(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】シールドコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6581 20110101AFI20231114BHJP
H01R 13/6592 20110101ALI20231114BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H01R13/6581
H01R13/6592
H01R13/52 301E
(21)【出願番号】P 2021106998
(22)【出願日】2021-06-28
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】乙田 康博
(72)【発明者】
【氏名】平良 雅人
(72)【発明者】
【氏名】福永 美由紀
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-082464(JP,A)
【文献】特開2010-282925(JP,A)
【文献】特開2019-110042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタに嵌合するコネクタ嵌合部が形成されたインナーハウジングに覆われる前面開口部と、前記前面開口部と交差する方向に開口された筒状の電線挿通部とを有するハウジングと、
前記ハウジングの端子収容部に収容されて先端部が相手側端子と接続される端子と、
一端が電線の端末に接続された接続端子と、
前記前面開口部と反対側の前記ハウジングの後面側を覆う第1シールドシェルと、
前記電線挿通部から導出した前記電線を覆う編組が接続される編組接続部と、前記第1シールドシェルに電気的に接続されるシェル固定部とを有する第2シールドシェルと、
前記第1シールドシェル
を前記ハウジング
に後面から固定する第1締結部材と、
前記ハウジングの端子収容部に配置された前記端子の載置部に、前記接続端子の他端を締結する第2締結部材と、
前記第1シールドシェルに、前記第2シールドシェルのシェル固定部を締結する第3締結部材と、を備え、
前記第1締結部材、前記第2締結部材、及び前記第3締結部材は、互いに平行な締結方向を有し、且つ前記ハウジングの前面側から締結されることを特徴とするシールドコネクタ。
【請求項2】
前記第1シールドシェルと前記ハウジングの後面との間には、前記第1シールドシェルに対して前記ハウジングを位置決めする位置決め機構が設けられることを特徴とする請求項1に記載のシールドコネクタ。
【請求項3】
前記接続端子の他端と締結するために前記ハウジングの端子収容部に配置された前記端子が、前記電線挿通部の開口方向に対しては位置決めされると共に、前記電線挿通部の開口方向と直交する方向に対しては変位可能とされることを特徴とする請求項1又は2に記載のシールドコネクタ。
【請求項4】
前記電線に装着されて前記電線挿通部と前記電線との間を水密にシールする防水部材は、
前記電線の外周面に密着する内シール部と前記電線挿通部の内周面に密着する外シール部とを有するゴム部と、
前記電線の外周面に当接する複数の当接部と前記電線挿通部における前記端子収容部側の内周面に設けられた狭窄部の内周面に当接する外環部とを一体に有して前記ゴム部にインサート成形された樹脂部と、を備えることを特徴とする請求項3に記載のシールドコネクタ。
【請求項5】
前記コネクタ嵌合部を除いた前記ハウジングの前面側を覆う第3シールドシェルが設けられることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載のシールドコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシールドコネクタとして、例えば、特許文献1には、配索材(電線)の端部に設けられた端子を保持するハウジングと、ハウジングの作業用開口を覆うカバー部材と、ハウジングの外側を厚み方向に沿って挟んで相互に対向して設けられる第1シェル及び第2シェルで覆い電磁的にシールドするシールド部材と、カバー部材の外側を覆い電磁的にシールドする電磁シールド用カバー部材と、を備えるシールドコネクタが開示されている。
【0003】
上記ハウジングは、配索材が挿通される筒状部と、配索材に対して交差する方向が嵌合方向となるように端子を保持する端子保持部とを含んで略L字形に構成されている。配索材に対して交差する方向が嵌合方向となる端子は、配索材の端部に接続した状態で筒状部を挿通させることができない。そこで、筒状部を挿通させて端子保持部に引き込んだ配索材の端部に端子を接続するための作業用開口が端子保持部の後面側に形成されている。
【0004】
また、上記シールドコネクタは、圧入構造部を備えている。そこで、シールドコネクタを組み付ける際には、第1シェルに設けた圧入突起部をハウジングに設けた圧入凹部に圧入し、圧入突起部の先端部を第2シェルに設けた収容凹部に収容することができる。即ち、シールドコネクタは、ハウジングと第1シェルとの相対位置を固定した状態で、第1シェルと第2シェルとの相対位置を位置決めする。そして、シールドコネクタは、第1シェル及び第2シェルがハウジングを収容空間部に収容した状態で、電磁シールド用カバー部材と共に締結部材により接続相手に共締めされて組み付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した圧入構造部を備えるシールドコネクタは、ハウジングの圧入凹部に圧入した第1シェルの圧入突起部に第2シェルの収容凹部を収容する際、圧入凹部から露出している圧入突起部の先端部に収容凹部を合わせなければならない。しかしながら、シールドコネクタを接続相手に組み付ける際、締結部材の締結方向(ハウジングの後面側)から第1シェルの圧入突起部に第2シェルの収容凹部を収容しようとすると、収容部分が見えにくく、作業性がよくなかった。
また、上述したシールドコネクタは、シールド部材である第1シェル及び第2シェルがハウジングを収容空間部に収容した状態で、締結部材により接続相手に共締めされる構造である。そのため、上記シールドコネクタは、接続相手に組み付ける前に、これらシールド部材、ハウジング及び電磁シールド用カバー部材を一体に固定してアッセンブリ化することができず、取り回し(取扱い性)がよくなかった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、取扱い性がよくて組み立て作業性を向上することができるシールドコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 相手側コネクタに嵌合するコネクタ嵌合部が形成されたインナーハウジングに覆われる前面開口部と、前記前面開口部と交差する方向に開口された筒状の電線挿通部とを有するハウジングと、前記ハウジングの端子収容部に収容されて先端部が相手側端子と接続される端子と、一端が電線の端末に接続された接続端子と、前記前面開口部と反対側の前記ハウジングの後面側を覆う第1シールドシェルと、前記電線挿通部から導出した前記電線を覆う編組が接続される編組接続部と、前記第1シールドシェルに電気的に接続されるシェル固定部とを有する第2シールドシェルと、前記第1シールドシェルを前記ハウジングに後面から固定する第1締結部材と、前記ハウジングの端子収容部に配置された前記端子の載置部に、前記接続端子の他端を締結する第2締結部材と、前記第1シールドシェルに、前記第2シールドシェルのシェル固定部を締結する第3締結部材と、を備え、前記第1締結部材、前記第2締結部材、及び前記第3締結部材は、互いに平行な締結方向を有し、且つ前記ハウジングの前面側から締結されることを特徴とするシールドコネクタ。
【0009】
上記(1)に記載のシールドコネクタを組み立てる際には、先ず、第1締結部材によって第1シールドシェルにハウジングが後面側から締結される。次に、前面開口部を介してハウジングの端子収容部に端子が配置された後、一端が電線の端末に接続された接続端子がハウジングの電線挿通部よりハウジング内に挿入される。そして、第2締結部材によってハウジング内に挿入された接続端子の他端が端子の載置部に締結される。次に、電線を覆う編組が編組接続部に接続された第2シールドシェルのシェル固定部が、第3締結部材によって第1シールドシェルに締結される。そして、これら第1~3締結部材は、互いに平行な締結方向を有し、且つハウジングの前面側から締結される。そして最後に、前面開口部を覆うインナーハウジングが、ハウジングに取付けられる。
したがって、作業者は、シールドコネクタを組み立てる際、これら第1~3締結部材を全て同じ方向(ハウジングの前面側)から締結することができると共に、締結状態を一括して目視確認することができ、組み立て作業性が向上する。
また、本構成のシールドコネクタは、第1シールドシェルと、ハウジングと、端子と、接続端子と、第2シールドシェルとが、第1~3締結部材によって一体に固定されてアッセンブリ化されるので、相手側コネクタに嵌合するまでの取り回し(取扱い性)がよい。
【0010】
(2) 前記第1シールドシェルと前記ハウジングの後面との間には、前記第1シールドシェルに対して前記ハウジングを位置決めする位置決め機構が設けられることを特徴とする上記(1)に記載のシールドコネクタ。
【0011】
上記(2)の構成のシールドコネクタによれば、位置決め突起及び位置決め穴等により構成された位置決め機構が、第1シールドシェルとハウジングの後面との間に設けられる。そこで、第1シールドシェルに対するハウジングの位置決めが容易となり、第1締結部材を締結する際の作業性が向上する。
【0012】
(3) 前記接続端子の他端と締結するために前記ハウジングの端子収容部に配置された前記端子が、前記電線挿通部の開口方向に対しては位置決めされると共に、前記電線挿通部の開口方向と直交する方向に対しては変位可能とされることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のシールドコネクタ。
【0013】
上記(3)の構成のシールドコネクタによれば、ハウジングの端子収容部に配置された端子が、電線挿通部の開口方向に対しては位置決めされると共に、電線挿通部の開口方向と直交する方向に対しては変位可能とされる。そこで、端子の載置部に接続端子の他端を第2締結部材によって締結する際には、端子と接続端子の組立公差を吸収することができ、第2締結部材を締結する際の作業性が向上する。また、シールドコネクタを相手側コネクタに嵌合する際には、相手端子に対する端子の嵌合公差を吸収することもでき、コネクタ嵌合力の増大を抑制することもできる。
【0014】
(4) 前記電線に装着されて前記電線挿通部と前記電線との間を水密にシールする防水部材は、前記電線の外周面に密着する内シール部と前記電線挿通部の内周面に密着する外シール部とを有するゴム部と、前記電線の外周面に当接する複数の当接部と前記電線挿通部における前記端子収容部側の内周面に設けられた狭窄部の内周面に当接する外環部とを一体に有して前記ゴム部にインサート成形された樹脂部と、を備えることを特徴とする上記(3)に記載のシールドコネクタ。
【0015】
上記(4)の構成のシールドコネクタによれば、防水部材のゴム部によって電線挿通部と電線との間が水密にシールされる。
更に、電線挿通部の開口方向と直交する方向に対しては変位可能とされる端子の載置部に締結された接続端子は、第2締結部材の締結時や相手側コネクタとの嵌合時等に、電線挿通部の開口方向と直交する方向に変位する可能性がある。そして、接続端子が電線挿通部の開口方向と直交する方向に変位すると、端末に接続端子が接続された電線には、電線挿通部の開口中心軸に対して偏心する力が作用する。しかしながら、電線が電線挿通部の開口中心軸に対して偏心すると、複数の当接部が電線の外周面に当接すると共に外環部が狭窄部の内周面に当接する防水部材の樹脂部によって、電線挿通部の開口中心軸に対する電線の偏心が規制される。そこで、内シール部及び外シール部を有する防水部材のゴム部では、電線の偏心(片寄り)による影響を受け難くすることができ、シール性能の低下を抑制できる。
【0016】
(5) 前記コネクタ嵌合部を除いた前記ハウジングの前面側を覆う第3シールドシェルが設けられることを特徴とする上記(1)~(4)の何れか一つに記載のシールドコネクタ。
【0017】
上記(5)の構成のシールドコネクタによれば、接続相手の金属製筐体にハウジングの前面側が対向するように組み付けられない場合には、第3シールドシェルでハウジングの前面側を覆うことで、シールドコネクタのシールド特性を確保することができる。すなわち換言すれば、接続相手の金属製筐体にハウジングの前面側が対向するように組み付けられるシールドコネクタの場合には、第3シールドシェルでハウジングの前面側を覆わずに、シールド特性を確保することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、取扱い性がよくて組み立て作業性を向上することができるシールドコネクタを提供できる。
【0019】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシールドコネクタの斜視図である。
【
図2】
図1に示したシールドコネクタの分解斜視図である。
【
図3】ハウジングに組み付けられる第1シールドシェルを説明する斜視図である。
【
図4】ハウジングの端子収容部に配置された端子を説明する平面図である。
【
図5】ハウジング内に挿入された接続端子の他端が端子の基端部に締結される手順を説明する図であって、端子位置決め治具をセットする前の状態を示す斜視図である。
【
図6】ハウジング内に挿入された接続端子の他端が端子の基端部に締結される手順を説明する図であって、端子位置決め治具をセットした後の状態を示す斜視図である。
【
図7】ハウジング内に挿入された接続端子の他端が端子の基端部に締結される手順を説明する図であって、接続端子が端子位置決め治具により電線挿通部の開口方向に対して位置決めされた状態を示す縦断面図及び要部拡大図である。
【
図8】編組が接続された第2シールドシェルが第1シールドシェルに締結された状態を示す平面図である。
【
図9】(a),(b)は、電線挿通部と電線との間を水密にシールする防水部材の斜視図及び断面斜視図である。
【
図10】電線挿通部と電線との間に挿着された防水部材を示す水平断面図及び要部拡大図である。
【
図11】電線が電線挿通部の開口中心軸に対して偏心した状態における防水部材を示す水平断面図及び要部拡大図である。
【
図12】本発明の他の実施形態に係るシールドコネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るシールドコネクタ1の斜視図である。
図2は、
図1に示したシールドコネクタ1の分解斜視図である。
【0022】
本実施形態に係るシールドコネクタ1は、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両のインバータやモータ等の電源回路に用いられるシールドコネクタである。このシールドコネクタ1は、インバータやモータ等の接続相手の金属製筐体に設けられた相手側コネクタに嵌合されて接続される。
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係るシールドコネクタ1は、第1シールドシェルとしてのアッパーシールドシェル10と、ハウジング20と、端子としての2枚のバスバー31,41と、2本の端子付き電線50と、2つの電線シールド部材80と、第1~第3締結部材3,5,7とを備えている。
【0023】
ハウジング20は、図示しない相手側コネクタとの嵌合方向X(
図2参照)の前方側に開口する前面開口部28と、前面開口部28と交差する方向に開口された筒状の電線挿通部26とを有する。前面開口部28には、相手側コネクタに嵌合するコネクタ嵌合部92が形成されたインナーハウジング90が組み付けられる。ハウジング20及びインナーハウジング90は、電気絶縁性を有する合成樹脂から成形されている。ハウジング20は、インナーハウジング90が組付けられることにより、前面開口部28がインナーハウジング90によって覆われる。
【0024】
図2に示すように、ハウジング20は、前面開口部28により嵌合方向Xの前方側に露出する2つの端子収容部21,22と、これら端子収容部21,22にそれぞれ連通して前面開口部28と交差する方向に開口された2つの電線挿通部26,26とが形成されている。
【0025】
端子収容部21は、
図4に示すように、バスバー31の載置部32が収容されるL字形の凹部であり、周壁21aにより囲まれている。周壁21aは、バスバー31の載置部32のL字形の外形状に対応して嵌合することで、バスバー31を位置決めする。但し、周壁21aは、電線挿通部26の開口方向(
図4の上下方向)に沿う載置部32の端縁との間には所定のクリアランスを有しているが、電線挿通部26の開口方向と直交する方向(
図4の左右方向)に沿う載置部32の端縁との間にはクリアランスを殆んど有していない。そこで、バスバー31は、電線挿通部26の開口方向に対しては位置決めされると共に、電線挿通部26の開口方向と直交する方向に対してはクリアランス分だけ変位可能とされている。
【0026】
端子収容部21の底部には、第2締結部材5が螺合するナット25が圧入固定されている。また、ナット25を挟んで電線挿通部26と反対側の端子収容部21の底部には、後述する端子位置決め治具105の位置決めピン108との干渉を回避するための逃げ凹部21bが形成されている。
【0027】
端子収容部22は、バスバー41の載置部42が収容される矩形の凹部であり、周壁22aにより囲まれている。周壁22aは、バスバー41の載置部42の矩形の外形状に対応して嵌合することで、バスバー41を位置決めする。但し、周壁22aは、電線挿通部26の開口方向に沿う載置部42の端縁との間には所定のクリアランスを有しているが、電線挿通部26の開口方向と直交する方向に沿う載置部42の端縁との間にはクリアランスを殆んど有していない。そこで、バスバー41は、電線挿通部26の開口方向に対しては位置決めされると共に、電線挿通部26の開口方向と直交する方向に対してはクリアランス分だけ変位可能とされている。
【0028】
端子収容部22の底部には、第2締結部材5が螺合するナット25が圧入固定されている。また、ナット25を挟んで電線挿通部26と反対側の端子収容部22の底部には、後述する端子位置決め治具105の位置決めピン108との干渉を回避するための逃げ凹部22bが形成されている。
【0029】
ハウジング20における2つの電線挿通部26,26の間隙部分と、電線挿通部26と反対側の外端部分とには、嵌合方向Xに沿って第1締結部材3が貫通する金属製の円筒カラー27がそれぞれインサート成形されている。
また、ハウジング20の外周部には、互いに所定間隔を有して2つの位置決め穴23,23が設けられ、前面開口部28を画成する周壁の外面には、複数の係止爪29が形成されている。
【0030】
インナーハウジング90は、
図2に示すように、ハウジング20の前面開口部28に対応した外形状を有する板状に形成されており、ハウジング20の前面開口部28を覆うように前面側から組み付けられる。これにより、ハウジング20は、その前面開口部28がインナーハウジング90によって封鎖される。
【0031】
インナーハウジング90の周縁には、係止孔94を有する複数の係止片93が形成されている。これらの係止片93の係止孔94には、ハウジング20にインナーハウジング90を組付けることにより、ハウジング20に形成された係止爪29が入り込む。これにより、各係止片93が係止爪29によって係止され、ハウジング20に対してインナーハウジング90が組付けられた状態に保持される。
【0032】
このインナーハウジング90には、相手側コネクタに嵌合するコネクタ嵌合部92が形成されている。コネクタ嵌合部92は、嵌合方向Xに沿って突出する長円筒状に形成されている。コネクタ嵌合部92の前面には、バスバー31,41の先端部がそれぞれ挿通される端子挿通口91,91が形成されている。更に、コネクタ嵌合部92の外周部には、パッキン95が組付けられる。
【0033】
アッパーシールドシェル10は、前面開口部28と反対側のハウジング20の後面側及び外周面側を覆い電磁的にシールドするシールド部材である。アッパーシールドシェル10は、導電性を有する金属材料によって形成される。アッパーシールドシェル10は、ハウジング20を収容する収容空間11を画成している。
【0034】
また、アッパーシールドシェル10の底面には、ハウジング20の位置決め穴23,23に対応する位置決め突起15,15が設けられている。これら位置決め突起15,15は、位置決め穴23,23に係合することで、アッパーシールドシェル10に対してハウジング20を組み付ける際の位置決めをすることができる。即ち、アッパーシールドシェル10とハウジング20の後面との間には、アッパーシールドシェル10に対してハウジング20を位置決めする位置決め機構が設けられている。
【0035】
更に、アッパーシールドシェル10には、ハウジング20の円筒カラー27を挿通した第1締結部材3がそれぞれ螺合される2つのネジ穴12が形成されている。また、ハウジング20の電線挿通部26,26が導出されるアッパーシールドシェル10の導出溝17の近傍には、2つの電線シールド部材80を締結する第3締結部材7がそれぞれ螺合される3つのネジ穴14が形成されている。
【0036】
バスバー31は、ハウジング20の端子収容部21に載置されるL字形の載置部32と、載置部32の一端から垂設されてインナーハウジング90のコネクタ嵌合部92から嵌合方向Xに沿って突出する先端部33とを有する。バスバー31は、例えば、銅、銅合金、アルミニウムあるいはアルミニウム合金等の導電性金属材料から形成されている。載置部32の他端には、第2締結部材5が挿通される取付穴34と、端子位置決め治具105の一対の位置決めピン108が嵌挿される一対の端子位置決め穴35とが形成されている。
【0037】
バスバー41は、ハウジング20の端子収容部22に載置される矩形の載置部42と、載置部42の一端から垂設されてインナーハウジング90のコネクタ嵌合部92から嵌合方向Xに沿って突出する先端部43とを有する。バスバー41は、例えば、銅、銅合金、アルミニウムあるいはアルミニウム合金等の導電性金属材料から形成されている。載置部42には、第2締結部材5が挿通される取付穴44と、端子位置決め治具105の位置決めピン108が嵌挿される一対の端子位置決め穴45とが形成されている。
【0038】
端子付き電線50は、電線51と、電線51の端末に接続された接続端子55とを有する。
接続端子55は、例えば、銅、銅合金、アルミニウムあるいはアルミニウム合金等の導電性金属材料から形成されている。接続端子55は、一端が電線51の端末に接続される加締め部とされ、他端がバスバー31の載置部32又はバスバー41の載置部42に締結される平板状の電気接続部とされる。この接続端子55は、平板状の電気接続部に穿設されて第2締結部材5が挿通される取付穴56と、電気接続部の先端に形成されて端子位置決め治具105の位置決めピン108に当接する一対の段部57,57とを有する(
図4参照)。
【0039】
電線51は、導体の外周を外被で被覆した絶縁電線であり、端部において外被から導体が露出されている。接続端子55の電線加締め部は、電線51の導体に加締められている。これにより、接続端子55に電線51が電気的に接続されている。
【0040】
ハウジング20に組付けられる端子付き電線50は、電線51の端末に接続された接続端子55がハウジング20の電線挿通部26よりハウジング20内に挿入される。また、端子付き電線50の各電線51には、防水部材60が装着されており、これらの防水部材60によって、電線51と電線挿通部26の内周面26aとの間がシールされる(
図10参照)。そして、電線挿通部26の開口端に取付けられた分割式のリアホルダ75は、電線挿通部26内における防水部材60の抜けや、倒れを抑制する。また、リアホルダ75は、防水部材60の外方における電線51の屈曲を抑制する。
【0041】
電線シールド部材80は、アッパーシールドシェル10に電気的に接続される第2シールドシェルとしてのロアシールドシェル81と、電線挿通部26から導出した電線51を覆う編組87とを備える。
ロアシールドシェル81は、第3締結部材7によってアッパーシールドシェル10に締結されるシェル固定部82と、編組87の一端が接続される編組接続部83(
図10参照)を有する。ロアシールドシェル81は、導電性を有する金属材料によって形成される。シェル固定部82の両端には、第3締結部材7が挿通される取付穴84が形成される。円筒状の編組接続部83には、電線51が先通しされた編組87の開口端が外嵌され、シールドリング85により固定されて電気的に接続される。
【0042】
アッパーシールドシェル10にハウジング20を締結する第1締結部材3は、例えばボルトである。また、バスバー31の載置部32又はバスバー41の載置部42に接続端子55の他端(電気接続部)を締結する第2締結部材5は、例えばネジである。更に、アッパーシールドシェル10にロアシールドシェル81のシェル固定部82を締結する第3締結部材7は、例えばボルトである。
【0043】
次に、
図3~
図8を参照しながら本実施形態に係るシールドコネクタ1を組み立てる場合について説明する。
先ず、
図3に示すように、アッパーシールドシェル10が、後面側から組立治具100にセットされる。組立治具100は、アッパーシールドシェル10の外形状に対応した保持凹部101を有しており、収容空間11が上方を向いた状態でセットされたアッパーシールドシェル10を保持する。
【0044】
ハウジング20が、組立治具100にセットされたアッパーシールドシェル10の収容空間11に組み付けられる。この際、アッパーシールドシェル10の位置決め突起15,15が位置決め穴23,23に係合することで、ハウジング20がアッパーシールドシェル10に対して組み付けられる際の位置決めがされる。そこで、アッパーシールドシェル10に対するハウジング20の位置決めが容易となり、第1締結部材3を締結する際の作業性が向上する。
【0045】
そして、第1締結部材3によってアッパーシールドシェル10にハウジング20が後面側から締結される。第1締結部材3は、ハウジング20の円筒カラー27を貫通してアッパーシールドシェル10のネジ穴12に螺合することで、アッパーシールドシェル10にハウジング20を締結する。
【0046】
次に、
図4に示すように、ハウジング20の前面開口部28を介して、バスバー31,41が端子収容部21,22にそれぞれ配置される。バスバー31は、端子収容部21の周壁21aにより載置部32が囲まれて嵌合することで、端子収容部21に位置決めされる。バスバー41は、端子収容部22の周壁22aにより載置部42が囲まれて嵌合することで、端子収容部22に位置決めされる。
【0047】
その後、
図5及び
図6に示すように、電線51の端末に接続された接続端子55が、ハウジング20の電線挿通部26よりハウジング20内にそれぞれ挿入される。端子収容部21に連通する電線挿通部26から挿入された接続端子55の電気接続部は、バスバー31の載置部32に締結される。端子収容部22に連通する電線挿通部26から挿入された接続端子55の電気接続部は、バスバー41の載置部42に締結される。
【0048】
ここで、それぞれの接続端子55の電気接続部をバスバー31の載置部32又はバスバー41の載置部42に締結するためには、接続端子55の取付穴56が載置部32の取付穴34又は載置部42の取付穴44に重なるように端子付き電線50をハウジング20内に挿入しなければならない。そこで、端子付き電線50をハウジング20内に挿入する際には、端子位置決め治具105が用いられる。
【0049】
端子位置決め治具105は、本体107と、本体107の下面に突設された一対の位置決めピン108とを有する。一対の位置決めピン108は、接続端子55の先端に形成された一対の段部57,57にそれぞれ側面が当接し、バスバー31の端子位置決め穴35又はバスバー41の端子位置決め穴45にそれぞれ先端部が嵌合する長さを有する。また、一対の位置決めピン108は、一対の段部57,57の間に形成された凸部を挟持可能な間隔を有している。
【0050】
そして、例えば、接続端子55の取付穴56が載置部32の取付穴34に重なるように端子付き電線50をハウジング20内に挿入する際には、
図6に示すように、予め位置決め治具105がバスバー31の載置部32にセットされる。この際、位置決め治具105は、本体107の底面が載置部32上に載置され、位置決めピン108の先端部がバスバー31の端子位置決め穴35に嵌合される。
【0051】
そして、
図7に示すように、端子付き電線50をハウジング20内に挿入すると、接続端子55の段部57が位置決めピン108の側面に当接することで、接続端子55の挿入が規制される。そして、接続端子55の段部57が位置決めピン108の側面に当接した時に、接続端子55の取付穴56が載置部32の取付穴34に重なるように端子位置決め穴35は穿設されている。そこで、接続端子55の段部57が位置決めピン108の側面に当接するまで端子付き電線50をハウジング20内に挿入するだけで、接続端子55の取付穴56を載置部32の取付穴34に重ねることができる。
【0052】
従って、第2締結部材5は、取付穴56及び取付穴34に容易に挿通された後、端子収容部21の底部に圧入固定されたナット25に螺合されることで、接続端子55の電気接続部をバスバー31の載置部32に締結することができる。
なお、接続端子55の取付穴56が載置部42の取付穴44に重なるように端子付き電線50をハウジング20内に挿入する際も同様に、位置決め治具105を用いることができる。
【0053】
次に、
図8に示すように、電線シールド部材80がアッパーシールドシェル10の導出溝17(
図2参照)の近傍に締結される。具体的には、電線51を覆う編組87が編組接続部83に接続されたロアシールドシェル81のシェル固定部82が、アッパーシールドシェル10のネジ穴14(
図2参照)に螺合される第3締結部材7によって締結される。
【0054】
なお、2つのロアシールドシェル81は、隣接してアッパーシールドシェル10に締結される。そこで、隣接するシェル固定部82の端部に形成された取付穴84同士を重ねて第3締結部材7を締結することで、第3締結部材7の本数を減らすと共に、ロアシールドシェル81同士を電気的に接続することができる。
【0055】
そして、
図2及び
図8に示したように、第1締結部材3、第2締結部材5及び第3締結部材7は、互いに平行な締結方向D1,D2,D3をそれぞれ有し、且つハウジング20の前面側から締結される。
したがって、作業者は、シールドコネクタ1を組み立てる際、これら第1締結部材3、第2締結部材5及び第3締結部材7を全て同じ方向(ハウジング20の前面側)から締結することができると共に、締結状態を一括して目視確認することができ、組み立て作業性が向上する。
そして最後に、
図1に示したように、前面開口部28を覆うインナーハウジング90が、ハウジング20に取付けられ、シールドコネクタ1の組み立てが完了する。
【0056】
本実施形態に係るシールドコネクタ1は、第1シールドシェルと、ハウジングと、端子と、接続端子と、第2シールドシェルとが、第1~3締結部材によって一体に固定されてアッセンブリ化されるので、相手側コネクタに嵌合するまでの取り回し(取扱い性)がよい。
【0057】
また、本実施形態に係るシールドコネクタ1によれば、
図4に示したように、ハウジング20の端子収容部21に配置されたバスバー31が、電線挿通部26の開口方向(
図4の上下方向)に対しては位置決めされると共に、電線挿通部26の開口方向と直交する方向(
図4の左右方向)に対してはクリアランス分だけ変位可能とされる。
そこで、バスバー31の載置部32に接続端子55の他端を第2締結部材5によって締結する際には、バスバー31と接続端子55の組立公差を吸収することができ、第2締結部材5を締結する際の作業性が向上する。また、シールドコネクタ1を相手側コネクタに嵌合する際には、相手端子に対するバスバー31の嵌合公差を吸収することもでき、コネクタ嵌合力の増大を抑制することもできる。なお、ハウジング20の端子収容部22に配置されたバスバー41についても同様である。
【0058】
図9の(a),(b)は、電線挿通部26と電線51との間を水密にシールする防水部材60の斜視図及び断面斜視図である。
防水部材60は、
図9に示すように、環状のゴム部61と環状の樹脂部66とを有する。
ゴム部61は、電線51の外周面に密着する二条の内シール部65,65と電線挿通部26の内周面26aに密着する二条の外シール部63,63とを有している。
【0059】
樹脂部66は、電線51の外周面に当接する複数の当接部67と電線挿通部26における端子収容部21(22)側の内周面26aに設けられた狭窄部の内周面26bに当接する外環部68とを一体に有してゴム部61にインサート成形されている。なお、当接部67及び外環部68は、電線51の外周面及び狭窄部の内周面26bにそれぞれ当接することが必須ではなく、若干の隙間を有していてもよい。
当接部67は、樹脂部66の周方向に等間隔を有して4つ設けられており、内シール部65の高さよりも低い突出高さを有している。外環部68は、外シール部63の外径よりも小さい外径を有している。
【0060】
そして、
図10に示すように、電線挿通部26と電線51との間に挿着された防水部材60は、ゴム部61によって電線挿通部26と電線51との間を水密にシールすることができる。
更に、電線挿通部26の開口方向と直交する方向(
図10の左右方向)に対しては変位可能とされるバスバー31(41)の載置部32(42)に締結された接続端子55は、第2締結部材5の締結時や相手側コネクタとの嵌合時等に、電線挿通部26の開口方向と直交する方向に変位する可能性がある。
【0061】
そして、
図11に示すように、接続端子55が電線挿通部26の開口方向と直交する方向(
図11の左方向)に変位すると、端末に接続端子55が接続された電線51には、電線挿通部26の開口中心軸Yに対して左方向へ偏心する力が作用する。しかしながら、電線51が電線挿通部26の開口中心軸Yに対して左方向へ偏心すると、対向する当接部67が電線51の外周面に当接すると共に外環部68が狭窄部の内周面26bに当接する防水部材60の樹脂部66によって、電線挿通部26の開口中心軸Yに対する電線51の偏心が規制される。そこで、内シール部65及び外シール部63を有する防水部材60のゴム部61では、電線51の偏心(片寄り)による影響を受け難くすることができ、シール性能の低下を抑制できる。
【0062】
図12は、本発明の他の実施形態に係るシールドコネクタ1Aの斜視図である。シールドコネクタ1Aは、上記実施形態に係るシールドコネクタ1と同様の構成部材については同符号を付して詳細な説明を省略する。
シールドコネクタ1Aは、コネクタ嵌合部92を除いたハウジング20の前面側を覆う第3シールドシェルとしてのフロントシールドシェル97が設けられている。
【0063】
フロントシールドシェル97は、コネクタ嵌合部92を除いたインナーハウジング90の前面側を覆い電磁的にシールドするシールド部材である。フロントシールドシェル97は、導電性を有する金属材料によって形成される。
フロントシールドシェル97は、係止片98がインナーハウジング90に形成された係止部96に係止されると共に、2つの係止片99aが第3締結部材7に共締めされ、係止片99bが締結部材9に締結されることによって、インナーハウジング90の前面側に固定されている。
【0064】
本実施形態に係るシールドコネクタ1Aによれば、図示しない接続相手の金属製筐体にハウジング20の前面側が対向するように組み付けられない場合には、フロントシールドシェル97でハウジング20の前面側を覆うことで、シールドコネクタ1Aのシールド特性を確保することができる。すなわち換言すれば、接続相手の金属製筐体にハウジング20の前面側が対向するように組み付けられる上記シールドコネクタ1の場合には、フロントシールドシェル97でハウジング20の前面側を覆わずに、シールド特性を確保することができる。
【0065】
したがって、上記各実施形態に係るシールドコネクタ1,1Aによれば、取扱い性がよくて組み立て作業性を向上することができるシールドコネクタを提供できる。
【0066】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0067】
ここで、上述した本発明に係るシールドコネクタの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 相手側コネクタに嵌合するコネクタ嵌合部(92)が形成されたインナーハウジング(90)に覆われる前面開口部(28)と、前記前面開口部(28)と交差する方向に開口された筒状の電線挿通部(26)とを有するハウジング(20)と、
前記ハウジング(20)の端子収容部(21,22)に収容されて先端部が相手側端子と接続される端子(バスバー31,41)と、
一端が電線(51)の端末に接続された接続端子(55)と、
前記前面開口部(28)と反対側の前記ハウジング(20)の後面側を覆う第1シールドシェル(アッパーシールドシェル10)と、
前記電線挿通部(26)から導出した前記電線(51)を覆う編組(87)が接続される編組接続部(83)と、前記第1シールドシェル(アッパーシールドシェル10)に電気的に接続されるシェル固定部(82)とを有する第2シールドシェル(ロアシールドシェル81)と、
前記第1シールドシェル(アッパーシールドシェル10)に、前記ハウジング(20)を後面側から締結する第1締結部材(3)と、
前記ハウジング(20)の端子収容部(21,22)に配置された前記端子(バスバー31,41)の載置部(32,42)に、前記接続端子(55)の他端を締結する第2締結部材(5)と、
前記第1シールドシェル(アッパーシールドシェル10)に、前記第2シールドシェル(ロアシールドシェル81)のシェル固定部(82)を締結する第3締結部材(7)と、を備え、
前記第1締結部材(3)、前記第2締結部材(5)、及び前記第3締結部材(7)は、互いに平行な締結方向(D1,D2,D3)を有し、且つ前記ハウジング(20)の前面側から締結されることを特徴とするシールドコネクタ(1,1A)。
[2] 前記第1シールドシェル(アッパーシールドシェル10)と前記ハウジング(20)の後面との間には、前記第1シールドシェル(アッパーシールドシェル10)に対して前記ハウジング(20)を位置決めする位置決め機構(位置決め突起15及び位置決め穴23)が設けられることを特徴とする上記[1]に記載のシールドコネクタ(1,1A)。
[3] 前記接続端子(55)の他端と締結するために前記ハウジング(20)の端子収容部(21,22)に配置された前記端子(バスバー31,41)が、前記電線挿通部(26)の開口方向に対しては位置決めされると共に、前記電線挿通部(26)の開口方向と直交する方向に対しては変位可能とされることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のシールドコネクタ(1,1A)。
[4] 前記電線(51)に装着されて前記電線挿通部(26)と前記電線(51)との間を水密にシールする防水部材(60)は、
前記電線(51)の外周面に密着する内シール部(65)と前記電線挿通部(26)の内周面(26a)に密着する外シール部(63)とを有するゴム部(61)と、
前記電線(51)の外周面に当接する複数の当接部(67)と前記電線挿通部(26)における前記端子収容部(21,22)側の内周面(26a)に設けられた狭窄部の内周面(26b)に当接する外環部(68)とを一体に有して前記ゴム部(61)にインサート成形された樹脂部(66)と、を備えることを特徴とする上記[3]に記載のシールドコネクタ(1,1A)。
[5] 前記コネクタ嵌合部(92)を除いた前記ハウジング(20)の前面側を覆う第3シールドシェル(フロントシールドシェル97)が設けられることを特徴とする上記[1]~[4]の何れか一つに記載のシールドコネクタ(1A)。
【符号の説明】
【0068】
1…シールドコネクタ
3…第1締結部材
5…第2締結部材
7…第3締結部材
10…アッパーシールドシェル(第1シールドシェル)
20…ハウジング
21,22…端子収容部
26…電線挿通部
28…前面開口部
31,41…バスバー(端子)
51…電線
55…接続端子
81…ロアシールドシェル(第2シールドシェル)
82…シェル固定部
83…編組接続部
87…編組
92…コネクタ嵌合部
D1,D2,D3…締結方向