(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】オープンシールド工法およびオープンシールド機
(51)【国際特許分類】
E21D 9/06 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
E21D9/06 331
(21)【出願番号】P 2022069819
(22)【出願日】2022-04-21
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000189903
【氏名又は名称】植村 誠
(73)【特許権者】
【識別番号】501200491
【氏名又は名称】植村 賢治郎
(74)【代理人】
【識別番号】100078695
【氏名又は名称】久保 司
(74)【代理人】
【識別番号】100186864
【氏名又は名称】尾関 眞里子
(72)【発明者】
【氏名】植村 誠
(72)【発明者】
【氏名】植村 賢治郎
(72)【発明者】
【氏名】日浦 正一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直雅
(72)【発明者】
【氏名】中村 仁久
(72)【発明者】
【氏名】加藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】村澤 進太郎
(72)【発明者】
【氏名】近田 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 元晶
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-200735(JP,A)
【文献】特開2006-112100(JP,A)
【文献】特開2015-048659(JP,A)
【文献】特開2013-256832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 1/00-9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の側壁板とこれら側壁板と同程度の長さでその間を連結する底板とからなる、前面、後面及び上面を開口した
オープンシールド機で、機体を前後方向で複数に分割し、フロント部としての前方の機体の後端にテール部としての後方の機体の前端が嵌入して、相互の嵌合部で屈曲可能とし、フロント部の前端にスライド土留板を設けて可動分割刃口としたオープンシールド機を使用し、
オープンシールド機の前面または上面開口より前方の上砂を掘削・排土する工程と、
オープンシールド機に配設された推進ジャッキを伸長してコンクリート函体を反力にしてオープンシールド機を前進させる工程と、シールド機のテール部内で縮めた
オープンシールド機に配設された推進ジャッキの後方に新たな
地中構造物を形成するコンクリート函体を上方から吊り降ろしてセットする工程とを適宜繰り返して順次
地中構造物を形成するコンクリート函体を縦列に埋設するオープンシールド工法において、
前部外面に掘進抵抗を地盤から受けてオープンシールド機の機体を傾かせるための傾斜面を設けたキャップボックス管をスライド土留板に嵌め、切羽地山に前記キャップボックス管の傾斜面が当たり、切羽地山からの反力を得て推進時のオープンシールド機の姿勢制御をおこなうことを特徴としたオープンシールド工法。
【請求項2】
左右の側壁板とこれら側壁板と同程度の長さでその間を連結する底板とからなる、前面、後面及び上面を開口したシールド機で、機体を前後方向で複数に分割し、フロント部としての前方の機体の後端にテール部としての後方の機体の前端が嵌入して、相互の嵌合部で屈曲可能とし、フロント部の前端にスライド土留板を設けて可動分割刃口としたオープンシールド機において、
前部外面に掘進抵抗を地盤から受けてオープンシールド機の機体を傾かせるための傾斜面を設けたキャップボックス管をスライド土留板に嵌めたことを特徴とするオープンシールド機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オープンシールド工法およびこれに使用するオープンシールド機に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のごとくオープンシールド工法は、開削工法(オープン工法)とシールド工法の長 所を生かした合理性に富む工法である。
【0003】
まず、オープンシールド工法で使用するオープンシールド機について説明すると、下記特許文献にも示すが、基本的には左右の側壁板とこれら側壁板と同程度の長さでその間を連結する底板とからなる、前面、後面及び上面を開口したシールド機である。
【文献】特開2020-200735号
【0004】
そして、
図9、
図10に示すように、機体を前後方向で複数に分割し、フロント部2としての前方の機体の後端にテール部5としての後方の機体の前端が嵌入して、相互の嵌合部で屈曲可能としている。
【0005】
フロント部2は主として掘削を行うもので、前端と上面を開放面としてあり、機体内で後部に後方へ向けて中折ジャッキ11を左右によせ。かつ上下複数段に配設する。
【0006】
これに対してテール部5はコンクリート函体4の設置を行うもので、機体内で前部に後方へ向けて推進ジャッキ(シールドジャッキ)3を左右によせ、かつ上下複数段に配設した。
【0007】
図中9は、フロント部2の前端に設けた可動分割刃口として掘削時に側部の地山崩壊を防止する為のもので、シールド機先端から前方へ伸長させるスライド土留板である。
【0008】
図中10はこのスライド土留板9を動かすスライドジャッキ、12は隔壁、13はプレスバー(押角)である。
【0009】
前記可動分割刃口としてのスライド土留板9は、先端の刃口を上下の水平方向に複数に分割し、前記スライドジャッキ10で左右の側壁板から前方に突出するスライドボックスによるもので、引き戸形式でオープンシールド機の側壁板の先端部を戸袋としてのボックス収納部に形成してこれに出し入れ自在に収容される。
【0010】
前記フロント部2とテール部5との結合による中折れ部は、方向・勾配修正、曲線施工時に使用する。中折れ部に配設した中折ジャッキ11によりシールド機1のフロント部2とテール部5を曲げることができる。
【0011】
前記隔壁12は、オープンシールド機1前面の掘削部と油圧機器収納部を仕切る為のもので、掘削土砂を押して圧密し、地下水の高い場所や軟弱土の施工の際に役立つ。
【0012】
次にこのようなオープンシールド機1を用いて行うオープンシールド工法について概要を
図15で説明すると、発進坑7内にオープンシールド機1を設置して、シールド機1の推進ジャッキ3を伸長して発進坑内の反力壁8に反力をとってシールド機1を前進させ、地中構造物を形成する第1番目のコンクリート函体4を上方から吊り降し、シールド機1のテール部5で形成されるテール部内で縮めた推進ジャッキ3の後方にセットする。
【0013】
発進坑7は土留壁で構成し、オープンシールド機1を発進させるにはこの土留壁の発進方向前方の土留矢板を撤去して鏡切りするが、必要に応じて薬液注入等で発進坑7の前方部分に地盤改良を施しておくこともある。
【0014】
次いで、ショベル等の掘削機6でオープンシールド機1の前面又は上面から土砂を掘削し、かつ排土する。
【0015】
前記コンクリート函体4の据付は、オープンシールド機1のテール部内に函体4を敷設するもので、通常、ラフテレーンクレーンまたはクローラクレーン等の揚重機14を使用することが多く、テール部内底部で計画高を測定し、コンクリートブロック等での高さ調整材を設置し(4箇所)、その上にコンクリート函体4を設置する。
【0016】
テール部内にコンクリート函体4を設置した後、コンクリート函体4に予め設置されてあるグラウトホールからコンクリート函体4の内部よりテール部の内面と函体4の外面との空隙に可塑状の裏込注入材15を一次注入充填する。
【0017】
敷設したコンクリート函体4を反力にオープンシールド機1を推進させるには、シールド機内部に配設した推進ジャッキ3により行う。
【0018】
シールド機1の推進に伴って地中に発生するテールボイド(テール部底板及び側板の厚み分)へ、コンクリート函体4のグラウトホールから可塑状の裏込注入材15を二次注入として注入充填する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
オープンシールド機1掘進時では通常、オープンシールド機1の前方に配置した掘削機6で前方に向かって法面を形成するように地山を掘削する。このとき、掘削法面の両側部の地山が崩れないようにスライド土留板9を前方へ伸長し、法面両側部の地山を抑える目的でスライド土留板9が使用される。
【0020】
また、オープンシールド機1掘進時は、オープンシールド機1の姿勢や地山接触面との推進抵抗の他、地山の地盤構成、地山の硬軟等の影響を受けながら掘進するため、オープンシールド機1は若干のヨーイングやピッチング、ローリングの揺動を伴って推進する。
【0021】
このため、オープンシールド機1がほぼ所定の計画位置や高さを推進するように、使用するシールドジャッキ3を選択し、左右上下に装備された使用するシールドジャッキ3を複数本選択し、シールドジャッキの左右上下の伸長差をつけながら、さらに、オープンシールド機1の姿勢や推進挙動傾向によっては中折ジャッキも使用し、オープンシールド機1の姿勢制御を行いながら掘進させる。
【0022】
オープンシールド工法は特に軟弱地盤で良く採用され施工実績も多いが、水路改修工事や家屋が近接した狭隘な箇所などの施工条件や、多層地盤や地山の硬軟などの性状によっては、前記の制御方法でもオープンシールド機のローリングやピッチング、ヨーイングが大きくなり、姿勢制御がしづらくなってくる。
【0023】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、オープンシールド機のローリングやピッチング、ヨーイングに対するオープンシールド機の姿勢制御を簡単に行うことができるオープンシールド工法およびオープンシールド機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記目的を達成するため本発明は、左右の側壁板とこれら側壁板と同程度の長さでその間を連結する底板とからなる、前面、後面及び上面を開口したオープンシールド機で、機体を前後方向で複数に分割し、フロント部としての前方の機体の後端にテール部としての後方の機体の前端が嵌入して、相互の嵌合部で屈曲可能とし、フロント部の前端にスライド土留板を設けて可動分割刃口としたオープンシールド機を使用し、オープンシールド機の前面または上面開口より前方の上砂を掘削・排土する工程と、オープンシールド機に配設された推進ジャッキを伸長してコンクリート函体を反力にしてオープンシールド機を前進させる工程と、シールド機のテール部内で縮めたオープンシールド機に配設された推進ジャッキの後方に新たな地中構造物を形成するコンクリート函体を上方から吊り降ろしてセットする工程とを適宜繰り返して順次地中構造物を形成するコンクリート函体を縦列に埋設するオープンシールド工法において、前部外面に掘進抵抗を地盤から受けてオープンシールド機の機体を傾かせるための傾斜面を設けたキャップボックス管をスライド土留板に嵌め、切羽地山に前記キャップボックス管の傾斜面が当たり、切羽地山からの反力を得て推進時のオープンシールド機の姿勢制御をおこなうことを要旨とするものである。
【0025】
オープンシールド機としては、右の側壁板とこれら側壁板と同程度の長さでその間を連結する底板とからなる、前面、後面及び上面を開口したシールド機で、機体を前後方向で複数に分割し、フロント部としての前方の機体の後端にテール部としての後方の機体の前端が嵌入して、相互の嵌合部で屈曲可能とし、フロント部の前端にスライド土留板を設けて可動分割刃口としたオープンシールド機において、前部外面に掘進抵抗を地盤から受けてオープンシールド機の機体を傾かせるための傾斜面を設けたキャップボックス管をスライド土留板に嵌めたことを要旨とするものである。
【0026】
本発明によれば、キャップボックス管をスライド土留板に嵌めることで、スライド土留板を伸長し、前方の切羽地山に前記キャップボックス管の前端面が面として当たり、切羽地山からの反力が得られる。
【0027】
このように、オープンシールド機の推進時の部分的な推進抵抗力が得られ、オープンシールド機のシールドジャッキと中折ジャッキによる方向制御と併用すれば、方向制御がよりしやすくなる。
【0028】
スライド土留板を介してオープンシールド機の左右もしくは上下向きの反力、他方は下向きの反力が得られ、オープンシールド機の断面方向に回転モーメント力が得られることになり、ローリング等を改善するすることができる。
【0029】
また、キャップボックス管は複数のスライド土留板を左右、もしくは上下で適宜選択することで、肌理の細かいオープンシールド機の姿勢制御が可能となる。
【発明の効果】
【0030】
以上述べたように、本発明のオープンシールド工法およびオープンシールド機は、オープンシールド機のローリングやピッチング、ヨーイングに対するオープンシールド機の姿勢制御を簡単に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明のオープンシールド工法およびオープンシールド機の1実施形態を示す縦断側面図である。
【
図2】本発明のオープンシールド工法およびオープンシールド機の1実施形態を示す平面図である。
【
図5】本発明のオープンシールド機のスライド土留板の一例を示す側面図である。
【
図6】本発明のオープンシールド機のスライド土留板の他例を示す側面図である。
【
図7】オープンシールド機のスライド土留板部分の正面図である。
【
図8】オープンシールド機のスライド土留板部分の他例を示す正面図である。
【
図9】オープンシールド機の概要を示す側面図である。
【
図10】オープンシールド機の概要を示す平面図である。
【
図11】オープンシールド機のスライド土留板収納部分を示す平面図である。
【
図12】オープンシールド機のスライド土留板収納部分を示す側面図である。
【
図13】オープンシールド機のスライド土留板収納部分を示す正面図である。
【
図14】オープンシールド機のスライド土留板の正面図である。
【
図15】オープンシールド工法の概要を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明のオープンシールド工法およびオープンシールド機の1実施形態を示す縦断側面図、
図2は同上平面図で、前記従来例を示す
図9、
図10と同一構成要素には同一参照符号を付したものである。
【0033】
オープンシールド機1の基本形状においては
図9、
図10に示した従来例と同一であり、機体を前後方向で複数に分割し、フロント部2としての前方の機体の後端にテール部5としての後方の機体の前端が嵌入して、相互の嵌合部で屈曲可能とした。なお、11は中折ジャッキ、12は隔壁、13はプレスバー(押角)である。
【0034】
テール部5には機体内で前部に後方へ向けて推進ジャッキ(シールドジャッキ)3を左右によせて、また上下複数段に配設した。
【0035】
図中9は、フロント部2の前端に設けた可動分割刃口として掘削時に側部の地山崩壊を防止する為のもので、10はシールド機先端から出没するスライド土留板9を動かすスライドジャッキである。
【0036】
前記スライド土留板9は、先端を鋭角とした横長形状のボックスタイプのものであり、これがフロント部2の側壁に形成した棚部に引き出しのように収まる。
【0037】
このようなオープンシールド機1を用いるオープンシールド工法についても前記説明の通りであり、オープンシールド機の前面または上面開口より前方の上砂を掘削・排土する工程と、推進ジャッキを伸長してコンクリート函体を反力にしてオープンシールド機を前進させる工程と、オープンシールド機のテール部内で縮めた推進ジャッキの後方に新たなコンクリート函体を上方から吊り降ろしてセットする工程とを適宜繰り返して順次コンクリート函体を縦列に埋設する
【0038】
本発明は前部外面に掘進抵抗を地盤から受けてオープンシールド機1の機体を傾かせるための傾斜面18を設けたキャップボックス管17をスライド土留板9に嵌めるようにした。図中19は補強材である。
【0039】
キャップボックス管17は鋼製であり、スライド土留板9に嵌合・固定するもので、先端は閉塞面となっていて、後端は開放面でスライド土留板9の先端が入り込み、嵌るものである。
【0040】
図5、
図6はその詳細を示すもので、キャップボックス管17の傾斜面18は前部外面に掘進抵抗を地盤から受けてオープンシールド機の機体を傾かせるためのものとして下向きの場合と上向きの場合を示している。
【0041】
図中αは、キャップボックス管17の長手方向からの端面の角度であり、傾斜面18が60°程度としている。尚、オープンシールド機1の推進に伴ってキャップボックス管17の端面を切羽地山に当接させるが、切羽地山が柔らかい土質の場合、切羽地山から十分な反力を得られない場合もあるので、切羽地山の硬軟の程度により、角度αを60°~90°の範囲で設定してもよい。
【0042】
ところで、前述のとおり、オープンシールド機1は、オープンシールド機1の掘進時の姿勢や地山接触面との推進抵抗の他、地山の地盤構成、地山の硬軟等の影響を受けながら掘進するため、オープンシールド機1は若干のヨーイングやピッチング、ローリングの揺動を伴って推進する。
【0043】
このとき、オープンシールド機1がほぼ所定の計画位置や高さを推進するように、使用するシールドジャッキ3を選択し、左右上下に装備された使用するシールドジャッキ3を複数本選択し、シールドジャッキ3の左右上下の伸長差をつけながら、さらに、オープンシールド機1の姿勢や推進挙動傾向によっては中折ジャッキも使用して、オープンシールド機1のフロント部2を上下や左右に向け、オープンシールド機1の挙動を制御しながら掘進させる。
【0044】
しかしながら、地山の地盤構成や土質性状によっては、前記のようなシールドジャッキ3の使用だけではオープンシールド機1に大きなローリングやピッチング、ヨーイングが発生し、掘進制御がしづらくなってくる場合がある。
【0045】
本発明のキャップボックス管17をスライド土留板9に装着し、オープンシールド機1の推進時に、キャップボックス管17の先端面が切羽地山に当接して得られる地山からの反力を、スライド土留板を介してオープンシールド機1へ伝達させ、その反力によりオープンシールド機の姿勢を修正できる。
【0046】
また、前記傾斜面18が下向きのキャップボックス管17をスライド土留板9に嵌合・固定し、オープンシールド機1の推進に伴い切羽地山に前記端面が当接すると、キャップボックス管17は前記端面を介して切羽地山から斜め上方の反力が得られる。
【0047】
したがって、
図3に示すように、オープンシールド機1が断面方向で時計周りにローリングしている場合で、前記キャップボックス管17を
図3の右側の土留スライド板9に装着してオープンシールド機1が推進すると、オープンシールド機1のローリングを修正することができる。
【0048】
また、前記傾斜面18が下向きのキャップボックス管17をオープンシールド機1の左右に配設されたスライド土留板9のいずれか一方の側の複数に嵌合・固定した場合、例えば、
図3に示すようにオープンシールド機が断面方向で時計回りにローリングしている場合で、刃先部材を1つだけ装着した場合より大きな上向きの反力を切羽地山から得ることができるので、ローリングの修正がよりしやすくなる。
【0049】
また、前記傾斜面18が下向きのキャップボックス管17を、オープンシールド機1の左右両側のスライド土留板9に複数設置した場合は、例えば、オープンシールド機1が下向き方向の推進沈下傾向である場合では、オープンシールド機が上向きの大きな力を切羽地山からキャップボックス管17の傾斜面18を介して得ることができるので、オープンシールド機1を上向きへ戻す制御がしやすくなる。
【0050】
キャップボックス管17の傾斜面18が上向きの場合、オープンシールド機1の推進に伴い切羽地山に傾斜面18が当接すると、キャップボックス管17は傾斜面18を介して切羽地山から斜め下方の反力が得られる。
【0051】
したがって、
図3で、オープンシールド機1が断面方向で時計周りにローリングしている場合で、前記キャップボックス管17を
図3の図示とは逆に左側のスライド土留板9に装着してオープンシールド機1が推進すると、オープンシールド機1のローリングを修正することができる。
【0052】
なお、オープンシールド機1は断面方向で左右シンメトリーであり、また、左右に配設されているスライド土留板9も同一形状である。したがって、キャップボックス管17は傾斜面18が上下、左右の向きのものを選択して使用することもできる。
【0053】
オープンシールド機1の左右に配設されたスライド土留板9のいずれか一方の側の複数のスライド土留板9にキャップボックス管17を設置した場合、例えば、
図3に示すようにオープンシールド機が断面方向で時計回りにローリングしている場合で、刃先部材を1つだけ装着した場合より大きな上向きの反力を切羽地山から得ることができるので、ローリングの修正がよりしやすくなる。
【0054】
また、端面が上向きのキャップボックス管17を、オープンシールド機1の左右両側のスライド土留板9に複数設置した場合は、例えば、オープンシールド機1が上向き方向の上昇推進傾向である場合では、オープンシールド機が下向きの大きな力を切羽地山から前記傾斜面18を介して得ることができるので、オープンシールド機1を下向きへ戻す制御がしやすくなる。
【0055】
以上ローリングの修正について述べたが、ピッチング、ヨーイングに対する修正も傾斜面18の選択で行うことができる。
【0056】
また、前記姿勢制御はオープンシールド機1のフロント部2に対するものとして行うが、それにともなうテール部5の姿勢制御はシールドジャッキ3と中折ジャッキ11により行える。
【符号の説明】
【0057】
1…オープンシールド機 2…フロント部
3…推進ジャッキ(シールドジャッキ)
4…コンクリート函体 5…テール部
6…掘削機 7…発進坑
8…反力壁 9…スライド土留板
10…スライドジャッキ 11…中折ジャッキ
12…隔壁 13…プレスバー(押角)
14…揚重機 15…裏込注入材
17…キャップボックス管
18…傾斜面 19…補強材