するガスを有するガス流送達の達成を助けるために、従来技術によるシステムは、呼吸回路全体を通して様々な位置に配置されたセンサ(例えば、温度センサ及び湿度センサ)を使用していた。信頼性が高く、安価であるため、サーミスタが一般に、温度センサとして使用される。米国特許第6,895,803号明細書に記載のような湿度センサが、治療目的で加熱加湿ガスをユーザに送るシステムとの併用に適する。
【0011】
特許公報国際公開第2001/13981号パンフレットは、加湿ガス供給システムの制御側面にこれらのセンサの出力を使用するシステムを記載している。特許公報国際公開第2009/145646号パンフレット、加湿ガス供給システムの制御側面にセンサの出力を使用する別のシステム。この公報の内容は、参照により本明細書に援用される。
【0012】
ガス流内にセンサを提供する従来の手法は、管壁に貫入するプローブを提供するという手法である。プローブはガス流内に延びる。サーミスタがプローブの先端に提供され、通常、ガス流の大凡中央に位置決めされる。
【0013】
プローブは、所定位置(例えば、ガス供給源本体内の永久位置に提供される位置)に固定することができ、又は取り外し可能プローブ(例えば、呼吸回路等の交換可能な構成要素の部分に位置決めされる)であることができる。取り外し可能プローブの場合、プローブが取り付けられた構成要素は適したポートを含み得、プローブはポート内に押し込まれて、管内部内に突出する。
【0014】
ガス流の中央にプローブのセンサ部分を位置決めすることは、ガス流の特性(特性が温度であれ、湿度であれ、又は流れであれ)の代表的な読み取りを提供するために望ましいと考えられる。不都合なことに、この位置では、センサは、例えば、幅の狭いハンドルの端部にある小さなスポンジを用いてのガス通路内部の清掃努力の影響を受ける。さらに、突出するセンサは、ガス通路を完全にきれいにする能力を妨げ得る。これは特に、突出するプローブが、通路の開放端部と通路の屈曲部との間の通路内に延びる場合に当てはまり得る。屈曲部とプローブとの間のエリア、特に、プローブの真裏の表面エリアにアクセスすることは難しくなる。これらのエリアにアクセスしようとすることは、プローブへの損傷に繋がり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、少なくとも上記欠点の解消のいくらかの助けになるセンサ機構又はセンサ機構を含む装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一態様では、本発明の本質は、加湿ガスを患者に供給する装置であって、加湿ガス供給源と、加湿ガス供給源の下流にあり、使用中の患者の上流にあるガス供給通路と、通路の壁に埋め込まれるか、又は通路の壁の外部に配置されるセンサと、センサから出力を受信し、センサの出力から、通路を通って流れるガスの特性の推定を導出し、又はセンサの出力に従って制御出力を加湿ガス供給源に提供するように適合されるコントローラと、を備え、通路の壁は、通路内のガス流とセンサとを分ける、装置にある。
【0017】
さらなる態様によれば、センサは、管の壁の外面にある溝内に配置される。
【0018】
さらなる態様によれば、溝は、管の直径の30%以下の程度で、管を通って流れるガスの流路内に突出する。
【0019】
さらなる態様によれば、ガス通路は10mm~30mmの直径を有する。
【0020】
さらなる態様によれば、センサの直近のガス通路の部分は、25℃で1W/mK未満、最も好ましくは0.4WmK未満の熱伝導性を有する材料から形成される。
【0021】
さらなる態様によれば、センサの直近のガス通路の部分は、ポリカーボネート又はポリプロピレン等のプラスチック材料から作られる。
【0022】
さらなる態様によれば、センサはサーミスタである。
【0023】
さらなる態様によれば、第2のセンサが第1のセンサに隣接する位置に提供され、第2のセンサも、第2のセンサとガス通路内を流れるガスとの間の通路の壁に配置され、コントローラは第2のセンサから出力を受信し、その出力から、コントローラは、ガス通路内を流れるガスの物理的特性の導出を特定し、第1のセンサを使用して導出される導出と、第2のセンサを使用して導出される導出とを比較するように適合される。
【0024】
さらなる態様によれば、センサは、加湿ガス供給源に隣接するガス通路の部分に配置される。
【0025】
さらなる態様によれば、加湿ガス供給源は筐体内に含まれ、ガス通路の部分は筐体を通り、センサは、筐体内のガス通路のその部分内に配置される。
【0026】
さらなる態様によれば、コントローラは、センサの出力に基づくとともに、加湿ガス供給源の動作状況に基づいて、ガス流の物理的特性を推定する。
【0027】
さらなる態様によれば、コントローラは、加湿ガス供給源に与えられる電力、加湿ガス供給源筐体内部の周囲温度、ガス通路を通して加湿ガス供給源により供給されるガスの流量、加湿ガス供給源内のフロー生成器への電力入力、加湿ガス供給源内の加湿器への電力入力、加湿ガス供給源内のコントローラへの電力入力、又はこれらの任意の組み合わせを示すパラメータを含む加湿ガス供給源の状況を補償する。
【0028】
さらなる態様によれば、センサを含むガス通路の部分は、屈曲部として形成され、センサは屈曲部の曲がり部分に配置されるか、又は曲がり部分に隣接して配置される。
【0029】
さらなる態様によれば、センサは、液体がガス通路内に蓄積し得る位置に配置される。
【0030】
さらなる態様によれば、追加のセンサが、第1のセンサから離間して提供され、第1のセンサ及び追加のセンサのうちの一方は、液体がガス通路内に蓄積し得る位置に配置され、他方は、液体がガス通路内に蓄積しない位置に配置され、コントローラは、第1及び第2のセンサの出力に基づいて、通路を通って流れるガスの相対湿度の推定を計算するように適合される。
【0031】
さらなる態様によれば、センサは、患者に隣接して、又は通路に直に沿って、患者へのガス供給管に沿った位置等の加湿ガス供給源から離れたガス通路の部分内に配置される。
【0032】
さらなる態様によれば、加湿ガス供給は、ヒータと、ヒータに隣接してある量の水を含むためのリザーバとを有する加湿器を含む。
【0033】
さらなる態様によれば、加湿器は、ヒータ板を備え、リザーバは、使用中、ヒータ板に接触する取り外し可能容器を備える。
【0034】
さらなる態様によれば、加湿ガス供給源はブロワを含み、ブロワの出力は加湿器の流入口に提供される。
【0035】
さらなる態様によれば、ブロワ及び加湿器ヒータは、同じ筐体内に配置される。
【0036】
さらなる態様では、本発明の本質は、患者に加湿ガスを供給する装置であって、通路壁の内面により画定されるガス供給通路と、通路の通路壁に埋め込まれるか、又は通路の通路壁の外面に配置されるセンサと、センサから出力を受信し、センサの出力から、通路を通って流れるガスの特性の推定を導出し、又は加湿ガス供給源の制御出力を導出するように適合される、コントローラと、を備え、通路の壁は、通路内のガス流とセンサとを分ける、装置にある。
【0037】
本発明が関連する分野の当業者には、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱せずに、本発明の構造の多くの変更並びに広く異なる実施形態及び適用例が自明であろう。本明細書での開示及び説明は純粋に例示的なものであり、いかなる意味でも限定を意図しない。
【0038】
本明細書で使用される「備える」という用語は、「少なくとも部分的に、~からなる」を意味し、すなわち、本明細書においてその用語を含む文章を解釈する場合、各文章中でその用語が前置された特徴のすべてが存在する必要があるが、他の特徴も存在することができる。
【0039】
本発明の好ましい一形態について、添付図面を参照してこれより説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】既知の従来技術による種類のモジュール式ブロワ/加湿人工呼吸システムから加湿空気を受け取るユーザの概略図を示す。
図2a】加湿空気を受け取っているユーザの概略図を示し、ユーザは鼻マスクを装着し、モジュール式ブロワ/加湿人工呼吸システムから空気を受け取る。
図2b】加湿空気を受け取っているユーザの概略図を示し、ユーザは鼻カニューラを装着し、モジュール式ブロワ/加湿人工呼吸システムから空気を受け取る。
図3】加湿空気を受け取っているユーザの概略図を示し、ユーザは鼻マスクを装着し、モジュール式ブロワ/加湿人工呼吸システムから空気を受け取る。
図4】加湿空気を受け取っているユーザの概略図を示し、ユーザは鼻カニューラを装着し、人工呼吸システムは壁流入口を介して中央源からガスを受け取り、これらを制御ユニットに提供し、制御ユニットは、制御ユニットと一直線上にあり、制御ユニットの下流にある加湿チャンバにガスを提供する。
図5図2又は図3の人工呼吸システムと共に使用されるデータセットのグラフ表現を示し、グラフは、様々な周囲大気温度及び所与の流量及び周囲温度での様々な目標温度にわたる7つの異なる一定流量を表す曲線を示し、データは、使用に際して、システムコントローラにロードされる。
図6図2図3、又は図4の人工呼吸システムと共に使用される代替のデータセットのグラフ表現を示し、代替のデータは、図5にグラフで示される表からの同等のデータと比較されるか、又はそのデータと一緒に使用され、グラフの線は、周囲空気の移動が殆どない状態での様々な周囲大気温度並びに所与の流量及び周囲温度での様々な目標温度にわたる2つの異なる定常流量を表す曲線を示し、同じ定常流量が、加湿チャンバからの対流熱損失が高い状態で様々な周囲温度にわたって示され、ルックアップテーブルからのデータは、使用に際して、システムコントローラにロードされる。
図7図2図3、又は図4の人工呼吸システムとの併用に適したコントローラと、図2図3、又は図4に示される人工呼吸システムの好ましい形態の他の構成要素との接続のうちのいくつかの概略表現を示す。
図8】本発明の好ましい実施形態による温度センサを組み込んだ管屈曲部の断面側面図である。
図9図8の管屈曲部の断面上面図である。
図10】湿度の特定に有用であり得る一対のセンサを組み込んだ管屈曲部の断面側面図である。
図11】本発明の別の実施形態による温度センサを含むコネクタカフの断面側面図である。
図12】本発明の別の実施形態による温度センサを含むコネクタカフの断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、破損の可能性がより低く、センサが配置された管のより効率的な清掃が可能な改良されたセンサ機構を提供する。センサ機構は、図8図11に示され、これらの機構について詳細に後述する。センサは、コントローラと併せて動作し、コントローラは、センサ出力及びシステムの支配的な状況に基づいてガス流の熱特徴を推定する。いくつかの実施形態では、コントローラは、ガス流量及び加湿器のヒータに与えられる電力等のシステムの動作の側面も制御する。その場合、温度センサの出力は、センサ出力を推定温度に変換するいかなる中間ステップもなく、制御アルゴリズムに直接供給することができる。中間ステップの代わりに、制御アルゴリズムは、支配的なシステム状況を直接補償する。
【0042】
本発明によるセンサ機構を組み込み得る一般的なシステム構成について、図2図4を参照してまず説明する。
【0043】
第1のシステム構成例によるモジュール式人工呼吸ユニット及び加湿器システムから空気を受け取っているユーザ2の概略図を図2a及び図2bに示す。システム1は、治療目的で(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸症の発生を低減するため、CPAP治療を提供するため、治療目的で加湿を提供するため等)加圧された加熱加湿ガス流をユーザ2に提供する。システム1について詳細に後述する。
【0044】
人工呼吸ユニット又はブロワユニット3は、内部圧縮ユニットと、フロー生成器又はファンユニット13-一般に、これはフロー制御機構と呼ぶことができる-とを有する。大気からの空気は、大気流入口40を介してブロワユニット3の筐体に入り、ファンユニット13を通して引き込まれる。ファンユニット13の出力は調整可能である-ファン速度は可変である。加圧ガス流は、ファンユニット13及びブロワユニット3を出て、接続管4を介して加湿チャンバ5に移動し、入口ポート又は流入口ポート23を介して加湿チャンバ5に入る。
【0045】
使用中の加湿チャンバ5は、ある容量の水20を含む。好ましい実施形態では、使用中の加湿チャンバ5は、ヒータ板12を有する加湿器ベースユニット21の上に配置される。ヒータ板12は給電されて、チャンバ5のベースを加熱し、ひいてはチャンバ5の内容物を加熱する。チャンバ5内の水は、加熱されると蒸発し、加湿チャンバ5内のガス(水20の表面よりも上)が加熱され、加湿される。流入口ポート23を介して加湿チャンバ5に入ったガス流は、加熱された水の上(又はこれらの加熱加湿ガスを通って-大きなチャンバ及び流量の場合に適用可能)を通過し、通過する際に加熱され加湿される。次に、ガス流は、出口ポート又は流出口ポート9を介して加湿チャンバ5を出て、輸送管6に入る。
【0046】
「加湿ユニット」が本発明を参照して本明細書において言及される場合、これは、少なくともチャンバ5と、該当する場合には、ベースユニット21及びヒータ板12とを意味するものとして解釈されるべきである。
【0047】
加熱加湿ガスは、輸送管6の長さに沿って渡され、ユーザ境界面7を介して患者又はユーザ2に提供される。ヒータワイヤ(図示せず)等を介して管6を加熱して、水滴形成の回避を助けてもよい。管は通常、円形内部断面を有する。管の内径は通常、約20mmであるが、10mm~30mmであることができる。これらの典型的な寸法は、ガス流通路の可撓性部分と、屈曲部及びコネクタ等の剛性構成要素との両方、並びに加湿ガス供給源の構成要素に一体化された部分に対して該当する。
【0048】
図2aに示されるユーザ境界面7は、ユーザ2の鼻を取り囲んで覆う鼻マスクである。しかし、鼻カニューラ(図2bに示されるような)、フルフェイスマスク、気管開口フィッティング、又は他の任意の適したユーザ境界面を、示される鼻マスクの代わりに使用し得ることに留意されたい。中央コントローラ又は制御システム8が、ブロワケース(コントローラ8a)内又は加湿器ベースユニット(コントローラ8b)内に配置される。この種のモジュール式システムでは、別個のブロワコントローラ8a及び加湿器コントローラ8bが使用されることが好ましく、コントローラ8a、8bが接続され(例えば、ケーブル等により)、使用中に互いに通信できることが最も好ましい。
【0049】
制御システム8は、加湿器ベースユニット21、又はブロワユニット3、又はこれら両方上に配置されたユーザ制御装置11を介してユーザ入力信号を受信する。好ましい実施形態では、コントローラ8は、システム1全体を通して様々なポイントに配置されたセンサから入力も受信する。
【0050】
図7は、コントローラ8への入力及びコントローラ8からの出力のうちのいくつかの概略表現を示す。可能な接続及び入出力のすべてが示されているわけではないことに留意されたい-図7は、接続のうちのいくつかの代表であり、代表的な例である。
【0051】
センサ及びセンサの位置について、より詳細に後述する。制御装置11からのユーザ入力及びセンサから受信される信号に応答して、制御システム8は制御出力を決定し、好ましい実施形態では、制御システム8は、信号を送信して、加湿チャンバヒータ板12への電力及びファン13の速度を調整する。コントローラが制御出力をいかにして決定するかを決めるプログラミングについて、より詳細に後述する。
【0052】
本発明の第2の形態による一体型ブロワ/加湿器システム100から空気を受け取っているユーザ2の概略図を図3に示す。このシステムは、加湿チャンバ105がブロワユニット103に一体化されて、一体型ユニット110を形成することを除き、図2に示され上述したモジュール式システム1と非常によく似た様式で動作する。加圧ガス流は、一体型ユニット110のケース内部に配置されたファンユニット113により提供される。加湿チャンバ105内の水120は、ヒータ板112(この実施形態では、ブロワユニット103の構造の一体部分である)により加熱される。空気は、入口ポート123を介して加湿チャンバ105に入り、出口ポート109を介して加湿チャンバ105から出る。ガス流は、輸送管106及び境界面107を介してユーザ2に提供される。コントローラ108は、一体型ユニット100の外殻内に含まれる。ユーザ制御装置111は、ユニット100の外面に配置される。
【0053】
人工呼吸システム200のさらなる形態から空気を受け取っているユーザ2の概略図を図4に示す。システム200は一般に、遠隔源システムとして特徴付けられ、壁流入口1000を介して遠隔源から空気を受け取る。
【0054】
壁流入口1000は、流入管201を介して制御ユニット202に接続され、制御ユニット202は、流入口1000からガスを受け取る。制御ユニット202はセンサ250、260、280、290を有し、センサのそれぞれは、流入ガス流の湿度、温度、圧力、及び流量を測定する。
【0055】
次に、ガス流は加湿チャンバ205に提供され、加熱加湿されて、上で概説した様式と同様にしてユーザに提供される。「加湿ユニット」が、システム200等の遠隔源システムに関して言及される場合、これは、制御ユニット202を組み込むものを意味するものとして解釈すべきであることに留意されたい-遠隔源からのガスは、流入口に直結してもよく、又は制御ユニット202を介して接続してもよい(圧力等を低減するために)が、制御ユニット及び加湿チャンバは、全体的な「加湿ユニット」に属するものとして解釈されるべきである。
【0056】
必要な場合、システム200は、O2源としての中央源を有するか、又は制御ユニット202に配置されたベンチュリ90等を介して中央源から流入するO2と大気空気とを混ぜることにより、O2又はある割合のO2を提供することができる。制御ユニット202が、システム200を通るガスの流量を調整するフロー制御機構として動作する弁又は同様の機構も有することが好ましい。
【0057】
センサ
図2図3、及び図4に示されるモジュール式システム及び一体型システム1、100、及び200は、システム全体を通してのポイントに配置されたセンサを有する。これらについて、人工呼吸システム1に関連して後述する。
【0058】
図2に示されるモジュール式システム1の好ましい形態は、少なくとも、以下の好ましい位置にある以下のセンサを有する。
1)ブロワケース内、その近傍、又はその上に配置され、大気からの流入空気の温度を測定するように構成又は適合される周囲温度センサ60。温度センサ60が、ファンユニット13後(下流)にガス流内に配置され、加湿チャンバへの流入口又は入口に可能な限り近くに配置されることが最も好ましい。
2)チャンバ出口ポート9に配置されるか、又は輸送管6の装置の端部(患者側端部とは逆)に配置される加湿器ユニット出口ポート温度センサ63。流出口温度センサ63は、ガス流がチャンバ5を出る際に、ガス流の温度を測定するように構成又は適合される(いずれの構成でも、出口ポート温度センサ63はチャンバ出口ポート9に近いとみなすことができる)。
【0059】
センサ63は、好ましくは、本発明により提供され、センサは、管の壁によりガス流から分けられ、ガス流内に実質的に突出しない。
【0060】
同様に、センサは、図3に示される一体型システム100及び図4のシステム200で略同じ位置に配置される。例えば、図3の一体型システムでは、周囲温度センサ160は、加湿チャンバ入口ポート123の直前(上流)で、ブロワケース内のガス流内に配置される。チャンバ出口ポート温度センサ163は、チャンバ出口ポート109のいずれかに配置され、ガス流がチャンバ105を出る際に、ガス流の温度を測定するように構成される(いずれの構成でも、出口ポート温度センサ163はチャンバ出口ポート109に近いとみなすことができる)。或いは、このセンサは、いずれの実施形態でも、輸送管106の装置端部(患者側端部とは逆)に配置することができる。同様の付番方式が、図4に示される人工呼吸システムでも使用される-周囲温度センサ260、ファンユニット213、チャンバ出口ポート209に配置されたチャンバ出口ポート温度センサ263等。
【0061】
人工呼吸システム1(及び100、200)が、ヒータ板12に隣接して配置され、ヒータ板の温度を測定するように構成されたヒータ板温度センサ62を有することも好ましい。ヒート板温度センサを有する人工呼吸システムは、ヒータ板の状態の即時指示を与えるため、好ましい。しかし、システムがヒータ板温度センサを有することが絶対的に必要なわけではない。
【0062】
システムが、ファンユニット13の上流に配置され、ガス流を測定するように構成されるフロープローブ-システム1ではフロープローブ61-を有することも最も好ましい。フロープローブの好ましい位置は、ファンユニットの上流であるが、フロープローブはファンの下流に配置してもよく、又は適切な他の任意の位置に配置してもよい。ここでも、フロープローブがシステムの一部をなすことが好ましいが、フロープローブがシステムの一部をなすことが絶対的に必要なわけではない。
【0063】
人工呼吸システム1のレイアウト及び動作について、これより詳細に後述する。システム100及び200の動作及びレイアウトは略同じであり、必要な箇所以外は詳細に説明しない。
【0064】
人工呼吸システム1では、すべてのセンサからの読み取り値は制御システム8にフィードバックされる。制御システム8は、ユーザ制御装置11からも入力を受信する。
【0065】
さらなる代替の追加のセンサ及びそのレイアウトについて、より詳細に後述する。
【0066】
温度センサ配置
本発明によれば、温度センサ63(又は163、又は263)は、管の壁がガス流と温度センサとを分けるように配置される。
【0067】
好ましくは、センサは、管の壁の外面の窪みに埋め込まれる。窪みは、ガス流内に突出するように延び得る。例えば、窪み近傍の管壁の内面は、ガス流内に膨らむか、又は突出し得る。或いは、窪みは、管壁の一般的な厚さ内に収めることができ、したがって、窪みの直近の管壁の内面は、周囲の内面に対して突出する必要がない。或いは、収容する窪みなしで、センサを外壁面に固定してもよい。
【0068】
窪みが管壁の内面に形成され、ガス流内に突出する場合、突出の程度は、好ましくは、その位置での管の直径の1/3未満に制限される。これを超えて突出する窪みに適合する膨らみの場合、管の壁外部にセンサを収容することに関連する実質的な利益は達成されない。最も好ましくは、センサー位置に関連するガス流内に膨らみも突出もない。これは、プラスチック金型の複雑性が通常、より低いため、流路内にいくらか突出がある配置よりも製造がより容易である。
【0069】
本発明によるセンサ配置の認められる利点は、管構成要素が、センサ構成要素をガス流の大凡中央に配置するためにガス流路内に突出するプローブを含む典型的な従来技術によるセンサよりも成形しやすく、清掃しやすく、損傷しにくいことである。本発明の発明者等は、管壁外部に配置されるか、又は管壁をセンサとガス流との間に有するセンサを使用して、ガス流の温度、露点温度、又は湿度を適宜推定することができ、関連付けられたコントローラが支配的なシステム状況を補償できることを発見した。
【0070】
好ましいセンサ実施態様を図8及び図9に示す。図8は、加湿ガスが加湿器を出た後のガス流路の部分を含む管屈曲部800を示す。ガスは、端部814において管屈曲部に入り、矢印816で示される方向に流れ、端部818において出る。屈曲部800は、任意の適したプラスチック材料から構築し得る。例えば、屈曲部はポリカーボネートから成形し得る。コネクタの外面は、溝802を含むように成形される。溝802は、管の軸にわたって位置合わせされ、これは図9において最もよく見られ、少なくとも一端部において開く。屈曲部の溝外面は、外側に向かって膨らみ(820)、溝を収容する。溝は、構成要素の壁804の厚さの約半分によりガス流から隔てられる。しかし、コネクタの完全性を維持するために十分な厚さのプラスチックを残す任意の隔たりを使用することができる。
【0071】
窪み又は溝は、構成要素の外部を横切って、又は外部に沿って延びて、効率的な成形工具に役立つ。
【0072】
温度感知構成要素806は、溝802内に配置され、溝802に固定される。温度感知構成要素は、温度に従って変化する測定可能な特性を有する任意の電気又は電子構成要素であり得る。サーミスタが、適した装置の例である。センサは、任意の適した方法により所定位置に固定し得る。最も好ましくは、センサ806は、エポキシ接着剤又はシアノアクリレート接着剤等の接着剤により固定される。
【0073】
リード810がセンサから延びる。
【0074】
この位置において、センサは、ガス流とは密接に熱的接触せず、管の壁と密接に熱的接触する。
【0075】
内部通路812はいずれの突出プローブによっても塞がれず、清掃のために、例えば、幅の狭い棒に固定されたスポンジにより、全範囲の管にアクセスすることができる。清掃の試みにより損傷するおそれがある突出プローブはない。
【0076】
温度センサは、好ましくは、屈曲部の低部に配置される。この位置は、加湿空気流により湿る可能性が高いエリアである。これは、通常の使用に際して、流れが完全又は略完全に飽和するため、管壁への伝熱を向上させ得る。以下に提示される制御アルゴリズムは、この位置でのセンサにロバストであることが証明されている。
【0077】
多くの用途では、安全要件により、冗長性レベル又は制御システムの完全性をチェックする能力が決まる。図9を参照すると、第2のセンサ904を第1のセンサ806の横に配置し、第1のセンサ806と同じようにして所定位置に固定し得る。第2のセンサは、第1のセンサと同じ溝内に存在し得、例えば、各センサは、管の外部にわたって延びる溝内にわずかに離間した位置に配置される。或いは、管にわずかに離間された溝802、902を形成し得(示されるように)、センサは、各溝内に配置され固定される。各センサからのリードが、溝から延びる。
【0078】
このデュアルセンサ実施形態では、コントローラは、センサ出力を直接比較し得、又は較正して、システム状況に基づいて各センサ出力の導出を独立して計算し、次に、その結果を比較し得る。センサ出力又はセンサ出力の導出が大きく異なる場合、コントローラはエラーを示すか、又は安全モードで動作するか、又はこれらの両方を行う。センサはわずかに異なる位置に配置されるため、各センサ出力の導出の比較が好ましい。各導出は、システム状況に従って独立して計算され、計算は特定のセンサ位置に従って較正される。
【0079】
複数のセンサを組み込んださらなる実施形態を図10に示す。図10の構成によれば、センサは、異なる動作状況を見ることを特に目的とした離間位置に提供される。特に、図10の構成は、管1000の外面上の、管がいかなる蓄積凝縮物も有さないと予期することができる位置1004に1つの温度センサ1002を提供し、別のセンサ1006を、管の外面上の、管の内面が凝縮物を蓄積すると予期することができる位置1008に提供する。
【0080】
特定の構成では、センサは、フロー屈曲部の近傍に提供され、屈曲部は、屈曲部の湾曲1010が屈曲部の2端部のうちの下の端部よりもわずかに下である1012ように配置される。
【0081】
第2のセンサ1006は、管壁の外部の、管壁の内面の最も下の範囲の位置に提供される。表面湿度が加湿ガス輸送装置の動作中に最も蓄積しやすいのは、その位置1008である。
【0082】
第1のセンサ1002は、屈曲部の外面に沿って別の位置1004に提供される。第1のセンサの位置はあまり制約を受けないが、例えば、凝縮した液滴がその位置で停止する可能性が低いように、管の内面が使用中に略垂直である位置であることができる。したがって、例えば、第1のセンサは、屈曲部の上向き脚部の任意の位置又は屈曲部の下脚部の両側の中間点に沿った任意の位置に存在することができる。
【0083】
コントローラは、この構成での第1及び第2のセンサからの出力を使用して、ガス流の湿度を推定するようにプログラムし得る。コントローラプログラムは第1のセンサを使用して、ガス流の温度を推定し得る。第2のセンサは、ガス流による蓄積凝縮物の蒸発による影響を受け得、湿度センサ内の湿球を近似し得る。各センサは、ガス流量及び周囲加熱の影響を含め、システムの外的影響を受ける。コントローラは、単一の温度センサに関連して後述する様式と同じ様式でこれらの影響を補償することができる。
【0084】
冗長性が必要な場合、図8に関連して上述したように、複数のセンサを各位置に提供し得る。
【0085】
湿度制御方法
好ましい制御システム8は、コントローラに事前にロードされる少なくとも1つのデータセットを有する。データセットを形成するデータは、特定の構成要素を有する特定のシステム構成で(例えば、特に、特定のブロワユニット及び加湿器ユニットがデータ収集に使用されるシステム1、システム100、又はシステム200)、制御された条件下(例えば、テストエリア又は研究所内)で事前に測定又は事前に計算される。データは、使用中に通常直面するいくつかの条件範囲下で収集され、事前測定(事前設定)データは次に、生産システムの場合には統合ソフトウェア若しくはハードウェアとして、又は例えば、湿度制御のファジー論理アルゴリズムで使用すべきデータとして、コントローラ8にロードされる。
【0086】
システム1との併用に特に適するデータセットを図5のグラフとして示す。X軸は、18℃~35℃の範囲の周囲温度を示す。使用中、チャンバ5の前又は上流での人口呼吸システム内のガスの周囲温度は、周囲温度センサ60により測定され、周囲温度データはコントローラ8に中継される。温度センサ60が、チャンバ5に入る直前のガスの周囲温度を測定することが最も好ましい。データセットを作成するために、典型的なシステム1は、周囲温度をある範囲の温度にわたって既知の一定レベルに保つことができる環境内に配置される。
【0087】
使用に際して、ユーザは、制御装置11を調整することにより流量を選ぶ。コントローラ8は、ユーザ制御装置11から入力を受信し、ファン速度を調整して、この要求される流量に実質的に合わせる(ファン速度を、特定の呼吸回路構成で要求される流量に実質的に対応することが分かっている速度に変更するか、又はフロープローブ61を使用して流れを測定し、コントローラ8を介してフィードバックメカニズムを使用して、流量を必要若しくは要求されるレベルに調整することにより)。7つの異なる一定ファン速度での7つの異なる一定流量が図5のグラフに示される。線70~76は、以下のように異なる流量に対応する:線70-流量15l/分。線71-流量20l/分。線72-25l/分。線73-流量30l/分。線74-流量35l/分。線75-流量40l/分。線76-流量45l/分。
【0088】
Y軸は、様々な目標チャンバ温度を示す。これらの温度は温度センサ値として記憶してもよく、実際の較正温度に従う必要はない。すなわち、任意の所与のファン速度(流量及び圧力)並びに任意の所与の周囲温度で、水20の上でのチャンバ5内のガスの「最良」又は「理想的な」目標流出口温度-Y軸上に示される目標流出口温度がある。この「理想的な」温度は、所与の一定流量及び一定の周囲温度での露点温度である。すなわち、ガスがチャンバ5を要求される飽和度(要求される湿度レベル)で出て、次に、効果的な治療に正しい温度及び圧力でユーザ2に送ることができる温度。ガスがチャンバ5を出る際、温度はチャンバ出口ポート温度センサ63により測定される。コントローラ8は、チャンバ出口温度センサ63により測定された温度データと、チャンバ5に入るガスの温度に関するデータ(周囲温度センサ60により測定される)とを受信するように適合される。流量は、上で概説したように、前に一定値に設定されているため、コントローラ8は一定流量をすでに「知って」いる。コントローラ8は、流量及び周囲温度の両方を「知って」いるため、例えば、事前ロードされるデータセット(例えば、図5にグラフで示されるデータ)に組み込まれた範囲から「理想的な」目標流出口温度読み取り値を調べることができる。次に、コントローラ8は、チャンバ出口温度の測定値を、所与の既知の流量及び周囲温度に「理想的な」目標チャンバ温度と比較する。目標温度の測定値が「理想的な」目標値に一致しない場合、コントローラ8は、適した制御出力を生成又は決定し、それに従ってヒータ板への電力を調整し、電力を増大させて、チャンバ5内のガスの温度を増大させるか、又は電力を低減させて、ガス温度を低減させる。コントローラ8は、このようにして電力を調整して、流出口又は出口ポートで測定される温度を、要求される目標温度に一致させる。好ましい実施形態では、コントローラ8が出力特徴を調整するメカニズムは、比例-積分-微分コントローラ(P.I.D.コントローラ)又は当分野で既知のいくつかの同様のメカニズムのうちの任意の1つを介する。
【0089】
コントローラは、例えば、コントローラ8にロードされたファジー論理制御アルゴリズム又は 測定温度及び流量データを式中の変数として利用する数式を使用することにより、適した制御出力を生成又は決定することもできる。
【0090】
数式の例を以下に示す。これらは一般に、流量範囲15l/分~45l/分での図5にグラフで示されるデータに対応する。
【0091】
【表1】
【0092】
例:ユーザ2の治療レジメンには、特定の流量及び圧力、例えば、流量45l/分が指定される。ブロワ又はファンユニット13の速度は、この流量でガスを送るように設定される(制御装置11を介して)。フロープローブ61がシステムの一部である場合、この流量は、フローセンサ又はフロープローブ61からコントローラ8にリアルタイムフロー読み取り値をフィードバックすることにより動的に調整することができ、コントローラ8は、必要に応じてファン速度を調整する。これは、詳細に後述するように、制御装置8の部分を含むP.I.D.コントローラ等を介して行うことができる。流量が動的に調整され監視されることが好ましい。しかし、フロープローブがシステムの一部ではない場合、流量はファン速度から仮定又は計算され、一定のファン電力レベルでは一定であると仮定される。流量45l/分が図5のグラフの線76により示される。この例では、ユーザ2は、実質的に30℃の周囲温度を有する寝室で睡眠中である。30℃の空気が人工呼吸装置に入り、ケース内のファン及び接続通路を通る際、空気はわずかに暖められる。加湿チャンバに入る直前の空気の温度は、周囲温度センサ60により測定される。周囲温度及び流量は既知であるため、コントローラ8は、図5のグラフのY軸に示されるように、要求される目標温度を計算することができる。この特定の例では、チャンバ目標温度が39.4℃であることが分かる。チャンバ出口温度センサ63は、チャンバ5の出口での温度を測定する(出口点でのガス温度は、チャンバの内容物20よりも上の空間中のガスと略同じ温度である)。チャンバ出口温度センサ63により測定されるガス温度が、39.4℃ではない場合、コントローラ8は、それに従ってヒータ板12への電力を変更する適した制御出力を決定し生成する。上と同様に、周囲温度センサ60により測定される周囲温度が変化した場合、これはコントローラ8にフィードバックすることができ、P.I.D.制御アルゴリズム等を使用して、出力を適宜変更することができる。
【0093】
従来技術に開示されるシステムよりも優れたこのシステムの利点の1つは以下である:従来技術によるシステムでは、周囲温度が目標露点温度に近づくにつれて、ヒータ板の消費電力が低くなり、加湿チャンバ内の水の温度をそれほど上昇させない。したがって、ガスは、チャンバを出る際に完全には飽和しない傾向を有する。上で概説した方法は、周囲温度の値、又はより好ましくは、既知の構成のシステムのチャンバ流入口温度、チャンバ出口温度、及び流量を使用して、設定された流量及び特定の周囲温度でガスが飽和し、ユーザに送られる実質的に最良又は「理想的な」温度であるとみなされる目標チャンバ出口温度を生成することにより、この問題を解消する。
【0094】
別の利点は、システム1が、正確な湿度センサを必要とせずに、湿度レベルを正確に制御できることである。
【0095】
別の利点は、ガスがコンプレッサ又はブロワから加湿チャンバに送られ、この流入ガスが高い温度を有する場合、チャンバ温度を正確に補償して、所望の露点を達成できることである。これは特に、チャンバに入る空気又はガスが暖かい場合に有利であるとともに、流量が増大するにつれて、温度が増大する状況でも有利である。動作に際して、任意のフロー生成器は、大気からの流入口と流出口との間で空気温度を増大させる。この温度変化は、いくつかの種類のフロー生成器でより顕著であり得る。システムの構成要素の温度は、システムが最初に作動したときと、その後しばらく経ってからで(例えば、1~2時間等の程々に長い時間期間にわたり)変化し得る。すなわち、システムの構成要素は、システムが動作するにつれて熱くなり得、システムは、安定動作状態に達するまでにいくらかの時間がかかる。これらの構成要素が、空気がシステムに入るポイントと、空気がチャンバに入るポイントとの空気路内又はそのような空気路に隣接して配置される場合、これらのガスの温度は変化することになる-ガスがこの経路に沿って移動する際、これらの構成要素からガスにいくらか伝熱されることになる。したがって、システムが安定動作状態に達した場合、システムへの流入点でのガス温度は、チャンバへの流入点でのガスの温度と異なり得るため、ガスがチャンバに入る際にガスの温度を測定することで、温度測定誤差が制御計算に導入される危険性が低減することが分かる。しかし、チャンバへの流入点でガス温度を測定することが最も好ましいが、大半の状況で、大気ガス温度の測定が許容可能であることも一般に分かっている。
【0096】
上述した方法は、一体型装置100又は装置200に対して略同様であるが、装置はわずかに異なる構成を有するため、ルックアップテーブルに事前設定又は事前測定され、事前にロードされる値は異なり得る。他の形態では、ユーザは圧力率を選ぶことができる(そして、データセットが、流量値ではなく圧力値に関して変更される)。
【0097】
さらなる代替のセンサレイアウト
上で概説した装置及び方法の変形では、システム(システム1、システム100、又はシステム200)は、以下に概説する追加のセンサも有する。
1)患者側端部温度センサ15(又は115、又は215)は、輸送管6の患者側端部(又は代替として、境界面7内又は境界面7上)に配置される。すなわち、患者若しくは輸送点又はその近傍。本明細書で読まれる場合、「患者側端部」又は「ユーザ側端部」は、輸送管(例えば、輸送管6)のユーザ側端部の近傍又は患者境界面7内若しくは患者境界面7上を意味するものと解釈されるべきである。これは、特定の位置が別段に記載される場合を除いて適用される。いずれの構成でも、患者側端部温度センサ15は、ユーザ又は患者2にあるか、又はその近傍にあるとみなすことができる。
【0098】
これらのセンサは、好ましくは、本発明の構成に従って提供される。センサは、管の壁によりガス流から分けられ、ガス流内に実質的に突出しない。図11に示されるように、温度センサ1115は、コネクタ1100の壁1102が、図8及び図9に説明される構造と同等の構造を用いて、温度センサとガス流との間にあるように提供し得る。したがって、例えば、示されるコネクタは、外面にわたって離間された一対の溝1104を含む。センサ1115、例えば、サーミスタは、各溝に配置される。各センサ1115は、エポキシ接着剤等の適した接着剤により溝内に固定される。
【0099】
この構成によれば、管の内部はいずれの突出プローブによっても塞がれない。この構成によれば、センサはガス流に露出されないため、続くいかなる滅菌又は処置を必要としない。さらに、管の内面は、より容易に清掃し得る。或いは、突出センサにより邪魔されずに、ピールアウェイスリーブ(peel away sleeve)1110を管の内面に提供し得る。ピールアウェイスリーブは、初回使用後に管からはがすことができ、それにより、新しいピールアウェイスリーブが挿入されるか(管を多数回使用できるように)、又は管をもう1回使用できるようにピールアウェイスリーブなしで、管を再使用することができる。多層のピールアウェイスリーブを最初に組み込むこともでき、それに従って管を多数回使用することができる。
【0100】
図12を参照すると、管の外側に提供されるセンサを、管壁から着脱可能な筐体内に組み込み得る。例えば、管コネクタ1202は、筐体構成要素1206の収容に適した窪みを含み得る。テーパ、リップ、又はクリップ(1208)の形態の固定特徴が、筐体構成要素1206を窪み1204内に配置し得る。センサ1210を筐体構成要素内の、筐体構成要素が窪みに配置された場合に窪み1204の表面に隣接する位置に提供し得る。この構成によれば、管は使い捨てであってもセンサを再使用することができる。
【0101】
患者側端部温度センサ15からの読み取り値は、コントローラ8にフィードバックされ、輸送点でのガスの温度がチャンバ出口でのガスの目標患者温度に略一致することを保証するために使用される(目標患者温度は、チャンバ出口での目標露点温度である)。患者側端部温度センサ15からの読み取り値により、輸送管6の長さを移動する際にガス温度が降下しつつあることが示される場合、コントローラ8は、管ヒータワイヤ(図2aのワイヤ75として示される-図3及び図4に示される人工呼吸システム200及び400並びに図2bに示されるシステムの代替の好ましい形態では、示されていないが存在する)への電力を増大させて、ガス温度を維持することができる。管ヒータワイヤ75に提供可能な電力で、輸送点でのガスをチャンバ出口9での露点温度に等しくすることができない場合、コントローラ8は、目標チャンバ出口温度を下げる(より低い露点温度に)。コントローラ8は、チャンバ出口温度を、患者側端部温度センサ15により測定される、管ヒータワイヤが患者に送ることが可能な最大ガス温度レベル又はそれに近いレベルまで下げる。コントローラ8には、所定のデータセットがロードされ、コントローラ8は、このデータ(図5にグラフ形態で示されるデータと同様)を使用することにより、ヒータ板、又は管ヒータワイヤ、又はこれら両方への電力を調整する。一定のフローレベル且つ周囲温度センサ60により測定される周囲温度(変化し得る)で、理想的な患者側端部温度がある。コントローラ8は、ヒータ板及び管への電力出力を調整して、管の患者側端部での温度(温度センサ15により測定される)をこの理想的な温度に一致させる。
【0102】
上記方法は、システム内のガスの他の状況-ガス状況-が分かる場合、正確性をさらに改良することができる。例えば、ブロワへの入力ガスの湿度レベル又は入力ガスのガス圧が分かる場合。これを達成するために、上述したシステム1、100、及び200の代替の実施形態は、入力ガス路に配置されたガス状況センサ(例えば、湿度センサ又は圧力センサ)を有することができる。モジュール式システム1では、湿度センサ50が、大気流入口40の近傍に配置されて示される。一体型システム100では、これは湿度センサ150として示される(以下同様である)。上で概説した制御方法と同様に、コントローラ8には、湿度レベルデータセットが事前にロードされる。一定の流量及び既知の周囲又は外部湿度レベルでは、チャンバ出口(又はユーザへの輸送点)での理想的なガス温度がある。データセットは、図5にグラフ形式で示される値と同様に、様々な周囲湿度及び流量に対してのこれらの理想的な値を含む。コントローラ8は、ヒータ板、又はヒータワイヤ、又はこれら両方の電力出力を調整して、測定されるチャンバ出口温度読み取り値(又は患者側端部温度)を、コントローラ)のメモリ内のデータセットから検索した「理想的な」温度読み取り値に一致させる。同様にして、圧力センサを加湿チャンバへの入力ガス路に配置して(モジュール式システムでの図2の入力ガス路に示される圧力センサ80、加湿チャンバブロワへの入力ガスの圧力レベルが分かる場合、上記方法の正確性を改良することができる。圧力センサ180は、一体型システムでは図3の入力ガス路に示される。圧力センサ280は、中央ガス源システムでは図4の入力ガス路に示される)。データセットのデータが一定の流量、周囲温度、及び別のガス状況(例えば、湿度又は圧力)の状況でグラフでプロットされた場合、グラフを3軸-X、Y、及びZでプロットする必要がある-プロットされる場合、グラフは「三次元」になる-ことに留意されたい。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12