(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】消火用マイクロカプセル、これの製造方法及びこれを含む消火装置
(51)【国際特許分類】
A62D 1/08 20060101AFI20231114BHJP
B01J 13/06 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
A62D1/08
B01J13/06
(21)【出願番号】P 2021550311
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(86)【国際出願番号】 KR2020002432
(87)【国際公開番号】W WO2020189900
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-08-27
(31)【優先権主張番号】10-2019-0031519
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521380502
【氏名又は名称】ジーエフアイ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GFI CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】イ サンソプ
(72)【発明者】
【氏名】ソツォヴァ,アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】クラシーリニコフ,セルゲイ
【審査官】柴田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1733423(KR,B1)
【文献】欧州特許出願公開第03228366(EP,A1)
【文献】特表2014-509230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62D 1/00- 1/08
B01J 13/00-13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア(core)-シェル(shell)構造を含む消火用マイクロカプセルであって、
前記コアは消火薬剤であり、前記シェルは非多孔性高分子重合体であ
り、
前記コアである消火薬剤は1,1,2,2-テトラフルオロジブロモエタンであり、前記シェルはエポキシ樹脂である消火用マイクロカプセル。
【請求項2】
前記消火薬剤が前記シェルを離脱する脱カプセル化(Decapsulation)工程が狭い温度範囲内で短い時間で起こり、脱カプセル化率が150%/分を超えることを特徴とする、請求項1に記載の消火用マイクロカプセル。
【請求項3】
前記シェルの厚さが200nm~5μmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の消火用マイクロカプセル。
【請求項4】
前記消火用マイクロカプセルは30℃で30日間置いておいた時、重量損失が初期重量の0.5%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の消火用マイクロカプセル。
【請求項5】
前記消火用マイクロカプセルは60℃で30日間置いておいた時、重量損失が初期重量の1%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の消火用マイクロカプセル。
【請求項6】
前記シェルは水、アルコール、ケトン、エーテル及びこれらの混合物に露出される時物理-機械的性質を維持するし、乾燥後の重量損失が初期重量の0.5%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の消火用マイクロカプセル。
【請求項7】
(a)分散相はコアである消火薬剤であり、分散溶媒は極性または非極性である第1コロイド溶液を製造する段階;
(b)分散相はシェルのプレポリマーまたはオリゴマーであり、分散溶媒は極性または非極性である第2コロイド溶液を製造する段階;
(c)前記段階(a)及び前記段階(b)で製造された前記第1コロイド溶液及び前記第2コロイド溶液と沈殿剤及び/または凝固剤を混合させる段階;
(d)前記段階(c)で混合された第1コロイド溶液の界面で前記第2コロイド溶液が沈殿及び硬化されてコア-シェルを形成することで消火用マイクロカプセルが形成される段階;及び
(e)前記段階(d)で形成された前記消火用マイクロカプセルを洗浄及び濾過する段階を含
み、
前記コアである消火薬剤は1,1,2,2-テトラフルオロジブロモエタンであり、前記シェルはエポキシ樹脂である、消火用マイクロカプセルの製造方法。
【請求項8】
前記段階(a)は安定化剤または乳化剤として非イオン性物質またはイオン性界面活性剤が更に含まれることを特徴とする、請求項
7に記載の消火用マイクロカプセルの製造方法。
【請求項9】
前記段階(a)は安定化剤として高分子物質が更に含まれることを特徴とする、請求項
7に記載の消火用マイクロカプセルの製造方法。
【請求項10】
前記段階(a)は水、ケトン、アルコールまたは脂肪族炭化水素からなる群から選択された一つ以上が分散相として更に含まれることを特徴とする、請求項
7に記載の消火用マイクロカプセルの製造方法。
【請求項11】
前記段階(c)の前記沈殿剤は酢酸カリウム、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、硫酸銅、及びチオシアン酸ナトリウムからなる群から選択された一つ以上の沈殿剤を含むことを特徴とする、請求項
7に記載の消火用マイクロカプセルの製造方法。
【請求項12】
前記段階(c)の前記凝固剤は硫酸アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化鉄、及び塩化鉄からなる群から選択された一つ以上の凝固剤を含むことを特徴とする、請求項
7に記載の消火用マイクロカプセルの製造方法。
【請求項13】
前記段階(d)はシェルの硬化促進剤(accelearator)または硬化触媒(curing catalysts)が更に含まれることを特徴とする、請求項
7に記載の消火用マイクロカプセルの製造方法。
【請求項14】
前記段階(d)で前記第1コロイド溶液の界面で前記第2コロイド溶液が沈殿及び硬化させる時、紫外線、マイクロ波、赤外線または誘導加熱を加えて前記シェルを硬化させることを特徴とする、請求項
7に記載の消火用マイクロカプセルの製造方法。
【請求項15】
請求項1~
6の何れか一項に記載の消火用マイクロカプセルが高分子マトリックスに分散された消火装置。
【請求項16】
前記高分子マトリックスはフェノールホルムアルデヒド樹
脂であることを特徴とする、請求項
15に記載の消火装置。
【請求項17】
前記消火用マイクロカプセルは前記消火装置の0.1~90重量%で含まれることを特徴とする、請求項
15に記載の消火装置。
【請求項18】
前記消火装置は脱カプセル化剤、脱カプセル化触媒、脱カプセル化温度調節剤、拡散促進剤、ガス透過性向上剤及び熱伝導性向上成分を更に含むことを特徴とする、請求項
15に記載の消火装置。
【請求項19】
前記消火装置は軟性(flexible)または固体(solid)形態であることを特徴とする、請求項
15に記載の消火装置。
【請求項20】
前記消火装置は一面にガス透過膜(gas-permeable membrane)が含まれたケースが形成されることを特徴とする、請求項
15に記載の消火装置。
【請求項21】
前記ケースはグラスファイバー、炭素繊維、ステンレス鋼、アルミニウムで強化されたフェノール-ホルムアルデヒド及びエポキシからなる群から選択された何れか一つで形成されたことを特徴とする、請求項
20に記載の消火装置。
【請求項22】
前記ガス透過膜はセルのサイズが10~400μmであることを特徴とする、請求項
20に記載の消火装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消火用マイクロカプセル、これの製造方法及びこれを含む消火装置に関するもので、より詳細には消火薬剤を含むカプセルとこれを製造する製造方法及び消火用マイクロカプセルを含めて、火事(火災)の時消火が可能な消火装置に関することである。
【背景技術】
【0002】
カプセル化(encapsulation)は液体、固体またはガスをコア(core)にして、コアの外部を包むシェル(shell)を形成する物理-化学的過程であり、コア-シェル構造でシェルはカプセル化されたコアが外部環境と相互作用することを防止する。
【0003】
このようなカプセル化工程は多様な物質の機能を拡張するのに広く使用されている。カプセル化をさせる主要目的はカプセル化されたコアの制御された外部放出である。一般的に、貯蔵及び加工段階でカプセル化されたコアは外部との完璧な分離が必要である。
【0004】
カプセル化に従うコアの外部放出は使用用途に従って違うことがある。一例として、シェルから放出されるコアの制御された外部放出を利用するために、薬物、殺虫剤、香料及びミネラル肥料等のコアをカプセル化して使用できる。
【0005】
このようなカプセル化の多様な用途の中でコアを消火薬剤に含めて火事の時シェルが破壊されることで消火薬剤が外部へ放出されて火事を鎮圧する多様な技術が開発されている。
【0006】
消火用マイクロカプセルは消火薬剤をコアにして、シェル内部にカプセル化したことで、火事が発生すると狭い温度範囲で短い時間内に消火薬剤がシェルを離脱する脱カプセル化(カプセル化解除、Decapsulation)が行われて火事鎮圧を速やかにさせられるし、火事鎮圧の効率を増大できる。
【0007】
一方、コア-シェル構造の消火用マイクロカプセルに要求される機能はコアである消火薬剤を外部環境からの分離させられるべきであり、貯蔵の時消火薬剤の漏出を遮断して安定性を高めて、沸騰点(沸点)以上での長期間保管の時その特性を維持するし、消火薬剤自体の耐湿性及び他の溶媒に対した露出にも安定性を保障しなければならない。
【0008】
消火用マイクロカプセルは消火薬剤の沸騰点である70℃或いはそれ以上の温度(脱カプセル化温度)で消火薬剤の体積が急激に膨張しながらシェルを破壊して外部に放出される。
【0009】
このようなシェル破壊速度は消火中火炎の中での消火薬剤分解速度より速くなければならない。そうではないと火事鎮圧に必要な消火薬剤の濃度値を得ることができない。カプセル化された消火薬剤の放出は火事鎮圧に必要な消火濃度値を達成するため速やかに行われるべきである。
【0010】
速やかな放出可能な消火用マイクロカプセルを製造するためにはカプセルを形成するシェルに対した正しい材料と形成方法を選択することで解決できる。たんぱく質(ゼラチン、カゼイン等)、高分子(熱硬化性高分子及び熱可塑性物質)、セルロース誘導体(メチル、エチル、アセチル、ニトロ、カルボキシメチルセルロース)、または無機物質(珪酸塩、炭化物等)を基本にする高密度の非多孔性単層または多層構造でなければならない。
【0011】
前記したとおりのような消火用マイクロカプセルを製造するための従来技術の例としては、例えば、特許WO2012/177181号で、マイクロカプセル化された消火剤、それの取得方法、消火複合材料及び消火コーティング方法が提示されたところがある。
【0012】
前記発明はシェルに消火薬剤をマイクロカプセル化するための方法でポリビニールアルコール及びウレア-レゾルシノール-ホルムアルデヒド樹脂の化合物または1-5nm厚さのミネラル膜(剥離されたモンモリロナイト(montmorillonite))で満たされた架橋ゼラチンで作ったシェルが記載されている。
【0013】
このポリマーシェル(外壁)は90~270℃の温度範囲で反応する。結果的にカプセル化された消火薬剤は保管中にその特性を維持するし、カプセルの重量減少は70~100日以内に1.5%を超過しない。
【0014】
一方、前記発明の短所は消火剤の低温脱カプセル化である。消火薬剤であるNovec 1310の場合沸騰点が90℃でありNovec 114の場合120℃であるので低温で発生する脱カプセル化は消火用マイクロカプセルの物性に悪影響を及ぼす。
【0015】
また、前記発明の熱重量分析データから推論できるカプセルの段階的脱カプセル化は短い時間と狭い温度範囲で消火薬剤が拡散されなくて速やかな消火効果を表せない限界があった。
【0016】
従って、室温及び沸騰点以上での長期保存性及び安全性を表れるし、消火薬剤の脱カプセル化過程で狭い温度範囲内の短い時間に消火薬剤の放出が速やかに起これる消火用マイクロカプセルに対する研究が切実な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】国際特開公報WO2012/177181(2012.12.27)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は前記したとおりのような従来技術の問題点を解決しようとすることで、本発明の目的は室温及び沸騰点以上での長期保存性及び安全性を表せるし、消火薬剤の脱カプセル化過程で狭い温度範囲内で短い時間に消火薬剤の放出が速やかに起これるように改善された動力学(反応速度、動特性)を持つし、シェルの厚さが200nmから5μmであり、水及び他の溶媒(アルコール、ケトン、エステル等)の影響への抵抗性を持つ消火用マイクロカプセル、これの製造方法及びこれを利用した消火装置を提供しようとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記したとおりのような技術的課題を達成するため本発明は、コア(core)-シェル(shell)構造で、前記コアは消火薬剤であり、前記シェルは非多孔性高分子重合体であり、沈殿剤及び/または凝固剤を含む消火用マイクロカプセルを提供する。
【0020】
また、前記消火薬剤は化学式CxHyOzHalk(ここで、x、y、z、kは0、1、2、...であり、HalはBr、I、Fである)ことを特徴とする。
【0021】
また、前記シェルは架橋結合されたポリビニルアセテート、エチルビニルアセテート、ポリビニールアルコール、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ユリアホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂及びレゾルシノールホルムアルデヒド樹脂からなる群から選択された一つ以上の樹脂で形成されたことを特徴とする。
【0022】
また、前記沈殿剤は酢酸カリウム、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、硫酸銅、チオシアン酸ナトリウムからなる群から選択された一つ以上の沈殿剤を含むことを特徴とする。
【0023】
また、前記凝固剤は硫酸アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化鉄、塩化鉄からなる群から選択された一つ以上の凝固剤を含むことを特徴とする。
【0024】
また、前記消火薬剤が前記シェルを離脱する脱カプセル化(Decapsulation)工程が狭い温度範囲内、短い時間で起きて、脱カプセル化率が150%/分を超過することを特徴とする。
【0025】
また、前記消火用マイクロカプセルの重量が95%から15%まで落ちる(消火薬剤が外部へ放出される)温度範囲が40℃以内であることを特徴とする。
【0026】
また、前記シェルの厚さが200nm~5μmの範囲であることを特徴とする。
【0027】
また、前記消火用マイクロカプセルは30℃で30日間置いておいた時、重量損失が初期重量の0.5%以下であることを特徴とする。
【0028】
また、前記消火用マイクロカプセルは60℃で30日間置いておいた時、重量損失が初期重量の1%以下であることを特徴とする。
【0029】
また、前記シェルは水、アルコール、ケトン、エーテル及びこれらの混合物に露出される時物理-機械的性質を維持するし、乾燥の後重量損失が初期重量の0.5%以下であることを特徴とする。
【0030】
また、本発明は(a)分散相はコアである消火薬剤であり、分散溶媒は極性または非極性である第1コロイド溶液を製造する段階;(b)分散相はシェルのプレポリマーまたはオリゴマーであり、分散溶媒は極性または非極性である第2コロイド溶液を製造する段階;(c)前記段階(a)及び前記段階(b)で製造された前記第1コロイド溶液及び前記第2コロイド溶液と沈殿剤及び/または凝固剤を混合させる段階;(d)前記段階(c)で混合された第1コロイド溶液の界面で前記第2コロイド溶液が沈殿及び硬化されてコア-シェルを形成することで消火用マイクロカプセルが形成される段階;及び(e)前記段階(d)で形成された前記消火用マイクロカプセルを洗浄及び濾過する段階を含む消火用マイクロカプセルの製造方法を提供する。
【0031】
また、前記段階(a)の前記消火薬剤は化学式CxHyOzHalk(ここで、x、y、z、kは0、1、2、...であり、HalはBr、I、Fである)であることを特徴とする。
【0032】
また、前記段階(b)の前記シェルは架橋結合されたポリビニルアセテート、エチルビニルアセテート、ポリビニールアルコール、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ユリアホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂及びレゾルシノールホルムアルデヒド樹脂からなる群から選択された一つ以上の樹脂であることを特徴とする。
【0033】
また、前記段階(a)は安定化剤または乳化剤として非イオン性物質またはイオン性界面活性剤が更に含まれることを特徴とする。
【0034】
また、前記段階(a)は安定化剤として高分子物質が更に含まれることを特徴とする。
【0035】
また、前記段階(a)は水、ケトン、アルコールまたは脂肪族炭化水素からなる群から選択された一つ以上が分散相として更に含まれることを特徴とする。
【0036】
また、前記段階(c)の前記沈殿剤は酢酸カリウム、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、硫酸銅、チオシアン酸ナトリウムからなる群から選択された一つ以上の沈殿剤を含むことを特徴とする。
【0037】
また、前記段階(c)の前記凝固剤は硫酸アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化鉄、塩化鉄からなる群から選択された一つ以上の凝固剤を含むことを特徴とする。
【0038】
また、前記段階(d)はシェルの硬化促進剤(accelearator)または硬化触媒(curing catalysts)が更に含まれることを特徴とする。
【0039】
また、前記段階(d)で前記第1コロイド溶液の界面で前記第2コロイド溶液が沈殿及び硬化させる時、紫外線、マイクロ波、赤外線または誘導加熱を加えて前記シェルを硬化させることを特徴とする。
【0040】
また、本発明は前記した消火用マイクロカプセルが高分子マトリックスに分散された消火装置を提供する。
【0041】
また、前記高分子マトリックスはフェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレア樹脂、レゾルシノールホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアクリレートまたはポリメチルメタクリレートからなる群から選択された一つ以上の樹脂であることを特徴とする。
【0042】
また、前記消火用マイクロカプセルは前記消火装置の0.1~90重量%で含まれることを特徴とする。
【0043】
また、前記消火装置は脱カプセル化剤、脱カプセル化触媒、脱カプセル化温度調節剤、拡散促進剤、ガス透過性向上剤及び熱伝導性向上成分を更に含むことを特徴とする。
【0044】
また、前記消火装置は軟性(flexible)または固体(solid)形態であることを特徴とする。
【0045】
また、前記消火装置は一面にガス透過膜(gas-permeable membrane)が含まれたケースが形成されることを特徴とする。
【0046】
また、前記ケースはグラスファイバー、炭素繊維、ステンレス鋼、アルミニウムで強化されたフェノール-ホルムアルデヒド及びエポキシからなる群から選択された何れか一つで形成されたことを特徴とする。
【0047】
あわせて、前記ガス透過膜はセルのサイズが10~400μmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0048】
本発明に従った消火用マイクロカプセルはコア-シェル構造でシェル内部にカプセル化された消火薬剤を含めるし、高分子で成ったシェルが堅固で水または他の溶媒に高い抵抗性を持つし、室温及び沸騰点以上での長期保存性及び安全性を表せるので作動信頼性が向上されるし、消火薬剤の脱カプセル化過程で狭い温度範囲内で短い時間に消火薬剤がシェルを破壊及び放出される脱カプセル化が速やかに起こって、火事が発生して所定の温度以上に周りの温度が上昇することになると消火薬剤の放出で初期に火事を鎮圧したり火事が広がることを予防する効果がある。
【0049】
また、本発明に従った消火用マイクロカプセルは高い温度でシェルが維持され沸騰点以上での消火薬剤を担持できて瞬間的に温度が急上昇及び急降下するESS、リチウムイオン蓄電池モジュール等に誤作動なく性能を維持できる効果がある。
【0050】
また、本発明に従った消火用マイクロカプセルは水または他の溶媒に高い抵抗性を表せるので、高分子マトリックスに分散させて多様な消火装置に製造する時にもシェル内部のコアである消火薬剤の漏出が少なくて安定的で信頼性の高い消火装置への製造ができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】本発明の一実施例に従った(a)消火用マイクロカプセル及び(b)脱カプセル化温度以上で破壊された消火用マイクロカプセルを撮影したSEMイメージである。
【0052】
【
図2】本発明の一実施例に従った消火用マイクロカプセルの熱重量分析(Thermo-gravimetric Analyzer)結果グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下本発明の好ましい実施例を通じて詳細に説明する前に、本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は通常的であったり辞典的な意味に限定して解釈されてはならないし、本発明の技術的思想に符合する意味と概念と解釈されるべきであることを 明かしておく。
【0054】
本明細書全体で、ある部分がとある構成要素を“含む”と言う時、これは特別に反対する記載がいない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができるにを意味する。
【0055】
以下では本発明の消火用マイクロカプセル、これの製造方法及びこれを利用した消火装置に関してより詳細に説明しようとする。
【0056】
本発明はコア(core)-シェル(shell)の構造で、前記コアは消火薬剤であり、前記シェルは高密度非多孔性高分子重合体であり、沈殿剤及び/または凝固剤を含む消火用マイクロカプセルを提供する。
【0057】
図1(a)は本発明に従う一実施例に従った消火用マイクロカプセルのSEM写真で、マイクロカプセルは球形を表せるし、消火用マイクロカプセルのサイズは150~300μmでありえるが、これに限定されるのではない。
【0058】
本発明の消火薬剤は化学式CxHyOzHalk(ここで、x、y、z、kは0、1、2、...であり、HalはBr、I、Fである)であることを使用できるし、一例に、3M社のノベック1230(Novec 1230)を使用できる。
【0059】
本発明のシェルは架橋結合されたポリビニルアセテート、エチルビニルアセテート、ポリビニールアルコール、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ユリアホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂及びレゾルシノールホルムアルデヒド樹脂からなる群から選択された一つ以上の樹脂で形成できる。
【0060】
または、架橋結合されたポリビニルアセテート、エチルビニルアセテート及びポリビニールアルコールの中で少なくとも二つ以上の共重合体、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ユリアホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂及びレゾルシノールホルムアルデヒド樹脂の中で二つ以上の共重合体を使用してシェルを形成させることができる。
【0061】
本発明の沈殿剤は酢酸カリウム、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、硫酸銅、チオシアン酸ナトリウムからなる群から選択された一つ以上の沈殿剤を含むことができる。
【0062】
また、凝固剤は硫酸アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化鉄、塩化鉄からなる群から選択された一つ以上の凝固剤を含むことができる。
【0063】
本発明の消火用マイクロカプセルはコアである消火薬剤がシェルを離脱する脱カプセル化(Decapsulation)工程が狭い温度範囲で短い時間に起こるし、消火薬剤がシェルを離脱する比率である脱カプセル化(Decapsulation、カプセル除去)率が150%/分を超過できる。
【0064】
図1(b)はシェル内部に含まれたコアである消火薬剤が周りの温度上昇によって液体から気体に変換されるし、これに従った体積上昇でシェルを破壊しながら外部に流出された後のシェル写真を撮影したSEM写真である。
【0065】
図1(b)でのようにコアがシェルを破壊して出たりシェルが崩壊されコアを放出することを脱カプセル化(またはカプセル化解除、Decapsulation)工程と言う時、このような脱カプセル化工程は消火用マイクロカプセルの重量が95%から15%まで落ちる(消火薬剤が外部へ放出される)温度範囲が40℃以内であることが好ましい。
【0066】
図2は本発明の一実施例に従った消火用マイクロカプセルの熱重量分析(Thermo-gravimetric Analyzer)結果グラフで、
図2を参考して説明すれば、消火用マイクロカプセルの重量が95%になる温度が130℃であり、消火用マイクロカプセルの重量が15%になる温度が170℃である。消火薬剤の脱カプセル化工程が発生する温度の範囲が40℃以上差が出るようになると内部の消火薬剤放出が段階的に発生して火事を鎮圧するための適正消火薬剤濃度を充足させないし、狭い温度範囲内で一時に消火薬剤を放出してこそ火事を速やかに鎮圧できる。従って、消火用マイクロカプセルは温度範囲が40℃以内で消火用マイクロカプセルの重量が95%から15%になるように構成できる。
【0067】
また、脱カプセル化がされなかった消火用マイクロカプセルを分母に、脱カプセル化された消火用マイクロカプセルを分子にした脱カプセル化率は150%/分を超過できる。
【0068】
本発明の消火用マイクロカプセルのシェル厚さは200nm~5μmの範囲でありえるし、200nmより薄いとシェルの安定性が低くなって内部の消火薬剤が外部に漏出されたりシェル同士の重さによって形態が破損されることがありえるし、シェル厚さが5μmより厚くと内部の消火薬剤が外部へ放出される脱カプセル化工程が発生され難い。
【0069】
また、消火用薬剤の室温及び沸騰点以上での長期保存性及び安全性のために、消火用マイクロカプセルを30℃で30日間置いておいた時、重量損失が初期重量の0.5%以下であり、60℃で30日間置いておいた時、重量損失が初期重量の1%以下になるようにシェルを形成できる。
【0070】
本発明で消火用マイクロカプセルに形成されるシェルは外部環境で接することができる水、アルコール、ケトン、エーテル及びこれらの混合物に露出される時物理-機械的性質を維持できるし、乾燥の後重量損失が初期重量の0.5%以下になるようにシェルを形成できる。
【0071】
また、本発明では(a)分散相はコアである消火薬剤であり、分散溶媒は極性または非極性である第1コロイド溶液を製造する段階、(b)分散相はシェルのプレポリマーまたはオリゴマーであり、分散溶媒は極性または非極性である第2コロイド溶液を製造する段階、(c)前記段階(a)及び前記段階(b)で製造された前記第1コロイド溶液及び前記第2コロイド溶液と沈殿剤及び/または凝固剤を混合させる段階、(d)前記段階(c)で混合された第1コロイド溶液の界面で前記第2コロイド溶液が沈殿及び硬化されてコア-シェルを形成することで消火用マイクロカプセルが形成される段階及び(e)前記段階(d)で形成された前記消火用マイクロカプセルを洗浄及び濾過する段階を含む消火用マイクロカプセルの製造方法を提供する。
【0072】
本発明の段階(a)で使用される消火薬剤は化学式CxHyOzHalk(ここで、x、y、z、kは0、1、2、...であり、HalはBr、I、Fである)であることを使用できるし、一例に、3M社のノベック1230(Novec 1230)を使用できる。
【0073】
また、段階(b)で使用されるシェルは架橋結合されたポリビニルアセテート、エチルビニルアセテート、ポリビニールアルコール、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ユリアホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂及びレゾルシノールホルムアルデヒド樹脂からなる群から選択された一つ以上の樹脂で形成できる。
【0074】
または、架橋結合されたポリビニルアセテート、エチルビニルアセテート及びポリビニールアルコールの中で少なくとも二つ以上の共重合体、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ユリアホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂及びレゾルシノールホルムアルデヒド樹脂の中で二つ以上の共重合体を使用してシェルを形成させることができる。
【0075】
また、本段階でオリゴマーの重合体または商業的エマルジョンが更に含まれることができる。
【0076】
また、段階(a)は安定化剤または乳化剤として非イオン性物質またはイオン性界面活性剤が更に含まれられるし、または、安定化剤として高分子物質が更に含まれることができる。
【0077】
また、安定化剤は製造過程でシェルの一部に形成できる。
【0078】
段階(a)は水、ケトン、アルコールまたは脂肪族炭化水素からなる群から選択された一つ以上が分散相として更に含まれることができる。
【0079】
また、段階(a)で第1コロイドを製造する分散機(disperser)、プロペラ(propeller)またはタービンミキサー(turbine mixer)の中どんなものを使用するかによって消火用マイクロカプセルのサイズを選択的に形成させることができる。
【0080】
本発明の段階(c)の沈殿剤は酢酸カリウム、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、硫酸銅、チオシアン酸ナトリウムからなる群から選択された一つ以上の沈殿剤を含むことができる。
【0081】
また、段階(c)の凝固剤は硫酸アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化鉄、塩化鉄からなる群から選択された一つ以上の凝固剤を含むことができる。
【0082】
本発明の段階(d)はシェルの硬化促進剤(accelearator)または硬化触媒(curing catalysts)が更に含まれることができる。
【0083】
また、段階(d)では第1コロイド溶液の界面で前記第2コロイド溶液が沈殿及び硬化される時、紫外線、マイクロ波、赤外線または誘導加熱を加えて第1コロイド溶液の界面で第2コロイド溶液が沈殿及び硬化される時シェルへの硬化を手伝うことができる。
【0084】
本発明は消火用マイクロカプセルが高分子マトリックスに分散された消火装置を提供する。
【0085】
本発明の消火装置に分散される消火用マイクロカプセルは上述した消火用マイクロカプセルであるので説明は省略する。
【0086】
本発明の高分子マトリックスはフェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレア樹脂、レゾルシノールホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアクリレートまたはポリメチルメタクリレートからなる群から選択された一つ以上の樹脂であることを使用できる。
【0087】
また、消火装置は消火用マイクロカプセルを0.1~90重量%含むことができる。消火装置が0.1重量%以下で消火用マイクロカプセルを含む場合、火事の時消火薬剤の放出量が少なくて火事の鎮圧が難しいし、90重量%以上で含む場合、消火装置の形成が難しくなる問題点を持っている。
【0088】
また、消火装置は脱カプセル化剤、脱カプセル化触媒、脱カプセル化温度調節剤、拡散促進剤、ガス透過性向上剤及び熱伝導性向上成分を更に含むことができる。
【0089】
また、消火装置は高分子マトリックスの物性に従って軟性(flexible)または固体(solid)形態で形成できるし、固体の場合硬性(rigid)を表せることができる。
【0090】
また、消火装置は一面にガス透過膜(gas-permeable membrane)が含まれたケースが形成できる。このようなケースはグラスファイバー、炭素繊維、ステンレス鋼、アルミニウムで強化されたフェノール-ホルムアルデヒド及びエポキシからなる群から選択された何れか一つで形成できるし、ガス透過膜の場合、セルのサイズが10~400μmであることを使用できる。
【0091】
このように製造された消火装置は周りの温度が約140℃である時まで消火薬剤を放出せずにシェルを維持するし、それ以上の温度で脱カプセル化工程を進行してESS、リチウムイオン蓄電池モジュール、ファブ(fab)等熱の急上昇が予想される高温装置にも設置ができる。
【0092】
また、消火用マイクロカプセルのシェル厚さ及び/または結合体(バインダー物質)を調整して特定作動温度を調節できる。
【0093】
また、本発明の消火装置は多様な結合体(バインディング物質)組み合わせ及び応用して、フィルム、シート、パッド、ワイヤ、ペイント及びペースト等の多様な形態で製造ができる。
【0094】
また、消火装置の製造中に低粘度結合体及び真空を利用して結合体内の空気を無くすことで結合体内の空気による空隙が熱伝導率を低下させずに、消火装置内の消火用マイクロカプセルに同一に熱伝達ができる。
【0095】
また、消火装置は消火用マイクロカプセルの含量が60重量%未満である場合、軟化された懸濁液を利用して製造できる。懸濁液は消火用マイクロカプセルと必要による添加剤及び20~30%程度予め硬化された高分子マトリックスで製造できる。
【0096】
この場合、懸濁液の予備軟化は60℃で混合物の抵抗性に従ってマイクロ波または誘導加熱によって行われるし、流体状態を得るために60分間露出させる。
【0097】
一方、消火装置の消火用マイクロカプセル含量が60重量%以上である場合、ペーストを加圧して製造できる。ペーストは消火用マイクロカプセルと必要による添加剤及び40~60%程度予め硬化された高分子マトリックスで製造できる。
【0098】
この場合、懸濁液の予備軟化は60℃で混合物の抵抗性に従ってマイクロ波または誘導加熱によって行われるし、弾性状態を得るために60分間露出させる。
【実施例】
【0099】
以下、実施例及び実験例を挙げて本発明を更に詳細に説明することにする。
【0100】
提示された実施例及び実験例は本発明の具体的な例示であるだけで、本発明の範囲を制限するためのものではない。
【0101】
<実施例1>
消火用マイクロカプセル製造-
コアである消火薬剤は1,1,2,2-テトラフルオロジブロモエタンであり、シェルはエポキシ樹脂を使用した。消火装置に使用される高分子マトリックスはフェノール-ホルムアルデヒド樹脂 (Phenol-Formaldehyde resin)を使用した。
【0102】
1,1,2,2-テトラフルオロジブロモエタン50gを水150gに入れてポリエチレングリコール(平均分子量6000)を安定化剤に使用した。15分の間150rpmで攪拌させながら第1コロイド溶液を製造した。第1コロイド溶液は持続的に攪拌しながら温度25℃で50分の間恒温処理する。エポキシ樹脂の水溶液はシェルの出発成分として使用されたしTDSに従う樹脂の硬化温度は50℃であった。水性樹脂溶液を1,1,2,2-テトラフルオロビブロモエタン100重量部当たり無水エポキシ樹脂10重量部比率で恒温処理された1,1,2,2-テトラフルオロビブロモエタンのコロイド溶液に添加して第2コロイド溶液を製造した。エポキシ樹脂溶液を添加した直後に沈殿剤(無水エポキシ樹脂の3重量%の塩化アンモニウム)を溶液に導入する。温度プロファイルは次の通りである;塩化アンモニウム投入、1K/分の速度で40℃に加熱、40℃で35分の間維持、35℃で10K/分の速度で冷却、24時間の間温度調節を続けた。24時間後混合物を50℃に加熱して1.5時間の間維持した。生成された混合物は消火用マイクロカプセルの懸濁液形成が完了した直後吸入フィルターで排水、洗浄及び乾燥された。前記方法を通じてシェル厚さが2.5μmであり、2%の空隙率、170℃の脱カプセル化温度及び95%の収率を持つし、消火薬剤で1,1,2,2-テトラフルオロジブロモエタンを持つ消火用マイクロカプセルを製造した。
【0103】
消火装置製造-
フェノール-ホルムアルデヒド樹脂100gを混合機を利用して完全に混合させる。その後、ウロトロピン(urotropin)10g及びエポキシ樹脂50gで製造されたシェル及び1,1,2,2-テトラフルオロジブロモエタンを消火薬剤で含む消火用マイクロカプセルを混合機に入れて一定な攪拌下に混合させた。生成された組成物は均質な塊が形成される時まで完全に混合された。ニーダー(kneader)タンクは0.01MPaの圧力に到達するまで真空をかけて、真空状態で混合終了後20分の間維持させた。
【0104】
生成された塊をこね桶(dough bowl)から取り出して鋳造型に分散させた後120℃に加熱させた後、金型から除去して消火用マイクロカプセルが含まれた消火装置を製造した。この消火装置は追加硬化のため70℃の温度で36時間の間追加に熱処理して最終的に製造した。
【0105】
<実施例2>
コアである消火薬剤はペルフルオロ-2-メチル-3-ペンタノンであり、シェルは架橋結合されたポリビニールアルコールを使用した。消火装置に使用される高分子マトリックスはポリプロピレンを使用した。
【0106】
ペルフルオロ-2-メチル-3-ペンタノン50gを水150gに入れてポリビニルアルコール硫酸塩を安定化剤に使用した。20分の間110rpmで攪拌させながら第1コロイド溶液を製造した。第1コロイド溶液は持続的に攪拌しながら温度25℃で50分の間恒温処理した。エピクロロヒドリンはポリビニールアルコールを架橋させるための架橋剤でポリビニールアルコール100重量部当たり10重量部で添加されたし、この二つは1,1,2,2,-テトラフルオロジブロモメタン恒温処理された1,1,2,2-テトラフルオロビブロモエタンのコロイド溶液に添加して第2コロイド溶液を製造した。エピクロロヒドリンを添加した直後に沈殿剤(無水ポリビニールアルコール1重量%のチオシアン酸ナトリウム)を溶液に導入する。温度プロファイルは次の通りである;チオシアン酸ナトリウム投入、1K/分の速度で45℃に加熱、40℃で5時間維持、30℃で10K/分の速度で冷却、5時間の間温度調節を続けた。生成された混合物は消火用マイクロカプセルの懸濁液形成が完了された直後吸入フィルターで排水、洗浄及び乾燥された。前記方法を通じてシェル厚さが1μmであり、1.2%の空隙率、140℃の脱カプセル化温度及び95%の収率を持つし、消火薬剤でペルフルオロ-2-メチル-3-ペンタノンを持つ消火用マイクロカプセルを製造した。
【0107】
消火装置製造-
ポリプロピレン100gを混合機を利用して完全に混合させる。その後、ポリビニールアルコール50gで製造されたシェル及びペルフルオロ-2-メチル-ペンタノンを消火薬剤で含む消火用マイクロカプセルを混合機に入れて一定な攪拌下に混合させた。生成された組成物はレシーバースクリュ押出機(receiver screw extruder)を利用して押出したし、押出機の作動温度は150℃に設定した。
【0108】
前記作業を通じて消火用マイクロカプセルが含まれた消火装置を製造したし、寸法(サイズ)は使用用途に合うように裁断して使用した。
【0109】
<実施例3>
コアである消火薬剤は1,1,2,2-テトラフルオロジブロモエタンであり、シェルはポリウレアを使用した。消火装置に使用される高分子マトリックスはポリメチルメタクリレート(PMMA)を使用した。
【0110】
1,1,2,2-テトラフルオロジブロモエタン50gを水150gに入れてポリ(エチレン-alt-マレイン酸無水物)を安定化剤に使用した。40分の間3000rpmで攪拌させながら第1コロイド溶液を製造した。第1コロイド溶液は持続的に攪拌しながら温度25℃で90分の間恒温処理する。イソシアネート及びポリアミン水溶液はシェルの出発成分として使用されたしこれら水溶液は1,1,2,2-テトラフルオロビブロモエタン100重量部当たり無水エポキシ樹脂15重量部比率で恒温処理された1,1,2,2-テトラフルオロビブロモエタンのコロイド溶液に添加して第2コロイド溶液を製造した。イソシアネート及びポリアミン水溶液を添加した直後に沈殿剤(無水ポリウレア樹脂8重量%のヨウ化カリウム)を溶液に導入する。温度プロファイルは次の通りである;ヨウ化カリウム投入、1K/分の速度で40℃に加熱、40℃で60分間維持、1K/分の速度で50℃に加熱、50℃で60分の間維持、1K/分の速度で60℃に加熱、60℃で24時間の間温度調節を続けた。生成された混合物は消火用マイクロカプセルの懸濁液形成が完了した直後吸入フィルターで排水、洗浄及び乾燥された。前記方法を通じてシェル厚さが5μmであり、2%の空隙率、110℃の脱カプセル化温度及び95%の収率を持つし、消火薬剤で1,1,2,2-テトラフルオロジブロモエタンを持つ消火用マイクロカプセルを製造した。
【0111】
消火装置製造-
アクリルエマルジョン重合体(30%)300gを混合機を利用して完全に混合させる。その後、ポリウレア樹脂50gで製造されたシェル及び1,1,2,2-テトラフルオロジブロモエタンを消火薬剤で含む消火用マイクロカプセルを混合機に入れて一定な攪拌下に混合させた。生成された組成物は均質な塊が形成される時まで完全に混合された。ニーダー(kneader)タンクは0.01MPaの圧力に到達するまで真空をかけて、真空状態で混合終了後30分の間維持させた。
【0112】
生成された塊をこね桶から取り出して鋳造型に分散させた後60℃に加熱させた後、金型から除去して弾性を持つし、消火用マイクロカプセルが含まれた消火装置を製造した。この消火装置は追加硬化のため70℃の温度で36時間の間追加に熱処理して最終的に製造した。