(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】集光器の被照射面を映し出す発光モジュール
(51)【国際特許分類】
F21S 41/32 20180101AFI20231114BHJP
F21S 41/148 20180101ALI20231114BHJP
F21V 7/06 20060101ALI20231114BHJP
F21V 7/08 20060101ALI20231114BHJP
F21S 41/40 20180101ALI20231114BHJP
F21W 102/155 20180101ALN20231114BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231114BHJP
【FI】
F21S41/32
F21S41/148
F21V7/06 100
F21V7/08 100
F21S41/40
F21W102:155
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021505397
(86)(22)【出願日】2019-02-04
(86)【国際出願番号】 EP2019052670
(87)【国際公開番号】W WO2020025171
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-11-29
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】シルバン、ジロー
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-511057(JP,A)
【文献】特開2015-216056(JP,A)
【文献】国際公開第2014/207817(WO,A1)
【文献】特開2008-293958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/32
F21S 41/148
F21V 7/06
F21V 7/08
F21S 41/40
F21W 102/155
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に自動車両用の光モジュール(2;102;202)であって、
- 光線を放出することのできる光源(4;104)と、
- 前記光源(4;104)によって放出された光線を集光し反射して当該光モジュールの光軸(8;108)に沿った光ビームとするように構成された反射表面(6.2;106.2;206.2)を有する集光器(6;106;206)と、
- 前記光ビームを投射するように構成された光学系(10,10’,10”;110,110’)と、
を備えた光モジュール(2;102;202)において、
前記光学系(10,10’,10”;110,110’)は、前記集光器(6;106;206)の前記反射表面(6.2;106.2;206.2)の像を形成するように構成されており、
前記光源(4;104)は、前記反射表面(6.2;106.2;206.2)の焦点のところにあり、前記光学系(10,10’,10”;110,110’)は焦点(10.3,10’.3;110.3)を有し、当該焦点(10.3,10’.3;110.3)は前記光軸(8;108)上において前記反射表面(6.2;106.2;206.2)と前記光軸(8;108)との交点のところ、若しくは、前記光軸(8;108)に沿った前記光ビームの全体的な伝播方向に関して前記交点の前方または後方に位置しており、前記光軸(8;108)に沿って測定された前記交点と前記焦点(10.3,10’.3;110.3)との間の距離は10mm未満である、光モジュール(2;102;202)。
【請求項2】
前記集光器(6;106;206)は、当該集光器の前記反射表面(6.2;106.2;206.2)の後方部分から反射された光線が、前記光軸(8;108)と平行であるか、または鉛直面内において前記光軸に対して25°以
下の傾斜角度(α)を有するように構成されてい
る、請求項1に記載の光モジュール(2;102;202)。
【請求項3】
前記集光器(6;106;206)は、当該集光器の前記反射表面(6.2;106.2;206.2)の後方部分から反射された光線が、鉛直面内において前記光軸(8;108)に対して10°以下の傾斜角度(α)を有するように構成されている、請求項1に記載の光モジュール(2;102;202)。
【請求項4】
前記光源(4;104)は、前記光軸
(8;108)に対して
なす角度が65°から115°の間の主方
向へ光線を放出するように構成されてい
る、請求項1から3のいずれか一項に記載の光モジュール(2;102;202)。
【請求項5】
前記光源(4;104)は、前記光軸(8;108)に垂直な主方向へ光線を放出するように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の光モジュール(2;102;202)。
【請求項6】
前記集光器(6;106;206)の前記反射表面(6.2;106.2;206.2)は、放物線状または楕円状のプロファイルを有してい
る、請求項1から
5のいずれか一項に記載の光モジュール(2;102)。
【請求項7】
当該
光モジュールは、前記光源(4;104)によって前方へ放出されて前記集光器(6;106;206)の前記反射表面(6.2;106.2;206.2)によって反射されない光線を集光するよう、前記光軸に沿った前記光ビームの全体的な伝播方向に対して前記光源(4;104)の前方に位置して前記反射表面に面したスクリーン(12;112)を更に備えてい
る、請求項1から
6のいずれか一項に記載の光モジュール(2;102;202)。
【請求項8】
前記スクリーン(12;112)は、集光した前記光線を吸収するよう不透明かつ無反射性であ
る、請求項
7に記載の光モジュール(2;102;202)。
【請求項9】
前記光学系は投射レンズ(10,10’;110)であ
る、請求項1から
8のいずれか一項に記載の光モジュール(2;102;202)。
【請求項10】
前記光学系(10”;110’)は反射鏡(10”.1;110’.1)を備えてい
る、請求項1から
8のいずれか一項に記載の光モジュール(2;102)。
【請求項11】
前記光学系(10”;110’)の前記反射鏡(10”.1;110’.1)が第1反射鏡であり、前記光学系は、前記光ビームの全体的な伝播方向に対して前記第1反射鏡(10”.1;110’.1)の後方で前記光軸から距離の置かれた第2反射鏡(10”.2;110’.2)を備えており、前記第1反射鏡(10”.1;110’.1)は、前記第2反射鏡(10”.2;110’.2)に向かって前記光ビームを反射するように構成され、前記第2反射鏡は、前記第1反射鏡によって反射された前記光ビームを、前記光軸に平行な方向へ反射するように構成されてい
る、請求項
10に記載の光モジュール(2;102;202)。
【請求項12】
前記第1反射鏡(10”.1;110’.1)は、平坦であるか、または当該
光モジュールが取付姿勢の向きにされたときに水平面内で凹形のプロファイルを有してい
る、請求項
11に記載の光モジュール(2;102)。
【請求項13】
前記反射鏡(10”.1;110’.1)または前記第2反射鏡(10”.2;110’.2)は、当該
光モジュールが取付姿勢の向きにされたときに鉛直面内で放物線状のプロファイルを有してい
る、請求項
11または12に記載の光モジュール(2;102)。
【請求項14】
前記集光器(6;106;206)の前記反射表面(6.2;106.2;206.2)は、凹形であると共に、前記光ビームの全体的な伝播方向に対しての前方縁部(6.2.1;106.2.1;206.2.1)と後方縁部(6.2.2;106.2.2;206.2.2)とを有しており、当該
光モジュールが取付姿勢の向きにされたとき、前記前方縁部は形成される光像の下方部分を境界付け、前記後方縁部は前記像の上方部分を境界付け
る、請求項1から
13のいずれか一項に記載(2;102;202)の光モジュール。
【請求項15】
前記後方縁部(6.2.2;106.2.2;206.2.2)沿いの前記反射表面(6.2;106.2;206.2)によって反射された光線が、前記光軸(8;108)と平行であるか、または鉛直面内において前記光軸に対して25°以
下の傾斜角度(α)を有してい
る、請求項
14に記載の光モジュール(2;102;202)。
【請求項16】
前記後方縁部(6.2.2;106.2.2;206.2.2)沿いの前記反射表面(6.2;106.2;206.2)によって反射された光線が、鉛直面内において前記光軸(8;108)に対して10°以下の傾斜角度(α)を有している、請求項14に記載の光モジュール(2;102;202)。
【請求項17】
前記集光器(6;106)の前記反射表面(6.2;106.2)は、前記光軸の両側に前記後方縁部(6.2.2;106.2.2)の延長をなす2つの側方縁部を備え、前記側方縁部は、当該
光モジュールが取付姿勢の向きにされたとき水平面内にあ
る、請求項
14から16のいずれか一項に記載の光モジュール(2;102)。
【請求項18】
前記後方縁部(6.2.2)は水平面内にあり、形成される前記光像が対応する平坦な水平のカットオフを有してい
る、請求項
17に記載の光モジュール(2)。
【請求項19】
前記後方縁部(106.2.2)は曲がりを有し、形成される前記光像が対応する曲がった水平のカットオフを有してい
る、請求項
17に記載の光モジュール(102)。
【請求項20】
前記集光器(206)の前記反射表面(206.2)は、前記光軸の両側に2つの側方縁部(206.2.3,206.2.4)を備え、前記側方縁部は前記後方縁部(206.2.2)と交差しており、形成される前記光像が対応する側方のカットオフを有してい
る、請求項
14から16のいずれか一項に記載の光モジュール(202)。
【請求項21】
一緒に照明または合図用ビームを形成するように組み合わされた複数の光モジュール(2;102)を備える自動車両用の光装置(14;114)において、前記光モジュール(2;102)のうち少なくとも1つは請求項1から
20のいずれか一項に記載の光モジュールであ
る、光装置(14;114)。
【請求項22】
複数の前記光モジュール(2;102)のうち少なくとも1つ(2)は請求項
14に記載の光モジュールであり、
複数の前記
光モジュールのうち別の少なくとも1つ(102)は請求項
15または16に記載の光モジュールであり、前記光ビームは曲がった水平のカットオフを有してい
る、請求項
21に記載の光装置(14;114)。
【請求項23】
複数の前記光モジュール(2;102)のうち少なくとも2つ(2)は請求項
14に記載の光モジュールであり、
当該少なくとも2つの光モジュールそれぞれの前記光学系(10’)が共通のものであ
る、請求項22に記載の光装置(14)。
【請求項24】
前記共通の光学系(10’)は、前記光ビームの全体的な伝播方向に対して、少なくとも2つの前記光モジュール(2)における前記集光器(6)の後方に位置した焦線(10’.3)を有してい
る、請求項
23に記載の光装置(14)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光による照明や合図の分野、より特定的には自動車両の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
屈曲器を有する1つないし複数の光モジュールを用いてカットオフのある照明ビームを作り出すような慣行が一般的に知られている。そのような光モジュールは従来、楕円状のプロファイルを有する回転の反射表面を伴った集光器を備えている。その集光器は、水平面によって境界付けられる半分の空間内においてキャップの形状をしている。本質的には点光源である発光ダイオード型の光源が、反射表面の第1焦点の所に位置して、当該表面の方向に半分の空間内へと発光する。かくして光線は、反射表面の第2焦点に向かって集束するようにして反射される。第2焦点と同程度の所にカットオフ縁部を有した別の(概して平坦な)反射表面によって、第2焦点を精確には通過しない光線の上方への反射が確保される。そして、これらの光線は、厚レンズによって照明ビームの底部の方へ屈折される。この反射表面は、(さもなければ照明ビームの上方部分を形成してしまうであろう)それらの光線を、投射レンズの頂部の方へ「屈曲させる」という点において、一般に「屈曲器」と呼ばれる。
【0003】
そのような光モジュールは、屈曲器とカットオフ縁部との位置決めに高い精度を必要とする欠点を有している。かくして投射レンズは、その短い焦点距離ゆえに厚レンズでなければならず、これにより、その重量が増大すると共に(特にヒケの点で)製造を困難にしてしまう。また、集光器は相当の高さを有し、それに伴って相当の高さ方向の体積を有している。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、上述した先行技術における欠点の少なくとも1つを軽減することである。より特定的には、本発明の目的は、カットオフを伴い得る光ビームを形成することのできる、コンパクトで、より経済的に製造される光モジュールを提供することである。
【0005】
本発明の主題は、特に自動車両用の光モジュールであって、光線を放出することのできる光源と、光源によって放出された光線を集光し反射して当該モジュールの光軸に沿った光ビームとするように構成された反射表面を有する集光器と、光ビームを投射するように構成された光学系とを備えた光モジュールにおいて、光学系は、集光器の反射表面の像を形成するように構成されているという点において注目すべき光モジュールである。
【0006】
本発明の有利な一実施形態によれば、集光器は、当該集光器の反射表面の後方部分から反射された光ビームの光線が、光軸と平行であるか、または鉛直面内において当該光軸に対して25°以下、好ましくは10°以下の傾斜角度αを有するように構成されている。当該の光線は、光ビームの光線のうち少なくとも30%、好ましくは40%、より好ましくは50%、より好ましくは更に80%に相当することが有利である。反射表面の後方部分は、当該表面の後半部であることが有利である。
【0007】
本発明の有利な一実施形態によれば、光源は、光軸に対して65°から115°の間の主方向、好ましくは光軸に垂直な主方向へ光線を放出するように構成されている。一変形例によれば、光源がレンズ型の屈折部品と関連付けられていてもよい。それは、集光器の反射表面に亘る光の分布を調節するため、特に光強度の変化を作り出すためである。
【0008】
本発明の有利な一実施形態によれば、集光器の反射表面は、放物線状または楕円状のプロファイルを有している。それは当該プロファイルの回転面であることが好ましい。その回転は、光軸に平行なことが有利である軸線周りのものである。一変形例によれば、反射表面は自由曲面やスィープ面や非対称面である。その表面は、複数の部分を含んでいてもよい。
【0009】
本発明の有利な一実施形態によれば、光学系は、光軸上で光源と同程度の所に、光軸に沿った光ビームの全体的な伝播方向に対して当該光源の前方または後方に位置した焦点を有している。
【0010】
本発明の有利な一実施形態によれば、当該モジュールは、光源によって前方へ放出されて集光器の反射表面によって反射されない光線を集光するよう、光軸に沿った光ビームの全体的な伝播方向に対して光源の前方に位置して当該表面に面したスクリーンを更に備えている。
【0011】
本発明の有利な一実施形態によれば、スクリーンは、集光した光線を吸収するよう不透明かつ無反射性である。
【0012】
本発明の有利な一実施形態によれば、光学系は投射レンズである。
【0013】
本発明の有利な一実施形態によれば、光学系は(有利には光軸上に)反射鏡を備えている。
【0014】
本発明の有利な一実施形態によれば、光学系の反射鏡が第1反射鏡であり、当該光学系は、光ビームの全体的な伝播方向に対して第1反射鏡の後方で当該光軸から距離の置かれた第2反射鏡を備えており、第1反射鏡は、第2反射鏡に向かって光ビームを反射するように構成され、第2反射鏡は、第1反射鏡によって反射された当該ビームを、光軸に略平行な方向へ反射するように構成されている。
【0015】
本発明の有利な一実施形態によれば、第1反射鏡は、平坦であるか、または当該モジュールが取付姿勢の向きにされたときに水平面内で凹形のプロファイルを有している。
【0016】
本発明の有利な一実施形態によれば、反射鏡または第2反射鏡は、当該モジュールが取付姿勢の向きにされたときに鉛直面内で放物線状のプロファイルを有している。
【0017】
本発明の有利な一実施形態によれば、集光器の反射表面は、凹形であると共に、光ビームの全体的な伝播方向に対しての前方縁部と後方縁部とを有しており、当該モジュールが取付姿勢の向きにされたとき、当該前方縁部は形成される光像の下方部分を境界付け、当該後方縁部は当該像の上方部分を境界付ける。
【0018】
本発明の有利な一実施形態によれば、後方縁部沿いの反射表面によって反射された光線が、光軸と平行であるか、または鉛直面内において当該光軸に対して25°以下、好ましくは10°以下の傾斜角度を有している。
【0019】
本発明の有利な一実施形態によれば、集光器の反射表面は、光軸の両側に後方縁部の延長をなす2つの側方縁部を備え、当該側方縁部は、当該モジュールが取付姿勢の向きにされたとき水平面内にある。
【0020】
本発明の有利な一実施形態によれば、後方縁部は水平面内にあり、形成される光像が対応する平坦な水平のカットオフを有している。
【0021】
本発明の有利な一実施形態によれば、後方縁部は曲がりを有し、形成される光像が対応する曲がった水平のカットオフを有している。
【0022】
本発明の有利な一実施形態によれば、集光器の反射表面は、光軸の両側に2つの側方縁部を備え、当該側方縁部は後方縁部と交差しており、形成される光像が対応する側方のカットオフを有している。
【0023】
本発明のもう1つの主題は、一緒に照明および/または合図用ビームを形成するように組み合わされた複数の光モジュールを備える自動車両用の光装置において、光モジュールのうち少なくとも1つは本発明による光モジュールであるという点において注目すべき光装置である。
【0024】
本発明の有利な一実施形態によれば、光モジュールのうち少なくとも1つについては、集光器の反射表面が光軸の両側に後方縁部の延長をなす2つの側方縁部を備え、当該側方縁部は当該モジュールが取付姿勢の向きにされたとき水平面内にあって、後方縁部が水平面内にあり、形成される光像が対応する平坦な水平のカットオフを有している。また当該モジュールのうち別の少なくとも1つについては、集光器の反射表面が光軸の両側に後方縁部の延長をなす2つの側方縁部を備え、当該側方縁部は当該モジュールが取付姿勢の向きにされたとき水平面内にあって、後方縁部が曲がりを有し、形成される光像が対応する曲がった水平のカットオフを呈している。照明ビームは、曲がった水平のカットオフを有している。
【0025】
本発明の有利な一実施形態によれば、少なくとも1つの光モジュールの数が少なくとも2つに達し、当該モジュールそれぞれの光学系が共通のものである。
【0026】
本発明の有利な一実施形態によれば、共通の光学系は、光ビームの全体的な伝播方向に対して、少なくとも2つの数に達する光モジュールにおける集光器の後方に位置した焦点を有している。
【0027】
本発明の手段は、集光器の被照射反射表面を映し出す(結像させる)ことによって、鮮明な投射光像を得ることが、従って当該の表面の縁部によって同様に鮮明なカットオフを達成することが可能となる、という点において有利である。より特定的には、反射表面の縁部(特に、後方縁部)は、先行技術の屈曲器を伴った光モジュールのカットオフ縁部(例えば5mm)よりも相当に大きな寸法(例えば15から20mmの間)を有している。これにより、光学素子同士の(特に、集光器に対する光源の)位置決め公差に対して光モジュールが実質的により鈍感となり、従って実質的に不安定な状況により強くなる。
【0028】
また、ガウス条件の下にあるという事実、即ち光軸に対してあまり傾いておらず当該光軸から遠くない光線は、投射系を形成するレンズが(例えば、6mm未満の厚さの)薄レンズであってよいという結果を有しており、そのレンズを単一のプラスチック射出で製造することを可能とする。
【0029】
本発明のその他の特徴および利点は、明細書および図面の助けを借りて、より理解が深まることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1実施形態による光モジュールの模式的表現。
【
図2】
図1の光モジュールにおける集光器の斜視図。
【
図3】
図1の光モジュールにおける集光器の内表面を、光軸に沿って外側から見た図。
【
図4】
図1の光モジュールによって作り出される照明ビームの光像の図式的表現。
【
図5】本発明の第2実施形態による光モジュールの模式的表現。
【
図6】
図5の光モジュールにおける集光器の斜視図。
【
図7】
図5の光モジュールにおける集光器の内表面を、光軸に沿って外側から見た図。
【
図8】
図5の光モジュールによって作り出される照明ビームの光像の図式的表現。
【
図9】本発明の第3実施形態による光モジュールの集光器の斜視図。
【
図10】
図9の光モジュールにおける集光器の内表面を、光軸に沿って外側から見た図。
【
図11】
図9の光モジュールによって作り出される照明ビームの光像の図式的表現。
【
図12】本発明の第1実施形態による、本発明による光モジュールを備えた光装置の斜視的表現。
【
図14】
図12および
図13の光装置における、曲がったカットオフを伴うモジュールと平坦なカットオフを伴うモジュール群とによってそれぞれ作り出される照明ビームの光像の図式的表現。
【
図16】本発明の第2実施形態による、本発明による光モジュールを備えた光装置の斜視的表現。
【
図18】
図16および
図17の光装置における、曲がったカットオフを伴うモジュールと平坦なカットオフを伴うモジュール群とによってそれぞれ作り出される照明ビームの光像の図式的表現。
【
図20】本発明の第3実施形態による、本発明による光モジュールを備えた光装置の斜視的表現。
【
図22】本発明の第4実施形態による、本発明による光モジュールを備えた光装置の斜視的表現。
【
図23】本発明による光モジュールにおける集光器の一変形実施形態の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1から
図4は、本発明による光モジュールの第1実施形態を示している。
【0032】
図1は、当該光モジュールと、その作動原理との模式的表現である。光モジュール2は本質的に、光源4と、当該モジュールの光軸8に沿った光ビームを形成するために光源によって放出された光線を反射することのできる集光器6と、当該ビームを投射するためのレンズ10とを備えている。投射レンズ以外の光学投射系、特に1つないし複数の(
図16および
図17にあるような)反射鏡などが想定可能である。
【0033】
光源4は、半導体光源、特に発光ダイオードであることが有利である。光源4は、当該光源の主面によって境界付けられる半分の空間内において、図示例では当該面と光軸8とに垂直な主方向へ光線を放出する。本発明によれば、放出の主方向は、光軸8に対して65°から115°の間にあることができることとなる。
【0034】
集光器6は、殻体ないしキャップの形状の保持体6.1と、保持体6.1の内面上の反射表面6.2とを備えている。反射表面6.2は、楕円型ないし放物線型のプロファイルを有しているのが有利である。その表面は、光軸と平行な軸線周りの回転面であることが有利である。或いは、それは自由曲面やスィープ面や非対称面であってもよい。その面はまた、複数の部分を含んでいてもよい。殻体ないしキャップの形状の集光器6は、優れた耐熱性を呈する材料から、例えばガラス、またはポリカーボネートPCやポリエーテルイミドPEIなどの合成高分子化合物で作られているのが有利である。表現「放物線型」は一般的には、自らの表面が単一の焦点を有している反射器、即ち光線同士が集束する1つの部位(即ち、この集束の部位に配置された光源によって放出された光線が、当該表面から反射された後に長大な距離まで投射されるような1つの部位)を有している反射器に当てはまる。長大な距離まで投射されるとは、これらの光線が、反射器の寸法の少なくとも10倍の所に位置した部位へ向かっては集束しないことを意味する。換言すれば、反射された光線同士が、ある1つの集束の部位に向かって集束しないか、或いは集束するとしても、この集束の部位が反射器の寸法の10倍以上の距離に位置しているのである。従って放物線状の表面は、放物線状の部分を特徴としていてもいなくてもよい。そのような表面を有する反射器は、一般的には単独で光ビームを作り出すのに用いられる。或いは、その反射器は、楕円型の反射器と関連付けられる投射面として用いられてもよい。この場合は、放物線型の反射器の光源が、楕円型の反射器によって反射される光線同士の集束の部位なのである。
【0035】
光源4は、自らの光線が集められて光軸に沿って反射されるように、反射表面6.2の焦点の所に配置されている。これらの反射された光線の少なくとも一部は、鉛直面内で当該軸に対して25°以下、好ましくは10°以下の傾斜角度αを有している。それは、無非点収差(即ち、投射された像の鮮明性)が得られることを可能とする、所謂ガウス条件の下にあるようにである。これらの光線は、反射表面6.2の後方部分によって反射されることが有利である。
投射レンズ10は、平凸レンズ、即ち平坦な入光面10.1と凸形の出光面10.2とを伴うものであることが有利である。レンズ10は、偏向されるべき光線の傾斜が緩やかであることから、薄いもの(例えば6mm未満)とみなされる。レンズ10は、光軸8に沿って光源4と同程度の所、或いは当該光源の後方に位置した焦点10.3を有している。この場合、焦点10.3は、集光器6の反射表面6.2と同程度の所に位置している。この焦点は、その近傍(好ましくは、10mm未満、できれば5mm未満の範囲内)にあれば、反射表面6.2の後方や前方に位置させることもできる、ということに留意されたい。
【0036】
反射表面は、それが楕円型である場合には、レンズ10の前方に位置して光軸8から距離の置かれた第2焦点6.3を有している。この焦点は、レンズの近傍にあるのであれば、レンズの入光面上でのビームの幅を減少させるよう、レンズの後方および/または光軸上に位置させることもできる、ということに留意されたい。
【0037】
光モジュール2は、当該の光源4によって放出されて反射表面6.2には当たらない光線を集光するよう、光源4の前方に配置されて集光器6の反射表面6.2に面したスクリーン12を備えていてよい。そのような手段は、光ビームの形成に(但し、厳密に言えば結像されることなく)関与するかもしれない寄生光線の存在を回避するのに有用である。これらの光線はそして、光ビームの上方部分を照らし得るこことなり、このことはカットオフを伴う照明ビームの場合には望ましくないのである。スクリーンは、これらの光線を吸収するために不透明かつ無反射性であることが有利であるが、それらの光線を遠位側の吸収部位に向かって反射するのを想定することも可能である。
【0038】
図2は、
図1の光モジュール2における集光器6の後方斜視図である。保持体6.1の殻体ないしキャップの形状と、反射表面(図示せず)が前方縁部6.2.1および後方縁部6.2.2を有しているという事実とが分かるであろう。保持体6.1が、従って反射表面6.2が、平面によって境界付けられた対称な回転面の殻体を形成しているという事実のために、当該の平面が後方縁部6.2.2を含んでいるのである。後方縁部は、この平面内において、回転の軸線の両側で左右へ伸びている。反射表面6.2が光源によって照射されたときには、その表面の全体が照らされるが、当該表面は、前方縁部6.2.1と後方縁部6.2.2とによって境界付けられているのである。
【0039】
図3は、光軸に沿って外側から見た反射表面6.2上の光強度を表現したものである。具体的には、それは表面の放射照度、即ち、当該表面の方向に垂直な電磁放射の入射における、W/m
2で表される単位面積当たりの仕事率である。表面の大部分に及ぶ暗い範囲が、より低い放射照度に対応するのに対して、もっと明るい中央の範囲は、より高い放射照度に対応している。暗い範囲が縁部6.2.1および6.2.2によって明瞭に境界付けられているのが分かるであろう。換言すれば、被照射表面6.2は本来、この表面を映し出す投射照明ビーム内にカットオフを形成することのできる鮮明な縁部を有しているのである。
【0040】
図4は、
図1の光モジュールによって投射される像の図式的表現である。水平軸線と鉛直軸線とが光モジュールの光軸上で交差している。各曲線は等照度曲線、即ちルクスで表される輝度が同じである光ビームの部位に対応した曲線である。中央部の曲線は、周縁部よりも高い輝度レベルに対応している。作り出される光ビームが、本質的に水平軸線と同じ高さにある水平のカットオフを有していることが分かるであろう。カットオフは完全に真っ直ぐではなく、かくして作り出される像の収差に対応した湾曲を有している。いずれにしても水平のカットオフは、集光器6の反射表面6.2の後方縁部(
図2)であるところの縁部6.2.2(
図3)によって作り出されるものである。作り出される光ビームが、前方縁部6.2.1に対応した鮮明な輪郭を水平軸線の下方に有していることも分かるであろう。
【0041】
図5から
図8は、本発明による第2実施形態の光モジュールを示している。第1実施形態の光モジュール(
図1から
図4)における参照符号が、同じであったり対応したりする要素を示すのに用いられているが、これらの符号の数字は100だけ増やされている。また、
図1から
図4に関するこれら要素の説明が援用される。
【0042】
第2実施形態は、第1実施形態と類似すると共に、本質的に次の点においてその実施形態と異なっている。即ち、反射表面106.2の後方縁部106.2.2が曲がりを有しており、より全般的には集光器の保持体106.1を形成する壁体および当該集光器の反射表面106.2は、光源104の方向の下方への広がりが少なくなっている。換言すれば、後方縁部106.2.2は曲がりを有するだけでなく、光軸108へ近づいてもいるのである。これは、光軸108の高さの所に最大強度があるという所望のビーム形態のためである。集光器の別の構成においては、後方縁部を光軸へ近づけないようにすることが可能である。残部は、第1実施形態の光モジュールと本質的に同じである。
【0043】
図5は、
図1と同様に、当該光モジュールと、その作動原理との模式的表現である。第1実施形態と同様、投射レンズ110以外の光学投射系、特に1つないし複数の(
図16および
図17にあるような)反射鏡などが想定可能である。集光器106が短くなっていること、即ち光源104の方への広がりが少なくなっていることが分かるであろう。
【0044】
図6は、
図2と同様の、
図5の光モジュール102における集光器6の後方斜視図である。集光器106の反射表面106.2の後方縁部106.2.2が、中央鉛直面との交差部の所に曲がりを成していることが分かるであろう。
【0045】
図7は、
図3と同様の、光軸に沿って外側から見た反射表面106.2の光強度を表現したものである。その図では、後方縁部106.2.2の曲がりが明確に分かるであろう。
【0046】
図8は、
図4と同様の、
図5の光モジュールによって投射される像の図式的表現である。
図6および
図7に見える後方縁部106.2.2の輪郭に対応した水平のカットオフの形状が分かるであろう。
【0047】
図9から
図11は、本発明による第3実施形態の光モジュールを示している。第1実施形態の光モジュール(
図1から
図4)における参照符号が、同じであったり対応したりする要素を示すのに用いられているが、これらの符号の数字は200だけ増やされている。また、
図1から
図4に関するこれら要素の説明が援用される。
【0048】
この第3実施形態は、集光器が横方向に切り詰められている点、即ち、今や第1および第2実施形態にあるような殻体の一部しか成していない点において先の2つの実施形態と異なっている。
【0049】
モジュールの構造およびその作動原理は、先の2つの実施形態と同様である。
【0050】
図9は、
図2および
図6と同様の、光モジュールの集光器の後方斜視図である。先の2つの実施形態とは違い、反射表面206.2の後方縁部206.2.2は、その横方向の広がりが限定されていることが分かるであろう。本発明において反射表面206.2は、後方縁部206.2.2および前方縁部206.2.1と交差する2つの側方縁部206.2.3および206.2.4を有している。
【0051】
図10は、
図3および
図7と同様の、光軸に沿って外側から見た反射表面206.2の光強度を表現したものである。前方206.2.1、後方206.2.2、並びに側方206.2.3および206.2.4の各縁部に対応した4つの鮮明な縁部を見ることができる。
【0052】
図11は、
図4および
図8と同様の、第3実施形態の光モジュールによって投射される像の図式的表現である。光像が、水平にだけでなく、横方向で(より特定的には、鉛直に)もカットオフされていることが分かるであろう。
【0053】
図12から
図15は、第1実施形態による自動車両用の光装置を示している。
【0054】
図12と
図13とは、当該光装置の2つの斜視図である。光装置14は、複数の本発明による光モジュールを備えている。それらの光モジュール同士が組み合わされて、曲がった水平のカットオフを有する下向きの、即ちロービーム型の光ビームを形成する。
【0055】
具体的には、光装置14は、
図5から
図8のモジュール(即ち、曲がった水平のカットオフを伴うモジュール)による第1の光モジュール102を備えている。そのような機能は、一般的に用語「曲がり」を用いて言及される。
【0056】
光装置14はまた、横並びに配置された4つの光モジュール2であって、
図1から
図4の光モジュール(即ち、平坦な水平のカットオフを伴うモジュール)による光モジュール2をも備えている。そのような機能は、一般的に用語「平坦」を用いて言及される。
【0057】
但し、これらの光モジュール2は、それらのモジュールの投射レンズ同士が一体となった共通レンズ10’を成しているという格別の特徴を有している。共通レンズ10’は、概して湾曲した水平方向のプロファイルと、入光面10’.1および出光面10’.2とを有している。そのレンズは、本質的に反射表面の後方縁部6.2.2を映し出す(結像させる)ことで鮮明な水平の(「平坦な」)カットオフを作り出すよう、各集光器6の後方に位置することが有利な焦線10’.3を有している。かくして各集光器6の被照射反射表面6.2は、本質的に鉛直方向には結像されても、水平方向にはそれほど結像されない。それは、水平方向に拡散した照射を達成することで、光モジュール2の像同士の間に良好な均一性を確保するためである。
【0058】
光モジュール102の投射レンズ110は、共通レンズ10とは別個のものであることが有利である。レンズ10の焦点そのものは、集光器106の反射表面106.2を鉛直方向のみならず水平方向でも結像させることで鮮明な「曲がった」カットオフを作り出すよう、当該表面の後方縁部106.2.2の前方に位置している。
【0059】
光モジュール102と、当該モジュール102に最も近い光モジュール2との間には、隔壁が設けられていてもよい。それは、それらのモジュールの一方から漏れる光線が他方と干渉することなく、それらのモジュール同士を相互に近付けることを可能とするようにである。そのような隔壁は、光装置が
図12に示すような取付姿勢にあるとき、本質的に鉛直方向へ広がっている。その隔壁は、光吸収性であることが有利である。
【0060】
図14は、光モジュール102(
図12および
図13)(「曲がり(KINK)」)と、光モジュール2(「平坦(FLAT)」)とによって作り出される各光像を示している。上の方の光像が光モジュール102によって作り出される。その像は、非常に鮮明であり、
図8の光像に対応している。下の方の光像は、4つの光モジュール2(
図12および
図13)のうちの2つ、即ち
図12および
図13に示す光線経路についての光モジュール102によって作り出される。鮮明な水平のカットオフと、2つのモジュールの光像同士の均一な水平方向の混合とがはっきりと分かる。水平のカットオフが、第1実施形態の光モジュールの
図4に見られるものに対して、こちらの方が低くて、特に平坦であることに留意されたい。それは、各集光器の反射表面がそれぞれ(
図5から
図8の光モジュールと同様に)光源からより遠く離れた後方縁部と両側方縁部とを有し、そして後方縁部と両側方縁部とが全く同一の平面内にあるからである。
【0061】
図15は、
図14の「曲がり(KINK)」と「平坦(FLAT)」の像同士を組み合わせた光像を示している。
図12および
図13で光線経路の示されていない2つの別の光モジュール2は、光線経路の示されている2つの光モジュール2の
図14における像と同様にして、右側で光像を完成させている、ということを理解されたい。
【0062】
図16から
図19は、第2実施形態による自動車両用の光装置を示している。
【0063】
図16と
図17とは、当該光装置の2つの斜視図である。第1実施形態の光装置と同様に、光装置114は、
図5から
図8のモジュール(即ち、曲がった水平のカットオフを伴うモジュール)による第1の光モジュール102を備えている。光装置114はまた、横並びに配置された3つの光モジュール2であって、
図1から
図4の光モジュール(即ち、平坦な水平のカットオフを伴うモジュール)による光モジュール2をも備えている。
【0064】
光装置114は本質的に、光モジュール2および102の各投射レンズが反射鏡に置き換えられている、という点において
図12および
図13の光装置14と区別される。
【0065】
具体的には、モジュール102は、第1反射鏡110’.1と第2反射鏡110’.2とを含んだ光学投射系110’を備えている。第1反射鏡110’.1は、平坦であるか、或いは凹形に湾曲した水平方向のプロファイルを有していてよい。その反射鏡は、光モジュール102の集光器によって放出された光線を第2反射鏡110’.2へ送る。この反射鏡は、光モジュール102の被照射反射表面の像を形成するように構成されている。この目的のため、第2反射鏡110’.2は、凹形で放物線状の鉛直方向のプロファイルを有していてよい。そのようなプロファイルによって、モジュール102の集光器における被照射反射表面の拡大された結像が可能となる。第2反射鏡110’.2は、特に第1反射鏡110’.1が凹形の水平方向のプロファイルを有している場合には、凸形の水平方向のプロファイルを有していてよい。説明したばかりの第1反射鏡と第2反射鏡とは、反対になっていてもよい。この場合は、結像用の第1反射鏡がもっと前方になければならないこととなる、という事実のせいで、光装置が(特に、縦方向で)もっと嵩張るものとなるであろう。
【0066】
光モジュール102と同様、光モジュール2は第1反射鏡10”.1と第2反射鏡10”.2とが設けられた光学投射系10”を備えている。作用原理は、上述した光学系110’と同じである。従って、上記で提示した言説が、光学系10”にも当てはまる。
【0067】
図18は、
図16および
図17の光モジュール102(「曲がり(KINK)」)と光モジュール2(「平坦(FLAT)」)とによって作り出される各光像を示している。第1実施形態の光装置の
図14に関してなされた言説が
図18に当てはまる。
【0068】
図19は、
図18の「曲がり(KINK)」と「平坦(FLAT)」の像同士を組み合わせた光像を示している。第1実施形態の光装置の
図15に関してなされた言説が
図19に当てはまる。
【0069】
図20は、第3実施形態による自動車両用の光装置を示している。
【0070】
図20は、当該光装置の上方から見た前方斜視図である。光装置314は、複数の本発明による光モジュールを備えている。それらの光モジュール同士が組み合わされて、ハイビーム型の照明ビームを形成する。
【0071】
具体的には、光装置314は、
図1から
図4のモジュール(即ち、平坦な水平のカットオフを伴うモジュール)と同様の2つの光モジュール302同士の第1集団を備えている。但し、それらのモジュールの鉛直方向の向きは、第1実施形態に対して逆向きになっている。それは、ハイビーム型のビームを形成する光の大部分が水平線よりも上にあるからである。従って、
図20で見ている角度によれば、各集光器306は自らの空所を上方へ向けている。簡素化の目的で、各光源は示されていない。この第1集団の機能は、ハイビームの水平方向の(或いは、別様の)広がりを達成することである。光モジュール302同士が、共通の投射レンズ310を有している。
【0072】
光装置314はまた、横並びに配置された4つの光モジュール302’であって、
図1から
図4のモジュール(即ち、平坦な水平のカットオフを伴うモジュール)と同様の(この場合もまた、鉛直方向で180°回転された)光モジュール302’同士の第2集団をも備えている。従って、
図20で見ている角度によれば、各集光器306’は自らの空所を上方へ向けている。この第2集団の機能は、ハイビームの正面範囲、即ち最大強度を有した中央部位を作り出すことである。但し、これらの光モジュール302’は、それらのモジュールの投射レンズ同士が一体となった共通レンズ310’を成しているという格別の特徴を有している。共通レンズ310’は、概して湾曲した水平方向のプロファイルと、入光面310’.1および出光面310’.2とを有している。入光面310’.1はこの場合、ハイビームの均一性を向上させるために構造化を呈している。
【0073】
光モジュール302と、当該モジュール302に最も近い光モジュール302’との間には、隔壁320が設けられていてよい。それは、それらのモジュールの一方から漏れる光線が他方と干渉することなく、それらのモジュール同士を相互に近付けることを可能とするようにである。そのような隔壁320は、図示するように、光装置が取付姿勢にあるとき、本質的に鉛直に広がっている。その隔壁は、光吸収性であることが有利である。
【0074】
図21は、全ての光源が点灯されたときの、
図20の集光器302および302’の像同士の組み合わされた光像を示している。その図では、ハイビームの配光を容易に認識することができる。
【0075】
図22は、第4実施形態による自動車両用の光装置を示している。
【0076】
図22は、当該光装置の上方から見た図である。光装置414は、複数の本発明による光モジュールを備えている。それらの光モジュール同士が組み合わされて、セグメント化されたハイビームの照明ビームを形成する。その照明ビームは、(スクリーン上で見て)船の帆の形状をした側方光セグメント群と、鉛直なストリップの形状の中央セグメント群とを伴っている。
【0077】
具体的には、光装置414は、6つの光モジュール同士の第1小集団502を備えている。中央の4つのモジュールは、
図9から
図11のモジュール(即ち、鉛直のカットオフを伴うモジュール)と同様のものである。但し、それらのモジュールの鉛直方向の向きは、第1実施形態に対して逆向きになっている。それは、ハイビーム型のビームを形成する光の大部分が水平線よりも上にあるからである。従って、
図22で見ている角度によれば、各集光器406は自らの空所を上方へ向けている。これら中央のモジュールの機能は、セグメント化されたハイビームの矩形状の中央セグメント群を形成することである。両端部のモジュールは、その集光器の一側が切り詰められている
図1から
図4のものと同様であるか、或いは、その一側が殻体へと拡張されている
図9から
図11のものと同様である。この場合もまた、集光器506,506’が上方から見られるよう、鉛直方向の向きが180°回転されている。これら側方のモジュールの機能は、セグメント化されたハイビームにおける帆の形状を有した側端セグメントを形成することである。簡素化の目的で、各光源は示されていない。この場合、集光器406,506,506’は、側方のモジュール506,506’についての上述した表面の拡張を伴いつつ、環状の繰り返しに基づいて組み立てられて横並びに配置され、集光器の光学的な焦点同士が円弧上にある、ということに留意されたい。
【0078】
光装置314はまた、第1集団と同様の6つの光モジュールを伴った第2小集団を備えている。但し、端部の2つの集光器(右側方の集光器506’’’に隣接した中央の集光器406’)は、それら2つの集光器よりも左側の別の集光器506”および406の光学的な焦点に対して順次前方へ偏位されている。換言すれば、集光器同士の間に段々が存在している。この構成は、カットオフの高さの所での光学収差を減少させて、スクリーン上に投影されたときに出来る限り鉛直となる鉛直のカットオフを伴った光セグメントを得ることを可能とするという有利性がある。必要に応じて当業者は、集光器同士が(例えば、全てが一方向に順次、或いは中央の集光器に対して両端の集光器を偏位させることによってさえも)段を付けられて偏位されている、モジュール同士の異なる構成を作り出すことができるであろう。
【0079】
セグメント化されたハイビームを生成するように小集団502,502’のビーム同士が重ね合わされる。
【0080】
第1小集団502と第2小集団502’との間には、隔壁420が設けられていてよい。それは、それらの小集団の一方から漏れる光線が他方と干渉することなく、それらの小集団同士を相互に近付けることを可能とするようにである。そのような隔壁420は、図示するように、光装置が取付姿勢にあるとき、本質的に鉛直に広がっている。その隔壁は、光吸収性であることが有利である。
【0081】
また、集光器と投射レンズとの間にスクリーン421が設置されていることが有利である。これにより、端部の集光器506’,506’’’からやって来る寄生光線を遮って、側方セグメントの鮮明性を向上させることが可能となる。
【0082】
一般的には、当該の集光器の被照射反射表面を映し出す(結像させる)ことができる限り、光モジュールや光装置の様々な実施形態について様々な光学投射系を想定することが可能である。
図16から
図19を参照して上述した1組の反射鏡の場合には、第1反射鏡および/または第2反射鏡が、関連した集光器と(これらの素子同士の相対的な位置合わせの点で有利な)一体品を成していてもよい。
【0083】
図23は、集光器の一変型例の実施形態を示している。この変形例によれば、集光器6は、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレートなどの合成高分子化合物、ガラス、またはシリコーンでできた中実の屈折部品として作られていてよい。この中実の屈折部品は、光源4によって放出された光線に対しての入光面6’.4、出光面6’.5、およびキャップの形状をした反射面6’.1を備えている。その反射面6’.1は、本発明による反射表面6’.2を作り出すために金属膜化されている。
【0084】
さらに、本発明の光モジュールは、本明細書ではロービーム、ハイビーム、または平行な鉛直のストリップ群を伴うリニアアレイ型のセグメント化されたハイビームなどの照明ビームを作り出すための光装置を形成するように説明されてきたが、これらのモジュールは、方向指示器、デイタイムランニングライト(昼間走行灯)、またはポジションライト(車幅灯)などの合図機能を果たすように設計することができるであろう、ということは言うまでもない。それらは、消灯されたときには美的に類似し合った複数のモジュールを光装置が包含するようにしたり、規定の自動車両の照明や合図の諸機能のうち複数ないしは全部までもを自動車両の前部において果たすことができたりする、という美的な有利性を有することとなる。かくして、ロービームを作り出す第1の光装置と、(セグメント化されることも可能な)ハイビームを作り出す別の光装置とを、全く同一の自動車両ヘッドランプ内で連合させることが可能となる。
【0085】
なおも全般的には、本発明による光モジュールおよび光装置の数多くの利点に注目することが有利である。即ち、本質的に、ガウス条件の下で集光器の被照射反射表面を映し出すという事実によって、鮮明な光像を得ること、従って当該の反射表面の対応する各縁部を形作ることによって様々な変化に富んだカットオフを作り出すことが可能となる。別の注目すべき利点は、最低限の水準の鮮明性を得るようにガウス条件が存在する、即ち集光器の寸法が、特に高さにおいて限定される(例えば30mm未満)という事実から結果として生じるものである。さらに別の注目すべき利点も、ガウス条件が存在する、即ち投射レンズが(例えば6mm未満の)薄レンズであってよいという有利な事実から結果として生じるものであり、それによりヒケの問題を伴うことなく、そのレンズを単一のプラスチック射出で製造することが可能となる。薄レンズは、より短い射出サイクル時間しか必要とせず、光学モジュールの重量の低減につながり、そして色収差を殆ど、ないしは全く生じさせない、という別の諸利点を有している。最後の利点により、色欠陥を僅かしか生じさせない光学的に高品質な材料に対して廉価な通常品質の合成高分子材料を用いることが可能となるのである。
【0086】
最後に、レンズが薄いものであるという事実によって、次のような特定の一実施形態を想定することが可能となる。即ち、集光器6の殻体と投射レンズ10とが射出成型によって一体品に形成され、集光器の前端部とレンズとが材料の橋架けによって連結されている実施形態である。