(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】側壁メッキ層を有する半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/50 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
H01L23/50 D
(21)【出願番号】P 2021551936
(86)(22)【出願日】2019-03-08
(86)【国際出願番号】 US2019021272
(87)【国際公開番号】W WO2020185192
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】520323779
【氏名又は名称】シリコニックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILICONIX INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】2585 Junction Avenue,San Jose,California 95134-1923 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100079980
【氏名又は名称】飯田 伸行
(74)【代理人】
【識別番号】100167139
【氏名又は名称】飯田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リン,バリー
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0133302(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0035166(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0181678(US,A1)
【文献】特開2017-228559(JP,A)
【文献】特開2016-167532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/28、23/48-23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体パッケージを製造する方法において、
第1方向に伸延した一方のメッキバーと、同じく第1方向に伸延した他方のメッキバーとがあって、これらのメッキバーを互いに離して間を開けて配置した第1セットのメッキバー、
前記第1方向と直交する第2方向に伸延した一方のメッキバーと、同じく第2方向に伸延した他方のメッキバーとがあって、これらのメッキバーを互いに離して間を開けて配置した第2セットのメッキバー、
を構成する複数のメッキバー
があって、
各ダイパッケージが集積回路ダイおよび複数のリード部を有し
ており、この複数のダイパッケージ
が列状
に配列されて、底面を有した前記複数のダイパッケージの各ダイパッケージ
が第1縁、この第1縁に対向する第2縁、第3縁及びこの第3縁に対向する第4縁を有し、そして、前記複数のダイパッケージのそれぞれの前記ダイパッケージが、前記ダイパッケージの前記第1縁に隣接する前記第1セットの一方のメッキバーと、前記ダイパッケージの前記第2縁に隣接する前記第1セットの他方のメッキバーとの間に位置して、電気的結合を有してそれらのメッキバーに取り付けられており、さらに、前記複数のダイパッケージのそれぞれの前記ダイパッケージが、前記ダイパッケージの前記第3縁に隣接する前記第2セットの一方のメッキバーと、前記ダイパッケージの前記第4縁に隣接する前記第2セットの他方のメッキバーとの間に位置して、電気的結合を有してこれらのメッキバーに取り付けられており、
そこで、前記複数のダイパッケージのそれぞれの前記ダイパッケージは、単一の第1タイバーを介して前記ダイパッケージの前記第1縁に隣接する前記第1セットの一方のメッキバーに
電気的結合するダイパドル
であって、単一の第2タイバーを介して前記ダイパッケージ
の前記第2縁に隣接する前記第1セットの他方のメッキバーに電気的結合する前記ダイパドルを備え、そしてさらに、前記ダイパドルに電気的結合すると共に前記ダイパドルから伸びた少なくともいくつかの複数のリード部を設け、この複数のリード部のそれぞれが側壁と底面とを有しており、その上さらに、前記ダイパドルから離れて隙間を設けて配置した前記複数のリード部の少なくとも一つが、単一の第3タイバーを介して、前記ダイパッケージの前記第2縁に隣接するメッキバーである前記第1セットのメッキバーに電気的結合しており、
前記ダイパドルと前記複数のリード部とを備えたリードフレームアセンブリを用意して、
前記複数のリード部の底面
、前記ダイパドルの底面
、前記リードフレームアセンブリ、およびパッケージアセンブリを形成する成形封入部を露出させた状態で
前記リードフレームアセンブリの少なくとも一部
を成形封入部
に封入して、
前記パッケージアセンブリの
前記第2セットのメッキバーを完全に貫通するが、前記パッケージアセンブリの前記成形封入部に対しては
、これを部分的に貫通する第1の一連の平行カットを形成して、前記
複数のリード部の側壁の表面
に露出
部を形成して、
前記
複数のリード部の
前記側壁の表面の
前記露出
部の少なくとも一部
を電気メッキし
て、
前記第1の一連の平行カットの幅よりも小さなカット幅で前記第1の一連の平行カットに整合する第2の一連の平行カット
を行って、前記成形封入部を完全に貫通させてステップカットウェッタブル側部を形成し、そして
前記第1の一連の平行カットおよび前記第2の一連の平行カットに
対して直交方向に向けて、前記成形封入部
および前記第1セットのメッキバーを完全に貫通して第3の一連の平行カットを形成することを特徴とする半導体パッケージ
を製造
する方法。
【請求項2】
前記
複数のリード部
の第1リードセットの組が、前記複数のダイパッケージの
各ダイパッケージの第3縁に隣接して位置付けされて、前記複数のリード部の第2リードセットの組が、前記複数のダイパッケージの各ダイパッケージの第4縁に隣接して位置付けされる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1リードセットの側壁が、各ダイパッケージの前記第3縁に隣接する前記第2セットの一方のメッキバーの各メッキバーに対面して互いに整合しており、そして、前記第2リードセットの側壁が、各ダイパッケージの前記第4縁に隣接する前記第2セットの他方のメッキバーの各メッキバーに対面して互いに整合する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ダイパドルから離れて間を設けてある前記複数のリード部の少なくとも一つのリード部がゲートリード部である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のリード部の少なくとも一つのリード部がソースリード部であり、このソースリード部は前記ダイパドルおよび前記ゲートリード部から離れて間を設けて配置してあり、そして、前記ソースリード部は、単一の第4タイバーを介して前記ゲートリード部に供するメッキバーと同じメッキバーに電気的結合する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2タイバーが前記ゲートリード部と前記ソースリード部との間に伸ばす請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ダイパドルの露出した前記底面を電気メッキして、前記複数のリード部の露出した前記底面を電気メッキする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のダイパッケージの前記した各ダイパッケージの前記第1縁および前記複数のダイパッケージの前記した各ダイパッケージの前記第2縁が、電解メッキでない請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1タイバーが前記第2タイバーの差渡し長さよりも大きな差渡し長さを有する請求項1に記載の方法。
【請求項10】
半導体パッケージを製造する方法において、
ダイパドルおよび複数のリード部を有し、前記ダイパドルおよび前記リード部が底面を有し、それぞれの前記リード部が側壁を有し、前記リード部の少なくともいくつかは前記ダイパドルから伸延しかつ前記ダイパドルに電気的結合しており、前記複数のリード部の少なくとも一つのリード部は前記ダイパドルから離れて隙間を設けて配置されており、
第1方向に延びたメッキバーのそれぞれが互いに離れて配置された前記メッキバーの第1セットおよび前記第1方向に直交する第2方向に延びたメッキバーのそれぞれが互いに離れて配置された前記メッキバーの第2セットを構成する複数のメッキバーがあって、ダイパッケージを囲い且つ前記ダイパッケージに電気的結合して取り付けた前記複数のメッキバーを提供し、
単一の第1タイバーを介してメッキバーの前記第1セットの前記複数のメッキバーの一つに前記ダイパドルの第1縁を電気的結合し、
単一の第2タイバーを介してメッキバーの前記第1セットの前記複数のメッキバーの別の一つに前記ダイパドルの対向側の第2縁を電気的結合し、
メッキバーの前記第1セットの前記複数のメッキバーの一つに、前記ダイパドルから離れて間を設けて配置された前記複数のリード部の少なくとも一つのリード部を、単一の第3タイバーを介して電気的結合し、
前記複数のリード部の前記底面および前記ダイパドルの前記底面を露出させた状態で、前記ダイパッケージの少なくとも一部と前記複数のメッキバーの少なくとも一部とを成形封入部で封入し、
前記複数のメッキバーの前記第2セットのメッキバーを貫通して、且つ前記成形封入部を部分的に貫通させて、前記複数のリード部の側壁の表面の一部を露出部にするための第1の一連の平行カットを行い、
前記複数のリード部の前記側壁の表面の前記露出部の少なくとも一部を電気メッキして、
前記第1の一連の平行カットの幅よりも小さなカット幅で前記第1の一連の平行カットに整合する第2の一連の平行カットを行って、前記成形封入部を完全に貫通させてステップカットウェッタブル側部を形成し、そして
前記第1の一連の平行カットおよび前記第2の一連の平行カットに対して直交方向に向けて、前記成形封入部および前記複数のメッキバーのうち前記第1セットの前記メッキバーを完全に貫通する第3の一連の平行カットを行うことを特徴とする半導体パッケージを製造する方法。
【請求項11】
前記ダイパドルから離れて間を設けて配置された前記複数のリード部の少なくとも一つのリード部がゲートリード部である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数のリード部の少なくとも一つのリード部がソースリード部であり、このソースリード部は前記ダイパドルおよび前記ゲートリード部から離れて間を設けて配置してあり、そして、前記ソースリード部は、単一の第4タイバーを介して前記ゲートリード部に接続させるメッキバーと同じメッキバーに電気的結合する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2タイバーが前記ゲートリード
部と前記ソースリード
部との間に伸ばされる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ダイパッケージの前記第1縁および前記ダイパッケージの前記第2縁が、電解メッキでない請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記第1タイバーが前記第2タイバーの差渡し長さよりも大きな差渡し長さを有する請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のリード部の第1リードセットの組が、間を設けて配置する前記メッキバーの前記第2セットの一つのメッキバーに隣接して位置付けられており、そして、前記複数のリード部の前記第1リードセットの組に対向する第2リードセットの組が、前記メッキバーの前記第2セットの別の一つのメッキバーに隣接して位置付けられている請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記第1リードセットの側壁が前記第2セットのメッキバーの一方のメッキバーに対面して互いに整合して、そして、前記第2リードセットの側壁が前記第2セットのメッキバーの他方のメッキバーに対面して互いに整合する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記リード部は銅に電気メッキを用いて錫メッキされる請求項10に記載の方法。
【請求項19】
請求項10に記載の方法にしたがって製造されたリード端子レス型デュアル・フラットパック半導体パッケージ(DFN)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
平坦な“無リード部”(no-lead or leadless)半導体パッケージは集積回路ダイ(dies or dice)を、平坦なリード部で印刷回路基板(PCB)を介して貫通するホールを使用せずにこのPCBに電気的にかつ物理的に結合するものである。なお、これらパッケージは“無リード部”パッケージと呼ばれているが、本明細書における“リード部”は平坦な無リード部パッケージ上に存在する平坦な接触パッドを指すものとする。これらパッケージはパッケージの外周を超えて延在するリード部がないという意味で“リード部”をもたない。平坦な無リード部パッケージはパッケージの4つの側部すべてにリード部をもつ“QFN(quad flat no-leads)”パッケージとして分類することができ、また2つの対向する側部にリード部を備えた“DFN(dual flat no-leads)パッケージとして分類することができる。これらパッケージ内において、一つかそれ以上の集積回路ダイが非導電性成形材に封入される。一般的に銅などの金属で構成される導電性リードフレームがパッケージの内部構成成分に電気的に結合し、リード部を外部に露出し、これらをPCBに電気的に結合する。平坦な無リード部パッケージに対する改良は不断に行われている。
【0002】
無リード部パッケージは、パッケージの周囲を超えて延在するリード部を備えたパッケージと比較していくつかの長所をもつ。このパッケージは他の形式のパッケージよりも薄型(low-profile)であり、占有面積が小さく、パッケージの周囲を超えて延在するリード部を備えた通常のパッケージよりも印刷回路基板の装着面積(footprint)が小さい。また、このような無リード部はパッケージの周囲を超えて延在するリード部を備えたパッケージよりも熱的性能がすぐれている。
【0003】
QFN半導体パッケージやDFN半導体パッケージに関する限り、本発明が属する分野における問題は、パッケージのリード部に対するはんだ接続の検査にある。QFNやDFN半導体パッケージに対するはんだ接続を適正に行うためには、これら接続を検査する必要がある。これら検査については、例えば、X線によって、あるいは自動光学検査(AOI)によって実施できる。自動光学検査(AOI)は例えば半導体デバイスや印刷回路基板の欠陥を検査するために使用されている。QFNパッケージやDFNパッケージはAOIが可能であり、このAOIは、リード部の側部またはフランク(sides or flanks)が例えばはんだを露出リード部の側部または側壁に毛管作用によって行き渡らせる(wettable)こと可能なにようにリード部が配向している場合に、X線検査よりも低コストである。
【0004】
従って、ウェッタブルフランクを実現し、AOIによってはんだ接続が適正であるかどうかを確認できるDFNパッケージを効率よく製造できる方法が依然として求められている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一つの態様は、ステップカットウェッタブルフランク(step-cut wettable flanks)を備えた半導体パッケージの製造方法に関する。この方法では、パッケージアセンブリのメッキバーを貫通し、かつパッケージアセンブリの成形封入部を部分的に貫通する第1の一連の平行カットを形成し、このパッケージアセンブリが列状に配列された複数のダイパッケージを有し、各ダイパッケージが成形封入部内に封入された集積回路ダイおよび複数のリード部を有し、ダイパッケージをメッキバーによって電気的に結合し、そして各ダイパッケージ内においてダイパドルをタイボンドおよびワイヤボンドの一方か、あるいは両方によって対向メッキバーに電気的に結合する。この方法では、リード部の露出面を電気メッキする。さらにこの方法では、第1の一連の平行カットに整合し、成形封入部を完全に貫通する第2の一連の平行カットを形成することによってステップカットウェッタブルフランクを形成する。また、第1の一連の平行カットおよび第2の一連の平行カットに対して垂直な第3の一連の平行カットを形成し、これら第3の一連の平行カットは成形封入部およびリードフレームを完全に貫通する。
【0006】
本発明の第2態様は、ステップカットウェッタブルフランクを備えた半導体パッケージの製造方法によって製造したDFN半導体パッケージに関する。この製造方法では、パッケージアセンブリのメッキバーを貫通し、かつパッケージアセンブリの成形封入部を部分的に貫通する第1の一連の平行カットを形成し、このパッケージアセンブリが列状に配列された複数のダイパッケージを有し、各ダイパッケージが成形封入部内に封入された集積回路ダイおよび複数のリード部を有し、ダイパッケージをメッキバーによって電気的に結合し、そして各ダイパッケージ内においてダイパドルをタイボンドおよびワイヤボンドの一方か、あるいは両方によって対向メッキバーに電気的に結合する。さらにこの方法では、リード部の露出面を電気メッキする。さらにこの方法では、第1の一連の平行カットに整合し、成形封入部を完全に貫通する第2の一連の平行カットを形成することによってステップカットウェッタブルフランクを形成する。また、第1の一連の平行カットおよび第2の一連の平行カットに対して垂直な第3の一連の平行カットを形成し、これら第3の一連の平行カットは成形封入部およびリードフレームを完全に貫通する。
【0007】
本発明の第3態様は、DFN半導体パッケージに関する。DFNパッケージは成形封入部を備える。また、DFN半導体パッケージはこの成形封入部内に少なくとも部分的に設けられるリードフレーム備え、このリードフレームはリードフレームのダイパドルに設けられる集積回路ダイを有する。また、リードフレームはダイパドルから成形封入部のエッジまで延在するタイバーか、あるいはワイヤボンドの一つを備える。また、DFN半導体パッケージはパッケージの対向側部に一対の対向ステップカットウェッタブルフランクを備え、電解メッキ対象のリードフレームのリード部の側壁を露出させる。これら電解メッキ側壁が例えば印刷回路板(PCB)に取り付けるはんだを受け取る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付図面を参照して例示のみを目的として以下に記載する詳細な説明から本発明を理解できるはずである。
【0009】
【
図1A】
図1Aは、一実施例に係るパッケージアセンブリの例示的な形成方法を示す流れ図である。
【
図1B】
図1Bは、一実施例に係るDFN半導体の例示的な形成方法を示す流れ図である。
【
図2A】
図2Aは、一実施例に係るパッケージアセンブリに施す電解メッキを示す図である。
【
図2B】
図2Bは、一実施例に従ってパッケージアセンブリに形成した第1セットのカットを示す図である。
【
図2C】
図2Cは、一実施例に従って成形体に貫通させたステップカットウェッタブルフランクに整合した第2セットのカットを示す図である。
【
図2D】
図2Dは、一実施例に従ってダイを単体化するために使用する第1セットおよび第2セットに垂直な第3セットのカットを示す図である。
【
図2E】
図2Eは、一実施例に係るウェッタブルフランクを備えた単体化ダイを示す図である。
【
図4A】
図4Aは、一実施例に係るウェッタブルフランクを備えた単体化ダイを示す上部正射影図である。
【
図4B】
図4Bは、一実施例に係るウェッタブルフランクを備えた単体化ダイを示す透明な上部正射影図である。
【
図4C】
図4Cは、一実施例に係るウェッタブルフランクを備えた単体化ダイを示す底部正射影図である。
【
図4D】
図4Dは、一実施例に係るウェッタブルフランクを備えた単体化ダイを示す透明な底部正射影図である。
【
図5】
図5は、一実施例に係る電解メッキ法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
便宜上のみを理由にして以下の説明では一定の専門用語を使用するが、これら用語には発明を制限する意図はない。“右”、“左”、“上部”や“底部”は参照する図面内における方向を示す。また、特許請求の範囲および明細書の対応する部分に使用する単数表現(“a”や“one”)は定義上特に断らない限り、一つかそれ以上の参照要素などを含むものとする。専門用語は上記に具体的に示す誘導物、および暗黙に同じ意味をもつ用語を含む。“A、BまたはC”などの2つかそれ以上の要素のリストの前の“少なくとも一つ”はA、BまたはCを個別に意味する場合もあり、これらの任意の組み合わせを意味する場合もある。
【0011】
本明細書の説明によって、当業者ならば、記載した実施態様を構成しかつ利用することができるはずである。各種の一部修正、等価体、変形体、組み合わせ体、代替物などは当業者にとっては説明するまでもない用語である。いずれかの、あるいはすべてのこれらの一部修正、等価体、変形体、組み合わせ体、代替物などは、特許請求の範囲に記載した本発明の精神および範囲内に包摂されるものである。
【0012】
以下、DFN半導体パッケージにウェッタブルフランク(wettable flanks)を形成する形成法を説明する。この形成法は、複数の未単体化パッケージ(non-singulated packages)を備えたパッケージアセンブリ(package assembly)をもって開始する。このパッケージアセンブリはダイおよびこれに結合した(ワイヤボンドなどの)他の内部パッケージ構成成分を備えたリードフレームパッケージを有する。これらダイおよび他の構成成分が未単体化パッケージの異なる領域を形成する。これらダイおよび他の構成成分は非導電性成形封入材(“金型成形”、“成形”、“封入部”、“封入材”とも呼ぶ)に封入する。この成形封入材はパッケージ構成成分の大半を被覆するが、一部の電気的接触パッド(“リード部”と呼ぶこともある)、そして場合によっては熱的接触パッド(“ダイパドル(die paddles)”と呼ぶこともある)を露出したままにしておくこともできる。リードフレームによってパッケージアセンブリの一端と他端との間を、またパッケージの露出リード部とダイパドルとの間を連続的に電気接続する。この電気接続を形成する際には、ワイヤボンド(wire bonds)やタイバー(tie bars)等の要素が役に立つ。この電気接続を使用して、電気メッキ時に電流を流すことができる。異なるパッケージダイの境界を定める領域の底部には、メッキバーがあり、これらはダイパッケージを単体化する前に異なるダイパッケージを電気的に接合するリードフレームアセンブリの部分である。
【0013】
例えば、ウォータージェットカッターあるいはレーザーカッター、プラズマカッターなどの鋸歯を備えた切断装置を使用して、リードフレームを貫通するが、成形部を完全に貫通しない深さまでステップカットを入れ、リード部の一部の側壁を露出させる。さらに、リード部の底面を電解メッキし、そして所定の露出したダイパドルまたは接触パッドを電解メッキすることも可能である。各ダイパッケージ内では、タイバーまたはワイヤボンドによって左右のメッキバーに結合し、電解メッキ用電流を流す。引き続き、切断装置を使用して第1カットと同じ方向および位置において成形部を完全に貫通するカットを入れ、ダイパッケージの列を分離する。第1セットおよび第2セットのカットに垂直な第3セットのカットを行い、ダイを単体化する。第3セットのカットによって露出したエッジについては、メッキを行わない。このように仕上げた半導体パッケージについては、DFN半導体パッケージとして形成することができる。
【0014】
図1Aは、本発明の一態様に係るパッケージアセンブリを形成する例示的な方法100を示す流れ図である。方法100は工程102で開始し、一つかそれ以上のダイをリードフレームアセンブリに設層する。このリードフレームアセンブリは単一の部分またはユニットに集積化する複数のパッケージリードフレームを有する。このリードフレームアセンブリはカッティング(切断)に整合するマシンによって検出可能な一つかそれ以上の基準マークを備えていればよい。リードフレームアセンブリには任意の金属合金を使用することができる。一般的には、ダイパッケージをダイパッケージのアレイとして形成し、次にこれを個々のダイパッケージに切断(単体化(singulated))する。このアレイを形成するために、単一のリードフレームアセンブリを銅シートなどのリードフレーム材から切断する。リードフレームアセンブリ内に個々のパッケージに対応する複数のリードフレームを集積化する。工程102で、一つかそれ以上の集積回路ダイをリードフレームアセンブリに設ける。工程104で、ワイヤボンド、導電性クリップ(ダイを一つかそれ以上のリード部に結合するパッケージ内の要素)やその他の要素などの他の構成成分を設層してパッケージを形成する。工程106で、成形封入部をパッケージのリードフレームおよび他の構成成分の周囲に設層する。成形封入部がパッケージの構成成分の物理的かつ電気的バリヤになる。方法100の最後で、パッケージ構成成分(例えば、ダイ、リードフレーム、ダイをリードフレームに結合する成分など)を封入した複数の未単体化パッケージダイを有するパッケージアセンブリが得られる。
【0015】
図1Bは、本発明の一態様に係るDFNパッケージを形成する例示的な方法150を示す例示的な流れ図である。
図1Bの方法150については、方法150の進行時のパッケージアセンブリ200の段階を示す
図2A~
図2Eを参照して説明することにする。この方法150は、一つかそれ以上のダイを設層しかつ取り付けたリードフレームアセンブリ205を有する(
図2Aに示す)パッケージアセンブリ200をもって開始する。ダイを封入材202によって少なくとも部分的に取り囲む。連続的なリードフレームアセンブリ205はパッケージのエッジ上に複数のメッキバー(plating bars)203、ダイパドル(または“パッド”)(die paddles (or “pads”))およびパッケージエッジリード部204を備える。
図2Aにおいて、これら各種の構成成分を電気的に結合する。リード部204については、導電性材料から形成し、かつ以下に詳しく記載するように、メッキ対象部であり、はんだ可能な接触部として機能し、パッケージを印刷回路基板に接続する。非導電性の成形封入材202がリードフレームアセンブリ205を取り囲む。これらパッケージは外部で電気結合する複数のリード部204を有する2つの対向ウェッタブルリード側部207、およびリード部を含まない2つの対向する非ウェッタブル側部209を有するため、“DFN(dual flat no-leads)”パッケージである。
【0016】
パッケージアセンブリ200はカットされていない(“接合”または“未単体化”)パッケージ210のアレイを備える。パッケージは集積回路ダイなどの回路要素、ワイヤボンドなどの導電性要素、および
図2A~
図2Eには示していない他の要素を備える。これらの図はパッケージアセンブリ200の底面のみを示す図であるからである(ただし、タイバー215、217および219はパッケージの底面には露出していない。これら要素は成形封入材202に対して内側にあるからである。なお、
図2A~
図2Eには明示してある)。より具体的には、図示のパッケージ200の場合、成形封入材202は既にリードフレーム204および他の構成成分の周囲に設層されているので、図示のものは成形封入部202および成形封入部202を介して露出するリードフレーム205の一部である。図示し、かつ本明細書に記載する具体的なパッケージ構成は例示実施例であり、この構成の細部は本発明を制限するものではない。例えば、図示の各パッケージ210は一つのダイパドル206、ゲートリード部213およびソースリード部211を備える。即ち、パッケージ210において、一つのダイがダイパドル206に熱的に結合しリード部204、ゲートリード部213およびソースリード部211にパッケージ210に対して内側にあるワイヤボンドなどの導電性要素によって電気的に結合する。さらに、具体的なリード部数および構成を示すが、本発明の技術は任意構成のリード部204および/またはダイパドル206を備えたパッケージ210に適用可能である。例えば、一部のパッケージの場合リード部は任意の構成で存在してもよく、それぞれをさらに異なる構成のリード部に接続したパッケージ内に任意個数のダイが存在していてもよい。
【0017】
メッキバー203は、ダイパッケージ210を単体化した後に個々のダイパッケージ210のリードフレームを最終的に形成しないリードフレームアセンブリ205の部分である。メッキバー203は、換言すると、電気メッキするダイパッケージ210のリードフレーム全体に構造的一体性および導電性を与えるものである。
【0018】
工程152で、切断装置によってリードフレーム205を完全に貫通するが、成形封入部202を部分的に貫通する第1ステップカットを形成する。このカットは、電解メッキのためにリード部204の側壁を露出するためにパッケージ210のウェッタブルリード側部207に隣接して位置する。使用することができる切断装置として、例えば、物理的なブレードを備えた鋸であればよく、あるいはレーザーカッター、プラズマカッターやウォータージェットカッター、あるいは当業者にとって公知なその他の許容できる切断技術であればよい。これらカットについては、第1の一連の平行カットと呼ぶことができる。切断については
図2Aに示す。使用するブレード(またはその他の切断要素)の幅については、2つの隣接ダイパッケージ210のリード部204のエッジを切断できる程度であれば十分である。さらに、カットはリードフレーム205(具体的には水平なメッキバー203)を完全に貫通するが、対応する成形封入部には完全に貫通しないため、パッケージアセンブリ200を以降の工程で単独の集積ユニットまたは接合ユニットとして取り扱うことができる。工程152での切断によってリード部204の一部に側壁220が形成する。
【0019】
工程154で、電解メッキ装置を使用して電解メッキプロセスを実施し、リードフレームアセンブリ205にメッキを行う。一般的に、リードフレームは銅などの材料で構成する。スズまたはスズ合金などの金属の層を銅の表面にメッキし、酸化からこれを保護するとともに、はんだ用のウェッタブル面を形成する。一般的な電解メッキ構成では、スズ溶液にリードフレームを浸漬し、電解メッキ装置の陰極にリードフレームを電気的に結合する。スズ溶液に同様に浸漬したメッキ材に陽極を結合する。リードフレームに電流を印加し、リードフレームの表面にメッキ材を設層し、このメッキ材でリード部204およびダイパドル206にメッキを行う。本明細書に開示する方法に使用する電解メッキ法では、スズ以外の例えば金、パラジウムや銀などのメッキ材も使用可能である。工程152でのカットによってリード部204のウェッタブル側壁220が露出するため、リード部204をメッキ材で電解メッキする。工程152で形成したカットによってリードフレームの列が電気的にデカップルするが、各列の内部には、図に示す方向において左から右に電気的な連続性が存在する。具体的には、各パッケージ210において、左のメッキバー203からメッキ対象のパッケージ210の各要素を介して右のメッキバー203に電流が流れ、次に共有されたメッキバー203を介して次のパッケージ210に流れる。即ち、各パッケージ210内のメッキ対象の個々の各要素が左右のメッキバー203に電気的に結合する。具体的には、タイバー215を介してダイパドル206が左のメッキバー203に結合する。タイバーは、ダイパッケージ210内の要素とダイパッケージ210に対して外側にあるメッキバー203やその他の要素との間に導電性および/または構造的連続性を担保するリードフレームの一部である。一部の実施例では、タイバーはリードフレーム205の一部であり、またダイパッケージ210から延出する他の導電性要素よりも薄く、一般的にダイパッケージ210の底面まで延在しない。ダイパドル206については、いくつかのリード部204に電気的に結合する。さらにダイパドル206はタイバー217を介して右側のメッキバー203に結合する。ソースリード部211およびゲートリード部213はいずれもタイバー219を介して右側メッキバー203に結合する。ソースおよびゲートリードタイバー219、およびダイパドル206を右側メッキバー203に結合するタイバー217についてはいずれもワイヤボンドなどの他の導電性要素で置き換えることができ、ダイパドル206、ゲートリード部213やソースリード部211のいずれかを右側メッキバー203に電気的に結合してもよい。ワイヤボンドはリードフレームの一部ではないが、その代り、ダイパドルとリード部との間などのリードフレームや構成成分間に設層するか、あるいは結合する点でワイヤボンドはタイバーとは異なる。
【0020】
工程156で、第1組の平行カットに整合する第2組の平行カットを形成する。第2組の平行カットの幅は、
図2Cに示すように、工程152で形成した第1組のカットの幅よりも狭い。これらカットがダイのステップカットウェッタブルフランクを形成し、異なる列毎に成形封入部を完全に分離する。これらステップカットウェッタブルフランクは、リード部の側壁を露出させ、ここにはんだを適用できるステップカット側部であるため、AOIなどによって検査が可能になる。
図2Cにステップカットの幅を幅1(W1)および幅2(W2)として示すが、W1はW2よりも広い。
【0021】
工程158で、切断装置を使用して、第1組および第2組の平行カットに垂直な第3組の平行カットを形成する。第3組の平行カットを整合し、メッキバー203を貫通するカットを形成し、ダイ210を単体化する。第3組の平行カットは十分深く、リードフレーム205および成形封入部202を完全に貫通する。
図2Eにウェッタブルフランクを有する単体化パッケージ210を示す。
【0022】
図3Aおよび
図3Bにステップ152および156に関する細部を示す。両図に切断装置であるカッター301を示す。
図3Aに、ステップ152に記載するように、また
図2Aに示すように、リードフレームを貫通するが、成形体には部分的に貫通するステップカットの実施例を示す。
図3Aに示すカットについては、パッケージ210のリード部204の側壁を露出させる第1厚さに設定する。
図3Aに示すカットは厚さを“Z1”で示す鋸歯を使用して形成したものであるが、レーザーカッター、プラズマカッターやウォータージェットカッター、あるいは当業者にとって公知なその他の許容できる切断技術を使用することができる。
【0023】
図3Bに第2ステップカットの実施例を示す。このステップカットは工程152および
図2Aのステップカット後に残る封入材を完全に貫通する。リード部204に電解メッキによってメッキ材310を設層し、ステップカットウェッタブルフランク312を形成する。
【0024】
図4A~
図4Dは単体化したダイパッケージ210を示す異なる図であり、
図1Bの方法150に従って形成したステップカットウェッタブルフランクを示す図である。
図4Aおよび
図4Bは正射影図であり、パッケージ210の上部および側部を示す。また、
図4Cおよび
図4Dは正射影図であり、パッケージ210の底部および側部を示す。
【0025】
図4A~
図4Dを参照して総合的に説明すると、図示のパッケージ210は成形封入部202を備え、
図1Bに示す方法に従って形成した2つの対向側部のリード部204に形成した電解メッキ層を有するステップカットウェッタブルフランク312を有する。これらステップカットウェッタブルフランク312は工程152および156でステップカットを形成したダイパッケージ210の部分を有し、電解メッキしたリード部204を有する。成形封入部202の内部にあるリードフレーム205の部分に電気的に結合したタイバー215、217および219のエッジはパッケージ210の非メッキ側部に現れている。図
4Cおよび図
4Dに、本明細書の別なところで説明するように、電解メッキしたリード部204およびダイパドル206の底面を示す。
【0026】
図示のパッケージ210は内部にダイ402を有する。このダイ402はリードフレーム205の一部であるダイパドル206に実装し、熱的に結合する。ワイヤボンドによってダイ404をリードフレーム205のリード部204に結合する。ソースリード部211およびゲートリード部213をワイヤボンド404によってダイ402に結合する。さらに、ソースリード部211をタイバー219に結合するが、このタイバー219はメッキを受けず、また完成したパッケージ内では何の機能をもたないが、その目的は
図1Bおよび
図2A~
図2Eを参照して記載したように、電気メッキ時にダイパッケージ間に電気的連続性を維持することにある。ゲートリード部213はタイバー219に結合するが、このタイバー219はメッキを受けず、ソースリード部211にとってのタイバー219と同様の機能を果たす。ダイパドル206はタイバー217に結合するが、これも完成パッケージ内では何の機能を示さず、メッキも受けていないが、電気メッキ時に異なるダイパッケージ間に完全な電気的接続を形成するものである。タイバー215は対向側に存在し、かつダイパドル206に結合する。このタイバーはメッキを受けず、他のタイバーと同様な目的をもつ。
【0027】
図5に例示的な電解メッキ法を示す。このメッキ法は、例えば、
図2Bに示す工程152の一部として使用できる。この方法によれば、電気メッキ装置500において、(一部のみを
図5に示す)パッケージアセンブリ200は溶液502中に設ける。電源504の陰極をリードフレーム205に電気的に結合し、電源504の陽極をメッキ材506に結合する。電源504によって電流を印加すると、メッキ材508がリードフレーム205の露出面に成層する。
【0028】
なお、以上の記載は例示のみを目的とし、限定を意図するものではない。また、本発明の精神および範囲から逸脱しなくとも前記実施態様に各種の変更および一部修正を加えることができる。以上、本発明を詳細に記載してきたが、前記の本発明の新規性のある考え方および原理を変更しなくとも、本発明の詳細な説明で例示したいくつかの例を始めとする多くの物理的な変更は当業者にとっては明らかなはずである。また、好適な実施態様の一部のみを組み込んだ実施態様も可能であり、これらの部分に関しては本発明の発明性のある考え方および原理を変更するものではない。従って、本実施態様および適宜採用する構成はあらゆる点で例示的および/または説明的なもので、制限を意図するものではなく、本発明の範囲は前記説明ではなく特許請求の範囲に示された範囲であり、この特許請求の範囲と同義の意味および範囲内に含まれる本実施態様に対する別な実施態様および変更は従ってこれに包摂されるものである。
【符号の説明】
【0029】
100 工程
102 工程
104 工程
106 工程
150 方法
152 工程
154 工程
156 工程
158 工程
200 パッケージアセンブリ
202 封入材/成形封入部
203 メッキバー
204 リード部
205 リードフレームアセンブリ
206 ダイパドル
209 非ウェッタブル側部
210 パッケージ
211 ソースリード部
213 ゲートリード部
215 タイバー
217 タイバー
219 タイバー
220 側壁
301 カッター
312 ステップカットウェッタブルフランク
402 ステップカットウェッタブルフランク、ダイ
404 ダイ、ワイヤボンド
500 電気メッキ装置
502 溶液
504 電源
506 メッキ材
508 メッキ材