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特許73848812つ以上の分析物の検出および区別のための2つの流体流路を有する免疫アッセイ試験装置
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  • 特許-2つ以上の分析物の検出および区別のための2つの流体流路を有する免疫アッセイ試験装置 図1A
  • 特許-2つ以上の分析物の検出および区別のための2つの流体流路を有する免疫アッセイ試験装置 図1B
  • 特許-2つ以上の分析物の検出および区別のための2つの流体流路を有する免疫アッセイ試験装置 図2
  • 特許-2つ以上の分析物の検出および区別のための2つの流体流路を有する免疫アッセイ試験装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】2つ以上の分析物の検出および区別のための2つの流体流路を有する免疫アッセイ試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20231114BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20231114BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20231114BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20231114BHJP
   C07K 16/12 20060101ALN20231114BHJP
   C07K 16/10 20060101ALN20231114BHJP
【FI】
G01N33/543 521
G01N33/53 N ZNA
G01N33/569 F
G01N33/569 J
G01N33/569 L
C12M1/34 F
C07K16/12
C07K16/10
【請求項の数】 31
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021171847
(22)【出願日】2021-10-20
(62)【分割の表示】P 2018510965の分割
【原出願日】2016-08-25
(65)【公開番号】P2022023153
(43)【公開日】2022-02-07
【審査請求日】2021-10-22
(31)【優先権主張番号】62/210,880
(32)【優先日】2015-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/268,455
(32)【優先日】2015-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/271,101
(32)【優先日】2015-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516282776
【氏名又は名称】クイデル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リード,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】シン,アイリーン
(72)【発明者】
【氏名】ワイラー,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】マクルーア,ジェイソン
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-528067(JP,A)
【文献】国際公開第2014/168580(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0142023(US,A1)
【文献】特開2003-104999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
C12M 1/34
C07K 16/12
C07K 16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
一つのみの試料受容ゾーンおよび一つのみの参照ラインを備え、
前記試料受容ゾーンは、関心のある分析物を含む疑いのある対象からの液体試料を受容するように構成され、前記試料受容ゾーンは、第1の流体流路に沿って第1の標識ゾーンに、および前記第1の流体流路とは異なる第2の流体流路に沿って第2の標識ゾーンに、試料を分配するように配置され、前記第1および第2の標識ゾーンのそれぞれが、前記液体試料中に存在するIgM抗体に結合する第1の可動性で検出可能な種および前記液体試料中に存在するIgG抗体に結合する第2の可動性で検出可能な種を含み、
前記参照ラインは、前記第1の流体流路または前記第2の流体流路のいずれかに配置されるとともに、前記参照ラインの上流の前記装置上に置かれる検出可能部分に対する結合親和性を有する固定化種を含み、
前記装置は、前記第1の標識ゾーンの下流に配置される前記第1の流体流路中の第1の試験ラインを含み、前記第1の試験ラインは、前記第1の可動性で検出可能な種および前記関心のある分析物に特異的な前記IgM抗体から構成される結合物に特異的に結合することができる第1の固定化種を含み、
前記装置は、前記第2の標識ゾーンの下流に配置される前記第2の流体流路中の第2の試験ラインを含み、前記第2の試験ラインは、前記第2の可動性で検出可能な種および前記関心のある分析物に特異的な前記IgG抗体から構成される結合物に特異的に結合することができる第2の固定化種を含む、装置。
【請求項2】
前記第1の流体流路は、前記第2の流体流路に対して、平角(180°)、鈍角および鋭角から選択される角度をなす、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の可動性の種および前記第2の可動性の種が、前記関心のある分析物からの抗原を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の標識ゾーン中の前記可動性で検出可能な種が、非ヒト抗ヒトIgM抗体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の試験ライン中の前記固定化種が、B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)に対するヒトIgM抗体に対する結合親和性を有するB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)に対する複数の抗原を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の標識ゾーン中の前記可動性で検出可能な種が、非ヒト抗ヒトIgG抗体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の試験ライン中の前記固定化種が、B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)に対するヒトIgG抗体に対する結合親和性を有するB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)に対する複数の抗原を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記可動性で検出可能な種が光学的に検出可能な標識を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記光学的に検出可能な標識が、蛍光または化学発光マーカーである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記試料受容ゾーンが、前記第1の標識ゾーンと前記第2の標識ゾーンとの間に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
基板をさらに備え、
前記試料受容ゾーン、前記第1の流体流路、前記第2の流体流路、前記第1の標識ゾーン、前記第2の標識ゾーン、前記第1の試験ライン、前記第2の試験ライン及び前記参照ラインは、前記基板との直接接触のために前記基板上に置かれる、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記第1および第2の試験ラインが、機器による検査のための単一の光学的な窓(optical window)内にある、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記試料受容ゾーンが、基本的に等量または基本的に等速度で前記第1の標識ゾーンおよび前記第2の標識ゾーンに試料を分配する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
装置であって、
一つのみの試料受容ゾーンおよび一つのみの参照ラインを備え、
前記試料受容ゾーンは、関心のある分析物を含む疑いのある対象からの液体試料を受容するように構成され、前記試料受容ゾーンは、第1の流体流路に沿って第1の標識ゾーンに、および前記第1の流体流路とは異なる第2の流体流路に沿って第2の標識ゾーンに、試料を分配するように配置され、前記第1および第2の標識ゾーンのそれぞれが、前記液体試料中に存在するIgA抗体に結合する第1の可動性で検出可能な種および前記液体試料中に存在するIgG抗体に結合する第2の可動性で検出可能な種を含み、
前記参照ラインは、前記第1の流体流路または前記第2の流体流路のいずれかに配置されるとともに、前記参照ラインの上流の前記装置上に置かれる検出可能部分に対する結合親和性を有する固定化種を含み、
前記装置は、前記第1の標識ゾーンの下流に配置される前記第1の流体流路中の第1の試験ラインを含み、前記第1の試験ラインは、前記第1の可動性で検出可能な種および前記関心のある分析物に特異的な前記IgA抗体から構成される結合物に特異的に結合することができる第1の固定化種を含み、前記第1の固定化種は前記関心のある分析物からの抗原を含み、
前記装置は、前記第2の標識ゾーンの下流に配置される前記第2の流体流路中の第2の試験ラインを含み、前記第2の試験ラインは、前記第2の可動性で検出可能な種および前記関心のある分析物に特異的な前記IgG抗体から構成される結合物に特異的に結合することができる第2の固定化種を含み、前記第2の固定化種は前記関心のある分析物からの抗原を含む、装置。
【請求項15】
前記第1の標識ゾーン中の前記可動性で検出可能な種が、非ヒト、抗ヒトIgA抗体を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第2の標識ゾーン中の前記可動性で検出可能な種が、非ヒト、抗ヒトIgG抗体を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
感染病原体を示す2つ以上の分析物の検出および鑑別のための装置であって、
一つのみの試料受容ゾーンおよび一つのみの参照ラインを備え、
前記試料受容ゾーンは、感染病原体を示す2つ以上の分析物を含む疑いのある対象からの液体試料を受容するように構成され、前記試料受容ゾーンは、第1の流体流路に沿って第1の標識ゾーンに、および前記第1の流体流路とは異なる第2の流体流路に沿って第2の標識ゾーンに、試料を分配するように配置され、前記第1の標識ゾーンが、前記液体試料中に存在する前記感染病原体を示す第1の分析物に結合する第1の可動性で検出可能な種を含み、前記第2の標識ゾーンが、前記液体試料中に存在する前記感染病原体を示す第2の分析物に結合する第2の可動性で検出可能な種を含み、
前記参照ラインは、前記第1の流体流路または前記第2の流体流路のいずれかに配置されるとともに、前記参照ラインの上流の前記装置上に置かれる検出可能部分に対する結合親和性を有する固定化種を含み、
前記装置は、前記第1の標識ゾーンの下流に配置される前記第1の流体流路中の第1の試験ラインを含み、前記第1の試験ラインは、前記第1の可動性で検出可能な種および前記感染病原体を示す前記第1の分析物から構成される結合物に特異的に結合することができる第1の固定化種を含み、
前記装置は、前記第2の標識ゾーンの下流に配置される前記第2の流体流路中の第2の試験ラインを含み、前記第2の試験ラインは、前記第2の可動性で検出可能な種および前記感染病原体を示す前記第2の分析物から構成される結合物に特異的に結合することができる第2の固定化種を含む、装置。
【請求項18】
前記第1の分析物が示す前記感染病原体が、単純ヘルペスウイルス-1であり、
前記第2の分析物が示す前記感染病原体が、単純ヘルペスウイルス-2である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の可動性で検出可能な種および前記第2の可動性で検出可能な種が、可動性で検出可能な抗ヒトIgG抗体を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の試験ラインが、単純ヘルペスウイルス-1に対するヒトIgGに結合親和性を有する固定化抗原を含み、
前記第2の試験ラインが、単純ヘルペスウイルス-2に対するヒトIgGに結合親和性を有する固定化抗原を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記第1の分析物が示す前記感染病原体が、インフルエンザAであり、
前記第2の分析物が示す前記感染病原体が、インフルエンザBである、請求項17に記載の装置。
【請求項22】
前記第1の可動性で検出可能な種が、可動性で検出可能な抗インフルエンザA抗体を含み、
前記第2の可動性で検出可能な種が、可動性で検出可能な抗インフルエンザB抗体を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記第1の試験ラインが、固定化抗インフルエンザA抗体を含み、
前記第2の試験ラインが、固定化抗インフルエンザB抗体を含む、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記第1の分析物が示す前記感染病原体が、インフルエンザAまたはインフルエンザBのいずれかであり、
前記第2の分析物が示す前記感染病原体が、呼吸器多核体ウイルスである、請求項17に記載の装置。
【請求項25】
前記第1の可動性で検出可能な種が、可動性で検出可能な抗インフルエンザA/B抗体を含み、
前記第2の可動性で検出可能な種が、可動性で検出可能な抗RSV抗体を含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記第1の試験ラインが、固定化抗インフルエンザA/B抗体を含み、
前記第2の試験ラインが、固定化抗RSV抗体を含む、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)(B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi))による感染をステージ分類するための方法であって、
請求項1に記載の装置上にB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)に曝露された疑いがあるかまたはそのリスクがある者からの液体試料を置くことと、
前記可動性で検出可能な種の有無について前記第1の試験ラインおよび前記第2の試験ラインを調べることと、
を含む、方法。
【請求項28】
前記液体試料が、血液、脳脊髄液または尿である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記参照ラインは、前記第1の試験ラインの下流または前記第2の試験ラインの下流にある、請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記参照ラインは、前記第1の試験ラインの下流または前記第2の試験ラインの下流にある、請求項14に記載の装置。
【請求項31】
前記参照ラインは、前記第1の試験ラインの下流または前記第2の試験ラインの下流にある、請求項17に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本願は、それぞれがその全体において参照により本明細書中に組み込まれる、2015年8月27日提出の米国仮特許出願第62/210,880号明細書および2015年12月16日提出の米国仮特許出願第62/268,455号明細書および2015年12月22日提出の米国仮特許出願第62/271,101号明細書の優先権を主張する。
【0002】
配列リスト、表またはコンピュータプログラムに対する参照
[0002] 配列リストは、2016年8月24日作成で「04189609438116WO00SeqList.txt」(9,252バイト)の題名でテキストファイルの形式でEFSを介して電子出願しており、その内容はそれらの全体において参照により本明細書中に組み込まれる。
【0003】
[0003] 本明細書中に記載の主題は、流動性試料中の関心のある2つの種を検出し、識別するために2つの個別の流体流路を有するラテラルフロー免疫アッセイに関する。
【背景技術】
【0004】
[0004] 高速ラテラルフロー免疫アッセイ試験装置は、臨床および家庭用の両方で長年の使用歴がある。これらの装置は、様々な分析物、例えばホルモン、タンパク質、尿または血漿成分などについて試験するために使用される。これらの装置は一般に、ラテラルフロー試験ストリップ、例えばニトロセルロースまたはろ紙など、試料適用区域、試験結果区域および、ある種の検出可能な標識、例えば有色粒子、蛍光もしくは発光タグまたは酵素検出系などに結合される分析物特異的な結合試薬を含む。このような装置の単純性は、市場でのそれらの使用を維持する要素であり、単一試料中の複数の分析物の検出および区別のためのさらなる試験が所望される。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 以下で記載され、例示される次の態様およびその実施形態は、代表的で例示的なものであり、範囲を限定するものではないものとする。
【0006】
[0006] 一態様において、感染病原体による感染の有無を判定するための装置が提供される。本装置は、感染病原体による感染があることが疑われる対象からの液体試料を受容するように構成される試料受容ゾーンであって、第1の流体流路に沿って第1の標識ゾーンに、および第2の流体流路に沿って第2の標識ゾーンに、試料を分配するように配置される試料受容ゾーンを含む。各第1および第2の標識ゾーンは、第1の可動性で検出可能な種および第2の可動性で検出可能な種をそれぞれ含み、各可動性で検出可能な種は、感染病原体に、または感染病原体に対する抗体に結合可能である。本装置はまた、第1の標識ゾーンの下流に配置される第1の流体流路中の第1の試験ラインも含み、この第1の試験ラインは、第1の可動性で検出可能な種に対する結合親和性を有する固定化種を含む。本装置はまた、第2の標識ゾーンの下流に配置される第2の流体流路中の第2の試験ラインも含み、この第2の試験ラインは、第2の可動性で検出可能な種に対する結合親和性を有する固定化種を含む。本装置はまた、第1の流体流路に配置される参照ラインであって、参照ラインの上流の装置上に置かれる検出可能部分に対する結合親和性を有する固定化種を含む参照ラインも含む。
【0007】
[0007] 一実施形態において、第1の流体流路および第2の流体流路は、平角(180°)、鈍角および鋭角から選択される角度をなす。
【0008】
[0008] 別の実施形態において、第1の流体流路中の参照ラインは、第1の試験ラインの下流にある。
【0009】
[0009] さらに別の実施形態において、本装置は、第2の流体流路中にさらなる参照ラインをさらに含む。さらに別の実施形態において、さらなる参照ラインは、第2の試験ラインの下流にある。
【0010】
[0010] 本装置は、他の実施形態において、第1の試験ラインが、液体試料中に存在する感染病原体に対する抗体に直接結合し、第1の標識ゾーン中の可動性で検出可能な種および試料中の感染病原体に対する抗体から構成される結合物に特異的に結合する第1の固定化種を含むように設計される。
【0011】
[0011] 他の実施形態において、第2の試験ラインは、液体試料中に存在する感染病原体に対する抗体に直接結合し、第2の標識ゾーン中の可動性で検出可能な種および試料中の感染病原体に対する抗体から構成される結合物に特異的に結合する第2の固定化種を含む。
【0012】
[0012] いくつかの実施形態において、第1および第2の固定化種は同じである。
【0013】
[0013] 一実施形態において、第1の標識ゾーン中の可動性で検出可能な種は、抗IgM抗体である。別の実施形態において、抗IgM抗体は非ヒト抗ヒトIgM抗体である。
【0014】
[0014] 別の実施形態において、第1の試験ライン中の固定化種は、B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)に対するヒトIgM抗体に対する結合親和性を有するB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)に対する複数の抗原を含む。
【0015】
[0015] さらに別の実施形態において、第2の標識ゾーン中の可動性で検出可能な種は、抗IgG抗体である。別の実施形態において、抗IgG抗体は非ヒト抗ヒトIgG抗体である。
【0016】
[0016] さらに別の実施形態において、第1の試験ライン中の固定化種は、B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)に対するヒトIgG抗体に対する結合親和性を有するB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)に対する複数の抗原を含む。
【0017】
[0017] 一実施形態において、可動性で検出可能な種は、光学的に検出可能な標識を含む。例としては、蛍光もしくは化学発光マーカーまたは検出可能な粒子、例えばユウロピウムビーズなどが挙げられるが限定されない。
【0018】
[0018] 一実施形態において、試料受容ゾーンは、第1の標識ゾーンと第2の標識ゾーンとの間に配置される。
【0019】
[0019] 別の実施形態において、基板は、第1の標識ゾーンおよび第2の標識ゾーンに共通である単一の試料受容ゾーンを含む。
【0020】
[0020] 一実施形態において、第1および第2の試験ラインは、機器による検査のための光学検出装置の単一光学経路内にある。単一光学経路は、一実施形態において、第1および第2の試験ラインと交差する1つの軸に沿った経路である。
【0021】
[0021] 別の実施形態において、試料受容ゾーンは、基本的に等量で基本的に等速度で試料を第1の標識ゾーンおよび第2の標識ゾーンに分配する。
【0022】
[0022] 別の態様において、感染病原体による感染の存在を判定するための装置が提供される。本装置は、(i)感染病原体による感染があることが疑われる対象からの液体試料を受容するように構成される試料受容ゾーンであって、第1の流体流路に沿って第1の標識ゾーンに、および第2の流体流路に沿って第2の標識ゾーンに、試料を分配するように配置され、その第1および第2の標識ゾーンのそれぞれが、第1の可動性で検出可能な種および第2の可動性で検出可能な種をそれぞれ含み、各可動性で検出可能な種が感染病原体に対する個別の異なる抗体に結合可能である、試料受容ゾーンと;(ii)第1の可動性で検出可能な種に対する結合親和性を有する固定化種を含む、第1の標識ゾーンの下流に配置される第1の流体流路中の第1の試験ラインと;(iii)第2の可動性で検出可能な種に対する結合親和性を有する固定化種を含む、第2の標識ゾーンの下流に配置される第2の流体流路中の第2の試験ラインと;(iv)第1の流体流路に配置される参照ラインであって、参照ラインの上流の装置上に置かれる検出可能部分に対する結合親和性を有する固定化種を含む参照ラインと、を含む。
【0023】
[0023] 一実施形態において、第1の可動性で検出可能な種は、非ヒト、抗ヒトIgM抗体またはライム病抗原である。別の実施形態において、第2の可動性で検出可能な種は、非ヒト、抗ヒトIgG抗体またはライム病抗原である。
【0024】
[0024] 別の実施形態において、第1の可動性で検出可能な種に対する結合親和性を有する第1の試験ライン上の固定化種は、非ヒト、抗ヒトIgM抗体またはライム病抗原である。
【0025】
[0025] さらに別の実施形態において、第2の可動性で検出可能な種に対する結合親和性を有する第2の試験ライン上の固定化種は、非ヒト、抗ヒトIgG抗体またはライム病抗原である。
【0026】
[0026] さらに別の実施形態において、参照ラインは、第1の試験ラインの下流に配置される。
【0027】
[0027] 他の実施形態において、参照ラインは、非ヒト、抗ヒトIgG抗体または非ヒト、抗ヒトIgM抗体に対する結合親和性を有する固定化種を含む。
【0028】
[0028] 一実施形態において、参照ラインは、液体試料中に存在しない物質に対する結合親和性を有する固定化種を含む。
【0029】
[0029] 別の実施形態において、感染病原体に対する2つ以上の個別の異なる抗体は、液体試料中に存在し、第1の試験ラインおよび第2の試験ラインのそれぞれの上の固定化種に結合可能であり、第1の標識ライン上または第2の標識ライン上の可動性で検出可能な種のうち1つに結合可能である。
【0030】
[0030] 別の実施形態において、感染病原体に対する個別の異なる抗体は、液体試料中に存在し、第1の結合物を形成させるために第1の標識ライン上で、および第2の結合物を形成させるために第2の標識ライン上で、可動性で検出可能な種に結合可能であり、第1の試験ライン上の固定化種は、第1の結合物に対する結合親和性を有し、第2の試験ライン上の固定化種は、第2の結合物に対する結合親和性を有する。
【0031】
[0031] 一実施形態において、第1の試験ライン上の固定化種は、非ヒト、抗ヒトIgM抗体である。別の実施形態において、第1の試験ライン上の固定化種は、非ヒト、抗ヒトIgG抗体である。
【0032】
[0032] 別の態様において、病原性ボレリア(Borrelia)種、例えばボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)(B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi))による感染をステージ分類するための方法が提供される。本方法は、本明細書中に記載のような装置上で、病原性ボレリア(Borrelia)種に曝露された疑いがあるかまたはそのリスクがある者からの流動性試料を置き;可動性で検出可能な種の有無について(機器を使用して)第1の試験ラインおよび第2の試験ラインを調べることを含む。
【0033】
[0033] 一実施形態において、流動性試料は、血液、脳脊髄液または尿である。
【0034】
[0034] 別の実施形態において、流動性試料は血液であり、50μL未満の量で置かれる。
【0035】
[0035] 他の実施形態において、調べることは、流動性試料を置いた後約10分以内に行われる。
【0036】
[0036] さらに他の実施形態において、置くことおよび調べることは、曝露2週間以内の曝露対象の70%超でB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)曝露に対するIgM抗体反応を検出するための感度を提供する。別の実施形態において、置くことおよび調べることは、曝露2週間以内の曝露対象の70%超でB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)曝露に対するIgG抗体反応を検出するための感度を提供する。
【0037】
[0037] 上記の代表的な態様および実施形態に加えて、続く記載の図面を参照することおよび続く記載を検討することによってさらなる態様および実施形態が明らかになろう。
【0038】
[0038] 本方法および組成物などのさらなる実施形態が続く記載、図面、実施例および特許請求の範囲から明らかになろう。前述および続く記載から明らかになり得るように、本明細書中に記載のありとあらゆる特性、ならびにこのような特性の2つ以上のありとあらゆる組み合わせが本開示の範囲内に含まれるが、ただし、このような組み合わせに含まれる特性は互いに食い違うものではないものとする。さらに、あらゆる特性または特性の組み合わせが本発明のあらゆる実施形態から具体的に排除され得る。次の記載および特許請求の範囲で、特に添付の実施例および図面と組み合わせて考えるとき、本発明のさらなる態様および長所が示される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1A】[0039]第1および第2の流体流路を有する試験装置の2つの実施形態の上面図である。
図1B】第1および第2の流体流路を有する試験装置の2つの実施形態の上面図である。
図2】[0040]試験ラインおよび光学参照ラインを調べるための、両側流体流路および光学的な窓(optical window)の位置を有する試験装置の上面図を示す。
図3】[0041]試料中の2つの分析物の識別のための双方向流体流路を有する試験装置の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
配列の簡単な説明
[0042] 配列番号1は、ボレリア(Borrelia)の病原性株からのエピトープに対する結合親和性を有するペプチド抗原:MKKNDQIVAAIALRGVAである。
【0041】
[0043] 配列番号2は、ボレリア(Borrelia)の病原性株からのエピトープに対する結合親和性を有するペプチド抗原:CMKKDDQIAAAMVLRGMAKDGQFALKである。
【0042】
[0044] 配列番号3は、ボレリア(Borrelia)の病原性株からのエピトープに対する結合親和性を有するペプチド抗原:MKKNDQIGAAIALRGVAである。
【0043】
[0045] 配列番号4は、ボレリア(Borrelia)の病原性株からのエピトープに対する結合親和性を有するペプチド抗原:MKKDDQIAAAIALRGMAである。
【0044】
[0046] 配列番号5は、ボレリア(Borrelia)の病原性株からのエピトープに対する結合親和性を有するペプチド抗原:MKKDDQIAAAMVLRGMAKDGQFALKDである。
【0045】
[0047] 配列番号6は、ボレリア(Borrelia)の病原性株からのエピトープに対する結合親和性を有するペプチド抗原:MKKDDQIAAAIALRGMAKDGKFAVKDである。
【0046】
[0048] 配列番号7は、ボレリア(Borrelia)の病原性株からのエピトープに対する結合親和性を有するペプチド抗原:VQEGVQQEGAQQPである。
【0047】
[0049] 配列番号8は、ボレリア(Borrelia)の病原性株からのエピトープに対する結合親和性を有するペプチド抗原:PVVAESPKKPである。
【0048】
[0050] 配列番号9は、ボレリア(Borrelia)の病原性株からのエピトープに対する結合親和性を有するペプチド抗原:CPVVAESPKKPである。
【0049】
[0051] 配列番号10は、ボレリア(Borrelia)の病原性株からのエピトープに対する結合親和性を有するペプチド抗原:LCPVVAESPKKPである。
【0050】
[0052] 配列番号11は、ボレリア(Borrelia)の病原性株からのエピトープに対する結合親和性を有するペプチド抗原:YGQNWTNPENMVTSGPFKLKERIPNEKIVFEKNNKである。
【0051】
[0053] 配列番号12は、ボレリア(Borrelia)の病原性株からのエピトープに対する結合親和性を有するペプチド抗原:MTLFLFISCNNSGKDGNTSAである。
【0052】
[0054] 配列番号13は、ボレリア(Borrelia)の病原性株からのエピトープに対する結合親和性を有するペプチド抗原:KMTLFLFISCNNSGKDGNTSAである。
【0053】
[0055] 配列番号14は、ボレリア(Borrelia)の病原性株からのエピトープに対する結合親和性を有するペプチド抗原:TILVNLLISCGLTGAである。
【0054】
[0056] 配列番号15は、ボレリア(Borrelia)の病原性株からのエピトープに対する結合親和性を有するペプチド抗原:KDLKNKILKIKKEATGKGVLFEAFTGLKTGである。
【0055】
[0057] 配列番号16は、ボレリア(Borrelia)の病原性株からのエピトープに対する結合親和性を有する融合ペプチド抗原:VQEGVQQEGAQQPGGGMTLFLFISCNNSGKDGNTSAGGGMKKNDQIVAAIALRGVAである。
【0056】
[0058] 配列番号17は、ボレリア(Borrelia)の病原性株からのエピトープに対する結合親和性を有する融合ペプチド抗原:VQEGVQQEGAQQPGGGMKKNDQIVAAIALRGVAである。
【0057】
[0059] 配列番号18は、ボレリア(Borrelia)の病原性株からのエピトープに対する結合親和性を有する融合ペプチド抗原:VQEGVQQEGAQQPGGGMKKDDQIAAAMVLRGMAKDGQFALKDである。
【0058】
[0060] 配列番号19は、合成リンカーペプチド:GGGGである。
【0059】
[0061] 配列番号20は、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)の細胞表層タンパク質Cのアミノ酸配列(GenBank Acc.No.WP_012686633.1)である。
【0060】
[0062] 配列番号21は、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)のデコリン-結合タンパク質Aのアミノ酸配列(GenBank Acc.No.WP_010890380.1)である。
【0061】
I.定義
[0063] ここで、本明細書中で以後、様々な態様をより詳細に記載する。しかし、このような態様は多くの異なる形態で具体化され得、本明細書中で示される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく;むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底したものであり、完全であり、当業者にその範囲を十分に伝えるように提供される。
【0062】
[0064] 値の範囲が与えられる場合、その範囲の上限と下限との間の途中の各値および何らかの他の述べられる値またはその述べられる範囲中の途中の値は、本開示内に包含されるものとする。例えば1μm~8μmの範囲である場合、2μm、3μm、4μm、5μm、6μmおよび7μm、ならびに1μmより大きいかまたはこれと等しい値の範囲および8μmより小さいかまたはこれと等しい値の範囲も明らかに開示されるものとする。
【0063】
[0065] 単数形「a」、「an」および「the」は、内容から別段明らかに示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば「ポリマー」に対する言及は、単数ポリマーならびに2つ以上の同じまたは異なるポリマーを含み、「賦形剤」に対する言及は、単数の賦形剤ならびに2つ以上の同じまたは異なる賦形剤などを含む。
【0064】
[0066] 「試料」は、関心のある分析物の存在または量について試験しようとするあらゆる物質である。好ましくは、試料は流動性試料、好ましくは液体試料である。試験装置を使用して試験し得る液体試料の例としては、血液、血清、血漿、唾液、尿、眼液、精液、痰、鼻汁および髄液を含む体液が挙げられる。
【0065】
[0067] 「試験ストリップ」は、1つ以上の吸湿性または非吸湿性材料を含み得る。試験ストリップが複数の材料を含む場合、1つ以上の材料は、好ましくは流体連結部中にある。試験ストリップの1つの材料が試験ストリップの別の材料に重ねられ得、例えば、ろ紙がニトロセルロース上に重ねられ得る。あるいはまたはさらに、試験ストリップは、1つ以上の異なる材料を含む領域が続く1つ以上の材料を含む領域を含み得る。この場合、この領域は、流体連結部中にあり、互いに部分的に重なっていてもよいし、または重なっていなくてもよい。試験ストリップに対する適切な材料としては、セルロース由来の材料、例えばろ紙、クロマトグラフィーペーパー、ニトロセルロースおよび酢酸セルロースなど、ならびにグラスファイバー、ナイロン、ダクロン、PVC、ポリアクリルアミド、架橋デキストラン、アガロース、ポリアクリレート、セラミック材料製などの材料が挙げられるが限定されない。試験ストリップの材料(materialまたはmaterials)は、場合によっては、それらの毛細管流動の特徴または適用される試料の特徴を改変するために処理され得る。例えば、試験ストリップの試料適用領域は、適用される尿試料のpHまたは比重を補正するために緩衝液で処理して、最適試験条件を確保し得る。
【0066】
II.装置
[0068] 第1の態様において、感染病原体による感染の存在を判定するための装置が提供される。本装置の様々な実施形態は、ある一定の図面を参照して記載する。
【0067】
[0069] 装置の第1の実施形態は図1Aで示される。試験ストリップ10は、液体試料を受容するように構成される試料受容ゾーン12を含む。一般的には、試料は、感染病原体による感染があることが疑われる対象由来であり、患者試料および感染病原体のタイプの例は以下に記載する。試料受容ゾーン12は、図1Aで矢印14により示される第1の流体流路に沿って第1の標識ゾーン16に、および、図1Aの矢印18により示される第2の流体流路に沿って第2の標識ゾーン20に、試料を分注するように配置される。第1および第2の標識ゾーンのそれぞれは、第1の可動性で検出可能な種および第2の可動性で検出可能な種をそれぞれ含み、各可動性で検出可能な種は、記載されるように、感染病原体または感染病原体に対する抗体に結合可能である。
【0068】
[0070] 図1Aで示されるような第1の流体流路および第2の流体流路は180°の平角である。他の実施形態において、第1の流体流路および第2の流体流路は互いに鈍角であるかまたは互いに鋭角であり得る。
【0069】
[0071] 試験ストリップ10はまた、第1の流体流路中に第1の試験ライン22も含み、これは第1の標識ゾーン(16)の下流に配置される。第1の試験ラインは、第1の可動性で検出可能な種に対する結合親和性を有する固定化種を含む。結合親和性は、抗体に対する抗原の直接的結合または一次抗体および抗原から形成される結合物に対する二次抗体の間接的結合(二次抗体および一次抗体は結合親和性を有する。)など、2つの種間の間接的結合または直接的結合を意図する。例えば、一実施形態において、患者試料中の抗体は、感染病原体による感染の存在の指標であり、患者試料中の抗体は、患者試料中の抗体または疑われる感染の感染病原体指標の、またはそれからの抗原に対する結合親和性を有する非ヒト抗体から構成される可動性で検出可能な種に結合する。
【0070】
[0072] 試験ストリップ10はまた、第2の流体流路(18)中の第2の試験ライン24も含み、第2の標識ゾーン(20)の下流に配置される。第2の試験ラインは、第2の標識ゾーン中に存在する第2の可動性で検出可能な種に対する結合親和性を有する固定化種を含む。結合親和性は、先行する段落で記載のように2つの種間の間接的結合または直接的結合を意図する。
【0071】
[0073] 試験ストリップ10はまた、第1の流体流路(14)に配置される参照ライン26も含み、この参照ラインは、参照ラインの上流の装置上に置かれるかまたはそこで形成される検出可能部分に対する結合親和性を有する固定化種を含む。一実施形態において、参照ライン26は、第1の試験ライン22の下流にある。場合によっては、図1Bで示されるように、図1Aにおけるものと同様の要素が同様の数的識別子により示される場合、試験ストリップは、第2の流体流路(18)中で第2のまたはさらなる参照ライン28を含む。一実施形態において、さらなる参照ラインは第2の試験ライン24の下流にある。
【0072】
[0074] 上述のように、一実施形態において、第1の試験ラインは、患者試料中に存在する抗体に直接結合する固定化種を含み、この抗体は、関心があり、患者における感染の原因であることが疑われる感染病原体に対する患者の免疫系により産生される。別の実施形態において、第1の試験ラインは、試験装置上で形成される結合物に結合する固定化種を含み、この結合物は、(i)第1の標識ゾーン中の可動性で検出可能な種および(ii)関心があり、患者における感染の原因であることが疑われる感染病原体に対して患者の免疫系により産生される、患者試料中に存在する抗体から構成される。
【0073】
[0075] 様々な実施形態において、第2の試験ラインは、感染病原体に対する抗体に直接結合する固定化種を含み、この抗体は、関心があり、患者における感染の原因であることが疑われる感染病原体に対して患者の免疫系により産生される。別の実施形態において、第2の試験ラインは、試験装置上で形成される結合物に結合する固定化種を含み、この結合物は、(i)第2の標識ゾーン中の可動性で検出可能な種および(ii)関心があり、患者における感染の原因であることが疑われる感染病原体に対して患者の免疫系により産生される、患者試料中に存在する抗体から構成される。
【0074】
[0076] 図1A-1Bへの参照を継続して、例示的な試験ストリップをここで記載する。この代表的な試験ストリップにおいて、対象がライム病のリスクを有するかまたはライム病であるか否かを判定することが所望され、または、あるいは、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ボレリア・アフゼリイ(Borrelia afzelii)、ボレリア・ガリニイ(Borrelia garinii)、ボレリア・ジャポニカ(Borellia japonica)などであるが限定されない種によるボレリア(Borrelia)種感染が感染の初期であるかまたは後期であるかを判定することが所望される。これらの要求を達成するために、単一の個々の試料受容ゾーンを含む試験ストリップが提供され、患者の試料が試料受容ゾーン上またはその中に置かれる。試料受容ゾーンは試験ストリップ上の2つの流体流路に共通であり、第1の流体流路は、置かれる試料の一部を第1の方向に運び、第2の流体流路は、置かれる試料の第2の部分を第2の方向に運ぶ。一実施形態において、2つの流体流路および流体のそれらの方向は互いに180°をなし、経路が共通の軸に沿うようになる。この2つの各流体流路は、可動性で検出可能な種を含む標識ゾーンを含む。ボレリア属(Borrelia genus)中の種による感染をステージ分類するかまたは検出するための代表的な試験ストリップにおける可動性で検出可能な種は、第1の実施形態において、検出可能な標識を有するかまたはこれに連結される非ヒト、抗ヒト抗体である。非ヒト、抗ヒト抗体は、いくつかの実施形態において、蛍光、化学発光または他の光学的に検出可能なタグ、例えばビーズまたは化学的部分など、検出可能な標識を有する、非ヒト、抗ヒトIgG抗体である。非ヒト、抗ヒト抗体は、いくつかの実施形態において、蛍光、化学発光または他の光学的に検出可能なタグ、例えばビーズまたは化学的部分など、検出可能な標識を有する、非ヒト、抗ヒトIgM抗体である。一実施形態において、光学的に検出可能な、とは、機器によって光学的に検出可能であることを意図し、ヒトの裸眼により視覚的に検出可能ではない。
【0075】
[0077] この代表的な試験ストリップにおいて、検出可能な非ヒト、抗ヒトIgM抗体は第1の標識ライン上に置かれ、検出可能な非ヒト、抗ヒトIgG抗体は第2の標識ライン上に置かれる。より具体的には、検出可能なヤギ抗ヒトIgM抗体は第1の標識ライン上に置かれ、検出可能なヤギ抗ヒトIgG抗体は第2の標識ライン上に置かれる。非ヒト、抗ヒトIgGおよびIgM抗体は、ヤギ、抗ヒト抗体として例示されるが、抗体の非ヒト部分は、マウス、ウサギ、ラット、ヒツジなどを含むが限定されない何らかの哺乳動物であり得る。
【0076】
[0078] ライム病を検出するかまたはステージ分類するために代表的な試験ストリップの第1の試験ライン上に置かれるのは、ボレリア属(Borrelia genus)の種に対する抗原である。例えば、B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)によるライム感染を検出するかまたはステージ分類するために、B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)からの1つ以上のペプチド抗原を試験ストリップ上の各流体経路の試験ライン上に置く。一例において、B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)のOspC、C6、C10、FlaBまたはBBK07領域に対する結合親和性を有するペプチド抗原を試験ラインへの固定化方式で置く。別の実施形態において、B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)に対するかまたはB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)に対する抗体に対する結合親和性を有する組み換えタンパク質が試験ライン上に置かれる。例えば、B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)の細胞表層タンパク質C(OspC)(GenBank Acc.No.WP_012686633.1;配列番号20)、B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)のデコリン-結合タンパク質A(DbpA)(GenBank Acc.No.WP_010890380.1;配列番号21)に対する組み換えタンパク質または、配列番号12および配列番号14により例示されるような、そのタンパク質からの12~60、12~50、12~40、10~40もしくは10~25連続アミノ酸残基間を有するこれらのタンパク質の断片が企図される。ペプチド抗原の他の例は、例えば、それぞれが本明細書中で参照により組み込まれる、米国特許第8,338,556号明細書;同第6,716,574号明細書;同第6,719,983号明細書;同第8,071,109号明細書;同第8,354,240号明細書;同第6,475,492号明細書;同第6,660,274号明細書;同第7,887,815号明細書、同第5,643,733号明細書および米国特許出願公開第2015/0017666号明細書など、当技術分野で公知である。
【0077】
[0079] 一実施形態において、試験ラインの片方または両方に置かれるペプチド抗原は、B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)のC6領域に結合し、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5または配列番号6として示される代表的な配列から選択される配列を有する。他の実施形態において、試験ラインの片方または両方に置かれるペプチド抗原は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5または配列番号6(またはそれに対して80%、85%、86%、87%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するペプチド)を含み、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用で試験ラインに連結される。一実施形態において、第1の試験ライン上および第2の試験ライン上に置かれるペプチド抗原または複数のペプチド抗原は同じである。一実施形態において、試験ラインの片方または両方に置かれるペプチド抗原は、本明細書中で開示されるペプチドまたはタンパク質配列の1つに対して、80%、85%、86%、87%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する。
【0078】
[0080] 本明細書中に記載の試験ストリップは、試験ストリップを入れる収容部分と組み合わせて使用し得る。収容部分は、1つ以上の開口部、試料リザーバ上に位置する開口部および試験ラインおよび参照ラインを有する。収容部分のための材料は、試験ストリップそれ自身に対する材料であるものとして、当業者にとって公知である。図2は、収容部分における光学的な窓(optical window)は試験ライン(22、24)および参照ライン(26、28)上に置かれる試験装置の上面図を示す。光学的な窓(optical window)30および光学的な窓(optical window)32は、使用者または試験および参照ラインの照合のための機器中の光学的リーダーにとって可視的な隙間を規定する。
【0079】
[0081] 図3は、試料中の2つの分析物の識別のための双方向流体流路を有する試験装置の透視図である。この実施形態において、試験装置は、試験ライン42、44および対照ライン46、48など、試験および対照ラインが置かれるベースニトロセルロース層40を有する。試料パッド50は、標識パッド52、54などの標識パッドを介した試験および対照ラインそれぞれへの試料の分注のために中央に配置される。標識パッドは、可動性種を受容するのに適切な材料製であり、ニトロセルロース層および試料パッドと重複するように置かれ、連続的な流体連結部をもたらす。
【0080】
III.使用方法
[0082] 何らかの病原性または感染病原体の検出における使用のために、本明細書中に記載の装置が企図されるが、ここでいくつかの例を記載する。
A.ライム病の検出
【0081】
[0083] ライム病は、病原体、病原性ボレリア(Borrelia)菌(スピロヘータ)を保有するマダニ属(Ixodes)のダニの様々な種の咬傷により伝染する。ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)の広義のグループの生物は、スピロヘータ科(Spirochaetaceae)、ボレリア属(Borrelia)に属する。B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)複合種には少なくとも11種があり、未知であるが多数の亜系がある。ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)の広義のグループの少なくとも3種類の遺伝種:B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)、厳密に言えば、B.アフゼリイ(B.afzelli)およびB.ガリニイ(B.garinii)が病原性と同定されている。遊走性紅斑がない場合の診断に対する最新の基礎は、病原性ボレリア(Borrelia)に対する抗体反応の証明である。本明細書中に記載の試験ストリップは、例えば感染後初期でのライム病検出のための高感度で特異的な診断方法を提供し、初期または後期として感染のステージを分類するための手段を提供する。
【0082】
[0084] 一実施形態において、各流体流路の第1および第2の試験ライン上に固定化された、または各流体流路の第1および第2の標識ライン上の可動性の、複数のペプチド付きの試験ストリップが提供される。複数のペプチドは、試験ラインおよび/または標識ラインのそれぞれにおいて同じであってもよいし、または異なってもよい。一実施形態において、複数のペプチドは、ボレリア(Borellia)種、例えば広義のB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)からの、3つ以上または4つ以上または5つ以上または6つ以上または7つ以上または8つ以上の異なるペプチド配列を含む。別の実施形態において、複数のペプチドは、病原性ボレリア(Borellia)種、例えば広義のB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)に対する抗体に特異的に結合する、2を超えるが10以下、または2を超えるが9以下、または2を超えるが8以下、または2を超えるが7以下、または2を超えるが6以下、または2を超えるが5以下、または2を超えるが4以下の異なるペプチドを含む。一実施形態において、ペプチドは、OppA、Bbk32、OspC-K型、RecA、BmpA、DbpA、ErpP、p35、OspF、CRASP2、FlilB、p66、OspC-A型、FlaBまたはDdpBへの結合が伴うペプチドの何らかの組み合わせである。別の実施形態において、複数のペプチド抗原は、活性のある(すなわち特異的に結合するもの)それらの変異体を含め、ボレリア・フラジェリン(Borrelia flagellin)p41からのエピトープ(例えば配列VQEGVQQEGAQQP(配列番号7)を有するペプチド)および/またはボレリア(Borrelia)OspCからのエピトープ(例えば配列PVVAESPKKP(配列番号8)を有するペプチド)を含むペプチドを含む。あるいは、またはさらに、複数のペプチド抗原は、VLsE(領域IR6)ボレリア(Borrelia)タンパク質からのエピトープを含むペプチド(例えば26アミノ酸ペプチドCMKKDDQIAAAMVLRGMAKDGQFALK(配列番号2))またはこの領域からのより短いペプチド、例えば、ペプチドMKKNDQIGAAIALRGVA(配列番号3)により代表される、配列番号2からの12~18個の連続リサイド(resides)または配列番号2からの12~18個の非連続残基を有するペプチドまたは活性のあるそれらの変異体などを含む。
【0083】
[0085] 試験ストリップに係留される抗原はまた、病原性ボレリア(Borellia)種、例えば広義のB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)などに対する抗体に結合する1、2、3、4個またはそれ以上のペプチドの融合ペプチドでもあり得る。熟練者は、ペプチドを連結するための様々な可能な組み合わせおよび様々なリンカーを認識し得る。本明細書中で例を提供するが、例えばFlaBペプチド(p41、配列番号7)は、配列番号16、配列番号17および配列番号18により例示されるような融合ペプチドを形成させるために、C6ペプチド(配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5または配列番号6)にリンカーにより連結される。別の例は、本明細書中で、3個のペプチドが3個のアミノ酸残基(GGG)から構成されるリンカーにより連結される、C6領域(配列番号1)に対するペプチドに連結されるOspC1領域(配列番号12)からのペプチドに連結されるp41(FlaB)領域(配列番号2)からのペプチドからなる配列番号16として示される。さらに他の実施形態において、リンカーペプチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上のアミノ酸を含む。また他の実施形態において、リンカーは、1~2、1~5、2~5、2~4、1~10、5~10、3~6または2~10個のアミノ酸を含む。さらに他の実施形態において、リンカーは、G、GG、GGGまたはGGGG(配列番号19)である。
【0084】
[0086] 本明細書中で開示されるペプチド配列の何れかを連結するための適切なリンカーは容易に選択され得、4アミノ酸~10アミノ酸、5アミノ酸~9アミノ酸、6アミノ酸~8アミノ酸または7アミノ酸~8アミノ酸を含む、1アミノ酸(例えばGly)~40アミノ酸、2アミノ酸~15アミノ酸、3アミノ酸~12アミノ酸など、様々な長さの適切な何れかであり得、1、2、3、4、5、6または7アミノ酸であり得る。いくつかの実施形態において,リンカーは、グリシンのみを含む。他の実施形態において、グリシンのうち1、2 3または4個がセリンで置換される。
【0085】
[0087] ミトコンドリアの融合修飾ペプチドに担体部分を繋ぐかまたは連結するために非ペプチドリンカー部分も使用し得る。リンカー分子は一般に約6~50原子長である。リンカー分子は、例えば、2~10モノマー単位を含有する、アリールアセチレン、エチレングリコールオリゴマー、ジアミン、二塩基酸、アミノ酸またはそれらの組み合わせでもあり得る。ポリペプチドに結合し得る他のリンカー分子を本開示に照らして使用し得る。
【0086】
[0088] 当然のことながら、本明細書中で開示され、本明細書中で組み込みにより参照されるペプチドは、アッセイにおいて使用され得るペプチド配列の単なる代表である。アッセイの実施形態は、2つの配列をそれらの全体の長さに沿って比較する場合に、本明細書中で開示される配列の何れかに対して80%、85%、86%、87%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%配列同一性を有するペプチド配列の使用を企図する。また当然のことであるが、N-末端、C-末端または、ペプチドの(N末端アミノ酸から数えて)最初の1、2、3、4、5アミノ酸内のアミノ酸におけるアミン残基でのビオチン化を含め、配列の何れもビオチン化され得る。これもまた当然のことながら、何れの配列も、ヒドロキシル、カルボキシル、アミンまたは基など、反応性部分または化学連結部分で、N-末端、C-末端またはその両方において修飾され得る。
【0087】
[0089] 実施例1~4は、病原性ボレリア(Borrelia)種に対するIgGおよびIgM抗体の検出のための(実施例1~3)および、病原性ボレリア(Borrelia)種による感染を初期または後期としてステージ分類するための(実施例4)、試験ストリップに関する。試験ストリップは、病原性ボレリア(Borrelia)種に感染したヒト対象により産生される免疫グロブリンの存在を検出するために設計される。感染後、IgM抗体は3~6週間にわたり発現し、これは当技術分野でおよび本明細書中で初期感染と呼ばれる。IgG抗体は、感染後4~12週間内に発現し、後期での感染の指標となり、これは、本明細書中で後期感染と呼ぶ。したがって、感染の初期または初期ライム病は、感染後3~6週間に採取した血液試料中の病原性ボレリア(Borrelia)種に対するIgM抗体の存在により示され、ライム病の後期は、感染後4~12週間に採取された血液試料中の病原性ボレリア(Borrelia)種に対するIgG抗体の存在により示される。一実施形態において、ライム病の後期の状態はさらに、試料中のIgG抗体の量が試料中のIgM抗体の量より多いことにより示される。実施例1の試験ストリップは、第1および第2の標識ライン上で、蛍光標識および病原性ボレリア(Borrelia)種に対するIgMまたはIgG特異性の非ヒト(例えばヤギ)抗ヒト免疫グロブリンの結合物を含む。試料中の血液免疫グロブリンは、第1および第2の流体流路から第1および第2の標識ラインに沿って移動する。各ラインで、IgGまたはIgMの蛍光結合型ヤギ抗ヒト免疫グロブリンに対する特異性を有する血液免疫グロブリンは、蛍光結合物に結合して特異的な血液免疫グロブリン(IgGまたはIgM)の可動性の複合体および抗ヒトIgGまたはIgMの蛍光結合物を形成させる。複合体はそれらの個々の第1または第2の試験ラインに対して下流に移動し、複合体の血液免疫グロブリン部分は、試験ラインのそれぞれに置かれるペプチド抗原と結合し、したがって1つの試験ライン上で病原性ボレリア(Borrelia)種に対する血液IgG免疫グロブリンを検出し、他の試験ライン上で病原性ボレリア(Borrelia)種に対する血液IgM免疫グロブリンを検出する。
【0088】
[0090] 実施例1の試験ストリップは、光学的リーダーおよび光学的リーダーを操作し、試験ストリップから放射されるシグナルを集め、集められたシグナルデータを解釈するためのソフトウェアを伴う機器と相互にやりとりするものとする。試験ストリップは、第1および第2の試験ラインの位置の決定のために位置制御として機器により使用される参照ラインを含む。実施例1の試験ストリップ実施形態において、参照ラインは、(IgGに特異的な固定化非ヒト抗ヒト免疫グロブリンも使用し得るものの)IgMに特異的な固定化非ヒト抗ヒト免疫グロブリンを含む。固定化非ヒト(例えばウサギ)抗ヒトIgM抗体は、標識ライン上に置かれる可動性非ヒト(例えばヤギ)抗ヒトIgM抗体を検出可能な結合物に結合し、標識ライン上で形成される複合体、血液免疫グロブリンIgMおよび非ヒト(例えばヤギ)抗ヒトIgM抗体-検出可能結合物の複合体、に結合する。したがって、この実施形態において、参照ラインは、関心のある分析物、関心のある病原体(この場合はボレリア(Borrelia)の種)に対して産生される血液免疫グロブリンを含む複合体を捕捉する。この理由のために、検出しようとする関心のある少量の分析物が存在する場合、それが参照ライン上で捕捉され、試験ストリップが偽陰性に戻るので、参照ラインは試験ラインの下流に配置される。試験ストリップ上で2つの検出可能な部分を捕捉可能である参照ライン-この場合、ストリップ上で形成される複合体および標識ライン上の検出可能な標識種の両方-は、参照ライン上で検出可能なシグナルを増加させる。
【0089】
[0091] 病原性ボレリア(Borrelia)種に対する免疫グロブリンの存在を判定するための試験ストリップの代替的な実施形態および、したがってライム病の有無の指標は、実施例2に記載する。この試験ストリップにおいて、標識ラインは、病原性ボレリア(Borrelia)種に対して産生される血液中の免疫グロブリンIgGまたはIgMに対する結合特異性を有する1つ以上のペプチド抗原の可動性で検出可能な結合物および検出可能な標識を含む。検出可能な結合物は、試験ラインに対して下流に移動する複合体を形成する、血液免疫グロブリンに結合する。試験ストリップ上の1つの試験ラインは、IgG免疫グロブリンに対する結合親和性を有する種を含み、他の試験ラインは、IgM免疫グロブリンに対する結合親和性を有する種を含む。このように、IgGおよびIgMは、試験ラインの試験ストリップ上で識別される。実施例1の実施形態において、IgGおよびIgMは、標識ラインの試験ストリップ上で識別される。実施例2の試験ストリップにおいて、病原性ボレリア(Borrelia)種と関連がある抗原-抗体ペアと無関係である結合ペアを参照ライン上で使用する。例としては、ホースラディッシュペルオキシダーゼおよび抗ホースラディッシュペルオキシダーゼおよびグルコースオキシダーゼおよび抗グルコースオキシダーゼが挙げられ、結合ペアのうち1つを参照ライン上に固定化し、そのペアの他方の結合メンバーを参照ラインの上流の試験ストリップ上に置く。したがって、液体試料中に存在しない物質に対する結合親和性を有する固定化種を含む参照ラインを有する試験装置が企図される。
【0090】
[0092] 病原性ボレリア(Borrelia)種に対する免疫グロブリンの存在を判定する、したがってライム病の有無を示すための試験ストリップの別の実施形態を実施例3に記載する。試験ストリップ上の1つの試験ラインは、IgG免疫グロブリンに対する結合親和性を有する種を含み、他の試験ラインは、IgM免疫グロブリンに対する結合親和性を有する種を含む。このように、IgGおよびIgMは試験ストリップ上で識別される。下流から上流方向で、試料リザーバの片側に(例えば図1A参照)、ユウロピウムビーズに連結される可動性ヤギ抗ヒトIgM抗体を含む第1の標識ラインが置かれる。この第1の標識ラインから下流は、OspC領域に対する固定化ペプチド抗原(例えば配列番号12または配列番号13として同定されるペプチド抗原)およびB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)のDbpA領域(例えば配列番号14として同定されるペプチド抗原)を有する第1の試験ラインである。固定化ウサギ抗ヤギIgM抗体を有する参照ラインは、第1の標識ラインの下流にある。下流から上流方向で、試料リザーバの逆側に(例えば図1A参照)、ユウロピウムビーズに結合される可動性マウス抗ヒトIgG抗体を含む第2の標識ラインおよびB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)のC10(配列番号8または配列番号10)、C6(配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5または配列番号6)およびp41(FlaB;配列番号7)エピトープに対する固定化ペプチド抗原を有する第2の試験ラインが置かれる。N-末端またはN末端領域にビオチン部分を含むようにペプチド抗原を修飾し、係留されたストレプトアビジン分子での結合を介して試験ストリップに係留した。
【0091】
[0093] 代表的な試験ストリップからまた認識され得ることであるが、本明細書中で、同じ感染病原体に対して産生される個別の異なる抗体を区別するための手段を提供する。試験ストリップは、同じ感染病原体に対して産生される個別の異なる抗体のそれぞれに結合する第1の試験ラインおよび第2の試験ラインのそれぞれの上に固定化種を含み、第1の標識ライン上および第2の標識ライン上の個別の異なる抗体のうち1つに特異的な可動性で検出可能な種の使用によって、2種類の個別の異なる抗体を識別する。
【0092】
[0094] 上述のように、病原性ボレリア(Borrelia)種による感染を初期または後期としてステージ分類するために、実施例1~3の試験ストリップを使用し得る。実施例4に記載のように、本方法は、本明細書中に記載のような装置上に、病原性ボレリア(Borrelia)種に曝露された疑いがあるかまたはそのリスクがある者からの流動性試料を置き、可動性で検出可能な種の有無について第1の試験ラインおよび第2の試験ラインを調べることを含む。一実施形態において、置くことおよび調べることは、曝露2週間以内の曝露対象のうち70%超においてB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)曝露に反応性があるIgM抗体を検出するための感度を提供する。別の実施形態において、置くことおよび調べることは、曝露2週間以内の曝露対象のうち70%超においてB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)曝露に反応性があるIgG抗体を検出するための感度を提供する。
【0093】
[0095] 実施例5で詳述される別の研究において、ニトロセルロースストリップ上の中央に共通の単一試料パッドを配置することによって、図1Aで示されるような試験ストリップを調製した。下流から上流方向で、単一の共通試料パッドの片側に対して、第1の標識ラインを形成させるために表面結合ヤギ抗ヒトIgM抗体とともに複数の検出可能なマーカー(例えばユウロピウムビーズ)を置いた。第1の標識ラインの下流に、第1の試験ラインを置き、第1の試験ラインは、それぞれそのN-末端でビオチンに連結され、ストレプトアビジンを介してニトロセルロースに固定化される、組み換えOspC(配列番号20)および組み換えDbpA(配列番号21)から構成された。ニトロセルロース上で参照ラインを形成させるために、第1の試験ラインの下流にウサギ抗ヤギIgG抗体を置いた。下流から上流方向で、共通する単一試料パッドの逆側に、第2の標識ラインを形成させるために表面結合マウス抗ヒトIgG抗体とともに複数の検出可能なマーカー(例えばユウロピウムビーズ)を置いた。第2の標識ラインの下流に第2の試験ラインを置き、第2の試験ラインは、B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)のC10(配列番号8)、C6(配列番号6)およびC6-p41(配列番号18)エピトープに対する固定化ペプチド抗原から構成された。N-末端またはN末端領域においてビオチン部分を含むようにペプチド抗原を修飾し、係留されたストレプトアビジン分子との結合を介してニトロセルロース基板に係留した。C10ペプチド抗原をそのC-末端でヒドロキシル基により修飾した。試験ストリップの各末端に吸収性パッドを配置した。
【0094】
[0096] 急性遊走性紅斑(ライム病の初期指標)またはライム関節炎(後期ライム病の指標)を呈する個体からの血液試料ならびに陰性対照とするための健康な個体からの血液試料を得た。試料を緩衝液で希釈し、既知の体積を試験ストリップの試料パッド上に置いた。各試験ストリップを温置し、次いで検出可能なマーカーの有無について試験ラインおよび参照ラインを調べるための光学系およびソフトウェア付きの機器に挿入した。
【0095】
[0097] 機器読み取り試験ストリップからの結果を解釈し、Center for Disease Control and Preventionにより推奨されるライム病に対する酵素免疫アッセイ(EIA)、ウエストブロットおよび2層式試験からの結果と比較した。8検体(8)の初期ライム病遊走性紅斑試料のうち、IgM検出のための機器読み取り試験ストリップおよびウエストブロットIgMの両方が5/8(62.5%)を検出し、IgMに対してEIAにより試験した試料は4/8(50%)を検出し、このことから、機器読み取り試験ストリップは、初期ライム病検出についてEIAよりも感度が高いことが示唆される。したがって、一実施形態において、本明細書中で記載のような試験ストリップは、ライム病の検出について、または初期もしくは後期としてのライム病のステージ分類について、酵素免疫アッセイにより提供されるものより高いIgM検出のための感度を提供する。
【0096】
[0098] 試験した4検体(4)の後期ライム病試料のうち、IgGに対する機器読み取り試験ストリップ、ウエストブロットIgGおよびEIAは全ての試料(100%)を検出し、このことから、IgGに対する機器読み取り試験ストリップがウエストブロットおよびEIAを介したIgGの検出と同等の感度を有することが示唆される。したがって、一実施形態において、本明細書中で記載のような試験ストリップは、ライム病の検出について、または初期もしくは後期としてのライム病のステージ分類について、ウエストブロットにより、および/または酵素免疫アッセイにより提供されるものと基本的に同じであるIgGの検出のための感度を提供する。
【0097】
[0099] 対照試料に関しては、IgMおよびIgGの機器読み取り試験ストリップおよびウエストブロットIgMおよびIgGは試験した全ての20検体(20)の陰性対照試料について陰性であった(100%陰性一致)。EIAは4検体(4)の試料を陽性と報告した(80%陰性一致)。このことから、IgMおよびIgGに対する機器読み取り試験ストリップはEIAより特異的であり、IgMおよびIgGウエストブロットと同等であることが明らかになる。したがって、一実施形態において、本明細書中で記載のような試験ストリップは、ライム病の検出のための、または初期もしくは後期としてライム病をステージ分類するための、酵素免疫アッセイにより提供されるものよりも大きいかまたは高いIgMおよび/またはIgGの検出に対する特異性を提供する。
【0098】
[0100] B.2つ以上の種の検出および識別のための他の代表的な試験ストリップ
病原性ボレリア(Borrelia)種に対するIgGおよびIgM免疫グロブリンの検出および区別のための上記の試験ストリップに加えて、単純ヘルペスウイルス-1および単純ヘルペスウイルス-2(HSV-1およびHSV-2)、インフルエンザAおよびインフルエンザB(FluAおよびFluB)、インフルエンザA+Bおよび呼吸器多核体ウイルス(RSV)を検出および区別または識別する試験装置が企図される。ジカウイルスに付随するIgAおよびIgGの検出および区別のための試験ストリップも企図される。認識され得るように、共通の試料リザーバから連絡する2つの個別の流体流路を有する双方向型試験ストリップは、共通試料リザーバ上に置かれる試料からの関心のある2つ以上の分析物を区別するためのアプローチを提供する。
【0099】
[0101] HSV-1およびHSV-2の検出および区別のための試験装置に関して、それぞれが可動性で検出可能な抗ヒトIgG抗体を含む第1の標識ラインおよび第2の標識ラインから構成される試験ストリップが企図される。試験ストリップ上の第1の試験ラインは、HSV-1に対して結合親和性を有する固定化抗原を含み、試験ストリップ上の第2の試験ラインは、HSV-2に対する結合親和性を有する固定化抗原を含む。参照ラインは、第1の試験ラインの下流にあり、HSV感染病原体とは無関係の結合ペアの結合メンバーを含むか、または標識ライン上に置かれる可動性で検出可能な抗ヒトIgG抗体に結合する非ヒト抗体を含む。
【0100】
[0102] FluAおよびFluBの検出および区別のための試験装置に関して、可動性で検出可能な抗fluA核タンパク質抗体を伴う第1の標識ラインおよび可動性で検出可能な抗fluB核タンパク質抗体を伴う第2の標識ラインから構成される試験ストリップが企図される。第1の試験ラインおよび第2の試験ラインはそれぞれ、固定化抗fluA核タンパク質抗体および固定化抗fluB核タンパク質抗体を含む。参照ラインは、第1の試験ラインの下流にあり、FluA、FluB感染病原体と無関係である結合ペアの結合メンバーを含むか、または標識ライン上に置かれる可動性で検出可能な抗fluA(またはfluB)核タンパク質抗体に結合する非ヒト抗体を含む。
【0101】
[0103] FluA/BおよびRSVの検出および区別のための試験装置に関して、可動性で検出可能な抗fluA/B核タンパク質抗体を伴う第1の標識ラインおよび可動性で検出可能な抗RSV抗体を伴う第2の標識ラインから構成される試験ストリップが企図される。第1の試験ラインおよび第2の試験ラインはそれぞれ、固定化抗fluA/B核タンパク質抗体および固定化抗RSV抗体を含む。参照ラインは、第1の試験ラインの下流にあり、感染性または関心のある病原体と無関係である結合ペアの結合メンバーを含むか、または標識ライン上に置かれる可動性で検出可能な抗体に結合する非ヒト抗体を含む。
【0102】
[0104] したがって、本明細書中の装置は、感染病原体による感染の存在を判定するために設計され、感染病原体を示す生体試料中の2つの分析物(または2つ以上の分析物)を検出および識別可能である。本装置は感染病原体による感染があることが疑われる対象からの液体試料を受容するように構成される試料受容ゾーンを含み、試料受容ゾーンは、第1の流体流路に沿って第1の標識ゾーンに、および第2の流体流路に沿って第2の標識ゾーンに、試料を分配するように配置される。第1および第2の標識ゾーンのそれぞれは、第1の可動性で検出可能な種および第2の可動性で検出可能な種をそれぞれ含み、各可動性で検出可能な種は、感染病原体に対する個別の異なる抗体に結合可能である。本装置はまた、第1の標識ゾーンの下流に配置される第1の流体流路において第1の試験ラインも含み、第1の試験ラインは、第1の可動性で検出可能な種に対する結合親和性を有する固定化種を含む。本装置はまた、第2の標識ゾーンの下流に配置される第2の流体流路において第2の試験ラインも含み、第2の試験ラインは、第2の可動性で検出可能な種に対する結合親和性を有する固定化種を含む。本装置はまた、第1の流体流路に配置される参照ラインであって、参照ラインの上流の装置上に置かれる検出可能部分に対する結合親和性を有する固定化種を含む、参照ラインも含む。
【0103】
[0105] 一実施形態において、本装置上に置かれる流動性試料の体積は、約100μL未満、好ましくは75μL未満、好ましくは50μL未満、好ましくは10~75μL、好ましくは10~60μL、好ましくは10~50μLである。
【0104】
[0106] 別の実施形態において、本試験は、流動性試料を置いた後約20分以内に、または流動性試料を置いた後約15分以内に、または流動性試料を置いた後約10分以内に、または流動性試料を置いた後10~30分、または流動性試料を置いた後約10~45分で、第1および/または第2の試験ラインにおいて検出可能なシグナルを生じさせる。
【0105】
IV.実施例
[0107] 次の例は、本来、例示であり、何ら限定するものではない。
【0106】
実施例1
B.ブルグドルフェリ(B.BURGDORFERI)に対する抗体の存在を検出するための試験ストリップ
[0108] ヒト血液中のIgGおよびIgM抗体の有無の検出のためのラテラルフロー免疫アッセイ装置は次のように調製される。試験ストリップは、試験ストリップに対する共通試料リザーバとなる、中央に配置される試料パッドを有するように構築する。下流から上流方向で、試料リザーバの片側に(例えば図1A参照)、ユウロピウムビーズに連結されるヤギ抗ヒトIgM抗体を含む第1の標識ライン、以下で列挙されるペプチド配列から構成される固定化ペプチド抗原を伴う第1の試験ラインおよび固定化ウサギ抗ヤギIgM抗体を伴う参照ラインを置く。下流から上流方向で、試料リザーバの逆側に(例えば図1Aを参照)、ユウロピウムビーズに結合されるヤギ抗ヒトIgG抗体を含む第2の標識ラインおよび以下で列挙されるペプチド配列から構成される固定化ペプチド抗原を伴う第2の試験ラインを置く。試験ストリップに連結されるストレプトアビジン部分および各ペプチドに連結されるビオチンを通じて固定化され、第1および第2の試験ラインのそれぞれに置かれるペプチド抗原は:
MKKDDQIAAAIALRGMA(配列番号4)
YGQNWTNPENMVTSGPFKLKERIPNEKIVFEKNNK(配列番号11)
MTLFLFISCNNSGKDGNTSA(配列番号12);および
VQEGVQQEGAQQPGGGMTLFLFISCNNSGKDGNTSAGGGMKKNDQIVAAIALRGVA(配列番号16)である。
【0107】
[0109] 吸収性パッドを試験ストリップの各末端に配置する。
【0108】
[0110] B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)により引き起こされるライム病を有する疑いがあるヒトからの血液試料を試料リザーバ上に置く。15分後、第1の試験ラインおよび第2の試験ラインにおいてユウロピウムの有無を判定するための光学系およびソフトウェアを伴う機器に試験ストリップを挿入する。この機器は、第1および第2の試験ラインの位置を決定するために参照ラインからのシグナルを使用する。
【0109】
実施例2
B.ブルグドルフェリ(B.BURGDORFERI)に対する抗体の存在を検出するための試験ストリップ
[0111] ヒト血液中のIgGおよびIgM抗体の有無の検出のためのラテラルフロー免疫アッセイ装置を次のように調製する。試験ストリップは、試験ストリップに対する共通試料リザーバとなる、中央に配置された試料パッドを有するように構築する。下流から上流方向で、試料リザーバの片側に(例えば図1A参照)、B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)に対する抗体への特異的な結合をそれぞれが有し、ユウロピウムビーズに連結される、B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)からの複数のペプチド抗原を含む第1の標識ライン;固定化ヤギ-抗ヒトIgG抗体を伴う第1の試験ライン;および固定化抗グルコースオキシダーゼ抗体を伴う参照ラインを置く。第1の標識ラインは、液体試料とともに下流に移動するユウロピウムビーズに連結されるグルコースオキシダーゼ酵素を含む。下流から上流方向で、試料リザーバの逆側に(例えば図1A参照)、それぞれがB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)に対する抗体への特異的な結合を有し、ユウロピウムビーズに連結される、B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)からの複数のペプチド抗原を含む第2の標識ライン;および固定化ヤギ-抗ヒトIgM抗体を伴う第2の試験ラインを置く。第1および第2の標識ライン上に置かれるペプチド抗原は:
MKKDDQIAAAIALRGMA(配列番号4)
YGQNWTNPENMVTSGPFKLKERIPNEKIVFEKNNK(配列番号11)
MTLFLFISCNNSGKDGNTSA(配列番号12);および
VQEGVQQEGAQQPGGGMTLFLFISCNNSGKDGNTSAGGGMKKNDQIVAAIALRGVA(配列番号16)である。
【0110】
[0112] 吸収性パッドを試験ストリップの各末端に配置する。B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)により引き起こされるライム病を有する疑いがあるヒトからの血液試料を試料リザーバ上に置く。15分後、第1の試験ラインおよび第2の試験ラインにおいてユウロピウムの有無を判定するための光学系およびソフトウェアを伴う機器に試験ストリップを挿入する。この機器は、第1および第2の試験ラインの位置を決定するために参照ラインからのシグナルを使用する。
【0111】
実施例3
B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)に対する抗体の存在を検出するための試験ストリップ
[0113] ヒト血液中のIgGおよびIgM抗体の有無の検出のためのラテラルフロー免疫アッセイ装置を次のように調製する。試験ストリップは、試験ストリップに対する共通試料リザーバとなる、中央に配置される試料パッドを有するように構築する。下流から上流方向で、試料リザーバの片側に(例えば図1A参照)、ユウロピウムビーズに連結される可動性ヤギ抗ヒトIgM抗体を含む第1の標識ライン、B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)のOspC領域(配列番号12)およびDbpA領域(配列番号14)に対する固定化ペプチド抗原を伴う第1の試験ラインおよび固定化ウサギ抗ヤギIgM抗体を伴う参照ラインを置く。下流から上流方向で、試料リザーバの逆側に(例えば図1A参照)、ユウロピウムビーズに結合される可動性マウス抗ヒトIgG抗体を含む第2の標識ラインおよびB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)のC10(配列番号8または配列番号10)、C6(配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5または配列番号6)およびp41(FlaB;配列番号7)エピトープに対する固定化ペプチド抗原を伴う第2の試験ラインを置く。N-末端またはN末端領域においてビオチン部分を含むようにペプチド抗原を修飾し、係留されたストレプトアビジン分子との結合を介して試験ストリップに係留した。
【0112】
[0114] 吸収性パッドを試験ストリップの各末端に配置する。
【0113】
[0115] B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)により引き起こされるライム病を有する疑いがあるヒトからの血液試料を試料リザーバに置く。15分後、第1の試験ラインおよび第2の試験ラインにおいてユウロピウムの有無を判定するための光学系およびソフトウェアを伴う機器に試験ストリップを挿入する。この機器は、第1および第2の試験ラインの位置を決定するために参照ラインからのシグナルを使用する。
【0114】
実施例4
B.ブルグドルフェリ(B.BURGDORFERI)による感染をステージ分類するための試験ストリップ
[0116] 実施例1に記載のような試験ストリップを調製する。筋肉痛、疲労および遊走性紅斑の症状を呈する女性対象から血液試料を採取する。血液試料を試験ストリップの試料パッド上に置く。20分後、血液試料中のB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)に対するIgGおよびIgM抗体の量または相対量を決定するための光学系およびソフトウェアを伴う機器に試験ストリップを挿入する。血液試料中のB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)に対するIgM抗体が捕捉される試験ラインは、機器により探索される場合、検出可能なシグナルを放射する。血液試料中のB.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)に対するIgG抗体が捕捉される試験ラインは、機器により探索される場合、検出可能なシグナルを放射する。IgG抗体の試験ラインで放射されるシグナルはIgM抗体の試験ラインで放射されるシグナルよりも大きく、IgG抗体は感染後4~12週間で産生されるので、後期感染を示す(E.D.ShapiroおよびP.Auwaerter,INFECTIOUS DISEASE AND ANTIMICROBIAL AGENTS:Borrelia burgdorferi(Lyme Disease),2002 Edition)。
【0115】
実施例5
B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)に対する抗体を検出するための試験ストリップ
[0117] 試験ストリップを次のように調製した。試料パッドをニトロセルロースのストリップ上の中央に配置した。下流から上流方向で、単一の共通試料パッドの片側に(例えば図1A参照)、表面結合ヤギ抗ヒトIgM抗体を伴う複数のユウロピウムビーズを置き、第1の標識ラインを形成させた。第1の標識ラインの下流に、第1の試験ラインを置き、第1の試験ラインは、そのN-末端でビオチンにそれぞれが連結され、ストレプトアビジンを介してニトロセルロースに固定化される、組み換えOspC(配列番号20)および組み換えDbpA(配列番号21)から構成された。第1の試験ラインの下流に、ウサギ抗ヤギIgG抗体を置いて、ニトロセルロース上に参照ラインを形成させた。下流から上流方向で、試料パッドの逆側に、表面結合マウス抗ヒトIgG抗体を伴う複数のユウロピウムビーズを置いて、第2の標識ラインを形成させた。第2の標識ラインの下流に、第2の試験ラインを置き、この第2の試験ラインは、B.ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)のC10(配列番号8)、C6(配列番号6)およびC6-p41(配列番号18)エピトープに対する固定化ペプチド抗原から構成された。N-末端またはN末端領域にビオチン部分を含むように、このペプチド抗原を修飾し、係留されたストレプトアビジン分子との結合を介してニトロセルロース基板に係留した。C10ペプチド抗原をヒドロキシル基によりそのC-末端修飾した。吸収性パッドを試験ストリップの各末端に配置した。
【0116】
[0118] 急性遊走性紅斑(ライム病の初期指標)またはライム関節炎(後期ライム病の指標)を呈する個体からの血液試料ならびに陰性対照となる健康な個体からの血液試料を得た。較正されたマイクロピペットを使用して、緩衝液中で血液試料を1:10希釈した(すなわち250μLの緩衝液中25μLの血液試料体積)。較正されたマイクロピペットを使用して、試料パッドと接触させるために、100μLの希釈血液試料を試験装置の試料ポートに添加した。各試験ストリップを10分間温置し、次いで、検出可能なユウロピウムビーズの有無について試験ラインおよび参照ラインを調べるための光学系およびソフトウェアを伴う機器に挿入した。陽性(アッセイカットオフを上回る。)または陰性(アッセイカットオフを下回る。)の何れかとして各試験装置実験からの結果を解釈した。
【0117】
[0119] 機器読み取り試験ストリップからの結果を解釈し、Center for Disease Control and Preventionにより推奨されるライム病に対する酵素免疫アッセイ(EIA)、ウエストブロットおよび2層式試験からの結果と比較した。8検体(8)の初期ライム病遊走性紅斑試料のうち、IgM検出のための機器読み取り試験ストリップおよびウエストブロットIgMの両方が5/8(62.5%)を検出し、IgMに対するEIAにより試験した試料では4/8(50%)を検出し、このことから、初期ライム病検出について、機器読み取り試験ストリップがEIAより高感度であることが示唆される。したがって、一実施形態において、本明細書中に記載のような試験ストリップは、ライム病の検出のため、または初期もしくは後期としてライム病をステージ分類するために、酵素免疫アッセイにより提供されるものよりも高い、IgMの検出のための感度を提供する。
【0118】
[0120] 試験した4検体(4)の後期ライム病試料のうち、IgGに対する機器読み取り試験ストリップ、ウエストブロットIgGおよびEIAは、全試料(100%)を検出し、このことから、IgGに対する機器読み取り試験ストリップが、ウエストブロットおよびEIAを介したIgGの検出と同等の感度を有することが示唆される。したがって、一実施形態において、本明細書中に記載のような試験ストリップは、ライム病の検出について、または初期もしくは後期としてライム病をステージ分類することについて、ウエストブロットにより、および/または酵素免疫アッセイにより提供されるものと基本的に同じであるIgGの検出のための感度を提供する。
【0119】
[0121] 対照試料に関して、IgMおよびIgGの機器読み取り試験ストリップおよびウエストブロットIgMおよびIgGは、試験した20検体(20)全ての陰性対照試料に対して陰性であった(100%陰性一致)。EIAは4検体(4)の試料を陽性と報告した(80%陰性一致)。このことから、IgMおよびIgGに対する機器読み取り試験ストリップが、EIAよりも特異的であり、IgMおよびIgGウエストブロットと同等であることが明らかになる。したがって、一実施形態において、本明細書中に記載のような試験ストリップは、ライム病の検出について、または初期もしくは後期としてライム病をステージ分類することについて、酵素免疫アッセイにより提供されるものよりも大きいかまたは高いIgMおよび/またはIgGの検出のための特異性を提供する。
【0120】
[0122] 陽性および陰性試料にわたり、IgMに対する機器読み取り試験ストリップとウエストブロットIgMの結果との間で100%の一致があった。IgGに対する機器読み取り試験ストリップとウエストブロットIgGの結果との間で90.6%の一致があった。2層法を用いた機器読み取り試験ストリップ(IgM+IgG)の結果間で96.8%の一致があった。
【0121】
[0123] いくつかの代表的な態様および実施形態を上記で論じてきたが、当業者は、ある種の修飾、並べ替え、付加およびその副結合を認めよう。したがって、続く添付の特許請求の範囲およびその後導入される特許請求の範囲は、それらの真の精神および範囲内であるものとして、かかる修飾、並べ替え、付加およびその副結合全てを含むと解釈されるものとする。
図1A
図1B
図2
図3
【配列表】
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