(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】組立間仕切の製造方法
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
E04B2/74 561Z
(21)【出願番号】P 2022065931
(22)【出願日】2022-03-25
【審査請求日】2022-05-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518423571
【氏名又は名称】藤井 道夫
(72)【発明者】
【氏名】藤井 道夫
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-049814(JP,A)
【文献】特表2000-501465(JP,A)
【文献】実開昭54-016593(JP,U)
【文献】特開2001-009173(JP,A)
【文献】特開2018-081154(JP,A)
【文献】特開2015-068012(JP,A)
【文献】実公昭49-026204(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
E04B 1/00
A63H 33/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項4】
前記連結ブロックの立方体の六面に掘られた四角形のホゾ穴には、可動域が形成されていて、連結ブロックをひねることで解体できるが、連結ブロックの水平方向四面のホゾ穴の可動域を広げる方向を水平方向に揃えて、連結ブロックを握り水平方向にひねることで、水平方向四面のホゾ穴に挿入された
連結棒に前記の固定枠上端の支点を中心とする回転力を同時に加えることになり、水平方向四面のホゾ穴の磁石に吸着された連結棒の吸着金属の側面が、
磁石の側面に接する固定枠上端に同時に接触することで、「てこの原理」を利用して、連結ブロックのひとひねりで連結棒を同時に外すことができる請求項3に記載の組立間仕切の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立方体のブロックとブロックを連結棒で水平方向及び垂直方向に連続して繋ぎ、特殊な道具や技能が無くても組立解体が可能な間仕切で、建築物の内装材又は家具に利用でき、繰返し使用が可能な組立間仕切に関する。
【背景技術】
【0002】
建物内に後付けで作る間仕切は、無機質で、温かみの無い金属製と化石燃料系のプラスチックを使用した既製品が多く、部屋の寸法に合わせて作る場合は、特殊な道具と技能が必要で誰でも作ることができない。
【0003】
災害時の避難所で使用されている仮設の間仕切は、プラスチック製のパイプで組立てる間仕切や紙製のパイプ又は段ボールで組立てる間仕切が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-28226
【文献】実用新案登録第3233334号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生活の中で使用される間仕切りは、住宅用は少なく、金属製や化石燃料系のプラスチック製で事務所用が多く、製造時や廃棄処理時(焼却及びリサイクルも含めて)に二酸化炭素や有害物質の排出により地球に負荷を掛けている。金属製の間仕切りは、寸法の変更が容易でなく、無機質で冷たく住宅の生活空間に合わない。特にプラスチックの場合、不適切な廃棄によってマイクロプラスチックによる、土壌や海洋の汚染などの課題が多い。これらの課題を解決するために、ものづくりの材料を植物由来の材料に替えていく必要があり、木材は、重要な材料になり、木材の需要を促進し、林業を持続可能なものにして森林が守れれば、地球の温暖化を止め、地球の環境を守ることができる。
【0006】
特殊な道具や技能が無くても組立解体ができる間仕切や家具は少なく、既製品の家具の場合、部屋の寸法に合わないなどの課題がある。最近は、DIYで家具を作り模様替えをする人が増え、温かみがあり生活環境に合い、部屋の寸法に合わせて誰でも簡単に組立解体ができ、部屋が変わっても繰返し使用できる組立間仕切や家具が望まれる。
【0007】
大きな災害時に、感染症予防とプライバシーを守り、避難所で使用するために、いくつかの組立間仕切が開発されているが、特許文献1の段ボールを使った間仕切の場合、繰返し使用することによって継ぎ目部分の劣化や折り目ができ自立が不安定になり永く使えない。特許文献2のプラスチックのパイプによる間仕切は、不快な臭いがあり、生活の中からプラスチックを減らして行こうとする流れにも逆行する。避難所生活において、限られた空間で、精神的、物理的に負荷が少なく繰返し使用できる避難所の間仕切の開発が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、特殊な工具や技能が無くても、形状及び外形寸法が統一された連結ブロックと連結棒の2種類の部品を水平方向及び垂直方向に連結して作る組立間仕切及び家具の製造方法であって、部品を、環境に負荷をかけず、リサイクル可能な金属又は、木材及び集成材、木質系プラスチック、木材パルプ、古紙パルプ、その他の植物由来の材料で作る。
【0009】
この発明は、立方体の連結ブロックのホゾ穴に、四角柱の連結棒を挿入して組立てる組立間仕切であって、連結棒の長さを変え、部屋に合わせて間仕切壁又は家具を作る。
【発明の効果】
【0010】
この発明の組立間仕切を植物由来の材料で作れば、温かみがあり人に掛かる負荷が少なく、家庭の雰囲気に合う家具や間仕切になる。また、災害時の避難所の間仕切に木製の組立間仕切を使うことによって、木目を生かして、精神的、物理的に、人に掛かる負荷が少ない間仕切が作れ、連結ブロックに短い連結棒と長い連結棒を組合わせてベッド付きの間仕切を作ることができ、連結ブロックと連結棒を追加することで、一人用から数人の家族用の間仕切りを連結して作ることができる。また、家庭でも避難所でも解体して別の場所でも繰返し使用できるため、プラスチックを含む他の材料に比べてリサイクル及び廃棄処理を減らし、地球にかかる負荷が小さくなり、マイクロプラスチックによる土壌や海洋の汚染を防ぎ、木材の需要を促進し、林業を持続可能なものにして森林を守ることができ、地球の温暖化を止め、地球の環境を守ることができる。
【0011】
請求項1から請求項3の発明は、連結ブロックと連結棒の二種類の部品で作る組立間仕切の骨組みであって、請求項1から請求項3の発明は、連結ブロックのホゾ穴に挿入した連結棒のそれぞれ違う仕様の固定方法であるが、三種の仕様とも部品の外形寸法を統一し、立方体の連結ブロックの寸法を、連結棒の断面の高さの3倍にすることで、分解して、高さを揃えて収納することができるので、まとめ易く収納スペースが少なく扱い易い。この部品の形状は、立方体と四角柱で、材質が変わっても成形や加工がしやすい。
【0012】
請求項1から請求項3の骨組みは、連結ブロックの四角形のホゾ穴に四角柱の連結棒を挿入して組立てられているため、部品の回転が止められ組立解体時に骨組みが自立して傾きを防ぎ、組立解体が容易に進められる。部品には、平滑な面が、常に水平及び垂直であり、適度な硬さと幅があり、この面に張り付けるボードによって、変形防止効果を得られ、仕上げ材にもなる。このボードの張り付けには、接着剤・粘着テープ・ネジ留め・釘打ち等の多種多様な固定方法が併用でき、強度が必要な間仕切又は家具にも使用できる。また、骨組みだけでも、変型防止効果はあるが、布、紙、フィルムを張り付けて使用する場合は、連結ブロックと連結棒で組立てられた骨組みを、紐又は紐状のゴム又はベルトで連結ブロックを対角線に繋ぐ筋交いを入れた方が、より確実な変形防止効果を得られ安定する。
【0013】
請求項1から請求項3の発明は、連結棒の固定方法の違いであって、材料又は使用状況に応じた固定方法を選択でき、使用機会を増やせる。請求項1の仕様は、クリップが連結ブロックのホゾ穴を補強し、連結棒のホゾの有効断面積が大きく、他の仕様に比べて耐荷重が大きく、荷重の掛かる組立間仕切及び家具に使用できる。また、長期にわたり継続して使用する場合は、この連結ブロックと同じ形状で、クリップを外した状態のホゾ穴に連結棒を挿入し、接着剤で固定して組立間仕切を作り、同じように家具や生活用品も作ることができる。
【0014】
請求項2の仕様は、連結ブロックにも、連結棒にも金属を使っていないので、金属を使いたくないところで使え、部品が劣化して使えなくなっても、チップやパルプに加工し、リサイクルすることができる。また、土に戻せるため資源の循環ができ、他の仕様と比べて一番地球に負荷を掛けない組立間仕切及び家具になる。請求項3の仕様は、磁石で連結棒を吸着するので、吸着時に音がして固定されたか確認でき、組立て易い。請求項4の磁石の固定枠の縁を吸着面より高くすることで、請求項3の仕様を使用する時に、連結棒の位置がずれることなく、連結棒を確実に固定し、解体時には、「てこの原理」を利用して小さい力で解体できるようになる。この仕様において、ホゾ穴の可動域を水平方向のみに設けることによって、連結棒の先端の吸着金属が磁石から離れても、ホゾ穴の水平面が連結棒の落下を防ぎ、磁石の吸着状態を維持し、組立間仕切の崩落的分解を防ぐことができる。以上の三種の仕様とも連結棒の固定方法が解りやすく、工具や技能が無くても組立解体ができる。
【0015】
前記組立間仕切を建築物の内装材として利用する場合、連結ブロックのホゾ穴を壁面に露出させ、このホゾ穴に連結棒を挿入して、連結棒を掛け釘として、また、連結ブロックと連結棒を追加して後付けで造り付け家具を追加できる。また、連結ブロックと連結棒の段差を利用して、仕上げボードを連結ブロックの面に張り、この仕上げボードの下に段差の高さまで、材質が違う厚いボードを連結棒に張り付け、吸音・防音・遮音・断熱の室内環境を変える機能を持った壁を、後付けで作れる。また、組立間仕切の連結ブロックと連結棒で囲まれた部分に張り付ける変形防止のために、ボードの四隅の欠き込みを、連結ブロックに張り付ける場合は連結棒の断面の矩形にして、連結棒に張り付ける場合は連結ブロックの断面の矩形にして、それぞれの部品に密着させ変形防止効果を得ることができる。
【0016】
組立間仕切の部品を利用し、連結棒の長さを変えて、家庭用の家具及び商店や事務所で使用する家具も作ることができ、用途に合った固定方法を選択し併用することで、ペット用ハウス、収納ボックス、踏み台、建具等、工夫次第で他の用途にも利用できる。
【0017】
請求項5のアジャスターは、上部の固定板付きボルト、中間部のナット付きホゾ、下部の固定用ホゾ穴の三種の部品を組立て、セットで使用するが、請求項1から請求項3の仕様の連結ブロックのホゾ穴に共通で、固定方法の違う組立間仕切をこのアジャスターの部品を使用して連結することができる。また、車輪を付けたアジャスターを連結ブロックに挿入して、移動可能な組立間仕切又は家具を作ることができる。
【0018】
請求項6は、前記アジャスターの突っ張り棒としての使用方法であって、上部の固定板付きボルト、中間部のナット付きホゾ、下部の固定用ホゾ穴の三種の部品をセットで使用し、一体となったアジャスターを連結ブロックに固定して、この連結ブロックを連結棒の両端に取付けて突っ張り棒として使用するが、この突っ張り棒は、水平方向に連結が可能で、突っ張り棒の座屈を防ぎ補強することができる。また、家具上部の四隅に、この突っ張り棒を固定して周りをボードで囲い、家具の上を収納部分として使用できる。
【0019】
請求項7は、前記アジャスターの上部と中間部の部品を使って突っ張り棒として利用する方法であって、上部の固定板付きボルトを中間部のナットにねじ込み、一体となった中間部のナット付きホゾは、連結棒の両端に取付けて突っ張り棒として使用できる。また、連結棒の片方だけにこの部品を取付け、連結棒のこの部品を取付けない方を組立間仕切の連結ブロックのホゾ穴に挿入して、組立間仕切と固定面との距離が遠い場合のアジャスターとしても使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
(注)図面上の矢印の前を正面とする。
【
図1】クリップ仕様の連結ブロック (A)正面図(断面▲1▼の位置を記入) (B)▲1▼断面図、(C)斜視図
【
図2】クリップ仕様の連結棒 (A)正面図、(B)側面図、(C)斜視図
【
図4】テーパー付きホゾ仕様の連結ブロック (A)正面図(断面▲3▼、▲4▼の位置を記入) (B)▲3▼、▲4▼断面図(共通)
【
図5】テーパー付きホゾ仕様の連結棒(1) (A)正面図、(B)上面図、(C)側面図
【
図6】テーパー付きホゾ仕様の連結棒(2) (A)挿入方法の説明図、(B)斜視図
【
図7】テーパー付きホゾ仕様の連結ブロックと連結棒の組立図 (A)接合部分の正面図、(B)接合部分の斜視図
【
図8】磁石仕様の連結ブロック (A)正面図(断面▲5▼の位置を記入)、(B)斜視図
【
図9】磁石仕様の連結ブロックと連結棒 (A)▲5▼断面図(断面▲6▼の位置を記入) (B)連結棒の正面図、(C)連結棒の側面図
【
図10】磁石仕様の連結ブロックの解体方法の説明図 (A)解体方法の説明図(▲5▼断面)、(B)▲6▼断面図
【
図11】「てこの原理」を利用できないホゾ穴の説明図 (A)解体する連結ブロック、(B)隣接する連結ブロック
【
図12】「てこの原理」を利用した場合の連結棒の動きの説明図 (A)解体する連結ブロック、(B)隣接する連結ブロック
【
図13】「てこの原理」の説明図(1) (A)回転前、(B)回転前のイ部分詳細図
【
図14】「てこの原理」の説明図(2) (A)回転後、(B)回転後のイ部分詳細図
【
図15】ボードの形状の違いによる変形防止効果の説明図(A)(B)
【
図16】ボードの四隅の欠き込み(連結ブロックに張り付けて変形防止) (A)平面図、(B)ハ部分詳細図
【
図17】ボードの四隅の欠き込み(連結棒に張り付けて変形防止) (A)平面図、(B)ニ部分詳細図
【
図18】間仕切壁のボードと組立間仕切の正面図(参考図)
【
図25】連結ブロックの固定方法とホゾ穴の利用方法(参考図) (A)埋め木、(B)掛け釘
【
図26】開口付間仕切(市松模様)(参考図) (A)断面図、(B)正面図
【
図27】吊り棚付き壁仕上げ(参考図) (A)断面図、(B)正面図、(C)斜視図
【
図29】アジャスターの分解斜視図 上部:固定板付きボルト 中間部:ナット付きホゾ 下部:固定用ホゾ穴
【
図30】アジャスターの取付け断面図 (A)クリップ仕様、(B)テーパー付きホゾ仕様 (C)磁石仕様
【
図31】突っ張り棒(連結ブロック+連結棒+アジャスター)断面図
【
図32】突っ張り棒(連結棒+アジャスター)断面図
【
図33】突っ張り棒 (A)(連結ブロック+連結棒+アジャスター)用斜視図 (B)(連結棒+アジャスター上部)用斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
請求項1から請求項3は、本発明の基本的製造方法であって、部品を作る材料は、リサイクル可能な金属又は木材及び集成材、木質系プラスチック、木材パルプ、古紙パルプ、その他の植物由来の材料で作り、反りや収縮が小さく、使用時に必要な強度と形状を維持できることが必要で、地球環境に負荷を掛けない組立間仕切を提供するための発明であり、材料によっては、部品の固定方法を変える必要がある為に、主要な部分である連結ブロックのホゾ穴に挿入する連結棒の固定方法として、三種の仕様を用意している。他に、汎用性の高い紐で結ぶ固定方法も使用でき、連結ブロックを対角線に繋げば筋交いとなり、変形防止効果を得られる。以下に、図面を参照しながら本発明の実施する形態を説明する。
【0022】
図1から
図3は、請求項
1のクリップ仕様に関する図面であって、連結ブロック1のクリップ付きのホゾ穴2に連結棒11を挿入して固定する方法で骨組みを作る組立間仕切の製造方法に関する図面である。
図1は、クリップ3を連結ブロック1のホゾ穴2に固定した図面であって、クリップの可動域を設けるため、このホゾ穴は、
図1(A)に示すようにクリップの両側を残し、クリップの幅だけホゾ穴を斜めに切削している。このホゾ穴2のクリップの両側に垂直部分を残すことによって、
図2の連結棒11を挿入するときに連結棒11のズレを防ぎ、
図3のクリップ3の山形部分bを連結棒11の先端12aで真っ直ぐに押すことで、クリップを広げ、連結棒11の先端がホゾ穴2の奥に着いたときクリップ3の山形部分bが連結棒11の溝12に嵌まり連結棒11を固定する。
図2は、連結棒11の形状を表わす図面であって、この連結棒の溝12を四面に掘ることによって、連結棒11の向きを確認せずに組立てを進められる。また、連結棒11の先端12aは、潰れたり、欠けたりしないように面取りをしている。この面取りによって、クリップを押して広げ易くする。連結棒11を抜くときは、クリップ3の頂部aを指で押してクリップ3の山形部分bを広げて連結棒11を抜く。また、長期にわたり継続して使用する場合に、この組立方法は、クリップ3を外して連結棒を挿入し、接着剤、粘着テープ、ネジ留め、釘打ち等、他の固定方法を併用して組立間仕切を作ることができ、家具にも応用できる。
【0023】
図4から
図7は、請求項
2のテーパー付きホゾ仕様に関する図面であって、連結棒13のテーパー付きホゾ15を連結ブロック1aに掘ったテーパー付きのホゾ穴4に挿入して固定する方法で骨組みを作る組立間仕切の製造方法に関する図面である。
図4(A)は、立方体の六面にホゾ穴4を掘った正面図で、
図4(B)は、▲3▼断面図であり、このホゾ穴4の形状は、奥が広く
手前が狭い四角錘台である。
図5は、テーパー付きホゾ仕様の連結棒13の図面であって、連結棒13の切り込み14を、ホゾの長さより長くして
図6(A)のようにたわませる必要があり、連結棒13のホゾのテーパー部分5は、この切り込み14の向きに平行で、連結棒13の端部の相対する位置に設ける。また、連結棒のテーパー付きホゾ15は、二面のみであるが、連結ブロック1aのホゾ穴4の、テーパー部分5は、四面に作る。これにより連結ブロック1aの向きを確認せずに挿入しても組立てられる。この時、連結棒13の切り込み14部分にクサビ22を嵌め込み、連結棒13が抜けないようにする。また、このクサビ22は、
図7(A)のように仕切ボード33の受材にもなるため、切り込み14の向きを、垂直方向にして挿すことが望ましい。
【0024】
図8から
図14は、請求項3の磁石仕様に関する図面であって、連結ブロック1bのホゾ穴6の奥に磁石7を固定して、吸着金属8を取付けた連結棒16の先端をホゾ穴の磁石7に吸着させて固定する方法で骨組みを作る組立間仕切の製造方法に関する図面である。
図8(A)は、連結ブロック1bのホゾ穴6の奥に磁石7を固定した正面図で、
図8(B)は、この連結ブロックの斜視図であり、このホゾ穴6は、
図13(A)のように奥の磁石を固定した部分の幅6W1より連結ブロック1bの表面の幅6W2を水平方向に広くして、
図9(B)(C)の連結棒16の可動域を設け、
図10(B)のホゾ穴6の高さ6Hは、連結棒16の高さと同じにして、「てこの原理」を水平方向のみで利用できるようにする。
図10(A)は、連結ブロック1bをひねることによって、水平方向に挿入された連結棒を同時に外せることを表している。
図10(B)は、連結棒16を連結ブロック1bに挿入した状態の垂直方向の▲6▼断面図であって、ホゾ穴の水平部分6aに連結棒16が接し、吸着金属8が磁石7に吸着した状態7Aを維持し、吸着金属8が磁石7から少し離れた状態7Bでも、吸着状態を維持し、崩落的落下を防ぐ。
【0025】
図11(A)は、連結ブロック1bのホゾ穴6に可動域を設けないで連結棒を外す場合の説明図で、このホゾ穴で、磁石7から連結棒16の吸着金属8を外す場合は、吸着面に鉛直方向に引き離すことになり、大きい力が必要で無理をして連結棒16を捏ねて連結ブロック1bを壊す可能性がある。また、
図11(B)の隣接する連結ブロックを繋いだ連結棒が、突っ張りとなって鉛直方向に抜けない。
図12(A)は、可動域を設けた連結ブロック1bをひねった時の連結棒の動きを表わした図面で、
図12(B)の隣接する連結ブロックでも可動域が生かされて、連結ブロックに影響は無く連結棒16が外れることを表わしている。
【0026】
図13、
図14は、請求項
3の「てこの原理」を利用するための説明図であって、
図13(A)は、磁石7に吸着金属が吸着した状態の図面で、
図13(B)は、イ部分の詳細図で磁石の固定枠7aの縁の高さ7hを、連結棒16の先端の吸着金属8の厚さ8hより低くして、吸着金属8が、確実に磁石7に吸着し磁石7の固定枠7aの縁に掛かるようにする必要がある。
図14(A)は、この固定枠の縁Aが「てこの原理」の支点で、磁石の吸着面Bが作用点であり、連結ブロック1bの四隅Cの力点をひねることによって、吸着金属8が、磁石7から離れた状態を表わした図面で、
図14(B)は、イ部分の詳細図で支点Aが有効に機能していることを表わしている。この「てこの原理」を利用すれば、
図13、14の場合は、約3分の1の力で外れる。
【0027】
図15は、組立間仕切の変形防止ボードの形状の違いによる変形防止効果の説明図であって、
図15(A)のボード(イ)は、連結ブロックに密着する部分Dが、上下共、水平方向しかなく、連結棒の表面にボード(イ)を固定しなければ変形防止効果は無いが、
図15(B)のボード(ロ)は、四隅に矩形の欠き込みがあって、連結ブロックに密着する部分が、水平面D1及び垂直面E1と対角線上にも水平面D2及び垂直面E2があり、ボードが外れなければ、連結棒に固定しなくても、水平方向に力が加わっても変形防止効果を得られる。また、連結ブロックの表面にボードを張り付け、四隅の欠き込みが連結棒に密着する場合も、同様の効果を得られる。
【0028】
図16のボードc、dは、連結ブロック1の表面に張り、ホゾ穴に挿入された連結棒11の断面に接するボードc、dの四隅を矩形に欠き込むことによって変形防止効果を得て、
図17のボードc、dは、連結棒11の表面に張り、連結ブロック1の断面に接するボードc、dの四隅を矩形に欠き込むことによって変形防止効果を得る図面である。
図18は、災害時の避難所で使用する間仕切の正面図であって、テーパー付きホゾ仕様の組立間仕切にボードeを張り付け変形防止効果を得る場合の参考図であるが、クリップ仕様又は磁石仕様でも、変形防止効果を得るボードeの形状は同じで、連結棒が長く連結ブロックの距離が遠い場合に、ボードeのたわみを防ぎ変形防止効果を得るには、強度のある材料で作るか、強度の無い材料で作る場合は、ボードを厚くする必要がある。この組立間仕切は、連結ブロックの面と連結棒の面に段差があり、段差の高さまで厚いボードを使用できるため、段ボールのように厚くした紙製のボードを間仕切に使用すれば、丈夫でプライバシーを守れる間仕切になる。また、上部の水平方向の連結棒13を、リングに通して組立てればカーテンレールとして使用できる。
【0029】
図19、
図20は、災害時の避難所の間仕切に本発明の組立間仕切を利用した居住スペースの平面図と斜視図(参考図)であって、短い連結棒と変形防止ボードを組合わせてベッド付き間仕切とした使用例である。この間仕切に、後付けで連結ブロックと連結棒を追加して居住スペースを前後左右に増設できる。
【0030】
図21から
図27は、本発明の組立間仕切の部品を利用した使用例を表わした参考図であって、
図21は机、
図22は本棚、
図23は陳列棚であり、
図24は、収納ボックスの斜視図であるが、収納ボックスを積み重ねる時に上下の連結ブロックを繋ぐダボ31をホゾ穴に挿して積み重ねることで、上下が、ずれることなく安定して垂直に積み重ねることができる。
図25は、組立間仕切を既存の壁に固定する方法で、(A)は、連結ブロック1のホゾ穴からネジ30で止めて埋め木31で塞ぎ、(B)は、ホゾ穴に短く加工した連結棒を掛け釘32として利用する図面である。この固定方法で、既存の壁に
図22の本棚も固定でき、組立間仕切を利用して後付けした壁が
図27であって、この壁の露出した連結ブロック1のホゾ穴に、連結棒11を挿入し連結ブロック1と棚板17とボード19を追加して吊り棚を設けた図面である。
図26は、間仕切の使用例で、ボード20を張る部分と開口とを交互に設け市松模様にして、隣の部屋を見通せる間仕切で、開口にガラス等の透明の材料を張ることで、空気の流れを遮断し見通せる間仕切を作ることもできる。
【0031】
図28、
図29は、組立間仕切の連結ブロックと既存の床、壁、天井との隙間に入れ固定する請求項
5のアジャスターの図面であって、
図28は、
図29に示す部品(上部の固定板付きボルト、中間部のナット付きホゾ、下部の固定用ホゾ穴)を組み立てたアジャスターの断面図であり、下部の固定用ホゾ穴105は、底部に吸着金属と補強を兼ねた座金106を溶接してあり、この底部を組立前の連結ブロックのホゾ穴に固定し、組立間仕切の組立後に、アジャスターの中間部のナット103に上部の固定板付きボルト102をネジ込み一体となった中間部のホゾ104を、先に連結ブロックのホゾ穴に固定したアジャスター下部の固定用ホゾ穴105に挿入して、アジャスターとして使えるようになり、このアジャスターの上部の固定板100を回し、床、壁、天井に接触させ固定する。
図30は、このアジャスターが(A)クリップ仕様、(B)テーパー付きホゾ仕様、(C)磁石仕様に共通して使用できることを表わしている。
【0032】
図31は、前記アジャスターを請求項
6の突っ張り棒として利用する図面であって、このアジャスターを固定した連結ブロック1を連結棒110の両端に取付け、このアジャスターの固定板を回して高さを合わせる突っ張り棒であり、連結ブロック1の水平方向のホゾ穴に連結棒110を挿入して連結できることが特徴である。これにより、突っ張り棒の座屈を防ぎ強度が増し安定した突っ張り棒になる。この突っ張り棒に使用する連結棒110の形状は、
図33(A)に示し、長さを使用場所に合わせて切断するだけで使用できる。また、連結ブロック1と連結棒110で組立てられた突っ張り棒の外側にボード120を張り付け、囲まれた空間140を収納部分として利用でき、家具の上の空間を有効に利用できる。
【0033】
図32は、前記アジャスターの上部の固定板付きボルトと中間部のナット付きホゾのみを利用する請求項
7の突っ張り棒の図面であって、上部の固定板付きボルト102を中間部のナット103にネジ込み一体に成った中間部のナット付きホゾ104を連結棒の両端に取付けて突っ張り棒とした断面図で、この連結棒の両端は、中間部の箱型で下部が開放されたナット付きホゾ104の内側W104に挿入して取付けるが、
図33(B)に示すように連結棒の両端の四面をナット付きホゾ104の内側W104に合わせて削り細くしたホゾ111bに加工して段差111a
を設け、ホゾの食い込みを止め、突っ張り棒として機能する。
【産業上の利用可能性】
【0034】
この組立間仕切の主な部品の形状は、立方体の連結ブロックと四角柱の連結棒であって、この部品の外形寸法を統一して、長さを一定のモジュールで加工した連結棒と長さを使用目的に合わせて切断可能な連結棒を製品化すれば、誰でも組立解体が可能な組立間仕切であり、家具や間仕切の他に工夫次第で多種多様な生活用品を作る部品として利用可能で、DIYで使用可能な部品となり、建築物の内装材としても利用できる。また、材料は、環境に負荷を掛けない材料で作ることができるため、金属及びプラスチックに代わる部品としても需要がある。
【符号の説明】
【0035】
1:クリップ仕様の連結ブロック
1a:テーパー付ホゾ仕様の連結ブロック
1b:磁石仕様の連結ブロック
2:クリップ仕様のホゾ穴
3:クリップ
4:テーパー付ホゾ仕様のホゾ穴
5:ホゾ穴のテーパー部分
6:磁石仕様のホゾ穴
6a:磁石仕様のホゾ穴と連結棒の接触面(
図10)
6b:磁石仕様のホゾ穴と連結棒の接触面(
図11)
6H:磁石仕様のホゾ穴の高さ
6W1:磁石仕様のホゾ穴の奥の幅
6W2:磁石仕様のホゾ穴の手前の幅
7:磁石
7a:磁石の固定枠
7A:磁石と吸着金属が接触
7B:磁石と吸着金属が分離
7h:磁石の固定枠の縁の高さ
8:連結棒の吸着金属
8h:連結棒の吸着金属の厚さ
11:クリップ仕様の連結棒
12:クリップ仕様の連結棒の溝
12a:クリップ仕様の連結棒の先端
13:テーパー付ホゾ仕様の連結棒
14:テーパー付ホゾ仕様の連結棒の切り込み
15:テーパー付ホゾ仕様の連結棒のホゾ
16:磁石仕様の連結棒
17:棚板
18:机天板
19:吊り棚側板
20:仕上げボード(変形防止)
22:クサビ
30:固定用ネジ
31:埋め木(ダボ)
32:木製掛け釘
33:仕切りボード
100:アジャスター固定板
101:アジャスター固定板のネジ穴
102:アジャスターボルト
103:アジャスターボルトのナット
104:アジャスター上部
W104:アジャスター上部の箱形内幅
105:アジャスター下部
W105:アジャスター下部の箱形外幅
106:ネジ穴の補強座金
107:アジャスター下部の固定ネジ
110:突っ張り棒用連結棒
111:突っ張り棒用連結棒
111a:突っ張り棒用連結棒の段差
111b:突っ張り棒用連結棒のホゾ
112:突っ張り棒用埋め木
120:仕上げボード(
図30)
130:家具(
図30、
図31)
131:天井(
図30、
図31)
140:突っ張り棒で囲まれた空間
150:収納ボックス蓋
イ:欠き込みの無いボード(
図15)
ロ:欠き込みの有るボード(
図15)
D:ボードの連結ブロック水平方向接触部分(
図15)
D1、D2:ボードの連結ブロック水平方向接触部分(
図15)
E1、E2:ボードの連結ブロック垂直方向接触部分(
図15)
a:クリップの頂部
b:クリップの山形部分
c~e:ボード(
図16、
図17、
図18)