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特許7384967生物学的又は化学的分析のためのバイオセンサ及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】生物学的又は化学的分析のためのバイオセンサ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20231114BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20231114BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20231114BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20231114BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
G01N21/64 F
C12Q1/6869 Z
C12M1/00 A
C12M1/34 Z
G01N33/53 N
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022108541
(22)【出願日】2022-07-05
(62)【分割の表示】P 2019523854の分割
【原出願日】2017-11-03
(65)【公開番号】P2022136113
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】62/416,813
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516122667
【氏名又は名称】深▲セン▼華大智造科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MGI Tech Co.,LTD
【住所又は居所原語表記】Main Building and Second Floor of No.11 Building,Beishan Industrial Zone,Yantian District,Shenzhen,Guangdong 518083,China
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100203828
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多村 久美
(72)【発明者】
【氏名】チョン フランク チョン
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0079596(US,A1)
【文献】特開2013-092393(JP,A)
【文献】特開2011-137742(JP,A)
【文献】特開2006-010582(JP,A)
【文献】特開2011-145308(JP,A)
【文献】特開2013-088378(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0061740(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/62 - G01N 21/74
C12M 1/00
C12M 1/34
G01N 33/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオセンサであって、以下:
裏面照射型相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサであって、以下:
電子回路層;及び
前記電子回路層上の光検知層、
を含むイメージセンサ、ここで、前記光検知層は、
基板層と、
前記電子回路層を覆う複数のフォトダイオードとを含み、
ここで、受光面は、前記電子回路層とは反対側の前記複数のフォトダイオードの面によって規定される;
前記受光面上に形成された規則的なアレイのスポット、ここで、各スポットは、個別の正に荷電した領域であり、前記領域は、核酸高分子を受けて保持するようにサイズ設定及び/又は官能化され、ここで、前記アレイのスポットの各スポットは、核酸高分子を受けて保持しないように構成されているという意味で不活性である領域によって、他のスポットから分離され、かつここで、各スポットは単一のフォトダイオードを覆うか、又は複数のフォトダイオードを含むユニットセルを覆う
各フォトダイオードと各スポットとの間に挿入されたカラーフィルター材料;
前記基板層上に第1の金属層、ここで、前記第1の金属層が、前記複数のフォトダイオード上に複数の第1の開口部を含み、かつ前記カラーフィルター材料が、前記複数の第1の開口部内にそれぞれ配置される;並びに
誘電体層であって、前記第1の金属層の上に、及び前記複数の第1の開口部内の各カラーフィルター材料と前記第1の金属層との間にある、誘電体層、
を含む、バイオセンサ。
【請求項2】
バイオセンサであって、以下:
裏面照射型相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサであって、以下:
電子回路層;及び
前記電子回路層上の光検知層、
を含むイメージセンサ、ここで、前記光検知層は、
基板層と、
前記電子回路層を覆う複数のフォトダイオードとを含み、
ここで、受光面は、前記電子回路層とは反対側の前記複数のフォトダイオードの面によって規定される;
前記受光面上に形成された規則的なアレイのスポット、ここで、各スポットは、個別の正に荷電した領域であり、前記領域は、核酸高分子を受けて保持するようにサイズ設定及び/又は官能化され、ここで、前記アレイのスポットの各スポットは、核酸高分子を受けて保持しないように構成されているという意味で不活性である領域によって、他のスポットから分離され、かつここで、各スポットは単一のフォトダイオードを覆うか、又は複数のフォトダイオードを含むユニットセルを覆う
各フォトダイオードと各スポットとの間に挿入されたカラーフィルター材料;
前記基板層上に第1の金属層、ここで、前記第1の金属層が、前記複数のフォトダイオード上に複数の第1の開口部を含み、かつ前記カラーフィルター材料が、前記複数の第1の開口部内にそれぞれ配置される;
前記第1の金属層及び前記カラーフィルター材料の上に、パッシベーション層;並びに
前記パッシベーション層の上に第2の金属層、ここで、前記第2の金属層が、前記カラーフィルター材料の上に複数の第2の開口部を含む、
を含む、バイオセンサ。
【請求項3】
以下:
前記第2の金属層の上に複数のマイクロレンズ;及び
前記複数のマイクロレンズの上に第3の金属層、
をさらに含む、請求項に記載のバイオセンサであって、
前記複数のマイクロレンズ及び前記第3の金属層が、前記複数の第2の開口部と重なる複数の第3の開口部を含む、バイオセンサ。
【請求項4】
前記第3の金属層の上に平坦化層をさらに含む、請求項に記載のバイオセンサであって、前記平坦化層が、前記複数の第3の開口部及び前記複数の第2の開口部と重なる複数の第4の開口部を含む、バイオセンサ。
【請求項5】
バイオセンサであって、以下:
裏面照射型相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサであって、以下:
電子回路層;及び
前記電子回路層上の光検知層、
を含むイメージセンサ、ここで、前記光検知層は、
基板層と、
前記電子回路層を覆う複数のフォトダイオードとを含み、
ここで、受光面は、前記電子回路層とは反対側の前記複数のフォトダイオードの面によって規定される;
前記受光面上に形成された規則的なアレイのスポット、ここで、各スポットは、個別の正に荷電した領域であり、前記領域は、核酸高分子を受けて保持するようにサイズ設定及び/又は官能化され、ここで、前記アレイのスポットの各スポットは、核酸高分子を受けて保持しないように構成されているという意味で不活性である領域によって、他のスポットから分離され、かつここで、各スポットは単一のフォトダイオードを覆うか、又は複数のフォトダイオードを含むユニットセルを覆う
各フォトダイオードと各スポットとの間に挿入されたカラーフィルター材料;
前記基板層上に第1の金属層、ここで、前記第1の金属層が、前記複数のフォトダイオード上に複数の第1の開口部を含み、かつ前記カラーフィルター材料が、前記複数の第1の開口部内にそれぞれ配置される;
前記第1の金属層及び前記カラーフィルター材料の上に、パッシベーション層;並びに
前記第1の金属層及び前記カラーフィルター材料の上の、第1の材料層、ここで、前記第1の材料層は第1の屈折率によって特徴づけられる;並びに
前記第1の材料層の上の第2の材料層、ここで、前記第2の材料層は第2の屈折率によって特徴づけられ、かつ前記第1の屈折率は前記第2の屈折率よりも高い、
を含む、バイオセンサ。
【請求項6】
前記規則的なアレイのスポットが、規則的なアレイのウェルである、請求項1から5のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
【請求項7】
各スポットが、単一のフォトダイオードを覆い、かつ単一のカラーフィルター材料が、前記フォトダイオードと前記スポットとの間に挿入されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
【請求項8】
バイオセンサであって、以下:
裏面照射型相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサであって、以下:
電子回路層;及び
前記電子回路層上の光検知層、
を含むイメージセンサ、ここで、前記光検知層は、
基板層と、
前記電子回路層を覆う複数のフォトダイオードとを含み、
ここで、受光面は、前記電子回路層とは反対側の前記複数のフォトダイオードの面によって規定される;
前記受光面上に形成された規則的なアレイのスポット、ここで、各スポットは、個別の正に荷電した領域であり、前記領域は、核酸高分子を受けて保持するようにサイズ設定及び/又は官能化され、ここで、前記アレイのスポットの各スポットは、核酸高分子を受けて保持しないように構成されているという意味で不活性である領域によって、他のスポットから分離され、かつここで、各スポットは単一のフォトダイオードを覆うか、又は複数のフォトダイオードを含むユニットセルを覆う、
を含ここで、
各スポットが、フォトダイオードのユニットセルを覆い、かつカラーフィルター材料が、前記スポットと前記ユニットセルの各フォトダイオードとの間に挿入されており、 各ユニットセルが、2、3又は4つのフォトダイオードを含み、かつユニットセルの各フォトダイオードに関連付けられた前記カラーフィルター材料がそれぞれ、異なる色の光をフィルタリングする、バイオセンサ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のバイオセンサを使用する生物学的分子の配列決定の方法であって、以下:
生物学的分子内の特定の位置でヌクレオチド塩基を同定する発光物質で生物学的分子を標識すること;
生物学的分子に関連付けられた発光物質を検出すること、
ここで、前記発光物質を検出することは、以下:
生物学的分子を励起光で照射すること、ここで、生物学的分子は励起光を吸収し、カラーフィルター材料を通して、裏面照射型相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサのフォトダイオード上に放射光を透過させる;
フォトダイオードで受光された放射光の少なくとも1つのパラメータを測定すること;及び
発光物質に対して放射光の少なくとも1つのパラメータを相関させること、
を含む;並びに
生物学的分子から発光物質を除去すること、
を含むプロセスを反復して実施することを含む、方法。
【請求項10】
前記生物学的分子が、核酸高分子を含み、前記核酸高分子は、DNA及び分枝鎖又はそうでなければ誘導体化された核酸を含み;ここで、核酸高分子は、DNAナノボール(DNB)又は一本鎖の実施形態を含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか一項に記載のバイオセンサを使用するDNA配列決定の方法であって、以下:
核酸高分子内の特定の位置でヌクレオチド塩基を同定する化学発光標識で核酸高分子を標識すること;
裏面照射型相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサのフォトダイオード上に核酸高分子から放射された化学発光を検出すること;
フォトダイオードで受光された放射光の少なくとも1つのパラメータを測定すること;
化学発光標識に対して放射光の少なくとも1つのパラメータを相関させること;並びに
核酸高分子から化学発光標識を除去すること、
を含むプロセスを反復して実施することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年11月3日に出願された米国仮特許出願第62/416,813号の優先権を主張し、その内容は参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
分野
本発明は、一般に、生物学的又は化学的分析のためのバイオセンサに関し、より具体的には、裏面照射型(BSI)相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサを含むバイオセンサ、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
CMOSイメージセンサは、デジタルカメラ、医療用画像機器、レーダー装置などを含む電子画像装置に使用される。集積回路及び一連のフォトダイオードを用いて、CMOSイメージセンサは、光を捕らえて、それを電気信号に変換することができる。
【0004】
CMOSイメージセンサは、典型的には、チップ上に実装される。チップは、各ピクセルに対して増幅器を有し得る。チップ内に多くの増幅器を含むことにより、光の捕捉のための面積が小さくなる可能性があるが、他の構成要素をチップ上に集積して、フォトダイオードにより多くの光を向けることができる。例えば、マイクロレンズをフォトダイオードの前に配置して、フォトダイオードに光を向けることができる。フォトダイオードに当たる光の量をさらに増やすためには、裏面照射型(BSI)が使用され得る。BSIは、集積回路配線の下及び間ではなく、光源のより近くにフォトダイオードを効果的に配置し、相殺的干渉(destructive interference)を低減する。BSI CMOSセンサは他の利点も有する。例えば、BSI CMOSセンサは、低い動作電圧、低い電力消費、高い効率、及び低いノイズも有し得る。
【0005】
BSI CMOSイメージセンサは、典型的には、2つの機能領域:光感知領域及び電子回路領域、を有する。光感知領域は、光強度を検出する金属酸化物半導体(MOS)トランジスタに結合された、アレイ状に配置されたフォトダイオードを含む。電子回路領域は、例えばMOSトランジスタからのデータを処理するための他の装置への、MOSトランジスタと外部接続との間の接続を提供する。
【0006】
実際に、BSI CMOSイメージセンサは、入射光を異なる波長の光のバンドに分割するフィルターを使用する。光は基板上のフォトダイオードによって受光され、異なる強度の電気信号に変換される。例えば、入射ビームは、赤、緑及び青の光に分割され、各色についてのそれぞれのフォトダイオードによって受光され得る。各フォトダイオードは、検出した光強度を電気信号に変換する。これは、フォトダイオードが電荷を蓄積することによって達成される。例えば、光の強度が高くなるほど、フォトダイオードで蓄積される電荷が高くなる。次に、蓄積された電荷は、色及び明るさに相関する。
【0007】
上述の使用に加えて、CMOSイメージセンサは、生物学的又は化学的分析にも使用することができる。そのような分析のために、生物学的又は化学的試料をフォトダイオード上に置くことができ、生物学的又は化学的試料から放出された光はフォトダイオードに向けられる。試料の蛍光又は化学発光は、フォトダイオードによって検出することができ、色及び明るさを決定することができる。色及び明るさは、生物学的又は化学的試料を同定するために使用され得る。
【発明の概要】
【0008】
発明の概要
本発明の実施形態は、生物学的又は化学的分析のための改良されたバイオセンサを提供することによって、従来のアプローチに関連した欠点に対処する。本発明の実施形態によれば、BSI CMOSイメージセンサは、試料の蛍光又は化学発光を効果的に分析及び測定するために使用することができる。この測定値を使用して、試料の同定に役立てることができる。本発明の実施形態はまた、生物学的又は化学的分析のための改良されたバイオセンサを製造する方法を提供する。本明細書で使用される場合、用語「バイオセンサ」は、生物学的分子内の又は生物学的分子に結合した発光物質を測定するための装置を指すために使用することができ、斯かる生物学的分子は、特にDNA及び分枝鎖又はそうでなければ誘導体化された核酸によって例示される核酸高分子である。本明細書で使用される場合、用語「核酸高分子」は、例えば、DNB又は一本鎖の実施形態を指し得る。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態によれば、バイオセンサが提供される。バイオセンサは、裏面照射型相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサを含む。裏面照射型CMOSイメージセンサは、電子回路層、及び電子回路層上に光検知層を含む。光検知層は、基板層、及び電子回路層と接触しているフォトダイオードを含む。受光面は、電子回路層とは反対側のフォトダイオードの面によって規定される。バイオセンサはさらに、フォトダイオード上にカラーフィルター材料を含む。バイオセンサはさらに、カラーフィルター材料上にスポット又はウェルを含み、斯かるスポット又はウェルは、核酸高分子を受けようにサイズ設定及び官能化され、核酸高分子から光を吸収するか、又は核酸高分子から受光面に光を通過させる。
【0010】
いくつかの実施形態による製造方法は、裏面照射型相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサを提供することを含む。裏面照射型CMOSイメージセンサを提供することは、電子回路層を提供すること、及び電子回路層上に光検知層を提供することを含む。光検知層は、基板層、及び電子回路層と接触しているフォトダイオードを含む。受光面は、電子回路層とは反対側のフォトダイオードの面によって規定される。当該方法はさらに、フォトダイオード上にカラーフィルター材料を堆積させることを含む。当該方法はさらに、カラーフィルター材料上にスポット又はウェルを提供することを含み、斯かるスポット又はウェルは、核酸高分子を受けて、核酸高分子から光を吸収するか、又は核酸高分子から受光面に光を通過させるようにサイズ設定及び官能化されている。
【0011】
いくつかの実施形態によるDNA配列決定の方法は、核酸高分子内の特定の位置でヌクレオチド塩基を同定する蛍光標識で核酸高分子を標識することを含み得るプロセスを反復して実施することを含む。当該プロセスはさらに、核酸高分子と関連した蛍光標識を検出することを含む。蛍光標識を検出することは、核酸高分子を励起光で照射することを含む。核酸高分子は励起光を吸収し、カラーフィルターを通して、裏面照射型相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサのフォトダイオード上に、放射光を透過させる。蛍光標識を検出することはさらに、フォトダイオードで受光された放射光の少なくとも1つのパラメータを測定することを含む。蛍光又は化学発光標識を検出することはさらに、蛍光標識に対して放射光の少なくとも1つのパラメータを相関させることを含む。当該プロセスはさらに、核酸高分子から蛍光標識を除去することを含む。限定するものではないが、本発明の実施形態のバイオセンサは、合成による配列決定(sequencing-by-synthesis)(SBS)、ライゲーションによる配列決定(sequencing -by-ligation)、cPAL配列決定、パイロシーケンシング(pyrosequencing)、及びこれらの組み合わせを実行するために使用され得る。
【0012】
前述のことは、他の特徴及び実施形態と共に、以下の明細書、特許請求の範囲、及び添付の図面を参照することでより明らかになるであろう。
【0013】
図面の簡単な説明
以下の図面を参照して、本発明の例示的な実施形態を以下に詳述する:
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、いくつかの実施形態による、裏面照射型CMOSイメージセンサの断面図である。
図2図2は、いくつかの実施形態による、第1のパッシベーション層を有する裏面照射型CMOSイメージセンサの断面図である。
図3図3は、いくつかの実施形態による、第1の金属層を有する裏面照射型CMOSイメージセンサの断面図である。
図4図4は、いくつかの実施形態による、エッチングされた第1の金属層を有する裏面照射型CMOSイメージセンサの断面図である。
図5図5は、いくつかの実施形態による、誘電体層を有する裏面照射型CMOSイメージセンサの断面図である。
図6図6は、いくつかの実施形態による、カラーフィルター層を有する裏面照射型CMOSイメージセンサの断面図である。
図7図7は、いくつかの実施形態による、平坦化されたカラーフィルター層を有する裏面照射型CMOSイメージセンサの断面図である。
図8A図8Aは、いくつかの実施形態による、第2のパッシベーション層、第1の材料層、及び第2の金属層を有する裏面照射型CMOSイメージセンサの断面図である。
図8B図8Bは、いくつかの実施形態による、第2のパッシベーション層及び第2の金属層を有する裏面照射型CMOSイメージセンサの断面図である。
図9図9は、いくつかの実施形態による、裏面照射型CMOSイメージセンサを用いるバイオセンサの断面図である。
図10図10は、いくつかの実施形態による、裏面照射型CMOSイメージセンサ及びマイクロレンズを用いるバイオセンサの断面図である。
図11図11は、いくつかの実施形態による、裏面照射型CMOSイメージセンサ、マイクロレンズ及び第3の金属層を用いるバイオセンサの断面図である。
図12図12は、いくつかの実施形態による、裏面照射型CMOSイメージセンサ、マイクロレンズ、第3の金属層、及び平坦化層を用いるバイオセンサの断面図である。
図13図13は、いくつかの実施形態による、裏面照射型CMOSイメージセンサを用いるバイオセンサの断面図である。
図14A図14Aは、いくつかの実施形態による、バイオセンサに使用され得る2チャネルカラーフィルターの上面図である。
図14B図14Bは、いくつかの実施形態による、バイオセンサに使用され得る4チャネルカラーフィルターの上面図である。
図15】15A~15Cは、いくつかの実施形態による、多段階配列決定の様々な段階でのBSI CMOSチップにおけるアレイ上の多数のスポットにおけるDNBからのシグナルを示す写真画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
図1~13は、本発明の実施形態によるバイオセンサの製造の様々な段階を説明している。製造及び構成の他の実施形態は、この説明から当業者には明らかであろう。それゆえ、以下の記載は説明的であり、限定的ではないことが意図される。
【0016】
読みやすくするために、以下の文章はセクションで構成されている。しかしながら、1つのセクションにおける主題の説明(例えば、高分子、フィルター、配列決定方法等の説明)は、他のセクションにおける主題にも適用され得ることが理解されるであろう。
【0017】
本発明の実施形態によるバイオセンサは、特定の用途に限定されない。一態様では、本発明の実施形態のバイオセンサは、超並列DNA配列決定のための特定の用途を見出す。DNA配列決定技術は良く知られているので(例えば、Drmanacら、2010、「Human genome sequencing using unchained base reads on self-assembling DNA nanoarrays,」Science 327:78-81;Shendure & Ji、(2008、「Next-generation DNA sequencing」Nature Biotechnology 26:1135-45参照)、以下のセクションには一般的な用語のみを説明する。以下のパラグラフは、以下に記載のバイオセンサの特定の特徴がより容易に理解できるように、配列決定の簡単な最初の考察及び関連用語を提供する。
【0018】
様々なDNA配列決定方法が知られている。多くの手法において、巨大分子(例えば、ゲノムDNA)は多数のより小さな断片に分解され、それぞれが特徴的なDNA配列を有する。アレイベースの技術では、断片は、基板上の位置のアレイに分配され、従ってアレイ内の各位置は単一の特徴的配列を有するDNA断片を含む。配列情報(「読み取り」)は、数千、又はより多くの場合には数百万の位置のそれぞれにおけるDNAから同時に得られ、コンピューターによって集められる。ほとんどの配列決定手法において、断片は、配列決定の前に増幅される。増幅は、各位置に断片を配置する前、各位置に断片を配置した後、又は配置の前後両方で行われ得る。増幅ステップ(複数)は、配列決定プロセスにおける「鋳型」として働く「アンプリコン」を生成する。したがって、例示のために、増幅は、RCAを使用して、アレイ上の各位置で一本鎖コンカテマー(例えばDNAナノボール)を生成し得るか、あるいはブリッジPCRを使用して、各位置で同じ配列を有するDNA分子のクローン集団(又はクラスター)を生成し得る。
【0019】
「DNA高分子」などへの言及は、DNAナノボール、分枝鎖構造、及びクラスター化されたクローン集団(すなわち、単一分子を超える)又はそれらの前駆体を包含することが理解されるであろう。さらに、「DNA高分子」などは、補助的なDNA分子、例えばプライマー、及びプライマー伸長によって生成される伸長鎖(growing strands)を包含しうるか、あるいは他のプロセスが包含する。多くの配列決定技術において、それは、バイオセンサのフォトダイオードによって検出される光を放出する検出可能な(例えば、蛍光又は化学発光)色素を含む(又はそれらで「標識されている」)補助的なDNA分子である。したがって、「核酸高分子を励起光源で照射し、高分子から放出された光を検出する」などの表現は、「DNAナノボール又はクローンクラスター及び関連する標識された補助的な分子を励起光源で暴露し、標識された補助的な分子の色素から放出された光を検出すること」を含むことが理解されるであろう。
【0020】
アレイベースの配列決定方法、及び本発明の実施形態のバイオセンサにおいて、DNA高分子は、ウェル内の基板上、又は「スポット」上に配置される。ウェル又はスポットは、高分子を受けて保持することができる。しばしば、スポット(時には「不連続離間領域(discrete spaced apart regions)」又は「パッド」と呼ばれる)は、核酸高分子を受容するように官能化された基板を含み、スポットは、DNA高分子がそのような領域に結合しないという意味で「不活性」である領域によって分離される。例えば、限定するものではないが、上記Drmanac 2010参照。「ウェル」は、DNA高分子に対する境界又は障壁を形成する壁を含む一種のスポットである。文脈から明らかな場合を除いて、以下の「スポット」への言及はウェルを含み得る。
【0021】
本発明の実施形態のバイオセンサにおいて、スポットは一般に、均一な寸法を有し、規則的な(すなわち、ランダムではない)アレイとして編成されている。アレイのスポットは一般に、直線的なパターンで、多くは列と行で編成されるが、他の規則的なパターンが使用されてもよい(例えば、らせん)。アレイのスポットは、特徴的な寸法、ピッチ、及び密度を有し得る。スポットそれ自体は、円形、正方形、六角形又は他の形状であり得る。以下の議論において、スポットは一般に、円形であると仮定される(すなわち、直径を有すると説明され得る)。「直径」への言及はまた、他の形状のスポットの直線寸法(例えば、対角線、長さ又は幅)を指すこともできることが理解されるであろう。したがって、本明細書で使用される場合、「直線寸法(長さ寸法)」は、円の直径、正方形の幅、対角線などを指すことができる。本発明の実施形態のバイオセンサの文脈において、スポットのサイズは2つの点で意味がある。第1に、スポットは、占有を単一の標的配列に限定するようにサイズ設定及び/又は官能化され得る。これは、単一のDNAナノボール(単一の標的配列のコンカテマー)又は単一の標的配列を有するクローンクラスターであり得る。例えば、米国特許第8,133,719号明細書及び米国特許出願公開第2013/0116153号明細書(いずれも、全ての目的のためにその全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。第2に、一般的に、スポットは、各フォトダイオードが単一のスポットからの放射光を受光するように、下層のフォトダイオードに対してサイズ設定及び配置され得る。いくつかの実施形態では、スポットのアレイは、1対1の相関で対応するフォトダイオード(複数)(及び/又はカラーフィルター)のアレイ上に配置されてもよい。すなわち、例えば、個々のスポットでDNA高分子から放出された光は下層のフィルターを通過し、フィルターによって遮断されなかった光は、フィルターに関連する単一のフォトダイオードによって検出されるか、あるいは、例えば、個々のスポットでDNA高分子から放出された光は、複数の下層のフィルターを通過し、それぞれは(特定の波長に特異的な)フィルターに関連付けられ、それぞれは単一のフォトダイオードに関連付けられ、フィルターによって遮断されなかった光は、関連付けられたフォトダイオードによって検出される。したがって、以下でも論じるように、いくつかの実施形態では、単一のスポットから放出された光は、2つ以上のフォトダイオード(例えば、2、3、4つ等のフォトダイオード)によって検出され得る。これらの実施形態では、単一のスポットに関連付けられた一群の複数のフォトダイオードは、フォトダイオードの「ユニットセル」と呼ばれ得る。スポット及びフィルター(例えば、単一のフィルター又はユニットセル)は、ユニットセル内の各フォトダイオードが同じ単一のスポットから放出された光を受光するように、バイオセンサ内に配置され得る。さらに、いくつかの実施形態では、フォトダイオードの受光面の面積、又は同じスポットに関連付けられた複数のフォトダイオードの受光面の合わせた面積は、スポット(そこから光が放出される)の面積よりも小さい。別の言い方をすれば、スポットの境界が、フォトダイオード(複数)の受光面に投影された場合、受光面内に含まれるように、スポットは、下層のフォトダイオード(複数)よりも小さくてもよい。
【0022】
良く知られているように、核酸配列決定は一般に、反復プロセスを含み、斯かるプロセスでは、蛍光又は化学発光標識は、配列決定されているDNA鋳型(アンプリコン)と特異的な方法で配列内に結合され、その結合が検出され、標識はそれがもはや信号を発しないという意味で除去される。例えば、米国特許出願公開第2016/0237488号明細書;米国特許出願公開第2012/0224050号明細書;米国特許第8,133,719;7,910,354;9,222,132;6,210,891;6,828,100、6,833,246;及び6,911,345号明細書(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。したがって、例えば、「蛍光標識で核酸高分子を標識する」とは、スポット上に固定化されたDNA鋳型と標識された補助的な分子(複数)とを関連付けることを指し得ることが理解されるであろう。
【0023】
ここで図面を参照すると、図1は、いくつかの実施形態による裏面照射型(BSI)CMOSイメージセンサ100の断面図である。BSI CMOSイメージセンサ100は、第1の誘電体層110を含んでもよい。誘電体として記載されているが、第1の誘電体層110は、任意の好適な電気絶縁材料を含んでもよいことが企図される。第1の誘電体層100は、金属配線113を含んでもよい。金属配線113は、集積回路材料及び外部接続を含んでもよい。合わせて、第1の誘電体層100及び金属配線113は本明細書ではまとめて、BSI CMOSイメージセンサの「電子回路層」と呼ばれることがある。
【0024】
基板層115は、第1の誘電体層110及び金属配線113の上に設けられてもよい。基板層115は、任意の好適な材料から作られてもよく、斯かる材料は例えば、シリコン、シリコン上のIII-V族、グラフェン-オン-シリコン、シリコン-オン-インシュレーター、これらの組み合わせなどである。基板層115は、開口部を含んでもよく、斯かる開口部には、光検知構成要素(例えば、フォトダイオード117)が配置されてもよい。フォトダイオード117に関して本明細書で説明されているが、任意の好適な光検知構成要素が使用され得ることが企図される。フォトダイオード117は、測定された光を電流に変換するように構成されてもよい。フォトダイオード117は、MOSトランジスタ(図示せず)のソース及びドレインを含んでもよく、斯かるソース及びドレインは、電流を他の構成要素、例えば他のMOSトランジスタに転送することができる。他の構成要素は、リセットトランジスタ、電流源フォロワ(current source follower)又は電流をデジタル信号に変換するための行セレクタ(row selector)などを含んでもよい。合わせて、基板層115及びフォトダイオード117は本明細書ではまとめて、BSI CMOSイメージセンサの「光検知層」と呼ばれることがある。
【0025】
フォトダイオード117は、金属配線113と接触して、金属配線113を介して外部接続にデジタル信号を伝達することができる。図1に示されたBSI CMOSイメージセンサ100では、受光面はフォトダイオード117の最上部(すなわち、電子回路層と接触しておらず、かつ電子回路層とは反対側の面)に位置しており、入射光は、この受光面でフォトダイオード117によって受光される。
【0026】
図2によれば、バイオセンサ200を構成するために、第1のパッシベーション層120が、BSI CMOSイメージセンサ100の基板層115及びフォトダイオード117上に、従来の半導体処理技術(例えば、低温プラズマ化学気相成長法)によって堆積されてもよい。第1のパッシベーション層120は、任意の好適な保護材料を含んでもよい。例えば、第1のパッシベーション層120は、シリコン、酸化物、金属、これらの組み合わせなどのような材料を含んでもよい。第1のパッシベーション層120は、本説明書でさらに説明されるように、後のエッチングステップのためのエッチストップとして作用してもよい。第1のパッシベーション層120は、代替的に又は付加的に、能動装置(すなわち、裏面照射型CMOSセンサ)を保護するように作用し得る。第1のパッシベーション層120は、代替的に又は付加的に、頻繁な使用によって引き起こされる摩耗からフォトダイオード117を保護するように作用し得る。第1のパッシベーション層120は、透明であり得る。一例では、第1のパッシベーション層120は、100ナノメートル以下の厚さを有し得る。
【0027】
A.図2のバイオセンサ200
図2は、いくつかの実施形態による、(例えば、高分子又は高分子複合体の化学発光を検出するための)生物学的又は化学的分析に使用することができるバイオセンサ200を示す。バイオセンサ200は、裏面照射型CMOSイメージセンサ100を含む。裏面照射型CMOSイメージセンサ100は、電子回路層(第1の誘電体層110及び金属配線113からなる)並びに電子回路層上の光検知層(基板層115及びフォトダイオード117からなる)を含む。フォトダイオード117は、電気信号が、フォトダイオード117から電子回路層に、及びいくつかの実施形態では、外部装置に伝達され得るように、電子回路層と接触していてもよい。受光面は、電子回路層とは反対側であるフォトダイオード117の面によって規定される(すなわち、第1のパッシベーション層120と接触している表面)。
【0028】
バイオセンサ200はさらに、裏面照射型CMOSイメージセンサ100上の第1のパッシベーション層120、及び第1のパッシベーション層120の上又は内に形成されたスポット又はウェル(図示せず)を含んでもよく、斯かるスポット又はウェルの上(on)又は上(over)に化学的又は生物学的試料が分析のために配置されてもよい。いくつかの実施形態では、バイオセンサ200は、生体分子の対応するアレイからの光信号(例えば、蛍光又は化学発光)を検出するために適合され得、ここで、個々の生体分子は、1つ又は複数のフォトダイオード上に(例えば、スポット又はウェル内に)配置することができ、従って1つ又は複数のフォトダイオードは、以下により詳細に論じるように、生体分子から光を受光する。
【0029】
裏面照射型CMOSセンサ100を用いてバイオセンサを構築するための様々なさらなる実施形態を、ここで説明することができる。図3によれば、第1の金属層123Aは、バイオセンサ200の第1のパッシベーション層120上に従来の半導体処理技術によって(例えば、金属堆積技術によって)堆積され得る。第1の金属層123Aは、任意の好適な金属材料を含んでもよい。例えば、第1の金属層123Aは、タングステン、アルミニウム、金、銅、それらの組み合わせ又は合金などのような材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の金属層123Aは、厚い層、例えば、第1のパッシベーション層120よりも厚い層であり得る。例えば、第1の金属層123Aは、最大で3マイクロメートルであり得る。
【0030】
図4によれば、第1の金属層123Aは、第1の金属層123Bを残して、フォトダイオード117上に第1の開口部を設けるためにエッチングされてもよい。第1の金属層123Aは、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチング、これらの組み合わせなどのような任意の好適なプロセスによってエッチングされ得る。第1の金属層123Aをエッチングすることは、例えば、マスクの使用を含み得ることが企図される。エッチングは、例えば、酸(例えば、塩酸、フッ化水素酸、硝酸等)、酸化剤を含むアルカリ、これらの組み合わせなどのような、様々な材料のいずれかを用いて完了することができる。第1の金属層123Aをエッチングするために必要とされる酸の種類は、第1の金属層123Aを形成するために使用される材料に依存し得ることが企図される。いくつかの実施形態では、第1の開口部は、フォトダイオード117と中心を合わせて配列されてもよく、後の使用におけるフォトダイオード117の効率を最大にする。マスク(図示せず)は、フォトダイオード117上に開口部を規定して、第1の金属層123Bを残存させることができ、第1のパッシベーション層120は、第1の金属層123Aにおける開口部をエッチングする際のエッチストップとして作用し得る。本明細書で説明するように、第1の金属層123Bの柱は、別々のカラーフィルターによって受けられた光を分離することができ、そして、特定のカラーフィルターに向けられた光をそのカラーフィルターに又は対応するフォトダイオード117に反射することができる。
【0031】
図5によれば、第2の誘電体層125が、従来の半導体処理技術によって、第1の金属層123B上及び第1の開口部内に堆積され得る。いくつかの実施形態では、第2の誘電体層125は、第1の金属層123Bの全ての露出面上に形成され得る。誘電体であるとして記載されているが、第2の誘電体層125は、窒化シリコン、酸化タンタル、これらの組み合わせなどのような任意の好適な電気絶縁材料を含んでもよいことが企図される。第2の誘電体層125は、第1の誘電体層110と同じ又は異なる材料から形成されてもよい。
【0032】
図6によれば、カラーフィルター材料127Aは、第2の誘電体層125上に堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、カラーフィルター材料127Aは、スピンコーティングによって堆積されてもよい。カラーフィルター材料127Aは、第2の誘電体層125によって形成された開口部を満たす。この実施形態において、カラーフィルター材料127Aはまた、開口部間の第2の誘電体層125の部分上に堆積される。したがって、図7によれば、第2の誘電体層125の開口部上の余分なカラーフィルター材料127Aは、例えば、化学機械平坦化(CMP)などによって除去され、第2の誘電体層125の開口部内にカラーフィルター材料127Bを残すことができる。
【0033】
しかしながら、いくつかの実施形態では、図6に示されたプロセスが省略されてもよいことが企図される。換言すれば、図7におけるように、カラーフィルター材料127Bは、第2の誘電体層125の開口部にのみ選択的に堆積されてもよく、従って2つ以上の(例えば、2、3又は4つの)異なるカラーフィルター材料127Bがフォトダイオード117上に配置されてもよい。いくつかの用途では、それぞれの異なるカラーフィルター材料127Bを、別々のフォトダイオード117に関連付けることができる。
【0034】
カラーフィルター材料127Bは、例えば、顔料系ポリマー、顔料系染料、染料系ポリマー、樹脂又は他の有機系材料、これらの組み合わせなどを含み得る。例えば、フォトダイオード117が、ほとんど又は全く波長特異性なしに光強度を単独で検出し、したがって色情報を分離することができないために、カラーフィルター材料127Bは、バイオセンサに必要であり得る。
【0035】
カラーフィルター材料127Bは、青色フィルター材料、赤色フィルター材料、緑色フィルター材料、エメラルドフィルター材料、シアンフィルター材料、黄色フィルター材料、マゼンタフィルター材料、白色フィルター材料、これらの組み合わせなどを含んでもよい。したがって、カラーフィルター材料127Bは、波長範囲によって入射光をフィルタリングすることができ、従って別々のフィルタリングされた強度が光の色についての情報を含む。例えば、赤色カラーフィルター材料127Bは、赤色波長領域における光の強度についての情報を与え得る。青色カラーフィルター材料127Bは、青色波長領域における光の強度についての情報を与え得る。緑色カラーフィルター材料127Bは、緑色波長領域における光の強度についての情報を与え得る、など。
【0036】
いくつかの実施形態では、カラーフィルター材料127Bは、単色の材料を含んでもよい。例えば、カラーフィルター材料127Bのそれぞれは、赤色であってもよい。いくつかの実施形態では、カラーフィルター材料127Bは、異なる色の材料を含んでもよく、各カラーフィルター材料127Bは、別々のフォトダイオード117に対応する。例えば、1つのカラーフィルター材料127Bが赤色であってもよく、かつ隣接するカラーフィルター材料127Bが緑色であってもよい。図14Aは、2チャネルカラーフィルターが使用されるそのような実施形態を示す。図14Aでは、生物学的又は化学的試料(例えば、DNA高分子)は、スポット又はウェル1450内に配置されてもよく、従って、高分子からの発光は、赤色カラーフィルター材料1427B及び緑色カラーフィルター材料1427Aの両方に入り(例えば、赤色カラーフィルター材料1427B及び緑色カラーフィルター材料1427Aの両方に重なり)、かつ、カラーフィルター材料の異なる色を通る光の放出波長が検出され得る。別の例では、2つを超える周囲カラーフィルター材料127Bが、異なる色の材料を含んでもよい。図14Bは、4チャネルカラーフィルターが使用されるそのような実施形態を示す。4チャネルカラーフィルターは、赤色である1つのカラーフィルター材料1427B、黄色である1つのカラーフィルター材料1427D、緑色である1つのカラーフィルター材料1427A、及び青色である1つのカラーフィルター材料1427Cを含んでもよい。この例では、生物学的又は化学的試料は、4つのカラーフィルターの交点のスポット又はウェル1450内に配置されてもよく、従って、カラーフィルター材料の4色を通る光の放出波長が検出され得る。いくつかの実施形態では、スポット又はウェル1450は、下層のカラーフィルター材料(及び対応するフォトダイオード)のそれぞれの上に等しくあってもよく、すなわち、各フィルターの等しい面積がスポットの下にある。
【0037】
図8Aは、バイオセンサ800が構築されている実施形態を示す。図8Aによれば、第2のパッシベーション層130は、第2の誘電体層125及びカラーフィルター材料127B上に従来の半導体技術に従って堆積され得る。第2のパッシベーション層130は、図8Bに関して以下に記載する通りであり得る。第1の材料層135は、第2のパッシベーション層130の上に堆積され得る。第1の材料層135は、任意の好適な材料、例えば窒化シリコン、酸化タンタル、これらの組み合わせなどを含んでもよい。第2の材料層137は、第1の材料層135の上に堆積され得る。第2の材料層137は、任意の好適な材料、例えば二酸化シリコンなどを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の材料層135は、第2の材料層137の屈折率よりも高い屈折率を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の材料層135は、第2のパッシベーション層130よりも高い屈折率を有し得る。したがって、図8Aの実施形態は、蛍光測定の場合に受光面への励起光の効率的送達をもたらし得る。例えば、第1の材料層135は、光導波路のコアを形成することができ、したがって励起光の低損失伝達を可能にする。いくつかの実施形態では、生物学的又は化学的試料は、フォトダイオード117上の第2の材料層137上に配置することができ(いくつかの実施形態では、第2の材料層137上に形成された開口部又はウェル内に)、それらの蛍光又は化学発光は、本明細書でさらに説明されるように、フォトダイオード117によって測定され得る。しかしながら、図8Aに示された実施形態において蛍光を測定する場合、いくつかの例では、励起光は、バイオセンサ800の表面に沿って横方向に向けられてもよい。
【0038】
B.図8Aのバイオセンサ800
したがって、図8Aは、いくつかの実施形態による、生物学的又は化学的分析に使用することができるバイオセンサ800を示す。バイオセンサ800は、裏面照射型CMOSイメージセンサ100を含んでもよい。裏面照射型CMOSイメージセンサ100は、電子回路層(第1の誘電体層110及び金属配線113からなる)並びに電子回路層上の光検知層(基板層115及びフォトダイオード117からなる)を含む。フォトダイオード117は、電気信号が、フォトダイオード117から電子回路層に、及びいくつかの実施形態では、外部装置に伝達され得るように、電子回路層と接触していてもよい。受光面は、電子回路層とは反対側であるフォトダイオード117の面によって規定される(すなわち、第1のパッシベーション層120と接触している表面)。
【0039】
バイオセンサ800はさらに、裏面照射型CMOSイメージセンサ100上の第1のパッシベーション層120、及び第1のパッシベーション層120上の第1の金属層123Bを含んでもよい。第1の金属層123Bはまた、基板層115上に配置されてもよい。第1の金属層123Bは、第1の開口部を含んでもよい。バイオセンサ800はさらに、金属層123B及び第1のパッシベーション層120の上に第2の誘電体層125を含んでもよい。第2の誘電体層125はまた、金属層123Bの第1の開口部内に配置されてもよい。
【0040】
バイオセンサ800はさらに、第2の誘電体層125の上に、並びに金属層123Bの第1の開口部の内及び上に、カラーフィルター材料127Bを含んでもよく、従って、カラーフィルター材料127Bの上面は、金属層123Bの上の第2の誘電体層125の上面と平面になり得る。バイオセンサ800はさらに、第2の誘電体層125及びカラーフィルター材料127の上に第2のパッシベーション層130を含んでもよい。バイオセンサ800はさらに、第1の材料層135及び第2の材料層137を含んでもよい。第1の材料層135は、第2の材料層137よりも高い屈折率を有し得る。生物学的又は化学的試料は、さらに本明細書に記載されるように、分析のために第2の材料層137内又は上に形成されたスポット又はウェル(図示せず)内に配置され得る。
【0041】
図8Bは、図8Aの代替的な実施形態を示す。図8Bによれば、第2のパッシベーション層130は、第2の誘電体層125及びカラーフィルター材料127Bの上に、従来の半導体技術に従って堆積され得る。第2のパッシベーション層130は、例えば、窒化シリコン、酸化タンタル、これらの組み合わせなどのような任意の好適な材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2のパッシベーション層130は、1つ又は複数の高誘電率(high-k)材料を含んでもよい。第2のパッシベーション層130は、第1のパッシベーション層120と同じ又は異なる材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2のパッシベーション層130は、第1のパッシベーション層120よりも密度の高い材料で作られる。第2のパッシベーション層130は、いくつかの実施形態では、分析される試料とカラーフィルター材料127Bとの間の保護材料として作用し得る。いくつかの実施形態では、第2のパッシベーション層130は、後のエッチングステップのためのエッチストップとして作用する。第2のパッシベーション層130は透明であり得る。
【0042】
さらに図8Bによれば、第2の金属層133Aは、第2のパッシベーション層130の上に、従来の半導体技術に従って堆積され得る。第2の金属層133Aは、例えば、タングステン、アルミニウム、銅、これらの組み合わせなどのような任意の好適な金属材料を含んでもよい。第2の金属層133Aは、第1の金属層123Bと同じ又は異なる材料で作られていてもよい。第2の金属層133Aは、入射光又は励起光を通さなくてもよい。
【0043】
次に、図9によれば、第2の金属層133Bは、第2の金属層133Aからエッチングされるか、又はパターニングされて、第2の金属層133A内に第2の開口部150A~Cを形成し得る。いくつかの実施形態では、第2の開口部150A~Cは、フォトダイオード117と中心を合わせて配列されてもよく。いくつかの実施形態では、第2の開口部150A~Cは、100ナノメートルから1マイクロメートルの範囲の直径を有し得る。第2の開口部150A~Cは、カラーフィルター材料127Bよりも小さな幅又は直径を有し得る。いくつかの実施形態では、生物学的又は化学的試料は、第2の開口部150A~C内に配置することができ、本明細書でさらに説明されるように、試料から放出された光はそれらの蛍光又は化学発光を測定するために使用することができる。第2の開口部150A~Cが、カラーフィルター材料127Bよりも小さい幅又は直径を有する実施形態では、入射光又は励起光の遮蔽が増大する可能性があり、試料の蛍光又は発光の検出におけるノイズが少なくなる。第2の開口部150A~Cの幅又は直径は、分析されている生物学的又は化学的試料のサイズにほぼ対応し得る。
【0044】
C.図9のバイオセンサ900
したがって、図9は、いくつかの実施形態による、生物学的又は化学的分析に使用することができるバイオセンサ900を示す。バイオセンサ900は、裏面照射型CMOSイメージセンサ100を含む。裏面照射型CMOSイメージセンサ100は、電子回路層(第1の誘電体層110及び金属配線113からなる)並びに電子回路層上の光検知層(基板層115及びフォトダイオード117からなる)を含む。フォトダイオード117は、電気信号が、フォトダイオード117から電子回路層に、及びいくつかの実施形態では、外部装置に伝達され得るように、電子回路層と接触していてもよい。受光面は、電子回路層とは反対側であるフォトダイオード117の面によって規定される(すなわち、第1のパッシベーション層120と接触している表面)。
【0045】
バイオセンサ900はさらに、裏面照射型CMOSイメージセンサ100上の第1のパッシベーション層120、及び第1のパッシベーション層120上の第1の金属層123Bを含んでもよい。第1の金属層123Bはまた、基板層115上に配置されてもよい。第1の金属層123Bは、第1の開口部を含んでもよい。バイオセンサ900はさらに、金属層123B及び第1のパッシベーション層120の上に第2の誘電体層125を含んでもよい。第2の誘電体層125はまた、金属層123Bの第1の開口部内に配置されてもよい。
【0046】
バイオセンサ900はさらに、第2の誘電体層125の上に、並びに金属層123Bの第1の開口部の内及び上に、カラーフィルター材料127Bを含んでもよく、従って、カラーフィルター材料127Bの上面は、金属層123Bの上の第2の誘電体層125の上面と平面になり得る。バイオセンサ900はさらに、第2の誘電体層125及びカラーフィルター材料127の上に第2のパッシベーション層130を含んでもよい。バイオセンサ900はさらに、第2の開口部150A~Cを有する第2の金属層133Bを含み得る。第2の開口部150A~Cは、本明細書でさらに説明されるように、生物学的又は化学的試料を受けるように構成されたスポット又はウェルとして機能し得る。
【0047】
図9の実施形態を再度参照すると、図10~13に関して本明細書で記載されるように、様々なさらなる製造技術がさらなる信号増強のために実施され得る。図10によれば、マイクロレンズ140Aは、第2のパッシベーション層130及び第2の金属層133Bの上に成長され得る。いくつかの実施形態では、マイクロレンズ140Aは、フォトダイオード117と中心を合わせて配列されてもよく。マイクロレンズ140Aは、様々な材料、例えばガラス、ポリマー、プラスチック、これらの組み合わせなどを含んでもよい。マイクロレンズ140Aは、カラーフィルター127Bのそれぞれに放出された光を集束させるために、カラーフィルター127Bのそれぞれの上の装置に含まれてもよい。
【0048】
マイクロレンズ140Aは、CMOSイメージセンサに対して一般的に使用されるような任意の好適なマイクロレンズ製造プロセスに従って、成長させることができる。一例として、フォトリソグラフィは、フォトレジスト又は紫外線硬化性エポキシ材料上で行うことができ、その材料は融解されて、マイクロレンズ140Aのアレイを形成することができる。他の例としては、ガラスの小さなフィラメントが融解してもよく、融解ガラスの表面張力が滑らかな球状表面を形成してもよい。次に、球状表面ガラスを適切に取り付け、研磨して、マイクロレンズ140Aを形成することができる。さらに別の例では、ウェハレベル光学系(wafer-level optics)(WLO)を使用することができ、斯かるウェハレベル光学系では、複数のレンズウェハが精密に整列され、互いに接着し、そしてダイシング(diced)されて、マイクロレンズ140Aとして使用され得る多要素スタックを形成する。
【0049】
図11によれば、第3の金属層143Aは、マイクロレンズ140A上に、従来の半導体処理技術に従って堆積され得る。第3の金属層143Aは、タングステン、アルミニウム、銅、これらの組み合わせなどのような任意の好適な材料を含んでもよい。第3の金属層143Aは比較的薄い層、例えば第2の金属層123Bよりも薄い層であり得る。第3の金属層143Aは、第1の金属層123B及び/又は第2の金属層133Bと同じ又は異なる材料から作られていてもよい。
【0050】
図12によれば、平坦化層145Aは、第3の金属層143Aの上に堆積され得る。平坦化層145Aは、任意の好適な材料を含んでもよい。平坦化層145Aは、例えばスピンコーティングによって、又は任意の他の好適な方法によって堆積され得る。平坦化層145Aが、第3の金属層143Aの上部露出表面を超える場合、平坦化層145Aは、例えば化学機械平坦化(CMP)によって、平坦化されてもよく、第3の金属層143Aの間の開口部に平坦化層145Aを残し、実質的に平坦な上部表面を形成する。
【0051】
図13によれば、第3の開口部155A~Cは、平坦化層145A(平坦化層145Bは残したまま)、第3の金属層143A(第3の金属層143Bは残したまま)、及びマイクロレンズ140A(マイクロレンズ140Bは残したまま)を通してエッチングすることができる。例えば、平坦化層145Bは、第3の開口部155A~Cをエッチングするために、フォトレジスト(図示せず)でスピンコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、第2の金属層133Bをさらにエッチングする必要が無いように、第3の開口部155A~Cの幅は、第2の開口部150A~Cの幅に対応してもよい。第3の開口部155A~Cは、第2のパッシベーション層130がエッチストップとして作用して、第2のパッシベーション層130までエッチングされ得る。いくつかの例では、第3の開口部155A~Cは、100ナノメートル~1マイクロメートルの直径を有してもよく、カラーフィルター材料127B及び/又はフォトダイオード117と中心を合わせて配列されてもよい。いくつかの実施形態では、生物学的又は化学的試料は、第2のパッシベーション層130上の第3の開口部155A~C内に配置することができ、本明細書でさらに説明されるように、試料の蛍光又は化学発光を測定することができる。
【0052】
D.図13のバイオセンサ1300
したがって、図13は、いくつかの実施形態による、生物学的又は化学的分析に使用することができるバイオセンサ1300を示す。バイオセンサ1300は、裏面照射型CMOSイメージセンサ100を含む。裏面照射型CMOSイメージセンサ100は、電子回路層(第1の誘電体層110及び金属配線113からなる)並びに電子回路層上の光検知層(基板層115及びフォトダイオード117からなる)を含む。電気信号が、フォトダイオード117から電子回路層に、及びいくつかの実施形態では、外部装置に伝達され得るように、フォトダイオード117は電子回路層と接触していてもよい。受光面は、電子回路層とは反対側であるフォトダイオード117の面によって規定される(すなわち、第1のパッシベーション層120と接触している表面)。
【0053】
バイオセンサ1300はさらに、裏面照射型CMOSイメージセンサ100上の第1のパッシベーション層120、及び第1のパッシベーション層120上の第1の金属層123Bを含んでもよい。第1の金属層123Bはまた、基板層115上に配置されてもよい。第1の金属層123Bは、第1の開口部を含んでもよい。バイオセンサ1300はさらに、金属層123B及び第1のパッシベーション層120の上に第2の誘電体層125を含んでもよい。第2の誘電体層125はまた、金属層123Bの第1の開口部内に配置されてもよい。
【0054】
バイオセンサ1300はさらに、第2の誘電体層125の上に、並びに金属層123Bの第1の開口部の内及び上に、カラーフィルター材料127Bを含んでもよく、従って、カラーフィルター材料127Bの上面は、金属層123Bの上の第2の誘電体層125の上面と平面になり得る。バイオセンサ1300はさらに、第2の誘電体層125及びカラーフィルター材料127の上に第2のパッシベーション層130を含んでもよい。バイオセンサ1300はさらに、第2の開口部150A~Cを有する第2のパッシベーション層130の上に、第2の金属層133Bを含んでもよい。
【0055】
バイオセンサ1300はさらに、第2の金属層133B上のマイクロレンズ140B、マイクロレンズ140B上の第3の金属層143B、及び第3の金属層143B上の平坦化層145を含んでもよい。第3の金属層143Bは、バイオセンサ1300における多数の異なる目的を果たし得る。例えば、第3の金属層143Bは、入射光がカラーフィルター材料127Bに入るのを阻止することを助け得る。さらに、第3の金属層143Bは湾曲しているので、生物学的又は化学的試料から放出された任意の光は、マイクロレンズ140Bを通過し、第3の金属層143Bで反射し、そしてカラーフィルター材料127Bに向かって、及び従ってフォトダイオード117の受光面に向かって戻るように向けられ得る。換言すれば、フォトダイオード117によって測定され得る放射光の量が最大化され得る。
【0056】
平坦化層145は、第3の金属層143B上に平坦な表面を形成してもよい。マイクロレンズ140B、第3の金属層143B、及び平坦化層145は、その中に形成された第3の開口部155A~Cを有してもよく、斯かる開口部は、いくつかの実施形態における第2の開口部150A~Cと重なり合ってもよい。例えば、第3の開口部155A~Cは、第2の開口部150A~Cと同じ幅を有してもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、第3の開口部155A~Cは、第2の開口部150A~Cとは異なる幅を有し得ることが企図される。合わせて、第2の開口部150A~C及び第3の開口部155A~Cは、本明細書でさらに説明されるように、生物学的又は化学的試料を受けるように構成されたスポット又はウェルとして機能し得る。図13の第3の開口部155A~Cは、図9の第2の開口部150A~Cよりも深いので、励起光は一般に、バイオセンサ1300における第3の開口部155A~Cの真上に位置する光源から向けられ得る。第2の開口部150A~Cは、第3の開口部155A~Cほど深くないので、バイオセンサ900は、励起光のより大きな角度ずれ(angular misalignment)を許容できる。
【0057】
核酸配列決定適用
図2、8A、9及び13に関して上述したように、生物学的又は化学的試料は、カラーフィルター材料127B及びフォトダイオード117の上の記載されたバイオセンサのそれぞれの上に配置され得る。生物学的又は化学的試料は、任意の数の構成要素を含んでもよい。例えば、試料は、核酸高分子(例えば、DNA、RNA等)、タンパク質などを含み得る。試料は、遺伝子配列、DNA-DNAハイブリダイゼーション、一塩基多型、タンパク質相互作用、ペプチド相互作用、抗原-抗体相互作用、グルコースモニタリング、コレステロールモニタリングなどを決定するために分析され得る。
【0058】
上述したように、いくつかの実施形態では、生体分子は、核酸、例えばDNAである。限定することなく、DNA生体分子はDNAナノボール(一本鎖コンカテマー)であってもよく、斯かるDNAナノボールは、標識プローブ(例えば、ライゲーション又はcPAL法によるDNB配列決定において)若しくは相補的成長鎖(例えば、合成方法によるDNB配列決定において)、又はその両方に;あるいは単一のDNA分子(例えば、単一分子配列決定において)に;あるいはブリッジPCRベースの配列決定で生成されるようなDNA分子のクローン集団に、ハイブリダイズされる。したがって、「生体分子」、「DNA高分子」又は「核酸高分子」への言及は、2つ以上の分子(例えば、複数の成長相補鎖に関連付けられたDNB、あるいは数百又は数千のDNA分子のクローン集団を含むDNAクラスター)を包含し得る。例えば、米国特許第8,133,719号明細書;米国特許出願公開第2013/0116153号明細書、米国特許出願公開第2016/0237488号明細書;米国特許出願公開第2012/0224050号明細書;米国特許第8,133,719;7,910,354;9,222,132;6,210,891;6,828,100、6,833,246;及び6,911,345号明細書(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0059】
いくつかの実施形態では、核酸高分子は、ゲノムDNA断片又はcDNAライブラリーのアンプリコンであり得る。本明細書で使用される場合、「アンプリコン」は、核酸分子の増幅産物、典型的にはゲノムDNAの断片又はcDNAライブラリーの増幅産物であり得る。増幅の方法としては、これらに限定されるものではないが、例えば米国特許第8,445,194号明細書(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載された、ローリングサークル増幅、又は例えば米国特許第7,972,820号明細書(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載された、ブリッジポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が挙げられる。例えば米国特許第7,910,354号明細書(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、増幅は、核酸がバイオセンサと接触する前に、又はインサイチュ(in situ)で行われてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、カラーフィルター材料127Bは、いくつかの例では、(カラーフィルター材料127Bの上のスポット又はウェル内で)生物学的又は化学的試料を受けて、そして生物学的又は化学的試料から放出された光を吸収するようにサイズ設定され及び官能化され得る。例えば、カラーフィルター材料127Bが赤色であり、かつ生物学的又は化学的試料からの放射光が緑色である場合、カラーフィルター材料127Bは緑色の放射光を吸収し得る。いくつかの実施形態では、カラーフィルター材料127Bは、(カラーフィルター材料127Bの上のスポット又はウェル内で)生物学的又は化学的試料を受けて、そして生物学的又は化学的試料から放出された光をカラーフィルター材料127Bを介してフォトダイオード117の受光面上に通過させるようにサイズ設定され及び官能化され得る。例えば、カラーフィルター材料127Bが青色であり、かつ生物学的又は化学的試料からの放射光が青色である場合、カラーフィルター材料127Bは、対応するフォトダイオード117の受光面に青色放射光を通過させ得る。換言すれば、いくつかの実施形態では、放射光は、カラーフィルター材料127Bによって吸収され得る。いくつかの実施形態では、放射光は、カラーフィルター材料127Bを通してフォトダイオード117上に透過され得る。
【0061】
例えば、生物学的試料、例えばDNA高分子、オリゴヌクレオチド、又はヌクレオチドであって、蛍光又は化学発光色素に関連付けられた試料が、フォトダイオード117上に配置され得る。蛍光の場合、色素は、励起光源からの励起光によって照射され得る。励起光は、例えば、可視光、赤外線(IR)、紫外線(UV)などを含む、任意の好適なタイプ又は強度の光に対応し得る。励起光はまた、任意の好適な光源、例えば発光ダイオード(LED)、ランプ、レーザー、これらの組み合わせなどから発せられる。色素が特定の波長の励起光で照射される場合、生物学的試料は光を吸収し、次に異なる波長の光を放出し得る。例えば、生物学的試料は、450nmの波長を有する励起光を吸収するが、550nmの波長を有する光を放出し得る。換言すれば、色素が、特徴的な異なる波長の光(すなわち、励起光源)によって照射される場合、特徴的波長の蛍光が放出され得る。しかしながら、励起光は蛍光を測定するために使用されるので、フォトダイオード117での正確な測定を行うためにはそれをフィルタリングしなければならない。
【0062】
化学発光の場合、放射光を検出するために、励起光源はフォトダイオード117に必要とされない。代わりに、生物学的試料は、生物学的試料と化学発光色素(又は他の溶液)との間で起こり得る化学的又は酵素的反応によって光を放出することができ、化学的結合の破壊又は形成によって光の放出を引き起こす。
【0063】
蛍光及び化学発光のいずれについても、フォトダイオード117は、放射光の強度を検出し、それを光の強度に基づく電気信号に変換することができ、斯かる電気信号は、金属配線113を介して外部装置に提供され得る。外部装置は、電気信号と、その特定のフォトダイオード117の上で使用されるカラーフィルター材料127Bの色とに基づいて、電気信号を特定の波長及び明るさに相関させることができる。
【0064】
高密度を達成し、かつ核酸高分子とバイオセンサのフォトダイオード117との間のアラインメントを補助するために、バイオセンサの表面は、活性スポット又はウェル(例えば、開口部150A~C、開口部155A~C等)が存在するように構成されてもよく、斯かるスポット又はウェルは、核酸高分子を受けるためにサイズ設定及び化学的に官能化され、核酸高分子が結合し得ない表面の領域によって囲まれている。核酸高分子は、任意の好適な表面化学を用いてフォトダイオード117と位置合わせされた活性表面に固定され得る。これは、非共有相互作用(例えば、正電荷を帯びた領域への)、あるいは、核酸高分子に含まれる配列に相補的な配列を有する捕捉プローブ又は表面に結合したオリゴヌクレオチドとの相互作用を含んでもよい。例えば、米国特許第8,445,194号明細書(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0065】
いくつかの実施形態では、バイオセンサの表面上の活性スポット又はウェルと核酸高分子とは、各スポットが1つの核酸高分子のみに結合するように、相互に構成され得る。これは、例えば、活性スポットにサイズが対応するアンプリコンと表面とを接触させることによって達成され得る(例えば、活性スポットの直径と有効に同等又はそれよりも大きな直径を有するアンプリコン)。米国特許第8,445,194号明細書(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。あるいは、活性スポットは、単一DNA断片を結合するように化学的に適合することができ、これは、元の結合部位で、及びその周辺でより大きな領域を満たすように増幅され得る。
【0066】
いくつかの本発明の実施形態は、異なる光の波長に対応する異なる標識を決定するために使用され得る。標識は、例えば、蛍光、化学発光又は生物発光標識であり得る。例えば、遺伝子配列決定(又はDNA配列決定)において、本発明の実施形態は、核酸高分子(例えば、DNAの鎖)内のヌクレオチド塩基の正確な順序を決定するために使用され得る。ヌクレオチド塩基は、特定の蛍光標識(例えば、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、又はチミン(T))で標識され得る。あるいは、例えば、1色、2色、又は3色配列決定方法が使用され得る。
【0067】
蛍光に関して、ヌクレオチド塩基のそれぞれは、核酸高分子を励起光で連続して励起することによって順に決定することができる。核酸高分子は、本明細書で記載したように(例えば、図2、8A、9又は13に示すように)、励起光を吸収し、バイオセンサ上に異なる波長の放射光を透過させることができる。バイオセンサは、放射光の波長及びフォトダイオードによって受光される強度を測定することができる。各ヌクレオチドは、特定の波長及び/又は強度の励起光によって励起されると、特定の光の波長及び/又は強度をフォトダイオードに放出することができ(すなわち、「蛍光標識」)、核酸高分子における特定の位置で特定のヌクレオチド塩基の存在の同定を可能にする。その特定のヌクレオチド塩基が決定されると、それは核酸高分子から除去され、従って次の連続するヌクレオチド塩基が同様のプロセスに従って決定され得る。
【0068】
核酸高分子は、任意の目的のためにバイオセンサに付着させる前又は後に、1つ又は複数の異なる蛍光、化学発光、又は生物発光標識で標識され得る。例えば、核酸高分子は、標識されたオリゴヌクレオチドプローブ又は増幅プライマーとハイブリダイズされ得る。あるいは、核酸高分子は、非標識オリゴヌクレオチドとハイブリダイズされてもよく、これは次に標識プローブに結合されるか、又は標識ヌクレオチドアナログを用いて伸長され得る。例として、標識は、核酸高分子を特徴づける目的で(例えば、疾患に関連付けられた一塩基多型(SNP)の存在)、あるいは上述のように、核酸高分子の全て又は一部の核酸配列決定のために行われ得る。プローブハイブリダイゼーションによるDNA配列決定は、例えば米国特許第8,105,771号明細書(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。アンカープローブライゲーション(anchor probe ligation)による配列決定は、例えば米国特許第8,592,150号明細書(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。合成による配列決定は、例えば米国特許第7,883,869号明細書(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。一般的に、合成による配列決定は、鋳型配列にハイブリダイズした配列決定プライマーによって提供された遊離3’ヒドロキシル基に、連続的にヌクレオチドが追加され、5’から3’方向に核酸鎖の合成をもたらす方法である。1つの手法では、別の例示的タイプのSBS、パイロシーケンシング技術が用いられる(Ronaghiら、1998、Science 281:363)。
【0069】
いくつかの実施形態では、図2、8A、9及び13に示されたバイオセンサは、フローセル(図示せず)に結合されてもよい。核酸高分子は、バイオセンサとフローセル中の液体試料とを接触させることによって、バイオセンサに付着され得る。フローセルは、反応部位と流体連通(fluid communication)する1つ又は複数のフローチャネル(例えば、開口部150A~C、開口部155A~C等)を含んでもよい。一例では、バイオセンサは、バイオアッセイシステムに流体的及び電気的に結合され得る。バイオアッセイシステムは、所定のプロトコルに従って試薬を反応部位に送達し、画像化事象を行うことができる。例えば、バイオアッセイシステムは、溶液が反応部位に沿って流れるように指示することができる。溶液は、同じ又は異なる蛍光標識を有する4種類のヌクレオチドを含んでもよい。次に、バイオアッセイシステムは、励起光源を用いて反応部位を照らすことができる。励起光は、所定の波長又は波長(複数)を有し得る。励起された蛍光標識は、フォトダイオード117によって検出され得る発光信号を提供し得る。
【0070】
ユーザは、(例えば、図2、8A、9及び13に)記載の実施形態によるバイオセンサと、核酸アンプリコンとを、又は後に増幅される核酸とを接触させることによって配列決定の準備をすることができ、従って核酸高分子は結合し、活性スポット又はウェルによって保持され、そして過剰の核酸高分子は洗い流され得る。核酸高分子は、事前に又はインサイチュで、標識試薬と接触される。次に、バイオセンサは、本明細書に記載のように操作され、アレイ上の核酸高分子の上又はその周辺に放出された光を決定することができる。光は定量化されるか、あるいは表面上の核酸高分子のどれが、特定の波長で発光する標識で標識されているかを二元的に決定するのに十分であり得る。異なる波長で発光する標識を有する異なるプローブ又は異なる核酸アナログを同時に使用することができ、例えば、配列中の特定の位置で異なる塩基を決定するか、又は複数の位置を配列決定することができる。
【実施例
【0071】
実施例
本実施例は、BSI CISセンサが、表面に付着した光子放出分子からの弱い信号を検出するために使用され得ることを実証する。本発明者らは、図9に記載されたように、ただしカラーフィルター層は無しに(すなわち、要素120、123B、125、及び127Bを欠いて)、バイオセンサを構築した。さらに、表面133Bを疎水性にし、かつ開口部150A/B/Cの底面を親水性にした(従ってDNBが親水性表面に向かって、かつ疎水性表面から離れて分布するように)。
【0072】
DNAナノボール(DNB)の希釈溶液をバイオセンサアレイに適用して、個々のDNBをアレイのスポット上に沈降させた。この実験の目的のために、DNBの全ては同じ配列を有し、これは、アレイ上の本質的に全てのDNBが異なる配列を有することになり、かつDNBの配列が任意の特定のスポットであり/位置が配列決定の前に知られていないであろう配列決定方法とは対照的である。
【0073】
2つのプライマーがDNA鋳型にハイブリダイズされた(図15A、上を参照)。「左」のプライマーは、ブロックされた(伸長不可能な)3’末端を有し、蛍光色素で5’末端が標識されている。蛍光色素は、アレイ上のDNBの位置を確立するために使用された(図示せず)。「右」のプライマーは、合成によって配列決定するための伸長可能なプライマーとして作用する。配列決定試薬及び検出試薬4(DNAポリメラーゼ、ストレプトアビジン、ビオチン化ルシフェラーゼ3、ATP及びルシフェリン)を、切断可能なリンカーを介してビオチンでタグ付けされたdATPと共に添加した。このシステムでは、ストレプトアビジン2は、取り込まれたヌクレオチドにコンジュゲートしたビオチンと会合し、また、図15Aに示されたようにビオチン化ルシフェラーゼと会合する(ビオチン1はひし形で表される)。ATPは、ルシフェラーゼに媒介されるルシフェリンのオキシルシフェリンへの変換による光の生成のための基質として作用する。光はフォトダイオードによって受光され、信号を生成する。信号はdATPの取り込みと相関し、鋳型配列の対応する位置におけるチミンの存在を示している。図15Aは、アレイ上の多数のスポットにおけるDNBからの信号を示す。
【0074】
次に、THPPを使用して切断可能なリンカーを切断し、ビオチン/ストレプトアビジン/ルシフェラーゼ複合体を放出し、そしてアレイを洗浄して全ての可溶性試薬を除去した。図15Bは、洗浄ステップ後にアレイからの信号が存在しないか、又は有意に減少していることを示す。
【0075】
第2の取り込みラウンドを、図15Cに示すように、dTTP-ジゴキシン及びDNAポリメラーゼを用いて行った。dTTPの取り込みは、ビオチン化抗ジゴキシン抗体、ストレプトアビジン、ビオチン化ルシフェラーゼ、ATP及びルシフェリンを用いて検出される。ビオチン化抗ジゴキシン抗体の使用は、各取り込み事象によって生成された信号を増幅する。図15Cは、化学発光光がアレイ上の多数のスポットで生じたことを示す画像である。この例は、2つの異なるdNTP及び2つの異なる検出システムを用いて、本発明のBSI CISセンサが、表面に付着した光子放出分子、例えばDNBからの弱い信号を検出するために使用することができることを実証する。
【0076】
本明細書に記載のプロセスは、特定の順序で行われる特定数のステップに関して記載されているが、明示的に示されていない及び/又は記載されていない付加的なステップが含まれてもよいことが企図される。さらに、示され及び記載されたものよりも少ないステップが、記載の実施形態の範囲から逸脱することなく含まれてもよいことが企図される(すなわち、記載されたステップの1つ又はいくつかは任意であってもよい)。さらに、本明細書に記載されたステップは、記載されたものとは異なる順序で行われてもよいことが企図される。
【0077】
前述の説明において、本出願の態様はその特定の実施形態を参照して説明されるが、当業者は本発明がそれらに限定されないことを認識するであろう。したがって、本出願の例示的実施形態が本明細書に詳細に記載されているが、本発明の概念は他にもさまざまに実施及び採用できること、並びに添付の特許請求の範囲は、先行技術によって限定される場合を除き、そのような変形を含むと解釈されることを意図するものであることが理解されるべきである。上記発明の様々な特徴及び態様は、個別に又は一緒に使用することができる。さらに、実施形態は、本明細書のより広い趣旨及び範囲から逸脱することなく本明細書に記載されたものを超えて、任意の数の環境及び用途において利用することができる。従って、明細書及び図面は、限定的ではなく例示的であるとみなされるべきである。例示の目的のために、方法は特定の順序で記載した。代替的な実施形態では、方法は記載されたものとは異なる順序で実施されてもよいことが理解されるべきである。
【0078】
他の変形は本開示の趣旨の範囲内である。したがって、開示された技術は様々な改変及び代替の構成を受け入れる余地があるが、その特定の例示された実施形態は図面に示されており、上記に詳述されてきた。しかしながら、開示を特定の形態又は開示された形態に限定することを意図するものではないが、対照的に、その意図は、添付の特許請求の範囲に定義されたように、開示の趣旨及び範囲内にある全ての改変、代替構成及び等価物を網羅することであると理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15