IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中外炉工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-熱処理炉 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】熱処理炉
(51)【国際特許分類】
   F27D 9/00 20060101AFI20231114BHJP
   F27D 7/02 20060101ALI20231114BHJP
   F27D 19/00 20060101ALI20231114BHJP
   F27D 17/00 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
F27D9/00
F27D7/02 Z
F27D19/00 D
F27D19/00 A
F27D17/00 101A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022126357
(22)【出願日】2022-08-08
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(72)【発明者】
【氏名】城野 洋
(72)【発明者】
【氏名】馬郡 義弘
【審査官】山本 佳
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-536560(JP,A)
【文献】特開2003-343978(JP,A)
【文献】特開2013-204917(JP,A)
【文献】特開2011-137229(JP,A)
【文献】特開2008-267704(JP,A)
【文献】特開2005-201606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 7/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気雰囲気の強制対流で被処理物を処理する熱処理炉であって、
被処理物を処理する処理室と、
前記処理室内へ外気を導入する導入流路と、
前記処理室内の雰囲気を排出する排出流路と、
前記導入流路を開閉する導入弁と、
前記排出流路を開閉する排出弁と、
前記熱処理炉を制御する制御部と、を備えており、
前記制御部は、前記処理室内の温度を急冷するときには、前記排出弁を開放し、前記処理室内の雰囲気を排出し、合わせて、前記導入弁を開放し、前記処理室内へ外気を導入するようになっており、
前記処理室には前記処理室内の露点温度を計測する露点温度計が設けられ、
前記制御部は、前記処理室内の温度を急冷するときには、前記露点温度計によって計測された露点温度に基づき、前記処理室内で結露が生じないように、導入される外気の温度を制御する、熱処理炉。
【請求項2】
前記導入流路及び/又は前記排出流路にファンが設けられている、請求項1記載の熱処理炉。
【請求項3】
前記処理室には前記処理室内の圧力を計測する圧力計が設けられ、
前記導入弁は、開度調整可能となっており、
前記排出弁は、開度調整可能となっており、
前記制御部は、前記処理室内の温度を急冷するときには、前記圧力計によって計測された前記処理室内の圧力に基づき、前記導入弁及び/又は前記排出弁の開度を調整する、請求項1又は2に記載の熱処理炉。
【請求項4】
前記処理室には前記処理室内の圧力を計測する圧力計が設けられ、
前記制御部は、前記処理室内の温度を急冷するときには、前記圧力計によって計測された前記処理室内の圧力に基づき、前記導入流路及び/又は前記排出流路における前記ファンの流量を制御する、請求項2記載の熱処理炉。
【請求項5】
前記処理室には前記処理室内の温度を計測する温度計が設けられ、
前記導入弁は、開度調整可能となっており、
前記排出弁は、開度調整可能となっており、
前記制御部は、前記処理室内の温度を急冷するときには、前記温度計によって計測された前記処理室内の温度に基づき、前記導入弁及び/又は前記排出弁の開度を調整する、請求項1又は2に記載の熱処理炉。
【請求項6】
前記処理室には前記処理室内の温度を計測する温度計が設けられ、
前記制御部は、前記処理室内の温度を急冷するときには、前記温度計によって計測された処理室内の温度に基づき、前記導入流路及び/又は前記排出流路における前記ファンの流量を制御する、請求項2記載の熱処理炉。
【請求項7】
前記処理室内から排出される雰囲気と前記処理室内に導入される外気との間で熱交換を行う熱交換器を備えており、
前記制御部は、前記熱交換器を通過する外気の流量と前記熱交換器を通過しない外気の流量との混合割合を変更することによって、導入される外気の温度を制御する、請求項1記載の熱処理炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気雰囲気の強制対流で被処理物を処理する熱処理炉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大気雰囲気の強制対流で被処理物を処理する熱処理炉として、ワークを連続的に加熱する連続式熱処理炉が特許文献1や特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-143565号公報
【文献】特開平10-176886号公報
【文献】特開2002-129242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、熱処理炉において被処理物への処理条件が変更され、炉内温度を低下させる必要が生じた場合、炉内の熱源である電気ヒータや誘導加熱コイル、ラジアントチューブ等の出力を下げることで対応するが、炉内の壁面や部品、熱源そのものに蓄熱されていた熱が放出されるため、炉内の温度を低下させるのに時間がかかっていた。そのため、蓄熱されていた熱の放出の間、炉内に存在する被処理物は加熱されることになり、そのように加熱された被処理物は製品として使用されることができず、無駄が生じていた。
【0005】
また、炉内温度を強制的に低下させるため、特許文献3は、炉内雰囲気をゾーン毎にクーラで循環させる構成を開示しているが、炉内雰囲気の容量は大きく、炉内温度を低下させるのにまだ多くの時間がかかっており、より急速に炉内温度を低下させることが望まれていた。
【0006】
そこで本発明では、大気雰囲気の強制対流で被処理物を処理する熱処理炉において、簡単な構造でありながら、炉内温度を急速に低下させることができる熱処理炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、大気雰囲気の強制対流で被処理物を処理する熱処理炉であって、
被処理物を処理する処理室と、
前記処理室内へ外気を導入する導入流路と、
前記処理室内の雰囲気を排出する排出流路と、
前記導入流路を開閉する導入弁と、
前記排出流路を開閉する排出弁と、
前記熱処理炉を制御する制御部と、を備えており、
前記制御部は、前記処理室内の温度を急冷するときには、前記排出弁を開放し、前記処理室内の雰囲気を排出し、合わせて、前記導入弁を開放し、前記処理室内へ外気を導入する。
【0008】
前記構成によれば、処理室内の高温の雰囲気を排出し、低温(例えば60~150℃)の外気を処理室内へ導入するので、処理室内の温度を急速に低下させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、大気雰囲気の強制対流で被処理物を処理する熱処理炉において、簡単な構造でありながら、炉内温度を急速に低下させることができる熱処理炉を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る熱処理炉の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る熱処理炉10の概念図である。図1に示されるように、熱処理炉10は、大気雰囲気の強制対流で被処理物を処理する熱処理炉である。熱処理炉10は、被処理物Sを処理する処理室1と、処理室1内へ外気を導入する導入流路2と、処理室1内の雰囲気(空気)を排出する排出流路3と、を備えている。そして、導入流路2には、導入流路2を開閉する導入弁21が設けられており、排出流路3には、排出流路3を開閉する排出弁31が設けられている。また、熱処理炉10は、熱処理炉10の作動を制御する制御部4を備えている。
【0012】
処理室1には、処理室1内の雰囲気の圧力を計測する圧力計11が設けられている。また、排出流路3において、排出弁31の上流側には、処理室1内の雰囲気の露点温度を計測する露点温度計13が設けられている。
【0013】
導入弁21及び排出弁31はそれぞれ電気式、空気式あるいは油圧式等の操作器駆動式の弁であり、開度調整可能となっている。
【0014】
導入流路2には、外気を処理室1内へ給気する給気ファン22が設けられ、排出流路3には、処理室1内の雰囲気を外部に排気する排気ファン32が設けられている。導入流路2において、給気ファン22の下流側の一方の配管2aには熱交換器23が設けられており、給気ファン22によって給気された外気は、熱交換器23において排気ファン32からの排気によって熱交換(加熱)される。また、給気ファン22の下流側の他方の配管2bには熱交換器が設けられていない。排出流路3において、排気ファン32の下流側には、雰囲気の排出量を計測する流量計33が設けられている。制御部4は、流量計33の値に基づき、排気ファン32の流量を制御する。また、制御部4は、圧力計11の値及び流量計33の値に基づき、導入弁21及び排出弁31の開度を調整し、また、給気ファン22及び排気ファン32の流量を制御する。
【0015】
配管2aには、熱交換器23の下流側に混合弁24が設けられており、配管2bには混合弁25が設けられている。混合弁24及び混合弁25はそれぞれ電気式、空気式あるいは油圧式等の操作器駆動式の弁であり、開度調整可能となっている。
【0016】
混合弁24及び混合弁25の下流側で、配管2aと配管2bとが合流しており、合流点2cの下流側に導入弁21が配置されている。混合弁24の開度及び混合弁25の開度によって、熱交換器23によって熱交換された高温の外気と、熱交換器23を通過しない常温の外気との混合割合が調整され、導入される外気の温度が調整された後、混合された外気は導入弁21を介して処理室1内に導入されるようになっている。
【0017】
合流点2cと導入弁21との間には、処理室1内に導入される外気の温度を測定する温度計26が設けられている。制御部4は、露点温度計13の値及び温度計26の値に基づき、混合弁24及び混合弁25の開度を調整する。
【0018】
熱処理炉10はさらに、処理室1内の雰囲気を循環させる循環ユニット5を備えている。循環ユニット5は、処理室1内と連通する循環流路51と、循環流路51内に設けられ、処理室1内の雰囲気を、循環流路51を介して循環させる循環ファン52と、循環流路51内に設けられ、循環流路51内を流れる雰囲気を加熱するヒータ53と、を備えている。循環流路51において、ヒータ53の下流側であって、循環ファン52の上流側には、処理室1内の温度を計測する温度計12が設けられている。制御部4は、温度計12の値に基づき、導入弁21及び排出弁31の開度を調整し、また、給気ファン22及び排気ファン32の流量を制御する。制御部4はさらに、温度計12の値に基づき、ヒータ53の出力を調整する。
【0019】
熱処理炉10は、次のように作動するようになっている。
【0020】
被処理物Sの処理条件が変更され、処理室1内の温度を急冷する必要が生じると、制御部4は、排出弁31を開放して、処理室1内の雰囲気を外部に排出し、合わせて、導入弁21を開放して、処理室1内へ外気を導入する。なお、導入弁21の開放は、排出弁31の開放と同時に行ってもよく、また、排出弁31の開放から、一定時間経過後に行ってもよい。ここで、給気ファン22及び排気ファン32は、事前に作動させておく。
【0021】
このとき、制御部4は、処理室1内の圧力の変動を抑制するために、圧力計11の計測結果に基づき、導入弁21及び/又は排出弁31の開度や、給気ファン22及び/又は排気ファン32の流量を調整する。
【0022】
また、制御部4は、被処理物Sの処理条件の1つである処理温度を目標温度とし、温度計12の計測結果に基づき、導入弁21及び/又は排出弁31の開度や、給気ファン22及び/又は排気ファン32の流量を調整する。
【0023】
制御部4はまた、処理室1内の温度を急冷するときに、処理室1内で結露が発生しないよう、露点温度計13の計測結果に基づき、処理室1内に導入される外気を熱交換器23によって所定温度まで加熱した後、処理室1内へ導入する。
【0024】
ここで、処理室1内に導入される外気の温度制御は、混合弁24及び混合弁25の開度を調整し、熱交換器23を通過する外気の流量と熱交換器23を通過しない外気の流量との混合割合を変更することによって行われる。
【0025】
このように、処理室1内の雰囲気を外部に放出し、低温の外気を処理室1内に導入することによって、処理室1内の温度を急冷し、目標温度に調整する。なお、本実施形態の熱処理炉10は、炉内において大気雰囲気で被処理物Sを熱処理する炉であるので、外気(大気)をそのまま炉内に導入しても問題はない。
【0026】
前記構成の熱処理炉10によれば、次のような効果を発揮できる。
【0027】
(1)制御部4は、処理室1内の温度を急冷するときには、排出弁31を開放し、処理室1内の高温の雰囲気を排出し、さらに導入弁21を開放し、処理室1内へ低温の外気を導入するので、処理室1内の温度を急速に低下させることができる。
【0028】
(2)導入流路2に給気ファン22が設けられ、排出流路3に排気ファン32が設けられているので、給気ファン22、排気ファン32によって、処理室1内の雰囲気を強制的に入れ替えることができ、処理室1内の温度をさらに急速に低下させることができる。
【0029】
(3)制御部4は、処理室1内の温度を急冷するときには、圧力計11によって計測された処理室1内の圧力に基づき、導入弁21及び/又は排出弁31の開度を調整するので、処理室1内の圧力の変動を抑制しながら、処理室1内の雰囲気を入れ替え、処理室1内の温度を急速に低下させることができる。
【0030】
(4)制御部4は、処理室1内の温度を急冷するときには、圧力計11によって計測された処理室1内の圧力に基づき、給気ファン22及び/又は排気ファン32の流量を調整するので、処理室1内の圧力の変動を抑制しながら、処理室1内の雰囲気を入れ替え、処理室1内の温度を急速に低下させることができる。
【0031】
(5)制御部4は、処理室1内の温度を急冷するときには、温度計12によって計測された処理室1内の温度に基づき、導入弁21及び/又は排出弁31の開度を調整するので、処理室1内の温度を目的の温度に速く安定させることができる。
【0032】
(6)制御部4は、処理室1内の温度を急冷するときには、温度計12によって計測された処理室1内の温度に基づき、給気ファン22及び/又は排気ファン32の流量を調整するので、処理室1内の温度を目的の温度に速く安定させることができる。
【0033】
(7)制御部4は、処理室1内の温度を急冷するときには、露点温度計13によって計測された露点温度に基づき、処理室1内で結露が生じないように、導入される外気の温度を制御するので、導入される外気によって、処理室1内で結露を生じることを防止できる。
【0034】
(8)処理室1内から排出される高温の雰囲気によって、処理室1内に導入される外気を加熱することで、高温の外気を容易に得ることができる。また、熱交換器23によって熱交換された高温の外気と常温の外気との混合割合を変更することによって、導入される外気の温度を容易に制御できる。
【0035】
上記実施形態では、処理室1内の雰囲気を循環ユニット5によって循環させ、循環流路51における温度、すなわち、処理室1へ導入する処理ガスの温度を処理室1内の温度として計測しているが、処理室1に温度計を設け、処理室1内の雰囲気を直接測定し、その値を処理室1内の温度としてもよい。
【0036】
上記実施形態では、露点温度計13は、結露の生じやすい、雰囲気の低温部に設けておくのが好ましく、排出流路3において排出弁31の上流側に配置されているが、排出弁31の下流側に配置されてもよく、また、排気ファン32の下流側に配置されてもよい。
【0037】
上記実施形態では、流量計33は、排出流路3において排気ファン32の下流側に配置されているが、排気ファン32の上流側に配置されてもよく、また、排出弁31の上流側に配置されてもよい。
【0038】
上記実施形態では、温度計26は、導入流路2において導入弁21の上流側であって合流点2cの下流側に配置されているが、導入弁21の下流側に配置されてもよい。
【0039】
上記実施形態では、排出流路3に流量計33を設け、流量計33の値に基づき排気ファン32の流量を制御し、処理室1の圧力と排出流路3における排出量とによって、給気ファン22の流量を制御している。しかし、導入流路2に流量計を設け、その流量計の値に基づき給気ファン22の流量を制御し、処理室1の圧力と導入流路2における導入量とによって、排気ファン32の流量を制御してもよい。この場合、導入流路2に設けられる流量計は、導入弁21の下流側に配置される。
【0040】
本発明は、上記実施形態の熱処理炉に限定されず、大気雰囲気の強制対流で被処理物を処理する熱処理炉全般に適用可能である。
【0041】
本発明及び実施形態をまとめると、以下のとおりである。
【0042】
(1)本発明の一実施形態は、大気雰囲気の強制対流で被処理物を処理する熱処理炉であって、
被処理物を処理する処理室と、
前記処理室内へ外気を導入する導入流路と、
前記処理室内の雰囲気を排出する排出流路と、
前記導入流路を開閉する導入弁と、
前記排出流路を開閉する排出弁と、
前記熱処理炉を制御する制御部と、を備えており、
前記制御部は、前記処理室内の温度を急冷するときには、前記排出弁を開放し、前記処理室内の雰囲気を排出し、合わせて、前記導入弁を開放し、前記処理室内へ外気を導入する。
【0043】
前記構成(1)によれば、処理室内の高温の雰囲気を排出し、低温の外気を処理室内へ導入するので、処理室内の温度を急速に低下させることができる。
【0044】
(2)前記構成(1)において、前記導入流路及び/又は前記排出流路にファンが設けられている。
【0045】
前記構成(2)によれば、ファンによって、処理室内の雰囲気を強制的に入れ替えることができるので、処理室内の温度をさらに急速に低下させることができる。
【0046】
(3)前記構成(1)又は(2)において、前記処理室には前記処理室内の圧力を計測する圧力計が設けられ、
前記導入弁は、開度調整可能となっており、
前記排出弁は、開度調整可能となっており、
前記制御部は、前記処理室内の温度を急冷するときには、前記圧力計によって計測された前記処理室内の圧力に基づき、前記導入弁及び/又は前記排出弁の開度を調整する。
【0047】
前記構成(3)によれば、圧力計によって計測された処理室内の圧力に基づき、導入弁及び/又は排出弁の開度を調整することによって、処理室内の圧力の変動を抑制しながら、処理室内の雰囲気を入れ替え、処理室内の温度を急速に低下させることができる。
【0048】
(4)前記構成(2)において、前記処理室には前記処理室内の圧力を計測する圧力計が設けられ、
前記制御部は、前記処理室内の温度を急冷するときには、前記圧力計によって計測された前記処理室内の圧力に基づき、前記導入流路及び/又は前記排出流路における前記ファンの流量を制御する。
【0049】
前記構成(4)によれば、圧力計によって計測された処理室内の圧力に基づき、ファンの流量を調整することによって、処理室内の圧力の変動を抑制しながら、処理室内の雰囲気を入れ替え、処理室内の温度を急速に低下させることができる。
【0050】
(5)前記構成(1)~(4)のいずれか1つにおいて、前記処理室には前記処理室内の温度を計測する温度計が設けられ、
前記導入弁は、開度調整可能となっており、
前記排出弁は、開度調整可能となっており、
前記制御部は、前記処理室内の温度を急冷するときには、前記温度計によって計測された前記処理室内の温度に基づき、前記導入弁及び/又は前記排出弁の開度を調整する。
【0051】
前記構成(5)によれば、導入弁及び/又は排出弁の開度を調整することによって、処理室内の温度を目的の温度に速く安定させることができる。
【0052】
(6)前記構成(2)において、前記処理室には前記処理室内の温度を計測する温度計が設けられ、
前記制御部は、前記処理室内の温度を急冷するときには、前記温度計によって計測された処理室内の温度に基づき、前記導入流路及び/又は前記排出流路における前記ファンの流量を制御する。
【0053】
前記構成(6)によれば、ファンの流量を調整することによって、処理室内の温度を目的の温度に速く安定させることができる。
【0054】
(7)前記構成(1)~(6)のいずれか1つにおいて、前記処理室には前記処理室内の露点温度を計測する露点温度計が設けられ、
前記制御部は、前記処理室内の温度を急冷するときには、前記露点温度計によって計測された露点温度に基づき、前記処理室内で結露が生じないように、導入される外気の温度を制御する。
【0055】
前記構成(7)によれば、処理室内の温度を急冷するときに、導入される外気によって、処理室内で結露を生じることを防止できる。
【0056】
(8)前記構成(7)において、前記処理室内から排出される雰囲気と前記処理室内に導入される外気との間で熱交換を行う熱交換器を備えており、
前記制御部は、前記熱交換器を通過する外気の流量と前記熱交換器を通過しない外気の流量との混合割合を変更することによって、導入される外気の温度を制御する。
【0057】
前記構成(8)によれば、処理室内から排出される高温の雰囲気によって、処理室内に導入される外気を加熱することで、高温の外気を容易に得ることができる。また、熱交換器によって熱交換された高温の外気と常温の外気との混合割合を変更することによって、導入される外気の温度を容易に制御できる。
【0058】
特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、各種変形及び変更を行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明では、大気雰囲気の強制対流で被処理物を処理する熱処理炉において、簡単な構造でありながら、炉内温度を急速に低下させることができる熱処理炉を提供できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0060】
1 処理室
2 導入流路
3 排出流路
4 制御部
5 循環ユニット
10 熱処理炉
11 圧力計 12 温度計 13 露点温度計
21 導入弁 22 給気ファン 23 熱交換器 24 混合弁 25 混合弁
26 温度計
2a 配管 2b 配管 2c 合流点
31 排出弁 32 排気ファン 33 流量計
51 循環流路 52 循環ファン 53 ヒータ
S 被処理物
【要約】
【課題】大気雰囲気の強制対流で被処理物を処理する熱処理炉において、簡単な構造でありながら、炉内温度を急速に低下させることができる熱処理炉を提供する。
【解決手段】大気雰囲気の強制対流で被処理物Sを処理する熱処理炉10であって、被処理物Sを処理する処理室1と、処理室1内へ外気を導入する導入流路2と、処理室1内の雰囲気を排出する排出流路3と、導入流路2を開閉する導入弁21と、排出流路3を開閉する排出弁31と、熱処理炉10を制御する制御部4と、を備えており、制御部4は、処理室1内の温度を急冷するときには、排出弁31を開放し、処理室1内の雰囲気を排出し、合わせて、導入弁21を開放し、処理室1内へ外気を導入する。
【選択図】図1
図1