(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】バルーン型電極カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20231114BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20231114BHJP
【FI】
A61B18/14
A61M25/10
(21)【出願番号】P 2021566620
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(86)【国際出願番号】 JP2019050724
(87)【国際公開番号】W WO2021130877
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】594170727
【氏名又は名称】日本ライフライン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】森 謙二
(72)【発明者】
【氏名】飯島 俊之
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-185295(JP,A)
【文献】特開2010-268933(JP,A)
【文献】特開2017-113271(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0367755(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0296983(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウターチューブと、
拡張する拡張部と、その両端に連続するネック部とを有し、基端側ネック部が前記アウターチューブの先端部に固定されるバルーンと、
前記拡張部および先端側ネック部における前記バルーンの外表面に形成された金属からなる表面電極と、
前記バルーンの前記先端側ネック部に装着され、前記表面電極の先端部と電気的に接続された金属リングとを備え、
前記金属リングの外径が前記アウターチューブおよび前記基端側ネック部の外径より小さいことを特徴とする
、
経脈管的に導入され、脈管またはその周囲の組織を高周波焼灼治療するためのバルーン型電極カテーテル。
【請求項2】
前記金属リングにその先端が固定され、前記バルーンおよび前記アウターチューブの内部に延在して、その基端が通電用コネクタに固定されることにより、前記表面電極と前記通電用コネクタとを電気的に接続する導線を備えることを特徴とする請求項1に記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項3】
前記アウターチューブは、中央ルーメンと、その周囲に複数配置されたサブルーメンとを有し、
ルーメンを有し、前記アウターチューブの前記中央ルーメンに挿通されて、前記バルーンの内部を延在するインナーチューブを備え、
前記導線は、前記アウターチューブの何れかの前記サブルーメンに延在することを特徴とする請求項
2に記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項4】
前記アウターチューブの基端部における前記サブルーメンの数は、当該アウターチューブの先端部における前記サブルーメンの数より
多いことを特徴とする請求項3に記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項5】
前記アウターチューブの有する前記サブルーメンの少なくとも1本は、前記バルーンの内部に流体を供給するための流体供給用サブルーメンであり、
前記アウターチューブの有する前記サブルーメンの少なくとも1本は、前記バルーンの内部に供給された流体を当該バルーンの内部から排出するための流体排出用サブルーメンであることを特徴とする請求項
3または4に記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項6】
前記バルーンの前記基端側ネック部に固定された前記アウターチューブの前記先端部を前記バルーンの前記拡張部が内包しており、
前記流体供給用サブルーメンの開口は、前記拡張部の軸方向の中間位置よりも先端側に位置し、
前記流体排出用サブルーメンの開口は、前記拡張部の軸方向の中間位置よりも基端側に位置していることを特徴とする請求項5に記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項7】
前記流体供給用サブルーメンの数が前記流体排出用サブルーメンの数よりも多いことを特徴とする請求項5または6に記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項8】
前記表面電極は、前記バルーンの軸方向に沿って延びるように形成され、当該バルーンの円周方向に沿った間隔で配置された複数の帯状電極であり、前記帯状電極の各々の先端部が前記金属リングと電気的に接続されていることを特徴とする請求項1~7の何れかに記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項9】
前記金属リングが絶縁被覆されていることを特徴とする請求項1~8の何れかに記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項10】
前記先端側ネック部
及び前記金属リング
が絶縁被覆されていることを特徴とする請求項9に記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項11】
前記拡張部は、円筒状部分と、当該円筒状部分と前記ネック部を接続するコーン部を備え、
先端側の前記コーン部
及び前記金属リング
が絶縁被覆されていることを特徴とする請求項9または10に記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項12】
前記バルーンの前記基端側ネック部が固定されている前記アウターチューブの前記先端部の外径が、当該アウターチューブの基端部の外径よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1~11の何れかに記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項13】
前記バルーンの管壁に温度センサが配置されていることを特徴とする請求項1~12の何れかに記載のバルーン型電極カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーン型電極カテーテルに関し、更に詳しくは、経脈管的に導入され、脈管またはその周囲の組織を高周波焼灼治療するためのバルーン型電極カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
脈管またはその周囲の組織を高周波焼灼治療するためのバルーン型の電極カテーテル(脈管内アブレーション装置)として、従来、アウターチューブ(カテーテルシャフト)と、アウターチューブの先端に接続されたバルーンと、アウターチューブのルーメンおよびバルーンの内部に挿通されたインナーチューブ(ガイドワイヤ管腔)と、バルーンの内部に流体を供給するためにアウターチューブのルーメンに挿通されたルーメンチューブ(供給管腔)と、バルーンの内部に供給された流体を排出するためにアウターチューブのルーメンに挿通されたルーメンチューブ(帰還管腔)と、バルーンの外表面に設けられた表面電極(高周波電極)とを備えてなるものが紹介されている(下記特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されているバルーン型電極カテーテルを構成するバルーンは、拡張収縮する拡張部と、その両端に形成されたネック部とを有しており、基端側ネック部はアウターチューブに固定され、先端側ネック部はインナーチューブ(ガイドワイヤ管腔)に固定されている。
【0004】
特許文献1に記載されているバルーン型電極カテーテルによれば、バルーンの外表面に設けられた表面電極に高周波電流を通電することにより、脈管またはその周囲の病巣組織に対して高周波焼灼治療を行うことができる。
また、ルーメンチューブ(供給管腔)からバルーンの内部に供給された流体をバルーンの内部で循環させてルーメンチューブ(帰還管腔)から排出することにより、バルーンの内部を冷却することができる。
【0005】
一方、肺静脈を電気的に隔離するためのバルーン型電極カテーテルにおいて、バルーンの外表面に形成された表面電極に高周波電流を通電する形態として、カテーテルシャフトの先端部に固定されているバルーンのネック部(通電用のコネクタが位置する側である基端側のネック部)に金属リングを装着し、この金属リングに表面電極を電気的に接続するとともに、この金属リングと通電用のコネクタとを導線により電気的に接続する形態が、本発明者により提案されている(下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2013-532564号公報
【文献】特開2016-185296号公報(特に、
図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されているような、脈管またはその周囲の組織を高周波焼灼治療するためのバルーン型電極カテーテルにおいて、バルーンの外表面に形成された表面電極に高周波電流を通電する形態として、特許文献2に記載したような形態、すなわち、アウターチューブ(カテーテルシャフト)に固定されているバルーンのネック部(基端側ネック部)に金属リングを装着し、この金属リングを介して通電することが考えられる。
【0008】
然るに、特許文献1に記載されているようなバルーン型電極カテーテルを構成するアウターチューブのルーメンには、ガイドワイヤを挿通させるためのインナーチューブ(ガイドワイヤ管腔)、冷却用流体を流通させるためのルーメンチューブ(供給管腔および帰還管腔)を内包しているために、その外径がかなり大きいものである。
【0009】
特に、バルーン型電極カテーテルにより腫瘍などの焼灼治療を行う場合には、表面電極の周囲の組織の冷却効果を高めるために、バルーン内部を循環させる流体の流量を大きくする必要があり、このため、冷却用流体を流通させるためのルーメンチューブの大径化が要請され、これに伴って、アウターチューブの外径も更に大きくする必要がある。
【0010】
そして、このような外径の大きなアウターチューブにバルーンの基端側ネック部を固定し、更に、当該基端側ネック部に金属リングを装着する場合において、当該金属リングの外径は、電極カテーテルを導入する際に使用するシースや内視鏡によって制限される外径(シャフト径またはラッピング径)を大きく超えてしまい、バルーン型電極カテーテルの導入時において、使用するシースや内視鏡の開口に当該金属リングが引っ掛かり、これらの内腔にバルーン型電極カテーテルを挿通させることができなくなる。
【0011】
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の目的は、使用するシースや内視鏡の内腔への挿通性が損なわれることなく経脈管的に導入することができ、脈管またはその周囲の病巣組織に対して広範囲にわたり焼灼治療を行うことができるバルーン型電極カテーテルを提供することにある。
本発明の他の目的は、脈管またはその周囲の組織を当該脈管の円周方向に沿って均質な焼灼治療を行うことができるバルーン型電極カテーテルを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、バルーン内部の冷却効果、延いては、表面電極の周囲の組織の冷却効果に優れたバルーン型電極カテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明のバルーン型電極カテーテルは、経脈管的に導入され、脈管またはその周囲の組織を高周波焼灼治療するためのバルーン型の電極カテーテルであって、
中央ルーメンと、その周囲に複数配置されたサブルーメンとを有するアウターチューブと、
前記アウターチューブの基端側に配置された通電用コネクタと、
拡張収縮する拡張部と、その両端に連続するネック部とを有し、基端側ネック部が前記アウターチューブの先端部に固定されることにより、当該アウターチューブの先端側に接続されたバルーンと、
ガイドワイヤを挿通可能なルーメンを有し、前記アウターチューブの前記中央ルーメンに挿通されて、当該中央ルーメンの開口から前記バルーンの内部に延出し、当該バルーンの内部を延在するインナーチューブと、
前記インナーチューブの前記ルーメンに連通するルーメンを有し、前記バルーンの内部において前記インナーチューブの先端に接続されるとともに、先端側ネック部に固定されて前記バルーンの外部に延出する先端チップと、
前記拡張部および前記先端側ネック部における前記バルーンの外表面に形成された金属薄膜からなる表面電極と、
前記バルーンの前記先端側ネック部に装着され、前記表面電極の先端部がその外周面に固着されていることにより、前記表面電極と電気的に接続された金属リングと、
前記金属リングの内周面にその先端が固定され、前記バルーンの内部および前記アウターチューブの何れかの前記サブルーメンに延在して、その基端が前記通電用コネクタに固定されることにより、前記表面電極と前記通電用コネクタとを電気的に接続する導線と
を備えていることを特徴とする。
【0013】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、バルーンの外表面に形成された表面電極を、金属リングおよび導線を介して通電用コネクタに電気的に接続することができるので、当該表面電極に高周波電流を確実に通電することができる。
これにより、脈管またはその周囲の病巣組織に対して広範囲にわたり焼灼治療を行うことができる。
【0014】
また、金属リングが装着されるバルーンの先端側ネック部は、先端チップに固定されるネック部であり、アウターチューブに固定される基端側ネック部と比較して外径が格段に小さいので、先端側ネック部に装着される金属リングの外径を、アウターチューブや基端側ネック部の外径よりも小さくすることができる。
これにより、バルーン型電極カテーテルの導入時において、使用するシースや内視鏡の開口に当該金属リングが引っ掛かるようなことはなく、シースや内視鏡の内腔へのバルーン型電極カテーテルの挿通性が損なわれることがない。
【0015】
(2)本発明のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記表面電極は、前記バルーンの軸方向に沿って延びるように形成され、当該バルーンの円周方向に沿って等角度間隔に配置された複数の帯状電極であり、前記帯状電極の各々の先端部が前記金属リングの外周面に固着されていることが好ましい。
【0016】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、バルーンの円周方向に沿って等角度間隔に形成されている複数の帯状電極の各々を、金属リングおよび導線を介して、通電用コネクタに電気的に接続することができるので、複数の帯状電極の各々に対して均等に高周波電流を通電することができ、これにより、脈管またはその周囲の組織を当該脈管の円周方向に沿って均質な焼灼治療を行うことができる。
【0017】
(3)本発明のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記金属リングが絶縁被覆されていることが好ましい。
【0018】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、通電時の金属リングが高温になることを防止でき、金属リングの周囲の正常組織が焼灼されるようなことを回避することができる。
【0019】
(4)本発明のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記アウターチューブの有する前記サブルーメンの少なくとも1本は、前記バルーンの内部に流体を供給するために当該流体を流通させる流体供給用サブルーメンであり、
前記アウターチューブの有する前記サブルーメンの少なくとも1本は、前記バルーンの内部に供給された流体を当該バルーンの内部から排出するために、当該流体を流通させる流体排出用サブルーメンであることが好ましい。
【0020】
(5)上記(4)のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記バルーンの前記基端側ネック部に固定された前記アウターチューブの前記先端部を前記バルーンの前記拡張部が内包しており、
前記流体供給用サブルーメンの開口は、前記拡張部の軸方向の中間位置よりも先端側に位置し、
前記流体排出用サブルーメンの開口は、前記拡張部の前記基端またはその近傍に位置していることが好ましい。
【0021】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、バルーンの内部への流体の供給口と、バルーンの内部からの流体の排出口とが互いに軸方向に変位していることにより、バルーンの拡張後(内部に流体が充填された後)であっても、先端側から基端側への流体
の流れが形成されて、バルーンの内部において当該流体を流動させることができるので、バルーンの内部、延いては、表面電極の周囲の組織を十分に冷却することができる。
【0022】
(6)上記(4)および(5)のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記流体供給用サブルーメンの数が前記流体排出用サブルーメンの数よりも多いことが好ましい。
【0023】
上記のような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、バルーンの内部を一定の圧力(拡張圧力)に維持することができる。
【0024】
(7)本発明のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記バルーンの前記基端側ネック部が固定されている前記アウターチューブの前記先端部の外径が、当該アウターチューブの基端部の外径よりも小さく形成されており、
前記バルーンの前記基端側ネック部の外径と、前記アウターチューブの前記基端部の外径とが実質的に等しいことが好ましい。
【0025】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、外径が最大となる基端側ネック部の外径がアウターチューブの基端部の外径と実質的に等しくなるので、この基端側ネック部によってシースや内視鏡の内腔への挿通性が妨げられるようなことはない。
また、アウターチューブの外径をシースや内視鏡によって制限される最大径とすることができるので、当該アウターチューブの有する流体供給用サブルーメンおよび流体排出用サブルーメンの径を十分に確保することができ、バルーンの内部の冷却効果を更に向上させることができる。
【0026】
(8)本発明のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記バルーンの管壁に温度センサが配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明のバルーン型電極カテーテルによれば、使用するシースや内視鏡の内腔への挿通性が損なわれることなく経脈管的に導入することができ、脈管またはその周囲の病巣組織に対して広範囲にわたり焼灼治療を行うことができる。
また、複数の帯状電極からなる表面電極を備えた本発明の一実施形態に係るバルーン型電極カテーテルによれば、脈管またはその周囲の組織を当該脈管の円周方向に沿って均質な焼灼治療を行うことができる。
更に、バルーンの拡張部の軸方向の中間位置より先端側で開口する流体供給用サブルーメンと、バルーンの拡張部の基端またはその近傍で開口する流体排出用サブルーメンとを有するアウターチューブを備えた本発明の一実施形態に係るバルーン型電極カテーテルによれば、従来のバルーン型電極カテーテルと比較して、バルーン内部の冷却効果、延いては表面電極の周囲の組織の冷却効果に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態に係るバルーン型電極カテーテルの平面図である。
【
図2】
図1に示したバルーン型電極カテーテルの部分破断正面図(
図1のII-II断面を含む正面図)である。
【
図3】
図1に示したバルーン型電極カテーテルの先端部分を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示したバルーン型電極カテーテルの先端部分(バルーンの先端側)を示す斜視図である。
【
図5】
図1に示したバルーン型電極カテーテルの先端部分(バルーンの基端側)を示す斜視図である。
【
図7】
図6の部分拡大図(VII部詳細図)である。
【
図8】
図2の部分拡大図(VIII部詳細図)である。
【
図23】
図1のXXIII-XXIII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<実施形態>
この実施形態のバルーン型電極カテーテル100は、経脈管的に導入され、脈管またはその周囲における腫瘍などの病巣組織を、高周波焼灼により治療するためのバルーン型の電極カテーテルである。
【0030】
図1~
図24に示すバルーン型電極カテーテル100は、円管状部分11と、半円管状部分13とからなり、中央ルーメン10Lと、その周囲に配置されたサブルーメン101L~112Lとを有するアウターチューブ10と;アウターチューブ10の基端側に配置された電気コネクタ21と;拡張収縮する拡張部31と、その両端に連続するネック部(先端側ネック部33および基端側ネック部35)とを有し、基端側ネック部35がアウターチューブ10の先端部を構成する円管状部分11に固定され、拡張部31がアウターチューブ10の先端部を構成する半円管状部分13を内包することにより、アウターチューブ10の先端側に接続されているバルーン30と;ガイドワイヤルーメンを有し、アウターチューブ10の中央ルーメン10Lに挿通されて、当該中央ルーメン10Lの開口からバルーン30の内部に延出し、当該バルーン30の内部を延在するインナーチューブ41と;インナーチューブ41のガイドワイヤルーメンに連通するルーメン(ガイドワイヤルーメン)を有し、バルーン30の内部においてインナーチューブ41の先端に接続されるとともに、先端側ネック部33に固定されてバルーン30の外部に延出する先端チップ46と;バルーン30の拡張部31および先端側ネック部33の外表面に形成された金属薄膜による帯状電極51~54(表面電極)と;バルーン30の先端側ネック部33に装着され、帯状電極51~54の各々の先端部がその外周面に固着されていることにより、帯状電極51~54の各々と電気的に接続された金属リング60と;金属リング60の内周面にその先端が接続され、バルーン30の内部およびアウターチューブ10(円管状部分11)のサブルーメン112Lに延在し、その基端が電気コネクタ21に接続された導線70と;バルーン30の拡張部31の管壁にその先端(測温部81)が埋設され、拡張部31および基端側ネック部35の管壁並びにアウターチューブ10(円管状部分11)のルーメン106Lに延在し、電気コネクタ21にその基端が接続された、温度センサ(熱電対)80とを備えている。
【0031】
図1および
図2において、20は、アウターチューブ10の基端側に接続されたYコネクタ、22は流体供給用コネクタ、23は流体排出用コネクタ、24はガイドワイヤコネ
クタ、26は導線保護チューブ、27は流体供給用チューブ、28は流体排出用チューブである。
【0032】
図3~
図5、
図14、
図15、
図17~
図22に示すように、バルーン型電極カテーテル100を構成するアウターチューブ10は、円管状部分11と半円管状部分13とからなる。
アウターチューブ10の基端部および先端部の一部は円管状部分11により構成され、アウターチューブ10の先端部(前記一部を除く)は半円管状部分13により構成されている。
【0033】
図17、
図19および
図21に示すように、アウターチューブ10の円管状部分11の内部には、中央ルーメン10Lと、その周囲に等角度(30°)間隔に配置された12本のサブルーメン101L~112Lとが形成されている。
円管状部分11において、サブルーメン101L~112Lの各々は、これを囲繞するルーメンチューブにより形成され、これらのルーメンチューブは、円管状部分11を形成するバインダ樹脂により固定されている。
【0034】
図14および
図15に示すように、アウターチューブ10の半円管状部分13の内部には、円管状部分11の内部から連続して、サブルーメン101L~105Lが形成されている。
半円管状部分13においてサブルーメン101L~105Lの各々を囲繞するルーメンチューブは、半円管状部分13を形成するバインダ樹脂により固定されている。
【0035】
図3および
図4に示すように、円管状部分11の内部および半円管状部分13の内部に配置されているサブルーメン101L~105Lは、それぞれ、アウターチューブ10の先端面である半円管状部分13の先端面14において開口している。
【0036】
サブルーメン101L~105Lの各々は、
図1および
図2に示した流体供給用コネクタ22と連通している。
これにより、サブルーメン101L~105L(アウターチューブ10に形成されている12本のサブルーメンのうちの5本のサブルーメン)は、バルーン30(拡張部31)の内部に流体を供給するための「流体供給用サブルーメン」となる。
ここに、バルーン30の内部に供給される流体としては、生理食塩水を例示することができる。
【0037】
図3および
図5に示すように、円管状部分11の内部に形成されている中央ルーメン10Lおよびサブルーメン106L~112Lは、それぞれ、円管状部分11の先端面12において開口している。
但し、サブルーメン106L、110Lおよび112Lの開口は、
図17に示すシール材90によって封止されている。
【0038】
サブルーメン107L~111Lの各々は、
図1に示した流体排出用コネクタ23と連通している。
これにより、サブルーメン107L~109Lおよび111L(アウターチューブ10に形成されている12本のサブルーメンのうちの4本のサブルーメン)は、バルーン30(拡張部31)の内部に供給された流体をバルーン30の内部から排出するための「流体排出用サブルーメン」となる。
【0039】
アウターチューブ10の構成材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、ポリエーテルブロックアミド(PEBAX(登録
商標))およびナイロンなどのポリアミド系樹脂を挙げることができ、これらのうち、PEBAXが好ましい。
【0040】
アウターチューブ10の外径(後述する基端部における外径)は、通常1.0~3.3mmとされ、好適な一例を示せば1.45mmとされる。
アウターチューブ10の中央ルーメン10Lの径は、通常0.35~0.95mmとされ、好適な一例を示せば0.85mmとされる。
アウターチューブ10のサブルーメン101L~112Lの径は、通常0.10~0.75mmとされ、好適な一例を示せば0.25mmとされる。
アウターチューブ10の長さは、通常100~2200mmとされ、好適な一例を示せば1800mmとされる。
【0041】
図1および
図2に示すように、アウターチューブ10の基端側には、Yコネクタ20が接続されている。
図23に示すように、アウターチューブ10のサブルーメン101L~105Lおよびサブルーメン107L~111Lを囲繞するルーメンチューブは、アウターチューブ10の基端からYコネクタ20の内部に進入している。
【0042】
図24に示すように、サブルーメン101L~105L(流体供給用サブルーメン)を囲繞するルーメンチューブの基端部は、Yコネクタ20の内部において、シングルルーメン構造の流体供給用チューブ27に連結(接着剤95により固定)されている。
この流体供給用チューブ27は、Yコネクタ20の外部に延出し、流体供給用チューブ27の基端は流体供給用コネクタ22に連結している。
【0043】
サブルーメン107L~111Lを囲繞するルーメンチューブの基端部は、Yコネクタ20の内部において、シングルルーメン構造の流体排出用チューブ28に連結(接着剤95により固定)されている。
この流体排出用チューブ28は、Yコネクタ20の外部に延出し、流体排出用チューブ28の基端は流体排出用コネクタ23に連結している。
【0044】
バルーン型電極カテーテル100を構成するバルーン30は、拡張収縮する拡張部31と、拡張部31の先端に連続する先端側ネック部33と、拡張部31の基端に連続する基端側ネック部35とにより構成されている。
【0045】
バルーン30の拡張部31は、その内部に流体が供給されることによって拡張し、その内部から流体が排出されることによって収縮する空間形成部分である。
図1~
図5に示すように、バルーン30の拡張部31は、円筒状部分311と、円筒状部分311の先端から先端側ネック部33の基端に至る先端側コーン部分313と、円筒状部分311の基端から基端側ネック部35の先端に至る基端側コーン部分315とからなる。
【0046】
アウターチューブ10の先端部(円管状部分11によって構成される先端部)に基端側ネック部35が固定されるとともに、アウターチューブ10の先端部(半円管状部分13によって構成される先端部)を拡張部31が内包していることにより、バルーン30は、アウターチューブ10の先端側に接続されている。
【0047】
ここに、バルーン30の基端側ネック部35が固定されているアウターチューブ10の先端部(
図19に示した円管状部分11)は表層部分が斫られており、その外径は、基端側ネック部35が固定されていないアウターチューブ10の基端部(
図21に示した円管状部分11)の外径より小さくなっている。
また、
図19に示した基端側ネック部35の外径は、
図21に示したアウターチューブ10の基端部の外径と実質的に等しい。
【0048】
これにより、バルーン型電極カテーテル100を導入するために使用するシースや内視鏡の内腔への挿通性が、基端側ネック部35によって損なわれることを防止することができる。
また、アウターチューブ10の外径をシースや内視鏡によって制限される最大径とすることできる(基端側ネック部の厚みによる外径の拡大を考慮する必要がない)ので、アウターチューブ10のサブルーメン101L~112Lの径を十分確保することができ、バルーン30の内部の冷却効果を更に向上させることができる。
【0049】
図3および
図4に示すように、流体供給用サブルーメン101L~105Lが開口する半円管状部分13の先端面14は、バルーン30の拡張部31の軸方向の中間位置よりも先端側である円筒状部分311の先端近傍に位置している。
これにより、流体供給用サブルーメン101L~105Lを流通する流体は、円筒状部分311の先端近傍に位置する各々の開口から先端方向に吐出され、吐出された流体は、拡張部31(先端側コーン部分313)の先端近傍に到達することができ、これにより、バルーン30(拡張部31)の内部において先端側から基端側への流体の流れを形成することができる。
【0050】
流体供給用サブルーメンの開口位置が、バルーンの拡張部の軸方向の中間位置より基端側にある場合には、バルーンの拡張後、当該開口から先端方向に流体を吐出させても、拡張部の先端近傍まで当該流体を到達させることができず、バルーンの内部において先端側から基端側への流体の流れを形成することができない。
【0051】
図3および
図5に示すように、流体排出用サブルーメン107L~109Lおよび111Lが開口する円管状部分11の先端面12は、拡張部31の基端に位置している。
【0052】
バルーン30の構成材料としては、特に限定されるものではなく、従来公知のバルーンカテーテルを構成するバルーンと同一のものを使用することができ、例えば、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、PEBAXおよびナイロンなどのポリアミド系樹脂;熱可塑性ポリエーテルウレタン、ポリエーテルポリウレタンウレア、フッ素ポリエーテルウレタンウレア、ポリエーテルポリウレタンウレア樹脂およびポリエーテルポリウレタンウレアアミドなどのポリウレタン系樹脂を挙げることができる。
【0053】
バルーン30(拡張部31)の直径としては、通常0.7~30.0mmとされ、好適な一例を示せば2.0mmとされる。
バルーン30の基端側ネック部35の外径は、アウターチューブ10の基端部の外径と実質的に等しく、通常1.0~3.3mmとされ、好適な一例を示せば1.45mmである。
バルーン30(拡張部31)の長さとしては、通常8~50mmとされ、好適な一例を示せば20mmとされる。
【0054】
本実施形態のバルーン型電極カテーテル100においては、インナーチューブ41と、先端チップ46とにより、インナーシャフトが構成されている。
バルーン型電極カテーテル100を構成するインナーチューブ41は、ガイドワイヤを挿通可能なルーメン(ガイドワイヤルーメン)を有し、アウターチューブ10(円管状部分11)の中央ルーメン10Lに挿通され、その先端部が当該中央ルーメン10Lの開口からバルーン30(拡張部31)の内部に延出している。
【0055】
バルーン30(拡張部31)の内部に延出したインナーチューブ41の先端部は、その外周面の半周部分が半円管状部分13に覆われた状態で、拡張部31の基端側コーン部分315、円筒状部分311および先端側コーン部分313の内部に延在し、先端側コーン部分313の内部において、先端チップ46に連結されている。
【0056】
他方、インナーチューブ41の基端部は、
図23および
図24に示すように、アウターチューブ10の基端(中央ルーメン10Lの基端側の開口)からYコネクタ20の内部に進入し、Yコネクタ20の内部を延在して、Yコネクタ20の外部に延出しており、インナーチューブ41の基端は、ガイドワイヤコネクタ24に連結している。
【0057】
インナーチューブ41の構成材料としては、従来公知のバルーンカテーテルを構成するインナーチューブと同一のものを使用することができるが、機械的特性に優れた結晶性熱可塑性樹脂であるPEEK樹脂(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)が好ましい。
【0058】
インナーチューブ41の外径は、これが挿通されるアウターチューブ10の中央ルーメン10Lの径と同一であるか僅かに小さく、通常0.34~0.99mmとされ、好適な一例を示せば0.84mmとされる。
インナーチューブ41の内径は、通常0.31~0.92mmとされ、好適な一例を示せば0.68mmとされる。
【0059】
バルーン型電極カテーテル100を構成する先端チップ46は、インナーチューブ41のガイドワイヤルーメンに連通するルーメン(ガイドワイヤルーメン)を有し、バルーン30の拡張部31の先端側コーン部分313の内部においてインナーチューブ41の先端に接続されるとともに、先端側ネック部33に固定されてバルーン30の外部に延出している。先端チップ46の先端は開口している。
【0060】
先端チップ46の構成材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、PEBAXおよびナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリウレタンなどを挙げることができる。
【0061】
先端チップ46の内径は、インナーチューブ41の内径と実質的に同一であり、通常0.31~0.92mmとされ、好適な一例を示せば0.68mmとされる。
先端チップ46の外径は、通常0.35~2.6mmとされ、好適な一例を示せば1.0mmとされる。
先端チップ46が固定されるバルーン30の先端側ネック部33の外径は、通常0.37~3.3mmとされ、好適な一例を示せば1.18mmである。
【0062】
図3~
図7および
図9~
図15に示すように、バルーン30(拡張部31の円筒状部分311および先端側コーン部分313並びに先端側ネック部33)の外表面には、高周波電流が通電される表面電極として、バルーン30の軸方向に沿って延びるよう金属薄膜によって形成された帯状電極51~54が、バルーン30の円周方向に沿って90°間隔で配置されている。
【0063】
帯状電極51~54を構成する金属薄膜の構成材料としては、金、白金、銀、銅およびこれらの合金、ステンレススチールなどを挙げることができる。
帯状電極51~54を構成する金属薄膜の膜厚としては0.5~5.0μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0~2.5μmとされる。
この膜厚が過小である場合には、手技中(高周波通電中)において、ジュール熱により金属薄膜が高温となるおそれがある。
他方、薄膜の膜厚が過大である場合には、拡張収縮に伴うバルーンの形状変化に当該金
属薄膜が追従しにくくなり、バルーンの拡張・収縮性が損なわれることがある。
【0064】
帯状電極51~54を構成する金属薄膜をバルーン30の外表面に形成する方法としては特に限定されるものではなく、蒸着、スパッタリング、メッキ、印刷など、通常の金属薄膜形成方法を採用することができる。
【0065】
図3、
図4、
図6、
図9および
図10に示すように、バルーン30の先端側ネック部33には金属リング60が装着されている。バルーン型電極カテーテル100を構成する金属リング60は先端側ネック部33にかしめ固定されている。この金属リング60の外周面には帯状電極51~54の各々の先端部が固着(接触)されている。これにより、帯状電極51~54の各々と金属リング60とが電気的に接続されている。
【0066】
金属リング60の構成材料としては、白金または白金系の合金などを挙げることができる。
図9に示すように、金属リング60は、樹脂材料65(
図3および
図4において図示省略)によって絶縁被覆されている。これにより、通電時の金属リング60が高温になることを防止することができ、金属リング60の周囲の正常組織が焼灼されるようなことを回避することができる。
【0067】
先端側ネック部33に装着される金属リング60の内径は、先端側ネック部33の外径と実質的に同一であり、通常0.37~3.3mmとされ、好適な一例を示せば1.18mmとされる。
先端側ネック部33に装着される金属リング60の外径は、アウターチューブ10や基端側ネック部35の外径よりも小さく、通常0.98~3.28mmとされ、好適な一例を示せば1.32mmとされる。
【0068】
金属リング60の内周面には導線70の先端が固定されている。
この導線70は、
図9および
図11に示すように、先端チップ46の管壁内に延在し、
図12、
図14および
図15に示すように、インナーチューブ41に沿ってバルーン30の拡張部31の内部に延在し、
図17、
図19および
図21に示すように、アウターチューブ10(円管状部分11)のサブルーメン112Lに延在し、
図23および
図24に示すように、Yコネクタ20の内部に延在し、Yコネクタ20から延出する導線保護チューブ26の内部を通ってYコネクタ20から延出している。
【0069】
導線70の基端は電気コネクタ21に接続されている。この電気コネクタ21は、帯状電極51~54にの各々に高周波電流を通電する通電用コネクタとしての機能と、温度センサ80を温度測定器に接続するための熱電対コネクタとの機能を兼ね備えている。
【0070】
金属リング60および導線70を介して、帯状電極51~54の各々を、電気コネクタ21に接続することにより、帯状電極51~54の各々に対して均等に高周波電流を通電することができる。
【0071】
導線70の構成材料としては、例えば、銅、銀、金、白金、タングステンおよびこれら金属の合金を挙げることができ、フッ素樹脂などの電気絶縁性保護被覆が施されていることが好ましい。
【0072】
図3、
図5、
図15~
図20に示すように、バルーン30の管壁には、熱電対からなる温度センサ80が埋設配置されている。この温度センサ80の側温部81(測温接点)は、拡張部31の管壁に位置している。
【0073】
図19~
図22に示すように、温度センサ80は、バルーン30の基端側ネック部35
の管壁からアウターチューブ10(円管状部分11)のサブルーメン106Lに進入して当該サブルーメン106Lに延在し、
図23および
図24に示すように、導線70とともに、Yコネクタ20の内部に延在し、Yコネクタ20から延出する導線保護チューブ26の内部を通ってYコネクタ20から延出している。
温度センサ80の基端は電気コネクタ21に接続されている。
【0074】
本実施形態のバルーン型電極カテーテル100によれば、バルーン30の外表面に形成された帯状電極51~54の各々により、脈管またはその周囲における病巣に対して広範囲にわたる高周波焼灼治療を行うことができる。
【0075】
また、金属リング60がバルーン30の先端側ネック部に装着され、帯状電極51~54の各々の先端部が金属リング60の外周面に固着されていることにより、帯状電極51~54の各々が、当該金属リング60および導線70を介して電気コネクタ21に電気的に接続されているので、帯状電極51~54の各々に対して均等に高周波電流を通電することができ、これにより、脈管またはその周囲における病巣組織を当該脈管の円周方向に沿って均質に焼灼治療することができる。
【0076】
また、バルーン30の先端側ネック部33に装着されている金属リング60の外径は、アウターチューブ10や基端側ネック部35の外径よりも小さいので、導入時に使用するシースや内視鏡の開口に金属リング60が引っ掛かるようなことはなく、シースや内視鏡の内腔へのバルーン型電極カテーテル100の挿通性が損なわれることがない。
【0077】
また、流体供給用サブルーメン101L~105Lの各々が、バルーン30の拡張部31の円筒状部分311の先端近傍に位置する半円管状部分13の先端面14において開口し、流体排出用サブルーメン107L~109Lおよび111Lの各々が、バルーン30の拡張部31の基端に位置する円管状部分11の先端面12において開口していることにより、バルーン30の拡張後(内部に流体が充填された後)であっても、バルーン30の内部において、先端側から基端側への流体の流れを形成することができ、当該流体を流動させることができる。
【0078】
特に、流体供給用サブルーメン101L~105Lの開口から、先端方向に吐出される流体が、拡張部31の先端側コーン部分313の内壁面に当たり、その後、拡張部31の円筒状部分311および基端側コーン部分315の内壁面に沿って基端方向に流れることにより、バルーン30(拡張部31)の内部において流体を循環させることができる。
【0079】
この結果、バルーン30の内部を、拡張部31の全域にわたり効率よく冷却することができ、これにより、帯状電極51~54の周囲の組織が十分に冷却され、当該組織が線維化されることを確実に防止することができる。
【0080】
また、アウターチューブ10に配置された流体供給用サブルーメン101L~105Lは5本であり、流体排出用サブルーメン107L~109Lおよび111Lは4本であるので、バルーン30の内部を一定の圧力(拡張圧力)に維持することができる。
【0081】
本実施形態のバルーン型電極カテーテル100が適用可能な症例としては、脈管またはその周囲における腫瘍や迷走神経などであり、具体的には、胆管ガン、肺ガン、肝ガン、腎臓ガン、副腎腺腫、腎動脈迷走神経などを挙げることができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、バルーン30の内部における半円管状部分13の先端面14の位置(流体供給
用サブルーメン101L~105Lの開口位置)は、拡張部31の軸方向の中間位置よりも先端側であれば、拡張部31の円筒状部分311の先端近傍でなくてもよい。
【0083】
また、本発明のバルーン型電極カテーテルにおいて、流体供給用サブルーメンおよび/または流体排出用サブルーメンの開口をアウターチューブの外周面に形成し、流体をアウターチューブの半径方向に吐出/排出してもよい。
【0084】
また、流体供給用サブルーメンの開口が、バルーンの拡張部の基端またはその近傍に位置し、流体排出用サブルーメンの開口が、拡張部の軸方向の中間位置よりも先端側に位置するようにしてもよい。
【0085】
また、流体供給用サブルーメンおよび流体排出用サブルーメンが互いに同じ軸方向位置に開口していてもよい。
また、少なくとも、バルーン30の先端側コーン部分313に位置している帯状電極51~54の部分を絶縁被覆することにより、バルーン30の円筒状部分311に位置している帯状電極51~54の部分のみで焼灼が行われるようにしてもよい。これにより、バルーン30の先端側コーン部分313が接触する組織における再狭窄を防止することができる。
ここに、「少なくとも、バルーン30の先端側コーン部分313に位置している帯状電極51~54の部分を絶縁被覆する」態様としては、先端側コーン部分313および先端側ネック部33の全域を絶縁被覆する態様を挙げることができる。
【符号の説明】
【0086】
100 バルーン型電極カテーテル
10 アウターチューブ
10L 中央ルーメン
101L~105L サブルーメン(流体供給用サブルーメン)
107L~109L,111L サブルーメン(流体排出用サブルーメン)
106L,110L,112L サブルーメン
11 円管状部分
12 円管状部分の先端面
13 半円管状部分
14 半円管状部分の先端面
20 Yコネクタ
21 電気コネクタ
22 流体供給用コネクタ
23 流体排出用コネクタ
24 ガイドワイヤコネクタ
26 導線保護チューブ
27 流体供給用チューブ
28 流体排出用チューブ
30 バルーン
31 拡張部
311 円筒状部分311
313 先端側コーン部分313
315 基端側コーン部分315
33 先端側ネック部
35 基端側ネック部
41 インナーチューブ
46 先端チップ
51~54 帯状電極(表面電極)
60 金属リング
70 導線
80 温度センサ(熱電対)
81 温度センサの測温部
90 シール材
95 接着剤